EUV放射線のための狭帯域透過フィルタ
【課題】狭く画定されたスペクトル領域のEUV放射線を特徴付けるための十分狭い透過率ウィンドウを有する、EUV放射線のための透過フィルタを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのウラン含有層を有する透過層装置を備えることにより達成される。
【解決手段】少なくとも1つのウラン含有層を有する透過層装置を備えることにより達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
EUV放射線及びビームプロフィールを特徴付ける技術がEUVリソグラフィーで必要とされる。これらの技術は、EUV源の特徴づけに直接関連し、またコレクタ光学系、照射光学系、画像光学系及びマスクなどの下流ビームデリバリー装置の特徴づけにも関連する。一方で、これらの構成要素は仕様を満たすように特徴付けられなければならず、他方で、対応する測定方法が全装置内のプロセス制御のために必要とされる。これに関連して、13.5nmのEUV帯域内領域におけるこれら構成要素の挙動は特に関心が高い。
【背景技術】
【0002】
軟x線から熱赤外の範囲の幅広いスペクトルバンドで放出するプラズマランプが、リソグラフィーに必要なEUV放射線を発生させるために設置される。ゆえに、EUV放射線を測定するための方法の主なタスクの1つは、数パーセントの範囲にあるEUV帯域内放射線の部分のスペクトルフィルタリングにある。
【0003】
EUV放射線のスペクトルフィルタリング(単色化)のために公知の態様でモノクロメーターにおいて反射格子及び透過型回折格子を使用するには、通常入口スリットと出口スリットで与えられる明確に規定されたビーム経路が必要である。これは、高い機械精度の比較的複雑な構造をもたらすだけでなく、通常は小さい有効格子面積のために、放射線の小さい立体角しか検出できないことになる。これは、1つには放射線の検出器への流れが小さく、他には格子に基づく測定装置が正確に放射線源に配向していなければならないため、プラズマランプなどの広範囲の等方性のある放射線源では不都合である。
【0004】
対応する層デザインを有する多層鏡の反射率は13.5nmで際立った狭帯域の最大値を示す。ゆえに、これらの鏡はEUV帯域内放射線のスペクトルフィルタリングに極めて適している。このコンセプトに基づく測定装置が特許文献1に記載されている。しかしながら、多層鏡の反射率の最大値の位置・形状は層デザインに依存するだけでなく、放射線の入射角にも依存する。従って、波長に依存した反射率の過度の変化を回避するために、放射線の入射角は所定の公差内になければならない。実際には、十分に平行なビームプロフィールを保証するために、等方性EUV源のためにダイアフラムが使用される。ダイアフラムは検出可能な立体角を画定する。加えて、源、ダイアフラム、多層鏡及び検出器が軸上に配置されなければならない。
【0005】
多層装置は透過においてスペクトルフィルタリングのためにも使用される。反射する場合のように、透過において狭帯域最大値は13.5nmで生じる。従来の多層装置の反射に比べて透過率が低いが、それにもかかわらず、それは十分高い放射線フローを有するアプリケーションに適する。透過層がEUV感知検出器に直接配置されうるので、測定装置の非常に簡単な構造から利点が生じる(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、放射線の入射角領域に関する制限は反射角のケースのそれと同様である。これらの制限は、元素の吸収特性又はそれらの関係に基づいた透過層によるスペクトルフィルタリングにおいて副次的な役割をするだけである。変化する有効な層厚のために放射線の入射角と共に透過率が変化するが、実際に関連するケースであるほぼ垂直な入射のケースではこの効果は小さい。より重要なのは、多層鏡の場合と異なり、入射角に依存した透過率のスペクトルシフトがほとんどないことである。しかし、十分に狭い透過率ウィンドウを実現することに困難がある。
【0007】
【特許文献1】WO03/017005A1
【特許文献2】US6710351B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の目的はこの問題を解決し、狭く画定されたスペクトル領域のEUV放射線を特徴付けるのに適した、特徴付けるべき波長領域を自動的に検出する簡単な構造の受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、この目的は、少なくとも1つのウラン含有層を有する透過層装置を備えたEUV放射線のための狭帯域透過フィルタにより達成される。
【0010】
本発明に従う透過フィルタの特に役立ち有利な構造及びさらなる発展形は従属請求項において示される。
【0011】
透過層装置は、13.365nm〜13.635nmの波長領域の外側においてウランの透過率ウィンドウを抑制する少なくとも1つの元素を有する少なくとも1つのさらなる層を有してもよい。
【0012】
適切なさらなる層は、例えば、シリコン、ルテニウム及び/又はモリブデンである。本発明の構成のバリエーションでは、透過層装置は280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有する。
【0013】
特に有利な態様では、透過したEUV放射線で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層が透過層装置に配置される。蛍光放射線が特徴付けるべき波長から生成されるという事実が絶対的な放射線流れの測定を保証する。
【0014】
蛍光放射線を放出する層は自立した蛍光材料を有する。しかし、透過層装置と蛍光材料の層が可視スペクトル領域のために透過性であるキャリアに配置されてもよい。
【0015】
本発明に従う透過層装置によれば、例えば、フォイルとして形成される透過層装置が放射線検出器のビーム入口側に配置されるように、EUV放射線を特徴付けるための受信装置が設けられる。
【0016】
それに代えて、透過層装置が放射線検出器のアクティブ表面に直接配置されてもよい。
【0017】
EUV感知フォトダイオードとEUV感知CCDアレーが放射線検出器として特に適する。
【0018】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ、例えばカメラ、特にデジタルカメラが、少なくとも1つの蛍光材料の層の配置された透過層装置の下流側に配置されるように、EUV放射線を特徴付ける受信装置は構成されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
従って、本発明は、スペクトルフィルタリングのためのビーム方向を変えずに純粋な透過を用いる、EUV放射線を特徴付けるための受信装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
概略図面に関連して以下に本発明をより詳しく説明する。
【0021】
図1によれば、ウラン、この例では100nmの厚さを有するウラン層が透過におけるEUV帯域内放射線のスペクトルフィルタリングのための際立った特徴を示す。透過率は吸収端の長波側で急に上昇している。ウランは、13nm〜16nmの範囲の近くにさらなる特徴的な透過率ウィンドウを示す。特徴付けるべきEUV源の放出スペクトルに依存して、これらの特徴的な透過率ウィンドウは非常に破壊的な効果を有し、十分に抑制されなければならない。層厚さの増加は、透過率が絶対的により小さい全ての領域を相対的に抑制し、より大きい透過率を有する領域を相対的に強める。加えて、層厚さの増加はより狭いスペクトル透過率ウィンドウをもたらす。当然、絶対的な透過率はかなり減少する。これらの効果は、0.5nm〜120nm及び5nm〜20nmの波長領域における300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す図2に示されている。
【0022】
特徴付けるべきEUV源の放出スペクトルに依存して、ウラン層と他の元素の透過層を組み合わせると有利である。
【0023】
特に、9nm以下、11nm〜12nm、65nm〜110nmの波長のために純粋なウランのために図1に示された透過率範囲と、12.5nm〜20nmの所望の透過率ウィンドウの長波側は、13.365nm〜13.635nmのEUV帯域内領域の狭帯域スペクトルフィルタリングのために抑制されなければならない。
【0024】
図3は、150nmの厚さを有するウラン層が400nmの厚さを有するシリコン層と150nmの厚さを有するルテニウム層と組み合わされた、特に有利な透過層装置を示す。13.5nmの波長における所望の透過率ウィンドウの他に、顕著な透過率を有する領域は示されていない。13.365nm〜13.635nmの帯域内領域がハイライト領域で示される(b)。ルテニウムの他に、モリブデンなどの他の元素もさらなる層として適する。
【0025】
別な構造としては、図示していないが、透過層装置(6)は、280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有してもよい。
【0026】
透過のための層の順序は重要でないので、化学的に安定しない元素や結合をより安定した元素でコーティングすることでそれらを有害な環境の影響(例えば、酸化)から保護することができる。
【0027】
本発明によれば、広域なスペクトルバンドで放射する、試験されているビームプロフィール1においてウラン含有層がEUV感知放射線検出器2の前に配置され、狭く画定されるEUV波長領域の放射線を特徴付けるための適切な受信装置が得られる。
【0028】
図4に従う有利な構造では、ウラン含有層3、シリコン層4及びルテニウム層5の組み合わせを有するフォイル状の透過層装置6が放射線検出器2の前に配置される。
【0029】
図5によれば、放射線検出器2のアクティブ表面を直接コーティングすることも可能である。層3,4及び5は固定した基板に配置されるので、機械的安定性がかなり増加する。
【0030】
本発明の他の構造では、透過したEUV放射線7が可視放射線に変えられ、VIS範囲で感知できるレシーバ2’で検出される。
【0031】
これは、透過したEUV放射線7で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線8を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層11が透過層装置に配置されることで実現できる。
【0032】
例えば、CE:YAG結晶が蛍光材料として使用されるとき、それは層3,4及び5でコーティングされるキャリア9として働く(図6)。
【0033】
蛍光材料が自立していないとき(例えば、P43)、可視スペクトル領域のための透過性のキャリア10が図7に従い層3,4,5及び蛍光材料の層11のために使用される。
【0034】
最後に、層3,4,5及び蛍光材料がレシーバ2’に直接配置されることで、レシーバ自体をキャリアとして使用することができる(図8)。
【0035】
適切な検出器は、例えば、フォトダイオード、CCD及び蛍光スクリーンである。しかしながら、透過層装置と、EUVビームプロフィールの空間の特徴づけを可能にするCCDアレー又は蛍光スクリーンなどの空間分解検出器との組み合わせは特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】0.5nm〜120nmの波長領域の100nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図1b】5nm〜20nmの波長領域の100nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図2a】0.5nm〜120nmの波長領域の300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図2b】5nm〜20nmの波長領域の300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図3a】5nm〜120nmの波長領域のウラン層、シリコン層及びルテニウム層を有する層装置の透過率を示す。
【図3b】11nm〜16nmの波長領域のウラン層、シリコン層及びルテニウム層を有する層装置の透過率を示す。
【図4】EUV放射線を感知できる放射線検出器及びフォイル状透過フィルタを有する受信装置を示す。
【図5】EUV放射線を感知できる放射線検出器を有する受信装置であって、本発明に従う透過層装置が配置される装置を示す。
【図6】VIS放射線を感知できるレシーバと本発明に従う透過層装置で覆われた自立型蛍光材料とを有する受信装置を示す。
【図7】VIS放射線を感知できるレシーバと、本発明に従う透過層装置を有するVIS放射線の透過性のあるキャリアと、そこに配置された蛍光材料の層とを有する受信装置を示す。
【図8】VIS放射線を感知できるレシーバと、本発明に従う透過層装置を有するコーティングと、蛍光材料の層とを有する受信装置を示す。
【符号の説明】
【0037】
1 ビームプロフィール
2 放射線検出器
3 ウラン含有層
4 シリコン層
5 ルテニウム層
6 透過層装置
7 透過したEUV放射線
8 蛍光放射線
9 キャリア
10 キャリア
11 層
【技術分野】
【0001】
EUV放射線及びビームプロフィールを特徴付ける技術がEUVリソグラフィーで必要とされる。これらの技術は、EUV源の特徴づけに直接関連し、またコレクタ光学系、照射光学系、画像光学系及びマスクなどの下流ビームデリバリー装置の特徴づけにも関連する。一方で、これらの構成要素は仕様を満たすように特徴付けられなければならず、他方で、対応する測定方法が全装置内のプロセス制御のために必要とされる。これに関連して、13.5nmのEUV帯域内領域におけるこれら構成要素の挙動は特に関心が高い。
【背景技術】
【0002】
軟x線から熱赤外の範囲の幅広いスペクトルバンドで放出するプラズマランプが、リソグラフィーに必要なEUV放射線を発生させるために設置される。ゆえに、EUV放射線を測定するための方法の主なタスクの1つは、数パーセントの範囲にあるEUV帯域内放射線の部分のスペクトルフィルタリングにある。
【0003】
EUV放射線のスペクトルフィルタリング(単色化)のために公知の態様でモノクロメーターにおいて反射格子及び透過型回折格子を使用するには、通常入口スリットと出口スリットで与えられる明確に規定されたビーム経路が必要である。これは、高い機械精度の比較的複雑な構造をもたらすだけでなく、通常は小さい有効格子面積のために、放射線の小さい立体角しか検出できないことになる。これは、1つには放射線の検出器への流れが小さく、他には格子に基づく測定装置が正確に放射線源に配向していなければならないため、プラズマランプなどの広範囲の等方性のある放射線源では不都合である。
【0004】
対応する層デザインを有する多層鏡の反射率は13.5nmで際立った狭帯域の最大値を示す。ゆえに、これらの鏡はEUV帯域内放射線のスペクトルフィルタリングに極めて適している。このコンセプトに基づく測定装置が特許文献1に記載されている。しかしながら、多層鏡の反射率の最大値の位置・形状は層デザインに依存するだけでなく、放射線の入射角にも依存する。従って、波長に依存した反射率の過度の変化を回避するために、放射線の入射角は所定の公差内になければならない。実際には、十分に平行なビームプロフィールを保証するために、等方性EUV源のためにダイアフラムが使用される。ダイアフラムは検出可能な立体角を画定する。加えて、源、ダイアフラム、多層鏡及び検出器が軸上に配置されなければならない。
【0005】
多層装置は透過においてスペクトルフィルタリングのためにも使用される。反射する場合のように、透過において狭帯域最大値は13.5nmで生じる。従来の多層装置の反射に比べて透過率が低いが、それにもかかわらず、それは十分高い放射線フローを有するアプリケーションに適する。透過層がEUV感知検出器に直接配置されうるので、測定装置の非常に簡単な構造から利点が生じる(特許文献2)。
【0006】
しかしながら、放射線の入射角領域に関する制限は反射角のケースのそれと同様である。これらの制限は、元素の吸収特性又はそれらの関係に基づいた透過層によるスペクトルフィルタリングにおいて副次的な役割をするだけである。変化する有効な層厚のために放射線の入射角と共に透過率が変化するが、実際に関連するケースであるほぼ垂直な入射のケースではこの効果は小さい。より重要なのは、多層鏡の場合と異なり、入射角に依存した透過率のスペクトルシフトがほとんどないことである。しかし、十分に狭い透過率ウィンドウを実現することに困難がある。
【0007】
【特許文献1】WO03/017005A1
【特許文献2】US6710351B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の目的はこの問題を解決し、狭く画定されたスペクトル領域のEUV放射線を特徴付けるのに適した、特徴付けるべき波長領域を自動的に検出する簡単な構造の受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、この目的は、少なくとも1つのウラン含有層を有する透過層装置を備えたEUV放射線のための狭帯域透過フィルタにより達成される。
【0010】
本発明に従う透過フィルタの特に役立ち有利な構造及びさらなる発展形は従属請求項において示される。
【0011】
透過層装置は、13.365nm〜13.635nmの波長領域の外側においてウランの透過率ウィンドウを抑制する少なくとも1つの元素を有する少なくとも1つのさらなる層を有してもよい。
【0012】
適切なさらなる層は、例えば、シリコン、ルテニウム及び/又はモリブデンである。本発明の構成のバリエーションでは、透過層装置は280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有する。
【0013】
特に有利な態様では、透過したEUV放射線で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層が透過層装置に配置される。蛍光放射線が特徴付けるべき波長から生成されるという事実が絶対的な放射線流れの測定を保証する。
【0014】
蛍光放射線を放出する層は自立した蛍光材料を有する。しかし、透過層装置と蛍光材料の層が可視スペクトル領域のために透過性であるキャリアに配置されてもよい。
【0015】
本発明に従う透過層装置によれば、例えば、フォイルとして形成される透過層装置が放射線検出器のビーム入口側に配置されるように、EUV放射線を特徴付けるための受信装置が設けられる。
【0016】
それに代えて、透過層装置が放射線検出器のアクティブ表面に直接配置されてもよい。
【0017】
EUV感知フォトダイオードとEUV感知CCDアレーが放射線検出器として特に適する。
【0018】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ、例えばカメラ、特にデジタルカメラが、少なくとも1つの蛍光材料の層の配置された透過層装置の下流側に配置されるように、EUV放射線を特徴付ける受信装置は構成されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
従って、本発明は、スペクトルフィルタリングのためのビーム方向を変えずに純粋な透過を用いる、EUV放射線を特徴付けるための受信装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
概略図面に関連して以下に本発明をより詳しく説明する。
【0021】
図1によれば、ウラン、この例では100nmの厚さを有するウラン層が透過におけるEUV帯域内放射線のスペクトルフィルタリングのための際立った特徴を示す。透過率は吸収端の長波側で急に上昇している。ウランは、13nm〜16nmの範囲の近くにさらなる特徴的な透過率ウィンドウを示す。特徴付けるべきEUV源の放出スペクトルに依存して、これらの特徴的な透過率ウィンドウは非常に破壊的な効果を有し、十分に抑制されなければならない。層厚さの増加は、透過率が絶対的により小さい全ての領域を相対的に抑制し、より大きい透過率を有する領域を相対的に強める。加えて、層厚さの増加はより狭いスペクトル透過率ウィンドウをもたらす。当然、絶対的な透過率はかなり減少する。これらの効果は、0.5nm〜120nm及び5nm〜20nmの波長領域における300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す図2に示されている。
【0022】
特徴付けるべきEUV源の放出スペクトルに依存して、ウラン層と他の元素の透過層を組み合わせると有利である。
【0023】
特に、9nm以下、11nm〜12nm、65nm〜110nmの波長のために純粋なウランのために図1に示された透過率範囲と、12.5nm〜20nmの所望の透過率ウィンドウの長波側は、13.365nm〜13.635nmのEUV帯域内領域の狭帯域スペクトルフィルタリングのために抑制されなければならない。
【0024】
図3は、150nmの厚さを有するウラン層が400nmの厚さを有するシリコン層と150nmの厚さを有するルテニウム層と組み合わされた、特に有利な透過層装置を示す。13.5nmの波長における所望の透過率ウィンドウの他に、顕著な透過率を有する領域は示されていない。13.365nm〜13.635nmの帯域内領域がハイライト領域で示される(b)。ルテニウムの他に、モリブデンなどの他の元素もさらなる層として適する。
【0025】
別な構造としては、図示していないが、透過層装置(6)は、280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有してもよい。
【0026】
透過のための層の順序は重要でないので、化学的に安定しない元素や結合をより安定した元素でコーティングすることでそれらを有害な環境の影響(例えば、酸化)から保護することができる。
【0027】
本発明によれば、広域なスペクトルバンドで放射する、試験されているビームプロフィール1においてウラン含有層がEUV感知放射線検出器2の前に配置され、狭く画定されるEUV波長領域の放射線を特徴付けるための適切な受信装置が得られる。
【0028】
図4に従う有利な構造では、ウラン含有層3、シリコン層4及びルテニウム層5の組み合わせを有するフォイル状の透過層装置6が放射線検出器2の前に配置される。
【0029】
図5によれば、放射線検出器2のアクティブ表面を直接コーティングすることも可能である。層3,4及び5は固定した基板に配置されるので、機械的安定性がかなり増加する。
【0030】
本発明の他の構造では、透過したEUV放射線7が可視放射線に変えられ、VIS範囲で感知できるレシーバ2’で検出される。
【0031】
これは、透過したEUV放射線7で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線8を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層11が透過層装置に配置されることで実現できる。
【0032】
例えば、CE:YAG結晶が蛍光材料として使用されるとき、それは層3,4及び5でコーティングされるキャリア9として働く(図6)。
【0033】
蛍光材料が自立していないとき(例えば、P43)、可視スペクトル領域のための透過性のキャリア10が図7に従い層3,4,5及び蛍光材料の層11のために使用される。
【0034】
最後に、層3,4,5及び蛍光材料がレシーバ2’に直接配置されることで、レシーバ自体をキャリアとして使用することができる(図8)。
【0035】
適切な検出器は、例えば、フォトダイオード、CCD及び蛍光スクリーンである。しかしながら、透過層装置と、EUVビームプロフィールの空間の特徴づけを可能にするCCDアレー又は蛍光スクリーンなどの空間分解検出器との組み合わせは特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】0.5nm〜120nmの波長領域の100nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図1b】5nm〜20nmの波長領域の100nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図2a】0.5nm〜120nmの波長領域の300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図2b】5nm〜20nmの波長領域の300nmの厚さを有するウラン層の透過率を示す。
【図3a】5nm〜120nmの波長領域のウラン層、シリコン層及びルテニウム層を有する層装置の透過率を示す。
【図3b】11nm〜16nmの波長領域のウラン層、シリコン層及びルテニウム層を有する層装置の透過率を示す。
【図4】EUV放射線を感知できる放射線検出器及びフォイル状透過フィルタを有する受信装置を示す。
【図5】EUV放射線を感知できる放射線検出器を有する受信装置であって、本発明に従う透過層装置が配置される装置を示す。
【図6】VIS放射線を感知できるレシーバと本発明に従う透過層装置で覆われた自立型蛍光材料とを有する受信装置を示す。
【図7】VIS放射線を感知できるレシーバと、本発明に従う透過層装置を有するVIS放射線の透過性のあるキャリアと、そこに配置された蛍光材料の層とを有する受信装置を示す。
【図8】VIS放射線を感知できるレシーバと、本発明に従う透過層装置を有するコーティングと、蛍光材料の層とを有する受信装置を示す。
【符号の説明】
【0037】
1 ビームプロフィール
2 放射線検出器
3 ウラン含有層
4 シリコン層
5 ルテニウム層
6 透過層装置
7 透過したEUV放射線
8 蛍光放射線
9 キャリア
10 キャリア
11 層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのウラン含有層(3)を有する透過層装置(6)を有するEUV放射線のための狭帯域透過フィルタ。
【請求項2】
透過層装置(6)が、13.365nm〜13.635nmの領域の外側でウランの透過率ウィンドウを抑制する少なくとも1つの元素を有する少なくとも1つのさらなる層(4,5)を有することを特徴とする請求項1に記載の透過フィルタ。
【請求項3】
さらなる層(4)の1つがシリコンを有することを特徴とする請求項2に記載の透過フィルタ。
【請求項4】
さらなる層(5)の1つがルテニウムを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の透過フィルタ。
【請求項5】
透過層装置(6)が、280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有することを特徴とする請求項2に記載の透過フィルタ。
【請求項6】
透過したEUV放射線で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層(11)が透過層装置(6)に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透過フィルタ。
【請求項7】
蛍光放射線を放出する層が自立した蛍光材料を有することを特徴とする請求項6に記載の透過フィルタ。
【請求項8】
透過層装置と蛍光材料の層が可視スペクトル領域のために透過性であるキャリアに配置されることを特徴とする請求項6に記載の透過フィルタ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の透過層装置(6)が放射線検出器(2)のビーム入口側に配置される、EUV放射線を特徴付けるための受信装置。
【請求項10】
透過層装置(6)がフォイルとして構成されることを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
透過層装置(6)が放射線検出器(2)のアクティブ表面に配置されことを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
放射線検出器(2)がEUV感知フォトダイオードであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項13】
放射線検出器(2)がEUV感知CCDアレーであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項14】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ(2’)が請求項6〜8のいずれか一項に記載の透過フィルタの下流側に配置される、EUV放射線を特徴付けるための受信装置。
【請求項15】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ(2’)がカメラであることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【請求項16】
カメラがデジタルカメラとして構成されることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【請求項1】
少なくとも1つのウラン含有層(3)を有する透過層装置(6)を有するEUV放射線のための狭帯域透過フィルタ。
【請求項2】
透過層装置(6)が、13.365nm〜13.635nmの領域の外側でウランの透過率ウィンドウを抑制する少なくとも1つの元素を有する少なくとも1つのさらなる層(4,5)を有することを特徴とする請求項1に記載の透過フィルタ。
【請求項3】
さらなる層(4)の1つがシリコンを有することを特徴とする請求項2に記載の透過フィルタ。
【請求項4】
さらなる層(5)の1つがルテニウムを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の透過フィルタ。
【請求項5】
透過層装置(6)が、280nm〜520nmの範囲の厚さを有するシリコン層、100nm〜200nmの範囲の厚さを有するウラン層、及び70nm〜130nmの範囲の厚さを有するルテニウム層を有することを特徴とする請求項2に記載の透過フィルタ。
【請求項6】
透過したEUV放射線で照射される際可視スペクトル領域の蛍光放射線を放出する少なくとも1つの蛍光材料の層(11)が透過層装置(6)に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透過フィルタ。
【請求項7】
蛍光放射線を放出する層が自立した蛍光材料を有することを特徴とする請求項6に記載の透過フィルタ。
【請求項8】
透過層装置と蛍光材料の層が可視スペクトル領域のために透過性であるキャリアに配置されることを特徴とする請求項6に記載の透過フィルタ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の透過層装置(6)が放射線検出器(2)のビーム入口側に配置される、EUV放射線を特徴付けるための受信装置。
【請求項10】
透過層装置(6)がフォイルとして構成されることを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
透過層装置(6)が放射線検出器(2)のアクティブ表面に配置されことを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項12】
放射線検出器(2)がEUV感知フォトダイオードであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項13】
放射線検出器(2)がEUV感知CCDアレーであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項14】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ(2’)が請求項6〜8のいずれか一項に記載の透過フィルタの下流側に配置される、EUV放射線を特徴付けるための受信装置。
【請求項15】
可視スペクトル領域で作動するレシーバ(2’)がカメラであることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【請求項16】
カメラがデジタルカメラとして構成されることを特徴とする請求項14に記載の受信装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−201475(P2007−201475A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−15106(P2007−15106)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(502369126)イクストリーメ テクノロジース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15106(P2007−15106)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(502369126)イクストリーメ テクノロジース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (37)
【Fターム(参考)】
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