説明

Dkk媒介性相互作用を変調する試薬および方法

【課題】骨の変調の分子機序を解明するため、候補新薬のスクリーニングおよび開発のため、そして骨の発達および骨量減少障害の治療のために、追加の研究用ツールの提供。
【解決手段】LRP5、HBM(LRP5の変異体)、および/またはLRP6の細胞外ドメインとDkk−1を含むDkkとの新規相互作用に関連する試薬、化合物、組成物および方法を提供する。特定の核酸、ポリペプチド、抗体、アッセイ方法、診断方法および治療方法はDkk、LRP5、LRP6、HBMおよびWntシグナル伝達に関連しており、それらに影響を及ぼす。Dkk、LRP5、LRP6、HBMおよびWntは骨および脂質細胞シグナル伝達に関与している。したがって、脂質濃度および/または骨量を変調する試薬および方法は、骨粗鬆症のような異常な脂質濃度および骨量障害の治療および診断において有用である。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検対象における低骨量もしくは高骨量および/または高脂質もしくは低脂質濃度を診断する方法であって、前記被検対象が(a)高骨量もしくは低骨量および/または(b)高脂質もしくは低脂質濃度を有するかどうかを決定するために、前記被検対象におけるDkk、LRP5、LRP6、HBMおよび/またはHBM様変異体の発現を検査するステップと、Dkk、LRP5、LRP6、HBM、またはHBM様変異体が過剰もしくは過小発現しているかどうかを決定するステップとを含む方法。
【請求項2】
LRP5、LRP6もしくはHBMとDkkとの相互作用、またはLRP5、LRP6もしくはHBMのDkk結合フラグメントとDkkとの相互作用を変調する化合物をスクリーニングする方法であって
(a)DkkおよびそのLRP5、LRP6および/またはHBM結合フラグメントを化合物に曝露させるステップと、
(b)前記化合物がLRP5/LRP6/HBM結合フラグメントとのDkk相互作用を変調するかどうかを決定するステップと
を含む方法。
【請求項3】
前記変調が、前記化合物がDkkまたはそのLRP5、LRP6もしくはHBM結合フラグメントに結合するかどうかによって決定される請求項2の方法。
【請求項4】
DkkまたはそのLRP結合フラグメントが基質に付着される請求項2の方法。
【請求項5】
前記化合物がDkk相互作用タンパク質、またはそのDkk結合フラグメントからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む請求項2の方法。
【請求項6】
DkkとDkk相互作用タンパク質との相互作用を変調する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)Dkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントを化合物に曝露させるステップと、
(b)前記化合物がDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントに結合したかどうかを決定するステップと、
(c)前記化合物がDkk相互作用タンパク質とDkkとの相互作用を変調するかどうかをさらに決定するステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記化合物がDkkペプチドアプタマーを含む請求項2または6の方法。
【請求項8】
前記化合物がDkkペプチドアプタマーの模倣物を含む請求項2または6の方法。
【請求項9】
前記化合物がDkk相互作用タンパク質ペプチドアプタマーを含む請求項2または6の方法。
【請求項10】
前記化合物がLRP5ペプチドアプタマーを含む請求項2または6の方法。
【請求項11】
前記ペプチドアプタマーがOST262(配列番号208)である請求項10の方法。
【請求項12】
前記化合物がLRP5抗体を含む請求項2または6の方法。
【請求項13】
前記化合物がDkk相互作用タンパク質ペプチドアプタマーの模倣物である請求項2または6の方法。
【請求項14】
前記Dkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントが基質に付着される請求項13の方法。
【請求項15】
DkkとLRP5/LRP6/HBMとの相互作用を変調する化合物を同定するための方法であって、
(a)第1蛍光タグを使用してLRP5、LRP6、もしくはHBM蛍光融合タンパク質を作製するステップと、
(b)第2蛍光タグを含むDkk融合タンパク質を作製するステップと、
(c)試験化合物を添加するステップと、
(d)前記化合物がDkkとLRP5/LRP6/HBMとの相互作用を変調するかどうかを決定するために蛍光共鳴エネルギー転移法(FRET)または生物蛍光共鳴エネルギー転移法(BRET)を使用して蛍光タグ発光の比率における変化を評価するステップと
を含む方法。
【請求項16】
Dkkタンパク質に対する結合パートナーを同定する方法であって、
(a)1つ以上のDkkタンパク質またはそのLRP5/LRP6結合フラグメントを潜在的結合パートナーへ曝露させるステップと、
(b)前記潜在的結合パートナーがDkkタンパク質またはそのLRP5/LRP6結合フラグメントへ結合するかどうかを決定するステップと
を含む方法。
【請求項17】
Dkk相互作用タンパク質アミノ酸配列をコードする核酸とインフレームであるGal4もしくはLexAの活性化ドメインとインフレームである足場タンパク質をコードする核酸を含むDkk相互作用タンパク質ペプチドアプタマーをコードする核酸。
【請求項18】
請求項17の核酸を含むベクター。
【請求項19】
前記足場タンパク質がtrxAである請求項17の核酸。
【請求項20】
その自然環境における細胞外相互作用を通して結合するペプチド結合対の第1のペプチドと第2のペプチドとの結合相互作用に及ぼす化合物の変調活性を検出する方法であって、
(i)
a)転写活性化タンパク質DNA結合ドメインへ結合した第1のペプチドまたはそのセグメントを含む第1の異種融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、
b)転写活性化タンパク質転写活性化ドメインへ結合した第2のペプチドまたはそのセグメントを含む第2の異種融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、
(このとき第1のペプチドまたはそのセグメントと第2のペプチドまたはそのセグメントとの結合は転写活性化タンパク質を再構成する)、
c)再構成された転写活性化タンパク質の陽性転写制御下で活性化されたレポーターエレメントと(このとき前記レポーターエレメントの発現は選択された表現型を生じる)、
を含む少なくとも1つの真核細胞を培養するステップと、
(ii)前記真核細胞を化合物の存在下で前記選択された表現型を検出するために適合する条件下で培養するステップと、
(iii)前記化合物が前記選択された表現型を生成する前記レポーターエレメントの発現に影響を及ぼすかどうかを決定することによって前記化合物が前記ペプチド結合対の結合相互作用に影響を及ぼす能力を検出するステップと(このとき、(1)前記第1のペプチドはDkkペプチドであり、第2のペプチドはLRP5、HBM、LRP6およびLRP5/LRP6/HBMのDkk結合部分から選択されたペプチドである、または(2)前記第1のペプチドはDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントであり、前記第2のペプチドはDkkペプチドである)、
を含む方法。
【請求項21】
前記真核細胞が酵母細胞である請求項20の方法。
【請求項22】
前記酵母細胞がサッカロミセスである請求項21の方法。
【請求項23】
サッカロミセス細胞がサッカロミセス・セレヴィシエである請求項22の方法。
【請求項24】
DkkがDkk−1であり、前記化合物が1つ以上のDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントを含む請求項20の方法。
【請求項25】
前記化合物がアッセイに直接的に添加される請求項24の方法。
【請求項26】
前記化合物が前記第1および第2のペプチドに加えて前記真核細胞によって組換え的に発現させられる請求項24の方法。
【請求項27】
前記化合物がDkkペプチドアプタマーを含む請求項20の方法。
【請求項28】
前記化合物がDkkペプチドアプタマーの模倣物を含む請求項20の方法。
【請求項29】
前記化合物がDkk相互作用タンパク質ペプチドアプタマーを含む請求項20の方法。
【請求項30】
前記化合物がDkk相互作用タンパク質ペプチドアプタマーの模倣物を含む請求項20の方法。
【請求項31】
真核細胞がさらに、転写活性化タンパク質のDNA結合ドメインをコードするヌクレオチド配列、転写活性化タンパク質の転写活性化ドメインをコードするヌクレオチド配列、およびレポーターエレメントをコードするヌクレオチド配列からなる群から選択された少なくとも1つの内因性ヌクレオチド配列を含んでおり、前記内因性ヌクレオチド配列の少なくとも1つが突然変異もしくは欠失によって不活化されている請求項20の方法。
【請求項32】
前記ペプチド結合対がリガンドと前記リガンドが結合する受容体とを含む請求項20の方法。
【請求項33】
前記転写活性化タンパク質がGal4、Gcn4、Hap1、Adr1、Swi5、Ste12、Mcm1、Yap1、Ace1、Ppr1、Arg81、Lac9、Qa1F、VP16、または哺乳動物核受容体である請求項20の方法。
【請求項34】
前記異種融合タンパク質の少なくとも1つが自己複製プラスミドから発現させられる請求項20の方法。
【請求項35】
前記DNA結合ドメインが転写活性化タンパク質の異種DNA結合ドメインである請求項20の方法。
【請求項36】
前記DNA結合タンパク質が哺乳動物ステロイド受容体および細菌LexAタンパク質からなる群から選択される請求項35の方法。
【請求項37】
前記レポーターエレメントがlacZ、ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするポリヌクレオチド、およびクロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼをコードするポリヌクレオチドからなる群から選択される請求項20の方法。
【請求項38】
前記レポーターエレメントがlacZである請求項37の方法。
【請求項39】
前記試験サンプルがLRP5ペプチドアプタマーを含む請求項20の方法。
【請求項40】
前記ペプチドアプタマーがOST262(配列番号208)である請求項39の方法。
【請求項41】
前記試験サンプルがLRP5抗体を含む請求項20の方法。
【請求項42】
Dkk−1が組織特異的な方法でノックアウトされているトランスジェニック動物。
【請求項43】
前記組織特異性が骨組織、癌組織、または肝組織である請求項42のトランスジェニック動物。
【請求項44】
Dkk活性を変調する潜在的化合物を同定するための方法であって、
a)化合物の存在下および不在下において、1つ以上のDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントと、Dkkまたはそのフラグメントとの結合に及ぼす影響を測定するステップと、
b)1つ以上のDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントとDkkまたはそのフラグメントとの間の結合を変調する化合物を、潜在的Dkkを変調する化合物であると同定するステップと
を含む方法。
【請求項45】
DkkとWntシグナル伝達経路との相互作用を変調するDkk相互作用タンパク質を同定する方法であって、
(a)Dkkおよび潜在的Dkk相互作用タンパク質mRNAをアフリカツメガエル(Xenopus)割球内へ注入するステップと、
(b)体軸重複を評価する、またはマーカー遺伝子発現を解析するステップと、
(c)体軸重複またはマーカー遺伝子発現における変化を引き出す組成物を、DkkとWntシグナル伝達経路との相互作用を変調するDkk相互作用タンパク質であると同定するステップと
を含む方法。
【請求項46】
HBM、LRP5/6、いずれかのWnt、Wntアンタゴニスト、Wnt経路変調剤、またはこれらの組み合わせのmRNAが、アフリカツメガエル割球内に共注入される請求項45の方法。
【請求項47】
解析されるマーカー遺伝子がSiamois、Xnr3、slug、Xbra、HNK−1、endodermin、Xlhbox8、BMP2、BMP4、XLRP6、EF−1またはODCである請求項45の方法。
【請求項48】
DkkとWntシグナル伝達経路との相互作用を変調するDkk相互作用タンパク質を同定するための方法であって、
(a)Dkkおよび潜在的Dkk相互作用タンパク質を含有する構築物を用いて細胞をトランスフェクトするステップと、
(b)Wnt反応性プロモーターへ連結したレポーター遺伝子の発現における変化を評価するステップと、
(c)Dkk構築物単独を用いてトランスフェクトされた細胞と比較してレポーター遺伝子発現を変化させるいずれかのタンパク質をDkk相互作用タンパク質であると同定するステップと
を含む方法。
【請求項49】
前記細胞が、HOB−03−CE6、HEK293、またはU2OS細胞である請求項48の方法。
【請求項50】
前記Wnt反応性プロモーターがTCFまたはLEFである請求項48の方法。
【請求項51】
前記細胞が、CMV β−ガラクトシダーゼを用いて共トランスフェクトされる請求項48の方法。
【請求項52】
DkkとLRP5/LRP6/HBMとの相互作用を変調する化合物を同定するための方法であって、
(a)LRP5/LRP6/HBMを固体表面へ固定化するステップと、
(b)分泌Dkkタンパク質もしくは分泌エピトープタグDkkおよび試験化合物を用いて固体表面を処理するステップと、
(c)Dkkもしくはエピトープタグに対する抗体を使用して、またはエピトープタグの活性を直接に測定するステップによって、前記化合物がDkkとLRP5/LRP6/HBMとの間の結合を変調するかどうかを決定するステップと
を含む方法。
【請求項53】
エピトープタグが、アルカリホスファターゼ、ヒスチジンまたはV5タグである請求項52の方法。
【請求項54】
DkkとWntシグナル伝達経路との相互作用を変調する化合物を同定するための方法であって、
(a)DkkおよびWntタンパク質を含有する構築物を用いて細胞をトランスフェクトするステップと、
(b)Wnt反応性プロモーターへ連結したレポーターエレメントの発現における変化を評価するステップと、
(c)Dkk構築物単独を用いてトランスフェクトされた細胞と比較してレポーター遺伝子発現を変化させるいずれかの化合物をDkk/Wnt相互作用を変調する化合物であると同定するステップと
を含む方法。
【請求項55】
WNt3aおよびWnt1構築物が、前記細胞内へ共トランスフェクトされる請求項54の方法。
【請求項56】
前記細胞が、U2OS、HOB−03−CE6、またはHEK293細胞である請求項54の方法。
【請求項57】
使用されるレポーターエレメントが、TCF−ルシフェラーゼ、tk−Renilla、またはその組み合わせである請求項54の方法。
【請求項58】
哺乳動物におけるDkk−媒介性活性を変調する化合物を試験する方法であって、
(a)(1)調節可能な1つ以上のDkk遺伝子、(2)Dkk遺伝子のノックアウト、もしくは(3)1つ以上のDkk遺伝子のノックインを有する1群のトランスジェニック動物を提供するステップと、
(b)ステップ(a)におけるトランスジェニック動物群に対して各々第2群のコントロール動物を提供するステップと、
(c)骨量または脂質濃度を変調する潜在的Dkk変調化合物へトランスジェニック動物群および対照動物群を曝露させるステップと、
(d)トランスジェニック動物群と対照動物群とを比較し、そして前記化合物が対照動物群に比してトランスジェニック動物における骨量または脂質濃度に及ぼす作用を決定するステップと
を含む方法。
【請求項59】
DkkとDkk相互作用タンパク質との相互作用を変調する化合物または組成物をスクリーニングするための方法であって、
(a)Dkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントを化合物へ曝露させるステップと、
(b)前記化合物がDkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントへ結合するかどうかを決定するステップと
を含む方法。
【請求項60】
前記変調が、前記化合物が前記Dkk相互作用タンパク質またはそのDkk結合フラグメントに結合するかどうかによって決定される請求項59の方法。
【請求項61】
DkkがDkk−1である請求項1、2、6、15、16、44、45、48、52、54、58、または59のいずれかの方法。
【請求項62】
Wntが1つ以上のWnt1〜Wnt19である請求項48又は54の方法。
【請求項63】
前記被検対象が、骨の発達障害、骨折、年齢関連性骨量減少、軟骨形成異常、薬物誘発性骨障害、骨の高度の代謝回転、高カルシウム血症、骨化過剰症、骨形成不全症、骨軟化症、骨髄炎、骨粗鬆症、ぺージェット病、変形性関節症、およびくる病からなる群から選択される骨量障害を有する請求項1の方法。
【請求項64】
前記被検対象が脂質変調障害を有し、前記脂質変調障害が心臓状態、アテローム性動脈硬化症、家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性アポタンパク質CII欠損症、家族性3型高リポタンパク血症、家族性高コレステロール血症、家族性高トリグリセリド血症、多種リポタンパク型高脂血症、透析および/または糖尿病を原因とする脂質濃度上昇、および病因不明の脂質濃度上昇からなる群から選択される請求項1の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−142274(P2009−142274A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302849(P2008−302849)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【分割の表示】特願2002−588934(P2002−588934)の分割
【原出願日】平成14年5月17日(2002.5.17)
【出願人】(501419705)オシエント ファーマシューティカルズ コーポレイション (2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】