説明

DR5リガンド薬物結合体

連結基および/またはスペーサーを介して治療剤に結合されたDR5結合部分を有するリガンド薬物結合体が、提供され、種々のがんの処置において有効である。本発明は、とりわけ、DR5発現細胞への薬物の標的化された送達のためのリガンド薬物結合体を提供する。本発明者らは、広範囲な実験を行い、細胞においてアポトーシスを誘導し得る抗体を含む抗体−薬物結合体が、このような抗体単独よりも、がんに対してより顕著な治療効果を有することを見いだした。本発明に従って上記抗体−薬物結合体を使用することによって、上記抗体自体は、アポトーシス誘導効果を示し、上記抗体に結合体化した薬物はまた、治療効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年9月24日に出願された米国仮特許出願第61/245,462号の利益を主張し、この出願の内容はすべての目的のためにその全体が本明細書において参照として援用される。
【0002】
(資金援助された研究および開発の下でなされた発明に対する権利に関する陳述)
適用なし。
【0003】
(コンパクトディスクで提出された付表を列挙する「配列表」、表またはコンピュータープログラムに対する言及)
適用なし
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
アポトーシス誘導に関与する細胞表面レセプター(例えば、デスドメイン(death domain)含有レセプター)は、リガンド結合に起因して、細胞膜上でマルチマー化し、上記細胞におけるアポトーシスシグナルの誘導を生物学的に引き起こす(非特許文献1)。このような細胞表面レセプターの例としては、腫瘍壊死因子(本明細書中以降、TNFといわれる)関連アポトーシス誘導リガンド(本明細書中以降、TRAILといわれる)レセプターファミリーが挙げられる。TRAILは、タンパク質のTNFファミリーのメンバーであり、上記ファミリーは、FasリガンドおよびTNF−aを含む(非特許文献2)。これらタンパク質は、強力なアポトーシス誘導因子である。
【0005】
上記タンパク質のTNFファミリーのレセプターは、細胞外ドメインにおけるシステインリッチ反復配列によって特徴付けられる。これらの中で、Fas(Fasリガンドのレセプター)およびTNFレセプターI(本明細書中以降、TNFRIといわれる)、TNF−aのレセプターは、まとめて、デスドメイン含有レセプターといわれる。これらレセプターは、デスドメインといわれ、Drosophila自殺遺伝子であるreaperに対して相同であるアポトーシスシグナル伝達に必須の細胞内ドメインを有する(非特許文献3、非特許文献4)。
【0006】
5個のTRAILレセプターが、同定されており、そのうちの2個(DR4[TRAIL−R1]およびDR5[TRAIL−R2])は、アポトーシスシグナル伝達を誘導し得る一方で、他の3個(DcR1[TRAIL−R3]、DcR2[TRAIL−R4]、およびオステオプロテゲリン[OPG])は、アポトーシスシグナル伝達を誘導しない。FasおよびTNFRIのように、DR4およびDR5の両方の細胞内セグメントは、デスドメインを含み、Fas関連デスドメインタンパク質(本明細書中以降、FADDといわれる)およびカスパーゼ−8を含む経路によって、アポトーシスシグナル伝達を誘導する(非特許文献5;非特許文献6)。
【0007】
上記Fasに関して、TNFRI、DR4、およびDR5、これら分子に対してそれぞれ結合するアゴニスト抗体(agonistic antibodies)は、表面に標的分子を有する細胞に対してアポトーシス誘導活性を有する(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。これらアゴニスト抗体の有効性は、2次抗体またはエフェクター細胞との架橋によって増強される(非特許文献11;非特許文献12)。
【0008】
アポトーシス誘導に関与する細胞表面レセプターに結合する能力を有する抗DR5抗体は、現在、治療剤として臨床開発中であり、治療効果が明らかになり、特異的かつアゴニスト的様式においてレセプターを発現する細胞(がん細胞および免疫疾患関連細胞)を死滅させることが期待されている。この抗体の作用機構は、抗体分子を一緒に架橋して、レセプターへの上記抗体の結合の前または後にマルチマーを形成することによって媒介されると提唱されている。上記抗体のこのようなマルチマー化は、その後、抗原レセプターのマルチマー化(すなわち、アポトース誘導)を引き起こす。インビトロ実験で、上記抗体に対する2次抗体の添加による人工的な架橋が、上記抗体の活性を増強させるために必要とされ、そしてインビボでは、免疫エフェクター細胞上のFcレセプターによる架橋が、上記抗体の活性を生じるために必要とされる作用機構であるようである。近年になって、抗体の構造を変化させることによって、上記抗体の本来の機能をさらに増強させようとする試みが為されてきた。例えば、抗体上の特異的炭水化物構造の除去が、Fcレセプターに対する親和性を改善すると報告されている。このような作用機構は、細胞表面レセプターに対して内部移行しない抗体が好ましいことを示唆する。
【0009】
しかし、DR5発現がんを処置する方法は、未だに必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Cell Death and Differentiation,10:66−75(2003)
【非特許文献2】Wiley SRら,Immunity 1995 Dec;3(6):673−82
【非特許文献3】Golstein,P.ら,(1995)Cell.81,185−186
【非特許文献4】White,Kら,(1994)Science 264,677−683
【非特許文献5】Chaudhary PMら,Immunity 1997 Dec;7(6):821−30
【非特許文献6】Schneider Pら,Immunity 1997 Dec;7(6):831−36
【非特許文献7】Journal of Cellular Physiology,209:1021−1028(2006)
【非特許文献8】Leukemia,Apl;21(4):805−812(2007)
【非特許文献9】Blood,99:1666−1675(2002)
【非特許文献10】Cellular Immunology,Jan;153(1):184−193(1994)
【非特許文献11】Journal of Immunology,149:3166−3173(1992)
【非特許文献12】European Journal of Immunology,Oct;23(10):2676−2681(1993)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、とりわけ、DR5発現細胞への薬物の標的化された送達のためのリガンド薬物結合体を提供する。本発明者らは、広範囲な実験を行い、細胞においてアポトーシスを誘導し得る抗体を含む抗体−薬物結合体が、このような抗体単独よりも、がんに対してより顕著な治療効果を有することを見いだした。本発明に従って上記抗体−薬物結合体を使用することによって、上記抗体自体は、アポトーシス誘導効果を示し、上記抗体に結合体化した薬物はまた、治療効果を示す。これらの理由で、上記抗体−薬物結合体は、上記抗体単独では効率的に処置できない患者に対して有効な治療効果を有する。本明細書に記載されるリガンド薬物結合体は、DR5を発現する細胞(例えば、DR5発現がん細胞)に対して、強力な細胞傷害活性および/または細胞増殖抑制活性を有する。いくつかの実施形態において、上記リガンド薬物結合体は、式:
L−(LU−D) (I)
を有し、ここでLは、リガンドユニットであり、LUは、リンカーユニットであり、そしてDは、薬物ユニット(または細胞傷害剤)である。上記下付き文字pは、1〜20の整数である。よって、上記リガンド薬物結合体は、少なくとも1個の薬物ユニットに共有結合したリガンドユニットを含む。上記薬物ユニットは、直接、またはリンカーユニット(−LU−)を介して共有結合され得る。上記リガンドユニット(以下により十分に記載される)は、DR5結合剤(例えば、抗DR5抗体)である。よって、本発明はまた、例えば、種々のがんの処置のための方法を提供する。これら方法は、リガンド薬物結合体の使用を包含し、ここで上記リガンドユニットは、DR5に特異的に結合する抗DR5結合剤である。上記DR5結合剤は、例えば、抗DR5抗体、抗DR5抗原結合フラグメント、あるいはヒト化抗体重鎖および/もしくは軽鎖の可変領域、またはその誘導体のアミノ酸配列を含む他のDR5結合剤であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図2】図2は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図3】図3は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図4】図4は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図5】図5は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図6】図6は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図7】図7は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図8】図8は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図9】図9は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図10】図10は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図11】図11は、本発明のhTRA−8リガンド薬物結合体で評価した細胞系の結果を提供する。
【図12】図12は、ヒトDR5に対するhTRA−8リガンド薬物結合体の結合活性を、hTRA−8(非結合体化形態にある)のものと比較して図示する。
【図13】図13は、hTRA−8リガンド薬物結合体が、hTRA−8と比較して、初代ヒト肝細胞に対する細胞傷害性を示さないことを図示する。
【図14】図14は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図15】図15は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図16】図16は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図17】図17は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図18】図18は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図19】図19は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図20】図20は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図21】図21は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図22】図22は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図23】図23は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図24】図24は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図25】図25は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図26】図26は、本発明のリガンド薬物結合体のインビボ結果を提供する。
【図27】図27は、A375異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体の抗腫瘍活性の競合を図示する。
【図28】図28は、HCT116異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体の抗腫瘍活性の競合を図示する。
【図29】図29は、JIMT−1異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ抗腫瘍効力を図示する。
【図30】図30は、MDA−MB−231異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ抗腫瘍効力を図示する。
【図31】図31は、A2780異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ抗腫瘍効力を図示する。
【図32】図32は、SK−OV−3異種移植片モデルにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ抗腫瘍効力を図示する。
【図33】図33は、U−937を接種したマウスにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ寿命延長効力を図示する。
【図34】図34は、MOLT−4を接種したマウスにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ寿命延長効力を図示する。
【図35】図35は、MOLM−14を接種したマウスにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ寿命延長効力を図示する。
【図36】図36は、MV−4−11を接種したマウスにおけるhTRA−8リガンド薬物結合体のインビボ寿命延長効力を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
(定義および略語)
商標名が本明細書で使用される場合、上記商標名への言及は、別段文脈によって示されなければ、製品処方、ジェネリック薬、および上記商標の製品の活性な薬学的成分(単数または複数)に言及する。
【0014】
用語「DR5結合剤」および「抗DR5結合剤」とは、本明細書で使用される場合、DR5に特異的に結合する分子(例えば、タンパク質)に言及する。例としては、全長の抗DR5抗体、全長の抗DR5抗体のフラグメント、または抗体重鎖および/もしくは軽鎖の可変領域、ならびにその誘導体を含む他の薬剤が挙げられ得る。
【0015】
用語「阻害する」または「〜の阻害」とは、本明細書で使用される場合、測定可能な量を低下させる、または完全に妨げることを意味する。
【0016】
用語「激減させる(deplete)」とは、DR5発現細胞に対するDR5結合剤の効果の文脈において、DR5発現細胞のメンバーの減少またはDR5発現細胞の排除に言及する。
【0017】
用語「化合物」とは、化学化合物自体に言及しかつこれを包含し、ならびに明示されていようとそうでなかろうと、以下が排除されることを文脈が明らかにしていなければ、以下に言及しかつこれを包含する:上記化合物のアモルファスおよび結晶形態(同質異像形態を含み、ここでこれら形態は、混合物の一部であり得るかまたは単離された状態であり得る);上記化合物の遊離酸または遊離塩基の形態(これは、代表的には、本明細書で提供される構造で示される形態である);上記化合物の異性体(これは、光学異性体、および互変異性体に言及し、ここで光学異性体は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、キラル異性体および非キラル異性体を含み、上記光学異性体は、単離された光学異性体、および光学異性体の混合物(ラセミ混合物および非ラセミ混合物を含む)を含む);ここで異性体は、単離された形態にあってもよいし、1種以上の他の異性体との混合物の状態にあってもよく;上記化合物の同位体(ジュウテリウム含有化合物またはトリチウム含有化合物を含み、放射性同位元素(治療上および診断上有効な放射性同位元素)を含む化合物を含む);上記化合物のマルチマー形態(ダイマー形態、トリマー形態などを含む);上記化合物の塩(好ましくは、薬学的に受容可能な塩(酸付加塩および塩基付加塩を含み、有機対イオンおよび無機対イオンを有する塩を含み、双極性イオン形態を含み、ここで化合物が2種以上の対イオンと会合させられる場合、上記2種以上の対イオンは、同じであっても異なっていてもよい);ならびに上記化合物の溶媒和物(半溶媒和物、一溶媒和物、二溶媒和物などを含み、有機溶媒和物および無機溶媒和物を含み、上記無機溶媒和物は、水和物を含み;ここで化合物が2個以上の溶媒分子と会合させられる場合、上記2個以上の溶媒分子は、同じであってもよいし、異なっていてもよい)。いくつかの場合において、本発明の化合物に対して本明細書でなされる言及は、上記の形態(例えば、塩および/または溶媒和物)のうちの1つ以上に対する明確な言及を含むが、この言及は、強調のために過ぎず、上記で同定されるように、上記形態の他のものを排除すると解釈されるべきではない。
【0018】
別段示されなければ、用語「アルキル」とは、約1〜約20個の炭素原子を有する飽和の直鎖または分枝状の炭化水素(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよび下位の組み合わせ(subcombination))に言及し、約1〜約8個の炭素原子が好ましい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、および3,3−ジメチル−2−ブチルである。
【0019】
アルキル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、「置換された」として言及され得る。置換されたアルキル基は、1個以上の基、好ましくは、1〜3個の基(およびハロゲンから選択される任意の置換基)(これらとしては、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、=O、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない)で置換されるアルキル基であり、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択され、上記−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、および−C−Cアルキニル基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、−NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない1個以上の基で必要に応じてさらに置換され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択される。
【0020】
別段示されなければ、用語「アルケニル」および「アルキニル」とは、約2〜約20個の炭素原子(およびその中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよび下位組み合わせ)を有する直鎖および分枝状の炭素鎖に言及し、約2〜約8個の炭素原子が好ましい。アルケニル鎖は、上記鎖の中に少なくとも1個の二重結合を有し、そしてアルキニル鎖は、上記鎖の中に少なくとも1個の三重結合を有する。アルケニル基の例としては、エチレン、またはビニル、アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、および−2,3−ジメチル−2−ブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基の例としては、アセチレニック(acetylenic)、プロパルギル、アセチレニル、プロピニル、−1−ブチニル、−2−ブチニル、−1−ペンチニル、−2−ペンチニル、および−3−メチル−1 ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
アルキル基と同様に、アルケニルおよびアルキニル基は、置換され得る。「置換された」アルケニル、またはアルキニル基は、1個以上の基、好ましくは、1〜3個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で置換されたものであり、これら基としては、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、=O、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル(alkyenl)、−C−Cアルキニル、またはアリールから独立して選択され、上記−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、および−C−Cアルキニル基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、−NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない1個以上の置換基で必要に応じてさらに置換され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択される。
【0022】
別段示されなければ、用語「アルキレン」とは、約1〜約20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよび下位組み合わせ)を有する飽和の分枝鎖または直鎖の炭化水素基に言及し、約1〜約8個の炭素原子が好ましく、親アルカンの同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって得られる2個の1価の基中心(radical center)を有する。代表的なアルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デカレン、および1,4−シクロヘキシレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、1個以上の基、好ましくは、1〜3個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる基)で必要に応じて置換され得、上記基としては、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、=O、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択され、上記−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、および−C−Cアルキニル基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、―NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない1個以上の置換基で必要に応じてさらに選択され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択される。
【0023】
別段示されなければ、用語「アルケニレン」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む必要に応じて置換されたアルキレン基に言及する。例示的なアルケニレン基としては、例えば、エテニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH=CHCH−)が挙げられる。
【0024】
別段示されなければ、用語「アルキニレン」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む必要に応じて置換されたアルキレン基に言及する。例示的なアルキニレン基としては、例えば、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)、および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡CH−)が挙げられる。
【0025】
別段示されなければ、用語「アリール」とは、親芳香族環系の単一の炭素原子から1個の炭素原子を除去することによって得られる6〜20個の炭素原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよび下位組み合わせ)の1価の芳香族炭化水素基に言及する。いくつかのアリール基は、「Ar」として例示的構造で表される。代表的なアリール基としては、ベンゼン、置換されたベンゼン、フェニル、ナフタレン、アントラセン、およびビフェニルなどから得られる基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
アリール基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、1個以上の(好ましくは、1〜5個、またはさらに1〜2個の)基で必要に応じて置換され得、上記基としては、−ハロゲン、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−NO、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、またはアリールから独立して選択され、上記−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、および−アリール基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、−NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるがこれらに限定されない1個以上の置換基でさらに必要に応じて置換され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択される。
【0027】
別段示されなければ、用語「アリーレン」とは、二価(すなわち、親芳香族環系の同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって得られる)であり、以下の構造(例示的アリール基としてフェニル)において示されるように、オルト、メタ、またはパラの配置にあり得る必要に応じて置換されたアリール基に言及する:
【0028】
【化1】


【0029】
代表的な「−(C−Cアルキレン)アリール」、「−(C−Cアルケニレン)アリール」および「−(C−Cアルキニレン)アリール」基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
別段示されなければ、用語「複素環」とは、3〜14個の環原子(環員ともいわれる)を有し、少なくとも1個の環の中の少なくとも1個の環原子が、N、O、P、またはSから選択されるヘテロ原子(ならびにその中の炭素原子およびヘテロ原子の範囲および数の全ての組み合わせおよび下位組み合わせ)である単環式、二環式、または多環式の環系に言及する。上記複素環は、N、O、P、またはSから独立して選択される1〜4個の環ヘテロ原子を有し得る。複素環の中の1個以上のN、C、またはS原子は、酸化され得る。単環式複素環は、好ましくは、3〜7個の環員(例えば、2〜6個の炭素原子およびN、O、P、またはSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子)を有し、二環式複素環は、好ましくは、5〜10個の環員(例えば、4〜9個の炭素原子およびN、O、P、またはSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子)を有する。上記ヘテロ原子を含む上記環は、芳香族であってもよいし、芳香族でなくてもよい。別段示されなければ、上記複素環は、安定な構造を生じる任意のヘテロ原子または炭素原子においてそのペンダント基に結合される。
【0031】
複素環は、Paquette,「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W.A.Benjamin,New York,1968)に、特に、第1章、第3章、第4章、第6章、第7章および第9章に;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs」(John Wiley & Sons,New York,1950〜最新版)に、特に、第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、および第28巻に;ならびにJ.Am.Chem.Soc.82:5566(1960)に記載されている。
【0032】
別段示されなければ、用語「ヘテロシクロ」とは、二価である(すなわち、親複素環式環系の同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって得られる)上記に定義される必要に応じて置換された複素環基に言及する。
【0033】
「複素環」基の例としては、例えば、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4H−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル(β−carbolinyl)、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、およびイサチノイル(isatinoyl)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい「複素環」基としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ベンゾピラゾリル、クマリニル、イソキノリニル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリニル、ピリミジニル、ピリジニル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリルおよびテトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
複素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、1個以上の基(好ましくは、1〜2個の基)で必要に応じて置換され得、上記基としては、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択され、上記−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、および−アリール基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、−NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない1個以上の置換基で必要に応じてさらに置換され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、またはアリールから独立して選択される。
【0035】
例示であって限定ではなく、炭素結合した複素環は、以下の位置で結合され得る:ピリジンの2位、3位、4位、5位もしくは6位;ピリダジンの3位、4位、5位、もしくは6位;ピリミジンの2位、4位、5位、もしくは6位;ピラジンの2位、3位、5位、もしくは6位;フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2位、3位、4位、もしくは5位;オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2位、4位、もしくは5位;イソオキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3位、4位、もしくは5位;アジリジンの2位もしくは3位;アゼチジンの2位、3位、もしくは4位;キノリンの2位、3位、4位、5位、6位、7位、もしくは8位;またはイソキノリンの1位、3位、4位、5位、6位、7位、もしくは8位。さらにより代表的には、炭素結合した複素環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが挙げられる。
【0036】
例示であって限定ではなく、窒素結合した複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、または1H−インダゾールの1位;イソインドール、またはイソインドリンの2位;モルホリンの4位;およびカルバゾール、またはβ−カルボリンの9位において結合され得る。さらにより代表的には、窒素結合した複素環としては、1−アジリジル、1−アゼテジル(azetedyl)、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが挙げられる。
【0037】
別段示されなければ、用語「炭素環」とは、3〜14個の環原子(ならびにその中の炭素原子の範囲および特定の数の全ての組み合わせおよび下位組み合わせ)を有し、ここで上記環原子の全てが炭素原子である飽和または不飽和の非芳香族の単環式、二環式、または多環式の環系に言及する。単環式炭素環は、好ましくは、3〜6個の環原子、なおより好ましくは、5個または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、好ましくは、7〜12個の環原子(例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として配置される)、または9個もしくは10個の環原子(ビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置される)を有する。用語「炭素環」は、例えば、アリール環に縮合された単環式炭素環(例えば、ベンゼン環に縮合された単環式炭素環)を含む。炭素環は、好ましくは、3〜8個の炭素環(carbocyle)原子を有する。
【0038】
炭素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、例えば、1個以上の基(好ましくは、1個または2個の基(およびハロゲンから選択される任意のさらなる置換基)で必要に応じて置換され得、上記基としては、−ハロゲン、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R’、−OC(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)NH、−C(O)NHR’、−C(O)N(R’)、−NHC(O)R’、−SR’、−SOR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−OH、=O、−N、−NH、−NH(R’)、−N(R’)および−CNが挙げられるが、これらに限定されず、ここで各R’は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択され、上記−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、および−アリール基は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−ハロゲン、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−アリール、−C(O)R”、−OC(O)R”、−C(O)OR”、−C(O)NH、−C(O)NHR”、−C(O)N(R”)、−NHC(O)R”、−SR”、−SOR”、−S(O)R”、−S(O)R”、−OH、−N、−NH、−NH(R”)、−N(R”)および−CNが挙げられるが、これらに限定されない1個以上の置換基でさらに必要に応じて置換され得、ここで各R”は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、または−アリールから独立して選択される。
【0039】
単環式の炭素環式置換基の例としては、−シクロプロピル、−シクロブチル、−シクロペンチル、−1−シクロペンタ−1−エニル、−1−シクロペンタ−2−エニル、−1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、−1−シクロヘキサ−1−エニル、−1−シクロヘキサ−2−エニル、−1−シクロヘキサ−3−エニル、−シクロヘプチル、−シクロオクチル、−1,3−シクロヘキサジエニル、−1,4−シクロヘキサジエニル、−1,3−シクロヘプタジエニル、−1,3,5−シクロヘプタトリエニル、および−シクロオクタジエニルが挙げられる。
【0040】
「カルボシクロ」とは、単独で使用されようと、別の基の一部として使用されようと、二価である(すなわち、親炭素環式環系の同じまたは2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することによって得られる)、上記で定義される必要に応じて置換された炭素環基に言及する。
【0041】
別段文脈によって示されなければ、ハイフン(−)は、ペンダント分子への結合点を示す。よって、用語「−(C−Cアルキレン)アリール」または「−C−Cアルキレン(アリール)」とは、本明細書で定義されるC−Cアルキレン基であって、上記アルキレン基が、上記アルキレン基の炭素原子のうちのいずれかにおいて上記ペンダント分子に結合され、上記アルキレン基の炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、本明細書で定義されるアリール基で置換されるものをいう。
【0042】
特定の基が、「置換されている」場合、その基は、置換基のリストから独立して選択される1個以上の置換基(好ましくは、1〜5個の置換基、より好ましくは、1〜3個の置換基、最も好ましくは、1〜2個の置換基)を有し得る。しかし、上記基は、一般に、ハロゲンから選択される任意の数の置換基を有し得る。置換される基は、そのように示される。
【0043】
ある分子の特定の位置における任意の置換基または変数の定義は、その分子における他の場所でその定義とは無関係であることが意図される。本発明の化合物上の置換基および置換パターンが、化学的に安定でありかつ当該分野で公知の技術ならびに本明細書に記載されるそれらの方法によって容易に合成され得る化合物を提供するように、当業者によって選択され得ることが理解される。
【0044】
保護基は、本明細書で使用される場合、多官能性化合物における1つの反応性部位を、一時的にまたは永久に、選択的にブロックする基をいう。本発明において使用するために適切なヒドロキシ保護基は、薬学的に受容可能であり、上記化合物が活性であるために、被験体への投与後に親化合物から切断される必要があってもよいし、その必要がなくてもよい。切断は、身体内の通常の代謝プロセスを介するものである。ヒドロキシ保護基は、当該分野で周知である。T.W.GreeneおよびP.G.M.WutsによるProtective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & sons,3rd Edition)(その全体が、および全ての目的のために、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。上記ヒドロキシ保護基としては、例えば、エーテル(例えば、アルキルエーテルおよびシリルエーテル(例えば、ジアルキルシリルエーテル、トリアルキルシリル、ジアルキルアルコキシシリルエーテル))、エステル、カーボネート、カルバメート、スルホネート、およびホスホネート保護基が挙げられる。ヒドロキシ保護基の例としては、メチルエーテル;メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル、p−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、o−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、(4−メトキシフェノキシ)メチルエーテル、グアヤコールメチルエーテル(guaiacolmethyl ether)、t−ブトキシメチルエーテル、4−ペンテニルオキシメチルエーテル、シロキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、2,2,2−トリクロロエトキシメチルエーテル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルエーテル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル、メトキシ(menthoxy)メチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−メトキシシクロヘキシル(cylcohexyl)エーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ(choro)−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1−(2−フルオロフェニル(2−fluorophneyl))−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1,4−ジオキサン−2−イルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、テトラヒドロチオフラニルエーテル;置換されたエチルエーテル(例えば、1−エトキシエチルエーテル、1−(2−クロロエトキシ)エチルエーテル、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチルエーテル、1−メチル−1−メトキシエチルエーテル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチルエーテル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチルエーテル、1−メチル−1フェノキシエチルエーテル、2−トリメチルシリルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテル、プロパルギルエーテル、p−クロロフェニルエーテル、p−メトキシフェニルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリプロピルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジメチルヘキシルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、ジフェニルメチルシリルエーテル、ベンゾイルホルメートエステル、アセテートエステル、クロロアセテートエステル、ジクロロアセテートエステル、トリクロロアセテートエステル、トリフルオロアセテートエステル、メトキシアセテートエステル、トリフェニルメトキシアセテートエステル、フェニルアセテートエステル、ベンゾエートエステル、アルキルメチルカーボネート、アルキル 9−フルオレニルメチルカーボネート、アルキルエチルカーボネート、アルキル 2,2,2,−トリクロロエチルカーボネート、1,1,−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、アルキルスルホネート、メタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トシレート、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、およびt−ブチルメチリデンケタール)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい保護基は、式−R、−Si(R)(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NH(R)、−S(O)R、−S(O)OH、P(O)(OH)、および−P(O)(OH)ORによって表され、ここでRは、C−C20アルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−C−C10アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、炭素環、および複素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換される。
【0045】
略語「AFP」とは、ジメチルバリン−バリン−ドライソロイイン−ドラプロイン−フェニルアラニン−p−フェニレンジアミン(以下の式XVIIIを参照のこと)をいう。
【0046】
略語「MMAE」とは、モノメチルオーリスタチンE(以下の式XIIIを参照のこと)をいう。
【0047】
略語「AEB」とは、オーリスタチンEと、パラアセチル安息香酸とを反応させることによって生成されるエステル(以下の式XXIIを参照のこと)をいう。
【0048】
略語「AEVB」とは、オーリスタチンEと、ベンゾイル吉草酸とを反応させることによって生成されるエステル(以下の式XXIIIを参照のこと)をいう。
【0049】
略語「MMAF」とは、ドバリン(dovaline)−バリン−ドライソロイイン−ドラプロイン−フェニルアラニン(以下の式XXIを参照のこと)をいう。
【0050】
用語「薬学的に受容可能な」とは、動物において、およびより詳細には、ヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局による承認を意味するか、または米国局方もしくは他の一般に認められた局方において列挙されることを意味する。用語「薬学的に適合性の成分」とは、薬学的に受容可能な希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体であって、これとともに上記抗体または抗体誘導体が投与されるものをいう。
【0051】
用語「動物」とは、ヒト、非ヒト哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、およびシカなど)および非哺乳動物(例えば、トリなど)をいう。
【0052】
(全般)
本明細書に記載される方法は、上記リガンドユニットが、DR5に特異的に結合する抗DR5結合剤である、リガンド薬物結合体の使用を包含する。上記DR5結合剤は、例えば、抗DR5抗体、抗DR5抗原結合フラグメント、あるいはヒト化抗体重鎖および/もしくは軽鎖の可変領域、またはその誘導体のアミノ酸配列を含む他のDR5結合剤であり得る。
【0053】
(リガンド薬物結合体)
本発明は、とりわけ、薬物の標的化された送達のためのリガンド薬物結合体を提供する。本発明者らは、上記リガンド薬物結合体が、DR5を発現する細胞に対して強力な細胞傷害活性および/または細胞増殖抑制活性を有することを発見した。上記リガンド薬物結合体は、少なくとも1個の薬物ユニットに共有結合したリガンドユニットを含む。上記薬物ユニットは、直接、またはリンカーユニット(−LU−)を介して共有結合され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記リガンド薬物結合体は、以下の式:
L−(LU−D) (I)
またはその薬学的に受容可能な塩を有し;ここで:
Lは、上記リガンドユニット(すなわち、本発明のDR5結合剤)であり、そして
(LU−D)は、リンカーユニット−薬物ユニット部分であり、ここで:
LU−は、リンカーユニットであり、そして
−Dは、標的細胞に対して細胞増殖抑制活性または細胞傷害活性を有する薬物ユニットであり;そして
pは、1〜20である。
【0055】
いくつかの実施形態において、pは、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、または1〜2の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、pは、2〜10、2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4または2〜3の範囲に及ぶ。他の実施形態において、pは、1、2、3、4、5または6である。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記リガンド薬物結合体は、以下の式:
L−(A−W−Y−D) (II)
またはその薬学的に受容可能な塩を有し;
ここで:
Lは、上記リガンドユニット(すなわち、DR5結合剤)であり;そして
−A−W−Y−は、リンカーユニット(LU)であり、ここで:
−A−は、ストレッチャーユニットであり、
aは、0または1であり、
各−W−は、独立して、アミノ酸ユニットであり、
wは、0〜12の範囲に及ぶ整数であり、
−Y−は、自己犠牲(self−immolative)スペーサーユニットであり、
yは、0、1または2であり;
−Dは、上記標的細胞に対して細胞増殖抑制活性または細胞傷害活性を有する薬物ユニットであり;そして
pは、1〜20である。
【0057】
いくつかの実施形態において、aは、0または1であり、wは、0または1であり、そしてyは、0、1または2である。いくつかの実施形態において、aは、0または1であり、wは、0または1であり、そしてyは、0または1である。いくつかの実施形態において、pは、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、または1〜2の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、pは、2〜10、2〜9、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4または2〜3の範囲に及ぶ。他の実施形態において、pは、1、2、3、4、5または6である。いくつかの実施形態において、wが0でないとき、yは、1または2である。いくつかの実施形態において、wが1〜12であるとき、yは、1または2である。いくつかの実施形態において、wは、2〜12であり、そしてyは、1または2である。いくつかの実施形態において、aは、1であり、そしてwおよびyは、0である。
【0058】
複数のリガンド薬物結合体を含む組成物において、pは、薬物分子/リガンドの平均数(平均薬物負荷ともいわれる)である。平均薬物負荷は、1〜約20薬物(D)/リガンドの範囲に及び得る。いくつかの実施形態において、pが平均薬物負荷を表す場合、pは、約1、約2、約3、約4、約5または約6である。結合体化反応の準備における薬物/リガンドの平均数は、従来の手段(例えば、質量分析、ELISAアッセイ、およびHPLC)によって特徴付けられ得る。pに関してリガンド薬物結合体の量的分布も決定され得る。いくつかの場合において、pが、他の薬物負荷を有するリガンド薬物結合体からの特定の値である均質なリガンド薬物結合体の分離、精製、および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動のような手段によって達成され得る。例示的実施形態において、pは、2〜約8である。
【0059】
リガンド薬物結合体の生成は、当業者に公知の任意の技術によって達成され得る。簡潔には、上記リガンド薬物結合体は、上記リガンドユニットとしてのDR5結合剤、薬物、および必要に応じて、上記薬物と上記結合剤を連結するリンカーを含む。多くの様々な反応が、結合剤への薬物および/またはリンカーの共有結合に利用可能である。これは、しばしば、上記結合剤(例えば、抗体分子)のアミノ酸残基(リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、および芳香族アミノ酸の種々の部分を含む)の反応によって、達成される。共有結合の最も一般に使用される非特異的方法のうちの1つは、化合物のカルボキシ(またはアミノ)基を、上記抗体のアミノ(またはカルボキシ)基に連結するためのカルボジイミド反応である。さらに、二官能性薬剤(例えば、ジアルデヒドまたはイミドエステル)は、化合物のアミノ基を、抗体分子のアミノ基に連結するために使用されてきた。シッフ塩基反応は、結合剤への薬物の結合にも利用可能である。この方法は、グリコールまたはヒドロキシル基を含む薬物の過ヨウ素酸酸化、従って、アルデヒドの形成を含み、上記アルデヒドは、次いで、上記結合剤と反応させられる。結合は、上記結合剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートはまた、上記結合剤に薬物を共有結合させるためのカップリング剤として使用され得る。他の技術は、当業者に公知であり、本発明の範囲内である。
【0060】
特定の実施形態において、中間体(これが、上記リンカーの前駆物質である)は、適切な条件下で上記薬物と反応させられる。特定の実施形態において、反応性の基は、上記薬物および/または上記中間体に対して使用される。上記薬物と上記中間体との間の反応の生成物、または上記誘導体化薬物は、その後、適切な条件下で、上記DR5結合剤と反応させられる。
【0061】
上記リガンド薬物結合体の特定のユニットの各々は、本明細書中でより詳細に記載される。例示的なリンカーユニット、ストレッチャーユニット、アミノ酸ユニット、自己犠牲スペーサーユニット、および薬物ユニットの合成および構造はまた、米国特許出願公開第2003−0083263号、同第2005−0238649号、同第2005−0009751号、同第2006−0074008号、および同第2009−0010945号(これらの各々は、それらの全体が、および全ての目的のために、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0062】
(リンカーユニット)
代表的には、上記リガンド薬物結合体は、上記薬物ユニットと上記リガンドユニットとの間にリンカー領域を含む。いくつかの実施形態において、上記リンカーは、上記リンカーの切断が、細胞内環境において上記リガンドから上記薬物ユニットを放出するように、細胞内条件下で切断可能である。さらに他の実施形態において、上記リンカーユニットは、切断可能でなく、そして、上記薬物は、例えば、抗体分解によって放出される。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記リンカーは、上記細胞内環境中に(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ(caveolea)内)に存在する切断剤によって切断可能である。上記リンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素(リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない)によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。いくつかの実施形態において、上記ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断剤としては、カテプシンBおよびカテプシンDならびにプラスミンが挙げられ得、これらの全ては、標的細胞内の活性薬物の放出を生じるジペプチド薬物誘導体を加水分解することが公知である(例えば、Dubowchik and Walker,1999,Pharm. Therapeutics 83:67−123を参照のこと)。DR5発現細胞に存在する酵素によって切断可能なペプチジルリンカーが、最も代表的である。例えば、チオール依存性プロテアーゼである、がん組織において高度に発現されるカテプシン−Bによって切断可能であるペプチジルリンカーが、使用され得る(例えば、Phe−LeuまたはGly−Phe−Leu−Glyリンカー(配列番号__))。このようなリンカーの他の例は、例えば、米国特許第6,214,345号(その全体が、および全ての目的のために、本明細書に参考として援用される)において記載される。特定の実施形態において、細胞内プロテアーゼによって切断可能な上記ペプチジルリンカーは、Val−CitリンカーまたはPhe−Lysリンカー(例えば、米国特許第6,214,345号(これは、上記val−citリンカーでのドキソルビシンの合成を記載する)を参照のこと)である。上記治療剤の細胞内タンパク質分解性放出を使用するという1つの利点は、上記薬剤が、代表的には、結合体化される場合に減弱され、上記結合体の血清安定性が、代表的には高いことである。
【0064】
他の実施形態において、上記切断可能なリンカーは、pH感受性(すなわち、特定のpH値での加水分解に感受性)である。代表的には、上記pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解可能である。例えば、リソソームにおいて加水分解可能である酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、cis−アコニットアミド、オルトエステル、アセタール、およびケタールなど)が、使用され得る(例えば、米国特許第5,122,368号;同第5,824,805号;同第5,622,929号;Dubowchik and Walker,1999,Pharm.Therapeutics 83:67−123;Nevilleら,1989,Biol.Chem.264:14653−14661を参照のこと)。このようなリンカーは、中性pH条件(例えば、血液中の条件)下で比較的安定であるが、pH5.5または5.0未満(リソソームのpHに近い)では不安定である。特定の実施形態において、加水分解可能なリンカーは、チオエーテルリンカー(例えば、アシルヒドラゾン結合を介して治療剤に結合したチオエーテル)である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照のこと)。
【0065】
なお他の実施形態において、上記リンカーは、還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。種々のジスルフィドリンカーが当該分野で公知であり、これらとしては例えば、SATA(N−スクシンイミジル−S−アセチルチオアセテート)、SPDP(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N−スクシンイミジル−オキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル−ジチオ)トルエン)、SPDBおよびSMPTを使用して形成され得るものが挙げられる(例えば、Thorpeら,1987,Cancer Res.47:5924−5931;Wawrzynczakら,In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987を参照のこと。米国特許第4,880,935号もまた参照のこと)。
【0066】
さらに他の特定の実施形態において、上記リンカーは、マロネートリンカー(Johnsonら,1995,Anticancer Res.15:1387−93)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら,1995,Bioorg−Med−Chem.3(10):1299−1304)、または3’−N−アミドアナログ(Lauら,1995,Bioorg−Med−Chem.3(10):1305−12)である。
【0067】
さらに他の実施形態において、上記リンカーユニットは、切断可能ではなく、そして上記薬物は、抗体分解によって放出される(例えば、米国公開第20050238649号(その全体が、および全ての目的のために本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。
【0068】
代表的には、上記リンカーは、細胞外環境に対して実質的に感受性ではない。本明細書で使用される場合、リンカーの文脈において「細胞外環境に対して実質的に感受性ではない」とは、リガンド薬物結合体のサンプルにおいて、上記リンカーのうちの約20%以下、代表的には、約15%以下、より代表的には、約10%以下、およびさらにより代表的には、約5%以下、約3%以下、または約1%以下が、上記リガンド薬物結合体が細胞外環境に(例えば、血漿中に)存在する場合に切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性でないかは、例えば、血漿とともに、上記リガンド薬物結合体を所定の期間(例えば、2時間、4時間、8時間、16時間、または24時間)にわたってインキュベートし、次いで、上記血漿中に存在する遊離薬物の量を定量することによって、決定され得る。
【0069】
他の相互に排他的ではない実施形態において、上記リンカーは、細胞内部移行を促進する。特定の実施形態において、上記リンカーは、上記治療剤に結合された場合に(すなわち、本明細書に記載されるように、上記リガンド薬物結合体の上記リンカー−治療剤部分の環境において)細胞内部移行を促進する。さらに他の実施形態において、上記リンカーは、オーリスタチン化合物および抗DR5抗体の両方に結合体化された場合に、細胞内部移行を促進する。
【0070】
本発明の組成物および方法とともに使用され得る種々の例示的リンカーは、WO 2004−010957、米国公報第20060074008号、同第20050238649号、および同第20060024317号(これらの各々は、その全体が、および全ての目的のために本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0071】
「リンカーユニット」(LU)は、薬物ユニットおよびリガンドユニットを連結して、リガンド薬物結合体を形成するために使用され得る二官能性化合物である。いくつかの実施形態において、上記リンカーユニットは、以下の式を有する:
−A−W−Y
ここで:−A−は、ストレッチャーユニットであり、
aは、0または1であり、
各−W−は、独立して、アミノ酸ユニットであり、
wは、0〜12の範囲に及ぶ整数であり、
−Y−は、自己犠牲スペーサーユニットであり、そして
yは、0、1または2である。
【0072】
いくつかの実施形態において、aは、0または1であり、wは、0または1であり、そしてyは、0、1または2である。いくつかの実施形態において、aは、0または1であり、wは、0または1であり、そしてyは、0または1である。いくつかの実施形態において、wが1〜12である場合、yは、1または2である。いくつかの実施形態において、wは、2〜12であり、そしてyは、1または2である。いくつかの実施形態において、aは、1であり、そしてwおよびyは、0である。
【0073】
(ストレッチャーユニット)
上記ストレッチャーユニット(A)は、存在する場合、リガンドユニットを、アミノ酸ユニット(−W−)(存在する場合)に;スペーサーユニット(−Y−)(存在する場合)に;または薬物ユニット(−D)に、連結し得る。DR5結合剤上に存在し得る有用な官能基(天然にまたは化学的操作を介するかのいずれか)としては、スルフヒドリル、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが挙げられるが、これらに限定されない。適切な官能基は、スルフヒドリルおよびアミノである。一例において、スルフヒドリル基は、抗DR5抗体の分子内ジスルフィド結合の還元によって生成され得る。別の例において、スルフヒドリル基は、抗DR5抗体のリジン部分のアミノ基と、2−イミノチオラン(トラウト試薬(Traut’s reagent))または他のスルフヒドリル生成試薬との反応によって生成され得る。特定の実施形態において、上記抗DR5抗体は、組換え抗体であり、1個以上のリジンを有するように操作される。他の実施形態において、上記組換え抗DR5抗体は、さらなるスルフヒドリル基(例えば、さらなるシステイン)を有するように操作される。
【0074】
一実施形態において、上記ストレッチャーユニットは、上記リガンドユニットの硫黄原子と結合を形成する。上記硫黄原子は、リガンドのスルフヒドリル基に由来し得る。この実施形態の代表的ストレッチャーユニットは、式IIIaおよび式IIIbの大括弧内に示され、ここでL−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは、上記に定義されるとおりであり、Rは、−C−C10アルキレン−、−C−C10アルケニレン−、−C−C10アルキニレン−、−カルボシクロ−、−O−(C−Cアルキレン)−、O−(C−Cアルケニレン)−、−O−(C−Cアルキニレン)−、−アリーレン−、−C−C10アルキレン−アリーレン−、−C−C10アルケニレン−アリーレン、−C−C10アルキニレン−アリーレン、−アリーレン−C−C10アルキレン−、−アリーレン−C−C10アルケニレン−、−アリーレン−C−C10アルキニレン−、−C−C10アルキレン−(カルボシクロ)−、−C−C10アルケニレン−(カルボシクロ)−、−C−C10アルキニレン−(カルボシクロ)−、−(カルボシクロ)−C−C10アルキレン−、−(カルボシクロ)−C−C10アルケニレン−、−(カルボシクロ)−C−C10アルキニレン、ヘテロシクロ−、−C−C10アルキレン−(ヘテロシクロ)−、−C−C10アルケニレン−(ヘテロシクロ)−、−C−C10アルキニレン−(ヘテロシクロ)−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルキレン−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルケニレン−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルキニレン−、−(CHCHO)−、または−(CHCHO)−CH−から選択され、rは、1〜10の範囲に及ぶ整数であり、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、炭素環(carbocyle)、カルボシクロ、ヘテロシクロ、およびアリーレン基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換される。いくつかの実施形態において、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、炭素環(carbocyle)、カルボシクロ、ヘテロシクロ、およびアリーレン基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、置換されていない。いくつかの実施形態において、Rは、−C−C10アルキレン−、−カルボシクロ−、−O−(C−Cアルキレン)−、−アリーレン−、−C−C10アルキレン−アリーレン−、−アリーレン−C−C10アルキレン−、−C−C10アルキレン−(カルボシクロ)−、−(カルボシクロ)−C−C10アルキレン−、−C−Cヘテロシクロ−、−C−C10アルキレン−(ヘテロシクロ)−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルキレン−、−(CHCHO)−、および−(CHCHO)−CH−から選択され;rは、1〜10の範囲に及ぶ整数であり、ここで上記アルキレン基は置換されておらず、上記基の残りは、必要に応じて置換される。
【0075】
明らかに示されていないとしても、1〜20個の薬物部分が、リガンドに連結され得る(p=1〜20)ことは、上記例示的実施形態全てから理解されるべきである。
【0076】
【化2】

例示的ストレッチャーユニットは、式IIIaのものであり、ここでRは、−(CH−である:
【0077】
【化3】


【0078】
別の例示的ストレッチャーユニットは、式IIIaのものであり、ここでRは、−(CHCHO)−CH−であり;そしてrは、2である:
【0079】
【化4】


【0080】
例示的ストレッチャーユニットは、式IIIaのものであり、ここでRは、−アリーレン−またはアリーレン−C−C10アルキレン−である。いくつかの実施形態において、上記アリール基は、置換されていないフェニル基である。
【0081】
さらに別の例示的ストレッチャーユニットは、式IIIbのものであり、ここでRは、−(CH−である:
【0082】
【化5】


【0083】
特定の実施形態において、上記ストレッチャーユニットは、上記リガンドユニットの硫黄原子と、上記ストレッチャーユニットの硫黄原子との間のジスルフィド結合を介して、上記リガンドユニットに連結される。この実施形態の代表的ストレッチャーユニットは、式IVの大括弧内に示され、ここでR、L−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは、上記で定義されるとおりである。
【0084】
【化6】


【0085】
本願全体を通して、以下の式におけるS部分は、別段文脈によって示されなければ、上記リガンドユニットの硫黄原子に言及することに注意すべきである:
【0086】
【化7】


【0087】
さらに他の実施形態において、上記ストレッチャーは、Lに結合する前に、上記リガンドの一級アミノ基または二級アミノ基と結合を形成し得る反応性部位を含む。これら反応性部位の例としては、活性化エステル(例えば、スクシンイミドエステル、4 ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、酸無水物、酸塩化物、スルホニルクロリド、イソシアネートおよびイソチオシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。この実施形態の代表的ストレッチャーユニットは、式Vaおよび式Vbの大括弧内に示され、ここで−R−、L−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは、上記に定義されるとおりである;
【0088】
【化8】


【0089】
いくつかの実施形態において、上記ストレッチャーは、リガンド上に存在し得る改変された炭水化物の(−CHO)基に対して反応性である反応性部位を含む。例えば、炭水化物は、過ヨウ素酸ナトリウムのような試薬を使用して穏やかに酸化され得、酸化された炭水化物の得られた(−CHO)ユニットは、官能基(例えば、ヒドラジド、オキシム、一級アミンまたは二級アミン、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジド(例えば、Kanekoら,1991,Bioconjugate Chem.2:133−41によって記載されるもの))を含むストレッチャーと縮合され得る。この実施形態の代表的ストレッチャーユニットは、式VIa、式VIb、および式VIcの大括弧内に示され、ここで−R−、L−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは、上記に定義されるとおりである:
【0090】
【化9】


【0091】
(アミノ酸ユニット)
上記アミノ酸ユニット(−W−)は、存在する場合、上記ストレッチャーユニットを上記スペーサーユニット(上記スペーサーユニットが存在する場合)に連結し、上記ストレッチャーユニットを上記薬物部分(上記スペーサーユニットが存在する場合)に連結し、そして上記リガンドユニットを上記薬物ユニット(上記ストレッチャーユニットおよびスペーサーユニットが存在する場合)に連結する。
【0092】
−は、例えば、モノペプチド、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド、またはドデカペプチドユニットであり得る。各−W−ユニットは、独立して、大括弧の中で以下に示される式を有し、そしてwは、0〜12の範囲に及ぶ整数であり:
【0093】
【化10】

ここでRは、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ベンジル、p−ヒドロキシベンジル、−CHOH、−CH(OH)CH、−CHCHSCH、−CHCONH、−CHCOOH、−CHCHCONH、−CHCHCOOH、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHCONH、−(CHNHCONH、−CHCHCH(OH)CHNH、2−ピリジルメチル−、3−ピリジルメチル−、4−ピリジルメチル−、フェニル、シクロヘキシル、
【0094】
【化11】

である。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記アミノ酸ユニットは、1種以上の酵素(がんまたは腫瘍関連プロテアーゼが挙げられる)によって酵素的に切断されて、上記薬物ユニット(−D)を遊離し得、これは、一実施形態において、薬物(D)を提供するために、放出の際にインビボでプロトン化される。
【0096】
特定の実施形態において、上記アミノ酸ユニットは、天然アミノ酸を含み得る。他の実施形態において、上記アミノ酸ユニットは、非天然アミノ酸を含み得る。例示的Wユニットは、式(VII)〜(IX)によって表される:
【0097】
【化12】

ここでRおよびRは、以下のとおりである:
【0098】
【化13】

【0099】
【化14】

ここでR、RおよびRは、以下のとおりである:
【0100】
【化15】

【0101】
【化16】

ここでR、R、RおよびRは、以下のとおりである:
【0102】
【化17】

例示的アミノ酸ユニットとしては、式VIIのユニット(ここでRは、ベンジルであり、そしてRは、−(CHNHであるか;Rは、イソプロピルであり、そしてRは、−(CHNHであるか;またはRはイソプロピルであり、そしてRは、−(CHNHCONHである)が挙げられるが、これらに限定されない。別の例示的アミノ酸ユニットは、式VIIIのユニットであり、ここでRは、ベンジルであり、Rは、ベンジルであり、そしてRは、−(CHNHである。
【0103】
有用な−W−ユニットが設計され得、特定の酵素(例えば、腫瘍関連プロテアーゼ)による酵素的切断に対するそれらの選択性が最適化され得る。一実施形態において、−W−ユニットは、その切断が、カテプシンB、カテプシンCおよびカテプシンD、またはプラスミンプロテアーゼによって触媒される。
【0104】
一実施形態において、−W−は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドまたはペンタペプチドである。R、R、R、RまたはRが水素以外である場合、R、R、R、RまたはRが結合される上記炭素原子は、キラルである。
【0105】
、R、R、RまたはRが結合される各炭素原子は、独立して、(S)配置または(R)配置にある。
【0106】
上記アミノ酸ユニットの一局面において、上記アミノ酸ユニットは、バリン−シトルリン(vcまたはval−cit)である。別の局面において、上記アミノ酸ユニットは、フェニルアラニン−リジン(すなわち、fk)である。上記アミノ酸ユニットのさらに別の局面において、上記アミノ酸ユニットは、N−メチルバリン−シトルリンである。さらに別の局面において、上記アミノ酸ユニットは、5−アミノ吉草酸、ホモフェニルアラニン リジン、テトライソキノリンカルボキシレート リジン、シクロヘキシルアラニン リジン、イソニペコチン酸(isonepecotic acid)リジン、β−アラニン リジン、グリシン セリン バリン グルタミンおよびイソニペコチン酸である。
【0107】
(スペーサーユニット)
上記スペーサーユニット(−Y−)は、存在する場合、アミノ酸ユニットを上記薬物ユニット(アミノ酸ユニットが存在する場合)へ連結する。あるいは、上記スペーサーユニットは、上記ストレッチャーユニットを上記薬物ユニットに(上記アミノ酸ユニットが存在しない場合)連結する。上記スペーサーユニットはまた、上記薬物ユニットを上記リガンドユニットに(上記アミノ酸ユニットおよびストレッチャーユニットの両方が存在しない場合)連結する。
【0108】
スペーサーユニットは、2つの一般的なタイプのものである:非自己犠牲または自己犠牲。非自己犠牲スペーサーユニットは、上記スペーサーユニットの一部または全てが、上記リガンド−薬物結合体からアミノ酸ユニットを切断(特に、酵素によって切断)した後に、上記薬物部分に結合したままであるものである。非自己犠牲スペーサーユニットの例としては、(グリシン−グリシン)スペーサーユニットおよびグリシンスペーサーユニット(ともにスキーム1に示される)(以下)が挙げられるが、これらに限定されない。グリシン−グリシンスペーサーユニットまたはグリシンスペーサーユニットを含む結合体が、酵素(例えば、腫瘍細胞関連プロテアーゼ、がん細胞関連プロテアーゼまたはリンパ球関連プロテアーゼ)を介して酵素的切断を受ける場合、グリシン−グリシン−薬物部分またはグリシン−薬物部分は、L−Aa−Ww−から切断される。一実施形態において、独立した加水分解反応が、標的細胞内で起こり、上記グリシン−薬物部分結合を切断し、上記薬物を遊離する。
【0109】
【化18】

いくつかの実施形態において、非自己犠牲スペーサーユニット(−Y−)は、−Gly−である。いくつかの実施形態において、非自己犠牲スペーサーユニット(−Y−)は、−Gly−Gly−である。
【0110】
一実施形態において、ここでは、上記スペーサーユニットが存在しない(y=0)薬物−リンカー結合体またはその薬学的に受容可能な塩が提供される。
【0111】
あるいは、自己犠牲スペーサーユニットを含む結合体は、−Dを放出し得る。本明細書で使用される場合、用語「自己犠牲スペーサー」とは、2個の間隔の空いた化学部分を安定な3つの部分からなる分子へと一緒に共有結合し得る二官能性化学部分をいう。それは、第1の部分への結合が切断される場合、第2の化学部分から自発的に分離する。
【0112】
いくつかの実施形態において、−Y−は、p−アミノベンジルアルコール(PAB)ユニット(スキーム2およびスキーム3を参照のこと)であり、そのフェニレン部分は、Qで置換されており、ここでQは、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノであり;そしてmは、0〜4の範囲に及ぶ整数である。上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換され得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、−Y−は、PAB基であり、上記PAB基は、上記PAB基のアミノ窒素原子を介して−W−に連結され、カーボネート、カルバメートまたはエーテル基を介して−Dに直接接続される。いかなる特定の理論にも機構にも拘束されないが、スキーム2は、Tokiら,2002,J.Org.Chem.67:1866−1872によって記載されるように、カルバメートまたはカーボネート基を介して−Dに直接結合されるPAB基の薬物放出の考えられる機構を示す。
【0114】
【化19】

スキーム2において、Qは、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノであり;mは、0〜4の範囲に及ぶ整数であり;pは、1〜約20の範囲に及ぶ。上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換され得る。
【0115】
いかなる特定の理論にも機構にも拘束されないが、スキーム3は、エーテルまたはアミン結合を介して、−Dに直接結合されるPAB基の薬物放出の考えられる機構を示し、ここでDは、上記薬物ユニットの一部である酸素基または窒素基を含む:
【0116】
【化20】

スキーム3において、Qは、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノであり;mは、0〜4の範囲に及ぶ整数であり;そしてpは、1〜約20の範囲に及ぶ。上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換され得る。
【0117】
自己犠牲スペーサーの他の例としては、上記PAB基に電子的に類似している芳香族化合物(例えば、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体(Hayら,1999,Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)およびオルトまたはパラ−アミノベンジルアセタールが挙げられるが、これらに限定されない。スペーサーが使用され得、これは、アミド結合加水分解の際に環化を受ける(例えば、置換されたおよび置換されていない4−アミノ酪酸アミド(Rodriguesら,1995,Chemistry Biology 2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]およびビシクロ[2.2.2]環系(Stormら,1972,J.Amer.Chem.Soc.94:5815)、ならびに2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberryら,1990,J.Org.Chem.55:5867))。グリシンのα位で置換されているアミン含有薬物の脱離(Kingsburyら,1984,J.Med.Chem.27:1447)はまた、自己犠牲スペーサーの例である。
【0118】
一実施形態において、上記スペーサーユニットは、スキーム4に示されるように、分枝状のビス(ヒドロキシメチル)−スチレン(BHMS)ユニットであり、これは、複数の薬物を組み込みかつ放出するために使用され得る:
【0119】
【化21】


【0120】
スキーム4において、Qは、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノであり;mは、0〜4の範囲に及ぶ整数であり;nは、0または1であり;そしてpは、1〜約20の整数である。上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換され得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記−D部分は、同じである。さらに別の実施形態において、上記−D部分は、異なる。
【0122】
一局面において、スペーサーユニット(−Y−)は、式(X)〜(XII)によって表される:
【0123】
【化22】

ここでQは、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cアルケニル)、−O−(C−Cアルキニル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノであり;そしてmは、0〜4の範囲に及ぶ整数である。上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換され得る。
【0124】
【化23】


【0125】
選択された実施形態の群において、式Iおよび式IIの結合体は、以下である:
【0126】
【化24】

ここでwおよびyは、各々、0、1または2であり、および
【0127】
【化25】

ここでwおよびyは、各々0であり、
【0128】
【化26】

【0129】
【化27】

ここでA、W、Y、DおよびLは、上記で提供される意味を有する。
【0130】
(薬物ユニット)
上記薬物部分(D)は、任意の細胞傷害剤もしくは薬物、細胞増殖抑制剤もしくは薬物、または免疫調節(例えば、免疫抑制)剤もしくは薬物であり得る。Dは、スペーサーユニットと、上記アミノ酸ユニットと、上記ストレッチャーユニットと、または上記リガンドユニットと結合を形成し得る原子を有する薬物ユニット(部分)である。いくつかの実施形態において、上記薬物ユニットDは、上記スペーサーユニットと結合を形成し得る窒素原子を有する。本明細書で使用される場合、用語「薬物ユニット」および「薬物部分」とは、同義であり、交換可能に使用される。
【0131】
細胞傷害剤または免疫調節剤の有用なクラスとしては、例えば、抗チューブリン剤、DNA副溝結合剤、DNA複製インヒビター、およびアルキル化剤が挙げられる。
【0132】
いくつかの実施形態において、上記薬物は、オーリスタチン(例えば、オーリスタチンE(当該分野でドラスタチン−10の誘導体として公知)またはその誘導体である。上記オーリスタチンは、例えば、オーリスタチンEとケト酸との間に形成されたエステルであり得る。例えば、オーリスタチンEは、パラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させられて、それぞれ、AEBおよびAEVBを生じ得る。他の代表的オーリスタチンとしては、AFP、MMAF、およびMMAEが挙げられる。例示的オーリスタチンの合成および構造は、米国特許出願公開第2003−0083263号、同第2005−0238649号および同第2005−0009751号;国際特許公開第WO 04/010957、同第WO 02/088172、および米国特許第6,323,315号;同第6,239,104号;同第6,034,065号;同第5,780,588号;同第5,665,860号;同第5,663,149号;同第5,635,483号;同第5,599,902号;同第5,554,725号;同第5,530,097号;同第5,521,284号;同第5,504,191号;同第5,410,024号;同第5,138,036号;同第5,076,973号;同第4,986,988号;同第4,978,744号;同第4,879,278号;同第4,816,444号;および同第4,486,414号(これらの各々は、その全体が、および全ての目的のために本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0133】
オーリスタチンは、微小管ダイナミクスならびに核分裂および細胞分裂に干渉し、抗がん活性を有することが示されてきている。本発明のオーリスタチンは、チューブリンに結合し、DR5発現細胞系に対して細胞傷害効果または細胞増殖抑制効果を発揮し得る。当該分野で公知の多くの様々なアッセイが存在し、これらは、オーリスタチンまたは得られた抗体−薬物結合体が、所望の細胞系に対して細胞増殖抑制効果または細胞傷害効果を発揮するか否かを決定するために使用され得る。
【0134】
化合物がチューブリンを結合するか否かを決定するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Mullerら,Anal.Chem 2006,78,4390−4397;Hamelら,Molecular Pharmacology,1995 47:965−976;およびHamelら,The Journal of Biological Chemistry,1990 265:28,17141−17149を参照のこと。本発明の目的のために、チューブリンに対する化合物の相対的親和性が、決定され得る。いくつかの好ましい本発明のオーリスタチンは、チューブリンに対するMMAEの結合親和性より10倍低い(より弱い親和性)から、チューブリンに対するMMAEの結合親和性より10倍、20倍またはさらに100倍高い(より高い親和性)までの範囲に及ぶ親和性で、チューブリンに結合する。
【0135】
いくつかの実施形態において、−Dは、式Dまたは式Dのオーリスタチン:
【0136】
【化28】

またはその薬学的に受容可能な塩形態であり;ここで、各位置で独立して:
波線は、結合を示し;
は、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
は、−Hまたは−C−Cアルキルであるか;
またはRおよびRは一緒になって、炭素環式環を形成し、および式−(CR−を有し、ここでRおよびRは、独立して、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、または−炭素環であり、そしてsは、2、3、4、5または6であり、
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
各Rは、独立して、−H、−OH、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−O−(C−C20アルキル)、−O−(C−C20アルケニル)、−O−(C−C20アルキニル)、または−炭素環であり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
19は、−アリール、−複素環、または−炭素環であり;
20は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−炭素環、−O−(C−C20アルキル)、−O−(C−C20アルケニル)、−O−(C−C20アルキニル)、またはOR18であり、ここでR18は、−H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合OR18は、=Oを表し;
21は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニル、−アリール、−複素環、または−炭素環であり;
10は、−アリールまたは−複素環であり;
Zは、−O−、−S−、−NH−、または−NR12−であり、ここでR12は、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
11は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−アリール、−複素環、−(R13O)−R14、または−(R13O)−CH(R15であり;
mは、1〜1000の範囲に及ぶ整数であり;
13は、−C−C20アルキレン、−C−C20アルケニレン、または−C−C20アルキニレンであり;
14は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
15の各存在は、独立して、−H、−COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOH、−(CH−SO−C−C20アルキル、−(CH−SO−C−C20アルケニル、または−(CH−SO−C−C20アルキニルであり;
16の各存在は、独立して、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニルまたは−(CH−COOHであり;そして
nは、0〜6の範囲に及ぶ整数であり;ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(alkynyklene)、アリール、炭素環(carbocyle)、および複素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換されている。
【0137】
式Dのオーリスタチンは、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(alkynyklene)、アリール、炭素環(carbocyle)、および複素環基が置換されていないものを含む。
【0138】
式Dのオーリスタチンは、R、R、R、R、R、R、R、およびRの基が置換されておらずかつR19、R20およびR21の基が本明細書に記載されるように必要に応じて置換されているものを含む。
【0139】
式Dのオーリスタチンは、以下であるものまたはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、−C−Cアルキルであり;
、RおよびRは、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、単環式C−C炭素環、−C−C20アルキレン(単環式C−C炭素環)、−C−C20アルケニレン(単環式C−C炭素環)、−C−C20アルキニレン(単環式C−C炭素環)、−C−C10アリール、−C−C20アルキレン(C−C10アリール)、−C−C20アルケニレン(C−C10アリール)、−C−C20アルキニレン(C−C10アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)から独立して選択され;ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、炭素環、アリール、および複素環基は、必要に応じて置換されており;
は、−水素であり;
は、−C−Cアルキルであり;
各Rは、−OH、−O−(C−C20アルキル)、−O−(C−C20アルケニル)、または−O−(C−C20アルキニル)から独立して選択され、ここで上記アルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
は、−水素または−C−Cアルキルであり;
19は、必要に応じて置換されたフェニルであり;
20は、OR18であり;ここでR18は、H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合OR18は、=Oを表し;
21は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、または−炭素環から選択され;ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル、および炭素環基は、必要に応じて置換されている。
【0140】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルであり;
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、または−C−Cアルキニルであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−C−Cアルキニル、単環式C−C炭素環、−C−C10アリール、−C−Cアルキレン(C−C10アリール)、−C−Cアルケニレン(C−C10アリール)、−C−Cアルキニレン(C−C10アリール)、−C−Cアルキレン(単環式C−C炭素環)、−C−Cアルケニレン(単環式C−C炭素環)、−C−Cアルキニレン(単環式C−C炭素環)であり;ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、および炭素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換されており;
は、Hであり;
は、メチルであり;
は、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニルであり;
各Rは、メトキシであり;
は、−水素または−C−Cアルキルであり;
19は、フェニルであり;
20は、OR18であり;ここでR18は、−H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合、OR18は、=Oを表し;
21は、メチルである。
【0141】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、メチルであり;Rは、イソプロピルまたはsec−ブチルであり;Rは、メトキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;R19は、フェニルであり;R20は、OR18であり;ここでR18は、H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合、OR18は、=Oを表し;そしてR21は、メチルである。
【0142】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルまたはC−Cアルキルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルコキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;R19は、フェニルであり;R20は、OR18であり;ここでR18は、H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合、OR18は、=Oを表し;そしてR21は、C−Cアルキルである。
【0143】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルであり;
、R、およびRは、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、単環式C−C炭素環、−C−C20アルキレン(単環式C−C炭素環)、−C−C20アルケニレン(単環式C−C炭素環)、−C−C20アルキニレン(単環式C−C炭素環)、−C−C10アリール、−C−C20アルキレン(C−C10アリール)、−C−C20アルケニレン(C−C10アリール)、−C−C20アルキニレン(C−C10アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)から独立して選択され;ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、炭素環、アリール、および複素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換されており;
は、−Hであり;
は、メチルであり;
各Rは、メトキシであり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
10は、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換された複素環であり;
Zは、−O−、−S−、−NH−、または−NR12−であり、ここでR12は、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり、これらの各々は、必要に応じて置換されており;
11は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−アリール、−複素環、−(R13O)−R14、または−(R13O)−CH(R15であり、ここで上記アルキル、アルケニル、アルキニル(alkyny)、アリール、および複素環基は、必要に応じて置換されており;
mは、1〜1000の範囲に及ぶ整数であり;
13は、−C−C20アルキレン、−C−C20アルケニレン、または−C−C20アルキニレンであり、これらの各々は、必要に応じて置換されており;
14は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
15の各存在は、独立して、−H、−COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOH、−(CH−SO−C−C20アルキル、−(CH−SO−C−C20アルケニル、または−(CH−SO−C−C20アルキニルであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
16の各存在は、独立して、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニルまたは−(CH−COOHであり、ここで上記アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、必要に応じて置換されており;
nは、0〜6の範囲に及ぶ整数である。
【0144】
これら実施形態の特定のものにおいて、R10は、必要に応じて置換されたフェニルである。
【0145】
式Dのオーリスタチンは、R、R、R、R、R、R、R、およびRの基が置換されておらずかつR10およびR11の基が本明細書で記載されるとおりであるものを含む。
【0146】
式Dのオーリスタチンは、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン(alkynyklene)、アリール、炭素環(carbocyle)、および複素環基が置換されていないものを含む。
【0147】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、C−Cアルキルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルコキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;
10は、必要に応じて置換されたフェニルであり;Zは、O、S、またはNHであり;そしてR11は、本明細書で定義されるとおりである。
【0148】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、メチルであり;Rは、イソプロピルまたはsec−ブチルであり;Rは、メトキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;
10は、必要に応じて置換されたフェニルであり;Zは、O、S、またはNHであり;そしてR11は、本明細書で定義されるとおりである。
【0149】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、メチルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、メチルであり;Rは、イソプロピルまたはsec−ブチルであり;Rは、メトキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;R10は、フェニルであり;そしてZは、OまたはNHであり、そしてR11は、本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは、水素である。
【0150】
式Dのオーリスタチンは、以下であるもの、またはその薬学的に受容可能な塩形態を含む:
は、C−Cアルキルであり;Rは、HまたはC−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルキルであり;Rは、C−Cアルコキシであり;Rは、水素またはC−Cアルキルであり;R10は、フェニルであり;そしてZは、OまたはNHであり、そしてR11は、本明細書で定義されるとおりであり、好ましくは、水素である。
【0151】
式Dまたは式Dのオーリスタチンは、R、RおよびRが、独立して、イソプロピルまたはsec−ブチルであり、Rが−Hであるものを含む。例示的実施形態において、RおよびRは、各々イソプロピルであり、Rは、Hであり、Rは、sec−ブチルである。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0152】
式Dまたは式Dのオーリスタチンは、RおよびRが各々メチルであり、そしてRがHであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0153】
式Dまたは式Dのオーリスタチンは、Rの各存在が−OCHであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0154】
式Dまたは式Dのオーリスタチンは、RおよびRが各々イソプロピルであり、RおよびRが各々メチルであり、RがHであり、Rがsec−ブチルであり、Rの各存在が−OCHであり、そしてRがHであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0155】
式Dのオーリスタチンは、Zが−O−または−NH−であるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0156】
式Dのオーリスタチンは、R10がアリールであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0157】
式Dのオーリスタチンは、R10が−フェニルであるモノを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0158】
式Dのオーリスタチンは、Zが−O−であり、そしてR11がH、メチルまたはt−ブチルであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0159】
式Dのオーリスタチンは、Zが−NHである場合、R11が、−(R13O)−CH(R15であり、ここでR15が、−(CH−N(R16であり、そしてR16が、−C−Cアルキルまたは−(CH−COOHであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0160】
式Dのオーリスタチンは、Zが−NHである場合、R11が−(R13O)−CH(R15であり、ここでR15が−(CH−SOHであるものを含む。上記置換基の残りは、本明細書で定義されるとおりである。
【0161】
好ましい実施形態において、Dが式Dのオーリスタチンである場合、wは、1〜12、好ましくは、2〜12の範囲に及ぶ整数であり、yは、1または2であり、そしてaは、好ましくは、1である。
【0162】
いくつかの実施形態において、Dが式Dのオーリスタチンである場合、aは1であり、そしてwおよびyは、0である。
【0163】
例示的薬物ユニット(−D)は、以下の構造を有する上記薬物ユニットまたはその薬学的に受容可能な塩またはその溶媒和物を含む:
【0164】
【化29】

【0165】
【化30】

【0166】
【化31】


【0167】
一局面において、親水性基(例えば、トリエチレングリコールエステル(TEG)が挙げられるが、これらに限定されない)は、R11において上記薬物ユニットに結合され得る。理論によって拘束されないが、上記親水性基は、上記薬物ユニットの内部移行および非凝集形成を補助する。
【0168】
いくつかの実施形態において、上記薬物ユニットは、TZT−1027ではない。いくつかの実施形態において、上記薬物ユニットは、オーリスタチンEでも、ドラスタチン10でも、オーリスタチンPEでもない。
【0169】
例示的リガンド薬物結合体は、「mAb」が抗DR5抗体を表し、Sが、上記抗体の硫黄原子である以下の構造またはその薬学的に受容可能な塩を有し、上記下付き文字pは、1〜約20の整数であり、そして好ましくは、1〜約5である:
【0170】
【化32】


【0171】
いくつかの実施形態において、上記薬物ユニットは、カリチアマイシン、カンプトテシン、マイタンシノイド、またはアントラサイクリンである。いくつかの実施形態において、上記薬物は、タキサン、トポイソメラーゼインヒビター、またはビンカアルカロイドなどである。
【0172】
いくつかの代表的実施形態において、適切な細胞傷害剤としては、例えば、DNA副溝結合剤(例えば、エンジインおよびレキシトリプシン、CBI化合物;米国特許第6,130,237号もまた参照のこと)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、およびビンカアルカロイドを含む。他の細胞傷害剤としては、例えば、CC−1065、SN−38、トポテカン、モルホリノ−ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、エキノマイシン、コンブレタスタチン、ネトロプシン、エポチロンAおよびB、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、ディスコデルモリド、エリュテロビン、およびミトキサントロンが挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態において、上記薬物は、抗チューブリン剤である。抗チューブリン剤の例としては、オーリスタチン、タキサン(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル))、T67(Tularik)およびビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)が挙げられる。他の抗チューブリン剤としては、例えば、バッカチン誘導体、タキサンアナログ(例えば、エポチロンAおよびエポチロンB)、ノコダゾール、コルヒチンおよびコルセミド(colcimid)、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド、およびエリュテロビンが挙げられる。
【0174】
特定の実施形態において、上記細胞傷害剤は、マイタンシノイド(別の群の抗チューブリン剤)である。例えば、具体的実施形態において、上記マイタンシノイドは、マイタンシンまたはDM−1(ImmunoGen,Inc.;Chariら,1992,Cancer Res.52:127−131もまた参照のこと)である。
【0175】
特定の実施形態において、上記細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、ドラスタチンである。特定の実施形態において、上記細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、上記オーリスタチンクラスのものである。従って、具体的実施形態において、上記細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、MMAE(式XIII)である。別の具体的実施形態において、上記細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、AFP(式XVIII)である。
【0176】
【化33】

特定の実施形態において、上記細胞傷害剤または細胞増殖抑制剤は、式XII〜XXIの化合物またはその薬学的に受容可能な塩形態である:
【0177】
【化34】

【0178】
【化35】

【0179】
【化36】

【0180】
【化37】


【0181】
(リガンドユニット)
本発明において、上記リガンド薬物結合体における上記リガンドユニット(例えば、抗体)は、DR5に特異的に結合し、内部移行を介して細胞傷害活性を発揮する。上記リガンド薬物結合体は、上記リガンドユニット(例えば、抗体)がその標的として特異的に結合する、DR5を発現するがん組織に達する。結果として、上記抗体に結合体化する上記薬物ユニットは、上記標的細胞に対して選択的に作用することを可能にし得る。従って、上記抗体−薬物結合体の効力は、上記抗体単独のものより大いに増強され得る。デスドメイン含有レセプターに結合する抗体(特に、抗DR5抗体)は、本発明に従って、上記抗体−薬物結合体に含まれ得る抗体として選択され得る。
【0182】
(DR5に結合する抗体)
(1)DR5遺伝子
ヒトデスレセプター5(DR5)遺伝子のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、GenBankにおいてGI:22547118(受託番号NM_147187)として登録された。1個以上のアミノ酸で、DR5のアミノ酸配列において置換、欠失または付加されたアミノ酸配列をコードし、DR5の生物活性に匹敵する生物活性を有するヌクレオチド配列はまた、上記DR5遺伝子のヌクレオチド配列に含まれる。さらに、DR5のアミノ酸配列において1個以上のアミノ酸が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列からなり、DR5の生物活性に匹敵する生物活性を有するタンパク質はまた、DR5に含まれる。
【0183】
(2)DR5に対する抗体
本発明に従うDR5に対する抗体は、動物を、DR5またはDR5のアミノ酸配列から選択される任意のポリペプチドで免疫することによって、通常の方法で得られ得る。生体において産生されるこのような抗体は、集められかつ精製され得る。
【0184】
さらに、モノクローナル抗体はまた、DR5に対する抗体を産生する抗体産生細胞を、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein,Nature(1975)256,p.495−497;Kennet,R.ed.,Monoclonal Antibody,p.365−367,Prenum Press,N.Y.(1980))に従って骨髄腫細胞と融合することによって樹立されたハイブリドーマから得られ得る。
【0185】
上記抗原としてのDR5は、上記DR5遺伝子を発現する遺伝子操作された宿主細胞から得られ得る。
【0186】
より具体的には、DR5は、上記DR5遺伝子を発現し得るベクターを調製し、上記ベクターを宿主細胞に導入して、上記遺伝子を発現させ、上記発現されるDR5を精製することによって、得られ得る。
【0187】
さらに、DR5の細胞外領域を抗体の定常領域と融合する人工遺伝子が構築された後に、上記遺伝子の適切な発現系において調製されるタンパク質はまた、免疫原として使用され得る。
【0188】
(3)他の抗体
上記DR5に対するモノクローナル抗体に加えて、本発明に従う抗体は、ヒトに対する異種の抗原性を低下させるように人工的に改変された組換え抗体(例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、およびヒト抗体)を含む。これら抗体は、公知の方法によって産生され得る。
【0189】
このようなキメラ抗体としては、可変領域および定常領域が、互いに対して異種である抗体が挙げられ、その例は、マウスに由来する抗体の可変領域遺伝子を、ヒト定常領域遺伝子に結合することによって作製されるキメラ抗体である(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,6851−6855,(1984))。
【0190】
このようなヒト化抗体の例としては、相補性決定領域(CDR)のみがヒト抗体へと移入される抗体(Nature(1986)321,p.522−525)およびCDR配列およびフレームワークの一部におけるアミノ酸残基が、CDRグラフト化によってヒト抗体へとグラフト化される抗体(国際公開番号WO90/07861)が挙げられる。
【0191】
さらに、ヒト抗体がある。用語ヒト抗DR5抗体とは、ヒト染色体由来の抗体の遺伝子配列をのみを有するヒト抗体をいう。上記抗ヒトDR5抗体産生マウスを使用する方法によって得られ得る(Tomizuka,K.ら,Nature Genetics(1997)16,p.133−143;Kuroiwa,Y.ら,Nuc.Acids Res.(1998)26,p.3447−3448;Yoshida,H.ら,Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10,p.69−73(Kitagawa,Y.,Matuda,T.and Iijima,S.eds.),Kluwer Academic Publishers,1999;Tomizuka,K.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000)97,p.722−727)。
【0192】
このようなトランスジェニック動物、またはより具体的には、非ヒト哺乳動物における内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子座が破壊されかつ代わりにヒト免疫グロブリン重鎖および軽鎖の遺伝子座が、酵母人工染色体(YAC)ベクターなどを介してこのノックアウト動物に導入される遺伝子改変動物は、上記のようにノックアウト動物およびトランスジェニック動物を調製し、これら動物を交配することによって生産することができる。
【0193】
上記抗体はまた、cDNA(好ましくは、上記ヒト化抗体重鎖および軽鎖の各々をコードするcDNAを含むベクター)で真核生物細胞を組換えDNA技術によって形質転換し、組換えヒトモノクローナル抗体を産生する上記形質転換した細胞を培養することによって産生する培養上清から、得られ得る。
【0194】
ここで、宿主として使用され得る細胞の例としては、真核生物細胞(好ましくは、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞、リンパ球、および骨髄腫))が挙げられる。
【0195】
さらに、ヒト抗体ライブラリーからスクリーニングされたファージディスプレイ由来のヒト抗体を得る方法(Wormstone,I.M.ら,Investigative Ophthalmology & Visual Science(2002)43(7),p.2301−2308;Carmen,S.ら,Briefings in Functional Genomics and Proteomics(2002),1(2),p.189−203;Siriwardena,D.ら,Opthalmology(2002) 109(3),p.427−431)もまた、公知である。
【0196】
例えば、ヒト抗体重鎖および軽鎖の可変領域は、一本鎖抗体(scFv)としてファージ表面にディスプレイされ、次いで、抗原結合ファージが選択される(Nature Biotechnology(2005),23,(9),p.1105−1116)。
【0197】
抗原結合ヒト抗体可変領域をコードするDNA配列は、抗原結合によって選択される上記ファージの遺伝子を分析することによって決定され得る。
【0198】
いったん、上記抗原結合scFVのDNA配列が明らかになると、ヒト抗体は、上記配列を有する発現ベクターを調製し、上記ベクターを適切な発現用宿主に導入することによって得られ得る(WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、WO93/19172、WO95/01438、WO95/15388;Annu.Rev.Immunol(1994)12,p.433−455;Nature Biotechnology(2005)23(9),p.1105−1116)。
【0199】
上記抗体遺伝子がいったん単離され、次いで、適切な宿主に導入されて、上記抗体が調製される場合、宿主および発現ベクターの適切な組み合わせが使用され得る。
【0200】
真核生物細胞が宿主として使用される場合、動物細胞、植物細胞、または真核微生物が使用され得る。
【0201】
このような動物細胞の例としては、シミアンCOS細胞(Gluzman,Y.,Cell(1981)23,p.175−182,ATCC CRL−1650)、マウス線維芽細胞NIH3T3(ATCC No.CRL−1658)、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(CHO細胞、ATCC CCL−61)(Urlaub,G.and Chasin,L.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1980)77,p.4216−4220)が挙げられる。
【0202】
使用され得る原核生物細胞の例としては、Escherichia coliおよびBacillus subtilisが挙げられる。
【0203】
上記抗体は、上記目的の抗体遺伝子を、形質転換によりこれら細胞に導入し、上記形質転換された細胞をインビトロで培養することによって得られ得る。
【0204】
本発明に従う抗体のアイソタイプは限定されず、その例としては、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)、IgM、IgA(IgA1およびIgA2)、IgD、およびIgEが挙げられるが、IgGおよびIgMが好ましい。
【0205】
さらに、本発明に従う抗体は、上記抗体の抗原結合部位を有する抗体のフラグメントまたはそれが抗原結合を維持する場合にはそれの改変バージョンであり得る。
【0206】
このような抗体の機能的フラグメントの例としては、Fab、F(ab’)、F(ab’)を還元することによって得られる一価可変領域フラグメントFab’、Fv、適切なリンカーによって重鎖および軽鎖Fvを結合することによって得られる一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディ(diabody)(diabodies)、線状の抗体、および抗体フラグメントから形成される多特異的(polyspecific)抗体が挙げられるが、上記抗体フラグメントは、それらが抗原結合を維持するのであれば、上記フラグメントに限定されない。上記抗体フラグメントは、全長抗体分子を、酵素(例えば、パパインまたはペプシン)で処理することによって得られ得る。上記抗体フラグメントはまた、上記抗体フラグメントの重鎖および軽鎖をコードする核酸を使用して、適切な遺伝子発現系が対応するタンパク質を生成することを可能にすることによって、得られ得る。
【0207】
これら抗体フラグメントは、上記と同じ方法で上記遺伝子を得、発現して、その対応するタンパク質を宿主に産生させることによって、生産することができる。
【0208】
本発明に従う抗体は、ポリクローナル抗体、異なるアミノ酸配列を有するいくつかの抗DR5抗体の混合物であり得る。このようなポリクローナル抗体の例は、異なるCDRを有するいくつかの抗体の混合物である。このようなポリクローナル抗体として、異なる抗体を産生する細胞の混合物を培養し、上記培養物を精製することによって得られる抗体が、使用され得る(WO2004/061104)。
【0209】
上記得られた抗体は、均一に精製され得る。上記抗体の分離および精製は、通常のタンパク質のために使用される分離方法および精製方法によって行なってもよい。
【0210】
例えば、上記抗体は、クロマトグラフィカラム、フィルタ、限外濾過、塩析、透析、分取用ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動などを適切に選択し、組み合わせることによって分離および精製され得る(Strategies for Protein Purification and Charcterization:A Laboratoy Course Manual,Daniel R.Marshakら Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory(1988))が、上記分離方法および精製方法は、これらに限定されない。
【0211】
クロマトグラフィの例としては、アフィニティクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィ、および吸着クロマトグラフィが挙げられる。これらタイプのクロマトグラフィは、液相クロマトグラフィ(例えば、HPLCおよびFPLC)を使用することによって行われ得る。
【0212】
アフィニティクロマトグラフィにおいて使用されるカラムの例としては、プロテインAカラムおよびプロテインGカラムが挙げられる。
【0213】
上記プロテインAカラムの例としては、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(Pharmacia)が挙げられる。
【0214】
さらに、上記抗体はまた、キャリア上に固定化された抗原へのその結合によって、精製され得る。
【0215】
(4)抗DR5抗体の例
例えば、国際公開番号WO98/51793、WO2001/83560、WO2002/94880、WO2003/54216、WO2004/50895、WO2006/83971、およびWO2007/22157において記載されるDR5発現細胞でアポトーシスを誘導する抗DR5抗体は、本発明に従う抗体−薬物結合体の成分として使用され得る。さらに、Lexatumumab、HGS−TR2J、Apomab、Apomab7.3、Conatumumab、ならびにLBY135といわれる抗DR5抗体およびその改変体はまた、本発明に従う抗体−薬物結合体の成分として使用され得る。しかし、このような成分として使用され得る抗体は、このような抗体が、DR5タンパク質に結合する能力を有するのであれば、上記例に限定されない。
【0216】
本発明のリガンドユニットは、代表的には、DR5結合剤である。1群の実施形態において、上記リガンドユニットは、ヒト化TRA−8に対応する重鎖アミノ酸配列(配列番号1)を含む。ヒト化TRA−8は、本明細書においてhTRA−8と略記される。別の群の実施形態において、リガンドユニットは、ヒト化TRA−8に対応する軽鎖アミノ酸配列(配列番号2)を含む。さらに別の実施形態において、上記リガンドユニットは、配列番号1および配列番号2の重鎖アミノ酸配列および軽鎖アミノ酸配列の両方を含む。この実施形態においてリガンドユニットとして使用される上記抗DR5抗体は、国際一般名であるTigatuzumabを有する。さらに別の実施形態において、上記リガンドユニットは、(a)配列番号3のアミノ酸残基1〜5からなるCDR1、配列番号4のアミノ酸残基1〜17からなるCDR2、および配列番号5のアミノ酸残基1〜10からなるCDR3を有する重鎖免疫グロブリン;ならびに(b)配列番号6のアミノ酸残基1〜11からなるCDR1、配列番号7のアミノ酸残基1〜7からなるCDR2、および配列番号8のアミノ酸残基1〜8からなるCDR3を有する軽鎖免疫グロブリンを含む。別の実施形態において、上記リガンドユニットは、配列番号1のアミノ酸残基1〜118を含むhTRA−8の重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸残基1〜107を含むhTRA−8の軽鎖可変領域を含む。
【0217】
さらに、上記リガンドユニット(L)は、リンカーユニットの官能基と結合を形成し得る少なくとも1個の官能基を有する。天然に、または化学的操作を介するか、もしくは工学的作製(engineering)を介するかのいずれかで、リガンドユニットに存在し得る有用な官能基は、スルフヒドリル(−SH)、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシ、炭水化物のアノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リガンドユニット官能基は、スルフヒドリル基である。上記スルフヒドリル基は、代表的には、溶媒が接近可能なスルフヒドリル基(例えば、システイン残基上の溶媒が接近可能なスルフヒドリル基)である。スルフヒドリル基は、リガンドの分子内ジスルフィド結合または分子間ジスルフィド結合の還元によって生成され得る。スルフヒドリル基はまた、2−イミノチオラン(トラウト試薬)または別のスルフヒドリル生成試薬を使用して、リガンドのリジン部分のアミノ基の反応によって生成され得る。
【0218】
いくつかの実施形態において、1個以上のスルフヒドリル基は、リガンドユニットへ、例えば、アミノ酸置換によって、工学的に作製される。例えば、スルフヒドリル基は、リガンドユニットへ導入され得る。いくつかの実施形態において、スルフヒドリル基は、システイン残基へのセリンもしくはスレオニンのアミノ酸置換によって、および/またはリガンドユニットへのシステイン残基の付加(工学的に作製されたシステイン残基)によって導入される。いくつかの実施形態において、上記システイン残基は、内部システイン残基であり、すなわち、リガンド部分のN末端にもC末端にも位置しない。
【0219】
例示的実施形態において、システイン残基は、抗体重鎖可変領域または抗体軽鎖可変領域(例えば、抗体フラグメント(例えば、ダイアボディ)の)へと、アミノ酸置換によって工学的に作製され得る。上記アミノ酸置換は、代表的には、フレームワーク領域に導入され、上記可変領域のエピトープ結合面に対して遠位に位置する。例えば、上記アミノ酸置換は、上記エピトープ結合面またはそのCDRから少なくとも10Å、少なくとも20Åまたは少なくとも25Åであり得る。システイン残基の置換に適切な位置は、抗体可変領域の既知のまたは推定される三次元構造物に基づいて決定され得る(一般には、Holliger and Hudson,2005,Nature BioTechnology 23(9):1126−1136を参照のこと)。例示的実施形態において、セリンからシステインへのアミノ酸置換は、V領域のアミノ酸84位および/またはV領域のアミノ酸14位(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,(Bethesda,MD,NIH)1991の番号付けシステムに従う)において導入される。
【0220】
リガンドユニットに結合される薬物またはリンカーユニット−薬物ユニットの数を制御するために、1個以上のシステイン残基が、アミノ酸置換によって排除され得る。例えば、免疫グロブリンヒンジ領域における溶媒が接近可能なシステイン残基の数は、システイン残基からセリン残基へのアミノ酸置換によって減少させられ得る。
【0221】
いくつかの実施形態において、リガンドユニットは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の、溶媒が接近可能なシステイン残基を含む。いくつかの実施形態において、リガンドユニットは、2個または4個の、溶媒が接近可能なシステイン残基を含む。
【0222】
(アッセイ)
薬物またはリガンド薬物結合体が、細胞に対して細胞増殖抑制効果および/または細胞傷害効果を発揮するか否かを決定するための方法は、公知である。一般に、リガンド薬物結合体の上記細胞傷害活性または細胞増殖抑制活性は、以下によって測定され得る:上記リガンド薬物結合体の標的タンパク質を発現する哺乳動物細胞を、細胞培養培地中に曝すこと;上記細胞を、約6時間〜約5日間の期間にわたって培養すること;および細胞生存率を測定すること。細胞ベースのインビトロアッセイは、上記リガンド薬物結合体に関する生存率(増殖)、細胞傷害性、およびアポトーシスの誘導(カスパーゼ活性化)を測定するために使用され得る。
【0223】
リガンド薬物結合体が細胞増殖抑制効果を発揮するか否かを決定するために、チミジン組み込みアッセイを使用してもよい。例えば、96ウェルプレートの5,000細胞/ウェルの密度において標的抗原を発現するがん細胞が、72時間の期間にわたって培養され得、上記72時間の期間のうちの最後の8時間の間に、0.5μCiのH−チミジンに曝される。上記培養物の細胞へのH−チミジンの組み込みは、上記リガンド薬物結合体の存在または非存在下で測定される。
【0224】
細胞傷害性を決定するために、壊死またはアポトーシス(プログラムされた細胞死)が、測定され得る。壊死には、代表的には、形質膜の増大した透過性;細胞の膨張、および上記形質膜の破壊が付随する。アポトーシスは、代表的には、膜泡形成(membrane blebbing)、細胞質の凝集、および内因性エンドヌクレアーゼの活性化によって特徴付けられる。がん細胞に対するこれら効果のうちのいずれかの決定は、リガンド薬物結合体が、がんの処置に有用であることを示す。
【0225】
細胞生存率は、色素(例えば、ニュートラルレッド、トリパンブルー、またはアラマーTMブルー)の細胞における取り込みを決定することによって測定され得る(例えば、Pageら,1993,Intl.J.Oncology 3:473−476を参照のこと)。このようなアッセイにおいて、上記細胞は、上記色素を含む培地中でインキュベートされ、上記細胞は洗浄され(残っている色素は、上記色素の細胞取り込みを示す)、分光測光法で測定される。タンパク質結合色素であるスルホローダミンB(SRB)はまた、細胞傷害性を測定するために使用され得る(Skehanら,1990,J.Natl.Cancer Inst.82:1107−12)。
【0226】
あるいは、テトラゾリウム塩(例えば、MTT)は、生細胞(しかし、死細胞ではない)を検出することによって、哺乳動物細胞の生存および増殖についての定量的比色アッセイにおいて使用される(例えば、Mosmann,1983,J.Immunol.Methods 65:55−63を参照のこと)。
【0227】
アポトーシスは、例えば、DNAフラグメント化を測定することによって、定量され得る。DNAフラグメント化の定量的インビトロ決定のための市販の測光法は、利用可能である。このようなアッセイの例(TUNEL(フラグメント化されたDNAにおける標識されたヌクレオチドの取り込みを検出する)およびELISAベースのアッセイが挙げられる)は、Biochemica,1999,no.2,pp.34−37(Roche Molecular Biochemicals)に記載される。
【0228】
アポトーシスはまた、細胞における形態的変化を測定することによって決定され得る。例えば、壊死と同様に、形質膜完全性の喪失は、特定の色素(例えば、蛍光色素(例えば、アクリジンオレンジまたはエチジウムブロミドなど))の取り込みを測定することによって決定され得る。アポトーシス細胞数を決定するための方法は、Duke and Cohen,Current Protocols in Immunology(Coliganら eds.,1992,pp.3.17.1−3.17.16)によって記載されてきた。細胞はまた、DNA色素(例えば、アクリジンオレンジ、エチジウムブロミド、またはヨウ化プロピジウム)で標識され得、上記細胞は、核内膜に沿ったクロマチン凝縮およびクロマチン凝縮および辺縁化(margination)が観察される。アポトーシスを決定するために測定され得る他の形態的変化としては、例えば、細胞質凝集、膜泡形成の増大、および細胞収縮が挙げられる。
【0229】
アポトーシス細胞の存在は、上記培養物の結合した区画および「浮動している」区画の両方が測定され得る。例えば、両方の区画が、上清を除去し、結合した細胞をトリプシン処理し、遠心分離洗浄工程(例えば、2000rpmにおいて10分間)後に調製物を合わせ、アポトーシスを検出する(例えば、DNAフラグメント化を測定することによって)ことによって、集められ得る(例えば、Piazzaら,1995,Cancer Research 55:3110−16を参照のこと)。
【0230】
リガンド薬物結合体の効果は、動物モデルにおいて試験または確認され得る。がんの多くの確立された動物モデルは、当業者に公知であり、これらのうちのいずれも、リガンド薬物結合体の効力をアッセイするために使用され得る。このようなモデルの非限定的例としては、以下に記載される。さらに、リガンド薬物結合体のインビボ効力を試験するための小動物モデルは、ヒト腫瘍細胞系を適切な免疫欠損齧歯類系統(例えば、無胸腺ヌードマウスまたはSCIDマウス)へと移植することによって作製し得る。
【0231】
(組成物および投与方法)
種々の送達システムが公知であり、上記リガンド−薬物結合体を投与するために使用され得る。導入方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下の経路が挙げられるが、これらに限定されない。投与は、例えば、注入またはボーラス注射によるものであり得る。特定の好ましい実施形態において、上記リガンド薬物結合体の投与は、注入によるものである。非経口的投与は、好ましい投与経路である。
【0232】
上記リガンド薬物結合体は、1種以上の薬学的に適合性の成分を含む薬学的組成物として投与され得る。例えば、上記薬学的組成物は、代表的には、1種以上の薬学的キャリア(例えば、滅菌した液体(例えば、水および油(石油、動物、植物、または合成起源の油(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、ごま油など)を含む))を含む。水は、上記薬学的組成物が静脈内投与される場合に、より代表的なキャリアである。食塩水溶液、ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液もまた、液体キャリアとして、特に、注射用溶液のために使用され得る。適切な薬学的賦形剤は、当該分野で公知である。上記組成物はまた、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝化剤を含み得る。適切な薬学的キャリアの例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載される。その処方は、投与の態様に対応する。
【0233】
代表的実施形態において、上記薬学的組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合したた薬学的組成物として、常習的手順に従って処方される。代表的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌の等張性の水性緩衝液中の溶液である。必要である場合、上記医薬はまた、可溶化剤および注射部位での疼痛を和らげるための局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)を含み得る。一般に、上記成分は、(例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封してシールされた容器中の乾燥凍結乾燥粉末または無水の濃縮物として、別個に、または単位剤形中で一緒に混合して、のいずれかで供給される。上記医薬が注入によって投与される予定である場合、それは、例えば、滅菌の製薬グレードの水または食塩水を含む注入ボトルで投薬され得る。上記医薬が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または食塩水のアンプルは、例えば、上記成分が投与前に混合され得るように、提供され得る。
【0234】
特定の障害または状態の処置において有効な化合物の量は、上記障害または状態の性質に依存し、標準的な臨床技術によって決定され得る。さらに、インビトロアッセイまたはインビボアッセイは、必要に応じて、最適な投与量範囲を同定する一助となるように使用され得る。上記組成物中で使用されるべき正確な用量はまた、投与経路、および上記疾患または障害の重篤度に依存し、開業医の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。
【0235】
上記組成物は、適切な投与量が得られるように、有効量の化合物を含む。代表的には、この量は、上記組成物の重量に対して少なくとも約0.01%の化合物である。
【0236】
静脈内投与のために、上記組成物は、上記動物の体重1kgあたり約0.01〜約100mgの化合物を含み得る。一局面において、上記組成物は、上記動物の体重1kgあたり約1〜約100mgの化合物を含み得る。別の局面において、上記投与される量は、約0.1〜約25mg/kg体重の化合物の範囲にある。
【0237】
一般に、患者に投与される化合物の投与量は、代表的には、上記被験体の体重1kgあたり約0.01mg〜約100mgである。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約0.01mg〜約15mgの間である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約0.1mg〜約15mgの間である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約0.1mg〜約20mgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約0.1mg〜約5mgまたは約0.1mg〜約10mgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約1mg〜約15mgの間である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、上記被験体の体重1kgあたり約1mg〜約10mgの間である。
【0238】
上記薬学的組成物は、一般に、滅菌の、実質的に等張性として処方され、米国食品医薬品局の全ての医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)の規制に完全に従っている。
【0239】
(リガンド薬物結合体を使用する治療法)
上記リガンド薬物結合体は、腫瘍細胞またはがん細胞の増殖を阻害するために、または動物におけるがんを処置するために、有用である。上記リガンド薬物結合体は、動物のがんの処置のための種々の状況に応じて使用され得る。
【0240】
上記リガンド薬物結合体で処置されうる特定のタイプのがんとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)充実性腫瘍(線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜性腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、膵臓がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口腔がん、鼻がん、咽喉がん、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頚がん、子宮がん、精巣がん、小細胞肺癌、膀胱癌、肺がん、上皮癌、神経膠腫、神経膠芽細胞腫、多形性星細胞腫(multiforme astrocytoma)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、希突起神経膠腫、髄膜腫、皮膚がん、メラノーマ、神経芽細胞腫、および網膜芽腫が挙げられるが、これらに限定されない);(2)血液由来のがん(急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病(acute erythroleukemic leukemia)、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化型白血病(acute undifferentiated leukemia)、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ性白血病「CLL」、ヘアリー細胞白血病、多発性骨髄腫、急性および慢性の白血病(例えば、リンパ芽球性骨髄性白血病およびリンパ性骨髄性白血病)が挙げられるが、これらに限定されない);ならびに(3)リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、重鎖病、および真性多血症)。
【0241】
いくつかの実施形態において、本発明は、がんを処置する方法を提供し、上記方法は、がんの処置が必要な被験体に、細胞傷害剤に共有結合させたDR5結合剤を含む、有効量のリガンド薬物結合体またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記リガンド薬物結合体は、上記に提供するような式Iを含む。有効量のリガンド薬物結合体は、処置される被験体、苦痛の重篤度、および投与様式に依存する。有効量の決定は、特に、本明細書に提供される詳細な開示に鑑みれば、当業者の能力の十分範囲内である。一般に、効果的なまたは有効な量のリガンド薬物結合体は、第1に、低用量または少量を投与し、次いで、最小の毒性の副作用または全く毒性の副作用なしで、処置される被験体に所望の治療効果が観察されるようになるまで、投与される用量または投与量を徐々に増加させることによって、決定される。本発明の投与のための適切な用量および投与スケジュールを決定するための適用可能な方法は、例えば、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Ed.,Brunton,Lazo and Parker,Eds.,McGraw−Hill(2006)、およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Gennaro,Ed.,Lippencott Williams & Wilkins(2003)(これらはともに本明細書に参考として援用される)に記載される。
【実施例】
【0242】
(DR5抗体薬物結合体についての結合体化)
hTRA−8抗体薬物結合体を、以下のように調製した。配列番号1のアミノ酸配列に対応する重鎖を含み、配列番号2のアミノ酸配列に対応する軽鎖を含むhTRA−8抗体を、上記リガンドユニットとして使用した。このhTRA−8抗体を、Tigatuzumabとして言及する。7.6mg/mLのhTRA−8抗体の溶液を、37℃で予備平衡化し、次いで、15%体積の500mM ホウ酸ナトリウム(pH8.0)を添加して、pHを7.5〜8.0に上昇させる。上記溶液はまた、1mM DTPAを含む。上記抗体を、抗体1モルあたり2.6当量のTCEPを添加し、37℃で攪拌することによって、部分的に還元する。28分後、還元した抗体の溶液を、氷上に置き、次いで、DMSO中の20.5mM溶液として、4.8〜4.9モル当量(抗体に対して)の薬物リンカー(例えば、mc−vc−MMAFまたはmc−vc−MMAEまたはmc−MMAF)で迅速に処理する。さらなるDMSOを、上記混合物に、体積で10% DMSOになるように導入する。上記反応混合物を、約90分間にわたって氷上で攪拌し、その後、5倍モル過剰のN−アセチルシステイン(mc−vc−MMAFに対して)で処理する。上記結合体を、タンジェンシャルフロー濾過(最初に、約10mg/mLまで濃縮され、次いで、約10ダイアフィルトレーション容量(diavolume)のPBSでダイアフィルトレーションする)によって単離する。得られた抗体薬物結合体は、1抗体あたり約4薬物−リンカーユニットの平均薬物負荷を有した。添付の図面および本明細書において、以下の略語が使用される:mc−vc−MMAFで結合体化したhTRA−8の抗体薬物結合体については、hTRA−8−vc−MMAF;mc−vc−MMAEで結合体化したhTRA−8の抗体薬物結合体については、hTRA−8−vc−MMAE;およびmc−MMAFで結合体化したhTRA−8の抗体薬物結合体については、hTRA−8−mc−MMAF。
【0243】
1抗体あたり約2薬物−リンカーユニットの平均薬物負荷を有する抗体薬物結合体を調製するために、プロトコル(上記)を、50%までTCEPの量を減らすことによって改変した。薬物リンカーの量も、50%まで減らした。対応する抗体薬物結合体は、hTRA−8−vc−MMAF(2)と略記される。
【0244】
(いくつかのヒト腫瘍細胞系に対するインビトロでのhTRA−8 ADCの細胞傷害性)
hTRA−8およびhTRA−8抗体薬物結合体を、1μg/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc抗体溶液(MP Bioscience)で、2000ng/mLへと希釈した。これら溶液を、培養培地で10倍連続希釈した。これら溶液の各濃度の50μlアリコートを、96ウェルマイクロプレート(Corning)に添加した。上記細胞懸濁物を、1.0×10 生細胞/mL培養培地に調整し、上記ウェルに50μL/ウェルで添加した。上記細胞を、ブランクのウェルには播種しなかった。上記プレートを、72時間にわたってCOインキュベーター中でインキュベートした後、ATP検出アッセイを、製造業者の説明書に従って、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して行った。発光を、マイクロプレートリーダー(Mithras LB940,Berthold Technologies)によって測定した。上記アッセイを、三連で行い、各ウェルの細胞生存率を、以下に示す式に従って計算した:
生存率(%)=100×(試験ウェルの発光−ブランクウェルの平均発光)/(未処理細胞を有するウェルの平均発光−ブランクウェルの平均発光)。
【0245】
図1〜11は、本発明のhTRA−8 リガンド薬物結合体で評価した11細胞系についての結果を提供する。図が示すように、これら抗体薬物結合体は、試験した11細胞系の中で6細胞系においてhTRA−8(結合体化していない形態にある)より有効に細胞死を誘導した。
【0246】
(hTRA−8 ADCのDR5結合活性)
平底96ウェルマイクロプレート(Nalge Nunc International)を、4℃において一晩、50mM NaHCO(pH9.5)中の0.25μg/mLのヒトDR5−Fcでコーティングした。上記ウェルを0.05% Tween 20を含むPBS(PBS−Tween)200μLで洗浄した後、上記プレートを、100μLの1% BSA(PBS希釈した)で、室温において1.5時間にわたってブロッキングした。hTRA−8およびhTRA−8 ADCを、20μg/mLから0.16μg/mLまでPBSで2倍連続希釈した。上記ウェルをPBS−Tweenで洗浄した後、hTRA−8およびhTRA−8 ADCの50μLの連続希釈物を、50μLのビオチン標識hTRA−8の存在下の上記ウェルに添加した。上記プレートを、室温で2時間インキュベートした。上記ウェルをPBS−Tweenで洗浄した後、100μLのストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(PBS中で1/5000希釈,Amersham Life Science)を上記ウェルに添加し、室温で1時間にわたってインキュベートした。上記ウェルをPBS−Tweenで洗浄した後、呈色反応を、室温において50μLのHRP基質溶液(Sumilon)に曝すことによって起こさせ、その吸光度を、マイクロプレートリーダー(Spectra MAX M5;Molecular Devices)で490nmにおいて測定した。上記アッセイを、三連で行った。その結果を、図12に示す。
【0247】
図12において、ヒトDR5へのhTRA−8 リガンド薬物結合体の結合活性は、hTRA−8(非結合体化形態にある)のものと比較して認められる。
【0248】
(ヒト初代肝細胞に対するhTRA−8 ADCの細胞傷害性)
初代ヒト肝細胞の調製については、融解培地、播種培地およびインキュベーション培地からなる培地セット(Biopredic International)を使用した。凍結した肝細胞のバイアルを、融解し、上記融解培地で洗浄した。上記細胞を、上記播種培地中に再懸濁し、コラーゲンコーティングした96ウェルプレート(IWAKI)において3.5×10生細胞/ウェルで播種した。ブランクウェルには、上記細胞を播種しなかった。上記細胞を、COインキュベーター中で培養した。4時間のインキュベーション後、上記培養上清を吸引し、100μLの上記インキュベーション培地を各ウェルに添加した。一晩のインキュベーション後、上記培養上清を吸引した。hTRA−8およびhTRA−8抗体薬物結合体を0.5μg/mLのヤギ抗ヒトIgG Fc抗体溶液(MP Bioscience)で、1000ng/mLへと希釈した。これら溶液を、100ng/mL、10ng/mL、1ng/mLへと上記培養培地で連続希釈した。TRAIL(R&D Systems)を、1000ng/mL、100ng/mL、10ng/mL、1ng/mLへと上記インキュベーション培地で希釈した。これら溶液の各濃度の100μLアリコートを、上記肝細胞のプレートに添加した。上記肝細胞を、COインキュベーター中で6時間にわたってインキュベートした後、ATP検出アッセイを、製造業者の使用説明書に従って、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して行った。発光を、マイクロプレートリーダー(Mithras LB940,Berthold Technologies)によって測定した。上記アッセイを、三連で行い、各ウェルの細胞生存率を、以下に示す式に従って計算した:
生存率(%)=100×(試験ウェルの発光−ブランクウェルの平均発光)/(未処理細胞を有するウェルの平均発光−ブランクウェルの平均発光)。
【0249】
図13に図示されるように、hTRA−8リガンド薬物結合体は、初代ヒト肝細胞に対して細胞傷害性を示さなかった(結果は、hTRA−8単独でも同様)。
【0250】
(結合体のインビボ活性−方法)
特定病原体フリーの6〜8週齢のBalb/cA Jcl nu/nuヌードマウス(Charles River Laboratories Japan Inc.)を、研究で使用する前に、順応させるために5日間にわたって特定病原体フリーの条件で維持した。マウスを、滅菌したケージ中に収容し、それを、クリーンな層空気流ラック(laminar airflow rack)に入れた。マウスに、滅菌した固形飼料(FR−2,Funabashi Farms Co.,Ltd.)を給餌し、滅菌した水道水(5〜15ppm 次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochloride)溶液を添加して調製)を与えた。
【0251】
全ての研究において、腫瘍体積(mm)を、腫瘍の長さおよび腫瘍の幅を電子式デジタルカリパー(CD−15C,Mitutoyo Corp.)で1週間に2回測定することによって計算した。腫瘍体積の計算を、以下の式のように行った:
腫瘍体積(mm)=1/2×腫瘍の長さ(mm)×{腫瘍の幅(mm)}
hTRA−8および薬物結合体化hTRA−8を、生理食塩水で希釈し、マウス体重1kgあたり10mLの体積で腫瘍を有するヌードマウスに投与した。
【0252】
各ヒト腫瘍異種移植片研究の詳細な手順を、以下のように記載した:
(COLO205)
ヒト結腸直腸腺癌細胞系COLO205を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Cell Collection)(ATCC)から購入した。2×10細胞を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。7日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。実験1(図14)において、3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、7日目、14日目および21日目に行った。実験2(図15)において、hTRA−8、hTRA−8−vcMMAF(2)、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFを、7日目、14日目および21日目に、10mg/kgの用量で静脈内投与した。
【0253】
(A375)
ヒトメラノーマ細胞系A375を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。2×10細胞を、0日目に雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。10日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを実験群へと無作為化した。実験1(図16)において、3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、10日目、17日目、24日目および31日目に行った。実験2(図17)において、hTRA−8、hTRA−8−vcMMAF(2)、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFを、10日目、17日目、24日目および31日目に、3mg/kgの用量で静脈内投与した。
【0254】
(A549)
ヒト肺腺癌細胞系A549を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。5×10細胞を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。14日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、14日目、21日目、28日目および35日目に行った。結果を図18に示す。
【0255】
(A2058)
ヒトメラノーマ細胞系A2058を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。1×10細胞を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。14日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、14日目、21日目および28日目に行った。結果を図19に示す。
【0256】
(AN3CA)
ヒト子宮腺癌細胞系AN3CAを、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。ヌードマウスにおいて維持した充実性腫瘍片(3×3×3mmサイズ)を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。7日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、7日目、14日目および21日目に行った。結果を図20に示す。
【0257】
(BxPC−3)
ヒト膵臓腺癌細胞系BxPC−3を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。1×10細胞を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。7日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、7日目、14日目、21日目および28日目に行った。結果を図21に示す。
【0258】
(NCI−H2122)
ヒト肺腺癌細胞系NCI−H2122を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。2×10細胞を、0日目に雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。11日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、11日目、18日目、25日目および32日目に行った。結果を図22に示す。
【0259】
(MIA PaCa−2)
ヒト膵臓腺癌細胞系MIA PaCa−2を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。ヌードマウスにおいて維持した充実性腫瘍片(5×5×5mmサイズ)を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。10日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAE、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、10日目、17日目および24日目に行った。結果を図23に示す。
【0260】
(PC−3)
ヒト前立腺腺癌細胞系PC−3を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。2×10細胞を、0日目に、雄性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。35日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、35日目、42日目および49日目に行った。結果を図24に示す。
【0261】
(HCT−116)
ヒト結腸直腸腺癌細胞系HCT−116を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。1×10細胞を、0日目に、雌性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。10日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgでのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、10日目、17日目、24日目および31日目に行った。結果を図25に示す。
【0262】
(DU145)
ヒト前立腺腺癌細胞系DU145を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。ヌードマウスへ皮下移植することで維持した充実性腫瘍片(5×5×5mmサイズ)を、0日目に、雄性ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。9日目に、腫瘍を有する全てのヌードマウスを、実験群へと無作為化した。3mg/kgの用量でのhTRA−8、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの静脈内投与を、9日目、16日目、23日目および30日目に行った。結果を図26に示す。
【0263】
(結合体のインビボ活性−結果)
試験した11の腫瘍細胞系の中で、A375、A549、A2058、AN3CA、BXPC−3、PC−3、HCT−116およびDU145は、hTRA−8に耐性であることが示された。これら8種の腫瘍細胞系の中で、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの両方は、A375、PC−3およびHCT−116に対する抗腫瘍効力を示した。さらに、hTRA−8−vcMMAFはまた、A2058、BXPC−3およびDU145に対する抗腫瘍効力を示した。hTRA−8は、NCI−H2122に対して中程度の抗腫瘍効力を示した一方で、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFは、hTRA−8より強力な抗腫瘍効力を実証した。他方で、上記薬物結合体化hTRA−8の全ては、3mg/kgの用量で、COLO205に対し、hTRA−8より強力ではない抗腫瘍効力を示した。投与用量を10mg/kgへ増大した場合、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFは、hTRA−8に匹敵する効力を示した。A549およびAN3CAは、hTRA−8および薬物結合体化hTRA−8に耐性であった。これらの結果から、hTRA−8リガンド薬物結合体が、hTRA−8より強力な抗腫瘍効力を有することが示され、そして、hTRA−8耐性腫瘍に対する効力を実証することが示された。
【0264】
(インビボ競合研究−方法)
特定病原体フリーの4〜6週齢の雌性CAnN.Cg−Foxn1nu/CrlCrljマウス(ヌードマウス)を、Charles River Laboratories Japan Inc.から購入し、それらが5〜8週齢に達したときに使用した。5〜6匹のマウスを、滅菌したケージの中に一緒に収容し、特定病原体フリーの条件下で維持した。実験室において、上記環境条件を、12時間(8:00〜20:00)の人工照明とともに、23℃の温度および55%の湿度で設定した。上記マウスに、FR−2飼料(Funabashi Farm Co.,Ltd.)を給餌し、塩素入り(5〜15ppm)の水を自由に摂取させた。
【0265】
全ての研究において、腫瘍を有するマウスを選択し、腫瘍体積に基づいて実験群に分けた。ヌードマウスで腫瘍を確立した後、腫瘍を有する全てのマウスにおける腫瘍の長さおよび幅(mm)を、デジタルカリパー(CD15−C,Mituyo Corp.)で小数第二位まで測定した。上記データを、動物実験データのためのSankyoマネジメントシステム(SMAD,JMAC Corp.)において自動的に記録した。各マウスの腫瘍体積は、以下の式に従ってSMADにおいて自動的に計算した:
腫瘍体積(mm)=1/2×腫瘍の長さ(mm)×{腫瘍の幅(mm)}
組換えヒトDR5−Fc(rhDR5−Fc)、ヒトIgG(hIgG)、薬物結合体化hIgGおよび薬物結合体化hTRA−8を、生理食塩水で希釈し、マウス体重1kgあたり10mLの体積で、腫瘍を有するヌードマウスに投与した。各ヒト腫瘍異種移植片研究の詳細な手順は、以下のとおりに記載される。
【0266】
(A375)
ヒトメラノーマ細胞系A375を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から購入した。0日目に、2×10細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。腫瘍を有する全てのマウスを、10日目に実験群に分けた。ADCの投与の直前に、rhDR5−FcおよびhIgGを、3mg/kgの用量で上記マウスに静脈内投与した。次いで、hIgG−vcMMAF(mc−vc−MMAFで結合体化したhIgG)およびhIgG−mcMMAF(mc−MMAFで結合体化したhIgG)を、10mg/kgの用量で上記マウスに投与し、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFを、3mg/kgの用量で上記マウスに投与した。11〜14日目および17〜21日目に、1mg/kgのrhDR5−FcおよびhIgGを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図27に示す。
【0267】
(HCT 116)
ヒト結腸直腸癌細胞系HCT 116を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、1×10細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。腫瘍を有する全てのマウスを、10日目に実験群に分けた。ADCの投与の直前に、6mg/kgのrhDR5−Fcおよび10mg/kgのhIgGを、上記マウスに静脈内投与した。次いで、hIgG−vcMMAF、hIgG−mcMMAF、hTRA−8−vcMMAF、およびhTRA−8−mcMMAFを、10mg/kgの用量で上記マウスに投与した。11〜14日目および17〜21日目に、1mg/kgのrhDR5−Fcおよび2mg/kgのhIgGを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図28に示す。
【0268】
(インビボ競合研究−結果)
両方の異種移植片モデルにおいて、rhDR5−Fcは、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの抗腫瘍効力を完全に阻害した。しかし、hIgGは、hIgG−vcMMAF、hIgG−mcMMAF、hTRA−8−vcMMAF、およびhTRA−8−mcMMAFの抗腫瘍効力を阻害しなかった。これら結果は、hTRA−8−vcMMAFおよびhTRA−8−mcMMAFの抗腫瘍効力が、hDR5に特異的であることを示す。
【0269】
(乳がんおよび卵巣がんに対するインビボ活性−方法)
特定病原体フリーの4〜6週齢の雌性CAnN.Cg−Foxn1nu/CrlCrljマウス(ヌードマウス)を、Charles River Laboratories Japan Inc.から購入し、それらが5〜8週齢に達したときに使用した。5〜6匹のマウスを、滅菌したケージの中に一緒に収容し、特定病原体フリーの条件下で維持した。実験室において、上記環境条件を、12時間(8:00〜20:00)の人工照明とともに、23℃の温度および55%の湿度で設定した。上記マウスに、FR−2飼料(Funabashi Farm Co.,Ltd.)を給餌し、塩素入り(5〜15ppm)の水を自由に摂取させた。
【0270】
全ての研究において、腫瘍を有するマウスを選択し、腫瘍体積に基づいて実験群に分けた。ヌードマウスで腫瘍を確立した後、腫瘍を有する全てのマウスにおける腫瘍の長さおよび幅(mm)を、デジタルカリパー(CD15−C,Mituyo Corp.)で小数第二位まで測定した。上記データを、動物実験データのためのSankyoマネジメントシステム(SMAD,JMAC Corp.)において自動的に記録した。各マウスの腫瘍体積は、以下の式に従ってSMADにおいて自動的に計算した:
腫瘍体積(mm)=1/2×腫瘍の長さ(mm)×{腫瘍の幅(mm)}
hTRA−8−mcMMAFを、生理食塩水で希釈し、マウス体重1kgあたり10mLの体積で、腫瘍を有するヌードマウスに静脈内投与した。各ヒト腫瘍異種移植片研究の詳細な手順は、以下のとおりに記載される。
【0271】
(JIMT−1)
ヒト乳癌細胞系JIMT−1を、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ,German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から購入した。0日目に、6×10細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。腫瘍を有する全てのマウスを、10日目に実験群に分けた。10日目、17日目、および24日目に、10mg/kgおよび30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図29に示す。
【0272】
(MDA−MB−231)
ヒト乳腺腺癌細胞系MDA−MB−231を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、ヌードマウスにおいて維持した充実性腫瘍片(1辺約5mm)を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。10日目、17日目、および24日目に、10mg/kgおよび30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図30に示す。
【0273】
(A2780)
ヒト卵巣腺癌細胞系A2780を、European Collection of Cell Cultures(ECACC)から購入した。0日目に、5×10細胞を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。腫瘍を有する全てのマウスを、10日目に実験群に分けた。10日目、17日目、および24日目に、10mg/kgおよび30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図31に示す。
【0274】
(SK−OV−3)
ヒト卵巣腺癌細胞系SK−OV−3を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、ヌードマウスにおいて維持した充実性腫瘍片(1辺約5mm)を、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種した。17日目、24日目、および31日目に、10mg/kgおよび30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図32に示す。
【0275】
(乳がんおよび卵巣がんに対するインビボ活性−結果)
hTRA−8−mcMMAFは、JIMT−1、MDA−MB−231、A2780、およびSK−OV−3の異種移植片マウスにおいて抗腫瘍効力を示した。これらの結果から、hTRA−8−mcMMAFは、乳がんおよび卵巣がんに対して強力な抗腫瘍活性を有することが示された。
【0276】
(血液系のがんに対するインビボ活性−方法)
特定病原体フリーの4〜6週齢の雌性NOD.CB17−Prkdcscid/Jマウス(NOD−scidマウス)を、Charles River Laboratories Japan Inc.から購入し、それらが5〜8週齢に達したときに使用した。5〜6匹のマウスを、滅菌したケージの中に一緒に収容し、特定病原体フリーの条件下で維持した。実験室において、上記環境条件を、12時間(8:00〜20:00)の人工照明とともに、23℃の温度および55%の湿度で設定した。上記マウスに、FR−2飼料(Funabashi Farm Co.,Ltd.)を給餌し、塩素入り(5〜15ppm)の水を自由に摂取させた。
【0277】
全ての研究において、全てのマウスを、7日目に実験群へと無作為に分けた。次いで、hTRA−8−mcMMAFを、生理食塩水で希釈し、マウス体重1kgあたり10mLの体積で、上記マウスに静脈内投与した。各ヒト腫瘍異種移植片研究の詳細な手順は、以下のとおりに記載される。
【0278】
(U−937)
ヒト組織球性リンパ腫細胞系U−937を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、1×10細胞を、上記マウスに静脈内接種した。7日目、14日目、および21日目に、30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図33に示す。
【0279】
(MOLT−4)
ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞系MOLT−4を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、5×10細胞を、上記マウスに静脈内接種した。上記マウスには、−2日目および−1日目に、150mg/kgのシクロホスファミドの静脈内投与で予め処置しておいた。7日目、14日目、21日目、および28日目に、30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図34に示す。
【0280】
(MOLM−14)
ヒト急性単球性白血病細胞系MOLM−14を、Hayashibara Biochemical Labs,Inc.から得た。0日目に、5×10細胞を、上記マウスに静脈内接種した。上記マウスには、−2日目および−1日目に、150mg/kgのシクロホスファミドの静脈内投与で予め処置しておいた。7日目、14日目、および21日目に、30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図35に示す。
【0281】
(MV−4−11)
ヒト骨髄単球性白血病細胞系MV−4−11を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から購入した。0日目に、5×10細胞を、上記マウスに静脈内接種した。7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、および49日目に、30mg/kgのhTRA−8−mcMMAFを、上記マウスに静脈内投与した。結果を図36に示す。
【0282】
(血液系のがんに対するインビボ活性−結果)
hTRA−8−mcMMAFは、上記血液系のがんであるMOLM−14、U−937、MV−4−11、およびMOLT−4を静脈内接種したマウスの寿命を延ばした。これらの結果から、hTRA−8−mcMMAFは、血液系のがんに対して強力な抗腫瘍活性を有することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞傷害剤に共有結合されたDR5結合剤を含む、リガンド薬物結合体。
【請求項2】
式(I):
L−(LU−D) (I)
を有し、DR5を発現する標的細胞に対して特異性を有する、リガンド薬物結合体またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで
Lは、DR5結合剤であるリガンドユニットであり;そして
(LU−D)は、リンカーユニット−薬物ユニット部分であり、ここで
LUは、リンカーユニットであり、そして
Dは、該標的細胞に対して細胞増殖抑制活性または細胞傷害活性を有する薬物ユニットであり;そして
下付き文字pは、1〜20の整数である、
リガンド薬物結合体。
【請求項3】
前記薬物ユニットは、式DもしくはD
【化38】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し;
ここで各位置において独立して:
波線は、前記リガンド薬物結合体の残りへの結合点を示し;
は、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、−複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
は、−Hまたは−C−Cアルキルであるか;
あるいはRおよびRは、一緒に炭素環式環を形成し、式−(CR−を有し、ここでRおよびRは、独立して、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、または−炭素環であり、そしてsは、2、3、4、5または6であり、
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−炭素環、−C−C20アルキレン(炭素環)、−C−C20アルケニレン(炭素環)、−C−C20アルキニレン(炭素環)、−アリール、−C−C20アルキレン(アリール)、−C−C20アルケニレン(アリール)、−C−C20アルキニレン(アリール)、複素環、−C−C20アルキレン(複素環)、−C−C20アルケニレン(複素環)、または−C−C20アルキニレン(複素環)であり;
各Rは、独立して、−H、−OH、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−O−(C−C20アルキル)、−O−(C−C20アルケニル)、−O−(C−C20アルキニル)、または−炭素環であり;
は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
19は、−アリール、−複素環、または−炭素環であり;
20は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−炭素環、−O−(C−C20アルキル)、−O−(C−C20アルケニル)、−O−(C−C20アルキニル)、またはOR18であり、ここでR18は、−H、ヒドロキシル保護基、または直接結合であり、その場合OR18は、=Oを表し;
21は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニル、−アリール、−複素環、または−炭素環であり;
10は、−アリール、または−複素環であり;
Zは、−O−、−S−、−NH−、または−NR12−であり、ここでR12は、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
11は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、−アリール、−複素環、−(R13O)−R14、または−(R13O)−CH(R15であり;
mは、0〜1000の範囲に及ぶ整数であり;
13は、−C−C20アルキレン、−C−C20アルケニレン、または−C−C20アルキニレンであり;
14は、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、または−C−C20アルキニルであり;
15の各存在は、独立して、−H、−COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOH、−(CH−SO−C−C20アルキル、−(CH−SO−C−C20アルケニル、または−(CH−SO−C−C20アルキニルであり;
16の各存在は、独立して、−H、−C−C20アルキル、−C−C20アルケニル、−C−C20アルキニル、または−(CH−COOHであり;そして
nは、0〜6の範囲に及ぶ整数であり;ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、炭素環、および複素環基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、場合に応じて置換されている、
請求項2に記載のリガンド−薬物結合体。
【請求項4】
前記薬物ユニットは、式Dまたはその薬学的に受容可能な塩形態を有する、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項5】
前記薬物ユニットは、式:
【化39】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し;前記DR5結合剤は、抗体の硫黄原子を介して前記リンカーユニットに結合した抗DR5抗体であり;該リンカーユニットは、−Val−Cit−部分を含み;そして前記下付き文字pは、1〜8の整数である、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項6】
前記薬物ユニットは、式:
【化40】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し;前記DR5結合剤は、抗体の硫黄原子を介して前記リンカーユニットに結合した抗DR5抗体であり;該リンカーユニットは、−Val−Cit−部分を含み;そして前記下付き文字pは、1〜8の整数である、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項7】
前記薬物ユニットは、式:
【化41】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し;前記DR5結合剤は、抗体の硫黄原子を介して前記リンカーユニットに結合した抗DR5抗体であり;該リンカーユニットは、−スクシンイミド−カプロン酸−部分を含み;そして前記下付き文字pは、1〜8の整数である、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項8】
LUは、式:
−A−W−Y
またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し、ここで
−A−は、ストレッチャーユニットであり;
下付き文字aは、0または1であり;
各Wは、独立して、アミノ酸ユニットであり;
下付き文字wは、0〜12の整数であり;
−Y−は、スペーサーユニットであり;そして
下付き文字yは、0、1または2である、請求項2に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項9】
式:
【化42】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し、ここで
17は、−C−C10アルキレン−、−C−C10アルケニレン−、−C−C10アルキニレン−、−カルボシクロ−、−O−(C−Cアルキレン)−、O−(C−Cアルケニレン)−、−O−(C−Cアルキニレン)−、−アリーレン−、−C−C10アルキレン−アリーレン−、−C−C10アルケニレン−アリーレン、−C−C10アルキニレン−アリーレン、−アリーレン−C−C10アルキレン−、−アリーレン−C−C10アルケニレン−、−アリーレン−C−C10アルキニレン−、−C−C10アルキレン−(カルボシクロ)−、−C−C10アルケニレン−(カルボシクロ)−、−C−C10アルキニレン−(カルボシクロ)−、−(カルボシクロ)−C−C10アルキレン−、−(カルボシクロ)−C−C10アルケニレン−、−(カルボシクロ)−C−C10アルキニレン、ヘテロシクロ−、−C−C10アルキレン−(ヘテロシクロ)−、−C−C10アルケニレン−(ヘテロシクロ)−、−C−C10アルキニレン−(ヘテロシクロ)−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルキレン−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルケニレン−、−(ヘテロシクロ)−C−C10アルキニレン−、−(CHCHO)−、および−(CHCHO)−CH−からなる群より選択されるメンバーであり、ここでrは、1〜10の整数であり、そして該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリール、炭素環、カルボシクロ、ヘテロシクロ、およびアリーレン基は、単独であろうと、別の基の一部としてであろうと、必要に応じて置換されている、
請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項10】
式:
【化43】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し、ここでSは、リガンドユニット(L)によって提供される硫黄原子である、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項11】
式:
【化44】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有し、ここでSは、リガンドユニット(L)によって提供される硫黄原子である、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項12】
式:
【化45】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有する、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項13】
式:
【化46】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有する、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項14】
式:
【化47】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有する、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項15】
wは、2〜12の範囲に及ぶ整数であり、そしてyは、1または2である、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項16】
wは2であり、そしてyは、1または2である、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項17】
は、−バリン−シトルリン−であり、そしてyは、1または2である、請求項8に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項18】
式:
【化48】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有するリガンド薬物結合体であって、ここでmAbは、抗DR5抗体であり、Sは、該抗体の硫黄原子であり、そしてpは、1〜8の整数である、リガンド薬物結合体。
【請求項19】
式:
【化49】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有するリガンド薬物結合体であって;ここでmAbは、抗DR5抗体であり、Sは、該抗体の硫黄原子であり、そしてpは、1〜8の整数である、リガンド薬物結合体。
【請求項20】
式:
【化50】

またはその薬学的に受容可能な塩形態を有するリガンド薬物結合体であって、ここでmAbは、抗DR5抗体であり、Sは、該抗体の硫黄原子であり、そしてpは、1〜8の整数である、リガンド薬物結合体。
【請求項21】
Dは、Dである、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項22】
Dは、Dである、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項23】
Lは、抗DR5抗体である、請求項3に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項24】
前記抗DR5抗体は、(a)配列番号3のアミノ残酸基1〜5からなるCDR1、配列番号4のアミノ酸残基1〜17からなるCDR2、および配列番号5のアミノ酸残基1〜10からなるCDR3を有する重鎖免疫グロブリン;ならびに(b)配列番号6のアミノ酸残基1〜11からなるCDR1、配列番号7のアミノ酸残基1〜7からなるCDR2、および配列番号8のアミノ酸残基1〜8からなるCDR3を有する軽鎖免疫グロブリンを含む、請求項18、19、または20のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体。
【請求項25】
前記抗DR5抗体は、配列番号1のアミノ酸残基1〜118を含む重鎖可変領域、および配列番号2のアミノ酸残基1〜107を含む軽鎖可変領域を含む、請求項18、19、または20のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体。
【請求項26】
前記抗DR5抗体は、配列番号1のアミノ酸残基1〜449からなる重鎖、および配列番号2のアミノ酸残基1〜213からなる軽鎖を含む、請求項18、19、または20のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体。
【請求項27】
pは、3〜5である、請求項18に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項28】
pは、1〜3である、請求項19に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項29】
pは、3〜5である、請求項19に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項30】
pは、3〜5である、請求項20に記載のリガンド薬物結合体。
【請求項31】
薬学的に受容可能な賦形剤と混合した状態にある請求項1〜30のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体を含む、薬学的組成物。
【請求項32】
有効成分として請求項1〜30のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体を含む、抗腫瘍剤。
【請求項33】
有効量の請求項1〜30のうちのいずれかに記載のリガンド薬物結合体を、がんの処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する、がんを処置する方法。
【請求項34】
前記がんは、メラノーマ、結腸直腸がん、非小細胞肺癌、子宮がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、および血液のがんからなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記がんは、膵臓がんである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記がんは、メラノーマである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記がんは、乳がんである、請求項33に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公表番号】特表2013−505944(P2013−505944A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531041(P2012−531041)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/050076
【国際公開番号】WO2011/038159
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(505314468)シアトル ジェネティックス, インコーポレイテッド (19)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】