説明

IAPタンパク質とのHSP90タンパク質−タンパク質相互作用を阻害する化合物

本明細書において、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2などのIAPタンパク質とのHsp90相互作用を阻害する化合物、ならびにこのような化合物を同定するおよび用いるための方法を開示している。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、熱ショックタンパク質Hsp90とアポトーシス阻害タンパク質(IAP)、例えば、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2、の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物、例えば、ペプチドおよびペプチド誘導体、ならびにそのような化合物を同定する、および用いる方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年7月23日に出願された米国仮特許出願第60/590,584号の出願日の恩典を主張する。この先行出願の内容は、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
【0003】
連邦政府資金援助研究に関する言明
本発明は、認可番号2R01CA078810、5R01HL54131、および5R01CA90917におけるNational Institute of Healthからの援助でなされ、それゆえに、政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
背景
腫瘍細胞は、非常に好ましくない環境において生存かつ増殖する増強された能力を示す。例えば、腫瘍細胞は、不利な環境において正常(すなわち、非癌性)細胞が分裂するのを防ぐ細胞経路の多くを下方制御する。腫瘍細胞はまた、悪条件下において多くの正常組織の細胞死を引き起こすアポトーシス経路を不活性化する。腫瘍細胞は、活性増殖を維持するために必要とされる経路を上方制御する。例えば、多くの腫瘍細胞は、腫瘍細胞が、増殖し続けるために必要であるタンパク質機構を合成かつ維持するのを可能にする細胞性ストレス応答経路を活性化する。腫瘍における活性化されたストレス応答は、ATP分解酵素依存性分子シャペロンである、熱ショックタンパク質(Hsp)の上方制御を含む。特に、Hsp90は、多くの癌性組織において上方制御される。Hsp90は、限られた数のクライアントタンパク質の折り畳み/成熟とプロテアソームの破壊の間のバランスを制御し、クライアントタンパク質の一部はシグナル伝達および細胞増殖に関与している、する。
【0005】
アポトーシス阻害(IAP)タンパク質ファミリーのメンバーは、1つまたは複数のバキュロウイルスIAPリピートドメインにより特徴付けられる。これらのタンパク質は、最初、宿主昆虫細胞の防御的アポトーシスを防ぐことによりバキュロウイルス増殖を増強するそれらの能力により同定された。サバイビンは、胚性および胎児器官において広く発現されているが、たいていの高度に分化した正常組織において事実上、検出不可能になる、IAPファミリーの小さな16.5kDaの哺乳動物のメンバーである。サバイビンは、しかしながら、様々な腫瘍組織において、高度に発現され、多くの腫瘍細胞が細胞死を避け、増殖し続ける機構に関与していると考えられる。
【発明の開示】
【0006】
概要
本発明は、熱ショックタンパク質Hsp90とのタンパク質-タンパク質相互作用を媒介する、サバイビン、cIAP1、cIAP2およびXIAPを含むアポトーシス阻害(IAP)タンパク質の、特定の領域、例えば、結合ドメインまたはモチーフ、の発見に、少なくとも一部、基づいている。これらの領域は同定され、これらのIAPタンパク質、例えば、サバイビン、の抗アポトーシス性効果を媒介するとして特徴付けられている。IAPタンパク質とのHsp90相互作用を乱す化合物を同定するための方法が提供される。Hsp90とIAPタンパク質、例えば、サバイビン、の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物、例えば、ペプチド、ペプチド誘導体、ペプチド模倣体、および低分子、は癌のような望まれていない細胞増殖に関連した状態の処置において有用である。
【0007】
一つの局面において、本発明は、Hsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する単離された化合物を含む。様々な態様において、そのような化合物は、His-Ser-Ser-Gly-Cys(SEQ ID NO:2)またはLys-His-Ser-Ser-Gly(SEQ ID NO:26)を含み、かつ例えば、50またはそれ以下、45またはそれ以下、40またはそれ以下、35またはそれ以下、30またはそれ以下、25またはそれ以下、20またはそれ以下、15またはそれ以下、12またはそれ以下、11またはそれ以下、10またはそれ以下、9またはそれ以下、8またはそれ以下、7またはそれ以下、6またはそれ以下、または5アミノ酸長である、単離されたサバイビンペプチドである。例示的なサバイビンペプチドは、

を含む。
【0008】
いくつかの態様において、単離されたサバイビンペプチドは、異種性配列、例えば、化合物の細胞透過性を増強するペプチド内部移行配列(例えば、Tat、アンテナペディア、vβRR、トランスポーチン、またはトランスポータン(transportan)配列)、に連結される。例示的なアンテナペディアペプチド内部移行配列は、

である。特定の態様において、化合物は、本明細書に開示されたサバイビンペプチドのペプチド模倣体であり、例えば、その化合物は、レトロ(retro)-ペプチド、反転(inverso)ペプチドでありうる、および/または1つもしくは複数の人工的アミノ酸類似体を含みうる。ペプチド模倣体もまた、異種性配列、例えば、ペプチド内部移行配列、に連結されうる。ペプチド誘導体は、ペプチド内部移行配列に連結したペプチド、およびペプチド模倣体を含む。
【0009】
本明細書に開示されたサバイビンペプチドおよびペプチド誘導体をコードする核酸、加えて、これらの核酸を含む組換え細胞もまた提供される。もう一つの局面において、本明細書に開示されたペプチドまたはペプチド誘導体に結合する、抗サバイビン抗体、例えば、イントラボディ、である。そのような抗体の例は、本明細書に開示されたペプチドまたはペプチド誘導体を、抗体を産生する能力がある動物へ投与することにより作製されるものを含む。
【0010】
異なる局面において、本発明はまた、腫瘍増殖の低分子インヒビターを作製する方法を提供する。典型的には、これらの方法は、リード化合物、例えば、本明細書に開示されたサバイビンペプチドまたはペプチド誘導体、を提供する段階、リード化合物に構造的に類似している候補化合物を開発するために医薬品化学を用いる段階、および任意で、候補化合物が腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを測定する段階を含む。候補化合物は、薬学的担体へ製剤化され、それにより、腫瘍増殖の低分子インヒビターを調製しうる。
【0011】
もう一つの局面において、本発明は、候補アポトーシス誘導性化合物を同定するためのスクリーニングアッセイ法を含む。典型的には、これらのアッセイ法は以下の段階を含む:(i)試験化合物、Hsp90ペプチドおよびIAPペプチド(例えば、サバイビン)をいっしょに、相互作用、例えば結合、を可能にするのに十分な条件下および時間、混合する段階、ならびに(ii)試験化合物がHsp90ペプチドとIAPペプチドの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するかどうかを検出する段階。Hsp90とIAPペプチド(例えば、サバイビンペプチド)の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する試験化合物は、候補アポトーシス誘導性化合物である。
【0012】
さらにもう一つの局面において、本発明は、候補アポトーシス誘導性化合物を同定するためのスクリーニングアッセイ法を特徴とする。典型的には、これらのアッセイ法は以下の段階を含む:(i)Hsp90およびIAPペプチド(例えば、サバイビンペプチド)を発現させる細胞(例えば、インビボの腫瘍細胞または培養中の腫瘍細胞)に化合物を投与する段階、ならびに(ii)Hsp90ペプチドとIAPペプチド(例えば、サバイビン)の間の相互作用、例えば結合、を測定する段階。Hsp90ペプチドとIAPペプチド(例えば、サバイビン)の間の相互作用を低下させる化合物は、候補アポトーシス誘導性化合物である。
【0013】
なおもう一つの局面において、本発明は、アポトーシス誘導剤を同定するためのスクリーニングアッセイ法を特徴とする。典型的には、これらのアッセイ法は以下の段階を含む:本明細書に開示された方法により同定される候補アポトーシス誘導性化合物に腫瘍細胞を接触させる段階、およびアポトーシスの1つもしくは複数のマーカーの存在または非存在を検出する段階。細胞を、1つまたは複数のアポトーシスマーカーを示すようにさせる候補アポトーシス誘導性化合物は、アポトーシス誘導剤である。
【0014】
腫瘍増殖のインヒビターを同定するためのスクリーニングアッセイ法もまた記載されている。典型的には、これらのアッセイ法は以下の段階を含む:本明細書に開示された方法により同定される候補アポトーシス誘導性化合物に1つまたは複数の腫瘍細胞を接触させる段階;および腫瘍細胞の増殖を測定する段階。化合物に接触していない1つまたは複数の腫瘍細胞の増殖と比較して、腫瘍細胞の増殖を阻害する候補アポトーシス誘導性化合物が、腫瘍増殖のインヒビターである。
【0015】
異なる局面において、本発明はまた、(i)腫瘍についての処置を必要としている被験体を同定する段階、および(ii)Hsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する本明細書に開示された任意の化合物の薬学的組成物を被験体へ投与する段階により、被験体において腫瘍を処置するための方法を含む。被験体において腫瘍を処置する方法に用いられる薬学的組成物は、例えば、サバイビンペプチド(またはペプチド誘導体)、および/またはHsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するサバイビンに対する抗体を含みうる。もう一つの局面において、被験体において腫瘍を処置する方法は以下の段階を含む:(i)腫瘍についての処置を必要としている被験体を同定する段階、および(ii)本明細書に開示された方法により同定される化合物または作用物質を含む薬学的組成物を被験体へ投与する段階。
【0016】
本発明はまた、本明細書に記載された化合物または薬学的組成物の有効量を細胞へ導入することにより、細胞においてHsp90とIAPポリペプチドの間の相互作用を阻害する方法を特徴とする。
【0017】
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)にかかわらず、アミノ酸の任意の鎖を指し、他に規定がない限り本明細書で交換可能に用いられる。
【0018】
「単離されたペプチド」および「単離された核酸」という用語は、それぞれ、その分子の天然源(もしあれば)に存在する他のペプチドおよび核酸を実質的に含まない、ペプチド分子および核酸分子を含む。単離されたペプチドの例は、細胞に存在する他のペプチドおよび物質の相当量を含まないペプチドである。異なる例において、単離された核酸は、その核酸が得られるまたは由来している(例えば、合成される)生物体のゲノムDNAにおいてその内因性核酸に隣接する配列(すなわち、その核酸の5'末端および/または3'末端に位置している配列)がない場合がある。単離されたペプチドおよび核酸は、インビトロで合成されうる、および/または天然源から単離されうる。
【0019】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似した側鎖を有するアミノ酸残基と置換されているものである。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分枝型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)をもつアミノ酸を含む。
【0020】
本明細書に用いられる場合、「Hsp90ペプチド」は、サバイビン、cIAP1、cIAP2およびXIAPのようなIAPタンパク質に結合する完全長Hsp90またはそのペプチドを指す。
【0021】
本明細書に用いられる場合、「IAPペプチド」は、Hsp90に結合する完全長IAPタンパク質またはそのペプチドを指す。
【0022】
本明細書に用いられる場合、「サバイビンペプチド」は、Hsp90に結合する完全長サバイビンまたはサバイビンのペプチドを指す。
【0023】
他に規定がない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、当業者により一般に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと類似または等価の方法および材料が、本発明の実施または試験に用いられうるが、適した方法および材料は下に記載されている。本明細書に挙げられたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、全体として参照により組み入れられている。矛盾の場合、定義を含む本明細書が支配するものとする。さらに、材料、方法および実施例は、例証となるのみであり、限定することを意図されない。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかであると思われる。
【0024】
詳細な説明
本発明は、熱ショックタンパク質Hsp90とのタンパク質-タンパク質相互作用を媒介する、サバイビン、cIAP1、cIAP2およびXIAPを含むアポトーシス阻害(IAP)タンパク質の特定の領域の発見に、一部、基づいている。IAPタンパク質とのHsp90の相互作用は、腫瘍細胞においてアポトーシスの抑制を媒介する。本明細書に開示されているのは、Hsp90-IAP相互作用のインヒビターおよび腫瘍細胞におけるアポトーシスのモジュレーターとして用いられうる、IAPタンパク質のペプチドおよびペプチド誘導体である。例えば、インビトロおよびインビボで、Hsp90-サバイビン相互作用を阻害し、かつ腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する新規なサバイビンペプチドが開示されている。Hsp90-IAP、例えば、Hsp90-サバイビン、タンパク質-タンパク質相互作用を阻害し、かつ腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する化合物を同定するためのスクリーニング方法もまた提供されている。サバイビンペプチドの合理的設計は、全体として参照により本明細書に組み入れられているPlescia et al.、Cancer Cell、7:457-468 (May 2005)に記載されている。
【0025】
サバイビンペプチド
本明細書に開示されたサバイビンペプチドおよびペプチド誘導体は、SEQ ID NO:2(His Ser Ser Gly Cys)のコアHsp90結合配列モチーフを共有する。このコアHsp90結合モチーフは、サバイビンタンパク質の単一のバキュロウイルスIAPリピート(BIR)ドメイン内に位置している。より具体的には、モチーフは、完全長サバイビン(SEQ ID NO:1)の80位〜84位におけるアミノ酸残基に対応する。このモチーフを含むペプチドおよびそのペプチド誘導体は、(a)Hsp90のN末端ATP分解酵素ドメイン(「ATPポケット」)に結合することができる、および(b)インビトロおよびインビボでHsp90-サバイビンタンパク質-タンパク質相互作用を阻害することができる。
【0026】
本明細書に用いられる場合、サバイビンペプチドおよびサバイビンペプチド誘導体という用語は、アポトーシスを阻止する機能性サバイビンタンパク質の完全なアミノ酸配列未満を含むペプチドを指す。本明細書に開示されたサバイビンペプチドおよびペプチド誘導体は、インビトロおよび/またはインビボでHsp90-サバイビン相互作用を阻害し、それによりインビトロおよび/またはインビボで腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する。
【0027】
完全長のヒト野生型サバイビンポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を有する。

【0028】
完全長ヒト野生型Hsp90ポリペプチドは以下のアミノ酸配列を有する。

【0029】
本明細書に開示された1つの新規なサバイビンペプチドは、SEQ ID NO:1の残基His80位〜Cys84位に対応するSEQ ID NO:2のペンタマーHis-Ser-Ser-Gly-Cysである。このペンタマー配列は、完全長サバイビンにおいてそのペンタマー配列に隣接する(すなわち、介在するアミノ酸なしにそのペンタマー配列の直前にあるまたはこれに続く)アミノ酸に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むように拡大されうる。例えば、本明細書に開示された新規なペプチドは、SEQ ID NO:1の残基Lys79位〜Leu87位を含むSEQ ID NO:24の9mer(Lys His Ser Ser Gly Cys Ala Phe Leu)である。もう一つの新規なペプチドは、SEQ ID NO:1の残基Lys78位〜Leu87位を含むSEQ ID NO:5の10mer(Lys Lys His Ser Ser Gly Cys Ala Phe Leu)である。もう一つの新規なペプチドは、SEQ ID NO:1の残基Lys79位〜Cys90位を含むSEQ ID NO:3の12mer(Lys His Ser Ser Gly Cys Ala Phe Leu Ser Val Lys)である。本明細書に開示されたもう一つの新規なペプチドは、SEQ ID NO:1の残基Ile74位〜Leu87位を含むSEQ ID NO:4の14mer(Ile Asp Asp His Lys Lys His Ser Ser Gly Cys Ala Phe Leu)である。
【0030】
本明細書に提供された新規なペプチドは、SEQ ID NO:1においてHis80位〜Cys84位のペンタマー配列の一方(アミノまたはカルボキシル)または両方の側に隣接する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16アミノ酸を含む。
【0031】
新規なサバイビンペプチドはまた、ペンタマーのカルボキシル側面上も同様であるが、ペンタマー配列のアミノ側上の異なる数のアミノ酸残基に隣接しているペプチドを含む、例えば、本発明は、SEQ ID NO:1におけるHis80位〜Cys84位に位置したペンタマー配列のアミノ側に隣接する0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16アミノ酸、およびSEQ ID NO:1におけるHis80位〜Cys84位に位置したペンタマー配列のカルボキシル側に隣接する0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16アミノ酸をもつペプチドであって、ペンタマー配列のアミノ側に隣接するアミノ酸の数がペンタマー配列のカルボキシル側に隣接するアミノ酸の数とは異なる、ペプチドを含む。例示的なサバイビンペプチドは表1に列挙されている。
【0032】
(表1)例示的なサバイビンペプチド

【0033】
本明細書に開示された新規なサバイビンペプチドは、SEQ ID NO:3〜5のペプチドを含む。ペンタマーモチーフのすぐN末端側のLys(すなわちSEQ ID NO:1のLys79に対応)は、保存的およびいくつかの非保存的アミノ酸置換の両方で置換されうることを留意されたい。例えば、実施例10を参照。より一般的には、本明細書に開示されたサバイビンペプチドにおいて、保存的アミノ酸置換は、SEQ ID NO:1におけるHis80位〜Cys84位に対応するコアペンタマー配列の外側の1つまたは複数のアミノ酸についてなされうる。さらに、SEQ ID NO:2の一方の末端における1つまたは2つのアミノ酸は、保存的アミノ酸置換により置換されうる、または欠失されうる。従って、His-Ser-Ser(SEQ ID NO:11)、Ser-Ser-Gly(SEQ ID NO:12)、Ser-Gly-Cys(SEQ ID NO:13)、His-Ser-Ser-Gly(SEQ ID NO:14)、Ser-Ser-Gly-Cys(SEQ ID NO:15)、およびLys-His-Ser-Ser-Gly(SEQ ID NO:26)もまたサバイビンペプチドである。
【0034】
さらに、ランダムなアミノ酸またはランダムなアミノ酸のひと続きは、サバイビンポリペプチドを形成するようにSEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:26の一方または両方の側に連結されうる。
【0035】
本明細書に開示された方法に用いられうる他のサバイビンペプチドは、Hsp90に結合し、かつ腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する、ポリペプチド、例えば、本明細書に開示された方法において同定されたもの、を含む。例えば、サバイビンペプチドは、Hsp90に結合し、かつ腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する、バキュロウイルスIAPリピートドメインを含む。
【0036】
IAPペプチド
cIAP1(Entrezアクセッション番号:NP_001156)、cIAP2(Entrezアクセッション番号:NP_001157)およびXIAP(Entrezアクセッション番号:NP_001158)を含む、他のアポトーシス阻害タンパク質は、Hsp90と相互作用する。例えば、Deveraux and Reed、Genes and Dev.、13:239-252 (1999)を参照。これらのIAPタンパク質は、本明細書に開示されているように、Hsp90相互作用を媒介する少なくとも1つのバキュロウイルスIAPリピートドメインを含む。例えば、完全長XIAPのアミノ酸1位〜123位におよそ対応するXIAPの第一BIRドメイン(BIR1)は、Hsp90-XIAP結合相互作用を媒介する。
【0037】
これらのIAPタンパク質における1つまたは複数のBIRドメインに対応するペプチド、またはそれらのHsp90結合断片は、それゆえに、Hsp90-IAPタンパク質相互作用を阻害し、それにより腫瘍細胞のアポトーシスを調節するために、本明細書に開示された方法に用いられうる。例えば、XIAP、cIAP1、またはcIAP2の第一BIRドメインは、Hsp90とXIAP、cIAP1、またはcIAP2の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するために用いられうる。他の態様において、Hsp90を結合するIAPタンパク質のBIRドメインの断片に対応するペプチドは、Hsp90-IAPタンパク質相互作用を乱すために用いられうる。
【0038】
例示的なXIAPの第一BIRドメインは以下の配列を含む。

【0039】
例示的なcIAP1の第一BIRドメインは以下の配列を含む。

【0040】
例示的なcIAP2の第一BIRドメインは以下の配列を含む。

【0041】
ペプチド誘導体
本明細書に開示されたペプチドの改変型は、「ペプチド誘導体」と呼ばれ、それらもまた新しい方法に用いられうる。例えば、ペプチドのペプチド誘導体は、本明細書に記載されたスクリーニングおよび治療方法においてそのペプチドの代わりに用いられうる。
【0042】
1. ペプチド内部移行配列
Hsp90に結合し、かつ腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導するサバイビンのペプチドは、時々、担体ドメインまたはタンパク質伝達ドメインと呼ばれる、細胞貫通性ペプチド配列の付着により改変されうる。細胞貫通性ペプチド配列は、Hom et al.、J Med. Chem.、46:1799 (2003)およびBonny et al.、Diabetes、50:77-82 (2001)に記載されている。
【0043】
例えば、本明細書に開示されたペプチドおよび断片は、アンテナペディア担体配列の第三α-ヘリックス上に見出される配列に対応するアンテナペディア担体配列に付着しうる(Gratton et al.、Cancer Cell、4:31、(2003))。本明細書に開示されたペプチドおよび断片が付着しうる細胞貫通性配列の他の例は、HIV-1由来のTATタンパク質配列を含む(Chen et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、96:4325 (1999) Kelemen et al.、J. Biol. Chem.、277:8741-8748、(2002))。さらに他の例は、単純ヘルペスウイルス由来のVP22タンパク質(Lundberg and Johansson、Biochem. Biophys. Res. Comm.、291:367-371 (2002))およびPep-1ペプチド担体(Morris et al.、Nature Biotech.、19:1173-1176 (2001))を含む。細胞貫通性ペプチド配列をもつペプチドおよび断片を含むポリペプチドは、化学合成のような標準的技術により作製されうる、またはそのポリペプチドをコードする核酸から発現されうる。内部移行配列を含む例示的なペプチドは、

および

を含み、下線の引かれた配列はサバイビンの配列に対応する。
【0044】
2. ペプチド模倣体
本明細書に開示されたペプチドは、ペプチド模倣体を作製するための当技術分野において公知の方法に従って改変されうる。例えば、Kazmierski、W.M.編、Peptidomimetics Protocols、Human Press (Totowa NJ 1998); Goodman et al.編、Houben-Weyl Methods of Organic Chemistry: Synthesis of Peptides and Peptidomimetics、Thiele Verlag (New York 2003);およびMayo et al.、J. Biol. Chem.、278:45746 (2003)を参照。ある場合には、本明細書に開示されたペプチドおよび断片のこれらの改変されたペプチド模倣体型が、非ペプチド模倣体ペプチドと比較して、インビボでの安定性の増強を示す。
【0045】
ペプチド模倣体を作製するための方法は、ペプチド配列における1つまたは複数の、例えば全部の、アミノ酸をD-アミノ酸鏡像異性体と置換する段階を含む。そのような配列は、本明細書では「レトロ(retro)」配列と呼ばれる。もう一つの方法において、本来のペプチドのN末端からC末端へのアミノ酸残基の順序が、改変されたペプチド模倣体においてC末端からN末端へのアミノ酸残基の順序になるように、アミノ酸残基のN末端からC末端への順序が逆になっている。そのような配列は、「反転(inverso)」配列と呼ばれうる。
【0046】
ペプチド模倣体は、レトロおよび反転型の両方、すなわち、本明細書に開示されたペプチドの「レトロ-反転」型、でありうる。新しいペプチド模倣体は、ペプチド模倣体におけるN末端からC末端へのアミノ酸残基の順序が、本来のペプチドにおけるC末端からN末端へのアミノ酸残基の順序に対応するように並べられたD-アミノ酸から構成されうる。
【0047】
ペプチド模倣体を作製するための他の方法は、ペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸残基を、アミノ酸の化学的に異なるが認められた機能性類似体、すなわち、人工的アミノ酸類似体と置換される段階を含む。人工的アミノ酸類似体は、β-アミノ酸、β-置換型β-アミノ酸(「β3-アミノ酸」)、α-アミノホスホン酸およびα-アミノホスフィン酸のようなアミノ酸の亜リン酸類似体、ならびに非ペプチド結合を有するアミノ酸を含む。人工的アミノ酸は、ペプトイドオリゴマー(例えば、ペプトイドアミドまたはエステル類似体)、β-ペプチド、環状ペプチド、オリゴウレア、またはオリゴカルバメートペプチド;または複素環式分子のようなペプチド模倣体を作製するために用いられうる。例示的なサバイビンレトロ-反転ペプチド模倣体は、配列がすべてDアミノ酸を含む、

を含む。これらの配列は、例えば、アミノ末端のビオチン化およびカルボキシ末端のアミド化により、修飾されうる。
【0048】
核酸、ベクターおよび宿主細胞
一つの局面において、本発明は、Hsp90-IAPタンパク質相互作用を乱すペプチドまたは改変されたペプチドをコードする核酸を含む。例えば、本発明は、ペンタマー配列SEQ ID NO:2(SEQ ID NO:1のHis80位〜Cys84位)の一方または両方(アミノまたはカルボキシル)の側に隣接する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16アミノ酸を含む新規なペプチドをコードする核酸を含む。
【0049】
新しい核酸は、SEQ ID NO:2、3、4または5のペプチドをコードする核酸配列を含む。本明細書に開示された核酸はまた、特定の改変されたサバイビンペプチド、例えば、レトロ-サバイビンペプチド、細胞内部移行(担体)配列に連結したサバイビンペプチド、および担体配列に連結したレトロ-サバイビンペプチド、をコードする核酸を含む。
【0050】
核酸はまた、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90のタンパク質-タンパク質相互作用を乱すIAPタンパク質ファミリーメンバーのペプチドをコードしうる。例えば、本発明は、XIAPタンパク質のBIR1、Met1位〜Ser123位をコードする核酸を含む。本明細書に記載された核酸は、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90のタンパク質-タンパク質相互作用を乱す、本明細書に開示された方法により同定されたペプチドのいずれかをコードしうる。本明細書に開示された核酸はまた、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90のタンパク質-タンパク質相互作用を乱すペプチドの改変型、例えば、レトロペプチド、細胞内部移行(担体)配列に連結したペプチド、および担体配列に連結したレトロペプチド、をコードする核酸を含む。
【0051】
本明細書に開示された核酸はまた、RNAならびにゲノムDNAおよび合成(例えば、化学合成された)DNAを含むDNAの両方を含む。核酸は、二本鎖または一本鎖でありうる。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体または誘導体(例えば、イノシンまたはホスホロチオネートヌクレオチド)を用いて合成されうる。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、ヌクレアーゼに対する抵抗性の増加をもつ核酸を調製するために、用いられうる。
【0052】
ペプチドの発現を可能にする転写および/または翻訳配列に実施可能に連結した、本明細書に記載されたペプチドをコードする核酸を含む遺伝的構築物(例えば、ベクターおよびプラスミド)、例えば、発現ベクター、もまた本発明に含まれる。選択された核酸、例えば、本明細書に記載されたペプチドをコードするDNA分子は、それが他方の分子に隣接して、または、他方の分子が選択された核酸の転写および/または翻訳を指揮することができるように同じもしくは他の位置に、位置している場合、もう一つの核酸分子、例えばプロモーター、に「実施可能に連結」されている。
【0053】
本明細書に開示された核酸を含む様々な操作された細胞、例えば、形質転換された宿主細胞、もまた本発明に含まれる。形質転換された細胞は、組換えDNA技術を用いて、HSP-90を結合する、および/または腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する、本明細書に記載されたペプチドをコードする核酸を導入されている細胞(またはその祖先へ導入されている細胞)である。原核細胞および真核細胞の両方、例えば、哺乳動物細胞(例えば、腫瘍細胞)、酵母、真菌および細菌(大腸菌(Escherichia coli)のような)、が宿主細胞でありうる。本発明に含まれる操作された細胞の例示的型は、例えば、下の実施例セクションに記載されているような、サバイビンペプチドを発現させる腫瘍細胞である。
【0054】
サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物を同定する方法
いくつかの局面において、本発明は、サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害し、それにより、それぞれ、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2の抗アポトーシス活性を阻害する能力がある化合物、例えば、有機または無機低分子(1,000Da未満の分子量)、オリゴペプチド、オリゴヌクレオチド、糖質、および抗体、を同定するための方法を提供する。これらの低分子、オリゴペプチド、およびオリゴヌクレオチドは、無制御細胞増殖およびアポトーシス機構の不活性化に特徴付けられる状態、例えば、癌、の処置において有用である。
【0055】
試験化合物のライブラリー
特定の態様において、本明細書に開示されたスクリーニングは、試験化合物のライブラリーを利用する。本明細書に用いられる場合、「試験化合物」は、任意の化学化合物、例えば、高分子(例えば、ポリペプチド、タンパク質複合体、糖タンパク質、多糖、または核酸)または低分子(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、または有機もしくは無機化合物)、でありうる。試験化合物は、1モルあたり約10,000グラム未満、1モルあたり5,000グラム未満、1モルあたり1,000グラム未満、または1モルあたり約500グラム未満の式量を有しうる。試験化合物は、天然に存在する(例えば、草本または天然産物)、合成でありうる、または天然および合成成分の両方を含みうる。試験化合物の例は、ペプチド、ペプチド模倣体(例えば、ペプトイド、レトロ-ペプチド、反転ペプチド、およびレトロ-反転ペプチド)、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、および有機または無機化合物、例えば、ヘテロ有機もしくは有機金属化合物、を含む。
【0056】
試験化合物は、個別にまたは並行してスクリーニングされうる。並行スクリーニングの例は、化学物質の大きなライブラリーの高処理量薬物スクリーニングである。候補化合物のそのようなライブラリーは、作製されうる、または、例えば、Chembridge Corp.、San Diego、CAから、購入されうる。ライブラリーは、多様な範囲の化合物を網羅するように設計されうる。例えば、ライブラリーは、500個、1000個、10,000個、50,000個、または100,000個またはそれ以上の一意的な化合物を含みうる。または、前の実験および事例証拠は、高められた可能性のある化合物のクラスまたはカテゴリーを示唆することができる。ライブラリーは、そのようなクラスの化学物質を網羅するように設計および合成されうる。
【0057】
コンビナトリアルライブラリーの合成は、当技術分野において周知であり、概説されている(例えば、Gordon et al.、J. Med. Chem.、37:1385-1401 (1994); Hobbes et al.、Acc. Chem. Res.、29:114 (1996); Armstrong, et al.、Acc. Chem. Res.、(1996) 29:123; Ellman、Acc. Chem. Res.、(1996) 29:132; Gordon et al.、Acc. Chem. Res.、29:144 (1996); Lowe、Chem. Soc. Rev.、309 (1995); Blondelle et al.、Trends Anal. Chem.、14:83 (1995); Chen et al.、J. Am. Chem. Soc.、116:2661 (1994); 米国特許第5,359,115号、同第5,362,899号、および同第5,288,514号; PCT公報WO 92/10092、WO 93/09668、WO 91/07087、WO 93/20242、およびWO 94/08051参照)。
【0058】
化合物のライブラリーは、様々な方法に従って調製されることができ、それらの方法の一部は、当技術分野において公知である。例えば、「スプリット-プール」ストラテジーは、以下の方法で実行されうる。官能性を持たせたポリマー支持体のビーズは、複数の反応容器に置かれる。固相ペプチド合成に適した様々なポリマー支持体は公知であり、いくつかは市販されている(例として、例えば、M. Bodansky 「Principles of Peptide Synthesis」、第2版、Springer-Verlag、Berlin (1993)参照)。ビーズの各アリコートへ、異なる活性化されたアミノ酸の溶液を加え、反応を、複数の固定化アミノ酸を各反応容器において1つ生じるように、進行させる。誘導体化されたビーズのアリコートは、その後、洗浄され、「プールされ」(すなわち、再び組み合わせられ)、ビーズのプールは、再び、分割され、各アリコートは、別々の反応容器に置かれる。もう一つの活性化アミノ酸が、その後、ビーズの各アリコートへ加えられる。合成のサイクルは、所望のペプチドの長さが得られるまで繰り返される。各合成サイクルにおいて加えられるアミノ酸残基は、ランダムに選択されうる。またはアミノ酸は、「偏りのある」ライブラリー、例えば、インヒビターの特定の位置が、例えば抗体、例えば抗イディオタイプ抗体抗原結合部位、と相互作用する能力がある既知のペプチドと既知の構造的類似性または相同性をもつインヒビターを提供するように、非ランダムに選択されているライブラリー、を提供するように選択されうる。幅広い種類のペプチド性、ペプチド模倣体性、または非ペプチド性化合物が、この方法で容易に作製されうる。
【0059】
「スプリット-プール」ストラテジーは、結果として、本発明の試験化合物のライブラリーを調製するために用いられうるペプチドのライブラリー、例えば、モジュレーター、を生じうる。もう一つの例証となる合成において、「ダイバーソマー(diversomer)ライブラリー」が、Hobbs DeWitt et al.(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、90:6909 (1993))の方法により作製される。Houghten(例えば、Houghten et al.、Nature、354:84-86 (1991)参照)の「ティーバッグ(tea-bag)」技術を含む他の合成方法もまた、本発明に従って化合物のライブラリーを合成するために用いられうる。
【0060】
化合物のライブラリーは、ライブラリーの任意のメンバーが、サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害することができるかどうかを決定するために、および、もしそうなら、その阻害性化合物を同定するために、スクリーニングされうる。コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングする方法は記載されている(例えば、Gordon et al.、J Med. Chem.、前記参照)。可溶性化合物ライブラリーは、受容体についてのリガンドを単離するために適切な受容体でのアフィニティークロマトグラフィーによりスクリーニングされ、続いて、単離されたリガンドを通常の技術(例えば、質量分析法、およびNMRなど)により同定されうる。固定化された化合物は、化合物を可溶性受容体と接触させることによりスクリーニングされうる。好ましくは、可溶性受容体は、リガンド結合を示すために検出されうる標識(例えば、フルオロフォア、比色酵素、放射性同位元素、ルミネセンス化合物など)に結合されている。または、固定化化合物は、選択的に放出され、受容体と相互作用するように膜を通って拡散させられることができる。試験化合物のライブラリーをスクリーニングするために有用な例示的なアッセイ法は、上に記載されている。
【0061】
試験化合物はまた、抗体、例えばサバイビン、cIAP1、cIAP2、またはXIAPに結合する抗体、を含みうる。本明細書に開示された方法においてスクリーニングするのに適した抗体は、既知の抗体、加えて、本明細書に開示されたペプチドに選択的に結合する新しい抗体(下でより完全に考察されている)を含む。
【0062】
スクリーニング方法
本明細書に記載されたスクリーニング方法において、ペプチドのペプチド誘導体が、そのペプチドの代わりに用いられうる。例えば、サバイビン(またはIAPタンパク質)のペプチド誘導体は、サバイビン(またはIAPタンパク質)ペプチドの代わりに用いられうる。
【0063】
本発明は、細胞、例えば腫瘍細胞、において、アポトーシスを誘導する(IAPタンパク質の抗アポトーシス活性を阻害することにより)能力がある化合物を同定するための方法を提供する。出願人らは、含まれる生物学的機構に関する任意の特定の理論に縛られることを意図しないが、そのような化合物は、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2に結合するHsp90の能力を阻止する、ならびに、サバイビンの場合、それにより、細胞増殖を阻止もしくは阻害する、および/または、細胞、例えば腫瘍細胞、において細胞死を誘導する、と考えられる。
【0064】
新しい方法の特定の局面において、アポトーシスを阻害する化合物についてのスクリーニングは、例えば、(a)本明細書に開示されたペプチド、Hsp90結合部位を含むサバイビン、XIAP、cIAP1もしくはcIAP2のペプチド、に結合する、および/または(b)サバイビン、XIAP、cIAP1もしくはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害するものを試験化合物の群から同定することにより行われる。本明細書に開示されたサバイビンペプチドに結合する化合物は、サバイビン、XIAP、cIAP1またはCIAP2のHsp90結合モチーフにも結合し、それにより、サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2とのHsp90相互作用を阻害する化合物として有用である。そのような化合物は、アポトーシスを誘導する候補化合物であり、そのような候補化合物は、インビトロまたはインビボで腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導するそれらの能力についてさらにアッセイされうる。
【0065】
新しい方法の他の局面において、アポトーシスを阻害する化合物についてのスクリーニングは、(a)本明細書に開示されたペプチド、例えば、IAP、例えばサバイビン、XIAP、cIAP1もしくはcIAP2、に対する結合部位を含むHsp90のペプチド、に結合する、および/または(b)サバイビン、XIAP、cIAP1もしくはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害するものを試験化合物の群から同定することにより行われる。本明細書に開示されたHsp90ペプチドに結合する化合物は、Hsp90のIAP結合モチーフにも結合し、それにより、IAP、例えば、サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2、とのHsp90相互作用を阻害する化合物として有用である。そのような化合物は、アポトーシスを誘導する候補化合物であり、そのような候補化合物は、インビトロまたはインビボで腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導するそれらの能力についてさらにアッセイされうる。
【0066】
本明細書に開示されたサバイビンもしくはHsp90ペプチドに結合する、および/またはサバイビン、XIAP、cIAP1もしくはcIAP2とのHsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害する試験化合物は、本明細書では「候補化合物」と呼ばれる。アポトーシス誘導剤は、さらに試験され、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2の活性を阻害し、かつ腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する能力があることを見出された候補化合物である。新しいスクリーニング方法において、候補化合物は、必ずしも試験されなければならないわけではないが、それらが腫瘍細胞のアポトーシス誘導剤であるかどうかを決定するために試験されうる。本明細書に開示されたアッセイ法は、細胞全体の調製物において、および/またはエクスビボの無細胞系において、行われうる。
【0067】
一つの局面において、本発明は、本明細書に開示されたペプチドに結合する化合物を同定するために試験化合物をスクリーニングするための方法を含む。本明細書に開示されたペプチドへの試験化合物の結合は、例えば、インビトロで、試験化合物かまたは本明細書に開示されたペプチドのいずれかを、基質、例えば96ウェルのポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルの表面、の上に可逆的にまたは不可逆的に固定化することにより、検出されうる。化合物、例えばペプチドおよび他の低分子、を固定化するための方法は、当技術分野において周知である。本明細書に開示されたペプチドを結合する試験化合物の能力は、その後、固定化されている試験化合物、または固定化されている、本明細書に開示されたペプチドを、固定化されていない化合物、または固定化されていない、本明細書に開示されたペプチドと接触させ、基質を洗浄し、基質に結合したままである固定化されていない試験化合物または本明細書に開示されたペプチドの量を測定することにより、測定されうる。例えば、マイクロタイタープレートは、溶液におけるペプチド(典型的には、1〜100μlにおいて0.05〜1mg/mlの濃度で)を各ウェルへ加え、プレートを室温〜37℃で所定の時間、例えば0.1〜36時間、インキュベートすることにより本発明のペプチドでコーティングされうる。プレートに結合していないペプチドは、プレートから余分な溶液を除去する、例えば、デカントする、吸引する、または振る、その後、水もしくは緩衝液でプレートを洗浄する(1回または繰り返して)ことにより除去されうる。典型的には、ペプチドは水または緩衝液中である。プレートは、その後、結合したペプチドを欠く緩衝液で洗浄されうる。プレート上の遊離タンパク質結合部位をブロックするために、プレートは、結合したポリペプチドと関連のないタンパク質でブロックされうる。例えば、Tris(商標)-HCl中に2mg/mlの濃度での300μlのウシ血清アルブミン(BSA)が用いられうる。適した基質は、定義済みの架橋化学的性質を含む基質を含む(例えば、例として、Corning Costar Corp.(Cambridge、MA)からのポリスチレン、スチレン、またはポリプロピレンのようなプラスチック基質)。必要に応じて、数珠状の粒子、例えば、数珠状のアガロースまたは数珠状のセファロース、が基質として用いられうる。試験化合物は、その後、コーティング化プレートに加えられ、本明細書に開示された固定化ペプチドに結合するようにさせられることができる(例えば、37℃で0.5〜12時間)。プレートは、その後、上記のようにリンスされうる。
【0068】
本明細書に開示されたペプチドの第二化合物、例えば上記の試験化合物、への結合は、様々な当技術分野公知の方法のいずれかにより検出されうる。例えば、本明細書に開示されたペプチドへ特異的に結合する抗体が、イムノアッセイ法に用いられうる。必要に応じて、抗体は標識され(例えば、蛍光で、または放射性同位元素で)、直接的に検出されうる(例えば、West and McMahon、J. Cell Biol. 74:264、1977)。または、第二抗体は、間接的検出に用いられうる。代替の検出方法において、試験化合物が標識され(例えば、放射性同位元素、フルオロフォア、発色団などで)、標識が検出される。さらにもう一つの方法において、ポリペプチド(試験ポリペプチド)である試験化合物は、光学的に検出されうるタンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(UV光下で検出されうる)、との融合タンパク質として作製される。代替方法において、試験ポリペプチドは、西洋ワサビのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはグルコースオキシダーゼのような検出可能な酵素活性を有する酵素との融合タンパク質として作製される。これらの酵素のすべてをコードする遺伝子は、クローニングされており、熟練した実施者により使用できる。必要に応じて、融合タンパク質は、通常の方法を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体で検出および測定されうる、抗原を含みうる。適した抗原は、酵素(例えば、西洋ワサビのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびβ-ガラクトシダーゼ)および非酵素性ポリペプチド(例えば、BSAおよびグロブリンのような血清タンパク質、ならびにカゼインのような乳タンパク質)を含む。
【0069】
本明細書に開示されたペプチドに結合する試験ポリペプチドを同定するための様々な方法において、タンパク質/タンパク質相互作用の通常のツーハイブリッド(two-hybrid)アッセイ法が用いられうる(例えば、Chien et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:9578、1991; Fields et al.、米国特許第5,283,173号; Fields and Song、Nature、340:245、1989; Le Douarin et al.、Nucleic Acids Research、23:876、1995; Vidal et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:10315-10320、1996;およびWhite、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:10001-10003、1996)。一般的に、ツーハイブリッド方法は、転写因子の2つの分離可能なドメインの再構成を含む。1つの融合タンパク質は、転写因子(例えば、Gal4の)のトランス活性化因子ドメインかまたはDNA結合ドメインかのいずれかに融合されている、本明細書に開示されたペプチドを含む。他の融合タンパク質は、転写因子のDNA結合ドメインかまたはトランス活性化因子ドメインのいずれかに融合された試験ポリペプチドを含む。いったん単細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)において一つにされると、融合タンパク質の1つは、トランス活性化因子ドメインを含み、他の融合タンパク質は、DNA結合ドメインを含む。それゆえに、本明細書に開示されたペプチドの試験ポリペプチドへの結合は、転写因子を再構成する。転写因子の再構成は、転写因子のDNA結合ドメインにより結合されているDNA配列へ実施可能に連結されている遺伝子(すなわち、レポーター遺伝子)の発現を検出することにより検出されうる。様々なツーハイブリッド方法を実施するためのキットは、市販されている(例えば、Clontech; Palo Alto、CA)。
【0070】
もう一つの局面において、本発明は、Hsp90とサバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2との間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物を同定するために試験化合物をスクリーニングするための方法を含む。タンパク質-タンパク質相互作用を調節する能力がある化合物の高処理量スクリーニングに有用な方法は、全体として参照により本明細書に組み入れられている、Lepourcelet et al.、Cancer Cell、5:91-102 (2004)に記載されている。典型的には、第一タンパク質が提供される。第一タンパク質は、(i)サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、もしくは本明細書に開示されたペプチドであるか、または(ii)第一タンパク質は、サバイビン、XIAP、cIAP1、もしくはcIAP2に結合するHsp90ペプチドであるかのいずれかである。第一タンパク質とは異なり、かつ標識されている第二タンパク質が提供される。第二タンパク質は、(i)サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、もしくは本明細書に開示されたペプチドか、または(ii)サバイビン、XIAP、cIAP1、もしくはcIAP2に結合するHsp90ペプチドかのいずれかである。試験化合物が提供される。第一タンパク質、第二タンパク質、および試験化合物は、お互いに接触させられる。第一タンパク質に結合した標識の量が、その後、測定される。結合した標識の量により評価される場合の第一タンパク質と第二タンパク質の間のタンパク質-タンパク質相互作用(例えば、結合)における変化は、Hsp90ペプチドとサバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、または本明細書に開示されたペプチドの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するにおけるその化合物の有用性を示す。いくつかの態様において、変化は、試験化合物の添加なしでの同じ反応と比較して評価される。
【0071】
特定の態様において、第一タンパク質は、固体支持体に付着している。固体支持体は、例えば、アガロースのような樹脂、ビーズ、およびマルチウェルプレートを含む。特定の態様において、方法は、結合したおよび結合していない標識を分離するために、接触段階後、洗浄段階を含む。
【0072】
特定の態様において、複数の試験化合物は、第一タンパク質および第二タンパク質と接触させられる。異なる試験化合物は、群においてまたは別々に、他の化合物と接触させられうる。特定の態様において、試験化合物のそれぞれは、別々のウェルにおいて第一タンパク質および第二タンパク質の両方と接触させられる。例えば、方法は、上でより詳細に考察された試験化合物のライブラリーをスクリーニングすることができる。ライブラリーは、例えば、天然産物、有機化学物質、ペプチドならびに/または、例えばD-アミノ酸、非通常的アミノ酸、およびN-置換型アミノ酸を含む、改変ペプチドを含みうる。典型的には、ライブラリーは、マルチウェルプレート、例えば96ウェルプレート、におけるスクリーニングに適合する形をとる。アッセイ法は、段階の多くがコンピュータにより制御され、ロボット装置により行われるマルチウェル形式での自動実行に特に有用である。ライブラリーはまた、他の形式で用いられうる、例えば、固体支持体に付着し、かつ微小液滴への放出に利用できる合成化学ライブラリー。
【0073】
特定の態様において、第一タンパク質は、サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、または本明細書に開示されたペプチドであり、第二タンパク質は、Hsp90ペプチドである。他の態様において、第一タンパク質は、Hsp90、またはその生物活性断片、例えば、サバイビンに結合するSEQ ID NO:21のアミノ酸残基1位〜272位を含む断片、であり、第二タンパク質は、サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、または本明細書に開示されたペプチドである。第一タンパク質が付着している固体支持体は、例えば、セファロース(商標)、ビーズ、シンチレーション近接アッセイ法(SPA)ビーズ(シンチラント(scintillant)を組み込むミクロスフェア)、またはマルチウェルプレートでありうる。SPAビーズは、例えば、シンチレーション近接アッセイ法において、アッセイ法が洗浄段階なしで行われる場合、用いられうる。セファロース(商標)ビーズは、アッセイ法が洗浄段階有りで行われる場合、用いられうる。第二タンパク質は、それの検出を可能にする任意の標識、例えば、放射標識、蛍光剤、ビオチン、ペプチドタグ、または酵素断片、で標識されうる。第二タンパク質はまた、例えば、125Iまたは3Hで、放射標識されうる。
【0074】
特定の態様において、第一または第二タンパク質へ化学的に結合した、または、との融合タンパク質として発現された、酵素の酵素活性は、結合したタンパク質を検出するために用いられる。標準免疫学的方法が結合したタンパク質を検出するために用いられる結合アッセイ法もまた含まれる。
【0075】
特定の他の態様において、第一タンパク質および第二タンパク質の相互作用は、第一タンパク質へ共有結合により連結したドナーフルオロフォア(例えば、本明細書に開示されたペプチドへ化学的に結合した蛍光群、または本明細書に開示されたペプチドへ連結したGFPキメラタンパク質として発現される緑色蛍光タンパク質(GFP)の変異体)と、第二タンパク質へ共有結合により連結したアクセプターフルオロフォアの間の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)により検出され、第一および第二タンパク質のタンパク質-タンパク質相互作用を通してフルオロフォアが近接に至る場合、効率的な非放射性エネルギー転移を与えうるドナー発光スペクトルおよびアクセプター励起スペクトルの適切な重複がある。または、ドナーおよびアクセプターフルオロファオの両方は、同じペプチド、例えば、サバイビンペプチド、の各末端に連結されうる。遊離ペプチドは、蛍光強度の消光を引き起こすドナー部位とアクセプター部位の間の分子内FRETにより高いFRET効率を有する。Hsp90に結合すると、ペプチド-色素結合体の分子内FRETは減少し、ドナーシグナルは増加する。もう一つの態様において、蛍光偏光(FP)は、2つのタンパク質間の相互作用をモニターするために用いられる。例えば、蛍光標識されたペプチドは、速い速度で回転し、低い蛍光偏光を示す。タンパク質に結合した場合、複合体は、よりゆっくり回転し、蛍光偏光は増加する。
【0076】
他の態様において、タンパク質-タンパク質相互作用は、酵素、例えば、β-ガラクトシダーゼ、のドメインを再構成することにより検出される(Rossi et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94:8405-8410 (1997)参照)。
【0077】
さらに他の態様において、タンパク質-タンパク質相互作用は、第一および第二タンパク質の適したキメラ構築物の蛍光比率画像化(Bacskai et al.、Science、260:222-226 (1993))により、または第一タンパク質/第二タンパク質相互作用を阻害する化合物を検出しうる高処理量アッセイ法に合わせられた第一および第二タンパク質の適した構築物を用いる、ツーハイブリッドアッセイ法の変形(Fearon et al.、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA、89:7958-7962 (1992); Takacs et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:10375-10379 (1993); Vidal et al.、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA、93:10315-10320 (1996); Vidal et al.、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA、93:10321-10326 (1996))により、評価される。これらの態様は、アッセイ法においてモジュレーターとして働く化合物の細胞透過性が保証されている利点をもつ。
【0078】
例えば、唯一のアッセイ法ではないが、一つのアッセイ法において、サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、そのペプチド、またはその断片が、ELISAプレートへ吸着される。吸着されたポリペプチドは、その後、試験化合物に曝され、続いて、Hsp90またはそのペプチド(任意で、グルタチオンS-トランスフェラーゼのようなレポーターペプチドに融合した)に曝される。ELISAプレートは、洗浄され、結合したタンパク質は、抗Hsp90抗体(またはレポーターペプチドを選択的に結合する抗体)を用いて検出される。抗体は、直接的に、または二次抗体を用いて間接的にに検出されうる。タンパク質-タンパク質相互作用に干渉する化合物は、ELISAプレートにおいて抗体シグナルの低下を生じる。
【0079】
II. 抗体
本発明は、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2(またはそれらのペプチド誘導体)の腫瘍アポトーシス誘導性ペプチドへ結合する、例えば特異的に結合する、精製または単離された抗体を特徴とする。そのような抗体は、それぞれ、Hsp90とサバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する。抗体は、特定の抗原(例えば、本明細書に開示されたサバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2ペプチド)に、それがその抗原のエピトープに結合するが、その抗体が結合するエピトープを含まない試料、例えば、本明細書に開示されたサバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2ペプチドを含む生体試料、における他の分子へ実質的には結合しない場合、「特異的に結合する」。本発明の抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')2断片、およびFab発現ライブラリーを用いて作製された分子を含む。
【0080】
本発明に含まれる抗体の型の例は、本明細書に開示されたペプチドに対して産生された抗体である。そのような抗体は、本明細書に開示されたペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、3、4もしくは5または図22に列挙されたペプチド)を単離または合成し、任意でアジュバントのオボアルブミンと共役して、そのペプチドを動物へ注射してポリクローナル抗体を産生させることにより作製されうる。
【0081】
本明細書に用いられる場合、「抗体」という用語は、少なくとも1つ、例えば2つの重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略記される)、および少なくとも1つ、例えば2つの軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略記される)を含むタンパク質を指す。VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FR)と名付けられたより保存されている領域と共に散在する、「相補性決定領域」(「CDR」)と名付けられた、超可変性の領域へさらに細区画されうる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、正確に定義されている(Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242およびChothia et al. (1987) J. Mol. Biol.、196:901-917参照)。各VHおよびVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端まで並べられた、3つのCDRおよび4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0082】
抗サバイビン、抗XIAP、抗cIAP1、または抗cIAP2抗体はさらに、重鎖および軽鎖定常領域を含み、それにより、それぞれ、免疫グロブリン重鎖および軽鎖を形成しうる。抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖の四量体であることができ、免疫グロブリン重鎖および軽鎖は、例えばジスルフィド結合により、相互に連結されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3、で構成されている。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CL、で構成されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、典型的には、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織または因子への抗体の結合を媒介する。
【0083】
抗体の「抗原結合断片」は、抗原ポリペプチドまたはその部分へ特異的に結合する能力を保持する完全長抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗サバイビン、抗XIAP、抗cIAP1、または抗cIAP2抗体の抗原結合断片の例は、限定されるわけではないが、以下を含む:(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab')2断片、ヒンジ領域でジスルフィド結合により連結した2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvドメイン;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.、(1989) Nature、341:544-546);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVH、は別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、一価分子(一本鎖Fv(scFv)として知られている。例えば、Bird et al. (1988) Science、242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:5879-5883参照)を形成するようにVLおよびVH領域が対になっている単一のタンパク質鎖として作製されるのを可能にする合成リンカーにより、組換え方法を用いて連結されうる。そのような一本鎖抗体もまた、以下の用語内に含まれる:抗サバイビン抗体、抗XIAP抗体、抗cIAP1抗体、または抗cIAP2抗体。これらの抗体断片は、当業者に公知の通常の技術を用いて得られうる。
【0084】
抗体を作製するために、Hsp90、例えば、組換えまたはペプチド合成技術(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis、前記; Ausubel et al.、前記)により作製されたもの、を結合するサバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2またはそれらの断片またはペプチドが用いられうる。一般的に、ポリペプチドは、Ausubel et al.、前記に記載されているように、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)のような担体タンパク質に結合され、アジュバントと混合され、宿主哺乳動物へ注射されうる。「担体」は、会合した分子に安定性を与える、および/または、この分子の輸送もしくは免疫原性を助けるもしくは増強する、物質である。
【0085】
典型的には、抗体を作製するために、様々な宿主動物が抗原ポリペプチドを注射される。適した宿主動物の例は、ウサギ、マウス、モルモットおよびラットを含む。様々なアジュバントは、限定されるわけではないが、フロイント(完全および不完全アジュバント)、水酸化アルミニウムのようなアジュバントミネラルゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、BCG(カルメット・ゲラン菌(bacille Calmette-Guerin))、およびコリネバクテリウム・パルヴム(Corynebacterium parvum)を含む、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させるために用いられうる。そのような手順は、結果として、ポリクローナル抗体の産生、つまり、免疫された動物の血清に由来する抗体分子の不均一な集団、を生じる。抗体は、宿主動物から得られた血液から、例えば、Hsp90結合性ポリペプチド抗原が樹脂に固定化されているアフィニティークロマトグラフィー方法により、精製されうる。
【0086】
本発明はまた、本明細書に開示されたサバイビンペプチド、XIAPペプチド、cIAP1ペプチド、またはcIAP2ペプチドに対するモノクローナル抗体を含む。特定の抗原に対する抗体の均一な集団であるモノクローナル抗体(mAb)は、本明細書に開示されたペプチド(例えば、SEQ ID NO:2、3、4もしくは5、または図25のペプチド)、および標準的ハイブリドーマテクノロジー(例えば、Kohler et al.、Nature、256:495、1975; Kohler et al.、Eur. J. Immunol.、6:511、1976; Kohler et al.、Eur. J. Immunol.、6:292、1976; Hammerling et al.、Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas、Elesevier、NY、1981; Ausubel et al.、前記参照)を用いて調製されうる。
【0087】
典型的には、モノクローナル抗体は、Kohler et al.、Nature、256:495、1975および米国特許第4,376,110号に記載されているもの;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al.、Immunology Today、4:72、1983; Cole et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、80:2026、1983)およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc.、pp. 77-96、1983)のような、培養中の連続継代細胞系による抗体分子の産生を与える任意の技術を用いて産生される。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDを含む任意の免疫グロブリンクラスおよびそれらの任意のサブクラスでありうる。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養されうる。
【0088】
いったん産生されたならば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、例えば、Ausubel et al.、前記に記載されているように、標準技術を用いてウェスタンブロットまたは免疫沈降分析のようなイムノアッセイ法において、結合、例えば、サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2への特異的結合、について試験されうる。サバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2へ特異的に結合し、かつHsp90とサバイビン、XIAP、cIAP1またはcIAP2の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する抗体は、本発明に有用である。例えば、そのような抗体は、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導するために用いられうる。
【0089】
代替としてまたは加えて、抗体は、組換え技術で作製されうる、例えば、例として、Ladner et al. 米国特許第5,223,409号; Kang et al. 国際公報WO 92/18619号; Dower et al. 国際公報WO 91/17271号; Winter et al. 国際公報WO 92/20791号; Markland et al. 国際公報WO 92/15679号; Breitling et al. 国際公報WO 93/01288号; McCafferty et al. 国際公報WO 92/01047号; Garrard et al. 国際公報WO 92/096960号; Ladner et al. 国際公報WO 90/02809号; Fuchs et al. (1991) Bio/Technology、9:1370-1372; Hay et al. (1992) Hum. Antibod Hybridomas、3:81-85; Huse et al. (1989) Science、246:1275-1281; Griffths et al. (1993) EMBO J.、12:725-734; Hawkins et al. (1992) J. Mol. Biol.、226:889-896; Clackson et al. (1991) Nature、352:624-628; Gram et al. (1992) Proc. Nat. Acad. Sci. USA、89:3576-3580; Garrad et al. (1991) Bio/Technology、9:1373-1377; Hoogenboom et al. (1991) Nuc. Acid Res.、19:4133-4137;およびBarbas et al. (1991) Proc. Nat. Acad. Sci. USA、88:7978-7982に記載されているように、ファージディスプレイにより、またはコンビナトリアル方法により作製されうる。
【0090】
抗体は、完全にヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体を産生するように遺伝子操作されているマウスにおいて作製された抗体)、または非ヒト抗体、例えば、齧歯類(マウスまたはラット)、ヤギ、霊長類(例えば、サル)、ラクダ、ロバ、ブタ、またはトリ抗体、でありうる。
【0091】
抗体は、非ヒト生物体、例えば、ラットまたはマウス、において産生される可変領域、またはその部分、例えばCDR、を有しうる。抗体はまた、例えば、キメラ、CDRグラフト化、ヒト化抗体でありうる。抗体はまた、非ヒト生物体、例えば、ラットまたはマウス、において産生され、その後、ヒトにおいて抗原性を減少させるために、例えば、可変フレームワークまたは定常領域において、改変されうる。
【0092】
「キメラ抗体」の作製について開発された技術(Morrison et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:6851、1984; Neuberger et al.、Nature、312:604、1984; Takeda et al.、Nature、314:452、1984)は、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライスするために用いられうる。キメラ抗体は、マウスmAb由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するような、異なる部分が異なる動物種由来である分子である。
【0093】
または、一本鎖抗体の作製について記載された技術(米国特許第4,946,778号および同第4,704,692号)は、本明細書に開示されたペプチドに対する一本鎖抗体を作製するために適応されうる。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖断片および軽鎖断片をアミノ酸橋を介して連結し、結果として、一本鎖ポリペプチドを生じることにより形成される。
【0094】
一つの態様において、本明細書に記載された抗体、例えば、一本鎖抗体、をコードする組換えベクターは、遺伝子治療テクノロジーにより細胞へ導入されることができ、コードされた抗体は、細胞内で発現され、細胞内標的に結合し、それによりそれの機能を阻害する。「イントラボディ(intrabody)」としても知られているそのような細胞内抗体を操作するための方法は、公知である。このテクノロジーは、当技術分野において適用が成功している(概説として、Richardson and Marasco、1995、Trends Biotechnol.、13:306-310参照)。
【0095】
特定のエピトープを認識かつ結合する抗体断片は、公知の技術により作製されうる。例えば、そのような断片は、限定されるわけではないが、抗体分子のペプシン消化により生成されうるF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することにより作製されうるFab断片を含みうる。または、Fab発現ライブラリーは、所望の特異性をもつモノクローナルFab断片の迅速かつ簡単な同定を可能にするために構築されうる(Huse et al.、Science、246:1275、1989)。
【0096】
サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2(またはそれらのペプチド誘導体)の腫瘍アポトーシス誘導性ペプチドの活性を模倣するように設計された抗イディオタイプ抗体も本発明に含まれる。これらの抗体は、サバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2(またはそれらのペプチド誘導体)の腫瘍アポトーシス誘導性ペプチドに結合する抗体の抗原結合領域に結合する抗体について選択することにより作製されうる。これらの抗イディオタイプ抗体は、本明細書に記載されたアポトーシスを誘導する方法において有用でありうる。
【0097】
医薬品化学
いったん、対象となる化合物(または作用物質)が同定されたならば、医薬品化学の標準原理が、その化合物の誘導体を作製するために用いられうる。誘導体は、改善された薬理学的性質、例えば、効力、薬物動態、安定性、可溶性およびクリアランス、についてスクリーニングされうる。上記のアッセイ法における化合物の活性に関与する部分は、当技術分野において一般に実施されているように、構造-活性関係(SAR)の試験により描写されうる。薬化学の業者は、候補化合物または作用物質(すなわち、リード化合物)における部分を改変し、その化合物または作用物質の効力への改変の効果を測定して、それにより、増加した効力をもつ誘導体を作製することができる。例えば、Nagarajan et al. (1988) J. Antibot.、41:1430-8参照。さらに、化合物(または作用物質)の生化学的標的が知られている、または決定されている場合には、標的および化合物の構造は、誘導体の設計および最適化に情報を与えることができる。この目的のために分子モデリングソフトウェアが市販されている(例えば、Molecular Simulations, Inc.から)。
【0098】
IV. 薬学的組成物
Hsp90とサバイビン、XIAP、cIAP1、またはcIAP2の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する化合物および作用物質、ペプチドならびに抗体(すべて、本明細書では「活性化合物」または「試験化合物」)と呼ばれうる)は薬学的組成物へ組み入れられうる。そのような組成物は、典型的には、活性化合物および薬学的に許容される担体を含む。「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与に適合する、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌および抗真菌剤、等張性吸収遅延剤などを含みうる。補充性活性化合物もまた、組成物へ組み入れられうる。
【0099】
薬学的組成物は、それの意図された投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所的)、経粘膜、および直腸の投与を含む。非経口、皮内もしくは皮下適用に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用の水のような滅菌希釈液、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための作用物質。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整されうる。非経口調製物は、ガラスもしくはプラスチックでできている、アンプル、使い捨て注射器、または複数の用量バイアルに封入されうる。
【0100】
注射用に適した薬学的組成物は、滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌粉末を含む。静脈内投与について、適した担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。すべての場合において、組成物は、滅菌していなければならず、かつ容易な注射針通過性がある程度まで流動性であるべきである。それは、製造および保存の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌のような微生物の汚染行為から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、および適したそれらの混合物を含む、溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用により、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持されうる。微生物の行為の予防は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、により達成されうる。多くの場合、組成物に、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、塩化ナトリウム、を含むことが好ましい。注射可能組成物の長時間吸収は、組成物に、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチン、を含むことにより達成されうる。
【0101】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて上で列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に、適切な溶媒に必要とされる量で活性化合物を組み入れ、続いて濾過滅菌を行うことにより調製されうる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒、および上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体へ活性化合物を組み入れることにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、前に滅菌濾過された溶液から活性成分プラス任意の追加の望ましい成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0102】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈液または食用担体を含む。経口治療投与を目的として、活性化合物は、賦形剤と組み入れられ、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えばゼラチンカプセル、の形で用いられうる。経口組成物はまた、うがい薬用として流動性担体を用いて調製されうる。薬学的適合性のある結合剤および/またはアジュバント物質は、組成物の一部として含まれうる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分または類似した性質の化合物のいずれかを含みうる:微結晶セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンのような結合剤;デンプンもしくは乳糖のような賦形剤、アルギン酸のような崩壊剤、Primogel、またはコーンスターチ;ステアリン酸マグネシウムまたはステローテス(Sterotes)のような潤滑剤;コロイド二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖またはサッカリンのような甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料のような着香料。
【0103】
吸入による投与について、化合物は、適した噴射剤、例えば、二酸化炭素のようなガス、を含む圧力容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からのエアゾールスプレーの形をとって送達される。
【0104】
全身投与もまた、経粘膜または経皮手段によりうる。経粘膜または経皮投与について、浸透されるべきバリアに適切な浸透剤が製剤化に用いられる。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、例えば、経粘膜投与について、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用を通して達成されうる。経皮投与について、活性化合物は、当技術分野において一般的に知られているように、軟膏(ointment)、塗り薬(salve)、ゲル、またはクリームへ製剤化される。
【0105】
化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドのような通常の坐剤の基剤と共に)または保持浣腸剤の形をとって調製されうる。
【0106】
一つの態様において、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む徐放性製剤のような、身体からの急速な排出から化合物を保護する担体と共に調製される。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸のような生分解性、生体適合性のあるポリマーが用いられうる。そのような製剤の調製のための方法は、当業者にとって明らかであると思われる。材料もまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に入手されうる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染した細胞へターゲットされるリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として用いられうる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているように、当業者に公知の方法に従って調製される。
【0107】
投与の容易さおよび用量の均一性のために用量単位型で経口または非経口組成物を製剤化することは都合がよい。本明細書に用いられる場合の用量単位型は、処置されるべき被験体についての単位用量として合わせられた物理的に別個の単位を指す。各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された活性化合物のあらかじめ決定された量を含む。
【0108】
そのような化合物の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的有効な用量)を測定するために、細胞培養物または実験動物における標準薬学的手順により測定されうる。毒性と治療効果の間の用量比率は、治療指数であり、比率LD50/ED50として表されうる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物が用いられうるが、感染していない細胞への可能性のある損傷を最小限にし、それにより、副作用を低減させるために、罹患組織、例えば、骨または軟骨、の部位へそのような化合物をターゲットする送達系を設計するように取り計られるべきである。
【0109】
細胞培養アッセイ法および動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて用いる用量の範囲を策定するのに用いられうる。そのような化合物の用量は、好ましくは、有るか無しかの毒性でED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いられる剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内を変動しうる。本発明の方法に用いられる任意の化合物について、治療的有効量は、最初は、細胞培養アッセイ法から推定されうる。用量は、細胞培養において測定された場合のIC50(すなわち、症状の最大半減抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲に達するように動物モデルにおいて処方されうる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために用いられうる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより、測定されうる。
【0110】
限定されるわけではないが、処置されるべき患者の型、疾患または障害の重症度、以前の処置、患者の一般的健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む、特定の因子が、患者を効果的に処置するのに必要とされる用量およびタイミングに影響を及ぼすことを当業者は認識しているものと思われる。さらに、タンパク質、ポリペプチド、抗体または他の化合物の治療的有効量での患者の処置は、単回処置を含みうる、または好ましくは、一連の処置を含みうる。
【0111】
本明細書に記載されたペプチドについて、有効量は、約0.001〜30mg/kg体重、例えば、約0.01〜25mg/kg体重、例えば、約0.1〜20mg/kg体重、の範囲である。抗体について、有用な用量は、0.1mg/kg体重(一般的には、0.1mg/kg〜20mg/kg)である。典型的には、部分的ヒト抗体および完全なヒト抗体は、他の抗体よりヒト身体内でより長い半減期をもつ。従って、より低い用量およびより少ない頻度の投与が可能である。脂質化のような改変は、抗体を安定化するため、ならびに摂取および組織浸透を増強するために用いられうる。抗体の脂質化のための方法は、Cruikshank et al.((1997) J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)により記載されている。
【0112】
化合物が低分子である場合には、例示的な用量は、被験体または試料重量の1キログラムあたりの低分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム、または1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50マイクログラム)。低分子の適切な用量は、調節されるべき発現または活性に関する低分子の効力に依存することはさらに理解されている。これらの低分子の1つまたは複数が、本発明のポリペプチドもしくは核酸の発現または活性を調節するために動物(例えば、ヒト)へ投与されることになっている場合、医師、獣医師または研究者は、例えば、最初は、比較的低用量を処方し、その後、適切な応答が得られるまで用量を増加しうる。さらに、任意の特定の動物被験体についての特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事、投与時期、投与経路、排出率、任意の混合薬、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む様々な因子に依存するものであることは理解されている。
【0113】
本明細書に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子は、ベクターへ挿入され、遺伝子治療ベクターとして用いられうる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射、局所投与(例えば、米国特許第5,328,470号参照)により、または定位的注入(例えば、Chen et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057参照)により、被験体へ送達されうる。遺伝子治療ベクターの薬学的調製は、許容される希釈液に遺伝子治療ベクターを含みうる、または遺伝子治療媒体が埋め込まれている徐放性マトリックスを含みうる。または、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞から無傷で産生されうる、例えば、レトロウイルスベクター、の場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を生じる1つまたは複数の細胞を含みうる。
【0114】
薬学的組成物は、投与についての使用説明書と共に、容器、パックまたはディスペンサーに含まれうる。
【0115】
処置の方法
サバイビンの最も重要な特徴の一つは、癌組織対正常組織におけるそれの示差的発現である。「癌胎児性」抗原を暗示して、サバイビンは、胚性および胎児性器官において強く発現されるが、たいていの高度に分化した正常組織において検出できない。サバイビンを発現させることが報告されている成体正常組織は、胸腺、低レベルでのCD34+骨髄由来幹細胞、および基底結腸上皮を含むが、基底ケラチノサイトを含まない。対照的に、サバイビンの劇的過剰発現は、肺、乳房、結腸、胃、食道、膵臓、肝臓、子宮、卵巣および脳の腫瘍において示された。サバイビンはまた、ホジキン病、大細胞非ホジキンリンパ腫、白血病、不応性貧血を伴う骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、軟組織肉腫、黒色腫、および非黒色腫皮膚癌に関連した腫瘍組織において過剰発現される。ゲノムワイド検索において、サバイビンは、結腸、肺、脳、乳房の癌および黒色腫に発現されるトップ4位のトランスクリプトームとして同定されたが、同じ器官の正常組織において検出できなかった、または非常に低いレベルで見出された。Velculescu, et al.、Nat. Genet.、23、387-388 (1999)参照。
【0116】
Hsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する候補化合物、例えば、本明細書に開示されたペプチド、ペプチド誘導体、および低分子、は癌のような無制御細胞増殖を処置する方法に用いられうる。ペプチドおよびペプチド誘導体は、癌、例えば、本明細書で言及された癌の型のいずれか、と診断された患者へ投与されうる。例えば、本明細書に開示されたペプチド、ペプチド誘導体、および低分子は、肺、乳房、結腸、直腸、胃、食道、膵臓、肝臓、膀胱、子宮、卵巣、頭頸部、または脳の腫瘍を患っている被験体を処置するために用いられうる。他の例において、本明細書に開示されたペプチドおよびペプチド誘導体は、ホジキン病、大細胞非ホジキンリンパ腫、白血病、不応性貧血を伴う骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、軟組織肉腫、黒色腫、または非黒色腫皮膚癌を患っている被験体を処置するために用いられうる。
【0117】
実施例
実施例1:サバイビンはHsp90と相互作用する
サバイビンおよびHsp90のタンパク質-タンパク質相互作用を実証するいくつかの実験が行われた。ヒト頚癌HeLa細胞およびBリンパ球Raji細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas、VA)から入手され、供給者の仕様書に従って培養で維持された。ウェスタンブロットについて、12%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲルは、ナイロン膜へ転写され、1〜5μgの一次抗体とインキュベートされた。サバイビンに対するウサギポリクローナル抗体は、NOVUS Biologicals(Littleton、CO)から入手された;Hsp90に対するモノクローナル抗体(mAb)は、BD-Transduction Laboratories(カタログ番号H38220;Lexington、KY)から入手された;チューブリンに対するモノクローナル抗体は、Sigmaから入手された。一次抗体は、西洋ワサビのペルオキシダーゼ(HRP)結合型二次抗体(Amersham、Piscataway、NJ)および化学ルミネセンスキット(Amersham)を用いて可視化された。
【0118】
図1Aは、サバイビンがHsp90およびチューブリンと相互作用することを示している。1.5x108個のHeLa細胞が収集され、氷冷のTris(商標)-緩衝生理食塩水(TBS)中で1回、洗浄され、溶解緩衝液(TBS pH7.4、1%Triton(商標)X-100、1mMフェニル-メチルスルホニルフロリド(PMSF)、プラス他のプロテアーゼインヒビター)の2容量において4℃で1時間、溶解させられた。細胞可溶化物は、4℃において15,000gで30分間の遠心分離により透明にされ、サバイビンに対するポリクローナル抗体の5mgと結合した臭化シアン(CNBr)活性化セファロース(商標)4B(Amersham Pharmacia)の0.5mlへ添加された。空の樹脂は対照として用いられた。溶解緩衝液におけるカラムの大規模な洗浄後、溶出緩衝液(0.1Mグリシン、pH2.5)が加えられ、0.5mlの画分が収集され、1M Tris(商標)pH8.0で中和された。試料は、TBSに対して透析され、12%SDSゲル上へ分離され、クーマシー染色およびウェスタンブロッティングにより分析された。ウェスタンブロットは、図1Aに示されているように、サバイビンと共溶出された90kDaおよび55kDaをそれぞれ、Hsp90およびチューブリンとして同定した。
【0119】
図1Bは、サバイビンおよびHsp90の免疫共沈降を示す。非同期的に増殖しているBリンパ球Raji細胞(5x105個)が溶解され、上記のように遠心分離により透明にされた。上清および再懸濁されたペレットは、サバイビン(サバイビン)抗体または対照の非結合IgG(IgG)抗体(2.5〜5μg/ml))で4℃において16時間、免疫沈降された。免疫複合体は、50:50プロテインAまたはプロテインGスラリーの50μlの添加により沈殿した。ペレット(P)または上清(S)からの沈殿した免疫複合体は、図1Bに示されているように、ウェスタンブロッティングによりHsp90またはサバイビンに対する抗体で分析された。
【0120】
図1Cは、サバイビンおよびHsp90のインビボのプルダウンの結果を示す。パクリタキセル(タキソール(商標))(2μM、Sigma)での処理により有糸分裂遷移において同期化された非同期性HeLa細胞培養物またはHeLa細胞が収集された。細胞抽出物は、セファロース(商標)(「セファロース」)またはサバイビン-セファロース(商標)(「サバイビン」)とインキュベートされ、ペレットまたは上清(反応の25%)は、ウェスタンブロッティングにより共会合したHsp90について分析された。非同期性培養物由来の試料は、「無し」と標識され、タキソール(商標)処理された細胞由来の試料は、それに合うように標識される。
【0121】
これらの結果は、サバイビンとHsp90の間のタンパク質-タンパク質相互作用を実証している。
【0122】
実施例2:サバイビンの本来の折り畳みはHsp90への結合に必要とされる
ELISA実験は、重炭酸塩緩衝液、pH9.5(100μl/ウェル)を用いて4℃で18時間、プラスチックのマイクロタイターウェル(Immulon(商標)-2、Dynatech Laboratories、Chantilly、VA)上に組換えサバイビン(r-サバイビン)(10mg/ml)または組換えHsp90(r-Hsp90)(10μg/ml)を固定化することにより行われた。結合したタンパク質は、3%ゼラチンで37℃において1時間、ブロックされ、洗浄緩衝液(TBS pH7.4、0.1% Tween(商標)、0.1% BSA)でリンスされ、異なる濃度の試験タンパク質と37℃で1時間、インキュベートされ、試験タンパク質が固定化タンパク質に結合したかどうかを測定された。
【0123】
GST-Hsp90(アミノ酸1位〜732位)、組換えGST-サバイビン、およびGST-サバイビン(C84A)は、大腸菌において発現され、グルタチオンビーズ(Sigma)に結合した。Hsp90αは、pGex-4T3(Amersham Pharmacia Biotech)においてPCRによりクローニングされた。GSTフレームを欠いている精製されたr-サバイビンは、対応するGST融合タンパク質のトロンビン(Sigma、50mM Tris(商標)pH7.4、150mM NaCl、5mM MgCl2、2.5mM CaCl2、1mM DTT中の20U/ml)での消化により得られた。グルタチオンビーズ(20μl)に結合したGSTまたはGST融合タンパク質の20マイクログラムは、結合緩衝液(10mM Tris(商標)pH7.5、10mM EDTA、100mM NaCl、0.1%Triton(商標)、1mM DTTおよびプロテアーゼインヒビター)において2回、洗浄され、r-サバイビンの増加する量(5μg、10μg、20μg、40μg)と100μlの結合緩衝液において室温で2.5時間、インキュベートされ、その後、5回、洗浄された。結合したタンパク質および結合していないタンパク質の4分の1は、12%SDSゲル上へ分離され、GelCode(登録商標)Blue Stain Reagent(Pierce)を用いて染色された。
【0124】
一つの実験において、固定化されかつブロックされたr-サバイビンを含むウェルは、r-Hsp90または組換えCD11bインテグリンドメイン(I-ドメイン)とインキュベートされ、10回、洗浄され、抗Hsp90 mAb(1μg/ml)または対照非免疫IgG(1μg/ml)と37℃で1時間、インキュベートされた。10回の追加の洗浄後、一次抗体の結合が、37℃で1時間のビオチン結合型ウサギ抗マウスIgGの添加、続いてストレプトアビジン-アルカリホスファターゼの添加および基質としてp-ニトロフェニルホスフェート(Zymed Laboratories、South San Francisco、CA)を用いるOD405における吸光度の測定により分析された。図2Aは、これらの実験の定量化された結果を示す:rHsp90は、用量依存的様式で固定化r-サバイビンに結合したが、対照Iドメインはr-サバイビンを結合することができなかった。
【0125】
もう一つの実験において、固定化されたr-Hsp90サバイビンが、増加する濃度のr-サバイビンまたは組換え技術で発現されたサバイビンCys84→Ala突然変異体(サバイビン(C84A))と混合された。サバイビン(C84A)は、BIRにおいて亜鉛配位圏を除去し、折り畳まれていない分子を生じる。結合したタンパク質は、ポリクローナル抗サバイビンを用いてELISAにより検出され、上記のようにOD405における吸光度により定量化された。図2Bに示された結果は、サバイビンおよびHsp90が相互結合を示すが、サバイビン(C84A)の折り畳まれていない突然変異体はHsp90に結合することができなかった。
【0126】
これらの結果は、Hsp90が用量依存的様式でサバイビンに結合したこと、およびサバイビンに結合するHsp90が、単なる、折り畳まれていないタンパク質を模倣するサバイビンドメインへの非特異的シャペロン応答ではないことを実証している。さらに、データは、サバイビンがHsp90と相互作用するために本来の折り畳みを必要とすることを実証している。それゆえに、Hsp90-サバイビン複合体は、サバイビンの分解を促進することに関与せず、逆に、サバイビンの安定性を保存するのに関与している。
【0127】
実施例3:サバイビンはHsp90のN末端に結合する
完全長Hsp90α(SEQ ID NO:21;アミノ酸1位〜732位)をコードするヌクレオチド配列または3つの断片:N-Hsp90(SEQ ID NO:21のアミノ酸1位〜272位)、M-Hsp90(SEQ ID NO:21のアミノ酸273位〜617位)、およびC-Hsp90(SEQ ID NO:21のアミノ酸629位〜732位)が、pGex-4T3(Pharmacia Biotech.)およびpFLAG-CMV 6c(Sigma)においてBamHIクローニング部位を用いてPCRによりクローニングされた。完全長Hsp90または個々のHsp90断片のGST融合体は、大腸菌において発現され、グルタチオンビーズ(Sigma)に結合した。GSTフレームを欠いている精製された組換えサバイビンは、実施例2に記載されているように得られた。
【0128】
図3Aは、サバイビン/Hsp90インビトロのプルダウン実験の結果を示す。増加する濃度のr-サバイビン(30、100および300ng/50μl反応物)は、セファロース(商標)-GST-Hsp90(10μg/50μl反応物)またはN-Hsp90、M-Hsp90、もしくはC-Hsp90ドメインに融合したGSTとインキュベートされた。反応物は、セファロース(商標)-GST融合体をペレットにするために遠心分離された。タンパク質結合は、ウェスタブロッティングによりペレット(結合した)または上清(結合していない)を分析することにより測定された。サバイビンは完全長Hsp90へ、またはHsp90のATP結合ドメインを含むN-Hsp90断片(アミノ酸1位〜272位)へのみ結合したことを示す、図3Aを参照されたい。
【0129】
図3Bは、サバイビンがインビボでHsp90のN末端ドメインと免疫共沈降することを示している。HeLa細胞は、示されたFLAG-Hsp90N、MまたはCドメインでトランスフェクションされ、タンパク質は、FLAGに対するmAb(Sigma、カタログ番号F3165、St. Louis、MO)で免疫沈降され、免疫複合体は、ウェスタンブロッティングにより、サバイビンに対するポリクローナル抗体またはFLAGに対するmAbを用いて共会合したサバイビンについて分析された。図3Bは、N-Hsp90断片のみがサバイビンを免疫沈降することができたことを示している。
【0130】
これらの結果は、サバイビンがHsp90のATP分解酵素ドメイン含有N末端に結合することを実証している。
【0131】
実施例4:Hsp90はIAPファミリーの他のメンバーと相互作用する
XIAPおよびXIAPバキュロウイルスIAPリピート(BIR)ドメイン(BIR1、Met1位〜Ser123位;BIR2、Arg124位〜Pro260位;およびBIR3、Ser261位〜Gln336位)についてのcDNAは、HeLa細胞から抽出されたRNA(TRI Reagent(商標)、Molecular Research Center Inc.)のレトロ転写(SuperScript(商標)First Strand Synthesis System for RT-PCR、Invitrogen)から得られ、PCRによって増幅し、pcDNA3ベクターにクローニングした。pcDNA3-XIAPおよびpcDNA3-XIAP BIRドメインは、35S標識メチオニン(Amersham)の存在下においてTNT(商標)Quick Coupled Transcription/Translation System(Promega)を用いてインビトロで翻訳され、2μl、5μおよびl8μlの反応物は、上記のような10μgのGSTまたはGST融合タンパク質とインキュベートされた。
【0132】
図4Aは、cIAP1、cIAP2およびXIAPがHsp90と会合することを示している。Raji細胞抽出物は、cIAP1、cIAP2、XIAPに対する抗体または対照非結合IgG(IgG)と免疫沈降された(上記のように)。XIAP、cIAP1およびcIAP2に対する抗体は、それぞれ、BD-Transduction Laboratories(カタログ番号610763)、BD-PharMingen(カタログ番号556533、San Diego、CA)、およびSanta Cruz Biotechnology(カタログ番号sc-7944;Santa Cruz)から得られた。免疫複合体(P)および結合していない材料(S)は、抗Hsp90でのウェスタンブロッティングにより分析された(上部パネル)。図4Aは、cIAP1、cIAP2、およびXIAP免疫複合体(P)がHsp90を沈殿したが、対照IgGはしなかったことを示している。様々なIAPの比較免疫沈降もまた、ウェスタンブロッティングにより実証された。
【0133】
図4Bは、様々なIAPタンパク質とのHsp90のインビトロ相互作用を示す。サバイビン、XIAP、cIAP1、cIAP2、ならびに3つのBIRドメインおよびまたがっている残基1位〜292位のみを含むXIAPの切り詰め型(t-XIAP)を含む、様々なIAPタンパク質が、転写され、35S-メチオニンの存在下においてインビトロで翻訳され、プルダウン実験においてセファロース(商標)-GSTまたはセファロース(商標)-GST-Hsp90と混合され、結合したタンパク質は、オートラジオグラフィーにより可視化された。
【0134】
これらの結果は、Hsp90と(a)cIAP1、(b)cIAP2および(c)XIAPの間のタンパク質-タンパク質相互作用の存在を実証している。
【0135】
実施例5:Hsp90はサバイビンおよび他のIAPタンパク質の安定性を制御する
細胞は維持され、ウェスタンブロットは、実施例1に記載されているように行われた。
【0136】
図5Aは、ゲルダナマイシン(GA)、Hsp90のATP分解酵素サイクルのインヒビター、により引き起こされるIAPタンパク質の分解を示す。示された濃度のゲルダナマイシン(GA)で24時間処理されたHeLa細胞は、ウェスタンブロッティングによりIAPレベルにおける変化について分析された。1μM GAでの処理は、未処理の対照と比較して、サバイビン、XIAPおよびcIAP2の安定状態レベルを減少させた。Hsp90およびβ-アクチンのレベルはGA処理により影響を及ぼされなかった。
【0137】
図5Bは、GAの存在下におけるサバイビン安定性へのプロテアソーム阻害の効果を示している。5μMのプロテアソームインヒビター、ラクタシスチンの存在下または非存在下における1μM GAでの30時間処理されたHeLa細胞からの抽出物は、ウェスタンブロッティングにより、サバイビンまたはβ-アクチンレベルにおける変化について分析された。アクチンに対する抗体はSigmaから入手された。ラクタシスチンおよびGA処理後のサバイビンレベルは、未処理の細胞のレベルまたはそれより上であり、サバイビンがGA処理中にタンパク分解を受けやすいことを示した。β-アクチンのレベルは、この実験において処理により影響を及ぼされなかった。
【0138】
図5Cは、GAの存在下におけるXIAPの分解が、プロテアソームにより媒介されるが、活性化カスパーゼにより媒介されないことを示している。HeLa細胞抽出物は、プロテアソームインヒビター、ラクタシスチンもしくは広域スペクトルカスパーゼインヒビター、ZVAD-fmkの非存在下(無し)において、または存在下において、示された濃度のGAへの曝露後、収集された。GAによるHsp90阻害の存在下におけるXIAP発現の損失は、図5C(*は非特異的バンドを示す)に描かれたXIAPについてのウェスタンブロッティングにより示されているように、ラクタシスチンにより逆転されるが、ZVAD-fmkによっては逆転されない。
【0139】
これらの結果は、Hsp90機能が、サバイビン、cIAP1、cIAP2およびXIAPの安定的な発現に必要とされることを示している。それゆえに、本明細書に開示されたペプチド/抗体/化合物のアポトーシス誘導効果は、サバイビン、cIAP1、cIAP2および/またはXIAPのHsp90との相互作用を阻止し、かつそれにより、これらの抗アポトーシスタンパク質の安定性および発現を低下させるそれらの能力により、少なくとも一部、媒介されることが可能である。
【0140】
実施例6:XIAP上のHsp90結合部位の同定
pcDNA3-XIAPおよびpcDNA3-XIAP BIRドメインは、実施例4に記載されているようにインビトロで翻訳された。図6は、Hsp90とXIAPの単離されたBIR断片との間のインビトロ相互作用が、アミノ末端BIR(BIR1)との選択的会合を明らかにしていることを示す。GST-Hsp90またはGSTは、35Sインビトロ翻訳されたXIAPまたはそれの個々のバキュロウイルスIAPリピート:BIR1、BIR2およびBIR3と混合された。反応物は遠心分離され、ペレットと会合したタンパク質は、オートラジオグラフィーにより検出された。図6は、完全長XIAPおよび単離されたBIR1断片のみがGST-Hsp90と会合したことを示している。
【0141】
これらの結果は、BIR1を、XIAPのHsp90結合ドメインを含むと同定している。BIR1を含む、XIAPのアミノ酸Met1位〜Ser123位の配列は以下である。

【0142】
実施例7:サバイビン上のHsp90結合部位(K79〜K90)の同定
図7は、サバイビンとHsp90の間の相互作用を阻害するサバイビン配列由来の合成ペプチドの同定を示す。ELISA実験は、以下の変化をもって本質的に実施例2においてのように行われた。各組換えサバイビンペプチド(大腸菌に発現された)の20μg/mlは、2.5mg/mlにおけるHsp90と4℃で16時間、プレインキュベートされた。マイクロタイタープレートにおけるウェルへの完全長サバイビンの結合およびブロッキング後、Hsp90およびサバイビンペプチドのプレインキュベートされた混合物がウェルに加えられ、37℃で1時間、インキュベートされた。ウェルは洗浄され、一次抗体とインキュベートされ、再び洗浄され、結合した抗体は、上記のように定量化された。各実験は3回、繰り返され、標準偏差が示されている。リジン79位〜リジン90位(K79〜K90;SEQ ID NO:3)を含む12アミノ酸のサバイビンペプチドが、Hsp90-サバイビン結合相互作用の特に効果のあるインヒビターであった。
【0143】
これらの結果は、Hsp90結合部位のサバイビンのK79〜K90ドメインへの割当と一致しており、Hsp90-サバイビン相互作用を阻害する化合物についてスクリーニングする方法の実施例を提供する。
【0144】
実施例8:サバイビン-Hsp90相互作用の抗体アンタゴニストの特徴付け
マウス抗サバイビンモノクローナル抗体(mAb)8E2および58は、NOVUS Biologicals(Littleton、CO)から入手された。図8Aは、mAb 8E2が競合アッセイ法においてサバイビン-Hsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害するが、mAb 58は阻害しないことを示している。r-サバイビン(300ng)は、サバイビンに対するマウスモノクローナル抗体、mAb 58または8E2の3mgと50mlの結合緩衝液において22℃で1時間、プレインキュベートされた。GST-Hsp90またはGST-N-Hsp90の5mgが、その後、緩衝液へ加えられ、GSTが遠心分離され、Hsp90に結合したタンパク質は、サバイビンについてのウェスタンブロッティングにより検出された。モノクローナル抗体8E2は、どちらのGST融合タンパク質により沈降されたサバイビンの量も減少させた。
【0145】
図8Bは、mAb 8E2の細胞内負荷によるサバイビン-Hsp90相互作用のインビボ置換がサバイビン発現を下方制御することを示している。これらの実験について、HeLa細胞(2x105個)が、BioPORTER(商標)Protein Transfection Reagent(Gene Therapy Systems、San Diego、CA)の存在下において、サバイビンに対するmAb 8E2もしくは58またはOptiMEM(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)におけるマウスIgGの5μgを負荷された。4時間後、細胞は、100μg/mlシクロヘキシミドを追加され、ウェスタンブロッティングによりサバイビン発現について90分間に渡って(時間0、30、60および90分間)分析された(図8B、上部パネル)。抗体負荷の効率(90%)は、FITC結合型IgG(5μg)および蛍光顕微鏡法を用いて測定された。タンパク質量は、β-アクチンレベルに対して標準化され、定量化された(図8B、下部パネル)。このように、図8Bは、mAb 8E2に媒介された、Hsp90-サバイビン相互作用の破壊が、サバイビン発現/安定性を阻害することを示している。
【0146】
これらの結果は、mAb 8E2がサバイビン-Hsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害し、それによりサバイビン発現を低下させることを示している。
【0147】
実施例9:サバイビン-Hsp90相互作用の抗体での破壊が結果として、インビボでアポトーシスの誘導および有糸分裂の欠陥を生じる
図9Aは、mAb 8E2がカスパーゼ-9切断、アポトーシスのマーカー、を誘導することを示している。これらの実験について、野生型サバイビンについての条件発現系(Tet-オフ系)で安定にトランスフェクションされたYUSAC-2黒色腫細胞が用いられた。サバイビンの条件発現は、Grossman et al. (2001) Proc. Nat'l Acad. Sci. USA、98:635に記載されているように培地からテトラサイクリンの除去により誘導された。BioPORTER(商標)タンパク質トランスフェクション系(実施例8に記載されているように)を用いるmAb 8E2またはIgGを細胞内に負荷されたYUSAC-2細胞が、テトラサイクリンの非存在下(Tet−)または存在下(Tet+)において、カスパーゼ基質取り込みおよびフローサイトメトリーによりカスパーゼ-3/7活性について分析された。このアッセイ法は以下の2つのパラメーターについて染色する:蛍光カスパーゼ基質の加水分解についてのカスパーゼ活性(X軸)および透過処理されていない細胞におけるヨウ化プロピジウム染色による原形質膜完全性の喪失。Kim et al.、(2003) Lancet、362:205参照。データは、3つの独立した実験の平均±S.D.である。挿入図は、サバイビンに対するmAb 8E2または58を形質導入されたHeLa細胞におけるカスパーゼ-9のタンパク分解性処理を示している。ウェスタンブロットにより可視化された、前駆体または切断されたカスパーゼ-9の位置が示されている。これらのデータは、mAb 8E2がカスパーゼ-9切断を誘導したことを示している。
【0148】
図9Bは、mAb 8E2のHeLa細胞への負荷が蛍光顕微鏡法により可視化された有糸分裂欠陥を引き起こしたことを示している。サバイビンに対するmAb 8E2もしくは58またはIgG(陰性対照)を負荷されたHeLa細胞は、β-チューブリンに対する抗体で染色され、蛍光顕微鏡法により分析された。図9Bにおける矢印は、これらの細胞におけるアポトーシス媒介性細胞死の誘導と一致した、mAb 8E2を形質導入された培養物における多核細胞を示す。
【0149】
図9Cは、mAb 8E2、mAb 58またはIgGを細胞内に負荷された細胞における有糸分裂欠陥を要約する。分裂指数は、有糸分裂を起こした細胞のパーセンテージを測定し、平均100細胞/各視野を含む少なくとも5視野における400x倍率での有糸分裂HeLa細胞を数えることにより計算された。データは、4つの独立した測定の平均±標準誤差(SEM)である。mAb 8E2を負荷されたHeLa細胞は、アポトーシス誘導を示す、分裂指数および多核化の両方において統計学的に有意な差を示した。
【0150】
これらの結果は、抗体がサバイビン-Hsp90タンパク質-タンパク質相互作用を乱し、それにより癌細胞においてアポトーシスを誘導するために用いられうることを示している。
【0151】
実施例10:サバイビンペプチド配列79位〜90位および関連配列のHsp90との相互作用
図10Aは、サバイビンペプチドカラム上におけるアフィニティークロマトグラフィーによるHsp90/Hsp70複合体の単離を示す。Hsp90に対する結合部位を含むサバイビンIle74〜Leu87(SEQ ID NO:4)は、Sulfolink(商標) Coupling Gel(Pierce、Rockport、IL)上に固定化され、Raji細胞抽出物を分画するために用いられた。タンパク質は、示された抗体でのウェスタンブロッティングにより通過液(FT)または溶出液(E)において同定された。Hsp90およびHsp70は、明らかに、残基Ile74〜Leu87を含むサバイビンペプチドを結合した。抗Hsp70抗体は、Abcam、Cambridge、MA(カタログ番号ab6535)から入手された。
【0152】
図10Bは、プラズモン共鳴により測定された場合の、Hsp90結合部位を含むサバイビンペプチド配列のHsp90との物理的会合を示す。野生型サバイビンペプチド77位〜91位(SEQ ID NO:22)または対応するC84A突然変異体77位〜91位ペプチド

は、N末端ビオチンと合成され、Biacore Inc.(Piscataway、NJ)から購入されたストレプトアビジンコーティング化チップ(SA5)上に固定化された。10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%ポリソルベート-20、1mM DTTに懸濁された精製r-Hsp90の増加する濃度(100nM〜10μM)が、その後、固定化ペプチド上に60mlで注入された。20ml/分の一定流速が維持され、その後に、解離相が、300秒間、続いた。表面は、各解離相後、1M NaCl/50mM NaOHの10mlを用いて再生された。新しい注入サイクルは、NaClおよびNaOHの完全な除去を保証するために再生から10分して初めて、開始された。収集されたデータは、Biacore Inc.からのBiaeval 3.0ソフトウェアパッケージを用いて解析された。
【0153】
センサーグラム(図10B)は、ビオチンのみの表面からの非特異的シグナルが引き算された、チップ表面上の分析物流動中の表面プラズモン共鳴における増加により測定される、サバイビンペプチドのHsp90への結合を示す。野生型(SEQ ID NO:22)またはC84A(SEQ ID NO:23)ペプチドについてのオン速度は類似していたが、野生型ペプチドについてのオフ速度は10倍遅く、結果として、より高い結合親和性(KD±SEM=8.38x10-8±3.5x10-9M)を生じた。
【0154】
図10Cは、サバイビン-Hsp90相互作用に必要なアミノ酸の同定のための突然変異を誘発されたサバイビンペプチドの機能分析を示す(His80位〜Cys84位;SEQ ID NO:2)。サバイビンコア配列Lys79位〜Leu87位(SEQ ID NO:24)由来の示された合成ペプチドは、それぞれ示された位置において単一のアラニン置換を有して合成された(アラニンスキャニング突然変異誘発)。個々のペプチドは、プラスチックのマイクロタイタープレート上に示された増加する濃度で固定化され、組換えHsp90とインキュベートされ、様々な基質への結合が、Hsp90に対する抗体でELISAにより測定され、OD405における吸光度により定量化された。データは、2つの独立した実験の平均±S.D.であり、コアのサバイビン配列His80位、Ser81位、Ser82位、Gly83位およびCys84位のアミノ末端アミノ酸がHsp90結合にとって重要であることを実証している。対照的に、野生型ペプチドと、この配列に隣接した残基、Lys79位、Ala85位、Phe86位およびLeu87位、のアラニン置換との間に差は観察されなかった。
【0155】
これらの結果は、本明細書に開示されたペプチドがHsp90に結合することを示し、かつその相互作用に必要なアミノ酸残基を同定している。
【0156】
実施例11:K79位〜L87位に位置したHsp90に対するサバイビン結合部位に基づいた細胞透過性ペプチドの開発
カスパーゼ依存性細胞死および原形質膜完全性の喪失の多パラメータ解析について、HeLa、MCF-7または遺伝子操作されたHCT116細胞(ATCCから入手された)が、細胞透過性対照スクランブル化ペプチドまたはサバイビンペプチドの増加する濃度を負荷され、37℃で24時間、培養した後、収集され、細胞生存度(ヨウ化プロピジウム、赤色チャネル)および活性カスパーゼ-3活性(Intergen、Purchase、NYからのCaspaTag(商標)、緑色チャネル)についてフローサイトメトリーにより分析された。
【0157】
細胞透過性ペプチドは、アンテナペディア担体配列の第三α-ヘリックスを、Hsp90結合部位(サバイビン細胞透過性ペプチド)を含むサバイビンペプチド配列のアミノ末端K79位〜L87位に融合することにより合成され、P31サバイビンペプチド(SEQ ID NO:19、図21参照)を作製した。スクランブル化した順序におけるサバイビンK79位〜L87位(対照)に融合したアンテナペディア透過処理ペプチド

を有する対照ペプチドもまた合成された

。対照ペプチドおよびサバイビンペプチドの両方は、アミノ末端ビオチン部分と合成され、純度および均一性についてHPLCにより分析された。ペプチドは、ほぼ集密状態のHeLa細胞と37℃で6時間、150μM最終濃度でインキュベートされた。細胞は収集され、ストレプトアビジン-PEで染色され、位相差(位相)または蛍光顕微鏡法により分析された。図11Aは、サバイビンペプチド(SEQ ID NO:19)およびスクランブル化対照ペプチド(SEQ ID NO:25)の両方の効率的な内部移行を示している。
【0158】
図11Bは、個々の細胞の蛍光を分析することにより図11Aの観察を定量化している。実験条件は、対照ペプチドまたはサバイビンペプチドの細胞内透過が、蛍光顕微鏡法により25個の個々の細胞において分析された点を除いて、図11Aについて記載されたとおりである。13個の光学断面(333±50nm)が、広視野蛍光顕微鏡(Olympus、JAPAN)および63X対物レンズを用いて6つのランダムな視野から得られた。個々の細胞測定について、細胞輪郭の外側の領域の蛍光値が得られ、総合値からバックグラウンドとして引き算された(典型的には、総細胞蛍光の5〜10%)。あらゆる完全な細胞プロファイルにおける光学断片ごとの、または集団全体内の蛍光強度(集積光学密度、IOD)は、Metamorph(商標)ソフトウェア(Molecular Devices Corporation、Sunnyvale、CA)またはIP Labソフトウェア(バージョン3.5.4、Scanalytics、Fairfax、VA)を用いて計算された。結果は、対照およびサバイビン細胞透過性ペプチド変種の両方が、区別がつかない透過効率性で標的細胞内に蓄積していることを実証している。
【0159】
これらの結果は、新規な細胞透過性サバイビンペプチド誘導体の合成を実証している。
【0160】
実施例12:Hsp90結合部位を複製するサバイビン細胞透過性ペプチドは腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導する
低二倍体DNA含有量によるアポトーシスの測定について、様々な腫瘍細胞系が、細胞透過性対照スクランブル化(SEQ ID NO:25)またはサバイビンペプチド(SEQ ID NO:19)の増加する濃度とインキュベートされ、24時間後収集され、70%エタノールにおいて固定され、PBS、pH7.4における、10μg/mlヨウ化プロピジウム、プラス100μg/mlリボヌクレアーゼA、および0.05% Triton(商標)X-100で染色された。培養物は、フローサイトメトリーによりDNA含有量について分析された。細胞生存度の比色定量について、MTTアッセイ法が用いられた。様々な腫瘍細胞系は、細胞透過性レトロ-反転の対照スクランブル化P4またはサバイビン特異的P3ペプチドの増加する濃度と37℃で24時間、インキュベートされ、Bruffs Mediaで2回、洗浄され、4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)(Sigma、St. Louis、MO)が5mg/mlで添加された。細胞生存度における減少は、OD405における比色吸光度の損失について分析された。
【0161】
図12Aは、サバイビン細胞透過性ペプチド(SEQ ID NO:19)が、低二倍体DNA含有量により測定された場合、HeLa細胞においてアポトーシスを誘導することを示しているHeLa細胞は、細胞透過性対照(スクランブル化)またはサバイビンペプチドの示された増加する濃度とインキュベートされ、37℃での24時間後、収集され、ヨウ化プロピジウム染色およびフローサイトメトリーによる低二倍体DNA含有量により分析された。HeLa細胞のサバイビン細胞透過性ペプチドへの曝露は、結果として、低二倍体DNA含有量における増加により反映されているように、細胞生存度の大量損失を生じた。
【0162】
図12Bは、サバイビン細胞透過性ペプチド(SEQ ID NO:19)の確立された化学療法薬との比較を示す。HeLa細胞は、化学療法薬タキソール(商標)(10μM)もしくはアドリアマイシン(300nM)、または細胞透過性対照ペプチドもしくはサバイビンペプチドとインキュベートされ、24時間後、収集され、フローサイトメトリーによる低二倍体DNA含有量によりアポトーシスの誘導について分析された。2つの化学療法薬の示された濃度での処理は、結果として、細胞生存度の有意な損失を生じない。対照的に、対照ペプチドでは生じないが、サバイビン細胞透過性ペプチドの細胞内透過は、結果として、低二倍体DNA含有量(アポトーシス性)をもつ大きな細胞集団の出現を生じる。
【0163】
これらの結果は、本明細書に開示された細胞透過性ペプチド誘導体が癌細胞においてアポトーシスを誘導したことを示している。
【0164】
実施例13:細胞透過性サバイビンペプチド配列は頸癌HeLa細胞においてカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導する
図13は、対照(SEQ ID NO:25)またはサバイビン(SEQ ID NO:19)細胞透過性ペプチドの示された増加する濃度とインキュベートされた、HeLa細胞(非機能性p53をもつ)におけるカスパーゼ活性の誘導を示す。細胞は、ペプチドとの24時間のインキュベーション後、収集され、同時に、DEVDアーゼ活性によるカスパーゼ活性(X軸、緑色蛍光)およびヨウ化プロピジウム染色による細胞膜完全性(Y軸、赤色蛍光)について分析された。右上象限における細胞は、上昇したカスパーゼ活性および細胞膜完全性の喪失(アポトーシス性)をもつ集団に対応する。
【0165】
これらの結果は、本明細書に開示されたペプチド誘導体が癌細胞においてアポトーシスを誘導したことを追加手段により示している。
【0166】
実施例14:細胞透過性サバイビンペプチドは乳癌MCF-7細胞においてカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導する
実験は、乳癌MCF-7細胞(野生型p53)が、細胞透過性対照(SEQ ID NO:25)またはサバイビン(SEQ ID NO:19)細胞透過性ペプチドでの細胞内負荷後、カスパーゼ活性の誘導および細胞膜完全性の喪失の多パラメータのフローサイトメトリーにより分析されたことを除いて、実施例13においてのように行われた。図14に示された結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドが、異なる腫瘍細胞型(HeLaおよびMCF-7)において、同程度の効率および類似した機構(カスパーゼ依存性)でアポトーシスを誘導することを実証している。
【0167】
これらの結果は、本明細書に開示されたペプチド誘導体が、癌細胞の1つより多い型においてアポトーシスを誘導したことを追加手段により示している。
【0168】
実施例15:細胞透過性サバイビンペプチドにより誘導された腫瘍細胞のアポトーシスはp53に依存しない
これらの実験において、野生型p53(p53+/+)またはホモ接合性に不活性化されたp53(p53-/-)を有するHCT116結腸直腸癌(Bunz et al.、Science、282:1497-1501 (1998))が、細胞透過性対照(SEQ ID NO:25)またはサバイビン(SEQ ID NO:19)細胞透過性ペプチドの150mMとインキュベートされ、24時間後収集され、カスパーゼ活性の誘導および細胞膜完全性の喪失の多パラメータのフローサイトメトリーにより分析された。図15に示された結果は、細胞透過性サバイビンペプチドによる高いカスパーゼ活性および原形質膜完全性の喪失をもつ細胞の蓄積が、p53+/+とp53-/-HCT116細胞の間で区別つかないことを実証している。これは、p53が、腫瘍細胞型においてサバイビン細胞透過性ペプチドにより誘導されるアポトーシス応答を媒介することに関与しないことを実証している。
【0169】
これらの結果は、本明細書に開示されたペプチド誘導体が、癌細胞の1つより多い型においてアポトーシスを誘導したこと、およびアポトーシスがp53に依存しなかったことを他の手段により示している。
【0170】
実施例16:細胞透過性サバイビンペプチドの細胞内透過は結果として、Hsp90クライアントタンパク質の分解でのHsp90機能の阻害およびカスパーゼ活性の活性化を生じる
サバイビン細胞透過性ペプチドの細胞内負荷が、インビボでサバイビンレベルを不安定化するにおいて、サバイビン-Hsp90相互作用を乱すmAb 8E2の効果(図8)を再現するかどうかを測定するために、HeLa細胞は、細胞透過性対照(SEQ ID NO:25)またはサバイビン(SEQ ID NO:19)細胞透過性ペプチドの示された増加する濃度を負荷され、24時間後収集され、Hsp90クライアントタンパク質、サバイビンおよびAkt、の安定性について分析された。Aktに対するポリクローナル抗体は、Cell Signaling Technology(カタログ番号9272)から入手された。
【0171】
図16におけるウェスタンブロットデータは、対照スクランブル化ペプチドが効果がないのに対して、サバイビン細胞透過性ペプチドが結果として、サバイビンおよびAktの低レベルを生じることを実証している。さらに、サバイビン細胞透過性ペプチドは、結果として、タンパク分解性カスパーゼ活性化を示し、かつカスパーゼ依存性細胞死と一致する、32kDのカスパーゼ-3前駆体の発現の損失を生じる。細胞透過性対照スクランブル化ペプチドで、カスパーゼ-3前駆体発現における変化は観察されなかった。β-アクチンは、負荷について標準化するために用いられた。
【0172】
これらの結果は、本明細書に開示されたペプチド誘導体が、サバイビン-Hsp90タンパク質-タンパク質相互作用を阻害し、それにより、サバイビンの発現を低下させ、かつ癌細胞においてカスパーゼ依存性アポトーシスを引き起こしたことを示している。
【0173】
実施例17:活性サバイビンペプチド配列K79位〜L87位のペプチド模倣変種の作製および特徴付け
細胞透過性サバイビンK79位〜L87位配列のインビボでの安定性を増加させるために、本発明者らは、細胞透過性アンテナペディア配列およびサバイビン活性配列K79位〜L87位がD-アミノ酸を用いて(レトロ配列)、かつ逆の順序で(反転配列)、合成されているペプチド模倣変種を合成した。対照スクランブル化およびサバイビンペプチド配列の両方は、レトロ-反転変種として合成され、P3

およびP4

ペプチドと名付けられた(図21参照)。レトロ-反転の細胞透過性配列の癌細胞においてアポトーシスを誘導する能力を試験するために、腫瘍細胞系のパネルが、P3(サバイビン)またはP4(対照)のレトロ-反転の細胞透過性ペプチドの示された増加する濃度とのインキュベーション後、細胞生存度MTTアッセイ法により分析された。図17におけるデータは、P3配列が、試験されたすべての腫瘍細胞系(HeLa:頸癌;MDA-MB231(Calvo et al.、Br. J. Cancer、48:683-8 (1983));乳癌;MCF-7:乳癌;PANC-1(ATCCから入手された):膵臓癌)において細胞生存度の用量依存的損失を引き起こしたことを示している。P3活性は、p53状態に依存しなかった。対照的に、細胞透過性レトロ-反転の対照P4ペプチドの同じ増加する濃度で試験された細胞型のいずれにおいても細胞生存度における減少はなかった。
【0174】
これらの結果は、本明細書に開示されたレトロ-反転ペプチド誘導体が、癌細胞のいくつかの異なる型においてアポトーシスを引き起こしたことを示している。
【0175】
実施例18:サバイビンK79位〜L87位のペプチド模倣変種(P3)は、正常な細胞型の生存度に影響を及ぼすことのない、幅広い範囲の腫瘍細胞型に対して特異的な抗腫瘍活性をもつ
実施例17に記載されたレトロ-反転P3およびP4配列の特異性を研究するために、本発明者らは、様々な腫瘍細胞系を細胞透過性レトロ-反転P3およびP4ペプチド(150μM)とインキュベートし、24時間後、培養物をトリパンブルー(Sigma)排除により染色した。ブルー色素を排除できない細胞は、細胞生存力および原形質膜完全性を喪失する細胞であった。
【0176】
図18に示された結果は、P3レトロ-反転サバイビンペプチドの透過が結果として、試験されたすべての腫瘍細胞、HCT116結腸直腸癌、HeLa頸癌、MCF-7乳癌、PANC-1膵臓癌、PC3前立腺癌、の大部分において生存度の急速な損失を生じることを実証している。他方、レトロ-反転対照ペプチドP4との同程度のインキュベーション反応は、腫瘍細胞生存度を低下させなかった。さらに、サバイビンP3も対照P4ペプチドのどちらも、結果として、正常な肺線維芽細胞LU18細胞の生存度の減少を生じず、P4のアポトーシス促進性機能が腫瘍細胞特異的であることを示唆した。
【0177】
これらの結果は、本明細書に開示されたレトロ-反転ペプチド誘導体の幅広い抗アポトーシス活性が癌細胞特異的であり、かつ非癌性細胞に影響を及ぼさなかったことを示している。結果は、本明細書に開示されたペプチド誘導体が、癌を患っている被験体を処置するための治療方法において用いられうるという考えを支持する。
【0178】
実施例19:P3ペプチドは、足場非依存性細胞増殖および生存により測定されるインビトロ腫瘍形成能を阻害する
軟寒天コロニー形成について、2x104個の適応乳癌MCF-7細胞が、底層での増殖培地に1.5mlの0.75%アガロースを含む36mm組織培養プレートにおいて10%FBSおよび0.35% bactoagr(Becton Dickinson、Sparks、MD)を追加した1.5mlのDMEMに懸濁された。プレートは、37℃で5%CO2において2〜5週間、インキュベートされた。コロニーは、0.005%クリスタルバイオレット(Sigma)で染色され、高倍率視野下で解剖顕微鏡を用いて数えられた。
【0179】
図19は、増殖培地におけるサバイビンP31ペプチド(SEQ ID NO:19)の75μmまたは150μmの存在が、癌細胞の足場非依存性細胞増殖および生存を完全に阻害した(等量の対照スクランブル化ペプチド(SEQ ID NO:25)と比較して)ことを示している。図19に示された2つの上部プレートは、目に見える細胞コロニーがなかった。
【0180】
これらの結果は、サバイビンのHsp90結合モチーフを含むサバイビンペプチドが、インビトロでの腫瘍細胞増殖の非常に効果的なインヒビターであることを示している。
【0181】
実施例20:インビボでのレトロ-反転P3サバイビンペプチドの抗腫瘍活性
乳癌異種移植モデルが、免疫無防備状態動物の脇腹においてMCF-7細胞を注射することにより確立された。8週齢の雌CB17 SCID/ベージュマウス(Taconic Farms、Germantown、NY)が、200μlの滅菌PBS、pH7.4における2.5x106個の指数関数的増殖性腫瘍適応MCF-7細胞を脇腹へ皮下に注射された。腫瘍増殖は、二次元でカリパーで測定され、腫瘍容量は、球状形態を仮定して、幅2x長さ/2の式で計算された。腫瘍は、局所的塊に限定され、4ヶ月の観察期間に渡って動物生存に影響を及ぼさなかった。腫瘍が、サイズが〜50mm3に達した時、動物はランダム化され(群あたり7匹または8匹)、生理食塩水(1日に1回、200μl)またはレトロ-反転P3サバイビン由来ペプチド模倣体(50mg/kg/腹腔内/日)を投与された。動物は、処置の3週間後、屠殺された。生理食塩水またはP3ペプチドで処置された動物の腫瘍容量は、カリパーで毎日測定され、動物は、処置の21日間後に屠殺された。図20におけるデータは、P3ペプチドが、処置期間に渡って生理食塩水より効果的に腫瘍容量の増加速度を遅くしたことを示している。
【0182】
第二モデルにおいて、インビボで前に適応させられた乳癌MCF-7細胞が、SCID/ベージュマウスへ注射された。注射された細胞は、エストロゲン補充に依存せず、かつ生理食塩水投与により影響を及ぼされない、迅速に、指数関数的に増殖する腫瘍を発生した(図28)。レトロ-反転P3サバイビン由来ペプチド模倣体の投与(50mg/kg/腹腔内/日)は、23日(図28)または11日の処置期間を通してこれらのより活発な腫瘍の増殖を阻害した。
【0183】
処置の終わりに回収されたMCF-7腫瘍は、Hsp90クライアントタンパク質の発現について免疫組織化学により分析された(Ambrosini et al.、Nat. Med.、3:9177-21 (1997); Basso et al.、Oncogene、21:1159-66 (2002))。生理食塩水群からの腫瘍は、腫瘍細胞集団においてサバイビンおよびAktについての広範な標識を示した。逆に、サバイビンペプチド処置は、腫瘍細胞においてAktレベルをほとんど完全に消失させ、サバイビンの発現を激しく減弱した。
【0184】
これらの結果は、サバイビンペプチド、およびサバイビンのHsp90結合モチーフを含むペプチド誘導体が、インビボで腫瘍細胞増殖の効果的なインヒビターであることを示している。
【0185】
実施例21:サバイビンペプチド誘導アポトーシスは腫瘍細胞特異的である
図22Aおよび22Bは、腫瘍細胞系(図22A)および正常細胞系(図22B)のアポトーシスへのP31(SEQ ID NO:19)またはP33(SEQ ID NO:25)の効果を比較している。以下の腫瘍細胞系DU145(前立腺癌、円)、PC3(前立腺癌、三角)、またはHeLa(頸癌、四角)が、P31ペプチド(黒塗りの記号)または対照P33ペプチド(白抜きの記号)の示された増加する濃度で処理され、24時間後収集され、MTT比色アッセイ法を用いて細胞生存度について分析された。正常細胞型について(右パネル)、HFF(ヒト包皮線維芽細胞、四角)、HGF(ヒト線維芽細胞、三角)、またはWS-1(ヒト上皮細胞、円)は、P31ペプチド(黒塗りの記号)または対照スクランブル化ペプチドP33で処理され、24時間後収集され、MTT比色アッセイ法により全体の細胞生存度について分析された。すべての細胞系はATCCからであった。図22Aおよび22Bに示された結果は、P31ペプチドがすべての癌細胞系において細胞死を効果的に誘導したが、3つの正常細胞型のいずれにおいても細胞死を誘導しなかったことを確認している。対照P33ペプチドは、癌または正常細胞型において細胞死を誘導しなかった。
【0186】
実施例22:P31媒介アポトーシスは用量依存的である
図23は、アネキシンV標識およびヨウ化プロピジウム染色の多パラメータのフローサイトメトリーを用いてHeLa細胞におけるP31ペプチド(SEQ ID NO:19)によるアポトーシスの誘導の用量応答を示す。HeLa細胞培養物は、P31(サバイビン)またはP33(対照;SEQ ID NO:25)ペプチドの示された増加する濃度で処理され、37℃での8時間のインキュベーション後収集され、アネキシンV標識(X軸、アポトーシスのマーカー)およびヨウ化プロピジウム染色(Y軸、細胞死のマーカー)の多パラメータのフローサイトメトリーについて分析された。結果は、P31ペプチドが用量依存的様式でアポトーシスを誘導したが、P33対照ペプチドは効果がなかったことを示している。
【0187】
実施例23:P31ペプチドはHsp90のアミノ末端へ特異的に結合する
図24Aおよび24Bは、P31ペプチドの結合部位の位置をHsp90のN末端ドメインと同定している。N末端またはC末端の組換えHsp90断片の作製は、実施例3に記載されている。ELISA実験は、P31ペプチド(四角;SEQ ID NO:19)または対照P33ペプチド(円;SEQ ID NO:25)の示された増加する濃度がプラスチックのマイクトタイタープレート上に固定化され、示されたHsp90N末端およびC末端断片とインキュベートされることを除いて、実施例2に記載されているように行われた。洗浄後、個々のHsp90断片の固定化ペプチドへの結合は、Hsp90に対する抗体で検出された。Hsp90のC末端およびN末端断片に対する抗体は、それぞれ、BD/Transduction LaboratoriesおよびSanta Cruz Biotechnology, Inc.(Santa Cruz、CA)から入手された。図24Aおよび24Bに示された結果は、P31ペプチドが、P33ペプチドと比較してのOD405における増加により示されているように、Hsp90のN末端へ特異的に結合したことを示している。
【0188】
実施例24:サバイビンペプチドの分子モデリング
サバイビンのレトロ-反転ペプチドLFACGSSHK(すべてDアミノ酸)の構造が、明示的な水溶媒において長時間尺度の分子動力学(Molecular Dynamics)(MD)シミュレーションを用いてモデリングされた。ペプチド模倣体は、回転に関与するG83位〜S84位および全体のβ-ヘアピン幾何学をもつ優性立体配置を示した(図25A)。MDシミュレーションにおいて、ペプチド模倣体は、Hsp90のATP結合部位へドッキングした(図25B)。その複合体の幾何学は、Hsp90とGAの複合体のそれと非常に相関しており、回転領域は、GAのアンサ環バックボーンをきっちりとなぞっている(Stebbins et al.、Cell、89:239-50 (1997))。サバイビンペプチド模倣体は、H86位、S85位、S84位の側鎖、G83位のカルボニル基、ならびにK87位およびC82位の側鎖を含む、Hsp90と18個の推定の水素結合を作成する。
【0189】
実施例25:PC3前立腺癌細胞のサバイビンK79位〜L87位ペプチドでの処置は結果として、Hsp90クライアントタンパク質の損失を生じる
サバイビンは、腫瘍細胞においてHsp90クライアントタンパク質の安定性および機能に影響を及ぼす。PC3細胞は、処理されない、または75μMおよび150μM濃度のサバイビンペプチド(SEQ ID NO:19)(または対照スクランブル化ペプチド;SEQ ID NO:25)に8時間、曝され、Hsp90クライアントタンパク質、サバイビン、AKTおよびCDK-6、に対する免疫ブロッティングのために処理された。スクランブル化ペプチドは引き起こさなかったが、細胞透過性サバイビンペプチドは、ウェスタンブロッティングにより、サバイビン、Akt、CDK-4およびCDK-6を含む、PC3細胞における複数のHsp90クライアントタンパク質の消失を引き起こした(図26A)。逆に、Hsp90、Hsp70およびPCNAのレベルは影響を及ぼされなかった(図26A)。
【0190】
サバイビンペプチド処理されたPC3細胞はまた、Hsp90を必要とするテロメラーゼ活性について試験された(Holt et al.、Genes Dev.、13:817-26 (1999))。細胞は、上記においてのように、Hsp90に対する抗体で免疫沈降され、テロメラーゼ活性は、免疫沈降物のTRAPアッセイ法(Kim and Wu、Nucleic Acids Res.、25:2595-7 (1997))により測定された。テロメラーゼ活性は、テロメア生成物のラダーにより示される。図26Bに示されているように、免疫沈降の前のサバイビンペプチドでの処理は、アッセイ法においてテロメラーゼ活性を抑止した。
【0191】
これらの結果は、サバイビンペプチドが、腫瘍細胞においてHsp90クライアントタンパク質の安定性および機能に影響を及ぼすことを示している。
【0192】
実施例26:インビボでの腫瘍増殖の阻害
前立腺癌PC3細胞(2.5x106個)は、免疫無防備状態のSCID/ベージュマウスの脇腹に注射され、触知可能な腫瘍(35〜50mm3)を形成するようにさせられた。動物は、生理食塩水または細胞透過性レトロ-反転サバイビンK79位〜L87位ペプチドP3(50mg/kg/毎日/腹腔内)を受ける2つの群(6動物/群)にランダム化された。腫瘍増殖は、12日の処理区間についてカリパーで測定された。サバイビンペプチド模倣体は、この系において腫瘍増殖の速度を大いに低下させた(図25A)。
【0193】
サバイビンペプチド模倣体がインビボで細胞内に蓄積するかどうかを測定するために、脇腹PC3腫瘍を有する動物は、生理食塩水または細胞透過性レトロ-反転K79位〜L87位サバイビンペプチドP3を腹腔内に注射された。投与から1時間後、動物は屠殺され、腫瘍は、注意深く切除され、蛍光顕微鏡法により腫瘤内のペプチド蓄積について分析された。腫瘍細胞は、細胞内蛍光を示し、細胞がサバイビンペプチド模倣体を取り込み、かつ蓄積したことを示している(図25B)。
【0194】
実施例27:AML細胞系におけるサバイビン活性
急性骨髄性白血病(AML)細胞系におけるサバイビン-Hsp90経路の発現および機能が分析された。サバイビンは、ウェスタンブロッティングにより、4つのAML細胞系、U937、K-562、THP-1、およびHL-60、において豊富に発現されていた(図29A)。細胞透過性サバイビンP31ペプチド(SEQ ID NO:19)での処理は、結果として、トリパンブルー排除により測定される場合、HL-60細胞の用量依存的かつ完全な細胞殺害を生じたが、スクランブル化P33ペプチド(SEQ ID NO:25)は効果がなかった(図29B)。同様の結果は、他のAML細胞系で得られた。
【0195】
より短いサバイビンペプチドの活性もまた、AML細胞系において試験された。より短い細胞透過性サバイビンペプチドは、アンテナペディア担体配列の第三のα-ヘリックスをサバイビンペプチド配列K79位〜G83位(SEQ ID NO:20)のアミノ末端に融合することにより合成された。このより短いペプチドは、AML細胞系において、MTTを用いて測定される場合、細胞生存度を低下させるにおいて、P31ペプチドよりかなり活性があった(図29C、D)。スクランブル化対照ペプチド

は効果がなかった(図29C、D)。これらの実験について、より多数の細胞が、完全長サバイビンペプチドによる50%殺害効率を生じるために用いられた(4x105個)。
【0196】
K79位〜G83位サバイビンペプチドの効果は、AMLにおいて抗腫瘍活性についてより詳細に特徴付けられた。K79位〜L87位(SEQ ID NO:19)およびK79位〜G83位ペプチド(SEQ ID NO:20)は、AML細胞とインキュベートされ、細胞生存度は、MTTを用いて測定された。K79位〜L87位およびK79位〜G83位サバイビンペプチドの両方は、試験されたすべてのAML細胞系を効率的に殺害したが、対照スクランブル化配列(SEQ ID NO:25およびSEQ ID NO:28)は効果を生じなかった(図30)。
【0197】
抗腫瘍活性の機能の結果と一致して、サバイビン配列K79位〜L87位およびK79位〜G83位の両方は、同等に、インビトロで組換えHsp90を結合し、かつ用量依存的様式で組換えサバイビンのHsp90への結合を阻害した(図31)。
【0198】
実施例28:サバイビンペプチド-Hsp90相互作用の低分子アンタゴニストを同定するための高処理量スクリーニング
高処理量スクリーニング(High Throughput Screening)(HTS)は、サバイビンペプチド-Hsp90相互作用の低分子アンタゴニストを同定するために用いられる。2つの実験ストラテジーが、スクリーニング、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、および蛍光偏光(FP)について用いられる。当技術分野において公知の方法に従って色素分子で標識されたサバイビンペプチドが調製される。ペプチド-色素結合体の構造は、図32に概略を示されている。この分子において、サバイビンペプチドのいずれかの末端における部位が、フルオレセイン(Fl;ドナー)またはローダミン(Rh;レセプター)で標識されている。
【0199】
遊離ペプチドは、蛍光強度の消光を引き起こすドナー部位とアクセプター部位の間の分子内FRETのせいで、高いFRET効率をもつ。Hsp90に結合すると、ペプチド-色素結合体の分子内FRETは減少し、ドナーシグナルは増加する。相対的ドナー蛍光(Fl)における変化から、結合解離定数(KD)は、非線形回帰フィッティングにより得られる。
【0200】
FRETを用いる全体的なHTSストラテジーは以下のとおりである。Hsp90に競合して結合する化学物質ライブラリーからのインヒビターは、サバイビンペプチド-色素結合体をそれの天然の折り畳み高次構造へ解放する。これは結果として、FRET効率の増加を生じ、増加するインヒビター濃度において、ドナー蛍光強度を減少させ、かつアクセプターシグナルを増加させる。インヒビター結合解離定数Kiは、インヒビター濃度の関数として、プロットをFlの相対的蛍光強度にフィットさせることにより得られる。
【0201】
スクリーニングについて、シグナル対ノイズ比は、一次ヒットの同定のための化合物の最終濃度の50μMを用いて、サバイビン-色素結合体内の最大FRETシグナルを得るように最適化される。対照実験は、FRET効率への任意の溶媒効果を検出するために行われる。
【0202】
もう一つの例において、FPが、サバイビンペプチド-Hsp90相互作用をモニターするために用いられる。フルオレセイン標識サバイビンペプチドは、速い速度で回転し、低い蛍光偏光を示す。逆に、Hsp90への結合は、結果として、より遅い回転速度を生じ、蛍光偏光を増加させる。異方性(r)は、蛍光偏光を定量化するために用いられ、平行蛍光強度と垂直強度の間の差および総蛍光の比として定義される。相互作用についてのKD値は、rのプロットをタンパク質の濃度の関数としてフィットさせることにより得られる。
【0203】
HTS実験に用いられる化学物質ライブラリーは、Chem. Bridge Corporation(San Diego、CA)から入手され、330,000個の低分子化合物が、計算多様性および薬らしい性質分析により選択されている。溶解性プロフィール、LogP、イオン電荷、回転可能結合データ、極性表面積計算、およびヘテロ原子の数を含む様々なフィルターを用いることにより、30,000個の分子の多様なセットが選択される。これらの分子は、5mM濃度でDMSOに溶解されて96ウェルプレートに分配される。すべてのプレートは、低分子の同定の便宜上、バーコードを付けられる。
【0204】
一次スクリーニングの目的は、サバイビン-Hsp90相互作用を競合的に阻害する化合物を同定することである。上記の二重のFRET/FPアプローチを用いて、全ライブラリーは、迅速かつ便利にスクリーニングされ、ライブラリーからの300〜900個の分子に対応する、1〜3%の一次ヒット化合物を単離する。これらの一次ヒット化合物は、サバイビンペプチド様性質をもつリード分子を同定するように二次スクリーニングにおいて試験される。二次スクリーニングの特異性を増強するために、サバイビンペプチドへの結合の低下を示すN-ドメインHsp90突然変異体(SEQ ID NO:21のN51A、S52AまたはS113A置換変種)(Plescia et al.、Cancer Cell、7:457-68 (2005))が、野生型Hsp90と並行して試験される。
【0205】
三次スクリーニングとして、選択された化合物は、20mgスケールで個々に合成され、Hsp90の阻害についてのそれらのIC50値が測定される。2つの独立した実験読み出しは、三次スクリーニングにおいて並行して用いられる:(i)Hsp90のATP分解酵素活性の阻害(酵素抑圧アッセイ法)、および(ii)サバイビン-Hsp90相互作用の阻害(タンパク質-タンパク質相互作用アッセイ法)。実験の第一セットにおいて、増加する濃度の個々の化合物が、4μgの組換えHsp90の存在下においてMDCC標識リン酸結合タンパク質(PBP、1μM)の相対的蛍光発光の調節について96ウェルプレート形式で試験される。GA(60μM)は、これらの実験についての対照として用いられる。実験の第二セットにおいて、増加する濃度の選択された化合物は、網状赤血球抽出物(100μl)と混合され、組換えサバイビン(0.5μg)とインキュベートされ、さらに、対照IgGまたはHsp90に対する抗体で免疫沈降される。様々な化合物の存在下におけるサバイビンのHsp90への示差的結合は、ウェスタンブロッティングにより測定され、デンシトメトリーにより定量化される。網状赤血球抽出物のサバイビンペプチドまたはスクランブル化ペプチドとのプレインキュベーションは、対照として用いられる。
【0206】
実施例29:サバイビンペプチド-Hsp90相互作用の低分子アンタゴニストの確証
同定されたHsp90阻害化合物は、構造類似性に基づいて構造クラスへ、および相対的IC50値(結合親和性のおおまかな尺度)に基づいてHsp90機能の強いおよび弱いインヒビターへ、階層化される。化合物は、50mgスケールで個々に合成される。各構造クラスからの「最も強い」インヒビターが、最初に調製され、さらに、蛍光異方性によりHsp90へのそれらの結合親和性について特徴付けられる。これらの実験について、Hsp90結合性化合物は、フルオレセインで標識され、野生型または突然変異体N-ドメインHsp90へのそれらの結合親和性が測定される。様々なリンカー(6〜12炭素)が、化合物の活性が影響を及ぼされないように、色素と化合物の間に用いられる。または、Hsp90は、色素分子で標識され、非標識Hsp90結合性化合物がこれらの実験に用いられる。
【0207】
次に、確証された化合物は、細胞生存度およびアポトーシスへの効果について細胞に基づいた研究において試験される。これらの実験について、増加する濃度の様々な化合物は、AML細胞(1x107個/ml)を含む腫瘍細胞系または正常なヒト線維芽細胞と37℃で増加する時間区間(0.5〜36時間)、インキュベートされる。細胞は、トリパンブルー排除により原形質膜完全性、MTTにより細胞生存度、アミノトリフルオロメチルクマリン(AFC)蛍光分析によるリソソーム透過性、ならびにミトコンドリアの機能不全の測定、および、DEVDアーゼ活性/アネキシンVおよびPI標識の多パラメータのフローサイトメトリーによるアポトーシスについて示差的に分析される。
【0208】
Hsp90結合およびシャペロン機能の阻害に対する化合物の特異性がさらに調べられる。第一に、増加する濃度の化合物が、アフィニティークロマトグラフィーにより、γ-リン酸結合ATP-セファロースへのHsp90結合の競合的阻害について分析され、独立して、蛍光偏光によりHsp90対Hsp70への示差的結合について試験される。第二に、AML細胞を含む腫瘍細胞は、増加する濃度の選択された化合物とインキュベートされ、インキュベーションの0.5〜36時間目において収集され、ウェスタンブロッティングによりHsp90クライアントタンパク質、例えば、サバイビン、Akt、CDK-4、CDK-6、c-Raf-1、およびc-Src、の損失、ならびにHsp90免疫沈降物におけるTRAPアッセイ法によりテロメラーゼ活性について分析される。17-(アリルアミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)(5〜10μM)、または細胞透過性サバイビンペプチドもしくはスクランブル化ペプチドとインキュベートされた正常または腫瘍細胞系は、これらの確証実験についての対照として用いられる。
【0209】
実施例30:サバイビンペプチド-Hsp90相互作用の低分子アンタゴニストのインビボ試験
腫瘍細胞系への活性をもつ低分子サバイビンペプチド模倣体は、ヒトAML異種移植モデルにおいてインビボでの効力について試験される。HL-60細胞(5x106個)は、100μlの総容量で、滅菌PBS、pH7.4に懸濁され、8〜10週齢CB-17 SCID/ベージュマウス(20〜25g)の尾静脈へ注射される。動物は、疾患の一般的な徴候(麻痺、嗜眠、逆立つ毛)について毎日、視診されるが、それらは、移植から10〜14日間後、臨床的に明らかになり、処置されないままにされた場合には、3〜5週間で100%致死を引き起こす。骨髄移植を促進するために、動物は、線形加速装置から、前条件づけ致死下照射線量(350R)を受ける。脾臓および骨髄におけるHL-60細胞蓄積は、再構成後1週間毎に、ヒトHLAに対する抗体での免疫細胞化学により測定される。移植時点において、動物は、腹腔内に投与される用量(0.01〜50mg/kg)での短期間(15日間)または長期間(50日間)の投与計画を用いて低分子サバイビンペプチド模倣体を受ける。対照動物は、生理食塩水を注射される。効力は、対照動物に対する処置された動物の生存率の増加により測定される。
【0210】
他の態様
本発明は、その詳細な説明と共に記載されているが、前述の説明は、例証することを意図され、本発明の範囲を限定することを意図されず、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲の範囲により定義される。他の局面、利点および改変は、特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1】図1Aは、抗サバイビン抗体を固定化したセファロースのカラムを結合した細胞可溶化物タンパク質の免疫ブロットの画像である。カラムの大規模な洗浄後、結合したタンパク質は溶出され、溶出された画分におけるタンパク質は、示された抗体を用いて同定された。図1Bは、サバイビン抗体または対照の非結合IgG抗体で免疫共沈降したタンパク質の免疫ブロットの画像である。SおよびPは、それぞれ、上清および免疫沈降されたペレットを示す。図1Cは、インビボのプルダウン実験の結果を示す免疫ブロットの画像である。免疫ブロットは、Hsp90が、サバイビンと結合したセファロース(商標)(「サバイビン」)により細胞抽出物から免疫沈降されたが、セファロース(商標)単独(「セファロース」)によっては免疫沈降されなかったことを示している。細胞はペレットまたは上清(反応の25%)で処理され、示されているように、抗Hsp90を用いて分析された。
【図2】図2Aおよび図2Bは、固定化サバイビン基質に結合したHsp90(図2A)および固定化Hsp90基質に結合した野生型サバイビン(図2B)を示したELISA実験の結果を定量化するグラフである。対照的に、サバイビン点突然変異体C84AはHsp90に結合しなかった(図2B)。
【図3】図3Aは、インビトロのプルダウン実験の結果を示す免疫ブロットの画像である。免疫ブロットは、Hsp90のN末端ATP分解酵素含有ドメインがサバイビン結合型セファロース(商標)に結合したが、Hsp90のN末端ドメインの下流の配列はサバイビン結合型セファロース(商標)に結合しなかったことを示す。図3Bは、インビボでHsp90のFLAG結合型ドメインで免疫共沈降したタンパク質の免疫ブロットの画像である。画像は、サバイビンが、Hsp90のN末端ドメインでのみ免疫共沈降し、Hsp90のN末端ドメインの下流の部分に結合しなかったことを示す。
【図4】図4Aは、cIAP1、cIAP2、およびXIAPがHsp90で免疫共沈降することを示す免疫ブロットの画像である。図4Bは、インビトロのプルダウン実験の結果を示す免疫ブロットの画像である。免疫ブロットは、cIAP1、cIAP2、XIAP、および3つのバキュロウイルスリピート(BIR)ドメインのみを含む切り詰められたXIAP(t-XIAP)が、GST-Hsp90融合タンパク質に結合したことを示す。
【図5】図5Aは、IAPタンパク質が、示された濃度で24時間、ゲルダナマイシン(GA)で処理されたHeLa細胞抽出物において分解したことを示す免疫ブロットの画像である。図5Bは、サバイビンがプロテアソームインヒビターのラクタシスチンの存在によりGA媒介性分解から保護されたことを示す免疫ブロットの画像である。図5Cは、XIAPがプロテアソームインヒビターのラクタシスチンによりGA媒介性分解から保護されたこと、およびXIAPがカスパーゼインヒビターZ-Val-Ala-Asp(OMe)-CH2F(ZVAD-fmk)によりGA媒介性分解から保護されなかったこと示す免疫ブロットの画像である。
【図6】XIAPの第一BIRドメインがGST-Hsp90に結合したことを示す免疫ブロットの画像である。
【図7】ELISA実験において測定された場合の、示されたサバイビン断片ペプチドのHsp90-サバイビンタンパク質-タンパク質相互作用への阻害効果を示す棒グラフである。
【図8】図8Aは、mAb 8E2がGST-Hsp90とのサバイビンのタンパク質-タンパク質相互作用を阻害したが、mAb 58がそのような阻害効果を生じなかったことを示すサバイビンについての免疫ブロットの画像である。図8Bは、mAb 8E2の細胞内負荷がサバイビン発現の下方制御を誘導したことを示す免疫ブロットである。免疫ブロットの定量化は下に示されている。
【図9】図9Aは、免疫ブロット挿入画像と共のグラフである。グラフは、mAb 8E2または対照IgGを負荷された細胞のフローサイトメトリーにより測定された場合のカスパーゼ基質の蓄積によりカスパーゼ活性を定量化する。細胞は、テトラサイクリンの非存在下(Tet-)においてサバイビンを発現させるが、存在下(Tet+)において発現させない。データは、テトラサイクリン誘導性系(Tet-オフ系)を用いるサバイビンの過剰発現が、抗体8E2の細胞内負荷により誘導されたアポトーシスの誘導に打ち勝つことができることを実証している。免疫ブロットの挿入画像は、mAb 8E2がカスパーゼ9切断、アポトーシスの誘導の指標、を誘導したことを示す。図9B、図9Cおよび図9Dは、それぞれが、示された抗体を負荷された細胞を示している、400x倍率での3枚の顕微鏡写真のシリーズである。図9Bは、対照IgGを負荷された細胞を示す。図9Cは、mAb 8E2を負荷された細胞を示す。図9Dは、mAb 58を負荷された細胞を示す。mAb 8E2を負荷された細胞は、矢印によりマークされた細胞において多核化(サバイビン機能の喪失または調節解除と関連した有糸分裂欠陥の特徴)を誘導した(図9C)。図9Eは、mAb 8E2、mAb 58、またはIgGを細胞内に負荷された細胞における有糸分裂欠陥を定量化するグラフである。
【図10】図10Aは、アフィニティークロマトグラフィー実験の結果を示す免疫ブロットである。免疫ブロットは、Hsp90およびHsp70ならびに関連したタンパク質Aktが、示されたサバイビンペプチド(Ile74位〜Leu87位)アフィニティーカラムに結合したが、Hsp27がサバイビンペプチドカラムに結合しなかったことを示している。図10Bは、プラズモン共鳴により測定された場合の、Hsp90結合部位を含むサバイビンペプチド(Ile74位〜Leu87位)のHsp90との会合を示すグラフである。図10Cは、ELISA実験により定量化された場合の、サバイビンペプチド(K79位〜L87位)のHsp90に結合する能力へのアラニンスキャニング突然変異誘発の効果を示すグラフである。それぞれの示されたサバイビンペプチド突然変異体は、マイクロタイタープレート上に固定化され、Hsp90に結合する能力について試験された。
【図11】図11Aは、サバイビンペプチド(サバイビン)およびスクランブル化対照ペプチド(対照)の細胞透過性型とインキュベートされた細胞の位相差および蛍光顕微鏡画像を示す顕微鏡写真である。バーの各ペアにおいて、左バーがサバイビンを表し、右バーが対照を表す。図11Bは、図11Aに描かれた実験の結果を定量化するグラフであり、対照およびサバイビンペプチドが細胞へ効率的に内部移行されたことを確認している。
【図12】図12Aは、サバイビンペプチドまたはスクランブル化対照ペプチドの細胞透過性型の示された濃度に曝露された細胞に関するフローサイトメトリー実験の結果を記録するグラフである。結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドがアポトーシスを誘導したことを示している。図12Bは、フローサイトメトリーにより測定された場合の、アポトーシスを誘導する、サバイビン細胞透過性ペプチドおよび示された化学療法剤の能力を比較するグラフである。結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドが、化学療法剤よりアポトーシスを誘導するにおいて、より効果的であったことを示した。
【図13】X軸においてカスパーゼ活性(アポトーシスを示す)を定量化する多パラメータのフローサイトメトリー結果、およびY軸において原形質膜完全性の喪失(細胞死を示す)を描く。結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドが、HeLa細胞において、スクランブル化対照ペプチドより効率的に細胞死を誘導することを示している。
【図14】X軸においてカスパーゼ活性(アポトーシスを示す)を定量化する多パラメータのフローサイトメトリー結果、およびY軸において原形質膜完全性の喪失(細胞死を示す)を描く。結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドが、MCF-7細胞において、スクランブル化対照ペプチドより効率的に細胞死を誘導することを示している。
【図15】X軸においてカスパーゼ活性(アポトーシスを示す)を定量化する多パラメータのフローサイトメトリー結果、およびY軸において原形質膜完全性の喪失(細胞死を示す)を描く。結果は、サバイビン細胞透過性ペプチドが、野生型p53対立遺伝子をもつHCT116細胞においておよび不活性化p53対立遺伝子をもつHCT116細胞においての両方で、スクランブル化対照ペプチドより効率的に細胞死を誘導することを示している。
【図16】サバイビン細胞透過性ペプチドまたはスクランブル化細胞透過性対照ペプチドの増加する濃度を負荷された細胞からの細胞抽出物の免疫ブロットの画像である。免疫ブロットは、サバイビン細胞透過性ペプチドが、サバイビンおよびAKTの発現(安定性)を減少させたことを示している。
【図17】示された腫瘍細胞系(HeLa、MDA-MB231、MCF-7、およびPANC-1)の細胞生存度への、レトロ-反転サバイビン細胞透過性ペプチド(P3)および対照ペプチド(P4)の増加する濃度の効果を比較するグラフである。
【図18】レトロ-反転サバイビン細胞透過性(P3)ペプチドまたは対照(P4)ペプチドで処理された、示された腫瘍細胞系の顕微鏡画像のシリーズである。
【図19】〜20,000個の乳癌MCF-7細胞が、P31サバイビンペプチドまたは対照スクランブル化ペプチドの示された濃度を含む培地に懸濁されている、軟寒天組織培養プレートの画像である。
【図20】サバイビン細胞透過性(P3)ペプチドが、腫瘍容量(y軸)により測定される場合、腫瘍増殖を阻害するにおいて生理食塩水対照より効果的であったことを示す、インビボ腫瘍形成実験の結果を記録するグラフである。
【図21】細胞透過性サバイビンペプチド誘導体および対応するスクランブル化対照のリストである。野生型(フォワード)サバイビンアミノ酸側鎖配列および対応するスクランブル化配列は、下線を引かれ、それらのそれぞれの「レトロ-反転」配列も同様である。配列における「X」はEAHX、ヘキサン酸スペーサー、を示す。
【図22】図22Aおよび図22Bは、腫瘍細胞系(図22A)および正常細胞系(図22B)へのサバイビンペプチド(P31;黒塗りの記号)および対照ペプチド(P33;白抜きの記号)の効果を示すグラフである。
【図23】アネキシンV標識(X軸、アポトーシスのマーカー)およびヨウ化プロピジウム染色(Y軸、細胞死のマーカー)を定量化する多パラメータのフローサイトメトリー結果を描く。結果は、サバイビンペプチドが、用量依存的様式でアポトーシスを誘導するが、対照ペプチドは効果がないことを示している。
【図24】図24Aおよび図24Bは、ELISA実験により定量化された場合の、Hsp90のN末端(図24A)およびC末端(図24B)ドメインへのサバイビンペプチドの結合を示す(対照ペプチドと比較した)グラフである。
【図25】図25Aおよび図25Bは、サバイビンペプチドの分子モデルである。図25Aは、溶液中においてβ-ターン優性高次構造を示すレトロ-反転サバイビンK79位〜L87位配列のエネルギー最小化推定構造を描く。図25Bは、分子モデリングにより予想される場合の、Hsp90のATP分解酵素ポケットにおけるレトロ-反転サバイビンK79位〜L87位ペプチドのドッキングを描く。
【図26】図26Aは、サバイビンペプチドで処理された細胞におけるサバイビン、AKT、CDK-6、Hsp90、Hsp70、およびPCNAについての免疫ブロットの再生である。図26Bは、サバイビンペプチドで処理された細胞の免疫沈降物においてテロメラーゼ活性を検出するためのTRAPアッセイ法の結果の再生である。反応なしと表示されたレーンにおいて、細胞抽出物は加えられなかった。R8、外部定量標準;ITAS、内部増幅標準。
【図27】図27Aは、生理食塩水またはサバイビンペプチドでの11日間の処理に渡る腫瘍容量を描くグラフである。図27Bは、腫瘍細胞の免疫蛍光顕微鏡写真である。蛍光はサバイビンペプチドの存在を示す。
【図28】示された時間区間、生理食塩水またはサバイビンP3ペプチド(50mg/kg/毎日)(6動物/群)を腹腔内に注射された、MCF-7細胞由来の腫瘍を有するマウスにおける腫瘍増殖を描くグラフである。線は個々の動物に対応する。
【図29】図29Aは、AML細胞におけるサバイビンのレベルを描く免疫ブロットの再生である。図29B〜29Dは、サバイビンペプチドによるAML細胞の殺害を描くグラフである。図29Bは、トリパンブルー排除により測定された、HL-60細胞におけるサバイビンペプチド活性を描く。図29Cおよび29Dは、完全長サバイビンペプチド(SEQ ID NO:19)、サバイビンペプチドK79位〜G83位(SEQ ID NO:20)、またはスクランブル化ペプチド(SEQ ID NO:25およびSEQ ID NO:28)によるHL-60(図29C)またはTHP-1(図29D)細胞の、MTTを用いて測定された場合の、殺害を描く。
【図30】AML細胞におけるサバイビンK79位〜G83位の殺害活性を描くグラフである。示されたヒトAML細胞系(U937、K562、HL60、およびTHP1)は、スクランブル化(SEQ ID NO:28)またはサバイビン(SEQ ID NO:20)ペプチドとインキュベートされ、MTTにより細胞生存度について評価された。
【図31】ELISAにより測定された、サバイビンペプチドによるHsp90結合を描くグラフである。データは、2つの独立した実験の平均±S.D.である。
【図32】FRETおよび/またはFP方法において用いるフルオレセインおよびローダミンに結合したサバイビンペプチドの分子構造の描写である。FP方法について、サバイビンペプチドは、そのフルオロフォアのうちの1つのみに結合されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5アミノ酸配列His-Ser-Ser-Gly-Cys(SEQ ID NO:2)を含み、かつHsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する11アミノ酸またはそれ未満の単離されたサバイビンペプチド断片。
【請求項2】
9アミノ酸またはそれ未満である、請求項1記載のペプチド断片。
【請求項3】
ポリペプチドの細胞透過性を増強するペプチド内部移行配列に連結した請求項1または2記載のペプチド断片を含む、Hsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する単離されたポリペプチド。
【請求項4】
内部移行配列が以下からなる群より選択される配列である、請求項3記載のペプチド:Tat配列、アンテナペディア配列、トランスポーチン配列、またはトランスポータン(transportan)配列。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチド断片またはポリペプチドのペプチドのペプチド模倣体型。
【請求項6】
ペプチド模倣体が以下の特徴の1つまたは複数をもつ、請求項5記載のペプチド模倣体:
(a)ペプチド模倣体が、ペプチドのアミノ酸のアミノからカルボキシルへの順序が逆になっている配列を含むレトロ-ペプチドであるという特徴;
(b)ペプチド模倣体が、L-アミノ酸の代わりに1つまたは複数のD-アミノ酸を含む反転ペプチドであるという特徴;および
(c)ペプチド模倣体が、1つまたは複数の人工アミノ酸類似体を含むという特徴。
【請求項7】
以下の段階を含む、腫瘍増殖のインヒビターを作製する方法:
請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドであるリード化合物を得る段階;
候補アポトーシス誘導性化合物に構造的に類似している試験作用物質を開発するために医薬品化学を用いる段階;
任意で、試験作用物質が腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを測定する段階;および
腫瘍増殖のインヒビターを調製するように試験作用物質を薬学的担体と製剤化する段階。
【請求項8】
以下の段階を含む、候補アポトーシス誘導性化合物を同定する方法:
試験化合物、Hsp90ペプチド、およびアポトーシス阻害タンパク質(IAP)ペプチドを、相互作用を可能にするのに十分な条件下および時間、いっしょに混合する段階;ならびに
試験化合物が、Hsp90ペプチドとIAPペプチドの間の相互作用を阻害するかどうかを検出する段階であって;
Hsp90ペプチドとIAPペプチドの間の相互作用を阻害する試験化合物が、候補アポトーシス誘導性化合物である、段階。
【請求項9】
IAPペプチドがサバイビンペプチドである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
相互作用が結合することである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
IAPペプチドがサバイビンペプチドであり、かつサバイビンペプチドおよびHsp90ペプチドの両方が細胞中である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
細胞が腫瘍細胞である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
以下の段階を含む、腫瘍増殖のインヒビターを作製する方法:
請求項8〜12のいずれか一項記載の方法を行う段階;
候補アポトーシス誘導性化合物に構造的に類似している試験作用物質を開発するために医薬品化学を用いる段階;
任意で、試験作用物質が腫瘍細胞増殖を阻害するかどうかを測定する段階;および
腫瘍増殖の低分子インヒビターを調製するように試験作用物質を薬学的担体と製剤化する段階。
【請求項14】
以下の段階を含む、アポトーシス誘導剤を同定する方法:
請求項8〜12のいずれか一項記載の方法により同定された候補アポトーシス誘導性化合物と腫瘍細胞を接触させる段階;および
アポトーシスの1つもしくは複数のマーカーの存在または非存在を検出する段階であって;
細胞を1つまたは複数のアポトーシスマーカーを示すようにさせる候補アポトーシス誘導性化合物がアポトーシス誘導剤である、段階。
【請求項15】
以下の段階を含む、腫瘍増殖のインヒビターを同定する方法:
請求項8〜12のいずれか一項記載の方法により同定された候補アポトーシス誘導性化合物と1つまたは複数の腫瘍細胞を接触させる段階;および
腫瘍細胞の増殖を測定する段階であって;
その化合物に接触していない1つまたは複数の腫瘍細胞の増殖と比較して、腫瘍細胞の増殖を阻害する候補アポトーシス誘導性化合物が、腫瘍増殖のインヒビターである、段階。
【請求項16】
以下の段階を含む、被験体において腫瘍を処置する方法:
腫瘍についての処置を必要としている被験体を同定する段階;および
請求項1〜6のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項7もしくは8記載のペプチド模倣体を含む薬学的組成物を被験体に投与する段階。
【請求項17】
以下の段階を含む、被験体において腫瘍を処置する方法:
腫瘍についての処置を必要としている被験体を同定する段階;ならびに
請求項8〜12、14および15のいずれか一項記載の方法により同定された化合物または作用物質を含む薬学的組成物を被験体に投与する段階。
【請求項18】
被験体に投与される化合物または作用物質が、Hsp90とサバイビンの間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害するサバイビンに対する抗体である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドへ特異的に結合する抗サバイビン抗体。
【請求項20】
請求項1〜4のいずれか一項記載のペプチドをコードする核酸。
【請求項21】
請求項20記載の核酸を含む細胞。
【請求項22】
請求項5または6記載のペプチド模倣体へ特異的に結合する抗サバイビン抗体。
【請求項23】
アミノ酸配列

を含む、請求項2記載のペプチド。
【請求項24】
化合物がアミノ酸配列

を含むポリペプチドである、請求項4記載のペプチド。
【請求項25】
D-アミノ酸配列

を含む、請求項6記載のペプチド模倣体。
【請求項26】
以下からなる群より選択される、請求項1記載のペプチド:


【請求項27】
アミノ酸配列

を有する、Hsp90に結合する、単離されたXIAPペプチド。
【請求項28】
請求項1〜6のいずれか一項記載のペプチドまたはペプチド模倣体の有効量を細胞へ導入する段階を含む、細胞においてサバイビンポリペプチドと熱ショックタンパク質Hsp90の間のタンパク質-タンパク質相互作用を阻害する方法。
【請求項29】
被験体における腫瘍の処置に用いる請求項1〜4、23、24および26のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項30】
被験体における腫瘍の処置に用いる請求項5、6および25のいずれか一項記載のペプチド模倣体。
【請求項31】
被験体における腫瘍の処置のための薬学的組成物の調製での、請求項1〜4、23、24および26のいずれか一項記載のペプチドの使用。
【請求項32】
被験体における腫瘍の処置のための薬学的組成物の調製での、請求項5、6および25のいずれか一項記載のペプチド模倣体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2008−515385(P2008−515385A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522704(P2007−522704)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/025755
【国際公開番号】WO2006/014744
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505231659)ユニバーシティ オブ マサチューセッツ (23)
【Fターム(参考)】