説明

HIV感染の治療のためのβ−L−2’−デオキシ−ヌクレオシド

【課題】HIVに対して活性のある化合物および医薬組成物を提供する。
【解決手段】下式化合物

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、単独または組み合わせのどちらかで、それを必要とする宿主に、本明細書で開示さた活性化合物、またはこれらの化合物の1つの薬理学的に許容されたプロドラッグまたは塩の1つまたはそれ以上の有効なHIV治療量を投与することを含む、ヒト免疫不全ウイルス(また「HIV」とも呼ばれる)の治療のための方法の領域内である。
【0002】
1981年に、先天性免疫不全症候群(AIDS)が、ヒト免疫系にひどく傷害を生じさせ、ほとんど例外なく死を導く疾患として同定された。1983年に、AIDSの病因がヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることが特定された。
【0003】
1985年に、合成ヌクレオシド3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)がヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害することが報告された。それ以来、(−)−β−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(3TC)、β−2’,3’−ジデオキシ−3’−チア−5−フルオロシチジン(FTC)、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、2’,3’−ジデオキシシチジン(DDC)および2’,3’−ジデオキシ−2’,3’−ジデヒドロチミジン(D4T)を含む多くの他の合成ヌクレオシドがHIVに対して効果的であることが証明されてきた。5’−酸リン酸への細胞質キナーゼによる細胞リン酸化の後に、これらの合成ヌクレオシドをウイルスDNAの伸張している鎖内に組み込まれ、これが3’−ヒドロキシ基がないことから鎖末端をもたらす。これらはまたウイルス酵素逆転写酵素も阻害できる。
【0004】
さまざまな合成ヌクレオシドの、in vivoおよびin vitroでのHIVの複製の阻害における成功により、多くの研究員が、ヌクレオシドの3’位の炭素原子をヘテロ原子に置換したヌクレオシドを設計し、試験するようになった。BioChem Pharma,Inc.に付与された欧州特許第0 337 713号および米国特許第5,041,449号は、抗ウイルス活性を示すラセミ体2−置換−4−置換−1,3−ジオキソランを開示している。これもBioChem Pharma, Inc.に付与された米国特許第5,047,407号および欧州特許第0 382 526号は、多くのラセミ体2−置換−5−置換−1,3−オキサチオランヌクレオシドが抗ウイルス活性を持つことを開示しており、とりわけ2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(BCH−189と表記する)のラセミ体混合物が毒性は少ないが、AZTとほぼ同様のHIVに対する活性を持つことを報告している。Liottaらに付与された米国特許第5,539,116号によって示された、3TCとして知られるラセミ化合物BCH−189の(−)−エナンチオマーは、最近AZTとの組み合わせで、米国でヒトのHIVの治療のために販売されている。
【0005】
シス−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(「FTC」)が強力なHIV活性を持つことも開示されてきた。Schinaziらの「シス−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンのラセミ混合物およびエナンチオマーによるヒト免疫不全ウイルスの選択的阻害(Selective Inhibition of Human Immunodeficiency viruses by Racemates and Enantiomers of cis−5−Fluoro−1−[2−(Hydroxymethyl)−1,3−Oxathiolane−5−yl]Cytosine) Antimicrobial Agents and Chemotherapy,November,1992,pp.2423−2431。また米国特許第5,210,085号、第5,814,639号、第5,728,575号、第5,827727号、第5,914,331号、第WO91/11186号、第WO92/14743号も参照のこと。
【0006】
Emory大学、UAB Research FoundationおよびCentre National de la Recherche Scientifiqueによって出願された第WO96/40164号は、B型肝炎の処置のための多くのβ−L−2’,3’−ジデオキシヌクレオチドを開示している。
【0007】
これもEmory大学、UAB Research FoundationおよびCentre National de la Recherche Scientifiqueによって出願された第WO95/07287号は、HIV感染の治療のための2’または3’デオキシおよび2’,3’−ジデオキシ−β−L−ペントフラノシルヌクレオシドを開示している。
【0008】
Genencor International,Inc.,およびLipitek,Inc.によって出願された第WO96/13512号は、抗癌剤および殺ウイルス剤としてのL−リボフラノシルヌクレオシドの調製を開示している。
【0009】
第WO95/32984号は免疫抑制剤として ヌクレオシド一リン酸の脂質エステルを開示している。
【0010】
第DE4224737号は、シトシンヌクレオシドとその薬理学的使用を開示している。
【0011】
Biochem.Pharmacol.48(7)、1477−81頁,1994でTsaiらは抗HIV薬剤2’−β−D−F−2’,3’−ジデオキシヌクレオシド類似体の、ミトコンドリアDNAの細胞含量および乳酸産出における効果を開示している。
【0012】
Galvez,J.Chem.Inf.Comput.Sci.(1994),35(5),1198−203は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンの分子評価を開示している。
【0013】
Mahmoudian,Pharm.Research 8(1),43−6(1991)は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンのようなHIV薬剤の定量的構造−活性相関解析を開示している。
【0014】
米国特許第5,703,058号は、HIVおよびHBV感染の処置のための(5−カルボキシミドまたは5−フルオロ)−(2’,3’−不飽和または3’−改変)ピリミジンヌクレオシドを開示している。
【0015】
LinらはJ.Med.Chem.31(2),336−340(1988)にてβ−D−ヌクレオシドのさまざまな3’−アジド類似体の合成および抗ウイルス活性を開示している。
【0016】
後天性免疫不全症候群およびAIDS関連複合体が世界規模で伝染レベルに達し、感染した患者に悲惨な影響を持つという事実を考えると、宿主への毒性が少ない、これらの疾患を治療するための新規の効果的な薬剤を提供する強い必要性が残っている。
【0017】
HIVに感染したヒト患者または他の宿主動物の治療のための化合物および方法を提供することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許第0337713号明細書
【特許文献2】米国特許第5,041,449号明細書
【特許文献3】米国特許第5,047,407号明細書
【特許文献4】欧州特許第0382526号明細書
【特許文献5】米国特許第5,539,116号明細書
【特許文献6】米国特許第5,210,085号明細書
【特許文献7】米国特許第5,814,639号明細書
【特許文献8】米国特許第5,728,575号明細書
【特許文献9】米国特許第5,827,727号明細書
【特許文献10】米国特許第5,914,331号明細書
【特許文献11】国際公開第91/11186号
【特許文献12】国際公開第92/14743号
【特許文献13】国際公開第96/40164号
【特許文献14】国際公開第95/07287号
【特許文献15】国際公開第96/13512号
【特許文献16】国際公開第95/32984号
【特許文献17】独国特許発明第4224737号明細書
【特許文献18】米国特許第5,703,058号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,November,1992,pp.2423−2431
【非特許文献2】Biochem.Pharmacol.48(7)、1477−81頁,1994
【非特許文献3】Galvez,J.Chem.Inf.Comput.Sci.(1994),35(5),1198−203
【非特許文献4】Mahmoudian,Pharm.Research 8(1),43−6(1991)
【非特許文献5】LinらJ.Med.Chem.31(2),336−340(1988)
【発明の概要】
【0020】
(発明の要約)
ヒトおよび他の宿主動物でのHIV感染の治療のための方法は、任意に医薬的に許容可能な担体中で、単独または他の抗HIV剤との組み合わせまたは交互のいずれかで、β−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンヌクレオチド、または安定化リン酸を含む医薬的に許容可能なその塩、エステルまたはプロドラッグの効果的なHIV処理量を宿主に投与することを含んで開示する。好ましい実施形態において、2’または3’−アジド基はリボシル配座である。
【0021】
開示されたβ−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンヌクレオシドまたは医薬的に許容可能な塩、エステル、またはプロドラッグまたはこれらの化合物を含む医薬的に許容可能な処方は、HIV感染および後天性免疫不全症候群(AIDS)、AIDS−関連複合体(ARC)、持続性全身性リンパ節腫(PGL)、AIDS−関連神経状態、抗HIV抗体陽性およびHIV−陽性状態、カポージ肉腫、血小板減少プルプレアおよび日和見感染のような他の関連状態の予防および治療で有用である。これらの化合物または製剤はまた、抗HIV抗体またはHIV抗原陽性の個人またはHIVに暴露されてきた個人での臨床的疾患の発展を防止するかまたは妨害するために予防的に使用することができる。
【0022】
一つの実施形態において、活性化合物は、式
【0023】
【化1】

(式中、RはH、アシル、一リン酸、二リン酸または三リン酸、または(安定したヌクレオチドプロドラッグを形成するために)安定リン酸誘導体であり、R’はH、アシルまたはアルキルである)の、β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグである。
【0024】
他の実施形態において、活性化合物は、式
【0025】
【化2】

(式中、RはH、アシル、一リン酸、二リン酸または三リン酸、または(安定したヌクレオチドプロドラッグを形成するために)安定リン酸誘導体であり、R’はH、アシルまたはアルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−3’−A−5−FddC)またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグである。
【0026】
他の実施形態において、L−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドを、以下でさらに詳細に記述したようなHIVに対する活性を示す一つまたはそれ以上の化合物と交互にまたは組み合わせで投与する。一般的に、交互治療の間には効果的な用量のそれぞれの薬剤を連続して投与する一方で、組み合わせ治療の場合、効果的な用量の二つまたはそれ以上の薬剤を一緒に投与する。用量は薬剤の吸収、不活性化および排出速度および当業者に公知の他の因子に依存する。用量値はまた軽減すべき状態のひどさによって変化する可能性があること注意すべきである。さらに、特定の対象に対して、特定の用量管理およびスケジュールを、個々の必要性および投与するかまたは組成物の投与を管理している人物の専門的な判断に従ってそのうち調製されるべきであることも理解されるべきである。1つの好適な実施形態において、化合物はAZDUとの組合せで投与する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は3’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的な反応図式の図解である。
【図2】図2は2’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的な反応図式の図解である。
【図3】図3はβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−3’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【図4】図4はβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な記述)
ヒトまたは他の宿主動物でのHIV感染の処置のための方法を、任意に医薬的に許容可能な担体中で、単独または他の抗HIV剤との組み合わせまたは交互のいずれかで、β−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンヌクレオチド(以下「L−(2’または3’)−A−5FddC」と表す)、または安定化リン酸を含む医薬的に許容可能なその塩、エステルまたはプロドラッグの効果的なHIV処理量を宿主に投与することを含んで開示する。
【0029】
本明細書で記述した化合物は後天性免疫不全症候群(AIDS)、AIDS− 関連複合体(ARC)、持続性全身性リンパ節腫(PGL)、AIDS−関連神経状態、抗HIV抗体陽性およびHIV−陽性状態、カポージ肉腫、血小板減少プルプレアおよび日和見感染を含むAIDSおよびAIDS関連状態を処置するために使用できる。本発明の方法には、抗HIV抗体またはHIV抗原陽性の個人、またはHIVに曝露されてきた個人における臨床的疾患の発展を防止するかまたは妨害するための予防的なL−(2’または3’)−A−5−FddCの使用が含まれる。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に単一イソマーの形態で(substantially in the form of a single isomer)」「実質的に〜なしの(substantially free of)」または「実質的に〜の非存在下で(substantially in the absence of)」は、少なくともおよそ95%が示された立体配置であることを表す。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語アルキルは、特に明記しない限り、C〜C10の飽和直鎖、分岐鎖または環状、第一級、第二級、または第三級炭化水素を示し、とりわけメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、へキシル、イソへキシル、シクロへキシル、シクロへキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルを含む。アルキル基は任意に、1つまたはそれ以上の、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルフォン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、またはホスホン酸塩からなる群より選択した部分で置換してよく、保護されず、または必要に応じて、たとえばGreeneら「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons,Second Edition,1991で説かれているように当業者に対して公知のように保護してよい。本明細書で使用するとき、用語低アルキルは、特に言及しない限り、C〜Cエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチルまたはt−ブチル基を表す。本明細書で使用するとき、用語アシルは、式−C(O)R’の部分を表し、式中、R’はアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、ヘテロ芳香性、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアリールアルキル、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル、任意にハロゲンで置換されたフェニルを含むアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシまたはアミノ酸の残基である。用語アシルはとりわけ、アセチル、プロピニル、ブチリル、ペンタノイル、3−メチルブチリル、コハク酸水素、3−クロロ安息香酸、ベンゾイル、アセチル、ピバロイル、メシレート、プロピニル、バレリル、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を含むが、これらに限定はしない。
【0032】
L−(2’または3’)−A−5FddCヌクレオシドは、たとえば酸ハライドまたは酸無水物のような好適なエステル化剤との反応によって、医薬的に許容可能なエステルに変換できる。ヌクレオシドまたはその医薬的に許容可能なプロドラッグは、従来の方法で、たとえば好適な塩基または酸で処理することでその医学的に許容可能な塩に変換できる。前記エステルまたは塩はたとえば加水分解によって親ヌクレオシドに変換できる。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語医薬的に許容可能な塩または複合体は、親化合物の望ましい生物学的活性を残し、可能ならば、望ましくない毒性効果が最小であるL−(2’または3’)−A−5−FddCの塩または複合体を表す。そのような塩の非限定的な例は、(a)無機塩(たとえば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成した酸添加塩、および酢酸、シュウ酸、酒石酸、スクシニル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイル酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸のような有機酸と形成した塩、(b)ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどのようなカチオンと、またはN,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、アンモニウムまたはエチレンジアミンから形成した有機カチオンと形成した塩基添加塩、または(c)タンニン酸亜鉛などの(a)および(b)の混合物である。
【0034】
本明細書で使用するとき、用語プロドラックは、in vivoでの投与においてヌクレオシドに変換するか、またはそれ自身で活性を持つ化合物を表す。非限定的な例には、本明細書で記述したような医薬的に許容可能な塩(あるいは「生理学的に許容可能な塩(physiologicaly acceptalle salts)」と表す)および活性化合物の5’およびNアシル化またはアルキル化誘導体、および5’−一リン酸、二リン酸、または三リン酸誘導体または安定化リン酸プロドラッグ(あるいは「生理学的または医薬的に許容可能な誘導体(physiologically or pharmaceutically acceptable derivatives)」として表す)またはリン酸脂質プロドラッグである。
【0035】
活性化合物の、とりわけNおよび5’−O位での改変が、バイオアベイラビリティおよび活性種の代謝速度に影響を与えることができ、したがって、活性種の送達における制御を提供することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態は、ヒトまたは他の宿主細胞でのHIV感染の治療のための方法であって、任意に医薬的に許容可能な担体中で、有効量のL−2’−A−5−FddCおよびL−3’−A−5−FddCからなる群より選択したL−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシド、またはリン酸塩、5’および/またはNアルキル化またはアシル化誘導体を含むその医薬的に許容可能なプロドラッグ、またはその医薬的に許容可能な塩の1つまたはそれ以上を投与することを含む。本発明の化合物は、抗HIV活性を持つか、抗HIV活性を表す化合物または化合物群に代謝されるかどちらかである。好ましい実施形態において、L−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドは本質的に単一イソマーの形態で、すなわち少なくともおよそ95%が示した立体配座で投与する。
【0037】
組合せまたは交互治療
HIVの薬剤耐性変異体が抗ウイルス剤での長い治療の後に現れてくることが認識されてきた。薬物耐性はほとんど典型的に、ウイルスのライフサイクルで使用されたタンパク質をコードしている遺伝子の変異導入によって起こる。最近、HIV感染に対する薬物の効力は化合物を第二の、できれば第三の基本薬物によって引き起こされる異なる変異導入を誘導する抗ウイルス化合物と組合せで、または交互に投与することで引き延ばし、増加させ、回復させることができることが示されてきた。あるいは、薬物の薬物動態学、体内分布または他のパラメータを、そのような組合せまたは交互治療によって変更することができる。一般的に、ウイルスに対して多重の刺激性ストレスを誘導するので、組合せ治療は交互治療よりも典型的に好ましい。
【0038】
1つの実施形態において、HIVの治療のための第二の抗ウイルス剤は、逆転写酵素阻害剤(「RTI」)であり得、合成ヌクレオシド(「NRTI」)または非ヌクレオシド化合物(「NNRTI」)のどちらかであり得る。代替の実施形態において、HIVの場合、第二(または第三)の抗ウイルス剤はプロテアーゼ阻害剤であり得る。他の実施形態において、第二(第三)の化合物はピロリン酸類似体または融合結合阻害剤であり得る。多くの抗ウイルス化合物に関してin vitroおよびin vivoで収集した耐性データを編集したリストが、Schinaziら,薬物耐性に関連したレトロウイルス遺伝子での変異(Mutations in retroviral genes associated with drug resistance)、International Antiviral News,Volume 1(4),International Medical Press 1996で見ることができる。
【0039】
本明細書に開示されたHIV治療に対する化合物と組合せで、または交互に使用できる抗ウイルス剤の好ましい例には、2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(FTC)、2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(3TC)の(−)−エナンチオマー、カルボビル、アシクロビル、インターフェロン、AZT、DDI、DDC、D4T、CS−92(3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−メチル−シチジン)およびβ−D−ジオキソールアニル−グアニン(DXG)、β−D−ジオキソールアニル−2,6−ジアミノプリン(DAPD)、β−D−ジオキソールアニル−6−クロロプリン(ACP)のようなβ−D−ジオキソランヌクレオシド、MKC−442(6−ベンジル−1−(エトキシメチル)−5−イソプロピルウラシルが含まれる。
【0040】
好ましいプロテアーゼ阻害剤には、クリキソバン(Merck)、ネルフィナビル(Agouron)、リトナビル(Abbot)、サクイナビル(Roche)およびDMP−450(DuPont Merck)が含まれる。
【0041】
本発明の任意のβーL−(2’または3−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンと組合せで、または交互に投与できる化合物の非限定的な例には、(1S,4R)−4−[2−アミノ−6−シクロプロピル−アミノ)−9H−プリン−9−イル]−2−シクロペンテン−1−メタノール琥珀酸塩(「1592」、カルボビル類似体、Glaxo Wellcome)、3TC:(−)−β−L−2’,3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン(Glaxo Wellcome)、a−APA R18893:a−ニトロ−アニリノ−フェニルアセタミド、A−77003:C2対称性に基づいたプロテアーゼ阻害剤(Abbott)、A−75925:C2対称性に基づいたプロテアーゼ阻害剤(Abbott)、AAP−BHAP:ビスへテロアリールピペラジン類似体(Upjohn)、ABT−538:C2対称性に基づいたプロテアーゼ阻害剤(Abbott)、AzddU:3’−アジド−2’,3’−ジデオキシウリジン、AZT:3’−アジド−3’−デオキシチミジン(Glaxo Wellcome)、AZT−p−ddI:3’−アジド−3’−デオキシチミジイル−(5’,5’)−2’,3’−ジデオキシイノシン酸(Ivax)、BHAP:ビスへテロアリールピペリジン、BILA1906:N−{1S−[[[3−[2S−{(1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル}−4R−]3−ピリジニルメチル)チオ]−1−ピペリジニル]−2R−ヒドロキシ−1S−(フェニルメチル)−プロピル]アミノ]カルボニル]−2−メチルプロピル}−2−キノリンカルボキシアミド(Bio Mega/Boehringer−Ingelheim)、BILA 2185:N−(1,1−ジメチルエチル)−1−[2S−[(2−2,6−ジメチルフェノキシ)−1−オキソエチル]アミノ]−2R−ヒドロキシ−4−フェニルブチル]4R−ピリジニルチオ)−2−ピペリジンカルボキシアミド(Bio Mega/Boehringer−Ingelheim)、BM+51.0836:チアゾロ−イソインドリノン誘導体、BMS 186,318:アミノジオール誘導HIV−1プロテアーゼ阻害剤(Bristol−Myers−Squibb)、d4API:9−[2,5−ジヒドロ−5−(ホスホノメトキシ)−2−フラネル]アデニン(Gilead)、d4C:2’,3’−ジデヒドロ−2’,3’−ジデオキシシチジン、d4T:2’,3’−ジデヒドロ−3’−デオキシチミジン(Bristol−Myers−Squibb)、ddC:2’,3’−ジデオキシシチジン(Roche)、ddI:2’,3’−ジデオキシイノシン(Bristol−Myers−Squibb)、DMP−226:1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−2−オン、DMP−450:{[4R−(4−a,5−a,6−b,7−b)]−ヘキサヒドロ−5,6−ビス(ヒドロキシ)−1,3−ビス(3−アミノ)フェニル]メチル)−4,7−ビス(フェニルメチル)−2H−1,3−ジアゼピン−2−オン}−ビスメシラート(Avid)、DXG:(−)−β−D−ジオキシラン−グアノシン(Triangle)、EBU−dM:5−メチル−1−エトキシメチル−6(3,5−ジメチルベンジル)ウラシル、E−EBU:5−エチル−1−エトキシメチル−6−ベンジルウラシル、DS:デキストラン硫酸、E−EPSeU:1−(エトキシメチル)−(6−フェニルセレニル)−5−エチルウラシル、E−EPU:1−(エトキシメチル)−(6−フェニル−チオ)−5−エチルウラシル、FTC:β−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロ−3’−チアシチジン(Triangle)、HBY097:S−4−イソプロポキシカルボニル−6−メトキシ−3−(メチルチオ−メチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−2(1H)−チオン、HEPT:1−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]6−(フェニルチオ)チミン、HIV−1:ヒト免疫不全ウイルス1型、JM2763:1,1’−(1,3−プロパンジイル)−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(Johnson Matthey)、JM3100:1,1’−[1,4−フェニレンビス−(メチレン)]−ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(Johnson Matthey)、KNI−272:(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸含有トリペプチド、L−697,593:5−エチル−6−メチル−3−(2−フタリミド−エチル)ピリジン−2(1H)−オン、L−735,524:ヒドロキシ−アミノペンタンアミドHIV−1プロテアーゼ阻害剤(Merck)、L−697,661:3−{[(−4,7−ジクロロ−1,3−ベンゾキサゾール−2−イル)メチル]アミノ}−5−エチル−6−メチルピリジン−2(1H)−オン、L−FDDC:(−)−β−L−5−フルオロ−2’,3’−ジデオキシシチジン、L−FDOC:(−)−β−L−5−フルオロ−ジオキソランシトシン、MKC442:6−ベンジル−1−エトキシメチル−5−イソプロピルウラシル(I−EBU、Triangle/Mitsubishi)、ネビラピン(Nevirapine):11−シクロプロピル−5,11−ジヒドロ−4−メチル−6H−ジピリドール[3,2−b:2’,3’−e]ジアゼピン−6−オン(Boehringer−Ingelheim)、NSC648400:1−ベンジルオキシメチル−5−エチル−6−(アルファ−ピリジルチオ)ウラシル(E−BPTU)、P9941:[2−ピリジルアセチル−IlePheAla−y(CHOH)]2(Dupont Merck)、PFA:ホスホノギ酸(foscarnet、Astra)、PMEA:9−(2−ホスホニルメトキシエチル)アデニン(Gilead)、PMPA:(R)−9−(2−ホスホニルーメトキシプロピル)アデニン(Gilead)、Ro 31−8959:ヒドロキシエチルアミン誘導HIV−1プロテアーゼ阻害剤(Roche)、RPI−312:ペプチジルプロテアーゼ阻害剤、1−[(3s)−3−(n−アルファ−ベンジルオキシカルボニル)−1−アスパラギニル)−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブチリル]−n−tert−ブチル−1−プロリンアミド、2720:6−クロロ−3,3−ジメチル−4−(イソプロペニルオキシカルボニル)−3,4−ジヒドロ−キノキサリン−2(1H)チオン、SC−52151:ヒドロキシエチル尿素等配電子体プロテアーゼ阻害剤(Searle)、SC−55389A:ヒドロキシエチル−尿素等配電子体プロテアーゼ阻害剤(Searle)、TIBO R82150:(+)−(5S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−5−メチル−6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ[4,5,1−jk][1,4]−ベンゾジアゼピン−2(1H)−チオン(Janssen)、TIBO 82913:(+)−(5S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−9−クロロ−5−メチル−6−(3−メチル−2−ブテニル)イミダゾ[4,5,1jk]−[1,4]ベンゾ−ジアゼピン−2(1H)−チオン(Janssen)、TSAO−m3T:[2’,5’−ビス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)−3’スピロ−5’−(4’−アミノ−1’,2’−オキサチオール−2’,2’−ジオキシド)]−b−D−ペントフラノシル−N3−メチルチミン、U90152:1−[3−[(1−メチルエチル)−アミノ]−2−ピリジニル]−4−[[5−[(メチルスルホニル)−アミノ]−1H−インドール−2イル]カルボニル]ピペラジン、UC:チオカルボキサニリド誘導体(Uniroyal)、UC−781=N−[4−クロロ−3−(3−メチル−2−ブテニルオキシ)フェニル]−2−メチル−3−フラノカルボチオアミド、UC−82=N−[4−クロロ−3−(3−メチル−2−ブテニルオキシ)フェニル]−2−メチル−3−チオフェンカルボチオアミド、VB 11,328:ヒドロキシエチル−スルホンアミドプロテアーゼ阻害剤(Vertex)、VX−478:ヒドロキシエチルスルホンアミドプロテアーゼ阻害剤(Vertex)、XM 323:環状尿素プロテアーゼ阻害剤(Dupont Merck)またはDMP−266(efavirenz,Sustiva)が含まれる。
【0042】
活性化合物の調製
立体化学
ヌクレオシドの糖またはジオキソラニル部分(以下一般的に糖部分と記す)の1’および4’炭素はキラルであるので、その非水素置換物(それぞれCHORおよびピリミジンまたはプリン残基)は、糖環系に関してシス(同じ側)またはトランス(反対側)のどちらかであり得る。したがって、4つの光学的イソマーを、(C1’とC4’原子の間の「第一」酸素が後ろにあるように水平面で糖部分を方向付けした場合)以下の配座によって表すことができる。「β」または「シス」(両方の群が「上」であり、通常存在するヌクレオシドの配座、すなわちD配座に相当する)、「β」またはシス(両方の群が「下」であり、通常はとらない配座、すなわちL配座)、「α」または「トランス」(C2置換が「上」でC5置換が「下」である)およびトランス(C2置換が「下」で、C5置換が「上」)。
【0043】
本発明の活性ヌクレオシドは、アジド基がリボシル配座である、β−L−配座である。
【0044】
ヌクレオチドプロドラッグ
本明細書で記述した任意のヌクレオシドは、活性、バイオアベイラビリティ、安定性を増加させるために、さもなくばヌクレオシドの特性を変えるために、安定化したヌクレオチドプロドラッグとして投与してよい。多くのヌクレオチドプロドラッグリガンドが公知である。、一般的に、ヌクレオシドの一、二、または三リン酸のアルキル化、アシル化または他の脂質親和性改変によりヌクレオチドの安定性が増加する可能性がある。リン酸部分上の1つまたはそれ以上の水素を置換できる置換基の例は、アルキル、アリール、ステロイド、糖、1,2−ジアシルグリセロールおよびアルコールを含む炭化水素である。多くはR.Jones and N.Bischofberger,Antiviral Research,27(1995)1−17に記述されている。これらの任意のものは望ましい効果を発揮するために開示したヌクレオシドと組み合わせて使用してよい。
【0045】
1つの実施形態において、L−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドが5’−ヒドロキシル脂質親和性プロドラッグ、すなわち5’−エーテル脂質または5’−ホスホエーテル脂質として提供される。ヌクレオシド内に、好ましくはヌクレオシドまたは脂質親和性調製品の5’−OH位で共有的に組み込むことができる、公的な脂質親和性置換基を開示している米国特許の非限定的な例には、米国特許第5,149,794号(1992年9月2日、Yatvinら)、第5,194,654号(1993年6月16日、Hostetlerら)、第5,223,263号(1993年6月29日、Hostetlerら)、第5,256,641号(1993年10月26日、Yatvinら)、第5,411,947号(1995年6月2日、Hostetlerら)、第5,463,092号(1995年10月31日、Hostetlerら)、第5,543,389号(1996年8月6日、Yatvinら)、第5,543,390号(1996年8月6日、Yatvinら)、第5,543,391号(1996年8月6日、Yatvinら)および第5,554,728号(1996年9月10日、Basavaら)が含まれる。
【0046】
本発明のL−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシド誘導体に結合できる脂質親和性置換基または脂質親和性調製物を開示する外国特許明細書には、第WO89/02733号、第WO90/00555号、第WO91/16920号、第WO91/18914号、第WO93/00910号、第WO94/26273号、第WO96/15132号、欧州特許第EP 0 350 287号、第EP 93917054.4号および第WO91/19721号が含まれる。
【0047】
L−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドのさらなる非限定的例は、以下の発行物で記述されたような置換物を含むものである。これらの誘導したヌクレオシドは、テキストで示したような指示に対してまたはさもなければ抗HIV剤のようなものを含む抗ウイルス剤として使用してよい。Ho,D.H.W.(1973)ヒトおよびマウスの組織での1b−D−アラビノフラノシルシトシンのキナーゼおよびデアミナーゼの分布(Distribution of Kinase and deaminase of 1b−D−arabinofuranosylcytosine in tissues of man and mouse.)Cancer Res.33,2816−2820、Holy,A(1993)イソ極性リン酸改変ヌクレオチド類似体(Isopolar phosphorous−modified nucleotide analogues.)In:De Clercq(Ed.),Advances in Antiviral Drug Design,Vol.I,JAI Press,pp.179−231、Hong,C.I.,Nechaev,A.,and West,C.R.(1979a)コルチゾールおよびコルチゾンの1b−D−アラビノフラノシルシトシン共役物の合成および抗腫瘍活性(Synthesis and antitumor activity of 1b−D−arabinofuranosylcytosine conjugates of cortisol and cortisone.)Biochem.Biophys.Rs.Commun.88,1223−1229、Hong,C.I.,Nechaev,A.,Kirisits,A.J.Buchheit,D.J.and West,C.R.(1980)強力な抗腫瘍剤としてのヌクレオシド共役物。3.コルチコステロイドおよび選択脂質親和性アルコールの1−(b−D−アラビノフラノシル)シトシン共役物の合成および抗腫瘍活性(Nucleoside conjugates as potential antitumor agents.3.Synthesis and antitumor activity of 1−(b−D−arabinofuranosyl)cytosine conjugates of corticosteroids and selected lipophilic alcohols.)J.Med.Chem.28,171−177、Hostetler,K.Y.,Stuhmiller,L.M.,Lenting,H.B.M.van den Bosch,H.and Richman,D.D.(1990)アジドチミジンおよび他の抗ウイルスヌクレオシドのリン脂質類似体の合成および抗レトロウイルス活性(Sythesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothmidine and other antiviral nucleosides.)J.Biol.Chem.265,6112−6117、Hostetler,K.Y.,Carson,D.A.and Richman,D.D.(1991)ホスファチジルアジドチミジン:CEM細胞での抗レトロウイルス活性の機構(Phosphatidylazidothymidine:mechanism of antiretroviral action in CEM cells.)J.Biol.Chem.266,11714−11717、Hostetler,K.Y.,Korba,B.Sridhar,C.,Gardener,M.(1994a)B型肝炎感染細胞でのホスファチジル−ジデオキシシチジンの抗ウイルス活性およびマウスでの肝取り込みの増加(Antiviral activity of phophatidyl−dideoxycytdine in hepatitis B−infected cells and enhanced hapatic uptake in mice.)Antiviral Res.24,59−67、Hostetler,K.Y.,Richman,D.D.,Sridhar,C.N.Felgner,P.L,Felgner,J.,Ricci,J.,Gardener,M.F.Selleseth,D.W.and Ellis,M.N.(1994b)ホスファチジルアジドチミジンおよびホスファチジル−ddC:マウスリンパ組織での取り込みおよびヒト免疫不全ウイルス感染細胞およびラッシャー白血病ウイルス感染マウスでのウイルス活性の査定(Phosphatidylazidothymidine and phosphatdyl−ddC:Assessment of uptake in mouse lymphoid tissues and antiviral activities in human immunodeficiency virus−infected cells and in rauscher leukemia virus−infected mice.)Antimicrobial Agents Chemother.38,2792−2797、Hunston,R.N.,Jones,A.A.McGuigan,C.,Walker,R.T.,Balzarini,J.,and De Clercq,E.(1984)2’−デオキシ−5−フルオロウリジン由来の環状リン酸トリエステルの合成および生物学的特性(Synthesis and biological properties of some cyclic phosphotriesters derived from 2’−deoxy−5−fluorouridine.)J.Med.Chem.27,440−444、Ji.Y.H.,Moog,C.,Schmitt,G.,Bischoff,P.and Luu,B.(1990)、強力な抗腫瘍剤としての7b−ヒドロキシコレステロールの、およびピリジンヌクレオシドの一リン酸ジエステル:抗腫瘍活性の合成および予備評価(Monophophoric acid diesters of 7b−hydroxycholesterol and of pyrimidine nucleosides as potential antitumor agents:synthsis and preliminary evaluation of antitumor activity.)J.Med.Chem.33,2264−2270、Jones,A.S.,McGuigan,C.,Walker,R.T.,Balzarini,J.and DeClercq,E.(1984)ヌクレオシド環状ホスホルアミドの合成、特性および生物学的活性(Synthesis,properties,and biologcal activity of some nucleoside cyclic phosporamidates.)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1471−1474、Juodka,B.A.and Smart,J.(1974)ジトリボヌクレオシドa(P→N)アミノ酸誘導体の合成(Synthesis of ditribonucleoside a(P→N) amino acid derivatives.)Coll.Czech.Chem.Comm.39,363−968、Kataoka,S.,Imai,J.,Yamaji,N.,Kato,M.,Saito,M.,Kawada,T.and Imai,S.(1989)アルキル化cAMP誘導体;選択的合成および生物学的活性(Alkylated cAMP derivatives;selective synthesis and biological activities.)Nucleic Acids Res.Sym.Ser.,21,1−2、Kataoka,S.,Uchida,R.and Yamaji,N.(1991)アデノシン3’,5’環状リン酸(cAMP)ベンジルおよびメチルトリエステルの便利な合成(A convenient synthesis of adenosine 3’,5’ cyclic phosphate(cAMP) benzyl and methyl triesters.)Heterocycles 32,1351−1356、Kinchington,D.,Harvey,J.J.,O’Connor,T.J.,Jones,B.C.N.M.,Devine,K.G.,Taylor−Robinson,D.,Jeffries,D.J.and McGuigan,C(1992)in vitroにおけるHIVおよびULVに対するジドブジンホスホルアミド酸およびホスホロジアミド酸酸誘導体の抗ウイルス効果の比較(Comparison of antiviral effects of zidovudine phosphoramidate and phosphorodiamidate derivatives against HIV and ULV in vitro.)Antiviral Chem.Chemother.3,107−112、Kodama,K.,Morozumi、M.,Saitoh,K.I.,Kuninaka,H.,Yoshino,H.and Saneyoshi,M.(1989)1−b−D−アラビノフラノシルシトシン−5’−ステアリルリン酸の抗腫瘍活性および薬理学;1−b−D−アラビノフラノシルシトシンの経口活性誘導体(Antitumor activity and pharmacology of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine−5’−stearylphosphate;an orally active derivative of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine.)Jpn.J.Cancer Res.80,679−685、Korty,M.and Engels,J.(1979)ギニーブタ心室心筋におけるアデノシン−およびグアノシン−3’,5’−リンおよび酸ベンジルエステルの効果(The effects of adenosine− and guanosine 3’,5’−phosphoric and acid benzyl esters on guinea−pig ventricular myocardium.)Naunyn−Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.310,103−111、Kumar,A.,Goe,P.L.,Jones,A.S.Walker,R.T.Balzarini,J.and De Clercq,E.(1990)環状ホスホルアミド酸ヌクレオシド誘導体の合成および生物学的評価(Synthesis and biological evaluation of some cyclic phosphoramidate nucleoside derivatives.)J.Med.Chem.33,2368−2375、LeBec,C.,and Huynh−Dinh,T.(1991)抗癌プロドラッグとしての5−フルオロウリジンおよびアラビノシチジンの脂質親和性リン酸トリエステル誘導体の合成(Synthesis of lipophilic phosphate triester derivatives of 5−fluorouridine and arabinocytidine as anticancer prodrugs.)
Tetrahedron Lett.32,6553−6556、Lichtenstein,J.,Barner,H.D.and Cohen,S.S.(1960)大腸菌による外来より供給したヌクレオチドの代謝(The metabolism of exogenously supplied nucleotides by Escherichia coli.)J.Biol.Chem.235,457−465、Lucthy,J.,Von Daeniken,A.,Friederich,J.Manthey,B.,Zweifel,J.,Schlatter,C.and Benn,M.H.(1981)3つ通常存在するシアノエピチオアルカンの合成と毒性特性(Synthesis and toxicological properties of three naturally occurring cyanoepithioalkanes.)Mitt.Geg.Lebensmitelunters.Hyg.72,131−133(Chem.Abstr.95,127093)、McGuigan,C.Tollerfield,S.M.and Riley,P.A.(1989)抗ウイルス薬剤Araのリン酸トリエステル誘導体の合成および生物学的評価(Synthesis and biological evaluation of some phosphate triester derivatives of the anti−viral drug Ara.)Nucleic Acids Res.17,6065−6075、McGuigan,C.,Devine,K.G.,O’Connor,T.J.,Galpin,S.A.,Jeffries,D.J.and Kinchington,D.(1990a)抗HIV化合物としての3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)の新規ホスホルアミド誘導体の合成および評価(Synthesis and evaluation of some novel phosphoramidate derivatives of 3’−azido−3’−deoxythymidine(AZT) as anti−HIV compounds.)Antiviral Chem.Chemother.1,107−113、McGuigan,C.,O’Connor,T.J.,Nicholls,S.R.Nickson、C.and Kinchington,D.(1990b)AZTおよびddCydの新規置換リン酸ジアルキル誘導体の合成および抗HIV活性(Synthesis and anti−HIV activity of some novel substituted dialkyl phosphate derivatives of AZT and ddCyd.)Antiviral Chem.Chemother.1,355−360、McGuigan,C.,Nicholls,S.R.,O’Connor,T.J.and Kinchington,D.(1990c)潜在的な抗AIDS薬物としての3’−改変ヌクレオシドの新規リン酸ジアルキル誘導体の合成(Synthesis of some novel dialkyl phosphate derivative of 3’−modified nucleosides as potential anti−AIDS drugs.)Antiviral Chem.Chemother.1,25−33、McGuigan,C.,Devine,K.G.,O’Connor,T.J.,and Kinchington,D.(1991)3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)のハロアルキルホスホルアミド誘導体の合成および抗HIV活性;トリクロロエチルメトキシアラニル化合物の強力な活性(Synthesis and anti−HIV activity of some haloalkyl phosphoramidate derivatives of 3’−azido−3’−deoxythymidine(AZT);potent activity of the trichloroethyl methoxyalaninyl compound.)Antiviral Res.15,255−263、McGuigan,C.,Pathirana,R.N.,Mahmood,N.,Devine,K.G.and Hay,A.J.(1992)AZTのアリールリン酸誘導体はAZTの活性に抵抗性の細胞株での抗HIV−1に対する活性を残している(Aryl phosphate derivatives of AZT retain activity against HIV−1 in cell lines which are resistant to the action of AZT.)Antiviral Res.17,311−321、McGuigan,C.,Pathirana,R.N.,Choi,S.M.,Kinchigton,D.and O’Conner,T.J.(1993a)HIVの阻害剤としてのAZTのホスホルアミド誘導体;カルボキシル末端での研究(Phosphoramidate derivatives of AZT as inhibitors of HIV;studies on the carboxyl terminus.)Antiviral Chem.Chemother.4,97−101、McGuigan,C.,Pathirana,R.N.,Balzarini,J.and De Clercq,E.(1993b)AZTのリン酸アリール誘導体による生物活性AZTヌクレオチドの細胞内送達(Intercellular delivery of bioactive AZT nucleotdes by aryl phosphate derivatives of AZT.)J.Med.Chem.36,1048−1052。
【0048】
他の実施形態でのL−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドは、以下の参考文献で開示されたように、5’エーテル脂質または5’−リン脂質エーテルとして提供できる。Kucera,L.S.,N.Iyer,E.Leake,A.Raben,Modest E.J.,D.L.W.,and C.Piantadosi.1990 感染性HIV−1産物を阻害し、防御ウイルス構造を誘導する新規膜相互作用エーテル脂質類似体(Novel membrane−interactive ether lipid analogs that inhibit infections HIV−1 production and induce defective virus formation.)AIDS Res Hum Retroviruses.6:491−501、Piantadosi,C.,J.Marasco C.J.,S.L.morris−Natschke,K.L.Meyer,F.Gumus,J.R.Surles,K.S.Ishaq,L.S.Kucera,N.lyer,C.A.Wallen,S.Piantadosi,and E.J.Modest.1991−抗HIV活性に対する新規エーテル脂質ヌクレオシド共役物の合成および評価(Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV activity.)J Med Chem.34:1408−1414、Hostetler,K.Y.,D.D.Richman,D.A.Carson,L.M.Stuhmiller,G.M.T.van Wijk,and H.van den Bosch.1992 3l−デオキシチミジン二リン酸ジミリストイルグリセロール、3l−デオキシチミジンの脂質プロドラッグによるCEMおよびHT4−6Cでのヒト免疫不全ウイルス1型複製の阻害の顕著な抑制(Greatly enhanced inhibition of human immunodeficiency virus type 1 replication in CEM and HT4−6C cells by 3l−deoxythymidine diphosphate dimyristoylglycerol,a lipid prodrug of 3l−deoxytymidine.)Antimicrob Agents Chemother,36:2025−2029、Hostetler,K.Y.,L.M.Stuhmiller,H.B.Lenting,H.van den Bosch,and D.D.Richman.1990 アジドチミジンおよび他の抗ウイルスヌクレオシドのリン脂質類似体の合成および抗レトロウイルス活性(Synthesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothymidine and other antiviral nucleosides.)J.Biol.Chem.265:6112−7。
ヌクレオシド環状3’、5’−一リン酸のリン酸環にするチェアー−ツイスト平衡の問題。チミジンフェニル環状3’,5’−一リン酸のジアステレオマーのHNMRおよびx線結晶学研究(The question of chair−twist equilibria for the phosphate rings of nucleoside cyclic 3’,5’−monophosphates.(HNMR and x−ray crystallographic study of the diasteromers of thymidine phenyl cyclic 3’,5’−monophosphate.)J.Am.Chem.Soc.109,4058−4064、Nerbonne,J.M.,Richard,S.,Nargeot,J.and Lester,H.A.(1984)新規光学活性可能環状ヌクレオチドは、環状AMPおよび環状GMP濃度の細胞内急増を引き起こす(New photoactivatable cyclic nucleotides produce intracellular jumps in cyclic AMP and cyclic GMP concentratios.)Nature 301,74−76、Neumann,J.M.Herve,M.,Debouzy,J.C.,Guerra,F.I.,Gouyette,C.,Dupraz,B.and Huynh−Dinh,T.(1989)チミジンのグリコシルリン脂質のNMRによる合成および経膜的輸送研究(Synthesis and transmembrane transport studies by NMR of a glycosyl phospholipid of thymidine.)J.Am.Chem.Soc.111,4270−4277、Ohno,R.,Tatsumi,N.,Hirano,M.,Imai,K.Mizoguchi,H.,Nakamura,T.,Kosaka,M.,Takatuski,K.Yamaya,T.,Toyama,K.,Yoshida,T.,Masaoka,T.,Hashimoto,S.,Ohshima,T.,Kimura,I.,Yamada,K.and Kimura,J.(1991)1−b−D−ラビノフラノシルシトシン−5’−ステアリルリン酸の経口投与による脊髄形成異常症候群の治療(Treatment of myelodysplastic syndromes with orally administered 1−b−D−rabinofuranosylcytosine−5’−stearylphosphate.)Oncology 48,451−455、Palomino,E.,Kessle,D.and Horwitz,J.P.(1989)2’,3’−ジデオキシヌクレオシドの脳への維持送達のためのジヒドロピリジン担体系(A dihydropyridine carrier system for sustained delivery of 2’,3’−dideoxynucleosides to the brain.)J.Med.Chem.32,62−625、Perkins,R.M.,Barney,S.,Wittrock,R.,Clark,P.H.,Levin,R.Lambert,D.M.,Peteway,S.R.,Serafinowska,H.T.,Bailey,S.M.,Jackson,S.,Harnden,M.R.Ashton,R.,Sutton,D.,Harvey,J.J.and Brown,A.G.(1993)マウスでのラッシャーネズミ白血病ウイルスに対するBRL47923およびその経口プロドラッグ、SB203657Aの活性(Activity of BRL47923 and its oral prodrug,SB203657A against a rauscher murine leukemia virus infection in mice.)Antiviral Res.20(Suppl.I).84、Piantadosi,C.,Marasco,C.J.,Jr.,Morris−Natschke,S.L.,Meyer,K.L.,Gumus,F.,Surles,J.R.,Ishaq,K.S.,Kucera,L.S.Iyer,N.,Wallen,C.A.,Piantadosi,S.and Modest,E.J.(1991)抗HIV−1活性に関する新規エーテル脂質ヌクレシド共役物の合成および評価(Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV−1 activity.)J.Med.Chem.34,1408−1414、Pompon,A.,Lefebvre,I.,Imbach,J.L.,Kahn,S.and Farquhar,D.(1994)細胞抽出内および細胞培養培地内でのアジドチミジン−5’−一リン酸のモノ−およびビス(ピバロイルオキシメチル)エステルの分解経路;オンラインISRP−クリーニングHPLC技術の適用(Decomposition pathways of the mono− and bis(pivaloyloxymethyl)esters of azidothymidine−5’−monophosphate in cell extract and in tissue culture medium;an application of the on−line ISRP−cleaning’HPLC technique.)Antiviral Chem.Chemother.5,91−98、Postemark,T.(1974)環状AMPおよび環状GMP(Cyclic AMP and cyclic GMP.)Annu.Rev.Pharmacol.14,23−33、Prisbe,E.J.,Martin,J.C.M.,McGee,D.P.C.,Barker,M.F.,Smee,D.F.Duke,A.E.,Matthews,T.R.and Verheyden,J.P.J.(1986)9−[(1,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシ)メチル]グアニンのリン酸塩およびリン酸塩誘導体の合成と抗ヘルペスウイルス活性(Synthesis and antiherpes virus activity of phosphate and phosphonate derivatives of 9−[(1,3−dihydroxy−2−propoxy)methyl]guanine.)J.Med.Chem.29,671−675、Pucch,F.,Gosselin,G.,Lefebvre,I.,Pompon,A.,Aubertin,A.M.Dirn,A.and Imbach,J.L.(1993)リダクターゼ仲介活性化工程を介したヌクレオシド一リン酸の細胞内送達(Intracellular delivery of nucleoside monophosphate through a reductase−mediated activation process.)Antiviral Res.22,155−174、Pugaeva,V.P.,Klochkeva,S.I.,Mashibits,F.D.and Eizengart,R.S.(1969)産業大気におけるエチレンスルフィドに関する毒性学的査定および健康標準格付け(Toxicological assessment and health standard ratings for ethylene sulfide in the industrial atmosphere.)Gig.Trf.Prof.Zabol.13,47−48(Chem.Abstr.72,212)、Robins,R.K.(1984)レトロウイルスおよび腫瘍の阻害剤としてのヌクレオチド類似体の潜在能力(The potenotial of nucleotide analogs as inhibitors of retroviruses and tumors.)Pharm.Res.11−18、Rosowsky,A.,Kim.S.H.,Ross and J.Wick,M.M.(1982)潜在的プロドラッグとしての1−b−D−アラビノフラノシルシトシンおよびそのN−アシルおよび2,2’−アンヒドロ−3’0−アシル誘導体の脂質親和性5’−(アルキルリン酸)エステル(Lipophilic 5’−(alkylphosphate)esters of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine and its N−acyl and 2,2’−anhydro−3’0−acyl derivatives as potential prodrug.)J.Med.Chem.25,171−178、Ross,W.(1961)グルコース前処理に引き続く塩基性側鎖を持つ芳香族窒素マスタードに対する歩行者集団の感受性の増加(Increased sensitivity of the walker turnout towards aromatic nitrogen mustards carrying basic side chains following glucose pretreatment.)Biochem.Pharm.8,235−240、Ryu,E.K.,Ross,R.J.Matsushita,T.,MacCoss,M.,Hong,C.I.and West,C.R.(1982)リン脂質−ヌクレオシド共役物。3.1−b−D−アラビノフラノシルシトシン 5’−二リン酸[−],2−ジアシルグリセロールの合成と予備生物学的評価(Phospholipid−nucleoside conjugates.3.Synthesis and preliminary biological evaluation of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine 5’−diphosphate[−],2−diacylglycerols.)J.Med.Chem.25,1322−1329、Saffhill,R.and Hume,W.J.(1986)異なる供給源からの血清による5−ヨードデオキシウリジンおよび5−ブロモデオキシウリジンの分解およびDNA内への組み込みのためのこれらの化合物の使用に関するその重要性(The degradation of 5−iododeoxyuridine and 5−bromodeoxyuridine by serum from different sources and its consequences for the use of these compounds for incorporation into DNA.)Chem.Biol.Interact.57,347−355、Saneyoshi,M.,Morozumi,M.,Kodama,K.,Machida,J.,Kuninaka,A.and Yshino,H.(1980)合成ヌクレオシドおよびヌクレオチド。XVI.1−b−D−アラビノフラノシルシトシン 5’−アルキルまたはアリールリン酸の系列の合成および生物学的評価(Synthetic nucleosides and nucleotides.XVI.Sythesis and biological evaluations of a series of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine 5’−alkyl or arylphosphates.)Chem.Pharm.Bull.28,2915−2923、Sastry,J.K.,Nehete,P.N.,Khan,S.,Nowak,B.J.,Plunkett,W.,Arlinghaus,R.B.
and Farquhar,D.(1992)膜透過性ジデオキシウリジン5’−一リン酸類似体はヒト免疫不全ウイルス感染を阻害する(Membrane−permeable dideoxyuridine 5’−monophosphate analogue inhibits human immunodeficiency virus infection.)Mol.Pharmacol.41,441−445、Shaw,J.P.,Jones,R.J.Arimilli,M.N.,Louie,M.S.,Lee,W.A.and Cundy,K.C.(1994)オススプラグ−ダウレイラットでのPMEAプロドラッグからのPMEAの経口バイオアベイラビリティ(Oral bioavailability of PMEA from PMEA prodrugs in male Sprague−Dawley rats.)9th Annual AAPS Meeting.San Diego,CA(要約)、Shuto,S.,Ueda,S.,Imamura,S.,Fukukawa,K.,Matsuda,A.and Ueda,T.(1987)酵素的二相反応による5’−ホスファチジルヌクレオシドの容易な一段階合成(A facile one−step synthesis of 5’−phosphatidylnucleosides by an enzymatic two−phase reaction.)Tetrahedron Lett.28,199−202、Shuto,S.,Itoh,H.,Ueda,S.,Imamura,S.,Kukukawa,K.,Tsujino,M.,Matsuda,A.and Ueda,T.(1988)5’−(3−sn−ホスファチジル)ヌクレオシドの容易な酵素的合成およびその抗白血病活性(A facile enzymatic synthesis of 5’−(3−sn−phosphaticyl)nucleosides and their antileukemic actvities.)Chem.Pharm.Bull.36,209−217。一つの好適なリン酸プロドラッグ基はS−アシル−2−チオエチル基、または「SATE」として表すものである。
【0049】
3’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的工程を図1に示す。2’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的工程を図2に示す。β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの詳細な合成は図3および以下の実施例1で提供する。β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの詳細な合成を図4および以下の実施例2で提供する。
【実施例】
【0050】
実施例1 β−L−(3’アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン
融点をGallenka融点MFB−595−010M器具上でオープンキャピラリーチューブ内で測定し、未修正にする。UV吸収スペクトルをUvikon931(KONTRON)スペクトロメーター上でエタノール中記録した。H−NMRスペクトルを室温にて、Bruker AC250または400スペクトロメーターでDMSO−d内で行った。化学シフトをppmで与え、DMSO−dを対照として2.49ppmに設定した。重水素交換、デカップリング実験または2D−COSYをプロトンアサイメントを確かめるために行った。シグナル多重度をs(シングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブレットのダブレット)、t(トリプレット)、q(クアドルプレット)、br(ブロード)、m(マルチプレット)で表した。すべてのJ値はHzである。FAB質量スペクトルをJEOL DX 300質量スペクトロメーターで陽イオン(FAB>0)または陰イオン(FAB<0)モードにて記録した。マトリックスは3−ニトロベンジルアルコール(NBA)またはグリセロールおよびチオグリセロール(GT)の混合物(50:50、v/v)であった。特異的旋回をPerkin−Elmer241分光偏光計(パス長1cm)で測定し、10−1deg cm−1の単位で与えた。元素分析を「Service de Microanalyses du CNRS,Division de Vemaison」(France)によって行った。元素または画分の記号によって示した解析は理論値の±0.4%内であった。薄層クロマトグラフィーをシリカゲル60F254(Merck,Art.5554)の前コートしたアルミニウムシート上で行い、産物の視覚化をUV吸光度によって行い、続いて10%エタノール硫酸で焦がし、熱した。カラムクロマトグラフィーを大気圧で、シリカゲル60(Merck,Art.9385)で行った。
【0051】
1−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル(2)
5−フルオロウラシル(5.0g、38.4mmol)の懸濁液を、還流下18時間、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、260mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで処理した。室温への冷却後、混合液を減圧下蒸発させ、無色油として得た残さを無水1,2−ジクロロエタン(260mL)で希釈した。得られた溶液に無水1,2−ジクロロエタン(130mL)中の1,2−ジ−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−L−キシロフラノース1(11.3g、25.6mmol)[参考文献:Gosselin,G.、Bergogne,M.−C.、Imbach,J.−L.,「5つの天然の核酸塩基のβ−L−キシロフラノシルヌクレオシドの合成および抗ウイルス性評価(Synthesis and Antiviral Evaluation of β−L−Xylofuranosyl Nucleosides of the Five Naturally Occurring Nucleic Acid Bases)」、Journal of Heterocyclic Chemistry,1993,30(Oct.−Nov.)、1229−1233]を加え、次いでトリエチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSTf、9.3mL、51.15mmol)を添加した。この溶液をアルゴン大気下で室温にて6時間攪拌し、次いでクロロホルム(1L)で希釈し、同量の飽和水和炭酸水素ナトリウム溶液、および最後に水(2×800mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させた。得られた未精製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(0−4%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として2を得た(11.0g、84%収率)。融点=96−98℃、UV(エタノール):λmax=228nm(ε=25900)266nm(ε=9000)、λmin=250nm(ε=7200)。
【0052】
【化3】


【0053】
1−(3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル 3
【0054】
【化4】

ヒドラジン水和物(2.80mL、57.4mmol)を、酢酸(35mL)およびピリジン(150mL)中の1−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル2(9.80g、19.1mmol)の溶液に加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。アセトン(50mL)を加え、混合液を2時間攪拌した。反応混合液を少量まで濃縮し、酢酸エチル(200mL)および水(200mL)間で分配した。層を分離し、有機相を飽和水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×200mL)、最後に水(2×200mL)で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(0−5%)の段階的勾配]によって精製し、純粋な3を得(7.82g、87%)、塩化メチレンから結晶化した。融点=93−97℃、UV(エタノール):λmax=227nm(ε=22800)267nm(ε=8200)、λmin=249nm(ε=5900)。
【0055】
【化5】

【0056】
1−(2−デオキシ−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 5
【0057】
【化6】

無水アセトニトリル(650mL)中の1−(3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フロロウラシル 3(15.4g、32.7mmol)の溶液に、O−フェニルクロロチオノギ酸(6.80mL、49.1mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、12.0g、98.2mmol)を加えた。得られた溶液を1時間、アルゴン下室温で攪拌し、次いで減圧下で蒸発させた。残さを塩化メチレン(350mL)に溶解し、有機溶液を連続して水(2×250mL)、氷冷0.5N塩化水素酸(250mL)および水(2×250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発させた。粗精製物質4を数回無水ジオキサンと共に共蒸発し、この溶媒(265mL)中に溶解した。得られた溶液にアルゴン下でトリス(トリメチルシリル)シランヒドリド(12.1mL、39.3mmol)およびα,α’−アゾイソブチロニトリル(AIBN、1.74g、10.8mmol)を加えた。反応混合液を加熱し、100℃で2.5時間アルゴン下攪拌し、次いで室温まで冷却し、減圧下蒸発させた。この残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、純粋な5を得(13.0g、87%)、ジエチルエーテル/メタノール混合液から結晶化した。融点=182−184℃、UV(エタノール):λmax=229nm(ε=25800)269nm(ε=9300)、λmin=251nm(ε=6500)。
【0058】
【化7】

【0059】
1−(2−デオキシ−3,5−ジ−o−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−4−チオ−5−フルオロウラシル 6
【0060】
【化8】

Lawesson(Lawsson)試薬(3.1g、7.70mmol)をアルゴン下で無水1,2−ジクロロエタン(200mL)中の5(5.0g、11.0mmol)の溶液に加え、この反応液を還流下で一晩攪拌した。次いでこの溶媒を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、黄色泡として4−チオ中間体6を得た(80%収率)。融点=178−179℃、UV(エタノール):λmax=230nm(ε=24900)、273nm(ε=6900)、333nm(ε=19200)、λmin=258nm(ε=5900)、289nm(ε=5300)。
【0061】
【化9】

【0062】
1−(2−デオキシ−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 7
【0063】
【化10】

(すでに−10℃で飽和し、しっかりと停止した)メタノールアンモニア(60mL)中のこの4−チオ中間体6(1.0g、2.13mmol)の溶液を3時間、ステンレス−鉄噴射容器内で100℃にて熱し、次いで0℃まで冷却した。この溶液を減圧下乾燥するまで蒸発させ、残さを何回かエタノールと共に共蒸発させた。未精製物質を水に溶解し、得られた溶液を4回塩化メチレンで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(3−20%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、酢酸エチル/メタノール混合液から結晶化し、0.44gの7を得た。融点=199−201℃、UV(エタノール):λmax=226nm(ε=7700)、281nm(ε=8500)、λmin=262nm(ε=6300)。
【0064】
【化11】

【0065】
1−(2−デオキシ−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 8
【0066】
【化12】

乾燥ピリジン(35mL)中の7(1.69g、6.89mmol)の溶液に、アルゴン大気下でt−ブチルジメチルシリルクロライド(1.35g、8.96mmol)を滴下して加え、この混合液を室温にて5時間攪拌した。次いで、この混合液を飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×150mL)で抽出した。合わせた抽出物を、水(2×200mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(2−10%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な8を得た(2.94g、87%)。融点=177−179℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε9900)、282nm(ε10000)、λmin226nm(ε8200)、263nm(ε7600)。
【0067】
【化13】

【0068】
1−(2−デオキシ−3−O−メシル−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 9
【0069】
【化14】

乾燥ピリジン(30mL)中の8(0.70g、1.96mmol)の懸濁液をアルゴン大気下で攪拌し、0℃まで冷却した。塩化メタンスルフォニル(MsCl、0.46mL、5.88mmol)を滴下して加え、この反応混合液を0℃にて5時間攪拌した。次いでこの混合液を氷/水(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた抽出物を、5%水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)、水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:トルエン中メタノール(8−12%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な9を得た(0.56g、65%)。融点83−84℃、UV(エタノール):λmax242nm(ε8500)、282nm(ε8800)、λmin225nm(ε6400)、264nm(ε6300)。
【0070】
【化15】

【0071】
1−(2,3−ジデオキシ−3−アジド−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 10
【0072】
【化16】

無水ジメチルホルムアミド(12mL)中の9(520mg、1.19mmol)の溶液に10%メタノールでしめらせたリチウムアジド(300mg、5.31mmol)を加えた。この反応混合液を2.5時間100℃で攪拌し、次いで室温まで冷却し、氷/水(200mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。合わせた抽出物を飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)、水(5×100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4%)]によって精製し、ジエチルエーテル/メタノール混合液より結晶化して、純粋な10を得た(327mg、72%)。融点146−147℃、UV(エタノール):λmax243nm(ε8700)、283nm(ε8400)、λmin226nm(ε7200)、264nm(ε6700)。
【0073】
【化17】


【0074】
1−(2,3−ジデオキシ−3−アジド−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 11 (3’−N−β−L−5−FddC)
【0075】
【化18】

1Mのテトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムトリフルオリド(TBAF/THF、1.53mL、1.53mmol)を、無水THF(4mL)中の10(295mg、0.67mmol)の溶液に加えた。得られた混合液を室温で1.5時間攪拌し、減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4−8%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、エタノールより結晶化して、純粋な11を得た(199mg、96%)。融点188−189℃(液体:D−エナンチオマーに対して融点164−166℃)、UV(エタノール):λmax243nm(ε8700)、283nm(ε8100)、λmin226nm(ε7100)、264nm(ε6500)。
【0076】
【化19】

【0077】
【表1】

【0078】
実施例2 β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの調製
使用した一般的な手順および器具は、3’イソマー(3’−N−β−L−FddC)の合成の実験的プロトコール部分での実施例1で記述した。
【0079】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンキソイル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 13
【0080】
【化20】

5−フルオロウラシル(5.15g、39.6mmol)の懸濁液をヘキサメチルジシラザン(HMDS、257mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで、還流下18時間処理した。室温まで冷却した後、この混合液を減圧下で蒸発し、無色油として得られた残さを無水1,2−ジクロロエタン(290mL)で希釈した。得られた溶液に無水1,2−ジクロロエタン(120mL)中の1,2−ジ−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−L−エリスロ−ペントフラノース 12(8.5g、26.4mmol)[参考文献:Mathe,C.,Ph.D.Dissertation,Universite de Montpellier II−Sciences et Techniques du Languedoc,Montepellier(France),1994年9月13日、Gosselin,G.,Mathe,C.,Bergogne,M.−C.,Aubertin,A.M.,Kim,A.,Sommadossi,J.P.,Schinazi,R.F.,Imbach,J.L.,「2’−および/または3’−デオキシ−β−L−ペントフラノシルヌクレオシド誘導体:立体特異的合成および抗ウイルス活性(2’−and/or 3’−deoxy−β−L−pentofuranosyl nucleoside derivatives:stereospecific synthesis and antiviral activities)」Nucleosides & Nucleotides,1994,14(3−5),611−617]を加え、続いてトリメチルシリルトリフルオロメタン硫酸(TMSTf、9.6mL、52.8mmol)を添加した。この溶液をアルゴン大気下、室温で5時間攪拌し、次いでクロロホルム(200mL)で希釈し、同用量の飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液、最後に水(2×300mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで減圧下で蒸発させた。得られた未精製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中メタノール(0−6%)の段階的勾配]によって精製し、トルエンから結晶化して純粋な13を得た(8.59g、83%)。融点=65−68℃、UV(エタノール):λmax228nm(ε11200)、268nm(ε14000)、λmin242nm(ε7800)。
【0081】
【化21】

【0082】
1−(3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 14
【0083】
【化22】

テトラヒドロフラン(THF、175mL)中の13(5.90g、15.0mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(2.84g、52.6mmol)を加えた。得られた懸濁液を5時間室温で攪拌し、次いでDowex 50 W X 2(H型)を添加して中和した。この樹脂を濾過し、温メタノールで洗浄し、合わせた濾液を、乾燥するまで蒸発させた。残さのシリカゲル[溶出:メチレンクロリド中メタノール(0−8%)の段階的勾配]上のカラムクロマトグラフィーにより、メチレンクロリド/メタノールから結晶化して14(4.11g、78%)を得た。融点154−156℃、UV(エタノール):λmax226nm(ε23000)、268nm(ε16000)、λmin246nm(ε8900)。
【0084】
【化23】

【0085】
1−(3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 15
【0086】
【化24】

ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、3.53g、17.1mmol)およびジクロロ酢酸(0.235mL、2.56mmol)を、無水ベンゼン(50mL)、DMSO(35mL)およびピリジン(0.46mL)中の14(2.00g、5.71mmol)の溶液に加えた。得られた溶液をアルゴン下で4時間、室温で攪拌し、酢酸エチル(300mL)で希釈した。メタノール(4.6mL)中に溶解したシュウ酸(1.54g、17.1mmol)を加え、反応混合液を室温で1時間攪拌し、次いで濾過して沈殿したジシクロへキシルウレア(DCU)を取り除いた。濾液を食塩水(3×300mL)、飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×300mL)、最後に水(3×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さを何回か無水エタノールと共に共蒸発させ、無水エタノール(31mL)および無水ベンゼン(15mL)の混合液に溶解した。次いで得られた溶液を0℃まで冷却し、ホウ化水素ナトリウム(NaBH、0.32g、8.56mmol)を加えた。反応混合液をアルゴン下で1時間、室温にて攪拌し、濾過した酢酸エチル(300mL)で希釈した。濾液を飽和した水和塩化ナトリウム溶液(3×300mL)、および水(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(0−6%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として純粋な15を得た(1.10g、55%)。融点171−172℃、UV(エタノール):λmax228nm(ε14700)、270nm(ε9100)、λmin248nm(ε5000)。
【0087】
【化25】

【0088】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 16
【0089】
【化26】

無水酢酸(0.88mL、9.28mmol)をアルゴン下、乾燥ピリジン(50mL)中の15(2.50g、7.14mmol)の溶液に加え、得られた混合液を室温で22時間攪拌した。次いでエタノールを加え、次いで溶媒を減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中のメタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として純粋な16を得た(2.69g、96%)。融点=68−70℃(泡)、UV(エタノール):λmax=329nm(ε=15000)、267nm(ε=8800)、λmin=248nm(ε=5600)。
【0090】
【化27】


【0091】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−4−チオ−5−フルオロウラシル 17
【0092】
【化28】

Lawesson試薬(1.9g、4.69mmol)をアルゴン下、無水1,2−ジクロロエタン(165mL)中の16(2.63g、6.70mmol)の溶液に加え、反応混合液を還流下で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中のメタノール(0−3%)の段階的勾配]によって精製し、黄色泡として4−チオ誘導体17を得た(2.65g、96%収率)。融点=78−79℃(泡)、UV(エタノール):λmax=230nm(ε=15900)、334nm(ε=15600)、λmin=288nm(ε=3200)。
【0093】
【化29】

【0094】
1−(3−デオキシ−β−L−スレオ−ペントフラノシル−5−フルオロシトシン 18
【0095】
【化30】

(先に−10℃で飽和し、完全に停止した)メタノールアンモニア(44mL)中の4−チオ誘導体17(0.86g、2.19mmol)の溶液を3時間、ステンレス−鉄噴射容器内で100℃にて熱し、次いで0℃まで冷却した。この溶液を減圧下乾燥するまで蒸発させ、残さを何回かエタノールと共に共蒸発させた。未精製物質を水に溶解し、得られた溶液を4回塩化メチレンで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(3−12%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、酢酸エチル/メタノール混合液から結晶化し、0.46gの18を得た(86%収率)。融点=137−138℃、UV(エタノール):λmax=240nm(ε=8300)、284nm(ε=8100)、λmin=226nm(ε=7300)、263nm(ε=5500)。
【0096】
【化31】

【0097】
1−(3−デオキシ−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 19
【0098】
【化32】

乾燥ピリジン(30mL)中の18(1.38g、5.63mmol)の溶液に、アルゴン大気下でt−ブチルジメチルシリルクロライド(1.10g、7.32mmol)を滴下して加え、この混合液を室温にて10時間攪拌した。次いで、この混合液を飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×150mL)で抽出した。合わせた抽出物を、水(2×200mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(2−10%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な19を得た(1.74g、86%収率)。融点202−204℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε7800)、284nm(ε7800)、λmin226nm(ε6600)、263nm(ε5400)。
【0099】
【化33】

【0100】
1−(3−デオキシ−2−O−メシル−5−O−t−ブチル−ジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 20
【0101】
【化34】

乾燥ピリジン(80mL)中の19(1.70g、4.73mmol)の懸濁液をアルゴン大気下で攪拌し、0℃まで冷却した。塩化メタンスルフォニル(MsCl、1.21mL、15.6mmol)を滴下し加え、この反応混合液を0℃にて5時間攪拌した。次いでこの混合液を氷/水(300mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×300mL)で抽出した。合わせた抽出物を、5%水和炭酸水素ナトリウム溶液(300mL)、水(2×300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:トルエン中メタノール(8−12%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な20を得た(1.41g、68%収率)。融点75−76℃、UV(エタノール):λmax243nm(ε8100)、282nm(ε7300)、λmin225nm(ε6000)、265nm(ε6000)。
【0102】
【化35】

【0103】
1−(2,3−ジデオキシ−2−アジド−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 21
【0104】
【化36】

無水ジメチルホルムアミド(12mL)中の20(442mg、1.01mmol)の溶液に10%メタノールでしめらせたリチウムアジド(265mg、4.87mmol)を加えた。この反応混合液を2.5時間100℃で攪拌し、次いで室温まで冷却し、氷/水(200mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。抽出物を集め、飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)、水(5×100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4%)]によって精製し、白色固体として、純粋な21を得た(291mg、75%収率)。融点147−148℃、UV(エタノール):λmax242nm(ε7700)、283nm(ε7400)、λmin226nm(ε6600)、264nm(ε5800)。
【0105】
【化37】

【0106】
1−(2,3−ジデオキシ−2−アジド−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 22 (2’−N−β−L−5−FddC)
【0107】
【化38】

1Mのテトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムトリフルオリド(TBAF/THF、1.90mL、1.90mmol)を、無水THF(8mL)中の21(480mg、1.25mmol)の溶液に加えた。得られた混合液を室温で1.5時間攪拌し、減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4−8%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、エタノールより結晶化して、純粋な22を得た(304mg、90%収率)。融点219−221℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε7700)、284nm(ε7300)、λmin225nm(ε6500)、263nm(ε5400)。
【0108】
【化39】

【0109】
【表2】

【0110】
活性化合物の抗HIV活性
抗ウイルス組成物はさまざまな実験技術によってHIVの阻害に関してin vitroで選別できる。1つのそのような技術にはヒト抹消血単核(PBM)細胞でのウイルス複製の阻害を測定することが含まれる。産出されたウイルスの量は、細胞培養培地に存在する、レトロウイルスで見られる酵素であるウイルスがコードしている逆転写酵素(RT)の量を測定することで決定する。
【0111】
B型肝炎およびHIV−1セロネガティブ健常ドナーからの3日経過した植物性赤血球凝集素刺激PBM細胞(10細胞/ml)にmlあたり50%組織培養感染実施(TICD50)の約100倍の濃度でHIV−1(株LAV)を感染させ、さまざまな濃度の抗ウイルス化合物の存在下および非存在下で培養した。
【0112】
感染のおよそ1時間後、試験すべき化合物(培地中最終濃度の2倍)を含むかまたは化合物を含まない培地をフラスコに加えた(5ml、最終容量10ml)。AZTを陽性対照として使用した。細胞にウイルス(約2×10dpm/ml、逆転写酵素アッセイによって決定)を曝露し、次いでCOインキュベーター内に静置した。HIV−1(株LAV)はCenters for Disease Control,Atlanta,Georgiaより入手した。PBM細胞を培養するため、ウイルスを回収するため、逆転写酵素活性を測定するために使用した方法は、菌類ゾーン(fungizone)は培地中に含まなかった(Schinaziら,Antimicrob.Agents Chemother.32,1784−1787(1988);Antimicrob。Agents Chemother.,34:1061−1067(1990)を参照のこと)ことを除いて、McDougalら(J.Immun.Meth.76,171−183,1985)およびSpiraら,(J.Clin.Meth.25,97−99,1987)によって記述されたものであった。
【0113】
6日目に、細胞および上清を15mlチューブに移し、約900gにて10分間遠心した。5mlの上清を取り出し、ウイルスを40,000rpmにて30分間の遠心(Beckman 70.1 Tiローター)で濃縮した。可溶化したウイルスペレットを逆転写酵素の濃度の決定のために処理した。結果はdpm/標本にした上清のmlで示した。少量の上清(1ml)からのウイルスもまた可溶化および逆転写酵素濃度の決定の前に遠心によって濃縮してよい。
【0114】
有効量(EC50)濃度を有効量法(Antimicrob.Agents Chemother.30,491−498(1986))によって決定した。簡単に記すと、逆転写酵素の測定から決定したウイルスのパーセント阻害を化合物のマイクロモル濃度に対してプロットする。EC50は、ウイルスの増殖が50%阻害される化合物の濃度である。
【0115】
マイトジェン刺激非感染ヒトPBM細胞(3.8×10細胞/ml)を、上記抗ウイルスアッセイで使用したものと同様の条件下で薬物の存在下、非存在下にて培養した。細胞を、Schinaziら,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,22(3),499(1982)によって記述されたように血球計算版およびトリパンブルー排除方法を用いて6日後に計数した。IC50は正常細胞増殖の50%が阻害される化合物濃度である。
【0116】
実施例3 β−L−(2’または3’)−A−5−FddCの抗HIV活性
L−2’−A−5−FddCおよびL−3’−A−5−FddCの抗HIV活性をCME細胞およびPBM細胞で試験した。結果は表1に示す。
【0117】
【表3】

【0118】
医薬的組成物の調製
AIDSを含む本明細書で記述した任意の疾患を患っているヒトは、医薬的に許容可能な担体または希釈剤の存在下での本明細書で記述したような効果的治療量のβ−L−(2’または3’)−A−5−FddCまたはその医薬的に許容可能なプロドラッグまたは塩を患者に投与することで処置できる。活性物質は、液体または固体形態で、たとえば経口、非経口、静脈内、皮内、皮下または局所のような任意の適切な経路によって投与できる。
【0119】
活性化合物には、処置した患者に重篤な毒性効果を引き起こすことなく、in vivoでのウイルスの複製を阻害するような治療的に有効量の化合物を患者に送達するのに十分な量で、医薬的に許容可能な担体または希釈液中に含まれる。
【0120】
「阻害量(inhibitory amount)」は、たとえば本明細書で記述したもののようなアッセイによって測定したような阻害効果を発揮するのに十分な活性成分の量を意味する。
【0121】
以上で言及した状態すべてに対する化合物の好ましい用量は一日あたり約1〜50mg/kg体重、好ましくは1〜20mg/kg体重、さらに一般的には一日あたり0.1〜約100mg/レシピエントのキログラム体重の範囲である可能性がある。医薬的に許容可能なプロドラッグの効果的な用量範囲は、送達すべき親ヌクレオチドの重量に基づいて計算してよい。プロドラッグがそれ自身で活性を示す場合、効果用量はプロドラッグの重量を用いて、または当業者に公知の他の方法によって上述にように見積もってよい。
【0122】
化合物は、ユニット用量形態あたり活性成分を7−3000mg、好ましくは70−1400mg含むものを限定はされないが含む、任意の好適な用量形態で従来通り投与する。50〜1000mgの経口用量が通常一般的であり、さらに典型的には50〜500mgである。
【0123】
典型的には、活性成分は、約0.2〜70μM、好ましくは約1.0〜10μMの活性化合物のピーク血漿濃度を達成するように投与すべきである。このことは、たとえば任意に食塩水中で活性成分の0.1〜5%の静脈内注射によって成し遂げられてよく、または活性成分のボーラスで投与されてよい。
【0124】
薬物組成物内の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、不活性化および排出速度および当業者に公知の他の因子に依存する可能性がある。用量値はまた軽減すべき状態のひどさによって変化する可能性があることが気づかれるべきである。さらに、特定の対象に対して、特定の用量管理を、個々の必要性および投与するかまたは組成物の投与を管理している人物の職業的な判断に従ってそのうち調整されるべきであること、および本明細書で列記した濃度範囲は例であるのみであり、請求した組成物の範囲または実践を限定する意図はないことも理解されるべきである。活性成分は一度に投与してよく、またはさまざまな時間間隔で投与するようにいくらかの小用量に分割してもよい。
【0125】
活性化合物の好ましい投与方法は経口である。経口組成物は一般的に不活性希釈剤または可食担体を含む。これらはゼラチンカプセルに包むか、錠剤中に圧縮されてよい。経口治療投与の目的のために、活性成分は賦形剤を組み込んでよく、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で使用できる。薬理学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント物質が組成物の部分として含まれてよい。
【0126】
錠剤、丸薬、カプセル、トローチおよび類似のものには任意の以下の成分または同様の特性の化合物が含まれてよい。微晶性セルロース、ゴムトラガカントまたはゼラチンのような結合剤、デンプンまたはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはトウモロコシデンプンのような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムまたはステローテス(Sterots)のような潤滑剤、コロイドシリコンジオキシドのような潤滑剤、スクロースまたはサッカリンのような甘味料、またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ甘味料のような甘味剤。用量ユニット形態がカプセルの場合、上記の型の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含んでよい。さらに用量ユニット形態は、たとえば糖、セラック、または他の腸溶性薬剤のコーティングなどの用量ユニットの物質形態を改変するさまざまな他の物質を含んでよい。
【0127】
化合物はエリキシル、懸濁液、シロップ、水、チューイングガムまたは類似のものの成分として含まれてよい。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤としてスクロース、特定の保存剤、色素および着色料、香味料を含んでよい。
【0128】
化合物またはその医薬的に許容可能な誘導体または塩は、抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤、プロテアーゼ阻害剤、または他のヌクレオシドまたは非ヌクレオシド抗ウイルス剤のような、望ましい作用を減じない他の活性物質と、または望ましい作用を補足する物質と混合することができる。非経口、皮内、皮下または局所投与で使用する溶液または懸濁液には、以下の化合物を含んでよい。注射のための水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グレセリン、ポリエチレングリコール、または他の合成溶媒のような無菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤、酢酸、クエン酸またはリン酸のような緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤。親調製品はガラスまたはプラスチックでできたアンプル、使い捨てシリンジまたは多重用量バイアルに封入してよい。
【0129】
静脈内で投与する場合、好ましい担体は生理学的食塩水またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)である。
【0130】
好ましい実施形態において、活性化合物は、埋め込みおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出処方のような、体による素早い除去に対して化合物を保護する可能性のある担体で調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリラセティック酸のような生物分解可能、生物適応性ポリマーを使用してよい。そのような製剤の調製のための方法は当業者に対して明らかであろう。物質はまた、Alza Corporationより商業的に入手できる。
【0131】
(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染させた細胞を標的としたリポソームを含む)リポソーム懸濁液はまた医薬的に許容可能な担体として好ましい。これらは、たとえば米国特許第4,522,811号に記述されたような当業者に公知の方法にしたがって調製してよい。たとえばリポソーム処方は、次いで蒸発させる無機溶媒中の(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリンおよびコレステロールのような)好ましい脂質に溶解し、容器の表面上で望ましい脂質の薄いフィルムの後ろに残るように調製してよい。次いで活性化合物またはその一リン酸、二リン酸、および/または三リン酸誘導体を容器内に導入する。次いでこの容器を、容器の側面より液体物質をとり、脂質凝集を分散させるように手で攪拌し、これによってリポソーム懸濁液を形成する。
【0132】
本発明はその好ましい実施形態に関して記述してきた。本発明の変形、改変が本発明の以上の詳細な記述から当業者に明らかであろう。これらの変形および改変のすべてが本発明の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主のHIV感染を治療するための方法であって、式
【化1】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、またはアルキルである)の有効量のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを投与することを含む前記方法。
【請求項2】
RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rがアシルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rが一リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Rが二リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Rが三リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
宿主のHIV感染を処置するための方法であって、式
【化2】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)の有効量のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを投与することを含む前記方法。
【請求項9】
RがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Rがアシルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
Rが一リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
Rが二リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
Rが三リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ヒトまたは他の宿主動物でのHIV感染の処置のための、式
【化3】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項16】
ヒトまたは他の宿主動物でのHIV感染の処置のための、式
【化4】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項17】
ヒトまたは他の宿主動物でのHIV感染の処置のための薬剤を製造するための、式
【化5】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項18】
ヒトまたは他の宿主動物でのHIV感染の処置のための薬剤を合成するための、式
【化6】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項19】
R’がHで、RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
R’がHである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
R’がアシルで、RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
R’がアシルである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
R’がアルキルでRがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
R’がアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
R’がHで、RがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項26】
R’がHである、請求項8に記載の方法。
【請求項27】
R’がアシルで、RがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項28】
R’がアシルである、請求項8に記載の方法。
【請求項29】
R’がアルキルでRがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項30】
R’がアルキルである、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−251968(P2011−251968A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−138608(P2011−138608)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2000−579239(P2000−579239)の分割
【原出願日】平成11年11月5日(1999.11.5)
【出願人】(309007575)サントル・ナシオナル・ドウ・ラ・ルシエルシユ・シアンテイフイク(セー・エヌ・エール・エス) (11)
【出願人】(501181341)
【出願人】(501178433)エモリー・ユニバーシテイ (18)
【Fターム(参考)】