説明

GEM−ジフルオロ化されたC−グリコペプチド及びその調製並びに生物学的物質の保存及び/又は凍結外科への使用

本発明は、化学式(I)を有するgem-ジフルオロ化されたC-グリコペプチド化合物に関し、ここにおいてNは1と5との間の整数であり、R4=H、AA1、AA1-AA2であり、R5=OH、AA1、AA1-AA2であり、AA1及びAA2は独立しており、非官能性側鎖を有するアミノ酸であり、R1、R2、R3は独立した基であり、それらの内の1つは化学式(II)に等しく、ここにおいてnは3と4との間の整数であり、Y、Y'は独立した基であり、ここでY、Y'=H、OR、N3、NR'R''、SR'''であり、ここでR=H、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基であり、R'、R''=H基、アルキル基、アリル基、ベンジル基、トシレート基、C(=0)-アルキル基、C(=O)-Bn基であり、R'''=H基、アルキル基、アセテート基であり、R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-グリコシド基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tertブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であり、R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP''であり、ここでGP'及びGP''はアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であるか否かであり、R8は水素原子H若しくは遊離型若しくは保護されたアルコール官能基である。これは特に生物学的物質の保存及び凍結外科に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はgem-ジフルオロ化されたC-グリコペプチド化合物の合成方法に関する。本発明は、限定するものではないが、生物学的物質の保存及び凍結外科に特に利用可能な化合物若しくは組成物の調製に特に適用される。
【背景技術】
【0002】
不凍化生体化合物、特に糖タンパク質は自然界に存在している。これらは例えばある種の魚類に存在している化合物であり、これによって魚類は低温環境すなわち、ゼロ度近傍若しくは氷点下においても生き延びることが可能となる。
【0003】
更に、水が凍結するとき、この現象は氷の3次元成長に起因する体積の増加を伴うことが知られている。
【0004】
かかる増加、及びその結果生じる浸透作用は、生きた組織に深刻なダメージを与える。すなわち細胞膜が破裂し、血液の流れが止まり、細胞の微細構造が乱される。
【0005】
何年もの間、科学者は自然界(魚類、両生類、植物、昆虫等)から取り出された不凍化化合物が如何にしてこれらの現象に影響するのかを研究してきた。
【0006】
これら化合物はとりわけタンパク質及び糖タンパク質である。十分に安定で且つその活性が天然の分子の活性に対して少なくとも同等若しくは優れている商業用の用途になる類似する化合物の合成に対する徹底的な研究が集中的に行なわれている。
【0007】
オジディック(osidic)結合(アノマー位にあるといわれている酸素が含まれた結合)の存在に起因して、糖タンパク質はグリコシダーゼ酵素を含むいくつかの酵素系に比べて脆弱であり、更に酸塩基の加水分解に対して影響を受け易く、よってそれらを合成することをより困難にしている。
【0008】
従って、これらの化合物がこれらの生物学的特性を維持することが可能となるように、オジディック結合内の酸素を交換して、かかる結合がもはや酵素プロセスによって劣化されないようにすることに対して興味がもたれている。
【0009】
酸素がCH2基によって置き換えられている類似物質が合成されてきたが、安定性が増加しており、且つ立体障害が酸素の立体障害と類似しているにもかかわらず、CH2基はオジディック酸素の良好な模倣体であるとは常に認められていない。結果的に、冒頭の化合物の生物学的特性は常に見出されていない。
【0010】
酸素が窒素若しくは硫黄に置き換えられたり、最近ではジフルオロメチレン基に置き換えられたりした、その他の化合物の種類が研究されており、生体媒質内の複合糖質化合物の安定性を増加することが期待されている。
【0011】
CF2基は生化学的分解プロセスに対して特定の抵抗を示しており、従って非加水分解型構造の合成を可能にする。
【0012】
かかるO/CF2転移は、電子準位において酸素の模倣に特に良好に適合しているようである。すなわち、2つのフッ素原子が2つの無酸素二重項(doublet)として機能している。
【0013】
かかる化合物は数多くの用途に使用可能であり、例えば、細胞、血小板、組織、及び器官の保存や凍結外科がある。
【0014】
現在使用されている方法よりもより少ないダメージで済むように、精子、胚珠、及び胎芽を含む代替することができない生体細胞の貯蔵及び保存を改善することに関する高い需要が存在している。
【0015】
保存との用語は一般的に異なる温度において保存することが含まれ、これには-196℃まで低下した温度での低温保存が含まれる。
【0016】
従って、保存用の補助として使用され且つ良好な安定性を有する化合物は、特に以下のものを含む生物学的物質の保存に有用である。
【0017】
- 時間の制約なく移植される腎臓、心臓、及び肝臓等の全ての人間の臓器の保存用
- 最小のダメージで済む繊細な組織の貯蔵用、及びオプションとしての国際的な流通が可能となる十分に長期間に亘る貯蔵用
- 血小板及び細胞の保存用
- ある種の生命体、バクテリア、ウィルス若しくはワクチンの防御用
凍結療法とも称される凍結外科は、液体窒素(若しくはアルゴンガス)によって生じる極低温を使用しており、よって正常でない組織を破壊する。
【0018】
これは皮膚腫瘍等の外部の腫瘍の治療に利用されているが、体内、特に前立腺及び肝臓の腫瘍の治療にも利用されている。研究者は、乳がん、大腸がん及び腎臓がんを含むある種のがんの治療に凍結外科を試験してきた
更に、いくつかの研究が報告されており、そこにはある濃度(5乃至10mg/ml)において、不凍化糖タンパク質及びタンパク質は針状体(spicule)形状の氷晶を生成し、これは凍結の際の細胞破壊及び死滅の確率を高める。不凍化糖タンパク質及びタンパク質によって変質される当該氷晶の性質は、凍結外科と併せて使用された場合に、ある種のがんの治療への適用に対して高い関心が持たれている。
【0019】
従って、本発明の目的は上記に記載した欠点を解決することである。
【発明の開示】
【0020】
かかる目的のため、以下の一般的な化学式Iを有するgem-ジフルオロ化されたC-グリコペプチドが提供され、
【0021】
【化1】

【0022】
ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R4=H、AA1、AA1−AA2であり、
R5=OH、AA1、AA1−AA2であり、
AA1及びAA2は独立しており且つ非官能性側鎖を有するアミノ酸を示しており、
R1、R2、R3は独立した基であり、R1=R2=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3である場合は、R3=
【0023】
【化2】

【0024】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但し、R=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(O)-Bn等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基である。
【0025】
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-グリコシド基、CH2-OGP基であり、ここにおいてGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここにおいてGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基であり、
R1=R3=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3の場合は、R2=
【0026】
【化3】

【0027】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但しR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基、であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-グリコシド基、CH2-OGP基であり、ここにおいてGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基等の保護基であり、
R7=0H、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここにおいてGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基であり、
R2=R3=H、CH3、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3の場合は、R1=
【0028】
【化4】

【0029】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但しR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-グリコシド基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であり、
R7=0H、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基である。
【0030】
R4及びR5の官能基においては、アミノ酸AA1及びAA2は非官能性側鎖を伴ったアミノ酸であり、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン等の非極性である。
【0031】
R6官能基においては、配糖体は任意の糖であっても良く、例えばブドウ糖、ガラクトース、マンノース、等である。
【0032】
本発明の一変形例においては、gem-ジフルオロ化されたC-グリコペプチド化合物は化学式IIを有し、
【0033】
【化5】

【0034】
であり、ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R1、R2、R3は独立した基であり、
R1=R2=H、CH3である場合は、R3=
【0035】
【化6】

【0036】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり
ここにおいてY、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但しR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(=O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基を有し、
R1=R3=H、CH3、である場合は、R2=
【0037】
【化7】

【0038】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但しR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子Hであるか若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基であり、
R2=R3=H、CH3、である場合は、R1=
【0039】
【化8】

【0040】
であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
但しR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(=O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基、であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート基(Ac)、等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP1及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基である。
【0041】
第2の変形例においては、かかる化合物はより明確であって、以下の一般的な化学式IIIを有しており、
【0042】
【化9】

【0043】
ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
nは3と4との間の整数であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基 (Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子であるか若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基であり、
R9=H、CH3であり、
R10=H、CH3であり、
R11は水素原子(H)であるか若しくはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基等の保護基である。
【0044】
一般的な化学式I乃至IIIを有する該化合物が薬剤として許容され得る基準の状態の場合は、酸、水和物若しくは溶媒和物に添加される塩及びその任意の誘導体が、使用に適した異なる製剤形態に生成される。これには例えば溶液や懸濁液があり、オプションとして注射可能な物質もある。
【0045】
一般的な化学式II及びIIIの化合物並びに一般的な化学式Iのいくつかの化合物は、一般的な化学式Iの化合物用の合成中間体であっても良い。
【0046】
いくつかの組成物は、一般的な化学式I、II若しくはIII又はその誘導体のうちの1つ又は薬剤として許容可能な無機物若しくは有機酸に添加することによって得られるその塩のうちの1つの少なくとも1つの化合物を含んでも良い。
【0047】
更に、一般的な化学式I乃至IIIの該化合物は、以下に示す一般的な化学式IVを有する化合物と、一般的な化学式Vを有する化合物との間の反応によって調製されても良く、一般的な化学式IVは、
【0048】
【化10】

【0049】
であり、ここにおいて、
Y、Y'は独立した基であり、
ここでY、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''等であり、
ここにおいてR=H、Bn、Ac、TMS、TBDMS、TBDPS等であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基(Ts)、C(=O)-アルキル基、C(=O)-Bn基等であり、
R'''=H基、アルキル基、Ac基であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、CH2-グリコシド基、等の保護基であり、
R7はOH、OGP'、NH2、N3、NHGP、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基(Bn)、トリメチルシリル基(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、アセテート(Ac)基、等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子Hであるか若しくは遊離基若しくは保護されたアルコール官能基であり、
一般的な化学式Vは、
【0050】
【化11】

【0051】
であり、ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R15=H、AA1、AA1−AA2若しくは保護基であり、
R16=OH、AA1、AA1−AA2若しくは保護基であり、
AA1及びAA2は独立した基であって非官能性側鎖を有するアミノ酸を示しており、
R12、R13、R14は独立した基であり
R12=R13=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3の場合は、R14は-(CH2)n-NH2であり、ここにおいてnは3と4との間の整数であり、
R12=R14=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3の場合は、R13は-(CH2)n-NH2であり、ここにおいてnは3と4との間の整数であり、
R13=R14=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3の場合は、R12は-(CH2)n-NH2であり、ここにおいて3と4との間の整数である。
【0052】
蒸留水、ブドウ糖、でんぷん、乳糖、タルク、植物性油脂、エチレングリコール等の薬剤として許容可能な不活性非毒性賦形剤物質に加えて、このようにして得られた組成物群には更に保存剤が含まれても良い。
【0053】
他の有効成分がこれら組成物に添加されても良い。
【0054】
本発明による化合物の量及び該組成物内の他のオプションとしての有効成分は用途、服用時の患者の年齢及び体重に応じて変更可能である。
【実施例】
【0055】
本発明の化合物の調製例が、限定されない例として添付図面を参照しつつ以下に記載されている。
【0056】
使用している略語は以下の通りである。
【0057】
eq.:等量
g:グラム
Hz:ヘルツ
mg:ミリグラム
MHz:メガヘルツ
min.:分
mL:ミリリットル
mmol:ミリモル
μmol:マイクロモル
nmol:ナノモル
本出願に記載されている全ての化合物の分析に使用する機器の特徴を以下に示す。
【0058】
1H、13C、及び19FのNMRスペクトルがブルカー社(BRUKER)のDPX300及びDPX600スペクトロメータに記録された。1H及び13CのNMRに対しては、内部基準としてテトラメチルシランが用いられた。19FのNMRに対しては、外部基準はフルオロトリクロロメタンCFCl3であった。化学シフトは百万分の一(ppm)で示され、結合定数Jはヘルツ(Hz)の単位で示される。
【0059】
以下の略語を用いた。すなわち、sは一重項、bsは広い一重項、dは二重項、tは三重項、qは四重項、mは多重項、ddは二重項の二重項等である。
【0060】
質量スペクトルがマイクロマス社(Micromass)タイプの分光光度計TOF-SPEC、E20kV、α-cyanoで得られた。MALDIのイオン化は、JEOL社のAX500、3kV、Canon社のFAB、JEOL社、Xe、4kVであり、作動限度(courant limite)は10μAであり、FABイオン化はGIy-NBAの50:50であった。
【0061】
カラム・クロマトグラフィによる分離が低圧下で行なわれ、以下のクロマトグラフィ技術がKiesel60のシリカゲル(230-400メッシュ、メルク社(Merck))に用いられた。Kieselゲル60F-254-0.25mmプレートを用いた薄層クロマトグラフィ(TLC)によってフォローアップが行なわれた。レシオ対フロント(Rf)は所与のサポート上の化合物の移動距離と溶離剤の移動距離との間の比である。
【0062】
以下の図は、次に示す組成式を有するgem-ジフルオロ化された複合糖質化合物の調製を説明している。
【0063】
【化12】

【0064】
最初のラクトン1の調製
最初に、ラクトン1がメチルガラクトピラノシド2のベンジル化(図1)、アノマー位の脱保護(図2)、それに続く酸化(図3)、によって調製される。
【0065】
ジメチルホルムアルデヒドDMF(250ml)内のメチル-D-ガラクトピラノシド2(5g;26mmol;1eq.)及びテトラブチルアンモニウムのヨウ化物nBu4NI(500mg;1.3mmol;0.05eq.)が含まれている不活性雰囲気のフラスコに、少量の水素化ナトリウムNaH(3.7g;0.15mol;6eq.)を添加する。その後臭化ベンジルBnBr(18ml;0.15mol;6eq.)が添加され、当該混合物を攪拌しながら少なくとも36時間放置した。
【0066】
該媒質を水に加水分解する。その後、エーテルを用いて水相を3回抽出する。有機相群をその後収集し、水中で数回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して脱水する。
【0067】
得られた該製品をシリカのカラムを用いたクロマトグラフィで、9対1の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合物を用いて溶出して精製した。収集した部分を濃縮した後、該製品3は白い結晶形態をしており、重量収率は95%である。
【0068】
製品3の特性
Rf:0.38(シクロヘキサン/エチルアセテート8/2)。
【0069】
C35H38O6 M=554.67g.mol-1
80mLの酢酸4中の1-O-メチル-2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-ガラクトピラノース3(5.5g;9.92mmol)が含まれているフラスコに、11mLの硫酸H2SO4が3Mのモル濃度で添加された。該反応媒質を100℃まで1時間に亘って加熱した。該溶液をその後100 mLの冷水に希釈した。
【0070】
該混合物を100mLのトルエンで4回抽出した。有機相群が収集され、その後100mLの炭酸水素ナトリウムNaHCO3の飽和溶液で洗浄し、最後に100mLの水で洗浄した。有機相をその後硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過して濃縮した。
【0071】
得られた該製品を、シリカカラム・クロマトグラフィを用いて、8.5対1.5の比率シクロヘキサン/エチルアセテート混合物によって溶出せしめて精製した。収集した部分を濃縮した後、該製品5は白い結晶形態であり、重量収率は75%である。
【0072】
製品5の特性
Rf:0.65(シクロヘキサン/エチルアセテート6/4)。
【0073】
C34H36O6 M=540.65g.mol-1
2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-ガラクトピラノース5(4g;7.4mmol)が含まれている不活性雰囲気のフラスコに、ジメチルスルホキシドDMSO(25.6mL)及び無水酢酸Ac2O(16.8mL)が添加された。該混合物を攪拌しながら12時間放置した。炭酸水素ナトリウムNaHCO3の飽和溶液を添加し、その後水相をエーテルで4回抽出する。有機相群を収集して水で5回洗浄した。該有機相をその後硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して濃縮した。
【0074】
該製品をその後シリカのクロマトグラフィカラムで溶離剤として8対2の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合物を用いて精製した。収集した部分を濃縮した後、無色の油分の形態であるラクトン1は重量収率が82%であった。
【0075】
製品1の特性
Rf:0.61(シクロヘキサン/エチルアセテート8/2)。
【0076】
C34H34O6 M=538.63g.mol-1
NMR1H(CDCl3、300MHz)
3.6(m、2H、H6);3.8(dd、2.1-9.6、1H、H3);4.1(s、1H、H4);4.2(m、1H、H5);4.4-5.1(m、9H、H2;4OCH2Bn);7.2(m、20H、Har.)
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
67.4(C6);72.4(C5);72.6(OCH2Bn);73.5(OCH2Bn);74.5(C4);75.1(OCH2Bn);77.1(C2);79.9(C3);127.4-128.3(Car.);137.2;137.3;137.6(Car.quat.);169.8(CO)。
【0077】
gem-ジフルオロエステル化合物7の調製
ブロモジフルオロエステルのラクトン1への添加はリフォーマツキ(Reformatsky)反応を用いて行なわれる(図4)。
【0078】
予め活性化されて磨かれた亜鉛Zn(1.7g;26mmol;7eq.)が含まれている不活性雰囲気のフラスコに、テトラヒドロフランTHF(30mL)が添加された。該媒質をリフラックス(reflux)条件下におき、その後THF(30mL)内にあるラクトン1(2g;3.7mmol;1eq.)とエチルブロモジフルオロアセテート6(1.42mL;11mmol;3eq.)との混合物を滴下しながら添加した。
【0079】
該反応をリフラックス条件下で3時間に亘って放置した。常温に戻すや否や、亜鉛が濾過された。1Nの塩酸HCl(60mL)溶液及びその後でジクロロメタン(6mL)を該反応媒質に添加した。
【0080】
水相及び/又は有機相が分離されて水相を再度ジクロロメタンで2回抽出した。有機相群を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。
【0081】
該製品をその後シリカのクロマトグラフィカラムにおいて8対2の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合物で溶出して精製した。収集した部分を濃縮した後、該製品7は白い結晶形態をしており重量収率は82%である。
【0082】
製品7の特性
Rf:0.35(シクロヘキサン/エチルアセテート8/2)。
【0083】
C38H40F2O8 M=662.72g.mol-1
NMR19F(CDCl3;282.5MHz)
-118.4(d、JF-F=256Hz);-120.2(d、JF-F=256Hz)。
【0084】
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.1(t、7.2、3H、CH3);3.4-3.5(m、2H、H6);3.7-3.8(dd、2.5-9.5、1H、H3);3.8(d、2、1H、H4);4-4.1(m、3H、H5;CH2);4.25-4.85(m、9H、H2;4OCH2Bn);7.2(m、20H、Har)。
【0085】
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
14.2(CH3);63.6(CH2);68.6(C6);71.7(C5);73.2(OCH2Bn);73.9(OCH2Bn);74.1(C4);74.9(OCH2Bn);75.1(C2);75.8(OCH2Bn);81.2(C3);96.9(t、27Hz、C1);113(t、264Hz、CF2);128.0-128.9(Car.);138.2;138.3;138.6;139.1(Car.quat.);163.3(t、31Hz、CO2Et)。
【0086】
ペプチド鎖の添加用の第1の接近経路
ペプチド鎖の添加は2つの異なる方法によって実施することが可能である。第1はリジン-アラニン-アラニンモノマーの合成を使用する方法である。先ず、ジフルオロエステル基に反応する第1アミノ酸を添加する(図5)。第1糖アミノ酸を得た後、リジンのエステルをけん化し(図6)、その後アラニン-アラニンユニットをペプチド結合を経て添加する(図7)。
【0087】
得られたモノマーのN末端基その後O末端基をその後脱保護し(図8及び9)、最後にガラクトシドユニットの脱ベンジル化を行なう(図10)。
【0088】
A)第1アミノ酸の添加(図5)
溶液中の開始製品7(50mg;0.075mmol;1eq.)及びジクロロエタン(3mL)中のBoc-リジン-OMe8(48mg;0.15mmol;2eq.)のアセテートが含まれている不活性雰囲気のフラスコに、トリエチルアミンEt3N(53μl;0.375mmol;5eq.)の添加が行なわれる。該混合物をリフラックス条件化で48時間に亘って加熱し、その後水で加水分解してジクロロメタンで3回抽出した。有機相群を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。
【0089】
該溶液を蒸発した後、該混合物をシリカカラムのクロマトグラフィで溶離剤として7対3の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合物を用いて精製した。収集した部分を濃縮した後、該製品9は白い結晶形態を有して重量収率は84%であった。
【0090】
製品9の特性
Rf:0.58(シクロヘキサン/エチルアセテート7/3)。
【0091】
C48H58F2N2O11 M= 876.98 g.mol-1
NMR19F(CDCl3、 282.5 MHz)
-117.1(d、JF-F=260Hz);-121.8(d、JF-F=260Hz)。
【0092】
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.1(m、2H、CH2);1.2-1.5(m、2H、CH2);1.3(s、9H、(CH3)3C);1.6(m、2H、CH2);3.0-3.1(m、2H、 CH2NH);3.4-3.5(m、2H、H6);3.6(s、3H、OCH3);3.8(m、2H、H3;H4);4.1(m、2H、CHNH(Lys);H5);4.2-4.9(m、8H、4OCH2Bn);4.3(d、3.3、1H、H2);5(s、2H、2NH);6.7(s、1H、1NH);7.2(m、20H、Har.).
NMR13C(CDCl3、75.5 MHz)
22.9(CH2);27.3(CH2);28.7((CH3)3C);32.4(CH2);39.4(CH2N);52.7(OCH3);53.6(NCHLys);68.7(C6);71.1(C5);73.4及び73.7(2OCH2Bn);74.5(C4);75.0(OCH2Bn;C2);75.8(OCH2Bn);80.3((CH3)3C);80.9(C3);97.1(t、28Hz、C1);112.8(t;260Hz);128.0-128.9(Car.);138.2;138.3;138.7;139.0(Car.quat.);155.9(CO(Boc));164.1(t、28Hz、CF2CONH);173.6(CO2Et)。
【0093】
B)リジンエステルの鹸化(図6)
THF(10mL)中の開始製品9(1.25g;1.43mmol;1eq.)が含まれているフラスコに、水溶液(1mL)内のリシン(lithine)LiOH(70mg;2.9mmol;2eq.)を添加し、該混合物を反応せしめるべく24時間に亘って放置した。反応媒質をその後ジクロロメタンに収集した。1Nの塩酸HCl(5mL)溶液を添加した。水相をジクロロメタンで3回抽出した。有機相群を収集し、水(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。得られた該製品10は白色固体の形態を有し多くの重量収率が得られた。
【0094】
製品10の特性
C47H56F2N2O11 M=862.95 g.mol-1
NMR19F(CDCl3、282.5MHz)
-117.2(d、JF-F=260Hz);-121.5(d、JF.F=260Hz).
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.2(m、2H、CH2);1.3-1.5(m、2H、CH2);1.3(s、9H、(CH3)3C);1.6(m、2H、CH2);3.0-3.1(m、2H、CH2NH);3.4-3.5(m、2H、H6);3.8(m、2H、H3;H4);4.1(m、2H、CHNH(Lys);H5);4.2-4.9(m、8H、4OCH2Bn);4.4(d、3.4、1H、H2);5.1(d、7.5、1H、NH);6.6(s、1H、NH);7.2(m、20H、Har.)。
【0095】
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
22.6(CH2);27.3(CH2);28.7((CH3)3C);32.0(CH2);39.4(CH2N);53.7(NCH Lys);68.7(C6);71.1(C5);73.4及び73.7 (2OCH2Bn);74.4(C4);74.9(C2);75.0(OCH2Bn);75.8(OCH2Bn);80.5((CH3)3C);80.9(C3);97.0(t、28Hz、C1);112.8(t;260Hz);127.9-128.9(Car.);138.1;138.2;138.6;139.0(Car.quat.);156.2(CO(Boc));164.0(t、28Hz、CF2CONH);176.7(CO2H)。
【0096】
C)ペプチド結合によるアラニン-アラニンユニットの添加(図7)
ジクロロメタン(15mL)中の酸10(520mg;0.6mmol;1eq.)が含まれている不活性雰囲気のフラスコに、カルボニルジイマドザルCDI(117mg;0.72mmol;1.2eq.)の添加が行なわれる。該混合物を攪拌しつつ1時間放置した。その後トリフルオロアセテート-アラニン-アラニン-OMe11(229mg;0.79mmol;1.3eq.)と、ジクロロメタン(15mL)内のジイソプロピルエチルアミンDIEA(347μL;1.99mmol;3.3eq.)と、からなる不活性雰囲気で調製された溶液を当該混合液に添加し、反応媒質を攪拌しながら36時間放置した。該混合物をその後水で加水分解し、続けてジクロロメタンで3回抽出した。有機相群を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。
【0097】
溶媒を蒸発せしめた後、該混合物をシリカカラムを用いたクロマトグラフィで溶離剤として3対7の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合液を用いて精製した。収集した部分を濃縮した後、該製品12は白い結晶形態を有して重量収率は55%であった。
【0098】
製品12の特性
Rf:0.46(エチルアセテート)。
【0099】
C54H68F2N4O13 M=1019.13 g.mol-1
NMR19F (CDCl3、282.5MHz)
-116.9(d、JF-F=260Hz);-121.7(d、JF-F=260Hz).
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.2-1.4(m、10H、2CH3;2CH2);1.3(s、9H、(CH3)3C);1.6(m、2H、CH2);3.0-3.2(m、2H、NHCH2);3.4-3.5(m、2H、H6);3.6(s、3H、OCH3);3.8-3.9(m、2H、H3;H4);4.0(m、1H、CHNH(Lys));4.1(t、6.2、1H、H5);4.2-4.9(m、10H、4OCH2Bn;2CH(AIa));4.3(d、.,3、1H、H2);5.3(d、6.4、2H、2NH);7(m、1H、NH);7.2(m、20H、Har.).
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
18.3及び18.6(2CH3);22.8(CH2);28.7((CH3)3C及びCH2);32.1(CH2);39.3(CH2N);48.5及び49.2(2CH Ala);52.9(OCH3);54.8(NCH Lys);68.7(C6);71.1(C5);73.5及び73.7(2OCH2Bn);74.5(C4);75.0(OCH2Bn;C2);75.7(OCH2Bn);80.5((CH3)3C);80.8(C3);97.1(t、27Hz、C1);127.9-128.9(Car.);138.2;138.3;138.7;139.0(Car.quat.);156.0(CO(Boc));164.2(t、28Hz、CF2CONH);172.3及び172.5(2CONH);173.6(CO2Et).
D)得られたモノマーのN末端基その後O末端基の脱保護(図8及び9)
ジクロロメタン(10mL)中の開始製品12(0.607mg;0.6mmol;1eq.)が含まれる不活性雰囲気のフラスコに、トリフルオロ酢酸TFA(900μL;12mmol;20eq.)の添加を行なう。該混合物を反応せしめるべく12時間に亘って放置し、その後反応媒質を濃縮する。トルエンを用いて4乃至5回の同時蒸発を行ない、無色の油分の形態を有する製品13が多くの収率で得られた。
【0100】
製品13の特性
C51H61F5N4O13 M=1033.04g.mor-1
NMR19F(CDCl3、282.5MHz)
-75.9;-116.9(d、JF-F=260Hz);-120.7(d、JF-F=260Hz).
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.2-1.4(m、10H、2CH3;2CH2);1.6(m、2H、CH2);3.0(m、2H、NHCH2);3.4(m、2H、H6);3.5(s、3H、OCH3);3.8-3.9(m、3H、CHNH(Lys);H3;H4);4.1(m、1H、H5);4.2-4.9(m、11H、4OCH2Bn;2CH(Ala);H2);7.2(m、20H、Har.).
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
17.7及び18.1(2CH3);21.9(CH2);28.5(CH2);31.0(CH2);39.1(CH2N);48.7及び50.0(2CH Ala);52.8(OCH3);53.7(NCH Lys);68.8(C6);71.2(C5);73.3及び73.8(2OCH2Bn);74.3(C4);75.0(OCH2Bn);75.1(C2);75.8(OCH2Bn);80.9(C3);97.1(t、27Hz、C1);127.9-128.9(Car.);138.1;138.3;138.6;138.9(Car.quat);162.0(qdt、34Hz、COCF3);164.2(t、28Hz、CF2CONH);169.4及び172.7(2CONH);173.6(CO2Et)。
【0101】
THF(5mL)中の開始製品13(671mg;0.65mmol;1eq.)が含まれているフラスコに、水溶液(1mL)内のリシン(lithine)LiOH(47mg;1.9mmol;3eq.)の添加が行なわれる。該混合物を反応せしめるべく12時間に亘って放置し、その後ジクロロメタンで収集する。1Nの塩酸HCl(4mL)溶液を添加して水相をジクロロメタンを用いて3回抽出した。有機相群を収集し、水(4 mL)で洗浄してから濃縮した。
【0102】
トルエンを用いて4乃至5回の同時蒸発を行ない微量の水分を除去し、白色固形形状の製品14が多くの収率で得られた。
【0103】
製品14の特性
C48H59ClF2N4O11 M=941.45g.mol-1
NMR19F(CD3OD、282.5MHz)
-120.4;-120.5.
NMR1H(CD3OD、300MHz)
1.2-1.3(m、12H、2CH3;2CH2);1.6(m、2H、CH2);3.0(m、2H、NHCH2);3.1(m、2H、H6);3.5(m、3H、CHNH(Lys);H3;H4);3.8-3.9(m、1H、H5);4.2-4.9(m、11H、4CH2OBn;2CH(Ala);H2);7.2(m、20H、Har.)。
【0104】
NMR13C(CD3OD、75.5MHz)
17.7及び18.1(2CH3);23.5(CH2);29.9(CH2);32.7(CH2);40.5(CH2N);49.7及び50.0(2CH Ala);53.7(NCH Lys);70.2(C6);72.4(C5);74.2及び74.7(2OCH2Bn);76.1及び76.6(2OCH2Bn);76.7(C4及びC2);82.1(C3);98.0(t、27Hz、C1)1 1 1.7(t、260Hz;CF2);129-130.6(Car.);139.7;140.1;140.2;140.5(Car.quat.);165.5(t、28Hz、CF2CONH);174.0及び174.5(CO)
E)ガラクトシドユニットの脱ベンジル化(図10)
酢酸CH3CO2H(5mL)と、テトラヒドロフランTHF(1.5mL)と、水(1.5mL)との混合物内の開始製品14(150mg;0.16mmol)が含まれるフラスコに、木炭上のパラジウムPd/Cのへら状の先端が水素雰囲気で設置されている。該混合物を攪拌しながら一晩中放置し、その後ミリポア(登録商標)フィルタで濾過する。該混合物をその後濃縮して白色固形形状を有する製品15が収率70%で得られた。
【0105】
製品15の特性
C20H35CIF2N4O11 M=580.96g.mol-1
NMR19F(CD3OD、282.5MHz)
-120.0(d、JF-F=258HZ);-121.3(d、JF-F=258HZ);-121.6(d、JF-F=258Hz);-123.0(d、JF-F=258Hz).
NMR1H(CD3OD、300MHz)
1.4(2d、7.7、6H、2CH3);1.3-1.5(m、2H、CH2);1.7(m、2H、CH2);1.9(m、2H、CH2);3.2(m、2H、NHCH2);3.7-3.8(m、4H、H6;H5;H3);4.2及び4.4(2m、2H、H2);3.9(m、1H、CHNH(Lys));4.3及び4.5 (2m、2H、2CH(AIa))
NMR13C(CD3OD、75.5MHz)
18.7及び18.9(2CH3);23.5(CH2);30.1(CH2);32.8(CH2);40.5(CH2N);50.9(2CH Ala);54.7(NCH Lys);64.7(C6);72.7(C5)、76.2、77.7(C4及びC2)、82.4(C3);100.6(C1);115.6(t、260Hz;CF2);165.5(CF2CONH);170.7及び174.6(CO)
Mass(FAB+):545(M+-Cl)
ペプチド鎖の調製用の第2の接近経路
これは、gem-ジフルオロエステル誘導体7の鹸化からなり、これはその後異なるペプチドと結合される。
【0106】
A)gem-ジフルオロエステル誘導体7の鹸化(図11)
THF(5mL)中のエステル7(0.5g;1.75mmol、1eq.)を含むフラスコに、最小量の水に溶解しているリシン(lithine)LiOH(84mg;3.5mmol、2eq.)の水溶液の添加が行なわる。該混合物を攪拌しながら12時間放置し、その後エチルアセテートで収集した。該混合物を1Nの塩酸水溶液で酸化し、その後エチルアセテートを用いて数回抽出した。有機相群を収集し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮した。製品16は白色油分の形態で多くの収率で得られた。
【0107】
製品16の特性
C36H36F2O8 M=634.66g.mol-1
NMR19F(CDCl3、282.5MHz)
-117.3(d、JF-F=259HZ);-119.0(d、JF-F=259Hz).
NMR1H(CDCl3、300MHz)
3.2(dd、4.5Hz及び9.8Hz、1H、H6);3.5(dd、7.7Hz及び9.8Hz、1H、H6);3.7(d、2Hz、1H、H4);3.8(dd、2.6Hz及び9.5Hz、1H、H3);4(dd、4.5Hz及び7.7Hz;1H、H5);4.3-4.9(m、9H、H2;4OCH2Bn);7.2(m、20H、Har).
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
69.4(C6);71.7(C5);73.5(OCH2Bn);74.0(OCH2Bn);74.1(C4);75.0(OCH2Bn);75.1(C2);75.9(OCH2Bn);80.8(C3);95.4(t、27Hz、C1);112.5(t、260Hz、CF2);127.8-129.0(Car.);137.6;138.0;138.1(Car.quat.);163.1(t、30Hz、CO2H).
B)qem-ジフルオロ化された化合物16に結合される異なるペプチドの調製
gem-ジフルオロ化された化合物16に結合されるペプチド群の各々が一連の脱保護反応及びペプチド結合を用いて調整される。
【0108】
2つのアラニンの間の第1の結合が行われる(図12)。
【0109】
ジクロロメタン(25mL)中のBoc-アラニン-OH17(1g;5.29mmol;1eq.)を含む不活性雰囲気のフラスコに、カルボニルジイマドザルCDl(882mg;5.44mmol;1.03eq.)の添加が行なわれる。該混合物を攪拌しながら1時間放置した。かかる混合液に、Cl-+H3N-アラニン-OMe18(738mg;5.29mmol;1eq.)と、ジクロロメタン(15mL)中のジイソプロピルエチルアミンDIEA(1.94mL;11.1mmol;2/1 eq.)とからなる不活性雰囲気で調製された溶液を添加した。該混合物を攪拌しながら36時間放置し、その後該媒質を水で加水分解してジクロロメタンで3回抽出した。有機相群を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。
【0110】
溶媒を蒸発した後、該混合物をシリカカラムを用いたクロマトグラフィで溶離剤として5対5の比率のシクロヘキサン/エチルアセテート混合液を用いて精製した。収集した部分を濃縮した後、製品19は白い結晶形態を有して重量収率は82%であった。
【0111】
製品19の特性
C12H22N2O5 M=274.31g.mol-1
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.3(2d、7.2、6H、2CH3);1.4(s、9H、((CH3)3C);3.7(s、3H、OCH3);4.2(m、1H、CH);4.6(m、1H、CH);5.2(d、7.4、1H、NH);6.9(s、1H、NH)
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
18.6及び18.8(2CH3);28.7((CH3)3C);48.3及び50.2(2CH);52.8(OCH3);80.4((CH3)3C);155.80(CO(BoC));172.8及び173.6(CONH及びCO2Et)
得られたジペプチド19のO末端基は脱保護化され、その後ジペプチド19はNで保護化されたリジンアミノ酸と結合する(図13)
1)ジペプチドユニットの脱保護
ジクロロメタン(20mL)中のBoc-アラニン-アラニン-OMe19(1g;3.8mmol;1eq.)を含む不活性雰囲気のフラスコに、トリフルオロ酢酸TFA(5.6mL;76mmol;20eq.)の添加が行われる。トルエンを用いて4乃至5回の同時蒸発が行なわれる。
【0112】
2)ペプチド合成
ジクロロメタン(20mL)中のBoc-リジン(Z)-OH20(1.32g;3.46mmol;1eq.)を含む不活性雰囲気のフラスコに、カルボニルジイマドザルCDI(560mg;3.56mmol;1.03eq.)の添加が行われる。該混合物を攪拌しながら1時間放置する。その後かかる製品に、前回の反応の際に得られたCF3CO2-+H3N-アラニン-アラニン-OMe(3.8mmol;1.1eq.)と、ジクロロメタン(20mL)中のジイソプロピルエチルアミンDIEA(1.26mL;7.27mmol;2.1eq.)とからなる不活性雰囲気で調製された溶液を添加する。該混合物を攪拌しながら36時間放置し、その後水で加水分解してジクロロメタンを用いて3回抽出した。有機相群を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過してその後濃縮した。
【0113】
溶媒を蒸発し、その後該混合物をシリカカラムを用いたクロマトグラフィでエチルアセテートを溶離剤として使用して精製した。収集した部分を濃縮した後、製品21は白い結晶形態を有して重量収率は66%である。
【0114】
製品21の特性
C26H40N4O8 M=536.62g.mol-1
NMR1H(CDCl3、300MHz)
1.3(d、7.2、6H、2CH3);1.4(s、9H、((CH3)3C)1.3-1.7(m、6H;3CH2);3.1(m、2H、NHCH2);3.7(s、3H、OCH3);4.1(m、1H、CHLys);4.6(m、2H、CHAIa);5.0(s、2H、PhCH2);5.6及び5.7(m、2H、2NH);7.3(m、5H、Har.);7.4(d、7Hz、14Hz、1H、NH).
NMR13C(CDCl3、75.5MHz)
18.1及び18.7(2CH3);22.7(CH2);28.7((CH3)3C);29.7(CH2);32.5(CH2);40.7(NCH2);48.4及び49.1(2CH);52.7(OCH3);54.6(CHLys);66.8(OCH2Bn);80.2((CH3)3C);128.3-128.8(Car.);137.1(Car.quat.);156.2及び157.1(CO(Boc)及びCO(Z));172.4、172.7及び173.6(2CONH及びCO2Et)。
【0115】
化合物21の側鎖に位置するアミノ基が水素化によって脱保護化される(図14)。得られた化合物22はその後、製品16と共に直接ペプチド結合に含まれ、以下の段落C)に記載する他の合成経路を経て前述した化合物12になる。
【0116】
メタノール(20mL)中の開始製品21(1.6g;3mmol)を含むフラスコに、水素雰囲気で木炭上のパラジウムPd/Cのへら状の先端が設置されている。該混合物を攪拌しながら一晩中放置し、その後ミリポア(登録商標)フィルタを介して濾過する。該媒質をその後濃縮する。製品22は白色粉末形状を有し多くの収率が得られた。
【0117】
製品22の特性
C18H34N4O6 M=402.49 g.mol-1
RMN 1H(CD3OD、300MHz)
1.4(2d、7.2Hz、6H、2CH3);1.5(s、9H、((CH3)3C)1.5-1.8(m6H;3CH2);2.7(m、2H、NHCH2);3.7(s、3H、OCH3);4(m、1H、CHLys);4.4(m、2H、CHAIa).
トリペプチドユニット群は、それらのN末端基(図15a)若しくはO末端基(図15b)において脱保護化され、それらのN末端基において脱保護化されたトリペプチドユニットと、それらのO末端基において脱保護化されたトリペプチドユニットとの間でペプチド合成が行われる(図15c)。
【0118】
N-脱保護化(図15a)
ジクロロメタン(40 mL)中にBoc-リジン(Z)-アラニン-アラニン-OMe21(2g;3.7mmol;1eq.)を含む不活性雰囲気のフラスコに、トリフルオロ酢酸TFA(5.5mL;75mmol;20eq.)の添加が行われる。該混合物を反応せしめるべく12時間に亘って放置され、その後濃縮される。トルエンと共に4乃至5回の同時蒸発が行なわれ、CF3CO2-+H3N-リジン(Z)-アラニン- アラニン-OMe 23が得られた。
【0119】
O-脱保護化(図15b)
エタノール(45mL)内のBoc-リジン(Z)-アラニン-アラニン-OMe 21(2g;3.7mmol;1 eq.)が含まれたフラスコに、水溶液(2mL)内のリシン(lithine)LiOH(107mg;4.5mmol;1.2eq.)を添加した。該混合物を反応せしめるべく12時間に亘って放置した。反応媒質をその後蒸発せしめ、その後ジクロロメタンを用いて収集した。1Nの塩酸HCl(20mL)水溶液を添加した。水相をジクロロメタンを用いて3回抽出した。有機相を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後濃縮してBoc-Lys(Z)-Ala-Ala-OH24を得た。
【0120】
ペプチド合成(図15c)
ジクロロメタン(50mL)内のBoc-リジン(Z)-アラニン-アラニン-OH 24(3.7mmol;1eq.)が含まれた不活性雰囲気のフラスコに、カルボニルジイマドザルCDI(665mg;4.10mmol;1.1 eq.)を添加した。該混合物を攪拌しながら1時間放置した。その後、かかる製品に、CF3CO2-+H3N-リジン(Z)-アラニン-アラニン-Ome23(3.7mmol;1eq.)、及びジクロロメタン(50mL)内のジイソプロピルエチルアミンDIEA(1.62mL;9.32mmol;2.5eq.)からなる不活性雰囲気で調製された溶液を添加した。該混合物を攪拌しながら48時間放置した。該媒質を水で加水分解し、その後ジクロロメタンで2回抽出し、更にクロロホルムで2回抽出した。有機相を収集し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過した後濃縮した。溶媒を蒸発せしめて該混合物をシリカカラムを用いたクロマトグラフィで9対1の比率のエチル/メタノール混合液で溶出して精製した。収集した部分を濃縮した後、製品25は白色粉末の形態をしており重量収率は56%である。
【0121】
製品25の特性
C46H68N8O13 M=941.08g.mol-1
NMR 1H(DMSO、300MHz)
1.3(m、12H、4CH3);1.4(s、9H、((CH3)3C)1.3-1.7(m 12H;6CH2);3.0(m、4H、2NHCH2);3.6(s、3H、OCH3);4.1(m、1H、CHLys);4.3(m、5H、5CHAla及びLys);5.0(s、4H、PhCH2);5.0(s、2H、PhCH2);6.9(m、1H、NH);7.3(m、5H、Har.).
NMR 13C(DMSO、75.5MHz)
17.2、18.3、18.4及び18.6(4CH3);22.8及び23.2(2CH2);28.5((CH3)3C);29.3及び29.5(2CH2);31.8及び32.0(2CH2);39.5及び39.8(2NCH2);47.8、48.0、48.2及び48.5(4CHAla);52.2(OCH3);52.6及び54.6(2CHLys);65.4(2OCH2Bn);78.4((CH3)3C);128.0及び128.6(Car.);137.6(Car.quat.);155.7及び156.4(CO(Boc)及び2CO(Z));171.3、172.3、172.4、172.5及び173.3(6CONH及びCO2Et).
化合物24の側鎖に位置するアミノ基が水素化によって脱保護化される(図16)。
【0122】
メタノール(10mL)中の開始製品25(400mg;0.43mmol)を含むフラスコに、水素雰囲気で木炭上のパラジウムPd/Cのへら状の先端が設置されている。該混合物を攪拌しながら一晩中放置し、ミリポア(登録商標)フィルタを介して濾過した。該媒質をその後濃縮した。製品26は白色粉末の形状を有し、多くの収率が得られた。
【0123】
製品26の特性
C30H56N8O9 M=672.81g.mol-1
NMR 1H(DMSO、300MHz)
1.2(m、12H、4CH3); 1.4(s、9H、((CH3)3C)1.3-1.7(m、12H;6CH2);2.6(m、4H、2NHCH2);3.6(s、3H、OCH3);3.8(m、1H、CHLys);4.2(m、5H、5CHAla及びLys).
Mass(ES+):696(M+Na);674(M+H)
C)gem-ジフルオロ化された化合物16のペプチド22との結合(図17)
酸16(2g;3.15mmol;1.05 eq.)と、ペプチド22(1.2g;3.0mmol;1eq.)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールHOBT(425mg;3.15mmol;1.05eq.)と、DMF(50mL)中のN-メチルモルホリンNMM(346μL;3.15mmol;1.05eq.)と、を含む不活性雰囲気のフラスコに、EDCI(604mg;3.15mmol;1.05eq.)の添加を行う。反応媒質を攪拌しながら48時間放置し、その後溶媒を蒸発して媒質を水-ジクロロメタン混合液に収集した。水相をジクロロメタンで3回抽出した。
【0124】
有機相群を収集し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮した。製品12は収率58%で得られた。かかる製品の特性は、既に求められている。
【0125】
D)gem-ジフルオロ化された化合物16のペプチド26との結合(図17)
酸16(200mg;0.32mmol;1eq.)と、ペプチド26(105mg;0.16 mmol;0.5eq.)と、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールHOBT(45mg;0.33mmol;1.05eq.)と、DMF(3mL)中のN-メチルモルホリンNMM(32μL;0.33mmol;1.05eq.)と、を含む不活性雰囲気のフラスコに、EDCI(63mg;0.33mmol;1.05eq.)の添加を行う。反応媒質を攪拌しながら48時間放置し、その後濃縮した。かかる媒質に水-ジクロロメタン混合液を添加した。水相はジクロロメタンを用いて3回抽出した。有機相を収集し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮した。白色粉末形状の製品27が収率35%で得られた。
【0126】
製品27の特性
C102H124F4N8O23 M=1906.11g.mol-1
19F NMR (CDCl3、282.5MHz)
-120.4
1H NMR(CD3OD、300MHz)
1.2(m、12H、4CH3);1.3(s、9H、(CH3)3C);1.3-1.7(m、12H、6CH2);3.0(m、4H、2NHCH2);3.4(m、4H、H6);3.6(s、3H、OCH3);3.8(m、1H、CHNH(Lys));3.9(m、4H、H3;H4);4.0(m、2H、H5);4.1-4.8(m、23H、8OCH2Bn、4CH(Ala)、CHNH(Lys)、2H2);7.2(m、40H、Har.)
13C NMR(CD3OD、75.5MHz)
16.1、16.2、16.3及び16.7(4CH3);22.7及び22.9(2CH2);27.4及び28;2((CH3)3C及び2CH2);30.8(2CH2);38.7及び39.0(2CH2N);48.1(OCH3);48.8、50.0、50.1、51.4、53.7及び55.7(4CHAIa及び2NCHLys);68.2及び68.5(2C6);70.2及び70.7(C5);72.4(2OCH2Bn);72.6(C4);73.0(2OCH2Bn);74.4(2OCH2Bn);74.9(C2);75.0(2OCH2Bn);79.7((CH3)3C);80.3(C3);96.2(t、27Hz、C1);127.3-128.1(Car.);138.0-138.9(Car.quat.);157.0(CO(Boc));160.2(t、28Hz、CF2CONH);172.5、173.1、173.2、174.1及び174.5(CONH及びCO2Me).
Mass(MALDl+):1929(M+Na);1945(M+K)
E)得られたダイマー27のN-末端基その後O末端基の脱保護化(図18及び19)
ジクロロメタン(2 mL)中の開始製品27(107mg;0.6mmol;1eq.)を含む不活性雰囲気のフラスコに、トリフルオロ酢酸TFA(89μL;1.2mmol;20 eq.)の添加を行う。該混合物を反応せしめるべく12時間放置し、その後反応媒質を濃縮する。トルエンと共に4乃至5回の同時蒸発を行ない、無色の油分の形態の製品28が多くの収率で得られた。
【0127】
製品28の特性
C99H117F7N8O23 M=1920.02g.mol-1
19F NMR(CD3OD、282.5MHz)
-77.4;-120.2.
1H NMR(CD3OD、300MHz)
1.3(m、12H、4CH3);1.3-1.7(m、12H、6CH2);3.0(m、4H、2NHCH2);3.5(m、4H、H6);3.5(s、3H、OCH3);3.7(m、1H、CHNH(Lys));3.8(m、4H、H3;H4);4.0(m、2H、H5);4.2-4.8(m、23H、8OCH2Bn、4CH(Ala)、CHNH(Lys)、2H2);7.2(m、40H、Har.)
THF(2mL)中の開始製品28(115mg;0.06mmol;1eq.)を含むフラスコに、最小の水に溶解しているリシン(lithine)LiOH(6mg;0.24mmol;4 eq.)が添加される。該混合物を反応せしめるべく12時間放置し、その後ジクロロメタン内に収集する。1Nの塩酸HCl(4mL)溶液が添加されて水相をジクロロメタンで3回抽出した。有機相を収集し、水で(4mL)洗浄して濃縮した。
【0128】
トルエンと共に4乃至5回同時蒸発し、微量の水分を除去して白色固形状の製品29が収率89%で得られた。
【0129】
製品29の特性
C96H115ClF4N8O21 M=1828.43g.mol-1
19F NMR(CD3OD、282.5MHz)
120
1H NMR (CD3OD、300MHz)
1.3(m、12H、4CH3);1.3-1.7(m、12H、6CH2);3.0(m、4H、2NHCH2);3.5(m、4H、H6);3.7(m、1H、CHNH(Lys));3.9(m、4H、H3;H4);4.1(m、2H、H5);4.2-4.8(m、23H、8OCH2Bn、4CH(Ala)、CHNH(Lys)、2H2);7.2(m、40H、Har.)
F)ガラクトシドユニットの脱ベンジル化(図20)
酢酸CH3CO2H(2.5mL)と、テトラヒドロフランTHF(0.8mL)と水(0.8mL)との混合液中の開始製品29(90mg;0.05mmol)を含んだフラスコに、水素雰囲気で木炭上のパラジウムPd/Cのへら状の先端が設置されている。該混合物を攪拌しながら一晩中放置し、その後ミリポア(登録商標)フィルタを介して濾過した。該混合物を濃縮して白色固形形状の製品30が多くの収率で得られた。
【0130】
製品30の特性
C40H67ClF4N8O21 M=1107.45g.mol-1
1H NMR(D2O、300MHz)
1.5(m、12H、4CH3);1.7-2.0(m、12H、6CH2);3.4(m、4H、2NHCH2);3.7-4.5(m、18H、2H6、CHNH(Lys)、2H3;2H4、2H5、4CH(Ala)、CHNH(Lys)、2H2);7.2(m、40H、Har.)
13C NMR(D2O、75.5MHz)
16.9及び17.0(4CH3);21.7及び22.6(2CH2);27.9及び30.8(4CH2);39.3及び39.6(2CH2N);49.6、49.8及び50.0(4CHAIa);53.2及び53.8(2NCHLys);61.1及び62.6(2C6);67.1、68.9、70.6、70.9、72.4、73.9、75.5 80.2(2C5、2C4、2C2、2C3);173.9、174.5及び175.1(CONH及びCO2Me).
Mass(ESI+):1071(MH+);1093(M+Na);1109(M+K)
本発明は上記の例に限定されるものではない。
【0131】
R4にジアミノ酸ユニットAA1−AA2を有している、一般的な化学式Iに属している化合物の合成は、本明細書内で記載済みの極めて古い化学反応を用いる2つの異なるプロセスを経て容易に得られる。
【0132】
-グリコペプチド12若しくは22から開始し、Nboc部分の脱保護化の後、糖ユニットの通常のN、Oの脱保護及び脱ベンジル化の後にカルボキシル基のAA1−AA2とのカップリング反応によって所望の化合物が得られる。
【0133】
-ジアミノ酸AA1−AA2の導入は前のステップで特にペプチド21若しくは25に対してNbocの脱保護の後に通常のカップリング反応を経て行うことも可能である。その後、リジンの側鎖の脱保護、及び炭水化物誘導体16とのカップリング反応が通常の脱保護ステップの後にグリコペプチドを提供する。
【0134】
生物学的物質の予備的保存試験
予備的生物学的試験が糖タンパク質及び特に合成製品に対して行われた。それらは、それら化合物の時間を変化させた場合の異なる温度における異なる細胞培養の効果の測定を可能にした。その目的は、それら化合物が細胞に対して保護効果を有しているか否かを観察することである。
【0135】
化合物15及び30は、以下の部分においてAAGP若しくはAFGPと称する。
【0136】
A)HEK293腎臓細胞の保存に対する製品15の効果
HEK293細胞を75cm2の培養皿において100%生存率で培養した。該細胞をその後75,000細胞数/mLとなるように希釈した。続いてそれらをプレート当たり6個の3mL-ウエルを有するプレートの6枚に分配した。かかる濃度は自家細胞毒性(autocytotoxicity)による細胞死を防ぐべく十分に低い濃度と、細胞の生存を減少する可能性があるいかなる予備濃縮を行うことなく細胞サンプリング及び計数を可能にすべく十分に高い濃度と、の間の良好な妥協策である。各プレートは、製品15を含まない2つの対照ウエルと、製品15が0.01mg/mLに調整されている2つのウエルと、0.1mg/mLに調整されている他の2つと、を有している。各プレートはその後以下の温度で培養された。すなわち、4℃、2℃、0℃、-2℃、-4℃及び-20℃である。各ウエルはその後以下の培養時間においてサンプルされた。すなわち2、8、及び22時間である。
【0137】
材料
-HEK293細胞群(グラハム(Graham)ら)
-DMEMカタログ番号D5671、シグマ(Sigma)社
-トリプシン、カタログ番号25-052-CI、マルチセル(MultiCell)社
-PBS、カタログ番号SH30028.02、ハイクロン(HyClone)社
-Trypanブルー、カタログ番号72-57-1
消耗品
-マイクロピペット先端部、200μL、Axygen社
-細胞培養用の6つのウエルプレート、カタログ番号353046、ファルコン(Falcon)社
-細胞培養用の75cm2T-フラスコ、カタログ番号430725、コーニング(Corning)社
-ピペット、2mL、5mL、10mL及び25mL、ファルコン(Falcon)社
装置
-冷蔵庫、ダンビィ(Danby)社
-フリーザ、フリッジデール(Frigidaire)社
-インキュベータ、サンヨー社
-顕微鏡、ツァイス(Zeiss)社
-倒立顕微鏡、オリンパス社
-卓上遠心分離機、IEC社
-血球計、Rechter社
-トレーサブルデジタル温度計、フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)社
-温度計、VWR社
-細胞カウンタ、No.8-004、HOPE社
結果
細胞総数は重複した実験が互いに一致していることを示した。なぜなら、差異が10%を超えなかったからであり、唯一の例外が13%の差を示した。
【0138】
実験の開始に使用した細胞培養は100%であり、それらの顕微鏡下での形態的特徴は良好な状態を示していた。
【0139】
6つの試験温度の内の5つにおいて(図21乃至26)、0.10mg/mLの製品15の存在(本実験に使用した最高濃度)は、改善がたとえ低くても最大の細胞生存率となった。製品15の濃度が0.01mg/mLでは、ネガティブ対照と比較して細胞生存が改善しないようであった。
【0140】
-20℃において、2時間後、全てのウエルが冷凍されて培地はゲル状の外観を呈した。解凍後、顕微鏡観察では対照細胞はファントムな外観を呈し直ちにトリパン(Trypan)ブルーを吸収した。一方、化合物15を伴う細胞は球状の屈折性細胞の外観を維持し、生体細胞のようにトリパン(Trypan)ブルーを吸収しなかった。従って、製品15の存在下では細胞構造及び形態的及びある浸透機能が維持され、これは実験対照では生じなかった。
【0141】
かかる解凍後、プレートは-20℃において再度培養されたが、8時間培養後の同様の方法では製品15の両濃度の全ての細胞が完全に消失した。
【0142】
B)赤血球の保存への製品15の影響
赤血球の死滅は細胞膜の破壊によって確認可能である。この現象は溶血と称されている。本実験において、溶血の検知は、異なる温度における赤血球の保存に対する製品15の効果を測定する主用な手段として用いられた。
【0143】
実験計画
血液サンプリング->アリコート->AAGPの添加(化合物15)->種々の温度->溶血性の観察
製品15は0mg/mL、0.1mg/mL、1.0mg/mLの濃度で3.0、-3、-5、-10、-15、-23、-78℃の温度において試験が行われた。
【0144】
ホウケイ酸塩ヘパリン化チューブ内のヒト血液のサンプルから、275μLのマイクロチューブ群が全容量まで満たされた。マイクロチューブ群の3分の1は、2.75μLの製品15(H2O内の10mg/mL)によって満たされ、マイクロチューブ群の3分の1は、27.5μLの製品15(H2O内の10mg/mL)で満たされた。該血液はチューブ群に全容量まで分割され、可能な限り空気との接触が防止された。
【0145】
マイクロチューブ群は異なる温度で2乃至9時間の範囲の異なる時間に亘って培養された。マイクロチューブ群はマイクロチューブサポート上で凍結され、-78℃において低速凍結装置を用いて実験が行われ、一方、解凍は常時マイクロチューブラック上において室温で行われた。解凍後、マイクロチューブ群は数回反転させることによって用心深く均質化され、赤血球のサンプルが採取された。赤血球(Ery)は観察前及び以下の式で定義されるような溶血パーセンテージを得る前にPBS50Ox及びTrypanブルーの2xで希釈された。
【0146】
%溶血=[1-(Co-Cexp)]×100
ここにおいてCoは初期のEry数でありCexpは実験でのEry数である。
【0147】
材料
-ホウケイ酸塩ヘパリン化チューブ内の15mLのヒト血液サンプル
-PBS、カタログ番号SH30028.02、HyClone社
-Trypanブルー、カタログ番号72-57-1
消耗品
-マイクロピペット先端部、200μL、Axygen社
-200μLのPCRマイクロチューブ
-2つの滅菌ヘパリン化チューブ、カタログ番号366480、ベクトン・ディッキンソン(Becton-Dickinson)社
装置
-フィッシャー等温低温インキュベータ、フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)社
-冷蔵庫、ダンビィ(Danby)社
-フリーザ、フリッジデール(Frigidaire)社
-極低温フリーザ
-低速凍結装置、ナルゲン(Nalgene)社
-顕微鏡、ツァイス(Zeiss)社
-デジタルカメラ、オリンパス社
-血球計、Rechter社
-トレーサブルデジタル温度計、フィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)社
-温度計、VWR社
-細胞カウンタ、No.8-004、HOPE社
表1において、2乃至-10℃の範囲の温度において溶血がないことが判る。製品15を伴っているか否かに係らず、赤血球はこれらの温度の培養後の0乃至24時間では損なわれていないように見える。
【0148】
【表1】

【0149】
血液サンプル群は、同じ時間に亘って-15℃で設置された。表2においては、2時間後、製品15が0.1mg/mLの濃度において部分的に赤血球を保護しており、1.0mg/mLにおいては完全に保護していることがわかる。4及び9時間において、完全な保護は1.0mg/mLの濃度においてのみ得られている。
【0150】
【表2】

【0151】
より極端な条件でも試験を行った。-23℃及び-78℃において、これらの温度に急速に到達したときは赤血球群は破壊した。
【0152】
従って、緩慢な冷却によって試験を行って-78℃まで到達させた。製品15のない血液サンプルが異なる期間に亘って培養されて凝固点を測定した。表3からわかるように、凝固点には40分後に到達した。このとき、%溶血と製品15の濃度との間に直接的な相関が見られた。
【0153】
【表3】

【0154】
-15℃における2時間の培養後を除いた殆どの場合において、完全な溶血か若しくは全く溶血がないかのいずれかが観察された。溶血プロセスは極めて迅速であって凍結の際に生じることが明らかである。-15℃より低い温度においては、1.0mg/mLの製品15による保護が観察されないという事実は、本化合物は少なくとも1.0mg/mLの濃度において、凍結プロセスを停止するのではなく、それを減少することによって赤血球を保護していることを意味していると考えられる。結晶化の現象は赤血球メンブレンの破壊につながる。しかしながら、期間を減少することによって(2時間より少なく)、凝固点近傍での溶血のダイナミックスの詳細を得ることが可能となるだろう。しかしながら、製品15は-15℃において赤血球群を実際に保護することが観察された
C)血小板の保存に対する製品15の効果
血小板群の保存は5日のみ可能であるとする現状のプロトコルを改善すべく、血小板群の保存に対する製品15を試験することが目的である。該試験は、22℃、15℃、4℃及び最後に0℃の4つの異なる温度において実施された。血小板のフォローアップは21日間継続し、血小板のクラスタ化(clustering)を観察した。クラスタ化は血小板劣化の主要で最も確実な指標の1つである。それらの劣化の際、血小板群は活性化されて、それらの形態を失い、繊維状になり、クラスタ群を形成して最後に変性する。血小板の計数を実施したが、その結果はクラスタ化の程度に多く基づいている。
【0155】
図27及び29は、製品15の存在に起因する血小板クラスタ化への有利な効果を示している。図27では、22℃において、複数の結果(ネガティブ対照、1mg/mL及び4mg/mLの製品15)が比較されている。殆どすぐに(2日後)、対照においてクラスタ化が開始して増加し続けていることが観察され、一方糖タンパク質15を伴ったサンプルでは7日以前においては全くクラスタ化を示さなかった。13、17及び21日においては、より顕著な差異が見られ、製品15によって血小板のクラスタ化が実際どおり抑制された。より少ないクラスタ化を示したのは、最も濃縮されたサンプル群である(4mg/mL)。
【0156】
15℃における図28は上記と同様のタイプの結果を示している。この温度におけるクラスタ化は4日後に顕著に明らかとなり始める。時間が経過すると、化合物を有するサンプルと比較して、クラスタ化の増加が実験対照にて観察された。しかしながら、22℃に比べてこの温度ではクラスタ群はより少ない
4℃においては(図29)、濃度に係らず製品15を伴うものでは殆どクラスタ化はなかった。対照においても、クラスタ数は他の温度に比べて顕著に少なかった。
【0157】
0℃においては、糖タンパク質15の有無に係らずクラスタ化は見られなかった。
【0158】
D)心臓筋芽細胞の保存に対する製品15及び30の効果
本実験の目的は心臓組織の細胞群へのgem-ジフルオロ糖タンパク質群の効果を試験することであり、合成化合物であるモノマー(製品15)とダイマー(製品30)との間の比較をも行うことである。
【0159】
試験はネズミの心臓筋芽細胞に対して実施され、よって後続の移植用心臓等の器官の保存に対するこれら化合物の適用が考察された。
【0160】
予備的実験
1)細胞群を解凍して5%CO2及び37℃においてDMEM培地での倍加が安定化するまで培養する
2)該細胞群をフラスコ内で増殖する
3)100000個の細胞群を有する300μLを複数のマイクロチューブに分割する
4)3μLのPBSをネガティブ対照チューブに添加する
5)3つのマイクロチューブ群に、100mg/mLの製品15の0.3、1.5及び3μLを各々添加して0.1、0.5及び1mg/mLの濃度を得る
6)3つのマイクロチューブ群に、100mg/mLの製品30の0.3、1.5及び3μLを各々添加して0.1、0.5及び1mg/mLの濃度を得る
6)該細胞群を-2℃で培養する
7)培養後の0、2、7、20及び43時間に該細胞群をサンプルする
主実験
1)該細胞群をフラスコ内で増殖する
2)100000細胞群を有する300μLを複数のマイクロチューブに分割する
3)3μLのPBSを4つのネガティブ対照チューブに添加する
4)4つのチューブに3μLの製品15を添加して1mg/mLを得る
5)4つのチューブに3μLの製品30を添加して1mg/mLを得る
6)1組のチューブ(対照-モノマー-ダイマー)を室温(22℃)で培養する
7)1組のチューブ(対照-モノマー15-ダイマー30)を4℃で培養する
8)1組のチューブ(対照-モノマー15-ダイマー30)を-3℃で培養する
9)1組のチューブ(対照-モノマー15-ダイマー30)を-10℃で培養する
10)培養後の0、8、16及び22時間に、各チューブをサンプルして生存及び死滅細胞群を数える
11)0、8、12、16、20及び22時間において-3℃でのモノマー15のチューブのみをサンプルして生存及び死滅細胞を数える
材料
-H9c2(2-1)細胞群、ATCCナンバCRL-1446、ネズミ心筋組織(1、2、3)由来の付着細胞ライン
-DMEMの4mMのL-グルタミン
-インキュベータ、37、22.4、-3、-2及び-10℃
-ピペッタ
-マイクロピペット先端部群
-血球計
-Trypanブルー
-顕微鏡
-細胞カウンタ
-マイクロチューブ群
-マイクロチューブ群ラック
予備的実験用
2℃におけるモノマー15では(図30)、0、2及び7時間の全ての濃度において生存率は100%に極めて近い。20時間においては、該生存率は1mg/mLでは44%まで減少し、0.5mg/mLでは28%まで減少する。一方、0.1mg/mLでは対照と同等である。これにより保護効果は糖タンパク質群の濃度に依存していることが仮定として導かれる。
【0161】
同様の方法を使用しているダイマー30では(図31)、同等の結果が得られた。20時間後では、細胞の生存率は1mg/mLにおいて25%であり、0.5mg/mLにおいて11%であり、0.1mg/mLにおいて6%である。
【0162】
2つの糖タンパク質を平行して比較した場合(図32)、最も顕著な結果は1mg/mLの場合であり、このときの2つの化合物15及び30の保護効果が20時間後の細胞群で観察され、対照での単なる8%と比較して、モノマー15では44%の生存率であってダイマー30では25%の生存率である。
【0163】
主実験用
1mg/mLの濃度のモノマー15若しくはダイマー30の実験を、4つの異なる温度である22、4、-3及び-10℃で行った。全ての温度において、8時間までは顕著な差異は見られなかった(図33)。16時間後において(図34)、4及び-3℃の温度において、ネガティブ対照と比較して糖タンパク質の存在と細胞生存率との間に強い相関が観察された。残念ながらこれらの結果から2つの内のいずれが最良の保護効果を有しているかとの結論を導くことは不可能である。4℃においてはモノマー15が最善の結果を生じており、一方-3℃においてはダイマー30である。22時間後において(図35)、生体細胞の数が大きく落ちている。しかしながら、-3℃において、ダイマーの形成が注目され、17%の生存率の効果を得ている。
【0164】
22℃において(図36)、45時間後に、51%の生存率が対照で観察され、一方モノマー15及びダイマー30は各々65及び80%に落下しているだけである。
【0165】
4℃において同様のタイプの曲線が観察され(図37)、最終的な結果は45時間においてあまり納得することが出来ないが、モノマーの全期間に亘る実験において良好な生存率を示している。-3℃において(図38)、結果はダイマーと同様であり、これは特に8乃至22時間の範囲においていえる。-10℃において(図39)、同様の結果がダイマー及び対照において得られ、モノマーでは若干の改善が見られた。
【0166】
図40では、-3℃において、モノマーの存在下で培養期間に亘って生体細胞群の数が緩慢な減少を示した。
【0167】
筋芽細胞上のこれらの実験の際、モノマー及びダイマー化合物がそれらの細胞に対して保護効果があることが見出された。以下が考えられる。
【0168】
・糖タンパク質15及び30の濃度増加と細胞生存率との間には相関が存在しており、モノマー15及びダイマー30は0.1及び0.5mg/mLよりも1mg/mLにおいてより良好な結果を呈している。
【0169】
・かかる効果は8時間後においてのみ顕著である。全実験が本質的に8と20時間との間で興味ある結果を示している。
【0170】
・最も興味ある保護効果は4℃及び-3℃において明白である。
【0171】
・モノマー若しくはダイマーの何れが最もアクティブであるかを確認するのは不可能である。
【0172】
筋芽細胞における3℃及び-3℃の温度での他の試験が行われた。今回の本実験の目的は糖タンパク質15及び30の濃度を等モルの方法で増加することにある(ダイマーの分子量はモノマーの分子量よりも2×だけ多い)。モノマー15での濃度増加は2.5mg/mLであり、ダイマー30では5mg/mLである。温度は細胞群及び組織群の保存にしばしば使用される範囲から選択された。この考え方は後続する本実験において直接組織群に継続された
方法
1)細胞群をフラスコ内に延ばす
2)1.0mL細胞群を有する3つのチューブを0.2×106細胞群/mLで調製する
3)1つのチューブに、100mg/mLにおけるモノマー15の25μLを添加して2.5mg/mL(4.3mM)を得る
4)他のチューブに、100mg/mLにおけるダイマー30の50μLを添加して5.0mg/mL(4.5mM)を得る
5)該チューブ群を2×96ウエルのプレートにウエル当たり100μLでサンプルする
6)1方のプレートを3℃で培養し、他方を-3℃で培養する
7)0、8、12、16、20及び24時間において生存及び死滅細胞群の数を数える
図41及び42は、モノマー及びダイマー存在下のネガティブ対照内の細胞生存率を示しており、3℃及び-3℃における8、12、16、20及び24時間後である。
【0173】
図41及び42によれば、心臓細胞群は3℃よりも-3℃でより長く生存した。24時間後、3℃では生存しておらず、一方ダイマーの-3℃においては70%の生存率が観察された。
【0174】
殆どの場合において、モノマーはダイマーと同様の結果を呈している。図42は3℃において対照は8時間後に19%の生存率に低下していることを示しており、一方モノマーでは2倍以上を維持しておりダイマーでは4倍である。AAGPは従って特に8と12時間との間で心臓細胞群の生存率を延ばし、24時間までにおいても延ばしている。
【0175】
図43では、1mg/mLにおける先の実験からのデータが、本実験に使用された最も高い濃度に組み合わせられている。これら化合物15及び30はより高い濃度において高い効果を示している。
【0176】
これらの結果は、製品15及び30の濃度に関連した細胞生存に対する保護的な役割を際立たせている。最も興味深い結果が図41及び42に現れている。24時間後、約75%の筋芽細胞がダイマーにおいて依然として生存しており、モノマーにおいては65%である。一方、対照では30%のみが残っている。16時間後でさえ、モノマー及びダイマー細胞群の約90%が維持されている。
【0177】
更に、糖タンパク質群の濃度が増加される場合は、細胞生存率はモノマー若しくはダイマーのいずれにおいても同様である(図43)。
【0178】
従って筋芽細胞由来の細胞は、製品15及び30の存在下で低温で保存したときに生存していけるという結果を示している。
【0179】
E)皮膚線維芽細胞群の保存に対する製品15の効果
異なる温度における皮膚線維芽細胞群に対する製品15を試験することが目的である。
【0180】
1)細胞群を解凍して5%C02で37℃でのDMEM培地において倍加が安定するまで培養する
2)該細胞群をペトリ皿で増殖する
3)細胞濃度を0.27×106細胞/mLまでもっていく
4)1.8mLの細胞サスペンションを90μLの100mg/mLのAFGPマザー溶液で完成し、4つの細胞培養プレートにウエル当たり100μLで均等に分配する
5)1.8mLの細胞サスペンションを90μLのPBS溶液で完成し、ウエル当たり100μLで4つの細胞培養プレートに均一に分配する
6)1つのプレートを22℃で培養し、他を3℃で培養し、他を-3℃で培養し、更に最後のプレートを-20℃で培養する
7)細胞群を8、12、20及び30時間においてサンプルし、細胞生存率をTrypanブルー排除技法(exclusion technique)を用いてフォローアップする
材料
-細胞群CCD-27Sk、ATCC番号CRL-1475、ヒト(1)由来の付着通常胚性線維芽皮膚細胞群
-DMEMの4mMのL-グルタミン
-インキュベータ群、22、3及び-3℃.
-ピペッタ
-マイクロピペット先端群
-血球計
-Trypanブルー
-顕微鏡
-細胞カウンタ
-マイクロチューブ群
-マイクロチューブ群ラック
-細胞培養プレート、Costar社の96-ウエル群、平底、細胞培養用に非処理
図44において、製品15を有して若しくは有さずに保存した細胞群間において全ての温度範囲に亘って差異は見られなかった。しかしながら、-20℃においてサンプルは凍結し、これは解凍後の細胞群の死滅に至った。
【0181】
12時間後、22℃、3℃及び-3℃の範囲では大きな差異は依然として見られなかったが、一方、化合物15を伴った22℃及び-3℃において良好な保存が生ずるのが見られた。
【0182】
図46の結果は、モノマー15を伴った場合は対照よりも良好な細胞生存率を示している。とはいえ、-3℃においては、モノマーの存在下であっても生存率は50%まで低下している。30時間後(図47)、製品15によって保護された細胞群は特に3℃において明らかな改善を示している。-3℃において、化合物の存在によってたとえ生存は改善しても、70%まで低下している。
【0183】
経過期間での傾向が同じ温度において続くのであれば(図48乃至50)、対照は-3℃において生存率が早く減少しており、3℃において減少しており、22℃において緩慢に減少していることを示していることがわかる。同じタイプのパターンが製品15の存在下で見られるが、比較すると、生存率はより良好である。
【0184】
5mg/mLのモノマー15の使用は8.6mMに対応する。これは前記濃度で我々が実施した最初の実験であり、-2O℃を除く全温度で製品15の存在下で皮膚線維芽細胞群が良好な保存を示していたという点において結果は極めて肯定的であった。-2O℃においては、モノマーが存在しているかいないかに係らず細胞群は凍結して死滅した。最良の改善が3℃において見られた。
【0185】
従って化合物15は、15mg/mLまでのより高い濃度で3及び-3℃において機能することが定められた
図51及び52は、製品15の濃度の増加は3及び-3℃において細胞生存率を増加することを明白に示している。これらの結果は化合物15が細胞群に対して高い保護効果を有していることを示しており、これは34時間後であっても100%に近い。
【0186】
これら化合物(10mg/mL)の37℃及び15℃における線維芽細胞群への潜在能力をも査定され、これはそれら化合物の化粧品への適用に対して興味が持たれるであろう。
【0187】
本実験では、生理学的諸条件下でのgem-ジフルオロ糖タンパク質群の効果を検討することを目的とする。
【0188】
化合物15は、4日後でさえ37℃において約100%の細胞が維持され、一方対照実験においては、生存率は20%である。これは生理学的諸条件下における高い保護効果を示している(図53)。
【0189】
モノマー15はまた15℃において細胞群を維持し(46%の生存率)、一方対照実験においては4日後において11%のみであった(図54)。
【0190】
本化合物と共に培養された細胞群は球状を維持し、それらの完全性を維持していた。一方ネガティブ対照実験では細胞群はそれらの構造的形態を失い、付着性を呈した(図55)。
【0191】
化合物15による成人原発生皮膚線維芽細胞群の保護に対する予備的結果
先の結果はモノマー15が種々の温度範囲に亘って胚性皮膚線維芽細胞群に対して高い保護効果を有していることを示してきた。本試験は成人原発生線維芽細胞群まで延長するものである。以下の検討においては、15℃、3℃において、成人線維芽細胞群に対して実験したが、37℃におけるH2O2下で胚性線維芽細胞群に対しても実験した。
【0192】
実験手順
培養条件
成人線維芽細胞群用に、培養基(豊富な因子群)を使用した。胚性線維芽細胞群用に、0.5mMのEDTAを伴った無血清培地を使用してクラスタ化を防止した。細胞群を1mMのH2O2で処理して酸化ストレスを誘発した。成人線維芽細胞群の実験用に0、1、2、3、4及び6日においてサンプルを試験し、胚性線維芽細胞群は2及び10時間において試験した。製品15の濃度は15mg/mLであった。
【0193】
成人原発生線維芽細胞群に対して
15℃において(図56)、6日後でさえ化合物15は細胞群の100%を保護した。一方、殆ど全ての対照細胞は死滅した。3℃において(図57)、100%の生存率をも観察され、対照では6日後は9%のみである。
【0194】
胚性線維芽細胞群に対して
モノマー15は約80%の生存率で細胞群を保護し、これは10時間後に細胞群が全て死滅した対照と比較される(図58及び59)。AAGPで処理された細胞群と対照との間の差異は明白である(生体細胞群は緑で示され、死滅細胞は赤である)。製品15は従って皮膚老化及び皮膚病の主要な問題である酸化ストレスに対して保護媒体として機能することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】化合物3を得る反応式である。
【図2】化合物5を得る反応式である。
【図3】化合物1を得る反応式である。
【図4】化合物7を得る反応式である。
【図5】化合物9を得る反応式である。
【図6】化合物10を得る反応式である。
【図7】化合物12を得る反応式である。
【図8】化合物13を得る反応式である。
【図9】化合物14を得る反応式である。
【図10】化合物15を得る反応式である。
【図11】化合物16を得る反応式である。
【図12】化合物19を得る反応式である。
【図13】化合物21を得る反応式である。
【図14】化合物22を得る反応式である。
【図15a−15c】化合物23、24、25を各々得る反応式である。
【図16】化合物26を得る反応式である。
【図17】化合物12若しくは27を得る反応式である。
【図18】化合物28を得る反応式である。
【図19】化合物29を得る反応式である。
【図20】化合物30を得る反応式である。
【図21】HEK293の4℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図22】HEK293の2℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図23】HEK293のO℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図24】HEK293の-2℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図25】HEK293の-4℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図26】HEK293の-2O℃における生存率に対する化合物15の効果を示している。
【図27】22℃における血小板凝集に対する化合物15の効果を示している。
【図28】15℃における血小板凝集に対する化合物15の効果を示している。
【図29】4℃における血小板凝集に対する化合物15の効果を示している。
【図30】-2℃におけるH9c2(2-1)細胞の保存に対する化合物15(モノマー)の効果を示している。
【図31】-2℃におけるH9c2(2-1)細胞の保存に対する化合物30(ダイマー)の効果を示している。
【図32】種々の時間におけるモノマー15対ダイマー30の比較を示している。
【図33】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30に8時間露出した後の心臓細胞の生存率を示している。
【図34】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30に16時間露出した後の心臓細胞の生存率を示している。
【図35】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30に22時間露出した後の心臓細胞の生存率を示している。
【図36】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30の存在下における室温(22℃)での臓細胞の生存率の経時変化を示している。
【図37】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30の存在下における4℃での心臓細胞の生存率の経時変化を示している。
【図38】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30の存在下における-3℃での心臓細胞の生存率の経時変化を示している。
【図39】1mg/mLのモノマー15及びダイマー30の存在下における-10℃での心臓細胞の生存率の経時変化を示している。
【図40】1mg/mLのモノマー15の存在下における3℃での心臓細胞の生存率の経時変化を示している。
【図41】3℃及び4.4mMの糖タンパク質15及び30における心臓細胞の生存率を示している。
【図42】-3℃及び4.4mMの糖タンパク質15及び30における心臓細胞の生存率を示している。
【図43】糖タンパク質15及び30の濃度増加に伴う-3℃の心臓細胞の生存率を示している
【図44】5mg/mLのモノマー15に8時間露出した後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図45】5mg/mLのモノマー15に12時間露出した後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図46】5mg/mLのモノマー15に20時間露出した後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図47】5mg/mLのモノマー15に30時間露出した後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図48】5mg/mLのモノマー15存在下の室温(22℃)における皮膚細胞の生存率の経時変化を示している。
【図49】5mg/mLのモノマー15存在下の3℃における皮膚細胞の生存率の経時変化を示している。
【図50】5mg/mLのモノマー15存在下の-3℃における皮膚細胞の生存率の経時変化を示している。
【図51】化合物15の濃度増加に伴う20時間の露出後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図52】化合物15の濃度増加に伴う34時間の露出後の皮膚細胞の生存率を示している。
【図53】低血清媒体(粘着性培地)内の37℃における細胞生存率に対する10mg/mLの化合物15の効果を示している。
【図54】低血清媒体内の15℃における細胞生存率に対する10mg/mLの化合物15の効果を示している。
【図55】1日目の細胞を示している。
【図56】培地内の15℃における細胞生存率に対する15mg/mLの化合物15の効果を示している。
【図57】培地内の3℃における細胞生存率に対する15mg/mLの化合物15の効果を示している。
【図58】15mg/mLの化合物15によって処理された細胞の37℃におけるH2O2の効果を示している。
【図59】H2O2で誘発された酸化的ストレスに対する化合物15の効果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般的な化学式I、すなわち、
【化1】

のgem-ジフルオロ化されたC-グリコペプチド化合物であって、
ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R4=H、AA1、AA1-AA2であり、
R5=OH、AA1、AA1-AA2であり、
AA1及びAA2は独立しており且つ非官能性側鎖を有するアミノ酸を表わしており、
R1、R2、R3は独立した基であって、
R1、R2、R3のうちの2つの基がR1=R2=H、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3から選択され、R1、R2、R3のうちの1つの基は、
【化2】

であり、
ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいて、Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''であり、
ここでR=H基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、ベンジル基、トシレート基、C(=O)-アルキル基、C(=O)-基、Bn基、であり、
R'''=H基、アルキル基、アセテート基であり、
R6はH基、CH3基、CH2OH基、CH2-グリコシド基、CH2-OGP基であり、ここにおいてGPはアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基、等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここにおいてGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離型若しくは保護されたアルコール官能基であることを特徴とする化合物。
【請求項2】
一般的な化学式IIである、
【化3】

の化合物からなり、
ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R1、R2、R3は独立した基であり、
R1、R2、R3のうちの2つの基がH、CH3から選択され、R1、R2、R3のうちの1つの基は
【化4】

であり、ここにおいて、
nは3と4との間の整数であり、
Y、Y'は独立した基であり、ここで、
Y、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''であり、
ここでR=H基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、ベンジル基、トシレート基、C(=O)-アルキル基、C(=O)-Bn基であり、
R'''=H基、アルキル基、アセテート基であり、
R6はH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離型若しくは保護されたアルコール官能基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般的な化学式IIIである、
【化5】

からなる化合物であり、
ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
nは3と4との間の整数であり、
R7=OH、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子若しくは遊離型若しくは保護されたアルコール官能基であり、
R9=H、CH3であり、
R10=H、CH3であり、
Rは水素原子(H)若しくはアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であることを特徴とする請求項1に記載のC-グリコペプチド化合物。
【請求項4】
前記化合物は、薬剤として許容可能なベース、酸への添加塩、水和物若しくは溶媒和物の状態であることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物の調製に必要な中間化合物であって、請求項1乃至3に記載の化学式のうちの1つに適合していることを特徴とする化合物
【請求項6】
請求項1乃至4の内の何れか1項に記載のgem-ジフルオロ化された化合物の調製方法であって、一般的な化学式IVの化合物と一般的な化学式Vの化合物との間の反応からなり、一般的な化学式IVは、
【化6】

であり、ここにおいて、
Y、Y'は独立した基であり、
ここにおいてY、Y'=H、OR、N3、NR'R"、SR'''であり、
ここでR=H、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert- ブチルジフェニルシリル基、アセテート基であり、
R'、R"=H基、アルキル基、アリル基、Bn基、トシレート基、C(=O)-アルキル基、C(=O)-Bn基であり、
R'''=H基、アルキル基、アセテート基であり、
R6は特にH基、CH3基、CH2OH基、CH2-OGP基であり、ここでGPはアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基、CH2-グリコシド基等の保護基であり、
R7=0H、OGP'、NH2、N3、NHGP'、NGP'GP"であり、ここでGP'及びGP"はアルキル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、アセテート基等の保護基であるか否かであり、
R8は水素原子H若しくは遊離型若しくは保護されたアルコール官能基であり、
一般的な化学式Vは、
【化7】

であり、ここにおいて、
Nは1と5との間の整数であり、
R15=H、AA1、AA1-AA2若しくは保護基であり、
R16=OH、AA1、AA1-AA2若しくは保護基であり、
AA1及びAA2は独立しており、非官能性側鎖を有するアミノ酸を示しており、
R12、R13、R14は独立した基であり、
R12、R13、R14はのうちの2つの基はH、CH3、CH2Ph、CH(CH3)2、CH2CH(CH3)2、CH(CH3)CH2CH3から選択され、R12、R13、R14はのうちの1つの基が-(CH2)n-NH2であり、ここでnは3と4との間の整数であることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れか1項に記載のgem-ジフルオロ化された化合物の調製方法。
【請求項7】
請求項1乃至4に記載の少なくとも1つの化合物又はそれらの誘導体群の1つ又は薬剤として許容可能な無機物若しくは有機酸に添加することによって得られるそれらの塩の1つを含むことを特徴とする組成物。
【請求項8】
蒸留水、ブドウ糖、でんぷん乳糖、タルク、植物性油脂、エチレングリコール及び/又は保存剤等の薬剤として許容可能な不活性の無毒な賦形剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
凍結外科に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項10】
生物学的物質群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項11】
腎臓細胞群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項12】
赤血球群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項13】
血小板群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項14】
心臓細胞群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項15】
線維芽細胞群の保存に使用可能な化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用方法。
【請求項16】
化粧品用の化合物群若しくは組成物群を調製することを特徴とする請求項15に記載の化合物の使用方法。
【請求項17】
請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の化合物からなる組成物の使用を含むことを特徴とする酸化ストレスに対する保護を行う化粧品処置方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公表番号】特表2008−521879(P2008−521879A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543945(P2007−543945)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003940
【国際公開番号】WO2006/059227
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(507171719)
【Fターム(参考)】