説明

I.S.マシン用の冷却管機構

【課題】I.S.マシンで形成されたびんの中へ冷却空気を導入する改良式の冷却管機構を提供すること。
【解決手段】I.S.マシンは、パリソンがびんへとブロー成形されるブローステーションを有する。パリソンは、ブロー成形型上の「オンブローモールド」位置にあるブローヘッドによってブロー成形され、パリソンのブロー成形の後、ブローヘッドは、ブロー成形型から離れるように持ち上げられる。ブローヘッドと成形型との間の距離は、成形型内で検出された圧力に応答する圧力特性によって定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,I.S.マシン(独立セクション型機械:Individual Section machine)に関し、さらに詳細には、びんが機械のブロー成形型内で形成された後にびんの内部を冷却する移動可能な冷却管を有する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスびんは、I.S.マシンにおいて2段階の工程で製造される。「パリソン」が、ブランクステーションにおいてまず形成され、次に、そのパリソンが、ブローステーションに運ばれ、そこでブロー成形型すなわちブローモールド内に配置されたパリソンがびんへとブロー成形される。ブロー成形されたびんは、デッドプレートへ移動され、冷却されると、機械から取り出すために、コンベアの上へ押し出されることができる。外表面を冷やすこと、または吹き込み管を通してびんの内部へ空気を流すことによって、形成されたびんから熱を除去することができる。
【0003】
米国特許第6,776,010号明細書は、びんがブロー成形型内にある間に往復される吹き込み管(blow tube)を使用するI.S.マシンのブロー成形ステーションを開示し、米国特許第6,766,665号明細書は、びんをブロー成形ステーションから外した後、続けてびんの中へ冷却空気を流す、往復する管を使用するブローステーションでの処理の後(post blow station)の処理のための構造を開示する。
【特許文献1】米国特許第6,776,010号明細書
【特許文献2】米国特許第6,766,665号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、I.S.マシンで形成されたびんの中へ冷却空気を導入する改良式の冷却管機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、パリソンがブロー成形型内でびんへとブロー成形されるブローステーションを有するI.S.マシンであって、オンブローモールド位置に配置可能な腕部を有し、前記腕部が、前記パリソンのブロー成形の間、加圧された空気を供給されるブローヘッドを有する、ブローヘッド機構と、前記ブローヘッド内の、供給される前記空気の圧力を検出する手段と、前記ブローヘッドを、前記オンブローモールド位置から、前記ブローヘッドが前記ブロー成形型の上方へ離間される位置へと、上向きに移動させる手段と、前記ブローヘッドで検出された前記空気の圧力の関数として、選択された圧力特性に従って前記移動させる手段を操作する手段と、を備えたI.S.マシンを提供する。
【0006】
本発明の他の目的および利点は、本明細書の以下の部分、および特許の規定に従って、本発明の原理を取り入れた、現時点で好ましい実施形態を例示する添付の図面から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、直立した柱12に取り付けられた案内腕部10を含むI.S.マシンのブローヘッド機構を示す。柱12は、案内腕部を上位置と下位置との間で動かす電子(サーボ)モータ14に連結されている。従来式のスクロールカム(scroll cam)組立体16が、案内腕部を後退位置と前進位置との間で旋回させる。上/後退位置はオフ位置であり、前進/下位置は、ブロー成形型上位置すなわちオンブローモールド位置(on blow mold position)である。ブローヘッド機構は、また、ブローステーションで形成されるびんの数に数が一致する複数の冷却管20を支持する冷却管腕部組立体18を含む。冷却管腕部組立体は、冷却管が案内腕部の縦開口部の中へ下向きに延びる、冷却管腕部組立体の第1(上)位置にあるのが示されている。適切な案内部22が、案内腕部のこれら開口部の頂部に配置されている。ブローヘッド24が、これら開口部の底部すなわち最下部で案内腕部に固定されている。冷却管腕部組立体は、柱12に取り付けられ、案内腕部とともにオン位置とオフ位置との間を動く。オン位置では、パリソンがブロー成形型の中で、びんへとブロー成形される。冷却管腕部組立体は、また、冷却管の最下部が、パリソンをびんへとブロー成形するように配置される図示の上位置と、点線で示される、ブロー成形されたびんの底部に近い位置への冷却管の挿入に対応する、選択された距離Dだけ冷却管が下げられた下位置との間で移動可能である。
【0008】
冷却管腕部組立体のための駆動部組立体が、図2に示されている。冷却管腕部組立体のための駆動部組立体は、継手32を介してリードスクリュー34に連結されたサーボモータ30を含む。リードスクリューは、柱12の上部に形成された内孔38に沿って駆動されることできるナット36に、動作可能に取り付けられている。ナットはピン受け穴40を有し、柱は細長い縦溝42を有する。柱の外表面に沿って縦方向すなわち鉛直方向に移動可能であるのは、滑動式囲い(housing)50(図3参照)である。滑動式囲いの頂部近くにあるのは、柱の溝42にはまる第1キー部分56と、ナット36のピン受け穴40にはまる第2ピン部分58とを有するキー部54(図4も参照)を支持する厚肉部53を有するカラー52である。したがって、滑動式囲いはナットとともに鉛直方向に移動されることになる。
【0009】
滑動式囲いに解放可能に固定されるのは、冷却管腕部組立体18である。冷却管腕部組立体は、円筒形の取付けスリーブ部60(図5)を有する。該円筒形の取付けスリーブ部60は、滑動式囲いによって滑動可能に受けられており、カラー52の下方の任意の鉛直方向位置で且つ任意の角度の位置に、取付けねじ62で滑動式囲いに固定可能である。取付けスリーブ部60は、冷却管腕部組立体の腕部分68の端部に、対応する部分66を受ける楔止め部(keyed portion)64を有する。冷却管腕部組立体が、細長いプレナム室または流体室70を支持する。圧縮空気または他の冷却用の流体が、取付けスリーブ部分60の入口74(図6参照)を介して、取付けスリーブ部分の孔76へと供給される。この孔は、プレナム室の内部82と開口部80を介して連通する、腕部分68の孔78と連通する。プレナム室へは、適切なねじ85によって固定された頂部83によって接近できる。
【0010】
各冷却管のための冷却管チャック72が、プレナム室の底壁73に取り付けられている。図7に示す冷却管チャックは、従来式のコレット90と、従来式のコレットナット91と、コレットナットを受ける第1のねじ付き端部93を有する従来式のコレット保持具95によって形成される。コレット保持具の従来式に先細にされた端部が、第2の外部ねじ92の付いた、プレナム室の底壁73の穴99を通過する大きさにされた径を小さくされた柱部分97を含むように改良されている。この柱部分は、コレット保持具をプレナム室の底壁に封止的に取り付ける締め付けナット94を受ける。段の付いた軸方向の穴101が、コレット保持具を貫通する。代替として、コレット保持具95’が、プレナム室の外側から適切なねじ105によってプレナム室の底壁に解放可能に固定されることのできる大きくされた締め付け板部109(図8参照)を有するように構成されてもよい(この付属部品を有する場合、柱97’は外側にねじを付けられる必要はない)。冷却管チャックは、特定の冷却管20を保持するのに適するコレット90を解放可能に保持する。コレット保持具95、95’は、内側/外側シーリングリング103(入手可能なコレット付属部品)によって効果的に封止(seal)される。冷却管の外径は、内側封止部の寸法に対応するように選択される。したがって、冷却管は、プレナム室へ迅速に取付けることが可能であり、または、プレナム室から迅速に取り外すことが可能である。
【0011】
径を小さくされた柱97、97’の開口部の内側環状面は、丸み/傾斜96、96’が付けられ、この柱の軸方向上方には、ねじ付き軸102の端部にあるニードル弁100が配置されている。ねじ付き軸は、肉厚部106のねじ付き穴104によって受けられ、頂部に回転つまみ108を有する。このようにして、各冷却管を通る所望の流れを達成するように、各冷却管の中への流れを変化させることが可能である。
【0012】
作動時には、案内腕部および冷却管腕部組立体が前進/下位置にあり、冷却管腕部組立体が上位置にあるとき、ブロー成形型内に配置されたパリソンがびんへとブロー成形される。冷却管は、ブローヘッドの吹き込み管として機能する。パリソンがびんへとブロー成形された後、冷却空気を、望み通りにびんの底部に近い位置で送るために、吹き込み管腕部組立体が上位置から、下位置へと縦方向に移動可能である。本発明はブローヘッド機構として開示されてきたが、ブローヘッドを除いた構造が、デッドプレートの位置、またはガラス工程内のその後の任意の位置においてびんを冷却するのに用いられる機構とすることができる。
【0013】
図1に示すように、圧力のかかった空気が、高圧空気の適切な供給源(S)110から冷却管腕部組立体に供給可能である。供給される空気は、適切な制御部114によって選択された圧力で、電子制御された比例弁(EPV)112を通る。図1に示すように、制御部は、変位プロファイル(Displacement Profile)をモータ30に供給し、冷却管の位置データをモータ30から受信する。図9に示すように、制御部が、吹き込み管は第1(パリソンのブロー成形)位置にあるか(ステップ116)という質問にはいと答え、パリソンがびんへとブロー成形されたと判定した(パリソンはびんへとブロー成形されたか(ステップ118)という質問にはいと答えた)とき、制御部は、吹き込み管を第2の底(下)位置へ移動させる(ステップ120)という信号を発し、併せて、吹き込み管が第1位置から第2位置へと移動するにつれて吹き込み圧力を第1圧力PFIRSTから第2圧力PSECONDへ減少させる(ステップ122)。パリソンがブロー成形されたとシステムが自動的に判断してもよく、またはこのイベントの時間が、操作者の経験に基づいて操作者によって設定されてもよい。このような圧力の減少は、線形であってよい。
【0014】
図10は、案内腕部の制御アルゴリズムを示す。ブローヘッドが「オン」の位置にあるとき、制御部114は吹き込み圧力(Blow Pressure)をかけるように指示を発する(ステップ130)。ブローヘッド圧力センサ133において圧力低下を検出することに基づいて、または操作者が、形成が起こると操作者が考えた時間に対するタイミング制御においてイベント角度を設定することによって、パリソンはびんへとブロー成形されたか(ステップ132)という質問に制御部がはいと答えたとき、制御部114は、ブローヘッドが「オフ」になるまで規定の圧力特性(Pressure Profile)に従うように案内腕部を移動させる(ステップ134)。操作者は、所望の圧力特性を入力できる。たとえば、圧力特性は、ブロー成形されたパリソンを型の内表面に対して保持するレベルに設定された一定の圧力特性とすることができる。このようにして、案内腕部10は、ヘッドがブロー成形型の頂部から離間された位置に移動され、その後、案内腕部10は、冷却管へ送られる空気源の空気の圧力の上昇または減少に応答して、鉛直方向に上または下へと移動される。パリソンをびんへとブロー成形した後に空気源の圧力が減少される上記の状況では、冷却管が下げられると圧力が減少されるので、このアルゴリズムによって、所望の一定の内部圧力を維持するために、ブローヘッドがブロー成形型の頂部に向かって移動される。この圧力特性は、また、パリソンのブロー成形の後の時間の関数として、内部圧力を上昇させるようにしてもよい。これは、たとえば、パリソンのブロー成形、およびびんの部分的な冷却の後に、空気源の圧力が実質的に上昇された場合に起こり得る。腕部は、びんが徐々に冷えて強化するにつれて、圧力が時間とともに上昇する(腕部が徐々に下げられる)圧力特性に従ってよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の教示に従って製作されたI.S.マシンのブローヘッド機構の概略図である。
【図2】図1のブローヘッド機構の柱の頂部の立面断面図である。
【図3】冷却管組立体の滑動可能な支持体の斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿った、柱の水平方向断面の一部を示す図である。
【図5】冷却管組立体の頂面図である。
【図6】冷却管組立体の立面図である。
【図7】冷却管ヘッド部および関連した流れ制御部の断面図である。
【図8】図7に示す冷却管チャックの代替連結装置を示す斜面図である。
【図9】パリソンをびんへとブロー成形した後、管が上位置から下位置へ移動される際の、位置の関数としての、冷却管への空気圧の制御を示す論理図である。
【図10】ブローヘッドの圧力の関数としての、制御腕部の鉛直方向変位の制御を示す論理図である。
【符号の説明】
【0016】
10 案内腕部
12 柱
14 モータ
16 カム組立体
18 冷却管腕部組立体
20 冷却管
22 案内部
24 ブローヘッド
34 リードスクリュー
30 サーボモータ
36 ナット
42 縦溝
50 滑動式囲い
54 キー
56 第1キー部分
58 第2ピン部分
60 取り付けスリーブ部分
62 取付けねじ
68 腕部分
70 プレナム室
73 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パリソンがブロー成形型内でびんへとブロー成形されるブローステーションを有するI.S.マシンであって、
オンブローモールド位置に配置可能な腕部を有し、前記腕部が、前記パリソンのブロー成形の間、加圧された空気を供給されるブローヘッドを有する、ブローヘッド機構と、
前記ブローヘッド内の、供給される前記空気の圧力を検出する手段と、
前記ブローヘッドを、前記オンブローモールド位置から、前記ブローヘッドが前記ブロー成形型の上方へ離間される位置へと、上向きに移動させる手段と、
前記ブローヘッドで検出された前記空気の圧力の関数として、選択された圧力特性に従って前記移動させる手段を操作する手段と、
を備えたI.S.マシン。
【請求項2】
請求項1に記載の、パリソンがブロー成形型内でびんへとブロー成形されるブローステーションを有するI.S.マシンであって、
前記選択された圧力特性が、前記ブローヘッド内の一定の圧力であり、前記移動手段が、前記ブロー成形型内に一定の圧力を維持するように前記ブローヘッドを移動させる、I.S.マシン。
【請求項3】
請求項1に記載の、パリソンがブロー成形型内でびんへとブロー成形されるブローステーションを有するI.S.マシンであって、
前記選択された圧力特性が、上昇する圧力特性であり、前記ブローヘッド内の前記圧力が冷却時間とともに上昇する、I.S.マシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−149718(P2008−149718A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321990(P2007−321990)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(598152242)エムハート・グラス・ソシエテ・アノニム (49)
【Fターム(参考)】