説明

HCV感染患者においてC型肝炎の転帰を診断又は予測する方法

本発明は、C型肝炎に感染した被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性、又は自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するin vitro方法に関する。本方法はIL−28A遺伝子座、IL−28B遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における患者の遺伝子型の検出に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎に感染した被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性、又は自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するin vitro方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界人口の約3%である2億人を超える人々に慢性的に感染している一本鎖RNAウイルスである[1〜4]。C型肝炎ウイルス(HCV)による急性感染は、広範な先天免疫応答及び適応免疫応答を誘導し、20%〜50%の人々においてHCVの永続的な抑制を達成する[5]。ウイルス除去の失敗は慢性C型肝炎につながる。慢性感染は、主に肝硬変及び肝細胞癌に進行することに起因する著しい罹患率及び死亡率と関連している[6]。現在の標準的なペグインターフェロン及びリバビリン療法(PEG−IFN/RBV)は、慢性的に感染した個体の30%〜80%で持続性奏効率(sustained response rate)をもたらしている[7〜9]。
【0003】
宿主の遺伝的要因が、慢性C型肝炎感染の自然経過及び療法に対する応答の両方に影響を与えることを示唆する証拠が増えている[10〜13]。単一のHCV株で汚染された免疫グロブリン製剤から同様の条件下で感染した2つの妊婦コホートでは、半数で感染が自発的に除去され、半数が慢性C型肝炎に進行した[14、15]。慢性的に感染した患者のうち、HCV−RNAレベルが同様であり、遺伝子型が同一の症例間であっても治療に対する応答は異なっている[6、7、9]。奏効率は民族性及び性別に強く関連する[16]。以前の報告から、HCV感染の転帰に対するヒト白血球抗原(HLA)[10、13]、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)[17]、サイトカイン(特許文献1)、ケモカイン及びインターロイキン、並びにインターフェロン活性化遺伝子[18〜22]の影響が明らかとなっている。
【0004】
以前の研究では、HCV感染における遺伝子の潜在的役割の先験的な知識に基づく候補遺伝子アプローチが用いられていた。しかしながら、以前のデータからは自発的除去又は治療に対する応答の正確な予測は可能ではない[13]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第00/08215号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のアプローチにもかかわらず、慢性C型肝炎を患う被験体における抗C型肝炎療法非応答性に対する感受性、又はC型肝炎ウイルスに急性感染した被験体における自発的若しくは非自発的なC型肝炎除去に対する感受性を判定する、効果的な予測方法を開発することの非常に大きな必要性が依然として存在する。
【0007】
これまで、この問題を克服する効率的な方法又は戦略は開発されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法であって、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法を提供することにより達成される。
【0009】
本発明の更なる目的は、C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法であって、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、慢性C型肝炎の患者を治療する方法であって、
i)上記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、該患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に存在するか否かを判定することと、ここで、上記患者の多型マーカーの少なくとも1つはrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される、
ii)上記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、C型肝炎治療非応答性に対する感受性の増大と関連するか否かに基づいて上記患者を治療することと、
を含む、慢性C型肝炎の患者を治療する方法を提供することである。
【0011】
また本発明の更なる目的は、慢性C型肝炎の患者を治療する方法であって、
i)上記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、該患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に存在するか否かを判定することと、ここで、上記患者の多型マーカーの少なくとも1つがrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される、
ii)上記患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、HCVウイルス遺伝子型を判定することと、
iii)上記患者の多型マーカーの少なくとも1つ及びHCVウイルス遺伝子型が、C型肝炎治療非応答性に対する感受性の増大と関連するか否かに基づいて上記患者を治療することと、
を含む、慢性C型肝炎の患者を治療する方法である。
【0012】
本発明は、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法であって、
i)上記被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を有する被験体を、該被験体の生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することによって区別することと、ここで、上記少なくとも1つの多型マーカーの存在が、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、
ii)C型肝炎治療計画を確立することと、
を含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法も提供する。
【0013】
本発明は、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法であって、
i)上記被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を有する被験体を、
上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無であって、該少なくとも1つの多型マーカーの存在が、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、少なくとも1つの多型マーカーの有無、及び
HCVウイルス遺伝子型であって、遺伝子型1又は4の存在が、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、HCVウイルス遺伝子型
を判定することによって区別することと、
ii)C型肝炎治療計画を確立することと、
を含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法にも関する。
【0014】
本発明は、慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を本発明に従って判定するためのキットであって、
i)上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書と、
を含む、慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を本発明に従って判定するためのキットにも関する。
【0015】
C型肝炎に感染した被験体において、本発明に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキットであって、
i)上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書と、
を含む、C型肝炎に感染した被験体において、本発明に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキットも本発明で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】マンハッタンプロットを示す図である。推定した(imputated)2.5M全ての一塩基多型(SNP)についてのP値が(−log10スケールで)示される。
【図2】感染集団における遺伝子型の分布を示す図である。(A)G対立遺伝子を含有する遺伝子型は、慢性感染を有する個体と比較して、自発的HCV除去を示す個体において減少した。(B)スイスC型肝炎コホート研究(SCCS)において、以下の3つの患者群にわたってG対立遺伝子の頻度が増加した:自発的ウイルス除去を示す患者<治療後に除去を示す患者(すなわち治療に対する応答者)<治療に非応答性の患者。
【図3】IL28Bハプロタイプブロックにおける自発的除去及び治療非応答性の両方に対して適合した関連性パターンを示す、種々のSNPのP値のグラフ表示である。(A)ハプロタイプブロック。最も強い遺伝的関連性はIL28B遺伝子に最も近いハプロタイプブロックに位置する。(B)IL28B/A遺伝子座及びIL−29遺伝子座におけるHCVとのSNPの遺伝的関連性。IL28B遺伝子座及びIL28A遺伝子座の近くに位置するSNPの強い関連性は、自発的C型肝炎除去及びインターフェロンによる療法への非応答性の両方のエンドポイントで存在した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法であって、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法に関する。
【0018】
本発明は、C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法であって、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法にも関する。
【0019】
本明細書中に記載されるものと同様又は等価の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を下記に記載する。本明細書中で言及される全ての公報、特許出願、特許及び他の参照文献は、その全体が参照により援用される。本明細書中で論考される公報及び出願は、本願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提示される。本明細書中のいかなる内容も、本発明が先行発明に基づいて、かかる公報に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されてはならない。加えて、材料、方法及び実施例は例示のみを目的とし、限定を意図するものではない。
【0020】
別段の規定がない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本明細書の主題が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で使用される場合、以下の定義は本発明の理解を容易にするために与えられる。
【0021】
「含む」という用語は、1つ又は複数の特徴又は成分を含む、すなわちその存在を許容するという意味で一般に使用される。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、文脈上そうではないと明らかに指示されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示対象(references)を含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「持続性ウイルス応答」は、治療終了後24週間を超える検出不可能なウイルス血症であると定義された。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「少なくとも1つ」は「1つ又は複数」を意味する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「被験体」又は「患者」という用語は、当該技術分野でよく認識されており、本明細書中では同義で使用され、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ラット、マウス、サル、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ラクダ、最も好ましくはヒトを指す。幾つかの実施形態では、被験体はC型肝炎治療の必要性がある被験体である。しかしながら、他の実施形態では、被験体は正常被験体であり得る。
【0026】
「被験体」又は「患者」という用語は、特定の年齢又は性別を表すものではない。このため、男性であるか又は女性であるかを問わず、成人、幼児及び新生児の被験体を包含することが意図される。
【0027】
代替的には、上記被験体又は患者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、好ましくはHIV−1又はHIV−2に同時感染している。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「感受性」という用語は、被験体の尤度、又はC型肝炎治療に反応性を示さない素因、又は非自発的C型肝炎除去に対する被験体の素因を指す。
【0029】
「対立遺伝子」は、本明細書中で使用される場合、細胞、個体又は集団内の遺伝子配列又は遺伝子配列(遺伝子等)内の単一ヌクレオチド位置の或る特定の形態を指し、この特定の形態は、遺伝子の配列内の少なくとも1つ、しばしば2つ以上の可変部(variant sites)の配列内の同じ遺伝子の他の形態とは異なる。この配列は遺伝子内にあっても、又は遺伝子内になくてもよい。異なる対立遺伝子間で異なるこれらの可変部での配列は、「分散(variances)」、「多型」又は「突然変異」と称される。常染色体に特異的な染色体位置又は「遺伝子座」の各々において、個体は一方が片方の親から、もう一方がもう片方の親から(例えば一方が母親から、もう一方が父親から)受け継がれた2つの対立遺伝子を有する。
【0030】
「多型」は、本明細書中で使用される場合、集団内で2つ以上の遺伝的に決定された選択的配列又は対立遺伝子が発生することを指す。「多型マーカー」又は部位とは、多様性が生じる遺伝子座である。好ましいマーカーは、各々が選択された集団内の好ましくは1%を超える、より好ましくは10%又は20%を超える頻度で発生する、少なくとも2つの対立遺伝子を有する。多型は1つ又は複数の塩基の変化、挿入、反復又は欠失を含み得る。多型座は一塩基対の大きさしかない場合もある。多型マーカーとしては、制限断片長多型、繰り返し配列数多型(variable number of tandem repeats)(VNTR)、超可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチド反復、トリヌクレオチド反復、テトラヌクレオチド反復、単純配列反復、コピー数多型(copy number variations)(CNV)、及びAlu等の挿入因子が挙げられる。最初に同定された対立遺伝子形態を任意に参照形態として指定し、他の対立遺伝子形態を選択的対立遺伝子又は変異型対立遺伝子として指定する。選択された集団内で最も頻繁に発生する対立遺伝子形態は、野生型形態と称される場合もある。2対立遺伝子多型は2つの形態を有する。3対立遺伝子多型は3つの形態を有する。2つの核酸間の多型は自然に発生しても、又は化学物質、酵素若しくは他の作用因子への曝露若しくは接触、又は核酸に損傷を引き起こす作用因子、例えば紫外線放射、突然変異原又は発癌性物質への曝露によって引き起こされるものであってもよい。特定の種類の多型(一塩基多型又はSNPと呼ばれる)は、個人のDNA配列内で発生し得る小さな遺伝的変化又は変異である。遺伝子コードは、4つのヌクレオチド「文字」であるA(アデニン)、C(シトシン)、T(チミン)及びG(グアニン)によって指定される。単一のヌクレオチド(例えばA)が、他の3つのヌクレオチド文字(C、G又はT)の1つで置換される場合にSNP変異が発生する。
【0031】
「C型肝炎ウイルス」又は「HCV」という用語は、病原株がC型肝炎(非A非B型肝炎としても知られる)を引き起こすRNAウイルス種を定義するために本明細書中で使用される。HCV分離株の遺伝的差異に基づいて、C型肝炎ウイルス種は6つの遺伝子型(1〜6)に分類され、各々の遺伝子型内に幾つかの亜型がある。亜型は更にそれらの遺伝的多様性に基づいて準種に分けられる。HCV遺伝子型の優位性及び分布は世界的に異なる。例えば、北アメリカでは遺伝子型1aが優勢であり、その後に1b、2a、2b及び3aが続く。ヨーロッパでは、遺伝子型1bが優勢であり、その後に2a、2b、2c及び3aが続く。遺伝子型4及び5は、ほぼ例外なくアフリカで見られる。ウイルス遺伝子型は、インターフェロンによる療法に対する潜在的応答及びかかる療法の所要期間を決定するうえで臨床的に重要である。遺伝子型1及び遺伝子型4は概して、インターフェロンによる治療に対する応答性が他の遺伝子型(2、3、5及び6)よりも低い。遺伝子型5及び6が集団内でまれであることに留意されたい。
【0032】
「C型肝炎」は、C型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる、肝臓に影響を及ぼす感染性疾患である。感染は多くの場合無症候性であるが、慢性C型肝炎感染は確立されると、肝臓の瘢痕(線維症)及び一般に何年もたってから現れる進行性瘢痕(肝硬変)に進行する可能性がある。一部の症例では、肝硬変の人々は続いて肝不全、又は肝臓がんを含む他の肝硬変の合併症を発症する。
【0033】
「慢性C型肝炎」は、6ヶ月を超えて持続するC型肝炎ウイルスによる感染として定義される。臨床的には、慢性C型肝炎は無症候性である(症状を伴わない)ことが多く、大抵は偶然に発見される。慢性C型肝炎の自然経過は人によって大幅に異なる。HCVに感染したほとんどの人々は、肝臓生検で炎症の兆候を有し、肝臓瘢痕(線維症)の進行速度は個体間で有意な変動を示す。このウイルスに対する試験が利用可能である時間が限られていたため、経時的なリスクの正確な推定は確立することが困難である。
【0034】
C型肝炎ウイルス(HCV)が同定されてすぐに、このウイルスに対する抗体を有する人々における多数の横断的研究によって、「自発的C型肝炎除去」を示すことが見てとれる人々がいる一方で、ウイルス血症の状態を保持している人々もいることが実証された。それ以降、多くの研究者が自発的ウイルス除去の確率、経時変化及び予測因子を含むC型肝炎感染の原因を明らかにしようと試みてきた。除去率の推定値は10%〜50%の範囲にわたっており、除去の持続時間は一部の症例においては3年もの間であることが分かった。権威ある臨床総説では一般に、除去率が10%〜15%と低いことが述べられている。
【0035】
「非自発的C型肝炎除去」は、本明細書中で被験体が自発的除去を示さず、感染が慢性C型肝炎へ進展し得る状況を指す。明確にするために、この用語は治療によって誘導される除去を指すものではない。
【0036】
「IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座」は概して、ヒトにおいては、3つのサイトカイン遺伝子、すなわちIL28B、IL28A及びIL29(IFNλファミリーに属する)をコードする第19染色体の長腕内の80kb領域に位置するゲノムDNA領域を指す。これら3つの遺伝子は幾つかのエキソン、IL−28(IFNλ1とも称される)については5つ、IL−28A(IFNλ2)及びIL−28B(IFNλ3)については6つのエキソンを有する。これらは20kDaの分泌モノマータンパク質をコードする。IL28B、IL28A及びIL29サイトカインが、IFNαに耐性を有するか、又は耐性を有するようになるHCV感染患者の治療のためのIFNαの興味深い代替物となり得ることが最近報告された([38])。
【0037】
慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する本発明による方法の場合、少なくとも1つの多型マーカーの存在は、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる。
【0038】
一方、本発明に従うC型肝炎に感染した被験体において非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法の場合、少なくとも1つの多型マーカーの存在は、上記被験体の非自発的C型肝炎除去に対する感受性が増大していることの指標となる。
【0039】
上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座に適用することのできる、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を解析するための多数の方法が利用可能である。多型又は突然変異を検出するアッセイは、直接シークエンシングアッセイ、断片多型アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ及びコンピューターベースのデータ解析を含むが、これらに限定されない幾つかのカテゴリーに分けられる。これらのアッセイの多様な変更を行うためのプロトコル及び市販のキット又はサービスが利用可能である。幾つかの実施形態では、アッセイは組み合わせて又は混合的に行われる(例えば、幾つかのアッセイからの異なる試薬又は技術を組み合わせて1つのアッセイを生み出す)。以下のアッセイが本発明において有用であり、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に見られる様々なSNPの検出と関連付けながら説明する。
【0040】
本発明の一態様では、SNPは直接シーケンス法を用いて検出される。これらのアッセイでは、DNAサンプルを初めに任意の好適な方法を用いて被験体から単離する。幾つかの実施形態では、対象の領域を好適なベクターにクローニングし、宿主細胞(例えば細菌)中で増殖させることによって増幅する。他の実施形態では、対象の領域内のDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅する。
【0041】
増幅後、対象の領域(例えばSNPを含有する領域)内のDNAを、放射性マーカーヌクレオチドを用いた手動シークエンシング、又は自動シークエンシングを含むが、これらに限定されない任意の好適な方法を用いてシークエンシングする。シークエンシングの結果は任意の好適な方法を用いて表示される。配列を検査し、所与のSNPの有無を判定する。
【0042】
本発明の一態様では、SNPはPCRベースのアッセイを用いて検出される。幾つかの実施形態では、PCRアッセイは、対象の反復多型を含有する断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー(「プライマー」)の使用を含む。標的ポリヌクレオチド配列の増幅は当業者に既知の任意の方法によって行うことができる。例えば[41]及び[42]を参照されたい。増幅方法としては、リアルタイムPCR(RT−PCR)、鎖置換増幅([43]、[44])、Phi29 DNAポリメラーゼを用いた鎖置換増幅(米国特許第5,001,050号)、転写ベースの増幅[45]、自律的配列複製(「3SR」)([46]、[47])、Qβレプリカーゼ系([48]、[49])、核酸配列ベースの増幅(「NASBA」)([50])、修復連鎖反応(repair chain reaction)(「RCR」)([50]、上掲)及びブーメランDNA増幅(すなわち「BDA」)([50])が挙げられるが、これらに限定されない。PCRは標的ポリヌクレオチド配列を増幅する好ましい方法である。
【0043】
PCRは当業者に既知の技法に従って行うことができる。PCRは一般に、初めに核酸サンプルを(例えば、耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で)増幅プライマー対で処理することを含む。プライマー対の一方のプライマーは標的ポリヌクレオチド配列の一方の鎖とハイブリダイズする。プライマー対の第2のプライマーは標的ポリヌクレオチド配列の他方の相補鎖とハイブリダイズする。プライマーは、各々の核酸鎖に相補的な各々のプライマーの伸長産物が合成される条件下で、それらの標的ポリヌクレオチド配列鎖とハイブリダイズする。各々のプライマーから合成された伸長産物は、その相補体から分離されると、他のプライマーの伸長産物の合成の鋳型となることができる。プライマー伸長後、サンプルを変性条件で処理して、プライマー伸長産物をそれらの鋳型から分離する。これらの工程を所望の程度の増幅が得られるまで周期的に繰り返す。
【0044】
増幅した標的ポリヌクレオチドを、本明細書の他の部分に記載される検出アッセイの1つに使用して、増幅した標的ポリヌクレオチド配列内に存在するGT反復多型を同定することができる。
【0045】
本発明の一態様では、SNPは断片長多型アッセイを用いて検出される。断片長多型アッセイでは、一連の位置でのDNAの切断に基づく独自のDNAバンドパターンが、酵素(例えば制限エンドヌクレアーゼ)を用いて生成される。多型を含有するサンプルに由来するDNA断片は、野生型とは異なるバンドパターンを有する。
【0046】
本発明の一態様では、当該技術分野で既知のマイクロサテライト多型判定の方法である、断片サイジング解析をBeckman CoulterのCEQ 8000遺伝子解析システムを用いて行う。
【0047】
本発明の一態様では、SNPは制限断片長多型アッセイ(RPLP)を用いて検出される。対象の領域を初めにPCRを用いて単離する。次いで、所与の多型について独自の長さの断片を与えることが知られる制限酵素でPCR産物を切断する。制限酵素によって消化されたPCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、エチジウムブロマイド染色によって可視化し、対照(野生型)と比較する。
【0048】
一態様では、多型はCLEAVASE断片長多型アッセイを用いて検出される(CFLP、Third Wave Technologies, Madison, Wis.、例えば米国特許第5,888,780号を参照されたい)。このアッセイは、DNAの一本鎖が自ら折り畳まれる場合、DNA分子の正確な配列に対して個体差が大きい高次構造をとるという観察に基づくものである。これらの二次構造は、一本鎖領域が二本鎖DNAヘアピンと並列するような、DNAの部分的に二重の領域を伴う。CLEAVASE I酵素は、これらの一本鎖領域と二本鎖領域との間の接合部を認識して切断する構造特異的な耐熱性ヌクレアーゼである。
【0049】
対象の領域を初めに、例えばPCRを用いて単離する。次いで、DNA鎖を加熱することによって分離する。次に、反応を冷却して鎖内二次構造を形成させる。次いで、PCR産物をCLEAVASE I酵素で処理して、所与の多型に独自の一連の断片を生成させる。CLEAVASE酵素で処理したPCR産物を分離し、(例えばアガロースゲル電気泳動によって)検出し、(例えばエチジウムブロマイド染色によって)可視化し、対照(野生型)と比較する。
【0050】
本発明の他の態様では、SNPはハイブリダイゼーションアッセイによって検出される。ハイブリダイゼーションアッセイでは、所与の多型又は突然変異の有無は、サンプルに由来するDNAの相補DNA分子(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)とハイブリダイズする能力に基づいて判定される。ハイブリダイゼーション及び検出の様々な技術を用いる様々なハイブリダイゼーションアッセイが利用可能である。アッセイの選択についての説明は下記に提示する。
【0051】
好ましい態様では、ハイブリダイズした核酸は、サンプル核酸に結合した1つ又は複数の標識を検出することによって検出される。標識は当業者に既知の任意の多数の手段によって取り込ませることができる。一実施形態では、標識はサンプル核酸の調製における増幅工程中に同時に取り込ませる。このため、例えば標識されたプライマー又は標識されたヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、標識された増幅産物が得られる。別の実施形態では、標識されたヌクレオチド(例えばフルオレセインで標識されたUTP及び/又はCTP)を用いた転写増幅によって、標識が転写された核酸内に取り込まれる。
【0052】
代替的には、標識は元の核酸サンプル(例えばmRNA、polyA mRNA、cDNA、ゲノムDNA等)又は増幅が完了した後の増幅産物に直接付加することができる。標識を核酸に結合させる手段は当業者に既知であり、例えばニックトランスレーション、又は核酸をキナーゼ処理し、続いてサンプル核酸と標識(例えば蛍光体)とを連結する核酸リンカーを結合(ライゲーション)することによる(例えば標識されたRNAでの)末端標識が挙げられる。別の実施形態では、標識は末端デオキシトランスフェラーゼ(TdT)を用いて断片の末端に付加される。
【0053】
本発明に使用するのに好適な検出可能な標識としては、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段又は化学的手段によって検出可能な任意の組成物が挙げられる。本発明において有用な標識としては、標識されたストレプトアビジン複合体による染色のためのビオチン、抗ビオチン抗体、電磁ビーズ(例えばDynabeads(商標))、蛍光色素(例えばフルオレセイン、Texas Red、ローダミン、緑色蛍光タンパク質等)、放射標識(例えばH、125I、35S、14C又は32P)、リン光標識、酵素(例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、及びELISAに一般に使用されるもの)、及びコロイド金又は色ガラス又はプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズ等の比色標識(calorimetric labels)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
かかる標識を検出する手段は当業者に既知である。このため、例えば放射標識は写真フィルム又はシンチレーションカウンターを用いて検出することができ、蛍光マーカーは放射光を検出する光検出器を用いて検出することができる。酵素標識は通常、酵素に基質を供給し、基質に対する酵素の作用によって生じる反応産物を検出することによって検出され、比色標識は着色した標識を単に可視化することによって検出される。
【0055】
標識はハイブリダイゼーション前又はハイブリダイゼーション後に標的核酸(複数も可)に付加することができる。いわゆる「直接標識」は、ハイブリダイゼーション前に標的核酸に直接結合するか、又は取り込ませる検出可能な標識である。一方、いわゆる「間接標識」はハイブリダイゼーション後にハイブリッド二本鎖に連結される。多くの場合、間接標識はハイブリダイゼーション前に標的核酸に結合した結合部に結合させる。このため、例えば標的核酸をハイブリダイゼーション前にビオチン化させてもよい。ハイブリダイゼーション後、アビジンと複合体形成した蛍光体がビオチンを有するハイブリッド二本鎖に結合し、容易に検出される標識が得られる。核酸を標識し、標識されたハイブリダイズ核酸を検出する方法の詳細な総括については、Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 24: Hybridization with Nucleic Acid Probes(その全体が全ての目的のために参照により本明細書中に援用される)を参照されたい。
【0056】
一態様では、対象の配列(例えばSNP等の多型)とのプローブのハイブリダイゼーションは、結合したプローブを可視化することによって直接検出される(例えばノーザンアッセイ又はサザンアッセイ、例えば、Ausabel et al. (Eds.), 1991, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYを参照されたい)。これらのアッセイでは、ゲノムDNA(サザン)又はゲノムRNA(ノーザン)を被験体から単離する。次いで、ほとんどゲノム内で切断することがなく、アッセイされる任意のマーカーの近くで切断しない一連の制限酵素でDNA又はRNAを切断する。次いで、DNA又はRNAを分離し(例えばアガロースゲル電気泳動)、メンブレンに転写する。(例えば放射性ヌクレオチドを取り込ませることによって)標識された、検出される突然変異に特異的なプローブ(単数又は複数)を低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー又は高ストリンジェンシーの条件下でメンブレンと接触させる。結合していないプローブを除去し、標識されたプローブを可視化することによって結合の存在を検出する。
【0057】
本発明の一態様では、SNPはDNAチップハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出される。このアッセイでは、一連のオリゴヌクレオチドプローブを固体支持体に固定させる。オリゴヌクレオチドプローブは所与の一塩基多型に独自であるように設計されている。対象のDNAサンプルをDNA「チップ」と接触させ、ハイブリダイゼーションを検出する。
【0058】
幾つかの実施形態では、DNAチップアッセイはGeneChip(Affymetrix, Santa Clara, Calif、例えば米国特許第6,045,996号を参照されたい)アッセイである。GeneChip技術では、「チップ」に固定した小型の高密度オリゴヌクレオチドプローブアレイを使用する。プローブアレイは、固相化学合成と半導体産業において利用されるフォトリソグラフィー製造技法とを組み合わせた、Affymetrixの光指向性(light-directed)化学合成プロセスによって作製される。一連のフォトリソグラフィーマスクを使用してチップ曝露部位を画定し、続いて特異的化学合成工程を行うことで、プロセスによってアレイ内の所定の位置に各々のプローブを有する高密度オリゴヌクレオチドアレイが構築される。複数のプローブアレイを大きなガラスウエハ上に同時に合成する。次いで、ウエハをダイシングし、個々のプローブアレイを、それらを環境から保護し、ハイブリダイゼーションのためのチャンバーとなる射出成形プラスチックカートリッジ内にパッケージングする。
【0059】
解析対象の核酸を被験体から得られた生体サンプルから単離し、PCRによって増幅し、蛍光レポーター基で標識する。次いで、流体工学ステーション(fluidics station)を用いて、標識されたDNAをアレイとともにインキュベートする。次いで、アレイをスキャナに挿入し、ハイブリダイゼーションパターンを検出する。ハイブリダイゼーションデータは、プローブアレイに結合した標的内に既に取り込まれた蛍光レポーター基の発する光として収集する。標的と完全に一致するプローブは概して、ミスマッチを有するプローブよりも強いシグナルを生じる。アレイ上の各々のプローブの配列及び位置は既知であるため、相補性によってプローブアレイにアプライした標的核酸の同一性を判定することができる。
【0060】
別の態様では、電気的に捕捉されたプローブを含有するDNAマイクロチップ(Nanogen,San Diego,Calif.)を利用する(例えば米国特許第6,068,818号を参照されたい)。マイクロエレクトロニクスの使用のために、Nanogenの技術によって、その半導体マイクロチップ上での指定の試験部位への、また指定の試験部位からの帯電分子の能動的移動及び濃縮が可能となる。所与の多型又は突然変異に独自のDNA捕捉プローブがマイクロチップ上の特異的部位に電気的に配置されるか、又は「アドレスされる」。DNAは強い負電荷を有するため、正電荷の領域に電気的に移動させることができる。
【0061】
初めに、マイクロチップ上の試験部位又は試験部位の列を、正電荷によって電気的に活性化する。次に、DNAプローブを含有する溶液をマイクロチップ上に導入する。負に帯電したプローブは正に帯電した部位へと急速に移動し、そこで濃縮され、マイクロチップ上の部位に化学結合する。次いで、マイクロチップを洗浄し、特異的に結合したDNAプローブのアレイが完全になるまで、異なるDNAプローブの別の溶液を添加する。
【0062】
次いで、いずれのDNA捕捉プローブが試験サンプル中の相補DNA(例えば、PCR増幅した対象の遺伝子)とハイブリダイズするかを判定することによって、標的DNA分子の存在について試験サンプルを解析する。標的分子をマイクロチップ上の1つ又は複数の試験部位に移動させ、濃縮するために電子電荷も使用される。各々の試験部位でのサンプルDNAの電気的濃縮は、相補的な捕捉プローブとのサンプルDNAの迅速なハイブリダイゼーションを促進する(ハイブリダイゼーションは数分以内に起こり得る)。任意の結合していない又は非特異的に結合したDNAを各々の部位から除去するために、部位の極性又は電荷を負に逆転させて、それにより任意の結合していない又は非特異的に結合したDNAを捕捉されたプローブから溶液中へと戻す。レーザーベースの蛍光スキャナを使用して結合を検出する。
【0063】
さらに別の態様では、表面張力差による平面(チップ)上での流体の分離に基づくアレイ技術(ProtoGene,Palo Alto,Calif.)が利用される(例えば米国特許第6,001,311号を参照されたい)。Protogeneの技術は、化学コーティングによって与えられる表面張力差によって流体を平面上で分離することができるという事実に基づいている。そのように分離すると、試薬のインクジェットプリントによってオリゴヌクレオチドプローブがチップ上で直接合成される。表面張力によって画定されたその反応部位を有するアレイを、4つの圧電ノズル(piezoelectric nozzles)セット(各々が4つの標準的なDNA塩基の各々に対応する)の下のX/Yトランスレーションステージ上に搭載する。トランスレーションステージをアレイの各々の列に沿って移動させ、適切な試薬を反応部位の各々に供給する。例えば、アミダイトAをこの合成工程等の間にアミダイトAが結合する部位のみに供給する。一般的な試薬及び洗浄液は表面全体に充満させることによって供給し、続いてスピニングにより除去する。
【0064】
対象の多型に独自のDNAプローブをProtogeneの技術を用いてチップに固定する。次いで、チップをPCR増幅した対象の遺伝子と接触させる。ハイブリダイゼーションの後、結合していないDNAを除去し、任意の好適な方法を用いて(例えば取り込まれた蛍光基の蛍光脱消光(de-quenching)によって)ハイブリダイゼーションを検出する。
【0065】
さらに他の態様では、SNPの検出に「ビーズアレイ」が用いられる(Illumina,San Diego,Calif、例えば、国際公開第99/67641号及び国際公開第00/39587号(各々が参照により本明細書中に援用される)を参照されたい)。Illuminaは光ファイバー束と、アレイに自己組織化するビーズとを組み合わせたビーズアレイ技術を使用している。各々の光ファイバー束は、束の直径に応じて数千から数百万という個々のファイバーを含有する。ビーズは所与の多型又は突然変異の検出に特異的なオリゴヌクレオチドでコーティングされている。ビーズのバッチを組み合わせて、アレイに特異的なプールを形成する。アッセイを行うために、ビーズアレイを、調製した被験体サンプル(例えばDNA)と接触させる。ハイブリダイゼーションの酵素検出のような任意の好適な方法を用いてハイブリダイゼーションを検出する。
【0066】
本発明の幾つかの態様では、特異的構造の酵素的切断によってハイブリダイゼーションを検出するアッセイを用いてゲノムプロファイルを作成する(INVADERアッセイ、Third Wave Technologies、例えば米国特許第6,001,567号を参照されたい)。INVADERアッセイでは、重複オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションによって形成された複合体を切断する構造特異的な酵素を用いて、特異的なDNA配列及びRNA配列が検出される。高温及びプローブの1つを過剰にすることによって、温度サイクルを伴わず存在する各々の標的配列について複数のプローブを切断することが可能となる。次いで、これら切断されたプローブが第2の標識されたプローブの切断を誘導する。二次プローブオリゴヌクレオチドは、内部色素によって消光されるフルオレセインで5’末端標識することができる。切断されると、脱消光されたフルオレセインで標識された産物を標準的な蛍光プレートリーダーを用いて検出することができる。
【0067】
INVADERアッセイでは、非増幅ゲノムDNA内の特異的突然変異及び多型が検出される。単離したDNAサンプルを初めに多型/突然変異又は野生型配列のいずれかに特異的なプローブと接触させ、ハイブリダイズさせる。次いで、第1のプローブに特異的であり、フルオレセイン標識を含有する二次プローブをハイブリダイズさせ、酵素を添加する。蛍光プレートリーダーを用いて結合を検出し、試験サンプルと既知の陽性対照及び陰性対照とのシグナルを比較する。
【0068】
幾つかの態様では、結合したプローブのハイブリダイゼーションはTaqManアッセイを用いて検出される(PE Biosystems,Foster City,Calif、例えば米国特許第5,962,233号を参照されたい)。このアッセイはPCR反応中に行われる。TaqManアッセイは、AMPLITAQ GOLD DNAポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を利用するものである。所与の対立遺伝子又は突然変異に特異的なプローブがPCR反応に加えられる。このプローブは、5’−レポーター色素(例えば蛍光色素)及び3’−クエンチャー色素を有するオリゴヌクレオチドからなる。PCR中にプローブがその標的に結合すると、AMPLITAQ GOLDポリメラーゼの5’−3’核酸分解活性によって、レポーター色素とクエンチャー色素との間でプローブが切断される。クエンチャー色素からのレポーター色素の分離により蛍光の増加がもたらされる。PCRの各サイクルによってシグナルが蓄積し、蛍光光度計を用いてモニタリングすることができる。
【0069】
幾つかの態様では、MassARRAYシステム(Sequenom,San Diego,Calif.)が多型を検出するために使用される(例えば米国特許第6,043,031号を参照されたい)。標準的な手順を用いてDNAを血液サンプルから単離する。次に、対象の多型を含有する特異的DNA領域をPCRによって増幅する。次いで、増幅された断片の一方の鎖が固体表面に結合されるが、固定化されなかった鎖を標準的な変性及び洗浄によって除去する。残りの固定化された一本鎖は続いて、遺伝子型に特異的な診断用産物を生じる自動酵素反応の鋳型として働く。
【0070】
次いで、非常に少量、通常は5ナノリットル〜10ナノリットルの酵素産物を、SpectroREADER質量解析計を用いた続く自動解析のためにSpectroCHIPアレイに移す。各々のスポットに、分注された診断用産物とマトリックスを形成する光吸収結晶を予め投入する。MassARRAYシステムは、MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型)質量解析を使用する。脱離として知られるプロセスにおいて、マトリックスにレーザービームからのパルスを当てる。レーザービームからのエネルギーがマトリックスに伝達されて、マトリックスが気化され、少量の診断用産物が飛行管内に放出される。続いて電界パルスを管に適用すると、診断用産物が帯電し、飛行管から検出器に向かって放たれる。電界パルスを適用してから診断用産物が検出器と衝突するまでの時間は、飛行時間と称される。これは、分子の質量が飛行時間と直接相関する(より小さい分子がより大きい分子よりも速く飛行する)ため、産物の分子量の非常に正確な尺度である。全アッセイは0.0001秒未満で完了し、サンプルを反復的なデータ収集を含めて合計3秒間〜5秒間で解析することが可能となる。次いで、SpectroTYPERソフトウェアによって、1つのサンプルにつき3秒という速度で遺伝子型が計算、記録、比較及び報告される。
【0071】
通常、本発明の「核酸サンプル」は、全血、血清、精液、唾液、涙、尿、糞便物質、汗、口腔粘膜塗沫、皮膚、並びに筋肉、肝臓、脳組織、神経組織及び毛髪の生検材料等の被験体から得られた生体サンプルから単離される。核酸サンプルは遺伝子の一部、制御配列、ゲノムDNA、cDNA及びRNA(mRNA、miRNA及びrRNAを含む)であってもよい。
【0072】
ゲノムDNAサンプルは通常、プローブと接触させる前に増幅させる。ゲノムDNAは任意の生体サンプルから得ることができる。SNPを含有するゲノムDNAの増幅は、サンプルを得た個体が多型性部位でホモ接合性である場合には単一種の核酸、又は個体がヘテロ接合性である場合には2つの種の核酸を生成する。
【0073】
RNAサンプルは多くの場合増幅にも供される。この場合、通常は増幅の先に逆転写を行う。発現された全てのmRNAの増幅は、例えば[39]及び[40](その全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されるように行うことができる。2倍体のサンプルからのRNAサンプルの増幅は、サンプルを提供する個体が、発現されたRNA内で生じる多型性部位でヘテロ接合性である場合には2つの種の標的分子、又はRNA種が選択的スプライシングに供される場合おそらくはそれ以上の標的分子を生成し得る。増幅は一般に、当該技術分野で既知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて行うことができる。標的サンプル中の核酸は、増幅の過程で1つ又は複数の標識ヌクレオチドを増幅混合物に混入することによって標識することができる。標識は増幅後に(例えば末端標識によって)増幅産物に結合させることもできる。増幅産物は、増幅反応に使用される酵素及び基質に応じてRNA又はDNAであり得る。
【0074】
個々の多型の遺伝子型は、少なくとも2つの対立遺伝子の集まり(sum)を含み、ホモ接合性(すなわち同一の対立遺伝子を含む)又はヘテロ接合性(すなわち異なる対立遺伝子を含む)であり得る。
【0075】
本発明の幾つかの態様では、単離した本発明の核酸サンプルは従来の核酸合成を用いて、又は当該技術分野で既知の組み換え核酸法(2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)及びAusubel et al.の方法(2001, Current Protocols in Molecular Biology, Green & Wiley, New York)によって生成又は合成することができる。
【0076】
驚くべきことに、本発明者らは、慢性C型肝炎を患う被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの存在が、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となることを示した。
【0077】
さらに驚くべきことに、本発明者らは、C型肝炎に感染した被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの存在が、上記被験体の非自発的C型肝炎除去に対する感受性が増大していることの指標となることを示した。
【0078】
好ましくは、本発明の少なくとも1つのSNPは、ヒト第19染色体上の約80kbからなる領域内に位置する。ハプロタイプブロックのマッピングによって、SNP間の強い遺伝的関連性、並びにi)一方で、慢性C型肝炎を患う被験体におけるC型肝炎治療非応答性に対する感受性、及びii)他方で、非自発的C型肝炎除去に対する増大した感受性が示された(図3)。
【0079】
より好ましくは、本発明の少なくとも1つのSNPは配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34を含む群から選択されたSNPに隣接するDNA領域(表1に挙げられる)から本質的になる核酸セグメント中に位置する。
【0080】
本発明は、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つ、すなわち上で定義されたように1つ又は複数の一塩基多型(SNP)、すなわちその組み合わせの有無を判定することも企図する。
【0081】
好ましくは、多型マーカーはrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される少なくとも1つのSNPと関連する多型性部位である。最も好ましくは、SNPはrs8099917のG/T、rs8099917のG/G、rs576832のC/G、rs576832のC/C、rs12980275のG/A又はrs12980275のG/Gを含む群から選択される。
【0082】
さらに好ましくは、少なくとも1つの多型マーカーはrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される少なくとも1つのSNPと完全な又は強い連鎖不均衡にある多型性部位である。
【0083】
例えば、上記rs8099917対立遺伝子Gは1つの染色体(又は2つの対立遺伝子位置の一方)の上に存在する場合、ヘテロ接合性遺伝子型G/Tを与える。一方、2つの染色体(又は対立遺伝子位置)上に存在する場合、ホモ接合性遺伝子型G/Gを与える。
【0084】
一態様では、本明細書中に記載される、ウイルス遺伝子型の判定に有用な核酸サンプル及び多型の判定に有用な核酸サンプルは、被験体から得られた同じ生体サンプルから単離される。次いで、生体サンプルを、一方で本発明の少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定するのに有用な核酸サンプルの単離のため、他方でHCVウイルス遺伝子型の判定のために調製する。
【0085】
別の態様では、本明細書中に記載される、ウイルス遺伝子型の判定に有用な核酸サンプル及び多型の判定に有用な核酸サンプルは、被験体から得られた2つの異なる生体サンプルから単離される。この場合、次いで、第1の生体サンプルを本発明の少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定するのに有用な核酸サンプルの単離のために調製し、第2の生体サンプルをHCVウイルス遺伝子型の判定に有用な核酸サンプルの単離のために調製する。
【0086】
これら2つの生体サンプルは性質が同じであっても(例えば2つの症例における全血)、又は異なっていてもよい(例えば全血及び肝臓生検材料)。
【0087】
解析対象のHCV核酸(通常はRNA)を概して単離し、cDNAに逆転写し、例えば国際公開第96/14839号及び国際公開第97/01603号に記載されるPCRによって増幅する。当該技術分野で既知の任意の他の技法を適用することができる。
【0088】
「連鎖不均衡」(LD)は、対立遺伝子又は遺伝マーカーの幾つかの組み合わせが、それらの頻度に基づく対立遺伝子からのハプロタイプのランダム形成から予想されるよりも程度の差はあるが頻繁に集団内で生じる状況を表す。1つの遺伝子座の特定の対立遺伝子が、同じ染色体上に第2の遺伝子座の特異的な対立遺伝子とともに(遺伝子座が集団内で独立して分離している場合に予想されるよりも頻繁に)見られる場合、この遺伝子座は不均衡にある。このLDの概念は、提案された不均衡の最初の尺度の1つ(Dで表される)によって公式化される。Dは他の大半のLDの尺度と同様に、2つの遺伝子座ハプロタイプの観察頻度と、対立遺伝子がランダムに分離する場合に示される予想頻度との間の差として不均衡を定量化する。2つの隣接した遺伝子座の標準的な表記A及びBを採用すると(各遺伝子座の2つの対立遺伝子はA、a及びB、bとなる)、対立遺伝子A及びBからなるハプロタイプの観察頻度はPABで表される。2つの遺伝子座での対立遺伝子の独立組み合わせを推測すると、予想ハプロタイプ頻度は、2つの対立遺伝子各々の対立遺伝子頻度の積、すなわちPA×PB(ここで、PAは第1の遺伝子座での対立遺伝子Aの頻度であり、PBは第2の遺伝子座での対立遺伝子Bの頻度である)として算出される。したがって、不均衡の最も単純な尺度はD=PAB−PA×PBである。新たな突然変異が近くの遺伝子座で特定の対立遺伝子を有する染色体上で生じた場合、LDが引き起こされ、組み換えによって次第に失われる。反復突然変異も隣接した遺伝子座の対立遺伝子間の関連性を減少させ得る。LDのパターン形成における組み換えの重要性は「連鎖」という異名で知られている。集団におけるLDの程度は、時間(t)及びマーカー間の組み換え距離(r又は組み換え割合)の両方によって減少すると予想される。理論的には、LDは式:Dt=(1−r)tD0(式中、D0は幾つかの始点での不均衡の程度であり、Dtはt世代後の不均衡の程度である)に従って、時間及び距離とともに減衰する。
【0089】
広範な統計法がLDの量を測定するために提案されているが、これらは状況に応じて異なる強度を有する。尺度DはLDの直感的概念であるが、その数値はLDの強度を測定し、そのレベルを比較するのにほとんど有用でない。これは対立遺伝子頻度に対するDの依存性のためである。最も一般的な2つの尺度は、D’及びr2の絶対値である。
【0090】
D’の絶対値は、2つの遺伝子座での対立遺伝子頻度を前提として、Dをその最大可能値で除算することによって求められる。D’=1の場合は完全なLDとして知られる。D’<1という値は完全な祖先のLDが崩壊したことを示す。D’<1という値の大きさには明らかな解釈はない。D’の推定値は少数のサンプルにおいて強く誇張される。したがって、1に近い統計的に有意なD’の値は、最小の歴史的組み換えの有用な指標を与えるが、中間値を研究間のLDの強度の比較又はLDの程度の測定に使用すべきでない。
【0091】
尺度r2は幾つかの点でD’を補完するものである。r2は、D2を2つの遺伝子座での対立遺伝子頻度の積で除算した値に等しい。Hill及びRobersonは、E[r2]=1/1+4Nc(式中、cは2つのマーカー間の組み換え率(モルガン)であり、Nは有効な集団サイズである)であることを推論した。この等式は、LDの2つの重要な特性を示している。第一に、予想LDレベルは組み換えの関数である。2つの部位間の組み換えが多いほど、これら2つの部位が互いにより強くシャッフルされ、LDが減少する。第二に、LDはNの関数であり、LDが集団の特性であることが強調される。
【0092】
本願においては、HapMap Europeanデータセット及び/又は本発明者らによって実験的に解析された集団において、強い連鎖不均衡が、上記SNPとの少なくとも0.6のr2及び/又は0.5のD’という相関を示す。
【0093】
本発明によると、上記rs8099917対立遺伝子G又はrs576832対立遺伝子Cが(1つ又は2つの事例において)存在する場合、これは慢性C型肝炎を患う被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる。1つの対立遺伝子の代わりにrs8099917対立遺伝子G又はrs576832対立遺伝子Cが2つの事例で存在することは、(それぞれ)G対立遺伝子又はC対立遺伝子を有しない場合と比較して、C型肝炎治療非応答性のリスクを更に増加させる。
【0094】
同様に、上記rs8099917対立遺伝子G又はrs576832対立遺伝子Cが(1つ又は2つの事例において)存在する場合、これはC型肝炎に感染した被験体の非自発的C型肝炎除去(又は慢性C型肝炎への進展)に対する感受性が増大していることの指標となる。1つの対立遺伝子の代わりにrs8099917対立遺伝子G又はrs576832対立遺伝子Cが2つの事例で存在することは、(それぞれ)G対立遺伝子又はC対立遺伝子を有しない場合と比較して、非自発的除去のリスクを更に増加させる。
【0095】
一方、rs12980275のリスク対立遺伝子Gを保有する患者は、他の患者よりも不応答者となる可能性が高い(OR=1.99、95%CI=1.57〜2.54、P=1.74E−8)。この関連性は、関連共変量(年齢、性別、HCV遺伝子型、線維症重症度(severity status)及びHCVウイルス負荷、調整したP=4.61E−09)について調整した後も依然として有意であった。同様に、A/G遺伝子型及びG/G遺伝子型を保有する患者は、A/A保有者よりも不応答者となる可能性が高かった(OR=2.65[95%CI=2.18〜3.18]、P=2.67E−7、A/Gについて調整したP=9.90E−8、OR=3.68、[95%CI=2.77〜4.88]、P=4.05E−6、G/Gについて調整したP=1.13E−5、参照としてA/Aを用いる)。
【0096】
SNPの存在とC型肝炎治療非応答又は非自発的除去に対する感受性との間の関連性が、HCVに単一感染した個体及びHCV/HIVに同時感染した個体の両方において観察されることも見出された。
【0097】
【表1】

【0098】
表1において角括弧内に記載のSNPは、特別な順序なしに野生型対リスク(マイナー)対立遺伝子に関するものであり、したがってこの点において指示的又は限定的なものではない。
【0099】
概して、C型肝炎治療はインターフェロンによる治療である。より好ましくは、インターフェロンによる治療はIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される。通常、上記インターフェロンによる治療はリバビリンと併用される。代替的な組み合わせには、タンパク分解酵素阻害剤又は他の抗ウイルス剤が含まれ得る。
【0100】
本発明にはさらに、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法であって、
i)上記被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を有する被験体を、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無であって、該少なくとも1つの多型マーカーの存在が、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することによって区別することと、
ii)C型肝炎治療計画を確立すること
とを含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法が包含される。
【0101】
慢性C型肝炎を患う被験体における多型の判定によって、医師が該被験体に対する最良のC型肝炎治療計画(C型肝炎治療及び/又は他の抗ウイルス剤の性質、用量及び期間)を確立することが可能となる。例えば、上記の方法によって、少なくとも1つのSNPが上記被験体から得られた核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座において存在することが明らかとなり、上記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることが示され、この被験体を最新の治療戦略(例えば、より高用量の現在利用可能な薬物、現在利用可能な薬物でのより長い治療期間及び/又は最新の薬物を用いた治療)に対する有力な候補であるとみなすことができる。
【0102】
さらに、本発明者らは、本発明のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に少なくとも1つのSNPを、特にホモ接合性で保有するHCV遺伝子型1又は4に感染した被験体が、表4及び表5の両方に示されるように、治療によって誘導される除去(すなわち「治療に対する応答」又は「治療の成功」)の可能性が非常に低いことを示した。表4は感染集団における各々の遺伝子型(TT、GT及びGG)の分布に関してより具体的なデータを与えるものであり、表5はリスク対立遺伝子の有無を検討するものである。単に、表4及び表5が様々な群におけるわずかに異なる数の患者に基づくものであることに留意されたい。例えば、表5は、遺伝子型1又は4に感染した患者のうち、治療の失敗が非保有者ではわずか38%であるのに対し、感染したリスク対立遺伝子保有者の72%で起こったことを示す(OR=6.54[95%CI=4.65〜9.20]、P=3.70E−8)。別の観点からは、治療の失敗が、両方のリスクパラメータが高い患者(すなわち、ウイルス遺伝子型1又は4に感染した患者、及びrs8099917G対立遺伝子がIL28B遺伝子座内に存在する患者)では72%であるのに対し、両方のリスクパラメータが低い患者(すなわち、ウイルス遺伝子型2又は3に感染した患者、及びrs8099917G対立遺伝子がIL28B遺伝子座にない患者)のわずか16%で起こったことに留意されたい(OR=18.89[95%CI=12.87〜27.71]、P=1.84E−14)。
【0103】
これらの結果から、HCV遺伝子型2又は3に感染した被験体における、IL28B/A遺伝子座での遺伝的多様性と療法(例えばインターフェロンによる治療)に対する応答との関連性も示される(OR=3.32[95%CI=2.21〜4.99]、P=3.27E−3)。しかし、この関連性の強さはHCV遺伝子型1又は4に感染した被験体の場合よりも低い。これらの結果から、ウイルス遺伝子型及び宿主の多型の両方を知ることが治療に対する応答を予測するのに重要であることが実証される。
【0104】
したがって、本発明の別の態様は、HCVに感染した被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性又は非自発的除去に対する感受性をより精密に評価するために、慢性C型肝炎を患う被験体においてウイルス遺伝子型の判定と本明細書中に記載される多型の判定とを組み合わせることを含む。
【0105】
これらの組み合わせた判定は同時に行っても、又は行わなくてもよい。同時ではない場合、ウイルス遺伝子型を初めに評価して、所定の(determined)時間の後、本明細書中に記載される多型の判定を行う。本明細書中に記載される多型の判定を初めに行い、所定の時間の後、ウイルス遺伝子型を評価することも想定される。
【0106】
通常、ウイルス遺伝子型の判定と多型の判定との間(その逆も可能)の経過時間又は期間である所定の時間は、数秒間から数年間の間に含まれ得る。
【0107】
本発明にはさらに、慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を本発明に従って判定するためのキットであって、
i)上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書
とを含む、慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を本発明に従って判定するためのキットも包含される。
【0108】
本発明にはさらに、C型肝炎に感染した被験体において、本発明に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキットであって、
i)上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書
とを含む、C型肝炎に感染した被験体において、本発明に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキットが包含される。
【0109】
代替的には、キットに使用される試薬は、本明細書の他の部分に記載されるように、単離核酸、好ましくはプライマー、プライマーセット又はプライマーアレイを含む。プライマーを固体基質に固定してもよい。キットは対照の標的核酸及びプライマーを更に含み得る。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、通常の要件に従ってプライマーを選択することが可能である。キットの単離核酸は分子標識又はタグも含み得る。
【0110】
通常、プライマー、プライマーセット又はプライマーアレイは、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座において少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を検出することを対象とする。
【0111】
IL28B/A遺伝子座における少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無は、例えば表6中に開示されるプライマー(配列番号35〜配列番号58)から選択されるPCRプライマー又はシークエンシングプライマーのセットを用いて判定することができるが、これに限らない。
【0112】
被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルのIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を検出することを対象とするプライマー、プライマーセット又はプライマーアレイに加えて、キットの試薬は例えば、被験体から得られた生体サンプルから単離したウイルス遺伝子型を別個に検出することを対象とする他のプライマー、プライマーセット又はプライマーアレイを含み得る。使用されるこれらのプライマーセット又はプライマーアレイは、一般に当該技術分野で既知であるか、又は通常の要件を知ることで容易に生成することができる。
【0113】
更なる実施形態では、本発明のキットは、本発明の方法を実施するのに必要とされる、、当該技術分野で既知のバッファー等の様々な試薬を含む。
【0114】
これらの試薬又はバッファーは例えば、被験体から得られた生体サンプルから核酸を抽出及び/又は精製するのに有用であり得る。
【0115】
キットは、本発明の方法を実施するのに必要とされる微小遠心管等の必要とされる全ての材料も含み得る。
【0116】
本発明はさらに、慢性C型肝炎の患者を治療する方法であって、
i)rs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される、上記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、該患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に存在するか否かを判定することと、
ii)上記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、C型肝炎治療非応答性に対する感受性の増大と関連するか否かに基づいて上記患者を治療すること
とを含む、慢性C型肝炎の患者を治療する方法を企図する。
【0117】
概して、C型肝炎治療はインターフェロンによる治療である。より好ましくは、インターフェロンによる治療はIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される。通常、上記インターフェロンによる治療はリバビリンと併用される。代替的な組み合わせには、タンパク分解酵素阻害剤又は他の抗ウイルス剤が含まれ得る。
【0118】
本発明は、サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス1若しくは2(HSV−1又はHSV−2)、B型肝炎ウイルス(HBV)又はインフルエンザウイルスの治療への非応答性、又は自発的除去に対する感受性を、この(this or these)ウイルスの1つ又は複数に感染した被験体において判定する方法であって、上記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の有無を判定することを含む、方法も考慮する。
【0119】
本明細書中に記載される本発明に、具体的に記載した以外の変更及び修正の余地があることが当業者には理解される。本発明が、その精神と基本的な特徴から逸脱することなく、全てのかかる変更及び修正を包含することを理解されたい。本発明は、本明細書中で個々に又はまとめて言及された又は示された全ての工程、特徴、組成物及び化合物、並びに任意及び全ての組み合わせ、又は任意の2つ以上の上記工程又は特徴も含む。したがって、本開示は、示される全ての態様において非限定的であるとみなされ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に示されるが、本発明の意義及び均等範囲内に含まれる全ての変更がここに包含されることが意図される。
【0120】
様々な参照文献が本明細書全体にわたって引用されるが、それらは各々、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0121】
以上の説明は、以下の実施例を参照してより完全に理解される。しかしながら、かかる実施例は本発明を実施する方法の一例であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0122】
実施例1
患者及び方法
患者はスイスC型肝炎コホート研究(SCCS)及びスイスHIVコホート研究(SHCS)の枠組みの中で参加し、8つのスイスの大病院及びそれらの地方の提携センターで2回の多施設研究を行った[23]。遺伝子検査を含む書面によるインフォームドコンセントが参加に必須であり、研究は全ての地方倫理委員会によって承認された。人種的に多様な集団においてC型肝炎転帰の遺伝的予測因子は異なるため[10、13、24、25]、本発明者らは解析を白人に限定した。この研究では遺伝子型1、2、3及び4のみが表されることに注目すべきである。
【0123】
自発的C型肝炎除去
慢性HCV感染は、HCV血清反応陽性であり(ELISAを用いて、免疫ブロット法によって確認される)、定量的アッセイによってHCV RNAが検出可能であるとして定義されている。自発的C型肝炎除去は、HCV血清反応陽性であり、抗HCV療法の開始前にHCV RNAが検出不可能であるとして定義されている。感染1年目のHCV RNAレベルの変動([26]に掲載)を回避するために、本発明者らは、HCV RNAレベルを初めに報告された陽性HCV血清学的結果(serology)の少なくとも1年後に判定した。
【0124】
ジェノタイピング
ジェノタイピングは、スイスジュネーブの連邦科学研究能力センター(National Centre of Competence in Research)、「Frontiers in Genetics」でIlluminaのゲノムプラットフォームを用いて、IlluminaのHuman1M−Duo BeadChip、HumanHap550又はHuman600W−Quadを使用することによって行った。遺伝子型コール(calling)はBeadstudioソフトウェアのデフォルト設定を用いて行った。0.2未満のジェノタイピングスコアを有するコールは更なる解析から除外した。コールレート(call rate)が90%未満のSNP及びコールレートが95%未満の個体は除去した。コールレート>90%、マイナー対立遺伝子頻度(MAF)>1%、ハーディ・ワインベルグp値>10−7の測定されたSNPに基づくMACHを用いて推定を行った。得られた推定データにおいて、推定精度の低い(r2−hat<0.3)SNPは無視した。集団の層別化及び関連性は[28]に記載されるような祖先主成分(ancestry principal component)を用いて評価した。各々の遺伝的に関係がある/同一の個体の対(関連性>0.25)の一方を更なる解析から除外した。各々のジェノタイピングした個体の性別を臨床データに従って評価した。関連性解析はロジスティック回帰を用いて厳密な最尤法によって行った。最初の2つの祖先主成分値及びB型肝炎ウイルス感染状況(HBs−Agの有無として規定される)等の共変量をモデルに加えた。ファミリーワイズエラー率(family-wise error rate)を調整するためにボンフェローニ補正を使用した。一般に使用される5×10−8という閾値を得るには100万回の独立試験が想定された[Han et al 2009 Plos Genetics]。
【0125】
HIV同時感染の影響
自発的HCV除去に対するHIV同時感染の潜在的影響を考慮に入れるために、HCVに単一感染した個体及び同時感染した個体を初めに別個に解析し、続いて本発明者らはこの2つのコホートのゲノムワイドメタ解析を行った。各々のコホートから得られた関連性シグナルを逆分散重み付けによってメタ解析した。関連性解析はロジスティック回帰モデルを用いて厳密な最尤法によって行った。単変量解析において結果に影響を与える共変量(P<0.1)を、最初の2つの祖先主成分とともにモデルに加えた。本発明者らは、潜在的に重要な因子を無視することのないよう、組み入れ基準として緩やかなp値カットオフを共分散に用いた。異なるジェノタイピングプラットフォームが使用されているという事実を考慮して(To account for)、本発明者らは、(慢性感染患者のうち)対立遺伝子頻度が任意の2つのプラットフォーム間で有意に異なる(カイ二乗検定、P<10−4)任意のSNPを除外した。ゲノム対照をゲノムワイドp値に適用すると、(単一感染したコホートについては)λ=1.04、(同時感染したコホートについては)λ=1.02が得られた。
【0126】
これらの値によって非常に軽度の拡大が示唆され、モデルに最初の2つの祖先主成分を加えることで潜在的な集団層別化が十分に補正されることが確認された。ボンフェローニ補正を用いて複数の試験を調整し、5×10−8を有意性閾値として使用した。
【0127】
実施例2
結果
1142人のHCV感染患者(単一感染した726人及びHIVに同時感染した416人)が研究に参加したが、そのうち245人が自発的ウイルス除去を有し、897人が慢性感染を有していた(表3)。慢性感染患者のうち、404人をペグインターフェロンα・リバビリン併用療法に対する応答について評価可能であった。予想された通り、自発的除去と関連する因子には、より低い年齢(P<0.001)、女性(P<0.001)及び活動性B型肝炎(P<0.001)が含まれていた。治療に対する応答と関連する因子には、より低い年齢(P=0.05)、女性(0.03)、ウイルス遺伝子型2又は3(P<0.001)、より低いウイルス負荷(P<0.001)及び限局性線維症(P=0.02)が含まれていた。
【0128】
SNP rs8099917は、明らかに自発的C型肝炎除去と関連する(図1)。遺伝子型T/T(祖先の対立遺伝子)、G/T(ヘテロ接合性)及びG/G(ホモ接合性)の頻度は、自発的除去を有する患者においてそれぞれ0.79、0.20及び0.01であるのに対し、慢性感染を有する患者においてそれぞれ0.57、0.38及び0.05であった(加法モードでOR=0.38、95%信頼区間[CI]=0.27〜0.53、P=2.86E−08、表4、図2A)。rs8099917と自発的除去との関連性が、年齢、性別、活動性B型肝炎及びHCVリスク群を考慮する多変量解析において依然として存在する(加法モードでOR=0.38、95%CI=0.28〜0.53、P=6.81E−09、表4)。
【0129】
rs8099917のG対立遺伝子も、ペグインターフェロンα・リバビリン併用療法に対する非応答性と関連していた(図2B)。遺伝子型T/T、G/T及びG/Gの頻度は、持続性ウイルス応答を有する患者においてそれぞれ0.68、0.29及び0.03であったのに対し、不応答者においてはそれぞれ0.43、0.50及び0.07であった(基本モードでOR=0.36、95%CI=0.23〜0.53、P=8.96E−07、加法モードでOR=0.38、95%CI=0.27〜0.53、P=2.86E−06、表4、図2B)。rs8099917と治療非応答性との関連性が、年齢、性別、HCV RNA、HCV遺伝子型、線維症段階及び糖尿病を考慮する多変量モデルにおいて依然として存在していた(加法モードでOR=0.29、95%CI=0.16〜0.53、P=6.96E−05)。全体としては、自発的除去を有する患者(0.07)、持続性ウイルス応答を有する患者(0.17)及び治療非応答性の患者(0.32)にわたって、rs8099917のマイナー対立遺伝子頻度の漸進的増加が存在した。
【0130】
rs8099917 SNPは、(被験体がヒトの場合)3つのサイトカイン遺伝子、すなわちIL28B、IL28A及びIL29をコードするヒト第19染色体長腕の約80kBの領域内に位置していた(図3A)。ハプロタイプブロックのマッピングによって、rs8099917がIL−28B遺伝子全体を含むハプロタイプブロックの一部であることが示された。種々のSNPのP値のグラフ表示から、IL28Bのハプロタイプブロックにおいて自発的除去及び治療応答性の両方について適合した関連性パターンが示された(図3B)。
【0131】
HCVに単一感染した個体(OR=2.49、95%CI=1.64〜3.79、P=1.96×10−5)及びHCV/HIVに同時感染した個体(OR=2.16、95%CI=1.47〜3.18、P=8.24×10−5)において関連性が観察された。自発的除去の場合については、表4は単一感染した患者及び同時感染した患者の群内の様々な遺伝子型の分布及び関連した除去頻度を示す。
【0132】
実施例3
病原体の遺伝的リスク決定因子
本発明者らは、宿主及び病原体の遺伝的リスク決定因子の共同寄与(joint contribution)について更に評価した。ウイルス遺伝子型(ウイルス遺伝子型2又は3対ウイルス遺伝子型1又は4)及び宿主の多型(宿主のrs8099917Gリスク対立遺伝子の保有者対非保有者、表5)に従って患者を4つの群に層別化した。治療の失敗は、両方のリスクパラメータが高い患者では72%であるのに対し、両方のリスクパラメータが低い患者のわずか16%で起こった(OR=18.89[95%CI=12.87〜27.71]、P=1.84E−14、表5)。遺伝子型1又は4に感染した患者のうち、治療の失敗が非保有者ではわずか38%であるのに対し、感染したリスク対立遺伝子保有者の72%で起こった(OR=6.54[95%CI=4.65〜9.20]、P=3.70E−8)。遺伝子型2又は3に感染した患者のうち、治療の失敗が非保有者では16%であるのに対し、リスク対立遺伝子保有者の25%で起こった(OR=3.32[95%CI=2.21〜4.99]、P=3.27E−3)。また、表4は、ウイルス遺伝子型1&4又は2&3に感染した患者それぞれの群における様々な遺伝子型(TT、TG、GG)の分布、及び対応する治療に対する応答又は非応答の頻度を示す。
【0133】
表2の注釈
表2に与えられるSNPの野生型/リスク対立遺伝子が、表1において言及される対応する配列と比べて同じ鎖又は反対の鎖で読み取られ得ることに留意されたい。
【0134】
表3の注釈
SCCSはスイスC型肝炎コホート研究を意味し、SHCSはスイスHIVコホート研究を意味する。38人のHIVに感染したSCCS患者をSHCS患者とともに解析した。
HBs抗原が352人の単一感染した患者及び56人の同時感染した患者において欠けていた
(除去エンドポイントについては)設定点及び(治療エンドポイントについては)治療前のHCV RNA
大量飲酒者とは、5年超にわたる1日40gを超えるアルコールの摂取と定義した。
治療前の生検データが128人の患者において欠測であった。重篤な線維症及び炎症はMETAVIRスコア>2であることによって定義した。
【0135】
表4の注釈
最も可能性の高いモデル
年齢、性別、HBs AG及びリスクタイプについて調整した
年齢、性別、HCV RNA、HCV遺伝子型、線維症段階及び糖尿病について調整した
年齢、性別、HCV RNA、線維症段階及び糖尿病について調整した
【0136】
表5の注釈
線維症段階、性別、年齢、ベースラインHCVウイルス負荷及び最初の2つの祖先主成分について調整した。
遺伝子型1又は4の患者を解析すると、治療の失敗が非保有者ではわずか38%であるのに対し、リスク対立遺伝子保有者の72%で起こった(OR=6.54[95%CI=4.65〜9.20]、P=3.70E−8)。
【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【0140】
【表5】

【0141】
【表6】

【0142】
参考文献等:
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法であって、前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を判定する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの多型マーカーの存在が、前記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、第19染色体上の約80kbからなる領域内に位置する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、配列番号1〜配列番号34を含む群から選択される配列から本質的になる核酸セグメント中に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの多型マーカーがrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される少なくとも1つのSNPと関連する多型性部位である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、請求項5に記載の群から選択される少なくとも1つのSNPと完全な又は強い連鎖不均衡にある多型性部位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、請求項5に記載の群から選択される少なくとも2つのSNPの組み合わせである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの多型マーカーがrs8099917のG/T、rs8099917のG/G、rs576832のC/G、rs576832のC/C、rs12980275のG/A又はrs12980275のG/Gを含む群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記C型肝炎治療がインターフェロンによる治療である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記インターフェロンによる治療がIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インターフェロンによる治療が、リバビリン若しくは任意のタンパク分解酵素阻害剤、若しくは任意の他の抗ウイルス剤、又はそれらの任意の組み合わせと併用されたものである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記慢性C型肝炎がHCVのウイルス遺伝子型1、2、3又は4によって引き起こされたものである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記被験体の生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいてHCVウイルス遺伝子型を判定することを更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記被験体がHIVに同時感染している、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法であって、前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することを含む、C型肝炎に感染した被験体における非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定する方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの多型マーカーの存在が、前記被験体の非自発的C型肝炎除去に対する感受性が増大していることの指標となる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、第19染色体上の約80kbからなる領域内に位置する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、配列番号1〜配列番号34を含む群から選択される配列から本質的になる核酸セグメント中に位置する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの多型マーカーがrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される少なくとも1つのSNPと関連する多型性部位である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの多型マーカーが、請求項19に記載の群から選択される少なくとも1つのSNPと完全な又は強い連鎖不均衡にある多型性部位である、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記多型マーカーが、請求項19に記載の群から選択される少なくとも2つのSNPの組み合わせである、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記多型マーカーがrs8099917のG/T、rs8099917のG/G、rs576832のC/G、rs576832のC/C、rs12980275のG/A又はrs12980275のG/Gを含む群から選択される、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記慢性C型肝炎がHCVのウイルス遺伝子型1、2、3又は4によって引き起こされたものである、請求項15〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいてHCVウイルス遺伝子型を判定することを更に含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記被験体がHIVに同時感染している、請求項15〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
慢性C型肝炎の患者を治療する方法であって、
i)前記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、該患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に存在するか否かを判定することと、ここで、前記患者の多型マーカーの少なくとも1つがrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される、
ii)前記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、C型肝炎治療非応答性に対する感受性の増大と関連するか否かに基づいて前記患者を治療することと、
を含む、慢性C型肝炎の患者を治療する方法。
【請求項27】
前記C型肝炎治療がインターフェロンによる治療である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記インターフェロンによる治療がIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記インターフェロンによる治療が、リバビリン若しくは任意のタンパク分解酵素阻害剤、若しくは任意の他の抗ウイルス剤、又はそれらの任意の組み合わせと併用されたものである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
慢性C型肝炎の患者を治療する方法であって、
i)前記患者の多型マーカーの少なくとも1つが、該患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、IL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座内に存在するか否かを判定することと、ここで、前記患者の多型マーカーの少なくとも1つがrs11879005、rs12975799、rs11083519、rs955155、rs12972991、rs12980275、rs8105790、rs11881222、rs10853727、rs8109886、rs8113007、rs8099917、rs7248668、rs16973285、rs10853728、rs4803223、rs12980602、rs4803224、rs664893、rs576832、rs11671087、rs251910、rs7359953、rs7359950、rs2099331、rs11665818、rs570880、rs503355、rs30461、rs194014、rs251903、rs12979175、rs39587、rs30480を含む群から選択される、
ii)前記患者から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプルにおいて、HCVウイルス遺伝子型を判定することと、
iii)前記患者の多型マーカーの少なくとも1つ及びHCVウイルス遺伝子型が、C型肝炎治療非応答性に対する感受性の増大と関連するか否かに基づいて前記患者を治療することと、
を含む、慢性C型肝炎の患者を治療する方法。
【請求項31】
前記C型肝炎治療がインターフェロンによる治療である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記インターフェロンによる治療がIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記インターフェロンによる治療が、リバビリン若しくは任意のタンパク分解酵素阻害剤、若しくは任意の他の抗ウイルス剤、又はそれらの任意の組み合わせと併用されたものである、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記患者がHIVに同時感染している、請求項30〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法であって、
i)前記被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を有する被験体を、該被験体の生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を判定することによって区別することと、ここで、前記少なくとも1つの多型マーカーの存在が、前記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、
ii)C型肝炎治療計画を確立することと、
を含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法。
【請求項36】
前記C型肝炎治療がインターフェロンによる治療である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記インターフェロンによる治療がIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記インターフェロンによる治療が、リバビリン若しくは任意のタンパク分解酵素阻害剤、若しくは任意の他の抗ウイルス剤、又はそれらの任意の組み合わせと併用されたものである、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記被験体がHIVに同時感染している、請求項35〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法であって、
i)前記被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を有する被験体を、
前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無であって、該少なくとも1つの多型マーカーの存在が、前記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、少なくとも1つの多型マーカーの有無、及び
HCVウイルス遺伝子型であって、遺伝子型1又は4の存在が、前記被験体のC型肝炎治療非応答性に対する感受性が増大していることの指標となる、HCVウイルス遺伝子型
を判定することによって区別することと、
ii)C型肝炎治療計画を確立すること
とを含む、慢性C型肝炎を患う被験体においてC型肝炎治療非応答性に対する感受性を評価する方法。
【請求項41】
前記C型肝炎治療がインターフェロンによる治療である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記インターフェロンによる治療がIFNα、IFNλ又は任意のペグインターフェロンを含む群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記インターフェロンによる治療が、リバビリン若しくは任意のタンパク分解酵素阻害剤、若しくは任意の他の抗ウイルス剤、又はそれらの任意の組み合わせと併用されたものである、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記被験体がHIVに同時感染している、請求項40〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法に従って判定するためのキットであって、
i)前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書
とを含む、慢性C型肝炎を患う被験体において、C型肝炎治療非応答性に対する感受性を請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法に従って判定するためのキット。
【請求項46】
C型肝炎に感染した被験体において、請求項15〜25のいずれか一項に記載の方法に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキットであって、
i)前記被験体から得られた生体サンプルから単離した核酸サンプル中のIL28B/A遺伝子座及び/又はIL−29遺伝子座における少なくとも1つの多型マーカーの有無を選択的に検出するための試薬と、
ii)使用説明書と、
を含む、C型肝炎に感染した被験体において、請求項15〜25のいずれか一項に記載の方法に従って非自発的C型肝炎除去に対する感受性を判定するためのキット。
【請求項47】
前記試薬が前記ウイルス遺伝子型の検出を対象とする別のプライマー、プライマーセット又はプライマーアレイを更に含む、請求項45又は46に記載のキット。
【請求項48】
前記被験体がHIVに同時感染している、請求項45〜47のいずれか一項に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−500713(P2013−500713A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522282(P2012−522282)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053139
【国際公開番号】WO2011/013019
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512024266)サントル オスピタリエ ウニヴェルシテール ヴォドア (1)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER UNIVERSITAIRE VAUDOIS
【住所又は居所原語表記】Rue du Bugnon 21,CH−1011 Lausanne,Switzerland
【出願人】(508004074)ユニバーシテイ・オブ・ベルン (2)
【Fターム(参考)】