説明

IC搬送装置及びコンタクタ

【課題】 ICデバイスを移送するIC搬送装置に用いられ、ICデバイスを吸着保持するコンタクタにおいて、ICデバイスの搬送効率の向上を図り、かつ、IC搬送装置の製造コスト及びランニングコストの削減を図ることができるようにする。
【解決手段】 第1のエアライン31を有する本体部33と、一端が前記第1のエアライン31に連通可能とされ、他端が外方に開放される第2のエアライン41を有すると共に、これら第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通又は遮断する位置の間で前記本体部33に対して移動自在なシリンダ43と、前記第1及び第2のエアライン31,41を相互に遮断する位置に向けて前記シリンダ43を付勢する付勢手段47と、前記第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通する位置に前記シリンダ43を保持する保持手段とを備えることを特徴とするコンタクタ7を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICデバイスを搬送するIC搬送装置、及び、ICデバイスを吸着保持するコンタクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のIC搬送装置としては、エアーを利用してICデバイスをコンタクタに吸着させた状態で、ICデバイスを収納するトレイや各種IC製造装置間でコンタクタを搬送するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この種のIC搬送装置は、例えば、図9に示すように、先端にICデバイス101を吸着させる吸着部103を有する複数のコンタクタ105と、コンタクタ105と同数のバルブ107及び配管109を介して各コンタクタ105のエアライン111に接続される真空ポンプ113とを備えている。バルブ107及び配管109は、各コンタクタ105に対して1つずつ設けられている。
各バルブ107は、ICデバイス101が吸着部103の先端に配されているか否か応じて適宜開閉するように構成されている。すなわち、ICデバイス101が吸着部103の先端に配置されていることをセンサ(不図示)で検知した際に、この検知結果に基づいてIC搬送装置に設けられた制御部115によってバルブ107を開くように構成されている。各バルブ107とコンタクタ105のエアライン111との間に配された配管109は、その内部の気密性を保持するために、金属等の硬い材質から形成されており、コンタクタ105に一体的に固定されている。
【0003】
ICデバイス101を吸着部103の先端に吸着させる際には、制御部115によりバルブ107を開き、真空ポンプ113によりコンタクタ105のエアライン111内を減圧することにより、ICデバイス101が吸着部103に吸着することになる。なお、ICデバイス101が吸着しない吸着部103のエアライン111は、真空ポンプ113と遮断されるように、制御部115によってバルブ107が閉じられている。
そして、コンタクタ105によりトレイ117間でICデバイスを搬送する際には、複数のコンタクタ105と共にこれに一体的に固定されたバルブ107及び配管109をモータ等の駆動源を備える搬送機構(不図示)により移動させる。
【特許文献1】特開平5−152417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のコンタクタ105及びIC搬送装置では、各コンタクタ105に取り付けられたバルブ107の開閉をそれぞれ別個に制御する必要があるため、コンタクタ105及びIC搬送装置の製造コストが増加するという問題がある。
また、複数のバルブ107及び配管109をコンタクタ105と共に搬送機構により移動させるため、IC搬送装置におけるコンタクタ105を高速で移動させることができず、さらに、IC搬送装置におけるコンタクタ105の位置決め精度が低下する虞がある。以上のことから、IC搬送装置によるICデバイス101の搬送効率が低下するという問題がある。
また、上述のように、重量の重いコンタクタ105を移動させるためには搬送機構として駆動力の大きいモータをIC搬送装置に搭載する必要があり、IC搬送装置の製造コストやランニングコストが増加する虞がある。
【0005】
なお、コンタクタ105の軽量化を図るためにバルブ107を設けない場合、吸着部103は、ICデバイスを吸着する吸着部103内のエアーだけではなく、ICデバイス101を吸着しない吸着部103内のエアーも吸い上げるため、ICデバイス101を吸着するエアライン111を減圧するための吸引力が低下するという問題がある。
また、この吸引力の低下を補うために出力の大きい真空ポンプ113が必要となるため、IC搬送装置の製造コストやランニングコストが高くなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ICデバイスの搬送効率の向上を図り、かつ、IC搬送装置の製造コスト及びランニングコストの削減を図ることができるコンタクタ及びIC搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、ICデバイスを移送するIC搬送装置に用いられ、ICデバイスを吸着して保持するコンタクタであって、第1のエアラインを有する本体部と、一端が前記第1のエアラインに連通可能とされ、他端が外方に開放される第2のエアラインを有すると共に、これら第1及び第2のエアラインを相互に連通又は遮断する位置の間で前記本体部に対して移動自在なシリンダと、前記第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置に向けて前記シリンダを付勢する付勢手段と、前記第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置に前記シリンダを保持する保持手段とを備えることを特徴とするコンタクタを提案している。
【0008】
本発明に係るコンタクタにICデバイスを吸着保持する際には、第2のエアラインの他端を塞ぐようにICデバイスをシリンダに押し付け、この押し付ける力によって付勢手段の付勢力に抗ってシリンダを移動させて、第1及び第2のエアラインを相互に連通させる。次いで、この状態において、第1のエアラインに接続した真空ポンプにより第1及び第2のエアラインを減圧することにより、ICデバイスがシリンダに吸着することになる。この状態においては、保持手段により、第1及び第2のエアラインが相互に連通する位置にシリンダが保持されるため、ICデバイスの吸着状態を維持することができる。
【0009】
また、このICデバイスの吸着状態を解除する際には、保持手段によるシリンダの保持状態を解除することにより、シリンダが、付勢手段の付勢力によって第1及び第2のエアラインを相互に遮断した位置まで移動する。これにより、真空ポンプによる第2のエアラインの減圧状態が解除されて圧力が大気圧まで回復するため、ICデバイスをシリンダから離脱させることができる。なお、ICデバイスのシリンダからの離脱は、真空ポンプによる第1及び第2のエアラインの減圧を停止し、第1及び第2のエアラインを加圧することによりなされるとしてもよい。
【0010】
前述したように、シリンダにICデバイスを押さえつけたとき、すなわち、シリンダを移動させて第1及び第2のエアラインが相互に連通されたときのみに、真空ポンプによって第2のエアラインが減圧される。すなわち、このシリンダの移動に基づいて真空ポンプによる第2のエアラインの減圧が制御されるため、第2のエアラインの減圧を制御する別途バルブが不要となり、コンタクタの小型軽量化を図ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンタクタにおいて、複数の前記シリンダが前記本体部に設けられ、前記第1のエアラインが各シリンダの前記第2のエアラインと連通可能に構成されることを特徴とするコンタクタを提案している。
この発明に係るコンタクタによれば、複数の第2のエアラインが、本体部に設けられた1つの第1のエアラインに連通可能となるため、真空ポンプとコンタクタの間にシリンダと同数のバルブや配管を設ける必要が無くなる。すなわち、シリンダ毎に第2のエアラインの減圧制御用のバルブや配管を、真空ポンプと各シリンダとの間に設ける必要が無くなり、コンタクタの小型軽量化をさらに図ることができる。
また、ICデバイスにより押し付けられたシリンダの第2のエアラインのみが減圧されるため、第2のエアラインを減圧する真空ポンプの吸引力の低下を防止できる、すなわち、この真空ポンプの吸引力を有効に活用することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のコンタクタにおいて、前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、前記第1のエアラインに連通する前記第2のエアラインの開口部が、前記第1のエアラインに向けて漸次拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とするコンタクタを提案している。
また、請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口部が、前記第2のエアラインに向けて漸次拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とするコンタクタを提案している。
【0013】
これらの発明に係るコンタクタによれば、第1及び第2のエアラインの開口部の少なくとも一方をテーパ状に形成して広げておくことにより、ICデバイスをシリンダに押し付けた際のシリンダの移動量にばらつきがあっても、容易に第1及び第2のエアラインの開口部の少なくとも一部を相互に対向する位置に配することができる。すなわち、確実に第1及び第2のエアラインを相互に連通させることができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口端部が、前記シリンダを囲繞するように形成されていることを特徴とするコンタクタを提案している。
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載のコンタクタにおいて、前記本体部に、前記シリンダが複数設けられ、前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口端部が、複数の前記シリンダを囲繞するように形成されていることを特徴とするコンタクタを提案している。
【0015】
これらの発明に係るコンタクタによれば、シリンダが第1のエアラインの開口端部に囲繞されているため、シリンダの移動方向に交差するシリンダの周方向に関して、第1のエアラインに対する第2のエアラインの開口部の位置決めを行うことなく、第2のエアラインの開口部を第1のエアラインの開口端部に確実に連通させることができる。また、第1のエアラインに対して第2のエアラインの開口部の位置決めを行う必要がないため、本体部に対するシリンダの周方向の位置決めを行うことなく、シリンダを本体部に取り付けることができる。
さらに、1つの開放空間が複数のシリンダを囲繞するように形成されている場合には、第1のエアラインを各第2のエアラインに向けて分岐させる必要がないため、第1のエアラインを形成する本体部の形状を簡素化することができる。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記本体部に、前記シリンダの移動方向に延びて前記シリンダを挿入する挿入孔が形成され、前記保持手段が、前記シリンダに対して前記付勢手段による前記シリンダの付勢方向とは逆の方向に位置する前記挿入孔の端部に形成された空間領域を備え、該空間領域が、前記第2のエアラインに連通していることを特徴とするコンタクタを提案している。
【0017】
この発明に係るコンタクタによれば、ICデバイスをシリンダに接触させた状態で、真空ポンプにより第1及び第2のエアラインを減圧することにより空間領域も減圧することができるため、挿入孔に配されたシリンダが、付勢手段の付勢力に抗って空間領域に引きつけられる。したがって、第1及び第2のエアラインが相互に連通する位置にシリンダを確実に保持することができる。なお、このシリンダの保持状態を解除する際には、第1及び第2のエアラインの減圧状態を解除すればよい。
また、空間領域の減圧は、第1及び第2のエアラインを減圧する真空ポンプにより行うことができる、すなわち、空間領域を減圧するための別途真空ポンプや配管、バルブ等が不要となるため、コンタクタを組み込むIC搬送装置を安価に製造することができる。
【0018】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記本体部に、前記シリンダの移動方向に延びて前記シリンダを挿入する挿入孔と、前記シリンダに対して、前記付勢手段による前記シリンダの付勢方向とは逆の方向に位置する前記挿入孔の端部に形成された空間領域とが形成され、前記空間領域に、該空間領域を前記シリンダに隣接する一の領域と、前記シリンダに隣接しない他の領域とに区画する弾性変形可能な薄膜状の弾性体が設けられ、前記他の領域を加圧した状態においては、前記弾性体が前記一の領域側に膨らむように弾性変形し、前記付勢手段として前記シリンダを付勢し、前記他の領域を減圧した状態においては、前記弾性体が前記他の領域側に膨らむように弾性変形し、前記保持手段として前記シリンダを前記空間領域側に引きつけた状態に保持することを特徴とするコンタクタを提案している。
【0019】
この発明に係るコンタクタによれば、弾性体により区画された空間領域の他の領域を加圧した状態においては、弾性体がシリンダ側に向けて膨らみ、弾性体が第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置に向けてシリンダを付勢する。
そして、他の領域の加圧状態において、第2のエアラインの他端を塞ぐようにICデバイスをシリンダに押し付けた際には、シリンダが膨らんだ弾性体を押さえつけて他の領域内のエアーを圧縮するため、シリンダにICデバイスを押さえつける衝撃を、このエアーの圧縮により緩和することができる。したがって、ICデバイスをシリンダに吸着させる際に、ICデバイスを押さえつける衝撃を緩和して、ICデバイスをこの衝撃から保護することができる。
さらに、ICデバイスがシリンダに吸着した状態において他の領域を減圧した際には、シリンダが空間領域側に引きつけられるため、第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置にシリンダを確実に保持することができる。なお、このシリンダの保持状態を解除する際には、他の領域の減圧状態を解除すればよい。
【0020】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記本体部が、前記第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置に前記シリンダを配した状態において、前記第2のエアラインに連通する第3のエアラインを備えることを特徴とするコンタクタを提案している。
この発明に係るコンタクタによれば、ICデバイスをシリンダに吸着していない状態、すなわち、第1及び第2のエアラインが相互に遮断された状態においては、この第3のエアラインから第2のエアラインの他端を介して外方にクリーンエアーを放出することができる。このため、第2のエアラインの他端に対向して配されるICデバイスや、ICデバイスを収納するトレイ等にクリーンエアーを吹き付けて、ICデバイスに塵埃が付着することを防止できる。
【0021】
請求項10に係る発明は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のコンタクタにおいて、前記シリンダが前記第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置に配されたことを検知するセンサを備えることを特徴とするコンタクタを提案している。
この発明に係るコンタクタによれば、センサの検出結果に基づいて、真空ポンプによる第1及び第2のエアラインの減圧を自動的に開始することができるため、ICデバイスのシリンダへの吸着や保持手段によるシリンダの保持を容易に行うことができる。
【0022】
請求項11に係る発明は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコンタクタと、該コンタクタを移動させる移動機構と、少なくとも前記第1及び第2のエアラインが相互に連通された状態において、前記第1のエアラインを減圧する真空ポンプとを備えることを特徴とするIC搬送装置を提案している。
【0023】
この発明に係るIC搬送装置により、ICデバイスを収納するトレイ間やICデバイスを取り扱う各種IC製造装置間でICデバイスを搬送する際には、はじめに、ICデバイスを配したトレイやIC製造装置まで移動機構によりコンタクタを移動させる。
次いで、ICデバイスをコンタクタのシリンダに吸着して保持させる。すなわち、第2のエアラインの他端を塞ぐようにシリンダをICデバイスに押し付けると共にシリンダを移動させて、第1及び第2のエアラインを相互に連通させる。そして、この状態において、真空ポンプにより第1のエアラインを減圧することにより、ICデバイスがシリンダに吸着することになる。この吸着状態は保持手段により維持される。
【0024】
その後、移動機構によりコンタクタをICデバイスの搬送先となるトレイやIC製造装置まで移動させ、保持手段によるシリンダの保持状態を解除する。これにより、シリンダが、付勢手段の付勢力によって第1及び第2のエアラインを相互に遮断した位置まで移動するため、ICデバイスがシリンダから離脱してトレイやIC製造装置に配される。以上により、ICデバイスの搬送が終了する。
前述したように、シリンダにICデバイスを押さえつけたとき、すなわち、シリンダを移動させて第1及び第2のエアラインが相互に連通されたときのみに、真空ポンプによって第2のエアラインが減圧される。すなわち、このシリンダの移動に基づいて真空ポンプによる第2のエアラインの減圧が制御されるため、第2のエアラインの減圧を制御する別途バルブが不要となり、コンタクタの小型軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、請求項1,請求項2及び請求項11に係る発明によれば、コンタクタの小型軽量化を図ることができるため、IC搬送装置においてコンタクタを高速で移動させたり、IC搬送装置におけるコンタクタの位置決めの高精度化を図ることが可能となり、IC搬送装置によるICデバイスの搬送効率向上を図ることができる。
さらに、コンタクタの小型軽量化を図ることができるため、IC搬送装置には、コンタクタを移動させる駆動力が小さいモータを搭載すればよく、また、前述した別途バルブも不要となるため、IC搬送装置の製造コストやランニングコストの削減を容易に図ることができる。
【0026】
また、請求項2に係る発明によれば、複数のシリンダの各第2のエアラインを減圧させる真空ポンプの吸引力を有効に活用することができるため、IC搬送装置の製造コストやランニングコストの削減をさらに図ることができる。
さらに、請求項3から請求項6に係る発明によれば、第1及び第2のエアラインの開口部の少なくとも一方をテーパ状に形成して広げておいたり、第1のエアラインの開口端部にシリンダを囲繞する開放空間を形成しておくことにより、確実に第1及び第2のエアラインを相互に連通させることができる。
【0027】
また、請求項5及び請求項6に係る発明によれば、本体部に対するシリンダの周方向の位置決めを行うことなく、シリンダを本体部に取り付けることができるため、コンタクタを容易に製造することができる。
さらに、請求項6に係る発明によれば、複数のシリンダを1つの開口端部により囲繞することにより、第1のエアラインを個々のシリンダに向けて分岐させる必要がないため、本体部の形状を簡素化して、コンタクタの製造を容易に行うと共にコンタクタ及びIC搬送装置の製造コスト削減を図ることができる。
【0028】
また、請求項7に係る発明によれば、挿入孔の端部に形成され、第2のエアラインに連通された空間領域を減圧することにより、第1及び第2のエアラインが相互に連通する位置にシリンダを確実に保持することができる。また、第1及び第2のエアライン及び空間領域を同一の真空ポンプで減圧することができるため、コンタクタを組み込むIC搬送装置を安価に製造することができる。
さらに、請求項8に係る発明によれば、弾性体により区画された空間領域の他の領域を加圧しておくことにより、ICデバイスをシリンダに吸着させる際に、ICデバイスを押さえつける衝撃を緩和してICデバイスをこの衝撃から保護することができる。また、他の領域を減圧することにより、第1及び第2のエアラインが相互に連通する位置にシリンダを確実に保持することができる。
【0029】
また、請求項9に係る発明によれば、第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置にシリンダを配した状態において、第3のエアラインから第2のエアラインを介してクリーンエアーを外方に放出することにより、ICデバイスに塵埃が付着することを防止できる。また、クリーンエアーをICデバイスやトレイ等に吹き付けるための配管等の別途機構が不要となるため、IC搬送装置を安価に製造することができる。
さらに、請求項10に係る発明によれば、シリンダが第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置に配されたことを検知するセンサを設けることにより、ICデバイスのシリンダへの吸着や保持手段によるシリンダの保持を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1及び図2は、本発明の第1の実施形態を示している。図1に示すように、この実施の形態に係るIC搬送装置1は、複数のICデバイス3を収納する2つのトレイ5a,5bの間で搬送するものである。このIC搬送装置1は、ICデバイス3を吸着保持するコンタクタ7と、2つのトレイ5a,5bの間でコンタクタ7を移動させる移動機構(不図示)と、ICデバイス3をコンタクタ7に吸着させるための真空ポンプ11と、制御部15とを備えている。
【0031】
コンタクタ7のエアライン13及び真空ポンプ11は、三方弁17及び配管19,21を介して相互に接続されており、また、三方弁17には、大気開放用の配管23も接続されている。この三方弁17は、コンタクタ7のエアライン13と、真空ポンプ11及び大気開放用の配管23のいずれか一方とを相互に連通させるように構成されている。この三方弁17による2つの連通状態の切り換えは、制御部15からの指示に基づいて行われるようになっている。
【0032】
コンタクタ7は、図2に示すように、第1のエアライン31を有する本体部33と、本体部33の下端部33a側に設けられ、ICデバイス3を吸着する2つの吸着部35,37とを備えている。すなわち、このコンタクタ7は、2つのICデバイス3を同時に搬送できるように構成されている。
第1のエアライン31は、本体部33の上端部33bに開口しており、この開口部分が図1に示した配管21に接続される。また、この第1のエアライン31は、本体部33の内部において2つに分岐して各吸着部35,37に向けて延びている。
【0033】
各吸着部35,37は、第2のエアライン41を有するシリンダ43と、本体部33の下端部33aから突出して設けられた衝撃吸収材45と、この衝撃吸収材45の先端面45aからシリンダ43を突出させるように付勢するコイルスプリング(付勢手段)47とを備えている。なお、図1に示したコンタクタ7のエアライン13は、これら第1及び第2のエアライン31,41とから構成されている。
衝撃吸収材45は、その先端面45aにICデバイス3が当接したときに破損しないように、クッション性のある材質から形成されている。
【0034】
各シリンダ43は、磁性材料から形成され、衝撃吸収材45を設けた本体部33の下端部33aから窪んで形成される有底の挿入孔49及び、挿入孔49に連ねて形成される衝撃吸収材45の貫通孔45bに対して、真空漏れが実質上問題とならない程度に隙間なく挿入されている。これにより、各シリンダ43は、本体部33及び各衝撃吸収材45に対して、挿入孔49及び貫通孔45bの長手方向に移動自在となっている。
第2のエアライン41は、その一端が第1のエアライン31に連通させる開口部41aとなっており、他端が衝撃吸収材45の先端面側に位置するシリンダ43の先端部43aから外方に開放されている。ICデバイス3はこのシリンダ43の先端部43aに吸着するようになっている。また、この第2のエアライン41は、挿入孔49の底面部(端部)49a側にも開口するように構成されている。
【0035】
第2のエアライン41の開口部41aは、シリンダ43の移動方向(AB方向)に交差する方向に開口しており、挿入孔49に開口する第1のエアライン31の開口部31aに対向して配することができるようになっている。これにより、第1及び第2のエアライン31,41をシリンダ43の移動方向と交差する方向に連通できるようになっている。この第2のエアライン41の開口部41aは、第1のエアライン31の開口部31a側に向けて漸次拡径するテーパ状に形成されている。
【0036】
コイルスプリング47は、上述したシリンダ43と挿入孔49の底面部49aとの間の空間領域S1に配されている。この空間領域S1は、第2のエアライン41に連通されている。
このコイルスプリング47によりシリンダ43を本体部33の下端部33a側に付勢した状態においては、シリンダ43の先端部43aが衝撃吸収材45の先端面45aから突出している。また、この状態においては、第1及び第2のエアライン31,41の開口部31a,41aが相互にずれて位置するため、第1及び第2のエアライン31,41が相互に遮断されるようになっている。
そして、シリンダ43をコイルスプリング47の付勢力に抗う方向に移動させた状態においては、シリンダ43の先端部43aを衝撃吸収材45,46の先端面45aと略一致した位置に配することができる。また、この状態においては、第1及び第2のエアライン31,41の開口部31a,41aを互いに対向させて、第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させることができる。
【0037】
また、このコンタクタ7には、コイルスプリング47の付勢力に抗して第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通する位置にシリンダ43を保持する保持手段を備えている。
すなわち、シリンダ43の先端部43aに位置する第2のエアライン41の開口部分をICデバイス3により塞ぐと共に、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通する位置にシリンダ43を配した状態において、図1に示す真空ポンプ11により第1及び第2のエアライン31,41を減圧した際には、コイルスプリング47を配した空間領域S1も同時に減圧されるため、シリンダ43の位置が保持されることになる。すなわち、第2のエアライン41に連通された空間領域S1は、前述した保持手段を構成している。
【0038】
また、このコンタクタ7の本体部33には、磁気センサ51及び/又はガス圧力センサ53が設けられている。磁気センサ51は、各挿入孔49の側部に配されており、磁性材料から形成されたシリンダ43の移動を磁界の変化により検出することができる。
ガス圧力センサ53は、空間領域S1の圧力を測定するものであり、各挿入孔49の底面部49a近傍に配されている。このガス圧力センサ53では、シリンダ43の移動を空間領域S1の圧力の変化により検出することができる。
【0039】
すなわち、これら磁気センサ51及び/又はガス圧力センサ53では、シリンダ43が第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通する位置に配されていることを検知することができる。そして、図1に示す制御部15は、この磁気センサ51及びガス圧力センサ53の検出結果に基づいて、三方弁17の切換動作を行い、コンタクタ7の第1のエアライン31と真空ポンプ11とを相互に連通させるように構成されている。
なお、ガス圧力センサ51では空間領域S1の圧力を測定できるため、この測定結果に基づいて真空ポンプ11の吸引力を制御することにより、第1及び第2のエアライン31,41、並びに、空間領域S1の圧力を調整することもできる。すなわち、ICデバイス3をシリンダ43に吸着させる圧力や、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通する位置にシリンダ43を保持するための圧力を適切に調整することができる。
【0040】
また、このIC搬送装置1は、図1に示すように、コンタクタ7が2つのトレイ5a,5bのいずれか一方に位置することを検知する位置検出センサ55,57を備えている。
この位置検出センサ55,57は、コンタクタ7がトレイ5上に配されたことを検知した際に、この旨を制御部15に報知するように構成されており、制御部15は、この検知結果に基づいて、三方弁17による2つの連通状態を切り換えるようになっている。
なお、IC搬送装置は、上述のように磁気センサ51及び/又はガス圧力センサ53、さらに位置検出センサ55,57等の検出手段を備えていなくてもよく、必須ではなく、予め設定されたシーケンシャルな位置の移動、ICデバイスの吸着、移動、開放(エアラインの切り替え)という動作を繰り返すように構成してもよい。
【0041】
次に、このIC搬送装置1によりICデバイス3を搬送する方法を説明する。
ICデバイス3を一方のトレイ5aから他方のトレイ5bまで搬送する際には、はじめに、コンタクタ7にICデバイス3を吸着保持する。
すなわち、シリンダ43の先端部43aを一方のトレイ5aに配されたICデバイス3の上方から、第2のエアライン41の他端を塞ぐようにICデバイス3をシリンダ43の先端部43aで押さえつける。この際、シリンダ43は、ICデバイス3を押さえつける力によりコイルスプリング47の付勢力に抗して、本体部33に対してA方向に移動することになる。そして、このシリンダ43の移動によって、第1及び第2のエアライン31,41の開口部31a,41aが相互に対向する位置に配され、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通することになる。
【0042】
また、上述したシリンダ43の移動が、磁気センサ51及びガス圧力センサ53により検知された際には、制御部15がこの検知結果に基づいて三方弁17の切換動作を行い、コンタクタ7の第1のエアライン31と真空ポンプ11とを相互に連通させる。これにより、真空ポンプ11による第1及び第2のエアライン31,41の減圧が開始され、ICデバイス3がシリンダ43の先端部43aに吸着することになる。
なお、ICデバイス3を吸着しない吸着部35の第2のエアライン41は、第1のエアライン31に対して遮断されているため、真空ポンプ11による吸引は行われず、減圧されることがない。
【0043】
また、真空ポンプ11により第1及び第2のエアライン31,41内を減圧した際には、第2のエアライン41に連通された空間領域S1も減圧されるため、シリンダ43が、コイルスプリング47の付勢力に抗って空間領域S1に引きつけられ、第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させた位置に保持される。したがって、ICデバイス3のシリンダ43の先端部43aへの吸着状態を維持することができる。
【0044】
その後、ICデバイス3を吸着したコンタクタ7を移動機構により一方のトレイ5aから他方のトレイ5bまで移動させる。そして、他方のトレイ5b上に配された位置検出センサ57により、コンタクタ7が他方のトレイ5bに到達したことを検知した際には、制御部15がこの検知結果に基づいて三方弁17の切換動作を行い、第1のエアライン31を大気に開放させる。
これにより、第1及び第2のエアライン31,41、並びに、空間領域S1の圧力が大気圧まで回復するため、ICデバイス3の吸着状態が解除されて、ICデバイス3がシリンダ43の先端部43aから離れて他方のトレイ5bに配されることになる。すなわち、これら制御部15及び三方弁17によりICデバイス3の吸着状態を解除する解除手段が構成されることになる。
【0045】
また、第1及び第2のエアライン31,41、並びに、空間領域S1の圧力が大気圧まで回復することにより、シリンダ43が、コイルスプリング47の付勢力によって本体部33に対してB方向に移動し、第1及び第2のエアライン31,41が相互に遮断されることになる。
以上により、ICデバイス3の搬送が終了する。
【0046】
上記のコンタクタ7及びIC搬送装置1によれば、シリンダ43をICデバイス3に押さえつけたとき、すなわち、シリンダ43を移動させて第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通されたときのみに、真空ポンプ11によって第2のエアライン41が減圧される。すなわち、このシリンダ43の移動に基づいて真空ポンプ11による第2のエアライン41の減圧が制御されるため、第2のエアライン41の減圧を制御する別途バルブが不要となり、コンタクタ7の小型軽量化を図ることができる。
【0047】
また、複数の吸着部35,37の各第2のエアライン41が、本体部33に設けられた1つの第1のエアライン31に連通可能であるため、真空ポンプ11とコンタクタ7の間にシリンダ43と同数のバルブや配管を設ける必要が無くなる。すなわち、シリンダ43毎に第2のエアライン41の減圧制御用のバルブや配管を、真空ポンプ11と各シリンダ43との間に設ける必要も無くなるため、コンタクタ7の小型軽量化をさらに図ることができる。
【0048】
以上のことから、IC搬送装置1においてコンタクタ7を高速で移動させたり、IC搬送装置1におけるコンタクタ7の位置決めの高精度化を図ることが可能となり、IC搬送装置1によるICデバイス3の搬送効率向上を図ることができる。また、IC搬送装置1には、コンタクタ7を移動させる移動機構として、駆動力の小さいモータを搭載すればよく、また、前述した別途バルブも不要となるため、IC搬送装置1の製造コストやランニングコストの削減を容易に図ることができる。
【0049】
さらに、ICデバイス3により押し付けられたシリンダ43の第2のエアライン41のみが減圧されるため、第2のエアライン41を減圧する真空ポンプ11の吸引力の低下を防止できる、すなわち、この真空ポンプ11の吸引力を有効に活用して、IC搬送装置1の製造コストやランニングコストの削減をさらに図ることができる。
また、第2のエアライン41の開口部41aはテーパ状に形成されているため、シリンダ43をICデバイス3に押し付けた際のシリンダ43の移動量にばらつきがあっても、第2のエアライン41の開口部41aの少なくとも一部を、第1のエアライン31の開口部31aに対向する位置に配することができる。すなわち、確実に第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させることができる。
【0050】
さらに、第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させた位置にシリンダ43を保持するために行われる空間領域S1の減圧は、第1及び第2のエアライン31,41を減圧する真空ポンプ11により行うことができる。すなわち、空間領域S1を減圧するための別途真空ポンプや配管、バルブ等が不要となるため、コンタクタ7を組み込むIC搬送装置1を安価に製造することができる。
また、制御部15は、磁気センサ51及びガス圧力センサ53の検出結果に基づいて、コンタクタ7の第1のエアライン31と真空ポンプ11とを相互に連通させるため、第1及び第2のエアライン31,41及び空間領域S1が真空ポンプ11により自動的に減圧されることになり、結果として、ICデバイス43のシリンダ43への吸着や、保持手段によるシリンダ43の保持を容易に行うことができる。
【0051】
さらに、制御部15及び三方弁17から構成される解除手段により、第1及び第2のエアライン31,41を自動的に遮断できると共に、ICデバイス3を吸着する前の位置にシリンダ43を復帰させることができるため、ICデバイス3を迅速に搬送することができる。
また、空間領域S1の圧力を測定するガス圧力センサ51を設けることにより、この測定結果に基づいて第1及び第2のエアライン31,41、並びに、空間領域S1の圧力を調整することができるため、ICデバイス43のシリンダ43からの脱落を防止できると共に、シリンダ43が第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させる位置からずれることを防止できる。
【0052】
なお、上述した第1の実施形態においては、第2のエアライン41の開口部41aを第1のエアライン31の開口部31a側に向けて漸次拡径するテーパ状に形成するとしたが、これに限ることはなく、例えば、第1のエアライン31の開口部31aを第2のエアライン41の開口部41a側に向けて漸次拡径するテーパ状に形成するとしても構わない。
また、例えば、図3に示すように、第1及び第2のエアライン31,41の開口部31a,41aの双方をテーパ状に形成してもよい。この構成の場合には、第1及び第2のエアライン31,41の開口部31a,41aが相互に対向しやすくなるため、より確実に第1及び第2のエアライン31,41を相互に連通させることができる。
【0053】
さらに、ガス圧力センサ51は、各挿入孔49の底面部49a近傍に配されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも空間領域S1の圧力変化を検出できる位置に配されていればよい。
また、各吸着部35,37には、磁気センサ51及びガス圧力センサ53が設けられるとしたが、これに限ることはなく、磁気センサ51及びガス圧力センサ53の少なくとも一方が設けられていればよい。なお、磁気センサ51を設けない場合には、各シリンダ43を磁性材料から形成する必要はない。
【0054】
さらに、ICデバイス3をシリンダ43から離脱させる際には、第1のエアライン31を大気に開放させるとしたが、これに限ることはなく、例えば、コンプレッサに連通させ、このコンプレッサにより第1及び第2のエアライン31,41、並びに、空間領域S1を加圧するとしても構わない。この場合には、第2のエアラインの圧力を迅速に大気圧まで回復させることができるため、ICデバイス3をシリンダ43から素早く離脱させることができる。
【0055】
また、ICデバイス3の吸着状態の解除は、第1のエアライン31を大気に開放させたり、コンプレッサに連通させることで行われるとしたが、これに限ることなく、少なくとも真空ポンプ11による第2のエアライン41の減圧状態を解除すれば、ICデバイス3の吸着状態を解除できる。したがって、例えば、シリンダ43を強制的にB方向に移動させて、第1及び第2のエアライン31,41を相互に遮断させることにより、ICデバイス3の吸着状態を解除するとしても構わない。
【0056】
次に、本発明による第2の実施形態について図4を参照して説明する。なお、この第2の実施形態に係るコンタクタは、第1の実施形態と同様のIC搬送装置1に設けられるものであり、コンタクタのエアラインの構成について異なっている。ここでは、第1及び第2のエアラインとその周辺の構造のみについて説明し、第1の実施形態のコンタクタ7の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図4に示すように、この実施形態に係るコンタクタ61において、本体部33の第1のエアライン63は、第1の実施形態と同様に、本体部33の上端部33bに開口すると共に、本体部33の内部において2つに分岐して各吸着部35,37に向けて延びている。2つに分岐した第1のエアライン63の先端には、第2のエアライン41に連通可能な開口端部63aが形成されている。この開口端部63aは、シリンダ43の中途部を囲繞するように形成されている。
また、本体部33には、その下端部33aから開口端部63aまで貫通する貫通孔65と、開口端部63aから窪んだ有底の挿入孔67とが形成されている。各吸着部35,37のシリンダ43は、これら貫通孔65及び挿入孔67に対して挿入されると共に、貫通孔65及び挿入孔67の長手方向に移動自在となっている。また、挿入孔67の空間領域S1には、シリンダ43を付勢するコイルスプリング47が配されている。
【0058】
第2のエアライン41の開口部41aは、シリンダ43の移動方向に交差する方向に開口しており、コイルスプリング47の付勢力に抗って移動させることにより、第1のエアライン63の開口端部63aに対向して配することができる。これにより、第1及び第2のエアライン63,41をシリンダ43の移動方向と交差する方向に連通できるようになっている。
以上のように構成されたコンタクタ61を用いたICデバイス3の搬送は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0059】
上記のコンタクタ61及びこれを設けたIC搬送装置によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、各シリンダ43の中途部が分岐した第1のエアライン63の開口端部63aにそれぞれ囲繞されているため、シリンダ43の移動方向に交差するシリンダ43の周方向に関して、第1のエアライン63の開口端部63aに対する第2のエアライン41の開口部41aの位置決めを行うことなく、確実に第1及び第2のエアライン63,41を相互に連通させることができる。
また、第1のエアライン63の開口端部63aに対して第2のエアライン41の開口部41aの位置決めを行う必要がないため、本体部33に対するシリンダ43の周方向の位置決めを行うことなく、シリンダ43を本体部33に取り付けることができる。したがって、コンタクタ61を容易に製造することが可能となる。
【0060】
次に、本発明による第3の実施形態について図5を参照して説明する。なお、この第3の実施形態に係るコンタクタは、第1の実施形態と同様のIC搬送装置1に設けられるものであり、コンタクタのエアラインの構成について異なっている。ここでは、エアラインの構成のみについて説明し、第1の実施形態のコンタクタ7の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
図5に示すように、この実施形態に係るコンタクタ71において、本体部33には、第1の実施形態と同様の第1のエアライン31が形成され、これに加えて、本体部33の上端部33bから各吸着部35,37のシリンダ43に向けて延びる第3のエアライン73が形成されている。この第3のエアライン73には、本体部33の上端部33bからクリーンエアーが供給されるように構成されている。なお、図5において、第3のエアライン73は、吸着部35,37毎に独立して2つ形成されているが、これに限ることはなく、第1のエアライン31と同様に、本体部33の内部において分岐して形成されるとしてもよい。
【0062】
第2のエアライン41には、この第3のエアライン73に連通させる開口部41bが形成されている。この開口部41bは、第1のエアライン31に連通させる開口部41aとは別個のものであり、シリンダ43の移動方向に交差するシリンダ43の周方向にズラして形成されている。また、この開口部41bは、シリンダ43の移動方向に交差する方向に開口しており、挿入孔49に開口する第3のエアライン73の開口部73bに対向して配することができるようになっている。
【0063】
第2及び第3のエアライン41,73の開口部41b,73aは、コイルスプリング47によりシリンダ43を本体部33の下端部33a側に付勢した状態において、互いに対向し、これにより第2及び第3のエアライン41,73を相互に連通させることができる。
そして、シリンダ43をコイルスプリング47の付勢力に抗う方向に移動させた状態においては、第2及び第3のエアライン41,73の開口部41b,73aが相互にずれて位置するため、第2及び第3のエアライン41,73が相互に遮断されるようになっている。
【0064】
以上のように構成されたコンタクタ61を用いたICデバイス3の搬送は、第1の実施形態と同様に行われる。
ただし、各シリンダ43にICデバイス3を吸着させる前や、ICデバイス3の吸着状態を解除した後のように、吸着部35にICデバイス3が吸着していない状態においては、第2及び第3のエアライン41,73が相互に連通している。したがって、この状態においては、第3のエアライン73から第2のエアライン41の他端を介して外方にクリーンエアーが吹き出すことになる。
すなわち、各シリンダ43にICデバイス3を吸着させる前や、ICデバイス3の吸着状態の解除後に、第2のエアライン41の他端に対向して配されるICデバイス3や、このICデバイス3を収納するトレイ5a,5bにクリーンエアーを吹き付けて、ICデバイス3に塵埃が付着することを防止できる。また、上記のコンタクタ71によれば、第3のエアライン73が本体部33に形成されているため、ICデバイス3やトレイ5a,5bにクリーンエアーを吹き付ける別途機構をIC搬送装置に設ける必要が無くなり、IC搬送装置を安価に製造することができる。
【0065】
なお、上述した第3の実施形態においては、第2のエアライン41には、第1のエアライン31に連通可能な開口部41aと、第3のエアライン73に連通可能な開口部41bとが別個に形成されるとしたが、これに限ることはなく、第1及び第3のエアライン31,73の両方に連通可能な1つの開口部のみを形成するとしても構わない。ただし、この構成の場合には、第1及び第3のエアライン31,73の開口部31a,73aをシリンダ43の移動方向に並べて配する必要がある。
また、第1の実施形態と同様に、第1,第2及び第3のエアライン31,41,73の各開口部31a,41a,41b,73aをテーパ状に形成しても構わない。
【0066】
次に、本発明による第4の実施形態について図6を参照して説明する。なお、この第4の実施形態に係るコンタクタは、上述した各実施形態と同様のIC搬送装置に設けられるものであり、シリンダ43の移動機構や保持機構について第3の実施形態のコンタクタ71と異なっている。ここでは、シリンダ43及びその周辺の構造のみについて説明し、各実施形態のコンタクタの構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、この実施形態に係るコンタクタ81において、本体部33には第1及び第3のエアライン31,73が形成されており、その各開口部31a,73aは、シリンダ43の移動方向に並べて配されている。なお、図6において、第1のエアライン31は、吸着部35,37毎に独立して2つ形成されているが、これに限ることはなく、第3の実施形態と同様に、本体部33の内部において分岐して形成されるとしてもよい。
第2のエアライン41は、第1及び第3のエアライン31,73の開口部31a,73aの両方に連通可能な1つの開口部41aが形成されている。
【0068】
各シリンダ43は、挿入孔49の底面部49aとの間に所定の空間領域S1を介して配され、その第2のエアライン41が空間領域S1に連通しないように形成されている。この空間領域S1には、弾性変形可能な薄膜状のゴム膜(弾性体)83が設けられている。
ゴム膜83は、空間領域S1をシリンダ43の移動方向に関して2つの領域に区画するように配されている。すなわち、ゴム膜83は、空間領域S1をシリンダ43側に隣接する一の領域S2と、挿入孔49の底面部49aを含む他の領域S3とに区画するように配されている。
【0069】
空間領域S1の他の領域S3は、本体部33の上端部33bに開口しており、図示しないコンプレッサや真空ポンプに適宜接続されるようになっている。すなわち、他の領域S3は、加圧若しくは減圧されるように構成されている。例えば、他の領域S3を加圧した状態においては、ゴム膜83が一の領域S2側に膨らむように弾性変形し、第1及び第3のエアライン31,73が相互に連通するように、シリンダ43を本体部33の下端部33a側に付勢することになる。すなわち、ゴム膜83は、シリンダ43を付勢する付勢手段として機能する。
【0070】
また、例えば、他の領域S3を減圧した状態においては、ゴム膜83が他の領域S3側に膨らむように弾性変形するため、一の領域S2も減圧されて、シリンダ43を空間領域S1側に引きつけた状態に保持する、すなわち、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通された位置にシリンダ43を保持することができる。したがって、ゴム膜83がシリンダ43を保持する保持手段として機能することになる。
【0071】
以上のように構成されたコンタクタ81を用いたICデバイス3の搬送は、第1の実施形態と同様に行われる。
ただし、このコンタクタ81にICデバイス3を吸着保持する際には、予め空間領域S1の他の領域S3を加圧しておき、第1及び第3のエアライン31,73が相互に連通するように、シリンダ43を付勢しておく。
そして、第2のエアライン41の他端を塞ぐようにICデバイス3をシリンダ43の先端部43aで押さえつけた際には、シリンダ43がゴム膜83を押さえつけて他の領域S3内のエアーを圧縮するため、シリンダ43がICデバイス3を押さえつける衝撃を、このエアーの圧縮により緩和することができる。
【0072】
また、シリンダ43がICデバイス3を押さえつけることで、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通する位置に配された際には、空間領域S1の他の領域S3を減圧して、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通された位置にシリンダ43を保持する。なお、他の領域S3の加圧状態から減圧状態への切り換えは、第1の実施形態と同様のガス圧力センサや磁気センサによりシリンダ43の移動を検知することに基づいて行われる。
【0073】
なお、ICデバイス3の吸着状態を解除する際は、空間領域S1の他の領域S3を減圧状態から加圧状態に切り換えることにより、シリンダ43がゴム膜83によって再び付勢されて、第1及び第2のエアライン31,41を相互に遮断する位置に移動する。すなわち、ゴム膜83は、ICデバイス3の吸着状態を解除する解除手段としても機能する。
また、この状態においては、第2及び第3のエアライン41,73が相互に連通する位置に配されるため、第2のエアライン41が第3のエアライン73からのクリーンエアーにより加圧されて、ICデバイス3の吸着状態が即座に解除されることになる。
【0074】
上記のコンタクタ81及びIC搬送装置によれば、上述した各実施形態と同様の効果を奏する。また、ゴム膜83によって区画された空間領域S1の他の領域S3を加圧しておくことにより、ICデバイス3をシリンダ43に吸着させる際に、ICデバイス3を押さえつける衝撃を緩和し、ICデバイス3をこの衝撃から保護することができる。さらに、他の領域S3を減圧することにより、第1及び第2のエアライン31,41が相互に連通する位置にシリンダ43を確実に保持することができる。
【0075】
なお、上述した4つの各実施形態においては、コンタクタ1,61,71,81が2つのシリンダ43を備えるとしたが、これに限ることはなく、例えば、1つのシリンダ43のみを備えるとしてもよいし、3つ以上のシリンダ43を備えるとしても構わない。
【0076】
次に、本発明による第5の実施形態について図7,8を参照して説明する。なお、この第5の実施形態に係るコンタクタは、上述した各実施形態と同様のIC搬送装置に設けられるものであり、第2の実施形態のコンタクタ61と、第1のエアラインの構成についてのみ異なっている。ここでは、主に第1のエアラインの構造のみについて説明し、第2の実施形態のコンタクタ61の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図7,8に示すように、この実施形態に係るコンタクタ91において、本体部93の第1のエアライン95は、第2の実施形態と同様に、本体部93の上端部93bに開口している。ただし、この第1のエアライン95の開口端部95aは、多数のシリンダ43の中途部を囲繞するように形成されている。
すなわち、第2の実施形態のコンタクタ61では、各シリンダ43に対して開口端部63aが1つずつ形成されていたが(図4)、当該実施形態のコンタクタ91では、1つの開口端部95aにより多数のシリンダ43の中途部を囲繞している。この開口端部95aは、各シリンダ43の第2のエアライン41に連通可能となっている。また、このコンタクタ91では、多数のシリンダ43が、平面視略矩形状に形成された本体部93の他端部93aの各辺に沿って縦横に等間隔で配列されている。
以上のように構成されたコンタクタ91の動作、及び、このコンタクタ91を用いたICデバイス3の搬送は、第2の実施形態と同様に行われる。
【0078】
上記のコンタクタ91及びIC搬送装置によれば、前述した第2の実施形態と同様の効果を奏する。また、第1のエアライン95を個々のシリンダ43に向けて分岐させる必要がないため、本体部93の形状を簡素化して、コンタクタ91の製造を容易に行うと共にコンタクタ91及びIC搬送装置の製造コスト削減を図ることができる。
さらに、1つの開口端部95aで多数のシリンダ43の中途部を囲繞することにより、すなわち、相互に隣り合うシリンダ43の間を区画する壁を省略することにより、相互に隣り合うシリンダ43間のピッチを狭く設定することができる。したがって、トレイ5a,5b上に様々な間隔で配される複数のICデバイス3を、同一のコンタクタ91を用いて同時に搬送することが可能となる。
【0079】
なお、上述した第5の実施形態において、多数のシリンダ43は、本体部93の他端部93aの各辺に沿って縦横に等間隔で配列されるとしたが、これに限ることはなく、例えば、本体部93の下端部93aの各辺に交差する方向に並べて配列されるとしても構わない。
【0080】
また、上述した全ての各実施形態において、IC搬送装置は、2つのトレイ5a,5bの間でICデバイス3を搬送する役割を果たすとしたが、これに限ることはなく、例えば、ICデバイス3を製造する装置や、ICデバイス3の外観検査、電気的な検査等を行う各種検査装置等、ICデバイス3を取り扱う各種装置に組み込むとしても構わない。
【0081】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るIC搬送装置を示す概略構成図である。
【図2】図1のIC搬送装置に備えるコンタクタを示す側断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るコンタクタを示す側断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るコンタクタを示す側断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るコンタクタを示す側断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るコンタクタを示す側断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るコンタクタを示す側断面図である。
【図8】図7のコンタクタを示す平面図である。
【図9】従来のIC搬送装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1・・・IC搬送装置、3・・・ICデバイス、7,61,71,81,91・・・コンタクタ、11・・・真空ポンプ、31,63,95・・・第1のエアライン、31a,41a・・・開口部、33,93・・・本体部、41・・・第2のエアライン、43・・・シリンダ、47・・・コイルスプリング(付勢手段)、49,67・・・挿入孔、49a・・・底面部(端部)、51・・・磁気センサ、53・・・ガス圧力センサ、63a,95a・・・開口端部、73・・・第3のエアライン、83・・・ゴム膜(弾性体)、S1・・・空間領域、S2・・・一の領域、S3・・・他の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICデバイスを移送するIC搬送装置に用いられ、ICデバイスを吸着して保持するコンタクタであって、
第1のエアラインを有する本体部と、
一端が前記第1のエアラインに連通可能とされ、他端が外方に開放される第2のエアラインを有すると共に、これら第1及び第2のエアラインを相互に連通又は遮断する位置の間で前記本体部に対して移動自在なシリンダと、
前記第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置に向けて前記シリンダを付勢する付勢手段と、
前記第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置に前記シリンダを保持する保持手段とを備えることを特徴とするコンタクタ。
【請求項2】
前記本体部に、前記シリンダが複数設けられ、
前記第1のエアラインが各シリンダの前記第2のエアラインと連通可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のコンタクタ。
【請求項3】
前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、
前記第1のエアラインに連通する前記第2のエアラインの開口部が、前記第1のエアラインに向けて漸次拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンタクタ。
【請求項4】
前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、
前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口部が、前記第2のエアラインに向けて漸次拡大するテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項5】
前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、
前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口端部が、前記シリンダを囲繞するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項6】
前記本体部に、前記シリンダが複数設けられ、
前記第1及び第2のエアラインが、前記シリンダの移動方向と交差する方向に連通可能とされ、
前記第2のエアラインに連通する前記第1のエアラインの開口端部が、複数の前記シリンダを囲繞するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクタ。
【請求項7】
前記本体部に、前記シリンダの移動方向に延びて前記シリンダを挿入する挿入孔が形成され、
前記保持手段が、前記シリンダに対して前記付勢手段による前記シリンダの付勢方向とは逆の方向に位置する前記挿入孔の端部に形成された空間領域を備え、
該空間領域が、前記第2のエアラインに連通していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項8】
前記本体部に、前記シリンダの移動方向に延びて前記シリンダを挿入する挿入孔と、前記シリンダに対して、前記付勢手段による前記シリンダの付勢方向とは逆の方向に位置する前記挿入孔の端部に形成された空間領域とが形成され、
前記空間領域に、該空間領域を前記シリンダに隣接する一の領域と、前記シリンダに隣接しない他の領域とに区画する弾性変形可能な薄膜状の弾性体が設けられ、
前記他の領域を加圧した状態においては、前記弾性体が前記一の領域側に膨らむように弾性変形し、前記付勢手段として前記シリンダを付勢し、
前記他の領域を減圧した状態においては、前記弾性体が前記他の領域側に膨らむように弾性変形し、前記保持手段として前記シリンダを前記空間領域側に引きつけた状態に保持することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項9】
前記本体部が、前記第1及び第2のエアラインを相互に遮断する位置に前記シリンダを配した状態において、前記第2のエアラインに連通する第3のエアラインを備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項10】
前記シリンダが前記第1及び第2のエアラインを相互に連通する位置に配されたことを検知するセンサを備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のコンタクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のコンタクタと、該コンタクタを移動させる移動機構と、少なくとも前記第1及び第2のエアラインが相互に連通された状態において、前記第1のエアラインを減圧する真空ポンプとを備えることを特徴とするIC搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−275595(P2006−275595A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91615(P2005−91615)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】