説明

EGRクーラ

【課題】低温時にバイパス通路を流通する排気ガスが熱交換器により冷却されることを可及的に防止し、小型化を図る。
【解決手段】EGRクーラ1は、ケーシング2内に設けられて排気ガスを冷却する熱交換器3と、上記ケーシング内に設けられて上記熱交換器をバイパスするバイパス通路5と、排気ガスを上記熱交換器とバイパス通路とのいずれか一方に供給する流路切換弁9とを備えている。また上記熱交換器3は、排気ガスを流通させるガス通路6と、該ガス通路内を流通する排気ガスを冷却する冷却通路7とを備えている。上記バイパス通路5は、上記ケーシング2内に設けた中空軸4内に形成してあり、この中空軸4の外側にガス通路6を配置するとともに、該ガス通路の外側に上記冷却通路7を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラに関し、より詳しくは、排気ガスを冷却するための熱交換器と、この熱交換器をバイパスするバイパス通路とを備えたEGRクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EGRクーラとして、ケーシング内に設けられて排気ガスを冷却する熱交換器と、上記ケーシング内に設けられて上記熱交換器をバイパスするバイパス通路と、排気ガスを上記熱交換器とバイパス通路とのいずれか一方に供給する流路切換弁とを備え、さらに上記熱交換器は、排気ガスを流通させるガス通路と、該ガス通路内を流通する排気ガスを冷却する冷却通路とを備えたものが知られている(特許文献1)。
この種のEGRクーラでは、排気ガスの高温時には該排気ガスを上記熱交換器に流通させてその温度を低下させ、他方、排気ガスの低温時には該排気ガスを上記バイパス通路に流通させて冷却することがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4431579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に上記EGRクーラはできるだけ小型に製造することが望まれているが、小型に製造するためには上記熱交換器とバイパス通路とをできるだけ近接させて配置する必要がある。
しかしながら、熱交換器とバイパス通路とをできるだけ近接させて配置すると、低温時に上記バイパス通路を流通する排気ガスが熱交換器によって冷却されやすくなり、望ましくない。
本発明はそのような事情に鑑み、低温時にバイパス通路を流通する排気ガスが熱交換器によって冷却されることを可及的に防止しながら小型化を図ることができるようにしたEGRクーラを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、ケーシング内に設けられて排気ガスを冷却する熱交換器と、上記ケーシング内に設けられて上記熱交換器をバイパスするバイパス通路と、排気ガスを上記熱交換器とバイパス通路とのいずれか一方に供給する流路切換弁とを備え、さらに上記熱交換器は、排気ガスを流通させるガス通路と、該ガス通路内を流通する排気ガスを冷却する冷却通路とを備えたEGRクーラにおいて、
上記ケーシング内に中空軸を設けて該中空軸内を上記バイパス通路とし、さらに該中空軸の外側に上記熱交換器のガス通路を配置するとともに、該ガス通路の外側に上記冷却通路を配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、バイパス通路となる中空軸の外側に熱交換器のガス通路が配置され、また該ガス通路の外側に冷却通路が配置されているので、バイパス通路と冷却通路とをガス通路を介して離隔させることが可能となり、それによって低温時にバイパス通路を流通する排気ガスが冷却通路を流通する冷却水によって冷却されるのを可及的に防止することができる。
そして熱交換器の中にバイパス通路を配置するという構成によって、従来に比較してEGRクーラを小型に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図。
【図2】図1と異なる状態を示す断面図。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図。
【図4】本発明の第2実施例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、EGRクーラ1は、円筒状のケーシング2内に設けられて排気ガスを冷却する熱交換器3と、上記ケーシング2内の中心部に設けられて上記熱交換器3内を貫通する中空軸4とを備えており、この中空軸4内を排気ガスのバイパス通路5としてある。
上記熱交換器3はケーシング2の内周面と中空軸4の外周面との間に設けてあり、後に詳述するように中空軸4の外側に配置した排気ガスのガス通路6と、該ガス通路6の更に外側に配置した冷却通路7とを備えている。
そしてEGRクーラ1の入口ポート8から流入した排気ガスは、EGRクーラ1の出口側に設けた流路切換弁9によって、上記バイパス通路5と熱交換器3のガス通路6とのいずれか一方に流通されるようになっている(図1、図2参照)。
【0009】
上記EGRクーラ1のケーシング2は、大径の筒状部材2aと、その両端に連結されて各開口部を閉鎖する閉鎖部材2b、2cとを備えており、排気ガスの入口側となる左方の閉鎖部材2bの軸部にはL字形入口筒状部材2dの右端部を貫通させて固定してある。
他方、排気ガスの出口側となる右方の閉鎖部材2cの軸部には、出口筒状部材2eの左端部を貫通させて固定してあり、本実施例では出口筒状部材2eの右端部に上記流路切換弁9を一体に連結してある。
上記入口筒状部材2dの入口側は上述した入口ポート8として形成してあり、この入口ポート8から流入した排気ガスは、上記ケーシング2内に位置する入口筒状部材2dの出口で2つに分流し、一方はバイパス通路5に、他方は熱交換器3のガス通路6に流入するようになっている。
【0010】
上記熱交換器3は、本実施例では実質的に同一構成を有する4つのユニット1U〜4Uを軸方向に連結した構成を有しており、各ユニット1U〜4Uの内側と上記中空軸4の外側との間の空間をガス通路6とするとともに、各ユニット1U〜4Uの外側と上記ケーシング2の内側との間の空間を冷却通路7としてある。
上記各ユニット1U〜4Uは、円筒状の大径筒状部12と、各大径筒状部12の右側に一体に連設されて半径方向内方に伸びる壁部13と、この壁部の内側から軸方向右方に伸びる小径筒状部14とを備えている。
また、上記各大径筒状部12の左側に半径方向内方に伸びる壁部15が設けられ、各壁部15の内側に、軸方向左方に伸びる小径筒状部16が一体に連設されている。
上記軸方向左側に伸びる小径筒状部16の内径は、上記中空軸4の外径よりも大径となっており、かつ隣接するユニットの右側に伸びる上記小径筒状部14の内側に嵌合連結されることによって、各ユニット1U〜4Uが軸方向に一体に連結されるようになっている。
【0011】
このとき、最も左側に位置する第1ユニット1Uにおける左側に突出する小径筒状部16は、上記入口筒状部材2dの左端部の外周に嵌着させてそれと一体に連結してある。
他方、最も右側に位置する第4ユニット4Uにおける右側に突出する小径筒状部14は、本実施例では上記出口筒状部材2eと一体に構成してある。なお、この小径筒状部14を出口筒状部材2eと別体に構成して、該小径筒状部14を出口筒状部材2eに連結固定するようにしても良い。このようにすれば、4つのユニット1U〜4Uの構成を全て同一構成とすることができる。
【0012】
さらに各ユニット1U〜4Uは、バイパス通路5を構成する中空軸4の外周に嵌着される小径の筒状連結部20と、この連結部20の中央部分に連結されて半径方向外方に伸びるリング状のプレート21とを備えている。各プレート21の外周部分は、各ユニット1U〜4Uにおける左右の壁部13、15の中央に位置しており、その外径は小径筒状部14、16の内径よりも大きく、大径筒状部12の内径よりも小さくなっている。
また上記中空軸4の外周に嵌着された小径の筒状連結部20の外径は、小径筒状部14、16の内径よりも小径となっており、小径筒状部14、16の内周面と筒状連結部20の外周面との間に上記ガス通路6を形成することができるようにしてある。
【0013】
したがって図2に示すように、左側の小径筒状部16内に流入した排気ガスは、該小径筒状部16内を軸方向に流動した後、左側の壁部15とプレート21との間を半径方向外方に流動するようになり、次に大径筒状部12の内周面とプレート21の外周面との間を軸方向に流動したら、右側の壁部13とプレート21との間を半径方向内方に流動し、さらに右側の小径筒状部14内を軸方向に流動しながら、隣接したユニットの左側の小径筒状部16内に流入するようになる。
このように、排気ガスはガス通路6を構成する各ユニット1U〜4U内をジグザク状に流通されるようになるので、冷却通路7を流通する冷却水との熱交換が良好に行われるようになる。
【0014】
次に、各ユニット1U〜4Uの左右の壁部13、15とその中央のプレート21との間に、放射方向に伸びる多数のフィン22を設けてあり、各フィン22によって排気ガスに旋回流を付与することができるようにしてある。
すなわち図3に示すように、各フィン22は中央部が膨出する湾曲した形状に形成するとともに、上記プレート21の半径方向に対して傾斜して設けてあり、上記排気ガスがプレート21と壁部13(15)と各フィン22とで区画される空間を流通する際に、上記フィン22によって旋回流が形成されるようにしてある。
そして上記フィン22は、上記プレート21における気体の流入側の表面と排出側の裏面とのそれぞれに設けるとともに、上記表面のフィン22(図3の実線のフィン)と裏面のフィン22(図3の点線のフィン)とは、それぞれ反対方向に傾斜させてある。
【0015】
したがって排気ガスは、上記プレート21と左側の壁部15と表側の各フィン22とで区画される空間を半径方向外方に流通する際に、各フィン22によって旋回流が形成され、旋回流が付与された排気ガスは大径筒状12の内面をその円周方向に旋回されながら軸方向に流動される。そして次に、プレート21と右側の壁部13と裏側の各フィン22とで区画される空間を半径方向内方に流通する際には、各フィン22によって同一方向の旋回流が形成されるようになる。
このようにガス通路6を流通する排気ガスは、各フィン22によって一方向に旋回されるとともに、上述したように各ユニット1U〜4U内をジグザク状に流通されるので、良好な熱交換が行われるようになる。
【0016】
本実施例では、上記冷却通路7を流通する冷却水には、上記ガス通路6を流通する排気ガスの旋回方向とは逆方向となる旋回流を付与することができるようにしてある。
すなわち、ケーシング2の右端部に設けた冷却水の入口ポート26は、図3の実線で示すように、該ケーシング2の軸心に対して離れた位置に配置してあり、それによって入口ポート26から流入した冷却水をケーシング2の内周面に沿って旋回させることができるようにしてある。
他方、ケーシング2の左端部に設けた冷却水の出口ポート27は、図3の想像線で示すように、該ケーシング2の軸心に対して上記入口ポート26とは反対側となる位置に配置してあり、それによって入口ポート26から流入してケーシング2の内周面を旋回しながら流動してきた冷却水を、出口ポート27から滑らかに流出させることができるようにしてある。
【0017】
さらに、上記冷却通路7を流通する冷却水には、上記各ユニット1U〜4Uを構成する大径筒状部12の外周に設けたフィン25によっても、上記と同一方向の旋回流を付与することができるようにしてある。
すなわち上記大径筒状部12の外周には、各大径筒状部12の軸方向に対して傾斜させた複数のフィン25を円周方向等間隔位置に設けてあり、各フィン25の外周は上記ケーシング2の内周面に密着させてある。
各フィン25は同一方向に傾斜させてあり、したがってケーシング2の右端部に設けた冷却水の入口ポート26から流入した冷却水は、ケーシング2内の冷却通路7を軸方向に流通する際に各フィン25によっても旋回されるようになり、旋回流となった冷却水はケーシング2の左端部に設けた出口ポート27から外部に排出されるようになる。
なお冷却水は、上記実施例とは逆に、上記出口ポート27から冷却通路7に流入させ、入口ポート26から外部に排出させるようしても良い。
【0018】
次に、前述したように上記流路切換弁9は出口筒状部材2eに一体に連結してある。この出口筒状部材2eの出口側端部にはブラケット31を固定してあり、このブラケット31に上記流路切換弁9のハウジング32を図示しないボルトによって固定してある。そして上記ハウジング32には上下方向に円筒状の有底の孔33を形成してあり、該有底孔33内に円筒状の弁体34を回転自在に密嵌合してある。
上記ハウジング32には、上記中空軸4内のバイパス通路5に連通する第1入口ポート32aを形成してあり、中空軸4の右端部はこの第1入口ポート32aの左端部内に嵌着してある。上記第1入口ポート32aの右端部は上記有底孔33内に開口しており、上記弁体34は、その回転位置に応じて、図2に示すように該弁体34の外周面によって第1入口ポート32aの右端部を密封し、それによってバイパス通路5を閉鎖することができるようにしてある。
【0019】
図1に示すように、上記弁体34には、上記バイパス通路5を閉鎖する弁体34の回転位置から90度回転させた第1回転位置に位置させた際に、上記中空軸4内のバイパス通路5に連通する断面円形のバイパス通路35を形成してある。
このバイパス通路35は、上記中空軸4内のバイパス通路5と同一軸線上で、円筒状の弁体34の直径方向に該弁体34を貫通させて形成してあり、弁体34を第1回転位置に回転させてそのバイパス通路35を上記中空軸4内のバイパス通路5の軸線に一致させた際には、該バイパス通路35を上記中空軸4内のバイパス通路5に連通させることができるようにしてある。
【0020】
他方、上記ハウジング32には、上記第1入口ポート32aの上下に2つの第2入口ポート32bを形成してあり、各第2入口ポート32bの左端部はブラケット31に形成したテーパ状の連通孔36を介して熱交換器3のガス通路6に連通させてある。
上記各第2入口ポート32bの右端部は上記有底孔33内に開口しており、上記弁体34は、該弁体34に形成したバイパス通路35を上記中空軸4内のバイパス通路5に連通させた第1回転位置では、該弁体34の外周面によって第2入口ポート32bの右端部を、したがってガス通路6を閉鎖することができるようになっている(図1)。
そして上記弁体34には、上記バイパス通路35の上下位置に、該バイパス通路35と90度位相を異ならせて2つの断面かまぼこ状のガス通路37を形成してあり、各ガス通路37は、バイパス通路5とバイパス通路35との連通を遮断させた弁体34の第2回転位置で、上記熱交換器3のガス通路6に連通することができるようになっている(図2)。
【0021】
さらに、上記ハウジング32には出口ポート32cを形成してあり、該出口ポート32cは弁体34に形成したバイパス通路35とガス通路37とのいずれにも連通するようになっている。
なお、上記弁体34に固定した駆動軸38は、図示しないアクチエータに連動しており、該アクチエータは上記弁体34を90°の範囲で往復回転させることができるようになっている。
【0022】
以上の構成において、エンジン始動時の排気ガス温度が低い場合には、流路切換弁9の弁体34はアクチエータにより図1に示す第1回転位置に位置されており、この状態では、流路切換弁9のバイパス通路35がEGRクーラ1のバイパス通路5に連通すると同時に、該流路切換弁9の弁体34は熱交換器3のガス通路6を閉じている。
したがって、EGRクーラ1の入口ポート8から流入した排気ガスは、中空軸4内のバイパス通路5及び流路切換弁9のバイパス通路35を流通して出口ポート32cから流出するようになる。
この際、熱交換器3の冷却通路7には、入口ポート26から冷却水が流入され、該冷却水は冷却通路7を流通して出口ポート27から流出されているが、冷却通路7とバイパス通路5との間にはガス通路6が形成されているので、冷却通路7を流通する冷却水によってバイパス通路5を流通する排気ガスを冷却してしまうことを防止することができる。
したがって、エンジン始動後のバイパス通路5を流通する排気ガス温度の速やかな上昇を図ることができる。
【0023】
上記排気ガス温度が上昇すると、上記アクチエータにより流路切換弁9の弁体34が90°回転されて第2回転位置に位置され、図2に示すように、流路切換弁9のガス通路37がEGRクーラ1のガス通路6に連通するとともに、流路切換弁9の弁体34がEGRクーラ1のバイパス通路5を閉じるようになる。
これにより、EGRクーラ1の入口ポート8から流入した排気ガスは、熱交換器3内のガス通路6及び流路切換弁9のガス通路37を流通して出口ポート32cから流出するようになる。
この際には、前述したようにガス通路6を流通する排気ガスは、各フィン22によって一方向に旋回されながら各ユニット1U〜4U内をジグザク状に流通され、他方、冷却通路7を流通する冷却水も各フィン25によって一方向に旋回されながら流通されるので、両者間で良好な熱交換が行われるようになる。
【0024】
図4は本発明の第2実施例を示すもので、本実施例はEGRクーラ1のケーシング2内に流路切換弁9を一体的に組み込んだものである。
すなわち本実施例においては、上記ケーシング2内に流路切換弁9を組み込むために、第1実施例のケーシング2に比較して、最も右端となる第4ユニットU4よりも右側を軸方向に延長してあり、その延長部分に上記流路切換弁9を組み込んである。
【0025】
本実施例における流路切換弁9のハウジング32は全体として薄肉のコップ状に形成してあり、その内部を有底の孔33としてこれに筒状の弁体34を回転可能に密嵌合させている。
この弁体34には第1実施例と同様に構成して1つのバイパス通路35と2つのガス通路37とを形成してあり、排気ガスの入口側となる上記ハウジング32の左側にはバイパス通路35と連通する第1入口ポート32aを形成するとともに、該第1入口ポート32aの上下にそれぞれ上記2つのガス通路37に連通する2つの第2入口ポート32bを形成してある。
また排気ガスの出口側となるハウジング32の右側にはバイパス通路35とガス通路37とのいずれにも連通する出口ポート32cを形成してある。
【0026】
内部にバイパス通路5を形成した中空軸4の右端部は、ハウジング32の中間高さ位置に形成した第1入口ポート32aの外側で、該ハウジング32の外周面に気密を保って連結してあり、それによって中空軸4内のバイパス通路5を上記第1入口ポート32aを介して弁体34に形成したバイパス通路35に連通させることができるようにしてある。
他方、第4ユニットU4を構成する右側の小径筒状部14は、その右端部を円錐状に拡径してあり、該円錐状部分の右端部は、2つの第2入口ポート32bの外側位置で、上記ハウジング32の外周面に気密を保って連結してある。これによって小径筒状部14内のガス通路6を上記第2入口ポート32bを介して弁体34に形成したガス通路37に連通させることができるようにしてある。
【0027】
上記ケーシング2の右端部を閉鎖する閉鎖部材2cには出口筒状部材2eを貫通させて固着してあり、この出口筒状部材2eの左端部は、上記ハウジング32に形成した出口ポート32cの外側で、該ハウジング32の外周面に気密を保って連結してある。
その他の構成は第1実施例と同様に構成してあり、同一又は相当部分には第1実施例と同一の符号を付して示してある。
このような構成を有する第2実施例においても、第1実施例と同等の作用効果が得られることは明らかである。また本実施例においては、EGRクーラ1を構成するハウジング2内に流路切換弁9を組み込んであるので、第1実施例に比較してEGRクーラの一層の小型化を図ることが可能となる。
【0028】
なお、上記実施例ではいずれも中空軸4は円筒状の熱交換器3の中心位置を貫通しているが、これに限定されるものではなく、中空軸4を熱交換器3の中心位置から外れた偏心位置に設けてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 EGRクーラ 2 ケーシング
3 熱交換器 4 中空軸
5 バイパス通路 6 ガス通路
7 冷却通路 9 流路切換弁
12 大径筒状部 13、15 壁部
14、16 小径筒状部 20 連結部
21 プレート 22、25 フィン
32 ハウジング 34 弁体
35 バイパス通路 37 ガス通路
U1〜U4 ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内に設けられて排気ガスを冷却する熱交換器と、上記ケーシング内に設けられて上記熱交換器をバイパスするバイパス通路と、排気ガスを上記熱交換器とバイパス通路とのいずれか一方に供給する流路切換弁とを備え、さらに上記熱交換器は、排気ガスを流通させるガス通路と、該ガス通路内を流通する排気ガスを冷却する冷却通路とを備えたEGRクーラにおいて、
上記ケーシング内に中空軸を設けて該中空軸内を上記バイパス通路とし、さらに該中空軸の外側に上記熱交換器のガス通路を配置するとともに、該ガス通路の外側に上記冷却通路を配置したことを特徴とするEGRクーラ。
【請求項2】
上記ガス通路は、上記中空軸の外側で同軸上に設けた複数の大径筒状部および小径筒状部と、これら大径筒状部と小径筒状部とを連結する壁部と、上記中空軸に設けられて各大径筒状部の内側に位置し、かつ大径筒状部よりも小径で小径筒状部よりも大径のプレートとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のEGRクーラ。
【請求項3】
上記プレートと上記壁部との間に、上記プレートの中央部から外周部に向けて放射状に伸びる複数のフィンが設けられており、上記ガス通路を流通する排気ガスは、上記フィンによって上記プレートと壁部との間を流通する際に上記フィンによって旋回流が形成されることを特徴とする請求項2に記載のEGRクーラ。
【請求項4】
上記プレートにおける排気ガスの流入側の表面と排出側の裏面とのそれぞれに上記フィンが設けられており、上記表面のフィンと裏面のフィンとは、それぞれ反対方向に傾斜されていることを特徴とする請求項3に記載のEGRクーラ。
【請求項5】
上記大径筒状部、小径筒状部、壁部、プレート及びフィンによって一組のユニットが構成されており、このユニットが複数組連結されて上記ガス通路が構成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のEGRクーラ。
【請求項6】
上記大径筒状部の外周に冷却通路内に突出する複数のフィンが設けられ、該冷却通路内を流通する冷却水は該フィンによって旋回流が形成されることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のEGRクーラ。
【請求項7】
上記流路切換弁は、ハウジングと、このハウジングに回転自在に設けた円筒状の弁体と、該弁体に形成されて該弁体の回転位置に応じて上記バイパス通路に連通可能なバイパス通路と、上記弁体に形成されて該弁体の回転位置に応じて上記ガス通路に連通可能なガス通路とを備え、
上記弁体が第1回転位置に位置された際には、該弁体に形成されたバイパス通路が上記中空軸内のバイパス通路に連通されるとともに、該弁体に形成されたガス通路と上記熱交換器のガス通路との連通が遮断され、
また上記弁体が第2回転位置に位置された際には、該弁体に形成されたガス通路が上記熱交換器のガス通路に連通されるとともに、該弁体に形成されたバイパス通路と上記中空軸内のバイパス通路との連通が遮断されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のEGRクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−87679(P2013−87679A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228230(P2011−228230)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000207791)大豊工業株式会社 (152)
【Fターム(参考)】