説明

HLA−DRB1遺伝子を含むヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法及びこれに用いるキット

【課題】 スループットの効率化及びコスト削減を可能とするヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法と、該遺伝子アレル多型のタイピング用キットとを開発すること。
【解決手段】 本発明は、ヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法を提供する。本発明のタイピング方法は、HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーの第1セットと、HLA−DRB1とは異なる他の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第1容器と、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットと、HLA−DRB1及び前記他の遺伝子とは異なる更に別の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第2容器とを用意するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HLA−DRB1遺伝子を含むヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法及びこれに用いるキットに関し、より具体的には、HLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型のタイピング方法及びこれに用いるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの主要組織適合性抗原複合体(MHC)であるヒト白血球型抗原(HLA)は、白血球を含む多くのタイプの細胞の表面に発現する。HLAにはクラスI分子とクラスII分子があり、クラスI分子は内在性タンパク質由来のペプチド断片をT細胞レセプターに提示し、クラスII分子は外来性タンパク質由来のペプチド断片をT細胞レセプターに提示する。HLA遺伝子には非常に多数の遺伝子変異が存在する。アレル多型が異なるヒトの個体間で臓器移植を行うと、移植組織と宿主との間で免疫反応が生じ、移植組織の拒絶など治療成績の悪化に繋がるおそれが高い。そこで、輸血又は臓器移植を伴う治療においては、臓器提供者と移植希望者とのHLAのアレル多型をタイピングして、臓器提供者のHLAのアレル多型と一致するアレル多型を有する移植希望者に移植する必要がある。また、HLAのアレル多型は感染症を含むさまざまな疾患の発症や予後と関連性がある。したがって、個々の患者の遺伝的背景に応じて適切な治療を行う、いわゆる「個の医療」が進展するにつれて、今後ますますHLAのアレル多型のタイピングの需要が増大すると考えられている。
【0003】
アレル多型のタイピングについてのWHO(世界保健機構)の表記方法では、1桁目と2桁目は血清学レベルの判定を意味し、3桁目と4桁目は、遺伝子変異が存在し、かつ、アミノ酸変異のある遺伝子型の判定を意味し、5桁目と6桁目は、遺伝子型変異は存在するがアミノ酸変異がない遺伝子型の判定を意味する。4桁レベルでのHLAのアレル多型のタイピングに現在多用される方法は、蛍光マイクロビーズアレイシステムのルミネックス(Luminex、登録商標)法である。ビーズ表面を固相面とした相補的ハイブリッド形成法を用いた遺伝子検出方法は以前より存在するが、ルミネックス法は使用するポリスチレン製のビーズを蛍光物質で着色し、その蛍光物質の色調と濃度(蛍光量)を測定することで、100種類に識別できる技術である。通常のビーズ法は1本のチューブに1種類のビーズ、つまり1種類のプローブでの検出しかできなかったが、ルミネックス法では1本のチューブで最大100種類のプローブでの検出が可能となり、100倍の処理能力と情報量を得ることが可能である。
【0004】
ルミネックス法を利用して、HLA−A及びHLA−Bという2つのクラスI分子と、HLA−DRB1という1つのクラスII分子という3つの分子について遺伝子のアレル多型をタイピングするための方法が特許文献1に開示されている。特許文献1には、プローブ固相ビーズと増幅産物を混合した後、増幅産物を一本鎖にする変性を加熱による熱変性とし、変性後至適の相補的ハイブリッド形成温度まで下げることで熱変性と相補的ハイブリッド形成を連続して行うことを特長とする、ルミネックス法を改良した遺伝子型判定方法が開示される。
【特許文献1】特開2005−160355号公報
【0005】
特許文献1に開示の方法では、HLA−A及びHLA−B分子のアレル多型検出についてはそれぞれ1本の試験管に全てのプライマーを添加して遺伝子増幅反応を行うことができた。しかし、HLA−DRB1のアレル多型の検出についてはHLA−DRB1遺伝子と、それに類する遺伝子群(DRB3、DRB4、DRB5など)とを区別した遺伝子増幅の安定性と、増幅産物とプローブとの相補的ハイブリッド形成のS/N比向上とのために、プライマーを2つのセットに分けて2本の試験管で遺伝子増幅反応を行い、かつ、特異的プローブとの反応もそれぞれ別の容器で行う必要があった。つまり、1人の被検者あたり4本の試験管を使って遺伝子増幅反応を行うことになる。これはHLAアレル多型タイピングのスループット効率及びコストを向上させるうえで大きな障害である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スループットの効率化及びコスト削減のために、より少ない数の試験管で遺伝子増幅反応を行うHLA遺伝子アレル多型タイピング方法と、該遺伝子アレル多型のタイピング用キットとを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法を提供する。本発明のアレル多型のタイピング方法は、(1)HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーの第1セットと、HLA−DRB1とは異なる他の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第1容器と、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットと、HLA−DRB1及び前記他の遺伝子とは異なる更に別の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第2容器とを用意するステップと、(2)同一個人由来の検体DNAと第1及び第2セットのプライマーのそれぞれとを混和するステップと、(3)第1及び第2容器のインキュベーションを行って遺伝子増幅産物を生成させるステップと、(4)前記他の遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットとを第1容器の遺伝子増幅産物と混和し、前記更に別の遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットとを第2容器の遺伝子増幅産物と混和するステップと、(5)第1及び第2容器のインキュベーションを行って、それぞれの容器の遺伝子増幅産物を前記アレル検出用プローブのいずれかと相補的ハイブリッド形成させるステップと、(6)第1及び第2容器のそれぞれについて、前記担体に固定化されたアレル検出用プローブと相補的ハイブリッド形成した前記遺伝子増幅産物に取り込まれた前記プライマーか、前記遺伝子増幅産物と相補的ハイブリッド形成した前記アレル検出用プローブかを検出するステップとを含み、前記アレル検出用プローブは1個の担体には1種または2種以上のヌクレオチド配列のプローブが固定化され、ステップ(6)において、前記担体に固定化されたアレル検出用プローブと相補的ハイブリッド形成した前記遺伝子増幅産物に取り込まれた前記プライマーか、前記遺伝子増幅産物と相補的ハイブリッド形成した前記アレル検出用プローブかを検出するときに、前記遺伝子増幅産物のヌクレオチド配列が特定される。
【0008】
本発明のアレル多型のタイピング方法において、前記他の遺伝子と、前記更に別の遺伝子とは、いずれもHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP及びHLA−DQからなるグループから選択される少なくとも1種類の遺伝子の場合がある。
【0009】
本発明のアレル多型のタイピング方法において、前記他の遺伝子はHLA−A遺伝子であり、前記更に別の遺伝子はHLA−B遺伝子である場合がある。
【0010】
本発明のタイピング方法において、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列からなるプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0011】
本発明のタイピング方法において、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0012】
本発明のタイピング方法において、前記HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号1ないし13に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号14ないし23に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号38ないし85に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、前記HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号86ないし152に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0013】
本発明は、2個の容器を用いるHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型のタイピング用キットを提供する。本発明のタイピング用キットは、(1)HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットとを含む第1のPCR反応容器と、(2)HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットと、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットとを含む第2のPCR反応容器と、(3)HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットとからなる、第1のPCR反応容器に添加するためのアレル検出用プローブを固定化した担体セットとの組合せと、(4)HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットとからなる、第2のPCR反応容器に添加するためのアレル検出用プローブを固定化した担体セットとの組合せとを含む。
【0014】
本発明のタイピング用キットにおいて、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1及び第2セットのうち一方は配列番号31及び32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーを含み、第1及び第2セットのうち他方は配列番号37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーを含み、配列番号31、32及び/又は37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーによる遺伝子増幅の有無によって配列番号204に列挙されるHLA−DRB1遺伝子産物のアミノ酸配列の第86番目のアミノ酸をコード化するコドンの第2及び第3番目のヌクレオチドの配列の異なるアレルを区別する場合がある。
【0015】
本発明のタイピング用キットにおいて、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列からなるプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0016】
本発明のタイピング用キットにおいて、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0017】
本発明のタイピング用キットにおいて、前記HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号1ないし13に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号14ないし23に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号38ないし85に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、前記HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号86ないし152に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなる場合がある。
【0018】
本発明のヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法及びタイピングキットにおいてアレル多型のタイピングの対象となるヒト遺伝子とは、HLA−DRB1遺伝子に加えて、以下に説明するHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ等の組織適合性に関与する遺伝子、シトクロームP450その他の薬物の代謝に関与する遺伝子、ケモカインレセプターのCCR3及びCCR5その他のHIV等の感染症耐性に関与する遺伝子、一塩基多型(SNP)その他の疾患等のヒト遺伝形質と連関するアレル多型が存在するいずれかの遺伝子を含むが、これらに限定されない、臓器移植、法医学その他の分野でヒト遺伝子のアレル多型のタイピングを行うことがあるいずれかの遺伝子をいう。
【0019】
HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP、HLA−DQ及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型については、、EMBL(http://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/docs/relnotes.html)、ASEATTA(The Australasian and South East Asian,Tissue Typing Assoc.Inc.、http://www.aseatta.org.au/nomencla.htm)及び日本組織適合性学会(http://square.umin.ac.jp/JSHI/hla_data/data.html)等のインターネット上のサイトで公表されている。本発明のHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットと、HLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プローブとは、それぞれの遺伝子について日本人におけるアレル多型の頻度が0.005%以上のものを対象としたとき、それらのホモ/へテロの区別なくタイピングが可能であることを条件としていかなるヌクレオチド配列であってもかまわない。
【0020】
本明細書において、遺伝子増幅とは、1対もしくはそれ以上のオリゴヌクレオチドプライマーと、鋳型DNAとを用いて、該鋳型DNAのうち、前記プライマーのそれぞれと相補性のあるヌクレオチド配列を有する前記鋳型DNAの部分にはさまれた領域を特異的に複製することのできるいずれかの遺伝子工学的技術をいい、PCR法と、SMAP(SMart Amplification Process)法と、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法とを含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明のHLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは、配列番号1から13までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドのセットを含むが、これらに限定されない。本発明のHLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは、配列番号14から23までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドのセットを含むが、これらに限定されない。本発明のHLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは、配列番号24から37までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドのセットを含むが、これらに限定されない。本発明のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーは、ビオチン、ジゴキシンその他の低分子化合物で標識される場合がある。標識されたプライマーによって増幅された産物は、増幅産物のヌクレオチド配列に相補的なプローブと相補的ハイブリッド形成して担体に固定化され、前記低分子化合物と特異的に結合する蛍光標識特異的結合パートナーと結合することによって検出される。
【0022】
本発明のHLA−Aのアレル検出用プローブは、配列番号38から85までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。本発明のHLA−Bのアレル検出用プローブは、配列番号86から152までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。本発明のHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プローブは、配列番号153から203までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の担体は、プローブとの相補的ハイブリッド形成の際に遺伝子増幅産物を変性させるための加熱処理に耐えることが可能であり、かつ、プローブとの相補的ハイブリッド形成により担体と結合したPCR産物の存在を検出する際に、当該担体に固定化されたプローブを同定することが可能であることを条件として、いかなる材料で製造されてもかまわない。本発明においては、1個の担体に2種類、3種類又は4種類以上のプローブが結合する場合と、1個の担体に1種類のプローブだけが結合する場合とがある。好ましい担体は、ルミネックス社から入手可能な「MicroPlex Microspheres」というポリスチレン製担体である。「MicroPlex Microspheres」は2種類の蛍光物質がそれぞれ10段階の異なる濃度の組合せで着色されている。そのため全部で100種類の担体を識別同定することができる。また「MicroPlex Microspheres」の表面はアビジンもしくはカルボキシル基でコートされており、ビオチンもしくはアミノ基で修飾されたオリゴヌクレオチドを結合・固相することができる。本発明のHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プローブを担体に固定化することは、それぞれのオリゴヌクレオチドの末端部をアミノ基で修飾し、それとカルボキシル基コートされた「MicroPlex Microspheres」とで共有結合反応を行うことにより達成される。
【0024】
本発明のタイピング方法及びタイピングキットでは、アレルの一部は、ヒト遺伝子のアレル検出用プライマーのセットと検体DNAとから得られた遺伝子増幅産物がどのプローブに結合するかによって判定される。アレルの別の一部は、前記プライマー由来の遺伝子増幅産物の有無によって判定される。例えば、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型は、配列番号204に列挙されるHLA−DRB1遺伝子型DRB1*010101の遺伝子産物のアミノ酸配列の第86番目のアミノ酸をコード化するコドンがGGTであるかGTGであるかによって大きく2つのグループに分類することができる。遺伝子型DRB1*010101の遺伝子産物のアミノ酸配列と遺伝子型DRB1*010201の遺伝子産物のアミノ酸配列とは、前者の第86番目のアミノ酸をコード化するコドンがGGTでグリシンをコードするのに対し、後者の第86番目のアミノ酸をコード化するコドンがGTGでバリンをコードする点を除くと、他は同一である。そこで、一部のプライマーの3’末端が第86番目のアミノ酸に対応する部位のヌクレオチド配列を含むようにしておくことによって、当該プライマー由来の遺伝子増幅産物が得られる場合には当該プライマーのヌクレオチド配列に相補的な配列を検体DNAは有することがわかり、かかる遺伝子増幅産物が得られない場合には、当該プライマーのヌクレオチド配列に相補的な配列を検体DNAは有しないことがわかる。表1に列挙される本発明のHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プライマーのうち、配列番号31、32及び37に列挙されるヌクレオチド配列を有するそれぞれD2R1、D2R2及びD2R3は、遺伝子増幅産物の有無によってHLA−DRB1遺伝子産物の第86番目のアミノ酸に対応する部位のヌクレオチド配列の多型を検出することができる。
【0025】
本発明のHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プライマーのセットは、2組のセットに分けて、2個の容器のそれぞれに添加される。2組のセットへの分別は、遺伝子増幅反応が安定して進行し、かつ、増幅産物とプローブとの相補的ハイブリッド形成のS/N比がタイピングの妨げにならないことを条件として、いずれのヌクレオチド配列がいずれのセットに配分されてもかまわない。配列番号24から32までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドを1組のセットとし、配列番号33から37までに列挙されたヌクレオチド配列のオリゴヌクレオチドを別の1組のセットとすることが好ましい。これらの好ましいHLA−DRB1遺伝子のアレル検出用プライマーの2組のセットのいずれか一方がHLA−A遺伝子のアレル検出用プライマーと同じ容器に添加され、他方がHLA−B遺伝子のアレル検出用プライマーと同じ容器に添加される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【実施例1】
【0027】
サンプル及び染色体DNA抽出
サンプルは日本人健常者計95検体から、株式会社医学生物学研究所及び富士フィルム株式会社のDNA抽出キットを用いて染色体DNAを抽出、精製した。260nmと280nmの吸光度を測定することにより、DNAの定量と純度の測定を行い、10−20ng/μLの濃度に調製した。これらの検体のHLA遺伝子アレル多型は、株式会社医学生物学研究所が販売する既存の判定方法(ジェノサーチHLA ver.2)等の別法での判定により既知である。
【0028】
アレル多型検出用プライマー
表1は、第1の容器に添加されるプライマー(A/PS1増幅系)と、第2の容器に添加されるプライマー(B/PS2増幅系)とに用いるプライマーのリストである。第1の容器に添加するプライマーは、HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセット(配列番号1ないし13)と、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セット(配列番号24ないし32)とである。第2の容器の添加されるプライマーは、HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセット(配列番号14ないし23)と、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セット(配列番号33ないし37)とである。本実施例のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーは5’末端をビオチンで標識したオリゴヌクレオチドを用いた。
【0029】
【表1】

【0030】
PCR増幅反応
A/PS1増幅系及びB/PS2増幅系のプライマーをそれぞれ第1及び第2の容器に適切な濃度で混合した。増幅用緩衝液は最終濃度 50 mM KCl、10 mM Tris−HCl pH8.3、1.5 mM MgCl2、2% DMSO、0.2 mM dNTPsとした。これに0.5−1.0 μMの上記プライマーセット、25 U/mLのTaq DNAポリメラーゼおよび検体ゲノムDNA 50−100 ngを加え、全量を25μLとした。第1及び第2の容器をサーマルサイクラーGeneAmp9700(Appliedbiosystems社)に装着し、94°Cで2分保持した後、94°Cで30秒間保温するステップと、65°Cで30秒間保温するステップと、72°Cで30秒間保温するステップとからなる熱サイクルを40回繰り返す条件でPCR増幅反応を行った。
【0031】
アレル多型検出用プローブ
表2−1及び2−2は、A/PS1増幅系のアレル多型検出用プライマーを用いて第1の容器でPCR増幅反応を行って得られた増幅産物と相補的にハイブリッド形成するプローブのリストである。表3−1及び3−2は、B/PS2増幅系のアレル多型検出用プライマーを用いて第2の容器でPCR増幅反応を行って得られた増幅産物と相補的にハイブリッド形成するプローブのリストである。
【0032】
【表2−1】

【0033】
【表2−2】

【0034】
【表3−1】

【0035】
【表3−2】

【0036】
アレル多型用プローブの蛍光マイクロスフェア粒子への固定化
ルミネックス法のxMAP(商標)マイクロスフェア粒子は、蛍光波長の異なる2種類の蛍光色素をそれぞれ10段階の異なる濃度で含むポリスチレン製マイクロビーズ粒子で、1つのグループに100種類の粒子が含まれる。したがって、第1及び第2の容器のそれぞれで増幅された産物について、最大100種類までのプローブとの相補的ハイブリッド形成が起こるかどうかを検出することができる。HLA−A遺伝子のアレル多型検出用プローブは48種類で、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用プローブの第1セットは27種類である。これらの各プローブを第1のグループの100種類のマイクロスフェア粒子のいずれか1種類に固定化させるように割り当て、各プローブの末端に標識したアミノ基と、マイクロスフェア粒子の表面にコーティングされたカルボキシル基とのカップリング反応により両者を固定化する。この作業を48種類のHLA−A遺伝子のアレル多型検出用プローブと、27種類のHLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用プローブの第1セットとについて行って、これらのプローブを固定化した粒子を調製した。67種類のHLA−B遺伝子のアレル多型検出用プローブと、24種類のHLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用プローブの第2セットとについても、同様に、第2のグループの100種類のマイクロスフェア粒子のいずれか1種類に固定化されるように割り当て、これらのプローブを固定化した粒子を調製した。調製された第1及び第2グループのマイクロスフェア粒子は、TMAC(塩化四メチルアンモニウム)、EDTA、ザルコシンおよびTris緩衝液を含むハイブリダイゼーション緩衝液に1回の測定あたり各粒子が約350個ずつ含まれるように粒子濃度を調整して再分散させ、それぞれ、第1及び第2の粒子混合液を調製した。
【0037】
PCR増幅産物とアレイ多型検出用プローブとの相補的ハイブリッド形成
ハイブリダイゼーション反応緩衝液(3.75 M TMAC、62.5mM TB pH8.0、0.5mM EDTA、0.125% N−ラウロイルサルコシン)を40μLに、上記ビーズミックスを5μlと、PCR増幅産物を5μL加えて、50μLとした。これらをGeneAmp9700に装着し、95°Cで2分間保温してPCR増幅産物を熱変性させてから、52°Cで30分間保温する条件で雑種形成反応を行った。
【0038】
粒子に不動化されたPCR増幅産物の検出
相補的ハイブリッド形成後、ストレプトアビジン標識フィコエリスリン(SA−PE、MOSS社)をPBS−Tween(1×PBS(pH7.5)、0.01% Tween−20)で100倍に希釈したもの(以下、「SA−PE反応液」という。)を50μLずつ添加した。スイング型のプレート遠心機にて1800×g、2分間遠心分離し、上清を除いた。再度SA−PE反応液を50μLずつ加え、上記条件で遠心し、上清を除いた。再々度SA−PE反応液を50μLずつ加え、ピペッティングでマイクロスフェア粒子と反応液を撹拌して、それらをGeneAmp9700にセットし、52°Cで10分間保温させた後、Luminex100システム(96サンプル用)に装着し、測定を行った。得られた反応パターンを入力したアレル多型タイピングソフトウェアを用いて、アレル多型のタイピングを行った。
【0039】
結果
日本人由来の95検体ゲノムDNAについてPCR増幅を行い、上記の実験条件を用いて2個の容器でLuminex法によるHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子タイピングを行った。表4−1から表6−4までに、HLA−A、HLA−BおよびHLA−DRB1遺伝子アレル多型タイピングのプローブ判定パターンをそれぞれ示した。本方法は日本人集団で遺伝子頻度が0.005%以上みられるアレル(表4−1から表6−4までを参照))について、ホモ、ヘテロの組合わせについて4桁レベルのタイピングが可能である。また、日本人以外の他集団では頻繁に観察されるA29やA32の判定についても、型判定可能な方法である。
【0040】
【表4−1】

【0041】
【表4−2】

【0042】
【表4−3】

【0043】
【表4−4】

【0044】
【表5−1】

【0045】
【表5−2】

【0046】
【表5−3】

【0047】
【表5−4】

【0048】
【表6−1】

【0049】
【表6−2】

【0050】
【表6−3】

【0051】
【表6−4】

【0052】
表7−1及び7−2に、本発明の方法によるHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型タイピングの結果の代表例を示す。
【0053】
【表7−1】

【0054】
【表7−2】

【0055】
本発明の方法では、2つの容器でPCR増幅反応を行うために、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用プライマーのセットを第1セットと第2セットの2つに分割した。その結果、第1セットのPCR増幅産物がプローブと相補的ハイブリッド形成した結果と、第2セットのPCR増幅産物がプローブと相補的ハイブリッド形成した結果とが整合しないときには、例えば、以下の表8−1及び8−2に示すとおり、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型が決定不能となるエラーが頻繁に発生する。そこで、本発明はサンプルの取り違えによるアレル多型タイピングのミスを防止することができる。
【0056】
【表8−1】

【0057】
【表8−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーの第1セットと、HLA−DRB1とは異なる他の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第1容器と、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットと、HLA−DRB1及び前記他の遺伝子とは異なる更に別の遺伝子のアレル多型検出用オリゴヌクレオチドプライマーのセットとを含む第2容器とを用意するステップと、
(2)同一個人由来の検体DNAと第1及び第2セットのプライマーのそれぞれとを混和するステップと、
(3)第1及び第2容器のインキュベーションを行って遺伝子増幅産物を生成させるステップと、
(4)前記他の遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットとを第1容器の遺伝子増幅産物と混和し、前記更に別の遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットとを第2容器の遺伝子増幅産物と混和するステップと、
(5)第1及び第2容器のインキュベーションを行って、それぞれの容器の遺伝子増幅産物を前記アレル検出用プローブのいずれかと相補的ハイブリッド形成させるステップと、
(6)第1及び第2容器のそれぞれについて、前記担体に固定化されたアレル検出用プローブと相補的ハイブリッド形成した前記遺伝子増幅産物に取り込まれた前記プライマーか、前記遺伝子増幅産物と相補的ハイブリッド形成した前記アレル検出用プローブかを検出するステップとを含み、
前記アレル検出用プローブは1個の担体に1種または2種以上のヌクレオチド配列のプローブが固定化され、
ステップ(6)において、前記担体に固定化されたアレル検出用プローブと相補的ハイブリッド形成した前記遺伝子増幅産物に取り込まれた前記プライマーか、前記遺伝子増幅産物と相補的ハイブリッド形成した前記アレル検出用プローブかを検出するときに、前記遺伝子増幅産物のヌクレオチド配列が特定されることを特徴とする、ヒト遺伝子のアレル多型のタイピング方法。
【請求項2】
前記他の遺伝子と、前記更に別の遺伝子とは、いずれもHLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−DP及びHLA−DQからなるグループから選択される少なくとも1種類の遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載のアレル多型のタイピング方法。
【請求項3】
前記他の遺伝子はHLA−A遺伝子であり、前記更に別の遺伝子はHLA−B遺伝子であることを特徴とする、請求項2に記載のアレル多型のタイピング方法。
【請求項4】
前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列からなるプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のアレル多型のタイピング方法。
【請求項5】
前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のアレル多型のタイピング方法。
【請求項6】
前記HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号1ないし13に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号14ないし23に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号38ないし85に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、前記HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号86ないし152に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のアレル多型のタイピング方法。
【請求項7】
(1)HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットとを含む第1のPCR反応容器と、
(2)HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットと、HLA−DRB1遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットとを含む第2のPCR反応容器と、
(3)HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットとからなる、第1のPCR反応容器に添加するためのアレル検出用プローブを固定化した担体セットとの組合せと、
(4)HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットと、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットとからなる、第2のPCR反応容器に添加するためのアレル検出用プローブを固定化した担体セットとの組合せとを含むことを特徴とする、2個の容器を用いるHLA−A、HLA−B及びHLA−DRB1遺伝子のアレル多型のタイピング用キット。
【請求項8】
前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1及び第2セットのうち一方は配列番号31及び32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーを含み、第1及び第2セットのうち他方は配列番号37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーを含み、配列番号31、32及び/又は37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーによる遺伝子増幅の有無によって配列番号204に列挙されるHLA−DRB1遺伝子産物のアミノ酸配列の第86番目のアミノ酸をコード化するコドンの第2及び第3番目のヌクレオチドの配列の異なるアレルを区別することを特徴とする、請求項7に記載のアレル多型のタイピング用キット。
【請求項9】
前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列からなるプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項8に記載のアレル多型のタイピング用キット。
【請求項10】
前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第1セットは配列番号33ないし37に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−DRB1遺伝子アレル多型検出用遺伝子増幅プライマーの第2セットは配列番号24ないし32に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第1セットは配列番号180ないし203に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、HLA−DRB1遺伝子アレル検出用プローブを固定化した担体の第2セットは配列番号153ないし179に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項8に記載のアレル多型のタイピング用キット。
【請求項11】
前記HLA−A遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号1ないし13に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−B遺伝子のアレル多型検出用遺伝子増幅プライマーのセットは配列番号14ないし23に列挙されるヌクレオチド配列のプライマーからなり、前記HLA−A遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号38ないし85に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなり、前記HLA−B遺伝子のアレル検出用プローブを固定化した担体のセットは、配列番号86ないし152に列挙されるヌクレオチド配列のプローブが固定化された担体からなることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれかに記載のアレル多型のタイピング用キット。

【公開番号】特開2009−261358(P2009−261358A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116994(P2008−116994)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(390004097)株式会社医学生物学研究所 (41)
【Fターム(参考)】