説明

HCVにおけるサングリフェリンの使用

本発明はC型肝炎ならびに肝線維症、肝硬変および肝細胞がんのような関連疾患の処置および予防のための、マクロライド化合物、例えばサングリフェリンの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシクロフィリンと結合するサングリフェリンのようなマクロライド化合物の新規使用に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
サングリフェリンは当初放線菌発酵培養液から単離された多環式マクロライド化合物のクラスである。サングリフェリンはシクロフィリンと結合する作用を示すこと、そしてサングリフェリンA〜Dの場合、免疫抑制活性ならびにB細胞およびT細胞両方の増殖の阻害活性が見出された。しかし、シクロスポリンAおよびFK506のような既知の免疫抑制性および抗炎症性化合物とは異なり、サングリフェリンはFKBP−結合活性またはカルシニューリン阻害活性を有さない。したがって、サングリフェリンは化学構造および異なる活性プロファイルの両方の観点から新規な薬剤物質のカテゴリーを提供する。
【0003】
サングリフェリンおよびそれらの製造法は、WO 97/02285、WO 98/07743、およびUS 006124453に記載されている。サングリフェリン誘導体のシリーズ、ミニ−サングリフェリン、はJ.Am.Chem.Soc 2003, 125 (13), 3849-3859; J.Org.Chem. 2000, 65, 9255-9260; および Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38(16), 2443-2446に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、驚くべきことにシクロフィリン結合サングリフェリンがC型肝炎ウイルス(HCV)に対する阻害効果を有することが見出された。
【発明の効果】
【0005】
したがって、本発明はサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物の、C型肝炎感染、HCV誘導性障害、またはペプチジルプロリルcis−transイソメラーゼ活性の阻害、または肝臓疾患に関連する状態の予防または処置のための使用を提供する。薬剤はまた、HCV感染母への新生児出産の、またはウイルスに曝露される医療従事者の、または移植後HCV感染の再発の可能性をなくすため移植受容者、例えば肝移植受容者の予防的処置として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明はC型肝炎感染の予防または処置におけるマクロライド(本明細書において、集合的に「サングリフェリン」と称する)の使用に関する。サングリフェリンは放線菌発酵培養液から単離される。一般に知られているサングリフェリンには、例えば式
【化1】

のサングリフェリンAないしDを含む。
【0007】
サングリフェリンAないしDの大環状環はi)1〜6位が3−カルボキシピペリダジニルカルボン酸基を含む、ii)7〜9位が芳香族性アルファ−アミノ酸基を含む、そしてiii)10〜12位が脂肪族アルファ−アミノ酸基を含むことを特徴とする。大環状環の残りはヒドロキシカルボン酸基を含み、ただし、サングリフェリンA〜Dの場合、さらに11個の炭素原子を第1大環状環に含む。
【0008】
マクロライド化学における常套の習慣によると、サングリフェリン第1大環状環の原子をサングリフェリンAについて上記のとおりに、大環状ラクトン結合のカルボニル基の炭素原子を1位として出発して番号を付す。
【0009】
サングリフェリンA〜Dはまた、大環状環の23位にヒドロカラビルリンカー基を介して結合している新規二環式スピロ系の存在によって特徴付けられ得る。
【0010】
サングリフェリンA〜Dは、サングリフェリンクラスのさらなるマクロライドを得るために延長化学操作を施されてもよい。かかる操作には、とりわけラクトンオキシ基での大環状環の切断、マクロライドとスピロ環系のリンカー基の切断、および例えば保護、誘導体化または置換基の他の化学修飾;例えば下記のものを含む。さらなる修飾方法は当業者に明らかである。
【0011】
本発明によって、サングリフェリンがC型肝炎感染に対する生物学的活性を有するという点において特徴的かつ全く新規なプロファイルを見出した。とりわけ、それらは下記活性の組合せを示すことが見出された。
【0012】
サングリフェリンは従前既知の免疫抑制性および抗炎症性化合物、例えばシクロスポリンならびにラパマイシンおよびNIM811のようなマクロライドのものとは異なる活性プロファイルを有する。すなわち、サングリフェリンはかかる化合物とは異なる形態の作用を有する。したがって、サングリフェリンは構造および活性の両方の点で薬剤物質の新規カテゴリーを提供する。これは免疫抑制、抗炎症または抗ウイルス治療の限界を実質的に拡大することができる;例えば従来の免疫抑制および抗炎症治療の望ましくない副作用を回避または減少し、そして/またはかかる治療を新規な疾患領域または患者カテゴリーに改善または拡大することができる。
【0013】
例えばマクロライドが開環形であるか、マクロライドとスピロ環系の間のヒドロカラビルリンカーの26および27位が共にヒドロキシ置換されているか、または大環状環に結合しているスピロ基が切断または切り取られているサングリフェリンは、一般的にサングリフェリンのいくつかまたは全ての特徴的活性の組合せを失う。例えば、スピロ基が切断されたサングリフェリンは、典型的にはシクロフィリン結合活性を有するが、顕著な免疫抑制作用を有さない。当業者には明らかなことであるが、しかし、かかる化合物はさらに新規なサングリフェリンの製造の有用な成分、中間体または重要な構造ブロックを提供し、したがってサングリフェリンクラスの治療潜在能力をさらに拡大する。
【0014】
その存在が物質に例えばサングリフェリンA〜Dの生物学的活性を現すため、二環式スピロ系も重要な生物学的重要性を有する構造成分を提供すると考えられ、さらなるサングリフェリンの製造に関して、または例えばマクロライドクラスの他の免疫抑制薬剤物質の活性を修飾するために他の薬剤物質の誘導体化または修飾において適用するための、さらなる誘導体化または修飾のための構造成分として有用である。
【0015】
したがって第1の局面において、本発明は:i)大環状環の2〜6位がピペリダジニルカルボン酸残基によって提供され;および/またはii)大環状環の7〜9位が芳香族性アルファ−アミノ酸基によって提供され;および/またはiii)大環状環の10〜12位が脂肪族によって提供される、遊離形または保護形、あるいはその塩形のマクロライドを提供する。
【0016】
好適には本発明のマクロライドは2個、とりわけ3個全ての特徴的構造の特徴i)、ii)およびiii)を有する。
【0017】
ピペリダジニルカルボン酸基は好適には、カルボキシ基が1位を占め、1−窒素原子が大環状環の6位を占める1,2−ピペリダジン−3−カルボキシ−1−イル基、例えば式I
【化2】

〔式中、記載の番号は大環状環中の基の原子の位置を意味する〕
の基である。この基は置換されたかまたは置換されていない環であり得る。好適には、それは置換されていない。
【0018】
芳香族性アルファ−アミノ酸基のカルボキシ基は、好適には大環状環の7位を占め、アルファ−アミノ基が9位を占める。好適には芳香族性アルファ−アミノ酸は遊離形、保護形または活性化形の非置換であるかまたは、とりわけヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、OnPr、OiPrで置換されたフェニルアラニン基である。
【0019】
脂肪族アルファ−アミノ酸基のカルボキシ基は好適には大環状環の10位を占め、アルファ−アミノ基は12位を占める。好適には、脂肪族アルファ−アミノ酸基は遊離形、保護形または活性化形のバリン残基である。
【0020】
大環状環の残りは好適には、ヒドロキシカルボン酸基、大環状ラクトン結合を補完するオキシ基および大環状環の12位でアルファ−アミノ基とアミド結合を形成するカルボニル基を含む。ヒドロキシカルボン酸基は好適には6〜20個、より好適には11個の炭素原子の鎖長を有する。それは置換または非置換であり、そして/または1個以上の不飽和結合、とりわけその長さによって累積する二重結合を含む。より好適には、大環状環の残りは、所望により2、3、4および/または5位で置換されている11−オキシ−ウンデカノイル−11−イル、とりわけ11−オキシ−ウンデカ−6,8−ジエノイル−11−イル基を含む。より好適には、ヒドロキシカルボン酸基は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式II
【化3】

〔式中、R1はH、OHであるか、または追加の結合を意味し、R2はHであるか、または追加の結合を意味し;R3はHであり、R4は−−CO−−CHまたは−−CH(OH)−−CHであるか、またはR3およびR4は一体となって遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式III
【化4】

を意味する〕
の基である。
【0021】
本発明による好ましいマクロライドは、したがって遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式IV
【化5】

〔式中、X、YおよびZは上記定義の基i)、ii)およびiii)であり、Aは上記定義のヒドロキシカルボン酸基である〕
の大環状環;とりわけ遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式V
【化6】

の大環状環を含むものである。
【0022】
サングリフェリンにおいて一般的に、大環状環はラクトン架橋のオキシ基に隣接する炭素原子で置換されている。典型的には、この置換基は1−オキソ−7−アザ−スピロ−{5.5}−ウンデカン−8−オン−2−イル基、例えばスピロ基とマクロライド環の間で6〜11個、典型的には9個の炭素原子の直鎖配列を含むリンカーを介して、マクロライド環と結合している遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式VI
【化7】

〔式中、−−a−−b−−は−−(Me)C=CH−−または−−(Me)CH−−CH(OH)−−であり、RはHまたはMeである(ここで、MeおよびEtはそれぞれメチルおよびエチルを意味する)〕
の基を含む。
【0023】
リンカー基は置換または非置換であり、そして/または1個以上の不飽和結合、とりわけその長さによって累積する二重結合を含む。好適には、リンカー基は例えば2個のメチル基で置換されたメチルであり得る。好適には、リンカー基はさらにヒドロキシ、例えば3個のヒドロキシ置換基で置換されていてもよく、および/またはエチレン不飽和であってもよく、例えば2個の炭素−炭素二重結合を含む。より好適にはリンカー基は、所望により3、4および/または8位で置換されている1,7−ジメチル−ノナン−9−イル、とりわけ1,7−ジメチル−ノン−1−エン−9−イルまたは1,7−ジメチル−ノナ−1,3−ジエン−9−イル基を含む。好ましくはリンカー基は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式VII
【化8】

〔式中、cはスピロ基との結合を意味し;dは大環状環との結合を意味し、そしてR6およびR7は各々OHであるか、または一体となって更なる結合を意味する〕の基である。
【0024】
リンカー基は一般的に、ラクトンオキシ基とすぐに隣接している炭素原子で、すなわち大環状環が11−オキシ−ウンデカノイル−11−イル基を含むとき、その11位で大環状環と結合している。
【0025】
したがって、本発明は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式VIII
S−−LM
VIII
〔式中、Sは上記定義のスピロ2環式基を意味し;Lは上記定義のリンカー基を意味し、そしてMは上記定義のマクロライド環を意味する〕
の化合物を提供する。
【0026】
具体的な本発明の化合物は、遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式IXaおよびIX
【化9】

〔式中、−−a−−b−−は上記定義のとおりであり、−−e−−f−−は−−CH(OH)−−CH(OH)−−または−CH=CH−−であり;−−g−−h−−は−−a−−b−−について上記定義のとおりであり、そしてR3、R4およびR5は上記定義のとおりである〕のものである。
【0027】
式I〜IXの化合物は不斉炭素原子を含み、したがって複数のエピマー形で存在し得る。可能な全てのエピマーおよびそのジアステレオマー混合物が本発明に含まれる。しかし、マクロライド環が閉環形であり、適切な立体構造を有する式VIIIおよびIXの化合物が本明細書に記載のサングリフェリンの特徴である活性を有する。サングリフェリン特性を有するエピマーが好ましい。一般的に、例えば本発明の医薬的使用のために、純粋または実質的に純粋な(すなわち、サングリフェリン特性を欠くエピマーが存在しないか、実質的に存在しない)エピマー、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%の活性エピマーを含む(すなわち10%未満、例えば5%未満の不活性エピマーを含む)ものが好ましい。
【0028】
好ましくは3−カルボキシピペリダジニルカルボン酸基i)は、大環状環の1〜6位で下記コンホメーション:
【化10】

を有する。
【0029】
好ましくは芳香族性アミノ酸ii)は、大環状環の7〜9位でL立体配置を有する、例えば立体配置
【化11】

のものである。
【0030】
好ましくは脂肪族アミノ酸iii)は、大環状環の10〜12位でL立体配置を有する、例えば立体配置
【化12】

のものである。
【0031】
大環状環の残りの基が式IIの基を含むとき、それは好ましくは立体配置
【化13】

を有する。
【0032】
R3およびR4が一体となるとき、好ましくは立体配置
【化14】

である。
【0033】
好ましくは1−オキソ−7−アザ−スピロ−{5.5}−ウンデカン−8−オン−2−イル基は立体配置
【化15】

〔式中、−−a−−b−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは立体配置
【化16】

を有する〕
を有する。
【0034】
リンカーが式VIIの基であるとき、それは好ましくは立体配置
【化17】

である。
【0035】
R6およびR7が各々OHであるとき、26位および27位の立体配置は好ましくは、26(S)、27(S)または26(R)、27(R)である。R6およびR7が一体となってさらなる結合を意味するとき、26および27位での立体配置
【化18】

が好ましい。
【0036】
式IXの本発明の化合物は好ましくは下記コンホメーション
【化19】

〔式中、−−a−−b−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは立体配置:
【化20】

を有し;
−−e−−f−−が−−CH(OH)−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは(S),(S)立体配置または(R),(R)立体配置を有し;−−g−−h−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは立体配置:
【化21】

を有し;
−−g−−h−−が−−(Me)C=CH−−であるとき、それは好ましくは立体配置
【化22】

を有し;
そしてR3およびR4が縮合して一体となるとき、それらは好ましくは立体配置
【化23】

である。
【0037】
本発明の化合物は遊離形または保護形、例えば “Protective Groups in Organic Synthesis” by T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 2nd Edition, 1991, John Wiley & Sons Inc., New Yorkに記載の保護形であり得る。とりわけOH基は保護形、例えばシリルエーテル(例えばGreene and Wutsの68〜86頁に記載のとおり)、エステル(例えばGreene and Wutsの87〜103頁参照)およびカルボネート(例えばGreene and Wutsの104〜111頁参照)の形態であり得る。かかる保護形にはまた、内部保護形;例えば、−−g−−h−−が−−CH(CH)−−CH(OH)−−である式IXのマクロライドの場合、大環状環の14〜17位の保護形は、式X
【化24】

の基を含む。
【0038】
例えばまた、サングリフェリンに存在する1,3ジオールを適当な環構造、例えばGreene and Wutsの118〜142頁に記載のものとして保護することができる。
【0039】
本発明の化合物はまた、塩形で存在する。本発明で使用するための好適な薬学的に許容される塩の例には、化合物に存在する具体的な置換基に考慮して適当な酸および塩基付加塩、例えばHCl塩形を含む。
【0040】
上記のとおり、本発明の化合物の大環状環を、とりわけラクトンオキシ基で切断して、大環状環が開環形である化合物を得ることができる。一般的にラクトンオキシ基の切断は加水分解(加溶媒分解)によって行い、例えば式XI:
R6 O−−X−−Y−−Z−−A−−OH XI
例えば式XII
【化25】

例えば式IX’
【化26】

〔式中、X、Y、Z、A、−−a−−b−−、−−e−−f−−、−−g−−h−−、R3、R4およびR5は上記定義のとおりであり、R6はHまたはC1−4アルキル、例えばメチルである〕
の開環大環状化合物を得る。
【0041】
かかる開環形は基本的サングリフェリン大環状環系の修飾のための中間体手段を提供し、そしてまた本発明の一部である。
【0042】
したがって、さらなる局面において本発明は:開環形の上記定義のマクロライド、遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の前記開環大員環;遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の上記定義の化合物R6 O−−X−−Y−−Z−−A−−OH;遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の化合物R6 O−−X−−Y−−Z−−A’−−CH(OH)−−L−−S(式中、−−A’−−CH(OH)−−はヒドロキシカルボン酸基、例えば上記定義の式IIの基であり、他の記号は上記定義のとおりである);
遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式XII’
【化27】

の化合物;
遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式IX’
【化28】

の化合物を提供する。
【0043】
この局面の具体的な態様において、本発明は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式IX’’
【化29】

〔式中、−−a−−b−−は−−(Me)C=CH−−または−−(Me)CH−−CH(OH)−−であり;R8はHまたは−−C(O)−−OR10であり、ここでR10はHまたはMeであり;R9はHであるか、または−−a−−b−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−でありRが−−C(O)−−OMeであるとき、R9はMeであり、そして−−N−−−−N−−が2個のN原子の単結合を意味するときXはHであり、あるいはXは−−N−−−−N−−と一体となって2個のN原子の二重結合を意味する〕
の化合物を提供する。
【0044】
より具体的には、本発明は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式W、Y(Seco−サングリフェリンA)、S(Seco−サングリフェリンB)およびT
【化30】

【化31】

の化合物を提供する。
【0045】
本発明はまた、1−オキソ−7−アザ−スピロ−{5,5}−ウンデカン−8−オン−2−イル環系が開環形である化合物、例えば遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式XIII
【化32】

〔式中、a、b、LおよびMは上記定義のとおりである〕
の化合物を含む。
【0046】
本発明の開環化合物は、好ましくは閉環化合物について上記定義の好ましいコンホメーションのコンホメーションである。式XIIIの化合物の開環スピロ二環式環系は、好ましくはコンホメーション
【化33】

〔式中、−−a−−b−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、〕
である。
【0047】
とりわけ本発明は、遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式Z(サングリフェリンE)
【化34】

の化合物を提供する。
【0048】
式IX’’、S、T、W、Y、XIIIおよびZの化合物は閉環形および環拡大閉環形を一般的に含むサングリフェリンの製造のための中間体として有用である。
【0049】
式IX’’の化合物を閉環サングリフェリン、例えばサングリフェリンAまたはBのマクロライド環の、ラクトンオキシ基またはその付近で切断することによって製造することができる。したがって、例えば式YおよびTの化合物をサングリフェリンAの塩基性条件下での処理によって、例えば式IIIの化合物についてアルカリ金属ヒドロキシドの存在下で、および例えば式IVの化合物についてメタノールおよびアルカリ金属カルボネートの存在下で製造する。
【0050】
あるいは、式IX’’の化合物をサングリフェリン生産微生物の培養物から単離して得ることができる。例えば、式YおよびSの化合物を下記ストレプトマイセスsp.A92−308110の培養物から単離することができる。
【0051】
式YおよびSの化合物のストレプトマイセスsp.A92−308110の培養物からの単離は、US6124453に記載されている。
【0052】
式Zの化合物を窒素原子とスピロ系の中心原子とのスピロ二環式環系の切断によって得ることができる。あるいは、式Zの化合物をサングリフェリン生産微生物の培養物からの単離物として得ることができる。例えば、式Zの化合物のストレプトマイセスsp.A92−308110の培養物からの単離はUS6124453に記載されている。
【0053】
大環状環に結合しているスピロ二環式基を有する本発明のマクロライドはまた、例えば式IXに関して介在リンカー基を、とりわけ26位と27位の基の結合での切断に供して、分離した新規スピロ二環式化合物およびさらなるマクロライドを得ることができる。上記のとおり、これらの化合物は、とりわけサングリフェリンのクラスとしての生物学的活性における機能相加的役割を有するサングリフェリンの中間体、スピロ二環式基として有用である。
【0054】
したがって本発明は遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の1−オキソ−7−アザ−スピロ−{5.5}−ウンデカン−8−オン−2−イル、とりわけ遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式VI’
【化35】

〔式中、R7はH、所望により保護されたOH基、反応性官能基、または−−CH−−CH(OH)−−CH(CH)−−CH−−CH−−CHO基またはそのデルタラクトン相当物である〕
の化合物を提供する。
【0055】
好ましくは、式VI’の化合物は下記立体配置
【化36】

〔式中、−−a−−b−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは上記定義の立体配置を有する〕
を有する。
【0056】
本発明はまた、遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の開環1−オキソ−7−アザ−スピロ−{5.5}−ウンデカン−8−オン−2−イル、とりわけ遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式XIII’
【化37】

〔式中、−−a−−b−−およびR7は上記定義のとおりである〕の化合物を含む。式XIII’の化合物の開環スピロ二環式環系は好ましくはコンホメーション:
【化38】

〔式中、−−a−−b−−が−−(Me)CH−−(OH)−−であるとき、それは好ましくは上記定義の立体配置を有する〕
である。
【0057】
本発明はまた、式XIV
【化39】

〔式中、Mは上記定義のマクロライド環である〕
のマクロライド、とりわけ遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式XV
【化40】

好ましくはコンホメーション
【化41】

〔式中、−−g−−h−−が−−(Me)CH−−CH(OH)−−であるとき、それは好ましくは上記定義の立体配置を有し、−−g−−h−−が−−(Me)C=CH−−であるとき、それは上記定義の立体配置を有し、そしてR3およびR4が縮合して一体となるとき、それらは好ましくは本明細書に定義の立体配置である〕
のマクロライドを提供する。
【0058】
本発明はまた、式XVI
【化42】

〔式中、XはH、メトキシ、エトキシ、OnPr、OiPrであり;
R14およびR15は独立してH、メチル、アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)−CO−CHであるか、またはR14およびR15は結合閉環して、例えば式XVII
【化43】

から選択される5〜7員置換もしくは非置換シクロアルキルを形成し;
R16はH、またはMeもしくは(C1−4)アルキルであり;
R17はH、OH、−O−(C1−4)アルキルであるか、またはR14、R15およびR17は結合閉環して式XVIII
【化44】

のシクロアルキルを形成し;
R23はH、分枝鎖もしくは直鎖状(C1−10)アルキルであり、そして/または1種以上の不飽和結合、とりわけその長さによって累積する二重もしくは三重結合を含み、好ましくは−CH=CH,−CH−OH、−CH−OCH、−CHO、−COOH、または式XIX’
【化45】

である〕
の具体的なマクロライドを提供する。
好適にはR23は本明細書に記載のとおりに置換されていてもよい。
【0059】
本発明の他の局面において、具体的なマクロライドは式XX
【化46】

から選択される。
【0060】
さらなる局面において、本発明は本発明のマクロライドおよび化合物、とりわけ実質的に純粋な形態の、例えば少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、とりわけ少なくとも98%純粋な形態の天然生成物であるものを含む。
【0061】
本発明の具体的な態様において、サングリフェリンA、B、C、およびDはとりわけ、新規ストレプトマイセスsp.A92−308110から単離される。ストレプトマイセスsp.A92−308110のサンプルはDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zelikulturen GmbH, Mascheroder Weg 1b, D-38124 Braunschweig, Germanyに、1995年5月3日にブダペスト条約に基づき寄託し、寄託番号DSM 9954が付与されている。ストレプトマイセスsp.A92−30810の培養液からサングリフェリンA、B、CおよびDの単離はUS6124453に記載されている。
【0062】
本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物;例えばサングリフェリンA、B、CおよびD、ならびにそれらの薬学的に許容される塩(以後一般的に「本発明の薬剤」)は、サングリフェリン特性、すなわち下記活性の組合せを示す:
シクロフィリン結合活性を有する;
ペプチジルプロリルcis−transイソメラーゼに対する阻害活性を有する;
免疫抑制活性を有する;
B細胞およびT細胞の増殖を阻害する;
FK結合タンパク質結合活性を有さない;そして
カルシニューリン活性を阻害しない。
【0063】
例えば式XVIの本発明のマクロライドの生物学的活性を、標準的なインビトロおよびインビボ試験法、例えば下記の方法で試験することができる。
【0064】
同種刺激に対するリンパ球の増殖性応答を下記のとおりに製造することができる。Balb/cマウス(メス、8〜10週齢)由来の脾臓細胞(2×10)をCBAマウス(メス、8〜10週齢)由来の2×10個の脾臓細胞と4日間コインキュベートする。同種細胞はDNAに取り込まれる標識化前駆体によって測定される応答脾臓細胞集団における増殖性応答を誘導する。本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、例えばサングリフェリンA、B、CおよびDは、このアッセイで試験したとき、シクロスポリンAについて約20nMのIC50と比較して30から約200nMの範囲のIC50を有する(T. Meo (1979) The MLR in the mouse. In: “Immunological Methods”, L. Lefkovits and B. Pernis, Eds. Academic Press, N.Y. pp. 227-239)。
【0065】
CBAマウス由来の脾臓細胞(2×10)を48時間、50mu g/ml LPSと試験化合物と、インキュベートする。増殖をDNAに取り込まれた標識化前駆体によって測定する。本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、例えばサングリフェリンA、B、CおよびDは、B細胞増殖を阻害し、約40〜約100マイクロモルの範囲のIC50を有する(Greaves, M. and J. Janossy, 1972, Elicitation of selective T and B lymphocyte response by cell surface binding lidands, Transplant Rev., 11:87 Janossy, G. and M. F. Greaves, 1971, lymphocyte activation, I, Response of T and B lymphocytes to phytomitogens, Clin. Exp. Immunol. 9:483-498)。
【0066】
細胞毒性をヒト単球細胞系THP1(5×10細胞/ウェル)を使用して測定する。これをIFNガンマ(100U/ml)およびLPS(5マイクログラム/ml)と試験化合物(10マイクロモルまで)の存在下で、24〜72時間、37℃でインキュベートする。生存細胞を、生存細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ酵素活性を測定する比色分析読み取りMTTを使用して定量する(Mossman 1983)。本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、例えばサングリフェリンA、B、CおよびDは、このアッセイで24時間インキュベーション後に約1000〜5000nMのIC50を有する(Mossman T. J. (1983), Rapid calorimetric assay for cellular growth and survival: application to proliferation and cytotoxic assays, J. Imm. Methods, 65, 55-63)。
【0067】
単核細胞を健常ボランティアの末梢血から、Ficoll-Hypaque密度分離を使用してHansellら(1991)の方法によって製造する。細胞(RPMI 10体積%FCS中200マイクロリットル10細胞/ウェル)を連続希釈した試験化合物と30分間37℃でインキュベートし、その後刺激物を加える。インターフェロンガンマ(100U/ml)およびLPS(5マイクログラム/ml)を刺激物として使用して、Tumour Necrosis Factor(TNF)アルファ放出を末梢血単核細胞によって誘導する。3時間インキュベーションした後、細胞を遠心分離し(1200rpmで10分間)、上清を回収する。細胞上清中に存在するTNFの量を商業的に入手可能な酵素結合免疫吸着アッセイキットを使用して測定する。本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物およびそれらの薬学的に許容される塩、例えばサングリフェリンA、B、CおよびDは、このアッセイで試験したとき約200nm〜約1000nmの範囲のIC50を有する。
【0068】
好適なシクロフィリン結合アッセイはQuesniaux in Eur. J. Immunol. 1987 17 1359-1365に記載の競合ELISA試験である。この試験において、シクロフィリン(ヒト組み換えシクロフィリンA)を被覆BSA−シクロスポリンAとインキュベーションする間試験する化合物を加え、競合剤なしでの対照応答の50%阻害を得るのに必要な濃度を計算する(IC50)。他のアッセイはSchneider et al. in Biochemistry (1994), 33, 8218-8224に記載の競合結合試験である。これは、ビオチニル化シクロフィリン(ヒト組み換えシクロフィリンA)を被覆BSA−シクロスポリンAとインキュベーションする間試験化合物を加えることを含む。試験化合物の存在下および不在下で結合するビオチニル化シクロフィリンの量を、ストレプトアビジン結合アルカリホスファターゼとインキュベーションすることによって測定する。本発明のマクロライド、例えばIXの化合物、例えばサングリフェリンA、B、CおよびDは、これらのアッセイで試験したときシクロスポリンAについて約80nMのIC50と比較して、約10〜約100nMのIC50を有する。
【0069】
サングリフェリンの生物学的活性を示すために使用され得るさらなるインビトロアッセイは、IL−2レポータージーンアッセイおよびConA−刺激脾臓細胞アッセイ(T細胞活性化に対する効果の指標)である。
【0070】
本発明のマクロライド、例えば式IXの化合物、例えばサングリフェリンA、B、CおよびBは、これらの活性について標準的な試験で試験したとき、FK結合タンパク質結合活性を有さず、カルシニューリン活性を阻害しない。
【0071】
本発明の薬剤は医薬として、例えば免疫抑制として、ならびに抗炎症および/または抗ウイルス薬剤として有用である。
【0072】
それらはとりわけ、肝炎ウイルス感染、とりわけC型肝炎に関連する障害の予防に有用である。さらに、本発明の薬剤はペプチジルプロリルcis−transイソメラーゼ(PPIアーゼ)活性に関連する障害の阻害における治療的用途を有する。PPIアーゼはオリゴペプチドにおけるプロリンイミドペプチド結合のcis−trans異性化を触媒することによってタンパク質折りたたみを加速するために供されるシクロフィリンのタイプである。本発明のマクロライドはシクロフィリンと結合し、PPI活性を阻害する。
【0073】
本発明の薬剤はまた、自己免疫疾患および炎症性状態、とりわけ、自己免疫性成分、例えば関節炎(例えばリウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節炎)およびリウマチ性疾患を含む病因を伴う炎症性状態の処置に有用である。
【0074】
一連のさらに具体的またはその他の態様において、本発明は以下のものを提供する:
1.1 対象におけるC型肝炎感染または肝線維症、肝硬変および肝細胞がんのようなHCV誘導性障害の予防または処置法であって、当該対象に治療上有効量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式_の化合物を単独でまたは1種以上の共薬剤と組み合わせて投与することを含んでなる方法。
【0075】
1.2 培地におけるHCV複製の阻害法であって、この培地に有効量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式_の化合物を適用することを含む方法。
【0076】
1.3 患者におけるHCV複製の阻害法であって、この対象に治療上有効量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式_の化合物を投与することを含む方法。
【0077】
1.4 移植受容者におけるHCV感染再発の予防法であって、当該受容者に治療上有効量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式_の化合物を投与することを含む方法。
【0078】
2. 上記定義のいずれかの方法に使用するための医薬組成物の製造における、シクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリンの使用。
【0079】
3. 上記定義のいずれかの方法に使用するための医薬組成物であって、シクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリンを、1種以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む組成物。
【0080】
さらに、シクロフィリン結合活性を有する本発明のサングリフェリンは、シクロスポリンおよび他のシクロフィリン結合化合物についての置換イムノアッセイにおける、例えば特許出願WO 95/07468に記載のアッセイ法における試薬として有用であり得る。この特許出願は血中のイムノフィリン結合医薬、例えばシクロスポリンの濃度を測定するためのアッセイ法に関し;当該方法は血中の免疫抑制性イムノフィリン複合体から医薬を置換する結合競合剤を加える工程;医薬とは結合するが結合競合剤とはほとんど結合しない受容体を加える工程;受容体−医薬複合体を試料から分離する工程;そして医薬の量を測定する工程を含む。サングリフェリンをかかるアッセイにおける結合競合剤として使用することができる;例えばシクロスポリンをシクロフィリンから置換し、それによって定量のためにシクロスポリンを、例えばシクロスポリンに特異的なモノクローナル抗体で放出させる。
【0081】
上記により、本発明はさらなる局面を提供する:
4. a)シクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式Iの化合物である第1の薬剤と、b)本明細書に記載の1種以上の薬剤物質である共薬剤を含む医薬組合せ剤。
【0082】
5. 治療上有効量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリン、例えば式Iの化合物と、本明細書に記載の1種以上の薬剤物質である共薬剤を同時に、または連続して共投与することを含む、上記定義の方法。
【0083】
本発明の化合物はあらゆる常套の経路、とりわけ経腸、例えば経口的に、例えば飲用溶液錠剤またはカプセル剤の形態で、あるいは非経腸的に、例えば注射溶液または懸濁液の形態で投与することができる。好ましい医薬組成物は例えば、UK 2,222,770 Aに記載のミクロエマルジョンに基づくものであり得る。
【0084】
他の局面において、好適な共薬剤を組合せまたは他の処置において共投与することができる。本明細書に使用されている「共投与」または「組合せ投与」等なる用語は、選択された治療薬剤の患者への投与を含む意味であり、そして薬剤が必ずしも同じ投与経路で、または同じ時点で投与される必要はない処置レジメンを含むことを意図する。固定組合せ剤も本発明の範囲内である。本発明の医薬組合せ剤の投与は、1種のみの薬学的有効成分を投与する単独治療と比較して有利な効果、例えば相乗または相加効果をもたらす。本発明の化合物と共投与するのに好適な共薬剤には、これに限定されないが、以下のものが含まれる:
(1)インターフェロンまたはインターフェロン複合体、例えば:
(a)Intron−A(登録商標)、インターフェロンアルファ−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ)、
(b)PEG−Intron(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2b(Schering Corporation, Kenilworth, NJ)、
(c)Roferon(登録商標)、組み換えインターフェロンアルファ−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ),
(d)Pegasys(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2a(Hoffmann-La Roche, Nutley, NJ)、
(e)Berefor(登録商標)、インターフェロンアルファ2(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CT)、
(f)Sumiferon(登録商標)、天然アルファインターフェロンの精製ブレンド(Sumitomo, Japan)、
(g)Wellferon(登録商標)、リンパ芽インターフェロンアルファn1(GlaxoSmithKline)、
(h)Infergen(登録商標)、コンセンサスアルファインターフェロン(InterMune Pharmaceuticals, Inc., Brisbane, CA and Amgen, Inc., Newbury Park, CA)、
(i)Alferon(登録商標)、天然アルファインターフェロンの混合物(Interferon Sciences, and Purdue Frederick Co., CT)、
(j) Viraferon(登録商標);
(k) 複合体化インターフェロンには、例えばヒトアルブミンとの複合体であるAlbuferon(Human Genome Science)が含まれる。水溶性ポリマーまたはポリアルキレンオキシドホモポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、それらのコポリマーおよびブロックコポリマーと複合体化しているインターフェロン。ポリアルキレンオキシドベースのポリマーに代えて、効果的には非抗原性物質、例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物ベースのポリマー等を使用することができる。インターフェロン−ポリマー複合体は、US 4766106、US 4917888、EPA 0 236 987、EPA 0 510 356およびWO 95/13090に記載されている。ポリマー修飾は十分に抗原応答を減少させるので、外来インターフェロンは完全に自己由来である必要はない。ポリマー複合体の製造に使用するインターフェロンを哺乳類抽出物、例えばヒト、反芻類またはウシインターフェロン、または組み換えで製造されたものから製造することができる。
【0085】
他の形態のインターフェロンには、インターフェロンベータ、ガンマ、タウおよびオメガ、例えばSeronoのRebif(インターフェロンベータ1a)、ViragenのOmniferon(天然インターフェロン)、またはBoehringer Ingelheimのオメガインターフェロン;
経口インターフェロン、例えばAmarillo Biosciencesの経口インターフェロンアルファが含まれる。
他の局面において、インターフェロンのさらなる例にはペグ化インターフェロンアルファ、例えばペグ化インターフェロン□−2a、ペグ化インターフェロン□−2b、ペグ化コンセンサスインターフェロンまたはペグ化精製インターフェロン−□生成物が含まれる。ペグ化インターフェロン□−2aは欧州特許第593,868号(その全体を出典明示により本明細書の一部とする)に記載されており、商業的に、例えば商品名PEGASYS(登録商標)(Hoffmann-La Roche)として入手可能である。ペグ化インターフェロン−□−2bは例えば欧州特許第975,369号(その全体を出典明示により本明細書の一部とする)に記載されており、商業的に、例えば商品名PEG−INTRON A(登録商標)(Schering Plough)として入手可能である。ペグ化コンセンサスインターフェロンはWO 96/11953(その全体を出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
【0086】
(2)抗ウイルス剤
抗ウイルス剤は哺乳類内でのウイルスの形成および/または複製を阻害する効果を有する化合物または生物製剤であり得る。これには哺乳類内でのウイルスの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルス機構に干渉する薬剤、例えばValeant Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAのリバビリン(1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)、Schering-Plough Corporation, Kenilworth, NJ Schering-Plough Corporation, Kenilworth, NJのRebetol(登録商標)、およびHoffmann-La Roche, Nutley, NJのCopegus(登録商標)、開発中のリバビリンアナログ、例えばValeantのLevovirinおよびViramidine、ならびにMizoribineモノリン酸が含まれる;
【0087】
(3)プロテアーゼインヒビター
アルファケトアミドおよびヒドラジノウレアを含むHCV NS3−4Aセリンプロテアーゼの阻害剤、例えば基質利用プロテアーゼインヒビター(Attwood et al., Antiviral peptide derivatives, PCT WO 98/22496, 1998; Attwood et al., Antiviral Chemistry and Chemotherapy 1999, 10, 259-273; Attwood et al, Preparation and use of amino acid derivatives as anti-viral agents, German Patent Pub. DE 19914474; Tung et al. Inhibitors of serine proteases, particularly hepatitis C virus NS3 protease; PCT WO 98/17679)、ボロン酸またはリン酸のような求電子試薬で終わる阻害剤(Llinas-Brunet et al. Hepatitis C inhibitor peptide analogues, PCT WO 99/07734);
【0088】
HCVの処置のための米国特許に記載のプロテアーゼインヒビター、例えば、HCVエンドペプチダーゼ2の阻害のためのシステインプロテアーゼインヒビターのクラスを記載しているSpruceらの米国特許第6,004,933号;C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの合成阻害剤を記載しているZhangらの米国特許第5,990,276号;Reyesらの米国特許第5,538,865号;Corvas International, Inc.のWO 02/008251ならびにSchering CorporationのWO 02/08187およびWO 02/008256に記載のHCVのNS3セリンプロテアーゼインヒビターとしてのペプチド、Boehringer Ingelheimの米国特許第6,534,523号、6,410,531号および6,420,380号ならびにBristol Myers SquibbのWO 02/060926に記載のHCVインヒビタートリペプチド(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする);Schering CorporationのWO 02/48172に記載のHCVのNS3セリンプロテアーゼインヒビターとしてのジアリールペプチド;Schering CorporationのWO 02/18198およびBristol Myers SquibbのWO 02/48157に記載のHCVのNS3セリンプロテアーゼインヒビターとしてのイミダゾリジノン(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする);Vertex PharmaceuticalsのWO 98/17679およびBristol Myers SquibbのWO 02/48116はまた、HCVプロテアーゼインヒビターについて記載している(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする)。
【0089】
(4)RD3−4082およびRD3−4078を含む非基質利用NS3プロテアーゼインヒビター、例えば2,4,6−トリヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミド誘導体(Sudo K. et al., Biochemiscal and Biophysical Research Communications, 1997, 238 643-647; Sudo K. et al. Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1998, 9, 186);
【0090】
(5)SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーアッセイにおいてプロテアーゼに対する活性を有する、ストレプトマイセスsp.、Sch 68631の発酵培養液から単離したフェナントレキノン(Chu M. et al., Tetrahedron Letters, 1996, 37, 7229-7232),.(Chu M et al., Tetrahedron Letters 37:7229-7232, 1996);真菌ペニシリンgrieofulvumから単離したSch 351633(Chu M. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9:1949-1952);ヒルから単離した、複数のセリンプロテアーゼ、例えばS.グリセウスプロテアーゼAおよびB、∀−キモトリプシン、キマーゼおよびスブチリシンの強力な阻害剤である巨大分子エグリンcに基づき設計した選択的阻害剤(Qasim M.A. et al., Biochemistry 36:1598-1607, 1997)
【0091】
(6)Kakiuchi N. et al. J. FEBS Letters 421, 217-220;Takeshita N. et al. Analytical Biochemistry, 1997, 247, 242-246において同定されたチアゾリジンおよびベンズアニリド。NS3/4A融合タンパク質およびNS5A/5B基質との逆相HPLCアッセイにおいて関連阻害を示すチアゾリジン誘導体(Sudo K. et al., Antiviral Research, 1996, 32, 9-18)。とりわけ長アルキル鎖で置換された縮合シンナモイル基を有する化合物RD−16250、RD4 6205およびRD4 6193
【0092】
(7)Boehringer IngelheimによるBILN 2061、VertexによるVX−950、Schering-PloughによるSCH−503034およびSCH−351633、およびGlaxoSmithKline、Bristol Myers Squibb、Abbot、Roche、Merck、PfizerおよびGileadによって前臨床および臨床開発中の他のHCVプロテアーゼインヒビターを含むHCV NS3−4Aセリンプロテアーゼインヒビター;
【0093】
(8)ヌクレオシドアナログ
IdenixによるTelbivudine(US 6444652、US6596700、and WO0196353)。HCV NS5B RNA依存RNAポリメラーゼのヌクレオシドまたは非ヌクレオシド阻害剤、例えばWO 2004/002422に記載の2’−C−メチル−3’−O−L−バリンエステルリボフラノシルシチジン(NM283、Idenix)。
【0094】
Idenix Pharmaceuticalsによってフラビウイルスの処置の使用について開示された分枝ヌクレオシド(HCVを含む)および国際公開第WO 01/90121号およびWO 01/92282号のペスチウイルス(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする)。具体的には、ヒトおよび宿主動物におけるC型肝炎感染(ならびにフラビウイルスおよびペスチウイルス)の処置法は、Idenix publicationsに開示されており、これには有効量の生物学的に活性な1’、2’、3’または4’−分枝B−DまたはB−Lヌクレオシドもしくはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグを単独で、または他の抗ウイルス剤との組合せで、所望により薬学的に許容される担体中で投与することを含む。
【0095】
C型肝炎ウイルスの処置の使用を開示している他の特許出願におけるヌクレオシドアナログには下記のものが含まれる:BioChem Pharma, Inc.、(現在のShire Biochem, Inc.)によって出願されたPCTCA00/01316(WO 01/32153;出願日2000年11月3日)およびPCT/CA01/00197 (WO 01/60315;出願日2001年2月19日);Merck & Co., Inc.によって出願されたPCT/US02/01531(WO 02/057425;出願日2002年1月18日)およびPCT/US02/03086(WO 02/057287;出願日2002年1月18日)、Rocheによって出願されたPCT/EP01/09633(WO 02/18404;公開日2001年8月21日)、およびPharmasset, Ltd.によるPCT公開番号第WO 01/79246号(出願日2001年4月13日)、WO 02/32920(出願日2001年10月18日)およびWO 02/48165(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする)
【0096】
Emory UniversityのPCT公開番号第WO 99/43691号(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)、表題「2’−フルオロヌクレオシド」に記載の2’−フルオロヌクレオシド;
Eldrupら(Oral Session V, Hepatitis Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research(2003年4月27日、Savannah、GA))に記載の2'−修飾ヌクレオシド;
Bhatら(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae, 2003 (Oral Session V, Hepatitis Virus, Flaviviridae; 16th International conference on Antiviral Research(2003年4月27日、Savannah、Ga);p A75)記載のヌクレオシドアナログおよび2’−修飾ヌクレオシド;
Olsenら(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research(2003年4月27日、Savannah、Ga)p A76)に記載の2’−修飾ヌクレオシド;
R803(Rigel)、JTK−003(Japan Tabacco)、HCV−086(ViroPharma/Wyeth)、R−1479(Roche)に記載の前臨床化合物;
【0097】
(9)ヌクレオチドポリメラーゼインヒビターおよびグリオトキシン(Ferrari R. et al. Journal of Virology, 1999, 73, 1649-1654)、および天然生成物セルレニン(Lohmann V. et al. Virology, 1998, 249, 108-118);
【0098】
(10)HCV NS3ヘリカーゼインヒビター、例えばViroPhamaによるVP_50406およびVertexの化合物、米国特許第5,633,388号およびPCT WO 97/36554に記載の他のヘリカーゼインヒビター;
【0099】
(11)HCVゲノムまたはウイルス複製に必要なあらゆる細胞成分を指向するアンチセンス分子。
【0100】
ウイルスの5’非コーディング領域(NCR)(Alt M. et al., Hepatology, 1995, 22, 707-717)まで伸長する相補的なホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(S−ODN)、またはNCRの3’末端を含むヌクレオチド326−348およびHCV RNAの核コーディング領域に位置するヌクレオチド371−388(Alt M. et al., Archives of Virology, 1997, 142, 589-599; Galderisi U. et al., Journal of Cellular Physiology, 199, 181, 251-257);例えばIsis Pharm/ElanのISIS 14803、Hybridon、AVI bioPharmaおよびChugaiのアンチセンスオリゴヌクレオチド、AVI−4065(AVI BioPharma)、または治療の効果を上昇するHCVゲノムの任意の部分と相補的なアンチセンス配列;
【0101】
(12)IRES依存翻訳の阻害剤(Ikeda N et al., Agent for the prevention and treatment of hepatitis C, Japanese Patent Pub. JP-08268890; Kai Y et al. Prevention and treatment of viral diseases, Japanese Patent Pub. JP-10101591);例えばIsis Pharm/ElanのISIS 14803、PTC Therapeutics、Anadys、Immusol、RiboTargets、およびSomaGenicsのIRES阻害剤;
【0102】
(13)ヌクレアーゼ抵抗性リボザイムのようなリボザイム(Maccjak, D.J. et al., Hepatology 1999, 30, abstract 995)、およびBarberらの米国特許第6,043,077号に記載のもの、およびDraperらの米国特許第5,869,253号および5,610,054号(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする)に記載のもの、例えばRPI、およびSirna Therapeutics Inc.のHEPTAZYME;
【0103】
(14)ウイルスの侵入、集合および成熟を含むHCVライフサイクルにおける他の標的の阻害剤、例えばCelgosivir(MBI3253)、Migenixの糖タンパク質プロセッシング阻害剤、Trimerisの縮合阻害剤、AchillionのACH−0137171;
【0104】
(15)免疫調節剤
トール様受容体(;TLR’) アゴニストのような受容体アゴニストには、AnadysのANA245、ANA971、ANA975(US5041426、4880784);CpG−10101、TLR−9アゴニスト(Coley Pharmaceuticals);IMPDH阻害剤、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグ、ミコフェノール酸ナトリウムまたはミコフェノール酸モフェチル、またはMerimebodib(VX−497、Vertex);チモシンアルファ−1(Zadaxinまたはその組合せ、SciClone);SCV−07(SciClone)、Belerofon(Nautilusの改良IFN−α);NABIのCIVACIR(C型肝炎免疫グロブリン)、またはS1P受容体アゴニスト、例えばFTY720もしくはその所望によりリン酸化アナログ例えばEP627406A1、EP778263A1、EP1002792A1、WO02/18395、WO02/76995、WO02/06268、JP2002316985、WO03/29184、WO03/29205、WO03/62252およびWO03/62248に記載のもの(それらの内容を出典明示により本明細書の一部とする);3M PharmaceuticalsのResiquimod[VML600]、インターフェロン−αおよび他のサイトカインの強力な誘導因子であるイミキモブアナログが含まれる;
【0105】
(16)抗繊維化薬剤、例えばN−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、イマチニブ(Gleevac)、IndevusのIP−501、およびInterMuneのインターフェロンガンマ1b、Intermune、Marnac、ShionogiのPirfenidone(多発性:TGFベータアゴニスト、FGFアンタゴニスト、PDGFアンタゴニスト);
【0106】
(17)Intercellの治療ワクチン(治療ペプチドワクチンIC41 HCV)、Epimmune/Genecor、Merix、Tripep(Chiron-VacC)、Avantの免疫療法(Therapore)、CellExSysのT細胞療法、STLのモノクローナル抗体XTL−002、ANA246およびAnadysのANA246、InnogeneticsのE2を指向する治療ワクチン、XTL BioのE2エンベロープタンパク質に対するmAb、GI−5005(GlobeImmune Inc)、InnoVac−C(WO 9967285、Innogenetics)、IC−41(Intercell)、インターフェロンアルファ−n3(Interferon Sciences)、Engerix B(SmithKline Beecham);
【0107】
(18)他の化合物にはUrsodiol(EP00269516、Axcan Pharma)、HE−2000(DHEAアナログ、Colthurst Ltd)、EHC−18(免疫調節剤、Enzo biochem)、ヒスタミンジヒドロクロライド(H2アゴニスト、WO09104037、Estero-Anstalt)、1−アミノ−アルキルシクロヘキサン(米国特許第6,034,134号)、アルキル脂質(米国特許第5,922,757号)、ビタミンEおよび他の抗酸化剤(米国特許第5,922,757号)、胆汁酸(米国特許第5,846,99964)、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸)米国特許第5,830,905)、ベンゼンジカルボキサミド(米国特許第5,633,388)、ポリアデニル酸誘導体(米国特許第5,496,546)、2’3’−ジデオキシイノシン(米国特許第5,026,687)、ベンゾイミダゾール(米国特許第5,891,874)、植物抽出物(米国特許第5,837,257、米国特許第5,725,859および米国特許第6,056,961)およびピペリジン(米国特許第5,830,905);N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸、ベンゼンジカルボキサミド、ポリアデニル酸誘導体、糖化阻害剤、およびウイルス感染によって引き起こされる細胞障害を阻止する非特異的細胞保護剤;
【0108】
(19)HCV処置のための前臨床または臨床開発中のあらゆる他の化合物HCV、例えばインターロイキン−10(Schering-Plough)、Endo Labs SolvayのAMANTADINE(Symmetrel)、Idun PharmaのカスパーゼインヒビターIDN−6556、ChironのHCV/MF59、MaximのCEPLENE(ヒスタミンジクロライド)、Idun PHARMのIDN−6556、T67、Tularikのベータチューブリンインヒビター、Fujisawa HealthcareのFK788、IdB1016(Siliphos、経口シリビン−ホスファチジルコリンフィトソーム)、Immtechのジカチオン、Aethlon Medicalの血液浄化剤、United TherapeuticsのUT 231B;HepeX−C SM1、BayerのPPVO−Bay55−8800(Parapoxvirus ovis);Angionのレファナリン(HGF模倣薬)、R803(Rigel)、JTK−003、JTK−002、およびJTK−109(全てJapan Tobaccoから)、HCV−086(ViroPharma/Wyeth)、ISIS−14803(ISIS Pharmaceuticals)、GS−9132(Achillion Pharmaceuticalsのポリメラーゼインヒビター)、HCV−793(PharmassetおよびRoche)、R1626(Roche)が含まれる。
【0109】
前臨床開発中の化合物または薬剤をインターネットの臨床試験情報、および例えば各会社のプレスリリース情報を検索することで当業者には容易に同定することができる。
【0110】
(20)組合せ治療の効果を上昇させる化合物には、葉酸拮抗剤、5−フルオロピリミジン(5−フルオロウラシルを含む)、シチジンアナログ、例えばβ−L−1,3−ジオキソラニルシチジンまたはβ−L−1,3−ジオキソラニル5−フルオロシチジン、代謝拮抗剤(プリン代謝拮抗剤、シタラビン、フダラビン、フロクスウリジン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、および6−チオグアニン)、ヒドロキシウレア、分裂阻害剤(CPT−11、エトポシド(VP−21)、タキソールおよびビンカアルカロイド、例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン、アルキル化剤(限定されないが、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォファミド、メクロレタミン、メルファラン、およびチオテパ)、非古典的アルキル化剤、プラチナ含有化合物、ブレオマイシン、抗腫瘍抗生物質、アントラサイクリン、例えばドキソルビシンおよびダンノマイシン、アントラセネジオン、トポイソメラーゼII阻害剤、ホルモン剤(これに限定されないが、コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン、およびメチルプレドニゾン)、アンドロゲン、例えばフルオキシメステロンおよびテストステロン、エストロゲン、例えばジエチルスチルベステロール、抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、LHRHアナログ、例えばロイプロリド、抗アンドロゲン、例えばフルタミド、アミノグルテチミド、メゲストロールアセテート、およびメドロキシプロゲステロン)、アスパラギナーゼ、カルムスチン、ロムスチン、ヘキサメチル−メラミン、ダカルバジン、ミトタン、ストレプトゾシン、シスプラチン、カルボプラチン、レバマソール、およびロイコボリンが含まれる。本発明の化合物はまた、酵素治療剤および免疫系調節剤、例えばインターロイキン、腫瘍壊死因子、マクロファージコロニー刺激因子およびコロニー刺激因子との組合せで使用することができる。
【0111】
シクロフィリン結合化合物または治療薬剤、例えばサングリフェリンの、上記疾患および状態の処置における有用性を、標準的なインビトロまたは臨床試験において、例えば下記方法によって示すことができる。
【0112】
A.インビトロ
様々な本発明のサングリフェリンのHCVゲノムの複製に対する効果を、HCV複製細胞を使用して試験することができる。
【0113】
HCVレプリコン細胞系、クローンAをApath, LLCからライセンスを受ける。細胞を、10%熱不活性化胎児ウシ血清(FBS、Gibco)、2mM L−グルタミン、1x非必須アミノ酸(Gibco)、および1mg/ml G418(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含むダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、Gibco)で培養する。
【0114】
化合物の抗ウイルス効果を測定するために、HCVレプリコン(クローンA)を2%FBSおよび0.5%DMSOを補ったDMEMで連続希釈した化合物で48時間処理し、全細胞内RNAを抽出し、HCV RNAレベルを実時間定量RT−PCR(Taqman)で、HCV特異的プライマー(5’−TCT TCA CGC AGA AAG CGT CTA−3’および5’−CTG GCA ATT CCG GTG TAC T−3)配列番号1およびプローブ(5’−6−FAM−TCC TGG AGG CTG CAC GAC ACT CAT A−TAMRA−3’)配列番号2を使用して測定する。各処理について、HCV RNAの量を、Quant−iTアッセイ(Molecular Probe)で測定した全RNA抽出物の量に対して正規化する。得られた各データは、細胞培養物中の6つの複製の平均を意味する。IC50はレプリコン細胞におけるHCV RNAレベルを50%減少する化合物の濃度である。本発明の化合物の細胞毒性効果をモニターするために、化合物処理の48時間後のレプリコン細胞の生存率を、テトラゾリウム化合物(MTS)−利用アッセイ(CellTiter 96(登録商標)水性1溶液細胞増殖アッセイ、Promega, Madison, WI)を使用して測定する。CC50は生存率を50%減少する化合物の濃度である。
【0115】
B.臨床試験
C型肝炎ウィルス感染を有する合計15〜30患者を2〜12週間の試験に参加させる。各患者は治療有効用量のシクロフィリン結合化合物、例えばサングリフェリンを投与される。ウイルス性RNA負荷の血清レベルを処置期間中および2週間の追跡期間、典型的には全患者についてモニターする。
【0116】
C型肝炎患者における持続ウイルス応答が達成されるために必要な処置の長さおよび用量を、さらに多数の患者と12ヶ月までの長期処置時間および6ヶ月の追跡期間を含めるさらなる臨床試験で測定する。
【0117】
本発明の方法を実施するために必要な1日用量は、例えば使用するシクロフィリン結合化合物、宿主、投与形態、処置する状態の重症度に依存して変化する。
【0118】
サングリフェリンを単独の成分として、または他の薬剤、例えば抗HCV活性を有する化合物、例えばインターフェロンアルファ、ペグ化インターフェロンアルファ、リバビリン、HCVポリポリメラーゼインヒビター、例えばNM283、またはHCVプロテアーゼインヒビター、例えばSCH503034およびVX−950と共に投与することができる。使用する共薬剤の1日用量は、例えば使用する化合物の相乗効果、宿主、投与形態および処置する状態の重症度に依存に依存して変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする対象におけるC型肝炎ならびに肝線維症、肝硬変および肝細胞がんのような関連疾患の予防または処置法であって、対象に治療上有効量のマクロライドのようなシクロフィリン結合化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
マクロライドが遊離形もしくは保護形、またはそれらの塩形の式VII
S−−L−−M
〔式中、Sは分枝鎖または直鎖(C1−10)アルキルを意味し;
Lは6〜11個の炭素原子の直鎖配列を含むリンカーを意味し;そして
Mは大環状環を意味する
(ここで、当該大環状環の2〜6位は式Iの置換もしくは非置換ピペリダジニルカルボン酸基によって提供され;
当該大環状環の7〜9位は芳香族性アルファ−アミノ酸基(芳香族性アルファ−アミノ酸基のカルボキシ基が前記大環状環の7位を占め、そして芳香族性アルファ−アミノ酸基のアルファ−アミノ基が前記大環状環の9位を占める)によって提供され;
当該大環状環の10〜12位は脂肪族アルファ−アミノ酸基(脂肪族アルファ−アミノ酸基のカルボキシ基は前記大環状環の10位を占め、脂肪族アルファ−アミノ酸基のアルファ−アミノ基は前記大環状環の12位を占める)によって提供され;
大環状環の残りは6〜20炭素原子鎖長を有するヒドロキシカルボン酸残基、大環状ラクトン結合を形成するオキシ基および大環状環の12位でアルファ−アミノ基とアミド結合を形成するカルボニル基を含む〕
のサングリフェリンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
培地におけるHCV複製の阻害法であって、この培地に有効量のサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物を適用することを含む方法。
【請求項4】
患者におけるHCV複製の阻害法であって、この対象に治療上有効量のサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物を投与することを含む方法。
【請求項5】
移植受容者におけるHCV感染再発の予防法であって、前記受容者に治療上有効量のサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物を投与することを含む方法。
【請求項6】
C型肝炎ならびに肝線維症、肝硬変および肝細胞がんのような関連疾患の予防または処置におけるサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物の使用。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法に使用するための医薬組成物の製造における、サングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物の使用。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法に使用するための医薬組成物であって、サングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物を1種以上の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
a)サングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物である第1薬剤、およびb)抗−HCV特性を有する共薬剤を含む、医薬組合せ剤。
【請求項10】
治療上有効量のサングリフェリンのようなシクロフィリン結合化合物と抗−HCV特性を有する共薬剤を同時にまたは連続して投与することを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
シクロフィリン結合化合物が式
【化1】

〔式中、XはH、メトキシ、エトキシ、OnPr、OiPrであり;
R14およびR15は独立してH、メチル、アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)−CO−CHであるか、またはR14およびR15は結合閉環して、式
【化2】

から選択される5〜7員置換もしくは非置換シクロアルキルであり;
R16はH、またはMeもしくは(C1−4)アルキルであり;
R17はH、OH、−O−(C1−4)アルキルであるか、またはR14、R15およびR17は結合閉環して式
【化3】

のシクロアルキルを形成し;
R23はH、分枝鎖もしくは直鎖状(C1−10)アルキルであり、そして/または1種以上の不飽和結合、とりわけその長さによって累積する二重もしくは三重結合を含む〕
の化合物である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法、使用、組成物または組合せ剤。
【請求項12】
R23が−CH=CH,−CH−OH、−CH−OCH、−CHO、−COOH、または式XIX’
【化4】

からなる群から選択される、請求項11に記載の方法、使用、組成物または組合せ剤。
【請求項13】
実質的に明細書に定義および記載の方法、使用、組成物または組合せ剤。

【公表番号】特表2008−546708(P2008−546708A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517117(P2008−517117)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/023394
【国際公開番号】WO2006/138507
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】