説明

HMI画面自動生成方法

【課題】HMI画面をPLCプログラミングツールとHMIプログラミングツールとを用いて容易に自動生成できるようにすること。
【解決手段】PLCプログラミングツール6の画面6a上で制御ターゲットに対する制御のためのパラメータを設定する第1ステップと、PLCプログラミングツール6により制御ターゲットの制御状況をモニタするための制御画面8を作成する第2ステップと、HMIプログラミングツール7により上記第2ステップで作成した制御画面8をテンプレート画面として登録する第3ステップと、上記パラメータをテンプレート画面上に読み込むことでHMI画面10を生成する第4ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルコントローラ(以下、PLCという)とセットで使用されるプログラマブル表示器において、当該プログラマブル表示器の表示器画面をHMI(ヒューマン・マシーン・インタフェース)画面として自動生成する方法に関するものである。ここでHMI画面とは、HMI部品を表示し、この画面上のHMI部品を用いて機械や装置等の各種制御ターゲットの状況表示や制御操作を行うことができる画面である。
【背景技術】
【0002】
PLCは、プログラマブルコントローラ以外に、プログラマブルロジックコントローラとも称され、生産工場等に設置されるファクトリーオートメーションのコントローラとして、汎用されている。PLCは、内部にCPU、I/Oメモリ、プログラムメモリ、等を有する。PLCにおいて、CPUは、入力端子から入力した信号をI/Oメモリに取り込むINリフレッシュ処理を行う。CPUはまた、プログラムメモリ内のシーケンスプログラムに基づき演算実行し、その演算実行結果をI/Oメモリに書き込んで出力端子に出力するOUTリフレッシュ処理を行う。入力端子にはセンサ等の入力デバイスが接続される。出力端子にはアクチュエータ等の出力デバイスが接続される。センサ等の入力デバイスはコンベアライン等の各種制御ターゲットの状態をセンシングしその情報を入力端子に入力する。アクチュエータ等の出力デバイスは出力端子からの出力に応答して制御ターゲットを駆動する(特許文献1参照)。
【0003】
このようなPLCに対してプログラマブル表示器がセットとして使用されるようになっている。すなわち、PLCにより制御ターゲットをシーケンス制御する一方、プログラマブル表示器により制御ターゲットの状況を表示したり当該制御ターゲットの操作をしたりすることが行われる。
【0004】
そして、このようなプログラマブル表示器においては、表示器画面をHMI画面として制御ターゲットの状況監視やその他を行うことができるようになっている。HMI画面は、汎用パソコンに作画ソフトが内蔵あるいはダウンロードされてなるHMIプログラミングツールにより、作成される。HMI画面は、制御ターゲットの状況や制御操作のため、これらに対応して、画面オブジェクトであるボタン、メータ、グラフ、等がHMI部品として貼り付け表示されている。このようなHMI画面のデータは、表示器のメモリに記憶されている。また、表示器は、これら画面データを実行する実行プログラムをメモリに記憶している。
【0005】
表示器の基本ソフトには、Windows(登録商標)NT(マイクロソフト社)、Windows(登録商標)CE(マイクロソフト社)、その他があり、表示器の実行プログラムはこれのアプリケーションプログラムである。実行プログラムは、画面データに基づいて必要に応じてPLC側のインタフェースへ指示して自機器に接続されているPLCや他の表示器と通信して入・出力デバイスの状態を取得したり、さらに表示器の表示画面へ各入・出力デバイスに対応するHMI部品を表示するとともにPLCを介して取得した入・出力デバイスのデータに応じて形状、色、数値など、HMI部品の表示状態を変更したりしてユーザーに制御ターゲットに対する制御の状態を報知することができる。こうしたHMI画面は、制御ターゲット毎に一連の関連する複数の画面としてまとめてプロジェクトファイルとして管理することができる。プロジェクトファイルは、複数(数百)の画面データと、この画面データだけでは表示器は動作しないので、画面データに従い表示器の動作に必要な設定データを含めたデータの集合である。このようにHMI画面の作成には相当な手数を要するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−259079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明ではこれまで膨大な手数を要して作成していたHMI画面をPLCプログラミングツールとHMIプログラミングツールとを用いて容易に自動生成できるようにすることを解決すべき課題としている。PLCプログラミングツールは、画面上でラダープログラム等のプログラム作成を行ったり、画面上にラダープログラム上の制御パラメータの設定ウインドウを呼び出し、当該設定ウインドウで制御パラメータの設定を行うことができるツールである。HMIプログラミングツールは、画面上で制御ターゲットの状況監視や操作等を行うことができるHMI画面を作成するためのツールである。また、HMI画面は、制御ターゲットに対する制御や操作のため、これらに対応して、画面オブジェクトであるボタン、メータ、グラフ、等が各種HMI部品として貼り付け表示される画面である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、制御ターゲットの制御状況や制御操作のための各種演算パラメータや制御パラメータ等のパラメータと、PLCプログラミングツールにより作成されている上記制御ターゲットに対するPID等の各種制御動作確認のための制御画面とを利用することで、プログラマブル表示器上のHMI画面を自動生成可能としている。
【0009】
すなわち、本発明によるプログラマブル表示器におけるHMI画面自動生成方法は、PLCプログラミングツールのツール画面上で制御ターゲットに対する制御に関わるパラメータを設定する第1ステップと、PLCプログラミングツールにより制御ターゲットの制御状況をモニタするための制御画面を作成する第2ステップと、HMIプログラミングツールにより上記第2ステップで作成した制御画面をテンプレート画面として登録する第3ステップと、上記パラメータを上記テンプレート画面上に読み込むことでHMI画面を生成する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記において、第1ステップで設定したパラメータをPLC内部メモリに保存するステップを含むことができる。
【0011】
また、第4ステップで生成したHMI画面のデータをプログラマブル表示器に転送するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、HMIプログラミングツールにおいて、PLCプログラミングツールのツール画面上で作成されている制御画面をテンプレート画面として登録すると共に、PLCプログラミングツール上で制御ターゲットに対する制御のために設定されているパラメータを、その登録しているテンプレート画面上に読み込むことだけで、HMI画面を自動生成することができるので、HMI画面の作成が従来よりも大幅に容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、全体のHMI画面自動生成方法の説明に用いるPLC、PLCプログラミングツール、HMIプログラミングツール、およびプログラマブル表示器を示す図である。
【図2】図2は、PLCプログラミングツール上で制御画面作成とパラメータ設定の説明のための図である。
【図3】図3は、PLCプログラミングツール上の制御画面をHMIプログラミングツールにテンプレート画面としての登録と、制御パラメータの読み込みとの説明のための図である。
【図4】図4は、HMIプログラミングツールにより自動生成したHMI画面のプログラマブル表示器への転送の説明のための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るHMI画面自動生成方法を説明する。まず図1にプログラマブル表示器(単に、表示器)がPLCにセットとして併用される制御システムを示す。図1において、1は外部PC、2は表示器(HMI機器)、3はPLC、4は入・出力デバイス、5は制御ターゲット、6はPLCプログラミングツール、7はHMIプログラミングツールを示す。外部PC1とPLCプログラミングツール6とHMIプログラミングツール7は、図面上、説明の都合で機能的に別々のブロックで示しているが、別々のパソコンでも同一のパソコンでも構成することができるものであり、プログラムソフトウエアがそれぞれに対応してダウンロードされている。
【0015】
外部PC1は表示器2やPLC3をプロトコル通信により制御する。表示器2は、センサやアクチュエータ、モータ等の各種入・出力デバイス4に対して、その稼働状況や作業指示のような管理のための各種のモニタ、デバイスに対する設定値を入力する端末として機能することができる。表示器2の画面はHMI画面としてデバイスの制御や操作のためこれらに対応してメータ、グラフ、スイッチ等の各種HMI(ヒューマン・マシーン・インタフェース)表示部品が表示される。表示器2は、内部構成の具体図示は略するが、RAM、ROM、フラッシュROM、VRAMなどのメモリや、CPUなどの演算処理部を有しており、これらによって表示器2の各部の動作を制御している。表示器2は、HMI画面の表示制御、プロトコル変換およびデータ配信の処理を行うために各種のデータ処理を行うことができる。表示器2は、HMIプログラミングツールにより作成したHMI画面に基づいてVRAMなどを用いて表示画面上にHMI画面を描画させることができる。HMI画面には、HMI表示部品等が表示されている。HMI画面においては、これらHMI表示部品は入・出力デバイス4の動作に応じて動くようになっており、入・出力デバイス4の動作状況が視覚化されている。表示器2は、表示制御プログラムに従い、上記PLC3のデータメモリに格納される入・出力デバイス4のON/OFF情報に基づいてHMI画面を表示制御する。
【0016】
PLC3は、PLCプログラミングツール6により作成したラダープログラムを実行するCPU、入・出力デバイス4のON/OFF情報が格納されるI/Oメモリ等の内部メモリ、等を備え、ラダープログラムの実行に従い、内部メモリの内容を書き換えるとともに内部メモリの内容を参照しながらラダープログラムを実行し、入・出力デバイス4の制御を行うようになっている。PLC3はまた、入力デバイス4aから入力される信号に基づいて出力デバイス4bに与える制御データの演算処理を行う。入力デバイス4aとしては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力デバイス4bとしては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、などが用いられる。これらの入力と出力のデバイス4a,4bは、製造ラインなどの所要各部に配置される。PLC3は、図示略のラダープログラムに従い、入・出力デバイス4との間での信号の入・出力により制御ターゲット5を制御する。
【0017】
以上の制御システムにおいて、制御ターゲット5として、例えばコンベアラインを含み、コンベアライン上に、図示しないが、当該コンベアライン上を搬送する物品の検出のためのセンサとか、コンベアラインを駆動するモータ等、複数の入・出力デバイス4が配置されている。
【0018】
図2を参照してPLCプログラミングツール6は、汎用パソコンからなり、編集画面6a上にラダープログラムの作成、制御画面8の作成、パラメータテーブル9の設定、を行うことができる。PLCプログラミングツール6においては、一例としてコンベアライン制御監視用としての制御画面8の作成、また、コンベアライン制御のため内部メモリに設定するパラメータをパラメータテーブル9に設定することができる。制御画面8には、例えば棒グラフが表示される領域8a−8dと、折れ線グラフが表示される領域8eと、を有する。パラメータテーブル9には、パラメータPa−Peと、各パラメータPa−Peに対応して内部メモリに記憶されるメモリ値A−Eと、が記述されている。PLCプログラミングツール6は、ラダープログラムの作成、制御画面8の作成、パラメータテーブル9の設定が終了すると、それらをPLC3に転送して設定する。
【0019】
図3を参照してPLCプログラミングツール6で作成した制御画面8(編集画面6a上を点線で囲む画面部分)およびパラメータテーブル9は、HMIプログラミングツール7に転送される。HMIプログラミングツール7の編集画面7a上にはPLCプログラミングツール6から転送された制御画面8およびパラメータテーブル9からHMI画面10(編集画面7a上を点線で囲む画面部分)を自動生成される。
【0020】
この場合、HMIプログラミングツール7では、
(1)PLCプログラミングツール6から転送された制御画面8をテンプレート画面として登録し、
(2)登録したテンプレート画面とパラメータテーブル9とからHMI画面10を作成する。
【0021】
上記テンプレート画面は、HMIプログラミングツール7のメモリに登録される。また、このテンプレート画面とパラメータテーブル9とを対応付けしてメモリに登録しておけば、上記(2)の作成がより容易になる。パラメータテーブル9においてパラメータPa−Peそれぞれに対応する内部メモリのメモリ値A−Eは、制御状態に応じた入・出力デバイス4の入・出力情報により書き換えられ更新される。
【0022】
図3のHMIプログラミングツール7の編集画面7aにはHMI画面10が表示されている。すなわち、PLCプログラミングツール6の編集画面6aには棒グラフ表示領域8a−8dおよび折れ線グラフ表示領域8eのみが表示されているが、HMIプログラミングツール7の編集画面7a上のHMI画面10にはパラメータテーブル9内のパラメータに対応した棒グラフ8a1−8d1および折れ線グラフ8e1が表示されている。
【0023】
図4を参照してHMIプログラミングツール7の編集画面7aに表示されている棒グラフ8a1−8d1および折れ線グラフ8e1を含むHMI画面10のデータは表示器2に転送される。このHMI画面10は、表示器2の画面2a上において、点線で囲む画面部分に棒グラフ8a2−8d2と折れ線グラフ8e2とを含むHMI画面11として表示される。
【0024】
以上説明したように本実施の形態では、PLCプログラミングツール6により制御対象の制御のためのパラメータテーブル9を設定する第1ステップと、PLCプログラミングツール6により制御対象の制御状況をモニタするための制御画面8を作成する第2ステップと、HMIプログラミングツール7により上記第2ステップで作成した制御画面8をテンプレート画面として登録する第3ステップと、PLC内部に保存する制御パラメータを上記テンプレート画面上に読み込むことでHMI画面10を生成する第4ステップと、このHMI画面10をHMIプログラミングツール7から表示器2に転送し、表示器画面2a上にHMI画面11として表示することができる。すなわち、本実施の形態では、HMIプログラミングツール7において、PLCプログラミングツール6で作成されている制御画面8をテンプレート画面として登録すると共に、PLCプログラミングツール6で制御対象の制御のための設定されているパラメータを、その登録しているテンプレート画面上に読み込むことだけで、HMI画面10を自動生成することができるので、HMI画面10の作成が従来よりも大幅に容易になる。
【符号の説明】
【0025】
1 外部PC
2 表示器
3 PLC
4 入・出力デバイス
5 制御ターゲット
6 PLCプログラミングツール
7 HMIプログラミングツール
8 制御画面
9 パラメータテーブル
10 HMI画面
11 HMI画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLCプログラミングツールのツール画面上で制御ターゲットに対する制御に関わるパラメータを設定する第1ステップと、
PLCプログラミングツールにより制御ターゲットの制御状況をモニタするための制御画面を作成する第2ステップと、
HMIプログラミングツールにより上記第2ステップで作成した制御画面をテンプレート画面として登録する第3ステップと、
上記パラメータを上記テンプレート画面上に読み込むことでHMI画面を生成する第4ステップと、
を含むことを特徴とする、プログラマブル表示器におけるHMI画面自動生成方法。
【請求項2】
第1ステップで設定したパラメータをPLC内部メモリに保存するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第4ステップで生成したHMI画面のデータをプログラマブル表示器に転送するステップを含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−108008(P2011−108008A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262694(P2009−262694)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】