説明

EGR−1エンハンサー要素に関連する疾患の処置

遺伝子の発現状態に関連する健康状態(例えば、受精障害、癌、増殖性疾患、脈管疾患、治療介入を必要とする創傷、炎症、および肺障害)を罹患している患者を処置するための化合物および方法が、提供され、この方法は、egr−1および/またはegr−1応答要素コンセンサス配列を調節し、それによって、上記遺伝子の発現状態を変更し得る化合物をその患者に投与する工程を包含する。egr−1および/またはegr−1コンセンサス配列要素のエフェクターを同定する化合物をスクリーニングするための新規の方法、ならびに、egr−1および/またはegr−1コンセンサス配列を調節するためにそのようなエフェクターを投与し、それによって、それと関連する遺伝子の発現を改変し、次いで、そのような遺伝子の発現と関連する疾患または他の生理学的条件を処置することによって、患者を処置するための方法もまた記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、APO AIタンパク質の発現を調節するための化合物をスクリーニングするための方法、ならびに、関連する遺伝子の発現に影響を及ぼすために、egr−1および/またはegr−1コンセンサス配列要素の活性を調節し、それによって疾患の処置を達成するための方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
心血管疾患は、高血圧、冠状動脈性心疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心不全、リウマチ性心疾患、先天性心疾患および心筋症を含む、心臓および血管の障害の群を特定するのに用いられる総称である。心血管疾患の主な原因は、アテローム性動脈硬化症であり、脂質の蓄積が動脈壁上に沈着する。血中コレステロール値の上昇は、アテローム性動脈硬化症を発症する危険性と高度に相関し、従って、かなりの医学研究が、血中コレステロールを低下させる治療の開発に捧げられてきた。
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、脈管構造内層の正常機能が損なわれる障害である内皮機能不全に関連し、この内皮機能不全は、多数の他の心血管疾患(例えば、狭心症、心筋梗塞および脳血管疾患)の重要な危険因子であるのみならず、アテローム性動脈硬化症の病因に寄与する。内皮機能不全の顕著な特徴としては、酸化的血管ストレスおよび血管収縮の増大、ならびに血中コレステロール値の上昇が挙げられ、これらは全て、互いに促進して心血管疾患の進行を加速させる。疾患の進行を最も首尾よく妨害するために、心血管疾患の多重因果的危険因子に対する改善された治療ストラテジーが必要とされる。
【0004】
レスベラトロール(trans−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン)は、特定の植物およびベリー(赤ブドウ、ラズベリー、マルベリーが挙げられる)、ピーナッツおよびいくつかの他の植物に見出される天然のポリフェノールである。赤ワインに存在するレスベラトロール、その代謝産物および関連するポリフェノールが、「フレンチパラドックス」と称される疫学的観察の基礎となり得ることが示唆されてきた。このパラドックスは、北アメリカの住民の食事と比較して、多量の飽和脂肪を含む食事の消費にも関わらずフランスの住民における心臓血管疾患(CVD)の発生率が低いという発見に関連する。北アメリカの食事における飽和脂肪の含有量が、虚血症性心臓疾患の発生に対する主要な原因である。しかし、フランスにおいては、比較される食事は、北アメリカの住民の虚血性心臓疾患の発生率の1/3に等しいこの疾患の発生に関連する。レスベラトロールがこのパラドックスに寄与し、その寄与が抗酸化剤として、さらに、いまだ公知でない作用の機構としての、その潜在的役割に由来していることが推測されている。レスベラトロールおよび関連化合物は、天然に豊富に見出され、そしてその最良の公知の供給源の1つは、赤ブドウの皮であり、皮1グラムにつき、50〜100μgを含み得る(非特許文献1)。レスベラトロールは、多くの赤ワイン中に見出され、そしてまた市販の調製物中で得られ得る。
【0005】
部分的に、レスベラトロールの作用は、低密度リポタンパク質(LDL)粒子の脂質過酸化を阻害し、従って、酸化されたLDLの細胞障害性を防止するその推測される抗酸化特性から発生し得る。酸化LDLの量の増加は、CVDの発症についての危険因子である(非特許文献2;非特許文献3)。CVDの病原における血小板凝集は、その疾患の初期および後期(最終の動脈血栓症の発作を含む)に発生する。これは、通常、虚血または心筋梗塞に結び付く最終的な事象である。従って、この血小板活性を阻害するレスベラトロールの能力は、アテローム硬化症(非特許文献4;非特許文献5)とその最後の発作との両方の予防におそらく役立っていると考えられる。これらのレスベラトロールの効果は、部分的に、中程度の量の赤ワイン消費による心臓を防御する効果を含み得る。
【0006】
(コレステロール代謝)
コレステロールは、その不溶性に起因して、リポタンパク質と称する脂質およびタンパク質の複合体によって血中で輸送される。低密度リポタンパク質(LDL)は、肝臓から体内の他の組織へのコレステロールの送達を担うと考えられ、従って、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれるようになってきた。LDL粒子は、中密度リポタンパク質(IDL)から変換され、このIDL自体は、超低密度リポタンパク質(VLDL)からトリグリセリドを除去することによって生成される。VLDLは、肝臓においてトリグリセリドおよびいくつかのアポリポタンパク質から合成され、次いで血流中に直接分泌される。
【0007】
高密度リポタンパク質(HDL)は、コレステロールを肝外組織から肝臓(ここでコレステロールは異化され、次いでコレステロール逆輸送(RCT)と呼ばれるプロセスで排出される)に輸送する主要なキャリア分子であると考えられ、これによって、HDLは「善玉コレステロール」のあだ名を得ている。この肝臓で生じる排出プロセスにおいて、コレステロールは胆汁酸に変換され、次いで体外に排泄される。
【0008】
(高脂血症の現在の処置)
現在認可されているコレステロールを低下させる薬物は、正常なコレステロール代謝経路を多数の異なる点で攻撃することによって治療的利点をもたらす。胆汁酸結合樹脂(例えば、コレスチラミン)は、胆汁酸に吸着して体外に排泄され、その結果、胆汁酸へのコレステロールの変換を増大させ、結果的に血中コレステロールを低下させる。樹脂は、血清コレステロールを最大20%低下させるにすぎず、胃腸の副作用を引き起こし、そしてこれらの樹脂は他の薬物に結合してその排泄を引き起こすため、他の薬物療法と同時に投与することができない。
【0009】
ナイアシンは、リポタンパク質合成を阻害し、そしてLDLを作製するのに必要なVLDL粒子の生成を低下させる。HDLレベルを増大するのに必要な高濃度で投与されると、顔面紅潮のような重篤な副作用が生じる。
【0010】
フィブラート(例えば、クロフィブラートおよびフェノフィブラート)は、核ホルモンレセプターのペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)ファミリーに属する転写制御因子を活性化すると考えられる。これらの転写制御因子は、HDLの生成に関与する遺伝子をアップレギュレートし、そしてLDLの生成に関与する遺伝子をダウンレギュレートする。フィブラートは、VLDL画分を減少させることによって血清トリグリセリドを減少させるため、高脂血症を処置するのに用いられる。しかし、フィブラートは、患者における脂質応答の不均質性のため、および冠状動脈性心疾患を発症した患者において観察される効力の欠如のため、高コレステロール血症治療法として米国で認可されていない。同様に、フィブラートの使用は、胃腸癌、胆嚢疾患および非冠動脈疾患死の発生率の増加のような、重篤な副作用を伴う。
【0011】
スタチンは、HMG CoAレダクターゼインヒビターとしても公知であり、肝コレステロール合成における律速酵素を阻害することによって、VLDL、LDL、およびIDLコレステロールを減少させる。スタチンは、HDLレベルをごくわずかに増加させるのみであり、多数の肝および腎機能不全の副作用がこれらの薬物の使用に伴う。
【0012】
エゼチミブは、心血管治療法の新しいクラスにおいて初めて認可された薬物であり、腸におけるコレステロール取り込みを阻害することによって機能する。エゼチミブは、LDLを低下させるが、HDLレベルをあまり増加させず、体内で合成されるコレステロールにも、血流中を循環しているかまたはアテローム斑中に存在するコレステロールにも対処しない。コレステロール吸収に影響を及ぼすことも見出されている他の化合物としては、胆汁酸結合剤コレスチラミンおよび植物ステロールが挙げられる。
【0013】
これらの治療アプローチの開発にもかかわらず、HDLの血中レベルを増加することはほとんど達成されておらず、そして現在認可されている全ての薬物は、副作用および効力によってそれらの治療有効性が限定されている。結果的に、HDLを安全に増加させ、従って逆コレステロール輸送速度を増加させてコレステロールの血中レベルを低下させるために、治療アプローチを改善する必要性がある。
【0014】
(内皮機能不全およびアテローム性動脈硬化症)
内皮機能障害は、アテローム性動脈硬化症の発生初期に生じ、実際には脂質が沈着する前に検出可能である。内皮機能不全は、血管収縮を症候的な特徴とし、高血圧(脳卒中および心筋梗塞のような他の心血管疾患の周知の危険因子である)を引き起こす。研究により、アテローム性動脈硬化症患者における内皮機能低下が、血管拡張を誘導するシグナル伝達分子である一酸化窒素(NO)のバイオアベイラビリティの低下に、原因として関連づけられている。
【0015】
NOのバイオアベイラビリティの低下はまた、アテローム性動脈硬化症の病因の一因となる他の機構を活性化する。例えば、NOは、アテローム性動脈硬化症を特徴付ける脂質プラークの発生に必要な工程である、血小板凝集を阻害することが周知である。同様に、NOは、白血球接着(アテローム性動脈硬化症の発症における主要な工程であり、そしておそらく高脂血症の患者における血管酸化的ストレスの増加による結果である)を阻害する、重要な内因性のメディエーターである。粘着白血球は、大量の活性酸素種を放出することによって酸化的ストレスをさらに増大させる。
【0016】
血管酸化的ストレスの増大および高コレステロール血症は、NOバイオアベイラビリティの低下を引き起こす誘因として、個々に同定されてきた。酸化の増加はまた、アテローム硬化性病変形成の別の誘導因子である、フリーラジカル媒介性の脂質過酸化も引き起こす。要約すれば、これらの3つの主要因子(高コレステロール血症、血管酸化的ストレスおよびNOのバイオアベイラビリティの低下)はそれぞれ、他の因子の程度および病理学的重症度を増大させる、正のフィードバックループが存在すると考えられる。
【0017】
(抗酸化剤およびプロ−アポリポタンパク質AI因子としてのレスベラトロール)
レスベラトロールが心臓血管疾患の発生率を減少させる機構が、いくつかの両立しない仮説を伴って、かなりの議論の話題を保持している。レスベラトロールは、強力な抗酸化剤であることを実証されてきており、この抗酸化剤は、LDL粒子のより低いレベルの過酸化をもたらし、そしてその後にアテローム硬化症を阻害することが示唆されている。レスベラトロールはまた、白血球の付着および血小板の凝集のインヒビターとして関与を示唆されてきた。さらに、レスベラトロールは、p21およびp53の活性レベルを調節する、その記載された能力に起因して、潜在的な抗癌治療として調査されている。
【0018】
レスベラトロールは、抗炎症薬として同定されており、シクロオキシゲナーゼ−1酵素の阻害(特許文献1;非特許文献6;特許文献2)およびプロテインキナーゼ阻害(特許文献3)を含む機構が提唱されている。従って、レスベラトロールは、関節性障害、喘息性障害、乾癬性障害、胃腸障害、眼障害、肺炎症性障害、癌を処置するために、鎮痛薬として、解熱剤として、または血管疾患、中枢神経系障害ならびに細菌、真菌およびウイルス感染に関連する炎症の処置のために、治療的に用いられる可能性を有し得る。
【0019】
レスベラトロールは、サーチュインを活性化させる化合物として最近記載され、SirT1と直接相互作用してp53のダウンレギュレーションを引き起こすことによって、寿命を延長することが示唆された。レスベラトロールはまた、アリール炭化水素レセプターをアンタゴナイズし、エストロゲンレセプターをアゴナイズすることも知られており、ERK1/2経路の活性化によって、および転写制御因子egr−1の活性の増大によって、活性を仲介することが記載されている。
【0020】
ごく最近、レスベラトロールは、部位S(ApoA−I遺伝子のプロモーター領域におけるヌクレオチド配列)を通じて媒介されると推定される、アポリポタンパク質AIの転写を増加させることが見出された(非特許文献7)。
【特許文献1】米国特許第6,541,045号明細書
【特許文献2】米国特許第6,414,037号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第0030171429号明細書
【非特許文献1】Jang,M.ら、「Science」、1997年、275号、p.218
【非特許文献2】Frankel,E.N.ら、「Lancet」、1993年、341号、p.1103
【非特許文献3】Chanvitayapongs,S.ら、「Neuroreport」、1997年、8号、p.1499
【非特許文献4】Rotondo,S.ら、「Brit J Pharmacol」、1998年、123号、p.1691
【非特許文献5】Soleas,G.J.ら、「Clin Biochem」、1997年、30号、p.91
【非特許文献6】Jayatilake,G.S.ら、「J Nat Prod」、1993年、56号、p.1805
【非特許文献7】Taylorら、「J Mol Endocrin」、2000年、25号、p.207
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の要旨)
レスベラトロールに対する作用の機構の理解の増加を提供すること、および、類似の有益な作用を有するレスベラトロールのアナログの開発のための基礎を提供することが、本発明の目的である。
【0022】
APO AIおよび/またはHDLのレベルを増加することを目的にしたさらなる薬物の開発のための分子標的を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0023】
egr−1プロモーター活性を増加し得る新規の化合物を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【0024】
本発明の種々の局面および原則に従って、APO AI遺伝子発現を促進することによってHDLレベルを増加し得る化合物をアッセイし、そして同定するための新規の手段および試薬が提供される。遺伝子の活性を制御するために重要であるようであるAPO AI遺伝子に関連する種々の領域、および具体的には関連するプロモーター領域内の領域が、同定された。ポリフェノール化合物(例えば、レスベラトロール)は、その遺伝子の活性を増大することが発見された。APO AI遺伝子発現をアップレギュレーションするための他のそのような化合物(レスベラトロールの模倣物およびアナログを含む)を同定するためのスクリーニングの手段として有用な細胞株が、発見されそして作製されてきた。同様に、そのような手段は、APO AI発現に対して類似の利益を提供し得る化合物を同定するための合成化合物または栄養薬剤(neutraceutical)をスクリーニングするために有利に使用され得る。
【0025】
本発明の一局面は、腸細胞および肝臓細胞中のAPO AI発現を選択的に促進するための治療有効量の活性化因子を投与することによって、個体中の血漿のHDL/APO AIレベルを増加するための方法を提供する。そのような活性化因子は、腸細胞中の(具体的には、遺伝子の−190〜−170の範囲にわたるDNAモチーフにおいて)DNAに対して作用する。レスベラトロールまたはそのアナログが、そのような活性化因子として作用し得ることが、発見された。そのような化合物の最も好ましい実施形態はまた、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、緩衝液)、または当該分野において周知の他のビヒクルを含む。
【0026】
本発明のさらなる局面は、特に腸細胞における、APO AI発現を促進する新規の方法を提供する。
【0027】
本発明のさらなる局面は、レスベラトロールまたは本明細書中で提供される新規の化合物のクラスに対して感受性であり得る他の遺伝子を同定するための方法を提供し、この方法は、ハイブリダイゼーション条件下のレスベラトロールによって作用されるAPO AIプロモーター中のモチーフの相補配列を用いてそのような遺伝子をインキュベートし、次いで、そのモチーフプロモーターの相補配列のハイブリダイゼーションの存在についてアッセイする工程を含有する。
【0028】
本発明のさらなる局面は、哺乳動物における循環しているAPO AI/HDLレベルを増加し得る合成化合物または栄養薬剤についてスクリーニングし、そして同定する方法を提供する。候補化合物をスクリーニングまたは同定するための好ましい手順は、永久的にトランスフェクトされた細胞(Hep G2)またはCaCo2細胞株を、スクリーニングされるその合成化合物または栄養薬剤に暴露する工程、および高レベルのAPO AI遺伝子の転写および/またはAPO AIタンパク質についてアッセイし、それによってそのような転写の高レベルまたはAPO AIタンパク質の高レベルが、循環しているHDLレベルを増加し得る化合物または栄養薬剤を同定する工程を包含する。同様に、APO AI発現を増加するための他の化合物は、完全なもしくは短縮型APO AIプロモーター配列を含む永久的にトランスフェクトされた細胞株と一緒にそのような化合物をインキュベートし、そしてAPO AI発現の増加についてアッセイすることによって、同定され得る。従って、(特に、薬学的に受容可能なキャリアを用いて)同定された化合物は、優れた臨床上の利点を提供する。
【0029】
本発明のさらなる局面は、egr−1様のプロモーター配列に結合し、それによって、癌に関連する遺伝子(例えば、p21およびp53)の発現を調節し、そして、それによって癌を処置する転写因子を増加するために使用され得る新規化合物のクラス、ならびに、それを用いた処置の方法を提供する。さらに、このアプローチは、以下により詳細に記載されるように、egr−1またはegr−1プロモーター様の配列によって少なくとも一部は制御される遺伝子に関連する他の疾患状態の処置を可能にするように拡張され得る。
【0030】
本発明のさらなる局面は、egr−1様のプロモーター配列に結合し、それによって長寿に関連する遺伝子(例えば、サーチュイン(sirtuin))の発現を調節する転写因子を増加し、そして、それによってそのように処置された個体の寿命を延ばすために使用され得る新規の化合物のクラス、ならびに、それを用いた処置の方法を提供する。
【0031】
本発明のなおさらなる局面は、egr−1様のプロモーター配列に結合し、それによって、癌に関連する遺伝子(例えば、p21およびp53)の発現を調節し、そして、それによって癌を処置する転写因子を増加するために使用され得る新規化合物のクラス、ならびに、それを用いた処置の方法を提供する。さらに、このアプローチは、以下により詳細に記載されるように、egr−1またはegr−1プロモーター様の配列によって少なくとも一部は制御される遺伝子に関連する他の疾患状態の処置を可能にするように拡張され得る。
【0032】
本発明のさらなる局面は、egr−1様のプロモーター配列に結合し、それによって長寿に関連する遺伝子(例えば、サーチュイン)の発現を調節する転写因子を増加し、そして、それによってそのように処置された個体の寿命を延ばすために使用され得る新規の化合物のクラス、ならびに、それを用いた処置の方法を提供する。
【0033】
本発明において提供された化合物は、例示的な化学構造として提示されるが、このことは、本発明の範囲を以下に列挙される化合物に制限するものではない。用語「ニトロオキシ」が使用される場合、それが意味するものは、硝酸エステル基−ONO2である。用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」が使用される場合、それが意味するものは、基−OHである。用語「逆エステル(reverse ester)」が使用される場合、それが意味するものは、基である。
【0034】
より詳細には、本発明は、egr−1様のプロモーター配列に結合する転写因子を増加させるのに有用な化合物を提供し、この化合物は、以下の構造:
【0035】
【化11】

を含むスチルベン化合物を含み、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0036】
【化12】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含み、そして
ここで、Xは、単結合、二重結合または三重結合であり得る、スチルベン化合物である。
【0037】
より詳細には、本発明は、egr−1様のプロモーター配列に結合する、転写因子を増加させるのに有用な化合物を提供し、この化合物は、以下の構造:
【0038】
【化13】

を含むフラボノイド化合物を含み、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0039】
【化14】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含み;
ここで、Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、フラボノイド化合物である。
【0040】
より詳細には、本発明は、egr−1様のプロモーター配列に結合する、転写因子を増加させるのに有用な化合物を提供し、この化合物は、以下の構造:
【0041】
【化15】

を含むイソフラボノイド化合物を含み、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13またはR14の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0042】
【化16】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含み;
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR14またはNR14であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る、イソフラボノイド化合物である。
【0043】
より詳細には、本発明は、egr−1様のプロモーター配列に結合する、転写因子を増加させるのに有用な化合物を提供し、この化合物は、以下の構造:
【0044】
【化17】

を含むカルコン化合物を含み、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR13は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10またはR13の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0045】
【化18】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;
ここで、Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;そして
Zは、CO[ケトン]、CR13またはNR13であり得るが;
ただし、XおよびYの両方が二重結合であるわけではなく、そしてZがCOであればYは二重結合ではない、カルコン化合物である。
【0046】
より詳細には、本発明は、egr−1様のプロモーター配列に結合する、転写因子を増加させるのに有用な化合物を提供し、この化合物は、以下の構造:
【0047】
【化19】

を含むポリフェノール化合物を含み、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0048】
【化20】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含み、そして
ここで、Xは、C、S、(CO)、SO、AKAケトン、(SO)N、(CO)C、(CO)N、(CO)O、C−N[単結合]、C=N[二重結合]、C−O、N−O、N−N[単結合]、またはN=N[二重結合]であり得る、ポリフェノール化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(発明の詳細な説明および最良の形態)
本発明の原則に従って、本発明の一局面は、egr−1プロモーターおよびegr−1コンセンサス配列を含むプロモーターを増加させるための方法を提供し、そして、それによって、APO AI発現を促進し;そして上記遺伝子の転写を増大するためのレスベラトロールの使用に関して詳細に、その工程および潜在的な機構の特徴付けをする。その潜在的な作用の理解は、増大した治療効果を有する誘導体およびアナログについての開発または探索の改良に結び付く。
【0050】
心臓血管疾患(CVD)が多くのパラメータと関連することは、疫学的研究から明白であるが、その最も重要なものの1つは、低レベルのHDL/APO AIである。APO AI/HDLを増加させる方法論は、CVDの危険を減少させるはずである。APO AI遺伝子活性のホルモン調節は、その遺伝子の発現を制御する方法であるが、不運にも付随する不利益は、増加した濃度のホルモン(例えば、その遺伝子の活性をアップレギュレーションする甲状腺ホルモン)を使用し得ないことである。正常値を上回るレベルの甲状腺ホルモンは、ヒトに有毒であり、それゆえ、APO AI遺伝子活性を増大するために使用され得ない。従って、有毒な効果を付随しないAPO AI遺伝子活性を増大し得る模倣物またはアナログの使用が望まれる。
【0051】
本発明によって提供される化合物は、レスベラトロールのアナログ、ならびに患者に投与される場合に一酸化窒素を放出し得る結合した部分を有するレスベラトロールのアナログを含む。そのような化合物としては、限定されないが、レスベラトロールのアナログが挙げられ、ここで、一酸化窒素を与える部分は、有機硝酸(organic nitrate)、アルコキシ硝酸(alkoxynitrate)、ジアゼニウムジオレート(diazeniumdiolate)、チオニトロキシなどの化学構造のクラスに属する。
【0052】
有機硝酸(「ニトロキシ」)基は、公知のニトロ化因子(例えば、濃縮硝酸、硝酸と硫酸との混合物、または硝酸/無水酢酸混合物)を使用して、化合物に添加され得る。アルコキシニトロキシ基は、例えば、米国特許第5,861,246号中に教示される方法を使用して、化合物に添加され得る。
【0053】
ジアゼニウムドレート(diazeniumdolate)は、種々の方法(例えば、米国特許第4,954,526号、同第5,039,705号、同第5,155,137号、同第5,405,919号および同第6,232,336号(これらの全ては、完全に本明細書において参考として援用されている)中に教示される方法が挙げられる)によって合成され得る。
【0054】
一酸化窒素を与える部分は、共有結合またはイオン結合を介して、レスベラトロールまたはその誘導体もしくはアナログに有利に結合され得る。好ましくは、一酸化窒素を与える部分またはその複数の部分は、1つ以上の共有結合によって結合される。レスベラトロールまたはそのアナログもしくはその誘導体に結合する一酸化窒素を与える部分は、レスベラトロール分子の任意の部分に結合され得る。一実施形態において、一酸化窒素を与える部分は、1つ以上のヒドロキシル基の代わりに置換される。好ましい実施形態において、その置換は、レスベラトロール(例えば、天然レスベラトロール)上に生じる。別の好ましい実施形態において、その置換は、ヒドロキシル基の代わりに有機硝酸基である。別の好ましい実施形態において、一酸化窒素を与える部分は、レスベラトロールまたはレスベラトロールアナログもしくはその誘導体の3つの全てのヒドロキシル基を置換している。
【0055】
明瞭性のために、−190〜−170の領域が、「Qestradiol decreases rat apolipoprotein AI transcription via promoter site B」Taylorら、Journal of Molecular Endocrinology,25(2);207−19(2000)中で、「部位S」と称されることが注意される。本明細書において引用される−190〜−170の配列は、部位Sと相互交換可能であると考えられる。ラットおよびヒトのAPO AIプロモーター領域についての部位S配列は、この範囲にわたって1塩基だけ異なる。ラットAPO AI−190〜−170の領域のプロモーターは、ヌクレオチド配列「TGCAGCCCCCGCAGCTTCCTG」を含むと考えられる。部位Sに対して顕著な相同性を有するヒトAPO AIモチーフは、ヌクレオチド配列の「TGCAGCCCCCGCAGCTTGCTG」を含むと考えられる。この2つの配列の違いは、1つのヌクレオチドにあり、それは、ラットにおいてCであり、そしてヒトにおいてGである。そのヒト配列は、Higuchiら、1988,JBC,263(34):18530−6(genbank登録番号M20656)において、そして、ラット配列については、Daiら、1990,EJB,190(2):305−10(genbank登録番号X54210)において記載されている。モチーフのこの違いは、横方向の変異(transverse mutation)である。
【0056】
いずれの特定の理論にも束縛されるのは望まないが、腸の系統および肝臓の系統の細胞におけるAPO AI発現のレスベラトロールの活性は、部位S中に含まれるコンセンサス配列を通じて媒介される。部位S中に見出される配列「AGCCCCCGC」は、「Egr−1応答要素」コンセンサス配列として記載されてきた。このモチーフは、ヒトAPO AIプロモーター(Kilboumeら、1995,JBC,270(12):7004−10)の−196〜−174にわたっているヌクレオチド中に含まれている。ふたたび、いずれの特定の理論に束縛されることなく、部位S中に含まれると見出されたこのAGCCCCCGC要素は、レスベラトロールがその活性を媒介する配列であるが、これは他の潜在的に必要とされる要素を排除するものではない。レスベラトロールは、APO AI発現を調節し、肝細胞および腸細胞における活性の誘導につながる。このことは、部分的にAGCCCCCGC要素からなる部位Sを介するものと考えられる。レスベラトロールは、腸の系統および肝臓の系統の細胞中のAGCCCCCGC要素を通じて活性を媒介する。
【0057】
部位Sまたは任意の約8つの連続した塩基のAGCCCCCGC要素を含むヌクレオチド配列は、レポーター遺伝子の発現を調節するために、異種のプロモーターに作動可能に結合される場合、エンハンサー要素として作用すると考えられる。例えば、発現系(例えば、CaCo2、HepG2もしくは他の真核生物細胞、またはその細胞内抽出物もしくは核の抽出物)において、−190〜−170(または−196〜−174)の領域を含み、プロモーター(例えば、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター)に作動可能に連結され、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、CAT、またはアポリポタンパク質A−Iそれ自身)に作動可能に連結される、単離された核酸は、部位Sまたは「AGCCCCCGC」要素のいずれかを介して媒介される生物学的活性を有する化合物と接触される場合に、レポーター遺伝子の発現の測定可能な調節を誘導する。そのような生物学的活性を有する化合物の例としては、レスベラトロール、レスベラトロール誘導体、レスベラトロール様のポリフェノール、および他のポリフェノール(天然のものまたは合成のもの)が挙げられる。次いで、そのような化合物は、egr−1および/またはegr−1コンセンサス配列要素に影響するように作用し得、この要素は、次いでそのようなエンハンサー要素と関連する遺伝子の発現を調節し得る。結果的に、このアプローチは、次いで、以下にかなり詳しく記載されるように、少なくとも部分的にはegr−1またはegr−1プロモーター様の配列によって制御される遺伝子に関連する疾患または他の生理学的条件の処置を達成するように使用され得る。
【0058】
そのような核酸を構築する工程、そのような核酸で真核生物細胞をトランスフェクトする工程、およびレポーター遺伝子発現についてアッセイする工程は、公知のプロトコル(例えば、Tom ManiatisによるMolecular cloning;a laboratory manualおよびShort Protocols in Molecular Biology,第5版、Frederick M.Ausubelら(編)中に記載されるもの)によって構築される。そのような単離された核酸、そのような単離された核酸で形質転換された細胞、そのような細胞またはその抽出物を使用してスクリーニングする方法、ならびに、そのようなスクリーニング方法によって同定された化学物は、本明細書において企図される。
【0059】
これらの単離された(組換え型)核酸、この核酸でトランスフェクトされた真核生物細胞、その細胞またはその抽出物を使用するスクリーニング方法、ならびに、そのスクリーニング方法を利用して同定された化合物は、増殖性疾患(例えば、癌)の処置に有用である。本明細書において提供されるスクリーニング方法によって同定され得る化合物の例としては、生物学的に活性なレスベラトロール、レスベラトロール誘導体、レスベラトロール様のポリフェノール、および他のポリフェノール(天然のものまたは合成のもの)が挙げられる。
【0060】
(EGR−1およびEGR−1コンセンサス配列のエフェクターを使用した処置の方法)
以下の説明において、本発明者らは、語句「egr−1コンセンサス配列要素」を便利な一貫性のために使用するが、本発明者らもまたその語句がegr−1部位を通じて働く媒介機構を包含し、そしてその効果がコンセンサス配列に限定される媒介機構だけを包含するわけではないことを意図していることが理解されるべきである。結果的に、egr−1活性の活性化または抑制は、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される作用だけではなく、egr−1またはそのコンセンサス配列以外のegr−1に関連した要素に対して直接的に働く活性調節も包含することが理解されるべきである。
【0061】
egr−1は、egr−1コンセンサス配列要素に結合する重要な転写因子であり、そして外傷またはストレスに誘導された事象からエフェクター遺伝子までの細胞内シグナル伝達の介在に関与し、そのエフェクター遺伝子の内のいくつかは、傷ついた組織の修復またはアポトーシスを補助し、そして他のエフェクター遺伝子は、誘導病変から起こる障害の病態生理および病原に関連する。egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される事象の活性化を変更し得るストレス因子または外傷としては、剪断応力、紫外線誘導損傷、低酸素症、ラジカル酸素種、アンギオテンシンII、血小板由来の成長因子、酸化線維芽細胞成長因子(FGF−1)、ならびに、さらなる機械的および非機械的外傷およびストレスが挙げられる。
【0062】
一旦活性化されると、egr−1は、多数の下流遺伝子(PDGF−A、PDGF−B、FGF−2、アポリポタンパク質AI、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、TNF−α、組織因子、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u−PA)、インターロイキン−2(IL−2)、細胞内接着分子−1(ICAM−1)、銅−亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子(SOD I)、p53、トロンボスポンジン、CD44、および5−リポキシゲナーゼ(5−LO)、およびペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−I(PPAR−1)が挙げられる)の転写レベルを増加させるかまたは減少させるかのいずれかによって、変化させる。明らかに、これらの遺伝子の多くは、強制的な治療上の標的である(例えば、白血球の増殖に関連する障害についてはM−CSF、コレステロールに関連する障害についてはアポリポタンパク質AI、PPARおよび5−LO、細胞の接着に関連する障害(癌を含む)についてはICAM−1、過多の酸化または過少の酸化に関連する障害についてはSOD 1、ならびに当業者に容易に理解できる他のもの)。
【0063】
標的遺伝子のトランス活性化におけるegr−1の関与は、標的遺伝子のプロモーター領域におけるegr−1コンセンサス配列部位の数、位置、および相同性の程度によって、他のトランス活性化因子の隣接DNA結合モチーフによって、他のアクチベーターおよび/またはレプレッサーとの直接の相互作用によって、egr−1活性化が起こる細胞型によって、ならびにegr−1のリン酸化の状態によって影響される。それゆえ、egr−1発現の調節は、標的遺伝子の活性化かまたは抑制のいずれかを生じ得る。
【0064】
(EGR−1発現の調節を生じ得る化合物)
本発明によって提供される化合物としては、患者に投与されると一酸化窒素を放出する能力がある結合部分を含む、レスベラトロール、他のスチルベン、他のポリフェノール、およびフラボノイドのアナログが挙げられる。このような化合物としては、レスベラトロール、他のスチルベン、他のポリフェノール、およびフラボノイドのアナログが挙げられるがこれらに限定されず、ここで、一酸化窒素供与部分は、有機ニトラート、アルコキシニトラート、ジアゼニウムジオレート、チオニトロキシなどの化学構造のクラスに属する。
【0065】
本発明の化合物を改変させる正確な機構の理解は、本発明の実施を必要としない。本明細書中に開示される機構は、非限定的であることを意図し、本発明をより良く記述するためにのみ提供される。理論に制限されることはないが、レスベラトロールは、その分子構造(芳香環上に位置する少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、少なくとも1つの芳香環構造からなる反応性かつ必須のコア)に起因して、前述の効果を生じると考えられる。天然に存在しているレスベラトロール自体は、具体的には2つの芳香環から構成され、一方の環の3位および5位に位置する2つのヒドロキシルおよび他方の環の4’位に位置する1つのヒドロキシルを含み、そしてこれらの2つの芳香環が2つの炭素原子(それらの原子間に二重結合を有する)によって結合される。少なくとも1つの芳香族環構造を含み、この環に位置する少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物である、この一般クラスの他の化合物は、レスベラトロールについて記載されたと同じ能力を有し、そして同じ結果を生じると考えられる。
【0066】
従って、スチルベン(2つの炭素原子によって連結される2つの芳香族環を含む)、他のポリフェノール(窒素、炭素、酸素および硫黄からなる群より独立して選択され、ケトン酸素のような側鎖に独立して置換されていても置換されていなくてもよい、1つ、2つ、または3つの原子によって連結された、2つ以上の、好ましくは2つの芳香族環を含むポリフェノールのような)、ならびにフラボノイド(例えば限定されないが、天然に存在するフラボノイド、例えば限定されないが、ナリンゲニン、ケルセチン、ピセアタンノール、ブテイン、フィセチン、イソリキリチゲニン、およびヘスペリチン)は全て、レスベラトロールについて記載された性質と類似の性質を有する化合物である。結果として、任意のこれらの化合物は、疾患、障害または状態(特に、限定されないが、コレステロール、心血管疾患、高血圧、酸化的損傷、異脂肪血症、アポリポタンパク質A1もしくはアポB調節に関連する疾患、障害または状態)の予防または処置に利用される場合、あるいはHMG CoAレダクターゼを阻害するか、PPAR活性を高めるか、ACATを阻害するか、ABCA−1活性を高めるか、HDLを増加させるか、またはLDLもしくはトリグリセリドを減少させるような、コレステロール代謝の他の面を改変または調節する際に、レスベラトロールと機能的に交換可能であるとみなされ得ることが見出されている。一酸化窒素供与部分が結合されていないフラボノイドは、以前に、強力な血清コレステロール低下活性を有するとして、例えば、米国特許第5,877,208号、同第6,455,577号、同第5,763,414号、同第5,792,461号、同第6,165,984号、および同第6,133,241号に教示されている。
【0067】
同様に、このクラスの任意のスチルベン、ポリフェノール、イソフラボノイド、カルコンおよびフラボノイドは、部位Sからの(AGCCCCCGCエレメントからの)転写を調節するのに利用される場合、あるいは白血球接着もしくは血小板凝集を阻害するか、またはCOX−1を阻害するのに利用される場合、レスベラトロールと機能的に交換可能であるとみなされ得る。このことは、これらの化合物の全てが、これら化合物の各々の機能または能力について、あるいはインビボでの毒性または効力について、あるいはバイオアベイラビリティについての活性のレベルの点で同一であることを意味するわけではない。これらの化合物は、当業者によって容易に実施され且つ過度の実験を必要としない簡単な試験を通じて、一部の化合物が、他の化合物と比較して改善された能力または機能性を提供し、従って他の化合物よりも治療薬として好ましいことを示す。
【0068】
同様に、本発明によって改良された基本化合物中に見出されるようなフェノール性ヒドロキシル基は、排泄を促進するグルコロン酸抱合反応および硫酸化反応を受けやすいことが知られている。フェノール性ヒドロキシル基を別の化学基(例えば、硝酸エステル(有機ニトラートまたはONOとも呼ばれる)基、アルコキシニトロオキシ、あるいは逆エステルニトロオキシ(ニトロオキシ基(nitrooxy group)はまたニトロオキシ基(nitro oxy group)とも呼ばれる))でブロックすることによる、これらの反応に対する保護は、体内における分子の半減期をさらに延長し、排泄を延期する。
【0069】
一例として、3つの推定上重要でありかつ治療的に活性なヒドロキシル基を含むレスベラトロールは、硝酸エステル(ニトラート、ニトロオキシ基、またはONOとしても公知であり、時折ニトロキシと呼ばれるが、NOと混同すべきではない)アルコキシニトロオキシ基、あるいは体内で経時的にヒドロキシル基に置換されて活性化合物レスベラトロールを再構成する逆エステルニトロオキシ基で、これらのヒドロキシル基を置換することによって保護され得る。一酸化窒素供与基は一定期間にわたって1つずつヒドロキシル基に置換され、1つまたは2つの一酸化窒素供与基を含むレスベラトロール分子は依然として部分的に活性であるため、レスベラトロール活性の体内での実効半減期は増大する。このようなストラテジーにより、ニトラート形態のレスベラトロールは、親のヒドロキシル化形態のレスベラトロールと比較して、より低い用量の使用がさらに可能になり、その結果、患者においてより低い副作用を生じる。明らかに、このようなアプローチはまた、本発明において企図される他のスチルベン、ポリフェノール、イソフラボノイド、カルコンおよびフラボノイドにも有効である。なぜなら、これらはまた、分子の活性部位の不可欠な部分を形成し得る1つ以上のヒドロキシル基を含むことが企図されるためである。
【0070】
本発明は、上記スチルベン、ポリフェノール、イソフラボノイド、カルコンおよびフラボノイド以外の化合物のニトロオキシ誘導体の合成、組成および処置方法を提供し、ニトロオキシ誘導体であり得るこの化合物が合成され、そして、芳香族環または芳香族複素環、1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られている。芳香族環または芳香族複素環の1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られている化合物のクラスの一例としては、スタチンとしても知られるHMG CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。そのニトロオキシ誘導体が本発明において提供される、市販のスタチンとしては、アトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、およびロスバスタチンが挙げられる。芳香族環または芳香族複素環の1つ以上のヒドロキシル基を含み、血清コレステロールレベルを調節することが知られているという規定内にある2つの他の化合物は、エゼチミブおよびナイアシンである。従って、エゼチミブおよびナイアシンのニトロオキシ誘導体はまた、本発明において提供される。
【0071】
(スチルベン、ポリフェノール、フラボノイド、スタチンおよびエゼチミブの一酸化窒素供与誘導体の合成)
有機ニトラート(ニトロオキシ、硝酸エステル、ONOとも呼ばれ、時折「ニトロキシ」と呼ばれるが、NOと混同すべきではない)基は、Hakimelahiの方法(ここで、ニトロオキシ基は、親分子上に存在するヒドロキシル基と置換される)のような公知の方法を用いて化合物に付加され得る(Hakimelahiら、1984.Helv.Chim.Acta.67:906〜915)。
【0072】
アルコキシニトロキシ基は、例えば、米国特許第5,861,426号に教示される方法を用いて、化合物に付加され得る。ジアゼニウムジオレートは、例えば、米国特許第4,954,526号、同第5,039,705号、同第5,155,137号、同第5,405,919号および同第6,232,336号(これらの全てが、本明細書中に参考として完全に援用される)に教示される方法を含む種々の方法によって、合成され得る。
【0073】
一酸化窒素供与部分は、スチルベン(例えば、レスベラトロール)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、または本発明中で記載され、提供されるような他の化合物(例えば、スタチンのクラスのメンバー)、あるいは共有結合またはイオン結合を介したそれらの誘導体またはアナログに有利に結合され得る。好ましくは、1つまたは複数の一酸化窒素供与部分は、1つ以上の共有結合によって結合される。一酸化窒素供与部分は、この分子の任意の部分に有利に結合され得る。1つの実施形態において、1つ以上のヒドロキシル基の代わりに一酸化窒素供与部分に置換する。好ましい実施形態において、これらの置換は、ヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基への置換である。別の好ましい実施形態において、これらの置換は、ヒドロキシル基の代わりにエステルまたは逆エステルに結合される有機ニトラート基への置換である。別の好ましい実施形態において、一酸化窒素供与部分は、スチルベン(例えば、レスベラトロール)、フェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、または本発明中で記載され、提供されるような他の化合物(例えば、スタチンのクラスの任意のメンバー)のヒドロキシル基の全て、あるいはそれらのアナログまたは誘導体のヒドロキシル基を置換した。
【0074】
本発明の化合物の全てについて、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、CF基、CCl基、CBr、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐した1〜18個の炭素原子のアルキル鎖、または必要に応じて置換され、必要に応じて分岐した1〜18個の炭素原子のアルコキシ鎖によるヒドロキシル基の置換もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。
【0075】
本発明の化合物の全てについて、これらの化合物のアセチル化誘導体もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。アセチル化誘導体としては、エステル、逆エステル、一酸化窒素供与部分(ニトロオキシ基が挙げられるが、これに限定されない)が結合したエステル、および一酸化窒素供与部分(ニトロオキシ基が挙げられるが、これに限定されない)が結合した逆エステルが挙げられる。
【0076】
本発明の化合物の全てについて、これらの化合物のリン酸化誘導体もまた企図され、提供される。なぜなら、親化合物のこのような変更は一般的であり、作用機構を変更することなく薬物の薬効を改善することが知られ、かつ当業者によって容易に達成されるためである。
【0077】
本発明によって企図される化合物のグルコロン酸抱合誘導体もまた、本明細書において企図される。なぜなら、グルコロン酸抱合は、スチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドの代謝の一部として体内で天然に生じるプロセスであるためである。一旦患者に提供されると、本発明の化合物の多くは体内で修飾され、従って、グルコロン酸抱合形態で体内に存在する。従って、投与前の本発明の化合物へのグルコロン酸の抱合は、インビボ研究によって決定されるように、これらの化合物の機能または治療的有用性を妨げない。結果として、付加的な糖部分が結合した本発明の化合物は、機能的に親化合物に匹敵すると考えられ、従って本発明において提供される。本発明によって企図される任意のスチルベン、ポリフェノールまたはフラボノイド誘導体化合物のグルコロン酸抱合は、例えば、Otakeの方法(Otakeら、Drug Metab Disp.30:576(2002))におけるようにヒト肝ミクロソームを用いて達成され得る。
【0078】
同様に、本発明によって企図される化合物の硫酸化誘導体もまた、本明細書において企図される。なぜなら、硫酸化は、スチルベン、他のポリフェノールおよびフラボノイドの代謝の一部として体内で天然に生じるプロセスであるためである。一旦患者に提供されると、本発明の化合物のいくつかは体内で修飾され、従って、硫酸化形態で体内に存在する。従って、硫酸化は、インビボ研究によって決定されるように、これらの化合物の機能または治療的有用性を妨げない。結果として、硫酸化反応を受けた本発明の化合物は、機能的に親化合物に匹敵すると考えられ、従って本発明において提供される。本発明によって企図される任意のスチルベン、ポリフェノールまたはフラボノイド誘導体化合物の硫酸化は、例えば、Varinのイオンエア抽出法(Varinら、Anal.Biochem.161:176(1987))を用いて達成され得る。
【0079】
本明細書中で記載した化合物の塩(薬学的処方物に好ましい塩を含む)もまた、本発明において提供される。
【0080】
(本発明によって企図される化合物)
本発明において提供される化合物を、明らかにする目的で、例示的な化学構造で示すが、これは本発明の範囲を下記に列挙した化合物に限定するためではない。用語「ニトロオキシ」が用いられる場合、その意味するものは、硝酸エステル基−ONOである。用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」が用いられる場合、その意味するものは、−OH基である。用語「逆エステル」が用いられる場合、その意味するものは、以下の基:
【0081】
【化21】

であり、ここで、O−結合はフラボノイド、スチルベンまたはポリフェノール構造の親化合物への結合であり、そしてRはC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、そしてS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得る。
【0082】
用語「逆エステルニトロオキシ」が用いられる場合、その意味するものは、以下の基:
【0083】
【化22】

であり、ここで、O−結合はフラボノイド、スチルベンまたはポリフェノール構造の親化合物への結合であり、そして、Rは、C1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして1つ以上のONOを含む。
【0084】
本発明は、以下の一般的なスチルベン構造:
【0085】
【化23】

を有する、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である化合物を提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0086】
【化24】

【0087】
【化25】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0088】
【化26】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0089】
本発明はまた、以下の一般構造の化合物も提供する:
【0090】
【化27】

【0091】
【化28】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0092】
【化29】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、
ここで、XおよびYは、それぞれ独立して、C、N、Oであり得、ただし、XまたはYのいずれかがCである場合、他方はCではない。
【0093】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の一般構造の化合物も提供する:
【0094】
【化30】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0095】
【化31】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0096】
本発明はまた、以下の一般的なポリフェノール構造:
【0097】
【化32】

を有する、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0098】
【化33】

ここで、
XはCまたはSであり、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R10の少なくとも1つはニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0099】
【化34】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0100】
本発明はまた、以下の一般的なフラボノイド構造:
【0101】
【化35】

を有する、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0102】
【化36】

【0103】
【化37】

【0104】
【化38】


【0105】
本発明はまた、以下の一般的なイソフラボノイド構造:
【0106】
【化39】

を有する、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である化合物も提供し、
この構造は、さらに以下の構造に細分され得る:
【0107】
【化40】

【0108】
【化41】

【0109】
【化42】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R15、およびR16は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R13、R14、OR13、OR14、OCOR13、OCOR14、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R12またはR15またはR16の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R14、OR14、またはOCOR14であり;そして
ここで、OCORは
【0110】
【化43】

を意味し、
そしてRはR13またはR14であり、
ここで、R13はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R14はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み、
ここで、Xは、O、CR15またはNR15であり得;
Yは、CO[6員環構造を依然として維持しているケトン]、CR16またはNR16であり得;そして
Zは、単結合または二重結合であり得る。
【0111】
本発明はまた、以下の一般的なカルコン構造:
【0112】
【化44】

を有する、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である化合物も提供し、
このうちいくつかの構造は、以下の構造によって表される:
【0113】
【化45】

【0114】
【化46】

ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R13、R12、OR13、OR12、OCOR13、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R11の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0115】
【化47】

を意味し、
そしてRはR12またはR13であり、
ここで、R13はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含み;そして
ここで、
Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;そして
Zは、CO[ケトン]、CR11またはNR11であり得る。
【0116】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0117】
【化48】

ここで、
R1、R2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R4の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0118】
【化49】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0119】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の化合物も提供する:
【0120】
【化50】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0121】
【化51】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0122】
本発明はまた、以下の化合物も提供する:
【0123】
【化52】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0124】
【化53】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0125】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0126】
【化54】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0127】
【化55】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0128】
本発明はまた、以下の一般式の化合物も提供する:
【0129】
【化56】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0130】
【化57】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0131】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の一般式の化合物も提供する:
【0132】
【化58】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0133】
【化59】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ1つ以上のONOを含む。
【0134】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の一般式の化合物も提供する:
【0135】
【化60】

ここで、
R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R3の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0136】
【化61】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0137】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の一般式の化合物も提供する:
【0138】
【化62】

ここで、
R1、R2は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[硫酸共役体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン(AKAグルクロン)酸共役体]であり得、ただし、R1〜R2の少なくとも1つは、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0139】
【化63】

を意味し、
そしてRはR11またはR12であり、
ここで、R11はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換されかつ必要に応じて分岐し、かつS、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、そして
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0140】
本発明はまた、egr−1様プロモーター配列に結合する転写因子を増加させるために有用である以下の化合物も提供する:
【0141】
【化64】

ここで、
R1は、ニトロオキシ、R12、OR12、またはOCOR12であり;そして
ここで、OCORは
【0142】
【化65】

を意味し、
そしてRはR12であり、
ここで、R12はC1−18、アリール、ヘテロアリールまたはそれらの誘導体であって、この誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分岐し、S、NまたはOによって置換された1つ以上のC原子を有し得、かつ必要に応じて1つ以上のONOを含む。
【0143】
(スチルベン、ポリフェノールおよびフラボノイドのNO供与誘導体の合成方法)
スチルベン(例えば、レスベラトロール)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)、あるいは他の抗酸化剤(血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)の一酸化窒素供与アナログまたは誘導体を合成するための多数の方法が存在することは、当業者に容易に明らかである。公知の方法が存在するにもかかわらず、このような化合物は、これまでに記載または合成されていない。好ましくは、このような化合物は、スチルベン(例えば、レスベラトロール)のアナログまたは誘導体、ポリフェノールのアナログまたは誘導体、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)のアナログまたは誘導体、あるいは他の抗酸化剤のアナログまたは誘導体(一酸化窒素供与部分に結合された、血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)である。最も好ましくは、このような化合物は、スチルベン(例えば、レスベラトロール)、ポリフェノール、またはフラボノイド(例えば、ナリンゲニン)のアナログまたは誘導体、あるいは他の抗酸化剤のアナログまたは誘導体(1つ以上のONO基(硝酸エステル、有機ニトラート、またはニトロオキシ基とも呼ばれる)で親化合物のヒドロキシル基を置換した、血清コレステロールを低下させるかまたは逆コレステロール輸送を活性化するかまたはHDLを増加させる化合物)である。
【0144】
本発明によって提供される化合物の例は、天然に存在しているレスベラトロールに存在する3つのヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基に置換されたレスベラトロールである。この化合物は、3,4’,5トリニトロオキシトランススチルベン、または三硝酸レスベラトロール、またはIUPAC命名法を使用して、1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼンと命名される。本発明によって提供されるこのような化合物の別の例は、天然に存在しているナリンゲニンに存在する3つのヒドロキシル基の代わりに有機ニトラート基に置換されたナリンゲニンである。この化合物は、三硝酸ナリンゲニン、またはIUPAC命名法を使用して、5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンと命名される。本発明によって提供される化合物の別の例は、ナリンゲニンの逆エステルニトロオキシアナログであり、3つのヒドロキシルが置換されたものは、5−ニトロオキシ−ペンタン酸4−[5,7−ビス−(5−ニトロオキシ−ペンタノイルオキシ)−4−オキソ−クロマン−2−イル]−フェニルエステルである。本明細書中に明記されている化合物に限定されるわけではないが、さらに多くの例が、本発明の実施例の項に提供される。
【0145】
この反応で用いられるトランス−レスベラトロール原料物質は、Bio−Stat Limited(Stockport,U.K.)またはSigma Chemical Co.(St.Louis,Mo.,USA)から商業的に入手可能であり、Goldbergら(1995)Am.J.Enol.Vitic.46(2):159〜165の手順を用いてワインから単離される。あるいは、トランス−レスベラトロールは、米国特許第6,048,903号に教示されるようにToppoの方法に従って、またはMoreno−ManasおよびPleixatsの方法からWaterhouseによって改変されたWittig反応によって適切に置換されたフェノールから合成され得る。
【0146】
合成反応の材料として用いられるナリンゲニンは、多数の市販の供給源から容易に入手可能であるか、あるいは、過度の実験を必要とせずに柑橘類の絞り汁のような天然源から周知の方法を使用して単離可能な、天然に存在する化合物である。
【0147】
(投与)
上記の状態の処置のために、これらの化合物がそれ自体で用いられ得るが、より好ましくは、受容可能なキャリアまたは賦形剤とともに薬学的に受容可能な処方物の形態で存在する。これらの処方物としては、経口、直腸、局所、口腔内および非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)投与に適した処方物が挙げられるが、任意の所定の場合における最適な投与形態は、処置される状態の程度および重症度ならびに用いられる特定の化合物の性質に依存する。
【0148】
経口投与に適した処方物は、カプセル、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤のような不連続単位(各々が、所定量の化合物を、粉末または顆粒として;水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして含む)で提示され得る。示されるように、このような処方物は、活性化合物とキャリアまたは賦形剤(1つ以上の副成分を構成し得る)を結合させる工程を包含する、任意の適切な製薬方法によって調製され得る。このキャリアは、処方物の他の成分と相溶性があるという意味で受容可能でなければならず、かつレシピエントにとって有毒であってはならない。このキャリアは、固体であっても液体であっても、または両方であってもよく、好ましくは、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含み得る単位用量処方物(例えば、錠剤)として、本化合物とともに処方される。他の化合物を含む、他の薬理学的に活性な物質もまた示され得る。本発明の処方物は、これらの化合物を混合する工程から本質的に成る任意の周知の製薬技術によって調製され得る。
【0149】
固体組成物について、従来の無毒性固体キャリアとしては、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。薬理学的に投与可能な液体組成物は、例えば、本明細書中に記載されるような活性化合物および任意の薬学的アジュバントを、賦形剤(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど)中に溶解、分散などし、それによって溶液または懸濁液を形成することによって調製され得る。一般に、適切な処方物は、この活性化合物と液体もしくは微細固体キャリアまたはその両方とを均一にかつ完全に混合し、次いで、必要な場合、その生成物を成形(shape)することによって、有利に調製され得る。例えば、錠剤は、本化合物の粉末または顆粒を、必要に応じて1つ以上の副成分とともに圧縮または成形(mold)することによって、調製され得る。圧縮された錠剤は、適切な機械中で易流動性形態の化合物(例えば、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤および/または界面活性剤/分散剤と混合された粉末または顆粒)を圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿潤した粉末状化合物を適切な機械中で成形することによって作製され得る。
【0150】
口腔内(舌下)投与に適した処方物としては、化合物を香味基剤(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に含むトローチ剤、ならびに本化合物を不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中に含む香錠が挙げられる。
【0151】
非経口投与に適した本発明の処方物は、本化合物の滅菌水性調製物を含み、これらの化合物は、対象とするレシピエントの血液とほぼ等張である。これらの調製物は、静脈内に投与されるが、投与はまた、皮下、筋肉内、または皮内注射によっても達成され得る。このような調製物は、本化合物を水と混合し、得られた溶液を滅菌しそして血液と等張にすることによって、便利に調製され得る。本発明による注射用組成物は、一般に0.1〜5%w/wの活性化合物を含む。
【0152】
直腸投与に適した処方物は、単位用量坐薬として提供される。これらは、本化合物を1つ以上の従来の固体キャリア(例えば、カカオバター)と混合し、次いで得られた混合物を成形することによって、調製され得る。
【0153】
皮膚への局所投与に適した処方物は、好ましくは軟膏、クリーム剤、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態をとる。用いられ得るキャリアおよび賦形剤としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。この活性化合物は、一般に、組成物の0.1〜15%w/wの濃度(例えば、0.5〜2%)で存在する。
【0154】
投与される活性化合物の量は、当然ながら、処置される被験体、被験体の体重、投与様式および処方する医師の判断に依存する。本発明の方法において、投与スケジュールは、一般に、1μg〜1000mgの認知された投薬量でのカプセル化化合物の毎日の投与、または1日に2回の投与を含む。カプセル化によって作用部位への接近が容易になり、かつ活性成分の同時投与が可能になって、理論上は相乗効果が生じる。標準投薬レジメンに従って、医師は、最適投薬量を容易に決定し、且つこのような投薬を達成するために投与を容易に変更し得る。
【実施例】
【0155】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために示されるものであり、本明細書中に記載され且つ特許請求される発明を具体的に限定すると解釈されるべきではない。処方の変更または実験計画のわずかな変更を含む、現在公知であるかまたは後に開発される等価の化合物の置き換えを含む、当業者の範囲内である本発明のこのような変法は、本明細書中に組み込まれる発明の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0156】
本明細書中で提供される全ての実施例について、他に断りのない限り、用語「本化合物(the compounds)」または「本化合物(the compound)」とは、本発明において提供される任意の化合物をいう。実施例の範囲を限定することく、代表的な化合物としては、3,4’,5トリニトロキシトランススチルベン、3,4’,5トリ(ニトロキシ)エトキシトランススチルベン、およびトランスレスベラトロールのジアゼニウムジオレート誘導体が挙げられ、ここで、2つのフェニル環に結合する1つまたは両方の炭素原子は、結合したジアゼニウムジオレート基を有する窒素原子と置換される。
【0157】
本明細書において列挙された全ての実施例を、以下のプロセスおよび方法論を使用して実行し、そして他に記述される場合を除いて、以下に言及する。
【0158】
(細胞培養)
ヒト胚芽腫細胞(HepG2)および腸の細胞(CaCo2)を、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から得た。細胞を、HepG2細胞については、2mMのグルタミン、MEMビタミン溶液および10%のウシ胎仔血清(FBS)、ならびに、CaCo2細胞については、20%のFBS(Gibco)を補充したMinimum Essential Medium(MEM)(Gibco)中で増殖させた。全ての細胞を、95% 空気/5% CO雰囲気中でインキュベートした。
【0159】
(プラスミド)
この研究のために産生したプラスミドは、ベクター(pGL3(Promega))中にホタルルシフェラーゼ遺伝子に融合された−474、−375、−325、−235、−190から−170までのヒトAPO AIプロモーターを含んでいた。このプロモーターDNAの挿入を、ヌクレオチド配列分析によって立証した。プラスミドDNAを、所望のクローンを含有する細菌から調製し、そして製造元の使用説明書に従ってQiagenキットを使用して単離し、そしてトランスフェクション研究においてまたは安定的な細胞株を作製するために使用した。
【0160】
(細胞処理)
上記CaCo2またはHepG2細胞を、規定の培地中で増殖し、そしてプロモーターアッセイ研究のために、目的のレポーター構築物を用いてトランスフェクトした。次いで、細胞を、8〜12時間、血清のない培地に静置し、その後、図面の説明文に記載される最終濃度の因子を作製するために、レスベラトロールをその培地に添加した。この細胞を、種々の期間その因子に暴露し、回収し、次いで、目的のパラメータ(APO AIタンパク質またはプロモーター活性のいずれか)をアッセイした。
【0161】
(一過性/永久的なトラスフェクション)
一過性のトランスフェクトのために、細胞を、6つのウェルプレートに播種し、そして30〜40%がコンフルーエントになるまで増殖させた。次いで、この細胞を、5μlのSuperfect(Qiagen)、および100μlの血清中の1マイクログラムまでの目的のプラスミド、および抗生物質を含まないMEMを使用してトランスフェクトした。この溶液を、10分間室温にてインキュベートした。次いで、培地を、トランスフェクトされる細胞から除去し、そして1mlの培地を、細胞に付与する前に、DNA−Superfect混合物に添加した。次いで、この細胞を、2時間、37℃/5%COにてDNAに暴露し、そしてDNAを含有する培地を除去し、そして血清を含まないMEM培地で置換し、回収前に一晩増殖させた。
【0162】
HepG2細胞をまた、同時トランスフェクション方法を使用して、474−ルシフェラーゼで永久的にトランスフェクトした。Hep G2細胞を、MEM(Gibco)および10%のウシ胎仔血清(Gibco)中で増殖し、次いで、ネオマイシン耐性を保有する別のプラスミドとともに474−Lucを用いて同時トランスフェクトした。次いで、1mlあたり400〜600μgのネオマイシンを、上記培地に添加し、そしてネオマイシンを用いた処理から生存した細胞を、Luc活性についてアッセイし、その細胞が、存在する場合、永久的にトランスフェクトされたことを示す。
【0163】
(ルシフェラーゼアッセイおよびβガラクトシダーゼアッセイについての細胞溶解物の調製)
細胞によるDNA取り込みの効率をモニタリングするために、細胞を、0.5μgのラウス肉腫ウイルス−βガラクトシダーゼ(RSV−β−Gal)とともに目的のCATプラスミドを用いてトランスフェクトした(上記を参照のこと)。次いで、全ての細胞を、種々の期間のレスベラトロール(Calbiochem)による処理の前に12時間、乏血清培地に放置した。次いで、回収された細胞を、市販のレポーター溶解緩衝液(Promega)を使用して溶解し、そして細胞残屑を5分間、13,000rpmにて、収集した。上清のアリコートを、βガラクトシダーゼ活性(Promega)の測定のため、およびBradford Assay(Bio−Rad試薬)を使用した全タンパク質の決定のために採取した。
【0164】
(ルシフェラーゼ活性の測定)
細胞を、目的のルシフェラーゼプラスミドでトランスフェクトし(上記を参照のこと)、乏血清培地中に一晩放置して回復させた。これらの細胞またはルシフェラーゼプロモーターを用いて永久的にトランスフェクトされた細胞を、次いで、定められた期間、種々の濃度のレスベラトロールを用いて処理した。上記のように、RSV−β−Galを、DNA取り込みについて標準化するために、コントロールとして同時トランスフェクトした。次いで、細胞を回収し、そしてレポーター溶解緩衝液(Promega)中に懸濁した。この溶解物の10μlのアリコートを、ルシフェラーゼ活性の決定のために使用し、そして5μlを全タンパク質の決定(Bradford Assay、Bio−Rad試薬)のために使用した。次いで、ルシフェラーゼ活性を決定し、そしてそのサンプルのタンパク質濃度に対して表した。
【0165】
(ウエスタンブッロティング)
培地または細胞を、種々の時点において、未処理のHepG2/CaCo2培養皿および処理されたHepG2/CaCo2培養皿から回収し、そして必要な場合、−80℃にて保存した。ウエスタンブロッティングのために培地を収集した実験については、これらの皿からの細胞をトリプシン処理(Gibco)し、そして100μlの細胞のサンプルを、クマシーブルー染色を使用して、生存細胞/死細胞比を数えることによって死細胞のパーセンテージを決定するために使用した。次いで、残存する細胞を、Maniatis(Cloning Manual)によって説明される方法を使用して全DNA含有量について評価した。次いで、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される培地の量を標準化するために、一皿あたりのDNA含有量を、生存細胞/死細胞の比とともに利用した。全細胞溶解物のウエスタンブロットを必要とする実験については、細胞を回収し、そしてレポーター溶解試薬(Promega)を使用して溶解し、そして細胞残屑を、5分間、13,000rpmにて遠心した。次いで、上清のアリコートを、Bradfordアッセイ(Bio−Rad試薬)を使用して、サンプルあたりのタンパク質の量を決定するために使用した。次いで、全てのサンプルからの等量のタンパク質を、培地で実行したように、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した。次いで、このゲルを、ニトロセルロース膜(Hybond,Amersham Pharmacia Biotech)に移動し、次いで、この膜をヒトAPO AI(Calbiochem)に対するモノクローナル抗体を用いてプローブした。
【0166】
(APO AIの免疫蛍光標識化)
HepG2およびCaCo2細胞を、カバーガラス上で増殖させた。CaCo2細胞を増殖したカバーガラスをまた、フィブロネクチン(Calbiochem)でコーティングした。24〜48時間、種々の量のエタノールまたはレスベラトロールによる処理をした後、この細胞を、10分間、室温にて、PEM緩衝液(160mmol/LのPIPES、10mmol/Lのエグタズ酸(egtazic acid)(EGTA)、4mmol/LのMgCl2、pH6.9)中の、3.7%のホルムアルデヒド、0.25%のグルタルアルデヒドおよび0.25%のトリトン−Xの混合物を含む溶液で固定し、そして透過性にした。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて3回洗浄した後、その細胞を、3×5分間、還元剤(ホウ化水素ナトリウム、PBS中1mg/ml)により処理した。次いで、この細胞を、ふたたびPBS中で洗浄した。マウスモノクローナル抗APO AI抗体(Calbiochem)を、PBSで1:50に希釈し、そしてそれぞれのカバーグラスに添加し、そして加湿容器(humid chamber)にて60分間室温でインキュベートした。洗浄後、FITC接合二次抗体(ヤギ抗マウスIgG、Jackson ImmunoResearch)を、PBSで1:200に希釈し、そして45〜60分間室温にてカバーガラス上に添加した。次いで、細胞に、PBSを用いて最後の洗浄を行い、そしてPBS中にP−フェニレンジアミンおよび50%のグリセロールを含む封入剤を使用して、スライドガラスに封入した。細胞内のFITC標識化ApoAIペプチドを、488nmおよび520nmのFITC励起および放射波長でZeiss蛍光顕微鏡(Zeiss,Dusseldorf;Germany)を使用して視覚化した。顕微鏡上に取りつけられたKodakデジタルカメラを使用して、写真撮影した。露光時間は、処理された細胞と未処理の細胞とで同一であった。最終倍率は、250×であった。
【0167】
(実施例1:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−[(E)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:レスベラトロール;3,4’,5トリヒドロキシトランススチルベン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物(1,3−ビス−ニトロオキシ−5−[(E)−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ビニル)−ベンゼン)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0168】
(実施例2:四硝酸ピセアタンノールの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1,2−ベンゼンジオール,4−(2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)エテニル)−(E)−(別名:ピセアタンノール)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物(四硝酸ピセアタンノール)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0169】
(実施例3:四硝酸ブテインの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,4,2’,4’−テトラヒドロキシカルコン(別名:ブテイン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である四硝酸ブテインおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0170】
(実施例4:三硝酸イソリキリチゲニンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4,2’,4’−トリヒドロキシカルコン(別名:イソリキリチゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である三硝酸イソリキリチゲニンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0171】
(実施例5:四硝酸フィセチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,7,3’,4’−テトラヒドロキシフラボン(別名:フィセチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である四硝酸フィセチンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0172】
(実施例6:五硝酸ケルセチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,5,7,3’,4’−ペンタヒドロキシフラボン(別名:ケルセチン)の溶液に、25℃にて、5mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である五硝酸ケルセチンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0173】
(実施例7:N−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−N’−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドラジンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−[N’−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ヒドラジノ]−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるN−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−N’−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドラジンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0174】
(実施例8:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルジスルファニル)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0175】
(実施例9:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルペルオキシ)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0176】
(実施例10:1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ビス−ニトロオキシ−5−(4−ニトロオキシ−フェニルスルファニルメチル)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0177】
(実施例11:N−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル−O−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドロキシルアミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(4−ヒドロキシ−フェノキシアミノ)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるN−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル−O−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ヒドロキシルアミンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0178】
(実施例12:ベンジル−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−ベンジルアミノ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるベンジル−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アミンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0179】
(実施例13:2−(サリチリデンアミノ)フェノールジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(サリチリデンアミノ)フェノールの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(サリチリデンアミノ)フェノールジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0180】
(実施例14:(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−(2−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−(2−ヒドロキシ−フェニラゾ)−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:1,3−ベンゼンジオール,4−((2−ヒドロキシフェニル)アゾ)−)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−(2−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0181】
(実施例15:ビス−(2,2’−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのビス−(2,2’−ヒドロキシ−フェニル)−ジアゼン(別名:1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニラゾ)ベンゼン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるビス−(2,2’−ニトロオキシ−フェニル)−ジアゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0182】
(実施例16:N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのN−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(別名:N−(3−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0183】
(実施例17:N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのN−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド(別名:N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0184】
(実施例18:3,3’,4,5’−テトラニトロオキシビベンジルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,3’,4,5’−テトラヒドロキシビベンジルの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である3,3’,4,5’−テトラニトロオキシビベンジルおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0185】
(実施例19:1−ベンジルオキシ−2−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ベンジルオキシ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ベンジルオキシ−2−ニトロオキシ−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0186】
(実施例20:安息香酸3−ニトロオキシ−フェニルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの安息香酸3−ヒドロキシ−フェニルエステル(別名:レゾルシノールモノベンゾエート)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である安息香酸3−ニトロオキシ−フェニルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0187】
(実施例21:2−ニトロオキシ−安息香酸フェニルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−安息香酸フェニルエステル(別名:サリチル酸フェニル)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である2−ニトロオキシ−安息香酸フェニルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0188】
(実施例22:2−ニトロオキシ−N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−N−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ベンズアミド(別名:オサルミド)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ニトロオキシ−N−(4−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0189】
(実施例23:2−ニトロオキシ−N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ヒドロキシ−N−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ベンズアミドの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ニトロオキシ−N−(3−ニトロオキシ−フェニル)−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0190】
(実施例24:3,4,5−トリス−ニトロオキシ−N−フェニル−ベンズアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3,4,5−トリヒドロキシ−N−((Z)−1−メチレン−ブタ−2−エニル)−ベンズアミド(別名:ガラニリド)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である3,4,5−トリス−ニトロオキシ−N−フェニル−ベンズアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0191】
(実施例25:1−(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1−(2,4−ヒドロキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノン(別名:ベンジル2,4−ジヒドロキシフェニルケトン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−(2,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−2−フェニル−エタノンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0192】
(実施例26:1,2−ビス−ニトロオキシ−3−フェノキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−フェノキシ−ベンゼン−1,2−ジオールの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,2−ビス−ニトロオキシ−3−フェノキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0193】
(実施例27:1,2−ビス−ニトロオキシ−3−(2−ニトロオキシ−フェノキシ)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−(2−ヒドロキシ−フェノキシ)−ベンゼン−1,2−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,2−ビス−ニトロオキシ−3−(2−ニトロオキシ−フェノキシ)−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0194】
(実施例28:1−ニトロオキシ−2−フェノキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−フェノキシ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−2−フェノキシ−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0195】
(実施例29:5,5スルフィニルビスレゾルシノールテトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,5スルフィニルビスレゾルシノールの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,5−スルフィニルビスレゾルシノールテトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0196】
(実施例30:1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビステトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビスの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1,3−ベンゼンジオール4,4’−チオビステトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0197】
(実施例31:フェノール2,2’チオビスジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのフェノール2,2’チオビスの溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるフェノール2,2’チオビスジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0198】
(実施例32:1−ベンジル−2,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−ベンジル−ベンゼン−1,3−ジオール(別名:1,3ベンゼンジオール3−フェニルメチル)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−ベンジル−2,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0199】
(実施例33:2−ベンジル−1,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−ベンジル−ベンゼン−1,4−ジオール(別名:1,4ベンゼンジオール4−フェニルメチル)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−ベンジル−1,4−ビス−ニトロオキシ−ベンゼンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0200】
(実施例34:(2,3,4−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−メタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(2,3,4−トリヒドロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリヒドロキシ−フェニル)−メタノン(別名:EXIFONE)の溶液に、25℃にて、6mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(2,3,4−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−(3,4,5−トリス−ニトロオキシ−フェニル)−メタノンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0201】
(実施例35:(2−ニトロオキシ−フェニル)−フェニル−アミンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−フェニルアミノ−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である(2−ニトロオキシ−フェニル)−フェニル−アミンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0202】
(実施例36:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−4H−クロメンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−4H−クロメン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−4H−クロメンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0203】
(実施例37:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレン−2−イル−)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,4−ジヒドロ−ナフタレンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0204】
(実施例38:2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−(6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオールの溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,5−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−6−ニトロオキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0205】
(実施例39:5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(別名:ナリンゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0206】
(実施例40:5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(別名:アピゲニン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−2−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0207】
(実施例41:5,7−ビス−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,7−ジヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロメン−4−オン(別名:ゲニステイン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,7−ビス−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0208】
(実施例42:2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3,4,5,7−テトラキス−ニトロオキシ−クロマンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−クロマン−3,4,5,7−テトラオール(別名:ロイコシアニドール)の溶液に、25℃にて、6mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3,4,5,7−テトラキス−ニトロオキシ−クロマンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0209】
(実施例43:6−ヒドロキシ−7−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの6,7−ジヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−クロマン−4−オン(別名:6,7,4’−トリヒドロキシイソフラボン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である6−ヒドロキシ−7−ニトロオキシ−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−クロマン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0210】
(実施例44:Quracol Bテトラニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのQuracol Bの溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物であるQuracol Bテトラニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0211】
(実施例45:1−(4−ヒドロキシ−2,6−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−プロパン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−プロパン−1−オン(別名:フロレチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である1−(4−ヒドロキシ−2,6−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−3−(4−ニトロオキシ−フェニル)−プロパン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0212】
(実施例46:1−ニトロオキシ−4−((Z)−3−フェニル−アリル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−((Z)−3−フェニル−アリル)−フェノール(別名:4(−3−フェニル−2−プロペニル)−,(E)−フェノール)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−4−((Z)−3−フェニル−アリル)−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0213】
(実施例47:1−ニトロオキシ−4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−ベンゼンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−フェノールの溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である1−ニトロオキシ−4−((E)−3−フェニル−プロペニル)−ベンゼンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0214】
(実施例48:5,6,7−トリス−ニトロオキシ−2−フェニル−クロメン−4−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5,6,7−トリヒドロキシ−2−フェニル−クロメン−4−オン(別名:バイカレイン)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5,6,7−トリス−ニトロオキシ−2−フェニル−クロメン−4−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0215】
(実施例49:四硝酸ルチンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2−(3,4−ジヒドロキシ−フェニル)−5,7−ジヒドロキシ−3−[(2S,3R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−((2R,3R,4R,5R,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ]−クロメン−4−オン(別名:ルチン)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である2−(3,4−ビス−ニトロオキシ−フェニル)−5,7−ビス−ニトロオキシ−3−[(2S,3R,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−((2R,3R,4R,5R,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−メチル−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ]−クロメン−4−オン(四硝酸ルチン)および部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0216】
(実施例50:5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノンジニトラートの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノン(別名:ナリンギン)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−7−(2−O−α−L−ラムノピラノシル−β−D−グルコピラノシルオキシ)−4−クロマノンジニトラートおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0217】
(実施例51:(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:フルバスタチン;Novartis)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(E)−(3S,5R)−7−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1−イソプロピル−1H−インドール−2−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0218】
(実施例52:5−(4−フルオロ−フェニル)−2−イソプロピル−4−フェニル−1−((3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1H−ピロール−1−イル]−3−カルボン酸フェニルアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(3R,5R)−7−[2−(4−フルオロ−フェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4−フェニルカルバモイル−ピロール−1−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタン酸(別名:アトルバスタチン;Parke−Davis)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である5−(4−フルオロ−フェニル)−2−イソプロピル−4−フェニル−1−((3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1H−ピロール−1−イル]−3−カルボン酸フェニルアミドおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0219】
(実施例53:(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:セリバスタチン;Bayer)の溶液に、25℃にて、3mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(E)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−2,6−ジイソプロピル−5−メトキシメチル−ピリジン−3−イル]−1,3,5−トリス−ニトロオキシ−ヘプタ−6−エン−1−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0220】
(実施例54:(S)−2−メチル−酪酸(1S,3S,7S,8S,8aR)−7−メチル−3−ニトロオキシ−8−((4R,6R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(2R,4R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[(1S,2S,6S,8S,8aR)−6−ヒドロキシ−2−メチル−8−((S)−2−メチル−ブチリルオキシ)−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イル]−ヘプタン酸(別名:プラバスタチン;Bristol−Myers Squibb)の溶液に、25℃にて、4mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(S)−2−メチル−酪酸(1S,3S,7S,8S,8aR)−7−メチル−3−ニトロオキシ−8−((4R,6R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプチル)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、任意のヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0221】
(実施例55:2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−[2−((2R,4R)−4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステル(別名:シンバスタチン;Merck)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である2,2−ジメチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0222】
(実施例56:(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−8−[2−((2R,4R)−4−ヒドロキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−3,7−ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステル(別名:ロバスタチン;Merck)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物である(S)−2−メチル−酪酸(1S,3R,7S,8S,8aR)−3,7−ジメチル−8−[2−((2R,4R)−4−ニトロオキシ−6−オキソ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−エチル]−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−ナフタレン−1−イルエステルを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0223】
(実施例57:N−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−5−((E)−(3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプタ−1−エニル)−ピリミジン−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミドの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(E)−(3R,5R)−7−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−2−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)−ピリミジン−5−イル]−3,5−ジヒドロキシ−ヘプタ−6−エン酸(別名:ロスバスタチン;Astra−Zeneca)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるN−[4−(4−フルオロ−フェニル)−6−イソプロピル−5−((E)−(3R,5R)−3,5,7−トリス−ニトロオキシ−7−オキソ−ヘプタ−1−エニル)−ピリミジン−2−イル]−N−メチル−メタンスルホンアミドを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0224】
(実施例58:ニトロオキシ−ピリジン−3−イル−メタノンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolのニコチン酸(別名:ナイアシン)の溶液に、25℃にて、1mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。ニトロ化生成物であるニトロオキシ−ピリジン−3−イル−メタノンを、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0225】
(実施例59:(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ニトロオキシ−プロピル]−4−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オンの調製)
5mLの乾燥THF中の、1mmolの(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ヒドロキシ−プロピル]−4−(4−ヒドロキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オン(別名:エゼチミブ;Merck)の溶液に、25℃にて、2mmolのSOCl(NO)またはSO(NOを添加する。1時間後、EtO(ジエチルエーテル)を添加し、この溶液を水で洗浄し、乾燥し、そしてエバポレートする。完全にニトロ化された生成物である(S)−1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−3−ニトロオキシ−プロピル]−4−(4−ニトロオキシ−フェニル)−アゼチジン−2−オンおよび部分的にニトロ化された生成物(ここで、いずれかのヒドロキシル基が、独立してONO基に置換される)を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーによって精製および単離する。
【0226】
(実施例60:本発明の化合物をグルコロン酸抱合するための方法)
本実施例は、本発明のグルコロン酸抱合された化合物を調製する方法を記載する。この特定の実施例において、最終容量500μLの、10mMのMgClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.8)中の、実施例1のように調製したジニトロ化バージョンのレスベラトロールである3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロール(50〜1000μM)、および10μLのヒト腸ミクロソーム、25μLの結腸ミクロソームまたは10μLの肝臓ミクロソーム(それぞれ、200、400、200μgのタンパク質)、20μLの組換えUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(400μgのタンパク質)を、37℃で5分間プレインキュベートする。反応を、1mMの5’−ジホスホグルクロン酸の添加によって開始する。これらの反応混合物を、37℃で60分間インキュベートする。これらのサンプルを氷上で冷却し、oasis Hydrophilic−新油性 Balance 1cc C18抽出カートリッジ(Waters Corp,Milford,MA)を使用する固相抽出に供す。これらのカートリッジを1mLのメタノールで洗浄し、そして1mLの水で平衡化する。0.5mLのサンプルをロードした後、これらのカートリッジを5%メタノールで洗浄し、そして2mLの100%メタノールで溶出する。このメタノール溶出物をNガス下で40℃にて乾燥し、そしてこのサンプルを、HPLC分析のために250μLの移動相中に再び融解する。
【0227】
(実施例61:本発明の化合物を硫酸化するための方法)
本実施例は、本発明の硫酸化化合物を調製する方法を記載する。この特定の実施例において、実施例1のように調製したレスベラトロール,3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロールのジニトロ化バージョンを、前述のイオン対抽出方法(Varinら1987、Anal.Biochem.161:176〜180)を用いて、スルホトランスフェラーゼ酵素によって硫酸化する。代表的な反応混合物は、総容量100μLの、8mMジチオスレイトールおよび0.0625%ウシ血清アルブミンを含む33mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)中に、0.1〜200μMの3,4’−ニトロオキシ−5−ヒドロキシレスベラトロール、1μMの[35S]PAPS、および2.5μLのプールされたヒト肝臓サイトゾル(50μgのタンパク質)、2.5μLのヒト空腸サイトゾル(30μg)、Caco−2サイトゾル(225μg)または0.25μLの組換えスルホトランスフェラーゼを含む。これらのサンプルを37℃で30分間インキュベートし、これらの反応を、10μLの2.5%酢酸、20μLの0.1μM硫酸水素テトラブチルアンモニウムおよび500μLの酢酸エチルの添加によって終結させる。混合および遠心分離を経た後、この400μLの酢酸エチル抽出物を、生分解性計数シンチラント(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ.)の添加後に、液体シンチレーション計数に供する。
【0228】
(実施例62:腸由来CaCo2細胞のレスベラトロール処理)
この研究は、レスベラトロールがCaCo2細胞(腸細胞株)中のAPO AI遺伝子に対して効果を有するか否かを決定した。細胞を、ATCCによって推奨され、そして方法のセクションにおいて簡潔にまとめた条件下で増殖した。最初の研究は、組織学的分析を使用して、APO AI発現を増加させるレスベラトロールの潜在的な効果を調査した。細胞を、5μMまたは10μMのレスベラトロールで処理し、次いで、市販のヒトAPO AI抗体を使用して、その細胞の豊富なAPO AIを染色した(データを示さず)。このCaCo2細胞を、レスベラトロールの非存在下(未処理)および存在下(5μMおよび10μM)で、位相差、ならびにAPO AIタンパク質の免疫組織化学的染色を使用して調査した。レスベラトロールは、36時間の処理の後の5μMおよび10μMの上記因子への暴露後に、APO AIシグナルの量の増加をもたらした。レスベラトロールの存在下でのAPO AIタンパク質発現レベルの増加もまた示された。これらの結果は、5μMのレスベラトロールと10μMのレスベラトロールとの両方が細胞のAPO AIタンパク質含有量に起因して蛍光を増加させたことを示した。
【0229】
次に、CaCo2細胞を、0〜15μMまでの種々の濃度のレスベラトロールに暴露した。この細胞を、標準的な技術を使用して、トランスフェクションの効率についてのモニターとしてのpRSV−β−ガラクトシダーゼとともに、レセプター構築物(pAI.474−Luc(図1の地図を参照のこと))で、トランスフェクトした。このpAI.474−Lucは、従来の分子生物学の技術を使用して本発明者らが作製した構築物であり、そしてレポーター(ホタルルシフェラーゼ(Luc))に融合された−474〜−7のヒトAPO AIプロモーターを含む。レスベラトロールを、DMSO中に溶解し、次いで、培養培地に添加し、0〜15μMまで変動する最終濃度を生成した。上記細胞を、種々の濃度のレスベラトロールにより16時間処理した。この処理の最後に、細胞を回収し、そしてLuc活性を測定した。これらの値を、溶解液タンパク質濃度とまた3−ガラクトシダーゼ活性との両方に対して標準化した。この結果(図2)は、レスベラトロールが5〜7.5μMの範囲のレスベラトロール濃度において、最大2.5倍までAPO AIプロモーター活性を刺激したことを示した。
【0230】
前述の研究は、APO AIプロモーター活性の最大限の刺激をもたらしたレスベラトロールの濃度が5〜7.5μMの範囲にわたることを示したが、その作用の期間は明らかではなかった。この点に対処するために、上記と同じ実験を、APO AIプロモーターのレスベラトロール誘導の反応速度を評価するために使用した。pAI.474−Lucを用いてトランスフェクトされたCaCo2細胞を、4〜24時間まで変動する選択された時点において、5μMのレスベラトロールで処理した。この構築物(pAI.474−Luc)は、レポーター遺伝子(ホタルルシフェラーゼ(Luc))に融合された、−474から−7までの範囲に及ぶラットAPO AIプロモーターDNAを含んでいた。有意な効果を、レスベラトロールの投与の4時間後、8時間後、16時間後、および24時間後に観察したが、最大の刺激は、この化合物への暴露の16時間後に現れた。結果(図3)は、APO AIプロモーターに対するレスベラトロールの刺激効果のための最適な時点は、約16時間であるように見えることを示した。これらの研究に起因する情報は、レスベラトロールがCaCo2細胞中のAPO AI遺伝子転写を刺激し得ること、およびレスベラトロールに関する最大効果の時間は、おおまかに暴露後16時間であることを示す。
【0231】
(実施例63:レスベラトロールの効果は、−190から−170のヌクレオチドの範囲のDNAフラグメントを必要とする)
上記の研究において使用されたpAI.474−Lucは、レスベラトロールの効果を媒介することが見出され、そしてこの構築物は、−474から−7の範囲にわたるヒトAPO AI DNAフラグメントを含むので、本発明者らは、プロモーターDNAのこのセグメント中の1つのモチーフまたは複数のモチーフがこの化合物の作用を媒介すると仮定した。潜在的モチーフを同定するために、漸進的により小量のAPO AI DNAを含む別々の構築物をLuc遺伝子に融合した。各構築物の活性を、CaCo2細胞の一過性トランスフェクションアッセイによって試験し、次いで、5μMのレスベラトロールを用いて最低16時間、処理した。結果(図4)は、全長(−474から−7)プロモーターが2.5倍の誘導を生じたことを示した。各組のカラムの下の数は、フラグメントの5’位置を意味し、3’末端は、−7で全ての欠失クローンに共通である。例えば、左の組のカラムは、それぞれ、レスベラトロールの存在下および非存在下での−474から−7までのフラグメントの活性を示す。これらの結果は、プロモーターの−190から−171までのDNAの除去が、レスベラトロールへの応答をなくすことを示す。親プロモーターからのDNAの−235または−190から−7までのフラグメントの除去は、プロモーター活性の2.5倍の増加を誘導するレスベラトロールの能力に影響を及ぼさなかった。対照的に、プロモーターの残りの−170から−7までのフラグメントのさらなる欠失は、プロモーターのレスベラトロール誘導をなくした。本発明者らは、APO AI DNA中のレスベラトロール応答性モチーフが−190から−170までのヌクレオチドの範囲にわたるはずであることを発見した。
【0232】
(実施例64:レスベラトロールは、CaCO2細胞から分泌されたAPO AIタンパク質を増加させる)
この実験は、CaCo2細胞におけるプロモーターの転写活性のレスベラトロールの刺激が、究極的には遺伝子の抗アテローム発生活性を担う、大量のAPO AIタンパク質を増加させたか否かの測定しようとした。レスベラトロールは、pAI.474−Luc構築物(一過性のトランスフェクションによってCaCo2細胞中に導入されるトランスジーン)中のAPO AIプロモーターの活性を増加させたが、それがCaCo2細胞に対して内因性にAPO AI遺伝子の活性に影響するか否かは、定かではない。これらの研究のために、CaCo2細胞を、通常のように培養し、そして5p,Mまたは10p,Mの濃度のレセベラトロールを含む培地に36時間、暴露した。APO AIタンパク質がCaCo2細胞から上記培地に分泌され、そして検出されるための適切な時間を与えるために、レスベラトロールへの細胞のより長い暴露を利用した。36時間上記細胞に暴露された使用済み培地を、ウエスタンブロット分析を使用して、そのAPO AIタンパク質の含有量についてアッセイした。結果(図5)は、使用済み培地におけるレスベラトロールにより処理された細胞由来の大量のAPO AIタンパク質の顕著な増加を示したが、レスベラトロールを欠く培地におけるAPO AIはより少なかった。
【0233】
これらの研究の結果は、レスベラトロールの抗アテローム発生特性が、APO AI遺伝子の発現を増強することを示す。APO AI遺伝子の発現の増加は、RCTを増強し、それによって、体からのコレステロールの除去を増大する。CaCo2細胞のデータは、有意であり、本発明者らは、予想外に:
1)腸細胞におけるAPO AIに対するレスベラトロールの効果を初めて同定した。
2)レスベラトロールがAPO AI遺伝子の転写に影響することを同定した。
3)レスベラトロールが細胞中のAPO AIに対して作用するために必要とされる時間を決定した。
4)治療的にAPO AI遺伝子発現を変更するためのレスベラトロールの濃度の範囲を決定した。
5)CaCo2細胞におけるレスベラトロールの効果を媒介するDNAモチーフを同定した。
6)レスベラトロールの効果の1つが、多量のAPO AIタンパク質を増加させることであることを示した。
【0234】
この情報は、以下の工程によって、レスベラトロールの使用または他の類似のAPO AI増加因子の使用を利用することにおいて有用である:
1)腸に放出され得るレスベラトロールの処方物を設計する工程。
2)レスベラトロールまたはそのような因子の時間設定された放出のための処方物を、それが最低16時間、腸の経路内にあることを保証するように設計する工程。
3)以前に公知ではなかった、治療用量のレスベラトロールまたはそのような因子の存在を維持するための処方物を設計する工程。
4)レスベラトロールまたはそのような因子の作用をアッセイするための種々のレポーター構築物および細胞株の使用を示し、そしてその使用を天然ポリフェノールもしくは合成ポリフェノールまたはレスベラトロールの作用に類似する作用を有する他の因子をスクリーニングするために拡張する工程。
【0235】
(実施例65:肝臓由来のHep G2細胞のレスベラトロール処置)
APO AI遺伝子は、肝臓と小腸との両方において発現されるので、以下の研究は、肝臓細胞における遺伝子の発現に影響するレスベラトロールの能力を調査する。この研究の第一のセットは、多量のAPO AIを増加させるレスベラトロールの潜在的な能力を調査し、そして組織学的分析を使用してこの可能性を評価するように調査した。細胞を、ATCCによって推奨され、そして方法のセクションにおいて簡潔にまとめた条件下で増殖した。最初の研究は、組織学的分析を使用して、APO AI発現を増加させるレスベラトロールの潜在的な効果を調査した。細胞を、5μMまたは10μMのレスベラトロールで処理し、次いで、市販のヒトAPO AI抗体を使用して、その細胞の豊富なAPO AIを染色した。レスベラトロールを用いてかもしくは用いない処理、ならびに、APO AIタンパク質の含有量の免疫染色の後に、位相差または蛍光顕微鏡の下、Hep G2細胞を観察した。これらの結果は、5μMまたは10μMのレスベラトロールによる処理の後、APO AIシグナルの蛍光の増加を示した。
【0236】
Hep G2細胞中のプロモーター活性についてアッセイするために、以下に記載されるように、従来の分子生物学の技術を使用して、トランスフェクションの効率についてのモニターとしてのpRSV−3−ガラクトシダーゼとともに、レポーター構築物(pAI474−Luc)を、ヒト肝臓癌(Hep G2)細胞中に挿入した。このトランスフェクトされた細胞を、16時間、0〜100μMまでの種々の濃度のレスベラトロールに暴露した。この細胞を回収し、そしてLuc活性についてアッセイした。0μM、5μM、10μM、25μM、50μM、75μMおよび100μMのレスベラトロールにより処理された細胞は、5〜10μMにおいてピーク用量を有するが、50μM以上では阻害的となる用量−応答関係を示した。これらのデータを、β−gal(トランスフェクションの効率について制御するために同時トランスフェクトされたレポーター)に対して標準化し、そしてタンパク質レベルに対して表した。この実験を、3つの異なる細胞のバッチを用いて3回繰り返した。得られた値を、タンパク質活性と6−ガラクトシダーゼ活性との両方に対して標準化した。結果(図6)は、5〜10pMのレセベラトロールによる処理後の活性の3倍の増加を示した。しかし、レスベラトロール濃度のさらなる増加は、レポーター構築物のLuc−活性をさらに増加させず、そして、実際、上記化合物の15μM、25μM、50μM、75μMまたは100μMの濃度は、Luc活性の有意な増加とは関連せず、むしろ、Luc活性の50%の減少に結び付いた。これらの観察を立証するために、細胞内に永久的に挿入されたpAI.474−Lucを含む細胞株を、作製した。これらの永久的にトランスフェクトされた細胞を、0〜20μMの範囲の濃度のレスベラトロールに対する応答について試験した。ネオマイシン耐性であり、そしてLuc活性を有した細胞を、研究のために保持した。なぜなら、この細胞は、pAI.474−Lucとネオマイシン耐性マーカーとの両方を含んでいるからである。これらの細胞を、レスベラトロール(0〜25μM)により処理した。永久的にトランスフェクトされた細胞を作製するために、ネオマイシン耐性を保有する別のプラスミドを用いて、474−Lucを同時トランスフェクトした。ネオマイシン中で増殖する能力は、成功したトランスフェクションのためのマーカーである。レスベラトロールに対する用量−応答効果が、一過性にトランスフェクトされた細胞のその関係を模倣している結果となって観察された。結果(図7)は、永久的にトランスフェクトされた細胞中のLuc活性が、10μMのレスベラトロールによる処理後に、用量依存的様式で増加し、最大で4倍に増加することを示した。
【0237】
一定の濃度のレスベラトロールに応答する、pAI.474−Lucの時間経過を、試験した。この研究において、Hep G2細胞を、pAI.474−Lucを用いて一過性にトランスフェクトし、次いで、10p.Mのレスベラトロールに暴露した。この細胞を、4時間、8時間、16時間および24時間にて回収した。このLuc活性をこれらの細胞においてアッセイし、そして結果は、プロモーターの最大の刺激が16時間で始まり、そして24時間まで拡張したことを示した。このレスベラトロールの最大の効果はCaCo2細胞中の効果と類似し、処理の16時間後に観察された最大の増加を有した(図8)。
【0238】
(実施例66:レスベラトロールは、Hep G2細胞から分泌されるAPO AIタンパク質を増加させる)
Hep G2細胞中のAPO AIプロモーターのレスベラトロール刺激もまた多量のタンパク質を増加させるか否かを測定するため、培地中に分泌されたAPO AIを上記化合物による処置の後に評価した。レスベラトロールは、pAI.474−Luc構築物(一過性のもしくは安定的なトランスフェクションによってHep G2細胞中に導入されたトランスジーン)中のAPO AIプロモーターの活性を増加させた。Hep G2細胞を、通常のように培養し、そして5p,Mまたは10p,Mの濃度のレセベラトロールを含む培地に36時間、暴露した。36時間上記細胞に暴露された使用済み培地を、ウエスタンブロット分析を使用して、そのAPO AIタンパク質の含有量についてアッセイした。結果(図9)は、使用済み培地におけるレスベラトロールにより処理された細胞由来の大量のAPO AIタンパク質の顕著な増加を示したが、レスベラトロールを欠く培地におけるAPO AIはより少なかった。
【0239】
これらの実験は、レスベラトロールがまた予想外に、そして有利に肝臓由来のHep G2細胞中のAPO AI遺伝子の発現を増加させたことを示す。それゆえ、スクリーニングアッセイの好ましい実施形態は、好ましいマーカーがLucである場合、有利に、pAI.474−マーカーを含有する永久的にトランスフェクトされたHep G2細胞株を包含する。そのような細胞を、APO AI発現またはAPO AIトランスフェクションを増加させるための化合物または因子についてスクリーニングするために使用し得る。この実験は、そのような化合物の治療上の適用のための好ましい期間、ならびに、どのように好ましい治療濃度が初めに決定され得るかを示す。当然、治療レジメンをその目的に従って改良するために、従来の臨床試行が必要とされることが、容易に認識される。
【0240】
本発明者らは、レスベラトロールがAPO AI遺伝子の発現に有利に影響することを発見した。ヒト細胞株(Hep G2およびCaCo2)を使用して、5〜10μMの範囲のレスベラトロールの濃度に暴露された両細胞型におけるAPO AIタンパク質およびプロモーター活性のレベルの増加を観察した。同じく重要なことは、この範囲を上回る濃度への細胞の暴露は、APO AI遺伝子の発現に対する有害な効果を有するということである。さらに、1回のレスベラトロールの暴露に応答した遺伝子活性が16〜24時間において遺伝子の転写に対する最大の効果を有するが、タンパク質のレベルは暴露後36時間まで検出され得るという発見はまた、治療効果のためのレスベラトロールへの細胞の暴露について必要とされる時間の長さの決定につながる新規の情報である。腸細胞由来のCaCo2がレスベラトロールに応答するという事実もまた、新規の情報である。レスベラトロールは、肝臓へ進む前に、まず腸細胞に接触するので、この事実は重要であり、それゆえ、腸細胞に対するレスベラトロールの相互作用および効果は、肝臓細胞に対する効果よりも重要である可能性が高い。なぜなら、消費後のレスベラトロールの濃度は肝臓細胞を刺激するのに十分な血液中のレベルに到達しない可能性があるからである。
【0241】
これらの基本的な観察に加えて、レスベラトロールがAPO AI遺伝子転写を刺激する機構を、プロモーターの欠失した構築物を使用したアッセイにおいて試験した。これらの研究は、CaCo2細胞中のレスベラトロールは、DNAの−190から−170までのフラグメントを介して作用するが、肝臓細胞における効果は同じ部位または異なる部位における相互作用に起因し得ることを示す。レスベラトロールの誘導体またはアナログを使用して腸細胞における有益な効果を生じるためには、この効果は、肝臓に対する効果とは異なる可能性があるので、このことは重要である。
【0242】
本発明の別の実施形態において、永久的にトランスフェクトされたHepG2細胞を、他の遺伝子中のレスベラトロール感受性プロモーター配列についてスクリーニングするためのスクリーニング系として使用する。欠失した構築物を有する、永久的にトランスフェクトされたHepG2またはCaCo2細胞は、遺伝子中のレスベラトロール感受性プロモーター配列のスクリーニングのためのアッセイ系、ならびに、APO AI発現を調節し得る栄養薬剤および薬剤を同定するために栄養薬剤および薬剤をスクリーニングするためのアッセイ系の基礎を提供し得る。
【0243】
(実施例67:ApoA−1タンパク質発現の測定)
この研究は、CaCo2細胞(腸細胞株)中、またはHep G2細胞(肝癌細胞株)中のAPO AI遺伝子に対する上記化合物の効果を測定する。細胞を、上記化合物により処理し、次いで、市販のヒトAPO AI抗体を使用して、処理の36時間後に豊富なAPO AIについて染色した。
【0244】
(実施例68:ApoA−1プロモーター誘導の測定)
CaCo2またはHep G2細胞を、種々の濃度の上記化合物に暴露した。これらの細胞を、標準的な技術を使用して、トランスフェクションの効率についてのモニターとしてのpRSV−β−ガラクトシダーゼとともに、レセプター構築物(pAI.474−Luc)を用いてトランスフェクトした。このpAI.474−Lucは、従来の分子生物学の技術を使用して作製した構築物であり、そしてレポーター(ホタルルシフェラーゼ(Luc)(米国特許出願第10/222,013号))に融合された−474〜−7までのヒトAPO AIプロモーターを含む。化合物を、DMSO中に溶解し、次いで、培養培地に16時間添加する。この処理の最後に、細胞を回収し、そしてLuc活性を測定した。値を、溶解液タンパク質濃度とまたβ−ガラクトシダーゼ活性との両方に対して標準化する。36時間上記細胞に暴露された使用済み培地を、ウエスタンブロット分析を使用して、そのAPO AIタンパク質の含有量についてアッセイし得る。
【0245】
(実施例69:AGCCCCCGC要素誘導の測定)
CaCo2またはHep G2細胞を、種々の濃度の上記化合物に暴露する。この細胞を、標準的な技術を使用して、米国特許出願第10/222,013号中に教示されるように、トランスフェクションの効率についてのモニターとしてのpRSV−β−ガラクトシダーゼとともに、AGCCCCCGC要素を含み、プロモーター(例えば、チミジンキナーゼ(TK)プロモーター)に作動可能に連結され、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ、CAT、またはアポリポタンパク質AIそれ自身)に作動可能に連結される、レポーター構築物を用いてトランスフェクトする。化合物を、DMSO中に溶解し、次いで、培養培地に16時間添加する。この処理の最後に、細胞を回収し、そしてレポーター遺伝子活性を測定した。値を、溶解液タンパク質濃度と、またβ−ガラクトシダーゼ活性との両方に対して標準化する。
【0246】
(実施例70:egr−1エフェクターを使用する受精状態の処置)
egr−1は、十分な黄体形成(leuteinizing)ホルモン−βの発現のために必要とされることがノックアウトマウス実験より公知であり、そしてegr−1の欠如は、ホモ接合ノックアウトマウスの生殖能力の消失に結び付く。それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、受精能を抑制するためか、もしくは逆に、受精能の減少した個体においてそれを増大するための、ヒトもしくは哺乳動物の処置についての潜在的な機構を示す。
【0247】
(実施例71:egr−1エフェクターを使用した癌の処置)
egr−1は、トランスホーミング増殖因子−β(TGF−β)をトランス活性化することによって転換を抑制する。TGF−βは、それ自身種々の癌によって抑制され、それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、ヒトまたは哺乳動物の癌および他の増殖性疾患の処置についての潜在的な機構を示す。
【0248】
(実施例72:p21に対して作用するegr−1エフェクターを使用した癌の処置)
egr−1は、p21(CIP1およびWaftとしても公知である)と協働し、転換を抑制する。このことは、egr−1が癌および他の増殖性疾患の処置に関与する代替的な経路を示し、それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、ヒトまたは哺乳動物の癌または類似の増殖性疾患の処置についての潜在的な機構を示す。
【0249】
(実施例73:p53に対して作用するegr−1エフェクターを使用した癌の処置)
egr−1は、細胞の損傷の重症度に依存して、トランス活性化p53を通じて、細胞周期の停止またはアポトーシスを誘導する。それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、p53活性化レベルの変化が、関連する障害(例えば、癌)に対するヒトまたは哺乳動物の処置のために潜在的な機構を示す。いくつかの場合、細胞周期の誘導された停止は、損傷した細胞がその損傷に応答し、そして修復を引き起こすことを可能にし得、このことは、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節によって生じる処置作用の潜在的な別の機構を示す。
【0250】
(実施例74:egr−1エフェクターを使用した前立腺癌の処置)
egr−1は、前立腺癌腫瘍癌細胞において過剰発現し、ここで、それは癌状態の維持に機能的に関連する。それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、前立腺癌の処置のための潜在的な機構を示す。
【0251】
(実施例75:egr−1エフェクターを使用した脈管疾患の処置)
egr−1は、FGF−2の活性レベルを増加させ、次いで、FGF−2は、新脈管形成および狭窄を増加させる。それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、癌の処置として新脈管形成をダウンレギュレートする潜在的な治療アプローチを示す。あるいは、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される調節活性は、血管形成後の多数の脈管疾患(アテローム硬化症、脳血管性障害、および再狭窄を含む)に関連する狭窄をダウンレギュレートする潜在的な治療アプローチを示す。逆に、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、例えば、創傷を治癒する治療的介入のために虚血組織を処置するために新脈管形成をアップレギュレートする潜在的な治療アプローチを示し得る。
【0252】
(実施例76:egr−1エフェクターを使用した炎症疾患および肺疾患の処置)
egr−1活性化は、炎症メディエーターの持続する発現(例えば、肺障害(気腫およびぜん息を含む)において発生する)に寄与する。それゆえ、egr−1コンセンサス配列要素を通じて媒介される活性の調節は、肺障害(例えば、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺障害)の処置についての潜在的な治療アプローチを示す。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】図1は、トランスフェクションアッセイの構築物の模式図を示す;
【図2】図2は、pAI.474−Lucを用いてトランスフェクトされたCaCo2細胞中のAPO AIプロモーター活性レベルに対するレスベラトロール(0μM、2.5μM、5μM、7.5μM、および10μM)の効果を示す;
【図3】図3は、レスベラトロール(5μM)が、報告された構築物(pAI.474−Luc)を用いてトランスフェクトされたCaCo2細胞中のAPO AIレベルに対して効果を有している、時間経過を示す;
【図4】図4は、次第に小さくなるAPO AIプロモーターのフラグメントを含む異なるレポーター構築物を用いてトランスフェクトされ、そして5μMレスベラトロールで16時間処理された、CaCo2細胞の研究を示す;
【図5】図5は、APO AIタンパク質のウエスタンブロット分析を示す;
【図6】図6は、pAI.474−Lucを用いて一過性にトランスフェクトされ、次いで、種々の用量のレスベラトロールを用いて16時間処理されたHep G2細胞の結果を示す;
【図7】図7は、pAI.474−Lucおよび市販のネオマイシン耐性遺伝子を用いて永久的にトランスフェクトされたHepG2細胞からのデータを示す。このトランスフェクション由来の細胞を、ネオマイシンへの耐性について選択した;
【図8】図8は、pAI.474−Lucを用いてトランスフェクトされ、10μMのレスベラトロールに暴露され、次いで暴露から4時間後、8時間後、16時間後および24時間後に収集した、Hep G2細胞中のレスベラトロールに対するAPO AIプロモーターの応答の時間経過を示す;
【図9】図9は、未処理のHep G2細胞か、または5μMもしくは10μMのレスベラトロールを用いて処理されたHep G2細胞由来の使用済み培地中のAPO AIタンパク質含有量を測定するためのウエスタンブロット分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
egr−1応答要素コンセンサス配列と関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、egr−1応答要素コンセンサス配列から生じる転写および遺伝子の発現状態を調節し得る、化合物の使用。
【請求項2】
前記化合物が、レスベラトロール、3,4’,5 トリニトロキシトランススチルベン、および3,4’,5 トリ(ニトロキシ)エトキシトランススチルベン、これらの化合物のいずれかのアナログ、ならびにこれらの化合物のいずれかの薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される化合物を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記健康状態が、受精能および不妊、脈管疾患、治療介入を必要とする創傷、炎症、および肺疾患からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記脈管疾患が、アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患、血管形成または虚血後の再狭窄を含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記egr−1応答要素コンセンサス配列が、トランス活性化トランスホーミング増殖因子β(TGF−β)と結合される、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項10】
前記egr−1応答要素コンセンサス配列が、黄体形成ホルモンと結合される、請求項1に記載の使用。
【請求項11】
前記健康状態が、受精能の減少である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
癌、他の増殖性疾患からなる群より選択される疾患または健康状態、および細胞の形質転換に対する感受性の処置のための医薬の製造における、egr−1応答要素コンセンサス配列から生じる転写およびp21の発現状態を調節し得る、化合物の使用。
【請求項13】
誘導された細胞周期の停止、細胞損傷、および細胞修復の必要性からなる群より選択される、処置を必要とする健康状態の処置のための医薬の製造における、egr−1応答要素コンセンサス配列から生じる転写およびp53の発現状態を調節し得る、化合物の使用。
【請求項14】
新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、処置を必要とする健康状態の処置のための医薬の製造における、egr−1応答要素コンセンサス配列から生じる転写およびFGF−2の発現状態を調節し得る、化合物の使用。
【請求項15】
前記化合物が、レスベラトロール、3,4’,5 トリニトロキシトランススチルベンおよび3,4’,5 トリ(ニトロキシ)エトキシトランススチルベンまたはこれらのアナログを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項16】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現を調節し得る化合物を同定するための方法であって、該方法は、細胞または細胞抽出物、およびプロモーターに作動可能に連結したegr−1応答要素を含む発現系を提供する工程であって、該発現が、調節され得、測定され得る、工程、ならびに該化合物が、該発現系において発現の調節を誘導し得るか否かを決定する工程、を包含する、方法。
【請求項17】
前記egr−1応答要素コンセンサス配列が、AGCCCCCGCを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項17に記載の方法によって同定された化合物の使用。
【請求項19】
前記化合物が、供与可能な一酸化窒素成分および遊離ラジカル除去抗酸化分子を有する化合物を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記化合物が、レスベラトロールの少なくとも一つの天然に存在するヒドロキシル基を置換した少なくとも一つの一酸化窒素供与部分を有するレスベラトロールおよびそのアナログを含む、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記化合物が、3,4’,5 トリニトロキシトランススチルベンおよび3’,4’,5 トリ(ニトロキシ)エトキシトランススチルベンからなる群より選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記アナログが、OCNO2置換化合物からなる群より選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
前記アナログが、ジアゼニウムジオレートアナログである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記レスベラトロールの少なくとも一つの天然に存在するヒドロキシル基が、硫黄または窒素で置換されている、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
egr−1またはegr−1コンセンサス配列要素から生じる転写を調節し得る化合物を同定するための方法であって、検出可能な生成物を発現し得る遺伝子に作動可能に連結したegr−1またはegr−1コンセンサス配列要素を含む試験系を提供する工程、検出可能な生成物の基準レベルを測定する工程、該試験系を試験されるべき化合物と接触させてその後、該検出可能な生成物のレベルを測定する工程、該検出されたレベルを該基準レベルに対して比較する工程、および該比較する工程から該化合物が、egr−1またはegr−1コンセンサス配列要素のエフェクターであるか否かを決定する工程、を包含する、方法。
【請求項26】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現を調節し得る化合物であって、供与可能な一酸化窒素成分および遊離ラジカル除去抗酸化分子を含む、化合物。
【請求項27】
以下の構造:
【化1】

を含むフラボノイド化合物を包含する、請求項26に記載の化合物であって、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[サルフェート接合体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン酸(別名グルクロン酸)接合体]であり得、但し、R1〜R10の少なくとも一つ、またはR13またはR14は、ニトロオキシ、R12、OR12またはOCOR12であり、そして、
ここで、
OCORは、
【化2】

を意味し、
Rは、R11またはR12であり、
ここで、
R11は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、そして必要に応じて分枝し、そして、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し、
ここで、
R12は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分枝し、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、そして、必要に応じて一つ以上のONOを含み;
ここで、
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6原子の環構造をなお維持するケトン]、CR14、またはNR14であり得;そして、
Zは、単結合または二重結合であり得る、
化合物。
【請求項28】
薬学的に受容可能なキャリアと組合せて、請求項27に記載のフラボノイド化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項29】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項28に記載のフラボノイド化合物の使用。
【請求項30】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項33】
以下の構造:
【化3】

を含むイソフラボノイド化合物を包含する、請求項26に記載の化合物であって、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[サルフェート接合体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン酸(別名グルクロン酸)接合体]であり得、但し、R1〜R10の少なくとも一つ、またはR13またはR14は、ニトロオキシ、R12、OR12またはOCOR12であり、そして、
ここで、
OCORは、
【化4】

を意味し、
Rは、R11またはR12であり、
ここで、
R11は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、そして必要に応じて分枝し、そして、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、
ここで、
R12は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分枝し、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、そして、必要に応じて一つ以上のONOを含み;
ここで、
Xは、O、CR13またはNR13であり得;
Yは、CO[6原子の環構造をなお維持するケトン]、CR14、またはNR14であり得;そして、
Zは、単結合または二重結合であり得る、
化合物。
【請求項34】
薬学的に受容可能なキャリアと組合せて、請求項33に記載のイソフラボノイド化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項35】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項34に記載のイソフラボノイド化合物の使用。
【請求項36】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
以下の構造:
【化5】

を含むスチルベン化合物を包含する、請求項26に記載の化合物であって、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[サルフェート接合体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン酸(別名グルクロン酸)接合体]であり得、但し、R1〜R10の少なくとも一つは、ニトロオキシ、R12、OR12またはOCOR12であり、そして、
ここで、
OCORは、
【化6】

を意味し、
Rは、R11またはR12であり、
ここで、
R11は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、そして必要に応じて分枝し、そして、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、
ここで、
R12は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分枝し、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、そして、必要に応じて一つ以上のONOを含み;
ここで、
Xは、単結合、二重結合または三重結合であり得る、
化合物。
【請求項40】
薬学的に受容可能なキャリアと組合せて、請求項39に記載のスチルベン化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項41】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項40に記載のスチルベン化合物の使用。
【請求項42】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項42に記載の使用。
【請求項45】
以下の構造:
【化7】

を含むカルコン化合物を包含する、請求項26に記載の化合物であって、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[サルフェート接合体]、またO−グルコロニデート[グルコロン酸(別名グルクロン酸)接合体]であり得、但し、R1〜R10の少なくとも一つ、またはR13またはR14は、ニトロオキシ、R12、OR12またはOCOR12であり、そして、
ここで、
OCORは、
【化8】

を意味し、
Rは、R11またはR12であり、
ここで、
R11は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、そして必要に応じて分枝し、そして、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、
ここで、
R12は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分枝し、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、そして、必要に応じて一つ以上のONOを含み;
ここで、
Xは、単結合または二重結合であり得;
Yは、単結合または二重結合であり得;
Zは、CO[ケトン]、CR13、またはNR13であり得る、
化合物。
【請求項46】
薬学的に受容可能なキャリアと組合せて、請求項45に記載のカルコン化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項47】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項46に記載のカルコン化合物の使用。
【請求項48】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
以下の構造:
【化9】

を含むポリフェノール化合物を包含する、請求項26に記載の化合物であって、
ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル[OH]、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、ニトロオキシ[ONO]、メトキシ[OCH]、エトキシ[OCHCH]、フッ化物[F]、塩化物[Cl]、CF、CCl、ホスフェート、R11、R12、OR11、OR12、OCOR11、OCOR12、O−サルフェート[サルフェート接合体]、またはO−グルコロニデート[グルコロン酸(別名グルクロン酸)接合体]であり得、但し、R1〜R10の少なくとも一つは、ニトロオキシ、R12、OR12またはOCOR12であり、そして、
ここで、
OCORは、
【化10】

を意味し、
Rは、R11またはR12であり、
ここで、
R11は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、そして必要に応じて分枝し、そして、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、
ここで、
R12は、C1〜18のアリール、ヘテロアリール、またはこれらの誘導体であり、ここで、該誘導体は、必要に応じて置換され、必要に応じて分枝し、S、NまたはOによって置換された一つ以上のC原子を有し得、そして、必要に応じて一つ以上のONOを含み;
ここで、
Xは、C、S、(CO)、SO、別名ケトン、(SO)N、(CO)C、(CO)N、(CO)O、C−N[単結合]、C=N[二重結合]、C−O、N−O、N−N[単結合]またはN=N[二重結合]であり得る、
化合物。
【請求項52】
薬学的に受容可能なキャリアと組合せて、請求項51に記載のポリフェノール化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項53】
egr−1応答要素コンセンサス配列に関連する遺伝子の発現状態と関連する疾患または健康状態の処置のための医薬の製造における、請求項52に記載のポリフェノール化合物の使用。
【請求項54】
前記疾患が、癌および他の増殖性疾患、脈管疾患、治療的介入を必要とする創傷、炎症、ならびに肺疾患からなる群より選択される、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
前記肺疾患が、気腫、ぜん息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、CVD、アテローム性動脈硬化症、高血圧、および/または再狭窄から選択される、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
前記癌に関連する疾患が、p53の変化したレベルに関連する細胞周期の停止またはアポトーシス疾患、ならびにFGF−2の変化した活性レベルに関連する新脈管形成および狭窄からなる群より選択される、請求項54に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−509035(P2007−509035A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529525(P2006−529525)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001818
【国際公開番号】WO2005/034960
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506115525)レスバーロジックス コーポレイション (8)
【Fターム(参考)】