説明

HIV−1感染末梢血単核球の刺激培養によるCD4陽性T細胞の培養方法、及びHIV−1の増殖阻害剤

(課題) CCR5をコレセプターとして利用するR5 HIV−1、CXCR4を利用するX4 HIV−1、及びCCR5とCXCR4の両方利用できるR5/X4 HIV−1に感染したAIDS患者から採取した、CD4陽性T細胞を安定して培養、及び増殖させる方法を提供する。 (解決手段) 下記式1の化合物、又はその塩を含む、HIV−1増殖阻害剤、及び該阻害剤を用いて、HIV−1感染末梢血単核球を培養することを特徴とする、CD4陽性T細胞の培養方法。
V−CR−Ar−CR−N(R)−(CR−R (I) 該式中、Vは、アミン窒素2個〜6個を有する9員〜24員の環状ポリアミン部分であって、該アミン窒素は少なくとも2個の炭素原子により、互いに間隔を置いて配置されており;R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、若しくは直鎖、分枝又は環状のC1−6アルキルからなる群から選ばれた基であり;かつRは、単環、又は多環式の複素環基、若しくは単環又は多環式である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV−1感染末梢血単核球の刺激培養によるCD4陽性T細胞の培養方法に関する。特に、本発明は、新規ケモカインレセプター阻害剤を用いたR5/X4 HIV−1感染PBMC刺激培養によるCD4陽性T細胞の大量培養に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在,HIV感染症・AIDS治療は、主に逆転写酵素阻害薬とプロテアーゼ阻害薬を用いた多剤併用療法(Highly Active Antiretroviral Therapy,HAART)によって行われ、米国など先進国ではAIDS患者の死亡率は顕著に減少している。しかしながら、HAARTによって血中HIV−RNAレベルが減少しても、免疫力の回復が不十分なため日和見感染症に罹ったり、薬剤の副作用によってHAARTを中断せざるを得ない患者も少なくない。
【0003】
最近、このような患者の免疫力の回復を目的に、AIDS患者から採取したT細胞を、体外で刺激培養した後、該AIDS患者自身に戻す養子免疫療法(活性化自己リンパ球療法)が試みられている。例えば、ケモカインレセプター(CCR5)をコレセプターとして利用するR5 HIV−1に感染したAIDS患者(CD4カウント数:350−500/ml)の末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells:PBMC)をCD4陽性T細胞を分画した後に、IL−2の存在下で抗CD3+CD28ビーズで共刺激培養することによりCD4陽性T細胞の拡大培養を行い、得られたCD4陽性T細胞を繰り返し体内に輸注することにより、血中ウイルス濃度に変化を与えないで患者体内におけるCD4陽性T細胞の増加とCD4陽性CCR5陽性T細胞の割合が減少することが報告されている(非特許文献1)。この研究は、それ以前に報告されていた、インビトロでCD4陽性T細胞を抗CD3+CD28抗体で共刺激培養することによる、b−ケモカインの分泌レベルの上昇とCCR5発現量の低下を、現実にAIDS患者体内で再現できることを示したものである(非特許文献2、3及び4)
しかしながら、感染したHIV−1のタイプによっては、AIDS患者から採取したCD4陽性T細胞を増殖させることができないという問題がある。すなわち、HIV−1には、CCR5をコレセプターとして利用するR5 HIV−1以外に、CXCR4を利用するX4 HIV−1、及びCCR5とCXCR4の両方利用できるR5/X4 HIV−1があり、該X4 HIV−1及びR5/X4 HIV−1は、R5 HIV−1よりも、AIDS発症に伴うCD4陽性T細胞に強力に働き、AIDS患者から採取したT細胞を培養過程で殺してしまうという問題である。例えば、抗CD3+CD28ビーズで共刺激培養してもX4 HIV−1の増殖には無効であることが報告されている(非特許文献6)。また、日本においても末期AIDS患者のPBMCをIL−2存在下で固相化抗CD3抗体で刺激培養を行うことによって、ウイルス増殖を抑制した状態でT細胞の拡大培養に成功したという報告はあるが(非特許文献6)、前記X4 HIV−1及びR5/X4 HIV−1に感染したAIDS患者のCD4陽性T細胞を安定して培養する方法は知られていない。
【非特許文献1】Nature Medicine,8,47−53,2002
【非特許文献2】Science,272,1939−1943,1996
【非特許文献3】Science,276,273−276,1997
【非特許文献4】J.Immunol.,158,5545−5553,1997
【非特許文献5】Science,276,273−276,1997
【非特許文献6】AIDS Research and Human Retroviruses,16,611−612,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、CCR5をコレセプターとして利用するR5 HIV−1のみならず、CXCR4を利用するX4 HIV−1、及びCCR5とCXCR4の両方利用できるR5/X4 HIV−1に感染したAIDS患者から採取した、CD4陽性T細胞を安定して培養、及び増殖させる方法、及び該培養に使用するHIV−1増殖抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために研究を行った結果、本発明者らはSDF−1α、及びMIP−1α結合阻害効果を有する特定の芳香族アミン化合物が、刺激・活性化PBMCにおけるR5、X4、又はR5/X4のトロピズムを有するHIV−1の増殖や、感染細胞と非感染細胞間のHIV−1 Envによる細胞融合を抑制することを見出した。そして、本発明者らは、R5、X4、及びR5/X4 HIV−1に感染したPBMCの刺激培養において、該芳香族アミン化合物がこれらHIV−1ウイルス増殖を抑制しCD4陽性T細胞の大量培養を可能にするという知見を得て、本発明を完成したのである。
【0006】
したがって、本発明は、下記式Iの化合物、又はその塩を含む、HIV−1増殖阻害剤を提供する。
V−CR−Ar−CR−N(R)−(CR−R (I)
該式中、Vは、アミン窒素2個〜6個を有する9員〜24員の環状ポリアミン部分であって、該アミン窒素は少なくとも2個の炭素原子により、互いに間隔を置いて配置されており;
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、若しくは直鎖、分枝又は環状のC1−6アルキルからなる群から選ばれた基であり;
は、単環、又は多環式の複素環基、若しくは単環又は多環式であり、かつ置換又は非置換の芳香族又はヘテロ芳香族基であり;
Arは、芳香環又はヘテロ芳香環であって、各々は、少なくとも1の位置で、電子供与基又は電子吸引基で置換されていてもよく;かつxは、0から2の整数である。
【0007】
また、式1において、Vが、14員〜20員であり4個の窒素原子を含む、特にVが、1,4,8,11−テトラアザシクロデカンであるのが好ましい。
また、式1において、R、R、R、及びRが、水素原子であり、かつRが、水素原子又はCH基であるのが好ましい。
また、式1において、Arが、1,3、又は1,4非置換フェニレンである、特にArが、1,3、又は1,4非置換フェニレンであるのが好ましい。
また、式1において、R、R、R、及びRが、水素原子であり、Rが水素原子又はCH基であり、かつxが0であるのが好ましい。
また、式1において、特に、Vが14員〜20員であり4個の窒素原子を含む、又はVが1,4,8,11−テトラアザシクロデカンである場合、Rが、下記(1)〜(5)のいずれか1の基であるのが好ましい。
【0008】
【化6】

【0009】
さらに、前記Vに加え、R、R、R、及びRが、水素原子であり、かつRが、水素原子又はCH基である場合に、特に、Rが下記(1)〜(5)のいずれか1の基であるのが好ましい。
【0010】
【化7】

【0011】
さらに、本発明は、前記式1の化合物が、下記式2を有する化合物である前記HIV−1増殖阻害剤が好ましい。
【0012】
【化8】

【0013】
該式中、Aは、下記(1)〜(5)のいずれか1の基を表す。
【0014】
【化9】

【0015】
また、本発明は、前記HIV−1増殖阻害剤、及び増殖刺激剤を含む培地でHIV−1感染末梢血単核球を培養することを特徴とする、HIV−1感染末梢血単核球に含まれるCD4陽性T細胞の培養方法を提供する。特に、該末梢血単核球のHIV−1感染が、R5 HIV−1、X4 HIV−1、及びR5/X4 HIV−1からなる群から選ばれるサブタイプHIV−1によるものである、前記培養方法を提供する。
【0016】
さらに本発明では、前記HIV−1増殖阻害剤を含む、HIV−1感染末梢血単核球に含まれるCD4陽性T細胞の培養キットを提供する。
さらに本発明では、前記培養方法で得られた活性化CD4陽性T細胞を、採取した患者に戻すことを含む、HIV−1感染症の治療方法を提供する。
さらに本発明は、HIV−1感染症治療医薬組成物を製造するために、前記培養方法で得られた活性化CD4陽性T細胞を使用することを含むものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のHIV−1増殖抑制剤により、AIDS患者から採取した活性化PBMCにおいて、R5、X4、又はR5/X4のトロピズムを有するすべてのHIV−1増殖が抑制された。また、本発明の該HIV−1増殖抑制剤を用いた培養方法により、AIDS患者から採取したCD4陽性T細胞の大量培養ができるようになり、R5、X4、又はR5/X4 HIV−1に感染したAIDS患者に対する養子免疫療法が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のHIV−1増殖阻害剤に用いる下記式2の化合物、又はその塩は、2002年7月9日付けで出願された、本件出願人の特願2002−199939号(2002年7月9日)に記載されている新規な芳香族アミン化合物である:
【0019】
【化10】

【0020】
式中、Aは、下記(1)〜(5)のいずれか1の基を表す;
【0021】
【化11】

【0022】
本発明で特に好ましい化合物は、下記式(3)の化合物、又はその塩である:
【0023】
【化12】

【0024】
次に該芳香族アミン化合物の具体的な名称を記す。
化合物1:Rが(1)の基である式1の化合物
N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−(2−ピペリジン−1−イル)アニリン
化合物2:Rが(2)の基である式1の化合物
N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−8−アミノキノリン
化合物3:Rが(3)の基である式1の化合物
N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−1−アミノナフタレン
化合物4:Rが(4)の基である式1の化合物
N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−1−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン
化合物5:Rが(5)の基である式1の化合物
N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−3−アミノ−ビフェニル
本発明では化合物1〜5をHIV−1増殖阻害剤として用いることができるが、特に化合物2が好ましい。またこれらの化合物は単独で、又は組み合わせて使用することができる。本発明者らは化合物2に実験管理番号としてT−1113を付している。なお、これら化合物1〜5の具体的な製造方法を、実施例に続く製造例1〜5に記載した。
【0025】
また、本発明の化合物1〜5は塩の形態でHIV−1増殖阻害剤として用いることができる。該塩は、培養したCD4陽性T細胞を元の患者のPBMCに戻す際、その患者に対し無害であるならば特に制限はない。特に、本発明の化合物1〜5を医薬として許容し得る塩の形態で用いるのが好ましく、該塩は、有機酸又は無機酸の付加塩類とすることができる。
【0026】
該無機酸付加塩には、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸第一水素塩、リン酸第二水素塩、酢酸塩などがある。なお、塩基化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムなどを用いて塩形成をすることもできる。これらの塩のうち、例えば、塩酸塩、硝酸塩、リン酸第一水素塩、又はリン酸第二水素塩などが好ましい。
【0027】
また、有機酸付加塩は、脂肪酸のモノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシアルカン酸、ヒドロキシアルカン二酸、アミノ酸など、又は芳香族の酸、脂肪酸、芳香族のスルホン酸などの無毒な有機酸から誘導される塩、例えば、スルホン酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、酒石酸、フマル酸、臭化水素酸、グリコール酸、クエン酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、アスコルビ酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、サリチル酸、グルコン酸などがある。
【0028】
このような酸付加塩は、通常、分散性、吸収性などが良く、PBMCを培養する際、有利な特性を有する。該酸付加塩類は、本発明の技術分野で周知であり、適当な酸、又は塩基化合物との接触により常法で容易に調製することができる。
また、本発明のHIV−1増殖阻害剤は、T細胞培養に好ましい特性を付与し、また、取り扱いなどを容易にするため適当な製剤用成分などを加えることができる。例えば、汎用されている担体などの製剤用成分である、増量剤、緩衝剤、pH調整剤、分散剤、安定化剤、界面活性剤、吸収促進剤などを用いることができる。また、必要に応じて着色剤、保存剤などの添加剤を用いてもよい。
【0029】
本発明の培養方法は、前記HIV−1増殖阻害剤、及び増殖刺激剤を含む培地でHIV−1感染末梢血単核球を培養することを特徴とする、HIV−1感染末梢血単核球に含まれるCD4陽性T細胞の培養方法である。
本発明では、患者から採取したHIV−1感染末梢血単核球を用いてCD4陽性T細胞の免疫的活性化、及び増殖を行う。ここで培養するのは、主としてT細胞、マクロファージ及びB細胞などを含む末梢血単核球である。本明細書における末梢血単核球という用語は、本来の末梢血単核球のみならず、CD4陽性T細胞を含む、上皮性リンパ球、腫瘍内浸潤リンパ球、癌性腹水胸水浸潤リンパ球などを含む概念である。なお、採血直後の新鮮末梢単核球を用いるのが、採血患者への身体的負担、リンパ球分離の簡便さ、分離後リンパ球の生存率の良さという点で好ましい。
【0030】
なお、本発明の方法では、前記CD4陽性T細胞の免疫学的活性化、及び増殖を行う際の採血の量、培養開始時のリンパ球の数は、特に、制限されないが、患者への負担、リンパ球分離などの処理の容易さなどを考慮し、まず、患者から約5〜50mlの少量の新鮮末梢血を採取し、そこから分離した末梢血単核球約1〜100×10個を用いて開始することが好ましい。
【0031】
また、本発明においては、培養開始時の細胞密度は1×10〜1×10個/mlとするのが好ましい。そして、培養に伴い細胞数が増加した場合、必要に応じて適当な細胞密度となるよう継代培養することにより所望の量の活性化CD4陽性T細胞を得ることができる。また、なお、培養に伴い細胞数が増加した場合、細胞培養用のプラスチック製フラスコ、COガス透過性のガス・パーミアブル・バッグなどを使用することができる。この段階ではリンパ球がCD4陽性T細胞に大量に増殖してくるため、2〜4日毎に培養器の数を増やすことが好ましい。
【0032】
また、本発明の方法では、該末梢血単核球のHIV−1感染が、R5 HIV−1、X4 HIV−1、及びR5/X4 HIV−1からなる群から選ばれるサブタイプHIV−1によるものである場合、特に有効である。本発明のHIV−1増殖阻害剤が、末梢血単核球の培養時に、特にこれらのサブタイプウイルスの増殖を抑制するからである。
【0033】
本発明では、血清等の生物由来の培養液、平衡塩類溶液にアミノ酸、ビタミン、核酸塩基などを加えた合成培地を用いることができる。例を挙げると、RPMI−1640、AIM−V、DMEM、IMDMなどがあり、特にRPMI−1640が好ましい。さらに必要に応じて、前記培地に、ウシ胎児血清、ウシ血清アルブミン、ヒト血清などを加える。特に培養液に正常ヒト血清を添加すると優れた増殖効果を得られることが多い。
【0034】
また、前記増殖刺激剤の例を挙げると、抗CD3抗体、インターフェロン、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン12(IL−12)、インターロイキン15(IL−15)などのサイトカイン類、PSK、OK−432、レンチナンなどの免疫賦活物質がある。これらを単独で、又は組み合わせて使用することができる。本発明では、例えば、抗CD3抗体とインターロイキン2とを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0035】
なお、本発明で用いる増殖刺激剤としては、特に抗CD3抗体が好ましい。これは、CD3分子に対する特異的抗体である抗CD3抗体が、T細胞表面に存在するCD3分子を刺激し、T細胞増殖を開始させるからである。該抗CD3抗体は、動物又は細胞に免疫して産生させることもできるが、安定性、コスト、品質等に優れた市販のOKT−3抗体(製造元:オーソファーマスーティカル)も入手することができる。なお、該増殖刺激剤の使用量は、その効果を得られる範囲であれば特に限定されないが、例えば、IL−2で5〜20ユニット(U)/ml、好ましくは15〜20U/ml、抗CD3抗体で5〜100μg/ml、好ましくは40〜60μg/mlである。
【0036】
該抗CD3抗体は不溶性担体の表面へ固定化して用いることが好ましい。固定化は、抗CD3抗体1〜50μg/mlを含むリン酸緩衝食塩水溶液(PBS)等の希釈液中に不溶性担体を一定時間一定温度で静置することにより行うことができる。固定化の際の反応温度は、通常4〜40℃とするのが好ましく、固定化時間は、30分から24時間とするのが好ましい。
【0037】
本発明の培養で用いるHIV−1増殖阻害剤は、前記化合物1〜5、又はこれらの塩を含み、特に化合物2又はその塩を含むものが好ましい。また、該HIV−1増殖阻害剤は、これらの化合物を単独で又は組み合わせで含んでいてもよい。なお、本発明の培地中の該化合物濃度は、適度な末梢血単核球の培養、及び増殖が得られれば特に制限されるものではないが、通常10nMol/l〜1mMol/l、好ましくは100nMol/l〜500μMol/l、特に好ましくは1μMol/l〜100μMol/lである。
【0038】
本発明の培養は、前記培地を用いて一般的な細胞培養の方法に従って行うことができる。例えば、湿潤環境を維持したCOインキュベータ内で行うことができる。該CO濃度は1〜10%、特に5%が好ましく、培養温度は30〜40℃、特に37℃が好ましい。該培養の日数に特に制限はないが、抗CD3抗体などの増殖刺激剤の情報が細胞に伝達されることが前提となるため、通常2〜20日、特に3〜7日行うことが好ましい。この培養の期間中は、顕微鏡下で細胞の状態を観察し、適宜細胞数を計測しながら、培養液を適宜追加、又は交換するのが好ましい。前記培養により必要量の末梢血単核球が得られたら、これらを遠心分離などの常法で回収し、また必要に応じて一部を継続培養する。
【0039】
本発明の培養方法により得られた末梢血単核球、又は分離されたCD4陽性T細胞を、該末梢血単核球を採取したHIV−1感染患者に投与し、その免疫力を強化することができる。それによりHIV−1の増殖を抑えAIDSの症状改善し及び進行を抑えるだけでなく、AIDSに伴う、カポジ肉腫、日和見感染などを改善することができる。また、これにより多剤併用療法の効果を高めることができる。
【0040】
なお、該培養末梢血単核球、又は分離CD4陽性T細胞を用いて、AIDS患者に対する養子免疫療法を行う場合、免疫治療剤としての該T細胞の投与量は、1回当りの細胞数を10〜1012個とするのが好ましい。該投与形態としては、注射剤、点滴剤などの液体、特に該T細胞をヒト血清アルブミン0.01〜5%を含む生理食塩液に分散した注射剤又は点滴剤が好ましい。その投与方法としては、静脈への点滴、静脈、動脈、局所などへの注射があるが、特に静脈への点滴が好ましい。また投与する液量は、投与方法、投与する場所などにより異なるが、50〜500mlとするのが好ましく、この液量に前記T細胞10〜1012個が含まれるようにする。この投与頻度は、1回/日〜1回/月とするのが好ましく、投与回数は、少なくとも1回、好ましくは5回以上である。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
AIDS患者から採取したPBMCの刺激・拡大培養モデル系として下記の実験を行った。
まず、HIV血清的陰性健常者から採取した新鮮なPBMC 1×10/mlを懸濁したRPMI−1640培地を、固定化抗CD3抗体で被覆した12ウエルプレート(3ml/ウエル)に撒き、湿潤な5%CO環境下37℃で刺激培養した。この培養に用いたRPMI培地は、牛胎児血清(FBS)10%、ヒト組み換えIL−2(塩野義製薬株式会社)50U/ml、ペニシリン100U/ml、及びストレプトマイシン100μg/U/mlを含む、RPMI−1640培地(シグマ社,Sigma,St.Louis,Mo,USA:以下、RPMI−1640培地という)である。
【0042】
次いで、培養開始から3日経過後、該PBMCを、感染多重度(MOI)0.001のウイルス懸濁液にさらした。用いたウイルスは、リン酸カルシウム法によりHIV−1分子クローンプラスミドでトランスフェクションした293T細胞を用いて調製したHIV−1 NL4−3(1)及びHIV−1 JR−CSF(2)ウイルスストックから得たものである。なお、固定された抗CD3抗体で活性化されたPBMC培養物を用いた終末点アッセイにより、前記ウイルスの50%組織培養感染投与量を決定した。
【0043】
該ウイルス感染処理を行った後、37℃で3時間、吸収させ、該細胞を無血清RPMI−1640培地で3回洗浄し、10μM T−1113(化合物2)を含む、及び含まないRPMI−1640培地に、前記PBMCの初発細胞濃度が5×10/mlとなるよう再懸濁し、6ウエルプレート(5ml/ウエル)に撒き、湿潤な5%CO環境下37℃で3日間培養した。
【0044】
さらに3日毎に2回、前記手順で細胞を処理した。生存細胞数をエオシンY色素(Eosin Y dye)を用いた色素排除法により求めた。また、HIV−1の感染を調べるため、培養上清中のHIV−1p24抗原の濃度を市販のHIV−1p24 ELISAキット(Zepto Metrix社、米国、ニューヨーク)を用いて定量し、残りの細胞を同じ条件で培養した(初発細胞濃度:2.5×10cells/ml)。
【0045】
実験の結果、図1に示すようにX4 HIV−1であるNL4−3ウイルス株、及びR5 HIV−1であるJR−CSF株に感染した9日後では、T−1113を含まない培地における生存T細胞数は、T−1113存在下の生存T細胞数の50%以下になった。また、該生存T細胞中のCD4及びCD8陽性細胞率を検討すると、図2(2)及び(4)に示すように、NL4−3株、及びJR−CSF株に感染した9日後では、T−1113を含まない培地におけるCD4陽性T細胞率は著しく低い。これに対し、図2(5)及び(6)に示すように、NL4−3株、及びJR−CSF株に感染した9日後でも、T−1113を含む培地ではCD4陽性T細胞率は、図2(1)及び(2)のHIV−1感染を伴わないコントロールとほとんど差が見られない。したがって、本実験によりT−1113は、in vitroにおけるHIV−1感染患者のPBMCの刺激培養の際に、R5及びX4両タイプのHIV−1ウイルスの増殖を強く抑制していることが判る。
【0046】
次に、本発明で、HIV−1増殖阻害剤に用いる化合物の製造方法を具体的に説明する。
(製造例1)
化合物1:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−(2−ピペリジン−1−イル)アニリンの合成
製造例1−1:
中間体1:4,8,11−トリス(ジエトキシホスホリル)−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンの合成
1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン5.20g(26.0mmol)をクロロホルム312mlに溶解し、氷冷、攪拌しながらトリエチルアミン5.78g(7.96ml,57.1mmol)を加えた。次いで、該反応系に、クロロリン酸ジエチル9.41g(7.84ml,54.5mmol)をクロロホルム(156ml)で希釈した溶液を90分間かけて滴下した。さらに室温で21時間攪拌した後、該反応液に飽和重曹水を加えクロロホルムを用いて分液抽出した。該有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(350g、クロロホルム:メタノール=15:1)により精製することにより、無色シロップ状で標記化合物4.79g(収率30.3%)が得られた。分析値は次のとおりであった。
【0047】
H−NMR(500Mz,CDCl)δ:1.27−1.33(m,18H),1.74(m,2H),1.88(m,2H),2.72(m,2H),2.80(m,2H),3.00−3.26(m,12H),3.90−4.10(m,12H)
MS(FAB):calcd for C2251 608.58,found 609(MH
製造例1−2:
中間体2:1−(1−メチレン−4−(ブロモメチレン)フェニレン)−4,8,11−トリス(ジエトキシホスホリル)−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンの合成
製造例1−1で得られた中間体1 1.22g(2.00mmol)をアセトニトリル30.5mlに溶かし、炭酸カリウム0.360g(2.60mmol)、p−キシリレンジブロミド2.65g(10.0mmol)を加え、70℃で1時間攪拌した。TLCを用いて反応終了を確認した後、該反応液に飽和食塩水を加え、クロロホルムで分液抽出を行った。該有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(フラッシュ600g、クロロホルム:メタノール=30:1)により精製することにより、無色シロップ状で標記化合物0.897g(収率56.4%)が得られた。分析値は次のとおりであった。
【0048】
H−NMR(500Mz,CDCl)δ:1.23−1.36(m,18H),1.66−1.74(m,2H),1.82−1.91(m,2H),2.30−2.35(m,2H),2.58−2.63(m,2H),2.99−3.16(m,12H),3.49(s,2H),3.95−4.07,(m,12H),4.49(s,2H),7.24(d,2H,J=8.0Hz),7.32(d,2H,J=8.0Hz)
MS(FAB):calcd for C3058BrNP,3791.63,found 792(MH
製造例1−3:
化合物1:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−(2−ピペリジン−1−イル)アニリンの合成
2−(ピペリジン−1−イル)アニリン897mg(5.09mmol)をアセトニトリル(8.06ml)に溶かし、炭酸カリウム211mg(1.53mmol)を加え、80℃で撹拌した。該反応液中に製造例1−2で得た中間体2 806mg(1.02mmol)をアセトニトリル16.1mlに溶かした溶液をゆっくり滴下し、さらに同温度で時間撹拌した。TLCを用いて反応終了を確認後、該反応液に水を加え、クロロホルムにより分液抽出した。該有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(100g、クロロホルム:メタノール=30:1)により精製し、淡黄色シロップ状で化合物1 678mgを得た。該化合物1 42.9mgを再び酢酸0.858mlに溶かし、4M塩酸/ジオキサン溶液1.29mlを加え室温で15時間撹拌した。該反応液にジエチルエーテルを加え、析出固体を遠沈させ、酢酸で洗浄し、さらにジエチルエーテルで洗浄した後、真空乾燥させ、標記化合物1の塩酸塩25.2mg(収率56%)を白色固体として得た。分析値は次のとおりであった。
【0049】
H−NMR(500MHz,DO)δ;2.72−2.18(10H,m),2.79−3.40(18H,m),3.49(2H,t,J=5.4Hz),3.82−4.02(2H,m),4.53(2H,s),7.00−7.08(2H,m),7.34(2H,d,J=8.1Hz),7.31(1H,t,J=7.1Hz),7.48(2H,d,J=8.1Hz),7.53(1H,d,J=7.1Hz)
MS(ESI):calcd for C2946 478.72,found 479(MH
(製造例2)
化合物2:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−8−アミノキノリンの合成
製造例1−2で得た中間体2 100mg(0.126mmol)を出発物質とし、2−(ピペリジン−1−イル)アニリンに代わって、8−アミノキノリン91.1mg(0.632mmol)を用いて、製造例1−3とほぼ同様の方法で反応を行った。その結果、橙色固体状の標記化合物2の塩酸塩60.1mg(収率71%)を得ることができた。分析値は次のとおりであった。
【0050】
H−NMR(500MHz,DO)δ;2.00−2.18(4H,m),2.62−3.33(16H,m),3.75(2H,s),4.72(2H,s),7.25(1H,dd,J=1.7,6.8Hz),7.28(2H,d,J=8.1Hz),7.54(2H,d,J=8.1Hz),7.58−7.63(2H,m),7.83−7.91(1H,m),8.80(1H,d,J=8.5Hz),8.94(1H,dd,J=1.5,4.9Hz)
MS(ESI):calcd for C2738 446.63,found 447(MH
(製造例3)
化合物3:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−1−アミノナフタレンの合成
製造例1−2で得た中間体2 100mg(0.126mmol)を出発物質とし、2−(ピペリジン−1−イル)アニリンに代わって1−ナフチルアミン90.4mg(0.632mmol)を用いて、製造例1−3とほぼ同様の方法で反応を行った。その結果、白緑色固体状の標記化合物3の塩酸塩20.0mg(収率26%)を得ることができた。分析値は次のとおりであった。
【0051】
H−NMR(500MHz,DO)δ;1.49(2H,brs),2.01(2H,brs),2.64−2.74(16H,m),2.89(2H,brs),3.04−3.06(2H,m),3.16(2H,brs),4.82(2H,s),7.20−7.22(2H,d,J=7.8Hz),7.36−7.40(1H,m),7.44−7.45(2H,d,J=7.8Hz),7.50−7.61(4H,m),7.91−7.93(1H,m),8.01−8.04(1H,m)
MS(ESI):calcd for C2839 445.64,found 446(MH
(製造例4)
化合物4:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−1−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレンの合成
製造例1−2で得た中間体2 100mg(0.126mmol)を出発物質とし、2−(ピペリジン−1−イル)アニリンに代わって5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン87.7μl(0.632mmol)を用いて、製造例1−3とほぼ同様の方法で反応を行った。その結果、薄白褐色固体状の標記化合物4の塩酸塩30.9mg(収率40%)を得ることができた。分析値は次のとおりであった。
【0052】
H−NMR(500MHz,DO)δ;1.64−1.66(4H,m),1.92(2H,brs),2.07−2.01(4H,m),2.41−2.42(2H,m),2.74−2.84(2H,m),3.02−3.03(12H,m),3.89(2H,brs),4.62(2H,s),7.00−7.02(1H,m),7.19−7.22(2H,m),7.24−7.30(4H,m)
MS(ESI):calcd for C2843 449.67,found 450(MH
(製造例5)
化合物5:N−(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカニル−1,4−フェニレンビス(メチレン))−3−アミノ−ビフェニルの合成
製造例1−2で得た中間体2 100mg(0.126mmol)を出発物質とし、2−(ピペリジン−1−イル)アニリンに代わって、3−アミノ−ビフェニル106.9mg(0.632mmol)を用いて、製造例1−3とほぼ同様の方法で反応を行った。その結果、白色固体状の標記化合物5の塩酸塩30.9mg(収率42%)を得ることができた。分析値は次のとおりであった。
【0053】
H−NMR(500MHz,DO)δ;1.76(2H,brs),1.89−1.97(2H,brs),2.08(4H,s),2.49−2.50(4H,m),2.85−2.94(8H,m),3.13−3.18(4H,m),3.75−3.76(2H,m),7.10−7.11(1H,m),7.22(2H,d,J=8.1Hz),7.31−7.33(3H,m),7.43−7.46(3H,m),7.49−7.59(3H,m),7.66(1H,d,J=7.8Hz)
MS(ESI):calcd for C3041 471.68,found 472(MH
(参考文献)
(1)J.Virol,59,284−291,1986
(2)Science,236,819−822,1987
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、IL−2及び抗CD3抗体で刺激培養を行ったHIV−1感染及び非感染T細胞の増殖に及ぼすT−1113の影響を示すグラフである。
【図2】図2は、IL−2で刺激培養を行ったHIV−1感染及び非感染T細胞におけるCD4及びCD8陽性T細胞の割合と、T−1113の影響を示す分布図である。図2において、(1)はコントロールを、(2)は正常T細胞を含む培地にT−1113を加えた場合、(3)はNL4−3 HIV−1に感染した細胞を培養した場合、(4)はJR−CSF HIV−1に感染した細胞を培養した場合、(5)はNL4−3 HIV−1に感染した細胞を含む培地にT−1113(10um)を加えて培養した場合、及び(6)はJR−CSF HIV−1に感染した細胞を含む培地にT−1113(10um)を加えて培養した場合のデータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1の化合物、又はその塩を含む、HIV−1増殖阻害剤:
V−CR−Ar−CR−N(R)−(CR−R (I)
式中、Vは、アミン窒素2個〜6個を有する9員〜24員の環状ポリアミン部分であって、該アミン窒素は少なくとも2個の炭素原子により、互いに間隔を置いて配置されており;
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、若しくは直鎖、分枝又は環状のC1−6アルキルからなる群から選ばれた基であり;
は、単環、又は多環式の複素環基、若しくは単環又は多環式であり、かつ置換又は非置換の芳香族又はヘテロ芳香族基であり;
Arは、芳香環又はヘテロ芳香環であって、各々は、少なくとも1の位置で、電子供与基又は電子吸引基で置換されていてもよく;かつxは、0から2の整数である。
【請求項2】
Vが、14員〜20員であり4個の窒素原子を含む、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項3】
Vが、1,4,8,11−テトラアザシクロデカンである、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項4】
、R、R、及びRが、水素原子であり、かつRが、水素原子又はCH基である、請求項1〜3のいずれか1項記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項5】
Arが、1,3、又は1,4非置換フェニレンである、請求項1〜3のいずれか1項記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項6】
Arが、1,3、又は1,4非置換フェニレンである、請求項4記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項7】
xが0である、請求項4記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項8】
が、下記(1)〜(5)のいずれか1の基である、請求項1〜3のいずれか1項記載のHIV−1増殖阻害剤。
【化1】

【請求項9】
が、下記(1)〜(5)のいずれか1の基である、請求項4記載のHIV−1増殖阻害剤。
【化2】

【請求項10】
前記式Iの化合物が、下記式2の化合物である、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤:
【化3】

式中、Aは、下記(1)〜(5)のいずれか1の基を表す。
【化4】

【請求項11】
前記式Iの化合物が、下記式3の化合物である、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤:
【化5】

【請求項12】
前記式2又は式3の化合物の塩酸塩を含む、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤。
【請求項13】
請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤、及び増殖刺激剤を含む培地でHIV−1感染末梢血単核球を培養することを特徴とする、HIV−1感染末梢血単核球に含まれるCD4陽性T細胞の培養方法。
【請求項14】
該HIV−1感染末梢血単核球の培養培地が、請求項1のHIV−1増殖阻害剤を含む、請求項13記載の培養方法。
【請求項15】
該末梢血単核球のHIV−1感染が、R5 HIV−1、X4 HIV−1、及びR5/X4 HIV−1からなる群から選ばれるサブタイプHIV−1によるものである、請求項13記載の培養方法。
【請求項16】
該培地中に含まれる、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤の該式1の化合物、又はその塩の濃度が、10〜100Mol/mlである、請求項13記載の培養方法。
【請求項17】
該培地中に含まれる、請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤の該式1の化合物、又はその塩の濃度が、10〜100Mol/mlである、請求項16記載の培養方法。
【請求項18】
該増殖刺激剤が、抗CD3抗体、インターフェロン、インターロイキン2、インターロイキン12、インターロイキン15、PSK、OK−432、レンチナンからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項13記載の培養方法。
【請求項19】
請求項1記載のHIV−1増殖阻害剤を含む、HIV−1感染末梢血単核球に含まれるCD4陽性T細胞の培養キット。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/051927
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515808(P2005−515808)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017558
【国際出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【出願人】(598002121)
【出願人】(503434911)
【出願人】(503434900)
【Fターム(参考)】