説明

HCVNS3プロテアーゼインヒビター

本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼのインヒビターとして有用な式(Ia)の大環状化合物、それらの合成、およびHCV感染を治療または予防するためのそれらの使用に関する。本発明は、新規大環状化合物および/または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。これらの化合物は、HCV(C型肝炎ウイルス)NS3(非構造的3)プロテアーゼの阻害、HCV感染の症状の1つまたは複数の予防または治療において、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物のいずれかとして、あるいは医薬組成物成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼのインヒビターとして有用な大環状化合物、それらの合成、およびHCV感染を治療または予防するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、肝硬変および肝細胞癌等の慢性肝疾患につながる重大な健康問題であり、相当な数の感染者のうち、米国疾病管理センターによれば、米国単独で、感染者に感染している人の数のほぼ5倍であり、世界人口の2〜15%と推定される。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は推定で390万である。世界保健機関によれば、世界中で1億7000万人を超える感染者がおり、毎年少なくとも300万から400万人の人々が感染している。一度感染すると、約20%の人々はウイルスを排出するが、残りの人々は生涯にわたりHCVを潜伏させる。慢性感染者の10から20%は、肝臓を破壊する肝硬変またはがんを最終的に発症する。ウイルス性疾患は、汚染された血液および血液製剤、汚染された注射針によって非経口的に、または性的に、ならびに感染母体もしくはキャリア母体からその子孫へ垂直伝染する。
【0003】
HCV感染の現在の治療は、組換え型インターフェロン−aを単独でまたはヌクレオシド類似体リバビリンと組み合わせて用いる免疫療法に制限されており、臨床的有益性が限られている。その上、HCVについては確立されたワクチンがない。そのため、慢性HCV感染と有効に闘う改善された治療剤が緊急に必要である。HCV感染の治療における現在の最先端技術については、下記の参考文献において論じられている:非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;ならびに非特許文献7。
【0004】
メタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3)、ヘリカーゼ(NS3)およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)を含む数種のウイルスによってコードされた酵素は、治療的介入の推定標的である。NS3プロテアーゼは、NS3タンパク質のN末端ドメインに位置し、NS3/4A部位において分子内開裂を、ならびにNS4A/4B、NS4B/5AおよびNS5A/5B接合部において下流分子内プロセッシングを司るため、主要な薬物標的とみなされる。先行研究では、NS3プロテアーゼを阻害する際の活性度を示した特許文献1、特許文献2および特許文献3において論じられている、ヘキサペプチドおよびトリペプチド等のペプチドのクラスが同定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0020503号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0229818号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/00229776号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.Dymockら、「Novel approaches to the treatment of hepatitis C virus infection」、Antiviral Chemistry & Chemotherapy、11巻:79〜96頁(2000年)
【非特許文献2】H.Rosenら、「Hepatitis C virus: current understanding and prospects for future therapies」、Molecular Medicine Today、5巻:393〜399頁(1999年)
【非特許文献3】D.Moradpourら、「Current and evolving therapies for hepatitis C」、European J. Gastroenterol. Hepatol.、11巻:1189〜1202頁(1999年)
【非特許文献4】R Bartenschlager、「Candidate Targets for Hepatitis C Virus−Specific Antiviral Therapy」、Intervirology、40巻:378〜393頁(1997年)
【非特許文献5】G.M.LauerおよびB. D Walker、「Hepatitis C Virus Infection」、N. Engl. J. Med.、345巻:41〜52頁(2001年)
【非特許文献6】B.W.Dymock、「Emerging therapies for hepatitis C virus infection」、Emerging Drugs、6巻:13〜42頁(2001年)
【非特許文献7】C.Crabb、「Hard−Won Advances Spark Excitement about Hepatitis C」、Science:506〜507頁(2001年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、HCV NS3プロテアーゼに対する活性を呈するさらなる化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I)の新規大環状化合物および/または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物に関する。これらの化合物は、HCV(C型肝炎ウイルス)NS3(非構造的3)プロテアーゼの阻害、HCV感染の症状の1つまたは複数の予防または治療において、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物(適切な場合)のいずれかとして、あるいは医薬組成物成分として、他のHCV抗ウイルス薬、抗感染薬、免疫調節薬、抗生物質またはワクチンと組み合わせるか否かにかかわらず、有用である。より詳細には、本発明は、式(Ia)、(Ib)もしくは(Ic)の化合物および/または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物:
【0009】
【化1】

[R
【0010】
【化2】

であり、
MMはCOまたは結合であり;
XXは、O、NH、N(C〜Cアルキル)、結合またはCHであり;
Hetは複素環であり、WWまたはRから独立に選択される最大10個の基で置換されていてよく;
はAであり;
各WWは、独立に、H、ハロ、OR77、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR77、CO77、CON(R77、C(O)R77、N(R100)C(O)R77、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、NH(C1〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR100SO77、SON(R77、NHCOOR77、NHCONHR77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;2つの隣接するWW部分は、場合により、それらが結合した原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成し;
は、PRT、H、−OH、−C(O)OH、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミド、イミド、イミノ、ハロゲン、CF、CHCF、シクロアルキル、ニトロ、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、複素環、−C(A、−C(A−C(O)A、−C(O)A、−C(O)OA、−O(A)、−N(A、−S(A)、−CHP(Y)(A)(OA)、−CHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(OA)、−C(O)CHP(Y)(A)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(N(A)、−OCHP(Y)(OA)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(N(A)、−CHP(Y)(N(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−(CH−複素環、−(CHC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH)−アルキル、−(CHO−C(O)−O−アルキル、−(CHO−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(Me)C(O)O−アルキル、SR、S(O)R、S(O)、またはアルコキシアリールスルホンアミドから独立に選択され、
ここで、各Aは、
111で場合により置換された、1から4個の
−R111、−P(Y)(OA)(OA)、−P(Y)(OA)(N(A)、−P(Y)(A)(OA)、−P(Y)(A)(N(A)もしくはP(Y)(N(A)(N(A)、−C(=O)N(A)、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、複素環、アラルキル、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド、アリールオキシスルホンアミド、アリールオキシアルキルスルホンアミド、アリールオキシアリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アルキルオキシスルホンアミド、アルキルオキシアルキルスルホンアミド、アリールチオ、−(CH複素環、−(CH−C(O)O−アルキル、−O(CHOC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(CH)C(O)O−アルキルまたはアルコキシアリールスルホンアミド
で場合により置換されていてよく;
は、PRT、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノ酸、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルキルスルホンアミドまたはアリールスルホンアミドから独立に選択され、ここで、各AはAで場合により置換されており;
111は、1個または複数のAで場合により置換された、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、複素環、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、−C(O)NHS(O)−または−S(O)−から独立に選択される]
【0011】
【化3】

[式中、
55は、H、ハロ、OH、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R77、N(C〜Cアルキル(alky1))O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR100OSO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリール(heteroatyl)またはヘテロシクリルの2つの隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
66は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(heterocyclyli)(C〜Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW’置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
AAはC(R110)またはNであり;
55がH以外である場合、R110は、H、C〜Cアルキル、ハロ、OR100、SR100またはN(R100であり;
55がHである場合、R100は、H、C〜Cアルキル、ハロ、OH、C〜Cアルコキシ、CN、CF、SR100、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R77、N(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル(haloakryl)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR100SO66、SON(R66、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR66、NHCOR66、NHCONHR66、CO100、C(O)R100およびCON(R100からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの2個の隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
あるいは、R55およびR110は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成し;
各R77は、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW’置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各W’は、独立に、ハロ、OR100、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR100、CO100、CON(R100、C(O)R100、N(R100)C(O)R100、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R100、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR100SO100、SON(R100、NHCOOR100、NHCONHR100、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;2つの隣接するW’部分は、場合により、それらが結合した原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成する]に関する。
【0012】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;かつ
およびRは、それぞれ独立に、H、(C1〜10)アルキルまたはアリールであり、これは1個もしくは複数のハロで場合により置換されている。
【0013】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、該Rは、アルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから独立に選択される1個または複数のRで場合により置換されており、ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されている。
【0014】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1から3個のAで場合により置換されている。
【0015】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルであり、該Rは、最大4個のAによって場合により置換されている。
【0016】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルであり、該Rは、1個のAによって場合により置換されている。
【0017】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ(intro)、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロまたはシアノで場合により置換されており;かつ各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである。
【0018】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、ここで、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により選択されており;各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである。
【0019】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである。
【0020】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルである。
【0021】
本発明の具体的な実施形態において、Rは1−メチルシクロプロピルである。
【0022】
は、PRT、H、−OH、−C(O)OH、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミド、イミド、イミノ、ハロゲン、CF、CHCF、シクロアルキル、ニトロ、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、複素環、−C(A、−C(A−C(O)A、−C(O)A、−C(O)OA、−O(A)、−N(A、−S(A)、−CHP(Y)(A)(OA)、−CHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(N(A)、−OCHP(Y)(OA)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(N(A)、−CHP(Y)(N(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−(CH−複素環、−(CHC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CHO−C(O)−O−アルキル、−(CHO−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(Me)C(O)O−アルキル、SR、S(O)R、S(O)、またはアルコキシアリールスルホンアミドから独立に選択され、
ここで、各Aは、
111で場合により置換された、1から4個の
−R111、−P(Y)(OA)(OA)、−P(Y)(OA)(N(A)、−P(Y)(A)(OA)、−P(Y)(A)(N(A)もしくはP(Y)(N(A)(N(A)、−C(=O)N(A)、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、複素環、アラルキル、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド、アリールオキシスルホンアミド、アリールオキシアルキルスルホンアミド、アリールオキシアリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アルキルオキシスルホンアミド、アルキルオキシアルキルスルホンアミド、アリールチオ、−(CH複素環、−(CH−C(O)O−アルキル、−O(CHOC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(CH)C(O)O−アルキルまたはアルコキシアリールスルホンアミド
で場合により置換されていてよく;
は、PRT、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノ酸、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルキルスルホンアミドまたはアリールスルホンアミドから独立に選択され、ここで、各AはAで場合により置換されており;
111は、1個または複数のAで場合により置換された、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、複素環、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、−C(O)NHS(O)−または−S(O)−から独立に選択され;
pおよびqは、独立に、1または2であり;
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、前記アルキル、アルケニルまたはシクロアルキルは、1〜3個のハロで場合により置換されており;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキルまたはHetであり、ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、かつ前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
Hetは、N、OおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環式環であり、ここで、前記環は、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、かつ前記アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、ハロ、OR10、C〜Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R、N(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;前記シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの2つの隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Rは、独立に、H、(C〜C10)アルキル、(C〜C10)アルケニル、(C〜C10)アルキニル、(C〜C10)アルカノイルまたは(C〜C10)アルコキシカルボニルであり;
は、独立に、O、S、N(A)、N(O)(A)、N(OA)、N(O)(OA)またはN(N(A)(A))であり;
rは0から6であり;
mは0から6であり;
Yは、C(=O)、SOまたはC(=N−CN)であり;
Zは、C(R10、OまたはN(R)であり;
Mは、C〜C12アルキレンまたはC〜C12アルケニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cアルキル)およびアリール(C〜Cアルキル)からなる群から選択される1または2個の置換基で場合により置換されており、さらに前記Mは最大9個のハロによって置換されていてよく;Mの2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;場合によりMの1個の置換基は、M内の環原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環系を形成してよく、ここで、前記3〜6員の環系は、前記大環状環系と縮合しており;
各Rは、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立に、ハロ、OR10、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR10、CO10、CON(R10、C(O)R10、N(R10)C(O)R10、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R10、N(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR10SO10、SON(R10)、NHCOOR10、NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各R100は、独立に、HまたはC〜Cアルキルである。
【0023】
本発明は、本発明の化合物を含有する医薬組成物およびそのような医薬組成物を調製する方法も含む。本発明は、HCV感染の1つまたは複数の症状を治療または予防する方法をさらに含む。
【0024】
本発明の他の実施形態、態様および特色は、次の記述、実施例および添付の請求項においてさらに説明され、またはそれらから明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、上記の式Iの化合物、ならびに薬学的に許容されるその塩および/または水和物を含む。これらの化合物ならびにその薬学的に許容される塩および/または水和物は、HCVプロテアーゼインヒビター(例えばHCV NS3プロテアーゼインヒビター)である。本発明は、式II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cおよびIII−dの化合物[式中、すべての変数は式Iについて定義された通りである]も含む。
【0026】
【化4】

【0027】
【化5】

本発明の第1の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、
はAであり;
mは0から6である]である。
【0028】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;かつ
およびRは、それぞれ独立に、H、(C〜C10)アルキルまたはアリールであり、これは1個もしくは複数のハロで場合により置換されている。
【0029】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、該Rは、アルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから独立に選択される1個または複数のRで場合により置換されており、ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されている。
【0030】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、アリール、ヘテロアリールまたはシクロプロピルであり、該Rは、1から3個のAで場合により置換されている。
【0031】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルであり、該Rは、最大4個のAによって場合により置換されている。
【0032】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルであり、該Rは、1個のAによって場合により置換されている。
【0033】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロまたはシアノで場合により置換されており;かつ各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである。
【0034】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである。
【0035】
本発明の具体的な実施形態において、Rは、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである。
【0036】
本発明の具体的な実施形態において、Rはシクロプロピルである。
【0037】
本発明の具体的な実施形態において、Rは1−メチルシクロプロピルである。
【0038】
本発明の第3の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、RはC〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第3の実施形態の第1の態様において、RはC〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第3の実施形態の第2の態様において、RはC〜Cアルケニルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第3の実施形態の第2の態様の特色において、Rはビニルであり;他の変数はすべて、第2の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第3の実施形態の第3の態様において、RはC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第3の実施形態の第3の態様の特色において、Rはエチルであり;他の変数はすべて、第3の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0039】
本発明の第4の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、Rは、C〜Cアルキルで場合により置換されているC〜Cシクロアルキル;Het;またはハロおよびOleから選択される1から3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第4の実施形態の第1の態様において、Rは、C〜Cシクロアルキル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、または1から3個のハロ置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第2の態様において、Rは、1から3個のハロ置換基で場合により置換されているC〜CシクロアルキルまたはC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第3の態様において、Rはプロピルまたはブチルであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第3の態様の特色において、Rは、i−プロピル、n−ブチルまたはt−ブチルであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第4の態様において、Rはシクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第5の態様において、RはCHCFまたはCHCHFであり;他の変数はすべて、第4の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第6の態様において、Rは、1から3個のハロ置換基で場合により置換されているC〜Cシクロアルキル、HetまたはC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第7の態様において、Rは、C〜Cアルキルで置換されているC〜Cシクロアルキル、または1から3個のOle置換基で置換されているC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第8の態様において、Rは、メチルで置換されているシクロヘキシルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第4の実施形態の第9の態様において、RはCHO−t−Buであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0040】
本発明の第5の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、RはHまたはハロであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第5の実施形態の一態様において、Rは、H、FまたはClであり;他の変数はすべて、第5の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0041】
本発明の第6の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、Rは、C〜Cチオアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、前記アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはチオアルキルは、ハロ、Ole、SR10、N(R、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、シクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。
【0042】
第6の実施形態の一態様において、Rはアリールであり、ここで、アリールは、ハロ、OR10、SR10、N(R、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、シクロアルコキシNO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;他の変数はすべて、第6の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第6の実施形態の第2の態様において、Rは、C〜Cチオアルキル、
【0043】
【化6】

[式中、R11は、H、C〜Cアルキル、NHR、NHCOR12、NHCONHR12またはNHCOOR12であり、かつ各R12は、独立に、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;他の変数はすべて、第6の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第6の実施形態の第3の態様において、Rは、
【0044】
【化7】

[式中、R11は、H、C〜Cアルキル、NHR、NHCOR12、NHCONHRまたはNHCOOR12であり、かつ各R12は、独立に、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり;他の変数はすべて、第6の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。
【0045】
第6の実施形態の第4の態様において、Rは非置換フェニルであり;他の変数はすべて、第6の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0046】
本発明の第7の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシまたはN(Rであり、ここで、RはHまたはC〜Cアルキルであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第7の実施形態の一態様において、RはC〜Cアルコキシであり;他の変数はすべて、第7の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第7の実施形態の第2の態様において、Rはメトキシであり;他の変数はすべて、第7の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0047】
本発明の第8の実施形態は、式I’、II、IIもしくはIII’の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、すべての変数は、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。
【0048】
【化8】

本発明の第9の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、YはC=OまたはSOであり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第9の実施形態の一態様において、YはC=Oであり;他の変数はすべて、第9の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0049】
本発明の第10の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、Zは、O、C(R10、NHまたはN(C〜Cアルキル)であり;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第10の実施形態の一態様において、Zは、O、CH、NHまたはN(CH)であり;他の変数はすべて、第10の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第10の実施形態の別の態様において、ZはN(i−Pr)またはN(n−Pr)であり;他の変数はすべて、第10の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。
【0050】
本発明の第11の実施形態は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cもしくはIII−dの化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、MはC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cアルキル)またはアリール(C〜Cアルキル)から選択される1または2個の置換基で場合により置換されており;Mの2つの隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである]である。第11の実施形態の第1の態様において、MはC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cアルキル)またはアリール(C〜Cアルキル)から選択される1または2個の置換基で場合により置換されており;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第1の特色において、Mは、非置換C〜Cアルキレンまたは非置換C〜Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第2の特色において、Mは、非置換Cアルキレンまたは非置換Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第3の特色において、Mは、非置換Cアルキレンまたは非置換Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第4の特色において、Mは、非置換Cアルキレンまたは非置換Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第5の特色において、Mは、非置換Cアルキレンまたは非置換Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第6の特色において、Mは、非置換Cアルキレンまたは非置換Cアルケニレンであり;他の変数はすべて、第11の実施形態において定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第1の態様の第7の特色において、Mは、
【0051】
【化9】

である。
【0052】
第11の実施形態の第1の態様の第8の特色において、Mは、
【0053】
【化10】

である。
【0054】
第11の実施形態の第2の態様において、MはC〜CアルキレンまたはC〜Cアルケニレンであり、ここで、前記アルキレンまたはアルケニレンは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cアルキル)またはアリール(C〜Cアルキル)から選択される1または2個の置換基で場合により置換されており;Mの2つの隣接する置換基は、一緒になって、ヘテロ原子を含有しない3〜6員の環式環を形成し;他の変数はすべて、本来定義されている通りまたは前述の実施形態のいずれか1つにおいて定義されている通りである。第11の実施形態の第2の態様の特色において、Mは
である。
【0055】
本発明の第12の実施形態は、化合物III−IからIII−252からなる群から選択される化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは水和物[式中、R99は、H、メチル、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである]である。
【0056】
【化11】

【0057】
【化12】

【0058】
【化13】

【0059】
【化14】

【0060】
【化15】

【0061】
【化16】

【0062】
【化17】

【0063】
【化18】

【0064】
【化19】

【0065】
【化20】

【0066】
【化21】

【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
【化26】

【0072】
【化27】

【0073】
【化28】

【0074】
【化29】

【0075】
【化30】

【0076】
【化31】

【0077】
【化32】

【0078】
【化33】

【0079】
【化34】

【0080】
【化35】

【0081】
【化36】

【0082】
【化37】

【0083】
【化38】

【0084】
【化39】

【0085】
【化40】

【0086】
【化41】

【0087】
【化42】

【0088】
【化43】

【0089】
【化44】

【0090】
【化45】

【0091】
【化46】

【0092】
【化47】

【0093】
【化48】

【0094】
【化49】

【0095】
【化50】

【0096】
【化51】

【0097】
【化52】

本発明の他の実施形態は、下記を含む:
(a)有効量の式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(b)HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、(a)の医薬組成物。
(c)該HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼインヒビターおよびHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターからなる群から選択される抗ウイルス薬である、(b)の医薬組成物。
(d)(i)式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cまたはIII−dの化合物ならびに(ii)HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤である医薬組合せであって、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−cまたはIII−dの化合物および第2の治療剤が、該組合せを、HCV NS3プロテアーゼを阻害するため、またはHCVによる感染を治療もしくは予防するために有効にする量でそれぞれ用いられる組合せ。
(e)該HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼインヒビターおよびHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターからなる群から選択される抗ウイルス薬である、(d)の組合せ。
(f)HCV NS3プロテアーゼを阻害することを必要とする被験体においてHCV NS3プロテアーゼを阻害する方法であって、該被験体に、有効量の式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物を投与するステップを含む方法。
(g)HCVによる感染を予防または治療することを必要とする被験体においてHCVによる感染を予防または治療する方法であって、該被験体に、有効量の式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、Ill−b、III−cまたはIII−dの化合物を投与するステップを含む方法。
(h)式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物が、HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される有効量の少なくとも1種の第2の治療剤と組み合わせて投与される、(g)の方法。
(i)該HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼインヒビターおよびHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターからなる群から選択される抗ウイルス薬である、(h)の方法。
(j)HCV NS3プロテアーゼを阻害することを必要とする被験体においてHCV NS3プロテアーゼを阻害する方法であって、該被験体に、(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物、または(d)もしくは(e)の組合せを投与するステップを含む方法。
(k)HCVによる感染を予防または治療することを必要とする被験体においてHCVによる感染を予防または治療する方法であって、該被験体に、(a)、(b)もしくは(c)の医薬組成物、または(d)もしくは(e)の組合せを投与するステップを含む方法。
【0098】
本発明は、(i)(a)HCV NS3プロテアーゼを阻害する、または(b)HCVによる感染を予防もしくは治療するのに使用するための、(ii)(a)HCV NS3プロテアーゼを阻害する、または(b)HCVによる感染を予防もしくは治療するための薬剤として使用するための、あるいは(iii)(a)HCV NS3プロテアーゼを阻害する、または(b)HCVによる感染を予防もしくは治療するための薬剤の調製において使用するための、本発明の化合物も含む。これらの使用において、本発明の化合物は、場合により、HCV抗ウイルス剤、抗感染剤および免疫調節薬から選択される1種または複数種の第2の治療剤と組み合わせて用いられ得る。
【0099】
本発明の追加の実施形態は、上記(a)〜(k)において説明した医薬組成物、組合せおよび方法、ならびに前段落において説明した使用を含み、ここで、その中で用いられる本発明の化合物は、上述した化合物の実施形態、態様、クラス、サブクラスまたは特色の1つの化合物である。これらの実施形態すべてにおいて、化合物は、場合により、薬学的に許容される塩または水和物の形態で適宜使用され得る。
【0100】
本明細書において記載されている化合物が、複数の同じ指定基、例えば「R111」または「A」で置換されている場合は常に、該基は同じであっても異なっていてもよい、すなわち、各基が独立に選択されることが理解されよう。
【0101】
限定ではなく例として、ある特定の実施形態において、A、AおよびR111はすべて再帰的置換基(recursive substituent)である。典型的には、これらのそれぞれは、所与の実施形態において、独立に、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1または0回出現し得る。より典型的には、これらのそれぞれは、所与の実施形態において、独立に、12回以下出現し得る。本明細書において記載されている化合物が、複数の同じ指定基、例えば「R111」または「A」で置換されている場合は常に、該基は同じであっても異なっていてもよい、すなわち、各基が独立に選択されることが理解されよう。波線は、隣接する基、部分または原子との共有結合付着部位を表す。
【0102】
本発明の化合物は、HCVプロテアーゼに対する阻害活性を有する。意外にも、下記の式のアシルスルファメート基:
【0103】
【化53】

を持つ化合物は、生理学的条件下で適切に安定であることが分かった。加えて、このスルファメート基を持つ代表的化合物は、意外にもHCV NS3プロテアーゼの強力インヒビターであることが判明した。
【0104】
国際特許出願公開第WO2007/016441号、同第WO2008/051514号、同第WO2006/119061号の全内容および米国特許出願第US2007/0027071号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。特に、その中の式(Ia)、(Ib)、(Ic)の化合物を調製するための適切な合成経路に関する情報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、指定領域内の数の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキル基を指す。故に、例えば、「C1〜6アルキル」(または「C〜Cアルキル」)は、ヘキシルアルキルおよびペンチルアルキル異性体、またn−、iso−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルのすべてを指す。別の例として、「C1〜4アルキル」は、n−、iso−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルを指す。
【0106】
用語「ハロアルキル」は、水素がハロゲンによって置き換えられたアルキル基を指す。用語「アルコキシ」は「アルキル−O−」基を指す。
【0107】
用語「アルキレン」は、指定領域内の数の炭素原子を有する任意の直鎖または分枝鎖アルキレン基(または「アルカンジイル」)を指す。故に、例えば、「−C1〜6アルキレン−」は、CからC直鎖または分枝鎖アルキレンのいずれかを指す。本発明に関して特に興味深いアルキレンのクラスは−(CH1〜6−であり、特に興味深いサブクラスは、−(CH1〜4−、−(CH1〜3−、−(CH1〜2−および−CH−を含む。アルキレン−CH(CH−も興味深い。
【0108】
用語「シクロアルキル」は、指定領域内の数の炭素原子を有するアルカンまたはアルケンの任意の環式環を指す。故に、例えば、「C3〜8シクロアルキル」(またはシクロアルキル」)は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを指す。用語「シクロアルコキシ」は「シクロアルキル−O−」基を指す。
【0109】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素(代替的にフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードとも称される)を指す。
【0110】
「複素環」は、本明細書において使用される場合、限定ではなく例として、Paquette, Leo A.;Principles of Modern Heterocyclic Chemistry(W.A. Benjamin、New York、1968年)、特に1、3、4、6、7および9章;The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs(John Wiley & Sons、New York、1950年から現在)、特に13、14、16、19および28巻;ならびにJ. Am. Chem. Soc.(1960年)82巻:5566頁において記載されているこれらの複素環を含む。本発明の1つの具体的な実施形態において、「複素環」は、1個または複数(例えば、1、2、3または4個)の炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、NまたはS)で置き換えられた、本明細書において定義されている通りの「炭素環」を含む。
【0111】
複素環の例は、限定ではなく例として、ピリジル、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル(indazoly)、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4H−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、イサチノイルおよびビス−テトラヒドロフラニル:
【0112】
【化54】

を含む。
【0113】
限定ではなく例として、炭素結合複素環は、ピリジンの2、3、4、5または6位、ピリダジンの3、4、5または6位、ピリミジンの2、4、5または6位、ピラジンの2、3、5または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4または5位、イソオキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3、4または5位、アジリジンの2または3位、アゼチジンの2、3または4位、キノリンの2、3、4、5、6、7または8位、あるいはイソキノリンの1、3、4、5、6、7または8位で結合している。さらに一層典型的には、炭素結合複素環は、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルを含む。
【0114】
限定ではなく例として、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール(itnidazole)、イミダゾリジン、2−イミダゾリン(inaida7oline)、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位で結合している。さらに一層典型的には、窒素結合複素環は、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルを含む。
【0115】
「炭素環」は、最大約25個の炭素原子を有する飽和、不飽和または芳香族環を指す。典型的には、炭素環は、約3から7個の炭素原子を単環として、約7から12個の炭素原子を二環として、および最大約25個の炭素原子を多環として有する。単環式炭素環は、典型的には、3から6個の環原子、さらに一層典型的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、典型的には、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として配置された7から12個の環原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配置された9もしくは10個の環原子を有する。炭素環という用語は、飽和または不飽和炭素環である「シクロアルキル」を含む。単環式炭素環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、フェニル、スピリルおよびナフチルを含む。
【0116】
用語「PRT」は、本明細書において定義されている通りの用語「プロドラッグ部分」および「保護基」から選択される。
【0117】
本明細書において使用される立体化学的定義および規則は、概して、S. P. Parker編、McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984年)McGraw−Hill Book Company、New York;ならびにEliel, E.およびWilen, S.、Stereochemistry of Organic Compounds(1994年)John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkに準ずる。多くの有機化合物は、光学活性形態で存在する、すなわち、該化合物は、平面偏光面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記述する際、そのキラル中心(複数可)周囲の分子の絶対配置を示すために接頭辞DおよびLまたはRおよびSが使用される。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)は、化合物による平面偏光の回転の徴候を指定するために用いられ、(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞が付された化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除き、同一である。特異的な立体異性体を鏡像異性体と称することもあり、そのような異性体の混合物は、多くの場合、鏡像異性混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物をラセミ混合物またはラセミ体と称し、これは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択も立体特異性もなかった場合に出現し得る。用語「ラセミ混合物」および「ラセミ体」は、光学活性のない2つの鏡像異性種の等モル混合物を指す。本発明は、本明細書において記載されている化合物のすべての立体異性体を含む。
【0118】
特に矛盾する記載がない限り、本明細書において挙げられるすべての領域は包括的である。例えば、「1から3個までのヘテロ原子」を含有するとして記載されているヘテロアリール環は、該環が1、2または3個のヘテロ原子を含有し得ることを意味する。本明細書において挙げられる任意の領域は、その領域内のサブ領域すべてをその範囲内に含むことも理解されたい。ヘテロ原子NおよびSの酸化型も本発明の範囲内に含まれる。
【0119】
任意の変数(例えば、feおよびFe’)が、任意の構成要素中に、または式(formilla)I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cもしくはIII−d中に、または本発明の化合物を描写し記述する任意の他の式中に複数回出現する場合、各出現時におけるその定義は、その他すべての出現時におけるその定義とは無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、そのような組合せが安定化合物をもたらす場合にのみ容認できる。
【0120】
特に矛盾する記載がない限り、命名された置換基による置換は、そのような環置換が化学的に許容され、かつ安定化合物をもたらす場合に限り、環(例えば、アリール、芳香族複素環、または飽和複素環)中の任意の原子上で容認される。「安定」化合物は、調製および単離され得、かつ、その構造および特性が、本明細書において記載されている目的(例えば、被験体への治療的または予防的投与)のための化合物の使用を可能にするのに十分な期間にわたって、本質的に不変のままである、または本質的に不変のままにさせることができる化合物である。
【0121】
置換基および置換基パターンの選択の結果として、本発明の化合物のある特定のものは、不斉中心を有し得、立体異性体の混合物として、または個々のジアステレオマーもしくは鏡像異性体として出現し得る。これらの化合物の異性形態はすべて、単離されているか混合物中であるかにかかわらず、本発明の範囲内である。
【0122】
当業者には認識されるであろうように、本発明の化合物のある特定のものは、互変異性体として存在し得る。本発明の目的のために、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物への言及は、化合物自体への、またはその互変異性体のいずれか1つ自体への、または2つ以上の互変異性体の混合物への言及である。
【0123】
本発明の化合物は、HCVプロテアーゼ(例えばHCV NS3プロテアーゼ)の阻害およびHCVによる感染の予防または治療において有用である。例えば、本発明の化合物は、輸血、体液の交換、咬傷、針刺し事故、または手術中の患者血液への暴露等によるHCVへの過去の疑わしい暴露の後のHCVによる感染を治療するのに有用である。
【0124】
本発明の化合物は、より強力な抗ウイルス性化合物のための優れたスクリーニングツールである酵素変異体を単離するために有用である。さらに、本発明の化合物は、例えば競合的阻害によって、HCVプロテアーゼとの他の抗ウイルス薬の結合部位を確立するまたは決定するのに有用である。故に、本発明の化合物は、これらの目的のために販売される市販製品である。
【0125】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与され得る。用語「薬学的に許容される塩」は、親化合物の有効性を持ち、かつ生物学的にも別様にも望ましくないものではない(例えば、そのレシピエントに対して毒性ではなく別様に有害でもない)塩を指す。適切な塩は、例えば、本発明の化合物の溶液を、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸または安息香酸等の薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成され得る酸付加塩を含む。本発明の化合物の多くは、酸性部分を担持し、その場合、適切な薬学的に許容されるその塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムまたはカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウム塩)、および第四級アンモニウム塩等の適切な有機配位子と形成される塩を含み得る。また、酸(−COOH)またはアルコール基が存在する場合には、化合物の溶解性または加水分解特性を修正するために薬学的に許容されるエステルが用いられ得る。
【0126】
用語「投与」およびその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、本発明の化合物への言及において、化合物または化合物のプロドラッグを、治療を必要とする個体に提供することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが、1種または複数種の他の活性剤(例えば、HCV感染を治療するために有用な抗ウイルス剤)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変形は、それぞれ、化合物または塩(または水和物)および他の作用物質の同時発生的または順次的な提供を含むものと理解される。
【0127】
本明細書において使用される場合、用語「組成物」は、指定された成分を含む生成物、および指定された成分を組み合わせることに直接的または間接的に起因する任意の生成物を包含することが意図されている。
【0128】
「薬学的に許容される」が意味するのは、医薬組成物の成分が、互いに適合性でなくてはならず、かつそのレシピエントに対して有害であってはならないことである。
【0129】
用語「被験体」(本明細書においては、代替的に「患者」とも称される)は、本明細書において使用される場合、治療、観察または実験の目的体となってきた動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0130】
用語「有効量」は、本明細書において使用される場合、研究者、獣医、医師または他の臨床家が求めている、組織、系、動物またはヒトにおける生物学的または医薬的応答を誘発する、活性化合物または医薬剤の量を意味する。一実施形態において、有効量は、治療されている疾患または状態の症状の緩和のための「治療有効量」である。別の実施形態において、有効量は、予防されている疾患または状態の症状の予防のための「予防有効量」である。該用語は、本明細書において、HCV NS3プロテアーゼを阻害し、それによって求められている応答を誘発するのに十分な活性化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)も含む。活性化合物(すなわち、活性成分)が塩として投与される場合、活性成分の量への言及は、該化合物の遊離酸または遊離塩基形態への言及である。
【0131】
HCV NS3プロテアーゼを阻害し、HCV感染を予防または治療する目的のために、場合により塩または水和物の形態である本発明の化合物は、活性剤とその作用部位との接触を生じさせる任意の手段によって投与され得る。これらの化合物は、個々の治療剤として、または治療剤と組み合わせてのいずれかで、医薬品と併用して利用可能な任意の従来の手段によって投与され得る。単独で投与されることもあるが、典型的には、選択した投与経路(mute)および標準的な医薬実務に基づいて選択された医薬担体とともに投与される。本発明の化合物は、例えば、経口的に、非経口的に(皮下注射、静脈内、筋肉内、髄腔内(intrastemal)注射または注入技術を含む)、吸入噴霧によって、または経直腸的に、有効量の化合物ならびに従来の非毒性で薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する医薬組成物の単位投薬量の形態で投与され得る。経口投与に適した液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等)は、当技術分野において公知の技術に従って調製でき、水、グリコール、油、アルコール等(and the blce)の通常の媒質いずれを用いてもよい。経口投与に適した固形製剤(例えば、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤)は、当技術分野において公知の技術に従って調製でき、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等の固体添加剤を用いてよい。非経口組成物は、当技術分野において公知の技術に従って調製でき、典型的には担体として滅菌水を、場合により、溶解性助剤等の他の成分を用いてよい。注射用溶液は、当技術分野において公知の方法に従って調製でき、ここで、担体は、生理食塩溶液、グルコース溶液、または生理食塩水とグルコースとの混合物を含有する溶液を含む。
【0132】
本発明の医薬組成物を調製する際に使用するのに適した方法および前記組成物において使用するのに適した成分についてのさらなる記述は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A. R. Gennaro編、Mack Publishing Co.、1990年において提供されている。
【0133】
本発明の化合物は、単回用量または分割用量で、1日当たり哺乳動物(例えばヒト)の体重1kgにつき0.001から1000mgの投薬量範囲にて経口的に投与され得る。1つの好ましい投薬量範囲は、単回用量または分割用量で経口的に、1日当たり体重1kgにつき0.01から500mgである。別の好ましい投薬量範囲は、単回または分割用量で経口的に、1日当たり体重1kgにつき0.1から100mgである。経口投与では、組成物は、治療すべき患者への投薬量の症候性調整のために、1.0から500ミリグラムの活性成分、特に、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供され得る。任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投薬頻度は変わり得、用いられる特定化合物の活性、該化合物の代謝安定性および作用長さ、年齢、体重、全般的健康、性別、食習慣、投与モードおよび投与時期、排泄率、薬物組合せ、特定の状態の重症度、ならびに療法を受けている宿主を含む様々な要因によって決まることになる。
併用療法
1種または複数種の本発明の化合物と1種または複数種の追加の薬学的活性剤との組合せは、本発明の実践において、HCV感染を有するヒトを治療するために使用され得る。HCV感染を治療するために有用な活性治療剤は、インターフェロン、リバビリンまたはその類似体、HCV NS3プロテアーゼインヒビター、アルファ−グルコシダーゼ1インヒビター、肝臓保護剤、HCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドまたはヌクレオチドインヒビター、HCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドインヒビター、HCV NS5Aインヒビター、TLR−7アゴニスト、シクロフィリン(cyclophillin)インヒビター、HCV IRESインヒビター、および薬物動態エンハンサーを含む。
【0134】
より具体的には、HCVを治療するための他の活性治療成分または活性治療剤は、
(1)ペグrIFN−アルファ2b(PEG−イントロン)、ペグrIFN−アルファ2a(ペガシス)、rIFN−アルファ2b(イントロンA)、rIFN−アルファ2a(ロフェロン−A)、インターフェロンアルファ(MOR−22、OPC−18、アルファフェロン、アルファナチブ、マルチフェロン、スバリン)、インターフェロンアルファコン−1(インフェルゲン)、インターフェロンアルファ−n1(ウェルフェロン)、インターフェロンアルファ−n3(アルフェロン)、インターフェロン−ベータ(アボネックス、DL−8234)、インターフェロン−オメガ(オメガDUROS、Biomed510)、albインターフェロンアルファ−2b(アルブフェロン)、IFNアルファ−2bXL、BLX−883(ロクテロン)、DA−3021、グリコシル化インターフェロンアルファ−2b(AVI−005)、PEG−インフェルゲン、ペグインターフェロンラムダ−1(ペグIL−29)、ベレロフォンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるインターフェロン、
(2)リバビリン(レベトール、コペガス)、タリバビリン(ビラミジン)およびそれらの混合物からなる群から選択されるリバビリンおよびその類似体、
(3)ボセプレビル(SCH−503034、SCH−7)、テラプレビル(VX−950)、TMC−435350、BI−1335、BI−1230、MK−7009、VBY−376、VX−500、BMS−790052、BMS−605339、PHX−1766、AS−101、YH−5258、YH5530、YH5531、ITMN−191およびそれらの混合物からなる群から選択されるHCV NS3プロテアーゼインヒビター、
(4)セルゴシビル(MX−3253)、ミグリトール、UT−231Bおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアルファ−グルコシダーゼ1インヒビター、
(5)IDN−6556、ME3738、LB−84451、シリビニン(silibilin)、MitoQおよびそれらの混合物からなる群から選択される肝臓保護剤、
(6)R1626、R7128(R4048)、1DX184、IDX−102、BCX−4678、バロピシタビン(NM−283)、MK−0608およびそれらの混合物からなる群から選択されるHCV NS5Bポリメラーゼのヌクレオシドまたはヌクレオチドインヒビター、
(7)PF−868554、VCH−759、VCH−916、JTK−652、MK−3281、VBY−708、VCH−222、A848837、ANA−598、GL60667、GL59728、A−63890、A−48773、A−48547、BC−2329、VCH−796(ネスブビル)、GSK625433、BILN−1941、XTL−2125、GS−9190およびそれらの混合物からなる群から選択されるHCV NS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドインヒビター、
(8)AZD−2836(A−831)、A−689およびそれらの混合物からなる群から選択されるHCV NS5Aインヒビター、
(9)ANA−975、SM−360320およびそれらの混合物からなる群から選択されるTLR−7アゴニスト、
(10)DEBIO−025、SCY−635、NIM811およびそれらの混合物からなる群から選択されるシクロフィリンインヒビター、
(11)MCI−067からなる群から選択されるHCV IRESインヒビター、
(12)BAS−100、SPI−452、PF−4194477、TMC−41629、ロキシスロマイシン(roxythromycin)およびそれらの混合物からなる群から選択される薬物動態エンハンサー、ならびに
(13)チモシンアルファ1(ザダキシン)、ニタゾキサニド(アリニア(Alinea)、NTZ)、BIVN−401(ビロスタット)、PYN−17(アルチレックス)、KPE02003002、アクチロン(CPG−10101)、KRN−7000、シバシール、GI−5005、XTL−6865、BIT225、PTX−111、ITX2865、TT−033i、ANA971、NOV−205、タルバシン、EHC−18、VGX−410C、EMZ−702、AVI4065、BMS−650032、BMS−791325、バビツキシマブ、MDX−1106(ONO−4538)、オグルファニド、VX−497(メリメポジブ)およびそれらの混合物からなる群から選択されるHCVを治療するための他の薬物
を含む。
【0135】
故に、さらなる実施形態において、本発明は、
a)本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、および
b)HCVを治療するのに有効な第2の薬学的活性剤(または薬学的に許容されるその塩)
を含む組合せ医薬組成物を提供する。
【0136】
また別の実施形態において、本出願は、HCV感染を治療するための方法を提供し、該方法は、それを必要とするヒトに、治療有効量の本発明の化合物と、HCVを治療するために有効な本明細書において記載されている追加の活性剤の1種または複数とを共投与するステップを含む。
【0137】
本発明のこの態様の実践において、典型的には、本発明の化合物および1種または複数種の追加の治療剤の量は個々に治療量であるが、本発明の化合物(「化合物」と称される)および1種または複数種の追加の治療剤の量がそれら自体は治療量以下であり、しかし、本発明の化合物と1種または複数種の追加の治療剤との組合せが治療量であることは、本発明の範囲内である。
【0138】
本発明の化合物と1種または複数種の他の活性剤との共投与は、概して、化合物および1種または複数種の他の活性剤の同時または順次投与を指し、そのため化合物および1種または複数種の他の活性剤の両方が患者の体内に存在する。化合物および1種または複数種の追加の治療剤の同時投与は、例えば、化合物および1種または複数種の追加の治療剤を、錠剤または注射用溶液等の単一剤形中で混合する(miming)ことによって達成できる。さらにまた例として、化合物および1種または複数種の追加の治療剤の同時投与は、例えばブリスターパック中に、化合物および少なくとも1種の他の治療剤を共包装することによって達成でき、そのため、患者は、個々の用量の化合物および他の治療剤を取り出し、消費することができる。
【0139】
共投与は、1種または複数種の他の活性剤の単位投薬量の投与前または後の、化合物の単位投薬量の投与、例えば、1種または複数種の他の活性剤の投与後、数秒、数分または数時間以内の化合物の投与を含む。例えば、単位用量の化合物を最初に投与し、数秒または数分以内に続いて単位用量の1種または複数種の他の活性剤を投与してよい。代替として、単位用量の1種または複数種の他の活性剤を最初に投与し、数秒または数分以内に続いて単位用量の化合物を投与してよい。いくつかの事例では、単位用量の化合物を最初に投与し、数時間(例えば1〜12時間)後に、続いて単位用量の1種または複数種の他の活性剤を投与することが望ましい場合がある。他の事例では、単位用量の1種または複数種の他の活性剤を最初に投与し、数時間(例えば1〜12時間)後に、続いて単位用量の化合物を投与することが望ましい場合がある。
【0140】
またさらに別の実施形態において、本出願は、HCV感染を治療するための薬剤の調製のための、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0141】
本化合物のHCV NS3プロテアーゼ阻害活性は、当技術分野において公知のアッセイを使用して試験できる。1つのそのようなアッセイは、実施例56において記載されている通りのHCV NS3プロテアーゼ時間分解蛍光(TRF)アッセイである。そのようなアッセイの他の例は、例えば、国際特許公開第W02005/046712号において記載されている。HCV NS3プロテアーゼインヒビターとして有用な化合物は、50[tM未満、より好ましくは10[tM未満、なお一層好ましくは100nM未満のKiを有するであろう。
【0142】
本発明は、式I、II、II−a、II−b、II−c、II−d、III、III−a、III−b、III−cまたはIII−dの化合物を作製するための方法も含む。本発明の化合物は、下記の反応スキームおよび実施例またはそれらの修正形態に従い、容易に入手可能な出発材料、試薬および従来の合成手順を使用して、容易に調製できる。これらの反応において、それ自体が当業者に公知である変形を活用することも可能であるが、これ以上詳細には言及しない。さらに、本発明の化合物を調製するための他の方法は、下記の反応スキームおよび実施例を考慮して、当業者には容易に明らかとなるであろう。別段の指示がない限り、すべての変数は上記で定義した通りである。下記の反応スキームおよび実施例は、本発明およびその実践を例証する役割を果たしているにすぎない。実施例は、本発明の範囲または趣旨に対する限定として解釈されるべきではない。
合成の一般的記述:
本発明の化合物は、一般的スキーム1から3において概説される通りに合成できる。
【0143】
【化55】

スキーム1(n=0〜9)は、代表的な分子の合成を概説するものである。適切に保護された4−ヒドロキシプロリン誘導体(例えば、カルバメート保護された窒素およびエステル保護された酸は、カルボニルジイミダゾールまたは同等の試薬と反応し、次いで、適切に置換されたイソインドリンまたはテトラヒドロイソキノリンと反応することができる。この段階または後の段階で、クロリド、ブロミドおよびヨージド等のハライド置換基またはトリフレート等の他の官能基と、ビニルまたはアリルトリアルキルスズ(allyltialkyltin)等の有機金属試薬とのパラジウム触媒反応によって、アルケニル官能基を導入してよい。代替として、保護プロリノールとの反応の前にアルケニル官能基を導入してもよい。
【0144】
スキーム2は、オレフィン含有アミノ酸部の合成について記述するものである。酸官能基がエステルとして保護されている(例えば、R=メチル)アミノ酸(市販されている、または当技術分野において公知の方法を使用して容易に調製できる)は、DCC、EDC、BOP、TBTU等、当業者に公知である広範なペプチドカップリング剤を利用してオレフィンカルボン酸をカップリングすることにより、アミドAに変換され得る。スルホンアミドBの調製は、スカベンジャーとしてアミン塩基を加えた有機溶媒(例えばTHF)中における適切なスルホニルクロリドとの反応によって遂行できる。尿素誘導体Cは、アミノエステルをカルボニルジイミダゾール等の試薬と反応させて、中間体イソシアネート(Catalanoら、WO03/062192)を形成し、続いて第2のオレフィン含有アミンを添加することによって調製できる。代替として、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンをカルボニルジイミダゾールの代わりに使用してもよい。シアノグアニジン誘導体Dは、有機溶媒中におけるアミノ酸エステルとジフェニルC−シアノカルボンイミデートとの反応、続いて第2のオレフィン含有アミンの添加によって調製できる。カルバメート誘導体Bは、オレフィン含有アルコールを、カルボニルジイミダゾール(またはホスゲン、トリホスゲンもしくはジホスゲン)と有機溶媒中において反応させ、続いてアミノエステルを添加することによって調製できる。
【0145】
【化57】

スキーム3は、ハロ置換オレフィン含有アミノ酸を産出するためにスキーム2において記載されているシーケンスで利用され得るハロ置換オレフィンアルコールを取得するための合成経路について記述するものである。2−メチル−2−トリフルオロメチルシクロヘキサノンから出発し、TFPAとTFAとの混合物を使用し、Mikamiおよび同僚らによる、Org. Lett.、2003年、25巻、4803頁に記載されている方法と同様にバイヤー−ビリガー酸化を実施し得る。酸性開環エステル化に続いて、末端ヒドロキシルの適切な脱離基(トシレート、メシレート、ハライドまたは当技術分野において公知の他のもの等)への活性化により、LDAもしくはLiTMPまたは当技術分野において公知の他のもの等の適切な立体的に遮蔽された動力学的塩基(kinetic base)を使用する脱離が可能となる。次いで、LAHまたは同様の還元剤を使用する徹底的な還元を介し、必要なアルコールを現す(revealed)ことができる。この化合物または同様の化合物への代替経路は、当業者には周知であろう。
【0146】
【化58】

スキーム4は、ハロ置換オレフィン含有アミノ酸を産出するためにスキーム2において記載されているシーケンスで利用され得るハロ(hoal)置換オレフィンアルコールを取得するための代替合成経路について記述するものである。1,1−ビス(トリフルオロメチル)酢酸メチルから出発し、Murahashiおよび同僚らによる、Angew, Chem. Int. Ed.、2009年、48巻、2047頁に記載されている通りにイリジウム触媒C−H結合活性化/アルキル化を実施して、5−オキソ−ビス(トリフルオロメチル)酢酸メチルを取得することができる。水素化ホウ素ナトリウムまたは同様の試薬を使用する5−オキソ基の化学選択的還元に続いて、ヒドロキシルの適切な脱離基(トシレート、メシレート、ハライドまたは当技術分野において公知の他のもの等)への活性化により、LDAもしくはLiTMPまたは当技術分野において公知の他のもの等の適切な立体的に遮蔽された動力学的塩基を使用する脱離が可能となる。次いで、LAHまたは同様の還元剤を使用する徹底的な還元を介し、必要なアルコールを取得することができる。この化合物または同様の化合物への代替経路は、当業者には周知であろう。
【0147】
【化59】

スキーム5は、スルファメート含有部の合成について記述するものである。スルファミン酸エステルは、ギ酸によるイソシアン酸クロロスルホニルのクロロスルホニルアミドへの還元から出発し、2ステップのプロセスを介して調製される。次いで、クロロスルホニルアミドに、適切な有機溶媒(NMP等)中のアルコールによるエステル化を受けさせて、対応するスルファミン酸エステル(スルファメート)を形成することができ、これは結晶化またはクロマトグラフィーによって容易に単離され得る。次いで、HATUおよびDIPEA等の適切な有機塩基を使用し、スルファメートをN保護シクロプロピルアミノ酸と直接カップリングして、N保護シクロプロピルアミノアシルスルファメートを形成することができる。次いで、ジオキサン中におけるHCl等の酸による処理によって保護基を除去して、さらなるペプチドカップリングに適したアミン基のHCl塩を生成することができる。
【0148】
【化60】

アミンの官能化に続いて、当業者に公知である種々の塩基性条件下でエステルを加水分解することができる(Theodora W. Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons、1999年)。
【0149】
プロリン部上のカルバメート保護基の脱保護は、当業者に公知である様々な方法によって行われ得る(Theodora W. Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley and Sons、1999年)。
【0150】
本発明の化合物の合成を完了するために、DCC、EDC、BOP、TBTU等の広範なペプチドカップリング試薬を介して、アミノ酸誘導体をプロリン誘導体とカップリングしてよい(スキーム1参照)。次いで、この目的のために文献において記載されてきた種々の触媒を使用するオレフィンメタセシスによって、大環状化を達成する。この段階で、閉環メタセシスにおいて生じたオレフィン結合を、場合により水素化して飽和結合を得てよく、またはシクロプロパン化等の代替的手法で官能化してよい。次いで、プロリンエステルを塩基性条件下で加水分解し、シクロプロピルアミノ酸エステル(分子の適切なアルケニルまたはアルキルシクロプロパン部は、前述の通りに調製できる(Llinas−Brunetら、米国特許第6,323,180号))とカップリングし、追加の塩基性加水分解ステップに供する。最終化合物は、第2の塩基性加水分解ステップの生成物と所望のスルファメートとの間でのアミドカップリングを介してもたらされ、アシルスルファメート部分を含有する最終化合物を生成する。プロリンエステルを加水分解し、適切に官能化されたシクロプロピルアミノ酸アシルスルファメートと直接カップリングして、最終化合物を生成することもできる。
【0151】
オレフィンメタセシス触媒は、下記のルテニウムベースの種を含む:F:Millerら、J. Am. Chem. Soc、1996年、118巻、9606頁;G:Kingsburyら、J. Am. Chem Soc、1999年、121巻、791頁;H:Schollら、Org. Lett.、1999年、1巻、953頁;Hoveydaら、1152002/0107138;K Furstnerら、J. Org. Chem、1999年、64巻、8275頁。閉環メタセシスにおけるこれらの触媒の有用性は、文献において周知である(例えば、TrnkaおよびGrubbs、Acc. Chem. Res.、2001年、34巻、18頁)。
【0152】
【化61】

略号一覧
BOP ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
CHCN アセトニトリル
CHCl ジクロロメタン
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン(Diisoproylethylamine)
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル(Dimethylaminopropy1))−N’−エチルカルボジイミド
EtN トリエチルアミン
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HBr 臭化水素酸
HCl 塩酸
Hex ヘキサン
HOAc 酢酸
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
LiOH 水酸化リチウム
MeOH メタノール
MgSO 硫酸マグネシウム
MTBE メチルt−ブチルエーテル
NaSO 硫酸ナトリウム
NaHCO 重炭酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NHCl 塩化アンモニウム
NHOH 水酸化アンモニウム
NMP N−メチルピロリジノン
PDC 重クロム酸ピリジニウム
Pd/C パラジウム炭素
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
PhMe トルエン
PPh トリフェニルホスフィン
RT 室温
TBTU O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン(Tetrahydofuran)
【実施例】
【0153】
(実施例1)
(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−12−エチル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノカルボニル)−シクロプロピル]−15,15−ジメチル(dimethy1)−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン(benzodioxatriazacyclohenicosine)−7−カルボキサミド[III−205(R99=CH)]
【0154】
【化62】

ステップ1:1−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン
【0155】
【化63】

室温のクロロベンゼン(9L)中の3−ブロモ−o−キシレン(999g、5.40mol)の懸濁液に、N−ブロモコハク酸イミド(1620g、9.1mol)および過酸化ベンゾイル(2.6g、10.8mmol)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、窒素下で18時間撹拌した。反応混合物を70℃に冷却し、追加分のNBS(302g、1.7mol)を添加した。反応混合物を80℃に加熱し、窒素下で22時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ヘプタン(6L)で希釈し、濾過した。濾過ケーキをヘプタン(4L)で洗浄し、合わせた濾液を蒸発させた。粗生成物をヘプタン(2L)およびクロロホルム(200mL)に溶解させ、塩基性アルミナ(500g)に通して濾過した。アルミナパッドをヘプタン(4L)で洗浄し、合わせた濾液を蒸発させて1−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(1760g、粗製重量)を得、これをさらに精製することなく使用した。H NMR(CDCl)δ(ppm)7.56(d,J=8.0Hz,1H),7.31(d,J=8.0Hz,1H),7.26(s,1H),7.16(t,J=8.0Hz,1H),4.84(s,2H)。
【0156】
ステップ2:2−ベンジル(benzy1)−4−ブロモイソインドリンヒドロクロリド
【0157】
【化64】

重炭酸カリウム(657g、6.56mol)をMeCN(17L)に懸濁させ、混合物を80℃に加熱した。粗製の1−ブロモ−2,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(900g、1LのMeCN中2.63mol)およびベンジルアミン(281g、1LのMeCN中2.63mol)の溶液を、添加漏斗を介し2時間かけて同時に添加した。反応混合物を77℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却し、16時間撹拌した。反応フラスコの内容物を冷却し、濾過し、蒸発によって溶媒を除去した。反応物を水(6L)とEtOAc(2L)とに分配した。1MのKCOの添加によってpHを9超に調整し、層を分離し、水相を追加分のEtOAc(2L)で抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗油をEtOH(300mL)で希釈し、0℃に冷却した。メタノールHClを混合物が酸性になるまで添加し、、続いてMTBE(700mL)を加えた後、混合物を音波処理し、次いで15時間撹拌した。MTBE(1L)を添加し、混合物を濾過し、MTBE中20%のEtOH、続いてMTBEで洗浄した。固体を風乾させて、2−ベンジル−4−ブロモイソインドリンヒドロクロリド(211g)を得た。追加分の生成物(86g)を、母液の濃縮によって単離した。LRMS(ESI) m/z 289[(M+H);C1313BrNの計算値:289]。
【0158】
ステップ3:4−ブロモイソインドリン
【0159】
【化65】

200mLのEtOAc中の2−ベンジル−4−ブロモイソインドリンヒドロクロリド(11g、30.96mmol)の溶液に、1MのNaOH(100mL)を添加し、混合物を30分間撹拌した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて油とし、これをトルエン(50mL)と1回共沸させた。油をクロロベンゼン(50mL)に溶解させ、4A分子篩(5g)を撹拌溶液に添加した。10分後、1−クロロエチルクロロホルメート(5.6mL、51mmol)を5分間かけて滴下添加した。次いで、反応混合物を90℃に2時間加熱し、室温に冷却し、濾過した。固体をクロロベンゼン(5mL)およびメタノール(40mL)で洗浄した。濾液を70℃に1時間加熱し、冷却させ、室温で終夜撹拌した。固体を濾過し、クロロベンゼン(2mL)およびヘキサンで洗浄し、乾燥させて、6.84gの表題化合物を得た。LRMS(ESI) m/z 198.1[(M+H);CBrNの計算値:198.0)。
【0160】
ステップ4:1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−(11(4−ブロモ−1,3−ジヒドロ(dthydro)−2H−イソインドール−2−イル)カルボニルオキシ(carbonylloxy)}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(dicarboicylate)
【0161】
【化66】

0℃のDMF(960mL)中の(2S,4R)−BOC−4−ヒドロキシプロリンメチルエステル(126.3g、515mmol)の溶液に、N,N’−カルボニルジイミダゾール(83.51g、515mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。4−ブロモイソインドリンヒドロクロリド(120g、515mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(96.3mL、540mmol)を添加し、反応混合物を50℃に6時間加熱し、次いで室温に冷却させ、終夜撹拌した。反応混合物をEtOAc(3L)と10%KHSO4水溶液(6L)とに分配し、水性物をEtOAc(2L)で再抽出し、合わせた有機相を10%NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させて、泡状物(239g)とした。LRMS(ESI) m/z 471.0[(M+H);C2020BrNの計算値:471.1]。
【0162】
ステップ5:1−t−ブチル2−メチル(25,4R)−4−{[(4−ビニル(viny1)−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール(isoindo1)−2−イル)カルボニル]オキシ}ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート
【0163】
【化67】

エタノール(200mL)中の1−t−ブチル2−メチル(25,4R)−4−{[(4−ブロモ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニルオキシ]ピロリジン(carbonylloxylpyrrolidine)−1,2−ジカルボキシレート(10.0g、21.3mmol)の溶液に、カリウムビニルトリフルオロボレート(4.28g、32mmol)およびトリエチルアミン(45mL、32mmol)、続いてジクロロ[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロリドジクロロメタン付加物(175mg、0.21mmol)を添加した。反応混合物を6時間加熱還流し、室温に冷却し、10%KFISO水溶液で希釈し、エタノールを蒸発によって真空(in maw)除去した。水性残留物をEtOAcで抽出し、有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させ、40〜60%EtOAc/ヘキサンで溶離するシリカ上でのクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、蒸発後、表題化合物(8.18g)を得た。LRMS(ESI) m/z 417.2[(M+H);C2229の計算値:417.2]。
【0164】
ステップ6:(3R,5S)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル−4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−カルボキシレートヒドロクロリド
【0165】
【化68】

1−t−ブチル2−メチル(2S,4R)−4−{[(4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ)ピロリジン−1,2−ジカルボキシレート(18.0g、43.2mmol)およびHCl/ジオキサン(4M)(43.2mL、173mmol)の混合物を、室温で2時間(for 211)撹拌した。反応混合物を濃縮してジオキサンを除去し、続いてEtOからの濃縮により、(3R,5S)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン(pyrroliclin)−3−イル−4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−カルボキシレートヒドロクロリドをオフホワイトの固体(15g)として得、これをさらに精製(purifcation)することなく使用した。LRMS(EST) m/z 317[(M+H);C1721の計算値:317]。
【0166】
ステップ7:メチルN−{[(2,2−ジメチルヘキサ−5−エン−1−イル)オキシ]カルボニル(oxylcarbony1)}−3−メチル−L−バリル(valy1)−(4R)−4−{[(4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ}−L−プロリネート
【0167】
【化69】

室温のDMF(20mL)中の(3R,55)−5−(メトキシカルボニル)ピロリジン−3−イル−4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−カルボキシレートヒドロクロリド(5.0g、14.2mmol)およびN−{[(2,2−ジメチルヘキサ−5−エニル)オキシ]カルボニル(carbony1))−3−メチル−L−バリン(4.0g、14.2mmol)の溶液に、DIPEA(2.5mL、14.2mmol)、EDC(5.5g、28.4mmol)およびHOAt(1.9g、14.2mmol)を添加した。18時間後、反応混合物をEtOに注ぎ入れ、1N HCl(HC)で抽出した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を、1N HO、水、NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を真空除去した。粗生成物をシリカ上で精製(ヘキサン中30%EtOAc)して、4.2gの表題化合物を濃厚な油として得た。LRMS(ESI) m/z 584.4[(M+H);C3246の計算値:584.3]。
【0168】
ステップ8:メチル(5R,7S,10S,18E)−10−tert−ブチル(buty1)−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ(triaxo)−6,7,9,10,11,12,14,16,17−デカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキシレート
【0169】
【化70】

脱気(30分間窒素通気)したDCM(1410mL)中のメチルN−{[(2,2−ジメチルヘキサ−5−エン−1−イル)オキシ]カルボニル}−3−メチル−L−バリル−(4R)−4−{[(4−ビニル−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ}−L−プロリネート(4.7g、8.05mmol)の溶液に、Zhan 1B触媒(Zhan触媒1B、RC−303、Zannan Pharma Ltd.)(0.591g、0.805mmol)を添加した。次いで、混合物をN雰囲気下室温で撹拌した。19時間後、反応が完了し、DMSO(57nL、0.805mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌し、混合物を約70mLに真空濃縮した。次いで、粗生成物をシリカ上で直接精製(勾配溶離、ヘキサン中0〜50%EtOAc)して、4.4gの表題化合物を油として得た。LRMS(ESI) m/z 556.3[(M+H);C3042の計算値:556.3]。
【0170】
ステップ9:メチル(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−15,15−ジメチル(dirnethy 1)−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,18,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキシレート
【0171】
【化71】

EtOAc(79mL)中のメチル(5R,7S,10S,18E)−10−tertブチル−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17−デカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキシレート(4.4g、7.92mmol)の溶液に、Pd/C(0.421g、0.396mmol)を添加した。次いで、Hバルーンを反応フラスコ上に置いた。フラスコを手早く排気し、Hを充填した。17時間後、反応が完了したことがLC−MSによって決定された。Pd/Cをグラスウールに通して濾過し、粗生成物をシリカ上で精製(勾配溶離、ヘキサン中0〜60%EtOAc)して、4.01gの表題(tide)化合物を白色粉末として得た。LRMS(ESI) m/z 558.4[(M+H);C3044の計算値:558.3]。
【0172】
ステップ10:(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボン酸
【0173】
【化72】

室温の、THF(41.3mL)、MeOH(41.3mL)および水(20.7mL)中のメチル(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキシレート(5.76g、10.33mmol)の溶液に、LiOH(4.33g、103mmol)を添加した。完全変換(45分)がLC−MSによって判定された後、反応物をEtOと1N HClとに分配することによる後処理をした。次いで、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、溶媒を真空除去して5.53gの表題化合物を得、これをさらに精製することなく使用した。LRMS(ESI) m/z 544.4[(M+H)2942の計算値:544.3]。
【0174】
ステップ11:(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−1−[メチルカルボキシレート]−2−エチルシクロプロピル)−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミド
【0175】
【化73】

DMF(30mL)中の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボン酸(3g、5.5mmol)の溶液に、(1R,2R)−1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボン酸メチルエステルヒドロクロリド(1.19g、6.62mmol)、DIPEA(4.8mL、27.6mmol)およびHATU(3.15g、8.28mmol)を室温で添加する。3時間後、反応溶液をEtOAcと1MのHCl溶液とに分配する(各50mL)。水層をEtOAc(3×30ml)で抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮する。得られた油を、10〜100%EtOAc/Hexを使用するSiO上でのカラムクロマトグラフィーを介して精製して、2.37g(64%)の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−1−[メチルカルボキシレート]−2−エチルシクロプロピル(ethylcyclopropy1))−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミドを褐色泡状物として生成する。(LC/MS:m/z 668.9(M+))。
【0176】
ステップ12:(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−1−[カルボキシ]−2−エチルシクロプロピル)−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミド
【0177】
【化74】

THF/MeOH(各14.2mL)中の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R、2R)−1−[メチルカルボキシレート]−2−エチルシクロプロピル]−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミド(carboxarnide)(2.37g、3.54mmol)の溶液に、HO(7.1mL)中のLiOH(1.49g、35.4mmol)の溶液を添加する。得られた溶液を40℃に3時間加温する。溶液を冷却させ、EtO(50mL)で希釈し、濃HClの滴下添加によってpH3に酸性化する。分離およびEtOAcによる抽出に続いて、合わせた有機物をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、定量的回収率の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−1−[カルボキシ]−2−エチルシクロプロピル)−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミドをオフホワイトの泡状物として生成し、これをさらに精製することなく利用する。(LC/MS:m/z 655.18(M+H)+)。
【0178】
ステップ13:(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N4((1R,2R)−[2−エチル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノカルボニル)−シクロプロピル]−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミド(III−205;R99=CH
DMF(10mL)中の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−1−[カルボキシ]−2−エチルシクロプロピル)−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミド(0.85g、1.3mmol)の溶液に、DIPEA(0.34mL、1.95mmol)およびHATU(0.64g、1.68mmol)を添加する。30分後、DBU(0.39mL、2.6mmol)およびスルファミン酸1−メチル−シクロプロピルエステル(0.295g、1.95mmol)を添加し、溶液を室温で終夜熟成させる。次いで、反応混合物を逆相分取HPLCによって精製して、415mg(40%)の(5R,7S,10S)−10−tert−ブチル−N−((1R,2R)−[2−エチル(ethy1)−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノカルボニル)−シクロプロピル]−15,15−ジメチル−3,9,12−トリオキソ−6,7,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19−ドデカヒドロ−1H,5H−2,23:5,8−ジメタノ−4,13,2,8,11−ベンゾジオキサトリアザシクロヘニコシン−7−カルボキサミドを非晶質黄色固体として得る。(LC/MS:m/z 655.18(M+H));H−NMR(500MHz,CDOD):δ7.21(t,1H);7.13(d,1H);7.08(d,1H);5.34(m,1H);4.68(q,2H);4.59(q,2H);4.41(m,1H);4.40(m,1H);4.37(d,1H);4.19(m,1H);3.91(d,1H);3.26(d,1H);2.58(m,1H);2.51(m,1H);2.45(m,1H);2.12(m,1H);1.68(s,3H);1.62(m,1H);1.57(m,1H);1.53(m,1H);1.52(m,2H);1.51(m,1H);1.33(m,1H);1.32(m,2H);1.29(m,2H);1.20(m,1H);1.18(in,1H);1.04(s,9H);1.00(s,3H);0.96(t,3H);0.80(s,3H);0.68(m,2H)。
【0179】
スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステルの調製
【0180】
【化75】

1−メチル−シクロプロパノールは、既に公開されている手順(Synthesis、1991年、3巻、234頁)に従って合成する。収率を向上させ、不要な副産物を最小化するために、後処理手順の改変を要する。反応物の酸性クエンチ後、分離した有機層を、シリカ上のPDC(20%充填)、および塩基性アルミナの上で10分間激しく撹拌する。次いで、MgSOを添加して有機物をさらに乾燥させ、混合物をシリカゲルプラグに通して濾過する。溶媒の除去後、残った淡黄色の液体をさらに精製することなく下記のエステル化において直接使用する。
【0181】
還流冷却器を備えた三口丸底に、イソシアン酸クロロスルホニル(5.25ml、0.06mol)を投入し、0℃に冷却する。ギ酸(2.25mL、0.06mol)を急速に撹拌しながら滴下添加すると、急速なガス発生が観察される。ギ酸の添加が完了したら、反応物を室温に加温させておく。2時間後、得られた固体スルファモイルクロリドを含有する反応槽を0℃に冷却し、NMP(25mL)に溶解した1−メチルシクロプロパノール(2g、約0.02mol)を、添加用漏斗を介して滴下添加する。反応物を室温に加温する。3時間撹拌後、反応混合物を冷飽和NaCl水溶液(120mL)に注ぎ入れ、EtOAcで抽出する。分離した有機溶媒の除去後、粗生成物をシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(35%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル(1.6g、53%)を得る。H−NMR(CDCl,300MHz)δ4.83(bs,2H),1.70(s,3H),1.32(m,2H),0.68(m,2H)。
【0182】
(1R,2R)−1−アミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステルヒドロクロリドの調製
【0183】
【化76】

ステップ1:(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステル
【0184】
【化77】

室温のEtOAc(250mL)中の(1R,2S)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステル(Wangら、WO2003/099274;11.44g、47.4mmol)の溶液に、5%Rh/アルミナ(6.86g、2.4mmol)を添加する。バルーンを使用して雰囲気をHに置き換え、反応物を2.5時間激しく撹拌する。反応混合物をセライトのパッドに通して濾過し、濃縮し、0〜20%EtOAc/Hexで溶離するSiO上で精製して、7.04g(61%)の(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステルを無色油として得る。(LC/MS:m/z 266.1(M+Na))。
【0185】
ステップ2:(1R,2R)−1−アミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステルヒドロクロリド
THF(20mL)中の(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステル(4.44g、18.25mmol)の溶液に、ジオキサン中4MのHCl(45.5mL、182.5mmol)を添加する。2時間後、溶液を濃縮乾固して、定量的収率の(1R,2R)−1−アミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステルヒドロクロリドを白色非晶質固体として得た。H NMR(CDOD,400MHz)δ3.85(s,3H);1.68(m,2H);1.56(m,1H);1.50(q,2H);0.99(s,3H)。
【0186】
(1R,2R)−1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステルヒドロクロリドの調製
【0187】
【化78】

ステップ1:(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチルシクロプロパンカルボン酸
【0188】
【化79】

THF(40mL)とMeOH(40mL)との混合物中の(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパンカルボン酸メチルエステル(4.95g、20.3mmol)の溶液に、LiOH水溶液(2.5M、40mL、100mmol、5当量)を添加する。溶液を45℃(外部温度)に5時間加熱した後、室温に冷却する。HCl水溶液(6M、20mL)を添加し、揮発物を真空除去した。残留物をEtOAcで希釈し、水層を分離する。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパン−カルボン酸を得、これをさらに精製することなく使用する。H NMR(CDCl,300MHz)δ5.21(brs,1H);1.61(m,2H);1.54−1.41(m,2H);1.45(s,9H);1.38−1.22(m,1H);0.99(t,3H)。
【0189】
ステップ2:(1R,2R)−[2−エチル−1−(1−メチルシクロプロポキシスルホニルアミノカルボニル)シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0190】
【化80】

CHCl(45mL)中の(1R,2R)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−エチル−シクロプロパン−カルボン酸(2.02g、8.8mmol)の溶液に、スルファミン酸1−メチルシクロプロピルエステル(2.0g、13.26mmol)、HATU(3.68g、9.7mmol)およびDIPEA(8.0mL、45.9mmol)を添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌した後、CHClで希釈した。溶液を、HCl水溶液(1M)で2回およびブラインで1回洗浄した。水層をCHClで逆抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、真空濃縮した。粗製スルファメートをカラムクロマトグラフィー(20→100%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(1R,2R)−[2−エチル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノ−カルボニル)−シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.8g、89%)を得た。H NMR(d−MeOD,300MHz)δ10.05(s,1H),1.69(s,3H),1.47−1.52(m,2H),1.45(s,9H),1.29−1.41(m,4H),1.06(m,1H),0.975(t,3H),0.65(m,2H)。
【0191】
ステップ3:(1R,2R)−1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチル−シクロプロピルエステルヒドロクロリド
CHCl(15mL)中の(1R,2R)−[2−エチル−1−(1−メチル−シクロプロポキシスルホニルアミノ−カルボニル)−シクロプロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.51g、6.91mmol)の溶液に、ジオキサン中4MのHCl(17.3mL、69.11mmol)をゆっくり添加する。3時間後、揮発物を真空除去して、定量的(quantitive)収率の(1R,2R)−1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボニル)−スルファミン酸1−メチル−シクロプロピルエステルヒドロクロリドを無色シロップとして得る。(LC/MS:m/z 262.65(M));H NMR(d−MeOD,400MHz)δ1.84(t,1H);1.68(s,3H);1.62(m,2H);1.50(m,2H);1.28(m,2H);1.02(t,3H);0.71(m,2H)。
【0192】
生物学的アッセイ
NS3酵素効力:
精製NS3プロテアーゼをNS4Aペプチドと複合体形成させ、次いで、化合物の連続希釈物(DMSOを溶媒として使用)とともにインキュベートする。二重標識ペプチド基質の添加によって反応を開始させ、得られた蛍光の速度論的増大を測定する。速度データの非線形回帰を実施して、IC50を算出する。最初に遺伝子型1bプロテアーゼに対する活性を試験する。遺伝子型1bに対して取得された効力に応じて、追加の遺伝子型(1a、2a、3)およびまたはプロテアーゼインヒビター抵抗性酵素(D168Y、D168VまたはA156T突然変異体)を試験してよい。すべてのアッセイ中、BILN−2061を対照として使用する。本発明の代表的化合物をこのアッセイにおいて評価し、典型的には約1μm未満のIC50値を有することが分かった。
【0193】
レプリコンの効力および細胞毒性:
Huh−luc細胞(バルテンシュラガー(Bartenschlager)のI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ET遺伝子型1bレプリコンを安定に複製する)を、化合物の連続希釈物(DMSOを溶媒として使用)で72時間処理する。
【0194】
レプリコンのコピー数を生体発光によって測定し、非線形回帰を実施してEC50を算出する。同じ薬物希釈物で処理した同時進行の板を、細胞毒性についてPromega CellTiter−Glo細胞生存アッセイを使用してアッセイする。1bレプリコンに対して達成された効力に応じて、遺伝子型1aレプリコンおよび/またはD168YもしくはA156T変異をコードするインヒビター抵抗性レプリコンに対して化合物を試験してよい。すべてのアッセイ中、BILN−2061を対照として使用する。本発明の代表的化合物をこのアッセイにおいて評価し、典型的には約5μm未満のEC50値を有することが分かった。
【0195】
レプリコンの効力に対する血清タンパク質の影響
レプリコンアッセイは、生理学的濃度のヒト血清アルブミン(40mg/mL)またはα−酸性糖タンパク質(1mg/mL)を補足した通常細胞培養培地(DMEM+10%FBS)中で行う。ヒト血清タンパク質の存在下でのEC50を、通常培地中でのEC50と比較して、効力におけるシフトの倍数を決定する。
【0196】
酵素(Enyzmatic)選択性:
ブタ膵臓エラスターゼ、ヒト白血球エラスターゼ、プロテアーゼ3およびカテプシンDを含む哺乳動物プロテアーゼの阻害は、各酵素に対するそれぞれの基質についてのKで測定する。各酵素のIC50をNS3 1bプロテアーゼで取得されたIC50と比較して、選択性を算出する。本発明の代表的化合物は活性を示した。
【0197】
MT−4細胞の細胞毒性:
MT4細胞を、化合物の連続希釈物で5日間にわたって処理する。処理期間の終了時にPromegaCellTiter−Gloアッセイを使用して細胞生存を測定し、非線形回帰を実施してCC50を算出する。
【0198】
EC50における細胞に関連する化合物濃度:
Huh−luc培養液を、EC50に等しい濃度の化合物とともにインキュベートする。複数の時点(0〜72時間)において、細胞を冷培地で2回洗浄し、85%アセトニトリルで抽出し、各時点における培地の試料も抽出する。細胞および培地抽出物をLC/MS/MSによって分析して、各画分中における化合物のモル濃度を決定する。本発明の代表的化合物は活性を示した。
【0199】
溶解度および安定性:
溶解度は、10mMのDMSOストック溶液のアリコートを取り、総DMSO濃度1%の試験培地溶液(PBS、pH7.4および0.1N HCl、pH1.5)中に化合物を最終(fmal)濃度100μMで調製することによって決定する。試験培地溶液を室温で振とうしながら1時間インキュベートする。次いで、溶液を遠心分離し、回収された上清をHPLC/UVでアッセイする。規定試験溶液中で検出された化合物の量を、同じ濃度のDMSO中で検出された量と比較することにより、溶解度を算出する。PBSとともに37℃で1時間インキュベートした後の化合物の安定性も決定する。
【0200】
凍結保存ヒト、イヌおよびラット肝細胞中での安定性:
各化合物を、肝細胞懸濁液(100μL、1ウェル当たり80,000細胞)中37℃で最大1時間インキュベートする。凍結保存肝細胞を無血清インキュベーション培地中で再構成する。懸濁液を96ウェルプレート(50μL/ウェル)に移す。化合物をインキュベーション培地中で2μMに希釈し、次いで肝細胞懸濁液に添加して、インキュベーションを開始する。インキュベーションの開始後0、10、30および60分で試料を採取し、90%アセトニトリル/10%水中の0.3%ギ酸からなる混合物で反応物をクエンチする。各試料中における化合物の濃度を、LC/MS/MSを使用して分析する。濃度−時間データを単相指数方程式に当てはめることにより、肝細胞懸濁液中における化合物の消失半減期を決定する。データをスケールアップして、内因性肝クリアランスおよび/または全肝クリアランスも表す。
【0201】
ヒト、イヌおよびラット由来の肝S9画分中での安定性:
各化合物を、S9懸濁液(500μL、3mgタンパク質/mL)中37℃で最大1時間インキュベートする(n=3)。化合物をS9懸濁液に添加して、インキュベーションを開始する。インキュベーションの開始後0、10、30および60分で試料を採取する。各試料中における化合物の濃度を、LC/MS/MSを使用して分析する。濃度−時間データを単相指数方程式に当てはめることにより、S9懸濁液中における化合物の消失半減期を決定する。
【0202】
Caco−2透過性:
受託サービス(Absorption Systems、Exton、PA)を介して化合物をアッセイする。化合物はブラインド方式で受託業者に提供される。順方向(AからBへ)および逆方向(BからAへ)両方の透過性を測定する。Caco−2単層を、12ウェルCostar Transwell(登録商標)プレート内のコラーゲンコーティングした微孔性ポリカーボネート膜上でコンフルエントになるまで成長させる。化合物を、順方向透過性(AからBへ)については頂端側に、逆方向透過性(BからAへ)については基底側に投薬する。細胞を、加湿インキュベーター内、37℃、5%COでインキュベートする。インキュベーションの開始時ならびにインキュベーション1時間および2時間後に、レシーバーチャンバーから200μLアリコートを取り、新鮮なアッセイ緩衝液に置き換える。各試料中における化合物の濃度を、LC/MS/MSで決定する。見かけの透過率Pappが算出される。
【0203】
血漿タンパク結合:
血漿タンパク結合は平衡透析によって測定する。各化合物を、最終濃度2μMでブランク血漿にスパイクする。スパイクした血漿およびリン酸緩衝液を、会合した透析細胞の反対側に入れ、次いでこれを37℃の水浴中でゆっくり回転させる。インキュベーションの終了時に、血漿およびリン酸緩衝液中における化合物の濃度を決定する。下記の方程式を使用して、非結合率を算出する。
【0204】
【数1】

式中、CおよびCは、それぞれ透析後緩衝液濃度および血漿濃度として決定された遊離濃度および結合濃度である。
【0205】
CYP450プロファイリング:
各化合物を、CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4、CYP2D6およびCYP2C19を含む5つの組換えヒトCYP450酵素のそれぞれとともに、NADPHの存在下および不在下でインキュベートする。インキュベーション開始時ならびにインキュベーションの開始後5、15、30、45および60分で、インキュベーション混合物から連続試料を採取する。インキュベーション混合物中における化合物の濃度を、LC/MS/MSによって決定する。各時点でインキュベーション後に残っている化合物のパーセンテージを、インキュベーションの開始時におけるサンプリングと比較することによって算出する。
【0206】
ラット、イヌ、サルおよびヒト血漿中における安定性
化合物を、血漿(ラット、イヌ、サルまたはヒト)中37℃で最大2時間インキュベートする。化合物を、最終濃度1および10μg/mLで血漿に添加する。化合物を添加後0、5、15、30、60および120分でアリコートを取る。各時点における化合物および主要な代謝産物の濃度を、LC/MS/MSによって測定する。
【0207】
すべての刊行物、特許および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかの如く、参照により本明細書に組み込まれる。多様な具体的かつ好ましい実施形態および技術を参照して本発明について記述してきた。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内にとどまりながら、多くの変形および修正が為され得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)の化合物:
【化81】

[R
【化82】

であり、
MMはCOまたは結合であり;
XXは、O、NH、N(C〜Cアルキル)、結合またはCHであり;
Hetは複素環であり、WWまたはRから独立に選択される最大10個の基で置換されていてよく;RはAであり;
各WWは、独立に、H、ハロ、OR77、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR77、CO77、CON(R77、C(O)R77、N(R100)C(O)R77、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR100SO77、SON(R77、NHCOOR77、NHCONHR77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;2つの隣接するWW部分は、場合により、それらが結合した原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成し;
は、PRT、H、−OH、−C(O)OH、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミド、イミド、イミノ、ハロゲン、CF、CHCF、シクロアルキル、ニトロ、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、複素環、−C(A、−C(A−C(O)A、−C(O)A、−C(O)OA、−O(A)、−N(A、−S(A)、−CHP(Y)(A)(OA)、−CHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(OA)、−OCHP(Y)(OA)(0A)、−OCHP(Y)(A)(OA)、−OCHP(Y)(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(OA)、−C(O)OCHP(Y)(A)(N(A)、−CHP(Y)(OA)(N(A)、−OCHP(Y)(OA)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(OA)(N(A)、−CHP(Y)(N(A)(N(A)、−C(O)OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−OCHP(Y)(N(A)(N(A)、−(CH−複素環、−(CHC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CHO−C(O)−O−アルキル、−(CHO−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(Me)C(O)O−アルキル、SR、S(O)R、S(O)、またはアルコキシアリールスルホンアミドから独立に選択され、
ここで、各Aは、
111で場合により置換された、1から4個の
−R111、−P(Y)(OA)(OA)、−P(Y)(OA)(N(A)、−P(Y)(A)(OA)、−P(Y)(A)(N(A)もしくはP(Y)(N(A)(N(A)、−C(=O)N(A)、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、複素環、アラルキル、アリールスルホンアミド、アリールアルキルスルホンアミド、アリールオキシスルホンアミド、アリールオキシアルキルスルホンアミド、アリールオキシアリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アルキルオキシスルホンアミド、アルキルオキシアルキルスルホンアミド、アリールチオ、−(CH複素環、−(CH−C(O)O−アルキル、−O(CHOC(O)Oアルキル、−O−(CH−O−C(O)−(CH−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−アルキル、−(CH−O−C(O)−O−シクロアルキル、−N(H)C(CH)C(O)O−アルキルまたはアルコキシアリールスルホンアミド
で場合により置換されていてよく;
は、PRT、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノ酸、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アルキルスルホンアミドまたはアリールスルホンアミドから独立に選択され、ここで、各AはAで場合により置換されており;
111は、1個または複数のAで場合により置換された、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、複素環、ハロゲン、ハロアルキル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、−C(O)NHS(O)−または−S(O)−から独立に選択され;
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、該アルキル、アルケニルまたはシクロアルキルは、1〜3個のハロで場合により置換されており;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール(C〜C)アルキルまたはHetであり、ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、かつ該アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
Hetは、N、OおよびSから選択される1または2個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和環式環であり、ここで、該環は、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、かつ該アルキル、シクロアルキルまたはアリールは、ハロ、OR10、SR10、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、H、ハロ、OR10、C〜Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR10SO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;該シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの2つの隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、場合により置換されているか、ヘテロアリールであり、またはヘテロシクリルは1から2個のW置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各R77は、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW’置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各W’は、独立に、ハロ、OR100、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR100、CO100、CON(R100、C(O)R100、N(R100)C(O)R100、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R100、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR100SO100、SON(R100、NHCOOR100、NHCONHR100、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;2つの隣接するW’部分は、場合により、それらが結合した原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成し;
各Rは、独立に、H、(C〜C10)アルキル、(C〜C10)アルケニル、(C〜C10)アルキニル、(C〜C10)アルカノイルまたは(C〜C10)アルコキシカルボニルであり;
Yは、C(=O)、SOまたはC(=N−CN)であり;
は、独立に、O、S、N(A)、N(O)(A)、N(OA)、N(O)(OA)またはN(N(A)(A))であり;
ZはC(R10またはN(R)であり;
Mは、C〜C12アルキレンまたはC〜C12アルケニレンであり、ここで、該アルキレンまたはアルケニレンは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜Cアルキル)およびアリール(C〜Cアルキル)からなる群から選択される1または2個の置換基で場合により置換されており、さらに該Mは最大9個のハロによって置換されていてよく;Mの2個の置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;場合によりMの1個の置換基は、M内の環原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環系を形成してよく、ここで、該3〜6員の環系は、大環状環系と縮合しており;
各Rは、独立に、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アリル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各Wは、独立に、ハロ、OR10、C〜Cアルキル、CN、CF、NO、SR10、CO10、CON(R10、C(O)R10、N(R10)C(O)R10、SO(C〜Cアルキル)、S(O)(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R10、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、ハロ(C〜Cアルコキシ)、NR10SO10、SON(R10)、NHCOOR10、NHCONHR10、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
各R10は、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり;
各R100は、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり;
rは0から6であり;
mは0から6である]。
【請求項2】
式(Ib)
【化83】

[式中、
pおよびqは、独立に、1または2である]
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ic)
【化84】

[R55は、H、ハロ、OH、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、CN、CF、SR10、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R77、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR100OSO、SON(R、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR、NHCOR、NHCONHR、CO10、C(O)R10およびCON(R10からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;該シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの2つの隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
66は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキル(C〜C)アルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜Cアルキル)、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリル(C〜Cアルキル)であり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、1から2個のW’置換基で場合により置換されており;各アリールは、独立に、フェニルまたはナフチルであり、各ヘテロアリールは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつ各ヘテロシクリルは、独立に、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;
AAはC(R110)またはNであり;
55がH以外である場合、R110は、H、C〜Cアルキル、ハロ、OR100、SR100またはN(R100であり;
55がHである場合、C〜Cアルキル、ハロ、OH、C〜Cアルコキシ、CN、CF、SR100、SO(C〜Cアルキル)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、C〜Cハロアルキル、N(R77、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;ここで、アリールはフェニルまたはナフチルであり、ヘテロアリールは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環であり、かつヘテロシクリルは、環炭素または窒素を介して結合した、N、OおよびSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する5から7員の飽和または不飽和非芳香族環であり;ここで、該アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルまたはアルコキシは、ハロ、OR10、SR10、N(R77、NH(C〜Cアルキル)O(C〜Cアルキル)、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、ハロ(C〜Cアルコキシ)、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルコキシ、NO、CN、CF、SO(C〜Cアルキル)、NR100SO66、SON(R66、S(O)(C〜Cアルキル)、NHCOOR66、NHCOR66、NHCONHR66、CO100、C(O)R100およびCON(R100からなる群から選択される1から4個の置換基で場合により置換されており;該シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの2個の隣接する置換基は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する3〜6員の環式環を形成し;
あるいは、R55およびR100は、場合により一緒になって、N、OおよびSから選択される0〜2個のヘテロ原子を有する5から6員の飽和、不飽和非芳香族または芳香族環式環を形成する]
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、Wは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;かつ
およびRは、それぞれ独立に、H、(C〜C10)アルキルまたはアリールであり、これは1個もしくは複数のハロで場合により置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;
ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;かつ
およびRは、それぞれ独立に、H、(C〜C10)アルキルまたはアリールであり、これは1個もしくは複数のハロで場合により置換されている、
請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRまたは−C(=O)ORであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルであり;かつ
およびRは、それぞれ独立に、H、(C〜C10)アルキルまたはアリールであり、これは1個もしくは複数のハロで場合により置換されている、
請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである、
請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1個または複数のRで場合により置換されており;
各Rは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アリールチオ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、NR、−C(=O)NRであり、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、1個または複数のアルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイルオキシ、ハロアルキルまたはハロアルコキシで場合により置換されており;
各RおよびRは、独立に、H、アルキルまたはハロアルキルである、
請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
が、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、該Rは、アルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから独立に選択される1個または複数のRで場合により置換されており、ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、該Rは、アルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから独立に選択される1個または複数のRで場合により置換されており、ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
が、アルキル、アリール、シクロアルキルであり、該Rは、アルキル、ハロ、−C(=O)ORまたはトリフルオロメチルから独立に選択される1個または複数のRで場合により置換されており、ここで、Rの各アルキルは、1個または複数のハロ、アルコキシまたはシアノで場合により置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項13】
が、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1から3個のAで場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1から3個のAで場合により置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
が、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、該Rは、1から3個のAで場合により置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大4個のAによって場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大4個のAによって場合により置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項18】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大4個のAによって場合により置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項19】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大3個のC〜Cアルキルによって場合により置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大3個のC〜Cアルキルによって場合により置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項21】
がシクロプロピルであり、該Rは、最大3個のC〜Cアルキルによって場合により置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項22】
が、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピル(niethylcyclopropyl)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項24】
が、フェニル、シクロプロピル、2−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、2−クロロフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチルまたは1−メチルシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項25】
がシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
がシクロプロピルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項27】
がシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項28】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項30】
が1−メチルシクロプロピルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項31】
式III:
【化85】

[式中、pおよびqの和が≦3である]
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
がC〜CアルケニルまたはC〜Cアルキルである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
が、ハロおよびOR10から選択される1から3個の置換基で場合により置換されているC〜CアルキルまたはC〜Cアルキルで場合により置換されているC〜CシクロアルキルまたはC〜Cアルキルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
が、H、ハロまたはC〜Cアルコキシである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
YがC=Oである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
Zが、O、C(R10、NHまたはN(C〜Cアルキル)である、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
Mが、非置換C〜Cアルキレンまたは非置換C〜Cアルケニレンである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
化合物III−IからIII−252[式中、R99は、H、メチル、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである]:
【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

【化99】

【化100】

【化101】

【化102】

【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

【化120】

【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

【化125】

【化126】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項39】
有効量の請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項40】
HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される第2の治療剤をさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼインヒビターおよびHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターからなる群から選択される抗ウイルス薬である、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
HCV NS3プロテアーゼ活性を阻害することを必要とする被験体においてHCV NS3プロテアーゼ活性を阻害するための薬剤の調製における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項43】
HCVによる感染を予防または治療することを必要とする被験体においてHCVによる感染を予防または治療するための薬剤の調製における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項44】
前記薬剤が、HCV抗ウイルス剤、免疫調節薬および抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1種の第2の治療剤をさらに含む、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記HCV抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼインヒビターおよびHCV NS5Bポリメラーゼインヒビターからなる群から選択される抗ウイルス薬である、請求項44に記載の使用。

【公表番号】特表2012−512878(P2012−512878A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542328(P2011−542328)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068001
【国際公開番号】WO2010/080389
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】