説明

ICカード

【課題】エンボス加工によるアンテナパターンの断線が防止されながら、アンテナパターンの設計の自由度が高いICカードを提供する。
【解決手段】ICカード(10)は、エンボス加工によって第1の外面に凸部(22)が形成され且つ第2の外面に凸部(22)に対応する凹部(24)が形成されるのに適する。ICカード(10)は、樹脂製のアンテナ支持層(14)と、アンテナ支持層(14)に設けられ、ICチップに電気的に接続されたアンテナパターン(12)と、第1の外面を有するとともにアンテナ支持層(14)の第1の面を覆う第1カード基材(18)と、第2の外面を有するとともにアンテナ支持層(14)の第2の面を覆い、第1カード基材(18)よりも薄い第2カード基材(20)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを内蔵したICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードやクレジットカード等に代表されるICカードには、保有者の氏名や口座番号等がエンボス加工によって刻印されている。また、ICカードには、ICチップとともに、アンテナを内蔵しているものがあり、アンテナによって、非接触での使用が可能になっているものがある。
より詳しくは、この種のICカードは、アンテナパターンが設けられたアンテナ支持用のシートの両面に、カバーシートがそれぞれ接合されている。ICカードには表裏があり、表面には適当な模様等が施され、裏面には注意書き等が印字される。これとは逆に、表面に注意書き等が印字され、裏面に適当な模様等が施されることもある。そして、エンボス加工は、凸部が表面に形成され、この凸部に対応する凹部が裏面に形成されるように行われる。
なお通常、2つのカバーシートは、ICカードの反り等を防止するために、同じ厚さを有する。
【0003】
ここで従来から、エンボス加工によりICカードに凸部及び凹部が形成されるときに、エンボス加工領域にアンテナパターンが設けられていると、アンテナパターンが断線してしまうことがあった。
そこで、特許文献1は、エンボス加工によるアンテナパターンの断線を回避すべく、エンボス加工が施される領域では、アンテナパターンの幅を太くすることを開示している。
また、特許文献2は、エンボス加工が施される領域を避けてアンテナパターンを設置することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2001−167242号公報
【特許文献2】特開2001−229356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2が開示するICカードには、断線を防止するためにアンテナパターンの形状や設置領域が限定されてしまい、アンテナパターンの設計の自由度が低いという問題があった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされ、その目的とするところは、エンボス加工によるアンテナパターンの断線が防止されながら、アンテナパターンの設計の自由度が高いICカードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明者は種々の検討を行った。検討の過程で、アンテナパターンの断線は、エンボス加工によって形成される凸部が立ち上がり始める部分、即ち凸部の根元近傍で発生するという事実を特定した。そして、凸部の根元近傍では、特にICカードの表側において、エンボス加工による歪みが裏側に比べて大きいためにICカードに亀裂が生じ易く、この亀裂によってアンテナパターンが断線する、という断線のメカニズムを特定した。
それから発明者は、上記したメカニズムによるアンテナパターンの断線を防止すべく更に検討を重ね、本発明に想到した。
【0007】
かくして本発明の一態様によれば、エンボス加工によって第1の外面に凸部が形成され且つ第2の外面に前記凸部に対応する凹部が形成されるICカードにおいて、樹脂製のアンテナ支持層と、前記アンテナ支持層に設けられ、ICチップと電気的に接続されたアンテナパターンと、前記第1の外面を有するとともに前記アンテナ支持層の第1の面を覆う第1カード基材と、前記第2の外面を有するとともに前記アンテナ支持層の第2の面を覆い、前記第1カード基材よりも薄い第2カード基材とを備えることを特徴とするICカードが提供される(請求項1)。
【0008】
請求項1のICカードによれば、第1カード基材よりも第2カード基材の方が薄く、アンテナパターンが、ICカードの厚さ方向にて中心よりも第2の外面側に位置している。ここで、エンボス加工による凸部の根元近傍での歪みは第1の外面側で大きく、第1の外面側で亀裂が発生し易い。このため、アンテナパターンが厚さ方向中心よりも第2の外面側に配置され、従来に比べてアンテナパターンが第1の外面から遠くに配置されていれば、ICカードのエンボス加工が施される領域にアンテナパターンが設置されていても、アンテナパターンは亀裂の影響を受け難い。
【0009】
かくしてこのICカードでは、エンボス加工が施される領域にアンテナパターンが設置されていても、亀裂によってアンテナパターンが破断されることが防止される。この結果、アンテナパターンの形状や設置領域が制限されることはなく、アンテナパターンの設計の自由度が確保される。
【0010】
好ましくは、前記アンテナパターンは、前記アンテナ支持層の第1の面側に設けられ、前記アンテナパターンの一端は、前記アンテナパターンを跨ぐように設けられたジャンパを介して前記ICチップに接続されている(請求項2)。
エンボス加工による凸部の根元近傍では、アンテナ支持層の第2の面側の延びは第1の面側に比べて大きい。このため、アンテナ支持層の第1の面側にアンテナパターンが形成されていれば、第2の面側に形成されている場合に比べて、エンボス加工によるアンテナパターンへの応力集中が緩和される。この結果として、このICカードによれば、アンテナパターンの断線がより確実に防止される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エンボス加工によるアンテナパターンの断線が防止されながら、アンテナパターンの設計の自由度が高いICカードを提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】エンボス加工が施された第1実施形態のICカードを概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII―II線に沿う概略的な断面図である。
【図3】図1のIII―III線に沿う概略的な部分断面図である。
【図4】図2に相当する第2実施形態のICカードの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態のICカード10について図面を参照しながら説明する。
図1はICカード10を示す平面図である。ICカード10は、例えば、所定形状を有するクレジットカードであり、ICカード10には、所有者の識別番号、有効期限、氏名等がエンボス加工によって刻設されている。
【0014】
ICカードの外形形状及び厚さは、例えば、ISO/IEC7810によって定められており、外形形状は86mm×54mmであり、厚さは0.76mmである。
ICカードは、ICチップ11を有し、ICチップ11はICカード10の内部に埋設されている。また、ICカード10は、ループアンテナを構成するアンテナパターン12を有し、アンテナパターン12もICカード10の内部に埋設されている。
【0015】
図2は、図1のII−II線に沿う概略的な断面図である。
アンテナパターン12は、例えば、銅又はアルミニウム等の導体からなり、樹脂製のアンテナ支持シート(アンテナ支持層)14に一体に設けられている。アンテナパターン12は、スクリーン印刷方式、エッチング方式、若しくは、メッキ方式によって、アンテナ支持シート14の一方の面に一体に形成することができる。
【0016】
アンテナパターン12を構成する導体の帯は、好ましくは、10μm以上50μm以下の厚さTaと、0.3mm以上4mm以下の幅Wを有し、1周以上10周以下の環状若しくは渦巻形状をなしている。また、好ましくは、アンテナパターン12はICカード10の外縁近傍に配置されており、これによりアンテナパターン12の開口面積は、実質的に最大に設定されている。
なお、アンテナパターン12が渦巻形状の場合、アンテナパターン12の一端は、ジャンパ13を介して、ICチップ11に電気的に接続される。ジャンパ13は、アンテナパターン12を跨ぐように設けられ、例えば、アンテナパターン12とは反対側のアンテナ支持シート14の他方の面に設けられる。
アンテナ支持シート14の材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)及びエポキシ等の樹脂や、ガラス繊維を含んでいるガラスエポキシ樹脂等を用いることができ、好ましくは、二軸延伸のPET樹脂が用いられる。
【0017】
ICチップ11は、例えば、アンテナ支持シート14のアンテナパターン12と同じ側に、例えば接着剤を用いて固定されており、ICチップ11にアンテナパターン12が電気的に接続されている。ICチップ11は、アンテナパターン12を通じて、外部のカードリーダライタと通信可能であり、保有者は、非接触にて料金の支払い等が可能である。
【0018】
アンテナ支持シート14は、枠形状のスペーサ16によって囲まれており、アンテナ支持シート14及びスペーサ16の一方の面側には、第1カード基材18が接合されている。なお、本実施形態では、好ましい態様として、アンテナパターン12が設けられるアンテナ支持シート14の一方の面は、ICカード10の表側に位置付けられている。
スペーサ16は、アンテナ支持シート14の厚さ及びアンテナパターン12の厚さの合計に略対応する厚さを有し、例えば、白色の無延伸PET−G(グリコール変成ポリエチレンテレフタレート)樹脂からなる。なお、アンテナ支持シート14の大きさが、第1カード基材18及び第2カード基材20と同じであれば、スペーサ16は省略してもよい。
【0019】
第1カード基材18は、単層又は多層構造を有し、本実施形態では、アンテナ支持シート14側から順に、第1層181、及び外層182を有する。第1層181の材料としては、例えば、白色の無延伸PET−G樹脂を用いることができる。
外層182は、ICカード10の表側の外面を構成しており、外層182の材料としては、例えば、透明の無延伸PET−G樹脂を用いることができる。
【0020】
第1カード基材18とは反対側のアンテナ支持層14の面には、第2カード基材20が接合されている。第2カード基材20は、単層又は多層構造を有し、例えば、アンテナ支持シート14側から順に、第1層201及び外層202を有する。第1層201の材料としては、例えば、白色の無延伸PET−G樹脂を用いることができる。
【0021】
外層202は、ICカード10の裏側の外面を構成しており、外層202の材料としては、例えば、透明の無延伸PET−G樹脂を用いることができる。
本実施形態では、第2カード基材20の厚さT2は、第1カード基材18の厚さT1よりも薄い。
【0022】
上述したICカード10は、例えば、第1層181の素材、スペーサ16、ICチップ11及びアンテナパターン12が設けられたアンテナ支持シート14、並びに、第1層201の素材をホットプレス(一次プレス)によって接合し、得られた接合物を外層182及び外層202の素材とともにホットプレス(二次プレス)することによって製造することができる。
なお、第1カード基材18及び第2カード基材20の層構成に応じて、ホットプレスでアンテナ支持シート14に対し、第1カード基材18及び第2カード基材20の素材を1回又は3回以上のホットプレスで接合してもよい。
【0023】
そして、ICカード10のエンボス加工は、ICカード10の表側に凹型を配置し、ICカード10の裏側に凸型を配置し、これら凹型及び凸型にてプレスすることによって行われる。
ここで、図3は、図1のIII―III線に沿う、“I”の字近傍の部分断面図である。ICカード10には、エンボス加工によって、表側に凸部22が形成され、ICカード10の裏側に凹部24が形成される。エンボス加工によって形成される凸部の高さは、例えば、JIS X6302−1で定められている0.40〜0.48mmである。
なお、図3においては、第1カード基材18及び第2カード基材20をそれぞれ単層にて示されている。
【0024】
上述した第1実施形態のICカード10によれば、第1カード基材18よりも第2カード基材20の方が薄く、アンテナパターン12が、ICカード10の厚さ方向にて中心よりも裏側に位置している。ここで、エンボス加工による凸部22の根元22a近傍での歪みは表側で大きく、表側で亀裂が発生し易い。このため、アンテナパターン12が厚さ方向中心よりも裏側に配置され、従来に比べてアンテナパターン12が表側の外面から遠くに配置されていれば、ICカード10のエンボス加工が施される領域にアンテナパターン12が設置されていても、アンテナパターン12は亀裂の影響を受け難い。
【0025】
かくしてこのICカード10では、エンボス加工が施される領域にアンテナパターン12が設置されていても、亀裂によってアンテナパターン12が破断されることが防止される。この結果、アンテナパターン12の形状や設置領域が制限されることはなく、アンテナパターン12の設計の自由度が確保される。
【0026】
具体的には、ICカード10では、アンテナパターン12が、エンボス加工領域に配置されていてもよいため、ICカード10の外縁近傍に配置されている。
【0027】
一方、エンボス加工による凸部22の根元22a近傍では、ICカード10の裏側に配置されるアンテナ支持シート14の面の延びは、表側に配置される面に比べて大きい。このため、ICカード10の表側に配置されるアンテナ支持シート14の面にアンテナパターン12が形成されていれば、裏側に配置される面に形成されている場合に比べて、エンボス加工によるアンテナパターン12への応力集中が緩和される。この結果として、このICカード10によれば、アンテナパターン12の断線がより確実に防止される。
【0028】
図4は、第1実施形態の図2に対応する、第2実施形態のICカード30の断面を示す図である。
第2実施形態のICカード30は、ICカード30の裏側に配置されるアンテナ支持シート14の面にICチップ11及びアンテナパターン12が設けられている点において、ICカード10とは異なっている。
このICカード30においても、アンテナパターン12が厚さ方向中心よりも裏側に配置され、従来に比べてアンテナパターン12が表側の外面から遠くに配置されているので、アンテナパターン12の断線が防止される。
【実施例】
【0029】
以下、実施例について説明する。
1.ICカードの作製
(1)実施例1
実施例1として、第1カード基材及び第2カード基材と同じ大きさのアンテナ支持シートを用いてスペーサを省略した以外は図2に示した構成を有するICカードを16枚製造した。実施例1の材料等を以下に示す。
〔第1カード基材〕
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 475μm
〔アンテナパターン〕
作製方法:エッチング方式
材質 :アルミニウム
導体帯の厚さ:50μm
導体帯の幅 :1.1mm
〔アンテナ支持シート〕
帝人デュポンフィルム株式会社製PET 38μm
〔第2カード基材〕
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 175μm
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
【0030】
(2)実施例2
第1カード基材及び第2カード基材と同じ大きさのアンテナ支持シートを用いてスペーサを省略した以外は図4に示した構成を有する、実施例2のICカードを16枚製造した。なお、実施例2のICカードは、アンテナパターンがICカードの裏側に配置されるアンテナ支持シートの面に形成されている以外は、実施例1と同様にして作製された。
(3)実施例3
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は実施例1の場合と同様にして、実施例3のICカードを16枚作製した。
(4)実施例4
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は実施例2の場合と同様にして、実施例4のICカードを16枚作製した。
(5)実施例5
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は実施例1の場合と同様にして、実施例5のICカードを16枚作製した。
(6)実施例6
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は実施例2の場合と同様にして、実施例6のICカードを16枚作製した。
【0031】
(7)実施例7
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は実施例1の場合と同様にして、実施例7のICカードを16枚作製した。
(8)実施例8
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は実施例2の場合と同様にして、実施例8のICカードを16枚作製した。
(9)実施例9〜16
アンテナパターンの導体の厚さを30μmにした以外は、実施例1〜8の場合と同様にして、実施例9〜16のICカードをそれぞれ16枚作製した。
【0032】
(10)比較例1
比較例1として、第1カード基材及び第2カード基材が互いに同じ厚さを有する以外は実施例1の場合と同様にして、ICカードを16枚作製した。比較例1の材料等を以下に示す。
〔第1カード基材〕
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 325μm
〔アンテナパターン〕
作製方法:エッチング方式
材質 :アルミニウム
導体帯の厚さ:50μm
導体帯の幅 :1.1mm
〔アンテナ支持シート〕
帝人デュポンフィルム株式会社製PET 38μm
〔第2カード基材〕
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 325μm
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
【0033】
(11)比較例2
アンテナパターンがICカードの裏側に配置されるアンテナ支持シートの面に形成されている以外は、比較例1と同様にして、比較例2のICカードを16枚作製した。
(12)比較例3
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は比較例1の場合と同様にして、比較例3のICカードを16枚作製した。
(13)比較例4
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は比較例2の場合と同様にして、比較例4のICカードを16枚作製した。
【0034】
(14)比較例5
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は比較例1の場合と同様にして、比較例5のICカードを16枚作製した。
(15)比較例6
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は比較例2の場合と同様にして、比較例6のICカードを16枚作製した。
(16)比較例7
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は比較例1の場合と同様にして、比較例7のICカードを16枚作製した。
(17)比較例8
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は比較例2の場合と同様にして、比較例8のICカードを16枚作製した。
(18)比較例9〜16
アンテナパターンの導体の厚さを30μmにした以外は、比較例1〜8の場合と同様にして、比較例9〜16のICカードをそれぞれ16枚作製した。
【0035】
(19)比較例17
比較例17として、第1カード基材の第1層が、第2カード基材の第1層よりも薄い以外は実施例1の場合と同様にして、ICカードを16枚作製した。比較例17の材料等を以下に示す。
〔第1カード基材〕
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 175μm
〔アンテナパターン〕
作製方法:エッチング方式
材質 :アルミニウム
導体帯の厚さ:50μm
導体帯の幅 :1.1mm
〔アンテナ支持シート〕
帝人デュポンフィルム株式会社製PET 38μm
〔第2カード基材〕
第1層:太平化学製品株式会社製PG700M 475μm
外層 :太平化学製品株式会社製CG0303 50μm
【0036】
(20)比較例18
アンテナパターンがICカードの裏側に配置されるアンテナ支持シートの面に形成されている以外は、比較例17と同様にして、比較例18のICカードを16枚作製した。
(21)比較例19
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は比較例17の場合と同様にして、比較例19のICカードを16枚作製した。
(22)比較例20
アンテナパターンの導体幅を0.8mmにした以外は比較例18の場合と同様にして、比較例20のICカードを16枚作製した。
(23)比較例21
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は比較例17の場合と同様にして、比較例21のICカードを16枚作製した。
【0037】
(24)比較例22
アンテナパターンの導体幅を0.5mmにした以外は比較例18の場合と同様にして、比較例22のICカードを16枚作製した。
(25)比較例23
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は比較例17の場合と同様にして、比較例23のICカードを16枚作製した。
(26)比較例24
アンテナパターンの導体幅を0.3mmにした以外は比較例18の場合と同様にして、比較例24のICカードを16枚作製した。
(27)比較例25〜32
アンテナパターンの導体の厚さを30μmにした以外は、比較例17〜24の場合と同様にして、比較例25〜32のICカードをそれぞれ16枚作製した。
【0038】
2.ICカードのエンボス加工後のアンテナパターン断線評価
得られた実施例1〜16及び比較例1〜32の各ICカードに対し、アンテナパターンが設置されている領域に、ICカードの表側、則ち第1カード基材側に凸部が形成されるようにエンボス加工を施した。
そして、エンボス加工後に、アンテナパターンの断線が発生したICカードの数量を数えた。結果を表1〜4に示す。なお、表4は、表1〜表3の結果をアンテナパターンが形成されたアンテナ支持シートの面に着目して整理した結果を示している。
【0039】
表1〜4からは以下のことが明かである。
(1)第1カード基材と第2カード基材の相対的な厚さに注目した場合、実施例1〜16、比較例1〜16及び比較例17〜32の断線数の合計(E),(I),(N)から、第2カード基材が第1カード基材に比べて薄い方が、エンボス加工によるアンテナパターンの断線の発生数が少ない。
(2)アンテナパターンが形成されるアンテナ支持シートの面に着目した場合、表4にまとめて示したように、ICカードの表側に配置されるアンテナ支持シートの面にアンテナパターンを形成した方が、ICカードの裏側に配置されるアンテナ支持シートの面にアンテナパターンを形成するよりも、アンテナパターンの断線の発生数が少ない。
【0040】
(3)アンテナパターンの導体幅に着目した場合、実施例1〜16及び比較例1〜32の断線数の小計(D),(H),(M)から、導体幅が0.5mmよりも太い方が、アンテナパターンの断線の発生数が少ない。これより、アンテナパターンの導体幅は、0.5mmより太いことが好ましい。
(4)アンテナパターンの導体幅に着目した場合、実施例1〜16及び比較例1〜32の断線数の小計(B),(C),(F),(G),(K),(L)から、導体の厚さが50μmの場合の方が、30μmの場合よりもアンテナパターンの断線の発生数が少ない。これより、アンテナパターンの導体厚さは、50μmであるのがより好ましい。
【0041】
【表1】

【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
本発明は、上述した実施形態及び実施例に限定されることはなく、これらに種々の変更を加えて実施可能である。また、上述した実施形態と公知技術とを組み合わせて実施してもよい。
更に、上述した第1カード基材及び第2カード基材の層構造や材質は、第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはない。また、アンテナパターンの形状についても、第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはない。
最後に、本発明は、非接触ICカードの他、コンビ型やハイブリッド型ICカードにも適用可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10,30 ICカード
11 ICチップ
12 アンテナパターン
14 アンテナ支持シート(アンテナ支持層)
16 スペーサ
18 第1カード基材
20 第2カード基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工によって第1の外面に凸部が形成され且つ第2の外面に前記凸部に対応する凹部が形成されるICカードにおいて、
樹脂製のアンテナ支持層と、
前記アンテナ支持層に設けられ、ICチップと電気的に接続されたアンテナパターンと、
前記第1の外面を有するとともに前記アンテナ支持層の第1の面を覆う第1カード基材と、
前記第2の外面を有するとともに前記アンテナ支持層の第2の面を覆い、前記第1カード基材よりも薄い第2カード基材と
を備えることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記アンテナパターンは、前記アンテナ支持層の第1の面側に設けられ、
前記アンテナパターンの一端は、前記アンテナパターンを跨ぐように設けられたジャンパを介して前記ICチップに接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−118821(P2011−118821A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277672(P2009−277672)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】