説明

EGR搭載ディーゼルエンジンの潤滑用の油組成物及び前記油組成物を有するEGR搭載ディーゼルエンジン

本発明は、潤滑油組成物、潤滑油組成物を有するディーゼルエンジン、前記エンジンを潤滑粘度の油と次の成分:a)式(I)[式中、Rは、H又はCH3を表し、R1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、R2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物0〜40質量%、b)式(II)[式中、Rは、H又はCH3を表し、R4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、R5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物10〜98質量%、c)式(III)[式中、Rは、H又はCH3を表し、R7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、R8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物0〜30質量%、d)ビニルモノマー0〜30質量%、e)少なくとも1種のN−分散剤モノマー7〜25質量%、その際、a)〜e)は合計で100質量%になる、のモノマー単位を有するポリマーのN−分散剤ブースターとを有する潤滑油組成物で潤滑することよりなる排気ガス再循環システムを備えたディーゼルエンジンを潤滑する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス再循環(EGR)システムを備えたディーゼルエンジン用の潤滑油組成物、潤滑油組成物を有するEGRシステムを備えたディーゼルエンジン、EGRシステムを備えたディーゼルエンジンを潤滑する方法及びEGRシステムを備えたディーゼルエンジンを潤滑する際の有効性について潤滑油組成物をスクリーニングする方法に関する。さらに特に、本発明は、エンジン中で時間と共に許容できる性能を提供する潤滑油組成物で潤滑される、運転(凝縮モード)の間に吸入空気及び/又は排気ガス循環流が露点より低く冷却されるEGRシステムを搭載する圧縮点火式の内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題により、圧縮点火式の(ディーゼル)内燃機関のNOx排出量を低減するために継続的な努力がなされている。ヘビーデューティーディーゼルエンジンのNOx排出量を低減するために使用される最新の技術は、排気ガス再循環装置又はEGRとして公知である。EGRは、不燃性成分(排気ガス)を、エンジン燃焼室内へ導入されるインカム空気−燃料チャージ中へ導入することによりNOx排出量を低減する。これは、ピーク火炎温度とNOxの発生を抑制する。EGRの単純な希釈効果に加えて、排気ガスがエンジンに戻される前に、前記排気ガスを冷却することによりNOx排出量を著しく低減することが達成される。このより冷たいインテークチャージはシリンダのより良好な充填を可能にし、こうして動力発生を改善する。更に、EGRコンポーネントは、インカム空気及び燃料混合物よりも高い比熱値を有するため、このEGRガスは更に燃焼混合物を冷却し、固定されたNOx発生レベルでより高い動力発生及びより良好な燃費を生じさせる。
【0003】
ディーゼル燃料は硫黄を含有する。今日、米国では低硫黄ディーゼル燃料でさえ500ppmの硫黄を含むことができるが、欧州のディーゼル燃料は一般に50ppmオーダーの量を含む。燃料がエンジン内で燃焼される場合、硫黄はSOxに変換される。更に、炭化水素燃料の燃焼の主要な副生成物の一つが水蒸気である。従って、この排気流はかなりのレベルのNOx、SOx及び水蒸気を含有する。排気ガスは極端に熱いままであり、かつこれらの成分は分離されたガス状態で排出されていたために、過去にはこれらの物質の存在が問題となったことはなかった。しかしながら、エンジンがEGRを搭載している場合には、EGR流はエンジンへ戻される前に冷却され、NOx、SOx、水蒸気混合物は露点より低く冷却され、水蒸気は凝縮する原因となる。この水は、NOx及びSOx成分と反応し、EGR流中で硝酸及び硫酸のミストを形成する。
【0004】
これらの酸の存在で、潤滑油組成物中のすすレベルが急速に高まることがあることが判明していて、かつこのような条件下で、比較的低いレベルのすすの存在(例えばすす3質量%)でも、潤滑油組成物の動粘度(kv)は、急速に許容できないレベルにまで増大する。増大する潤滑剤粘度が性能に悪影響を与えることがあり、かつエンジン故障を引き起こすことさえあるので、運転時間の少なくとも一部の期間の間に凝縮モードで運転されるEGRシステムの使用は、潤滑剤の交換を頻繁に必要とする。凝縮モードで運転されるEGR搭載エンジン用に特別に開発されたAPI−CI−4オイルは、この問題に対処できないことが判明した。付加的な従来の分散剤を単に添加することがこの粘度の増大を抑制するために有効でないことも判明した。
【0005】
従って、EGRシステムが搭載されたディーゼルエンジンにおいてより良好に作用する潤滑油組成物を同定することが有利である。意外にも、特定の添加物、特に特定の粘度調整剤及び/又は清浄剤を選択することによって、凝縮モードでの運転されるEGRシステムを備えたエンジンの使用と関連する潤滑剤粘度の急激な上昇を改善できることが判明した。
【0006】
伝統的にこれまで、通常の分散剤成分の添加に加えて、ポリマーのブースター、例えばN−分散剤VI向上剤(例えば Viscoplex 6シリーズのポリマー)が添加された(例えば、U.S. 4,290,925, U.S. 3,142,664, SAE 2003-01-1959, SAE 2002-01-1671, SAE 2000-01-1988)。このようなN−分散剤の添加についての推論は、酸性成分も形成するディーゼルエンジン中で酸化が起こることであった。しかしながら、このような酸性成分は、冷却EGRエンジンにより製造されるものとは異なる化学的性質及び数量である。
【0007】
Ritchie et al.のU.S. 6,715,473は、EGR搭載ディーゼルエンジン及び前記エンジンを潤滑する潤滑油組成物を記載している。
【0008】
Ritchie et al.のUS 2004/0485753は、0.3%より少ない硫黄を含有し、かつ(a)主要量の潤滑粘度の油、(b)油100g当たり多くても約3.5mmolの窒素を寄与する量の窒素含有分散剤(その際、分散剤窒素の全量の50質量%より多くが非塩基性である)、及び(c)1種又は数種の清浄剤(その際、清浄潤滑剤の全量の約60%〜100%がフェナート及び/又はサリチラートである)を有する潤滑油組成物を記載している。
【0009】
Seebauer et al.のU.S. 6,124,249及び6,271,184は、次の成分:
a) C13〜C19−ポリアルキル(メタ)アクリラート(PAMA);
b) C7〜C12−PAMA(2−C1〜C4−基で分枝)、及び
c) 場合によりc1)C2〜C8−PAMA又はc2)ビニル芳香族化合物及び窒素含有ビニルモノマー(11個以下の炭素原子を有するエステル基<60%を有する)
を有する潤滑油組成物用の粘度向上剤を記載している。
【0010】
ポリマーの使用はギア油調製物中であり、主に連続可変トランスミッションオイル用に有用である。
【0011】
U.S. 5,571,950は、次の工程:
(1a) 主要量の潤滑粘度の油を有する試料を得る工程;
(1b) 前記油の粘度を測定する工程;
(1c) 安定な試料/試料のペースト分散物及びカーボンブラックペーストを準備する工程;
(1d) 前記試料/ペースト分散物を平衡化させる工程;及び
(1e) 試料ペースト分散物の粘度を測定する工程、その際、剪断は前記工程(a)の後で常にエンジン環境の剪断効果を模倣するために加えられる
を有する、すすに関する粘度の増大を試験する方法を記載している。
【0012】
EP 937769は、(a)エステル基中で約9〜約25個の炭素原子を有するメタクリル酸エステル、(b)エステル基中で7〜約12個の炭素原子を有するメタクリル酸エステル(その際、前記エステル基は2−(C1〜C4−アルキル)置換基を有する)及び場合により(c)エステル基原子中で2〜約8個の炭素原子を有し、かつ(a)及び(b)のメタクリル酸エステルとは異なるメタクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、及び窒素含有ビニルモノマー(ただし、エステル基中で11個以下の炭素元素を有するエステル基は60質量%より多くない)からなるグループから選択される少なくとも1つのモノマーから誘導された単位を有するコポリマーを記載している。また、コポリマーを有する添加濃縮物及び潤滑油組成物及びコポリマーの製造方法が記載されている。
【0013】
EP 0,750,031は、
a) C1〜C11−PAMAs 5〜75質量%;
b) C12〜C24−PAMAs 25〜95質量%;及び
c) N−分散剤 0.1〜20質量%
を有するコポリマーを記載している。
【0014】
U.S. 6,323,164 B1は、a) C1−PAMA 12〜18%;b) C10〜C15−PAMA 75〜85%;及びc)N−分散剤モノマー 2〜5%を記載している。
【0015】
U.S. 4,867,894は、a) C1−PAMA 10〜30mol%;b) C16〜C30−PAMA 10〜70mol%;c) C4〜C15−PAMA 10〜80mol%;及びd) 流動点降下剤としての酸素又は窒素分散剤 0〜30mol%を有するMw50000〜500000のランダムPAMAコポリマーを記載している。
【0016】
U.S. 4,968,444は、
I) C6〜C15 10〜98mol%;Ib) C16〜C30−PAMA 0〜5mol%;c) C8〜C40−PAMA0〜90mol%;Id) C1〜C5−PAMA 0〜50mol%;及びIe) 酸素又は窒素分散剤PAMA 2〜20%;及び
II) IIa) C6〜C15 0〜90mol%;IIb) C16〜C30−PAMA 10〜70mol%;IIc) C8〜C40PAMA 0〜90mol%;IId) C1〜C5−PAMA 0〜50mol%;及びIIe) 酸素又は窒素分散剤PAMA 0〜20%を有する
ランダムPAMAコポリマーI/IIの二成分の組合せを記載している。
【0017】
EP 439,254は、重合されたモノマーとして、(a)アルキル基が1〜4個の炭素原子を有するアルキルメタアクリラート;(b)アルキル基が10〜15個の炭素原子を有するアルキルメタアクリラート;(c);アルキル基が16〜20個の炭素原子を有するアルキルメタアクリラート及び(d)N,N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドから選択されたモノマーを有し、かつこのポリマーはi)(a)0〜5%;(b)74〜97%;(c)≦15%;及び(d)2〜6%;又はii)(a)<15%;(b)79〜97%;及び(d)2〜6%を有する、油溶性ポリマーを記載している。この目的物は、内燃機関用オイル又はオートマチックトランスミッションオイルである。
【0018】
U.S. 4,021,357は、a) C1〜C5−PAMA 15〜25%;b) C10〜C15−PAMA 62〜40%;c) C16〜C20−PAMA 20〜25%;及び(d) N,N−ジアルキル−アミノアルキル−メタクリルアミド3〜10%を記載している。この目的物は、内燃機関用オイル又はオートマチックトランスミッションオイルである。
【0019】
U.S. 5,756,433は、マクロモノマールートを介してa)C6〜C30−PAMA 0〜90mol%;b)C1〜C5−PAMA又はスチレン又はC1〜C4−アルキルスチレン又はカルボン酸のC2〜C12−ビニルエステル0〜60%;及びd)「分散作用」量の分散剤コモノマーから製造された、櫛状ポリマーを記載している。
【0020】
U.S. 5,843,874は、ポリマー0.1〜10質量%を有し、前記ポリマーはa)C1〜C6−PAMA 0〜50質量%;b)C7〜C14−PAMA 30〜85質量%;c)C15〜C20−PAMA 3〜50質量%;及びd)N,N−ジアミノアルキル(メタ)アクリルアミド2〜10質量%からなるギアオイル調製物を記載している。
【0021】
U.S. 5,622,924は、C1〜C10−PAMA、有利に2−エチル−ヘキシル−メタアクリラート >70%;C11〜C20−PAMA<30%、又は他のモノマーを記載している。
【0022】
EP 228,922は、スチレン(ビニル芳香族モノマー)10〜35%;AMA=65〜90%;C1〜C4−PAMA 5〜15%;C8〜C14−PAMA 20〜55%;C16〜C22−PAMA 15〜50%を記載している。
【0023】
U.S. 4,136,047は、ラウリルメタクリラート=70〜90%、スチレン=10〜30%の組成物を記載している。
【0024】
U.S. 5,851 ,967は、次の成分:
1〜C24アルキル(メタ)アクリラート65〜95質量%;
スチレンモノマー5〜35質量%から誘導されたポリマー骨核92〜28%;及び
(専ら)C2〜C8−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートから誘導された、前記骨核にグラフとする枝部2〜8%
を有するグラフトコポリマーを記載している。
【0025】
U.S. 6,228,819は、a) C16〜C24−アルキル(メタ)アクリラート(AMA)5〜70%;b) C7〜C15−AMA 5〜85%;c) スチレン 5〜50%;及びd) (a)及び(b)の混合物2〜20%を有する粘度指数向上剤を製造する方法を記載している。
【0026】
JP 84020715は、
a) C8〜C15−AMA 0〜80%;C16〜C28−AMA 20〜100%から誘導されるポリマー1 40〜75%及び
b) スチレン 25〜60%
を有するポリマーを記載している。
【0027】
従来のポリマーのN−分散剤ブースターは、EGRシステムを搭載したディーゼルエンジンにおいて完全には有効でない。従来のポリマーのN−分散剤ブースターを用いて、油粘度の増大は、低いすす濃度で観察され、より頻繁なオイル交換が必要となる。従って、量的により多く存在しかつ化学的性質において異なるすす及び酸性成分を処理することができる新規ブースターを開発することが望まれていた。
【0028】
発明の概要
本発明の第1の態様の場合には、次の成分:
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化1】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化2】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化3】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 0〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 7〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する潤滑粘度の油と、ポリマーの分散剤ブースターとを有する潤滑油組成物が提供される。
【0029】
本発明の第2の態様の場合には、EGRシステムを備えたディーゼルエンジンを潤滑する方法である。
本発明の第3の態様の場合には、潤滑油組成物を有するディーゼルエンジンである。
本発明の第4の態様の場合には、EGRシステムを備えたディーゼルエンジンを潤滑する際の有効性について潤滑油組成物をスクリーニングする方法である。
【0030】
本発明の第5の態様の場合には、次の組成:
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化4】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化5】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化6】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 5〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 4〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する潤滑粘度の油と、ポリマーの分散剤ブースターとを有する潤滑油組成物である。
【0031】
有利な実施態様用の詳細な説明
本発明の文脈の範囲内で、「アルキル(メタ)アクリラート」の用語は、アルキルアクリラートとアルキルメタクリラートの両方の種類又はその混合物を表す。
【0032】
存在する場合、モノマーa)は、C1〜C5−アルキル(メタ)アクリラート又はジ−C1〜C5−アルキルフマラートであることができる。
【0033】
成分a)の制限のない例は、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアート、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、tert−ブチル(メタ)アクリラート及びペンチル(メタ)アクリラート;シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリラート;不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えば2−プロピニル(メタ)アクリラート、アリル(メタ)アクリラート及びビニル(メタ)アクリラート又はジメチルフマラートを包含する。
【0034】
モノマーa)は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して、0〜40質量%、有利に0〜20質量%の量で存在する。
【0035】
一実施態様の場合に、モノマーa)の量は、少なくとも0.5質量%、有利に少なくとも1質量%である。
【0036】
モノマーb)は、C6〜C15−アルキル(メタ)アクリラート又はジC6〜C15−アルキルフマラート、例えばブチルメタクリラート、ブチルアクリラート又はジブチルフマラートであることができる。
【0037】
成分b)の制限のない例は、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、フマラート及びマレアート、例えばヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリラート、ノニル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、2−メチルドデシル(メタ)アクリラート、トリデシル(メタ)アクリラート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート、ペンタデシル(メタ)アクリラート;不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばオレイル(メタ)アクリラート;シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、ボルニル(メタ)アクリラート;及び相応するフマラート及びマレアートを包含する。
【0038】
モノマーb)は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して、10〜98質量%、有利に20〜80質量%、更に有利に25〜60質量%の量で存在する。モノマーb)の特に有利な量は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して25〜98質量%である。
【0039】
有利な実施態様の場合に、モノマーb)はC8〜C15−アルキル(メタ)アクリラート、有利に市販のラウリル(メタ)アクリラート又はC10〜C15−アルキル(メタ)アクリラートフラクションである。更に有利に、骨核モノマーはC8〜C15アルキルメタクリラート、有利に市販のラウリルメタクリラート又はC10〜C15−アルキルメタクリラートフラクションである。
【0040】
存在する場合、モノマーc)は、C16〜C30−アルキル(メタ)アクリラート又はジ−C16〜C30−アルキルフマラートであることができる。
【0041】
成分(c)の制限のない例は、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリラート、例えばヘキサデシル(メタ)アクリラート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリラート、ヘプタデシル(メタ)アクリラート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリラート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリラート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリラート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリラート、オクタデシル(メタ)アクリラート、ノナデシル(メタ)アクリラート、エイコシル(メタ)アクリラート、セチルエイコシル(メタ)アクリラート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリラート、ドコシル(メタ)アクリラート、及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリラート;シクロアルキル(メタ)アクリラート、例えば2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリラート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリラート;オキシラニルメタクリラート、例えば10,11−エポキシヘキサデシルメタクリラート;並びに相応するフマラート及びマレアートを包含する。
【0042】
モノマーc)は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して、0〜30質量%の量で存在する。
【0043】
一実施態様の場合に、モノマーc)の量は、少なくとも0.5質量%、有利に少なくとも1質量%である。
【0044】
存在する場合に、モノマーd)はビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及び置換スチレンであることができるが、他のビニルモノマーを使用することもできる。置換スチレンは、ハロゲン基、アミノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホニル基、ヒドロカルビル基(その際、ヒドロカルビル基は1〜約12個の炭素原子を有する)及び他の置換基を有するスチレンを含む。ヒドロカルビル置換されたスチレンの例は、α−メチルスチレン、パラ−tert−ブチルスチレン、α−エチルスチレン、及びパラ−低級アルコキシスチレンである。2種以上のビニルモノマーの混合物を使用することができる。スチレンが有利である。
【0045】
使用されたビニルモノマーの量は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して、0〜30質量%であり、存在する場合に、有利に5〜25質量%、更に有利に10〜20質量%である。
【0046】
モノマーe)は、それぞれ側鎖中に分散性の基を有するN−ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸イミドからなるグループから選択される少なくとも1種のモノマーであり、かつ次の式
【化7】

[式中、R10、R11及びR12は、無関係に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13は、基C(Y)X−R14であり、その際、X=O又はX=NH及びYは(=O)又は(=NR15)であり、その際、R15はアルキル基又はアリール基であり、かつR14は、1〜20個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、前記基は基NR1617により置換されていて、その際、R16及びR17は、に無関係にH又は1〜8個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表すか、又はR16とR17は4〜8員の飽和又は不飽和の環の一部であり、前記環の一部は場合により、窒素、酸素又は硫黄からなるグループから選択される1個以上のヘテロ原子を有し、その際、前記環は更にアルキル又はアリール基により置換されていてもよいか、
又は、
13は、基NR1819であり、その際、R18及びR19は4〜8員の飽和又は不飽和環の一部であり、前記環の一部は前記環の一部として少なくとも1個の炭素原子を有し、前記環の一部は酸素又は硫黄からなるグループから選択されるヘテロ原子に対する二重結合を形成し、その際、前記環は更にアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい]のN−分散剤モノマーであることができる。
【0047】
一実施態様の場合に、R14はH又は2〜6個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表す。
【0048】
N−分散剤モノマーの制限のない例は、ビニル置換された窒素ヘテロ環モノマー、例えばビニルピリジン及びN−ビニル置換された窒素ヘテロ環モノマー、例えばN−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリジノン(NVP)、モルホリノエチルメタクリラート、及びN−ビニルカプロラクタム、ジアルキルアミノアルキルアクリラート及びメタクリラートモノマー、例えばN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリラート、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、tert−ブチルアミノエチルメタクリラート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びメタクリルアミドモノマー、例えばジ−低級アルキルアミノアルキルアクリルアミド(その際、特にそれぞれアルキル基又はアミノアルキル基は1〜約8個の炭素原子を有し、特に1〜3個の炭素原子を有する)、例えばN,N−ジ低級アルキル、特にN,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMAM)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N−第三アルキルアクリルアミド、及び相応するメタクリルアミド、例えば第三ブチルアクリルアミド、ビニル置換されたアミン、及びN−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリジノンからなるグループから選択されたものを包含する。有利に、N−分散剤モノマーは、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、モルホリノエチルメタクリラート、及びtert−ブチルアミノエチルメタクリラートの少なくとも1種であり、最も有利にジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。
【0049】
N−分散剤モノマーは、特に、N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドからなるグループから選択される少なくとも1種のモノマーであることができる。
【0050】
ポリマー中での塩基性窒素基の存在についての利点は、窒素原子のいくつか又は全てが酸との反応により塩の形に変換することができることが容易に明らかであるためである。従ってポリマーの分散剤ブースターは、酸性成分との反応により部分的に又は完全に中和することができ、これも本発明の範囲内である。
【0051】
他の実施態様の場合に、N−分散剤モノマーは、

【化8】

[式中、R10、R11及びR12は、無関係に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13は基C(Y)X−R14であり、式中、X=O又はX=NH及びYは(=O)又は(=NR15)、その際、R15は、アルキル基又はアリール基であり、及びR14は1〜20個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、前記基は基NR1617により置換されていて、その際、R16及びR17は、無関係にH又は1〜8個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表すか、又はR16及びR17は4〜8員の飽和又は不飽和の環の一部であり、その際、前記環の一部は場合により窒素、酸素又は硫黄からなるグループから選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、その際、前記環は更にアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい]のN−分散剤モノマーと、

【化9】

[式中、R10、R11及びR12は、無関係に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13は基NR1819であり、その際、R18及びR19は4〜8員の飽和又は不飽和の環の一部であり、その際、前記環の一部は前記環の一部として少なくとも1個の炭素原子を有し、前記環の一部は窒素、酸素又は硫黄からなるグループから選択されるヘテロ原子に対して二重結合を形成し、その際、前記環はアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい]のN−分散体モノマーとをベースとするアクリルアミドの組合せを、ポリマーの分散剤ブースターの総質量に対して10質量%まで、有利に4質量%までの量で有することができ、N−分散剤モノマーの全量は、ポリマーの分散剤ブースターの総質量に対して25質量%を超えない。
【0052】
有利に、R13が基NR1819であるモノマーは、N−ビニルピロリジノンである。
【0053】
N−分散剤モノマーの量は、成分a)、b)、c)、d)及びe)の総質量に対して、一般に7〜25質量%、有利に10〜25質量%、更に有利に10〜20質量%、更に有利に15〜20質量%である。
【0054】
特に、N−分散剤モノマーの総量が列挙された範囲の下端にある場合に、少なくとも2種のN−分散剤モノマーを使用することが有利である。
【0055】
他の実施態様の場合に、ポリマーのN−分散剤ブースターは、
モノマーa) 0〜40質量%;
モノマーb) 10〜98質量%;
モノマーc) 0〜30質量%;
モノマーd) 5〜30質量%;及び
モノマーe) 4〜25質量%、
からなることができ、その際、a)〜e)は合計で100質量%になり、
その際、モノマーa)〜e)は前記されたものである。この実施態様の場合に、モノマーe)の量は、モノマーd)の存在を確保することにより減らすことができる。
【0056】
このポリマーの分散剤ブースターは、ポリスチレン標準に対して校正して、サイズ除外クロマトグラフィーにより測定して、一般に5000〜1000000、有利に25000〜1000000の数平均分子量Mnを有する。
【0057】
あるいは、このポリマーの分散剤ブースターは、20時間のKRL剪断安定性試験(CEC 45-T-53)により測定して一般に、2〜55%の剪断安定性を有する。
【0058】
前記のモノマー混合物は、この分野において公知の方法により重合させることができる。本発明のこのコポリマーは、フリーラジカル開始剤、モノマーa)〜e)の存在で、場合により連鎖移動剤の存在で反応させることを有する方法により製造することができる。これらのモノマーは同時に反応させることもできる。
【0059】
慣用のラジカル開始剤は、典型的なラジカル重合を実施するために使用することができる。これらの開始剤は、この分野で周知である。このラジカル開始剤の例は、アゾ開始剤、例えば2,2′−アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル;ペルオキシド化合物、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノアート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾアート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノアート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノアート、ジクメンペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシド及びtert−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0060】
低分子量のポリ(メタ)アクリラートは、連鎖移動剤の使用により得ることができる。この技術は広範に周知であり、ポリマー工業において実践されていて、かつOdian, Principles of Polymerization, 1991に記載されている。連鎖移動剤の例は、硫黄含有化合物、例えばチオール、例えばn−及びt−ドデカンエチオール、2−メルカプトエタノール、及びメルカプトカルボン酸エステル、例えばメチル−3−メルカプトプロピオナートである。有利な連鎖移動剤は、20個まで、特に15個まで、更に有利に12個までの炭素原子を有する。更に、連鎖移動剤は少なくとも1個、特に少なくとも2個の酸素原子を有する。
【0061】
更に、新規重合技術、例えばATRP(原子移動ラジカル重合)及びRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動重合)を、有用なポリ(メタ)アクリラートを得るために適用することができる。これらの方法も周知である。このATRP反応方法は、例えばJ-S. Wang, et al.著, J. Am. Chem. Soc, Vol. 117, pp. 5614-5615 (1995)及びMatyjaszewski著, Macromolecules, Vol. 28, pp. 7901-7910 (1995)に記載されている。更に、特許明細書WO 96/30421, WO 97/47661, WO 97/18247, WO 98/40415及びWO 99/10387は、上記に説明されたATRPのバリエーションを開示しており、前記文献はこの開示の目的で明確に援用される。このRAFT法は、WO 98/01478に広範囲に表されており、例えば、前記文献はこの開示の目的で明確に援用される。
【0062】
この重合は、常圧、減圧又は高圧で行うことができる。重合温度も重要ではない。しかしながら、一般に、この重合温度は20〜200℃、有利に0〜130℃、特に有利に60〜120℃の範囲内にあるが、この範囲に限定されない。
【0063】
この重合は、溶剤を用いて又は溶剤なしで実施することができる。溶剤の用語は、この場合に広範囲に解釈される。
【0064】
有利に、この重合は無極性溶剤中で実施されている。これらの溶剤の中で、炭化水素溶剤、例えば芳香族溶剤、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレン、飽和炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン(これらは分枝した形であってもよい)である。これらの溶剤は、個別に又は混合物として使用することができる。特に有利な溶剤は、鉱油及び合成油及びこれらの混合物である。その中でも、鉱油が最も有利である。
【0065】
鉱油は実際に公知であり市販されている。これらは、一般に石油又は原油から蒸留及び/又は精留及び場合により付加的な精製及び加工方法により得られ、特に原油又は石油の高沸点フラクションは鉱油の概念に該当する。一般に、鉱油の沸点は50mbarで200℃より高く、有利に300℃より高い。頁岩油の低温蒸留による、硬質炭のコーキングによる、空気の除外下での褐炭の蒸留による並びに硬質炭又は褐炭の水素化による製造も同様に可能である。わずかな程度で、鉱油は植物起源(例えば、ホホバ油、ナタネ油)又は動物起源(例えば、牛脚油)の原材料から製造することもできる。従って、鉱油は、起源に応じて、それぞれの場合で、芳香族炭化水素、環式炭化水素、分枝炭化水素又は線状炭化水素の異なる量を表す。
【0066】
一般に、原油又は鉱油中のパラフィン系、ナフテン及び芳香族フラクションが区別され、その際、パラフィン系フラクションの用語は長鎖又は高分枝したイソアルカンを表し、ナフテンフラクションの用語はシクロアルカンを表す。更に、鉱油は、起源及び加工に応じてそれぞれの場合に、n−アルカン、低い枝分かれ度のイソアルカン、いわゆるモノメチル分枝パラフィン、及びヘテロ原子、特にO、N及び/又はSを有する化合物の異なるフラクションを表し、これに極性の特性が起因する。有利な鉱油中でのn−アルカンのフラクションは、3質量%未満であり、O、N及び/又はS含有化合物のフラクションは6質量%未満である。芳香族化合物のフラクション及びモノメチル分枝パラフィンのフラクションは、一般に、それぞれの場合に0〜30質量%の範囲内である。一つの重要な態様の場合に、鉱油は主にナフテン系及びパラフィン系アルカンを有し、これらは一般に13個より多い、更に有利に18個より多い、特に有利に20個より多い炭素原子を有する。これらの化合物のフラクションは、一般に=60質量%、有利に=80質量%であるが、この範囲に限定されない。
【0067】
慣用の方法、例えば尿素脱ロウ及びシリカゲルによる液体クロマトグラフィーにより行った特に有利な鉱油の分析は、例えば次の成分を示し、その際、パーセンテージは該当する鉱油の総質量に対する:
約18〜31個のC原子を有するn−アルカン:0.7〜1.0%、
18〜31個のC原子を有する低分枝のアルカン:1.0〜8.0%、
14〜32個のC原子を有する芳香族化合物:0.4〜10.7%、
20〜32個のC原子を有するイソ−及びシクロアルカン:60.7〜82.4%、
極性化合物:0.1〜0.8%、
ロス:6.9〜19.4%。
【0068】
他の組成を有する鉱油の分析並びに鉱油のリストに関する有用な情報は、例えば「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition on CD-ROM, 1997」の「lubricants and related products」の見出しに見ることができる。
【0069】
合成油は、他の物質の中で、有機エステル、有機エーテル、例えばシリコーン油及び合成炭化水素、特にポリオレフィンである。これらは、大部分は、鉱油よりもいくらか高価であるが、その性能に関して利点を有する。説明のために、基油タイプの5APIクラス(API:American Petroleum Institute)について参照され、これらの基油は特に溶剤として有利に使用される。
【0070】
これらの溶剤は、他の方法の中で、混合物の総質量に対して、1〜99質量%、有利に5〜95質量%、特に有利に5〜60質量%、最も有利に10〜50質量%の量で使用することができるが、この範囲に限定されない。
【0071】
一実施態様の場合に、この方法は、モノマーの混合物を、通常で発熱が観察されることにより反応が明らかになるまで、しばしば最初にこの混合物の一部を、しばしば約20%〜約60%を加熱することにより反応させ、次いで少しずつ又は一度に、モノマーの混合物の残りを添加しかつ反応させることを有する。
【0072】
本発明の実施において有用な潤滑粘度の油は、軽質留分鉱油〜重質潤滑油、例えばガソリンエンジンオイル、鉱物潤滑油及びヘビーデューティーディーゼルオイルまでの粘度に及ぶことができる。一般に、この油の粘度は、100℃で測定して、約2mm2/sec(センチストーク)〜約40mm2/sec、特に約3mm2/sec〜約20mm2/sec、最も有利に約4mm2/sec〜約10mm2/secに及ぶ。
【0073】
天然油は、動物性油及び植物性油(例えばヒマシ油、ラード油);液化石油及び水素化精製された、溶剤処理された又は酸処理されたパラフィン系、ナフテン系及び混合されたパラフィン−ナフテン系の鉱油を含む。石炭又は頁岩から誘導された潤滑粘度の油は、有用な基油として提供される。
【0074】
合成潤滑油は、炭化水素油及びハロゲン置換された炭化水素油、例えば重合された又は共重合されたオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、塩素化されたポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化されたポリフェノール);及びアルキル化されたジフェニルエーテル及びアルキル化されたジフェニルスルフィド及びそれらの誘導体、類似体及び同族体を含む。
【0075】
酸化アルキレンポリマー及びそのコポリマー及び誘導体(末端のヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などにより変性された)は、公知の合成潤滑油の他の種類を構成する。これらは、酸化エチレン又は酸化プロピレンの重合により製造されたポリオキシアルキレンポリマー、ポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば、1000の分子量を有するメチルポリイソプロピレングリコールエーテル又は1000〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル);及びそのモノ−及びポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合されたC3〜C8脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルにより例示される。
【0076】
他の適当な種類の合成潤滑油は、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレン酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と多様なアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを有する。このようなエステルの特別な例は、ジブチルアジパート、ジ(2−エチルヘキシル)セバカート、ジ−n−ヘキシルフマラート、ジオクチルセバカート、ジイソオクチルアゼラート、ジイソデシルアゼラート、ジオクチルフタラート、ジデシルフタラート、ジエイコシルセバカート、リノレン酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、及びセバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2mol及び2−エチルヘキサン酸2molとの反応により形成される複合エステルを有する。
【0077】
合成油として有用なエステルは、C5〜C12−モノカルボン酸及びポリオール及びポリオールエステル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びトリペンタエリトリトールから製造されるようなものを有する。
【0078】
シリコーン系油、例えばポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−又はポリアリールオキシシリコーン油、及びシリケート油は、他の有用な種類の合成潤滑剤、例えばテトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(p−tert−ブチル−フェニル)シリケート、ヘキサ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンを包含する油を有する。他の合成潤滑油は、リン含有の酸の液状エステル(例えばトリクレシルホスファート、トリオクチルホスファート、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及びポリマーのテトラヒドロフランを有する。
【0079】
未精製、精製された及び再精製された油は、本発明の潤滑剤に使用することができる。未精製油は、他の精製処理なしで天然又は合成の起源から直接得られる。例えば、乾留操作から直接得られた頁岩油;蒸留から直接得られた石油;又はエステル化から直接得られかつ他の処理なしで使用されるエステル油は未精製油である。精製油は、未精製油と同様であるが、前記油は1つ以上の特性の改良のために更に1種以上の精製ステップで処理される。多くの精製技術、例えば蒸留、溶剤抽出、酸又は塩基抽出、濾過及びパーコレーションは当業者に公知である。再精製油は、精製油を提供するために使用する方法と同様の方法により製造されるが、供給において既に使用された油を用いて開始される。このような再精製油は、回収又は再処理された油としても公知であり、しばしば使用済添加物及び油分解生成物を除去する付加的処理が行われる。
【0080】
潤滑粘度の油は、グループI、グループII、グループIII、グループIV又はグループVの基本原料又は前記の基本原料の基油ブレンドを有することができる。有利に、潤滑粘度の油はグループII、グループIII、グループIV又はグループVの基本原料又はそれらの混合物又はグループIの基本原料と1種又は数種のグループII、グループIII、グループIV又はグループVの基本原料との混合物である。この基本原料又は基本原料ブレンドは、有利に少なくとも65%、更に有利に少なくとも75%、最も有利に少なくとも85%の飽和含有量を有する。有利に、油又は油ブレンドは、1%未満、有利に0.6%未満、最も有利に0.3%未満の硫黄含有量を有する。
【0081】
本発明内の基本原料及び基油の定義は、アメリカ石油学会(API)出版の「Engine Oil Licensing and Certification System」、ndustry Services Department, Fourteenth Edition, December 1996, Addendum 1, December 1998に見られる定義と同様である。前記出版物は、基本原料を次のように分類している:
グループI基本原料は、90%未満の飽和化合物及び/又は0.03%より多い硫黄を含有し、かつ表1中に特定された試験方法を用いて80以上及び120未満の粘度指数を有する。
【0082】
グループII基本原料は、90%以上の飽和化合物及び0.03%以下の硫黄を含有し、かつ表1中に特定された試験方法を用いて80以上及び120未満の粘度指数を有する。
【0083】
グループIII基本原料は、90%以上の飽和化合物及び0.03%以下の硫黄を含有し、かつ表1中に特定された試験方法を用いて120以上の粘度指数を有する。
【0084】
グループIV基本材料はポリアルファオレフィン(PAO)である。
【0085】
グループV基本材料は、グループI、II、III又はIVに含まれない他の基本材料を含む。
【0086】
表1
基本材料の分析方法
特性 試験方法
飽和化合物 ASTM D 2007
粘度指数 ASTM D 2270
硫黄 ASTM D 2622
ASTM D 4294
ASTM D 4927
ASTM D 3120
前記基本原料の粘度指数は、粘度調整剤(VM)又は粘度指数向上剤(VII)として機能する特定のポリマー材料を組み込むことにより増加又は改善することができる。一般に、粘度調整剤として有用なポリマー材料は、約5000〜約250000、有利に約15000〜約200000、更に有利に約20000〜約150000の数平均分子量(Mn)を有するポリマー材料である。このような粘度調整剤は、グラフト材料、例えば無水マレイン酸でグラフトされていてもよく、このグラフトされた材料を、例えばアミン、アミド、窒素含有複素環化合物又はアルコールと反応させ、多官能性粘度調整剤を形成させることができる(分散剤−粘度調整剤)。
【0087】
油組成物に添加されるポリマーの分散剤ブースターの量は、EGR搭載ディーゼルエンジン中の粘度上昇を減少させるために十分な量であり、油組成物の総質量に対して、一般に少なくとも0.5質量%、有利に少なくとも1質量%、更に有利に少なくとも2質量%、更に有利に少なくとも3質量%の量である。
【0088】
一実施態様の場合に、前記組成物は、ポリマーの分散剤ブースター0.5〜10質量%と潤滑粘度の油70〜90質量%を有する。
【0089】
有利に、最終組成物中でのポリマー(i)の量は、前記調製物100グラム当たり塩基性窒素0.03〜0.50mmolに寄与する。
【0090】
他の実施態様の場合に、潤滑油組成物は、≦20cSt、有利に≦17cSt、更に有利に≦15cStのΔKV100℃を有する。ΔKV100℃は次のように測定される:
ポリマーの分散剤ブースターを含有する潤滑油の試料150mLを、CEC−L48−A−00に従って、160℃の温度で72時間、5L/hrの空気流量で酸化させた。カーボンブラック タイプS170(Degussa AG, Hanau-Wolfgang, Germany)を100℃で一晩中乾燥させた。酸化した油50gに、乾燥したカーボンブラック5質量%を、テフロンビーカー中で添加した。
【0091】
鋼球175g(3mmのクロマナイト鋼球(粉砕球))、(供給元:Draiswerke, Mannheim, Germany)を前記ビーカーに添加し、密閉し、次いでRed DevilTMペイントシェーカー(Red Devil Equipment Co. Paint Shaker 5400)で15分間振盪させた。このカーボンブラックを含有する油試料を、シングルユーズ・フィルターを用いて鋼球から分離し、かつこのカーボンブラックを含有する油試料を周囲温度で24時間貯蔵した。磁気撹拌機を用いて加熱せずに3時間撹拌した直後に、このカーボンブラックを含有する油試料をCannon-Fenske capillaryに移し、DIN 51 366によるKV100℃の測定の前に100℃の温度にサーモスタットで平衡化させた。カーボンブラックなしの酸化された油と、カーボンブラックを含有する油試料とのKV100℃の差が、ΔKV100℃である。
【0092】
少なくとも1種のN−分散剤モノマー7〜25質量%を有するポリマーの分散剤ブースターを有することに加えて、油組成物は更に通常の油添加剤、例えば流動点降下剤(PPD)を含有することができ、他方で潤滑油流動性向上剤(LOFIs)として公知であり、これは油組成物が流動性である温度を低下させる。この組成物は、更に、非分散剤粘度向上剤0.5〜15質量%及び/又は清浄剤阻害剤パッケージ0.5〜15質量%を有することもできる。VMと比較して、LOFIsは一般に低い数平均分子量を有する。VMと同様にLOFIsは、グラフト材料、例えば無水マレイン酸でグラフトされていてもよく、このグラフトされた材料を、例えばアミン、アミド、窒素含有複素環化合物又はアルコールと反応させ、多官能性添加剤を形成させることができる。
【0093】
添加剤として有用なポリマーは、分散性の基を有する(メタ)アクリラート又はアルキル(メタ)アクリラートコポリマー誘導体である。このポリマーは、潤滑油組成物中で多官能性分散剤粘度調整剤として使用され、かつこのタイプの低い分子量のポリマーは多官能性分散剤/LOFIsとして使用される。このようなポリマーは、例えばViscoplex 6-954(以前は、ACRYLOID 954として公知)(RohMax USA Inc.の製品)として市販されている。アクリラート又はメタクリラートモノマー及びアルキルアクリラート又はメタクリラートモノマーは、相応するアクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの誘導体から製造することができる。このような酸は、公知で慣用の技術を用いて誘導化することができる。例えば、アクリル酸は、エチレンシアノヒドリンの酸加水分解及び脱水により製造することができるか又はβ−プロピオラクトンの重合及び前記ポリマーの乾留によりアクリル酸を生成することができる。メタクリル酸は、例えば、メチルα−アルキルビニルケトンを金属次亜塩素酸塩で酸化させる;ヒドロキシイソ酪酸を五酸化リンで脱水する;又はアセトンシアノヒドリンを加水分解することにより製造することができる。
【0094】
アルキルアクリラート又はメタクリラートモノマーは、所望の第一級アルコールをアクリル酸又はメタクリル酸と、酸、有利にp−トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸により触媒しかつMEHQ又はヒドロキノンにより重合を阻害する常用のエステル化で反応させることにより製造することができる。適当なアルキルアクリラート又はアルキルメタクリラートは、アルキル炭素鎖中に約1〜約30個の炭素原子を有する。出発アルコールの典型的な例は、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、イソオクチルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール及びエイコシルアルコールを含む。この出発アルコールは、アクリル酸又はメタクリル酸との反応により、それぞれ所望のアクリラート及びメタクリラートを生成する。
【0095】
長鎖アルコール残基を有するエステル化合物、特に成分(b)及び(c)は、他の方法では、(メタ)アクリラート、フマラート及び/又はマレアートを、長鎖脂肪アルコールと反応させることにより得ることができ、その際、一般にエステルの混合物、例えば多様な長鎖アルコール残基を有する(メタ)アクリラートが生じる。このような脂肪アルコールは、特に、Oxo Alcohol(R) 7911, Oxo Alcohol(R) 7900, Oxo Alcohol(R) 1100, Alfol(R) 610, Alfol(R) 810, Lial(R) 125及びNafol(R)-types, (Sasol Olefins & Surfactants GmbH); Alphanol(R) 79 (ICI); Epal(R) 610 and Epal(R) 810 (Ethyl Corporation); Linevol(R) 79, Linevol(R) 911及びNeodol(R) 25E (Shell AG); Dehydad(R)-, Hydrenol(R)-及びLorol(R)-types (Cognis); Acrpol(R) 35及びExxal(R) 10 (Exxon Chemicals GmbH); Kalcol 2465 (Kao Chemicals)が含まれる。
【0096】
これらのアクリラートポリマーは、10000〜1000000の数平均分子量(Mn)を有し、有利にこの分子量範囲は約200000〜600000である。
【0097】
分散性の基を有するアクリラート及びメタクリラートを提供するために、アクリラート又はメタクリラートモノマーは、アミン含有モノマーと共重合されるか、又はアクリラート又はメタクリラート主鎖ポリマーはグラフトのために適した部位を含むように製造され、次いでアミン含有枝部を前記主鎖にアミン含有モノマーの重合によりグラフトさせる。
【0098】
アミン含有モノマーの例は、塩基性のアミノ置換されたオレフィン、例えばp−(2−ジエチルアミノエチル)スチレン、重合可能なエチレン性不飽和置換基を有する塩基性窒素含有複素環化合物、例えばビニルピリジン又はビニルピロリジノン;アミノアルコールと不飽和カルボン酸とのエステル、例えばジメチルアミノエチルメタクリラート及び重合可能な不飽和塩基性アミン、例えばアリルアミンを含む。
【0099】
本発明は、EGR搭載ディーゼルエンジン中の油分散剤ブースターの有効性を評価する方法も提供する。
【0100】
EGR搭載ディーゼルエンジンは潤滑のために困難な課題を提供する。通常のすす分散剤は、長期間潤滑を提供する際に完全に効果的であるとは限らず、通常のディーゼルエンジンの場合よりも早期に粘度上昇を示し、かつ通常のディーゼルエンジンにより産出される同量のすすによりより著しい粘度上昇を示す。しかしながら、EGR搭載ディーゼルエンジン中の油分散剤ブースターの有効性の証明は、得るために時間がかかってしまう。従って、EGR搭載ディーゼルエンジンの挙動を予測する方法が、次のように開発された:
すすに関連する粘度用の試料を試験する方法の場合に、主要量の潤滑粘度の油を有する試料を準備し、次いでこの試料の粘度を測定する。一般に、この試料の粘度測定は、逆流粘度計を含む通常の全ての粘度計を用いて標準的な実施により行われる。適当な粘度計は、SiI粘度計、Cannon- Fenske Routine粘度計、Cannon-Fenske Opaque粘度計及びZeitfuchs #4逆流粘度計を含む。主要量の潤滑粘度の油を有する前記試料は、例えば鉱油、合成油、例えば分散剤、酸化防止剤及び清浄剤を含有する完全調製油を含むことができる。
【0101】
カーボンブラック分散物は、カーボンブラックを酸化された油溶液と混合し、かつ前記試料をボールミル中で混合及び物理的剪断の条件下にさらし、ASTM D 3849による約500nmより小さい、有利に10nm〜500nm、更に有利に10nm〜180nmのカーボンブラックアグロメレートサイズを有する最終的に分散されたカーボンブラック分散物を形成することにより準備される。
【0102】
すすに関連する粘度上昇についての試験のために使用されたカーボンブラックの特性は、特に限定はない。適当なカーボンブラックは、有利に約10〜80nm、有利に20〜40nmの範囲内の粒子サイズを有する。
【0103】
適当なカーボンブラックの無限定の例は、N 110 (Vulcan(R) 9), N 219 (Regal(R) 600), N326 (Regal(R) 300), N472 (Vulcan(R) XC-72及びその飛散性の相対物Vulcan(R) XC-72R), N539 (Sterling(R) SO-I), N550 (Sterling(R) SO), N762 (Sterling(R) NS-I),及びN774 (Sterling(R) NS)(全てCabot Corporation of Boston Massにより製造)及びCarbon black type SS6, SS4及びS 170(Degussa AG, Hanau- Wolfgang, Germany)である。
【0104】
カーボンブラックと混合する前に、潤滑油の試料はCEC-L48-A-00に従って酸化される。一般的 な条件は、140〜160℃の温度で、72〜96時間、5〜10L/hrの空気流量である。
【0105】
エンジン環境は例えば試料中に存在することができる個々の粘度調整剤の破壊により剪断効果を作り出すため、場合により剪断は、剪断効果を模倣する外部の機械的手段を用いたベンチ試験の間に適用することができる。特に、粘度調整剤のポリマー鎖を破壊するのに十分なエネルギーレベルを有する剪断装置を使用することができる。この必要なエネルギーレベルは、試料中に存在する粘度調整剤に依存する。この剪断は、粉砕媒体としての鋼球を用いることにより及び試料に機械的力を例えばRed Devil Paint Shaker 5400を用いて適用することにより物理的に適用することができる。これとは別に、Kurt Orbahn装置は、固定オリフィスを通過する高速流により試料を剪断するために使用することができ、前記装置は試料中に存在する特別な粘度調整剤に合わせることができる。この剪断の適用は、前記試料の粘度を測定する前又は測定した直後に、安定な試料/ペースト分散物を準備した後に、又は安定な試料/ペースト分散物を平衡化した後に行うことができる。
【0106】
この分散物を次いで逆流粘度計に移し、前記分散物の粘度を測定する。一般的な逆流粘度計は、Cannon-Fenske Opaque粘度計及びZeitfuchs #4粘度計を含む。一般に、粘度測定を行う前に、分散物の温度を1時間に100℃に平衡化する。この結果は、一般に分散物と出発試料との間の粘度差として報告される。粘度を測定するためのこの方法は、U.S. 5,571,950に記載されているように、当業者に通常の方法により公知である。
【0107】
一般に本願発明に記載されているように、更なる理解は特定の実施例を参照することにより得ることができるが、この特定の実施例は、説明の目的で提供されるだけであり、他に明記しない限り本願発明を限定するものではない。
【0108】
実施例
実施例1:20%DMAPMAmコポリマーの合成
ラウリルメタクリラート399gと、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド100gと、セチル−エイコシルメタクリラート1gとのコモノマー混合物を、エルレンマイヤーフラスコ中に準備した。このコモノマー混合物に、1−ドデカンエチオール(Aldrich 98+%)連鎖移動剤4.5g、2,2′−アゾビス[2−メチルブチロニトリル](DuPont's VAZO 67)開始剤の25%溶液1.5gを2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(Aldrich 90+%)中の25%溶液として添加した。前記混合物の30質量%(120g)を、凝縮器が取り付けられた、不活性ガスでパージした3リットルの四ツ口丸底フラスコに添加した。後チャージは、100N鉱油溶剤(SV100)75gの添加で完了した。一定の不活性ガスパージを維持して、前記混合物を撹拌し、95℃の反応温度にもたらした。反応温度で、残りのモノマー及び反応混合物を、一定の速度で90分間にわたりフラスコに添加し、95±5℃を維持するために必要な加熱及び冷却を交互に行った。この供給が完了した後に、この反応物を30分間95℃で維持した。この維持の後、更に2,6−ジメチル−4−ヘプタノンで25質量%溶液として溶解させた2,2′−アゾビス[2−メチルブチロニトリル]を含有する溶液5gを準備し、100N鉱油100gと混合した。この混合物を、一定の速度で90分間にわたり添加した。前記の供給の完了時に、この反応物を更に30分間95℃に維持した。この維持の完了時に、更に100N鉱油400gを添加し、完全に混合した。
【0109】
この手順により、46.5%活性ポリマー溶液1086gが得られた。
【0110】
実施例2:10%DMAPMAmコポリマーの合成
例1の手順と同様の手順を10%DMAPMAmコポリマーの準備のために用いるが、ラウリルメタクリラートのチャージは449gであり、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのチャージは50gであった。
【0111】
実施例3:7%DMAPMAmコポリマーの合成
例1の手順と同様の手順を7%DMAPMAmコポリマーの準備のために用いるが、ラウリルメタクリラートのチャージは464gであり、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのチャージは35gであった。
【0112】
実施例4a:20%DMAEMAコポリマーの合成
実施例1の手順と同様の手順を20%DMAEMAコポリマーの準備のために用いるが、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド100gの代わりにジメチルアミノエチルメタクリラート100gを使用した。
【0113】
実施例4b:20%MEMAコポリマーの合成
実施例1の手順と同様の手順を20%MEMAコポリマーの準備のために用いるが、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド100gの代わりにモルホリノエチルメタクリラート100gを使用した。
【0114】
実施例5:6%DMAEMAコポリマーの合成
実施例4aの手順と同様の手順を、6%DMAEMAコポリマーの準備のために用いるが、ラウリルメタクリラートのチャージは469gであり、DMAEMAのチャージは30gであった。
【0115】
実施例6:4%NVP3%DMAEMAコポリマーの合成
分枝したC12〜C15−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 35.3g、
線状のC12〜C16−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 17.5g、
線状のC12〜C20−アルコール混合物のメタクリル酸エステル0.3g、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA) 1.7g
のコモノマー混合物をエルレンマイヤーフラスコ中に準備した。
【0116】
前記混合物の一部4.6gを、ニュートラルオイル41.7gと一緒に、撹拌機、温度計、還流凝縮器、及び計量ラインを備えた250mlの4つ口丸底フラスコにチャージした。
【0117】
この混合物を、溶液に窒素をバブリングすることにより不活性化し、反応をt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.06gの添加により開始させた。残りのモノマー混合物(50.2g)を反応フラスコ中に100℃で3.5時間の期間にわたり供給した。更に2時間後に、t−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.11gを添加した。更に2時間後に、石油1.3g、t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.14g及びN−ビニル−ピロリジノン2.2gを前記反応混合物に添加した。この反応を更に4時間t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.07gを1時間ごとに添加しながら維持した。
【0118】
この手順により56.5%のポリマー溶液100gが得られた。
【0119】
実施例7:4%NVP3%TBAEMAコポリマーの合成
実施例6の手順と同じ手順を使用したが、t−ブチルアミノエチルメタクリラートを、ジメチルアミノエチルメタクリラートの代わりに使用した。
【0120】
実施例8:4%NVP8%DMAPMAmコポリマーの合成
実施例6の手順と同じ手順を使用したが、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド4.4gを、ジメチルアミノエチルメタクリラート1.7gの代わりに使用した。
【0121】
実施例9:4%NVP3%DMAPMAmコポリマーの合成
実施例6の手順と同じ手順を使用したが、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドを、ジメチルアミノエチルメタクリラートの代わりに使用した。
【0122】
実施例10:7%NVPコポリマーの合成
実施例6の手順と同じ手順を使用したが、ジジメチルアミノエチルメタクリラートを使用しなかった。N−ビニルピロリジノンのチャージは3.9gであった。
【0123】
実施例11:4%NVP10%スチレンコポリマーの合成
分枝したC12〜C15−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 31.8g、
線状のC12〜C16−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 15.8g、
線状のC12〜C20−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 0.3g、
スチレン 5.23g
のコモノマー混合物をエルレンマイヤーフラスコ中に準備した。
【0124】
前記混合物の一部4.6gを、ニュートラルオイル41.7gと一緒に、撹拌機、温度計、還流凝縮器、及び計量ラインを備えた250mlの4つ口丸底フラスコにチャージした。
【0125】
この混合物を、溶液に窒素をバブリングすることにより不活性にし、反応をt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.06gの添加により開始させた。残りのモノマー混合物(48.5g)を反応フラスコ中に100℃で3.5時間の期間にわたり供給した。更に2時間後に、t−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.11gを添加した。更に2時間後に、石油1.3g、t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.14g及びN−ビニル−ピロリジノン2.2gを前記反応混合物に添加した。この反応を更に4時間t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.07gを1時間ごとに添加しながら保持した。
【0126】
この手順により54.2%のポリマー溶液98gが得られた。
【0127】
実施例12:10%スチレン4%NVP3%DMAPMAmコポリマーの合成
分枝したC12〜C15−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 31.8g、
線状のC12〜C16−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 15.8g、
線状のC12〜C20−アルコール混合物のメタクリル酸エステル 0.3g、
スチレン 5.23g、及び
ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド 1.7g
のコモノマー混合物をエルレンマイヤーフラスコ中に準備した。
【0128】
前記混合物の一部4.6gを、ニュートラルオイル41.7gと一緒に、撹拌機、温度計、還流凝縮器、及び計量ラインを備えた250mlの4つ口丸底フラスコにチャージした。
【0129】
この混合物を、溶液に窒素をバブリングすることにより不活性にし、反応をt−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.06gの添加により開始させた。残りのモノマー混合物(50.2g)を反応フラスコ中に100℃で3.5時間の期間にわたり供給した。更に2時間後に、t−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノアート0.11gを添加した。更に2時間後に、石油1.3g、t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.14g及びN−ビニル−ピロリジノン2.2gを前記反応混合物に添加した。この反応を更に4時間t−ブチル−ペル−ベンゾアート0.07gを1時間ごとに添加しながら保持した。
【0130】
この手順により54.2%のポリマー溶液100gが得られた。
【0131】
実施例13:10%スチレン4%NVP3%DMAEMAコポリマーの合成
実施例12の手法と同様の手法を行うが、DMAEMAをDMAPMAmの代わりに使用した。
【0132】
実施例14:10%スチレン4%NVP3%TBAEMAコポリマーの合成
実施例12の手法と同様の手法を行うが、TBAEMAをDMAPMAmの代わりに使用した。
【0133】
市販の試料の実施例15:非分散剤ポリアルキルメタクリラート
ViscoplexTM 8-702の市販の試料を使用した。
【0134】
市販の試料の実施例16:ViscoplexTM 6-054
ViscoplexTM 6-054の市販の試料を使用した。
【0135】
市販の試料の実施例17:ViscoplexTM 6-954
ViscoplexTM 6-954の市販の試料を使用した。
【0136】
市販の試料の実施例18:分散剤OCP:HitecTM 5777
HitecTM 5777(分散剤オレフィンコポリマー)の市販の試料を使用した。
【0137】
(2) 基油調製物
ヘビーデューティディーゼル油用の典型的な実施例として、15W40オイルを次の成分に従って調製した:
a) 高粘度油(例えばESSO 600 N)13〜18質量%;
b) 低粘度油(例えばESSO 150 N)61〜65質量%;
c) 典型的なDIパッケージ(例えばOloa 4595)10〜15質量%;
d) 非分散性VII(例えばOCP濃縮物)3〜8質量%;
e) 前記実施例に記載されたようなポリマーのN−分散剤ブースター(2〜8質量%、1〜4%活性成分に関連)。
【0138】
この基本調製物を(1)に記載されたと同様に処理し、5質量%のカーボンブラックの添加の前及び後のKV100をポリマーの分散力について測定のために記録した。
【0139】
評価手順:
1. 適当な粘度の潤滑油調製物を調製する。この粘度(ηi)をUbbelohde粘度計で測定する。
【0140】
2. この試料を、次いでCEC-L48-A-00手順に従って酸化させる。
【0141】
3. この酸化された試料に、炉乾燥カーボンブラック タイプS170(oven dried carbon black type S 170)(Degussa AG, Hanau- Wolfgang, Germany)5.0%を添加する。
【0142】
4. このカーボンブラックを、既定の条件下でボールミルを用いて媒体中に分散させる。
【0143】
5. この溶液粘度(ηf)を次いで逆流粘度計で測定する。
【0144】
6. 5%カーボンブラックの存在での粘度の変化を報告する(ΔKV 100℃)。
【表1】

【表2】

【0145】
実際のエンジン試験から報告された結果に基づき、15以下の値が、「合格」結果の予想と見なされる。15〜20は、ボーダーライン結果であると見なされ、20より大きい値は不合格と見なされる。
【0146】
明らかに、本発明の多様な変更及びバリエーションが、上記の教示の考慮により可能である。従って本発明は特許請求の範囲内であると解釈され、本発明は特にここに記載されたものとは異なるように実施することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分:
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化1】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化2】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化3】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 0〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 7〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する潤滑油組成物。
【請求項2】
最終組成物中でのポリマー(i)の量は、前記調製物100グラム当たり塩基性窒素0.03〜0.50mmolに寄与する、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項3】
ポリマー(i)の数平均分子量(Mn)は5000〜1000000である、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項4】
ポリマー(i)の数平均分子量(Mn)は25000〜1000000g/molである、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項5】
前記ポリマーの分散剤ブースター(i) 0.5〜10質量%;
前記の潤滑粘度の油(ii)70〜90質量%;及び更に:
非分散剤粘度向上剤0.5〜15質量%;及び
分散剤阻害剤パッケージ0.5〜15質量%を有し、
その際、前記質量%値は合計で100質量%である、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項6】
ポリマー(i)の前記ビニルモノマーd)はビニル芳香族モノマーである、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項7】
前記N−分散剤モノマーが、式
【化4】

[式中、R10、R11及びR12は、無関係に、H又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13は、基C(Y)X−R14であり、その際、X=O又はX=NH及びYは(=O)又は(=NR15)であり、その際、R15はアルキル基又はアリール基であり、かつR14は、1〜20個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、前記基は基NR1617により置換されていて、その際、R16及びR17は、無関係にH又は1〜8個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表すか、又はR16とR17は4〜8員の飽和又は不飽和の環の一部であり、前記環の一部は場合により、窒素、酸素又は硫黄からなるグループから選択される1個以上のヘテロ原子を有し、その際、前記環は更にアルキル又はアリール基により置換されていてもよいか、
又は、
13は、基NR1819であり、その際、R18及びR19は4〜8員の飽和又は不飽和環の一部であり、前記環の一部は前記環の一部として少なくとも1個の炭素原子を有し、前記環の一部は窒素、酸素又は硫黄からなるグループから選択されるヘテロ原子に対する二重結合を形成し、その際、前記環は更にアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい]である、請求項1記載の潤滑油。
【請求項8】
ポリマー(i)の前記分散剤モノマーe)は、それぞれ側鎖中に分散性の基を有するN−ビニル系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸イミドからなるグループから選択される少なくとも1種のモノマーである、請求項1記載の潤滑組成物。
【請求項9】
前記N−分散剤モノマーは、N−ビニルピロリジノン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリラート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドからなるグループから選択される少なくとも1種のモノマーである、請求項1記載の潤滑油。
【請求項10】
前記組成物が≦20cStのΔKV100℃を有する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
前記組成物が≦15cStのΔKV100℃を有する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
成分e)は少なくとも2種のN−分散剤モノマーを有する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
潤滑油組成物を用いて排気ガス再循環システムを備えたディーゼルエンジンを潤滑することを有する前記エンジンの運転方法において、潤滑油組成物が
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化5】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化6】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化7】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 0〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 7〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する、排気ガス再循環システムを備えたディーゼルエンジンの運転方法。
【請求項14】
前記のポリマーの分散剤ブースターが、前記油組成物の総質量に対して少なくとも1質量%の量で存在する、請求項13記載のディーゼルエンジンの運転方法。
【請求項15】
モノマーb)がC10〜C16−(メタ)アクリラートを有する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記ビニルモノマーは、スチレン及び置換スチレンからなるグループから選択された少なくとも1種である、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記置換スチレンは、ハロゲン、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、スルホニル及びC1〜C12−ヒドロカルビルからなるグループから選択された置換基で置換されている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
モノマーd) 5〜25質量%を有する、請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記N−分散剤モノマーが、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、モルホリノエチルメタクリラート、及びtert−ブチルアミノエチルメタクリラートからなるグループから選択される少なくとも1種である、請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記N−分散剤モノマーがジメチルアミノプロピルメタクリルアミドである、請求項13記載の方法。
【請求項21】
前記N−分散剤モノマーが8〜20質量%の量で存在する、請求項13記載の方法。
【請求項22】
前記N−分散剤モノマーは、5質量%までの量でN−ビニルピロリジノンを有する、請求項13記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマーの分散剤ブースターは、50000〜500000の数平均分子量Mnを有する、請求項13記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマーの分散剤ブースターは、30サイクルKurt-Orbahn(Boschディーゼルインジェクター)試験により測定して、2〜55%の剪断安定性を有する、請求項13記載の方法。
【請求項25】
潤滑油組成物を有する排気ガス再循環システムを備えたディーゼルエンジンにおいて、潤滑油組成物が次の成分:
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化8】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化9】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化10】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 0〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 7〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する、排気ガス再循環システムを備えたディーゼルエンジン。
【請求項26】
方法が、次の工程:
(a) 主要量の潤滑粘度の油を有する試料を酸化し;
(b) 前記の酸化された試料の粘度を測定し;
(c) 前記の酸化された試料とカーボンブラックとの安定な分散物を調製し;
(d) 前記分散物を平衡化し;及び
(e) 前記分散物の粘度を測定し、
その際、剪断は、エンジン環境の剪断効果を模倣するために前記工程(a)の後に常に加えられる
を有する、すすに関連する粘度上昇について試料を試験する方法。
【請求項27】
次の成分:
(i) 次のモノマー単位を有するポリマーの分散剤ブースター:
a) 式(I)
【化11】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
1は、1〜5個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
2及びR3は、無関係に、H又は式−COOR′の基を表し、その際、R′はH又は1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜40質量%、
b) 式(II)
【化12】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
4は、6〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
5及びR6は、無関係に、H又は式−COOR″の基を表し、その際、R″はH又は6〜15個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 10〜98質量%、
c) 式(III)
【化13】

[式中、Rは、H又はCH3を表し、
7は、16〜30個の炭素原子を有する線状又は分枝状のアルキル基を表し、
8及びR9は、無関係に、H又は式−COOR″′の基を表し、その際、R″′はH又は16〜30個の炭素原子を有するアルキル基を表す]の1種又は数種のエチレン性不飽和エステル化合物 0〜30質量%、
d) ビニルモノマー 5〜30質量%、
e) 少なくとも1種のN−分散剤モノマー 4〜25質量%、
その際、a)〜e)は合計で100質量%になる;及び
(ii) 潤滑粘度の油
を有する潤滑油組成物。

【公表番号】特表2008−525538(P2008−525538A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547204(P2007−547204)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011453
【国際公開番号】WO2006/066649
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】