EA材、その取付用クリップ及び取付構造
【課題】車体板金等の部材の板厚が変動しても、EA材をしっかりと装着することができるクリップと、このクリップを用いたEA材と、その取付構造を提供する。
【解決手段】クリップ20は、EA材の表面部分に配置されるフランジ21と、該フランジ21からEA材側に突設された軸部22と、該軸部22の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカー23と、このアンカー23に設けられた切欠部24と、該フランジ21から該軸部22と反対側に突設された係止体30とを有する。この係止体30は、前記フランジ21から起立する円筒状の起立体31と、該起立体31の側面から側方へ張り出されており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片32とを有する。EA材1を車体板金2A又は2Bに取り付けるには、該クリップ20を車体板金2A又は2Bの孔4に挿入し、EA材1を車体板金2A又は2Bに当てがう。最凸部40が孔4を通過することにより、EA材1が車体板金に保持される。
【解決手段】クリップ20は、EA材の表面部分に配置されるフランジ21と、該フランジ21からEA材側に突設された軸部22と、該軸部22の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカー23と、このアンカー23に設けられた切欠部24と、該フランジ21から該軸部22と反対側に突設された係止体30とを有する。この係止体30は、前記フランジ21から起立する円筒状の起立体31と、該起立体31の側面から側方へ張り出されており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片32とを有する。EA材1を車体板金2A又は2Bに取り付けるには、該クリップ20を車体板金2A又は2Bの孔4に挿入し、EA材1を車体板金2A又は2Bに当てがう。最凸部40が孔4を通過することにより、EA材1が車体板金に保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEA材(衝撃エネルギー吸収材)と、その取り付け用のクリップ及び取付構造に係り、特に自動車の車体板金に適用するのに好適なEA材と、その取り付け用のクリップ及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア車体板金には、側面衝突(側突)時の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)のために、硬質ウレタンフォームよりなるEA材を取り付けている。このドア車体板金に対し、硬質ウレタンフォーム製EA材を取り付ける方法として、特開2004−132462号には、第12,13図に示す構造が記載されている。
【0003】
第12図(a)は同号のEA材の取付構造を示す略水平方向の断面図、同(b)はこのEA材の取付構造の係止部の側面図、第13図(a)は係止部付きEA材の製造方法を説明する断面図、第13図(b)は同(a)の一部の拡大図である。
【0004】
第12図の通り、硬質ウレタンフォーム等の合成樹脂よりなる板状のEA材1が部材としての車体板金(この場合はドアトリム)2に対しクリップ3を介して取り付けられている。被係止部として孔4が該車体板金2に設けられており、クリップ3は該孔4に係合している。
【0005】
このクリップ3は、筒部6と、該筒部6の後端から外向き鍔状に張り出すアンカー5と、筒部6の先端から外向き鍔状に張り出すフランジ7と、筒部6の先端面から該筒部6の筒軸方向と平行方向に突設された複数(この実施の形態では2個)の突起8,8とを有する。この突起8,8は孔4の直径方向に対峙して設けられている。
【0006】
この突起8の突出方向の側面には、側方に張り出すように爪部8aが設けられており、この爪部8aとフランジ7との間にスペース9が存在している。この爪部8aは、フランジ7に接近するほど側方への張り出し高さが大きくなっており、突起8,8の外側の側面は先細状のテーパ面となっている。これにより、突起8,8は孔4に容易に挿入可能である。
【0007】
このクリップ3は、合成樹脂により全体として一体に成形されており、突起8,8は接近方向に弾性的に変形可能となっている。
【0008】
なお、このクリップ3を構成する合成樹脂には、フェライト粒子などの強磁性粒子が分散されており、且つ該強磁性粒子に着磁処理を施すことによりクリップ3は帯磁したものとなっている。これにより、このクリップ3はEA材1の成形用の金型に磁気的に吸着保持可能となっている。
【0009】
第12図の通り、クリップ3は、その筒部6及びアンカー5がEA材1中に埋設されている。フランジ7は、この実施の形態では、その下面がEA材1の表面と面一状となっているが、フランジ7の上面がEA材1の表面と面一となってもよく、フランジ7の下半部がEA材1中に埋設され、フランジ7の上半部がEA材1の表面から突出してもよい。ただし、フランジ7が例えば第12図に図示の如くEA材1の表面から突出していると、爪部8aとフランジ7とで車体板金2を挟持することにより、EA材1と車体板金2との接離方向の位置関係が一義的に定まったものとなる。
【0010】
このクリップ3付きのEA材1は、突起8,8を孔4に差し込みながら車体板金2に当てがうことにより該車体板金2に取り付けられる。EA材1を車体板金2に押し付けると、突起8,8が孔4に押し込まれる。爪部8aが孔4の内周面に押し付けられることにより、該突起8,8が接近方向に撓みながら孔4に差し込まれる。そして、爪部8aが孔4を通り抜けると、突起8,8が弾性的に元の形状に復帰し、各突起8の側面が孔4の内周面に弾性的に押し付けられると共に、爪部8aとフランジ7とで、スペース9に入り込んだ孔4の縁部を挟持する。このようにして、EA材1が車体板金2に取り付けられる。
【0011】
このクリップ3付きEA材1を製造するには、第13図のように下金型10及び上金型11よりなる金型を用い、この上金型11のキャビティ面にクリップ3を保持させておき、キャビティ内に合成樹脂材料を供給して成形する。ウレタン等の場合であれば、下金型10内にウレタン等の原液を供給し、これを発泡させる。
【0012】
クリップ3を保持する上金型11には、該クリップ3の突起8,8を受け入れる凹部12が設けられている。また、この凹部12の入口部分には、強磁性材料(例えば鉄コバルト合金などの合金、あるいはフェライト等のセラミック材料)よりなる環状体13が設けられている。この環状体13及びクリップ3の一方を着磁させることにより、クリップ3を環状体13に対し磁気的に吸着保持可能である。
【0013】
この環状体13の下面にフランジ7の上面を磁気的に吸着保持させて上記の成形を行う。金型内で合成樹脂が所定程度硬化した後、成形品を脱型することにより、クリップ3付きのEA材1が得られる。
【特許文献1】特開2004−132462号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
第12,13図に示すクリップ3は、爪部8aとフランジ7との間隔に合致する板厚の車体板金2にしか適用することができない。
【0015】
即ち、車体板金2が第12図に示すものよりも厚いときには、爪部8aが孔4を通過しえず、EA材1が車体板金2に係止されない。逆に、車体板金2が第12図に示すよりも板厚の小さいものであるときには、EA材1にガタツキが生じてしまう。
【0016】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、車体板金等の部材の板厚が変動しても、EA材をしっかりと装着することができるクリップと、このクリップを用いたEA材と、その取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1のクリップは、取付物を被取付板に取り付ける為のクリップにおいて、取付物の内部に埋め込まれる頭部と被取付板の上に露出するフランジと該フランジから垂下する脚部とからなり該脚部は先端に複数の突部を有する略円筒状の主脚と該主脚の長さ方向に上部が自由端となっている弾性係止片となっており、該弾性係止片は上端部に下向きの傾斜面を備え、下端に上向きの傾斜面を備え、傾斜面の合流地点近傍に急傾斜部を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2のクリップは、EA材を部材に取り付けるためのクリップであって、EA材の表面部分に配置されるフランジと、該フランジからEA材側に突設された軸部と、該軸部の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカーと、該フランジから該軸部と反対側に突設されており、前記部材に対し該クリップを係止させる係止体と、を有するEA材の取付用クリップにおいて、該係止体は、前記フランジから起立する起立体と、該起立体の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片とを備えてなり、該係止片は、前記起立体の起立方向と平行方向に延在しており、該係止片の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部となっており、該最凸部よりも起立体の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面となっており、該最凸部よりもフランジ側は、該フランジ側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面となっていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項3のクリップは、請求項2において、前記起立体は筒状であり、その側面に開口が設けられており、前記係止片は、該開口の縁部のうちフランジと反対側部分に対し弾性的に連なっていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4のクリップは、請求項3において、前記起立体に、周方向に間隔をあけて複数個の前記係止片が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項5のクリップは、請求項2ないし4のいずれか1項において、前記アンカーに、その外周縁から切り欠いた形状の切欠部が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6のEA材は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクリップを一体に備えたEA材であって、該クリップのフランジがEA材の表面部分に位置し、係止体がEA材から突出し、アンカーがEA材中に埋設されているものである。
【0023】
請求項7のEA材の取付構造は、部材に請求項6に記載のEA材を取り付けた構造であって、クリップの前記係止片が前記部材に設けられた被係止部に係合することにより、該EA材が該部材に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項8のEA材の取付構造は、請求項7において、該被係止部は孔であることを特徴とするものである。
【0025】
請求項9のEA材の取付構造は、請求項8において、前記クリップの前記第2の斜面が、該孔のEA材と反対側の縁部に係止されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項10のEA材の取付構造は、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記部材は車両の車体板金であることを特徴とするものである。
【0027】
請求項11のEA材の取付構造は、請求項7ないし10のいずれか1項において、前記EA材は硬質ウレタン等の合成樹脂よりなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
発泡材等からなる緩衝材、衝撃吸収材を取付板に取り付ける取付用クリップにおいて、取付板に穿たれた透し孔に前記取付用クリップを挿入する際、見通しが悪い取付部位であっても、先端に孔採り用の複数の突起部を設けたので簡単に孔を探し出すことができる。
【0029】
また、クリップの弾性係止片は下部から中間部に向かい外側に傾斜した傾斜面と傾斜面の最大外側にピーク点を有し最大径のピーク直上には短い急傾斜部を有し急傾斜部の延長上にフランジに向かい内側に傾斜した傾斜面を有しており、取付後に弾性係止片の復帰力により斜面づたいに前記取付用クリップが引き込まれ確実に最終固着位置までクリップが移動し、取付作業者も容易に取付作業完了を感触でも確認が可能である。
【0030】
本発明のクリップでは、係止片の途中に最凸部が設けられ、この最凸部よりもフランジ側に第2の斜面が設けられている。このクリップは、該第2の斜面が車体板金等の部材の孔の縁部(EA材と反対側の縁部)に当たる範囲の板厚の部材に対し適用することができる。
【0031】
この斜面よりも先端側の第1の斜面は、クリップの係止体を部材の孔に挿入するときに孔の内周面に当り、挿入と共に係止片が徐々に窄まる。クリップの最凸部が孔を通り抜けると、第2の斜面が孔の縁部に係止される。
【0032】
なお、このクリップをクリップ付きEA材の成形用の金型に装着する場合、上記最凸部が該金型のクリップ保持穴の入口を通過するときにクリック感が発生するので、成形作業者がクリップの装着完了を確認することが容易である。この点については、後の実施の形態において図面(第11図)を参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0034】
第1図は実施の形態に係るクリップの斜視図、第2図は第1図のクリップの正面図、第3図(a)は第1図のクリップの平面図、第3図(b)は第1図のクリップの側面図、第4図は第3図のIV−IV線断面図、第5図は第3図のV−V線断面図、第6図は第3図のVI−VI線断面図、第7図は第3図のVII−VII線断面図、第8図は第3図のVIII−VIII線断面図、第9図は車体板金厚が小さい場合のEA材の取付構造を示す断面図、第10図は車体板金厚が大きい場合のEA材の取付構造を示す断面図、第11図はクリップの金型への装着状態を示す断面図である。
【0035】
このクリップ20は、合成樹脂の一体成形品よりなるものである。このクリップ20は、EA材の表面部分に配置されるフランジ21と、該フランジ21からEA材側に突設された軸部22と、該軸部22の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカー23と、このアンカー23に設けられた切欠部24と、該フランジ21から該軸部22と反対側に突設された係止体30とを有する。
【0036】
この係止体30は、前記フランジ21から起立する円筒状の起立体31と、該起立体31の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片32とを有する。
【0037】
この係止片32は、起立体31の起立方向と平行方向に延在している。この係止片32の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部40となっており、該最凸部40よりも起立体31の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面41となっており、該最凸部40よりもフランジ21側は、該フランジ21側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面42となっている。
【0038】
第1の斜面41と起立体31の筒軸心線方向との交叉角度は15〜25゜程度が好適であり、第2の斜面42と起立体31の筒軸心線方向との交叉角度は20〜30゜程度が好適である。
【0039】
係止片32の下端、即ち図における最もフランジ21側は、フランジ21と平行な下端面32eとなっている。この下端面32eとフランジ21との距離(間隔)は1〜5mm程度が好適である。
【0040】
筒状の起立体31の側面に筒軸心線方向と平行方向に延在する2個の開口33が設けられている。各係止片32は、該開口33,33同士の縁部のうちフランジ21と反対側部分に対し弾性的に連なっている。
【0041】
この実施の形態では、起立体32に、直径方向に対峙して2個の開口33及び係止片32が設けられているが、起立体31の周方向に間隔をあけて3個以上の開口33及び係止片32が設けられてもよい。係止片32の数は2〜4程度が実用的である。
【0042】
起立体31の上端は、テーパ状に窄まっている。筒状起立体31は、該周面が円筒形であるが、内孔は十字形であるため、起立体31の上端からは4個の突起35が突出している。
【0043】
第9,10図の通り、このクリップ20のフランジ21がEA材1の表面部分に位置し、係止体30がEA材1から突出するように、軸部22及びアンカー23がEA材1中に埋設される。
【0044】
このようにクリップ20を備えたEA材1を、第9図、第10図のように車体板金2A又は2Bに取り付けるには、該クリップ20を車体板金2A又は2Bの孔4に挿入し、EA材1を車体板金2A又は2Bに当てがう。クリップ20の係止片32は、孔4の内周面に当るので、クリップ2を孔4に押し込むと係止片32が徐々に開口33内に引込むように縮径方向に後退する。最凸部40が孔4を通過すると、係止片32が弾性的に元の形状に戻ろうとする力により、第2の斜面42が孔4のEA材1と反対側の縁部に押し付けられる。これにより、車体板金2A又は2Bが第2の斜面42とフランジ21とで両側から挟まれた状態となり、EA材1が車体板金2A又は2Bに装着され、保持される。
【0045】
第9図のように比較的薄い車体板金2Aの場合でも、また、第10図のように比較的厚い車体板金2Bの場合でも、孔4のEA材1と反対側の縁部が第2の斜面42に当る限り、EA材1は車体板金2A又は2Bにしっかりと保持される。
【0046】
なお、このクリップ20を備えたEA材1は、第11図の如くクリップ20をEA材成形用金型50の内面に保持させて成形作業を行うことにより製造される。この金型には、キャビティに臨むようにしてクリップ保持穴51が設けられ、この穴51の入口部分が小径部51aとなっている。
【0047】
クリップ20は、係止体30を該穴51に押し込むようにして装着される。この際、最凸部40が該小径部51aを通過するときにクリック感が発生する。そのため、成形作業員がクリップ20を穴51に装着する際に、クリップ20を十分に穴51に押し込んだことを確認することが可能である。
【0048】
このクリップ20のアンカー23に切欠部24が設けられているので、第11図の如くしてEA材の成形を行う場合、ウレタン等の樹脂がフランジ21とアンカー23との間に十分に入り込み、クリップ20がEA材としっかりと一体化する。
【0049】
なお、第1の斜面41により被取付板の板厚を許容できる。また、被取付板の上面までフランジ下面が引き込まれる。
【0050】
係止片32に段差を設けることにより、取付作業者が取付作業の確認が出来、不完全取付を防止出来る。
【0051】
クリップ20の先端に複数の突起35を設けているので、取付孔を採ることができる。メクラ作業においても迅速に孔を探し当てることが出来、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態に係るクリップの斜視図である。
【図2】第1図のクリップの正面図である。
【図3】第3図(a)は第1図のクリップの平面図、第3図(b)は第1図のクリップの側面図である。
【図4】第3図のIV−IV線断面図である。
【図5】第3図のV−V線断面図である。
【図6】第3図のVI−VI線断面図である。
【図7】第3図のVII−VII線断面図である。
【図8】第3図のVIII−VIII線断面図である。
【図9】車体板金厚が小さい場合のEA材の取付構造を示す断面図である。
【図10】車体板金厚が大きい場合のEA材の取付構造を示す断面図である。
【図11】クリップの金型への装着状態を示す断面図である。
【図12】従来例を示す説明図である。
【図13】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 EA材
2,2A,2B 車体板金
3 クリップ
4 孔
20 クリップ
21 フランジ
22 軸部
23 アンカー
24 切欠部
30 係止体
31 起立体
32 係止片
40 最凸部
41 第1の斜面
42 第2の斜面
【技術分野】
【0001】
本発明はEA材(衝撃エネルギー吸収材)と、その取り付け用のクリップ及び取付構造に係り、特に自動車の車体板金に適用するのに好適なEA材と、その取り付け用のクリップ及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア車体板金には、側面衝突(側突)時の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)のために、硬質ウレタンフォームよりなるEA材を取り付けている。このドア車体板金に対し、硬質ウレタンフォーム製EA材を取り付ける方法として、特開2004−132462号には、第12,13図に示す構造が記載されている。
【0003】
第12図(a)は同号のEA材の取付構造を示す略水平方向の断面図、同(b)はこのEA材の取付構造の係止部の側面図、第13図(a)は係止部付きEA材の製造方法を説明する断面図、第13図(b)は同(a)の一部の拡大図である。
【0004】
第12図の通り、硬質ウレタンフォーム等の合成樹脂よりなる板状のEA材1が部材としての車体板金(この場合はドアトリム)2に対しクリップ3を介して取り付けられている。被係止部として孔4が該車体板金2に設けられており、クリップ3は該孔4に係合している。
【0005】
このクリップ3は、筒部6と、該筒部6の後端から外向き鍔状に張り出すアンカー5と、筒部6の先端から外向き鍔状に張り出すフランジ7と、筒部6の先端面から該筒部6の筒軸方向と平行方向に突設された複数(この実施の形態では2個)の突起8,8とを有する。この突起8,8は孔4の直径方向に対峙して設けられている。
【0006】
この突起8の突出方向の側面には、側方に張り出すように爪部8aが設けられており、この爪部8aとフランジ7との間にスペース9が存在している。この爪部8aは、フランジ7に接近するほど側方への張り出し高さが大きくなっており、突起8,8の外側の側面は先細状のテーパ面となっている。これにより、突起8,8は孔4に容易に挿入可能である。
【0007】
このクリップ3は、合成樹脂により全体として一体に成形されており、突起8,8は接近方向に弾性的に変形可能となっている。
【0008】
なお、このクリップ3を構成する合成樹脂には、フェライト粒子などの強磁性粒子が分散されており、且つ該強磁性粒子に着磁処理を施すことによりクリップ3は帯磁したものとなっている。これにより、このクリップ3はEA材1の成形用の金型に磁気的に吸着保持可能となっている。
【0009】
第12図の通り、クリップ3は、その筒部6及びアンカー5がEA材1中に埋設されている。フランジ7は、この実施の形態では、その下面がEA材1の表面と面一状となっているが、フランジ7の上面がEA材1の表面と面一となってもよく、フランジ7の下半部がEA材1中に埋設され、フランジ7の上半部がEA材1の表面から突出してもよい。ただし、フランジ7が例えば第12図に図示の如くEA材1の表面から突出していると、爪部8aとフランジ7とで車体板金2を挟持することにより、EA材1と車体板金2との接離方向の位置関係が一義的に定まったものとなる。
【0010】
このクリップ3付きのEA材1は、突起8,8を孔4に差し込みながら車体板金2に当てがうことにより該車体板金2に取り付けられる。EA材1を車体板金2に押し付けると、突起8,8が孔4に押し込まれる。爪部8aが孔4の内周面に押し付けられることにより、該突起8,8が接近方向に撓みながら孔4に差し込まれる。そして、爪部8aが孔4を通り抜けると、突起8,8が弾性的に元の形状に復帰し、各突起8の側面が孔4の内周面に弾性的に押し付けられると共に、爪部8aとフランジ7とで、スペース9に入り込んだ孔4の縁部を挟持する。このようにして、EA材1が車体板金2に取り付けられる。
【0011】
このクリップ3付きEA材1を製造するには、第13図のように下金型10及び上金型11よりなる金型を用い、この上金型11のキャビティ面にクリップ3を保持させておき、キャビティ内に合成樹脂材料を供給して成形する。ウレタン等の場合であれば、下金型10内にウレタン等の原液を供給し、これを発泡させる。
【0012】
クリップ3を保持する上金型11には、該クリップ3の突起8,8を受け入れる凹部12が設けられている。また、この凹部12の入口部分には、強磁性材料(例えば鉄コバルト合金などの合金、あるいはフェライト等のセラミック材料)よりなる環状体13が設けられている。この環状体13及びクリップ3の一方を着磁させることにより、クリップ3を環状体13に対し磁気的に吸着保持可能である。
【0013】
この環状体13の下面にフランジ7の上面を磁気的に吸着保持させて上記の成形を行う。金型内で合成樹脂が所定程度硬化した後、成形品を脱型することにより、クリップ3付きのEA材1が得られる。
【特許文献1】特開2004−132462号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
第12,13図に示すクリップ3は、爪部8aとフランジ7との間隔に合致する板厚の車体板金2にしか適用することができない。
【0015】
即ち、車体板金2が第12図に示すものよりも厚いときには、爪部8aが孔4を通過しえず、EA材1が車体板金2に係止されない。逆に、車体板金2が第12図に示すよりも板厚の小さいものであるときには、EA材1にガタツキが生じてしまう。
【0016】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、車体板金等の部材の板厚が変動しても、EA材をしっかりと装着することができるクリップと、このクリップを用いたEA材と、その取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1のクリップは、取付物を被取付板に取り付ける為のクリップにおいて、取付物の内部に埋め込まれる頭部と被取付板の上に露出するフランジと該フランジから垂下する脚部とからなり該脚部は先端に複数の突部を有する略円筒状の主脚と該主脚の長さ方向に上部が自由端となっている弾性係止片となっており、該弾性係止片は上端部に下向きの傾斜面を備え、下端に上向きの傾斜面を備え、傾斜面の合流地点近傍に急傾斜部を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項2のクリップは、EA材を部材に取り付けるためのクリップであって、EA材の表面部分に配置されるフランジと、該フランジからEA材側に突設された軸部と、該軸部の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカーと、該フランジから該軸部と反対側に突設されており、前記部材に対し該クリップを係止させる係止体と、を有するEA材の取付用クリップにおいて、該係止体は、前記フランジから起立する起立体と、該起立体の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片とを備えてなり、該係止片は、前記起立体の起立方向と平行方向に延在しており、該係止片の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部となっており、該最凸部よりも起立体の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面となっており、該最凸部よりもフランジ側は、該フランジ側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面となっていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項3のクリップは、請求項2において、前記起立体は筒状であり、その側面に開口が設けられており、前記係止片は、該開口の縁部のうちフランジと反対側部分に対し弾性的に連なっていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項4のクリップは、請求項3において、前記起立体に、周方向に間隔をあけて複数個の前記係止片が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項5のクリップは、請求項2ないし4のいずれか1項において、前記アンカーに、その外周縁から切り欠いた形状の切欠部が設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
請求項6のEA材は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクリップを一体に備えたEA材であって、該クリップのフランジがEA材の表面部分に位置し、係止体がEA材から突出し、アンカーがEA材中に埋設されているものである。
【0023】
請求項7のEA材の取付構造は、部材に請求項6に記載のEA材を取り付けた構造であって、クリップの前記係止片が前記部材に設けられた被係止部に係合することにより、該EA材が該部材に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項8のEA材の取付構造は、請求項7において、該被係止部は孔であることを特徴とするものである。
【0025】
請求項9のEA材の取付構造は、請求項8において、前記クリップの前記第2の斜面が、該孔のEA材と反対側の縁部に係止されていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項10のEA材の取付構造は、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記部材は車両の車体板金であることを特徴とするものである。
【0027】
請求項11のEA材の取付構造は、請求項7ないし10のいずれか1項において、前記EA材は硬質ウレタン等の合成樹脂よりなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
発泡材等からなる緩衝材、衝撃吸収材を取付板に取り付ける取付用クリップにおいて、取付板に穿たれた透し孔に前記取付用クリップを挿入する際、見通しが悪い取付部位であっても、先端に孔採り用の複数の突起部を設けたので簡単に孔を探し出すことができる。
【0029】
また、クリップの弾性係止片は下部から中間部に向かい外側に傾斜した傾斜面と傾斜面の最大外側にピーク点を有し最大径のピーク直上には短い急傾斜部を有し急傾斜部の延長上にフランジに向かい内側に傾斜した傾斜面を有しており、取付後に弾性係止片の復帰力により斜面づたいに前記取付用クリップが引き込まれ確実に最終固着位置までクリップが移動し、取付作業者も容易に取付作業完了を感触でも確認が可能である。
【0030】
本発明のクリップでは、係止片の途中に最凸部が設けられ、この最凸部よりもフランジ側に第2の斜面が設けられている。このクリップは、該第2の斜面が車体板金等の部材の孔の縁部(EA材と反対側の縁部)に当たる範囲の板厚の部材に対し適用することができる。
【0031】
この斜面よりも先端側の第1の斜面は、クリップの係止体を部材の孔に挿入するときに孔の内周面に当り、挿入と共に係止片が徐々に窄まる。クリップの最凸部が孔を通り抜けると、第2の斜面が孔の縁部に係止される。
【0032】
なお、このクリップをクリップ付きEA材の成形用の金型に装着する場合、上記最凸部が該金型のクリップ保持穴の入口を通過するときにクリック感が発生するので、成形作業者がクリップの装着完了を確認することが容易である。この点については、後の実施の形態において図面(第11図)を参照して詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0034】
第1図は実施の形態に係るクリップの斜視図、第2図は第1図のクリップの正面図、第3図(a)は第1図のクリップの平面図、第3図(b)は第1図のクリップの側面図、第4図は第3図のIV−IV線断面図、第5図は第3図のV−V線断面図、第6図は第3図のVI−VI線断面図、第7図は第3図のVII−VII線断面図、第8図は第3図のVIII−VIII線断面図、第9図は車体板金厚が小さい場合のEA材の取付構造を示す断面図、第10図は車体板金厚が大きい場合のEA材の取付構造を示す断面図、第11図はクリップの金型への装着状態を示す断面図である。
【0035】
このクリップ20は、合成樹脂の一体成形品よりなるものである。このクリップ20は、EA材の表面部分に配置されるフランジ21と、該フランジ21からEA材側に突設された軸部22と、該軸部22の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカー23と、このアンカー23に設けられた切欠部24と、該フランジ21から該軸部22と反対側に突設された係止体30とを有する。
【0036】
この係止体30は、前記フランジ21から起立する円筒状の起立体31と、該起立体31の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片32とを有する。
【0037】
この係止片32は、起立体31の起立方向と平行方向に延在している。この係止片32の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部40となっており、該最凸部40よりも起立体31の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面41となっており、該最凸部40よりもフランジ21側は、該フランジ21側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面42となっている。
【0038】
第1の斜面41と起立体31の筒軸心線方向との交叉角度は15〜25゜程度が好適であり、第2の斜面42と起立体31の筒軸心線方向との交叉角度は20〜30゜程度が好適である。
【0039】
係止片32の下端、即ち図における最もフランジ21側は、フランジ21と平行な下端面32eとなっている。この下端面32eとフランジ21との距離(間隔)は1〜5mm程度が好適である。
【0040】
筒状の起立体31の側面に筒軸心線方向と平行方向に延在する2個の開口33が設けられている。各係止片32は、該開口33,33同士の縁部のうちフランジ21と反対側部分に対し弾性的に連なっている。
【0041】
この実施の形態では、起立体32に、直径方向に対峙して2個の開口33及び係止片32が設けられているが、起立体31の周方向に間隔をあけて3個以上の開口33及び係止片32が設けられてもよい。係止片32の数は2〜4程度が実用的である。
【0042】
起立体31の上端は、テーパ状に窄まっている。筒状起立体31は、該周面が円筒形であるが、内孔は十字形であるため、起立体31の上端からは4個の突起35が突出している。
【0043】
第9,10図の通り、このクリップ20のフランジ21がEA材1の表面部分に位置し、係止体30がEA材1から突出するように、軸部22及びアンカー23がEA材1中に埋設される。
【0044】
このようにクリップ20を備えたEA材1を、第9図、第10図のように車体板金2A又は2Bに取り付けるには、該クリップ20を車体板金2A又は2Bの孔4に挿入し、EA材1を車体板金2A又は2Bに当てがう。クリップ20の係止片32は、孔4の内周面に当るので、クリップ2を孔4に押し込むと係止片32が徐々に開口33内に引込むように縮径方向に後退する。最凸部40が孔4を通過すると、係止片32が弾性的に元の形状に戻ろうとする力により、第2の斜面42が孔4のEA材1と反対側の縁部に押し付けられる。これにより、車体板金2A又は2Bが第2の斜面42とフランジ21とで両側から挟まれた状態となり、EA材1が車体板金2A又は2Bに装着され、保持される。
【0045】
第9図のように比較的薄い車体板金2Aの場合でも、また、第10図のように比較的厚い車体板金2Bの場合でも、孔4のEA材1と反対側の縁部が第2の斜面42に当る限り、EA材1は車体板金2A又は2Bにしっかりと保持される。
【0046】
なお、このクリップ20を備えたEA材1は、第11図の如くクリップ20をEA材成形用金型50の内面に保持させて成形作業を行うことにより製造される。この金型には、キャビティに臨むようにしてクリップ保持穴51が設けられ、この穴51の入口部分が小径部51aとなっている。
【0047】
クリップ20は、係止体30を該穴51に押し込むようにして装着される。この際、最凸部40が該小径部51aを通過するときにクリック感が発生する。そのため、成形作業員がクリップ20を穴51に装着する際に、クリップ20を十分に穴51に押し込んだことを確認することが可能である。
【0048】
このクリップ20のアンカー23に切欠部24が設けられているので、第11図の如くしてEA材の成形を行う場合、ウレタン等の樹脂がフランジ21とアンカー23との間に十分に入り込み、クリップ20がEA材としっかりと一体化する。
【0049】
なお、第1の斜面41により被取付板の板厚を許容できる。また、被取付板の上面までフランジ下面が引き込まれる。
【0050】
係止片32に段差を設けることにより、取付作業者が取付作業の確認が出来、不完全取付を防止出来る。
【0051】
クリップ20の先端に複数の突起35を設けているので、取付孔を採ることができる。メクラ作業においても迅速に孔を探し当てることが出来、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態に係るクリップの斜視図である。
【図2】第1図のクリップの正面図である。
【図3】第3図(a)は第1図のクリップの平面図、第3図(b)は第1図のクリップの側面図である。
【図4】第3図のIV−IV線断面図である。
【図5】第3図のV−V線断面図である。
【図6】第3図のVI−VI線断面図である。
【図7】第3図のVII−VII線断面図である。
【図8】第3図のVIII−VIII線断面図である。
【図9】車体板金厚が小さい場合のEA材の取付構造を示す断面図である。
【図10】車体板金厚が大きい場合のEA材の取付構造を示す断面図である。
【図11】クリップの金型への装着状態を示す断面図である。
【図12】従来例を示す説明図である。
【図13】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 EA材
2,2A,2B 車体板金
3 クリップ
4 孔
20 クリップ
21 フランジ
22 軸部
23 アンカー
24 切欠部
30 係止体
31 起立体
32 係止片
40 最凸部
41 第1の斜面
42 第2の斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付物を被取付板に取り付ける為のクリップにおいて、取付物の内部に埋め込まれる頭部と被取付板の上に露出するフランジと該フランジから垂下する脚部とからなり該脚部は先端に複数の突部を有する略円筒状の主脚と該主脚の長さ方向に上部が自由端となっている弾性係止片となっており、該弾性係止片は上端部に下向きの傾斜面を備え、下端に上向きの傾斜面を備え、傾斜面の合流地点近傍に急傾斜部を備えたことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
EA材を部材に取り付けるためのクリップであって、
EA材の表面部分に配置されるフランジと、
該フランジからEA材側に突設された軸部と、
該軸部の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカーと、
該フランジから該軸部と反対側に突設されており、前記部材に対し該クリップを係止させる係止体と、
を有するEA材の取付用クリップにおいて、
該係止体は、前記フランジから起立する起立体と、該起立体の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片とを備えてなり、
該係止片は、前記起立体の起立方向と平行方向に延在しており、
該係止片の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部となっており、該最凸部よりも起立体の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面となっており、
該最凸部よりもフランジ側は、該フランジ側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項3】
請求項2において、前記起立体は筒状であり、その側面に開口が設けられており、
前記係止片は、該開口の縁部のうちフランジと反対側部分に対し弾性的に連なっていることを特徴とするクリップ。
【請求項4】
請求項3において、前記起立体に、周方向に間隔をあけて複数個の前記係止片が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項において、前記アンカーに、その外周縁から切り欠いた形状の切欠部が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクリップを一体に備えたEA材であって、
該クリップのフランジがEA材の表面部分に位置し、係止体がEA材から突出し、
アンカーがEA材中に埋設されているEA材。
【請求項7】
部材に請求項6に記載のEA材を取り付けた構造であって、クリップの前記係止片が前記部材に設けられた被係止部に係合することにより、該EA材が該部材に取り付けられていることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項8】
請求項7において、該被係止部は孔であることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項9】
請求項8において、前記クリップの前記第2の斜面が、該孔のEA材と反対側の縁部に係止されていることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項において、前記部材は車両の車体板金であることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項において、前記EA材は硬質ウレタン等の合成樹脂よりなることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項1】
取付物を被取付板に取り付ける為のクリップにおいて、取付物の内部に埋め込まれる頭部と被取付板の上に露出するフランジと該フランジから垂下する脚部とからなり該脚部は先端に複数の突部を有する略円筒状の主脚と該主脚の長さ方向に上部が自由端となっている弾性係止片となっており、該弾性係止片は上端部に下向きの傾斜面を備え、下端に上向きの傾斜面を備え、傾斜面の合流地点近傍に急傾斜部を備えたことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
EA材を部材に取り付けるためのクリップであって、
EA材の表面部分に配置されるフランジと、
該フランジからEA材側に突設された軸部と、
該軸部の先端から拡開しており、EA材中に埋設されるアンカーと、
該フランジから該軸部と反対側に突設されており、前記部材に対し該クリップを係止させる係止体と、
を有するEA材の取付用クリップにおいて、
該係止体は、前記フランジから起立する起立体と、該起立体の側面から側方へ張り出しており、この張り出し方向へ弾性的に進退可能な係止片とを備えてなり、
該係止片は、前記起立体の起立方向と平行方向に延在しており、
該係止片の延在方向の途中部分が最も側方に張り出した最凸部となっており、該最凸部よりも起立体の先端側は、該先端側ほど張出方向の高さが小さくなる第1の斜面となっており、
該最凸部よりもフランジ側は、該フランジ側ほど張出方向の高さが小さくなる第2の斜面となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項3】
請求項2において、前記起立体は筒状であり、その側面に開口が設けられており、
前記係止片は、該開口の縁部のうちフランジと反対側部分に対し弾性的に連なっていることを特徴とするクリップ。
【請求項4】
請求項3において、前記起立体に、周方向に間隔をあけて複数個の前記係止片が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項において、前記アンカーに、その外周縁から切り欠いた形状の切欠部が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のクリップを一体に備えたEA材であって、
該クリップのフランジがEA材の表面部分に位置し、係止体がEA材から突出し、
アンカーがEA材中に埋設されているEA材。
【請求項7】
部材に請求項6に記載のEA材を取り付けた構造であって、クリップの前記係止片が前記部材に設けられた被係止部に係合することにより、該EA材が該部材に取り付けられていることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項8】
請求項7において、該被係止部は孔であることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項9】
請求項8において、前記クリップの前記第2の斜面が、該孔のEA材と反対側の縁部に係止されていることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項において、前記部材は車両の車体板金であることを特徴とするEA材の取付構造。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項において、前記EA材は硬質ウレタン等の合成樹脂よりなることを特徴とするEA材の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−161109(P2007−161109A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360625(P2005−360625)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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