説明

EL光源体およびEL光源装置

【課題】 発光層に均一に電力を供給して輝度斑を少なくし、外力による影響(損傷など)を防止して機械的強度を大きくし、カセット式外装構造として取り扱いを容易にしたEL光源体およびそのようなEL光源体を装着したEL光源装置を提供する。
【解決手段】 EL光源体20は、積層重畳して配置されるマスク部11、EL発光素子1、素子用配線基板2、熱伝導性弾性体13、およびヒートシンク14を収納(埋設)する形状とされた枠部10fを有する透光性保護基板10を備えている。EL発光素子1は、相互に対向して配置された素子基板1aと封止基板1bで構成され、その間に発光層が形成してある。素子用配線基板2は、素子基板1a上に形成された素子電極1eに接続される接続パターン2cを有し、接続パターン2cは外部へ接続されるコネクタ12に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)発光素子、特に有機EL(有機EL発光素子)を用いたEL光源体およびこのようなEL光源体を用いたEL光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EL発光素子、特に有機EL発光素子の開発が進み平面状の光源体として注目を集めている。有機EL発光素子は、プラス電極とマイナス電極との間に蛍光性有機化合物を含む有機薄膜を発光層として挟持し、各電極から電子およびホール(正孔)を有機薄膜に注入して、蛍光性化合物の励起子を発生させ、この励起子が基底状態に戻るときに放射される光を外部に取り出すものである。
【0003】
このようなEL発光素子では、平面状の電極を形成すること、発光層からの光を外部に取り出すこと、有機薄膜を形成すること、耐湿性を向上することなどが必要であることから、素子基板および封止基板として一般的にガラス基板が用いられている。
【0004】
また、発光層からの光を外部に取り出す必要があることから、電極(素子電極)として透明電極を用いる。透明電極(素子電極)としては、透明性が良いこと、製造が容易であることなどから一般的にITO(酸化インジウム錫)が用いられている。
【0005】
しかし、素子基板および封止基板として使用されるガラス基板は、EL発光素子の生産性を向上するためにできるだけ薄く構成され、通常は数mm程度の薄いものとされている。したがって、従来のEL発光素子は、機械的強度が弱いことから外力の影響を受けやすく、損傷しやすいこと、また、大面積のものを構成できないことなどの問題があった。
【0006】
また、素子電極として使用されるITOは、導電体ではあるが、抵抗率が高く、外部端子との局部的な接続からの給電ではITOの抵抗による電圧降下が大きく、発光層への電力の供給が接続点から離れるにしたがって減少することから、輝度斑を生じること、また、大面積のものを構成できないことなどの問題があった。
【0007】
EL発光素子の機械的強度を向上するために、素子基板、封止基板としてのガラス基板に加えて保護用透明基板を用いたEL発光素子が知られている(例えば、特許文献1参照。以下、従来例1という)。なお、従来例1では、素子電極は陽極層と、EL発光素子は有機ELパネルと、保護用透明基板はパネル搭載基板とそれぞれ表している。
【0008】
従来例1では、機械的強度は改善できるが、素子電極への接続(接続部)がパッド状またはピン状として局部的に構成してあるに過ぎないことから、素子電極の抵抗による電圧降下を防止することは困難であり、輝度斑を解消することはできず、また、単体で大面積のEL発光素子を構成することは困難であるという問題がある。また、複数のEL発光素子をパネル基板に搭載して大面積の発光パネルを形成しているが、接続部をピン状としていることから取り扱いが容易ではなく、EL発光素子の交換も容易ではないという問題がある。
【0009】
EL発光素子の機械的強度を向上するために、気密性容器としたEL発光素子が提案されている(例えば、特許文献2参照。以下、従来例2という)。
【0010】
従来例2では、機械的強度は改善できるが、単体のEL発光素子が有する素子基板をそのまま気密性容器の一部とすることから、発光層の形成、素子電極の形成での生産性が低く、気密性容器の生産性も低いことから全体として生産性に欠けるという問題がある。また、素子電極への考慮がなされていないことから素子電極の抵抗による電圧降下を防止することは困難であり、輝度斑を解消することはできず、また、大面積のEL発光素子を構成することは困難であるという問題がある。また、外部との接続を考慮していないことから、EL発光素子への接続が容易でなく、また、取り扱いも容易でないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−69774号公報
【特許文献2】特開2002−208476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、EL発光素子の素子基板を透光性保護基板に載置してEL発光素子を外力から保護することにより、外力による影響(損傷など)を防止できる機械的強度の大きいEL光源体を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、EL発光素子の素子電極に素子用配線基板の接続パターンを接続して素子電極の抵抗に起因する電圧降下を防止することにより、発光層に均一に電力を供給して輝度斑の少ない発光が可能なEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0013】
また、本発明は、素子用配線基板の接続パターンを封止基板の外周(周縁の外側)で素子基板上に形成された素子電極に導通させることにより、発光層への影響が少なく信頼性の高い安定した発光が可能なEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0014】
また、本発明は、素子用配線基板を額縁状として素子電極と接続パターンとの位置合わせを容易確実にし、また、素子電極と接続パターンとを封止基板の辺に沿って連続的(均一)に導通させることにより、輝度斑の少ない発光が確実にでき、また、EL発光素子の周縁を保護して機械的強度を大きくすることができるEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0015】
また、本発明は、素子電極と接続パターンとを導電性接着剤により確実に導通させることにより、素子電極での電圧降下を抑制し、輝度斑が少なく信頼性の高いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0016】
また、本発明は、透光性保護基板に枠部を設けることにより、カセット式外装構造としたEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0017】
また、本発明は、素子電極と接続パターンとを押圧部材により導通させることにより、製造工程を簡略化し、また、素子電極と接続パターンとの熱膨張率の違いに基づく素子電極と接続パターンとの間の接続不良問題が生じない信頼性の高いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0018】
また、本発明は、弾性導電体を介して素子電極と接続パターンとを導通させることにより、素子電極と接続パターンとの間の密着性、導通性を向上させて素子電極の抵抗による電圧降下を抑制できる信頼性の高いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0019】
また、本発明は、押圧部材にバネ部を有することにより、素子電極と接続パターンとをより確実に導通させた信頼性の高いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0020】
また、本発明は、押圧部材を挟持部材とし、また、挟持部材の挟持断面をU字状とすることにより、透光性保護基板、素子基板、および素子用配線基板を挟持して素子電極と接続パターンとの導通を確実にすることができ、また、EL発光素子の周縁を保護して機械的強度を向上させた信頼性の高いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0021】
また、本発明は、挟持部材を額縁状とすることにより、カセット式外装構造としたEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0022】
また、本発明は、素子用配線基板に接続部材を備えることにより、外部との接続が容易なEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0023】
また、本発明は、EL発光素子として有機EL発光素子を用いることにより、低電圧、低電流、低消費電力で駆動できる発光効率の良いEL光源体を提供することを他の目的とする。
【0024】
また、本発明は、本発明に係るEL光源体を透光性装置基板に装着することにより、EL光源体の実装、交換(メンテナンス)を容易に行うことができ、取り扱いの容易なEL光源装置とすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係るEL光源体は、素子基板及び該素子基板に対向して配置された封止基板を有するEL発光素子を備えるEL光源体において、前記素子基板が載置された透光性保護基板と、前記封止基板の辺に沿ってそれぞれ導出され前記素子基板上に配置された相異なる極性の2つの素子電極と、該素子電極に沿って配置され該素子電極に導通された接続パターンを有する素子用配線基板とを備えることを特徴とする。
【0026】
この構成により、透光性保護基板はEL発光素子を外力から保護することになり、機械的強度の大きいEL光源体とすることができる。また、素子用配線基板の接続パターンは低抵抗の金属膜で構成することができるので、抵抗の大きいITOにより構成された素子電極の抵抗に起因する電圧降下を防止でき、発光層へ均一に電力を供給することが可能となることから、光放出部での輝度斑の発生を防止することができ、大面積の光放出部を構成することができる。接続パターンは封止基板の外側で素子電極に接続されることから発光層を損傷することがなく、信頼性の高い安定した発光が可能となる。また、素子用配線基板はガラスで形成された素子基板、封止基板を補強、保護する形態となることから、EL光源体の機械的強度をさらに向上することができる。
【0027】
本発明に係るEL光源体では、前記素子用配線基板は前記素子基板の周縁および前記封止基板の周縁に沿う額縁状であることを特徴とする。
【0028】
この構成により、接続パターンを封止基板の周囲4方向で延在させることが可能となり、素子電極と接続パターンとの導通領域を大きく連続的に構成することができるので、素子電極の抵抗による電圧降下をさらに抑制することが可能となる。また、素子電極と素子用配線基板との位置合わせが容易となり、素子電極と接続パターンとを確実に導通させることができる。EL発光素子の周縁を保護することが可能となり、機械的強度の大きいEL光源体とすることができる。
【0029】
本発明に係るEL光源体では、前記接続パターンは導電性接着剤により前記素子電極に接続してあることを特徴とする。
【0030】
この構成により、接続パターンと素子電極とを確実に導通させることが可能となり、素子電極の抵抗による電圧降下を抑制することができ、輝度斑が少なく、信頼性の高いEL光源体とすることができる。
【0031】
本発明に係るEL光源体では、前記透光性保護基板は前記EL発光素子および素子用配線基板を囲む枠部を有することを特徴とする。
【0032】
この構成により、EL光源体をカセット式外装構造とすることができ、機械的強度をさらに向上することが可能となり、取り扱いが容易で信頼性の高いEL光源体となる。また、EL光源体の外形をコンパクトにすることができる。
【0033】
本発明に係るEL光源体では、前記接続パターンは前記素子用配線基板を押圧する押圧部材により前記素子電極に圧接してあることを特徴とする。
【0034】
この構成により、接続パターンと素子電極とを圧接して導通させることができるので、導電性接着剤などが不要となることから、製造工程を簡略化することができる。また、素子用配線基板と素子基板(ガラス)との熱膨張率の違いによる導電性接着剤のはがれなどの接続不良問題を防止できることとなる。
【0035】
本発明に係るEL光源体では、前記接続パターンは弾性導電体を介して前記素子電極に圧接してあることを特徴とする。
【0036】
この構成により、接続パターンと素子電極とを直接圧接する場合に比較して、接続パターンと素子電極との密着性および導通性が向上するので、印加電圧の均一性を向上した信頼性の高いEL光源体とすることができる。
【0037】
本発明に係るEL光源体では、前記押圧部材はバネ部を有することを特徴とする。
【0038】
この構成により、接続パターンを素子電極に対してより強力に押圧することができ、確実に導通させることができる。
【0039】
本発明に係るEL光源体では、前記押圧部材は前記透光性保護基板、前記素子基板、および前記素子用配線基板を挟持する挟持部材であることを特徴とする。
【0040】
この構成により、簡易な押圧構造で接続パターンと素子電極とを確実に導通させることができ、機械的強度が向上した信頼性の高いEL光源体とすることができる。また、EL光源体の外形を簡略化でき、コンパクト化することができる。
【0041】
本発明に係るEL光源体では、前記挟持部材は挟持断面がU字状であることを特徴とする。
【0042】
この構成により、簡易な構造の挟持部材で強力な押圧が可能となり、透光性保護基板、素子基板、および素子用配線基板を外力から確実に保護し機械的強度の大きいEL光源体とすることができる。また、挟持部材を容易に製造することが可能で、信頼性の高いEL光源体となる。
【0043】
本発明に係るEL光源体では、前記挟持部材は額縁状としてあることを特徴とする。
【0044】
この構成により、EL光源体をカセット式外装構造とすることができ、機械的強度をさらに向上することが可能となり、取り扱いが容易で信頼性の高いEL光源体となる。また、EL発光素子の周縁の非発光部をマスクすることが可能となり、構造を簡略化することができる。
【0045】
本発明に係るEL光源体では、前記透光性保護基板と前記素子基板との間に前記素子基板の周縁をマスクするマスク部材が設けてあることを特徴とする。
【0046】
この構成により、非発光部をマスクすることによりデザイン性を向上すると共に素子基板を安定的に支持することができ、素子基板の損傷を防止することができる。
【0047】
本発明に係るEL光源体では、前記透光性保護基板と前記素子基板との間に偏光板が設けてあることを特徴とする。
【0048】
この構成により、消灯時にEL発光素子(EL光源体)の光放出部(素子基板)が例えば銀色に視認されることを防止することができる。
【0049】
本発明に係るEL光源体では、前記素子用配線基板は可撓性を有することを特徴とする。
【0050】
この構成により、素子用配線基板と素子基板(ガラス)との熱膨張率の違いによる導電性接着剤のはがれによる接続不良を防止でき、また、素子用配線基板を押圧部材により押圧する場合には、素子電極と接続パターンとの密着性、導通性を向上させることができ、素子電極の抵抗による電圧降下を抑制することができる。
【0051】
本発明に係るEL光源体では、前記素子用配線基板は接続部材を備えることを特徴とする。
【0052】
この構成により、外部(電力供給部材)との接続を1箇所でまとめて行うことが可能となり、外部との接続が容易にできるEL光源体となる。
【0053】
本発明に係るEL光源体では、前記封止基板に放熱部材が設けてあることを特徴とする。
【0054】
この構成により、EL光源体の放熱特性を向上することができ、優れた熱特性を有し、安定した発光特性を有するEL光源体となる。
【0055】
本発明に係るEL光源体では、前記EL発光素子は有機EL発光素子であることを特徴とする。
【0056】
この構成により、低電圧、低電流、低消費電力で駆動できる発光効率の良いEL光源体となる。
【0057】
本発明に係るEL光源装置は、透光性装置基板と、電力供給部材とを備えたEL光源装置であって、本発明に係る前記EL光源体が前記透光性装置基板に装着され、前記電力供給部材が前記接続部材へ接合してあることを特徴とする。
【0058】
この構成により、EL光源体の実装、交換を容易に行うことが可能で取り扱いの容易なEL光源装置となる。また、EL光源体を複数載置することが可能となり、薄型で大面積のEL光源装置とすることができる。
【発明の効果】
【0059】
本発明に係るEL光源体によれば、素子用配線基板を用いて素子電極と低抵抗の接続パターンとを連続的(均等)に接続することから、素子電極の抵抗による印加電圧の電圧降下を抑制することができるので、発光層へ均一な電力供給を行うことができ、輝度斑が少なく大面積の光放出部を得られるという効果を奏する。
【0060】
本発明に係るEL光源体によれば、透光性保護基板へEL発光素子を載置することから、EL発光素子への外力の影響を防止することができるので、機械的強度が大きく、取り扱いが容易で、高い信頼性が得られるという効果を奏する。
【0061】
本発明に係るEL光源体によれば、素子用配線基板を用いることから、素子電極と接続パターンとの密着性、導通性を向上でき、素子電極の抵抗による電圧降下を抑制することにより、輝度斑を少なく、また、信頼性を高くすることができるという効果を奏する。
【0062】
本発明に係るEL光源体によれば、透光性保護基板に枠部を設け、接続部材を備えることにより、カセット式外装構造とすることができるので、取り扱いが容易で、コンパクトにでき、装着効率(実装効率)が良く、信頼性が高いという効果を奏する。
【0063】
本発明に係るEL光源体によれば、押圧部材を用いて素子電極を素子用配線基板(接続パターン)に圧接することにより、カセット式外装構造とすることができるので、取り扱いが容易で、コンパクトにでき、装着効率(実装効率)が良く、信頼性が高いという効果を奏する。また、素子電極と接続パターンとの密着性、導通性を大きくすることができ、輝度斑を少なく、また、信頼性を向上できるという効果を奏する。
【0064】
本発明に係るEL光源装置によれば、本発明に係るEL光源体を透光性装置基板に装着することにより、EL光源体の実装、交換(メンテナンス)を容易に行うことができ、取り扱いが容易に行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0066】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の分解斜視図である。
【0067】
本実施の形態に係るEL光源体20は、積層重畳して配置されるEL発光素子1、素子用配線基板2、透光性保護基板10などで構成している。
【0068】
EL発光素子1は、相互に対向して配置された素子基板1aと封止基板1bで構成され、その間に発光層(不図示)が形成してある。また発光層を挟んでプラス側に正孔輸送層(不図示)、マイナス側に電子輸送層(不図示)が形成してある。発光層を有機分子で構成したものが有機EL発光素子である。
【0069】
EL発光素子1は有機EL発光素子とすることにより、低電圧、低電流での駆動が可能となり、供給電力に対して発光輝度が大きく、発光効率の良いEL光源体とすることができる。なお、EL発光素子1の発光層および発光層に積層される正孔輸送層、電子輸送層などの構造については種々のものが提案されており、上述した構造に限るものではない。
【0070】
素子基板1aは光放出部1d(図2参照)から光を外部に導出するために透明性を要求され、また素子電極1e(図2で示すプラス素子電極1epおよびマイナス素子電極1em参照。プラス素子電極1epとマイナス素子電極1emを区別する必要がない場合には素子電極1eとする)を形成する必要があることから例えばガラス基板で構成してある。
【0071】
素子電極1eは、素子基板1aの素子用配線基板2(図3、4参照)に対向する面に封止基板1bの周縁(辺)に沿って導出され延在配置してある。素子電極1eは透明性を要求されることから例えばITO(酸化インジウム錫)で構成され、素子電極1eとして相異なる極性(プラス、マイナス)を有する少なくとも2つの電極(上述したプラス素子電極1epおよびマイナス素子電極1em)がそれぞれ形成してある。
【0072】
素子用配線基板2には、素子電極1eに対向する面に素子電極1eに沿って配置された接続パターン2c(図3で示すプラス接続パターン2cpおよびマイナス接続パターン2cmを参照。プラス接続パターン2cpとマイナス接続パターン2cmを区別する必要がない場合には接続パターン2cとする)が形成してある。接続パターン2cは導電性接着剤などを用いて素子電極1eに連続的(均等)に接続され相互間を導通させる構造としてある。接続パターン2cは、素子電極1eに沿って配置されているから封止基板1bの周縁(辺)に沿った形状を有している。
【0073】
EL発光素子1と素子用配線基板2が重畳(積層)され、素子基板1a上の素子電極1eと接続パターン2cとが接続されることにより、EL発光素子1と素子用配線基板2は一体化される。光放出部1dを有する素子基板1aは透光性保護基板10に対面するように配置され、一体化されたEL発光素子1および素子用配線基板2は透光性保護基板10に載置固定される。つまり、素子基板1aは透光性保護基板10に適宜の接着剤などで接着され固定される。
【0074】
封止基板1bには熱伝導性弾性体13を介して放熱手段としてのヒートシンク14が重畳積層してある。なお、素子基板1aと透光性保護基板10との間にマスク部11を設けて、EL発光素子1の非発光部をマスクすることがデザイン的な観点から好ましい。
【0075】
素子用配線基板2にはその一部が延長されて端子形成部2bが形成してあり、端子形成部2bには外部と接続するための接続部材としてのコネクタ12が設けてある。コネクタ12が外部と接続可能なように、透光性保護基板10、熱伝導性弾性体13、ヒートシンク14にはコネクタ12の形状に応じてコネクタ整合部10b、13b、14bが切欠状に形成してある。
【0076】
透光性保護基板10は、マスク部11、EL発光素子1、素子用配線基板2、熱伝導性弾性体13、ヒートシンク14を収納(埋設)する形状とされた枠部10fを備えている。EL発光素子1と素子用配線基板2を透光性保護基板10、枠部10fにより包囲する形状としてあることから、EL光源体20はいわゆるカセット式外装構造となる。なお、透光性保護基板10は、アクリル樹脂または強化ガラスなどの強度の大きい透光性基板で構成してあり、厚さは例えば5ないし10mmとして必要な強度を確保することができる。
【0077】
したがって、EL光源体20は、機械的強度を大きくすることが可能となり、外力による影響(損傷など)を受けず、取り扱いが容易で高い信頼性を有することができる。また、EL光源体20は、コネクタ12を備えることから、外部との接続を容易に行うことができ、例えば蛍光灯(蛍光管)などの場合と同様にEL光源装置(図10参照)への装着効率(実装効率)が向上し、EL光源装置での取り替えなどのメンテナンスが容易となる。
【0078】
図2は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体に適用するEL発光素子の説明図であり、(A)は素子電極が導出されている側から見た平面図、(B)は(A)の矢符A方向での側面図である。
【0079】
EL発光素子1は、素子基板1aと封止基板1bとの間に上述したとおり発光層などが積層封入してある。素子基板1a、封止基板1bは例えば10ないし20cm角のガラス基板であり、厚さは例えば1ないし2mm程度である。素子電極1eは、封止基板1bの辺に沿って素子基板1aの周縁(周縁領域、周縁部)上に導出され形成されることから、素子基板1aの周縁は、封止基板1bの外周より外側に構成してある。
【0080】
素子基板1aの例えば図上の左右周縁にプラス電圧を印加するためのプラス素子電極1epを配置し、素子基板1aの図上の上下周縁にマイナス電圧を印加するためのマイナス素子電極1emを配置した状態を例示している。プラス素子電極1epとマイナス素子電極1emにより光放出部1dが画定される。
【0081】
なお、理解を容易にするために素子電極1eのレイアウト構成は単純な形態のものとして図示しているがこれに限るものではなく、各辺で適宜分割した素子電極1eとすることも可能であることは言うまでもない。
【0082】
図3は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の概略を説明する説明図であり、(A)は接続パターンが形成してある面の反対側から見た素子用配線基板の平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【0083】
理解を容易にするために、接続パターン2cを形成した後、配線パターン2w(図4で示すプラス配線パターン2wpおよびマイナス配線パターン2wmを参照。プラス配線パターン2wpとマイナス配線パターン2wmを区別する必要がない場合には配線パターン2wとする)を形成する前の素子用配線基板2を示してある。
【0084】
素子用配線基板2には、EL発光素子1の素子電極1e(図2参照)の配置に対応させて接続パターン2cが形成配置してある。プラス接続パターン2cpはプラス素子電極1epに、マイナス接続パターン2cmはマイナス素子電極1emにそれぞれ対応させてパターニングされ区分されている。
【0085】
接続パターン2cは、例えば絶縁性の基板に銅箔(金属導体)を積層(接着)した後、銅箔をパターニングして形成したものであり、素子電極1e(ITO)に比較してはるかに低い抵抗率を有することから低抵抗とすることができる。プラス素子電極1epに対してプラス接続パターン2cpを、マイナス素子電極1emに対してマイナス接続パターン2cmをそれぞれ対応させて導電性接着剤で相互に接続して導通させる。導電性接着剤を用いることにより確実な接続が可能となる。なお、導電性接着剤の代わりに低温はんだなどを用いて接続することも可能である。
【0086】
低抵抗の接続パターン2cは封止基板1bの辺方向に沿って素子電極1eに連続的(均等)に接続されることから、抵抗の大きい素子電極1eによる印加電圧の電圧降下を防止することが可能となり、素子電極1e(つまりは発光層)に対して均等な電力の供給を行うことが可能となる。したがって、光放出部1dから放出される光の輝度斑を防止することができ、大面積の光放出部1d、つまり大面積のEL光源体20を構成することができる。
【0087】
また、接続パターン2cは封止基板1bの外周(周縁の外側)で素子電極1eに接続されることから発光層を損傷することがなく、また、光放出部1dに対して外力を及ぼすことがないので安定した信頼性の高いEL光源体20とすることができる。
【0088】
素子電極1eが有する抵抗による影響を極力低減するために素子電極1eは封止基板1bの周囲4方向において導出されることから、接続パターン2cは封止基板1bの4方向に延在することにより素子電極1eとの接続領域を大きく、均等に構成することができ、素子電極1eの抵抗による電圧降下を確実に抑制することが可能となる。したがって、素子電極1eに接続される接続パターン2cを封止基板1bの4方向に延在して保持するために素子用配線基板2は額縁状であることが好ましい。
【0089】
素子用配線基板2を額縁状とすることにより、素子電極1eと接続パターン2cとの位置合わせが容易になり、素子電極1eと接続パターン2cを連続的(均等)かつ確実に接続することができる。また、素子用配線基板2は封止基板1bの周縁の外側に導出された素子電極1eに重畳されることから、素子基板1a、封止基板1bの全周に沿って配置され、素子基板1a、封止基板1bを外力から確実に保護する形態となるので、EL光源体20の機械的強度を向上することが可能となる。
【0090】
接続パターン2cには、接続すべき配線パターン2wに対応させて貫通導体2hが接続してあり、貫通導体2hを介して接続パターン2cと配線パターン2wとは接続される。貫通導体7hは素子用配線基板2に適宜貫通孔を形成し、貫通孔に導電体のメッキ、充填などを施すことにより形成することができる。
【0091】
素子用配線基板2には、その一部を延在させて端子形成部2bが形成してある。端子形成部2bには、プラス接続パターン2cpに対応させてプラスパッド端子2tp、マイナス接続パターン2cmに対応させてマイナスパッド端子2tmがそれぞれ形成してある(プラスパッド端子2tpとマイナスパッド端子2tmを区別する必要がない場合には、パッド端子2tとする)。必要に応じて接続パターン2cに対応して形成されたパッド端子2tを外部との接続に用いることができる。
【0092】
パッド端子2tを素子用配線基板2の1辺に集束することにより外部との接続をまとめて行うことが可能となり、コネクタ12などの接続部材を実装することが容易となることから、外部との接続が容易なEL光源体20となる。
【0093】
本実施の形態では、配線パターン2wを延長して構成されたパッド端子2t(図4で示すプラスパッド端子2tpおよびマイナスパッド端子2tmを参照)にコネクタ12を実装することから、接続パターン2cに対応させたパッド端子2t(接続パターン2cを形成した面でのパッド端子2t)は必ずしも必要ではない。
【0094】
端子形成部2bはEL発光素子1の周縁より外側に延長して形成してあることから、パッド端子2tにコネクタ12を接続した場合にEL発光素子1にはなんら外力を及ぼす恐れがなく安定した接続状態を確保することができる。
【0095】
素子用配線基板2はいわゆるコンポジット基板で構成しているが、これに限るものではなく、ガラスエポキシ基板、可撓性基板(ポリイミドフィルムなどのフレキシブルフィルム基板)など適宜の配線基板を用いることができる。
【0096】
素子用配線基板2を可撓性基板で構成した場合には、素子基板1a(ガラス基板)と素子用配線基板2(例えばコンポジット基板)との熱膨張率の相違による反りなどのひずみを吸収することができることから、素子電極1eと接続パターン2cとの接続に用いた導電性接着剤のはがれ(接続不良)を抑制することが可能となり、信頼性の高いEL光源体20となる。
【0097】
図4は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の概略を説明する説明図であり、(A)は配線パターンを示す素子用配線基板の平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【0098】
理解を容易にするために、同図(A)で示す素子用配線基板2では、接続パターン2cが形成された面の反対の面に形成された配線パターン2wと、配線パターン2wと接続パターン2cを接続する貫通導体2hを主に示し、接続パターン2cは図示しない。つまり、素子用配線基板2は、いわゆる両面配線構造としてある。なお、配線パターン2wは、接続パターン2cと同様にして形成することが可能であることは言うまでもない。
【0099】
プラス配線パターン2wpは対応する貫通導体2hを介してプラス接続パターン2cpに接続され、マイナス配線パターン2wmは対応する貫通導体2hを介してマイナス接続パターン2cmに接続されている。端子形成部2bには、プラス配線パターン2wpが延長されてプラスパッド端子2tpが構成され、マイナス配線パターン2wmが延長されてマイナスパッド端子2tmが構成されている。
【0100】
パッド端子2tを接続パターン2cおよび配線パターン2wのそれぞれ対応させて素子用配線基板2の両面に形成し、貫通導体7hにより相互に接続することにより、接続点を増やして外部との接続の信頼性を向上させることができる。
【0101】
図5は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の要部を説明する説明図であり、(A)は封止基板の側から見た平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【0102】
EL光源体20は、EL発光素子1と素子用配線基板2を重畳(積層)して素子電極1eと接続パターン2cとを接続(導通)することにより要部が構成される。つまり、上述したとおり、素子用配線基板2には、EL発光素子1(EL発光素子1の内部構造は本発明の理解を容易にするために省略して図示している)の素子電極1eの配置に対応させて接続パターン2cが形成配置してある。
【0103】
素子用配線基板2の平面形状は、EL光源体20の機械的強度を確実に向上するために、封止基板1bの周縁(辺)に沿うような形状の内周と素子基板1aの周縁(辺)に沿うような形状の外周を有する額縁状に形成することが好ましい。なお、素子用配線基板2の内周は封止基板1bを内包するように封止基板1bの外周より若干大きく形成し、素子用配線基板2の外周は素子基板1aを保護するように素子基板1aの外周と同等か、それ以上の大きさとすることが好ましい。
【0104】
配線パターン2wを形成した面のプラスパッド端子2tp、マイナスパッド端子2tmに外部へのコネクタ12を接続(実装)することにより、コネクタ12、配線パターン2w、貫通導体2h、接続パターン2cおよび素子電極1eを介してEL発光素子1(の発光層)に電力を供給することが可能となる。
【0105】
端子形成部2bはEL発光素子1の周縁より外側に延長して形成してあり、また、配線パターン2wは接続パターン2cと反対の面に形成してあることから、配線パターン2wを形成した面のパッド端子2tにはコネクタ12を直接実装することが可能である。特にコネクタ12を実装した場合は、外部からの接続はコネクタ12に対してプラグを嵌合することにより行えば良いことから、EL光源体20への外部からの接続を極めて容易に行うことが可能となる。
【0106】
図6は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の配線パターンを被覆保護する保護膜のパターンを説明する平面図である。
【0107】
図4で示した素子用配線基板2の配線パターン2wを被覆して保護するために、素子用配線基板2(配線パターン2w)の表面(ここでは素子用配線基板2の全面)に保護膜2sを塗布し、コネクタ12を接続するために保護膜2sを開口除去して設けた端子接続部5(プラス端子接続部5p、マイナス端子接続部5m。プラス端子接続部5pとマイナス端子接続部5mを区別する必要がない場合には端子接続部5とする)を示す。保護膜2sは例えばソルダレジストなどで構成される。
【0108】
プラス端子接続部5p、マイナス端子接続部5mにコネクタ12の該当する端子をそれぞれ接続してコネクタ12を設ける。プラス端子接続部5p、マイナス端子接続部5mそれぞれを複数個設けることにより接続の信頼性を向上させることができる。なお、端子接続部5のパターン形状は接続するコネクタ12の端子形状に応じて適宜設定すれば良く、図示したパターンに限るものではない。
【0109】
コネクタ12は、素子用配線基板2を両面配線構造とした場合には接続パターン2cの反対側に実装することが可能であり、片面配線構造とした場合には接続パターン2cの面に実装することが可能であることから、素子用配線基板2の配線構造に応じてコネクタ12の実装位置(実装面)を変更することができる。
【0110】
図7は、本発明の実施の形態1に係るEL光源体の概略断面図であり、(A)は両面配線構造とした素子用配線基板を用いたEL光源体であり、(B)は片面配線構造とした素子用配線基板を用いたEL光源体である。
【0111】
同図(A)は、図4に示した素子用配線基板2を用いた例を示し、透光性保護基板10の枠部10fにマスク部11、EL発光素子1(素子基板1a、封止基板1b)、素子用配線基板2、熱伝導性弾性体13、ヒートシンク14を重畳、積層して搭載した状態を示す。
【0112】
マスク部11は、EL発光素子1(素子基板1a)の周縁に生じる非発光部に対応して配置され、非発光部(周縁)をマスク(遮光)することにより照明装置などとして用いた場合の美観(デザイン性)を向上することとなる。また、マスク部11は、素子基板1aと透光性保護基板10との間に配置されることから、素子基板1aと透光性保護基板10が直接接触することがなくなるので素子基板1aを安定的に支持する緩衝材ともなり、素子基板1aの損傷を防止することができる。マスク部11は必要に応じて適宜の色彩(例えば黒色)を有する合成樹脂膜により構成することができる。
【0113】
また、光放出部1d(素子基板1a)に対応させて素子基板1aと透光性保護基板10との間に適宜の偏光板15(図8参照)を配置することも可能である。なお、偏光板15を配置する場合にはマスク部11は不要となる。また、偏光板15は、マスク部11と同様に緩衝材としても作用する。
【0114】
EL発光素子1の封止基板1bに熱伝導性弾性体13を介して放熱部材としてのヒートシンク14を設けることにより、EL発光素子1の放熱特性を向上することができ、優れた熱特性を有し、安定した発光特性を有するEL光源体20とすることができる。ヒートシンク14としては例えばアルミニウムなどが適している。
【0115】
熱伝導性弾性体13は封止基板1bを外力から保護する緩衝材として機能し、また、封止基板1bとヒートシンク14との密着性を向上して、封止基板1bからの熱をヒートシンク14に効率良く伝導する伝熱材として機能する。熱伝導性弾性体13としてはシリコーンゴムなどが適している。
【0116】
なお、重畳、積層するマスク部11、EL発光素子1(素子基板1a、封止基板1b)、素子用配線基板2、熱伝導性弾性体13、ヒートシンク14の相互間は接着など適宜の手段で適宜固定すれば良い。また、接着によらず、適宜の係止部材、押圧部材などを設けて相互に固定することも可能である。
【0117】
同図(B)は、図4に示した両面配線構造の素子用配線基板2ではなく、片面配線構造をした素子用配線基板2を用いた例を示す。片面配線構造の場合にはコネクタ12を実装する面が図1、図4に示した場合と反対側(接続パターン2cを形成した面)になるが、その他の点では同一であり、詳細な説明は省略する。
【0118】
<実施の形態2>
図8は、本発明の実施の形態2に係るEL光源体の主要部分断面図である。
【0119】
本実施の形態に係るEL光源体30は、実施の形態1で透光性保護基板10に設けた枠部10fの代わりに押圧部材としての挟持部材16を用い、挟持部材16により素子用配線基板2を素子電極1e(1ep)の方向に圧接することにより、接続パターン2c(2cp)を素子電極1e(1ep)に圧接して相互間を導通させる構造としてある。実施の形態1と同様な構成については適宜説明を省略する。なお、同図ではEL光源体30の主要部分のみを示す。
【0120】
本実施の形態では、導電性接着剤を用いずに素子電極1eと接続パターン2cの導通をとることが可能となり、EL光源体30の組み立て工程を簡略化することができる。また、素子用配線基板2(例えばコンポジット基板)と素子基板1a(ガラス基板)との熱膨張率の違いによる導電性接着剤のはがれなどの接続不良が生じないので、信頼性の高いEL光源体30とすることができる。導電性接着剤を併用することは、もちろん可能である。
【0121】
素子電極1eと接続パターン2cとの間に弾性導電体(不図示)を挿入し、接続パターン2cが、弾性導電体を介して素子電極1eに圧接されることとすれば、素子電極1eと接続パターン2cとの密着性、導通性が向上するので、より確実な導通が可能となり、より信頼性の高いEL光源体30とすることができる。
【0122】
挟持部材16は端部に係合部16aとバネ部16bを有し、挟持断面がU字状となるように構成してあり、U字状の両端(係合部16a、バネ部16b)で透光性保護基板10、素子基板1a、および素子用配線基板2を挟持する構造としてある。係合部16aで透光性保護基板10に形成された切欠部10aに係合し、バネ部16bで素子用配線基板2を押圧するので、簡単な構造の挟持部材16で強力な押圧が可能となり、製造が容易となる。挟持部材16はバネ部16bを有することから、接続パターン2cを素子電極1eにより強力に押圧して確実に導通させることができる。挟持部材16は、金属または合成樹脂などで適宜成型することができる。金属としてはステンレススチールなどが強度、加工性、美観などの観点から好ましい。
【0123】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に素子用配線基板2を可撓性基板で構成することができる。素子用配線基板2を可撓性基板で構成した場合には、可撓性基板は自在(柔軟)に素子電極1eに当接することができるので、接続パターン2cを素子電極1eにより確実に導通させることができ、素子電極1eと接続パターン2cとの密着性、導通性を向上させて、素子電極1eの抵抗による電圧降下を低減することができる。また、素子用配線基板2とバネ部16bとの間に弾性体(不図示)を挿入した場合には、さらに密着性を向上させることができる。
【0124】
本実施の形態では、押圧手段として挟持部材16を用いることから、簡易な構造で接続パターン2cを素子電極1eに導通させることができ、また、透光性保護基板10、素子基板1a、および素子用配線基板2を外力から保護することができるので、機械的強度をさらに向上することができ、信頼性の高いEL光源体30とすることができる。また、EL光源体30の外形を簡略化でき、小型化することができる。
【0125】
本実施の形態では、封止基板1bに設けられた熱伝導性弾性体13とヒートシンク14も併せて挟持する構造としてあるので、素子用配線基板2を素子電極1eにより確実かつ安定的に圧接することができる。なお、U字状の両端(係合部16a、バネ部16b)で透光性保護基板10、素子基板1a、および素子用配線基板2を直接挟持する構成としても良いことは言うまでもない。また、円偏光板で構成した偏光板15を透光性保護基板10と素子基板1aとの間に挿入する構成としてあるので、消灯時に光放出部1dが例えば銀色に視認されることを防止することができる。
【0126】
挟持部材16を透光性保護基板10の周囲を囲む額縁状とすることにより、EL光源体30を実施の形態1と同様にカセット式外装構造とすることができ、機械的強度をさらに向上することが可能となり、取り扱いが容易で信頼性の高いEL光源体30とすることができる。
【0127】
偏光板15を用いない場合でも、挟持部材16が有する係合部16aは非発光部をマスクすることが可能であることから、マスク部11を設ける必要がなく、構造を簡略化することができる。なお、係合部16aの長さを大きくできない場合などには、マスク部11を併用することももちろん可能である。
【0128】
<実施の形態3>
図9は、本発明の実施の形態3に係るEL光源体の主要部分断面図である。実施の形態1、実施の形態2と同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0129】
本実施の形態に係るEL光源体40は、実施の形態1で透光性保護基板10に設けた枠部10fの代わりに押圧部材としての係止部材17を用い、係止部材17により素子用配線基板2を素子電極1e(1ep)の方向に圧接することにより、接続パターン2c(2cp)を素子電極1e(1ep)に圧接して相互間を導通させる構造としてある。実施の形態1、実施の形態2と同様な構成については適宜説明を省略する。なお、同図ではEL光源体40の主要部分のみを示す。
【0130】
本実施の形態では、導電性接着剤を用いずに素子電極1eと接続パターン2cの導通をとることが可能となり、EL光源体40の組み立て工程を簡略化することができる。また、素子用配線基板2と素子基板1aとの熱膨張率の違いによる導電性接着剤のはがれなどの接続不良が生じないので、信頼性の高いEL光源体40とすることができる。導電性接着剤を併用することはもちろん可能である。
【0131】
素子電極1eと接続パターン2cとの間に弾性導電体(不図示)を挿入し、接続パターン2cが、弾性導電体を介して素子電極1eに圧接されることとすれば、素子電極1eと接続パターン2cとの導通性が向上するので、より確実な導通が可能となり、より信頼性の高いEL光源体40とすることができる。
【0132】
係止部材17は端部に固定部17aとバネ部17bを有し、固定部17aが透光性保護基板10に固定されるように構成してあり、係止部材17の両端(固定部17a、バネ部17b)で透光性保護基板10に素子基板1a、および素子用配線基板2を係止する構造としてある。つまり、固定部17aを透光性保護基板10に例えばボルトなどの適宜の固定部材で固定し、バネ部17bで素子用配線基板2を押圧する。係止部材17はバネ部17bを有することから、接続パターン2cを素子電極1eに確実に押圧し、確実に導通させることができる。係止部材17は、金属または合成樹脂などで適宜成型することができる。また、固定部17aと透光性保護基板10との間に押圧距離(押圧強度)を調整するための調整部17cを設けている。
【0133】
本実施の形態では、実施の形態1、実施の形態2と同様に素子用配線基板2を可撓性基板で構成することができる。素子用配線基板2を可撓性基板で構成した場合には、可撓性基板は自在(柔軟)に素子電極1eに当接することができるので、接続パターン2cを素子電極1eにより確実に導通させることができ、素子電極1eと接続パターン2cとの密着性、導通性を向上させるので、素子電極1eの抵抗による電圧降下を低減することができる。また、素子用配線基板2とバネ部17bとの間に弾性体(不図示)を挿入してさらに密着性を向上させることができる。
【0134】
本実施の形態では、押圧手段として係止部材17を用いることから、簡易な構造で接続パターン2cと素子電極1eとを導通させることができ、また、素子基板1a、および素子用配線基板2を外力から保護することができるので、機械的強度をさらに向上することができ、信頼性の高いEL光源体40とすることができる。また、EL光源体40の外形を簡略化でき、小型化することができる。
【0135】
本実施の形態では、封止基板1bに設けられた熱伝導性弾性体13とヒートシンク14も併せて押圧する構造としてあるので、素子用配線基板2を素子電極1eにより確実に圧接することができる。なお、係止部材17の両端(固定部17a、バネ部17b)で透光性保護基板10、素子基板1a、および素子用配線基板2を直接係止する構成としても良いことは言うまでもない。また、マスク部11または偏光板15を透光性保護基板10と素子基板1aとの間に挿入する構成としても良いことは言うまでもない。
【0136】
係止部材17を透光性保護基板10の周囲を囲む額縁状とすることにより、EL光源体40を実施の形態1、実施の形態2と同様にカセット式外装構造とすることができ、機械的強度をさらに向上することが可能となり、取り扱いが容易で信頼性の高いEL光源体40とすることができる。
【0137】
本実施の形態では、係止部材17を透光性保護基板10に取り付ける構成とすることから、透光性保護基板10の面積を大きくして複数のEL光源体40を一体の透光性保護基板10の上に並置することが可能である。つまり、より大面積のEL光源体(40・・・。不図示)とすることが可能となる。
【0138】
<実施の形態4>
図10は、本発明の実施の形態4に係るEL光源装置の概略部分断面図である。
【0139】
本実施の形態に係るEL光源装置は、透光性装置基板18、装着部材18aにより透光性装置基板18に装着されたEL光源体20(30、40)、EL光源体20(30、40)に電力を供給する電源部19、電源部19から導出された電力供給部材としてのコード19a、プラグ19bを設けたものである。透光性装置基板18は、アクリル樹脂、強化ガラスなどで構成することができる。
【0140】
コード19a、プラグ19bは、EL光源体20(30、40)が備えるコネクタ12(接続部材)に接合されて電源部19からEL光源体20(30、40)へ電力を供給することによりEL光源体20(30、40)を動作(EL発光動作)させる。電力供給部材としてのコード19a、プラグ19bは、透光性装置基板18に装着した形態とすることも可能である。
【0141】
また、電源部19を透光性装置基板18の外部に分離して配置し、電力供給部材(コード19a、プラグ19b)を透光性装置基板18に設けた構成としても良い。この構成によれば、シンプルな構造(外観)で美観を有するEL光源装置とすることができる。
【0142】
EL光源体20(30、40)は、EL光源装置への装着が容易であり、装着効率(実装効率)の良いEL光源体20(30、40)、EL光源装置とすることができる。また、EL光源体20(30、40)の交換(メンテナンス)が容易に行えるEL光源装置とすることができる。
【0143】
複数のEL光源体20(30、40)は、透光性装置基板18に並置して接続することが可能であり、この場合には薄型でさらに大面積のEL光源装置とすることができる。なお、接続の形態は並列、直列いずれでも可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るEL光源体に適用するEL発光素子の説明図であり、(A)は素子電極が導出されている側から見た平面図、(B)は(A)の矢符A方向での側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の概略を説明する説明図であり、(A)は接続パターンが形成してある面の反対側から見た素子用配線基板の平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の概略を説明する説明図であり、(A)は配線パターンを示す素子用配線基板の平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の要部を説明する説明図であり、(A)は封止基板の側から見た平面図、(B)は(A)の矢符A−Aでの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の素子用配線基板の配線パターンを被覆保護する保護膜のパターンを説明する平面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係るEL光源体の概略断面図であり、(A)は両面配線構造とした素子用配線基板を用いたEL光源体であり、(B)は片面配線構造とした素子用配線基板を用いたEL光源体である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るEL光源体の主要部分断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るEL光源体の主要部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係るEL光源装置の概略部分断面図である。
【符号の説明】
【0145】
1 EL発光素子
1a 素子基板
1b 封止基板
1d 光放出部
1e 素子電極
1ep プラス素子電極
1em マイナス素子電極
2 素子用配線基板
2b 端子形成部
2c 接続パターン
2cp プラス接続パターン
2cm マイナス接続パターン
2h 貫通導体
2s 保護膜
2t パッド端子
2tp プラスパッド端子
2tm マイナスパッド端子
2w 配線パターン
2wp プラス配線パターン
2wm マイナス配線パターン
5 端子接続部
5p プラス端子接続部
5m マイナス端子接続部
10 透光性保護基板
10a 切欠部
10b コネクタ整合部
10f 枠部
11 マスク部
12 コネクタ(接続部材)
13 熱伝導性弾性体
13b コネクタ整合部
14 ヒートシンク(放熱部材)
14b コネクタ整合部
15 偏光板
16 挟持部材(押圧部材)
16a 係合部
16b バネ部
17 係止部材(押圧部材)
17a 固定部
17b バネ部
17c 調整部
18 透光性装置基板
18a 装着部材
19 電源部
19a コード(電力供給部材)
19b プラグ(電力供給部材)
20、30、40 EL光源体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板及び該素子基板に対向して配置された封止基板を有するEL発光素子を備えるEL光源体において、
前記素子基板が載置された透光性保護基板と、
前記封止基板の辺に沿ってそれぞれ導出され前記素子基板上に配置された相異なる極性の2つの素子電極と、
該素子電極に沿って配置され該素子電極に導通された接続パターンを有する素子用配線基板と
を備えることを特徴とするEL光源体。
【請求項2】
前記素子用配線基板は前記素子基板の周縁および前記封止基板の周縁に沿う額縁状であることを特徴とする請求項1に記載のEL光源体。
【請求項3】
前記接続パターンは導電性接着剤により前記素子電極に接続してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEL光源体。
【請求項4】
前記透光性保護基板は前記EL発光素子および素子用配線基板を囲む枠部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項5】
前記接続パターンは前記素子用配線基板を押圧する押圧部材により前記素子電極に圧接してあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEL光源体。
【請求項6】
前記接続パターンは弾性導電体を介して前記素子電極に圧接してあることを特徴とする請求項5に記載のEL光源体。
【請求項7】
前記押圧部材はバネ部を有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のEL光源体。
【請求項8】
前記押圧部材は前記透光性保護基板、前記素子基板、および前記素子用配線基板を挟持する挟持部材であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項9】
前記挟持部材は挟持断面がU字状であることを特徴とする請求項8に記載のEL光源体。
【請求項10】
前記挟持部材は額縁状としてあることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のEL光源体。
【請求項11】
前記透光性保護基板と前記素子基板との間に前記素子基板の周縁をマスクするマスク部材が設けてあることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項12】
前記透光性保護基板と前記素子基板との間に偏光板が設けてあることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項13】
前記素子用配線基板は可撓性を有することを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項14】
前記素子用配線基板は接続部材を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項15】
前記封止基板に放熱部材が設けてあることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項16】
前記EL発光素子は有機EL発光素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一つに記載のEL光源体。
【請求項17】
透光性装置基板と、電力供給部材とを備えたEL光源装置であって、
請求項14ないし請求項16のいずれか一つに記載の前記EL光源体が前記透光性装置基板に装着され、前記電力供給部材が前記接続部材へ接合してあることを特徴とするEL光源装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−228456(P2006−228456A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37797(P2005−37797)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000185167)小泉産業株式会社 (36)
【Fターム(参考)】