説明

GloboHおよびSSEA3に特異的な免疫反応を誘起する組成物および癌治療におけるその使用

Globo Hまたはそのフラグメントを標的とする免疫反応を引き起こすためのGlobo Hまたはそのフラグメント(例えば、SSEA3)およびアジュバント(例えば、α−GalCer)を含む免疫組成物、それらの癌に対する治療。FUT1およびFUT2のいずれか、またはGlobo Hの生合成を包含する両方の活性を阻害することにより癌を治療する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容全体を参照としてここに組み入れる、2008年6月16日出願の米国仮出願第61/061、968号について優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
Globo Hは、多様な上皮癌中で広範に発現する癌抗原である。これは、癌免疫療法における標的としての役割を果たし得ると提案されてきた。ワクチンがGlobo Hに対する抗体反応を引き起こすために開発されてきた一方で、それらの抗癌効果はGlobo Hの低い抗原性のために不十分である。したがって、Globo Hを標的とする高レベルの免疫反応を引き起こし得る新規なワクチンが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、(1)SSEA3、すなわちGlobo Hの直接前駆体、が乳癌幹細胞中に高レベルで発現し、それゆえ乳癌治療の適当な標的として機能し得る、および(2)α−ガラクトシル−セラミド(α−GalCer)は、抗Globo Hおよび抗SSEA3抗体の生産を促進する効果的なアジュバントである、という予期せぬ発見に基づく。
【0004】
したがって、本発明の一態様は、Globo Hまたはそのフラグメント(例えば、SSEA3)およびアジュバント(例えば、α−GalCer)を含む免疫組成物によって特徴付けられる。Globo Hまたはそのフラグメントは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合し得る。患者(例えばヒト)に投与されるとき、この免疫組成物は、Globo Hまたはそのフラグメントを標的とする免疫反応(例えば抗体生産)を引き起こすため、癌(例えば、乳癌、前立腺癌、卵巣癌および肺癌)治療に効果的である。
【0005】
本発明の他の態様は、非ヒト哺乳類(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウマ)に上記免疫組成物を投与し、Globo Hまたはそのフラグメントに結合する哺乳類の抗体から単離することにより、Globo Hまたはそのフラグメントに特異的な抗体を生産する方法に関する。
【0006】
他の態様では、本発明は2−フコシルトランスフェラーゼ1(FUTl)または2−フコシルトランスフェラーゼ2(FUT2)の活性を抑制する第一剤(first agent)で癌を治療する方法に特徴づけられる。FUTlおよびFUT2双方はGlobo H生合成に関与する。本薬剤は、FUT1/IFUT2および、その基質または、FUTlもしくはFUT2の発現を抑制する干渉RNA(例えば、siFUTlまたはsiFUT2)の間の相互作用を遮断する抗体であり得る。選択的に、FUTlを標的とする第一剤は、FUT2の活性を阻害する第二剤と組み合わせることができる。一例として、第一剤はsiFUTlであり第二剤はsiFUT2である。
【0007】
また、本発明の範囲には、癌治療および、癌の治療のための薬剤の製造における免疫組成物または第一および第二剤の使用も含まれる。
【0008】
本発明の一以上の実施形態の詳細は、以下に説明する。本発明の他の特徴または有利な点は、以下の図面、いくつかの実施例の詳細な説明、および添付の請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
始めに図面を説明する。
【図1】図1は、Glogo H(GH)中の第六糖類エピトープおよびこのエピトープのフラグメントの構造を示す概略図である。パネルA:第六糖類エピトープの構造。パネルB:第六糖類エピトープおよびその7フラグメントの構造。
【図2】図2は、KLH結合Globo H単独で免疫性を与えたマウスおよびα−GalCerを伴うKLH結合Globo Hで免疫性を与えたマウス中の抗Globo Hおよび抗SSEA3抗体レベルを示すチャートである。
【図3】図3は、乳癌細胞中のFUTlおよびFUT2発現におけるsiFUTlおよびsiFUT2の影響を示す概略図である。パネルA:MB157細胞中のsiFUTlによるFUTl発現の抑制。パネルB:それぞれ、T−47D細胞中のsiFUTlおよびsiFUT2によるFUTlおよびFUT2抑制。
【図4】図4は、乳癌異種移植片の成長阻害における、siFUTlおよびsiFUT2の影響を示す概略図である。パネルa:siFUTlおよびsiFUT2が乳房の腫瘍の成長を阻害することを示すチャート。パネルb:siFUTlおよびsiFUT2が腫瘍の重量を減少させることを示すチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
我々はGlobo Hおよびその直接前駆体SSEA3双方が癌治療における標的として機能し得ることを発見した。
【0011】
したがって、本発明の一実施形態は、Globo Hまたはそのフラグメント(例えば、SSEA3、Gb5としても知られている)いずれかおよびアジュバントを含む免疫組成物の有効量を、必要とする患者に投与することによる癌を治療する方法である。標的の癌の種類としては、これらに限定はされないが、乳癌(ステージ1〜4を含む)、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、肝癌(例えば、肝細胞癌および胆管癌)、口腔癌、胃癌(T1〜T4を含む)、結腸癌、鼻咽頭癌、皮膚癌、腎癌、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、グリア芽腫および髄膜腫)、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、および子宮内膜、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋肉腫、および消化管間質腫瘍が挙げられる。ここで使用される「治療」の語は、癌、癌の症状または癌傾向の体質を治療(cure)、治癒、緩和、軽減、変化、治療(remedy)、改善(ameliorate)、改善(improve)または影響する目的で、一以上の活性薬剤を含む組成物の、癌、癌の症状または癌傾向の体質を有する患者への適用または投与を参照する。ここで使用する「有効量」は、単独でまたは一以上の他の活性薬剤と組み合わせて、治療効果を患者に与えるのに必要とされる各活性薬剤の量を参照する。有効量は、当業者に理解されるように、投与経路、腑形剤の使用、および他の活性薬剤を共に使用することによって変化する。
【0012】
上記の方法で使用される免疫組成物は、Globo Hまたはそのフラグメントおよびアジュバントである、グリカン(すなわち、糖部分を含む分子)を含み得る。Globo Hは、図1、パネルAに示す第六糖類エピトープおよび選択的に非糖部分を含むグリカンである。そのフラグメントは、第六糖類エピトープのフラグメント、適用可能であれば、非糖部分を含むグリカンである。第六糖類エピトープのフラグメントは、図1、パネルBに示される。これらのオリゴ糖は、通常の方法によって調製できる。例えば、Huang et al、Proc.Natl.Acad.Sci.USA103:15−20(2006)参照。もし所望であれば、それらは非糖部分と結合し得る。
【0013】
上記のグリカンはいずれも、KLH等のタンパク質担体に結合し得る。
【0014】
したがってそれらは、アジュバントおよび従来の方法を通して免疫組成物(例えば、ワクチン)を形成するために、選択的に製薬上許容し得る担体(例えば、リン酸緩衝生理食塩水または重炭酸塩溶液)と混合することができる。例えば、米国特許第4、601、903号、第4、599、231号、第4、599、230号および第4、596、792号参照。組成物は注射剤、液状の溶液、またはエマルジョンとして調製でき、担体は標準的な薬務の基礎に基づくと共に、投与の形態および経路の基礎に基づいて選択される。適当な医薬担体および希釈剤ならびにそれらの使用のための医薬上の必要品は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。免疫組成物は、好ましくはアジュバントとしてα−GalCerを含む。アジュバントの他の例としては、これらに限定はされないが、コレラ毒素、大腸菌易熱性エンテロトキシン(LT)、リポソーム、免疫刺激複合体(ISCOM)、または免疫活性化配列オリゴデオキシヌクレオチド(ISS−ODN)が挙げられる。組成物はin vivoでの送達を促進するポリマーをも含んでもよい。Audran R. et al. Vaccine 21:1250−5、2003およびDenis−Mize et al.Cell Immunol、225:12−20、2003参照。必要であれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤等の補助的な物質を、Globo Hまたはそのフラグメント中の糖部分に対する免疫反応を引き起こす組成物の能力を向上するために、さらに含むことができる。
【0015】
ここで説明する免疫組成物は、非経口投与(例えば、静脈注射、皮下注射または筋肉注射)することができる。そうでなければ、座薬および経口製剤を含む他の投与形態が好ましい。座薬には、例えば、ポリアルキレン(ポリalkalene)グリコールまたはトリグリセライド等の結合剤および担体が含まれてもよい。経口製剤は通常使用される初期物(incipients)、例えば、医薬品グレードのサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等を含んでもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放性製剤または粉末の形態を取り、ここに記載する免疫組成物10〜95%を含む。
【0016】
免疫組成物は、投与処方に適合する方法で、治療として有効な、保護し得る、かつ免疫原性の量で投与される。投与量は、例えば、抗体を生産しかつ必要であれば細胞性免疫反応を生じるための、個々の免疫系の許容量を含む、治療しようとする患者に依存する。投与が求められる活性成分の正確な量は、施術者の判断に委ねられる。しかしながら、適当な投与量範囲は、当業者によって容易に決定され得る。初期投与および追加抗原投与量のための適当な投与計画も変化し得るが、しかし、その後の投与を伴う初期投与を含み得る。ワクチンの投与量は、投与経路に依存し、かつ、ホストの大きさによって変化する。
【0017】
本発明の免疫組成物は、癌治療および診断の両方に使用できる、抗体生産のための動物中で、抗体を生産するために使用することができる。動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジまたはウマ)中で、モノクローナルおよびポリクローナル抗体およびそのフラグメントを作る方法は、この技術分野において周知である。例えば、Harlow and Lane、(1988) 抗bodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、New York参照。「抗体」の語は、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv(一本鎖抗体)およびdAb(ドメイン抗体;Ward、et.al.(1989)Nature、341、544)等の、フラグメントと共に、無傷の免疫グロブリン分子を含む。
【0018】
本発明の他の実施形態は、Globo H生合成に両方が影響するUTlおよび/またはFUT2の活性を阻害することによる、癌を治療する方法である。FUTlおよびFUT2は、オリゴ糖基質の還元末端にα1、2結合を介してフコースユニットを転移する、周知の2−フコシルトランスフェラーゼである。例えば、NCBI Gene ID:2523およびNCBI Gene ID:2524参照。
【0019】
一つの例では、上記記載した方法は、FUT1/FUT2およびこれらの基質間に相互作用を及ぼす抗体、換言すると、FUT1/FUT2またはこれらの基質に特異的な抗体を有効量その必要のある対象へ投与することにより機能するものである。
【0020】
一般的に、抗体、FUT1/FUT2、それらのフラグメント、またはそれらの基質を産生するということは、キャリアタンパク(例えば、KLH)に結合されうるということであり、もし必要であれば、アジュバントを混合する、および宿主動物に注入されうる。動物で産生される抗体は、クロマトグラフィーなどの便利な方法で精製されうる。
一般的に使用される宿主動物としては、ウサギ、マウス、モルモット、およびラットを含む。免疫学的応答を増大させる種々のアジュバントは、宿主種に依存し、フロインドアジュバント(不完全および完全を含む)、水酸化アルミニウム、CpG、リゾレシチンなどの天然ゲルや、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノールなどの界面活性成分を含む。有益な人のアジュバントは、BCG(BCGワクチン)およびコリネバクテリウム‐パルヴム(Corynebacterium parvum)を含む。
【0021】
ポリクローナル抗体や、抗体分子の不均一集合は、免疫性を与えられた目的物の血清内に存在する。モノクローナル抗体や、FUT1/FUT2またはこれらの基質への抗体の不均一集合は、一般的なハイブリドーマ技術(例えば、Kohler et al.(1975)Nature 256,495;Kohler et al.(1976)Eur.J.Immunol.6,511;Kohler et al.(1976)Eur J Immunol 6,292;およびHammerling et al.(1981)モノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ、Elsevier、N.Y.参照)を用いて調製される。
【0022】
特に、モノクローナル抗体は、Kohler et al. (1975)Nature 256,495、および米国特許4376110号;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al. (1983)Immunol Today4,72;Cole et al.(1983)Proc.Natl.Acad. Sci.USA80,2026、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al. (1983)Monoclonal Antibodies andCancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96などに記載されているように、培養液中で連続細胞株によって抗体分子の産出を提供するいかなる技術を用いてもよい。
【0023】
かかる抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD、およびそれらのいずれかのサブクラスを含む免疫グロブリンクラスであってもよい。本発明のモノクローナル抗体はハイブリドーマ法により調製するが、インビトロでもインビボでもよい。インビボで高い力価のモノクローナル抗体を調製することができると、それは、特に有益な調製方法になりうる。さらに、キメラ抗体の産生を開発する技術は、有益になりうる。例えば、Morrison et al.(1984)Proc.Natl. Acad.Sci.USA 81,6851;Neuberger et al.(1984)Nature 312,604;およびTakeda et al.(1984) Nature 314:452を参照。キメラ抗体は、異なる動物種から由来の異なる部分を備えた分子であり、例えば、マウスのモノクローナル抗体およびヒト免疫グロブリンの定常部から由来の種々の領域を有する。またあるいは、一本鎖抗体の産生について記載された技術(米国特許4946778号および4704692号)を、一本鎖Fv抗体のファージライブラリーに提供しても良い。一本鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖およびL鎖フラグメントに結合することにより形成される。さらに、抗体フラグメントは公知の方法で調製されうる。例えば、抗体分子のペプシン消化を促しうるF(ab’)フラグメント、およびF(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を減少させうるFabフラグメントなどを含むが、これらに限定されるわけではない。抗体は公知の技術の方法によりヒト化されうる。例えば、所望の特異性を結合したモノクローナル抗体は、ヒト化されたものが市販されている(Scotgene、 Scotland;および Oxford Molecular,Palo Alto, Calif)。完全にヒト化抗体、形質転換動物に発現された抗体群は、本発明の特徴である。例えば、Green et al.(1994)Nature Genetics 7,13;および米国特許5545806号および米国特許5569825号を参照。
【0024】
その他の例としては、上記記載した方法は、RNA干渉を介し、Globo Hの発現量を低減させることによりFUT1および/またはFUT2の発現を阻害する1つ以上にダブルストランドRNA(dsRNA)を有効量その必要のある対象へ投与することにより機能するものである。RNA干渉(RNAi)は、メッセンジャーRNAの相同性配列に特異的な分解を管理する方法である。哺乳類細胞において、RNAiは、宿主インタフェロン応答を活性化することなしに、低分子干渉RNA(siRNA)の21−ヌクレオチド2本鎖によりきっかけとなりうる。
【0025】
dsRNAは、公知の技術で合成されうる。Caruthers et al.,1992,Methods in Enzymology 211,3−19,;Wincott et al.,1995, Nucleic Acids Res.23,2677−2684;Wincott et al.,1997,Methods MoI.Bio.74、59、Brennan et al,1998,Biotechnol Bioeng.,61,33−45,およびBrennan,米国特許6001311号参照。発現ベクターから転写され、通常の方法を用いて単離されうる。
【0026】
上記のdsRNAまたはベクターは、例えば、Akhtar et al.,1992,Trends Cell Bio.2,139に記載の方法により癌細胞に運ばれうる。例えば、リポソーム、ハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、または生体接着マイクロスフェアーを用いて細胞に取り込まれる。あるいは、dsRNAまたはベクターは、直接注入や点滴ポンプを用いて直接輸送されうる。他のアプローチは、種々のトランスポートおよびキャリアシステム、例えば会合および生分解性ポリマーを用いる手法を採用することを含む。
【0027】
例えば、上記dsRNAは、CGCGGACTTGAGAGATCCTTTに相補的な第一ストランドまたはそれの相補体(例えば、下記実施例2に記載のsiFUTl)を含む。その他の例としては、当該dsRNAは、CTATGTCCATGTCATGCCAAAに相補的な第一ストランドまたはそれの相補体(例えば、下記実施例2に記載のsiFUT2)を含む。
【0028】
輸送を容易にするために、上記のdsRNA、またはそれを発現するDNAプラスミドをシャペロン剤とコンジュゲートさせてもよい。ここで用いる「コンジュゲート」とは、関連のある2つの構成要素を意味し、好ましくは、2つの構成要素間の関連性の治療効果が実現される十分な親和性をいう。コンジュゲートとは、共有結合または非共有結合であってもよく、一つの構成要素が他の構成要素の上や内に取り込まれた形態や、第三の構成要素(例えば、ミセル)上や内にどちらかの構成要素か両構成要素が取り込まれてもよいといった他の形態も含む概念である。
【0029】
前記シャペロン剤は、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、低密度リポプロテイン、または、グロブリン)、糖質(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、またはヒアルロン酸)、または脂質のように自然と作用する物質であってもよい。また、シャペロン剤は、ポリアミノ酸高分子(例えば、ポリリジン、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、ポリ(L−ラクチド−co−グリコイル)共重合体、ジビニルエーテル−マレイン酸無水物共重合体、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミド重合体、およびポリフォスファジン)などの組み換えまたは合成分子であってもよい。あるいは、シャペロン剤は、ミセル、リポソーム、ナノ粒子、またはマイクロスフェアーであってもよく、これらにdsRNAまたはDNAプラスミドが包摂されうる。
【0030】
一事例として、シャペロン剤は、1以上の融合誘導因子、凝集剤、または標的剤の付着する基質として作用する。
【0031】
融合誘導因子は、局所的pHに応答する。例えば、エンドソーム内のpHに遭い、周囲の環境(浸透圧の変化、つまりエンドソーム膜の浸透圧を崩壊させたり増加させたりする)に物理的変化を起こし、それによりdsRNAまたはDNAプラスミドが宿主細胞のサイトプラズムにリリースすることを促進させる。好ましい融合誘導因子は電荷を変化するものであり、例えば生理学的範囲(例えば、pH4.5−6.5)より低いpHでプロトン化されるものである。
【0032】
融合誘導因子は、特定のpH範囲にさらされると電荷変化能を示すアミノ基(例えばプロトン化)を有する分子であってもよい。これらの融合誘導因子は、ポリアミノ鎖(例えば、ポリエチレンイミン)および膜崩壊剤(例えば、メルリチン(mellittin))を含むポリマーを包含する。他の例としては、ポリヒスチジン、ポリイミダゾール、ポリピリジン、ポリプロピレンイミン、メルリチン(mellitin)、およびポリアセタール基質(例えば、カチオン性ポリアセタール)。
【0033】
凝集剤は、dsRNAまたはDNAプラスミドと何らかの相互作用(例えば、引きつけたり、包含したり、または結合したり)する、そしてdsRNAまたはDNAプラスミドを凝集させ(例えば、dsRNA/プラスミドの大きさを減少させる)、その結果dsRNA/プラスミドの分解を抑制する。好ましくは、凝集剤は、例えば、イオン性相互作用を介してdsRNAまたはDNAプラスミドと相互作用する部分(例えば、荷電性部分)を含む。前記凝集剤の例は、ポリリジン、スペルミン、スペルミジン、ポリアミンまたはそれらの4級塩、擬ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣薬ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、およびアルファヘリカルペプチドを含む。
【0034】
更なる苦労を必要とすることなく、当業者であれば上記の詳細な説明の基づき、本発明の最大限の範囲を用いることができる。本発明の好ましい実施態様を記載するものであり、説明のために示したものである。本発明を開示されている形態のみに限定するものではない。本明細書で引用している文献のすべての内容は、本願に包含されている。
【実施例】
【0035】
実施例1:KLH−コンジュゲートGlobo Hおよびα−GalcerによるGlobo HおよびSSEA3に特異的抗体の誘導。
【0036】
Globo H−KLHは、オプティマーファーマシューティカルズから購入した。6週齢雌BALB/bマウス(BioLASCO)を、それぞれの群を二匹づつの3群に対して、PBS(“コントロールマウス”)、0.6μgKLH−Globo H(“Globo H マウス”)、および0.6μgKLH−Globo Hと2μgα−GalCerを混合したもの(“Globo H−GalCer マウス”)を、それぞれの群に1週間に1回3週間皮下注射した。最後の皮下注射から10日後、それぞれの群のマウスから血清を採取し、「Huang et al.、 Proc、Natl.Acad.ScLUSA103:15−20(2006)」に記載の方法で、Globo HおよびSSEA3に特異的な抗体を検出した。つまり、血清を3%のBSA/PBSバッファーで1:25の割合で希釈し、それぞれの希釈した血清50mlを、加湿チャンバー内で1時間ゆっくりスライドでインキュベートさせ、Globo HおよびSSEA3に加えた。前記スライドを0.05%PBS/Tween 20 (PBST)溶液で3回洗浄し、次いで同じチャンバー内においてCy5−conjugated goat抗マウスIgG 抗体(l:200)100μlでインキュベートさせた。自然乾燥の後、前記スライドをそれぞれ3回づつ、PBST および水で洗浄し、そしてマイクロアレイスキャナー(GenεPix 4000B; Molecular Devices)で蛍光強度を測定した。その結果は、ジーンピクスプロソフトウェアで解析した。
【0037】
Globo Hマウスの場合は、抗−Globo H IgG抗体は、低レベルだけ検出され、抗−SSEA IgG抗体は、検出できなかった(図2を参照)。それとは異なり、Globo H−GalCerマウスの場合は、高レベルの抗−Globo H及び抗−SSEA3 IgG抗体を示した(図2参照)。α−GalCerとGlobo H−KLHとを混合すると、抗−Globo Hおよび抗−SSEA3抗体も両方を誘導する効果的なワクチンであることがこれらの結果から確認された。
【0038】
実施例2: Globo Hレベルを低減させるRNA干渉を用いたFUTlおよびFUT2の阻害。
【0039】
3つの乳癌細胞株である、MCF−7、 MB157、およびT−47DにおけるFUTlおよびFUT2 mRNAの発現量は、以下の定量RT−PCRによって決定されうる。全RNAを、これらの乳癌細胞株から抽出し、かつcDNAを、テンプレートとしてのRNAやプライマーとしてのオリゴ(dT)を用いて逆転写から調製した。50ナノグラムのcDNAは、以下のプライマー:L−futl:CCTGCCAGACTCTGAGTTCCおよびAGGCTTAGCCAATGTCCAGAと、さらに、L−fut2:GGGAGTTACCGGTGCAGATAおよびR−fut2:GTCCCAGTGCCTTTGATGTTを用いてRT−PCR反応を受けた。
【0040】
当該RT−PCR反応は、次の条件で行った。:50℃ 2.5分、95℃ 10分、その後95℃ 10分および60℃ 1分を40サイクル、ABIプリズム7000配列検出システム(ABI Prism 7000 Sequence Detection System)を使用、実験結果の解析はABI プリズム 7000 SDS(ABI Prism 7000 SDS software (Applied Biosystems))を使用して、それぞれの細胞株におけるFUTlおよびFUT2のmRNA量に対するCt値、すなわち閾値に達した時のサイクル数(threshold cycle number)を算出した。前記Ct値は、同一細胞株におけるHPRTlのmRNA発現量に対して標準化してΔCt値を算出した。MCF−7におけるFUT1のΔCt値は、同一細胞株内のFUT1またはFUT2のいずれかのΔCt値を標準化するために用いられた。mRNA発現量の増減の変化(fold−change)を、以下の式を元に算出した。
【0041】
【数1】

【0042】
HPRT1およびGAGDHのmRNA発現量は、内部コントロールとして使用した。
【0043】
上記3つの乳癌細胞株のうち、FUT1のmRNA発現量における有意差が見られた。一方、FUT2mRNAは、MCF−7およびMB157細胞でかろうじて検出することができたが、T47D細胞中におけるFUT2 mRNAの発現量は、他の2つの細胞株と比較して6000fold以上の発現差がみられた。
【0044】
FUTlまたはFUT2の発現量は、以下のRNA干渉を介して減少した。siFUTl(CGCGGACTTGAGAGATCCTTTに相補的な配列を含む)およびsiFUT2 (containing CTA TGTCCATGTCATGCCAAAに相補的な配列を含む)をコードするヌクレオチド配列をVSV−G−偽型レンチウイルスベクターに複製し、かつパッケージングプラスミド pMD.GおよびpCMV ΔR8.91とともに293T cellsを取り込んだ。トランスフェクションの48時間後および72時間後に、レンチウイルスベクター粒子を、それ故採取し、遠心分離機(25、000rpm、90分)で濃縮した。siFUTlまたはsiFUT2の発現能があるこれらのウイルス粒子は、8μg/mLポリブレン(シグマ−アルドリッチ社製)の存在下で、ThT−47DまたはMB 157(6−ウェルプレート中、2x10 cells/well固定)とインキュベートした。96時間後この細胞を採取し、FUTlおよびFUT2の発現量を上記の定量RT−PCRで測定した。図3に示すように、siFUTlは、MB157細胞のFUT1mRNAの発現量を減少させることに成功した(パネルA参照)。同様に、siFUTlおよびsiFUT2は各々、T−47DにおけるFUTlおよびFUT2 mRNAsの発現量を低減させている(パネルB参照)。
【0045】
MB157およびT−47D細胞におけるGlobo Hの発現量を、以下のAlexaFluor488−VK−9抗体を用いて、フローサイトメトリ―により測定した。それぞれ1x10細胞を含むアリコートを、氷上において抗−GloboH−Alexa488(Vk9;Chang et al、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:11667−11672(2008)参照)でまず1時間インキュベートし、次いで、氷上においてビオチン化された−UEAl(Vector Labotories)で1時間インキュベートし、そして最後に氷上においてFITC−コンジュゲートストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch)で1時間インキュベートした。この細胞を、FACSCantoフローサイトメーターによりフローサイトメトリーを行い、実験データをセルクエストプログラム(BD Biosciences)で解析した。この研究による結果から、MB157細胞におけるRNA干渉を介するFUTlの発現の抑制が、Globo Hの発現量の減少をもたらし、かつFUT2の発現の抑制が、T−47D細胞におけるGlobo Hの発現量の減少をもたらすことが確認された。
【0046】
実施例3: SiFUTl および SiFUT2の抗癌作用。
【0047】
癌細胞の増殖を阻害
乳癌細胞MB157およびT−47Dを、96穴プレート(Corning)1ウェルあたり1x10細胞で播種した。これらを、siFUTlまたはsiFUT2を発現した上記実施例2のウイルス粒子と混合した、または混合しなかったものを調製し、300gを5分間スピンインフェクションに遠心分離した。24時間後、アラマーブルー(alamar blue (AbD Serotec))は、細胞に添加し、最終濃度を1:10に希釈し、37℃、5%CO、3時間で培養した。その後、SpectraMax M2リーダーを用いて、544nmおよび590nmでの吸収を測定した。細胞を新しい培地で同じ条件下培養し、当初の培地に播種してから48時間、72、および96時間後、再度544nmおよび590nmでの吸収を測定した。前記ウイルス粒子で感染されたMB157およびT−47D細胞は、ウイルスに感染しなかったものと比較して成長速度が減少したことが測定結果から確認された。これらのデータは、siRNAによりFUTlまたはFUT2の発現を阻害されることから癌細胞の成長を抑制することが確認された。
【0048】
mammosphere形態の阻害
siFUTlまたはsiFUT2を発現させるウイルス粒子で感染させたMB157およびT−47D細胞を、0.4%BSA、20ng/ml EGF、20ng/m
bFGF、5ug/mlインスリン、lμM hydrocortisone、4μg/mlヘパリン、1x B27サプリメント、および1%メチルセルロース(シグマ−アルドリッチ社製)を添加したDMEM/F12培地にけん濁させ、1000cells/mlに調製した。このけん濁した細胞溶液をウルトラローアタッチメントプレート(Costar)上にまき、mammosphere形態に許容な好ましい条件下で培養した。当初のmammosphereは、週が進むにつれて培養培地であった。次のmammosphere培養に対しては、当初のmammosphereを採取し、トリプシン(Gibco)で分散し、球状のけん濁された上記の1000cells/mlの培養培地であった。けん濁した細胞を上記の方法に従って、第二のmammosphereの形態が許容する条件で培養した。siFUT1を発現するMB157およびT−47D細胞により形成されたmammosphereの数は、感染していないmammosphereの数の50%程度であったが、siFUT1は、癌細胞のmammosphere形態能を顕著に低減させることが確認された。siFUT2を発現するT−47D細胞により形成されたmammosphereの数は、感染していないmammosphereの数の17%程度であった。この結果から、siFUT1、siFUT2などは、顕著に癌細胞のmammosphere形態能を顕著に低減させることが確認された。
【0049】
腫瘍発生の減少
6週齢balb/c nudeマウスおよびNOD/SCIDマウスに、17−β−エストラジオール(1.7mg/ml)をそれぞれのマウスの側面から皮下注射した。50%マトリゲル(BD Biosciences)0.1mlおよび50%添加培地RPMI−1640に浮遊している、(i)MB157細胞(1x10)安定発現siFUT、(ii)賦形剤コントロールMB157細胞(1x10)、(iii)T−47D細胞(5x10)安定発現siFUTl、(iv)T−7D細胞(5x10)安定発現siFUT2、および(v)賦形剤コントロールT−47D細胞(5x10)を6週齢雌balb/c nudeマウスの乳腺上皮周辺の脂肪帯に注入した。これらの処置をしたマウスに形成された腫瘍の大きさは、種々の異なる点で正しく長さ(l)および幅(w)を測定することにより監視された。腫瘍容積は、以下の式:V=p/6×l×w×[l+w]/2で計算される。動物は最終的に屠殺されて、腫瘍は摘出および秤量された。
【0050】
図4のパネルaで示すように、時間経過とともに賦形剤コントロールを投与されたマウスの腫瘍は成長を続けた。マウスにsiFUT1またはsiFUT2を発現する細胞で処理した間、腫瘍の成長は急激に減少した。これらのマウス群の腫瘍重量は、賦形剤コントロールを投与されたマウスと比較して明らかに減少した(図4 パネルbを参照)。
【0051】
細胞形態および接着能の変化
正常なT−47D細胞は、四角形状であったが、siFUT1およびsiFUT2を発現しているT−47D細胞は、小さく高密度のクラスターを形成する円状の細胞であった。類似の細胞形態の変化は、siFUT1を発現するMB−157細胞でも観測された。
【0052】
細胞接着は、RT−CES機器(Real Time Cell Electronic Sensing、 ACEABIO)を用いて決定した。簡単に説明すると、ACEA’s 96マイクロティタープレートをフィブロネクチン(25ug/ml、シグマ社製)、type IVコラーゲン(2ug/ml、BD biosciences)、またはラミニン(5ug/ml、シグマ社製)でコートし、PBS中ですべて適切に希釈され、7℃ 1時間保持し、1%BSAで1時間37℃ブロックした.MB157およびT−47D細胞を、コートされたACEA’s 96マイクロティタープレート内に培養培地100μlに対して2.5x10播種した。細胞接着は、RT−CESを用いて、10分に1回1時間モニターされた。Globo−Hセラミド(50μg/ml 血清培地中)を、当該細胞に添加し、siFUTlおよびsiFUT2の効果を打ち消すか否か試験された。siFUTlおよびsiFUT2は、siRNAを発現していない細胞と比較すると、癌細胞がポリスチレンへの接着を低減させることが結果から確認され、Globo−HセラミドがsiRNAに起因する接着阻害を低減させることも確認された。
【0053】
細胞遊走の阻害
siFUTlまたはsiFUT2を発現させる細胞の遊走能は、まず以下の外傷治癒アッセイで分析する。MB157およびT−47D細胞を、60%のコンフルエンスに達するまで血清を含む培地内の12穴プレートにいれる。細胞は、上記実施例1に記載のウイルス粒子またはコントロールプラスミドで取り込まれたものを感染させた。これらの細胞は、培地2日間で100%のコンフルエンスに達した。当該細胞を一晩飢餓状態にさせて、細胞の融合単層を鋭利な20ulプラスティックピペットで外傷状態にした。血清を添加したRPMI培養を洗浄した後、当該細胞をRPMI培養でインキュベートし、温度とCO濃度をコントロールしながら、低速度撮影のマイクロスコープを用いて分析をした。細胞のフェーズコントラストイメージを、3日間4時間毎、1日2時間撮影した。細胞の遊走率は、Metamorph 5 softwareを用いて、所定時間の間細胞が移動する距離を測定した。コントロールプラスミドをトランスフェクションした細胞と比較すると、siFUTlが、2.81および2.13の差をつけて、T−47D細胞およびMB158細胞の遊走を抑制することが実験結果から確認された。
Globo H−セラミドの外因性の添加は、siFUTlまたはsiFUT2を発現させる細胞の遊走能を減少させた。この実験結果から、RNA干渉を介してFUTlおよびFUT2の発現の抑制からGlobo Hの発現量の低下により、細胞の遊走能の減少を引き起こすものであることが確認された。
【0054】
上記の結果から、siFUTlおよびsiFUT2は、FUTlおよびFUT2の発現を抑制し、結果としてGlobo Hの発現量を低減させることで、効果的に癌を治療できることを裏付けるものであると考えられる。
【0055】
一実施形態
本明細書で開示された特徴の全ては、いかなるものと組み合わせをすることができる。本明細書のそれぞれの特徴は、同様の作用、目的を有する二者択一的特徴と置換することができる。したがって、本明細書に記載されていなくても、他のいかなるそれぞれの特徴は、全体の系や類似、均等の特徴の一例にすぎない。
【0056】
当業者であれば上記明細書の内容をみれば、本発明の意義や観点からかけ離れること無しに、本発明の本質的特徴を容易に想到できるため、本発明の種々の変化や改変
してさまざまな利用や条件を本発明の範囲に採用することができる。したがって、それらの他の実施形態も本発明の権利範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリカンと、α−ガラクトシル−セラミド(α−GalCer)とからなり、前記グリカンはGlobo Hまたはそれらのフラグメントである、免疫組成物。
【請求項2】
前記グリカンは、Globo Hである、請求項1に記載の免疫組成物。
【請求項3】
前記グリカンは、SSEA3である、請求項1に記載の免疫組成物。
【請求項4】
前記グリカンまたはそのフラグメントは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合している、請求項1に記載の免疫組成物。
【請求項5】
SSEA3と、アジュバントとからなる、免疫組成物。
【請求項6】
有効量の請求項1に記載の免疫組成物をその必要のある対象へ投与することからなる、癌の治療方法。
【請求項7】
前記癌は、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、および肺癌からなる群から選択される、請求項6に記載の癌の治療方法。
【請求項8】
前記癌は、乳癌である、請求項6に記載の癌の治療方法。
【請求項9】
前記グリカンは、Globo Hであり、かつ前記免疫組成物は、Globo Hに対して免疫反応を引き起こす、請求項6に記載の癌の治療方法。
【請求項10】
前記グリカンは、SSEA3であり、かつ前記免疫組成物は、SSEA3に対して免疫反応を引き起こす、請求項6に記載の癌の治療方法。
【請求項11】
有効量の請求項5に記載の免疫組成物をその必要のある対象へ投与することからなる、癌の治療方法。
【請求項12】
前記癌は、乳癌、肺癌、肝臓癌、口腔癌、胃癌、結腸癌、鼻咽頭癌、皮膚癌、腎臓癌、脳腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、および膀胱癌からなる群から選択される、請求項11に記載の癌の治療方法。
【請求項13】
前記癌は、乳癌である、請求項12に記載の癌の治療方法。
【請求項14】
Globo Hまたはそのフラグメントに結合する抗体の産生を誘導するために有効量のGlobo H またはそのフラグメントおよびα−ガラクトシル−セラミド(α−GalCer)を含む組成物を、ヒト以外の哺乳類に投与する、および
前記抗体を単離する、Globo Hまたはそのフラグメントに特異性抗体の産生方法。
【請求項15】
前記組成物は、Globo Hを含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記組成物は、SSEA3を含む、請求項14の方法。
【請求項17】
2−フコシルトランスフェラーゼ 1(FUT1)または2−フコシルトランスフェラーゼ 2(FUT2)の活性を阻害する第一因子を有効量その必要のある対象へ投与することからなり、
前記第一因子は、FUT1またはFUT2と、その基質またはFUT1もしくはFUT2の発現を抑制する干渉RNAと、の間の相互作用を阻害する抗体である、癌の治療方法。
【請求項18】
前記第一因子は、低分子干渉RNA(siRNA)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記siRNAは、siFUT1またはsiFUT2である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第一因子はFUT1の活性を阻害し、FUT2の活性を阻害する第二因子を有効量対象へ投与し、前記第二因子は、FUT2とその基質またはFUT2の発現を抑制する干渉RNAとの間の相互作用を阻害する抗体である、請求項17の癌の治療方法。
【請求項21】
前記第一因子および第二因子は、siRNAである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一因子および第二因子は、siFUT1またはsiFUT2である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記癌は、乳癌である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−524375(P2011−524375A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513760(P2011−513760)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/047537
【国際公開番号】WO2010/005735
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(596118493)アカデミア シニカ (33)
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【住所又は居所原語表記】128 Sec 2,Academia Road,Nankang,Taipei 11529 TW
【Fターム(参考)】