説明

IC取り外し用熱風ブロワー

【課題】 熱風吹き出し手段の位置をICの大きさ・形に調節して使用でき、ICの半田付け部分に最適な熱風を吹き出してICを基板から取り外しできる。ICの周辺の部品を誤って取り外してしまうことがなく所定のICを正確に取り外すことができる。
【解決手段】 基板上に端子部12を半田付けで取り付けられたIC11の半田付け部分に熱風を当てて、半田を溶かしてIC11を取り外すようにしたIC取り外し用熱風ブロワーにおいて、上部側の基部2の下面の前後左右に設けられた熱風吹き出し部材3、4が間隔調整手段によって近接離反されるように構成し、各熱風吹き出し手段3、4の間隔をIC11の大きさ・サイズに合った間隔とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に端子部を半田付けで取り付けられたICの半田付け部分に熱風を当てて、半田を溶かしてICを取り外すようにしたIC取り外し用熱風ブロワーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のIC取り外し用熱風ブロワーは、ブロワーの先端の大きさ・サイズが固定しており、ICの種類の違いによりICの大きさ・形が異なるとこのICに熱風を当てるのが困難であった。また、このIC以外の周辺の部品を誤って取り外してしまうことがあるという問題があった。
【0003】
第1の従来技術を図8、図9に示す。この従来の気体加熱ヒータは、図8、図9に示すように、断熱材料製のヒータホルダーの複数の挿入穴には、気体の流通通路が長手方向に延びて設けられたヒーター手段130を挿通して保持し、各々には個別に通電制御可能となす一方、ヒーターホルダーを覆ってチャンバ140を設け、チヤンバのノズル取付部に加熱気体に吐出し、下端が各種形状のノズル150を取替え可能に且つ着脱可能に取り付けるものであった。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、これにおいては、取り外すICの種類に応じてノズル150を各種複数用意しなくてはならないので、部品点数が多くなり、また、ICなどのワークWの寸法に対してノズル150の下端の寸法が合わない場合があるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−134904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、熱風吹き出し手段の位置をICの大きさ・形に調節して使用することができ、ICの半田付け部分に最適な熱風を吹き出してICを基板から取り外すことができる。これによって、取り外すICの種類に応じてノズルを取り替えなくともこのICの周辺の部品を誤って取り外してしまうことがなく、所定のICを正確に取り外すことができるIC取り外し用熱風ブロワーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、請求項1に記載の発明は、基板上に端子部を半田付けで取り付けられたICの半田付け部分に熱風を当てて、半田を溶かしてICを取り外すようにしたIC取り外し用熱風ブロワーにおいて、上部側の基部の下面の前後左右に設けられた熱風吹き出し部材が間隔調整手段によって近接離反されるように構成したことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記前後左右の熱風吹き出し手段は、互いに対向する各一対の一方が前記基部の下面に固定され、他方が前記基部の下面に対して前記間隔調整手段で移動可能となっており、前記間隔調整手段は、固定された側の熱風吹き出し手段に貫通して設けられ先端部分に雄ねじ部を有し基端部に回転操作用ノブを有するロッドと、移動側の熱風吹き出し手段の内面側に突出され前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する移動側ロッドとで構成されており、前記回転操作用ノブを回転操作することにより、前記雄ねじ部と雌ねじ部の螺進螺退で前記移動側の熱風吹き出し手段が前記固定側の熱風吹き出し手段に対して近接離反して互いの間隔が調整されるようにした。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記間隔調整手段は、前記基部の下面における各熱風吹き出し手段の外側に設けられた固定板と、この固定板を貫通し、外端に回転操作用ノブを有し、内側にその略中央部分から外側に向けて互いに逆向きに刻設された雄ねじ部を有するねじ棒と、このねじ棒が各熱風吹き出し手段に貫通し、これらの各熱風吹き出し手段に設けられ前記ねじ棒の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部とで構成されており、前記回転操作用ノブを回転操作することによって、前記ねじ棒が回転され、前記逆向きに刻設された雄ねじ部と前記各熱風吹き出し手段の雌ねじ部の螺進螺退で前記各熱風吹き出し手段が近接離反されるように構成されている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記移動可能な熱風吹き出し手段は、前記基部の下面にアリ溝構造によって、移動可能に構成されており、前記アリ溝構造には、前記基部から前記熱風吹き出し手段に熱風を送り込むための貫通溝が形成されている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記移動可能な熱風吹き出し手段の前記基部のアリ溝構造の貫通溝と対応する部分における内外に、前記基部のアリ溝構造の貫通溝部分を覆う覆い板が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、熱風吹き出し手段が間隔調整手段によって近接離反するようになっているので、基板上のICの大きさ・サイズに合わせて熱風吹き出し手段の間隔を間隔調整手段で調整することにより、熱風吹き出し手段から大きさ・サイズの異なる各ICの半田付け部分に熱風を吹き出して各ICを取り外すことができる。これにより、熱風吹き出し手段の位置をICの大きさ・形に調節して使用することができてICの半田付け部分に最適な熱風を吹き出してICを基板から取り外すことができる。これによって、ICの周辺の部品を誤って取ってしまうことがなく、所定のICを正確に取り外して取り出すことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、回転操作用ノブを回転操作するだけで、移動側の熱風吹き出し手段と固定側の熱風吹き出し手段との間隔をICの大きさ・サイズにあった間隔とすることができる。これにより、ICの半田付け部分に両熱風吹き出し手段から最適な熱風を当てることができて、大きさ・サイズの異なるICを確実に且つ容易に基板から取り外すことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、回転操作用ノブを回転操作すると、ねじ棒が回転されてこのねじ棒の雄ねじ部に対して各熱風吹き出し手段の雌ねじ部が螺進螺退し、各熱風吹き出し手段が移動して対向する各熱風吹き出し手段が近接離反する。これにより、各熱風吹き足し手段の間隔をICの大きさ・サイズに合わせることができ、この状態で各熱風吹き出し手段からの熱風がICの半田付け部分に当たって、ICを他の部品と間違うことなく正確に取り外すことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、基部の下面と熱風吹き出し手段とがアリ溝構造によって移動可能に構成されているから、熱風吹き出し手段をスムーズに且つ決められた方向に確実に移動することができる。また、アリ溝構造には貫通溝が設けられているので、基部内から熱風吹き出し手段への熱風の送り込みを支障なく行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、アリ溝構造の貫通溝を熱風吹き出し手段に設けられた覆い板で覆うことができるので、熱風を基部内から熱風吹き出し手段内に、外部に漏れることなく正確に送り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るIC取り外し用熱風ブロワーの実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は本発明の第1実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーでICに熱風を放出している状態を示す斜視図、図2は図1のIC取り外し用熱風ブロワーの底面図である。
【0018】
第1実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーは、図1、図2に示すように、熱風供給源(図示略)にパイプ1が連結され、その下方に基部2が連結されている。基部2の下面には、その前後と左右にそれぞれ一対の熱風吹き出し手段3、3及び4、4が移動可能に垂設されている。これらの熱風吹き出し手段3、3及び4、4は、下端に熱風吹き出し開口部3a、4aを有し、内部が空洞化されている。
【0019】
対向する熱風吹き出し手段3、3又は4、4は、対向する一方側が基部2に固定され、他方側は、基部2の下面に対して後述するアリ溝構造で移動可能に設けられている。一方側の熱風吹き出し手段3、4には、先端側に雄ねじ部5aを有するロッド5が貫通して設けられ、このロッド5の外端には回転操作用ノブ6が取り付けられている。他方側の熱風吹き出し手段3、4の内方側には、先端側に雌ねじ部7aを有する移動側ロッド7が設けられている。一方側の熱風吹き出し手段3、4のロッド5の雄ねじ部5aが他方側の熱風吹き出し手段3、4の移動側ロッド7の雌ねじ部7aに螺合されている。
【0020】
図3は図2の状態からそれぞれ移動側の熱風吹き出し手段が外向きに移動した状態を示すIC取り外し用熱風ブロワーの底面図、図4はブロワーの基部と熱風吹き出し手段との連結構造を示す部分拡大断面図、図5は固定側の熱風吹き出し手段とロッドの抜け止め構造を示す部分拡大断面図である。
【0021】
図4に示すように、他方側の各熱風吹き出し手段3、4の上端と基部2との連結構造は移動可能なアリ溝構造8とされている。このアリ溝構造8は、基部2の下壁2aに断面略V字形のアリ溝8aが形成され、他方側の各熱風吹き出し手段3、4の上端から上向きに突出された断面略V字形の嵌合部8bが設けられていて、この嵌合部8bがアリ溝8aに嵌め合わされることによって、他方側の各熱風吹き出し手段3、4が図にて前後方向に移動可能なように構成されたものである。アリ溝8aと嵌合部8bには、上下に貫通する貫通溝8cが形成されていて、基部2から他方側の各熱風吹き出し手段3、4内に熱風が送り込まれるようになっている。
【0022】
また、図5に示すように、ロッド5の所定箇所には係止爪9が設けられ、このロッド5の回転操作用ノブ6側部分が、一方側(固定側)の熱風吹き出し手段3の貫通孔3bの略中央箇所で係止爪9が係止されるようになっている。
【0023】
図2、図3に示すように、他方側(移動側)の各熱風吹き出し手段3、4のアリ溝構造8のアリ溝8aと対応する部分の内外に、アリ溝8aを覆う覆い板10が各熱風吹き出し手段3、4の上端と一体に設けられている。
【0024】
図2の状態から各回転操作用ノブ6を回転操作すると、図3に示すように、ロッド5が回転されてこのロッド5の雄ねじ部5aに対して移動側ロッド7の雌ねじ部7aが螺退して外側に向けて移動する。これにより、他方側の各熱風吹き出し手段3、4が外向きに移動して、各熱風吹き出し手段3、3及び4、4の間隔が広くなる。また、各回転操作用ノブ6を前記とは反対向きに回転操作すると、ロッド5が回転されてこのロッド5の雄ねじ部5aに対して移動側ロッド7の雌ねじ部7aが螺進して内側に向けて移動する。これにより、他方側の各熱風吹き出し手段3、4が内向きに移動して、各熱風吹き出し手段3、3及び4、4の間隔が狭くなるようにすることもできる。このようにして、各熱風吹き出し手段3、3及び4、4の間隔を調整することによって、基板上のIC11(図1参照)の大きさ・サイズに合わせることができる。
【0025】
また、熱風が熱風供給源からパイプ1を介して基部2に入り込むと、この熱風は、アリ溝構造8の貫通溝8cを通り、各熱風吹き出し手段3、4の内部に流れ込む。この熱風は、各熱風吹き出し手段3、4の熱風吹き出し開口部3a、4aから外部に下向きに放出され、IC11(図1参照)の端子部12に当たり、この端子部12の半田を溶かしてIC11を取り外しできる。更に、むアリ溝8aは覆い板10で覆われているので、熱風吹き出し手段4以外の箇所から熱風が吹き出すことを防ぐことができる。
【0026】
図6は第2実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーの正面図、図7は同IC取り外し用熱風ブロワーの底面図である。
【0027】
この第2実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーは、図6、図7に示すように、基部2の下壁2aの四方の外側辺近傍に固定板13が一体に設けられている。これらの固定板13の内側には移動可能な熱風吹き出し手段14がそれぞれ配設されている。対向する固定板13間には、略中央部分から外側に向けて逆向きに刻設された雄ねじ部15a、15bを有するねじ棒15が掛け渡されている。このねじ棒15における固定板13の外側には、回転操作用ノブ16がそれぞれ設けられ、各熱風吹き出し手段14には、ねじ棒15の雄ねじ部15a、15bに螺合する雌ねじ部14aが形成されている。
【0028】
また、各熱風吹き出し手段14は、上記した第1実施形態と同様のアリ溝構造8で内外に移動可能となっており、各熱風吹き出し手段14の上端には、アリ溝構造8のアリ溝8aを覆う覆い板10が一体に取り付けられている。
【0029】
上記構造により、回転操作用ノブ16を正逆方向に回転操作すると、ねじ棒15が回転され、このねじ棒15の雄ねじ部15a、15bに対して各熱風吹き出し手段14の雌ねじ部14aが螺進又は螺退して、各熱風吹き出し手段14が外側に移動したり又は内側に移動して、各熱風吹き出し手段14の間隔を調整することができる。これにより、各熱風吹き出し手段14の間隔を基板上のIC11(図1参照)の大きさ・サイズに合わせて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は本発明の第1実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーでICに熱風を放出している状態を示す斜視図である。
【図2】図1のIC取り外し用熱風ブロワーの底面図である。
【図3】図2の状態からそれぞれ移動側の熱風吹き出し手段が外向きに移動した状態を示すIC取り外し用熱風ブロワーの底面図である。
【図4】ブロワーの基部と熱風吹き出し手段との連結構造を示す部分拡大断面図である。
【図5】固定側の熱風吹き出し手段とロッドの抜け止め構造を示す部分拡大断面図である。
【図6】第2実施形態のIC取り外し用熱風ブロワーの正面図である。
【図7】同IC取り外し用熱風ブロワーの底面図である。
【図8】従来の気体加熱ヒータを備えた半田付け装置を示す概略斜視図である。
【図9】同装置の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 パイプ
2 基部
2a 下壁
3 熱風吹き出し手段
3b 貫通孔
3a 熱風吹き出し開口部
3b 貫通孔
4 熱風吹き出し手段
4a 熱風吹き出し開口部
5 ロッド
5a 雄ねじ部
6 回転操作用ノブ
7 移動側ロッド
7a 雌ねじ部
8 アリ溝構造
8a アリ溝
8b 嵌合部
8c 貫通溝
9 係止爪
10 覆い板
11 IC
12 端子部
13 固定板
14 熱風吹き出し手段
14a 雌ねじ部
15 ねじ棒
15a 雄ねじ部
15b 雄ねじ部
16 回転操作用ノブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に端子部を半田付けで取り付けられたICの半田付け部分に熱風を当てて、半田を溶かしてICを取り外すようにしたIC取り外し用熱風ブロワーにおいて、上部側の基部の下面の前後左右に設けられた熱風吹き出し部材が間隔調整手段によって近接離反されるように構成したことを特徴とするIC取り外し用熱風ブロワー。
【請求項2】
前記前後左右の熱風吹き出し手段は、互いに対向する各一対の一方が前記基部の下面に固定され、他方が前記基部の下面に対して前記間隔調整手段で移動可能となっており、前記間隔調整手段は、固定された側の熱風吹き出し手段に貫通して設けられ先端部分に雄ねじ部を有し基端部に回転操作用ノブを有するロッドと、移動側の熱風吹き出し手段の内面側に突出され前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する移動側ロッドとで構成されており、前記回転操作用ノブを回転操作することにより、前記雄ねじ部と雌ねじ部の螺進螺退で前記移動側の熱風吹き出し手段が前記固定側の熱風吹き出し手段に対して近接離反して互いの間隔が調整されるようにした請求項1に記載のIC取り外し用熱風ブロワー。
【請求項3】
前記間隔調整手段は、前記基部の下面における各熱風吹き出し手段の外側に設けられた固定板と、この固定板を貫通し、外端に回転操作用ノブを有し、内側にその略中央部分から外側に向けて互いに逆向きに刻設された雄ねじ部を有するねじ棒と、このねじ棒が各熱風吹き出し手段に貫通し、これらの各熱風吹き出し手段に設けられ前記ねじ棒の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部とで構成されており、前記回転操作用ノブを回転操作することによって、前記ねじ棒が回転され、前記逆向きに刻設された雄ねじ部と前記各熱風吹き出し手段の雌ねじ部の螺進螺退で前記各熱風吹き出し手段が近接離反されるように構成された請求項1に記載のIC取り外し用熱風ブロワー。
【請求項4】
前記移動可能な熱風吹き出し手段は、前記基部の下面にアリ溝構造によって、移動可能に構成されており、前記アリ溝構造には、前記基部から前記熱風吹き出し手段に熱風を送り込むための貫通溝が形成されている請求項2又は3に記載のIC取り外し用熱風ブロワー。
【請求項5】
前記移動可能な熱風吹き出し手段の前記基部のアリ溝構造の貫通溝と対応する部分における内外に、前記基部のアリ溝構造の貫通溝部分を覆う覆い板が設けられている請求項4に記載のIC取り外し用熱風ブロワー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−135228(P2006−135228A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324936(P2004−324936)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】