GD2リガンド
本発明は、GGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY:YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYなどのペプチドリガンドを含むガングリオシドGD2のリガンドを提供している。本発明のGD2リガンドは、例えば、神経芽細胞腫を含む細胞がGD2を発現する癌などの疾患を治療又は診断するのに用いられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド癌化学療法薬などの治療組成物及び方法を含む。
【背景技術】
【0002】
ガングリオシドは、一つ以上のシアル酸残基を含む細胞表面スフィンゴ糖脂質である。ガングリオシドは、「ラフト」と称する洗浄剤耐性細胞膜ミクロドメイン内で局在化させられ、遠位、又は、濃度が小さすぎたりして、複合体を形成したりシグナルカスケードを活性化することができないであろう接着分子、変更因子、基質、又は、補助因子を包括することによって、タンパク質が機能する環境を提供する。しかしながら、シグナル伝達におけるガングリオシドの作用機序に関しては、提案が十分に為されていない。
【0003】
ガングリオシドGD2は、報告によれば、一定の神経個体群において低次で発現しているが、多種の腫瘍(神経芽腫、黒色腫、肺の小さな癌細胞、神経膠腫、軟部組織肉腫、及び、B細胞リンパ腫)において大いに蔓延している。
【0004】
細胞外マトリックス成分テネイシンR(Tenascin-R)は、GD2のための天然リガンドとして、最近説明された(Probstmeier et al., 1999)。しかしながら、GD2の生物学的機能やテネイシンRなどのリガンドとの相互作用の機能的性質については相対的に知られていない。
【0005】
GD2は、広範に腫瘍マーカーとして研究され、抗体性治療のための標的(例 抗GD2 mAb 3F8)(Cheung et al., 1985)として、臨床的に使用されている。しかしながら、治療上、患者に適用された抗GD2 mAb 3F8は、投与の直後に、急性かつ一過性の痛みを引き起こしている。抗GD2 mAb 3F8を基礎とした治療学は、神経芽腫や軟髄膜癌を含む広範囲の癌の治療学及び診断において、使用のために提案された。例えば、131I標識された抗GD2 3F8モノクローナル抗体は、400mg/m2 非標識/無修飾3F8モノクローナル抗体と共に、標的放射免疫療法(20 mCi/kgで投与)において、使用された。同様に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、神経芽腫の患者の治療において抗GD2モノクローナル抗体と共に用いられた。
【非特許文献1】Probstmeier, R., Michels, M., Franz, T., Chan, B. M., and Pesheva, P. (1999). Tenascin-R interferes with integrin-dependent oligodendrocyte precursor cell adhesion by a ganglioside-mediated signalling mechanism, European Journal ofNeuroscience 11, 2474-88.
【非特許文献2】Cheung, N. K., Saarinen, U. M., Neely, J. E., Landmeier, B., Donovan, D., and Coccia, P. F. (1985). Monoclonalantibodies to a glycolipid antigen on human neuroblastoma cells, Cancer Research 45, 2642-9.
【発明の開示】
【0006】
ある面では、発明は式IのGD2リガンドを提供している:
Z1−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Z2 (I)
[式中、
X1 は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2 は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3 はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4 はG、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X5 はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6 はT、若しくはA、又はそれらの類似体である。
X7 はN、又はその類似体である。
X8 はY、又はその類似体である。
X9 はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である。
Z1がH2N−、RHN−、又はRRN−の式のN末端基である。
Z2が−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)NRRの式のC末端基である。
それぞれの場合におけるRが、独立して(C1−C6)アルキル、(C1
−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキ
ル、置換(C1−C6)アルケニル、置換(C1−C6)アルキニルから選
択され;また、“−”は,共有結合を示す。]
別の態様では、発明は、標識IIの領域を持つ実質的に純合成リガンド又は組換えGD2リガンドを提供する。
【0007】
−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−
X12−X13−(II)
[式中、
X1は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4はG、C、若しくはY、又はその類似体である。
X5はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6はT、若しくはA、又はそれらの類似体である。
X7はN、又はその類似体である。
X8はY、又はその類似体である。
X9はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である;
また、“−”は共有結合を示す。]
【0008】
一つの態様では、本発明は、ドメインが組換えタンパク質の結合をGD2に媒介することが出来る事を特徴とする組換えタンパク質を提供する。例えば、本発明のドメインを有する組換えT細胞受容体は、細胞障害性T細胞といった形質転換T細胞株において、提供されるであろう(「細胞障害性Tリンパ球」又は、「CTL」は、TCRを介して、MHCクラスI分子によって、提示されたエピトープを認識する免疫組織細胞である)。本発明の形質転換T細胞株は、例えば、GD2の発現を特徴とする病理学組織を有する癌などの病気の治療に使用されている。(ここの引用文献に組み込まれている2002年2月14日、Sadelain, M. et. al.の名の元に出版された米国特許出願20020018783A1に説明されているアプローチに類似している)。
【0009】
本発明のGD2リガンドは、リガンドがX1からX13までのいずれかの二つの間に更に環式結合を有することから成る。別の態様では、発明のGD2リガンド又は、発明のドメインは、GGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択される。いくつかの態様では、mAb 3F8及びテネイシンRなどの既知のGD2リガンドは、本発明におけるクレームされたリガンドから、特異的に除外される。しかしながら、いくつかの態様では、小分子誘導体及び既知のリガンドの類似体(相補性決定領域mAbsのペプチド又はペプチド模倣薬)は、除外されない。
【0010】
また、本発明のGD2リガンドを有効量投与することを含む、疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患に罹患した患者を治療する方法を本発明は提供している。また、被験者から採取した細胞が本発明のGD2リガンドに結合するかどうかを決定することを含む、疾患細胞がGD2を発現させることを特徴とする疾患の診断方法が提供される。本発明の診断及び治療方法は、インビトロ又はインビボで実施されるであろう。
【0011】
別の態様では、本発明のGD2リガンドは、有効な量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子といった他の治療化合物と共に用いられるだろう。本発明は、GD2活性の調節又はGD2発現細胞の検出のためのGD2リガンド使用説明書とを含む商業用パッケージを提供する。
【0012】
表1は、多くの別のGD2リガンドの配列、又は、本発明のGD2結合性ドメインを並べている。構造活性相関(SAR)及び遺伝子欠失分析は、いくつかの置換は許容されておりペプチド閉環は活性を促進させることを示している。(*で示されているペプチドは、不活性)
【0013】
【表1】
【0014】
発明は、例えば、同様の治療を要する患者にGD2リガンドを投与することによって、GD2リガンドと、GD2リガンド使用説明書とを含む商業用パッケージを更に提供している。
【0015】
別の態様では本発明はGD2リガンドを同定するスクリーニング方法を提供している。例えば、このようなスクリーニング方法は、以下を含む:
a)会合性(GD2及びp56Lckを発現する細胞など)に利用可能なGD2成分及びp56Lck成分を有するシステムに、推定上のGD2リガンド(テネイシンR由来のポリペプチドなど)を投与する;
b)例えば、p56Lck部分のリン酸化酵素活性を決定することによってシステムにおけるGD2成分とp56Lck成分との会合を測定する。更に別の態様においては、本発明は以下を含む:
c)例えばCD45部分のリン酸化酵素活性を決定することによってシステムにおけるGD2部分とCD45部分(moieties)との会合を測定する。
【0016】
更に別の態様では、前記の方法は、更に以下を含む:
b)GD2成分及び、CD45などのリン酸化酵素を有するシステムに
推定上のGD2リガンドを投与する;及び
c)GD2とリン酸化酵素との会合性や機能的関係を測定する。
d)試験化合物(例 コンビナトリアルライブラリー)が、ここに説明されているGD2リガンドのいずれかを置換するために用いられている競合性のスクリーニング分析
e)ここに説明されているGD2リガンドのいずれかが、試験化合物を置換するために用いられている競合性のスクリーニング分析
いくつかの態様では、推定上のGD2リガンドは、例えば、ポリペプチ
ド、又は、同じ活性基、若しくは、類似の側鎖官能基を有するペプチド模
倣体などの非ペプチド性類似体を構成するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、GD2結合性領域として発明の一態様と調和して同定されるボックス内において、はっきりと、確認される領域と共に、ジェンバンクアクセッションXP−040550からのホモサピエンステネイシンRの全長のタンパク質の配列を示す図である。発明の一側面は、GD2結合性領域が例えば、GD2とテネイシンRタンパク質との間の相互作用の強度を調節するために変更されている別のテネイシンRタンパク質を提供している。
【図2】図2はGD2とp56Lckとの免疫共沈降に関するデータを示している。 (a)R1.1及びEL4 GD2陽性細胞可溶化液は、抗GD2 mAb 3F8又はコントロールマウスIgG(mIg)との免疫共沈降に従属している。免疫共沈降におけるp56Lckタンパク質の存在は、ウェスタンブロット法によって認められた。p56Lck は、EL4 GD2陽性細胞にはある(7列目)が、R1.1細胞にはない(5列目)mAb 3F8によって免疫共沈降する。全細胞可溶化液は、p56Lck検出(1及び2列目)のためのコントロールとして用いられた。 (b)及び(c)R1.1 EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性細胞可溶化液は抗GD2 mAb 3F8 GM1結合性コレラ毒素、抗p56Lck mAb 3A5及び抗Zap−70 mAb LRとの免疫共沈降を必要とした。免疫共沈降におけるリン酸化酵素活性p56Lckの存在は、p56特異的基質Sam68及びGap p62と共にリン酸化酵素分析のインビトロによって、確認された。図2(b)のデータは、p56Lckリン酸化酵素活性は、EL4 GD2陽性 細胞にはある(1列目)が、EL4 GD2陰性 細胞にはない(4列目)mAb 3F8によって、免疫共沈降されることが出来ることを示している。図2(c)のデータは、p56Lckリン酸化酵素活性は、EL4 GD2陽性細胞における(1列目)mAb 3F8によってだけでなく、R1.1細胞におけるコレラ毒素B(4列目)によっても、免疫共沈降されることが出来る。 (d)R1.1及びEL4GD2陽性細胞可溶化液は、抗GD2 mAb 3F8、GM1結合性コレラ毒素B、及び、抗p56Lck mAb 3A5との免疫共沈降を必要とした。免疫共沈降におけるガングリオシドGD2及びGM1の存在は、ELISAによって、認められた。抗p56LckmAb3A5は、EL4GD2陽性細胞から、GD2を免疫共沈降することが出来るが、R1.1からGM1を免疫共沈降することが出来ない。示されているのは代表的な実験、1実験に付き、n=4の平均±SEMである。
【図3】図3は、ガングリオシドの精製されたp56Lckのインビトロ、リン酸化酵素活性に対する影響を示す。p56Lckのリン酸化酵素活性は、GD2又はGM1の有り無しで、ペプチドp56Lck基質における32PO4の組入れを測定することによって、認められた。GM1ではなくGD2の存在は、p56Lckリン酸化酵素活性を積極的に変化させることができる。活性は、20分の時点で、未治療のp56Lckに評準化されている。示されているのは、平均3から5のアッセイ±SEMである。
【図4】図4は、以下を示す。 (a)GD2リガンドが、p56Lckホスホチロシンに及ぼす影響。EL4GD2陽性休止細胞は、表示時間のためにmAb 3F8(13nM)又はコントロールマウスIgG(mIg)と共に治療された。溶解後、p56Lckタンパク質は、抗p56Lck mAb 3A5と共に免疫共沈降させられ、ビチオン標識されたウェスタンブロット法によって ホスホチロシン(PY)が検査された。抗56Lckは、5分以内にp56のチロシンのリン酸化を誘発し(3列目)、少なくとも30分間は維持する(4列目)。 (b)GD2リガンドがZap−70リン酸化に与える影響。EL4GD2陽性休止細胞は表示時間のためのmAb 3F8(13 nM)又は、コントロールマウスIgG(mIg)と共に治療された。溶解後、Zap−70タンパク質は、抗Zap−70 mAb LRと共に免疫共沈降させられ、ホスホチロシン(PY)のために、抗ホスホチロシンmAb4G10を用いたウェスタンブロット法によって検査された。抗GD2 mAb 3F8は、5分以内にZap−70のチロシンホスホチロシンを誘発することが出来る。(3列目)c)GD2リガンドが細胞内カルシウム濃度に与える影響。休止EL4 GD2陽性細胞は、mAb 3F8(13nM)、コントロールマウスIgG(mIg)、又は、カルシウムイオン透過孔A23187と共に治療された。細胞内カルシウム濃度はカルシウム感受性のフルオロフォアRhod−2 AMを用いるフローサイトメトリーによって評価された。mAb3F8は、5分以内に、強度の持続可能なカルシウムの変化を誘発することが出来るが、コントロールマウスIgGは何も影響がない。p56Lck阻害剤PP1の付加は、mAb 3F8の影響を部分的に無効にした。示されているのは、4つの独立した分析の平均±SEMである。
【図5】図5は、特に、pp60ScrC末端リン酸化調節性の配列を気質として用いたときに、GD2がインビトロでCD45脱リン酸酵素活性に与える阻害的影響を示す。20分間、共培養したときに、GD2(他のガングリオシドではない)は、遊離したリン酸塩の比色の数量化によって測定されているように、CD45脱リン酸酵素活性を徹底的に、阻害することが出来る。
【図6】図6は、p56Lck上に、チロシン505の脱リン酸化によって測定されているエキスビボCD45脱リン酸酵素活性に対するGD2の阻害効果を示す。EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は20分間37℃でコントロールmIg、抗GD2抗体3F8、又は抗CD3抗体145−2C11が、抗ハムスター抗体G94−56と架橋することで、治療された。溶解後、p56Lck は、p56Lck3A5被覆ビーズで免疫共沈降させられ、抗PY−505抗体でウェスタンブロット法によって、位置505にて、ホスホチロシンが精査された。抗CD3と治療したEL4 GD2陽性細胞はチロシン505(3列目)において、p56Lckの脱リン酸を誘発するのに失敗し、一方、EL4 GD2陰性細胞は、同様の治療と共に著しい脱リン酸を示し、GD2の存在がチロシン505脱リン酸の原因であるCD45脱リン酸酵素を阻害していることを提示している。抗GD2抗体3F8などのGD2リガンドは、GD2媒介阻害剤のCD45を軽減することが出来る(2列目)。
【図7】図7は、軟寒天クローン原生の分析からのデータを示す。EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、抗GD2抗体存在下又は非存在下で、軟寒天において(1サンプルにつき、2プレート)培養された。 (a)可視コロニーの総数。EL4GD2陽性細胞は、EL4 GD2陰性細胞に比べて還元型コロニー形成を示している。抗GD2抗体3F8は、EL4 GD2陽性細胞の増殖を無効にするが、EL4 GD2陰性細胞には影響しない。 (b)典型的なEL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性コロニー。EL4 GD2陰性コロニーは、EL4 GD2陽性コロニーよりも多くのコロニーを含む。Bar=100ミクロメーター。
【図8】図8は、腫瘍化した分析からのデータを示す。EL4GD2陽性及びEL4GD2陰性細胞はa)ヌードBalb/c、及び、b)同系のC57BL/gマウス。EL4 GD2陰性が注入された動物(左)は重要な腹水の腫瘍を示している一方で、EL4GD2陽性が注入された動物(右)は、局在型の固形腫瘍(丸い部分)を示す。Bar=1mm。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一つの態様では、本発明は、GD2の人工リガンドの選択肢を提供している。いくつかの態様では、このようなリガンドは、特に腫瘍原生増殖又は侵害受容性レセプターにつながる経路において、正常に発現している血管内でガングリオシドGD2シグナル伝達を選択的に調節するのに用いられる。発明の一態様においては、GD2結合のために決定的なテネイシンRにおける主要且つ立体構造の同一性を含んでいる。別の態様では、発明は、抗GD2 mAb 3F8の領域を決定する相補性が、テネイシンRの類似体であることを示している。テネイシンRの小ペプチド擬態(mimics)及び抗GD2 mAb 3F8の擬態は、従って、GD2のリガンドの選択肢としてデザインされ合成された。別のリガンドは、発明のリガンドを基礎とし、タンパク質擬態及び抗体擬態技術(Saragovi et al., 1992)によって、提供されるだろう。
【0019】
発明の別の態様においては、GD2(GM1ではない)は洗浄性溶解に対して安定性のある複合体においてインビボでp56Lckと共に物理的に結合することが示されている。GD2は、インビトロでp56Lck酵素活性を増強したり、インビボでp56Lckのリン酸化及びp56Lck基質Zap70を強化したりすることによって、シグナル形質導入を調節することが示されている。従って、発明のGD2リガンドは、生細胞における細胞内カルシウムの中で、p56Lck依存性溶剤を引き起こす為に用いられ、それによって、多種の生理学的又は病理学的細胞機能を調節する。
【0020】
発明の一方の態様では(他のガングリオシドではない)、インビトロ及びエキソビボで、表現型活性を阻害可能であることが示されている。従って、発明のGD2リガンドは生細胞におけるCD45に対するGD2の阻害活性を拮抗する為に用いられ、それによって、多種の生理学的、免疫学的、又は病理学的細胞機能を調節する。
【0021】
発明の一態様では、GD2の発現は、インビトロ及びインビボにおいて腫瘍原性を変質させるために示されている。実施例に示されてるようにGD2陽性細胞より表現型的に識別可能なGD2陰性であるEL4クローンは、等しい倍加時間を有するが、軟寒天コロニー増殖は、GD2陰性細胞において、有意により効率的である。更に、この分析におけるGD2リガンドの付加はGD2陽性細胞のアポトーシスの死を引き起こす。GD2陰性細胞は、又、インビボで、より腫瘍化する。同系のマウスの腹腔内又は皮下に注入されるGD2陽性細胞は、小さな転移を伴って、第一部位において、固形腫瘍を形成する。対照的に、GD2陰性細胞は、腹膜の膜を温侵し、粘ちょう性のムチンのような腫瘍、小固形腫瘍結節を形成し、転移性は高い。従って、発明のある態様においては、細胞は癌化するので、それらはGD2陽性であり、癌化したGD2陽性細胞は、例えば、アポト−シス経路によって、細胞死を媒介する為に、発明のGD2リガンド細胞に処置されるであろう。例えば、GD2陰性癌細胞は、標的遺伝子治療技術によって、形質変換するので、細胞はGD2陽性となり、変質したGD2陽性癌細胞は、発明のGD2リガンドで治療される。
【0022】
一方では、発明のGD2リガンドは、癌などの病気の治療、及び、疼痛などの症状の対処におけるインビトロ及びインビボという生物学的に適切な方法において、シグナル形質導入に影響を与えたり、調節したりする為に用いられる。
【0023】
一態様においては、発明は、精製・単離された、又は、実質的に純粋なGD2リガンドなどの化合物を提供している。化合物は、元来付随している成分から単離された時に、「実質的に純粋」である。典型的に、化合物は、少なくとも60%、通常、標本の全重量の75%から90%であるときに、実質的に純粋である。従って、例えば、組換えの技術によって化学的に合成されたり生産されたりするポリペプチドは、通常、自然に付随している成分を実質的に含まない。核酸分子は、発明のDNAが由来する生物体の自然発生的ゲノムにおいて通常近接しているコード配列に接触していない(すなわち、共有結合的に連鎖している)ときに実質的に純粋である。実質的に純粋な化合物は、例えば、資源からの抽出;ポリペプチド化合物をコード化する組換えの核酸分子の発現;又は化合成分によって得られる。純度はカラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの適切な方法を用いて測定することが出来る。
【0024】
「アルキル」という表現は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及び、シクロアルキル置換アルキル基を含んだ飽和脂肪基のラジカルに言及している。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、Tブチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシルなどを含むが、これらに限ったものではない。アルキル基は、(C1−C6)アルキル又は、(C1−C3)アルキルを指す。「置換アルキル」は、水素を炭化水素バックボーンの一つ以上の炭素に置き換える置換基を有する。このような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、(カルボキシル、ケトン、(アルキルカルボニル及びアリールカルボニル基を含む)及びエステル(アルキルカルボニル及びアルキロキシルカルボニル基を含む))、チオカルボニル、アシル、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジン、イミノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、流酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アラルキル、又は、芳香族若しくは複素芳香族成分を含むことが出来る。炭化水素鎖に置換された成分は、適切であれば、それ自体置換されることが出来る。例えば、置換アルキルの置換基は、エーチル、アルキルチオ、カルボニル、(ケトン、アルデヒド、カルボキシル、及びエステルを含む)−CF3、−CNなどのみならず、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)スルホニル(流酸塩、スルホンアミド、スルファモイル、及び、スルホン酸塩を含む)及び、シリル基の置換及び非置換型も含むことが出来る。典型的な置換アルキルは、以下に示されている。シクロアルキルは、更に、アルキル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどに置換されることが出来る。
【0025】
「アルケノル」及び「アルキニル」という表現は、上記に説明されたアルキルに置換可能な長さが類似した不飽和の脂肪性の基に言及しているが、それは、少なくとも、それぞれ二重又は三重の結合を含んでいる。「アルケノル」は、少なくとも一炭素-炭素二重結合と共にラジカルである、不飽和な分枝直鎖、又は、環状炭化水素である。ラジカルは、二重結合のシス又はトランス構造のいずれかに存在し得る。典型的なアルキノル基は、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブテニル、イソブテニル、tert―ブタノール、ペンチニル、ヘキシニルなどを含むが、これらに限ったものではない。「アルキノル」は、少なくとも一炭素―炭素三重結合と共にラジカルな不飽和な分枝直鎖、又は、環状炭化水素のことである。典型的なアルキノル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブテニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含むが、これらに限ったものではない。
【0026】
「実質的に同一」の配列は、ここに説明されている一つ以上の保存的置換、又は、試験化合物の生物学的機能を破壊しない配列位置に在る非保存的な置換、削除、又は、挿入を一つ以上含む基準配列とは異なるアミノ酸やヌクレオチド配列のことである。このような配列は、少なくとも、60%又は75%、通常は少なくとも80%、85%、90%、又は95%、若しくは、比較に用いられる配列とアミノ酸やヌクレオチドが99%同レベルとなる。配列同一は、公的に利用可能な配列分析ソフトウェア(すなわち、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710
University Avenue, Madison, Wis. 53705、又は、the National Library of Medicineより入手可能なBLAST software)によって、容易に測定することが出来る。有用なソフトウェアの実施例は、プログラム、パイルアップ(Pile-up)、及び、プリティボックス(Pretty Box)を含む。そのようなソフトウェアは、相同性の程度を多種の置換、削除、置換、及び、他の修飾に指定することで類似の配列に合致している。
【0027】
一態様では、GD2リガンドは、(i)側鎖、(ii)バックボーン、又は(iii)ペプチド内のイオン性相互作用のいづれかの/又は 置換によって生産される。又、構造的又は機能的アナログは、1)ペプチド擬態
(peptidomimicry)によって発生するペプヂドGD2リガンドのホモログ及び2)GD2リガンドの配列/構造が、GD2結合を更に大きなタンパク質に運搬するために導入されているアナログを含むことが出来る。
【0028】
発明の一態様において、発明のペプチド化合物をコード化する核酸を提供している。そのような核酸は、発現を目的として、安定した又は一過性の発現のための標準的な組換え技術を用いて、細胞に導入されるであろう。発明の核酸分子は、自然発生又は非自然発生的ヌクレオチド、若しくはヌクレオチドアナログを含む二つ以上のヌクレオシド鎖を含有する。
【0029】
発明の多様な遺伝子及び核酸配列は、組換え配列であろう。「組換え」という表現は、何かが再結合したことを意味するので、核酸合成に関するときには、その言葉は、分子量生物学的技術の方法によって結合したり生産したりする核酸配列から成る分子に言及している。「組換え」という言葉が、遺伝子組成に関するときには、親のゲノムには発生しなかった対立遺伝子の新たな組合せを伴う配偶子、子孫、細胞、又は、ゲノムに言及している。組換え核酸合成は、結合している、又は、結合するために操作されているヌクレオチド配列、自然に結合していない、又は、自然に異なる場所で結合されている核酸配列を含んでいる。従って、核酸組成物に「組換え」として言及する際、核酸分子量は、遺伝子工学、すなわち、人間の介入によって操作されていることを意味する。組換え核酸合成は例えば、形質転換によって宿主細胞に導入されるであろう。そのような核酸合成は、単離し宿主細胞に再導入された同類の宿主細胞類、又は、異なる宿主細胞類に由来する配列を含むであろう。組換え核酸合成配列は、宿主細胞の本来の形質変換の結果、又は、後の再結合、及び/又は、修復事象の結果として、宿主細胞ゲノムに、統合される。
【0030】
発明の別の態様は、発明の化合物の抗体及び、そのような抗体を代わりに認識する抗イディオタイプ抗体を提供する。発明の化合物は、例えば、Harlow and Lane(Antibodies; A Laboratory Manual, Cold Spring
Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988)又は、技術の熟練者達に知られている標準の製法技術を用いるGD2リガンドに対する抗体を調製するのに使用されることが出来る。抗体は、例えば、ある種族からの抗原結合ドメイン及び、別の種族からのFc部分を含むキメラ、又は、適切な種族の雑種細胞腫から作られる抗体を用いることによって、害寄宿免疫応答を最小化するために仕立てられる。
【0031】
発明の化合物は、例えば、GD2リガンドのアミノ酸残基、又は、発明のドメインを他の保存されたアミノ酸残基、すなわち、類似の物理的、生物的、又は化学的特質、及び、生物的機能のスクリーニングを置換、削除、挿入することによって調製されることが出来る。いくつかの一時変異及び変化は、生物学的に等しいポリペプチドを得るために、ペプチドの生物学的機能を実質的に変質することなしに、ポリペプチドの構造において作ることが出来る。又、本発明のペプチド、リガンド及びドメインは、保存アミノ酸置換による本発明の新規リガンド配列部分とは異なる生物学的に同等のペプチド、リガンド、及びドメインにまで及ぶ。ここに使用されているように、「保存アミノ酸置換」という言い回しは、置換が関連機能の実質的な喪失なしに置換可能なペプチド内の定めれた位置内における別のアミノ酸への置換に言及している。そのような変化においては、アミノ酸残基のような置換は、例えば、それらの大きさ、負荷、疎水性、親水性などの側鎖置換の関連した類似性を基本に作られる事が出来、そのような置換は、ルーティン試験法のペプチド機能に対する影響のために分析されるだろう。
【0032】
いくつかの態様においては、保存されたアミノ酸置換は、類似の親水価値(例えば、±2.0の価値の範囲内)を有し、以下が、Tyr(−1.3)又はPro(−1.6)sが、アミノ酸残基に指定されるような約−1.6疎水性親水性指標を有するアミノ酸であろう。(詳細は、米国特許番号4,554,101にあり、ここに参考のために示されている。):Arg(+3.0) ; Lys(+3.0) ; Asp(+3.0) ; Glu(+3.0) ; Ser(+0.3) ; Asn(+0.2) ; Gln(+0.2) ; Gly(0); Pro(−0.5) ; Thr(−0.4) ; Ala(−0.5) ; His(−0.5) ; Cys(−1.0) ; Met(−1.3) ; Val(−1.5) ; Leu(−1.8) ; Ile(−1.8) ; Tyr(−2.3) ; Phe(−2.5) ; 及びTrp(−3.4)。
【0033】
別の態様においては、保存アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の疎水性親水性指標(例えば±2.0の価値の範囲内)を有する別のアミノ酸残基に置換するアミノ酸残基において作られるであろう。そのような態様においては、各アミノ酸残基は、以下のような疎水性及び負荷の特質を基礎とした疎水性親水性指標に指定されるであろう:Ile(+4.5) ; Val(+4.2) ; Leu(+3.8) ; Phe(+2.8) ; Cys(+2.5) ; Met (+1.9); Ala(+1.8) ; Gly(−0.4) ; Thr(−0.7) ; Ser(−0.8) ; Trp(−0.9) ; Tyr(−1.3) ; Pro(−1.6) ; His(−3.2) ; Glu(−3.5) ; Gln(−3.5) ; Asp(−3.5) ; Asn(−3.5) ; Lys(−3.9) ; 及びArg(−4.5).
【0034】
別の態様においては、保存アミノ酸置換は、アミノ酸が、以下の非極性、酸性、塩基性、中性に分けられるのと同じ分類において、もう一つのアミノ酸残基に置換されるアミノ酸残基において作られるであろう:非極性:Ala, Val, Leu, Ile, Phe, Trp, Pro, Met;
酸性:Asp, Glu; 塩基性: Lys, Arg, His; 中性: Gly, Ser, Thr, Cys, Asn, Gln, Tyr。
【0035】
保存アミノ酸の変質は、Dアミノ酸に一致して、保存Dアミノ酸、又は、自然発生的に非遺伝的にコード化されたアミノ酸形態によるLアミノ酸の置換だけでなく、保存されたLアミノ酸置換を含有する。 自然発生的に非遺伝子的コード化されたLアミノ酸置換は、βアラニン、3−アミノ酪酸、2、3―ジアミノ酪酸、αアミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、N−トリシン(サルコシン)、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t―ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン、ノルベリン、2−ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、β―2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリシン、2−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2、4−ジアミノ酪酸、p―アミノフェニルアラニン、N―メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、システイン酸、イプシロン−アミノヘキサン酸、デルタ−アミノ吉草酸、又は、2、3−ジアミノ酪酸を含有する。
【0036】
別の態様においては、保存アミノ酸変質は、親水性又は疎水性、大きさ、又は量、又は負荷を基礎とした変質を含む。アミノ酸は、アミノ酸側鎖の特質に本来依存している疎水性又は親水性を全般に特徴とすることが出来る。疎水性アミノ酸は、ゼロ以上の疎水性を提示し、親水性アミノ酸は、Eisenberg et al.(J. Mol. Bio. 179:125-142, 1984)の正規合意した疎水性尺度を基礎としたゼロ以下の親水性を提示した。遺伝的にコード化した疎水性のアミノ酸は、Gly、Ala、Phe、Val、Leu、 Ile、Pro、Met及びTrpを含み、遺伝的にコード化した親水性のアミノ酸はThr、His、Glu、Gln、Asp、Arg、Ser及びLysを含んでいる。非遺伝的にコード化した疎水性のアミノ酸はTブチルアラニンを含む一方で、非遺伝的にコード化された親水性のアミノ酸はシトルリン及びホモシステインを含有している。
【0037】
疎水性又は親水性のアミノ酸は、それらの側鎖の特質を基礎として、更に細分化されることが出来る。例えば芳香族のアミノ酸は、−OH、−SH、−CN、−F、−CI、−Br、−I、−NO2、−NO、−NH2、−NHR、−NRR、−C(O)R、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH2、−C(O)NHR、−C(O)NRRのような置換基を一つ以上含む少なくとも一つの芳香族又は芳香族複素環を内包する側鎖を有する疎水性アミノ酸である。そこでは、Rは独立して、(C1−C6)アルキル、置換(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、置換(C1ーC6)アルケニル、(C1ーC6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキニル、(C5−C20)アリール、置換(C5−C20)アリール、(C6−C26)アルキルアリール、置換(C6−C26)アルキルアリール、5−20員ヘテロアリール、置換5−20員ヘテロアリール、6−26員alkheteroaryl、又は、置換6−26員alkheteroarylである。遺伝子的にコード化した芳香族アミノ酸は、Phe、Tyr及びTrypを含む一方、非遺伝子的にコード化した芳香族アミノ酸はフェニルグリシン、2―ナフチルアラニン、β―2−チエニルアラニン、1、2、3、4テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、4−クロロフェニルアラニン、2−フォルオロフェニルアラニン−3−フォルオロフェニルアラニン及び、4−フォルオロフェニルアラニンを含む。
【0038】
非極性のアミノ酸とは、生理学的pHにて無電化である側鎖を有する疎水性のアミノ酸が二つの原子(すなわち、両側の鎖は、極性ではない)によって均等に保たれ共有の一対の電子の結合を有する疎水性アミノ酸のことである。遺伝子的にコード化された非極性のアミノ酸は、Gly、Leu、Val、Ile、Ala及びMetを含む一方で非遺伝子的にコード化された非極性のアミノ酸は、シクロヘキシルアラニンを含む。非極性アミノ酸は、脂肪性の炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸である脂肪性アミノ酸を含むために更に細分化されることが出来る。遺伝子的にコード化された脂肪性アミノ酸は、Ala、Leu、Val及びIleを含む一方で、非遺伝子的にコード化された脂肪性アミノ酸はノルロイシンを含有している。
【0039】
極性アミノ酸は、生理学的pHによって無電化である側鎖を備えた親水性アミノ酸であるが、一対の電子が原子の一つによってより近接に二つの原子によって維持されている一つの結合を有している。遺伝子的にコード化された極性のアミノ酸は、Ser、Thr、Asn及びGlnを含む一方で、非遺伝子的にコード化された極のアミノ酸は、シトルリン、Nアセチルリシン、及びメチオニンスルホキシドを含んでいる。
【0040】
酸性アミノ酸は、7以下の側鎖pKa価値を備える親水性アミノ酸である。酸性アミノ酸は、炭素イオンの喪失のために、生理学的pHにおいて、側鎖を典型的に陰性にチャージした。遺伝子的にコード化した酸性アミノ酸は、Asp及びGluを含んでいる。塩基性アミノ酸は、ヒドロニウムイオンとの会合性のために、生理学的pHにおいて側鎖を典型的に陽性にチャージした。遺伝子的にコード化した塩基性アミノ酸は、Arg,Lys及びHisを含む一方で、非遺伝子的にコード化された塩基性アミノ酸は、非環式アミノ酸オルニチン、2、3、−ジアミノプロピオン酸、2、4−ジアミノ酪酸、及びホモアルギニンを含んでいる。
【0041】
上記の分類は、絶対的ではなく、アミノ酸は、一つ以上のカテゴリーに分類されるであろう。更に、アミノ酸は、既知の作用、及び又は、特定化した分析を基礎とする、又は前記に確認されたアミノ酸と比較した特徴的な化学的、物理的、又は生物学的性質を基礎として分類することが出来る。アミノ酸は、アミノ酸のような側鎖を有する二機能性の部分を含むことが出来る。
【0042】
保存の変質は、例えば、アミノ酸の機能的側鎖の反応によって、非誘導体化の残基のための化学的に誘導体化した部分の置換をも含んでいる。従って、これらの置換は、遊離アミノ基が、アミン塩酸塩、pトルエンスルホニル基、カルボベンゾキン基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基又はホルミル基に誘導体化している。同様に、遊離カルボキシル基は、塩、メチル、及びエチルエステル又は他のエステル又はヒドラジドを形成するために誘導体化されることが出来、側鎖は、ヒスチジンのイミダゾール窒素のための遊離ハイドロキシル基又はN−imベンジレヒスチジンのためのO−アシル又はO−アルキル誘導体を形成するために誘導体化されることが出来る。ペプチド類似体は、例えばエチルアミン、エタノールアミン、エチレン、ジアミン、アミノ酸側鎖(リシンのイプシロンアミノ基など)のアシル化又はメチル化などのアリルアミンによるC末端アミノ酸のメチル化、アミド化によって化学的に変質されたアミノ酸を含む。ペプチド類似体は、ペプチドにおける置換アミド(例えば、Rが(C1-C6)アルキル(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキル、置換(C1−C6)アルケニル、又は置換(C1−C6)アルキニルである式−C(O)−NRの群)とのアミド結合の交替、又は、アミド結合の同配体(例えば、−CH2NH−、−CH2S、−CH2CH2−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−C(O)CH2−、−CH(OH)CH2−、又は−CH2SO-)をも含む。
【0043】
本発明のGD2リガンド、ペプチド、ドメインは、同種重合体又はヘテロ多重体を形成するために、例えば、重合又は接合によって、共有結合的に結合するのであろう。生理学的状況のもとに無電荷されたアミノ酸などの小中性分子から典型的に構成されるスペーサー及びリンカーが用いられることが出来る。結合は、多くの方法において達成される。例えばシステイン残基はペプチド終端に加えられることが出来、多重ペプチドは規定の酸化によって共有結合的に結合されることが出来る。代わりに、薬剤を形成するジスルフィド/アミド又はチオエーテル/アミドなどのヘテロ二重機能性薬剤が用いられることが出来る。化合物は、T細胞反応を促進することの出来る脂質を含む分子やペプチドにも結合することが出来る。化合物は、例えば、環状部分を有することによって抑圧されることが出来る。
【0044】
ペプチド又はペプチド類似体は、例えば、溶液又は固相合成方法論を用いて自動合成によって、標準の化学技術によって、合成されることが出来る。自動ペプチド合成機は、商業的に利用可能であり、その分野においてよく知られている技術を用いる。ペプチド又はペプチド類似体は、標準の方法を用いる組換えDNA技術を使用することによって精製されることも出来る。
【0045】
本発明の化合物は、人間への投与に適切な形態で、リポソーム、アジュバント、又は薬学的に受け入れられるキャリアの存在下において、単独、又は、併用、又は、他の化合物(例えば、毒素、増殖因子、抗アポトーシス薬剤、小分子、ペプチド、又はペプチド類似体)との接合において、提供されることが出来る。従来の薬務は、癌などの疾患に苦しむ患者に投与する化合物に適切な形態又は構成に適用されるであろう。例えば、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、眼窩内、眼科、脳室内、関節内、脊髄内、大槽内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、又は経口投薬のような、いかなる適切な投薬経路が適用されるであろう。
【0046】
非経口投薬の処方は、例えば、賦形剤、無菌水、サリン、ポリエチレングリコール、野菜の原油、又は、硬化ネプタリンなどのポリアルキレングリコールを含む。生体適合性の生物分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコールコポリマー、又はポリオキシチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、化合物の放出を制御するために用いられる。他の潜在的に有用な調節性の化合物は、非経口伝達システムは、エチレンビニールアセテートコポリマー分子、浸透性ポンプ、移植可能な注入システム、及び、リポソームを含む。吸引形態は、例えば、ラクトースのような賦形剤を含み、ポリオキシチレン−9−ラウリルエーテル、グリコール酸、及び、デオキシコール酸のような水溶液であり、点鼻薬の形、又は、ゲルとして投与される油剤であるだろう。
【0047】
要求されるのであれば、本発明による化合物の治療は、例えば、手術や化学療法などの従来の疾患療法と組み合わされるであろう。
【0048】
治療又は予防組成物のために、化合物は、細胞破壊の誘発(癌など)又は、細胞破壊の抑止や減速(神経保護の治療や痛みの治療など)に十分な量において、患者に投与されるであろう。十分だと思われる量は、使用された具体的な化合物、投与方法、疾患の段階及び重症度、年齢、性別、治療されている患者の健康、及び、同時進行の治療によって変容する。しかしながら、一般的なルールとして、投与量は、最初の投与量では、患者の体重1キログラムあたり、1ミクログラムから100mgまで及び、後の患者の反応によって調節される。
【0049】
ワクチン処方の際には、本発明の化合物の有効量は、単独、又は、フロイントの不完全アジュバントやアルミニウム水酸化物といった他の化合物との組合せによって提供されることが出来る。化合物は、免疫原性を促進するためにウシ血清アルブミン又はKLH(Keyhole limpet hemocyanin)などのキャリア分子と結合されるであろう。
【0050】
一般的に、本発明の化合物は、実質的な毒性を引き起こすことなしに、用いられるべきである。発明の化合物の毒性は、例えば、細胞培養、又は、実験動物の試験、及び、治療係数、すなわち、LD50(個体群の50%の致死量)とLD100(個体群の100%の致死量)との比率の決定という標準技術を用いることで決定されることが出来る。場合によっては、しかしながら、重症な疾患状態においては、化合物の実質的な過剰量を投与する必要があるであろう。
【0051】
以下の実施例は、様々な態様及び本発明の側面を示し、どのような方法においても本発明を制限することはない。
【実施例】
【0052】
方法
細胞:EL4マウスリンパ腫及びR1.1マウスリンパ腫は、5%の二酸化炭素の加湿空気の中、37℃で、5%の致死ウシ血清、2mMのグルタミン、10mMのHepes及びペニシリン/ストレプトマイシンと共に補充されたRPMI1640培地溶液(Life Technologies)において増殖された。EL4のGD2陰性変異体は、抗GD2 mAB 3F8及びウサギ補体との培養に耐性のEL4細胞のサブクローニングの後、得られた。
【0053】
流動細胞計測法(フローサイトメトリー):50mlFACS緩衝液
(PBSリン酸緩衝食塩水0.5%、BSAウシ血清アルブミン0.05%、NaN3アジ化ナトリウム)における105細胞は、以下のリガンドと共に30分間、氷上で染色された:GD2には蛍光標識試薬複合化の抗GD2 mAb 3F8;GM1には、蛍光標識試薬複合化のコレラ毒素Bサブユニット(Sigma);GM2には、ウサギ抗GM2 mAb NANA(Matreya)、次に、蛍光標識試薬複合化の抗ウサギ抗体(Sigma);GD3には、抗GD3 mAbマウス(Pharmingen)、続いて、蛍光標識試薬複合の抗マウス抗体(Sigma)。細胞は、蛍光標識細胞分取器緩衝液で二度洗浄され、CellQuestソフトウェアを用いて、流動細胞計測法(Becton-Dickinson)で分析された。
【0054】
酵素結合免疫測定法(ELISA)によるGD2又はGM1の検出:ガングリオシドの12.5ng/well(GD2、高度免疫化学又はGM1)は、ポリ塩化ビニル(PVC)96ウェルプレート(Falcon)上で、乾燥させることによって、固定化され、その後、1時間、リン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共にブロッキングされた。そして、10分間、抗GD2 mAb 3F8又はビオチンCTBが追加された。プレートはリン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共に3回洗浄され、西洋わさびペルオキシターゼ(HRP)複合の抗マウス抗体又はHRP複合アビジンと共に60分間、培養された。リン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共に3回洗浄され、2回PBSで洗浄され、比色基質ABTSが付加され、プレートは、バイオラド550プレートリーダー上、414nmであった。
【0055】
GD2及びp56Lckの免疫共沈降:細胞(一つのサンプルにつき5×106)PBSにおいて洗浄され、1mlの溶解緩衝液(150mM NaCl、10mMナトリウムリン酸pH7.2、2mM EDTA、50mM NaF、1%CHAPS、200mMナトリウムバナジン酸塩、1mM PMSF、100mMロイペプチン、1mMベンズアミド、300nMアプロチニン、500nM大豆トリプシン阻害剤)において再縣濁され、
30分間4℃で培養された。上清は、遠心沈降(4℃で15分間16000g)後、可溶化疫から収集された。免疫沈降は、4℃で一晩、5mgの抗GD2 mAb 3F8又は抗p56Lck mAb 3A5(Santa Cruz Biotechnology)又はコントロールIgG;又は50m lのアビジンアガロース(Sigma)のいづれか、及び、GM1ガングリオシドに特異的な5mgのビオチンCTBと共に、タンパク質Gセファロースを用いて実施された。免疫沈降は、CHAPS洗浄剤の減少性濃度を含む冷溶解緩衝液1mlで5回洗浄され、サンプルは還元型Laemmli緩衝液と共に抽出された。サンプルは、そこで、ウェスタンブロット分析のために用いられ(上記参照)サンプルからのリピドはELISAによってガングリオシド定量化のために単離された(上記参照)。
【0056】
生化学的分析:ウェスタンブロッティング:免疫沈降したサンプルはSDS−PAGEにおいて分割され、メンブランに伝達され、p56Lckイムノブロットは、ウサギの抗p56Lck多クローン抗体を用いて行われた。p56Lck及びZap70のチロシンリン酸化(一つのサンプルにつき、5×106)は、PBSと共に洗浄され、0.2%のBSAを含む5mlの無タンパク質のハイブリドーマ培地において再縣濁され、キナーゼ作用のベースラインを低下させるために、60分間37℃で安静にさせた。次に、10mgの抗GD2 mAb 3F8(13nM濃度)又は非特異的マウスIgGが、5時間20分間、添加された。サンプルは、そこで、冷PBS内で、洗浄され、洗浄剤は溶解緩衝疫内で、5mgの抗56Lck mAb 3A5(Santa Cruz Biotechnology)又は、抗Zap70mAbLR(Santa Cruz Biotechnology)を用いて免疫沈降された。サンプルは、そこで、抗ホスホチロシンmAb 4G10を用いたウェスタンブロッティングによって分析された。インビトロによるp56LcKキナ−ゼ作用:p56Lck免疫沈降は、キナ−ゼ反応緩衝液(10mM MnCl2,20mM Tris−HCl pH7.4、2.5mM ATP、20mCi[g−32P]ATP)において、GAP p62又はSam68特異基質p56Lckと共に20分間37℃で培養された。反応は還元型Laemmli緩衝液の追加及び沸騰によって停止された。p56Lck基質のリン酸化は、SDS−PAGEによって視覚化及び数量化され、ImageQuantソフトウェアでStorm840ホスフォイメージャー上で分析された。
【0057】
外因性のGD2がインビトロのキナ−ゼアッセイによってp56Lckに与える影響:
クロマトグラフ的に精製された p56Lckチロシンキナーゼ
(Upstate Biotechnology)は、氷上で、10分間、キナ−ゼ緩衝液
(100mM Tris−HCl、pH7.2、125mM MgCl2、25mM MnCl2、2mM EGTA,150mM ATP、0.25 mMナトリウムバナジン酸塩、2mM DTT)において、20倍までのガングリオシドのモル過剰、及び、10mCi[g−P]ATPの有り無しで培養された。次に、10mgのSrcキナ−ゼ基質ペプチドp34cdc2(6−20)(Upstate Biotechnology)が、反応が100mMヨードアセドアミドの付加、及び、最終10%TCAのタンパク質の沈殿によって停止された後、混合物に付加され、指定時間内、室温で培養された。TCAによって沈澱化されていないリン酸化ペプチド基質を含む上清は、P81紙(Whatman)に点在され、3回、0.75%のリン酸で、及び、1回アセトンで洗浄された。[32P]−ペプチド含量は、ImageQuantソフトウェアと共にStorm840ホスフォイメージャーを用いて数量化された。
【0058】
ペプチドは、テネイシンR配列及びテネイシン属ホモログの多様性を基礎として、モデル化された。ペプチドは、固相Fmoc化合物を用いた高度化合自動シンセサイザー(Advanced Chemetech automatic synthesizer)と共に合成された。樹脂からの分割及び脱側鎖保護の後、末端システインを含むペプチドは、50mMアンモニウム炭酸水素塩pH8.5において、O2の元、4℃で、酸化によって、環化に従属された。ペプチドは、C−18調整用カラム(Phenomenex)を用いたHPLC(>95%)によって精製され、質量分析によって実証された。
【0059】
競合性ELISAによるペプチドGD2の相互作用の影響評価:ELISAsは、ペプチド(PBSにおいて、50mg/well)が抗GD2mAb 3F8又は抗GM1コレラ毒素Bの1時間前にウェルに付加されることを除いては、上記のように説明された通りである。阻害の選択性は、相互作用に与える影響の欠如にコントロールされている。
【0060】
細胞内カルシウム研究:細胞(一つのサンプルに付き1×106)は、リンゲル溶液(155mM NaCl,4.5mM KCI,2mM CaCl2,1mM MgCl2、10mM D−glucose、5 mM HEPES)で洗浄され、15分間、37℃で、10mM p56Lck阻害剤PP1(BioMol)又は溶媒を含む1mlのリンゲルにおいて、再縣濁された。そこで、5mM Rhod−2AM(Molecular Probes)が細胞に加えられ、30分間、室内温度で、温和な攪拌と共に培養された。細胞は1回リンゲル内で洗浄され1mMリンゲル内で再縣濁され、培養された後、細胞が表示されたガングリオシドリガンド(又はコントロールとしてのカルシウムイオン透過孔)に刺激され、30分間流動血球計数器(Becton-
Dickinson)を用いて細胞内Ca2+が分析された。
【0061】
軟寒天コロニー形成:EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液は、mAb 3F8(50mg/プレート)の有り無しで上層培養液(0.35%の寒天を含むRPMI1640、15%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、10mM Hepes及びペニシリン/ストレプトマイシン)内で、事前形成された下層(0.5%寒天以外は上記と同じ)の表面上で、100mmポリスチレン皿(Falcon)に撒かれ(1500細胞/プレート)、コロニーが眼で見えるようになるまで増殖された。
【0062】
インビボ腫瘍研究:ハンクスの平衡塩におけるEL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液はヌードBalb/cマウス(Charles River)(動物一匹につき1×106細胞)腹腔内に注入された。動物は、細胞増殖によって、7日から10日後、屠殺及び検死された。
インビトロCD45脱リン酸酵素アッセイ:ヒト組換えCD45酵素(BioMol、75ユニット/well)は、ナトリウムハナジン酸塩(陽性コントロール)又は多様なガングリオシド(16.7mM)の存在又は非存在下で20分間、96ウェルマイクロタイタープレートの半分の量において室温で前保温された。CD45に特異的な基質(pp60Src C末端リン酸調節性ペプチド、200mM)が、そこで20分間、30℃で、付加され、その後、反応は停止しBioMol Green試薬で数量化された。プレートはバイオラド550プレートリーダーで620nmを指した。
【0063】
エキスビボCD45アッセイ:EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液は、5mg/mlのmIg(陰性コントロール)、抗GD2抗体3F8、又は抗ハムスターG94−56(Pharmingen)に架橋された抗CD3抗体145−2C11(Pharmingen)の存在下で、5%の致死ウシ血清、2mMのグルタミン、10mMのHepes及び、ペニシリン/ストレプトマイシンに補充された培養液RPMI1640において20分間、37℃で、培養された。細胞は、そこで洗浄され、洗浄剤は溶解した。p56Lckは、次に、抗56Lck抗体被覆ビーズによって免疫沈降され、抗PY505(Cell Signaling Technology)を用いたウェスタンブロッティングによって、ホスホチロシン505は探索された。
【0064】
結果
p56Lckとガングリオシドとの特異的物理的会合性を研究するために、流動細胞計測法によって査定されたように、GD2、GM1、GM2、及びGD3の細胞表面の発現の変化に伴って、細胞のパネルが生成された。表示細胞(表2)は、p56Lckの類似したレベルを発現している(データは示されていない)。
【0065】
【表2】
【0066】
p56Lckと−GD2との特異的かつ安定した会合性
我々は、mAb 3F8との抗GD2免疫沈降を行い、続いて、抗p56Lck抗体を用いたウェスタンブロティングを行った(図2A)。EL4
GD2陽性細胞においては、p56Lckは,mAb 3F8と共沈澱したが、コントロールマウスIgGとはしなかった。GD2陰性であるコントロールR1.1細胞においてはp56Lckが高いレベルにおいて発現しているにもかかわらず、どの抗体もp56Lckと共沈澱しなかった。
【0067】
抗GD2免疫沈降におけるp56Lckの存在及びキナ-ゼ活性は、実証かつ数量化された(図2B及び2C)。表示免疫沈降は、EL4 GD2陽性又はEL4 GD2陰性上で行われ、p56Lckに特異的な基質Sam68を用いてインビトロで行われた。EL4 GD2陽性において、p56Lck活性の約15%が、抗GD2 mAb 3F8によって共沈澱(図2B、1列目)し、抗Lck mAb 3A5と比較された(図2B、2列目)。実際、p56Lck活性の抗GD2共沈澱は、Zap70に対する抗体による共沈澱と比較可能であった(図2B3列目)。これは、報告によれば、Zap70及びp56Lckが物理的かつ機能的にインビボで会合しているという事実と合致していた。
【0068】
これらのアッセイの特異性は、EL4 GD2陰性細胞を用いて、研究において実証され、抗GD2 mAb 3F8はp56Lck活性と共沈澱しない(図2B、4列目)一方で、抗Lck及び、抗Zap70抗体は共沈澱した(図2B5、6列目)。抗Zap70抗体とのp56Lck免疫共沈澱がEL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞株と比較可能であったため(図2B、3及び6列目)、データはZap70とp56Lckとの会合性は、GD2非依存性であることを提案している。
【0069】
類似の研究が、EL4 GD2陽性又はR1.1(GD2陰性)細胞を用いて、インビトロでp56Lck活性が選択的基質におけるキナ-ゼ活性を含有することを示しながら行われた。再度、抗GD2は、抗Lck mAb 3A5と精製された15%以下の活性と一致するP56Lck活性を共精製した。対照的に、コレラ毒素Bサブユニット結合型ビーズによるGM1のアフィニティー単離は、R1.1細胞が高レベルのGM1及びp56Lckのを有する(表2C、4列目)にもかかわらず、p56Lck活性を共精製しなかった(表2C、3列目)。
【0070】
p56Lckが初めてmAb 3A5と免疫沈降した逆実験が行われ、GD2又はGM1の存在がELISAによって計られた(図2D)。EL4GD2陽性細胞からの抗p56Lck免疫沈降は抗GD2 mAb 3F8によって単離するこの出来る55%以下のGD2を含んでいた。特異コントロールにおいて、R1.1細胞からの抗p56Lck免疫沈降は、ガングリオシドGM1を共沈澱しなかった。
【0071】
GD2リガンド非存在下のp56LckとGD2との会合性の機能的連関
次の実験(図3)はGD2とp56Lckとの安定かつ選択的結合に機能的関連性があるかどうかインビトロで取り組まれた。精製p56Lckへの外因性GD2の付加は、20分時点で、キナ-ゼ作用において急激な70%増加を伴って、25分以下の半減期から17分以下の半減期(from t1/2 of 〜25 minutes to a t1/2 of 〜17 minutes)における酵素活性の動態をインビトロで増加させた。しかしながら、Vmaxは、存在するGD2の有る無しに、酵素活性が類似のプラトー(plateau)に到達するにつれて変化はなかった。コントロールアッセイにおいて、p56Lckキナ-ゼ活性は外因性GM1の付加(図3)又は、ホスファチジルコリン又は他のリピドの付加(データに表示されていない)によって変更はなかった。
【0072】
人工GD2リガンドの発生
小ペプチド(長さ6−13のアミノ酸)は、GS2リガンド、テネイシンRの第一配列に及ぶために構成された。環化及び他の高次構造上の抑圧は、それらを構造上に抑圧するために、これらのペプチド内に導入された。
【0073】
これらのペプチド(100以下は合成された)は、GD2−mAb3F8プレート(表3)における相互作用の阻害のために試験された。付加された競合ペプチド又はコントロールとは無関係のペプチドは、100%結合として標準化された。簡素化のために、90以下の少量の不活性ペプチドが示されている。
【0074】
多種の態様において、GD2−mAB 3F8相互作用を活発に阻害するペプチド類似体は、NH2−IIe−Thr(Ala)−Asn−Tyr−Asn−COOH配列に及んでいる。いくつかの態様では、本発明のペプチドは、Gly残基(下線)が配列に組み込まれているかどうかによって、Cα1からCα4原子までの距離が4から7Aの間で変動しながらIV型(3:5又は3:3)正準β-turn構造に属するのであろう。
又、溶解に構成されていない(データに示されていない)11アミノ酸の線状ペプチド(pep51)は競合性阻害剤として作用する事も出来る。
【0075】
【表3】
【0076】
ペプチドによって固定化されたGD2に結合するmAb3F8の阻害は競合性 ELISAによって測定される。いかなるペプチド又はコントロールペプチドの治療は、0%阻害として標準化されていない。いかなるmAb 3F8治療も100%阻害として標準化されていない。5つの独立した実験の平均は各実験においてn=4である。平均値±平均値の標準誤差。
【0077】
p56Lck活性におけるGD2リガンドの機能的連関性
この実施例は、以下のことを示している(i)細胞表面GD2とリガンドとの結合がp56LckのpTyrを引き起こすかどうか(図4A);(ii)細胞表面GD2とリガンドとの結合が下流エフェクターZap70に通じるかどうか(図4B)(iii)細胞表面GD2の結合が細胞内カルシウム溶剤を誘発するかどうか(図4C)。
第一に、EL4 GD2陽性生細胞におけるGD2細胞表面と人工GD2リガンドmAb 3F8との結合は、5分以内に、インビボで(図4A 3・4列目)p56LckのpTyr引き起こした。コントロールマウスIgGは、この影響を引き起こさなかった(図4A 1・2列目)。
【0078】
第二に、p56LckのpTyrは、どのTyr残基がリン酸化されるかどうかで、このキナ―ゼの活性化又は不活性化に導くことが出来るので、活性p56Lckのダウンストリームのアダプター分子かつ、活性p56Lckによってリン酸化されているので、pTyrの特性Zap70は、インビボで研究された。Zap70は、リガンド(図4B、3・4列目)として、細胞表面GD2とmAb 3F8と結合する際、一時的にpTyrである。このZap70 pTyrは、おそらくp56Lckを経由して発生する。コントロールマウスIgGは、EL4 GD2陽性細胞において、Zap70 pTyrを引きおこさなかった(図4B、1・2列目)。他の特異コントロールにおいては、GD2リガンドとのEL4GD2陰性細胞の治療は、細胞表面GD2発現は、いくつかの態様においては、GD2のリガンド結合及び続くダウンストリームの効果に必要とされることを示しながら、p56LckのpTyr又はZap70を引き起こさなかった(データには示されていない)。
【0079】
第三に、細胞内Ca++濃度は、細胞表面GD2がリガンドと結合した後にEL4 GD2陽性生細胞において測定された(図4C)。Rhod−2フルオロフォア感受性のカルシウムを用いた流動細胞数測定分析は、mAb 3F8結合後、迅速な(5分以下)細胞内カルシウムの1.6倍増殖を示したが、コントロールマウス抗体又はCTB(データは示されていない)による結合後には示さなかった。選択的p56Lckキナ-ゼ阻害剤PP1(10mM)は、カルシウム溶剤のmAb 3F8―阻害を著しく減少させた。このコントロールは、活性p56Lckは、いくつかの態様において細胞内カルシウム溶剤を導くシグナル伝達経路の側面の原因である。
【0080】
CD45活性におけるGD2の存在の機能的連関性
CD45ホスフォターゼは、p56Lckの作用の原因であるため、CD45活性に及ぼすGD2の影響が分析された。第一に、GD2の影響が、ヒト組換えCD45酵素、及び、pp60Srcペプチドを基質として用いることでインビトロで試験された。表5に示されているようにGD2は、CD45ホスファターゼ作用(85%阻害)を徹底的に阻害し、他方、他のガングリオシド(GM1、GM2、GD3、及びGM3)は、CD45の酵素活性に少しの影響しか与えなかった。GD2以外は、GD1aのみが、重要な阻害(50%)を示した。
【0081】
CD45に対するGD2の阻害効果は,図6に示されているように生細胞内でも見られる。ここでは、EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、十分実証されている細胞受容体クロスリンク方法論を用いて刺激されたが、その方法論はCD45によるチロシンにおける脱リン酸に続いてp56Lckの活性化に典型的に帰結する。興味深いことに、EL4GD2陽性細胞は活性化に耐性であり(図6、3列目)、EL4 GD2陰性細胞(図7、6列目)は、T細胞受容体クロスリンクに直ちに活性化される。この矛盾はp56LckのCD45媒介活性化を遮断することが出来るEL4 GD2陽性細胞におけるGD2の存在に起因する。興味深いことの中には、mAb 3F8などのGD2リガンドは、CD45のGD2抑制を緩和することが出来、p56Lckに対するチロシン505の脱リン酸によって見られるように(図6、2列目)、T細胞受容体を活性化させるという事実である。
【0082】
腫瘍遺伝的増殖におけるGD2及びGD2リガンドの機能的関連性
癌細胞の増殖及び生存におけるGD2の細胞表面発現の効果を示すために、EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、クローン原生の軟寒天アッセイにおいて増殖(図7)、又は、腹腔内に、インビボで注入された(図8)。
軟寒天におけるコロニー形成アッセイは、EL4 GD2陽性及びEL4GD2陰性細胞の増殖動態において著しい相違を示した。増殖の10日目、各プレートにおけるEL4 GD2陽性コロニーの総数は、EL4 GD2陰性細胞と比較して、50%低下した(図7a)。更に、EL4 GD2陰性コロニーは、より大きく、より多くの細胞を含んだ(図7b)。これは、両細胞株が液体培養において同一の二倍を有していた点で際立っている。
【0083】
寒天層におけるmAb 3F8の付加(GD2媒介シグナルを推定的に、拡散、結合、及び、活性化する)は、EL4 GD2陰性コロニーの数及び大きさの結果を一つも有しないまま、EL4 GD2陽性コロニー形成を破壊した。これは、本発明のGD2リガンドが例えば、このような細胞の増殖を阻害したり、細胞を殺したりするGD2を発現する癌細胞を治療するために、増殖の調節を目的としたGD2陽性細胞を治療するために用いられていることを示している。いくつかの態様において、GD2が結合する際(データに示されていない)、EL4 GD2陽性細胞はアポトーシスによって消滅し、本発明のGD2リガンドがGD2の存在がいくつかの態様においてはアポトーシスを誘発するために、用いられることを示している。
【0084】
証拠の相違は、細胞がインビボで増殖する際にも観察される。腹腔内に注入される際、EL4 GD2陰性細胞は、主に攻撃的かつ転移性の腹水腫瘍を形成し、腹腔は、ムチンのようなペプチドグリカンを含んでいる。対照的に、EL4 GD2陽性細胞は、局在型で高度に血管新生化された腹膜メンブランに付属的な高度固形腫瘍を形成している(図8)。
【0085】
結論
本発明の様々な態様が、ここに開示されているにもかかわらず、多くの適応や修正は、技術の熟練者達の共通した一般知識と一致しながら本発明の範囲内でなされるであろう。同様の修正は、実質的に同一の方法において同一の結果を得るために、発明のどの側面にも知られている等価物の置換を含む。数の範囲は、範囲を定義する数を包括している。明細書では、「comprising」という言葉は、幅拾い解釈の出来る言い回しとして用いられ、「including, but not limited to」というフレーズに実質的に等しく、「comprises」という言葉と一致した意味を持つ。ここでの引用文献は、本発明の先行技術であるような了承事項として解釈されるべきではない。本明細書に引用されている特許及び特許出願を含むが、これらに限ったものではない全ての刊行物は、各刊行物が、本明細書に具体的かつ個々に示されているかのように、且つ、ここに完全に前述しているかのように、参考のために示されている。発明は、以上の実施例及び図面への言及に説明されているように、全ての態様及び変形例を実質的に含んでいる。
【0086】
References
以下の文書は、参考のために示されている:
Cheung, N. K., Saarinen, U. M., Neely, J. E., Landmeier, B.,
Donovan, D., and Coccia, P. F. (1985). Monoclonal antibodies to a glycolipid antigen on human neuroblastoma cells, Cancer Research
45, 2642-9.
Eisenberg, D., Schwarz, E., Komaromy, M., Wall, R. (1984).
Analysis of membraneand surface protein sequences with the
hydrophobic moment plot, Journal of Molecular Biology 179, 125-42.
Gagnon, M., and Saragovi, H. U. (2002). Gangliosides: therapeutic agents or therapeutic targets, Expert Opinion on Therapeutic
Patents 12, 1215-1224.
Probstmeier, R., Michels, M., Franz, T., Chan, B. M., and Pesheva,
P. (1999). Tenascin-R interferes with integrin-dependent
oligodendrocyte precursor cell adhesion by a ganglioside-mediated signalling mechanism, European Journal of Neuroscience 11, 2474-
88.
Saragovi, H. U., Greene, M. I., Chrusciel, R. A., and Kahn, M. (1992). Loops and secondary structure mimetics: development and
applications in basic science and rational drug design, Bio/
Technology 10, 773-8.
Sorkin, L. S. (2000). Antibody activation and immune reactions:
potential linkage to pain and neuropathy, Pain Medicine 1, 296-
302.
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチド癌化学療法薬などの治療組成物及び方法を含む。
【背景技術】
【0002】
ガングリオシドは、一つ以上のシアル酸残基を含む細胞表面スフィンゴ糖脂質である。ガングリオシドは、「ラフト」と称する洗浄剤耐性細胞膜ミクロドメイン内で局在化させられ、遠位、又は、濃度が小さすぎたりして、複合体を形成したりシグナルカスケードを活性化することができないであろう接着分子、変更因子、基質、又は、補助因子を包括することによって、タンパク質が機能する環境を提供する。しかしながら、シグナル伝達におけるガングリオシドの作用機序に関しては、提案が十分に為されていない。
【0003】
ガングリオシドGD2は、報告によれば、一定の神経個体群において低次で発現しているが、多種の腫瘍(神経芽腫、黒色腫、肺の小さな癌細胞、神経膠腫、軟部組織肉腫、及び、B細胞リンパ腫)において大いに蔓延している。
【0004】
細胞外マトリックス成分テネイシンR(Tenascin-R)は、GD2のための天然リガンドとして、最近説明された(Probstmeier et al., 1999)。しかしながら、GD2の生物学的機能やテネイシンRなどのリガンドとの相互作用の機能的性質については相対的に知られていない。
【0005】
GD2は、広範に腫瘍マーカーとして研究され、抗体性治療のための標的(例 抗GD2 mAb 3F8)(Cheung et al., 1985)として、臨床的に使用されている。しかしながら、治療上、患者に適用された抗GD2 mAb 3F8は、投与の直後に、急性かつ一過性の痛みを引き起こしている。抗GD2 mAb 3F8を基礎とした治療学は、神経芽腫や軟髄膜癌を含む広範囲の癌の治療学及び診断において、使用のために提案された。例えば、131I標識された抗GD2 3F8モノクローナル抗体は、400mg/m2 非標識/無修飾3F8モノクローナル抗体と共に、標的放射免疫療法(20 mCi/kgで投与)において、使用された。同様に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、神経芽腫の患者の治療において抗GD2モノクローナル抗体と共に用いられた。
【非特許文献1】Probstmeier, R., Michels, M., Franz, T., Chan, B. M., and Pesheva, P. (1999). Tenascin-R interferes with integrin-dependent oligodendrocyte precursor cell adhesion by a ganglioside-mediated signalling mechanism, European Journal ofNeuroscience 11, 2474-88.
【非特許文献2】Cheung, N. K., Saarinen, U. M., Neely, J. E., Landmeier, B., Donovan, D., and Coccia, P. F. (1985). Monoclonalantibodies to a glycolipid antigen on human neuroblastoma cells, Cancer Research 45, 2642-9.
【発明の開示】
【0006】
ある面では、発明は式IのGD2リガンドを提供している:
Z1−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Z2 (I)
[式中、
X1 は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2 は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3 はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4 はG、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X5 はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6 はT、若しくはA、又はそれらの類似体である。
X7 はN、又はその類似体である。
X8 はY、又はその類似体である。
X9 はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である。
Z1がH2N−、RHN−、又はRRN−の式のN末端基である。
Z2が−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)NRRの式のC末端基である。
それぞれの場合におけるRが、独立して(C1−C6)アルキル、(C1
−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキ
ル、置換(C1−C6)アルケニル、置換(C1−C6)アルキニルから選
択され;また、“−”は,共有結合を示す。]
別の態様では、発明は、標識IIの領域を持つ実質的に純合成リガンド又は組換えGD2リガンドを提供する。
【0007】
−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−
X12−X13−(II)
[式中、
X1は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4はG、C、若しくはY、又はその類似体である。
X5はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6はT、若しくはA、又はそれらの類似体である。
X7はN、又はその類似体である。
X8はY、又はその類似体である。
X9はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である;
また、“−”は共有結合を示す。]
【0008】
一つの態様では、本発明は、ドメインが組換えタンパク質の結合をGD2に媒介することが出来る事を特徴とする組換えタンパク質を提供する。例えば、本発明のドメインを有する組換えT細胞受容体は、細胞障害性T細胞といった形質転換T細胞株において、提供されるであろう(「細胞障害性Tリンパ球」又は、「CTL」は、TCRを介して、MHCクラスI分子によって、提示されたエピトープを認識する免疫組織細胞である)。本発明の形質転換T細胞株は、例えば、GD2の発現を特徴とする病理学組織を有する癌などの病気の治療に使用されている。(ここの引用文献に組み込まれている2002年2月14日、Sadelain, M. et. al.の名の元に出版された米国特許出願20020018783A1に説明されているアプローチに類似している)。
【0009】
本発明のGD2リガンドは、リガンドがX1からX13までのいずれかの二つの間に更に環式結合を有することから成る。別の態様では、発明のGD2リガンド又は、発明のドメインは、GGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択される。いくつかの態様では、mAb 3F8及びテネイシンRなどの既知のGD2リガンドは、本発明におけるクレームされたリガンドから、特異的に除外される。しかしながら、いくつかの態様では、小分子誘導体及び既知のリガンドの類似体(相補性決定領域mAbsのペプチド又はペプチド模倣薬)は、除外されない。
【0010】
また、本発明のGD2リガンドを有効量投与することを含む、疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患に罹患した患者を治療する方法を本発明は提供している。また、被験者から採取した細胞が本発明のGD2リガンドに結合するかどうかを決定することを含む、疾患細胞がGD2を発現させることを特徴とする疾患の診断方法が提供される。本発明の診断及び治療方法は、インビトロ又はインビボで実施されるであろう。
【0011】
別の態様では、本発明のGD2リガンドは、有効な量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子といった他の治療化合物と共に用いられるだろう。本発明は、GD2活性の調節又はGD2発現細胞の検出のためのGD2リガンド使用説明書とを含む商業用パッケージを提供する。
【0012】
表1は、多くの別のGD2リガンドの配列、又は、本発明のGD2結合性ドメインを並べている。構造活性相関(SAR)及び遺伝子欠失分析は、いくつかの置換は許容されておりペプチド閉環は活性を促進させることを示している。(*で示されているペプチドは、不活性)
【0013】
【表1】
【0014】
発明は、例えば、同様の治療を要する患者にGD2リガンドを投与することによって、GD2リガンドと、GD2リガンド使用説明書とを含む商業用パッケージを更に提供している。
【0015】
別の態様では本発明はGD2リガンドを同定するスクリーニング方法を提供している。例えば、このようなスクリーニング方法は、以下を含む:
a)会合性(GD2及びp56Lckを発現する細胞など)に利用可能なGD2成分及びp56Lck成分を有するシステムに、推定上のGD2リガンド(テネイシンR由来のポリペプチドなど)を投与する;
b)例えば、p56Lck部分のリン酸化酵素活性を決定することによってシステムにおけるGD2成分とp56Lck成分との会合を測定する。更に別の態様においては、本発明は以下を含む:
c)例えばCD45部分のリン酸化酵素活性を決定することによってシステムにおけるGD2部分とCD45部分(moieties)との会合を測定する。
【0016】
更に別の態様では、前記の方法は、更に以下を含む:
b)GD2成分及び、CD45などのリン酸化酵素を有するシステムに
推定上のGD2リガンドを投与する;及び
c)GD2とリン酸化酵素との会合性や機能的関係を測定する。
d)試験化合物(例 コンビナトリアルライブラリー)が、ここに説明されているGD2リガンドのいずれかを置換するために用いられている競合性のスクリーニング分析
e)ここに説明されているGD2リガンドのいずれかが、試験化合物を置換するために用いられている競合性のスクリーニング分析
いくつかの態様では、推定上のGD2リガンドは、例えば、ポリペプチ
ド、又は、同じ活性基、若しくは、類似の側鎖官能基を有するペプチド模
倣体などの非ペプチド性類似体を構成するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、GD2結合性領域として発明の一態様と調和して同定されるボックス内において、はっきりと、確認される領域と共に、ジェンバンクアクセッションXP−040550からのホモサピエンステネイシンRの全長のタンパク質の配列を示す図である。発明の一側面は、GD2結合性領域が例えば、GD2とテネイシンRタンパク質との間の相互作用の強度を調節するために変更されている別のテネイシンRタンパク質を提供している。
【図2】図2はGD2とp56Lckとの免疫共沈降に関するデータを示している。 (a)R1.1及びEL4 GD2陽性細胞可溶化液は、抗GD2 mAb 3F8又はコントロールマウスIgG(mIg)との免疫共沈降に従属している。免疫共沈降におけるp56Lckタンパク質の存在は、ウェスタンブロット法によって認められた。p56Lck は、EL4 GD2陽性細胞にはある(7列目)が、R1.1細胞にはない(5列目)mAb 3F8によって免疫共沈降する。全細胞可溶化液は、p56Lck検出(1及び2列目)のためのコントロールとして用いられた。 (b)及び(c)R1.1 EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性細胞可溶化液は抗GD2 mAb 3F8 GM1結合性コレラ毒素、抗p56Lck mAb 3A5及び抗Zap−70 mAb LRとの免疫共沈降を必要とした。免疫共沈降におけるリン酸化酵素活性p56Lckの存在は、p56特異的基質Sam68及びGap p62と共にリン酸化酵素分析のインビトロによって、確認された。図2(b)のデータは、p56Lckリン酸化酵素活性は、EL4 GD2陽性 細胞にはある(1列目)が、EL4 GD2陰性 細胞にはない(4列目)mAb 3F8によって、免疫共沈降されることが出来ることを示している。図2(c)のデータは、p56Lckリン酸化酵素活性は、EL4 GD2陽性細胞における(1列目)mAb 3F8によってだけでなく、R1.1細胞におけるコレラ毒素B(4列目)によっても、免疫共沈降されることが出来る。 (d)R1.1及びEL4GD2陽性細胞可溶化液は、抗GD2 mAb 3F8、GM1結合性コレラ毒素B、及び、抗p56Lck mAb 3A5との免疫共沈降を必要とした。免疫共沈降におけるガングリオシドGD2及びGM1の存在は、ELISAによって、認められた。抗p56LckmAb3A5は、EL4GD2陽性細胞から、GD2を免疫共沈降することが出来るが、R1.1からGM1を免疫共沈降することが出来ない。示されているのは代表的な実験、1実験に付き、n=4の平均±SEMである。
【図3】図3は、ガングリオシドの精製されたp56Lckのインビトロ、リン酸化酵素活性に対する影響を示す。p56Lckのリン酸化酵素活性は、GD2又はGM1の有り無しで、ペプチドp56Lck基質における32PO4の組入れを測定することによって、認められた。GM1ではなくGD2の存在は、p56Lckリン酸化酵素活性を積極的に変化させることができる。活性は、20分の時点で、未治療のp56Lckに評準化されている。示されているのは、平均3から5のアッセイ±SEMである。
【図4】図4は、以下を示す。 (a)GD2リガンドが、p56Lckホスホチロシンに及ぼす影響。EL4GD2陽性休止細胞は、表示時間のためにmAb 3F8(13nM)又はコントロールマウスIgG(mIg)と共に治療された。溶解後、p56Lckタンパク質は、抗p56Lck mAb 3A5と共に免疫共沈降させられ、ビチオン標識されたウェスタンブロット法によって ホスホチロシン(PY)が検査された。抗56Lckは、5分以内にp56のチロシンのリン酸化を誘発し(3列目)、少なくとも30分間は維持する(4列目)。 (b)GD2リガンドがZap−70リン酸化に与える影響。EL4GD2陽性休止細胞は表示時間のためのmAb 3F8(13 nM)又は、コントロールマウスIgG(mIg)と共に治療された。溶解後、Zap−70タンパク質は、抗Zap−70 mAb LRと共に免疫共沈降させられ、ホスホチロシン(PY)のために、抗ホスホチロシンmAb4G10を用いたウェスタンブロット法によって検査された。抗GD2 mAb 3F8は、5分以内にZap−70のチロシンホスホチロシンを誘発することが出来る。(3列目)c)GD2リガンドが細胞内カルシウム濃度に与える影響。休止EL4 GD2陽性細胞は、mAb 3F8(13nM)、コントロールマウスIgG(mIg)、又は、カルシウムイオン透過孔A23187と共に治療された。細胞内カルシウム濃度はカルシウム感受性のフルオロフォアRhod−2 AMを用いるフローサイトメトリーによって評価された。mAb3F8は、5分以内に、強度の持続可能なカルシウムの変化を誘発することが出来るが、コントロールマウスIgGは何も影響がない。p56Lck阻害剤PP1の付加は、mAb 3F8の影響を部分的に無効にした。示されているのは、4つの独立した分析の平均±SEMである。
【図5】図5は、特に、pp60ScrC末端リン酸化調節性の配列を気質として用いたときに、GD2がインビトロでCD45脱リン酸酵素活性に与える阻害的影響を示す。20分間、共培養したときに、GD2(他のガングリオシドではない)は、遊離したリン酸塩の比色の数量化によって測定されているように、CD45脱リン酸酵素活性を徹底的に、阻害することが出来る。
【図6】図6は、p56Lck上に、チロシン505の脱リン酸化によって測定されているエキスビボCD45脱リン酸酵素活性に対するGD2の阻害効果を示す。EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は20分間37℃でコントロールmIg、抗GD2抗体3F8、又は抗CD3抗体145−2C11が、抗ハムスター抗体G94−56と架橋することで、治療された。溶解後、p56Lck は、p56Lck3A5被覆ビーズで免疫共沈降させられ、抗PY−505抗体でウェスタンブロット法によって、位置505にて、ホスホチロシンが精査された。抗CD3と治療したEL4 GD2陽性細胞はチロシン505(3列目)において、p56Lckの脱リン酸を誘発するのに失敗し、一方、EL4 GD2陰性細胞は、同様の治療と共に著しい脱リン酸を示し、GD2の存在がチロシン505脱リン酸の原因であるCD45脱リン酸酵素を阻害していることを提示している。抗GD2抗体3F8などのGD2リガンドは、GD2媒介阻害剤のCD45を軽減することが出来る(2列目)。
【図7】図7は、軟寒天クローン原生の分析からのデータを示す。EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、抗GD2抗体存在下又は非存在下で、軟寒天において(1サンプルにつき、2プレート)培養された。 (a)可視コロニーの総数。EL4GD2陽性細胞は、EL4 GD2陰性細胞に比べて還元型コロニー形成を示している。抗GD2抗体3F8は、EL4 GD2陽性細胞の増殖を無効にするが、EL4 GD2陰性細胞には影響しない。 (b)典型的なEL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性コロニー。EL4 GD2陰性コロニーは、EL4 GD2陽性コロニーよりも多くのコロニーを含む。Bar=100ミクロメーター。
【図8】図8は、腫瘍化した分析からのデータを示す。EL4GD2陽性及びEL4GD2陰性細胞はa)ヌードBalb/c、及び、b)同系のC57BL/gマウス。EL4 GD2陰性が注入された動物(左)は重要な腹水の腫瘍を示している一方で、EL4GD2陽性が注入された動物(右)は、局在型の固形腫瘍(丸い部分)を示す。Bar=1mm。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一つの態様では、本発明は、GD2の人工リガンドの選択肢を提供している。いくつかの態様では、このようなリガンドは、特に腫瘍原生増殖又は侵害受容性レセプターにつながる経路において、正常に発現している血管内でガングリオシドGD2シグナル伝達を選択的に調節するのに用いられる。発明の一態様においては、GD2結合のために決定的なテネイシンRにおける主要且つ立体構造の同一性を含んでいる。別の態様では、発明は、抗GD2 mAb 3F8の領域を決定する相補性が、テネイシンRの類似体であることを示している。テネイシンRの小ペプチド擬態(mimics)及び抗GD2 mAb 3F8の擬態は、従って、GD2のリガンドの選択肢としてデザインされ合成された。別のリガンドは、発明のリガンドを基礎とし、タンパク質擬態及び抗体擬態技術(Saragovi et al., 1992)によって、提供されるだろう。
【0019】
発明の別の態様においては、GD2(GM1ではない)は洗浄性溶解に対して安定性のある複合体においてインビボでp56Lckと共に物理的に結合することが示されている。GD2は、インビトロでp56Lck酵素活性を増強したり、インビボでp56Lckのリン酸化及びp56Lck基質Zap70を強化したりすることによって、シグナル形質導入を調節することが示されている。従って、発明のGD2リガンドは、生細胞における細胞内カルシウムの中で、p56Lck依存性溶剤を引き起こす為に用いられ、それによって、多種の生理学的又は病理学的細胞機能を調節する。
【0020】
発明の一方の態様では(他のガングリオシドではない)、インビトロ及びエキソビボで、表現型活性を阻害可能であることが示されている。従って、発明のGD2リガンドは生細胞におけるCD45に対するGD2の阻害活性を拮抗する為に用いられ、それによって、多種の生理学的、免疫学的、又は病理学的細胞機能を調節する。
【0021】
発明の一態様では、GD2の発現は、インビトロ及びインビボにおいて腫瘍原性を変質させるために示されている。実施例に示されてるようにGD2陽性細胞より表現型的に識別可能なGD2陰性であるEL4クローンは、等しい倍加時間を有するが、軟寒天コロニー増殖は、GD2陰性細胞において、有意により効率的である。更に、この分析におけるGD2リガンドの付加はGD2陽性細胞のアポトーシスの死を引き起こす。GD2陰性細胞は、又、インビボで、より腫瘍化する。同系のマウスの腹腔内又は皮下に注入されるGD2陽性細胞は、小さな転移を伴って、第一部位において、固形腫瘍を形成する。対照的に、GD2陰性細胞は、腹膜の膜を温侵し、粘ちょう性のムチンのような腫瘍、小固形腫瘍結節を形成し、転移性は高い。従って、発明のある態様においては、細胞は癌化するので、それらはGD2陽性であり、癌化したGD2陽性細胞は、例えば、アポト−シス経路によって、細胞死を媒介する為に、発明のGD2リガンド細胞に処置されるであろう。例えば、GD2陰性癌細胞は、標的遺伝子治療技術によって、形質変換するので、細胞はGD2陽性となり、変質したGD2陽性癌細胞は、発明のGD2リガンドで治療される。
【0022】
一方では、発明のGD2リガンドは、癌などの病気の治療、及び、疼痛などの症状の対処におけるインビトロ及びインビボという生物学的に適切な方法において、シグナル形質導入に影響を与えたり、調節したりする為に用いられる。
【0023】
一態様においては、発明は、精製・単離された、又は、実質的に純粋なGD2リガンドなどの化合物を提供している。化合物は、元来付随している成分から単離された時に、「実質的に純粋」である。典型的に、化合物は、少なくとも60%、通常、標本の全重量の75%から90%であるときに、実質的に純粋である。従って、例えば、組換えの技術によって化学的に合成されたり生産されたりするポリペプチドは、通常、自然に付随している成分を実質的に含まない。核酸分子は、発明のDNAが由来する生物体の自然発生的ゲノムにおいて通常近接しているコード配列に接触していない(すなわち、共有結合的に連鎖している)ときに実質的に純粋である。実質的に純粋な化合物は、例えば、資源からの抽出;ポリペプチド化合物をコード化する組換えの核酸分子の発現;又は化合成分によって得られる。純度はカラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの適切な方法を用いて測定することが出来る。
【0024】
「アルキル」という表現は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及び、シクロアルキル置換アルキル基を含んだ飽和脂肪基のラジカルに言及している。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、Tブチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシルなどを含むが、これらに限ったものではない。アルキル基は、(C1−C6)アルキル又は、(C1−C3)アルキルを指す。「置換アルキル」は、水素を炭化水素バックボーンの一つ以上の炭素に置き換える置換基を有する。このような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、(カルボキシル、ケトン、(アルキルカルボニル及びアリールカルボニル基を含む)及びエステル(アルキルカルボニル及びアルキロキシルカルボニル基を含む))、チオカルボニル、アシル、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジン、イミノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、流酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ヘテロシクリル、アラルキル、又は、芳香族若しくは複素芳香族成分を含むことが出来る。炭化水素鎖に置換された成分は、適切であれば、それ自体置換されることが出来る。例えば、置換アルキルの置換基は、エーチル、アルキルチオ、カルボニル、(ケトン、アルデヒド、カルボキシル、及びエステルを含む)−CF3、−CNなどのみならず、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)スルホニル(流酸塩、スルホンアミド、スルファモイル、及び、スルホン酸塩を含む)及び、シリル基の置換及び非置換型も含むことが出来る。典型的な置換アルキルは、以下に示されている。シクロアルキルは、更に、アルキル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF3、−CNなどに置換されることが出来る。
【0025】
「アルケノル」及び「アルキニル」という表現は、上記に説明されたアルキルに置換可能な長さが類似した不飽和の脂肪性の基に言及しているが、それは、少なくとも、それぞれ二重又は三重の結合を含んでいる。「アルケノル」は、少なくとも一炭素-炭素二重結合と共にラジカルである、不飽和な分枝直鎖、又は、環状炭化水素である。ラジカルは、二重結合のシス又はトランス構造のいずれかに存在し得る。典型的なアルキノル基は、エチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブテニル、イソブテニル、tert―ブタノール、ペンチニル、ヘキシニルなどを含むが、これらに限ったものではない。「アルキノル」は、少なくとも一炭素―炭素三重結合と共にラジカルな不飽和な分枝直鎖、又は、環状炭化水素のことである。典型的なアルキノル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブテニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含むが、これらに限ったものではない。
【0026】
「実質的に同一」の配列は、ここに説明されている一つ以上の保存的置換、又は、試験化合物の生物学的機能を破壊しない配列位置に在る非保存的な置換、削除、又は、挿入を一つ以上含む基準配列とは異なるアミノ酸やヌクレオチド配列のことである。このような配列は、少なくとも、60%又は75%、通常は少なくとも80%、85%、90%、又は95%、若しくは、比較に用いられる配列とアミノ酸やヌクレオチドが99%同レベルとなる。配列同一は、公的に利用可能な配列分析ソフトウェア(すなわち、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710
University Avenue, Madison, Wis. 53705、又は、the National Library of Medicineより入手可能なBLAST software)によって、容易に測定することが出来る。有用なソフトウェアの実施例は、プログラム、パイルアップ(Pile-up)、及び、プリティボックス(Pretty Box)を含む。そのようなソフトウェアは、相同性の程度を多種の置換、削除、置換、及び、他の修飾に指定することで類似の配列に合致している。
【0027】
一態様では、GD2リガンドは、(i)側鎖、(ii)バックボーン、又は(iii)ペプチド内のイオン性相互作用のいづれかの/又は 置換によって生産される。又、構造的又は機能的アナログは、1)ペプチド擬態
(peptidomimicry)によって発生するペプヂドGD2リガンドのホモログ及び2)GD2リガンドの配列/構造が、GD2結合を更に大きなタンパク質に運搬するために導入されているアナログを含むことが出来る。
【0028】
発明の一態様において、発明のペプチド化合物をコード化する核酸を提供している。そのような核酸は、発現を目的として、安定した又は一過性の発現のための標準的な組換え技術を用いて、細胞に導入されるであろう。発明の核酸分子は、自然発生又は非自然発生的ヌクレオチド、若しくはヌクレオチドアナログを含む二つ以上のヌクレオシド鎖を含有する。
【0029】
発明の多様な遺伝子及び核酸配列は、組換え配列であろう。「組換え」という表現は、何かが再結合したことを意味するので、核酸合成に関するときには、その言葉は、分子量生物学的技術の方法によって結合したり生産したりする核酸配列から成る分子に言及している。「組換え」という言葉が、遺伝子組成に関するときには、親のゲノムには発生しなかった対立遺伝子の新たな組合せを伴う配偶子、子孫、細胞、又は、ゲノムに言及している。組換え核酸合成は、結合している、又は、結合するために操作されているヌクレオチド配列、自然に結合していない、又は、自然に異なる場所で結合されている核酸配列を含んでいる。従って、核酸組成物に「組換え」として言及する際、核酸分子量は、遺伝子工学、すなわち、人間の介入によって操作されていることを意味する。組換え核酸合成は例えば、形質転換によって宿主細胞に導入されるであろう。そのような核酸合成は、単離し宿主細胞に再導入された同類の宿主細胞類、又は、異なる宿主細胞類に由来する配列を含むであろう。組換え核酸合成配列は、宿主細胞の本来の形質変換の結果、又は、後の再結合、及び/又は、修復事象の結果として、宿主細胞ゲノムに、統合される。
【0030】
発明の別の態様は、発明の化合物の抗体及び、そのような抗体を代わりに認識する抗イディオタイプ抗体を提供する。発明の化合物は、例えば、Harlow and Lane(Antibodies; A Laboratory Manual, Cold Spring
Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988)又は、技術の熟練者達に知られている標準の製法技術を用いるGD2リガンドに対する抗体を調製するのに使用されることが出来る。抗体は、例えば、ある種族からの抗原結合ドメイン及び、別の種族からのFc部分を含むキメラ、又は、適切な種族の雑種細胞腫から作られる抗体を用いることによって、害寄宿免疫応答を最小化するために仕立てられる。
【0031】
発明の化合物は、例えば、GD2リガンドのアミノ酸残基、又は、発明のドメインを他の保存されたアミノ酸残基、すなわち、類似の物理的、生物的、又は化学的特質、及び、生物的機能のスクリーニングを置換、削除、挿入することによって調製されることが出来る。いくつかの一時変異及び変化は、生物学的に等しいポリペプチドを得るために、ペプチドの生物学的機能を実質的に変質することなしに、ポリペプチドの構造において作ることが出来る。又、本発明のペプチド、リガンド及びドメインは、保存アミノ酸置換による本発明の新規リガンド配列部分とは異なる生物学的に同等のペプチド、リガンド、及びドメインにまで及ぶ。ここに使用されているように、「保存アミノ酸置換」という言い回しは、置換が関連機能の実質的な喪失なしに置換可能なペプチド内の定めれた位置内における別のアミノ酸への置換に言及している。そのような変化においては、アミノ酸残基のような置換は、例えば、それらの大きさ、負荷、疎水性、親水性などの側鎖置換の関連した類似性を基本に作られる事が出来、そのような置換は、ルーティン試験法のペプチド機能に対する影響のために分析されるだろう。
【0032】
いくつかの態様においては、保存されたアミノ酸置換は、類似の親水価値(例えば、±2.0の価値の範囲内)を有し、以下が、Tyr(−1.3)又はPro(−1.6)sが、アミノ酸残基に指定されるような約−1.6疎水性親水性指標を有するアミノ酸であろう。(詳細は、米国特許番号4,554,101にあり、ここに参考のために示されている。):Arg(+3.0) ; Lys(+3.0) ; Asp(+3.0) ; Glu(+3.0) ; Ser(+0.3) ; Asn(+0.2) ; Gln(+0.2) ; Gly(0); Pro(−0.5) ; Thr(−0.4) ; Ala(−0.5) ; His(−0.5) ; Cys(−1.0) ; Met(−1.3) ; Val(−1.5) ; Leu(−1.8) ; Ile(−1.8) ; Tyr(−2.3) ; Phe(−2.5) ; 及びTrp(−3.4)。
【0033】
別の態様においては、保存アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の疎水性親水性指標(例えば±2.0の価値の範囲内)を有する別のアミノ酸残基に置換するアミノ酸残基において作られるであろう。そのような態様においては、各アミノ酸残基は、以下のような疎水性及び負荷の特質を基礎とした疎水性親水性指標に指定されるであろう:Ile(+4.5) ; Val(+4.2) ; Leu(+3.8) ; Phe(+2.8) ; Cys(+2.5) ; Met (+1.9); Ala(+1.8) ; Gly(−0.4) ; Thr(−0.7) ; Ser(−0.8) ; Trp(−0.9) ; Tyr(−1.3) ; Pro(−1.6) ; His(−3.2) ; Glu(−3.5) ; Gln(−3.5) ; Asp(−3.5) ; Asn(−3.5) ; Lys(−3.9) ; 及びArg(−4.5).
【0034】
別の態様においては、保存アミノ酸置換は、アミノ酸が、以下の非極性、酸性、塩基性、中性に分けられるのと同じ分類において、もう一つのアミノ酸残基に置換されるアミノ酸残基において作られるであろう:非極性:Ala, Val, Leu, Ile, Phe, Trp, Pro, Met;
酸性:Asp, Glu; 塩基性: Lys, Arg, His; 中性: Gly, Ser, Thr, Cys, Asn, Gln, Tyr。
【0035】
保存アミノ酸の変質は、Dアミノ酸に一致して、保存Dアミノ酸、又は、自然発生的に非遺伝的にコード化されたアミノ酸形態によるLアミノ酸の置換だけでなく、保存されたLアミノ酸置換を含有する。 自然発生的に非遺伝子的コード化されたLアミノ酸置換は、βアラニン、3−アミノ酪酸、2、3―ジアミノ酪酸、αアミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、N−トリシン(サルコシン)、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、t−ブチルアラニン、t―ブチルグリシン、N−メチルイソロイシン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、ノルロイシン、ノルベリン、2−ナフチルアラニン、ピリジルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、ペニシラミン、1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、β―2−チエニルアラニン、メチオニンスルホキシド、ホモアルギニン、N−アセチルリシン、2−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2、4−ジアミノ酪酸、p―アミノフェニルアラニン、N―メチルバリン、ホモシステイン、ホモセリン、システイン酸、イプシロン−アミノヘキサン酸、デルタ−アミノ吉草酸、又は、2、3−ジアミノ酪酸を含有する。
【0036】
別の態様においては、保存アミノ酸変質は、親水性又は疎水性、大きさ、又は量、又は負荷を基礎とした変質を含む。アミノ酸は、アミノ酸側鎖の特質に本来依存している疎水性又は親水性を全般に特徴とすることが出来る。疎水性アミノ酸は、ゼロ以上の疎水性を提示し、親水性アミノ酸は、Eisenberg et al.(J. Mol. Bio. 179:125-142, 1984)の正規合意した疎水性尺度を基礎としたゼロ以下の親水性を提示した。遺伝的にコード化した疎水性のアミノ酸は、Gly、Ala、Phe、Val、Leu、 Ile、Pro、Met及びTrpを含み、遺伝的にコード化した親水性のアミノ酸はThr、His、Glu、Gln、Asp、Arg、Ser及びLysを含んでいる。非遺伝的にコード化した疎水性のアミノ酸はTブチルアラニンを含む一方で、非遺伝的にコード化された親水性のアミノ酸はシトルリン及びホモシステインを含有している。
【0037】
疎水性又は親水性のアミノ酸は、それらの側鎖の特質を基礎として、更に細分化されることが出来る。例えば芳香族のアミノ酸は、−OH、−SH、−CN、−F、−CI、−Br、−I、−NO2、−NO、−NH2、−NHR、−NRR、−C(O)R、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH2、−C(O)NHR、−C(O)NRRのような置換基を一つ以上含む少なくとも一つの芳香族又は芳香族複素環を内包する側鎖を有する疎水性アミノ酸である。そこでは、Rは独立して、(C1−C6)アルキル、置換(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルケニル、置換(C1ーC6)アルケニル、(C1ーC6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキニル、(C5−C20)アリール、置換(C5−C20)アリール、(C6−C26)アルキルアリール、置換(C6−C26)アルキルアリール、5−20員ヘテロアリール、置換5−20員ヘテロアリール、6−26員alkheteroaryl、又は、置換6−26員alkheteroarylである。遺伝子的にコード化した芳香族アミノ酸は、Phe、Tyr及びTrypを含む一方、非遺伝子的にコード化した芳香族アミノ酸はフェニルグリシン、2―ナフチルアラニン、β―2−チエニルアラニン、1、2、3、4テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、4−クロロフェニルアラニン、2−フォルオロフェニルアラニン−3−フォルオロフェニルアラニン及び、4−フォルオロフェニルアラニンを含む。
【0038】
非極性のアミノ酸とは、生理学的pHにて無電化である側鎖を有する疎水性のアミノ酸が二つの原子(すなわち、両側の鎖は、極性ではない)によって均等に保たれ共有の一対の電子の結合を有する疎水性アミノ酸のことである。遺伝子的にコード化された非極性のアミノ酸は、Gly、Leu、Val、Ile、Ala及びMetを含む一方で非遺伝子的にコード化された非極性のアミノ酸は、シクロヘキシルアラニンを含む。非極性アミノ酸は、脂肪性の炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸である脂肪性アミノ酸を含むために更に細分化されることが出来る。遺伝子的にコード化された脂肪性アミノ酸は、Ala、Leu、Val及びIleを含む一方で、非遺伝子的にコード化された脂肪性アミノ酸はノルロイシンを含有している。
【0039】
極性アミノ酸は、生理学的pHによって無電化である側鎖を備えた親水性アミノ酸であるが、一対の電子が原子の一つによってより近接に二つの原子によって維持されている一つの結合を有している。遺伝子的にコード化された極性のアミノ酸は、Ser、Thr、Asn及びGlnを含む一方で、非遺伝子的にコード化された極のアミノ酸は、シトルリン、Nアセチルリシン、及びメチオニンスルホキシドを含んでいる。
【0040】
酸性アミノ酸は、7以下の側鎖pKa価値を備える親水性アミノ酸である。酸性アミノ酸は、炭素イオンの喪失のために、生理学的pHにおいて、側鎖を典型的に陰性にチャージした。遺伝子的にコード化した酸性アミノ酸は、Asp及びGluを含んでいる。塩基性アミノ酸は、ヒドロニウムイオンとの会合性のために、生理学的pHにおいて側鎖を典型的に陽性にチャージした。遺伝子的にコード化した塩基性アミノ酸は、Arg,Lys及びHisを含む一方で、非遺伝子的にコード化された塩基性アミノ酸は、非環式アミノ酸オルニチン、2、3、−ジアミノプロピオン酸、2、4−ジアミノ酪酸、及びホモアルギニンを含んでいる。
【0041】
上記の分類は、絶対的ではなく、アミノ酸は、一つ以上のカテゴリーに分類されるであろう。更に、アミノ酸は、既知の作用、及び又は、特定化した分析を基礎とする、又は前記に確認されたアミノ酸と比較した特徴的な化学的、物理的、又は生物学的性質を基礎として分類することが出来る。アミノ酸は、アミノ酸のような側鎖を有する二機能性の部分を含むことが出来る。
【0042】
保存の変質は、例えば、アミノ酸の機能的側鎖の反応によって、非誘導体化の残基のための化学的に誘導体化した部分の置換をも含んでいる。従って、これらの置換は、遊離アミノ基が、アミン塩酸塩、pトルエンスルホニル基、カルボベンゾキン基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基又はホルミル基に誘導体化している。同様に、遊離カルボキシル基は、塩、メチル、及びエチルエステル又は他のエステル又はヒドラジドを形成するために誘導体化されることが出来、側鎖は、ヒスチジンのイミダゾール窒素のための遊離ハイドロキシル基又はN−imベンジレヒスチジンのためのO−アシル又はO−アルキル誘導体を形成するために誘導体化されることが出来る。ペプチド類似体は、例えばエチルアミン、エタノールアミン、エチレン、ジアミン、アミノ酸側鎖(リシンのイプシロンアミノ基など)のアシル化又はメチル化などのアリルアミンによるC末端アミノ酸のメチル化、アミド化によって化学的に変質されたアミノ酸を含む。ペプチド類似体は、ペプチドにおける置換アミド(例えば、Rが(C1-C6)アルキル(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキル、置換(C1−C6)アルケニル、又は置換(C1−C6)アルキニルである式−C(O)−NRの群)とのアミド結合の交替、又は、アミド結合の同配体(例えば、−CH2NH−、−CH2S、−CH2CH2−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−C(O)CH2−、−CH(OH)CH2−、又は−CH2SO-)をも含む。
【0043】
本発明のGD2リガンド、ペプチド、ドメインは、同種重合体又はヘテロ多重体を形成するために、例えば、重合又は接合によって、共有結合的に結合するのであろう。生理学的状況のもとに無電荷されたアミノ酸などの小中性分子から典型的に構成されるスペーサー及びリンカーが用いられることが出来る。結合は、多くの方法において達成される。例えばシステイン残基はペプチド終端に加えられることが出来、多重ペプチドは規定の酸化によって共有結合的に結合されることが出来る。代わりに、薬剤を形成するジスルフィド/アミド又はチオエーテル/アミドなどのヘテロ二重機能性薬剤が用いられることが出来る。化合物は、T細胞反応を促進することの出来る脂質を含む分子やペプチドにも結合することが出来る。化合物は、例えば、環状部分を有することによって抑圧されることが出来る。
【0044】
ペプチド又はペプチド類似体は、例えば、溶液又は固相合成方法論を用いて自動合成によって、標準の化学技術によって、合成されることが出来る。自動ペプチド合成機は、商業的に利用可能であり、その分野においてよく知られている技術を用いる。ペプチド又はペプチド類似体は、標準の方法を用いる組換えDNA技術を使用することによって精製されることも出来る。
【0045】
本発明の化合物は、人間への投与に適切な形態で、リポソーム、アジュバント、又は薬学的に受け入れられるキャリアの存在下において、単独、又は、併用、又は、他の化合物(例えば、毒素、増殖因子、抗アポトーシス薬剤、小分子、ペプチド、又はペプチド類似体)との接合において、提供されることが出来る。従来の薬務は、癌などの疾患に苦しむ患者に投与する化合物に適切な形態又は構成に適用されるであろう。例えば、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、脳内、眼窩内、眼科、脳室内、関節内、脊髄内、大槽内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、又は経口投薬のような、いかなる適切な投薬経路が適用されるであろう。
【0046】
非経口投薬の処方は、例えば、賦形剤、無菌水、サリン、ポリエチレングリコール、野菜の原油、又は、硬化ネプタリンなどのポリアルキレングリコールを含む。生体適合性の生物分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコールコポリマー、又はポリオキシチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、化合物の放出を制御するために用いられる。他の潜在的に有用な調節性の化合物は、非経口伝達システムは、エチレンビニールアセテートコポリマー分子、浸透性ポンプ、移植可能な注入システム、及び、リポソームを含む。吸引形態は、例えば、ラクトースのような賦形剤を含み、ポリオキシチレン−9−ラウリルエーテル、グリコール酸、及び、デオキシコール酸のような水溶液であり、点鼻薬の形、又は、ゲルとして投与される油剤であるだろう。
【0047】
要求されるのであれば、本発明による化合物の治療は、例えば、手術や化学療法などの従来の疾患療法と組み合わされるであろう。
【0048】
治療又は予防組成物のために、化合物は、細胞破壊の誘発(癌など)又は、細胞破壊の抑止や減速(神経保護の治療や痛みの治療など)に十分な量において、患者に投与されるであろう。十分だと思われる量は、使用された具体的な化合物、投与方法、疾患の段階及び重症度、年齢、性別、治療されている患者の健康、及び、同時進行の治療によって変容する。しかしながら、一般的なルールとして、投与量は、最初の投与量では、患者の体重1キログラムあたり、1ミクログラムから100mgまで及び、後の患者の反応によって調節される。
【0049】
ワクチン処方の際には、本発明の化合物の有効量は、単独、又は、フロイントの不完全アジュバントやアルミニウム水酸化物といった他の化合物との組合せによって提供されることが出来る。化合物は、免疫原性を促進するためにウシ血清アルブミン又はKLH(Keyhole limpet hemocyanin)などのキャリア分子と結合されるであろう。
【0050】
一般的に、本発明の化合物は、実質的な毒性を引き起こすことなしに、用いられるべきである。発明の化合物の毒性は、例えば、細胞培養、又は、実験動物の試験、及び、治療係数、すなわち、LD50(個体群の50%の致死量)とLD100(個体群の100%の致死量)との比率の決定という標準技術を用いることで決定されることが出来る。場合によっては、しかしながら、重症な疾患状態においては、化合物の実質的な過剰量を投与する必要があるであろう。
【0051】
以下の実施例は、様々な態様及び本発明の側面を示し、どのような方法においても本発明を制限することはない。
【実施例】
【0052】
方法
細胞:EL4マウスリンパ腫及びR1.1マウスリンパ腫は、5%の二酸化炭素の加湿空気の中、37℃で、5%の致死ウシ血清、2mMのグルタミン、10mMのHepes及びペニシリン/ストレプトマイシンと共に補充されたRPMI1640培地溶液(Life Technologies)において増殖された。EL4のGD2陰性変異体は、抗GD2 mAB 3F8及びウサギ補体との培養に耐性のEL4細胞のサブクローニングの後、得られた。
【0053】
流動細胞計測法(フローサイトメトリー):50mlFACS緩衝液
(PBSリン酸緩衝食塩水0.5%、BSAウシ血清アルブミン0.05%、NaN3アジ化ナトリウム)における105細胞は、以下のリガンドと共に30分間、氷上で染色された:GD2には蛍光標識試薬複合化の抗GD2 mAb 3F8;GM1には、蛍光標識試薬複合化のコレラ毒素Bサブユニット(Sigma);GM2には、ウサギ抗GM2 mAb NANA(Matreya)、次に、蛍光標識試薬複合化の抗ウサギ抗体(Sigma);GD3には、抗GD3 mAbマウス(Pharmingen)、続いて、蛍光標識試薬複合の抗マウス抗体(Sigma)。細胞は、蛍光標識細胞分取器緩衝液で二度洗浄され、CellQuestソフトウェアを用いて、流動細胞計測法(Becton-Dickinson)で分析された。
【0054】
酵素結合免疫測定法(ELISA)によるGD2又はGM1の検出:ガングリオシドの12.5ng/well(GD2、高度免疫化学又はGM1)は、ポリ塩化ビニル(PVC)96ウェルプレート(Falcon)上で、乾燥させることによって、固定化され、その後、1時間、リン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共にブロッキングされた。そして、10分間、抗GD2 mAb 3F8又はビオチンCTBが追加された。プレートはリン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共に3回洗浄され、西洋わさびペルオキシターゼ(HRP)複合の抗マウス抗体又はHRP複合アビジンと共に60分間、培養された。リン酸緩衝食塩水(PBS)0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と共に3回洗浄され、2回PBSで洗浄され、比色基質ABTSが付加され、プレートは、バイオラド550プレートリーダー上、414nmであった。
【0055】
GD2及びp56Lckの免疫共沈降:細胞(一つのサンプルにつき5×106)PBSにおいて洗浄され、1mlの溶解緩衝液(150mM NaCl、10mMナトリウムリン酸pH7.2、2mM EDTA、50mM NaF、1%CHAPS、200mMナトリウムバナジン酸塩、1mM PMSF、100mMロイペプチン、1mMベンズアミド、300nMアプロチニン、500nM大豆トリプシン阻害剤)において再縣濁され、
30分間4℃で培養された。上清は、遠心沈降(4℃で15分間16000g)後、可溶化疫から収集された。免疫沈降は、4℃で一晩、5mgの抗GD2 mAb 3F8又は抗p56Lck mAb 3A5(Santa Cruz Biotechnology)又はコントロールIgG;又は50m lのアビジンアガロース(Sigma)のいづれか、及び、GM1ガングリオシドに特異的な5mgのビオチンCTBと共に、タンパク質Gセファロースを用いて実施された。免疫沈降は、CHAPS洗浄剤の減少性濃度を含む冷溶解緩衝液1mlで5回洗浄され、サンプルは還元型Laemmli緩衝液と共に抽出された。サンプルは、そこで、ウェスタンブロット分析のために用いられ(上記参照)サンプルからのリピドはELISAによってガングリオシド定量化のために単離された(上記参照)。
【0056】
生化学的分析:ウェスタンブロッティング:免疫沈降したサンプルはSDS−PAGEにおいて分割され、メンブランに伝達され、p56Lckイムノブロットは、ウサギの抗p56Lck多クローン抗体を用いて行われた。p56Lck及びZap70のチロシンリン酸化(一つのサンプルにつき、5×106)は、PBSと共に洗浄され、0.2%のBSAを含む5mlの無タンパク質のハイブリドーマ培地において再縣濁され、キナーゼ作用のベースラインを低下させるために、60分間37℃で安静にさせた。次に、10mgの抗GD2 mAb 3F8(13nM濃度)又は非特異的マウスIgGが、5時間20分間、添加された。サンプルは、そこで、冷PBS内で、洗浄され、洗浄剤は溶解緩衝疫内で、5mgの抗56Lck mAb 3A5(Santa Cruz Biotechnology)又は、抗Zap70mAbLR(Santa Cruz Biotechnology)を用いて免疫沈降された。サンプルは、そこで、抗ホスホチロシンmAb 4G10を用いたウェスタンブロッティングによって分析された。インビトロによるp56LcKキナ−ゼ作用:p56Lck免疫沈降は、キナ−ゼ反応緩衝液(10mM MnCl2,20mM Tris−HCl pH7.4、2.5mM ATP、20mCi[g−32P]ATP)において、GAP p62又はSam68特異基質p56Lckと共に20分間37℃で培養された。反応は還元型Laemmli緩衝液の追加及び沸騰によって停止された。p56Lck基質のリン酸化は、SDS−PAGEによって視覚化及び数量化され、ImageQuantソフトウェアでStorm840ホスフォイメージャー上で分析された。
【0057】
外因性のGD2がインビトロのキナ−ゼアッセイによってp56Lckに与える影響:
クロマトグラフ的に精製された p56Lckチロシンキナーゼ
(Upstate Biotechnology)は、氷上で、10分間、キナ−ゼ緩衝液
(100mM Tris−HCl、pH7.2、125mM MgCl2、25mM MnCl2、2mM EGTA,150mM ATP、0.25 mMナトリウムバナジン酸塩、2mM DTT)において、20倍までのガングリオシドのモル過剰、及び、10mCi[g−P]ATPの有り無しで培養された。次に、10mgのSrcキナ−ゼ基質ペプチドp34cdc2(6−20)(Upstate Biotechnology)が、反応が100mMヨードアセドアミドの付加、及び、最終10%TCAのタンパク質の沈殿によって停止された後、混合物に付加され、指定時間内、室温で培養された。TCAによって沈澱化されていないリン酸化ペプチド基質を含む上清は、P81紙(Whatman)に点在され、3回、0.75%のリン酸で、及び、1回アセトンで洗浄された。[32P]−ペプチド含量は、ImageQuantソフトウェアと共にStorm840ホスフォイメージャーを用いて数量化された。
【0058】
ペプチドは、テネイシンR配列及びテネイシン属ホモログの多様性を基礎として、モデル化された。ペプチドは、固相Fmoc化合物を用いた高度化合自動シンセサイザー(Advanced Chemetech automatic synthesizer)と共に合成された。樹脂からの分割及び脱側鎖保護の後、末端システインを含むペプチドは、50mMアンモニウム炭酸水素塩pH8.5において、O2の元、4℃で、酸化によって、環化に従属された。ペプチドは、C−18調整用カラム(Phenomenex)を用いたHPLC(>95%)によって精製され、質量分析によって実証された。
【0059】
競合性ELISAによるペプチドGD2の相互作用の影響評価:ELISAsは、ペプチド(PBSにおいて、50mg/well)が抗GD2mAb 3F8又は抗GM1コレラ毒素Bの1時間前にウェルに付加されることを除いては、上記のように説明された通りである。阻害の選択性は、相互作用に与える影響の欠如にコントロールされている。
【0060】
細胞内カルシウム研究:細胞(一つのサンプルに付き1×106)は、リンゲル溶液(155mM NaCl,4.5mM KCI,2mM CaCl2,1mM MgCl2、10mM D−glucose、5 mM HEPES)で洗浄され、15分間、37℃で、10mM p56Lck阻害剤PP1(BioMol)又は溶媒を含む1mlのリンゲルにおいて、再縣濁された。そこで、5mM Rhod−2AM(Molecular Probes)が細胞に加えられ、30分間、室内温度で、温和な攪拌と共に培養された。細胞は1回リンゲル内で洗浄され1mMリンゲル内で再縣濁され、培養された後、細胞が表示されたガングリオシドリガンド(又はコントロールとしてのカルシウムイオン透過孔)に刺激され、30分間流動血球計数器(Becton-
Dickinson)を用いて細胞内Ca2+が分析された。
【0061】
軟寒天コロニー形成:EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液は、mAb 3F8(50mg/プレート)の有り無しで上層培養液(0.35%の寒天を含むRPMI1640、15%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、10mM Hepes及びペニシリン/ストレプトマイシン)内で、事前形成された下層(0.5%寒天以外は上記と同じ)の表面上で、100mmポリスチレン皿(Falcon)に撒かれ(1500細胞/プレート)、コロニーが眼で見えるようになるまで増殖された。
【0062】
インビボ腫瘍研究:ハンクスの平衡塩におけるEL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液はヌードBalb/cマウス(Charles River)(動物一匹につき1×106細胞)腹腔内に注入された。動物は、細胞増殖によって、7日から10日後、屠殺及び検死された。
インビトロCD45脱リン酸酵素アッセイ:ヒト組換えCD45酵素(BioMol、75ユニット/well)は、ナトリウムハナジン酸塩(陽性コントロール)又は多様なガングリオシド(16.7mM)の存在又は非存在下で20分間、96ウェルマイクロタイタープレートの半分の量において室温で前保温された。CD45に特異的な基質(pp60Src C末端リン酸調節性ペプチド、200mM)が、そこで20分間、30℃で、付加され、その後、反応は停止しBioMol Green試薬で数量化された。プレートはバイオラド550プレートリーダーで620nmを指した。
【0063】
エキスビボCD45アッセイ:EL4 GD2陰性及びEL4 GD2陽性の単独細胞縣濁液は、5mg/mlのmIg(陰性コントロール)、抗GD2抗体3F8、又は抗ハムスターG94−56(Pharmingen)に架橋された抗CD3抗体145−2C11(Pharmingen)の存在下で、5%の致死ウシ血清、2mMのグルタミン、10mMのHepes及び、ペニシリン/ストレプトマイシンに補充された培養液RPMI1640において20分間、37℃で、培養された。細胞は、そこで洗浄され、洗浄剤は溶解した。p56Lckは、次に、抗56Lck抗体被覆ビーズによって免疫沈降され、抗PY505(Cell Signaling Technology)を用いたウェスタンブロッティングによって、ホスホチロシン505は探索された。
【0064】
結果
p56Lckとガングリオシドとの特異的物理的会合性を研究するために、流動細胞計測法によって査定されたように、GD2、GM1、GM2、及びGD3の細胞表面の発現の変化に伴って、細胞のパネルが生成された。表示細胞(表2)は、p56Lckの類似したレベルを発現している(データは示されていない)。
【0065】
【表2】
【0066】
p56Lckと−GD2との特異的かつ安定した会合性
我々は、mAb 3F8との抗GD2免疫沈降を行い、続いて、抗p56Lck抗体を用いたウェスタンブロティングを行った(図2A)。EL4
GD2陽性細胞においては、p56Lckは,mAb 3F8と共沈澱したが、コントロールマウスIgGとはしなかった。GD2陰性であるコントロールR1.1細胞においてはp56Lckが高いレベルにおいて発現しているにもかかわらず、どの抗体もp56Lckと共沈澱しなかった。
【0067】
抗GD2免疫沈降におけるp56Lckの存在及びキナ-ゼ活性は、実証かつ数量化された(図2B及び2C)。表示免疫沈降は、EL4 GD2陽性又はEL4 GD2陰性上で行われ、p56Lckに特異的な基質Sam68を用いてインビトロで行われた。EL4 GD2陽性において、p56Lck活性の約15%が、抗GD2 mAb 3F8によって共沈澱(図2B、1列目)し、抗Lck mAb 3A5と比較された(図2B、2列目)。実際、p56Lck活性の抗GD2共沈澱は、Zap70に対する抗体による共沈澱と比較可能であった(図2B3列目)。これは、報告によれば、Zap70及びp56Lckが物理的かつ機能的にインビボで会合しているという事実と合致していた。
【0068】
これらのアッセイの特異性は、EL4 GD2陰性細胞を用いて、研究において実証され、抗GD2 mAb 3F8はp56Lck活性と共沈澱しない(図2B、4列目)一方で、抗Lck及び、抗Zap70抗体は共沈澱した(図2B5、6列目)。抗Zap70抗体とのp56Lck免疫共沈澱がEL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞株と比較可能であったため(図2B、3及び6列目)、データはZap70とp56Lckとの会合性は、GD2非依存性であることを提案している。
【0069】
類似の研究が、EL4 GD2陽性又はR1.1(GD2陰性)細胞を用いて、インビトロでp56Lck活性が選択的基質におけるキナ-ゼ活性を含有することを示しながら行われた。再度、抗GD2は、抗Lck mAb 3A5と精製された15%以下の活性と一致するP56Lck活性を共精製した。対照的に、コレラ毒素Bサブユニット結合型ビーズによるGM1のアフィニティー単離は、R1.1細胞が高レベルのGM1及びp56Lckのを有する(表2C、4列目)にもかかわらず、p56Lck活性を共精製しなかった(表2C、3列目)。
【0070】
p56Lckが初めてmAb 3A5と免疫沈降した逆実験が行われ、GD2又はGM1の存在がELISAによって計られた(図2D)。EL4GD2陽性細胞からの抗p56Lck免疫沈降は抗GD2 mAb 3F8によって単離するこの出来る55%以下のGD2を含んでいた。特異コントロールにおいて、R1.1細胞からの抗p56Lck免疫沈降は、ガングリオシドGM1を共沈澱しなかった。
【0071】
GD2リガンド非存在下のp56LckとGD2との会合性の機能的連関
次の実験(図3)はGD2とp56Lckとの安定かつ選択的結合に機能的関連性があるかどうかインビトロで取り組まれた。精製p56Lckへの外因性GD2の付加は、20分時点で、キナ-ゼ作用において急激な70%増加を伴って、25分以下の半減期から17分以下の半減期(from t1/2 of 〜25 minutes to a t1/2 of 〜17 minutes)における酵素活性の動態をインビトロで増加させた。しかしながら、Vmaxは、存在するGD2の有る無しに、酵素活性が類似のプラトー(plateau)に到達するにつれて変化はなかった。コントロールアッセイにおいて、p56Lckキナ-ゼ活性は外因性GM1の付加(図3)又は、ホスファチジルコリン又は他のリピドの付加(データに表示されていない)によって変更はなかった。
【0072】
人工GD2リガンドの発生
小ペプチド(長さ6−13のアミノ酸)は、GS2リガンド、テネイシンRの第一配列に及ぶために構成された。環化及び他の高次構造上の抑圧は、それらを構造上に抑圧するために、これらのペプチド内に導入された。
【0073】
これらのペプチド(100以下は合成された)は、GD2−mAb3F8プレート(表3)における相互作用の阻害のために試験された。付加された競合ペプチド又はコントロールとは無関係のペプチドは、100%結合として標準化された。簡素化のために、90以下の少量の不活性ペプチドが示されている。
【0074】
多種の態様において、GD2−mAB 3F8相互作用を活発に阻害するペプチド類似体は、NH2−IIe−Thr(Ala)−Asn−Tyr−Asn−COOH配列に及んでいる。いくつかの態様では、本発明のペプチドは、Gly残基(下線)が配列に組み込まれているかどうかによって、Cα1からCα4原子までの距離が4から7Aの間で変動しながらIV型(3:5又は3:3)正準β-turn構造に属するのであろう。
又、溶解に構成されていない(データに示されていない)11アミノ酸の線状ペプチド(pep51)は競合性阻害剤として作用する事も出来る。
【0075】
【表3】
【0076】
ペプチドによって固定化されたGD2に結合するmAb3F8の阻害は競合性 ELISAによって測定される。いかなるペプチド又はコントロールペプチドの治療は、0%阻害として標準化されていない。いかなるmAb 3F8治療も100%阻害として標準化されていない。5つの独立した実験の平均は各実験においてn=4である。平均値±平均値の標準誤差。
【0077】
p56Lck活性におけるGD2リガンドの機能的連関性
この実施例は、以下のことを示している(i)細胞表面GD2とリガンドとの結合がp56LckのpTyrを引き起こすかどうか(図4A);(ii)細胞表面GD2とリガンドとの結合が下流エフェクターZap70に通じるかどうか(図4B)(iii)細胞表面GD2の結合が細胞内カルシウム溶剤を誘発するかどうか(図4C)。
第一に、EL4 GD2陽性生細胞におけるGD2細胞表面と人工GD2リガンドmAb 3F8との結合は、5分以内に、インビボで(図4A 3・4列目)p56LckのpTyr引き起こした。コントロールマウスIgGは、この影響を引き起こさなかった(図4A 1・2列目)。
【0078】
第二に、p56LckのpTyrは、どのTyr残基がリン酸化されるかどうかで、このキナ―ゼの活性化又は不活性化に導くことが出来るので、活性p56Lckのダウンストリームのアダプター分子かつ、活性p56Lckによってリン酸化されているので、pTyrの特性Zap70は、インビボで研究された。Zap70は、リガンド(図4B、3・4列目)として、細胞表面GD2とmAb 3F8と結合する際、一時的にpTyrである。このZap70 pTyrは、おそらくp56Lckを経由して発生する。コントロールマウスIgGは、EL4 GD2陽性細胞において、Zap70 pTyrを引きおこさなかった(図4B、1・2列目)。他の特異コントロールにおいては、GD2リガンドとのEL4GD2陰性細胞の治療は、細胞表面GD2発現は、いくつかの態様においては、GD2のリガンド結合及び続くダウンストリームの効果に必要とされることを示しながら、p56LckのpTyr又はZap70を引き起こさなかった(データには示されていない)。
【0079】
第三に、細胞内Ca++濃度は、細胞表面GD2がリガンドと結合した後にEL4 GD2陽性生細胞において測定された(図4C)。Rhod−2フルオロフォア感受性のカルシウムを用いた流動細胞数測定分析は、mAb 3F8結合後、迅速な(5分以下)細胞内カルシウムの1.6倍増殖を示したが、コントロールマウス抗体又はCTB(データは示されていない)による結合後には示さなかった。選択的p56Lckキナ-ゼ阻害剤PP1(10mM)は、カルシウム溶剤のmAb 3F8―阻害を著しく減少させた。このコントロールは、活性p56Lckは、いくつかの態様において細胞内カルシウム溶剤を導くシグナル伝達経路の側面の原因である。
【0080】
CD45活性におけるGD2の存在の機能的連関性
CD45ホスフォターゼは、p56Lckの作用の原因であるため、CD45活性に及ぼすGD2の影響が分析された。第一に、GD2の影響が、ヒト組換えCD45酵素、及び、pp60Srcペプチドを基質として用いることでインビトロで試験された。表5に示されているようにGD2は、CD45ホスファターゼ作用(85%阻害)を徹底的に阻害し、他方、他のガングリオシド(GM1、GM2、GD3、及びGM3)は、CD45の酵素活性に少しの影響しか与えなかった。GD2以外は、GD1aのみが、重要な阻害(50%)を示した。
【0081】
CD45に対するGD2の阻害効果は,図6に示されているように生細胞内でも見られる。ここでは、EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、十分実証されている細胞受容体クロスリンク方法論を用いて刺激されたが、その方法論はCD45によるチロシンにおける脱リン酸に続いてp56Lckの活性化に典型的に帰結する。興味深いことに、EL4GD2陽性細胞は活性化に耐性であり(図6、3列目)、EL4 GD2陰性細胞(図7、6列目)は、T細胞受容体クロスリンクに直ちに活性化される。この矛盾はp56LckのCD45媒介活性化を遮断することが出来るEL4 GD2陽性細胞におけるGD2の存在に起因する。興味深いことの中には、mAb 3F8などのGD2リガンドは、CD45のGD2抑制を緩和することが出来、p56Lckに対するチロシン505の脱リン酸によって見られるように(図6、2列目)、T細胞受容体を活性化させるという事実である。
【0082】
腫瘍遺伝的増殖におけるGD2及びGD2リガンドの機能的関連性
癌細胞の増殖及び生存におけるGD2の細胞表面発現の効果を示すために、EL4 GD2陽性及びEL4 GD2陰性細胞は、クローン原生の軟寒天アッセイにおいて増殖(図7)、又は、腹腔内に、インビボで注入された(図8)。
軟寒天におけるコロニー形成アッセイは、EL4 GD2陽性及びEL4GD2陰性細胞の増殖動態において著しい相違を示した。増殖の10日目、各プレートにおけるEL4 GD2陽性コロニーの総数は、EL4 GD2陰性細胞と比較して、50%低下した(図7a)。更に、EL4 GD2陰性コロニーは、より大きく、より多くの細胞を含んだ(図7b)。これは、両細胞株が液体培養において同一の二倍を有していた点で際立っている。
【0083】
寒天層におけるmAb 3F8の付加(GD2媒介シグナルを推定的に、拡散、結合、及び、活性化する)は、EL4 GD2陰性コロニーの数及び大きさの結果を一つも有しないまま、EL4 GD2陽性コロニー形成を破壊した。これは、本発明のGD2リガンドが例えば、このような細胞の増殖を阻害したり、細胞を殺したりするGD2を発現する癌細胞を治療するために、増殖の調節を目的としたGD2陽性細胞を治療するために用いられていることを示している。いくつかの態様において、GD2が結合する際(データに示されていない)、EL4 GD2陽性細胞はアポトーシスによって消滅し、本発明のGD2リガンドがGD2の存在がいくつかの態様においてはアポトーシスを誘発するために、用いられることを示している。
【0084】
証拠の相違は、細胞がインビボで増殖する際にも観察される。腹腔内に注入される際、EL4 GD2陰性細胞は、主に攻撃的かつ転移性の腹水腫瘍を形成し、腹腔は、ムチンのようなペプチドグリカンを含んでいる。対照的に、EL4 GD2陽性細胞は、局在型で高度に血管新生化された腹膜メンブランに付属的な高度固形腫瘍を形成している(図8)。
【0085】
結論
本発明の様々な態様が、ここに開示されているにもかかわらず、多くの適応や修正は、技術の熟練者達の共通した一般知識と一致しながら本発明の範囲内でなされるであろう。同様の修正は、実質的に同一の方法において同一の結果を得るために、発明のどの側面にも知られている等価物の置換を含む。数の範囲は、範囲を定義する数を包括している。明細書では、「comprising」という言葉は、幅拾い解釈の出来る言い回しとして用いられ、「including, but not limited to」というフレーズに実質的に等しく、「comprises」という言葉と一致した意味を持つ。ここでの引用文献は、本発明の先行技術であるような了承事項として解釈されるべきではない。本明細書に引用されている特許及び特許出願を含むが、これらに限ったものではない全ての刊行物は、各刊行物が、本明細書に具体的かつ個々に示されているかのように、且つ、ここに完全に前述しているかのように、参考のために示されている。発明は、以上の実施例及び図面への言及に説明されているように、全ての態様及び変形例を実質的に含んでいる。
【0086】
References
以下の文書は、参考のために示されている:
Cheung, N. K., Saarinen, U. M., Neely, J. E., Landmeier, B.,
Donovan, D., and Coccia, P. F. (1985). Monoclonal antibodies to a glycolipid antigen on human neuroblastoma cells, Cancer Research
45, 2642-9.
Eisenberg, D., Schwarz, E., Komaromy, M., Wall, R. (1984).
Analysis of membraneand surface protein sequences with the
hydrophobic moment plot, Journal of Molecular Biology 179, 125-42.
Gagnon, M., and Saragovi, H. U. (2002). Gangliosides: therapeutic agents or therapeutic targets, Expert Opinion on Therapeutic
Patents 12, 1215-1224.
Probstmeier, R., Michels, M., Franz, T., Chan, B. M., and Pesheva,
P. (1999). Tenascin-R interferes with integrin-dependent
oligodendrocyte precursor cell adhesion by a ganglioside-mediated signalling mechanism, European Journal of Neuroscience 11, 2474-
88.
Saragovi, H. U., Greene, M. I., Chrusciel, R. A., and Kahn, M. (1992). Loops and secondary structure mimetics: development and
applications in basic science and rational drug design, Bio/
Technology 10, 773-8.
Sorkin, L. S. (2000). Antibody activation and immune reactions:
potential linkage to pain and neuropathy, Pain Medicine 1, 296-
302.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
Z1−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Z2 (I)で表される実質的に純粋なGD2リガンド。
[式中、
X1 は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2 は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3 はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4 はG、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X5 はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6 はT、又はA、又はそれらの類似体である。
X7 はN、又はその類似体である。
X8 はY、又はその類似体である。
X9 はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である。
Z1がH2N−、RHN−、又はRRN−の式のN末端基である。
Z2が−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)NRRの式のC末端基である。
それぞれの場合におけるRが、独立して(C1−C6)アルキル、(C1
−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキ
ル、置換(C1−C6)アルケニル、置換(C1−C6)アルキニルから選
択され;また、“−”は,共有結合性を示す。]
【請求項2】
式II:
−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−(II)で表されるドメインを有する実質的に純粋な合成GD2リガンド又は組換えGD2リガンド。
[式中、
X1は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4はG、C、若しくはY、又はその類似体である。
X5はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6はT、又はA、又はそれらの類似体である。
X7はN、又はその類似体である。
X8はY、又はその類似体である。
X9はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である;
また、“−”は共有結合を示す。]
【請求項3】
リガンドがX1からX13までのいずれかの二つの間に更に環式結合を特徴とする請求項1又は2記載のGD2リガンド。
【請求項4】
リガンドが、GGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1記載のGD2リガンド。
【請求項5】
ドメインがGGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択されることを特徴とする請求項2記載のGD2リガンド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載のGD2リガンドを有効量投与することを含む、疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患に罹患した患者を治療する方法。
【請求項7】
患者から採取した細胞が請求項1〜5のいずれか記載のGD2リガンドに結合するかどうかを決定することを含む、疾患細胞がGD2を発現させることを特徴とする疾患の診断方法。
【請求項8】
インビトロで実施されることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
インビボで実施されることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項10】
患者に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の有効量を投与することを更に含む請求項6記載の方法。
【請求項11】
請求項1から5のいづれかのGD2リガンドが、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と共に含まれる医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいづれか記載のGD2リガンドと、GD2活性の調節又はGD2発現細胞の検出のためのGD2リガンドの使用説明書とを含む商業用パッケージ。
【請求項13】
GD2リガンドが、組換えT細胞受容体であることを特徴とする請求項2記載のGD2リガンド。
【請求項14】
組換えT細胞受容体が細胞障害性T細胞株において発現することを特徴とする請求項13記載のGD2リガンド。
【請求項15】
実質的に上記において説明し、また、実施例に示される単離されたGD2リガンド。
【請求項16】
細胞株を形質転換してGD2を発現する形質転換細胞を得、該形質転換細胞を有効量の請求項1又は2記載のGD2リガンドで処理することを特徴とする細胞株のアブレーション(ablating)法。
【請求項17】
疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患を治療する薬物を処方する請求項1から5のいづれかのGD2リガンドの使用。
【請求項18】
疾患が癌であることを特徴とする請求項17記載のGD2リガンドの使用。
【請求項19】
癌が神経芽腫であることを特徴とする請求項18記載のGD2リガンドの使用。
【請求項20】
推定上のGD2リガンドを同定又は確認するためのスクリーニング方法は以下のステップから成る:
a)会合性に利用可能なGD2成分及びp56Lck成分を有するシステムに推定上のGD2リガンドを投与し、
f)システムにおけるGD2とp56Lck成分との会合性又は機能的関係を測定する。
【請求項21】
推定上のGD2リガンドが、ポリペプチド、又は同じ活性基若しくは類似の側鎖官能基を有するぺプチド模倣体等の非ペプチド性類似体を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
推定上のGD2リガンドが、テネイシンRに由来することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
システムが、GD2及びp56Lckを発現する細胞であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
GD2成分が、未変性のGD2であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
p56Lck成分が未変性のp56Lckであることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項26】
GD2及びp56Lck成分との会合性がp56Lck成分のキナ-ゼ活性を決定することによって、測定されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項1】
式I:
Z1−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−Z2 (I)で表される実質的に純粋なGD2リガンド。
[式中、
X1 は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2 は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3 はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4 はG、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X5 はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6 はT、又はA、又はそれらの類似体である。
X7 はN、又はその類似体である。
X8 はY、又はその類似体である。
X9 はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である。
Z1がH2N−、RHN−、又はRRN−の式のN末端基である。
Z2が−C(O)OH、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NHR、−C(O)NRRの式のC末端基である。
それぞれの場合におけるRが、独立して(C1−C6)アルキル、(C1
−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、置換(C1−C6)アルキ
ル、置換(C1−C6)アルケニル、置換(C1−C6)アルキニルから選
択され;また、“−”は,共有結合性を示す。]
【請求項2】
式II:
−X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−(II)で表されるドメインを有する実質的に純粋な合成GD2リガンド又は組換えGD2リガンド。
[式中、
X1は存在せず、又はY、若しくはその類似体である。
X2は存在せず、又はC、若しくはその類似体である。
X3はG、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X4はG、C、若しくはY、又はその類似体である。
X5はI、若しくはC、又はそれらの類似体である。
X6はT、又はA、又はそれらの類似体である。
X7はN、又はその類似体である。
X8はY、又はその類似体である。
X9はN、若しくはG、又はそれらの類似体である。
X10はS、C、V、若しくはT、又はそれらの類似体である。
X11はA、C、Y、H、若しくはS、又はそれらの類似体である。
X12は存在せず、或いはL、C、若しくはY、又はそれらの類似体である。
X13は存在せず、或いはM、若しくはY、又はそれらの類似体である;
また、“−”は共有結合を示す。]
【請求項3】
リガンドがX1からX13までのいずれかの二つの間に更に環式結合を特徴とする請求項1又は2記載のGD2リガンド。
【請求項4】
リガンドが、GGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1記載のGD2リガンド。
【請求項5】
ドメインがGGITNYNSALM;YCGGITNYNSACY;YCITNYNSCY;YCGGITNYNCY;YCTNYGVHCY;YCTNYGVCY;GGIANYNTS;YCGGIANYNCY;YCGGIANYNTSCY;及びYCIANYNTCYから成るグループから選択されることを特徴とする請求項2記載のGD2リガンド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載のGD2リガンドを有効量投与することを含む、疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患に罹患した患者を治療する方法。
【請求項7】
患者から採取した細胞が請求項1〜5のいずれか記載のGD2リガンドに結合するかどうかを決定することを含む、疾患細胞がGD2を発現させることを特徴とする疾患の診断方法。
【請求項8】
インビトロで実施されることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
インビボで実施されることを特徴とする請求項6又は7記載の方法。
【請求項10】
患者に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の有効量を投与することを更に含む請求項6記載の方法。
【請求項11】
請求項1から5のいづれかのGD2リガンドが、有効量の顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と共に含まれる医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいづれか記載のGD2リガンドと、GD2活性の調節又はGD2発現細胞の検出のためのGD2リガンドの使用説明書とを含む商業用パッケージ。
【請求項13】
GD2リガンドが、組換えT細胞受容体であることを特徴とする請求項2記載のGD2リガンド。
【請求項14】
組換えT細胞受容体が細胞障害性T細胞株において発現することを特徴とする請求項13記載のGD2リガンド。
【請求項15】
実質的に上記において説明し、また、実施例に示される単離されたGD2リガンド。
【請求項16】
細胞株を形質転換してGD2を発現する形質転換細胞を得、該形質転換細胞を有効量の請求項1又は2記載のGD2リガンドで処理することを特徴とする細胞株のアブレーション(ablating)法。
【請求項17】
疾患細胞にGD2を発現させることを特徴とする疾患を治療する薬物を処方する請求項1から5のいづれかのGD2リガンドの使用。
【請求項18】
疾患が癌であることを特徴とする請求項17記載のGD2リガンドの使用。
【請求項19】
癌が神経芽腫であることを特徴とする請求項18記載のGD2リガンドの使用。
【請求項20】
推定上のGD2リガンドを同定又は確認するためのスクリーニング方法は以下のステップから成る:
a)会合性に利用可能なGD2成分及びp56Lck成分を有するシステムに推定上のGD2リガンドを投与し、
f)システムにおけるGD2とp56Lck成分との会合性又は機能的関係を測定する。
【請求項21】
推定上のGD2リガンドが、ポリペプチド、又は同じ活性基若しくは類似の側鎖官能基を有するぺプチド模倣体等の非ペプチド性類似体を含むことを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
推定上のGD2リガンドが、テネイシンRに由来することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
システムが、GD2及びp56Lckを発現する細胞であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項24】
GD2成分が、未変性のGD2であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項25】
p56Lck成分が未変性のp56Lckであることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項26】
GD2及びp56Lck成分との会合性がp56Lck成分のキナ-ゼ活性を決定することによって、測定されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2006−516241(P2006−516241A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536722(P2004−536722)
【出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001389
【国際公開番号】WO2004/026895
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(505103965)マクギル ユニヴァーシティー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001389
【国際公開番号】WO2004/026895
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(505103965)マクギル ユニヴァーシティー (1)
【Fターム(参考)】
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