説明

ICチップ、情報処理装置、ソフトウェアモジュール制御方法、情報処理システムおよび方法、並びにプログラム

【課題】複数のソフトウェアモジュールがそれぞれセキュリティを確保した上で動作できるようにする。
【解決手段】リーダライタ11と、リーダライタ11により近接通信によりアクセスされる携帯電話端末13とを備える情報処理システム1において、携帯電話端末13では、メモリアクセス管理モジュール53が、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールJ,Fに関するマップを記憶し、マップに基づいてソフトウェアモジュールJ,Fの動作を管理し、他のソフトウェアモジュールAが、複数のソフトウェアモジュールJ,Fの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICチップ、情報処理装置、ソフトウェアモジュール制御方法、情報処理システムおよび方法、並びにプログラムに関し、特に、複数のソフトウェアモジュールがそれぞれセキュリティを確保した上で動作できるようにしたICチップ、情報処理装置、ソフトウェアモジュール制御方法、情報処理システムおよび方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、コマンド体系やセキュリティアルゴリズムなど仕様が異なる複数種類の方式の非接触ICカードの通信方式について先に提案した(例えば特許文献1)。
【0003】
先の提案においては、ICカードと授受されるコマンドや応答結果が、スルーコマンドと呼ばれるICカードの種類に依存しないコマンドで包み込まれ、その処理はリーダライタでは行われず、リーダライタの後段に配置されたコントローラモジュールで行われる。コントローラモジュールは、各方式のICカードに対応するソフトウエアモジュールを有している。
【0004】
しかしながら、先の提案の通信システムにおいては、1つのリーダライタで、複数の異なる方式の非接触ICカードを処理させることができるが、先の提案の通信システムは、1枚で複数の異なる方式の非接触ICカードとして使用される場合に対処するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−264921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1枚が複数の異なる方式の非接触ICカードとして使用される場合、その非接触ICカードはそれぞれの方式のソフトウェアモジュールを有することになる。そしてそのソフトウェアモジュールは、それぞれ異なるタイミングで1つ1つが個別に動作することが想定されており、ユーザーからみて1回の使用時に、すなわち同じ使用タイミングに、2以上のソフトウェアモジュールが動作することは考慮されていない。
【0007】
その結果、同じタイミングで異なる方式の動作が指令された場合、セキュリティを確保した上での動作が困難になる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数のソフトウェアモジュールがそれぞれセキュリティを確保した上で動作できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、複数のソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする他のソフトウェアモジュールとを備えるICチップである。
【0010】
本発明の他の側面は、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、複数のソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする他のソフトウェアモジュールとを備える情報処理装置である。
【0011】
さらに本発明の一側面は、第1の情報処理装置と、第1の情報処理装置により近接通信によりアクセスされる第2の情報処理装置とを備え、第2の情報処理装置は、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、複数のソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする他のソフトウェアモジュールとを備える情報処理システムである。
【0012】
本発明の一側面においては、管理部が、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理し、他のソフトウェアモジュールが、複数のソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする。
【0013】
さらに本発明の側面においては、第1の情報処理装置と、第1の情報処理装置により近接通信によりアクセスされる第2の情報処理装置とを備え、第2の情報処理装置は、管理部が、異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理し、他のソフトウェアモジュールが、複数のソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップをマッピングする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の側面によれば、複数のソフトウェアモジュールがそれぞれセキュリティを確保した上で動作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.第1の実施の形態>
[システムの構成]
[メモリマップの構成]
[ソフトウェアモジュールAの機能的構成]
[マッピングの状態の遷移]
[ソフトウェアモジュールFにアクセスする場合の処理]
[ソフトウェアモジュールJにアクセスする場合の処理]
[ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJを起動する場合の処理]
【0016】
[システムの構成]
【0017】
図1は本発明の情報処理システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。この情報処理システム1は、アンテナ12を有するリーダライタ11、携帯電話端末13、並びにサーバ15により構成されている。携帯電話端末13は携帯電話通信網14を介してサーバ15に接続可能とされている。すなわち、この実施の形態の場合、携帯電話端末13に対してアクセスできるのは、リーダライタ11とサーバ15である。
【0018】
携帯電話端末13は、アンテナ31、NFC(Near Field Communication)チップ32、CPU(Central Processing Unit)33、LSI(Large Scale Integration)などで構成されるICチップ34を有している。
【0019】
NFCチップ32とリーダライタ11は、それぞれが有するアンテナ31とアンテナ12を介して、NFCに代表される非接触通信を行う。CPU33は携帯電話端末13の動作を制御する。
【0020】
ICチップ34は、インターフェース51、CPU52、メモリアクセス管理モジュール53、および記憶部54により構成されている。記憶部54は、ROM(Read Only Memory)61、RAM(Random Access Memory)62、およびEEPROM(Electrically Erasable and Programable Read Only Memory)63により構成されている。
【0021】
インターフェース51は、NFCチップ32とCPU52との間のインターフェース処理を実行する。CPU52は、インストールされたソフトウェアモジュールA、ソフトウェアモジュールJ、およびソフトウェアモジュールFに基づき、各種の処理を実行する。
【0022】
ソフトウェアモジュールJは、第1の方式の非接触ICカードとしての例えばJava Card(サンマイクロシステムズ社の登録商標)の処理を行うオペレーティングシステムである。ソフトウェアモジュールFは、第2の方式の非接触ICカードとしての例えばFeliCa(ソニー株式会社の登録商標)の処理を行うオペレーティングシステムである。マッピング部としてのソフトウェアモジュールAは、メモリマップに対するマッピング処理を行い、ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJが同時に動作しないようにタイミングを調停する。
【0023】
すなわち、ソフトウェアモジュールAは、複数のソフトウェアモジュール(ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJ)のうちの設定されたソフトウェアモジュール(例えばソフトウェアモジュールF)以外の前記ソフトウェアモジュール(例えばソフトウェアモジュールJ)が、設定されたソフトウェアモジュール(例えばソフトウェアモジュールF)と同じタイミングで動作するのを禁止するようにマップをマッピングする。
【0024】
記憶部54のROM61は、プログラム、パラメータ、その他の情報を記憶する。RAM62は、情報を一時的に記憶する。EEPROM63は、電源オフ後も保持する必要がある情報を記憶する。
【0025】
マップに基づいてソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部としてのメモリアクセス管理モジュール53は、保持するメモリマップに基づいて、記憶部54に対するCPU52からのアクセスを制御する。メモリアクセス管理モジュール53は、記憶部54に記憶されている情報のマップであるメモリマップにより動作が禁止されている領域に対するアクセスが行われた場合、すなわち動作が禁止されている前記ソフトウェアモジュールが動作した場合、ハードウェア的なリセットを実行する。
【0026】
[メモリマップの構成]
【0027】
図2はソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止するマップであるメモリマップの原理的構成を表している。アドレスaaaからアドレスbbbまでの領域には、ROM61のソフトウェアモジュールAに関する情報が記憶される。アドレスcccからアドレスdddまでの領域には、ROM61のソフトウェアモジュールFに関する情報が記憶される。アドレスeeeからアドレスfffまでの領域には、ROM61のソフトウェアモジュールJに関する情報が記憶される。
【0028】
アドレスgggからアドレスhhhまでの領域には、RAM62のソフトウェアモジュールAに関する情報が記憶される。アドレスiiiからアドレスjjjまでの領域には、RAM62のソフトウェアモジュールFに関する情報が記憶される。アドレスkkkからアドレスlllまでの領域には、RAM62のソフトウェアモジュールJに関する情報が記憶される。
【0029】
アドレスmmmからアドレスnnnまでの領域には、EEPROM63のソフトウェアモジュールAに関する情報が記憶される。アドレスoooからアドレスpppまでの領域には、EEPROM63のソフトウェアモジュールFに関する情報が記憶される。アドレスqqqからアドレスrrrまでの領域には、EEPROM63のソフトウェアモジュールJに関する情報が記憶される。
【0030】
[ソフトウェアモジュールAの機能的構成]
【0031】
図3はソフトウェアモジュールAの機能的構成を表している。ソフトウェアモジュールAは、受信部101、送信部102、マッピング部103、およびフラグ設定部104を有している。
【0032】
受信部101は、他のソフトウェアモジュールからの情報を受信する。送信部102は、他のソフトウェアモジュールに対して情報を送信する。マッピング部103は、メモリマップのマッピング処理を行う。フラグ設定部104は、フラグの設定を行う。
【0033】
[マッピングの状態の遷移]
【0034】
図4はマッピングの状態の遷移を表している。この実施の形態の場合、マッピングA、マッピングF、およびマッピングJの3つの状態が存在する。マッピングAでは、ソフトウェアモジュールAのみが動作可能とされ、ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJの動作は禁止される。マッピングFでは、ソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールFのみが動作可能とされ、ソフトウェアモジュールJの動作は禁止される。マッピングJでは、ソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールJのみが動作可能とされ、ソフトウェアモジュールFの動作は禁止される。
【0035】
状態は、マッピングAからマッピングF、またはマッピングAからマッピングJに遷移する。あるいは逆に、マッピングFからマッピングA、またはマッピングJからマッピングAに遷移する。マッピングFからマッピングJへの直接の遷移、あるいはその逆のマッピングJからマッピングFへの直接の遷移は禁止される。
【0036】
このように、ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJが同じタイミングで同時に動作することが禁止されるので、セキュリティが確保される。
【0037】
なお、マッピングは、マッピング部103が、受信されたコマンドパケットの宛先(通信方式)に応じて決定する。ソフトウェアモジュールAは常に動作可能の状態とされる。
【0038】
[ソフトウェアモジュールFにアクセスする場合の処理]
【0039】
図5は、リーダライタ11がソフトウェアモジュールFにアクセスする場合の処理を表している。
【0040】
ステップS1においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールFのコマンドパケットを送信する。このコマンドパケットは、アンテナ12、アンテナ31を介してNFCチップ32に受信され、さらにインターフェース51を介してソフトウェアモジュールAに供給される。
【0041】
ステップS21において、ソフトウェアモジュールAの受信部101は、リーダライタ11からのソフトウェアモジュールF宛のコマンドパケットを受信する。待機状態においてはマッピングはマッピングAの状態とされているので、ソフトウェアモジュールA以外は通信が禁止されている。従って、この受信処理はソフトウェアモジュールAによってのみ行われる。ステップS22においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、ソフトウェアモジュールF宛のコマンドパケットが受信されたので、マッピングをマッピングAの状態からマッピングFの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールFの間の通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0042】
ステップS23においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、リーダライタ11から受信したソフトウェアモジュールF宛のコマンドパケットをソフトウェアモジュールFに送信する。
【0043】
ステップS41においてソフトウェアモジュールFは、ソフトウェアモジュールAからのコマンドパケットを受信する。そして、ソフトウェアモジュールFは、受信したコマンドに対応する処理を実行し、ステップS42において、処理の結果に対応するソフトウェアモジュールFのリーダライタ11宛のレスポンスパケットをソフトウェアモジュールAに送信する。
【0044】
ステップS24においてソフトウェアモジュールAの受信部101は、ソフトウェアモジュールFからのリーダライタ11宛のレスポンスパケットを受信する。そこでステップS25においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、マッピングをマッピングFの状態からマッピングAの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAによる通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。ステップS26においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、ソフトウェアモジュールFから受信したリーダライタ11宛のレスポンスパケットをリーダライタ11に送信する。このレスポンスパケットは、インターフェース51、NFCチップ32、およびアンテナ31を介してリーダライタ11に送信される。
【0045】
ステップS2においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールAから送信されてきた、ソフトウェアモジュールFのレスポンスパケットをアンテナ12を介して受信する。これにより、ステップS1でソフトウェアモジュールFに送信したコマンドに対応するレスポンスをソフトウェアモジュールFから受信したことになる。
【0046】
[ソフトウェアモジュールJにアクセスする場合の処理]
【0047】
次に、リーダライタ11がソフトウェアモジュールJにアクセスする場合の処理について、図6を参照して説明する。
【0048】
ステップS61においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールJのコマンドパケットを送信する。このコマンドパケットは、アンテナ12、アンテナ31を介してNFCチップ32に受信され、さらにインターフェース51を介してソフトウェアモジュールAに供給される。
【0049】
ステップS81において、ソフトウェアモジュールAの受信部101は、リーダライタ11からのソフトウェアモジュールJ宛のコマンドパケットを受信する。待機状態においてはマッピングはマッピングAの状態とされているので、ソフトウェアモジュールA以外は通信が禁止されている。従って、この受信処理はソフトウェアモジュールAによってのみ行われる。ステップS82においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、ソフトウェアモジュールJ宛のコマンドパケットが受信されたので、マッピングをマッピングAの状態からマッピングJの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールJの間の通信が可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0050】
ステップS83においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、リーダライタ11から受信したソフトウェアモジュールJ宛のコマンドパケットをソフトウェアモジュールJに送信する。
【0051】
ステップS91においてソフトウェアモジュールJは、ソフトウェアモジュールAから受信したコマンドパケットを受信する。そして、ソフトウェアモジュールJは、受信したコマンドに対応する処理を実行し、ステップS92において、処理の結果に対応するリーダライタ11宛のソフトウェアモジュールJのレスポンスパケットをソフトウェアモジュールAに送信する。
【0052】
ステップS84においてソフトウェアモジュールAの受信部101は、ソフトウェアモジュールJからのリーダライタ11宛のレスポンスパケットを受信する。そこでステップS85においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、マッピングをマッピングJの状態からマッピングAの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAによる通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。ステップS86においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、ソフトウェアモジュールJから受信したリーダライタ11宛のレスポンスパケットをリーダライタ11に送信する。このレスポンスパケットは、インターフェース51、NFCチップ32、およびアンテナ31を介してリーダライタ11に送信される。
【0053】
ステップS62においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールAから送信されてきた、ソフトウェアモジュールJのレスポンスパケットをアンテナ12を介して受信する。これにより、ステップS61でソフトウェアモジュールJに送信したコマンドに対応するレスポンスをソフトウェアモジュールJから受信したことになる。
【0054】
[ソフトウェアモジュールFとソフトウェアモジュールJを起動する場合の処理]
【0055】
次に図7と図8を参照して、リーダライタ11が、ソフトウェアモジュールJを介してソフトウェアモジュールFと通信する場合の処理について説明する。
【0056】
ステップS111においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールJのコマンドパケットで、ソフトウェアモジュールFのコマンドを送信する。このコマンドパケットは、アンテナ12、アンテナ31を介してNFCチップ32に受信され、さらにインターフェース51を介してソフトウェアモジュールAに供給される。
【0057】
ステップS121において、ソフトウェアモジュールAの受信部101は、リーダライタ11からのコマンドパケットを受信する。待機状態においてはマッピングはマッピングAの状態とされているので、ソフトウェアモジュールA以外は通信が禁止されている。従って、この受信処理はソフトウェアモジュールAによってのみ行われる。ステップS122においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、ソフトウェアモジュールJのコマンドパケットが受信されたので、マッピングをマッピングAの状態からマッピングJの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールJの間の通信が可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0058】
ステップS123においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、リーダライタ11から受信したソフトウェアモジュールJのコマンドパケットのソフトウェアモジュールFのコマンドを、ソフトウェアモジュールJに送信する。
【0059】
ステップS151においてソフトウェアモジュールJは、ソフトウェアモジュールAから受信したコマンドパケットを受信する。そして、ステップS152においてソフトウェアモジュールJはパケットを変換する。すなわち、ソフトウェアモジュールJのコマンドパケットに記述されているのが、ソフトウェアモジュールFのコマンドであるので、ソフトウェアモジュールJのパケットがソフトウェアモジュールFのパケットに変換される。ソフトウェアモジュールJはステップS153において、変換の結果生成された、ソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドをソフトウェアモジュールAに送信する。
【0060】
ステップS124においてソフトウェアモジュールAの受信部101は、ソフトウェアモジュールJからのコマンドパケットを受信する。ステップS125においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、受信したのがソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドであるので、マッピングをマッピングJの状態からマッピングAの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAによる通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0061】
ステップS126においてソフトウェアモジュールAのフラグ設定部104は、リーダライタ11からソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドを受信したことを示すフラグをセットする。ステップS127においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、ソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドを受信したので、マッピングをマッピングAの状態からマッピングFの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールFとの間での通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0062】
ステップS128においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、ソフトウェアモジュールJから受信したソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドをソフトウェアモジュールFに送信する。
【0063】
ステップS171においてソフトウェアモジュールFは、ソフトウェアモジュールAからのソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドを受信する。そして、ソフトウェアモジュールFは受信したコマンドに対応する処理を実行する。ステップS172においてソフトウェアモジュールFは、処理の結果に基づいて、ソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのレスポンスを、ソフトウェアモジュールAに送信する。
【0064】
ステップS129においてソフトウェアモジュールAの受信部101は、ソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFからのレスポンスを受信する。
【0065】
ステップS130においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、フラグをリセットするために、マッピングをマッピングFの状態からマッピングAの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAだけの通信が可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0066】
ステップS131においてソフトウェアモジュールAのフラグ設定部104は、フラグをリセットする。すなわち、ソフトウェアモジュールAのフラグ設定部104は、いままでリーダライタ11からソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのコマンドを受信したことを示すフラグがセットされていた状態なので、ソフトウェアモジュールJから受信したパケットを、リーダライタ11に送信することを確認した後、ステップS126においてフラグをリセットする。
【0067】
ステップS132においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、ステップS129で受信したソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのレスポンスをソフトウェアモジュールJに送信するために、マッピングをマッピングAの状態からマッピングJの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAとソフトウェアモジュールJの間の通信が可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。
【0068】
ステップS133においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、ステップS129においてソフトウェアモジュールFから受信した、ソフトウェアモジュールJを介するソフトウェアモジュールFのレスポンスを、ソフトウェアモジュールJに送信する。
【0069】
ステップS154においてソフトウェアモジュールJは、ソフトウェアモジュールAからのレスポンスパケットを受信する。ステップS155においてソフトウェアモジュールJは、パケットを変換する。すなわちソフトウェアモジュールJのレスポンスパケットのソフトウェアモジュールFのレスポンスに変換される。ステップS156においてソフトウェアモジュールJは、ソフトウェアモジュールJのレスポンスパケットのソフトウェアモジュールFのレスポンスをソフトウェアモジュールAに送信する。
【0070】
ステップS134においてソフトウェアモジュールAの受信部101は、ソフトウェアモジュールJからのレスポンスパケットを受信する。ステップS135においてソフトウェアモジュールAのマッピング部103は、フラグに基づきリーダライタ11と通信するため、マッピングをマッピングJの状態からマッピングAの状態に切り替える。これによりソフトウェアモジュールAによる通信のみが可能となり、それ以外の通信は禁止された状態になる。ステップS136においてソフトウェアモジュールAの送信部102は、リセット前に確認したフラグに従って、ソフトウェアモジュールJから受信したレスポンスパケットをリーダライタ11に送信する。このコマンドパケットは、インターフェース51、NFCチップ32、およびアンテナ31を介してリーダライタ11に送信される。
【0071】
ステップS112においてリーダライタ11は、ソフトウェアモジュールAから送信されてきた、フトウェアモジュールJのレスポンスパケットのソフトウェアモジュールFのレスポンスをアンテナ12を介して受信する。これにより、ステップS111でソフトウェアモジュールJのコマンドパケットで送信したソフトウェアモジュールFのコマンドに対応するレスポンスをソフトウェアモジュールFから受信したことになる。
【0072】
以上においては、リーダライタ11がソフトウェアモジュールFまたはソフトウェアモジュールJにアクセスする場合について説明したが、サーバ15が携帯電話通信網14を介して携帯電話端末13にアクセスする場合も同様の処理となる。また方式の異なるソフトウェアモジュールの数は少なくとも2個であり、3個以上であってもよい。
【0073】
また、ICチップ34が非接触ICカード、その他の情報処理装置に収容されている場合にも本発明は適用することができる。
【0074】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0075】
なお、本明細書において、プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0076】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0077】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の情報処理システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】メモリマップの原理的構成を表す図である。
【図3】ソフトウェアモジュールAの構成を示すブロック図である。
【図4】マッピングの状態の遷移を表す図である。
【図5】リーダライタがソフトウェアモジュールFにアクセスする場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】リーダライタがソフトウェアモジュールJにアクセスする場合の処理を説明するフローチャートである。
【図7】リーダライタがソフトウェアモジュールJを介してソフトウェアモジュールFと通信する場合の処理を説明するフローチャートである。
【図8】リーダライタがソフトウェアモジュールJを介してソフトウェアモジュールFと通信する場合の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理システム, 12 アンテナ, 13 携帯電話端末, 14 携帯電話通信網, 15 サーバ, 31 アンテナ, 32 NFCチップ, 33 CPU, 51 インターフェース, 52 CPU, 53 メモリアクセス管理モジュール, 54 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップをマッピングする他のソフトウェアモジュールと
を備えるICチップ。
【請求項2】
前記管理部は、動作が禁止されている前記ソフトウェアモジュールが動作した場合、ハードウェアリセットを行う
請求項1に記載のICチップ。
【請求項3】
前記他のソフトウェアモジュールは、1つの前記ソフトウェアモジュールだけが動作することを許可する状態をマッピングする
請求項2に記載のICチップ。
【請求項4】
前記他のソフトウェアモジュールは、受信したコマンドパケットの宛先に基づき前記マップをマッピングする
請求項3に記載のICチップ。
【請求項5】
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップをマッピングする他のソフトウェアモジュールと
を含むソフトウェアモジュール制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する手順と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップを他のソフトウェアモジュールによりマッピングする手順と
を実行させるためのプログラム。
【請求項7】
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップをマッピングする他のソフトウェアモジュールと
を備える情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、携帯電話端末または非接触ICカードである
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記管理部は、動作が禁止されている前記ソフトウェアモジュールが動作した場合、ハードウェアリセットを行う
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記他のソフトウェアモジュールは、1つの前記ソフトウェアモジュールだけが動作する状態をマッピングする
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記他のソフトウェアモジュールは、受信したコマンドパケットの宛先に基づき前記マップをマッピングする
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
第1の情報処理装置と、
前記第1の情報処理装置により近接通信によりアクセスされる第2の情報処理装置とを備え、
前記第2の情報処理装置は、
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップをマッピングするその他のソフトウェアモジュールと
を備える
情報処理システム。
【請求項13】
前記第1の情報処理装置は、リーダライタまたはサーバであり、
前記第2の情報処理装置は、携帯電話端末または非接触ICカードである
請求項12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記管理部は、動作が禁止されている前記ソフトウェアモジュールが動作した場合、ハードウェアリセットを行う
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記他のソフトウェアモジュールは、1つの前記ソフトウェアモジュールだけが動作する状態をマッピングする
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記他のソフトウェアモジュールは、受信したコマンドパケットの宛先に基づき前記マップをマッピングする
請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
第1の情報処理装置と、
前記第1の情報処理装置により近接通信によりアクセスされる第2の情報処理装置とを備え、
前記第2の情報処理装置は、
異なる方式の非接触通信により授受される情報を処理する複数のソフトウェアモジュールに関するマップを記憶し、前記マップに基づいて前記ソフトウェアモジュールの動作を管理する管理部と、
複数の前記ソフトウェアモジュールの動作を許可又は禁止する前記マップをマッピングする他のソフトウェアモジュールと
を含む情報処理システムの情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−67200(P2010−67200A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235287(P2008−235287)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】