説明

ICカード、ICカードが搭載された端末機及びその初期化方法

本発明によれば、ICカード及びICカードが搭載された端末機が提供される。本発明の一実施例によるICカードは、メモリと、一対のRF接点及び少なくとも1つの通信接点を含む複数の接点と、低速通信プロトコル及び高速通信プロトコルのうち何れか1つを選択し、RF接点及び選択された通信プロトコルにより決められた通信接点のうちの何れか1つから入力された命令に応じてメモリに記録されたデータを処理し、それに対応する応答を出力するマイクロプロセッサと、通信接点を通して命令及び応答を高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースと、通信接点を通して命令及び応答を低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、選択された通信プロトコルにより決められた通信接点を低速インターフェースと高速インターフェースのうち何れか1つに接続させる接点割当部と、を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカード及びICカードが搭載された端末機に関するもので、より詳細には、通信方式に応じてICカードの接点を再割り当てする方式に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、RF通信機能を備えたICチップのピン構成を示す図であり、図2は、USB及びMMCインターフェースを備えたICチップのピン構成を示す図である。従来のICチップは、ISO−7816に規定されている8ピン(以下、ISO8ピンという)のうち、図1に示すように、1つの接触データピンと2つのRFピンとを用いて接触式(Contact)及び非接触式(Contactless)通信を1つのICチップで使用することができた。一方、接触式の場合、図2に示すように、高速通信(例えば、USB(Universal Serial Bus)(図2の(A))またはMMC(multi‐media Card)(図2の(B)))のインターフェース(以下、I/F)の支援のために、既存のISO−7816による8ピンを使用する方案としてETSIにより標準化が進行中である。表1及び表2には、USB I/Fが適用されたICチップのピン機能及びMMC I/Fが適用されたICチップのピン機能が説明されている。
【0003】
【表1】

【0004】
ピンC1はICチップの駆動に必要とされる供給電圧を受信し、ピンC2はリセット信号(RST;Reset)の印加を受け、ピンC3はクロック信号(CLK;Clock)の印加を受け、ピンC5は接地参照電圧(GRD;Ground)であり、C6は無線SWP(Single Wire Protocol)信号または可変供給電圧の印加を受け、ピンC7はデータ入力/出力のための接点である。ここで、無線SWPのためのピンC6は、交通カードのように超近距離無線通信(Near Field Communication)を支援するICチップである場合、ICチップの外部に備えられている超近距離無線通信モジュールとの通信のための接点である。超近距離無線通信は、赤外線(Ir)やブルートゥース(Bluetooth)のように、13.56MHzのローカルチャンネルを用いる。ピンC4とC8とは、USB I/Fのための接点である。
【0005】
【表2】

【0006】
ピンC1はICチップの駆動に必要とされる供給電圧を受信し、ピンC2はICチップのリセット信号(RST;Reset)の印加を受け、ピンC3はICチップの駆動に必要とされるクロック信号(CLK;Clock)の印加を受け、ピンC5は共通接地参照電圧(GRD;Ground)のための接点であり、ピンC6はMMC I/Fのためのクロック信号の印加を受け、ピンC7はICチップのデータ入力/出力のための接点である。ピンC4とC8とは、MMC I/Fのための接点である。
【0007】
しかし、現在提案されている8つのピンを使用したMMCやUSB I/Fの場合には、RFのための2つの接点の余裕がないので、非接触式と接触式を同時に支援することができないという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、接触式の高速通信と非接触式の無線通信とを両方とも支援するICカード及びICカードが搭載された端末機を提供することにある。本発明によるICカードは、標準に従うピン配列を維持できるようにする。
【0009】
本発明の他の目的は、高速通信時に、端末とICカードとの間の新たな通信方式を提供することにある。すなわち、ICカードの固有機能を行うための通信時に高速インターフェースを用いた通信方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、ICカードが提供される。
【0011】
本発明の一実施例によるICカードは、メモリと、一対のRF接点及び少なくとも1つの通信接点を含んだ複数の接点と、低速通信プロトコル及び高速通信プロトコルのうち何れか1つを選択し、上記RF接点及び上記選択された通信プロトコルにより決定された上記通信接点のうちの何れか1つから入力された命令により上記メモリに記録されたデータを処理し、それに対応する応答を出力するマイクロプロセッサ、上記通信接点を通して上記命令及び上記応答を上記高速通信プロトコルにより通信する高速インターフェースと、上記通信接点を通して上記命令及び上記応答を上記低速通信プロトコルにより通信する低速インターフェースと、上記選択された通信プロトコルにより決定された上記通信接点を上記低速インターフェース及び上記高速インターフェースのうちの何れか1つに接続させる接点割当部と、を含むことができる。
【0012】
ここで、上記複数の接点は、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、上記低速通信プロトコルでの上記通信接点はC7であり、上記高速通信プロトコルでの上記通信接点はC6及びC7であることができる。
【0013】
一方、上記高速通信プロトコルは、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つであってもよい。
【0014】
また、上記高速インターフェースは、上記低速通信プロトコルに関連した上記応答を上記高速通信プロトコルに対して互換可能なデータトークンに変換(Encapsulation)し、上記高速通信プロトコルに対して互換可能なデータトークンを上記低速通信プロトコルに関連した上記命令に還元(カプセル解除 Decapsulation)することができる。
【0015】
上記マイクロプロセッサは、リセット信号(RST)に対する応答であって、支援高速通信プロトコル情報を応答信号(ATR;Answer to Reset)に挿入できる。
【0016】
ここで、上記メモリは、フラッシュメモリを含むことができる。
【0017】
上記接点割当部は、初期化過程で上記低速通信プロトコルに対応する接続状態を維持する。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、ICカードが搭載された端末機が提供される。
【0019】
本発明の一実施例による端末機は、RFアンテナと、一対のRF接点及び少なくとも1つの通信接点を含んだ複数の接点を備え、低速通信プロトコル及び高速通信プロトコルを選択的に支援し、選択された通信プロトコルにより上記通信接点を決定するICカードと、上記RF接点と上記RFアンテナとの間の電気的接続を提供し、上記選択された通信プロトコルにより決定された通信接点を通して上記ICカードと通信するインターフェース装置と、を含むことができる。
【0020】
ここで、上記通信プロトコルは上記ICカードと上記インターフェース装置との間の初期化過程で選択され、上記高速通信プロトコルはUSB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つであることができる。
【0021】
本発明の他の実施例による端末機は、RFアンテナと、上記RFアンテナに結合された一対のRF接触端子及びICカードの通信接点に対応する少なくとも1つの通信接触端子を含む複数の接触端子を備えたICカードソケットと、上記通信接触端子を通して上記ICカードと低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、上記通信接触端子を通して上記ICカードと高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースと、選択された通信プロトコルにより上記通信接触端子を上記低速インターフェース及び上記高速インターフェースのうちの何れか1つに接続させる接触端子割当部と、を含むことができる。
【0022】
ここで、上記高速インターフェースは、上記低速通信プロトコルに関連し、上記ICカードに転送される命令を上記高速通信プロトコルによりデータトークンに変換し、上記高速通信プロトコルにより受信されたデータトークンを上記低速通信プロトコルに関連した応答に還元することができる。
【0023】
一方、上記接触端子割当部は、初期化過程で上記低速通信プロトコルに対応する接続状態を維持する。
【0024】
また、上記低速インターフェースは、リセット信号(RST)に対する応答として受信した応答信号(ATR)から、上記ICカードが高速通信プロトコルを支援するか否かを確認し、上記低速インターフェースは、上記接触端子割当部が上記高速インターフェースに接続されるように制御することができる。ここで、上記高速インターフェースは、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つにより動作することができる。
【0025】
また、上記複数の接触端子は、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、上記低速通信プロトコルでの上記通信接触端子は上記ICカードの通信接点C7に対応する接触端子であり、上記高速通信プロトコルでの上記通信接触端子は上記ICカードの通信接点C6及びC7に対応する接触端子であることができる。
【0026】
本発明のまた他の実施形態によれば、ICカードの初期化方法が提供される。
【0027】
本発明の一実施例による端末と、低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースとを含んだICカードの初期化方法は、上記低速インターフェースを通して上記端末からリセット信号(RST)を受信し、上記低速インターフェースを通して上記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報を応答信号(ATR)に挿入して上記端末に転送し、上記応答信号(ATR)に対する応答により通信接点を上記低速インターフェース及び上記高速インターフェースのうちの何れか1つに接続させるステップを含むことができる。
【0028】
ここで、上記応答信号(ATR)に対する上記端末からの応答は、上記端末が支援する高速通信プロトコル情報を含む。
【0029】
また、ICカードの初期化方法は、上記応答信号(ATR)に対する応答時間を設定し、上記応答時間を超過すれば、上記低速インターフェースと上記通信接点との間の接続を維持することができる。
【0030】
上記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報は、上記応答信号(ATR)のTDiインターフェース文字の下位ビットに挿入される。
【0031】
上記高速通信プロトコルは、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つであることがよい。
【0032】
本発明のまた他の実施形態によれば、ICカードが搭載された端末の初期化方法が提供される。
【0033】
本発明の一実施例によるICカードと、低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースとを含んだ端末の初期化方法であって、上記低速インターフェースを通して上記端末にリセット信号(RST)を転送し、上記低速インターフェースを通して受信した応答信号(ATR)から上記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報を抽出し、上記低速インターフェースを通して上記端末が支援する高速通信プロトコル情報を含んだ通信プロトコル変更要求を転送し、上記通信プロトコル変更要求に対する応答により通信接点を上記低速インターフェース及び上記高速インターフェースのうちの何れか1つに接続させるステップを含む端末の初期化方法が提供される。
【0034】
ここで、上記高速通信プロトコルは、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つであることがよい。特に、上記初期化過程は、上記低速通信プロトコルにより行われることが好ましい。
【0035】
上記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報は、上記応答信号(ATR)のTDiインターフェース文字の下位ビットに挿入され、これに対する応答の通信プロトコル変更要求は、上記高速通信プロトコルによる通信に使用される通信接点に関する情報をさらに含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面に基づいて説明する。以下ではMMC通信プロトコルを採用した実施例を中心に説明するが、本発明の技術的思想はICカードと端末との間の高速通信プロトコルを支援し、このために通信接点を変更する場合には、高速通信プロトコルの種類に制限されずに適用できることは自明なことである。
【0037】
図3は本発明の好ましい実施例によるICカードを示す構成図である。本発明によるICカードは、ISO7816標準に従って端末と接触式通信を、ISO−14443標準に従って外部端末(例えば、ATM(Automated Teller Machine))と非接触式通信を行い、追加的にフラッシュメモリのような固体記憶素子を含み、端末高速インターフェースを通して外部と通信することができる。また、ICカードは、SIM(Subscriber Identity Module)、USIM(Universal Subscriber Identity Module)、UIM(User Identity Module)、R−UIM(Removable User Identity Module)などの移動通信加入者識別用ICチップ及び金融チップなどの電子商取引用ICチップのうちの何れか1つであってもよい。
【0038】
本発明の好ましい実施例によるICカードは、移動通信加入者識別機能または電子商取引の認証/支払い機能を行うスマートカードとしての動作を行い、また、付加さらた固体記憶素子を用いた端末の外部格納装置としての動作も行う。これを区分するために、スマートカードとして動作する場合を基本作業といい、外部格納装置として動作する場合を拡張作業という。
【0039】
端末はICカードを収容し、収容されたICカードとの通信を行うインターフェース装置(IFD;Interface Device)とRFアンテナとを含む。ここで、端末は携帯電話のような移動通信端末機を含む。インターフェース装置は、物理的にはID−1のテスト規格であるISO−10373から、電気的にはISO7816‐3から要求されるICカードとの電気的な相互運用性とを満足する。さらに、インターフェース装置はICカードと本発明による高速通信を行う。インターフェース装置は、ICカードの接点に対応する位置に複数の接触端子が配列されているICカードを収容するICカードソケットを含み、接触端子中、C4及びC8の接点と電気的に接続する一対の接触端子はRFアンテナに結合される。RFアンテナは、ループアンテナまたはマイクロストリップライン(Micro‐strip line)アンテナであることが好ましい。また、インターフェース装置は、ICカードとISO7816標準に従うAPDUを交換するICカードリーダ及び高速通信データを交換する端末高速インターフェースを含む。以下では、ISO7816に応じて端末‐ICカード間にAPDUを交換して通信する方式を低速通信プロトコルといい、USBやMMCのような通信プロトコルを用いてトークン/パケットを交換する通信方式を高速通信プロトコルという。ここで、低速通信プロトコルは通信方式だけではなく、ICカードの基本作業の遂行も含むものと解釈すべきである。同じく、高速通信プロトコルも通信方式だけではなく、ICカードの拡張作業の遂行も含むものと解釈すべきである。
【0040】
ICカードの表面には、複数の接点100a〜100hが形成されている金属パッド100が位置する。複数の接点100a〜100hの数やレイアウトは、ISO7816標準に従う。本実施例での接点C1,C2,C3,C5,C6,C7は、端末から信号を受信して必要な処理を行う接触式動作に用いられ、接点C4,C8はRFアンテナを通して外部端末から信号を受信して必要な動作を行う非接触式動作に用いられる。本発明でのICカードは、初期化過程で異なる通信プロトコルで動作することになるので、各接点の機能は初期化過程により決められる。
【0041】
【表3】

【0042】
表3は、初期化過程で高速通信プロトコルを支援しない端末での低速通信プロトコルで動作するICカードの各接点の機能を示している。接点C1の100aはICチップの駆動に必要とされる供給電圧を受信し、接点C2の100bはリセット信号の印加を受け、接点C3の100cはICカード駆動に必要とされるクロック信号の印加を受け、接点C5の100eは接地参照電圧であり、接点C6の100fはプログラミング電圧Vppの印加を受け、接点C7の100gは低速通信時のデータ入力/出力のための通信接点である。接点C4,C8の100d,100hは端末内部に含まれているRFアンテナによる無線通信するためのRF接点である。
【0043】
【表4】

【0044】
表4は、高速通信プロトコルを支援する端末にて動作するICカードの各接点の機能を示している。接点C1の100aはICチップの駆動に必要とされる供給電圧を受信し、接点C2の100bはリセット信号の印加を受け、接点C3の100cはICカード駆動に必要とされるクロック信号の印加を受け、接点C5の100eは接地参照電圧の印加を受ける。接点C6の100fと接点C7の100gは高速通信のための通信接点である。接点C4,C8の100d,100hは端末内部に含まれているRFアンテナによる無線通信するためのRF接点である。本実施例で、ICカード駆動のために接点C3の100cを通して印加される基準クロックは、高速通信プロトコルで動作するためにも用いられる。通常ICカードの基準クロックは1MHz〜5MHzであり、MMCプロトコルの基準クロックは0〜20MHzである。
【0045】
接点割当部110は、カード高速インターフェース120のデータ入出力端子及びICカードインターフェース125のデータ入出力端子にそれぞれ結合され、初期化過程で通信接点をカード高速インターフェース120またはICカードインターフェース125に接続させる。接点割当部110の接続状態の変更動作はマイクロプロセッサ130の制御により行われる。低速通信プロトコルで動作時のデータ入/出力は1つの接点で可能になるので、通信接点はC7となり、高速通信プロトコルで動作時には、通常2つの接点で通信するので、通信接点はC6及びC7となる。例えば、USBプロトコルの場合には、DPとDM信号を入出力する接点が必要になり、MMCプロトコルの場合には、コマンド(CMD)とデータ(DAT)を入出力する接点が必要になる。
【0046】
図4及び図5を参照して、初期化過程を通した接点割当部110の接続状態の変更動作を簡略に説明する。初期化時の接点割当部110は、基本的にICカードインターフェース125に接続している。ICカードが端末に挿入されると、端末はこれを認識してリセット信号(RST)をICカードの接点C2に印加することになり、初期化過程が始まる。リセット信号に対する応答として、ICカードは応答信号(ATR)を端末に転送する。マイクロプロセッサ130と端末との間の初期化過程後、高速通信プロトコルを支援する端末であると認識されると、接点割当部110とマイクロプロセッサ130との間の接続は切られ、カード高速インターフェース120と接続するようになり、これにより、端末−ICカード間は高速通信プロトコルで通信することができるようになる(図5参照)。高速通信プロトコルを支援しない端末であると認識された場合には、接点割当部110はICカードインターフェース125との接続を維持し、端末−ICカード間は低速通信プロトコルで通信することができるようになる(図4参照)。
【0047】
カード高速インターフェース120は、端末との高速通信を担当し、高速通信プロトコルを支援する端末との初期化後、接点割当部110により通信接点C6,C7に接続されると、マイクロプロセッサ130及びフラッシュメモリ140aから出力された端末の命令に対する応答を、高速通信プロトコルのフォーマットに変換して端末に転送し、端末からのデータまたは命令を、フラッシュメモリ140aまたはマイクロプロセッサ130に伝達する。一実施例では、カード高速インターフェース120はフラッシュメモリ140aデータの読み取り/書き込みを行うこともできる。カード高速インターフェース120は、USB1.1/2.0、または、MMC3.31/4.1通信プロトコルのうちの何れか1つを支援する。
【0048】
ICカードインターフェース125は、低速通信プロトコルで通信時、マイクロプロセッサ130から出力されたAPDU(Application Protocol Data Unit)をTPDU(Transmission Protocol Data Unit)に変換して、接続されている通信接点を通して転送し、端末から受信されたTPDUをAPDUに変換してマイクロプロセッサ130に伝達する接触式インターフェース機能を行う。
【0049】
マイクロプロセッサ130は、端末からの命令に応じてICカードの基本作業を行い、ICカードの初期化時、端末とのプロトコル交渉により通信プロトコルを決定して接点割当部110を制御し、カード高速インターフェース120を通して端末との通信ができるようにする。すなわち、マイクロプロセッサ130は、端末との初期化過程で接点割当部110の接点接続を変更し、端末からの命令のC−APDU(Command APDU)に対する応答としてR−APDU(Response APDU)を生成して端末に転送する。ICカードの基本作業は、ICカードの用途(通信端末用ICカードまたは電子取引用ICカード)及び作動モード(接触式または非接触式)により異なる。用途及び作動モードによるICカードの基本作業は公知技術であるため、詳細な説明を省略する。マイクロプロセッサ130に接続されているROM140b、EEPROM140c、RAM140dは、ICカードの基本作業に必要なメモリである。
【0050】
非接触式動作のための無線インターフェースは、電圧発生器/リセット生成器150、クロック発生器160、及びモデム170を含む。無線インターフェースは、初期化の可否にかかわらず、端末に挿入されるとRF接点C4の100d、C8の100hによりRFアンテナに結合される。電圧発生器/リセット生成器150は、非接触式端末機(interrogator)から送出された無線信号を受信してICカードの動作に必要な電源を生成し、リセット信号をマイクロプロセッサ130に印加することによりICカードが非接触式として動作することになる。一方、クロック生成器160は、電圧発生器/リセット生成器150から電源が供給されると、ICカードの動作に必要とされる駆動クロックを生成する。モデム170は、非接触式端末機からデータまたは命令を無線で受信してマイクロプロセッサ130に伝達し、これに対する応答をマイクロプロセッサ130から受信して非接触式端末機に送信する。
【0051】
フラッシュメモリ140aは、端末からのデータの書き込み/読み取り命令に応じて独立的に動作する不揮発性メモリモジュールである。他の実施例では、フラッシュメモリ140aは、データを格納するメモリセルアレイと、データの読み取り/書き込み動作のために各メモリセルをアドレッシングする行−列選択機だけで構成され、データの読み取り/書き込み動作命令に応じてこれらを制御する動作はカード高速インターフェース120により行われることもできる。
【0052】
図6は、本発明の好ましい実施例による端末−ICカード間の通信方式を説明する例示図であり、図7はICカードにおける階層別データ形式を示す例示図であり、図8は高速通信プロトコルのMMCバスプロトコルを示す図面である。本実施例での端末は、高速通信プロトコルでICカードの固有作業を行うためにAPDUを送受信する。USB通信方式が適用されたICカードは既に公知されており、また動作方式も公知されているため、以下では高速通信プロトコルとしてMMCプロトコルを用いる場合だけを例に挙げて説明する。
【0053】
ICカードの基本作業のための端末−ICカード間の通信は、ISO7816標準に従うAPDUで行われる。しかし、高速通信プロトコルが選択された後には、マイクロプロセッサ130と端末とがカード高速インターフェース120を通してデータを送受信することになる。したがって、端末のISO7816アプリケーション610とICカードのマイクロプロセッサ130との間には、APDUを高速通信プロトコルに適するフォーマットに変換(Encapsulation)及び還元(Decapsulation)する過程が行われる。
【0054】
すなわち、低速通信プロトコルで動作特、ICカードは基本作業のみを行い、拡張作業を行うことはできない。これに対して、高速通信プロトコルで動作時、ICカードは基本作業だけではなく拡張作業も行うことができる。高速通信プロトコルで動作時、基本作業の実行に必要な命令及びこれに対する応答は、高速通信プロトコルにより生成されたトークン/パケットに挿入されて端末とICカード間に交換される。以下、これを詳しく説明する。
【0055】
端末600のISO7816アプリケーション610から出力された命令のC−APDUは、端末高速インターフェース620により一連のトークン(token)に変換される。変換された一連のトークンは、物理的に接続された接点を通してICカードのカード高速インターフェース120に伝達される。カード高速インターフェース120は、一連のトークンをC−APDUに還元してマイクロプロセッサ130に伝達する。マイクロプロセッサ130は、C−APDUに応じてメモリ140b,140c,140dを参照してそれに対応する動作を行い、実行結果として応答のR−APDUを生成する。
【0056】
マイクロプロセッサ130から出力されたR−APDUは、カード高速インターフェース120にて一連のトークンに変換され、物理的に接続された接点を通して端末600の端末高速インターフェース620に伝達される。端末高速インターフェース620は一連のトークンをR−APDUに還元してISO7816アプリケーションに伝達する。
【0057】
より詳しく説明する。ISO7816アプリケーション610により生成されたAPDUは、4バイトのヘッダと可変長のボディで構成される。ヘッダは、1バイトのCLA(Class of Instruction)、1バイトのINS(Instruction code)、1バイトのP1(Parameter1)、1バイトのP2(Parameter2)で構成される。ボディは選択的ボディまたはデータフィールドの長さを特定する1バイトのLc、可変長の命令語パラメータまたはデータを含むデータフィールド、返還データの予想長を特定する1バイトのLeで構成される。
【0058】
端末高速インターフェース620は、ISO7816アプリケーション610により生成されたAPDUに、APDUの長さを特定するLBヘッダ710を付け、これを複数のMMCトークンの720a〜720nに変換する。
【0059】
変換された複数のMMCトークンの720a〜720nは、MMCプロトコルを支援する端末の端末高速インターフェース620とICカードのカード高速インターフェース120との間に形成されたMMC I/F階層730を通してICカードのカード高速インターフェース120に伝達される。MMC I/F階層730に位置したカード高速インターフェース120は複数のMMCトークンの720a〜720nを受信した後、カード高速インターフェース120上に位置し、MMC I/F階層730の上位層である変換階層740にてLBヘッダの値を参照して、複数のMMCトークンの720a〜720nをAPDUに還元される。還元されたAPDUはマイクロプロセッサ130上に位置したカードOS階層750にて処理される。
【0060】
カードOS階層750から生成されたAPDUが端末のISO7816アプリケーションに転送される過程は、端末からの送信過程の逆に適用される。カードOS階層750から生成されたAPDUは、可変長の選択的ボディ(optional body)としてデータフィールドと状態ワードSW1,SW2とを含む。
【0061】
以上を整理する。高速通信プロトコルを選択すると、端末とICカードとの間には、ISO7816によりICカードインターフェースがAPDUをTPDU(Transmission Protocol Data Unit)に変換することではなく、カード高速インターフェースがAPDUを少なくとも1つ以上のトークンに変換して送受信することになる。以下では、図8を参照して、MMCプロトコルによる高速通信プロトコルを用いた動作を詳しく説明する。
【0062】
MMCプロトコルの場合、コマンドトークン800とコマンドトークンに関連したデータトークン810は別途のラインで送受信される。データの読み取り/書き込みコマンド(端末からICカードへの)及びこれに対する応答(ICカードから端末への)は、通信接点C7を通して送受信され、コマンドによるデータは接点C6を通して送受信される。MMCプロトコルにおいて、データの読み取り/書き込みコマンドは連続(sequential)コマンドとブロック指向(Block‐oriented)コマンドとに区別される。連続コマンドは、連続的なデータストリームを転送し、通信接点C7上に中止(stop)コマンドが現れるまで持続する。ブロック指向コマンドはCRC(cyclic redundancy checking)を有した連続ブロック(トークン)を転送し、通信接点C7上に中止(stop)コマンドが現れるまで持続的にブロックを転送する。ここで、コマンドは端末からICカードに転送され、応答はICカードから端末に転送される。データは端末とICカードとの間で転送される。
【0063】
コマンドトークン800は、全長が48ビットであって、開始ビット(start bit)と終了ビット(end bit)は、常に0と1である。開始ビットの次に位置する送信機ビット(transmitter bit)は端末からのコマンドであることを示すビットであって、1であり、コマンド内容(content)は送信機ビットの次に位置し、7ビットのCRCチェックサムビットにより保護される。
【0064】
応答トークン805は、全長が48または136ビットであって、開始ビットと終了ビットは、常に0と1である。開始ビットの次に位置した送信機ビットは、ICカードからの応答であることを示すビットであって、0であり、応答内容は送信機ビットの次に位置し、7ビットのCRCチェックサムビットにより保護される。
【0065】
ブロック指向データトークン810は、開始ビット820と終了ビット860が、常に0と1である。開始ビット820、終了ビット860、CRCチェックサム850を除いた残り部分の長さは、512バイトであって、APDUの長さを示す2バイトのLBフィールド830と、510バイトのAPDUフィールド840で構成される。APDUフィールド840には端末またはICカードからのC−APDUまたはR−APDUが含まれる。APDUが510バイトを超過すると、2以上のブロック指向データトークン810に分割して転送され、最後のブロック指向データトークン810が完全に満たされない場合に、残りのバイトには00hが挿入される。
【0066】
MMCプロトコルで端末からICカードへのC−APDU転送及びICカードから端末へのR−APDU転送は、端末が書き込み動作(C−APDU送信)と読み取り動作(R−APDU受信)とを順に行うことにより可能になる。
【0067】
APDU交換方法を詳しく説明する。ISO7816アプリケーションがC−APDUを提供すると、端末側の端末高速インターフェースは書き込み動作に対する第1コマンドトークンを生成してコマンドバスを通してICカードに送信し、これに対する第1応答トークンをデータバスを通して受信する。第1応答トークンを受信すると、端末高速インターフェースはC−APDUをデータバスを通してICカードに転送する。C−APDUに対するデータトークンの転送が完了されたら、端末高速インターフェースは中止コマンドトークンをICカードに送信し、これに対する応答トークンを受信する。中止コマンドトークンに対する応答トークンを受信すると、端末高速インターフェースは、一定時間の経過後にコマンドバスを通してICカードに読み取り動作に対する第2コマンドトークンを転送する。ここで、第2コマンドトークンは、第1コマンドによりICカードが行った作業結果を送信するための読み取り動作であることを識別可能な情報を含むことができる。
【0068】
第2コマンドトークンを受信した端末側のカード高速インターフェースは、第2応答トークンを端末に転送する。以後、ICカードはR−APDUをブロック指向データトークンに変換してデータバスを通して端末に転送する。R−APDUに対するデータトークンの転送が完了されたら、端末高速インターフェースは中止コマンドトークンをICカードに送信し、これに対する応答トークンを受信する。
【0069】
図9は、本発明の好ましい実施例による初期化過程を示す流れ図であり、図10は高速通信プロトコルを設定するための応答信号(ATR)の構造を示す図である。
【0070】
ステップ900で、ICカードが端末に挿入されると、端末のインターフェース装置はICカード挿入を認識し、接点C7を通してICカードにリセット信号(RST)を印加する。
【0071】
ステップ905で、リセット信号を受信すると、ICカードのマイクロプロセッサは、支援可能な高速通信プロトコルに対する情報を応答信号(ATR)情報内に挿入して通信接点C7を通して端末に印加する。応答信号(ATR)は、インターフェース装置のリセット信号に対するICカードの応答であって、高速通信プロトコルに関する基本的な情報を含んでいる一連のバイト単位の情報である。通信接点C7を通して各バイトは非同期式の文字形式で伝達される。ICカードはリセット動作が成功的に行われると、図10のような構造を有する最大32個の文字が後に続く初期文字TSを通信接点C7を通してインターフェース装置に伝達する。ここで、文字のコーディング方式及び構成は転送プロトコルにより決められる。一方、マイクロプロセッサは応答信号(ATR)に対する応答を受信するために必要な応答時間を設定することができる。
【0072】
TS(Initial Character)は、同期化のための同期パターンとコード変換規則を指定する情報を有する。コード変換規則には逆(Inverse)方式と直接(Direct)方式の2つがある。逆方式を用いる場合、I/Oライン上でA状態が論理「1」に該当し、開始ビットの次に転送されるビットは文字のMSBになる。直接方式を用いる場合、接点C7を通したI/Oライン上でZ状態が論理「1」に該当し、開始ビットの次に転送されるビットは文字のLSBになる。ビット同期化のために、最初の4つのビット(m1〜m4)のパターンはAZZAである。ICカードは次の2つのうちの1つの値を有するTSを応答信号(ATR)に含めて転送することになる。
(Z)AZZAAAAAAZ−逆方式、「3F」
(Z)AZZAZZZAAZ−直接方式、「3B」
【0073】
インターフェース装置は、逆方式及び直接方式、両方とも支援しなければならなく、TS値が「3F」,「3B」である応答信号(ATR)のみを収容することになるので、その他の値を有した応答信号(ATR)に対応してはいけない。
【0074】
T0(Format Character)は、Y(1)及びKの2つの部分から構成される。最上位の4つのビット(Y(1)、b5からb8)は、それぞれTA1からTD1までのインターフェース文字の提供可否を示すが、各ビットが論理「1」であれば提供されることに決まる。最上位の4つのビット(K、b1〜b4)は、提供されるヒストリカル(Historical)文字の数を示す。
【0075】
インターフェース文字TA,TB,TC,TD(Interface Character)は、全域(global)インターフェース文字と特定(specific)インターフェース文字とに区分される。全域インターフェース文字はカードから提供される特定転送プロトコルのパラメータに関わるものである。TA1,TB1,TC1,TA2,TB2は全域インターフェース文字であり、TC2はT=0になるための特定インターフェース文字である。
【0076】
iが3以上であるTA,TB,TCの解析は、TDi‐1のT値により決定されるが、T値が15ではないと、これら文字はTに関わる特定インターフェース文字になり、T値が15であると、これら文字は全域インターフェース文字になる。そして、3つ以上のインターフェース文字TA,TB,TCが同一のTのために用いられるためには、同一のT値を有するTDi‐1,TDに連続して指定されなければならない。
【0077】
TD文字の上位4ビットのb8〜b5は、TDi+1,TCi+1,TBi+1,TAi+1の存在を示す。各ビットの論理が「1」であれば、該当情報が存在することを意味する。TD文字の下位4ビットのb4〜b1は、T=0からT=15まで支援される転送プロトコルを意味し、2つ以上の転送プロトコルを支援する場合、TDのT値は昇順で決定されるべきである。支援されるプロトコル中、T=0のものがあれば、TD1のT値は必ずT=0になることになる。しかし、TD1のT値としてT=15は使用できない。TD1が存在しない場合に、提供可能な転送プロトコルは、単にT=0だけであり、そうではないと、転送プロトコルはT値により決定される。
【0078】
本発明では、TDの下位4ビットに支援可能なプロトコルを設定する。すなわち、TDの下位4ビットは、ICカードが支援可能な高速通信プロトコルを識別できる値を示す。識別値は任意に付与することができ、例えば、MMCプロトコルは1000、USBプロトコルは1001でそれぞれ表示することができる。
【0079】
TA1文字は、全域インターフェース文字であって、クロック比率変換因子F (clock rate Conversion factor)、転送比率調整因子D(baud rate adjustment factor)を示す。
【0080】
TB1文字は、全域インターフェース文字であって、最大プログラミング電流IIとプログラミング電圧PI1を示す。外部プログラミング電圧を要しないICCのTB1の値は常に0である。本発明の好ましい実施例では、Vppが印加された接点C6は、高速通信のための接点として用いられるため、ICカードはTB2を転送しない。
【0081】
TC1は、パラメータNを定義する。パラメータNは、インターフェース装置で、カードで文字を転送する時に限って用いられる超過保護時間(extra guardtime)を計算するための変数として用いられる。基本値は0である。
【0082】
TA2は、全域インターフェース文字であって、カードの特定モード(specific mode)動作に関する特性を示す文字である。最上位ビットb8が「0」であると、交渉可能(negotiable)モード及び特定モードの変更が可能であることを示し、「1」であると、不可能であることを示す。b6が「0」であると、パラメータがTA1のインターフェース文字により決められ、「1」であると、ICカードの定められている規則により定義された値で決められる。
【0083】
TB2は、プログラミング電圧を示し、本発明では使用しない。
【0084】
TC2は、T=0の転送プロトコルのための特定インターフェース文字であって、カードにより転送された任意の文字のリーディングエッジ(leading edge)と、ICカードまたはインターフェース装置により既に転送された文字のリーディングエッジとの間の時間区間に必要な待機時間(work waiting time)を計算するのに必要とされる変数WIを含んでいる。インターフェース装置はこの時間を超えてはいけない。
【0085】
TCK(Check Character)値は、T0からTCKまでのすべての文字を排他的論理和(exclusive‐OR)した値が0(null)になるように決定する。T=1で、これはエラーを検出するためにも用いられる。ただ、T=0のプロトコルだけが支援される場合には、TCKは提供されない。
【0086】
ICカードの応答信号(ATR)を通して高速通信プロトコルに関する情報を転送することは、PPS(Protocol and Parameter Selection)過程で行われることもでき、高速通信プロトコルを支援しない端末またはICカード間のISO7816プロトコルによる通信環境を変更するための交渉がPPS過程を通して行われることもできる。PPSは、9600baud以上の転送速度を支援するICカードと、プロトコル及びパラメータを交渉するための過程であって、義務過程ではないので一部端末では行われないこともある。PPS過程は正常の応答信号(ATR)を受信した後、端末がICカードにPPS要求を送信し、それに対する応答をICカードから受信するステップで構成される。本発明では、PPS要求に対する応答として受信するPPS0,PPS1,PPS2,PPS3,,,の下位4ビットにICカードが支援可能な高速通信プロトコルを設定する。すなわち、PPS0,PPS1,PPS2,PPS3の下位4ビットは、ICカードが支援可能な高速通信プロトコルを識別できる値を示す。
【0087】
応答信号(ATR)の分析結果、高速通信プロトコルを支援しないICカードの場合、端末はPPS過程を行って、ICカードとの通信環境(プロトコル及びパラメータ)を変更することができる。
【0088】
ステップ910で、インターフェース装置は応答信号(ATR)のTD1,TD2,TD3,TD4,..またはPPS0,PPS1,PPS2,PPS3...の下位4ビット値を参考してICカードが高速通信プロトコルで動作できると判断されると、端末で支援可能な高速通信プロトコル情報を含んだ通信プロトコル変更要求をICカードに転送する。ここで、通信プロトコル変更要求には、高速通信プロトコルにより通信に使用される通信接点に関する情報がさらに含まれてもよい。しかし、ICカードが支援する高速通信プロトコルを端末が支援できない場合には、誤り信号を転送するか、応答信号(ATR)に対する応答である通信プロトコル変更要求を転送しない。以後、接触端子割当部とICカードリーダとの間の接続は維持される。
【0089】
ステップ915で、ICカードのマイクロプロセッサは、通信プロトコル変更要求を受信し、これに対する確認信号をインターフェース装置に送信する。しかし、設定されている応答時間内に通信プロトコル変更要求が受信されなかったり、誤り信号が受信されたりした場合には、接触端子割当部とICカードインターフェースとの間の接続は維持される。
【0090】
ステップ920及びステップ925で、ICカードのマイクロプロセッサは接点割当部を制御し、接点に関する情報に応じて通信接点C6及びC7をカード高速インターフェースに接続させ、以後、端末との通信は高速通信プロトコルで行われる。一方、インターフェース装置もICカードの接点に対応する位置に配列された複数の接触端子中、通信接点C6及びC7に対応する接触端子をICカードリーダから端末高速インターフェースに転換する。
【0091】
ステップ930で、設定された通信接点を通してICカードと端末が通信を行う。
【0092】
図11は、本発明の好ましい実施例によるインターフェース装置を示す構成図である。
【0093】
複数の接触端子1100は、ICカードの接点に対応する位置に配列される。接触端子中、RF接点C4及びC8に対応する接触端子はRFアンテナ1105に結合される。接触端子中、通信接点C6及びC7に対応する接触端子は接触端子割当部1110に結合される。
【0094】
接触端子割当部1110は、ICカードリーダ1120と端末高速インターフェース1130にそれぞれ結合され、通信接点C6及びC7に対応する接触端子を端末高速インターフェース1130及びICカードリーダ1120のうち何れか1つに接続させる。接触端子割当部1110は、ICカードとの初期化過程前には、通信接点C6及びC7に対応する接触端子をICカードリーダ1120に基本的に接続させる。よって、初期化過程はICカードリーダ1120により行われる。
【0095】
ICカードリーダ1120は初期化過程を行い、ISO7816アプリケーション1140から出力されたAPDUをTPDUに変換してICカードに送信し、ICカードから受信したTPDUをAPDUに変換してISO7816アプリケーション1140に伝達する。初期化過程でICカードが高速通信プロトコルを支援する場合、ICカードリーダ1120は接触端子割当部1110を制御して通信接点C6及びC7に対応する接触端子が端末高速インターフェース1130に接続されるようにする。
【0096】
端末高速インターフェース1130は、ICカードと端末との間の高速通信プロトコルによる通信を支援する。高速通信プロトコルで通信時、端末高速インターフェース1130はISO7816アプリケーション1140から受信されたAPDUを高速通信プロトコルに従うトークンに変換してICカードに送信し、ICカードから受信されたトークンをAPDUに還元してISO7816アプリケーション1140に伝達する。また、高速通信アプリケーション1150からのコマンドに応じてICカードに内蔵されているフラッシュメモリにデータの書き込みまたは読み込みの動作を行う。ここで、端末高速インターフェース1130は、USB1.1/2.0またはMMC3.31/4.1プロトコルを支援する。以外にも直列方式の多様な高速通信プロトコルを支援できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
上述したように、本発明によれば、ICカードは既存のISO7816標準に従う接点配列を維持しながらも接触式の高速通信と非接触式の無線通信とを両方とも支援することができる。さらに、ICカードに搭載されているフラッシュメモリを用いて大容量のデータを格納することができる。
【0098】
また、初期化過程を通して、設定されている高速通信プロトコルでICカードの固有動作のための端末との通信を行うので、接点間接続を再変更する必要がなく、通信速度の向上も期待できる。
【0099】
上記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】RF通信機能を備えたICチップのピン構成を示す図である。
【図2】USB及びMMCインターフェースを備えたICチップのピン構成を示す図である。
【図3】本発明の好ましい実施例によるICカードの構成図である。
【図4】本発明の好ましい実施例による低速通信プロトコル選択時の通信接点接続状態を示す例示図である。
【図5】本発明の好ましい実施例による高速通信プロトコル選択時の通信接点接続状態を示す例示図である。
【図6】本発明の好ましい実施例による端末とICカードとの間の通信方式を説明する例示図である。
【図7】本発明の好ましい実施例によるICカードにおける階層別データを示す例示図である。
【図8】本発明の好ましい実施例による高速通信プロトコルのMMCバスプロトコルを示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施例による初期化過程を示す流れ図である。
【図10】本発明の好ましい実施例による高速通信プロトコルを設定するための応答信号(ATR)の構造を示す図である。
【図11】本発明の好ましい実施例によるインターフェース装置を示す構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
一対のRF接点及び少なくとも1つの通信接点を含んだ複数の接点と、
低速通信プロトコル及び高速通信プロトコルのうち何れか1つを選択し、前記RF接点及び前記選択された通信プロトコルにより決められた前記通信接点のうちの何れか1つから入力された命令に応じて前記メモリに記録されたデータを処理し、それに対応する応答を出力するマイクロプロセッサと、
前記通信接点を通して前記命令及び前記応答を前記高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースと、
前記通信接点を通して前記命令及び前記応答を前記低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、
前記選択された通信プロトコルにより決められた前記通信接点を前記低速インターフェース及び前記高速インターフェースのうち何れか1つに接続させる接点割当部と、
を含むICカード。
【請求項2】
前記複数の接点が、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、前記低速通信プロトコルにて前記通信接点がC7である、請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記複数の接点が、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、前記高速通信プロトコルにて前記通信接点がC6及びC7である、請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
前記高速通信プロトコルが、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つである、請求項1に記載のICカード。
【請求項5】
前記高速インターフェースは、前記低速通信プロトコルに関連した前記応答を前記高速通信プロトコルに対して互換可能なデータトークンに変換する、請求項1に記載のICカード。
【請求項6】
前記高速インターフェースは、前記高速通信プロトコルに対して互換可能なデータトークンを前記低速通信プロトコルに関連した前記命令に還元する請求項1に記載のICカード。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは、リセット信号に対する応答として、支援する高速通信プロトコル情報を応答信号に挿入する請求項1に記載のICカード。
【請求項8】
前記メモリは、フラッシュメモリを含む請求項1に記載のICカード。
【請求項9】
前記接点割当部は、初期化過程で前記低速通信プロトコルに対応する接続状態を維持する、請求項1に記載のICカード。
【請求項10】
RFアンテナと、
一対のRF接点及び少なくとも1つの通信接点を含んだ複数の接点を備え、低速通信プロトコル及び高速通信プロトコルを選択的に支援し、選択された通信プロトコルにより前記通信接点を決定するICカードと、
前記RF接点と前記RFアンテナとの間に電気的接続を提供し、前記選択された通信プロトコルにより決められた通信接点を通して前記ICカードと通信するインターフェース装置と、
を含む端末機。
【請求項11】
前記通信プロトコルは、前記ICカードと前記インターフェース装置との間の初期化過程から選択される請求項10に記載の端末機。
【請求項12】
前記高速通信プロトコルが、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つである、請求項10に記載の端末機。
【請求項13】
RFアンテナと、
前記RFアンテナに結合された一対のRF接触端子及びICカードの通信接点に対応する少なくとも1つの通信接触端子を含む複数の接触端子を備えたICカードソケットと、
前記通信接触端子を通して前記ICカードと低速通信プロトコルで通信する低速インターフェースと、
前記通信接触端子を通して前記ICカードと高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースと、
選択された通信プロトコルに応じて前記通信接触端子を前記低速インターフェース及び前記高速インターフェースのうち何れか1つに接続させる接触端子割当部と、
を含む端末機。
【請求項14】
前記高速インターフェースは、前記低速通信プロトコルに関連し、前記ICカードに転送される命令を前記高速通信プロトコルに応じてデータトークンに変換する、請求項13に記載の端末機。
【請求項15】
前記高速インターフェースは、前記高速通信プロトコルで受信されたデータトークンを前記低速通信プロトコルに関連した応答に還元させる、請求項13に記載の端末機。
【請求項16】
前記接触端子割当部は、初期化過程で前記低速通信プロトコルに対応する接続状態を維持する、請求項13に記載の端末機。
【請求項17】
前記低速インターフェースは、リセット信号(RST)に対する応答として受信された応答信号(ATR)から、前記ICカードの高速通信プロトコルを支援するか否かを確認する、請求項13に記載の端末機。
【請求項18】
前記低速インターフェースは、前記接触端子割当部が前記高速インターフェースに接続されるように制御する、請求項17に記載の端末機。
【請求項19】
前記高速インターフェースは、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つにより動作する、請求項13に記載の端末機。
【請求項20】
前記複数の接触端子は、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、前記低速通信プロトコルにて前記通信接触端子は前記ICカードの通信接点C7に対応する接触端子である、請求項13に記載の端末機。
【請求項21】
前記複数の接触端子は、ISO7816に対して互換可能な形態に配列され、前記高速通信プロトコルにて前記通信接触端子は前記ICカードの通信接点C6及びC7に対応する接触端子である、請求項13に記載の端末機。
【請求項22】
端末と低速通信プロトコルで通信する低速インターフェース及び高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースを含んだICカードの初期化方法であって、
前記低速インターフェースを通して前記端末からリセット信号(RST)を受信するステップと、
前記低速インターフェースを通して前記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報を応答信号(ATR)に挿入して前記端末に転送するステップと、
前記応答信号に対する応答により通信接点を前記低速インターフェース及び前記高速インターフェースのうち何れか1つに接続させるステップと、
を含むICカードの初期化方法。
【請求項23】
前記応答信号に対する前記端末からの応答は、前記端末が支援する高速通信プロトコル情報を含む、請求項22に記載のICカードの初期化方法。
【請求項24】
前記応答信号に対する応答時間を設定するステップと、
前記応答時間を超過すると、前記低速インターフェースと前記通信接点との間の接続を維持するステップとをさらに含む、請求項22に記載のICカードの初期化方法。
【請求項25】
前記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報が、前記応答信号(ATR)のTDiインターフェース文字の下位ビットに挿入される、請求項22に記載のICカードの初期化方法。
【請求項26】
前記高速通信プロトコルが、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つである、請求項22に記載のICカードの初期化方法。
【請求項27】
ICカードと低速通信プロトコルで通信する低速インターフェース及び高速通信プロトコルで通信する高速インターフェースを含んだ端末の初期化方法であって、
前記低速インターフェースを通して前記端末にリセット信号(RST)を転送するステップと、
前記低速インターフェースを通して受信された応答信号(ATR)から、前記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報を抽出するステップと、
前記低速インターフェースを通して前記端末が支援する高速通信プロトコル情報を含んだ通信プロトコル変更要求を転送するステップと、
前記通信プロトコル変更要求に対する応答により通信接点を前記低速インターフェース及び前記高速インターフェースのうち何れか1つに接続させるステップと、を含む端末の初期化方法。
【請求項28】
前記高速通信プロトコルが、USB及びMMC通信プロトコルのうちの何れか1つである、請求項27に記載の端末の初期化方法。
【請求項29】
初期化過程が、前記低速通信プロトコルにより行われることを特徴とする請求項27に記載の端末の初期化方法。
【請求項30】
前記ICカードが支援する高速通信プロトコル情報が、前記応答信号(ATR)のTDiインターフェース文字の下位ビットに挿入される、請求項27に記載の端末の初期化方法。
【請求項31】
前記通信プロトコル変更要求が、前記高速通信プロトコルによる通信に使用される通信接点に関する情報をさらに含む、請求項27に記載の端末の初期化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−527044(P2009−527044A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555153(P2008−555153)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000806
【国際公開番号】WO2007/094624
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(503470584)ケーティーフリーテル・カンパニー・リミテッド (38)
【Fターム(参考)】