説明

HPV感染に有用な化合物

本発明は、ヒトパピローマウイルスの治療に有用な化合物、ならびに当該化合物の製造および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトパピローマウイルス感染の治療に有用な新規化合物、およびこのような化合物の製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、多くの症状および疾病に関与する小さい非エンベロープ型DNAウイルスである。たとえば、HPVはさまざまな種類の良性および前癌状態の腫瘍を引き起こす。
【0003】
HPVは直接接触により感染する。HPVは2つのカテゴリー、すなわち、皮膚型および粘膜型に大別される。皮膚型HPVは手および足に尋常性、足底、毛様、または扁平いぼなどのいぼを引き起こす。粘膜型HPV型は肛門性器領域および口腔に感染する。現在までにおよそ100の異なる型のHPVが解析されている。およそ40のHPV型が生殖器および口腔の粘膜に特異的に感染する。
【0004】
粘膜型HPVは性的接触により最も頻繁に感染し、その頻度は単純ヘルペスウイルス感染のおよそ2倍になる。HPVは世界中で最も一般的な性感染症(STD)の一つであると見なされている。
【0005】
ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染は症状を引き起こさない場合があり、常に目に見える生殖器いぼを作るわけではない。実際に症状が発症する場合には、それらは通常ウイルス感染の2〜3か月後に生じる。けれども、症状は感染してから3週間から何年も後に発症することが知られている。このように、HPVは気づかずに拡散する可能性がある。
【0006】
肛門生殖器の疾病に関与している25以上のHPV型は、低リスク型または高リスク型のいずれかに大別される。HPV-6およびHPV-11などの低リスク型HPVは、生殖器いぼ(尖圭コンジローマ)の病因である。HPV-16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、および68などの高リスク型HPVは目に見える生殖器いぼを作らない場合がある。一方、高リスク型のウイルス型はDNA試験により同定することができる。HPV-16およびHPV-18などの高リスク型HPVは、Papスクリーニング試験により発見することができ、頸部細胞の前癌性の変化、子宮頸部形成異常、および子宮頸癌に関連している可能性がある。実際、HPV-16、18、31、33、および35などの高リスク型のHPV型は、頸部の前癌性の変化および癌化に強く関与している。ほとんどの子宮頸癌(約90%)は、これらの高リスク型の一つを含む。高リスク型HPVの感染は、未治療の感染の5〜10%の範囲で生涯に渡る浸潤性癌のリスクを作り出す。
【0007】
子宮頸癌に加えて、高リスク型HPVは多くの肛門および肛門周囲癌に関与している。
【0008】
最近の生殖器いぼおよび子宮頸部形成異常の治療には、凍結療法、電気外科、および外科的切除などの物理的除去が含まれる。現在は、HPV感染に対して有効な抗ウイルス治療は存在しない。
【発明の開示】
【0009】
本発明の一態様は、HPV感染による症状および障害を治療または予防するための方法を含み、当該方法は、式(I):
【化1】

【0010】
[式中、
R1はそれぞれ独立して、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4―NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドであり、
pは、0、1、2、3または4であり、
nは、0または1であり、
mは、0、1または2であり、
Xは、C(O)、C(O)O、C(O)Y、S(O)、SO2, S(O)Y、SO2Y、C(O)OY、C(O)NHY、C(O)YN(H)C(O)OYからなる群から選択され、
Yはそれぞれ独立して、場合によって置換されたアルキレン、場合によって置換されたシクロアルキレン、場合によって置換されたアルケニレン、場合によって置換されたシクロアルケニレン、または場合によって置換されたアルキニレンであり、
R2は、−Ayまたは−Hetであり(これらはそれぞれ場合によって、1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドによって置換されている)、
R3は、アルキル、−Ayまたは−Hetであり(AyまたはHetは、それぞれ場合によって1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドによって置換されていてもよい)、
R4およびR5はそれぞれ独立して、Hまたはアルキルから選択され、
R10はそれぞれ場合によって置換されたアルキレンであり、
Ayはアリール基を表し、
Hetは、5員または6員の複素環基またはヘテロアリール基を表す]で表される化合物、その製薬上許容される塩、溶媒和物または生理的に機能性の誘導体を投与することを含む。
【0011】
本発明の一実施形態において、R1は、ハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、−NR4R5、または−CONR4R5より選択される。好ましくは、R1は、ハロゲンまたはアルキルである。好ましくは、R1はF、Cl、Br、またはIである。より好ましくはR1はClまたはBrである。
【0012】
一実施形態においてpは、1であり、R1は図示したインドール窒素原子に対してパラ置換されている。
【0013】
一実施形態においてR2は、Ayである。好ましくは、Ayは、1または2つの置換基で置換されているフェニルである。好ましくは、Ayは、ハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、−NR4R5、または−CONR4R5によって場合によって置換されているフェニルである。好ましくは、Ayは、ハロゲン、アルキル、シアノ、−OR4、−NR4R5、または−CONR4R5で場合によって置換されているフェニルである。
【0014】
一実施形態においてR2は、Hetである。好ましくは、Hetは、ジヒドロベンゾフランまたはピペロニルである。
【0015】
一実施形態においてnは1であり、Xは、C(O)、C(O)O、C(O)Y、C(O)OY、C(O)NHYまたはSO2Yより選択される。好ましくは、Xは、C(O)Y、C(O)O、C(O)OYまたはC(O)NHYより選択される。好ましくは、さらにR3は、アルキル、AyまたはHetである。好ましくは、R3は、アルキルまたはAyである。
【0016】
一実施形態においてnは、0であり、R3は、Hetである。好ましくは、R3は、1または複数のハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、Ay、−NR4R5、または−CONR4R5で場合によって置換されているHetである。
【0017】
特に好ましい化合物としては、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
(1R)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−[(フェニルメチル)スルホニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(4−{[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]スルホニル}フェニル)アミン.
2−アセチル−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニル−2−プロピノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−[3−(3−ピリジニル)プロパノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル{2−[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]−2−オキソエチル}カルバメート、
6−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
8−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
6−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
7−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
7−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1R)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−{4−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−ピリミジニル}−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−(2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−フェニル−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、ならびに
その製薬上許容される塩、溶媒和物または生理的に機能性の誘導体が挙げられる。
【0018】
さらに好ましい化合物としては、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
6−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、および
6−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、ならびに
その製薬上許容される塩、溶媒和物、および生理的に機能性の誘導体、が挙げられる。
【0019】
よりさらに好ましい化合物としては、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、および
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、ならびに
その製薬上許容される塩、溶媒和物、および生理的に機能性の誘導体が挙げられる。
【0020】
本発明の一つの態様は、アデノウイルス、レトロウイルス、ならびにポリオーマウイルスおよびパピローマウイルスを含むパポーバウイルスファミリーに属するウイルスを含む腫瘍ウイルスによって引き起こされる疾患および症状を治療または予防するための方法を含む。好ましくは、上記の症状または疾病は、いぼ、生殖器いぼ、子宮頸部形成異常、再発性呼吸器乳頭腫症、またはパピローマウイルス感染に伴う癌である。特に、上記癌は、肛門性器癌、頭部および頸部癌、および皮膚癌である。より特定的には、上記肛門性器癌は、子宮頸癌、肛門および肛門周囲癌、外陰癌、膣癌、および陰茎癌であり;頭部および頸部癌は、口腔咽頭領域および食道癌であり;皮膚癌は、基底細胞癌および扁平上皮癌である。
【0021】
本発明の別の態様は、式(I):
【化2】

【0022】
[式中、
R1はそれぞれ独立に、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4 −NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジド、であり、
pは、0、1、2、3または4であり、
nは、0または1であり、
mは、0、1または2であり、
Xは、C(O)、C(O)O、C(O)Y、S(O)、SO2, S(O)Y、SO2Y、C(O)OY、C(O)NHY、C(O)YN(H)C(O)OYからなる群より選択され、
Yはそれぞれ独立して、場合によって置換されたアルキレン、場合によって置換されたシクロアルキレン、場合によって置換されたアルケニレン、場合によって置換されたシクロアルケニレン、または場合によって置換されたアルキニレンであり、
R2は、−Ayまたは−Hetであり(それぞれ場合によって、1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4, HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドで置換されている)、
R3は、アルキル、−Ayまたは−Hetであり(AyまたはHetはそれぞれ、1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドで場合によって置換されていてもよい)、
R4およびR5はそれぞれ独立して、Hまたはアルキルより選択され、
R10はそれぞれ場合によって置換されたアルキレンであり、
Ayはアリール基を表し、
Hetは、5員または6員の複素環基またはヘテロアリール基を表す]
で表される化合物、ならびにその製薬上許容される塩、溶媒和物、および生理的に機能性の誘導体の、アデノウイルス、レトロウイルス、ならびにポリオーマウイルスおよびパピローマウイルスを含むパポーバウイルスファミリーに属するウイルスを含む腫瘍ウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における使用を含む。
【0023】
特に、HPV感染による症状および障害を治療または予防するための使用に関する。より具体的には、いぼ、生殖器いぼ、子宮頸部形成異常、再発性呼吸器乳頭腫症、またはパピローマウイルス感染に伴う癌についての使用に関する。特に上記癌は、肛門性器癌、頭部もしくは頸部癌、および皮膚癌である。より具体的には、上記肛門生殖器癌は、子宮頸癌、肛門もしくは肛門周囲癌、外陰癌、膣癌、および陰茎癌であり、頭頸部癌は、口腔咽頭領域および食道癌であり、皮膚癌は、基底細胞癌または扁平上皮癌である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
用語はそれらの一般に認められた意味で使用する。下記の定義は、定義された用語を明確にするためのものであり、限定を目的とするものではない。
【0025】
本明細書において、「アルキル」という用語は、好ましくは1〜12個の炭素原子を有し、場合により、置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。本明細書で使用される「アルキル」の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、n-ペンチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書全体を通して、好ましい原子の数、たとえば炭素原子の数は、たとえば、「Cx〜Cyアルキル」のように表し、これは特定された数の炭素原子を含有する、本明細書に定義された通りのアルキル基を指す。他の好ましい用語および範囲も同様の術語を使用する。
【0027】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、場合により、置換されていてもよい、1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指す。例としては、ビニル、アリル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、場合により、置換されていてもよい、1個以上の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素を指す。例としては、エチニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、「アルキレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素基を指す。本明細書において定義されるアルキレン基は、場合により、置換されていてもよい。本明細書において使用される「アルキレン」の例には、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、「アルケニレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、場合により、置換されていてもよい、1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素基を指す。例としては、ビニレン、アリレンまたは2-プロペニレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、「アルキニレン」という用語は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、場合により、置換されていてもよい、1個以上の炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素基を指す。例としては、エチニレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、「シクロアルキル」という用語は、場合により置換された非芳香族環状炭化水素を指し、これは、場合により、該シクロアルキルがそれを介して連結するアルキレンリンカーを含む。「シクロアルキル」基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書において、「シクロアルキル」という用語には、最大数よりも少ない非集積二重結合を有する、場合により置換された、縮合多環式炭化水素の飽和環または芳香族環系、すなわち、多環式炭化水素が含まれる。たとえば、飽和炭化水素環(たとえば、シクロペンチル環)が芳香族環(本明細書においては、ベンゼン環などの「アリール」)と縮合して、たとえば、インダンなどの基を形成する。
【0033】
本明細書において、「シクロアルケニル」という用語は、場合により置換された、1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する非芳香族環状炭化水素を指し、これは、場合により、該シクロアルケニルがそれを介して連結するアルキレンリンカーを含む。。「シクロアルケニル」基の例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、「シクロアルキレン」という用語は、場合により、置換された、二価の非芳香族環状炭化水素を指す。「シクロアルキレン」基の例には、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、および上で「シクロアルキル」に関して定義した通りの縮合系が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書において、「シクロアルケニレン」という用語は、場合により、置換された、1個以上の炭素-炭素二重結合を含有する二価の非芳香族環状炭化水素を指す。「シクロアルケニレン」基の例には、シクロプロペニレン、シクロブテニレン、シクロペンテニレン、シクロヘキセニレン、シクロヘプテニレンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書において、「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、場合により置換された、1以上の不飽和度を有し、また1個以上のヘテロ原子を含有する単環系または多環系を指す。好ましいヘテロ原子には、N、O、および/またはS、ならびにN-オキシド、イオウオキシド、およびジオキシドが含まれる。好ましくは、環は3〜12員で、完全に飽和しているか1以上の不飽和度を有するかのいずれかである。上記の環は、場合により、1個以上の他の「複素環」またはシクロアルキル環と縮合していてもよい。「複素環」基の例には、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において、「アリール」という用語は、場合により置換されたベンゼン環、または場合により置換された縮合ベンゼン環系、たとえば、アントラセン、フェナントレン、またはナフタレン環系を指す。「アリール」基の例には、フェニル、2-ナフチル、および1-ナフチルが含まれる。
【0038】
本明細書において、「ヘテロアリール」という用語は、場合により置換された、単環の5〜7員芳香族環、または場合により置換された、2個の上記の芳香環を含む縮合二環系芳香環を指す。これらのヘテロアリール環は、1個以上の窒素、イオウ、および/または酸素原子を含有し、ここで、N-オキシド、イオウオキシド、およびジオキシドはヘテロ原子置換として認められる。さらに、この用語は、芳香族環系と縮合した複素環を含むことを意味する。本明細書において用いられる「ヘテロアリール」基の例には、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ピペロニル(ベンゾジオキソリル)、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンズイミジゾール、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、ピラゾロピリミジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書において、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0040】
本明細書において、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲンにより置換された、本明細書において定義された通りのアルキル基を指す。本発明に有用な分枝鎖または直鎖「ハロアルキル」基の例には、独立して1個以上のハロゲン、たとえば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素により置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、およびt-ブチルが含まれるが、これらに限定されない。「ハロアルキル」という用語は、ペルフルオロアルキル基等のような置換基を含むものと解釈されるべきである。
【0041】
本明細書において、「アルコキシ」という用語は、-OR基[式中、Rは上で定義された通りのアルキルである]を指す。
【0042】
本明細書において、「アルコキシカルボニル」という用語は、式
【化3】

【0043】
[式中、Rは本明細書に定義された通りのアルキル基を表す]
のような基を指す。
【0044】
本明細書において、「アリールオキシカルボニル」という用語は、式
【化4】

【0045】
[式中、Ayは本明細書に定義された通りのアリール基を表す]
のような基を指す。
【0046】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシカルボニル」という用語は、式
【化5】

【0047】
[式中、Hetは本明細書に定義された通りのヘテロアリール基を表す]
のような基を指す。
【0048】
本明細書において、「ニトロ」という用語は、-NO2基を指す。
【0049】
本明細書において、「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0050】
本明細書において、「アジド」という用語は、-N3基を指す。
【0051】
本明細書において、「アシル」という用語は、RC(O)-基 [式中、Rは、本明細書に定義された通りのアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環である]を指す。
【0052】
本明細書において、「オキソ」という用語は、=O基を指す。
【0053】
また、本明細書全体を通して使用される、「場合により置換された」という語句またはそれに類した表現は、1個以上の置換基による、多置換度の置換を含む、場合による置換を示す。上記の語句は、あいまい、ならびに本明細書に記載および図示された置換の同義語であると解釈されるべきではない。むしろ、当業者は、上記語句が、本発明の範囲に含まれる自明な改変を与えるように含まれると理解するだろう。
【0054】
式(I)の化合物は、多形性として知られる特性である、1つ以上の形で結晶化する可能性があり、このような多形性の形(「多形」)は、式(I)の範囲に含まれる。多形性は一般的に温度、圧力、またはその両方の変化に対する反応として生じ得る。多形性はまた、結晶化の方法の違いからも生じ得る。多形は、X線回折パターン、溶解度、および融点などの当業者に公知のさまざまな物理的特性により識別することができる。
【0055】
本明細書に記載された化合物のあるものは、1個以上のキラル中心を有し、またはそれ以外の複数の立体異性体として存在する可能性がある。本発明の範囲には、立体異性体の混合物、ならびに精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマー/ジアステレオマーが濃縮された混合物が含まれる。また、本発明には、式(I)により表される化合物の個々の異性体、ならびにそれらの完全にまたは部分的に平衡化された混合物が含まれる。本発明はまた、上記の式により表される化合物の個々の異性体を、その1個以上のキラル中心が反転した異性体との混合物として含むことができる。
【0056】
典型的には、絶対的ではないが、本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩とは、本発明の化合物の毒性のない塩を指す。本発明の化合物の塩は酸付加塩を含む。
【0057】
代表的な製薬上許容される塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、エデト酸カルシウム塩、カルシン酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシレート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリラルサニレート、ヘキシルレソルシネート、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、ムチン酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N-メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド塩、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されるものと考えるべきではない。製薬上許容されない他の塩は、本発明の化合物の調製に有用である場合があり、これらは本発明の別の態様を構成すると考えるべきである。
【0058】
本明細書において、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明においては、式Iの化合物、またはその塩もしくは生理的に機能性の誘導体)および溶媒により形成されたさまざまな化学量論の複合体を指す。本発明の目的のためには、上記の溶媒は、溶質の生物学的活性に干渉してはならない。好適な溶媒の非限定的な例には、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、使用される溶媒は製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の非限定的な例には、水、エタノール、および酢酸が含まれる。使用される最も好ましい溶媒は水である。
【0059】
本明細書において、「生理的に機能性の誘導体」という用語は、哺乳類に投与された場合に、本発明の化合物またはその活性代謝物を与えることができる(直接的または間接的に)、本発明の化合物の製薬上許容される誘導体を指す。このような誘導体、たとえば、エステルおよびアミドは、多くの実験をしなくても当業者には明白である。「Burger の医化学および薬物の発見」(Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery)、第5版、第1巻、「原理と実践」の記載を参照されたい。この文献を生理的に機能性の誘導体に関する記載の範囲で参照により本明細書に組み入れる。
【0060】
本明細書において、「有効量」という用語は、組織、系、動物、またはヒトの、たとえば研究者または医師が求めている生物学的または医学的反応を引き出す薬物または医薬品の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、上記の量を与えられていない被験体と比べて、疾病、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは緩和に改善した結果が得られる、または疾病もしくは障害の進行速度が減少するような量を意味する。この用語は、正常な生理機能を増大するのに有効な量をもその範囲内に含む。治療に使用する場合、治療上有効な量の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を、加工していない化学物質として投与してもよい。また、活性成分を医薬組成物として提供してもよい。
【0061】
したがって、本発明はさらに、有効量の式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体、ならびに1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体は、本明細書に記載した通りである。担体、希釈剤または賦形剤は製剤の他の成分と共存可能であり、また医薬組成物の受容者に害を及ぼさないという意味で、許容されるものでなければならない。
【0062】
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む医薬製剤の製造法が提供される。
【0063】
本発明の化合物の治療上有効な量は、多くのファクターに依存する。たとえば、受容者の種、年齢、および体重、治療を必要とする正確な状態およびその重篤度、製剤の性質、ならびに投与経路はすべて考慮すべきファクターである。治療上有効な量は、最終的には治療に当たる医師の判断によるが、問題を有するヒトを治療するための式(I)の化合物の有効量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/受容者(哺乳類)の体重kgの範囲である。より普通には、上記有効量は、1日あたり1〜10mg/体重kgの範囲である。そこで、70kgの成熟した哺乳類に対する1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgである。この量を1日あたり単一用量で与えてもよいし、1日あたりの総量が同じになるように数回(2、3、4、5、またはそれ以上)に分けて投与してもよい。有効量の塩、溶媒和物、または生理的に機能性の誘導体は、式(I)の化合物それ自体の有効量との比から決定される。同様の投与量が、本明細書に記載された他の状態の治療に好適である。
【0064】
医薬製剤は、単位用量あたりあらかじめ決定された量の活性成分を含有する単位用量剤形として提供することができる。上記の単位用量は、非限定的な例として、治療される状態、投与経路、ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、0.5mg〜1mgの式(I)の化合物を含有し得る。好ましい単位用量剤形は、上記のような1日あたりの用量もしくはその分割量、またはそれらの何分の一かの活性成分を含有するものである。上記の医薬製剤は製薬の技術分野において周知の方法により調製することができる。
【0065】
医薬組成物はいかなる適切な経路、たとえば、経口(口腔または舌下を含む)、直腸、鼻内、局所(口腔、舌下または経皮を含む)、腟内、または非経口(皮下、筋内、静脈内または皮内)経路による投与に適合したものであってもよい。上記の製剤は製薬の技術分野において公知の方法、たとえば、活性成分を担体または賦形剤と混合することにより調製することができる。例として、本発明を限定する意図はないが、本発明の化合物が有用であると考えられている特定の状態および障害を考慮すると、特定の経路が他のものよりも好ましいと言える。HPV感染に伴うことが多い身体的な兆候に基づいて、直腸、局所、または腟内経路による投与が好ましい。一つの例として、子宮頸部形成異常の治療または予防には、好ましい経路は腟内経路である。
【0066】
経口投与に適合した医薬製剤は、カプセルもしくは錠剤などの不連続単位;粉末もしくは顆粒;それぞれ水性または非水性の液体を用いた溶液もしくはサスペンション;食用フォームもしくはホイップ;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型液体エマルションとして提供することができる。たとえば、錠剤またはカプセルの剤形による経口投与用には、活性薬物成分を、エタノール、グリセロール、水等の経口用の、無毒の製薬上許容される不活性担体と混合する。一般的に、粉末は化合物を好適な微細なサイズまで粉砕し、たとえばデンプンまたはマンニトールなどの食用炭水化物のような適当な医薬担体と混合することにより調製される。香料、保存剤、分散剤、および着色剤も含むことができる。
【0067】
カプセルは、粉末、液体、またはサスペンション混合物を調製し、ゼラチンまたは他の適切なシェル材料によりカプセル化することにより製造される。コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体のポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤をカプセル化の前に混合物に加えることができる。また、カプセルが摂取された時の薬物のアベイラビリティーを改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤を加えることもできる。さらに、所望または必要に応じて、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み入れることもできる。好適な結合剤の例には、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アラビアゴム、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウ等が含まれる。これらの剤形に有用な滑沢剤には、たとえば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が含まれる。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
錠剤は、たとえば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッグ化し、滑沢剤および崩壊剤を加え、錠剤に圧縮することにより製剤される。粉末混合物は、化合物を、好ましくは粉砕して、上記の希釈剤または基剤と混合することにより調製される。任意の成分には、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解抑制剤、第四級塩などの再吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウムなどの吸収剤が含まれる。粉末混合物は、シロップ、デンプンペースト、アラビアゴム漿剤またはセルロース性もしくは高分子材料の溶液により湿性顆粒にして、ふるいを通してもよい。顆粒化する代わりに、粉末混合物を打錠機に通し、その結果得られた不完全に形成されたスラッグを顆粒に粉砕することができる。顆粒は打錠ダイス型に付着するのを防ぐために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化することができる。次に、潤滑化された混合物を錠剤に圧縮する。また、本発明の化合物を流動性の不活性担体と混合して、顆粒化またはスラッグ化の段階を経ずに直接錠剤に圧縮することもできる。セラックの密閉コートからなる透明または半透明の保護コーティング、砂糖または高分子材料のコーティング、およびロウの光沢のあるコーティングを施すことができる。異なる単位投与量を識別するために、これらのコーティングに染料を加えることができる。
【0069】
溶液、シロップ、およびエリキシルなどの経口用の液体は、与えられた量があらかじめ決定された量の上記化合物を含有するように、投与単位剤形に調製することができる。シロップは、たとえば、上記化合物を好適な風味を付けた水溶液に溶解することにより調製することができる。一方、エリキシルは、無毒のアルコール性媒体を使用して調製される。サスペンションは、一般的に上記化合物を無毒の媒体に分散することにより製剤することができる。エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、保存剤;ペパーミント油などの風味添加物、または天然甘味料、サッカリン、または他の人工甘味料等を加えることもできる。
【0070】
適切な場合には、経口投与のための投与単位製剤はマイクロカプセル化される。また、製剤は、たとえば、ポリマー、ロウ等による粒子化した材料のコーティングまたは埋め込みにより、放出を延長または遅延させるように調製することができる。
【0071】
また、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体は、小型単層小胞、大型単層小胞、および多重膜小胞などのリポソーム送達系の形で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどのさまざまなリン脂質から形成することができる。
【0072】
式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体はまた、個別の担体として、上記化合物分子が結合したモノクローナル抗体を使用して送達してもよい。
【0073】
上記化合物はまた、標的化薬物担体である可溶性ポリマーと結合してもよい。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基により置換されたポリエチレンオキシドポリリシンが含まれうる。さらに、上記化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用なある種の生物分解性ポリマー、たとえば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合させてもよい。
【0074】
経皮投与に適合した医薬製剤は、受容者の表皮と長時間緊密な接触を保つように作られた分離パッチとして提供することができる。たとえば、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されるように、活性成分をパッチからイオン導入により送達することができる。この文献を上記の送達系に関して参照により本明細書に組み入れる。
【0075】
局所投与に適合した医薬製剤は、軟膏、クリーム、サスペンション、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エーロゾル、またはオイルとして製剤することができる。
【0076】
目または他の外部組織、たとえば口および皮膚の治療用には、製剤は局所用軟膏またはクリームとして適用できる。軟膏に製剤される場合、活性成分をパラフィン性または水混和性のいずれかの軟膏基剤と共に用いることができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を用いてクリームに製剤される。
【0077】
目に局所投与するための医薬製剤には、活性成分が好適な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁している点眼剤が含まれる。
【0078】
口に局所投与するための医薬製剤には、トローチ、パステル剤、および口腔洗浄剤が含まれる。
【0079】
鼻内投与に適合した、担体が固体である医薬製剤には、たとえば20〜500ミクロンの粒径を有する粗末が含まれる。上記粗末は、吹入剤を投与する方法により、すなわち、鼻の近くに持ち上げた粗末の容器から鼻道を通して急速に吸入することにより投与される。鼻内スプレーまたは点鼻薬として投与するための、担体が液体である場合の好適な製剤には、活性成分の水または油溶液が含まれる。
【0080】
吸入による投与に適合した医薬製剤には、さまざまなタイプの定量加圧エーロゾル、ネブライザー、または吸入器を用いて生成することができる微粒子粉剤またはミストが含まれる。
【0081】
肛門投与に適合した医薬製剤は、坐剤または浣腸剤として提供することができる。
【0082】
腟内投与に適合した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供することができる。
【0083】
非経口投与に適合した医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤をその想定される受容者の血液と等張にするための溶質を含んでもよい水性および非水性無菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含有してもよい水性および非水性無菌サスペンションが含まれる。上記の製剤は一回投与量または複数回投与量容器、たとえば、密閉されたアンプルおよびバイアル瓶に入れて提供することができる。また凍結乾燥した状態で保存し、使用の直前に無菌の液体の担体、たとえば、注射用の水を加えるのみでよい。即席注射溶液および懸濁液は無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製される。
【0084】
上で特に述べた成分に加えて、製剤は、問題の製剤のタイプを考慮して当業者が従来使用している他の物質を含むことができる。たとえば、経口投与に適した製剤は、着香剤および着色剤を含んでもよい。
【0085】
本発明の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物、および生理的に機能性の誘導体は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。式(I)の化合物および他の薬理活性物質は一緒にまたは別々に投与してよく、別々に投与する場合には、投与は同時にまたは順次に、いかなる順番でおこなってもよい。所望の併用治療効果を達成するために、式(I)の化合物および他の薬理活性物質の量および投与の相対的なタイミングを選択する。式(I)の化合物、その塩、溶媒和物、または生理活性を有する誘導体と他の治療薬との併用投与は、(1) 両方の成分を含む単一の医薬組成物;または(2) それぞれ一方の化合物を含む別々の医薬組成物の形で同時に投与することにより組み合わすことができる。あるいは、上記の組合せは、まず一方の治療薬を投与し、次に他方を投与するか、その逆の順序かの方法により順次別々に投与してもよい。このような順次投与は、短い時間内でおこなっても、離れた時間内でおこなってもよい。
【0086】
本発明の化合物はさまざまな障害および状態の治療に用いることができ、したがって、本発明の化合物はそれらの障害または状態の治療または予防に有用なさまざまな他の好適な治療薬と組み合わせて使用することができる。治療はHPV感染の性質およびタイプに依存する。上で簡単に論じたように、いぼの治療は切除による方法と医薬による方法に分けることができる。本発明の化合物は上記方法の一方または両方と組み合わせることができる。
【0087】
切除による方法には、電気乾燥、レーザー、または液体窒素による伝統的な外科切除および破壊が含まれる。そこで、本発明の化合物は上記方法と組み合わせて、または上記方法の後に再発した場合に使用することができる。本発明の化合物は、切除法と組み合わせて再発の頻度を減らすために使用してもよい。
【0088】
あるいは、本発明はさまざまな細胞毒性薬または抗ウイルス薬を含む他の薬物治療と組み合わせてもよい。たとえば、本発明を限定する意図はないが、本発明の化合物は、5-フルオロウラシル、レチノイン酸、ポドフィリン、ポドフィロックス、サリチル酸および/または乳酸などの角質溶解薬、ジフェンシプロン(diphencyprone)(DPC)、スクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)またはジニトロクロロベンゼン(DNCB)などのハプテン、ホルマリン、局所トリクロロ酢酸、局所トレチノイン、シドホビル、イミキモドおよび/またはインターフェロンα-2bのようなサイトカインなどの他の治療薬と組み合わせることができる。
【0089】
本発明の一つの態様は、本発明の化合物を、アデノウイルス、レトロウイルス、ならびにポリオーマウイルスおよびパピローマウイルスなどのパポーバウイルスファミリーに属するウイルスを含む腫瘍ウイルスにより引き起こされる疾病または状態、およびより特定的にはパピローマウイルス感染を含むがこれに限定されないさまざまな障害の、治療または予防に使用することである。本発明は、治療を必要とする被験体に治療上有効な量の本発明の化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を投与することを含む。
【0090】
より特定的には、本発明は、パピローマウイルス感染に伴う症状または疾病の治療または予防を含む。これらの症状および疾病には、いぼ(たとえば、足底いぼ)、生殖器いぼ、再発性呼吸器乳頭腫症(たとえば、喉頭乳頭腫)、およびパピローマウイルス感染に伴う癌が含まれる。パピローマウイルス感染に伴う癌には、肛門性器癌(たとえば、子宮頸癌、肛門および肛門周囲癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌)、頭部および頸部癌(たとえば、口腔咽頭領域、食道)、および皮膚癌(たとえば、基底細胞癌、扁平上皮癌)が含まれる。本発明は治療を必要とする被験体に治療上有効な量の本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理的に機能性の誘導体を投与することを含む。
【0091】
本発明の化合物は、周知の標準的な合成法を含むさまざまな方法により製造できる。一般的な合成法の例を下に記載した後、具体的な実施例において本発明の特定の化合物を調製する。
【0092】
下記のすべての実施例において、必要な場合には、不安定なまたは反応性の基に対する保護基を、合成化学の一般的原則に従って使用する。保護基は、有機合成の標準的方法に従って操作する。(T. W. GreenおよびP. G. M. Wuts (1991)「有機合成における保護基」(Protecting Groups in Organic Synthesis)、John Wiley & Sons、本文献を保護基に関して参照により本明細書に組み入れる)。これらの基は、化合物の合成の適宜の段階で当業者に公知の方法を用いて除去される。プロセスの選択ならびに反応条件およびそれらの実施の順番は式(I)の化合物の調製と矛盾がないようにする。
【0093】
当業者は式(I)の化合物に立体中心が存在するかどうかを認知できる。したがって、本発明はすべての可能な立体異性体を含み、また、ラセミ化合物のみでなく、個々のエナンチオマーも含む。化合物が単一のエナンチオマーであることが望まれる場合には、これは立体特異的合成により、最終生成物または適宜の中間物質の分割により、または当業者に公知のキラルクロマトグラフィー法により得ることができる。最終生成物、中間物質、または出発物質の分割は、当業者に公知の好適な方法を用いておこなうことができる。たとえば、「有機化合物の立体化学」(Stereochemistry of Organic Compounds)、E. L. Eliel、S. H. Wilen、およびL. N. Mander著 (Wiley-Interscience, 1994)を参照されたい。本文献の立体化学に関する部分を参照により本明細書に組み入れる。
【0094】
実験の部
本明細書において、これらの方法、スキームおよび実施例において使用される記号および取り決めは、個々の略語が特に定義されているかどうかに関わりなく、現代の科学文献、たとえば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されるものと一致している。特に、限定はしないが、以下の略語が実施例および明細書全体で使用される。
【0095】

【0096】
他に指示しない限り、すべての温度は℃(セ氏温度)で表す。他に記載しない限り、すべての反応は室温でおこなった。
【0097】
1H NMRスペクトルは、Varian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400装置、またはGeneral Electric QE-300により記録された。化学シフトは100万分の1(ppm、δユニット)で表される。結合定数はヘルツ(Hz)を単位にしている。分裂パターンは明白な多重度を記載し、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)、またはbr(幅広)と表される。
【0098】
マススペクトルは、Micromass Ltd., Altricham, UK製のMicromass PlatformまたはZMD質量分析計により、大気圧化学イオン化(APCI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)のいずれかを用いて得た。
【0099】
単離することができない、または不安定なために完全な解析ができない中間物質の純度を証明するために、および反応の進行を確認するために分析用薄層クロマトグラフィーを使用した。
【0100】
化合物の絶対配置は、Ab Initio Vibrational Circular Dichroism (VCD)Spectroscopy1,2(振動円二色性分光法)によって割り当てた。この実験上のVCDスペクトルは、2000〜800 cm−1で操作してBomem ChiralIRTM VCD分光計を用いて、CDCl3 中にて得られた。計算プログラムのGaussian 98 スイートを用いて、モデルVCDスペクトルを算出した3。立体化学の割り当ては、この実験上のVCDスペクトルを (R)または(S)配置を有するモデル構造について算出されたVCDスペクトルと比較することによって行った。
【0101】
1.J.R. Chessemanら、Chem. Phys. Lett. 252 (1996) 211.
2.P.J. Stephens およびF.J. Devlin, Chirality 12 (2000) 172.
3.Gaussian 98, Revision A.11.4, M.J. Frischら、 Gaussian, Inc., Pittsburgh PA, 2002.
式(I)の化合物は、当業者に公知である任意の好適な方法または以下に概説される方法によって製造できる。
【0102】

【0103】
式(IV)の化合物は、式(II)のトリプトアミンと式(III)のベンズアルデヒド間のPictet−Spangler型反応によって製造できる。この反応は、酸の存在下において好適な溶媒中にて、場合によって加熱しながら、実施することができる。好適な 溶媒としては、ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、ジクロロメタン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、トルエン)などが挙げられる。好適な酸としては、塩酸、トリフルオロ酢酸が挙げられる。この反応はまた、Dean Stark装置を用いて、例えば、トルエン中にて、水を容易に除去する条件下で進めることができる。式IIおよび式IIIの化合物は、市販されているか、または公知の文献に記載されるように製造することができる。
【0104】
式(I)の化合物は、好適な溶媒中において、場合によって塩基の存在下において、場合によって加熱しながら、式(IV)の化合物と式(V)の化合物との縮合によって製造できる。好適な溶媒としては、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、トルエン)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ニトロメタンなどが挙げられる。好適な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ピリジンなどが挙げられる。
【0105】
あるいは、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物と式(VI)の化合物との反応によって製造できる。この反応は、好適な溶媒中において、好適なカップリング剤(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)の存在下において実施することができる。好適な溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンなどが挙げられる。
【実施例】
【0106】
実施例1:6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン.
【化6】

【0107】
氷酢酸 (50 mL)中5−クロロトリプトアミン塩酸塩(3.70 g, 16.0 mmol)およびp−トルアルデヒド(1.80 mL, 15.2 mmol)からなる懸濁剤を、80℃にて一晩加熱した。得られた沈殿物を、濾過、ヘキサンによるリンス、および短時間乾燥することによって回収した。次に、この固体を、ジクロロメタンおよび10%炭酸ナトリウム水を用いて、全ての固体が溶解するまで、撹拌した。この層を分離し、水層をジクロロメタンを用いてさらに洗浄した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、および濃縮して白色固体として6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンを得た(4.37 g, 92%収率)。1H NMR (DMSO−d6):δ 10.60 (s, 1H), 7.46 (d, 1H), 7.25 − 7.17 (m, 5H), 7.01 (dd, 1H), 5.06 (s, 1H), 3.09 (m, 1H), 2.94 (m, 1H), 2.71 (m, 3H), 2.32 (s, 3H), MS m/z 297 (M+1).
実施例2:メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化7】

【0108】
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (87 mg, 0.29 mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(54 mg, 0.44 mmol)を加えたジクロロメタン溶液(3 mL)に、メチルクロロホルメート(23μL, 0.29 mmol)を加えた。室温にて3時間撹拌した後、反応液を炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、15分間撹拌し、次に、疎水性フリットを通すことにより濾過した。水層をさらなるジクロロメタンを用いて撹拌し、濾過を繰り返した。有機層を合わせて、濃縮し、ヘキサン中0〜40%酢酸エチル勾配を用いたシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製し、白色固体として、メチル 6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート (102 mg, 98%)を得た。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.12 (bs, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.30 (d, 1H), 7.17 (m, 2H), 7.11 − 7.06 (m, 3H), 6.35 (br, 1H), 4.15 (br, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.04 (m, 1H), 2.77 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 355 (M+1).
実施例3: 6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化8】

【0109】
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは、上記と同様の方法で、6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (87 mg, 0.29 mmol)および塩化ヒドロシンナモイルより調製し、白色固体を得た(115 mg, 91%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.18および10.95 (s, 1H, 主なおよび少数の配座異性体), 7.50 (d, 1H), 7.31 − 7.21 (m, 5H), 7.16 − 7.06 (m, 6H), 6.85および6.24 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.71および4.00 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.91 − 2.67 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 429 (M+1).
実施例4: フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化9】

【0110】
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレートは、上記と同様の方法で6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (87 mg, 0.29 mmol)およびベンジルクロロホルメートより調製し、灰白色の固体を得た(93 mg, 74%)。1H NMR (DMSO−d6):δ11.10 (br, 1H), 7.52 (d, 1H), 7.39 − 7.06 (m, 11H), 6.35 (br, 1H), 5.22 − 5.12 (m, 2H), 4.21 (br, 1H), 3.07 (m, 1H), 2.79 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 431 (M+1).
実施例5: 6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化10】

【0111】
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは、上記と同様の方法で5−フルオロトリプトアミン塩酸塩(0.52 g, 2.44 mmol)より調製し、白色固体を得た(0.53 g, 78%)。1H NMR (DMSO−d6):δ10.42 (s, 1H), 7.17 − 7.13 (m, 6H), 6.82 − 6.77 (m, 1H), 5.00 (s, 1H), 3.02 (m, 1H), 2.89 (m, 1H), 2.65 (m, 3H), 2.27 (s, 3H), MS m/z 281 (M+1).
実施例6: メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化11】

【0112】
メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレートは、上記と同様の方法で6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (63 mg, 0.20 mmol)およびメチルクロロホルメートより調製し、白色固体を得た(48 mg, 63%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.01 (bs, 1H), 7.29 − 7.06 (m, 6H), 6.91 (m, 1H), 6.35 (br, 1H), 4.15 (br, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.04 (m, 1H), 2.75 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 339 (M+1).
実施例7: 6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化12】

【0113】
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは、上記と同様の方法で6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (63 mg, 0.20 mmol)および塩化ヒドロシンナモイルより調製し、白色の泡として得た(85 mg, 91%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.07および10.84 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.30 − 7.03 (m, 11H), 6.91 (m, 1H), 6.84および6.23 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.71および4.03 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.89 − 2.67 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 413 (M+1).
実施例8: フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化13】

【0114】
フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレートは、上記と同様の方法で6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (63 mg, 0.20 mmol)およびベンジルクロロホルメートより調製し、白色の泡を得た(83 mg, 89%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 10.98 (br, 1H), 7.39 − 7.10 (m, 11H), 6.91 (m, 1H), 6.34 (br, 1H), 5.22 − 5.10 (m, 2H), 4.21 (br, 1H), 3.07 (m, 1H), 2.76 (s, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 415 (M+1).
実施例9: 6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化14】

【0115】
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは上記と同様の方法で、5−ブロモトリプトアミン塩酸塩(0.47 g, 1.78 mmol)より調製し、白色固体(0.49 g, 80%)を得た。1H NMR (DMSO−d6):δ 10.59 (s, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.18 − 7.08 (m, 6H), 5.03 (s, 1H), 3.05 (m, 1H), 2.91 (m, 1H), 2.68 (m, 3H), 2.29 (s, 3H), MS m/z 341 (M+1).
実施例10: メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化15】

【0116】
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレートは上記と同様の方法で、6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (60 mg, 0.18 mmol)およびメチルクロロホルメートより調製し、白色の泡を得た(49 mg, 70%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.14 (s, 1H), 7.65 (d, 1H), 7.26 (m, 1H), 7.20 − 7.16 (m, 3H), 7.10 (m, 2H), 6.30 (br, 1H), 4.14 (br, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.04 (m, 1H), 2.78 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 399 (M+1).
実施例11: 6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化16】

【0117】
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは上記と同様の方法で、6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (60 mg, 0.18 mmol)および塩化ヒドロシンナモイルより調製し、白色固体を得た(71 mg, 86%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.19および10.96 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.64 (d, 1H), 7.29 − 7.10 (m, 9H), 7.06 (m, 2H), 6.84および6.24 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.70および4.03 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.89 − 2.68 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 473 (M+1).
実施例12: フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート
【化17】

【0118】
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレートは上記と同様の方法で、6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (60 mg, 0.18 mmol)およびベンジルクロロホルメートより調製し、白色の泡を得た(83 mg, 99%)。1H NMR (DMSO−d6):δ 11.11 (br, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.48 − 7.09 (m, 11H), 6.35 (br, 1H), 5.22 − 5.12 (m, 2H), 4.21 (br, 1H), 3.07 (m, 1H), 2.78 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 475 (M+1).

実施例13:(1R)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化18】

【0119】
(1R)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは、超臨界流体クロマトグラフィー (Diacel OD−H, 30%メタノール, 1500 psi, 40℃, 2 mL/分, 保持時間10.0分)によって、(1R/1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンを分離することによって調製した。立体化学は、振動円二色性によって割り当てた。
【0120】
実施例14:(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化19】

【0121】
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンは、超臨界流体クロマトグラフィー (Diacel OD−H, 30%メタノール, 1500 psi, 40℃, 2 mL/分, 保持時間13.0 分)によって(1R/1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンを分離することによって調製した。立体化学は、振動円二色性によって割り当てた。
【0122】
実施例15:1−(4−メチルフェニル)−2−[(フェニルメチル)スルホニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化20】

【0123】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.82 (s, 1H), 7.47 (d, 1H), 7.28 (m, 2 H), 7.21 − 7.00 (m, 10H), 5.96 (s, 1H), 4.29 (s, 2H), 3.78 (dd, 1H), 3.13 (m, 1H), 2.87 (m, 1H), 2.75 (m, 1H), 2.29 (s, 3H), MS m/z 417 (M+1).
実施例16:1−(4−メチルフェニル)−2−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化21】

【0124】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.89 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 7.20 − 6.98 (m, 6H), 6.02 (s, 1H), 3.87 (dd, 1H), 3.18 (m, 1H), 2.97 (m, 1H), 2.80 (m, 1H), 2.78 (s, 3H), 2.29 (s, 3H), MS m/z 341 (M+1).
実施例17:(4−{[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]スルホニル}フェニル)アミン
【化22】

【0125】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.78 (s, 1H), 7.34 (m, 3H), 7.24 (d, 1H), 7.14 (d, 2H), 7.03 (m, 3H), 6.93 (m, 1H), 6.43 (d, 2H), 6.09 (s, 1H), 5.88 (br, 2H), 3.80 (dd, 1H), 3.10 (m, 1H), 2.59 − 2.39 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 418 (M+1).
実施例18:2−アセチル−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化23】

【0126】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.94および10.79 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.46 (d, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.20 − 6.97 (m, 6H), 6.80および6.14 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.68および3.94 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.21 (m, 1H), 2.91 − 2.72 (m, 2H), 2.27 (s, 3H), 2.13 (s, 3H), MS m/z 305 (M+1).
実施例19:1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化24】

【0127】
1H NMR (CDCl3):δ 7.88 (s, 1H), 7.52 (d, 1H), 7.29 − 7.09 (m, 11H), 7.02および5.92 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.95および3.87 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.36 (m, 1H), 3.00 (m, 2H), 2.83 (d, 2H), 2.71 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), MS m/z 395 (M+1).
実施例20:1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニル−2−プロピノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン
【化25】

【0128】
1H NMR (CDCl3):δ 7.75 (s, 1H), 7.63 − 7.55 (m, 2H), 7.46 − 7.13 (m, 10H), 6.96および6.78 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.83および4.62 (dd, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.56 (m, 1H), 3.13 − 2.86 (m, 2H), 2.34 (s, 3H), MS m/z 391 (M+1).
実施例21:1−(4−メチルフェニル)−2−[3−(3−ピリジニル)プロパノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化26】

【0129】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.95および10.75 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 8.50 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.27 (m, 2H), 7.15 (m, 2H), 7.08 (m, 3H), 6.99 (t, 1H), 6.83および6.23 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.72および4.03 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.17 (m, 1H), 2.92 − 2.73 (m, 6H), 2.27 (s, 3H), MS m/z 396 (M+1).
実施例22:フェニルメチル{2−[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]−2−オキソエチル}カルバメート
【化27】

【0130】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.96および10.81 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.47 (d, 1H), 7.42 − 7.28 (m, 6H), 7.16 − 6.99 (m, 6H), 6.75および6.21 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 5.04 (m, 2H), 4.01 − 3.96 (m, 3H), 3.21 (m, 1H), 2.85 (m, 2H), 2.27 (s, 3H), MS m/z 454 (M+1).
実施例23:6−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化28】

【0131】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.77および10.56 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.26 − 7.21 (m, 4H), 7.18 − 7.13 (m, 4H), 7.07 (m, 2H), 6.94 (d, 1H), 6.82および6.20 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 6.71 (dd, 1H), 4.72および4.00 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.76 (s, 3H), 3.15 (m, 1H), 2.90 − 2.68 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 425 (M+1).
実施例24:8−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化29】

【0132】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.86および10.73 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.28 − 7.22 (m, 5H), 7.18 − 7.07 (m, 5H), 6.93 − 6.86 (m, 3H), 6.17 (s, 1H, 少数の配座異性体), 4.60および3.99 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.90 − 2.67 (m, 6H), 2.39 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 409 (M+1).
実施例25:6−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化30】

【0133】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.80および10.60 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.25 − 7.12 (m, 9H), 7.07 (m, 2H), 6.89 (d, 1H), 6.82および6.20 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.71および4.00 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.90 − 2.67 (m, 6H), 2.37 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), MS m/z 409 (M+1).
実施例26:7−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化31】

【0134】
1H NMR (DMSO−d6):δ 11.07および10.83 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.43 (m, 1H), 7.26 − 7.04 (m, 10H), 6.86 (m, 1H), 6.82および6.21 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 4.73および4.00 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.14 (m, 1H), 2.89 − 2.68 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 413 (M+1).
実施例27:7−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化32】

【0135】
1H NMR (DMSO−d6):δ 10.77および10.55 (s, 1H,主なおよび少数の配座異性体), 7.31 (d, 1H), 7.24 (m, 4H), 7.19 − 7.07 (m, 5H), 6.80 (s, 2H), 6.65 (dd, 1H), 6.17 (s, 1H, 少数の配座異性体), 4.69および3.98 (m, 1H,少数のおよび主な配座異性体), 3.75 (s, 3H), 3.12 (m, 1H), 2.89 − 2.67 (m, 6H), 2.28 (s, 3H), MS m/z 425 (M+1).
実施例28:(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化33】

【0136】
トリプトアミン (0.325 g, 2.03 mmol)および2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルバルデヒド(0.250 g, 1.69 mmol)を加えた氷酢酸溶液(10 mL)を、撹拌しながら100 ℃まで加熱した。2.5時間後、この溶液を、さらなる2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−カルバルデヒド(0.062 g, 0.418 mmol)で処理し、0℃でさらに3時間撹拌した。この暗褐色の溶液を、RTまで冷却し、そして一晩撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮することによって除去し、そして残渣をジクロロメタンに溶解した。この溶液を、10% 炭酸水素ナトリウム溶液、その後ブライン水を用いて2回洗浄した。次にこの溶液を、硫酸マグネシウムおよび少量の活性炭を用いて処理し、加熱して5分間煮沸した。RTまで冷却した後、混合液を、セライトを通してろ過し、そしてこの濾過物を蒸発して乾燥し、0.590 gの黄褐色の泡を得た。粗製生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール中95:5 ジクロロメタン/2Mアンモニア)によって精製し、黄色の粉末として(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (0.460 g, 94%)を得た。1H NMR (DMSO−d6):δ 10.32 (s, 1H), 7.36 (d,1H), 7.20 (d, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.01−6.88 (m, 3H), 6.69 (d, 1H), 4.99 (s, 1H), 4.49 (t, 2H), 3.17−3.00 (m, 3H), 2.90 (m, 1H), 2.79−2.58 (m, 3H). MS m/z 291 (M+1).
実施例29:(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
実施例30:(1R)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
実施例31:(1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
【化34】

【0137】
(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (0.250 g, 0.861 mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン (0.300 mL, 1.72 mmol)を加えた、10 mLの無水ジクロロメタン溶液を、塩化シナモイル(0.159 g, 0.947 mmol)で処理し、そして得られた溶液をRTにて撹拌した。2.5時間後、この溶液をジクロロメタンを用いて希釈し、5%クエン酸溶液(2×)、10% 炭酸水素ナトリウム溶液(2×)を用いて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして減圧下にて濃縮して乾燥した。この粗製生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, 97:3 ジクロロメタン/メタノール)に供し、淡黄色の泡として0.330 g (91%)の(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (化合物2)を得た。1H NMR (DMSO−d6, 95 ℃):δ 10.63 (br s, 1H), 7.69 (d, 2H), 7.54 (d, 1H), 7.49−7.22 (m, 5H), 7.14 (s, 1H), 7.08 (t, 1H), 7.03−6.97 (m, 2H), 6.84 (br s, 1H), 6.70 (d, 1H), 5.67 (s, 1H), 4.49 (t, 2H), 4.43 (m, 1H), 3.32 (m, 1H), 3.13 (t, 2H), 2.87 (m, 2H). MS m/z 421 (M+1). 223 mgのラセミ体を、超臨界流体クロマトグラフィー(Chiralpak AS−H 5μM カラム, 3:1 MeOH/CHCl3移動相, 40 ℃, 180 bars, 流速=180 g/分)に供し、1.14分で溶出して105 mgの(1R)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (実施例30)、および1.88分で溶出して99 mgの(1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン (実施例31)を得た。両化合物は、分析用キラルSFC (ChiralCel OJ カラム, 30% MeOH移動相, 3000 psi, 40 ℃, 流速=3 mL/分)によってエナンチオピュアであることを判定した。保持時間は、化合物30および31について、それぞれ11.7分および20.2分であった。絶対配置は、VCD分光法を用いて割り当てた。
【0138】
さらに、以下の化合物は、Bioorg. Med. Chem. Lett, 2003, 13, 761−765およびWO 02/064590 A2に記載されるように調製できる。
【化35】


【0139】
生物実験およびデータ
本発明の化合物は、HPV感染に伴う症状および疾病の治療および/または予防に有用であると考えられる。HPVにより仲介される活性を下記のW-12細胞アッセイを用いて測定した。
【0140】
細胞培養および培地
使用したW12細胞系は、HPV16 DNAを含有し、Margaret Stanleyによる軽度子宮頸部形成異常組織に由来し、次いでPaul Lambert (University of Wisconsin)によりクローン的に選択された。これらのクローンの一つ、W12-20580はエピソームHPV16 DNAの1000のコピーを含み、細胞に基づくアッセイに使用される。W12-20850細胞は、3T3細胞のガンマ線照射(6000 rads)支持細胞層と共に日常的に培養された。しかしながら、アッセイは、3T3支持細胞層が存在しない状態でおこなわれた。W12- 20850および3T3細胞は、通常これらがサブコンフルエントの時に分離された。W12-20850は、25% DMEM (Gibco BRL, Cat # 12430-047)、75% F12培地(Gibco BRL, Cat # 11765-021)および2.5% FBSから構成されるW12培地中で培養された。添加物には、24.0 mg/mlアデニン(Sigma, Cat # A-9795)、0.4 mg/mlヒドロコルチゾン(Calbiochem, Cat # 386698), 5.0 mg/mlウシインスリン(Sigma, Cat # I-1882), 8.4 ng/mlコレラ毒素(Fluka, Cat # 26694)および10 ng/ml EGF (Invitrogen, Cat # 13247-051)が含まれる。3T3細胞は10% FBSを含有するDMEM中で培養された。細胞系を5% CO2の存在下、37℃でインキュベートした。
【0141】
細胞に基づくアッセイ
アッセイのために、W12-20850細胞を化合物を含有する96ウェルプレートに蒔いた。プレートを5% CO2の存在下、37℃で4日間インキュベートした。4日目に、細胞を溶解し、エピソームHPV-16 DNAの量を、HPV-16特異的捕獲および検出プローブによる非放射性ハイブリッド捕獲技術を用いて定量した。次に、未処理の対照細胞に対する阻害パーセントを決定した。
【0142】
ハイブリッド捕獲
ハイブリッド捕獲アッセイは、96ウェルプレートフォーマットでおこなった。ハイブリダイゼーションプレート(Nunc Maxisorb Cat # 450320)を捕獲プローブおよびReactiBind溶液の混合物により、少なくとも4時間覆い、次いで0.2X SSC, 0.05% Tween20 (SSCT)により洗浄した後、150μl/ウェルの0.2 N NaOH、1% Igepal、10 mg/ml hsDNAにより6〜8時間ブロッキングした。27μlの溶解細胞を45μlの6Mイソチオシアン酸グアニジン中の変性検出プローブと混合することによりハイブリダイゼーションをおこなった。蒸発を防ぐために、それぞれのウェルに50μlの鉱油を加えた。次にプレートを90℃で6.5分間加熱し、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを続けた。アッセイプレートをSSC/Tにより6回洗浄した。抗ディゴキシゲニンHRPコンジュゲートAb (Boehringer Mannheim 1207733, 1:5000)をウェル中で、室温で30分間インキュベートし、PBS/0.05% Tween-20により洗浄した。SuperSignal LBA基質(Pierce Cat # 37070)を加え、Wallac 1420 Victorプレートリーダーを用いて化学発光を測定した。
【0143】

【0144】
試験化合物は遊離または塩の形で使用した。
【0145】
すべての研究は、実験動物管理の原則 (NIH出版No. 85-23、1985改訂)および動物の使用に関するGlaxoSmithKlineの方針に従った。
【0146】
本発明の特定の実施形態について本明細書に例示し、詳細に説明したが、本発明はそれに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例として提供したものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。変更は当業者には明白であり、本発明の趣旨を逸脱しないすべての変更は、添付した請求の範囲に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HPV感染による症状および障害を治療または予防するための方法であって、
式(I):
【化1】

[式中、
R1はそれぞれ独立に、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドであり、
pは、0、1、2、3または4であり、
nは、0または1であり、
mは、0、1または2であり、
Xは、C(O)、C(O)O、C(O)Y、S(O)、SO2、S(O)Y、SO2Y、C(O)OY、C(O)NHY、C(O)YN(H)C(O)OYからなる群より選択され、
Yはそれぞれ独立して、場合によって置換されたアルキレン、場合によって置換されたシクロアルキレン、場合によって置換されたアルケニレン、場合によって置換されたシクロアルケニレン、または場合によって置換されたアルキニレンであり、
R2は−Ayまたは−Hetであり、これらはそれぞれ場合によって、1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4、−R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドによって置換されており、
R3は、アルキル、−Ayまたは−Hetであり(ここでAyまたはHetは、それぞれ1または複数のハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、−R10シクロアルキル、Ay、AyR4、AyOR4−NHR10Ay、Het、HetR4、HetOR4、−NHHet、−NHR10Het、−OR4、−OAy、−OHet、−R10OR4、−NR4R5、−NR4Ay、−R10NR4R5、−R10NR4Ay、−R10C(O)R4、−C(O)R4、−CO2R4, −R10CO2R4、−C(O)NR4R5、−C(O)Ay、−C(O)NR4Ay、−C(O)Het、−C(O)NHR10Het、−R10C(O)NR4R5、−C(S)NR4R5、−R10C(S)NR4R5、−R10NHC(NH)NR4R5、−C(NH)NR4R5、−R10C(NH)NR4R5、−S(O)2NR4R5、−S(O)2NR4Ay、−R10SO2NHCOR4、−R10SO2NR4R5、−R10SO2R4、−S(O)mR4、シアノ、ニトロまたはアジドによって置換されていても良い)、
R4およびR5はそれぞれ独立して、Hまたはアルキルより選択され、
R10はそれぞれ、場合によって置換されたアルキレンであり、
Ayはアリール基を表し、
Hetは、5員または6員の複素環基またはヘテロアリール基を表す]で表される化合物、その製薬上許容される塩、溶媒和物または生理的に機能性の誘導体を投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
R1が、ハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、−NR4R5、または−CONR4R5から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が、ハロゲンまたはアルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
R1がF、Cl、Br、またはIである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1がClまたはBrである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
pは、1であり、かつR1 が、図示されたインドール窒素原子に対してパラ置換されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
R2 がAyである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
Ayが、1または2つの置換基で置換されているフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Ayが場合によって、ハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、−NR4R5、または−CONR4R5で置換されているフェニルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Ayが場合によって、ハロゲン、アルキル、シアノ、−OR4、−NR4R5、または−CONR4R5で置換されているフェニルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R2が、Hetである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Hetがジヒドロベンゾフランまたはピペロニルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
nが1であり、かつXが、C(O)、C(O)O、C(O)Y、C(O)OY、C(O)NHYまたはSO2Yから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
Xが、C(O)Y、C(O)O、C(O)OYまたはC(O)NHYから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R3が、アルキル、AyまたはHetである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
R3が、アルキルまたはAyである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
nが、0でありR3が、Hetである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
R3が、場合によって1または複数のハロゲン、アルキル、シアノ、ニトロ、−OR4、Het、Ay、−NR4R5、または−CONR4R5で置換されているHetである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
(1R)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−[(フェニルメチル)スルホニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(メチルスルホニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(4−{[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]スルホニル}フェニル)アミン.
2−アセチル−1−(4−メチルフェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニル−2−プロピノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、
1−(4−メチルフェニル)−2−[3−(3−ピリジニル)プロパノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル{2−[1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イル]−2−オキソエチル}カルバメート、
6−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
8−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
6−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
7−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
7−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1R/1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1R)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
(1S)−1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[(2E)−3−フェニル−2−プロペノイル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−{4−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−ピリミジニル}−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−(2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−フェニル−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−(4−フェニル−2−ピリミジニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
1−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−[4−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2−ピリミジニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−フルオロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
6−(メチルオキシ)−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、および
6−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、
メチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
メチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、
6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、
フェニルメチル6−ブロモ−1−(4−メチルフェニル)−1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−β−カルボリン−2−カルボキシレート、および
(1S)−6−クロロ−1−(4−メチルフェニル)−2−(3−フェニルプロパノイル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは生理的に機能性の誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
アデノウイルス、レトロウイルス、ならびにポリオーマウイルスおよびパピローマウイルスを含むパポーバウイルスファミリーに属するウイルスを含む腫瘍ウイルスによって引き起こされる疾患および症状を治療または予防するための請求項1〜21に記載の方法。
【請求項23】
前記症状または疾患が、いぼ、生殖器いぼ、子宮頸部形成異常、再発性呼吸器乳頭腫症、またはパピローマウイルス感染に伴う癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、肛門生殖器癌、頭頸部癌および皮膚癌である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記肛門生殖器癌が、頚部癌、肛門およびその周囲の癌、外陰部癌、膣癌および陰茎癌であり、
前記頭頸部癌が、口咽頭部癌および食道癌であり、ならびに
前記皮膚癌が、基底細胞腫および扁平上皮癌である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
アデノウイルス、レトロウイルス、ならびにポリオーマウイルスおよびパピローマウイルスを含むパポーバウイルスファミリーに属するウイルスを含む腫瘍ウイルスの治療または予防に使用するための医薬の製造における請求項1〜21に記載の化合物の使用。
【請求項27】
HPV感染による症状および障害の治療または予防に使用するための医薬の製造における、請求項26に記載の化合物の使用。
【請求項28】
前記症状または障害が、いぼ、生殖器いぼ、子宮頸部形成異常、再発性呼吸器乳頭腫症、またはパピローマウイルス感染に伴う癌である、請求項27に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−508356(P2008−508356A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524845(P2007−524845)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026619
【国際公開番号】WO2006/015035
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】