説明

GNRH受容体を認識及び測定する方法、及び脳及び/又は中枢神経系及び/又は髄膜を起源とする腫瘍及び/又はカポジ肉腫のGNRH受容体を用いた治療のためのGNRHアゴニスト及びGNRHアンタゴニスト及び他のGNRH受容体リガンドの使用

【課題】GnRH受容体を持つ腫瘍の診断方法および治療方法の提供。
【解決手段】脳及び/又は神経系、及び/又は髄膜を起源とする腫瘍、及び/又はカポジ肉腫の治療に対する薬剤製造のためのGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストの使用。さらには、脳及び/又は神経系、及び/又は髄膜を起源とする腫瘍、及び/又はカポジ肉腫の検出方法並びに診断キット。また、メラトニン又はメラトニン類似体へのGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストの結合体。さらにはGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストが、細胞障害性物質と組み合わされての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍の診断および治療に関する。特に、GnRH受容体をもつ腫瘍の診断および治療に対する。GnRH受容体は、腫瘍治療におけるよく知られた標的である。
【0002】
前立腺癌や乳癌の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH、文献では、また黄体形成ホルモン放出ホルモン、LH−RHとも呼ばれる)のアゴニストによる手術後治療は標準的な治療方法である;Gonzalez−Barcena et al.,1994,The Prostate 24,84−92,Emons and Schally,1994,Human Reproduction Update 9,No.7,1364−1379を参照されたい。
【0003】
ところで、乳癌、前立腺癌、卵巣癌および子宮内膜癌等の種々のステロイドホルモン(性ホルモン)依存性悪性腫瘍において、GnRHアゴニストによる治療について2つの効果が臨床研究において観察された:
1)腫瘍増殖についての正の内分泌(エストロゲン性またはアンドロゲン性)作用のアンカップリングによる間接的抗増殖活性;
2)腫瘍組織そのものにおけるGnRH受容体を介する未知のメカニズムによる直接的抗増殖活性;Emons and Schally,1994,Human Reproduction Update 9, 1364−1379を参照されたい。
【0004】
ステロイドホルモン依存性による上記間接的作用は、前立腺癌や乳癌に対して何十年前から知られている;Gonzalez−Barcena et al.,1994,The Prostate 24,84−92;Jonat et al.,1995,European Journal of Cancer 31A,137−142を参照されたい。
例えば前立腺癌、乳癌および卵巣癌に関するGnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストの直接的抗増殖作用が、臨床研究によって確認されている。直接的抗増殖作用を有する、これらの治療において用いられたGnRHアゴニストのいくつかは、ドイツにおいて認可された医薬品で次の商標で知られている:例えばZoladex(登録商標)、Zoladex10,8(登録商標)、Zoladex Gyn(登録商標)、Profact(登録商標)−Depot、Profact pro 注射/点鼻、Synarela(登録商標)、Enantone Monats−Depot(登録商標)、Uno− Enantone(登録商標)、Enantone Gyn Monats−Depot(登録商標)、Trenantone(登録商標)、Suprecur(登録商標)、Carcinil(登録商標)またはDecapeptyl(登録商標)0,5mg/0.1mg、Decapeptyl(登録商標) Depot、Decapeptyl(登録商標)Gyn並びにDecapeptyl(登録商標)Diagonostikである。いくつかの研究で試験されたGnRHアンタゴニストの例は、ドイツにおいて医薬品として未だ認可されていないCetrorelix(登録商標)である。 Cetrorelix(登録商標)による治療は、例えば数週間にわたって活性を保つようなデポ製剤が存在しないという不都合がある。実験的に使用されたGnRHアンタゴニストの他の例は、Antarelix(登録商標)およびAntide(登録商標)であり、後者はまた、経口投与型として1つの態様で存在する(Russel−Jones et al.,1995,BioconjugateChem.6,34−42)。
【0005】
細胞培養による研究は、GnRH受容体がヒト初代肝細胞癌および膵臓腺癌に存在することを明らかにしている。さらに、ラットグリオーマおよびラット神経芽細胞腫におけるチロシン5とグリシン6の分解に関する生化学代謝の開始が記載されている;Tao et al.,1991,Neuropeptides 20,125−131を参照されたい。しかし、GnRH受容体へのGnRHのリガンド結合およびその情報伝達が異なる経路、すなわちGnRHの8番目のアミノ酸アルギニンでおこり、そしてこれが、GnRH分子およびそのアミノ酸側鎖のインタクトな立体配位の場合にだけおこる(Naor,Z.,Schacham,Sh.,Harris,D.,Seger,R.,and Reiss,N.,1995,Signal Transduction of the Gonadotropin Releasing Hormone(GnRH)Receptor:Cross−Talk of Calcium,Protein kinase C(PKC),and Arachnoidonic Acid,Cellular and Molecular Neurobiology,vol,15,527−545)。GnRH受容体が存在する正常ラットの腺下垂体において、GnRHは、増加されたcAMP産生へと導くが、これが直接作用または間接作用であるかどうかは未だ不明確である(パラクリン相互作用)。LHの分泌並びにGnRHによって刺激されるLHの増加した産生を含むラットにおけるGnRH受容体の機能に対して、例えばcAMPによるGnRHの生化学的代謝は間接的な役割のみを演じる(Abdilnour,G.,and Bourne,G.A.,1995,Adenosine 3´,5´−cyclic mono−phosphate and the self−priming effect of gonadotropin−releasing hormone, Molecular and Cellular Endocrinology,107,1−7)。当然、ヒトのゴナドトロピン産生下垂体腺腫にGnRH受容体が見い出された(Alexander,J.P.,and Klibanski,A.,Gonadotropin−releasing Hormone Receptor mRNA Expression by Human Pituitary Tumors In Vitro,1994,Journal of Clinical Investigation,93,2332−2339)。例えば視床下部のGnRH産生過誤腫による適用症思春期早発症(indication Pubertas praecox)を治療するために、GnRHアゴニストがまた、子供において、腺下垂体のゴナドトロピン産生細胞を抑えるという対照療法に用いられた(Mahachoklertwattana,P.,Kaplan,S.L.,Grunbach,M.M.,The Luteonizing−Hormone−Releasing Hormone−Secreting Hypothalamic Hamartoma Is a Congenital Malformation:Natural History,1993,Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism,77,118−125)。
【0006】
グリオーマおよび悪性メラノーマ等の外胚葉起源の他の悪性腫瘍の場合、そして特に、神経系における散在的に増殖する腫瘍の場合、または転移(例えば他の器官の内転移形成)の場合において、寿命期待は楽観的ではない。同じことがカポジ肉腫に対していえる。グリオーマは、ニューログリア、即ち外胚葉に由来する神経系を包み且つ支持する組織を起源とする中枢神経系(CNS)の主として脳に局在した真性腫瘍をいう。これらのグリオーマは、種々の分化段階で存在する。グリオーマのサブタイプは、海綿芽腫、乏突起細胞腫、星芽腫、グリア芽腫および網膜芽腫である。特に、脳腫瘍のグリア芽腫多形(GMB)タイプは、速い増殖と非常に高い再発率(即ち、外科の肉眼的切除後の脳腫瘍再発のパーセンテージ)を特徴とする。
【0007】
原発性または転移性のCNSに起きる悪性メラノーマ並びに初めは皮膚に起きる悪性メラノーマ、および/またはさらに皮膚または他の器官に散在する(転移する)悪性メラノーマが、神経系由来腫瘍に属する;Shamamian et al.,1994,Cancer Immunol.Immunother.39,73−83;Florenes et al.,1994,Cancer Reseach,54,354−356を参照されたい。悪性メラノーマは、神経外胚葉、胚性層から由来する。Burgらは、1997,Deutsches Aerzteblatt 94,890−895に、タモキシフェンの悪性メラノーマに対する腫瘍増殖阻害作用を記載している。さらに、グリア芽腫および悪性メラノーマは、共通して数種の腫瘍マーカーをもつ;Shamamian et al.,1994,Cancer Immunol.Immunother.39,73−83;Florenes et al.,1994,Cancer Reseach,54,354−356を参照されたい。転移の場合、予後は非常に悪い;Burg et al.,1997,Deutsches Aerztbelatt 94,890−895を参照されたい。
【0008】
脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍はさらに、全体に所謂初期の神経外胚葉性腫瘍、PNETと略す、に分類されてきた神経芽細胞腫および髄質芽腫を含む。これらの腫瘍はさらに、松果体実質および/または松果体領域または中脳の始原生殖細胞を起源とする松果体腫を含む。さらに、松果体は、外胚葉性腫瘍の起源であると考えられ、そして下垂体の前面/上面に起源をもつクラニオファリンジオーマと関連する(各々、腫瘍産生β−HCGまたはLT様グリコプロテインをそれぞれ産生する腫瘍;Tachibana et al.,1994,J.of Neurosurgery 80,79−84)を参照されたい。
【0009】
クモ膜の蓋細胞を起源とし且つしばしば髄膜(硬膜)の内表面にかたく接着している良性腫瘍と考えられるクラニオファリンジオーマおよび髄膜腫の両方に対して、プロゲステロン受容体およびエストロゲン受容体が記載されている。さらに、アンドロゲン受容体がまた、髄膜腫の場合につくられていた。抗プロゲステロン薬剤を使用する臨床研究において、腫瘍退縮作用が観察された。
【0010】
現在までに、多くの臨床研究における他の治療(化学療法、放射線療法等の異なる形態)の研究は、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍の予後の本質的な改善を与えることができなかった。しばらくの間、グリア芽腫多形の場合の標準的治療は、できる限り完全な腫瘍の外科的な切除、次いで通常の放射線療法からなる。この標準的治療の下で、統計的に報告された平均生存時間は、個々の変動を含めて9−13カ月であり、特に、より若い患者に対するいくらかよい予後が観察されている。
【0011】
再発性グリア芽腫多形の約30%の患者が持続的高用量の抗エストロゲン製剤であるタモキシフェン(登録商標)により手術できない残存性脳腫瘍の一定のサイズまたは縮小のどちらかを示した。グリア芽腫治療のこの腫瘍阻害作用は、抗エストロゲン作用によらず、プロテインキナーゼC(細胞内シグナル伝達物質)の阻害によった;Puchner et al.,Zentralblatt fur Neurochirurgie,Supplement 1996,47.Jahrestagung Deutsche Gesellschaft fur Neurochirurgie,page 44;Pollack et al.,1995,The Efficacy of Tamoxifen as an antiproliferative Agent in vitro for Benign and Malignant Pediatric Glial Tumors,Pediatr. Neurosurgery 22,281−288)を参照されたい。さらに、タモキシフェン(登録商標)は、プラチナ含有治療剤並びに放射線療法に対する腫瘍の感受性を高めるといわれている。
【0012】
グリア芽腫多形(WHOグレードIVの星芽腫)およびより低い悪性度(WHOグレードII−IVの星芽腫)のグリオーマに対して、ステロイドホルモン受容体がより少ないパーセンテージの場合に観察されている(Paoletti et al.,1990,J.Neurosurgery,Characteristics and biological role of steroid hormone receptors in neuroepitherial tumors,73,736−742を参照されたい)。現在までに、グリア芽腫多形およびグリオーマグレードII−IV の場合における間接的抗増殖作用が、腫瘍のタモキシフェン(登録商標)(抗エストロゲン製剤)に対する応答のたった約30%のみの場合に臨床研究で観察されている。
【0013】
最近、グリア芽腫多形治療におけるいくつかの比較的かなり新しい進展が報告されているが、グリア芽腫多形をもつ患者の予後は、かつて試みられ、試験された療法にも拘わらず非常に高い再発率および特異的治療法と初期診断の欠如のためよくない。
【0014】
一方、本発明は、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍および/または既に初期段階のカポジ肉腫を検出する診断薬を提供する目的に基づき、そして他方で、すべての患者によりよい予後となるような腫瘍の治療に対する薬剤を提供するという目的に基づく。
【0015】
本発明は脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍、および/またはカポジ肉腫の悪性細胞上のGnRH受容体の検出と測定の方法に関する。本発明はさらに、脳および/また神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍および/またはカポジ肉腫のための診断キットを提供することに向けられる。さらに、本発明は、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍および/またはカポジ肉腫の治療のための薬剤の製造におけるGnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストおよびGnRH受容体の他のリガンドの使用に関する。
【0016】
脳由来の腫瘍、例えばグリア芽腫多形へのGnRHアゴニストの直接的抗増殖作用は、未だ報告されていない。GnRH受容体がグリア芽腫多形のようなヒト外胚葉性腫瘍に存在していることも知られていない。さらに、GnRH受容体がカポジ肉腫に存在していることも現在まで知られていない。
【0017】
本発明は、診断及び治療のための適切な標的を提供することにより、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍および/またはカポジ肉腫の診断及び治療の改良に貢献する。
【0018】
本発明はさらに、免疫組織学的診断におけるGnRH受容体の検出および/または例えば低いグレードのグリオーマ(GII−III WHO;Kleihues et al.,1993,Histological Typing of Tumors of the Central Nervous System,Springer Verlag,Berlin−Heidelberg,New York−Tokyoにおける中枢および末梢神経系の腫瘍の世界保健機構(WHO)分類を参照されたい)の手術後まだ存在する残存腫瘍の追跡中の早期再発の検出のための治療、アフターケアーのモニターのGnRH 受容体mRNAの検出のため、またはグリア芽腫多形(GIV)での悪性化の検出のため、または脳および/または神経系および/または髄膜を起源とするグリア芽腫多形のような腫瘍の存在のスクリーニングに対する危険グループの早期検出のための診断キットの使用に向けられる。
【0019】
本発明に記載のキットは、細胞膜上、または血液、血漿、血清、尿または羊水、組織抽出物、組織液のような体液中、インヴィトロ細胞培養上清および細胞ライセート等でGnRH受容体を検出するために使用できる。例えば、GnRH受容体は、例えば手術的に切除された腫瘍標本または組織培養について免疫組織化学的に、または例えば体液における通常のラジオイムノアッセイによって決定できる。診断キットは、GnRHアゴニストおよび/またはGnRHアンタゴニストおよび/またはヒトGnRH受容体に対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体および/または例えば逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)におけるGnRH受容体のcDNAの増幅のためのGnRH受容体に対する1または2以上の特異的プライマーを含む。GnRH受容体の検出を、よく知られた免疫試験、特に固相酵素免疫測定法(ELISA)または特なる態様において、変性細胞上のGnRH受容体の検出および測定に対して下記の方法を使用して、それ自体知られた方法で行う。
【0020】
好ましい態様において、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍の変性細胞上のGnRH受容体の検出および測定のための本発明の方法は、以下のステップ:a)手術中に得られる腫瘍組織をホモジェナイズすること、b)膜画分を分離すること、c)b)の膜画分中のタンパク質濃度の測定、d) b)の膜画分中のGnRH受容体濃度の測定を含む。本方法は特に、グリア芽腫多形、髄質芽腫、松果体腫、神経芽細胞腫、クラニオファリンジオーマ、髄膜腫、脊索腫、エウイング肉腫、悪性メラノーマまたはカポジ肉腫から由来する組織中のGnRH受容体の検出および測定に有用である。
【0021】
特に好ましい態様において、新鮮なヒト腫瘍組織が、例えば脳腫瘍手術(手術中)に採取され、次いで液体窒素中に保存される。GnRH受容体測定のために、凍結組織サンプルをすり砕き、そしてホモジェナイズする。遠心分離で、サンプルを、より大きな細胞破片から分ける。上清を再度遠心分離する。生じる沈殿(ペレット)は、できるだけ均一な膜懸濁物を得るために再度ホモジェナイズされる膜画分を含有する。膜懸濁物を、GnRH受容体の測定のためラジオレセプターアッセイに使用する。先ず、調製させた膜画分のタンパク質濃度を、通常の知られた方法、例えばBioRadタンパク質アッセイ( BioRad,Munich)で光度的に測定する。GnRH受容体濃度の測定を、調製された膜画分のGnRH受容体に特異的に結合するBuserelin(登録商標)等の公知のGnRHアゴニストを使用して行う。GnRHアゴニストは、例えば125Iによって放射標識されているので、結合した放射標識GnRHアゴニストの濃度が、膜画分中のGnRH受容体の濃度を反映する。結合した放射標識GnRHアゴニストの濃度が、1分あたりの放射能カウントによって測定される。低親和性/高キャパシティそして高親和性/低キャパシティの両方のGnRH受容体結合部位が評価される(Baumann,K.,et al.,1993,Breast Cancer Research Treatment,vol.25,page 37−46を参照されたい)。
【0022】
本発明はさらに、脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍の治療のための薬剤を製造するためのGnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストの使用に関する。特に、本発明は、グリア芽腫多形、髄質芽腫、松果体腫、神経芽細胞腫、クラニオファリンジオーマ、髄膜腫、脊索腫、エウイング肉腫、悪性メラノーマ、またはカポジ肉腫の治療の薬剤を製造するためのGnRHアゴニスト及びGnRHアンタゴニストの使用に向けられる。GnRH受容体ならびにGnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニスト治療は、これまでのところ、クラニオファリンジオーマについても、髄膜腫又は脊索腫又はエウイング肉腫又は悪性メラノーマについてもさらにカポジ肉腫についても報告されていない。これらの腫瘍に対して、血液−脳関門は存在しない、なぜなら、それらは元来、脳外、頭蓋内または末梢の腫瘍であるからである。従って、GnRHアゴニストおよび/またはGnRHアンタゴニストまたはそれらの結合体をそれぞれ使用する本発明による治療は、非常に有利である。しかしながら、血液−脳関門を横切るGnRHの二方向系、二方向の能動輸送が存在するので(Barrera,C.,Banks,W.A.,Fasold,M.B.,and Kastin,A.J.,1991,Effects of Various Repuroductive Hormones on the Penetration of LHRH Across the Blood−Brain Barrier,Pharmacology,Biochemistry & Behavior,vol.41,255−257)、GnRHについては、血液−脳関門を通過できる。従って、GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストによる治療は、血液−脳関門が存在するタモキシフェンでの治療に比べて利点をもつ。エウイング肉腫および神経系のPNET外側の他の末梢形、悪性メラノーマおよびカポジ肉腫に対して、血液−脳関門は一般的に、GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストによる治療において本質的な役割を演じない、なぜならこれらの腫瘍は多くの場合、血液−脳関門の外に現われ、そして留まるからである。
【0023】
表I
脳および/または神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍および/またはカポジ肉腫の治療に用いることのできるGnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストのリスト
【表1】

GnRHアンタゴニストのさらなる例は:
− 米国特許第5,480,969号( Bowers et al.,特許日: 1996年1月2日)に記載のAntide(登録商標)と同じLHRHアンタゴニスト
− 英国特許GB2 246782B号(Albert,R.,et al.,16/09/1992公開された特許)に記載のLHRHペプチド誘導体
− 米国特許第5,198,533号(Schally et al.,特許日:1993年3月30日)に記載のLHRHアンタゴニスト
である。
【0024】
上記リストのGnRHアゴニストの最小治療用量は、それぞれ皮下投与または筋肉内投与の使用の他の適応症に対して各GnRHアゴニストのRote Liste(登録商標)に挙げられた用量に対応する。GnRHアゴニストの静脈内投与に対しては、最少の1日用量が用いられる。例えばKlijn et al.,1982,The Lancet,1213−1216を参照されたい。
【0025】
上記リストの皮下投与または筋肉内投与用のGnRHアゴニストCetrorelix(登録商標)、Antrarelix(登録商標)、Antide(登録商標)およびRamorelix(登録商標)の最少治療用量は、文献に記載され、そして他の適応症で使用される用量に対応する。例えばCetrorelix(登録商標)については:Gonzalez−Barcena et al.,1994,The Prostate24,84−92を参照されたい。
【0026】
上記リストのGnRHアゴニストCetrorelix(登録商標)、Antrarelix(登録商標)、Antide(登録商標)およびRamorelix(登録商標)の静脈内投与の最少治療用量は、適切な認可委員会で他の適応症に知られているか、またはドイツ薬局材料リストまたは文献に記載されていたり、例えばAntide(登録商標)に対して投与される用量に対応する:Fattinger et al.,1996,Am.J.Physiol.271(Endocrinol.Metab.34)E775−E787。同じことが、米国特許第5,480,969号、英国特許GB2 246782B号および米国特許第5,198,533号に記載されるGnRHアンタゴニストにも言える。
【0027】
本発明によれば、GnRHアゴニストおよび/またはGnRHアンタゴニストは、適切な形態で用いられる。血液−脳関門内の腫瘍には、例えば循環系へ、神経系循環系へ動脈内に直接的に、または静脈内へ注入、または溶液剤の形態での注入、または手術後の腫瘍床への、肉眼的腫瘍切除後直接、手術中またはOmmaya(登録商標)レザバーでの局所投与、または溶液剤の形態での皮下空洞注入の他の形が好ましい。GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストの両方は、GnRH受容体に結合するので、使用することが可能である。さらに、GnRH受容体へ特異的に向けられているリガンドが使用できる。例えば好ましくはヒト抗体またはヒト化抗体である。多くの場合、標的薬剤が先ず腫瘍細胞へ到達することを確かめることが好ましい。従って、トレーサーをもつリガンドを使用する画像化法が本発明のさらなる側面である。リガンドが腫瘍に主として局在化されれば、リガンドは、例えば放射線同位体等の細胞障害剤またはリシンA等の他の毒性物資と結合できる。好ましいGnRHアゴニストは、引用によりここに明白に取り込まれるRote Listeに挙げられている( Rote Liste、1997、paragraph 50,part 3,pituitary hormones,50038−50056,editor ROTE LISTE(登録商標) Service GmbH,Frankfurt/Main)。他の治療の患者に既に臨床的に使用されている好ましいGnRHアンタゴニストは、Astra Medica AG,Frankfurt/Main、 ドイツからのCetrorelix(登録商標)およびAntrarelix(登録商標)、そしてAres−Sarono Int.AG,Lausanne、スイスからのAntide(登録商標)である。
【0028】
上記GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストは、他の治療に認可された用量で投与できる。下垂体腺腫、グリア芽腫または膵臓腺癌におけるソマトスタチン類似体等の類似物質(物質、薬剤)の使用、または他の適応症、例えば乳癌、前立腺癌または卵巣癌に対するGnRH類似体(アゴニストまたはアンタゴニスト)を用いる第二相試験の用量を見つける研究に間に確立される用量も使用できる。
【0029】
格別な態様では、GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストを、例えばGossypol(登録商標)(Flack et al.,1993,J.Endocrinol.Metab.,Oral Gossypol in the Treatment of Metastatic Adrenal Cancer 76,1019−1024;Poso,H.,et al.,The Lancet, 1980,885を参照されたい)等のそれぞれゴナドトロピンまたはLHの阻害剤と、またはメラトニンまたはメラトニン類似体(アゴニストまたはアンタゴニスト)(Lissoni et al.,1996,Increased Survival Time in Brain Glioblastomas by a Radioneuroendocrine Strategy with Radiotherapy plus Melatonin Compared to Radiotherapy Alone,Oncology53,43−46を参照されたい)と結合する。
【0030】
以下に、好ましい治療プロトコールの例を述べる。
最初に、ヒト脳または神経系の腫瘍細胞のGnRH受容体濃度、即ちインヴィトロで効果のある膜上のGnRH受容体が、ラジオレセプターアッセイを用いて測定された。本発明による方法で、生物活性または特に活性なGnRH受容体が、それぞれ測定される。この目的のため、 GnRHアゴニストの放射能標識Buserelin(登録商標)を、GnRH受容体に特異的に結合するマーカーとして使用する。結合Buserelin(登録商標)の放射能カウントに基づいて、GnRH受容体濃度を測定できる。この検出は既に、乳癌等の他の腫瘍に使用されてきた。本発明によって使用される方法は、新鮮なヒト腫瘍組織の細胞膜上のGnRH受容体濃度を測定する。
【0031】
腫瘍組織の手術切除の間、一方で組織は病理解剖検査のために、他方、例えばここで記載された方法で腫瘍組織はGnRH受容体測定のために採取し、処理される。脳および/また神経系および/また髄膜を起源とする腫瘍、および/またカポジ肉腫の組織診断の病理解剖検査および確認に続いて、予後は、存在するGnRH受容体濃度に対するGnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストの処方で治療を成功させることができる。
【0032】
膜タンパク質あたり1000amol/mg(=1fmol/mg)より多いGnRH受容体の濃度で、患者はGnRH受容体ポジティブとして診断されるであろう。GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニスト治療に対して臨床的な排除指標はないので、GnRH受容体ポジティブではないことが治療の排除の指標とはならない。患者のGnRH受容体ポジティブであることは、予後の腫瘍マーカーとしてGnRH受容体が機能する古典的な標準治療下の腫瘍増殖の過程でGnRH受容体ネガティブであることよりも再発のより早い傾向として予後的に判断される。また、GnRH受容体ポジティブであることは、GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストによる治療に対して特に有利であると考えられ、そしてGnRH受容体ポジティブまたはネガティブであることが、期待される治療の成功の予後情報を与え、そしてGnRH受容体がその治療における予後の腫瘍マーカーである。GnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニスト治療を、病理解剖検査後、例えば迅速切片病理診断の場合に術後直ちにはじめる。
【0033】
GnRH受容体の存在の測定後、適当なリガンド( GnRHアゴニスト、 GnRHアンタゴニストまたは結合体)を選び、そして腫瘍が出ている患者に、好ましくは診断的画像化法後に投与する。MTT test literature:Hunter et al.,1993,Europ.J.Surg.Oncology,242−249を参照されたい。
【0034】
治療は、完全な回復が起らない限り継続される。治療効果を判定する指標は:A)MRT画像および/またはCATスキャン画像上の腫瘍容積、B)再発のない生存、C)初めの適用の全体の生存並びにD)KarnofskyとSpitzerインデックス。当業者に知られているすべての適切な形の投与用量は、この特許明細書中に示される。
【0035】
腫瘍でのGnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストの作用の正確なメカニズムは知られていない。乳癌、前立腺癌および卵巣癌等の活性化GnRH受容体をもつ今までに知られている腫瘍タイプに対して、局所調節的オートクリン−パラクリン系が文献に提案されている;Irmer et al.,1995,Cancer Reseach 55,817−822を参照されたい。述べられた腫瘍に対し、GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストの抗増殖活性が、文献に記載されており、両方ともインヴィトロ(Palyi et al.,1996,Cancer Detection and Prevention,20,146−152;Irmer et al.,1995,Cancer Reseach 55,817−822;Pati et al.,1995,Endocrinology,136,75−84)そしてそれぞれインヴィヴォまたは臨床;Gonzalez−Barcena et al.,1994,The prostate 24,84−92;Jonat etal.,1995,European J. of Cancer,31A,137−142;Emons and Schally,1994,Human Reproduction Update 9,No.7,1364−1379を参照されたい;ここで、この抗増殖活性が、GnRHアゴニストによる可逆的“化学的去勢”(chemical castration)で期待される抗増殖活性を超えている。
【0036】
同じ様な方法でグリア芽腫およびグリオームに対して、以下の作用メカニズムが考えられる。文献(Constam et al.,J.Immunology,148,1404−1410)において、グリア芽腫細胞によるトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)も産生が記載されている。増殖因子TGF−βは、Melcangi et al.,1995,Endocrinology,136,679−686によってラットグリア細胞、即ち正常の非腫瘍細胞で、因子としてインヴィトロで視床下部細胞における天然GnRH産生を刺激する産生物として記載されている。グリア芽腫によって局所で産生され、分泌されるGnRHは、TGF−βについても知られている腫瘍増殖への刺激作用をもつ。また、ヒトグリア芽腫細胞およびグリオーマ細胞はそれぞれ、循環性免疫抑制物質、主としてTGF−βを分泌することができ、従って細胞免疫反応に逆作用をおこすこともできる。GnRH刺激機能以外に、TGF−βの増加は多分、腫瘍増殖が促進され且つ腫瘍サイズが増大する患者の細胞性免疫に免疫抑制(防御阻害)作用も有する。グリア芽腫多形、髄質芽腫および悪性メラノーマに対して、TGF−βのこの免疫抑制現象が記載されている;Stockhammer et al.,1995,J.of Neurosurgery 83,672−681;Jennings et al.,1994,Hum.Pathol. 25,464−475;Bizik et al.,1996,J.Cell Biochem.62,113−122;van Belle et al.,1996,Am.J.Pathol. 148,1887−1894を参照されたい。このオートクリン−パラクリン増殖制御系は逆にすることができ、腫瘍サイズの減少を引きおこす。この逆転(または、内分泌学で“ネガティブフィードバッグ”と言われる)は原則的に、過剰のGnRH(競合阻害)によって影響されてもよい。この作用は、GnRHの代りにGnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストを使用して増強さえされる。この治療の結果は、TGF−β産生の減少であり、次いでそれから生じる腫瘍サイズの減少である。また、β−HCGは免疫抑制的な役割を果たす。本発明によれば、またLH−βおよびβ−HCGの産生はそれぞれ、GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストによって阻害される。また、GBMにおいて、EGF産生は阻害される。
【0037】
適応の発明に属する脳および/また神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍に対しては、1990年に確立された中枢神経系の腫瘍の世界保健機構(WHO)分類(Kleihues et al.,1993,Histological Typing of Tumors of the central nervous system,Springer Verlag,Berlin Heiderberg New York Tokyo)が参照される。上記WHO分類に挙げられた腫瘍に加えて、また悪性メラノーマ、エウイング肉腫、およびカポジ肉腫が適応の発明に属する。適応の発明から除かれるのは、下垂体腺腫、そして、エウイング肉腫、メラノーマおよびカポジ肉腫以外の全ての転移、リンパ腫ならびに造血の腫瘍である。絨毛癌等の胚細胞は、GnRH受容体をもつことが知られている胎盤の悪性腫瘍に似ている。従って、中枢神経系の胚細胞腫瘍は、本適応の発明に属する。体内の多くの部位におこるカポジ肉腫は、モノクローナル起源の細胞からなる(Rabkin et al.,1996,The New England Journal of medicine,14,988−993)。それは、神経系に起源をもつ腫瘍の皮膚神経線維腫と共通の特異抗原をもつ(Rudolph,P.et al.,1997,Am.J.Surg.Pathol.(US),21(7),791−800)。
【0038】
ホルモンに関して、カポジ肉腫は、悪性胎盤腫瘍および髄膜腫に似ており、カポジ肉腫は、これらの腫瘍のようにβ−HCG受容体をもち、例えば髄膜腫のようにβ−HCGの投与に抗増殖的に反応する(Boyle−Wash et al.,1995,Effect of glycoprotein and protein hormones on human meningenoma cell proliferation in vitro,Jornal of Endocrinology,145,155−161;Albini et al.,1997,The beta−core Fragment of human chorionic gonadotropin inhibits growth of Kaposi sarcoma−derived cells and a new immmortalized Kaposi sarcoma cell line, AIDS(US),11(6),713−721;Gill et al.,1996,The effects of preparations of human chorionic gonadotropin on aids−related Kaposi sarcoma,The New England Journal of Medicine,335(17),1261−1269)。髄膜腫との類似性により、カポジ肉腫はGnRH受容体を有し、胎盤や胎盤腫瘍においてβ−HCG放出ホルモンとして知られているGnRHの見い出されたオートクリン関係が役割を演じる(Lin et al.,1995,J.Clin.Endocrionol.Metab.80,580−585)。β−HCG 産生および/またはβ−HCG受容体をもつ中枢神経系腫瘍並びに悪性メラノーマのWHO分類に上に挙げられた腫瘍はGnRH受容体を有する。エウイング肉腫は、初期神経外胚葉性腫瘍(PNET)に属し、これらの末梢形態である(Grier,H.E.,1997,The Ewing Family of Tumors. Ewing sarcoma and primitive neuroectodermal tumors.Pediatric Clin.North Am.(US),44(4),991−1004)。
【0039】
松果体(Glandula pinealis)は、GnRHアゴニスト治療中抵抗の場合に転移前立腺癌におけるGnRH受容体発現刺激ホルモンであり(Lissoni et al.,1997,European Urology 31,178−181を参照されたい)、そしてさらに抗血管新生活性をもつ(Regelson,W.,Pierpaoli,W.,1987,Cancer Invest.,5,379−385)ホルモンメラトニンの産生の源である。GnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニストは、上皮増殖因子等の増殖因子を阻害することによって抗分裂活性および抗増殖活性をそれぞれもつ(Motta et al.,1996,J.Steoid.Biochem.Molec.Biol.56,107−11,1996)。上皮増殖因子はまた、有糸分裂促進剤として、そして従って例えばグリア芽腫多形の正の増殖因子として存在する(Rao et al.,1996,Peptides(US).17,179−181)。従って、メラトニン− GnRH アナログ結合体は、グリア芽腫等の腫瘍に対する抗分裂活性および抗増殖活性を結合し、そして例えばGnRH受容体減少によるGnRHアゴニスト/GnRHアンタゴニストに対する耐性をさけるためにグリア芽腫多形中にGnRH受容体のさらなる発現誘導する。
【0040】
本発明によって、脳および/また神経系および/また髄膜を起源とする腫瘍および/またカポジ肉腫の治療のための薬剤製造のためのGnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニストが初めて提供される。
【0041】
本発明によって、GnRHアゴニストまたはGnRHアンタゴニスト並びに結合されたGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストが、脳および/また神経系および/または髄膜を起源とする腫瘍、例えばグリア芽腫多形を治療するために使用される。本発明による薬剤は、特にそれぞれ皮下、筋肉内、静脈内、脊髄内または硬膜下の投与、または鼻内投与、または持続放出埋込の形で、当業者に知られているいかなる方法で製造されてもよい。本発明による薬剤はまた、脳室に連結されている皮下脳室の増殖抑制レザバーを通して投与してもよく、レザバーは皮膚を通しての注入によって補充できる。 GnRHアゴニストは、例えば前立腺癌、乳癌または子宮内膜症の治療に使用されるのと同じ用量で投与してもよい;例えばRote Liste、1997、paragraph 50,part 3,hypothalmic hormones,50038−50056,Editor ROTE LISTE(登録商標)Service GmbH,Frankfurt/Mainを参照されたい、ここに引用して取り込まれる;付記Aを参照されたい。最少用量は、各GnRHアゴニストに対しRote Listeに挙げられた用量に対応する。例えば、増殖抑制レザバーを通しての脊髄内または皮下の脳室投与の場合に、最少用量は、各GnRHアゴニストに対しRote Listeに挙げられたものより低くてもよい。最大量は、 各GnRHアゴニストのLD50値に対応する。用量は、神経学的方法で得られるGnRH受容体濃度の結果に従って任意に増加しても、減少してもよい。投与頻度または1日用量はそれぞれ、Rote Listeにも見い出すことができる。好ましくは、薬剤は、神経放射線学的または臨床的に評価できる腫瘍の完全寛解(退行)まで投与される。
【0042】
皮下投与には、例えばCarcinil(登録商標)、Decapeptyl(登録商標)0.5mg/0.1mgまたはUno−Enantoneを用いてもよい。持続放出埋込み剤として、例えばProfact(登録商標)−Depot、Zoladex(登録商標)、またはEnantone Monatsdepotが投与できる。筋肉内投与には、例えばDecapeptyl(登録商標)− Depot、Decapeptyl(登録商標)−Gyn、またはEnantone−Gynを用いてもよい。鼻内投与には、例えばProfact(登録商標)−Nasal、Suprecur(登録商標)−NasalまたはSynarela(登録商標)− Nasalを用いてもよい。静脈内または鼻内投与には、それぞれ例えば、Profact pro injectione/nasalが、Klijn,J.G.,and DeJong,F.H.,in Klijn,J.G.,and De Jong,F.H.,1982,The Lancet,1213−1216によって与えられた用量で投与できる。GnRHアンタゴニストは、例えばGonzalez−Barcena et al.,1994,The Prostate24,84−92でのCetrorelix(登録商標)によって与えられた用量で投与でき、または例えばFattinger et al.,1996,Am.J.Physiol.271(Endocrinol.Metab.34:E775−E787)中のAntide(登録商標)に与えられた用量の最少量で投与できる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明を制限するものと見なすべきではない。
実施例1:GnRH受容体の濃度の測定
セルラインおよび/または細胞培養物の細胞膜抽出物についてのGnRH受容体の濃度決定の例として、Decapeptyl(登録商標)ラジオレセプターアッセイが膜について用いられる(Emons,G.,et al.,1993,Cancer Research 53,5439−5446によって記載されるように)。このプロトコールによれば、GnRH受容体はヒトグリア芽腫セルラインU−87MGまたはU−373MG等のヒトセルラインについて決定される(Pinski et al.,1994,Cancer Research 54,5895−5901)。この試験で、低親和性/高キャパシティ並びに高親和性/低キャパシティのGnRH受容体結合部位が評価される。Emons,G.,et al.,上記、において記載されているのと似た結果がセルラインEFO−21およびEFO−27に対して得られる。
【0044】
セルラインおよび/または細胞培養物の細胞膜抽出物についてのGnRH受容体の濃度測定の別の例として、標識化Triptorelin( Emons,G.,et al.,上記)についてのLHRHラジオレセプターアッセイが、よく知られたセルラインKSY−1またはKS−SLK(Parkash et al.,1996,New England Journal of Medicine 335,17,1261−1269)等のカポジ肉腫セルラインおよびよく知られたセルラインMV3およびBLM(Goldbrunner,R.H., et al.,1996,Anticancer Research 16(6B),3679−3687)等のヒト悪性メラノーマセルラインについて行われ、Emons,G.,et al.,上記、に記載されているのと同様の結果をセルラインEFO−21およびEFO−27に対して得る。
【0045】
実施例2:RT−PCRによるGnRH受容体のmRNAの測定
RT−PCRによるGnRH受容体メッセンジャーRNAの測定の例として、例えばグリア芽腫セルラインU−87MGまたはU−373MGからのRNAが最初の反応でcDNAへ転写される。さらなる反応において、例えば、下垂体GnRH受容体(Kakar,S.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,1992,289−295)、または胎盤GnRH受容体(Leung,P.C.K.,Biological Signals,1996,5,63−69)、または胎盤GnRH受容体(Lin,L.,et al.,J.Clinical Endocrinol.Metabolism,1995,vol.80,No.2,581−584)の884bpフラグメントを逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応において特異的プライマーを使用して増幅し、ここで公知GnRH受容体陽性セルラインのcDNAがポジティブコントロールとして役立つ。次いで、反応生成物は、ポリアクリルアミド(PAA)ゲル中で視覚化される。PAAゲルのレーン1において、フラグメント長マーカーが見られ、レーン2において、MCF7ポジティブコントロールの884bpのGnRH受容体PCR生成物の明瞭なバンド、そしてまたグリア芽腫セルラインのレーンにおいて、884bpの生成物または他のGnRH受容体スプライス変異(フラグメント)シグナルを見ることができる。このmRNA検出を、他のGnRH受容体mRNAに同様にして行う、例えばIrmer et al.,1995,Cancer Research,55,817−822を参照されたい。
【0046】
実施例3:治療的インヴィトロ試験
細胞培養での増殖アッセイ
よく知られたヒトグリア芽腫セルラインU−87MGまたはU−373MG(Pinski et al.,上記)等のヒトセルライン、またはよく知られたカポジ肉腫セルラインKSY−1またはKS−SLK(Parkash et al.,1996,New England Journal of Medicine 335,17,1261−1269)等のヒトセルライン、またはよく知られたヒト悪性メラノーマセルラインMV3又はBLM(Goldbrunner,R.H., et al.,1996,Anticancer Research 16(6B),3679−87)等のヒトセルラインまたは知られたセルラインDaoyまたはD283MED(Stockhammer et al.,1995,J.Neurosurgery,83,672−681)等のヒト髄質芽腫セルラインまたはヒト髄膜腫細胞培養物(Boyle−Wash.E.,et al.,1995,J.Endocrinology,145,155−161)が、上記セルラインに対して上記著者によって記載されているように培養され、次いでEmons,G.,et al.,1993、上記、およびIrmer,G.,et al.,上記、によって記載されているようにして、そこに記載されているような濃度のGnRHアゴニストのTriptorelin、GnRHアンタゴニストのSB−57(Cetorelix(登録商標))またはGnRHアンタゴニストのRamorelix(登録商標)で培養される。Emons,G.,et al.,Cancer Resaerch,53,1993,539−544、およびIrmer,G.,et al.,上記、によって記載されているものと同様の結果が得られた。
【0047】
別途、上記セルラインはまた、GnRHアゴニストのGoserelin(Zoladex(登録商標)、BuserelinまたはLeuprorelin)またはAntide(登録商標)またはAntarelix(登録商標)等のGnRHアンタゴニストのいずれかで処理された。Pinski et al.またはIrmer et al.,上記、によって記載されているものと同様の抗増殖作用が観察された。
また別途、そのようなセルラインを各々、GnRHアンタゴニストのCetorelix(登録商標)、Antarelix(登録商標)、 Antide(登録商標)およびRamorelix(登録商標)の1つ、または米国特許5,480,969、米国特許第5,198,533号または英国特許GB2246782Bに記載されているようなGnRHアンタゴニストの1つでさらに処理し、この処理をSB 75( Cetorelix(登録商標))に対してEmons et al.,上記、に報告されたものに同様に行われた。同様の抗増殖作用が起きる。
【0048】
上に挙げられたセルラインはまた、Karande,A.A.,et al.,1995,Mol.Cell.Endocrinol.114(1−2).p.51−56によって記載されているようなGnRH受容体抗原に対するモノクローナル抗体で別途処理された。同様の抗増殖作用が、OVCAR−3セルラインに対してAckermann,R.C.,et al.,1994,Cancer Letters,81,177−184によって記載されているように上記セルラインについて観察される。
【0049】
実施例4:異種移植モデルのインヴィヴォ試験
ヌードマウスを用いるインヴィヴォ試験
腫瘍移植ヌードマウス(Pinski et al.,上記)各々をGnRHアゴニストのBuserelin、 Triprorelin、GoserelinおよびLeuprorelinの1つにより、そして各々をGnRHアンタゴニストのCetorelix(登録商標)(SB−75)、Antarelix(登録商標)、 Antide(登録商標)およびRamorelix(登録商標)の1つによる処理の悪性グリオームU−87MGおよびU−373MGの増殖へに作用が、Pinski et al.,上記の類似ペプチドの効果の決定のために記載されているように1日用量とヌードマウスのコントロールを使用して、我々によって証明された。同様の増殖阻害作用が、我々によって述べられたGnRHアゴニストおよびGnRHアンタゴニスによる処理によって上記腫瘍で観察できた。
【0050】
実施例5:第1相試験
マイクロサージェリー切除後および/または外からの通常の放射線療法の後および/または密封小線源療法の後の状態における切除できないグリア芽腫多形をもつ患者、または散在的で軸内に増殖する脳腫瘍、神経膠腫症のそれぞれ広がるかまたは存在する増殖性腫瘍、65ml以上の腫瘍容積または5cm以上の最小の腫瘍直径をもつ患者が、Klijn,J.G.M.,et al.,1982,The Lancet,May 19,12143−1214に記載されているように静脈内に、そしてまたそこに記載されているように永続的投薬として鼻内投与により投与されるGnRHアゴニストのBuserelinで治療された。治療の効果として、腫瘍容積の減少が、MRT又はCT画像でそれぞれ観察される。グリオーマのタモキシフェン療法(Pollack et al.,1995,Pediatr.Neurosurgery 22,281−288)に対して記載されているよりも長い、再発のない生存が観察された。
【0051】
実施例6:第1相試験
従来の放射線療法の後、手術不能で立体的に確認されたグリア芽腫多形をもつ2名の患者が、Rote Liste中の転移乳癌に対して挙げられているような用量および投与形のZoladex(登録商標)を用いて永続的投薬として治療された。MRTコントロールは、腫瘍容積の有意な減少を示す。
【0052】
実施例7:第2相試験
最初の手術後、組織学的に確認されたグリア芽腫多形をもつ患者が、Jonat et al.1995,European J.Cancer,137−142によって記載されているようにZoladex(登録商標)で治療された(無作為コントロール)。放射線療法に続いて、2つのグループに割り振られる。1つのグループは、Zoladex(登録商標)で治療され、そして1つのグループは、Zoladex(登録商標)なし(またはCetorelix(登録商標)有りまたはCetorelix(登録商標)なし、またはAntide(登録商標)有りまたはAntide(登録商標)なし、またはDecapeptyl(登録商標)有りまたはDecapeptyl(登録商標)なし等)で治療される。作用は、転移した閉経期の乳癌に同様である。実際の有意な治療効果を示すパーセンテージは、腫瘍容積、再発なしの生存、最初の適用後の全体としての生存、臨床的神経学的検査におけるKarnofskyとSpitzerのインデックスの基準により、および他の検査基準(Sposto,R.,et al.,1989,J.Neurooncology,7,165−177そしてKirby,S., et al.,1995, J.Natl.Cancer Institute,87,1884−1888,1995)を考慮して評価される。MRTおよび/またはCATスキャンで、 Zoladex(登録商標)で治療されなかったコントロールグループにおけるよりも、腫瘍容積の有意により大きな減少、または有意により長い再発なしの生存、最初の適用後の有意により長い全体としての生存のそれぞれが、観察された。
当業者によく知られている遺伝子治療の方法を用いて、レトロウイルスおよびアンチセンスGnRH受容体ベクターをグリオーマ細胞に安定的にトランスフェクトし、抗増殖作用が観察される。
【0053】
実施例8:グリオーム組織の採取
脳腫瘍手術の間(手術中)、新鮮なヒト腫瘍組織を培養液の添加なしに小さな乾燥無菌皿に集め、直ちに無菌の標準的なプラスチックチューブへ移した。チューブを密封し、約15分後液体窒素を含むジュアー容器(Union Carbide Cryogenic Equipment 35HC,ref.No.103−139−T5)でショック凍結した。組織サンプルをGnRH受容体同定まで約2カ月間液体窒素中で保存した。
【0054】
実施例9:組織調製
凍結組織サンプルを残存する血および脂肪からきれいにし、メスを用いて約2×2×2mmの断片に切った。組織サンプルを、1分間DismembratorII(B.Braun,Melsungen)中で最大出力でホモジェナイズした。ホモジェナイズした組織を冷緩衝液1(10mMトリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、4℃)1000μlに懸濁し、そしてできるだけ均一に混合した。最初の遠心分離段階(800×g、10分間、4℃)で、サンプルをおおきな組織破片から分離した。上清を再び遠心分離(10,000×g、45分間、4℃)した。2度目の遠心分離段階の上清を捨て、膜画分を含むペレットを1000μlの冷緩衝液1に再懸濁し、できるだけ均一な膜懸濁液を得るため4秒毎に3回Polytonホモジェナイザーを使用してホモジェナイズした。この膜画分に、1000μlの冷緩衝液1を加えた。この懸濁液を、ラジオレセプターアッセイのGnRH受容体の同定に使用した。
【0055】
実施例10:タンパク質濃度の測定
BioRad試薬を蒸留水で1:5に希釈した。この試薬3.5mlを作製された膜画分50μlと混合し、5分間培養した。タンパク質濃度の光度測定は、よく知られた方法で595nmの波長で2度の測定として行われた。測定に対応して使用されるヒトアルブミンタンパク質が、タンパク質標準として役立つ。
【0056】
実施例11:ラジオレセプターアッセイ
GnRH受容体の濃度の測定を、上記のようにして作製した組織の膜画分で行った。ラジオレセプターアッセイは、2つの異なるサンプルを含み、その各々を4重に測定する:a)作製した膜画分を含むサンプル、およびb)コントロールサンプル。
a)300μlの緩衝液2(10mMトリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、0.1%牛血清アルブミン)および100μlのトレサー(125I−Buserelin、80.000cpm/100μl)を膜画分100μlに加えた。
b)コントロールには、250μlの緩衝液2、トレサー100μl、膜画分100μlおよびGnRH類似体(10−5MのBuserelin)50μlを混合する。
各サンプルをよく混合し、次いで4℃で90分間培養した。ラジオレセプターアッセイを、牛ガンマーグロブリン溶液(0.1%牛ガンマーグロブリン、0.15M NaCl)500μlの添加によって停止した。次いで、PEG−6000、0.15M NaClの溶液1000μlを加えた。
サンプルを均一になるまで再度混合し、4℃で20分間培養した。PEG−ホルモンレセプター複合体の分離を、遠心分離(1.600×g、30分間、4℃)によって行い、その間それらのより高い質量の複合体がペレットを形成する。上清を注意してパスツールピペットで取り除く。GnRH受容体カウントの評価の基礎となる1分あたりのカウント数を、次いでガンマーカウンター(Berthold)で測定した。
【0057】
実施例12:ラジオレセプターアッセイの検討
一般的に、いくつかの組織サンプルを実験的検討において使用した。1つのアッセイにおけるすべてのサンプルのネガティブな結果の場合における系統的な誤りを除くために、牛下垂体組織の標準サンプルを、各アッセイにおいて腫瘍組織と平行して調べた。こうして、牛下垂体組織のGnRH受容体の検出をポジティブコントロールにした。下垂体組織は、腫瘍組織と同様にして作製され、そして膜画分は同様にして精製された。
【0058】
実施例13:GnRH受容体含量の評価
GnRH受容体含量の評価(膜タンパク質のfmol/mg)を、1分あたりのカウント(cpm)、特異的結合、使用されたタンパクの量および放射能標識リガンドの比放射能に基づいて行った。
特異的結合(Bspec)を、全結合( B)の4回の測定の平均値と非特異的結合(NBS)の4回の測定の平均値との差から計算する。
使用されるタンパクの量を、上記のように3に従って光度的に測定する。
類似体125I−Buserelinのデータ:
MG: 1253g/mole
比放射能: 1470mCi/mg
125I−Buserelin溶液の活性: 20μCi/ml
−1470mCi/mg125I−Buserelin=54.4×10Bq/mg
125I−Buserelin溶液1mlは、7.4×10Bqをもつ125I−Buserelin 13.61×10−9gを含む、
−13.61×10−9g/ml125I−Buserelin=10.9×10−12mole125I−Buserelin、54.4×10Bq=44.4×10cpm、
−10.90×10−12mole125I−Buserelin=44.4×10cpm、
−1000cpmは、0.247×10−15mole125I−Buserelinに対応する。
cpm値からGnRH受容体濃度(膜タンパクのfmol/mg)の計算には、使用されるタンパクの量も測定し、そして崩壊ファクターを考慮しなければならない。従って、GnRH受容体含量の計算式は以下である:
【数1】

【0059】
表II
GnRH受容体濃度の測定
本発明によるラジオレセプターアッセイを使用する数名の患者の組織サンプルのGnRH受容体測定の結果を示す。
【表2】

【0060】
実施例14:ヒト悪性メラノーマセルラインMV3を使用する増殖アッセイ
ヒトメラノーマセルラインMV3を培養した(1%Penstrepおよび10%の熱不活性化牛胎児血清を用いるRPMI培地(Gibco Co.)中での長期培養)。増殖アッセイを96穴プレートの1穴あたり6×10細胞で行われた。先ず、細胞を0.02mM溶液を用いて培養フラスコから除き、次いで標準PBS溶液中で洗った。10分間(1200g)の遠心分離後、上清をすて、そしてペレットを培地1mlに再懸濁した。20μl分量の細胞を、1:20希釈になるようにトリパンブルーで希釈した。トリパンブルーは、壊死細胞を染める。次いで、測定をNaubauer計数チャンバーで行われた。評価は、ゼロ日でスタートして4つの値を毎日測定し、細胞カウントを得るために、細胞カウント×10×希釈ファクター20の平均値を乗じる。5日間、測定を毎日4回Biomec分光光度計で行った。
【0061】
腫瘍細胞増殖の測定法は、Lue,H.Q.,et al.,1996,Journal of Cancer Research and Clinical Oncology,122,335−342に記載されている。
【0062】
セルラインをLHRHホルモンの(Gly−OH10)−LHRH(図3)(Sigma Chemical Co.,No.L8008)、LHRHアゴニストのTriptorelin(図2)(Sigma Chemical Co.,No.L9761)またはLHRHアンタゴニストのAntide(図1)(Sigma Chemical Co.,No.A8802)で処理した。
【0063】
4日からネガティブコントロールとして培地を使用して、10−4M、10−5Mおよび10−6Mの濃度で、以下の結果が得られた:
【0064】
図1について: Antide(GnRHアンタゴニスト)については、増殖の明らかな阻害が、高濃度の10−4Mおよび10−5Mで、それぞれ15%および35%(Emons et al.,1993,上記によって記載されているのと同じように、しかしそこで使用された卵巣癌セルラインに比較して遅い発現であり、2つのセルラインの1つにおいてアンタゴニストの抗増殖作用が1日から起きた)で見られる。10−6Mでは、増殖の抑制は観察されず、40%の増殖促進であった。GnRHアンタゴニストのインヴィトロ作用のこの矛盾は、Limonta et al.,1993,J.Clin.Endocrinol.Metab.,76,839−845で、GnRH受容体との前立腺癌に対して記載されているものと同様である。比較的低濃度に対する同様のインヴィトロ作用はまた、MCF7乳癌セルラインにおけるタモキシフェンに対しても知られている(Zaenker,K.,et al.1995)。
Triptorelin( GnRHアゴニスト)(図2を参照)については、15%の増殖阻害が4日から、述べられた濃度で観察された。Emons et al.,1993,上記、において、これは両方の卵巣癌セルラインに対して10−5MのTriptorelin処理下に1日からスタートして観察され、そして40%の阻害が6日で観察された。
【0065】
これらの結果は、悪性メラノーマについてのAntideおよびTriptorelinの直接的抗増殖作用の存在を示す。腫瘍細胞への非リガンドの結合が除外できるので、GnRH受容体がヒト悪性メラノーマセルラインMV3に存在することがまた証明された。
図1−3のグラフは、悪性メラノーマMV3がLHRH依存性腫瘍であることを証明している。
従って、またインヴィトロにおいて、LHRHホルモンがポジティブな増殖因子として機能する。オートクリンで産生されるLHRHホルモンの機能は、AntideおよびTriptorelinによって阻害される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ヒト悪性メラノーマセルラインMV3をLHRHアンタゴニストであるAntideで処理した場合の細胞増殖アッセイの結果を示す図である。
【図2】ヒト悪性メラノーマセルラインMV3をLHRHアゴニストであるTriptorelinで処理した場合の細胞増殖アッセイの結果を示す図である。
【図3】ヒト悪性メラノーマセルラインMV3をLHRHホルモンである(Gly−OH10)−LHRHで処理した場合の細胞増殖アッセイの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳及び/又は神経系、及び/又は髄膜を起源とする腫瘍の治療、及び/又はカポジ肉腫の治療に対する薬剤製造のためのGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストの使用。
【請求項2】
グリア芽腫多形、髄質芽腫、松果体腫、神経芽細胞腫、クラニオファリンジオーマ、髄膜腫、脊索腫、エウイング肉腫、悪性メラノーマ又はカポジ肉腫の治療に対する薬剤製造のためのGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストの使用。
【請求項3】
メラトニン又はメラトニン類似体へのGnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストの結合体。
【請求項4】
GnRHアゴニスト又はGnRHアンタゴニストが、細胞障害性物質と組み合わされて使用される、請求項1に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−342177(P2006−342177A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217259(P2006−217259)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願平11−506130の分割
【原出願日】平成10年7月3日(1998.7.3)
【出願人】(506272921)
【Fターム(参考)】