説明

IDカード及びその表示切替方法,プログラム

【課題】所持者に意識させること無く、個人情報の表示・非表示の切り替えを実行し、個人情報が漏洩するリスクを有効に軽減し得るIDカード及びその表示切り替え方法,プログラムを提供する。
【解決手段】IDカード1は、所持者の氏名を含む個人情報を記憶した表示用情報記憶部11と、この個人情報を表示する表示部12と、測位衛星から発信される測位用信号を順次受信する衛星信号受信機13と、この受信信号に基づいて現在位置を演算する現在位置演算手段14と、この現在位置が予め設定された特定エリア内にあるか否かを判定するエリア判定手段15と、この判定結果に基づいて表示部12の表示を切替制御する表示切替手段17とを備え、この表示切替手段17は、現在位置が特定エリア内にあると判定された場合に個人情報を表示部12に表示すると共に当該特定エリア内にないと判定された場合には個人情報を非表示にする機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所持者の氏名などが表示されたIDカードに関し、特に、表示内容を切り替え可能なIDカード及びその表示切替方法,プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所持者の氏名や所属先を表示したIDカードとして、入館証,社員証,学生証,名札などが知られているが、通常のIDカードは、所持者の個人情報を表面にプリントしたものであったため、想定外に第三者へ個人情報が漏洩したり、紛失の際に悪用されたりする問題があった。特に、児童の名札から、その児童の氏名が不特定多数の第三者に知られると、児童の氏名が悪用される確率が高くなってしまうと懸念されていた。
【0003】
この問題に対し、特許文献1及び2には、表示内容を切り換えることができるIDカードに関連する技術が開示されている。特許文献1には、IDカードにおいて、本体の上下左右の向きをセンサで検出し、その本体の向きに応じて表示内容を切り換えることで、所持者がTPOに応じて表示内容を変えることが開示されている。特許文献2には、IDカードにおいて、パスワード認証後の所定時間の間だけ個人情報を表示することが開示されている。
【0004】
しかし、この特許文献1及び2に開示された技術では、所持者からの操作を受けてからそれに応じて表示を切り換えるという仕組みなので、表示を切り換えるためには所持者の積極的な操作が必要であり、所持者に負担がかかってしまうという問題があった。また、特許文献1の技術は、所持者による操作が無い限り表示を切り替えないので、所持者が表示切替の操作を忘れてしまうと、個人情報が表示されたままになってしまうという問題があった。
【0005】
これらの問題を鑑みて、特許文献3にIDカードに関連する技術が開示されている。この特許文献3に記載の関連技術は、IDカードが通信ゲートとの通信により表示情報を受信して表示を切り換えるというもので、施設の玄関に通信ゲートを設け、カードが通信ゲート付近を通って施設外に出ると、そのカードに表示されていた個人情報を非表示にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−217284号公報
【特許文献2】特開2009−26059号公報
【特許文献3】特開2009−70313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示された関連技術では、所持者に意識させること無く、IDカードの表示を自動的に切り換えることは可能になるが、表示を切り替えさせる場所に通信ゲートなどの大掛かりな機器を事前に設置しなくては成らないので、多大なコストと労力がかかるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記関連技術が有する問題を解決し、コストを抑えながら、所持者の個人情報が第三者に漏洩するリスクを有効に軽減できるIDカード及びその表示切替方法,プログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のIDカードは、所持者の氏名を含む個人情報を記憶した表示用情報記憶部と、この個人情報を表示する表示部とを備えたIDカードであって、前記個人情報の提示が必要な場所として予め設定された特定エリアの位置情報を記憶した表示条件記憶部と、測位衛星から発信される信号を順次受信する衛星信号受信機と、この受信機に受信された信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算手段と、この現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定するエリア判定手段と、この判定結果に基づいて前記表示部の表示を切替制御する表示切替手段とを備え、前記表示切替手段は、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を前記表示部に表示すると共に前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にする機能を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の表示切替方法は、所持者の氏名を含む個人情報を表示するIDカードにあって、測位衛星から発信される信号を順次受信しこの受信信号に基づいて現在位置を演算し、この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の表示切替用プログラムは、所持者の氏名を含む個人情報を画面に表示するIDカードの表示切替動作を制御するコンピュータに、前記IDカードに内蔵された受信機が測位衛星から受信した信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算機能と、この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定する判定機能と、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示すると共に前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合に前記個人情報を非表示にする表示切替機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のIDカード及びその表示切替方法,表示切替用プログラムは、以上のように構成したため、これにより、通信ゲートなどの大掛かりな外部機器を設けなくても、内部処理で現在位置を特定し、現在位置が特定エリア内にない場合には個人情報を非表示にするので、必要な場所以外では所持者に意識させること無く個人情報を非表示に切り替えることができ、コストを抑えながらも個人情報の漏洩リスクを有効に軽減し、社会全体のセキュリティ向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る第1実施形態のIDカードの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に開示した実施形態のIDカードの表示画面の一例を示す図であり、(A)は個人情報を表示したときの画面の一例を示す図であり、(B)は個人情報を非表示にしたときの画面の一例を示す図である。
【図3】図1に開示した実施形態のIDカードの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る第2実施形態のIDカードの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図4に開示した実施形態のIDカードの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態のIDカード1の概略構成を示す機能ブロック図である。本第1実施形態のIDカード1の基本構成は、所持者の氏名を含む個人情報を記憶した表示用情報記憶部11と、この個人情報を表示する表示部12と、個人情報の提示が必要な場所として予め設定された特定エリアの位置情報を記憶した表示条件記憶部16と、測位衛星から発信される無線信号を順次受信する衛星信号受信機13と、この受信信号に基づいて受信機13の現在位置を演算する現在位置演算手段14と、この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定するエリア判定手段15と、この判定結果に基づいて表示部12の表示を切替制御する表示切替手段17とを備えた構成であり、この表示切替手段17は、現在位置が特定エリアの位置情報と一致した場合に個人情報を表示部12に表示する機能と、現在位置が特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には個人情報を非表示にする機能とを備えている。
【0016】
所持者の個人情報としては、氏名,顔写真,所属先情報(会社名,学校名,所属団体の電話番号など)などがあり、本第1実施形態のIDカード1は、入館証,身分証,社員証,学生証,園児や小学生等がピンやクリップで衣類にとめる名札等として利用することができる。
【0017】
このような構成のIDカード1によれば、通信ゲートなどの大掛かりな外部機器を事前に設置することなく、また、所持者による操作を受け無くても、内部処理のみで表示を切り替えることができるので、コストや労力を抑えながら、所持者に意識させることなく必要な場所以外では個人情報を非表示にすることができ、個人情報の漏洩を防止することができる。
【0018】
次に、本第1実施形態のIDカード1の概略構成について詳細に説明する。
【0019】
IDカード1は、所持者に関する個人情報を記憶した表示用情報記憶部11と、この個人情報を表示する表示部12と、予め設定された特定エリアの位置情報を記憶した表示条件記憶部16と、測位衛星からの信号を順次受信する衛星信号受信機13と、この受信信号に基づいて受信機13の現在位置を演算する現在位置演算手段14と、この現在位置が特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定するエリア判定手段15と、現在位置が特定エリアの位置情報と一致した場合に個人情報を表示部12に表示し、当該特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には個人情報を非表示にする表示切替手段17と、オペレータからの指令を入力する入力部18と、この入力部18の入力に基づいて表示条件記憶部16に記憶された特定エリアの位置情報を更新する更新制御手段19とを備えている。
【0020】
表示用情報記憶部11は、所持者の個人情報を記憶している。所持者の個人情報には、氏名,顔写真,所属先情報(会社名,学校名,所属団体の電話番号など)などが含まれている。また、表示用情報記憶部11は、所持者の個人情報だけではなく、個人情報と関係の無い他の情報を予め記憶した構成であってもよい。個人情報と異なる情報としては、例えば、所持者の緊急時の連絡先や、拾得者に対するメッセージなどがある。
【0021】
表示部12は、表示切替手段16からの指令に従って情報記録部11に記憶されている情報を表示する機能を備えている。この表示部12は、表示内容を切り替え可能な構成であればよく、例えば、電子ペーパー,ELディスプレイ,液晶ディスプレイなどの薄型ディスプレイである。
【0022】
衛星信号受信機13は、測位用の人工衛星である測位衛星から発信された無線信号を定期的に受信する機能を備えている。測位衛星には、例えば、GPS(Global positioning system)衛星などがある。
【0023】
現在位置演算手段14は、衛星信号受信機13によって定期的に受信される信号に基づいて、衛星信号受信機13の現在位置座標を順次演算する機能を備えている。具体的には、複数の衛星から発信される電波の発信時刻と受信時刻から各衛星までの推定距離を計算し、各衛星の位置座標と各衛星までの距離を基に受信機の現在位置座標を算出する。
【0024】
エリア判定手段15は、現在位置演算手段14により現在位置座標が算出されると、この現在位置座標が、表示条件記憶部16に記憶された特定エリアの位置情報である座標範囲内に入っているか否かを判定する機能を備えている。
【0025】
表示条件記憶部16は、特定エリアの位置情報を予め記憶している。特定エリアの位置情報とは、施設内などの特定エリア内の位置を示す情報であり、特定エリアの位置を座標系の各成分の範囲で指定した情報である。
【0026】
表示切替手段17は、エリア判定手段15による判定結果に応じて表示部12の表示を切り替え制御する機能を備えており、現在位置が特定エリア内にあると判定された場合には表示用情報記憶部11から所持者の個人情報を読み出して表示部12に表示させ、現在位置が特定エリア内にないと判定された場合には所持者の個人情報を非表示にするように表示部12を制御する。図2(A)は、個人情報を表示したときの表示部12の画面の一例を示す図であり、図2(B)は、個人情報を非表示にしたときの表示部12の画面の一例を示す図である。
【0027】
図2(A)では、表示部12の表示画面200に、所持者が所属する会社名201と、社員番号202と、所持者の氏名203と、所持者の写真204とを表示している。図2(B)では、表示部12の表示画面20に何も表示していない。
【0028】
また、本第1実施形態の表示切替手段17は、個人情報を非表示にする際に、個人情報とは別の情報を表示用情報記憶部11から読み出して表示させてもよい。この個人情報とは別の情報としては、例えば、所持者の緊急時の連絡先や、拾得者に対するメッセージなどがある。
【0029】
入力部18は、オペレータからの情報を入力する機能を備えている。この入力部18は、オペレータからの情報を入力する構成であれば、例えば、キーパッドなどの入力装置に限らず、外部装置と回線接続してデータを入力する通信装置であってもよい。通信装置としては、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた非接触通信を実行する装置などを採用する。
【0030】
更新制御手段19は、入力部18に入力されたオペレータ指定の情報に基づいて表示条件記憶手段16に記憶された特定エリアの位置情報を書き換える機能を備えている。これにより、異動や出張などで所持者の勤務地が変わる場合でも適応可能になる。また、この更新制御手段19は、入力部18に入力された情報に基づいて表示用情報記憶部11に記憶された表示情報を書き換える機能を備えている。これにより、異なる所持者によって繰り返し使用されることが可能になる。
【0031】
このように本第1実施形態のIDカード1は、衛星測位システムを利用して現在位置を観測する衛星信号受信機13及び現在位置演算手段14と、観測された現在位置が特定のエリア内の位置情報に合致するか否かを判定するエリア判定手段15と、合致した場合に所持者の個人情報を表示部12に表示し合致しない場合には個人情報を非表示とする表示切替手段17とを備えた構成である。
【0032】
よって、本第1実施形態のIDカード1によれば、現在位置が特定エリア内のときに個人情報を表示し特定エリア外のときは個人情報を非表示にすることができ、現在の位置に応じて表示内容を適宜自動的に切り替えるので、個人情報が部外者に漏洩するリスクを低減することができ、児童などの危機意識が低いものに対するセキュリティを容易に高め、社会全体のセキュリティ向上を図ることができる。また、IDカード1を特定エリア外に落としても、個人情報が表示されないので、拾得者に悪用されることはない。
【0033】
次に、本第1実施形態のIDカード1の動作について説明する。ここで、以下の動作説明は、本発明の表示切替方法の実施形態となる。
【0034】
図3は、本第1実施形態のIDカード1の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態のIDカード1では、まず、入力部18にオペレータからの特定エリア更新指令が入力された場合に(図3のステップS31のはい)、更新制御手段19が、表示条件記憶部16に記憶された特定エリアの位置情報を指令に基づいて書き換える(図3のステップS32)。
【0035】
そして、まず、衛星信号受信機13が測位衛星からの無線信号を定期的に受信し(図3のステップS33)、この受信された信号に基づいて衛星信号受信機13の現在位置を現在位置演算手段14が計算する(図3のステップS34)。
【0036】
続いて、この計算された現在位置が表示条件記憶部16に登録された特定エリアの位置情報と合致するか否かをエリア判定手段15が判定し(図3のステップS35)、合致すると判定された場合に表示切替手段17が、表示用情報記憶部11から個人情報を読み出して、表示部12に対して個人情報の表示を指示し、表示部12が表示切替手段17からの指示に従って個人情報を表示する(図3のステップS36)。
【0037】
一方、現在位置が特定エリアの位置情報を満たしていないと判定された場合、表示切替手段17が、表示部12に対して個人情報の非表示を指示し、表示部12が、表示切替手段17からの指示に従って、個人情報を非表示にする(図3のステップS37)。この個人情報を非表示にする際には、個人情報とは別の情報を表示するようにしてもよい。
【0038】
このように本第1実施形態のIDカード1は、測位衛星からの信号に基づいて現在位置を測定し、現在位置が予め設定された特定エリア内にあるか否かを判定し、現在位置が特定エリア内にある場合には予め記憶された所持者の個人情報を表示し、現在位置が特定エリア内にない場合には個人情報を非表示にする。
【0039】
これにより、部外者への個人情報の漏洩を防止することができ、子供など危機意識が低いもののセキュリティを容易に高めることができ、社会全体のセキュリティ向上を図ることができる。
【0040】
ここで、上述した現在位置演算手段14,エリア判定手段15,表示切替手段17については、その機能内容をプログラム化して、コンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0041】
また、上述した表示条件記憶部16は、2つ以上のエリアの位置情報を予め記憶してもよく、表示用情報記憶部11が、各エリア毎に表示する情報を記憶し、エリア判定手段15は、現在位置がどのエリアと一致するかを判定する機能を備え、表示切替手段17は、現在位置と一致するエリアに対応する情報を表示部12に表示させるように構成してもよい。
【0042】
例えば、学校内をエリアA、自宅内をエリアBとして各位置情報を予め設定し、現在位置がエリアA(学校内)である場合には、所持者の氏名,血液型,学校名などの個人情報を表示し、エリアB(自宅内)である場合には現時刻情報(時計)を表示し、それ以外のエリアにある場合には学校名及び学校の電話番号などの緊急連絡先を表示するようにするなど、複数のエリア毎に表示内容を切り替えるようにしてもよい。このように、学校外では緊急連絡先を表示するようにすることで、防犯対策にもなる。
【0043】
以上のように、本第1実施形態のIDカード1は、衛星測位システムを利用して現在位置を観測し、現在位置が予め設定された特定エリア内にあるか否かを判定し、現在位置が特定エリアにある場合に個人情報を表示し、現在位置が特定エリア外にある場合には個人情報を非表示にするため、例えば、学校敷地内を特定エリアに設定すれば、本願実施形態のIDカードを名札として身につけた児童が学校敷地内に登校してきた場合、IDカード1は、児童の身分を証明する内容(学校名、氏名、血液型)を表示し、下校時に学校の敷地から出た場合、緊急時の連絡先(学校名、電話番号)に表示を切り替える。
【0044】
従って、本第1実施形態のIDカード1によれば、通信ゲートなどの大掛かりな外部機器を事前に設置することなく、また、所持者による操作を受け無くても、内部処理のみで表示を切り替えることができるので、コストや労力を抑えながら、所持者に手間を取らせることなく、個人情報を非表示に切り替えることができ、よって、個人情報が想定外の第三者へ漏洩することを防止し、紛失等の際にも個人情報を不正利用されることを防止することができる。特に、本第1実施形態のIDカード1を児童の名札として用いれば、児童の氏名が不特定多数の部外者に知られることは無くなるので、児童が犯罪に巻き込まれる確率を減らすことができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0046】
図4は、本第2実施形態のIDカード4の概略構成を示す機能ブロック図である。図4では、上述した第1実施形態のIDカード1と同一の構成要素に対して図1と同じ符号を付している。
【0047】
図4に示すように、本第2実施形態のIDカード4は、上述した第1実施形態のIDカード1における衛星信号受信機13及び現在位置演算手段14に代えて、現在の時刻を示す時計部41を備えた構成である。
【0048】
表示条件記憶部46は、所持者が特定エリア内に居る予定の時間帯として設定された特定の時間帯を記憶しており、エリア判定手段45は、現在時刻が特定の時間帯であるか否かを判断して現在位置が特定エリア内であるか否かを判定する機能を備え、表示切替手段17は、現在時刻が特定の時間帯であると判断された場合に所持者の個人情報を表示部12に表示し、現在時刻が特定の時間帯でないと判断された場合には個人情報を非表示にする機能を備えている。
【0049】
例えば、特定の時間帯を「8時30分〜17時30分」に設定して表示条件記憶部46に登録した場合、時刻が8時30分になったときに個人情報の表示を開始し、時刻が17時30分になった時に個人情報を非表示にして切り替えて別の情報を表示する。
【0050】
また、本第2実施形態の表示条件記憶部46は、2つ以上の時間帯を予め記憶してもよく、表示用情報記憶部11が、各時間帯毎に表示情報を記憶し、エリア判定手段45は、現在時刻がどの時間帯と一致するかを判定する機能を備え、表示切替手段17は、現在時刻と一致する時間帯に対応する情報を表示部12に表示させるように構成してもよい。
【0051】
例えば、本第2実施形態のIDカード4を児童の名札として用いた場合に、表示条件記憶部46は、所持者である児童が学校にいる時間帯として「時間帯A:8時30分〜17時30分」、登下校中の時間帯として「時間帯B:6時00分〜8時30分,17時30分〜21時00分」、自宅にいる時間帯として「時間帯C:21時00分〜6時00分」を予め記憶し、表示用情報記憶部11は、時間帯Aに対応する表示情報として学校名、氏名、血液型などの個人情報、時間帯Bに対応する表示情報として学校名と学校の連絡先を予め記憶し、表示切替手段17は、8時30分〜17時30分の間には学校名、氏名、血液型などの個人情報を表示部12に表示し、6時00分〜8時30分及び17時30分〜21時00分の間には学校名と学校の連絡先を表示部12に表示し、21時00分〜6時00分の間には時刻(時計の画像)を表示するような構成であってもよい。
【0052】
本第2実施形態のIDカード4によれば、所持者が特定エリア内に居る予定の時間帯にだけ個人情報を表示するので、上述した第1実施形態と同様に、個人情報が部外者に漏洩するリスクを低減することができ、児童など危機意識が低いものに対するセキュリティを容易に高めて、社会全体のセキュリティ向上を図ることができる。
【0053】
次に、本第2実施形態のIDカード4の動作について説明する。
【0054】
図5は、本第2実施形態のIDカード4の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態のIDカード4では、入力部18にオペレータからの特定エリア更新指令が入力された場合に(図5のステップS51のはい)、更新制御手段19が、表示条件記憶部16に記憶された特定エリアの位置情報を指令に基づいて書き換える(図5のステップS52)。
【0055】
そして、まず、時計部41が示す現在時刻をエリア判定手段45が入力し(図5のステップS53)、現時刻が表示条件記憶部46に予め登録された特定の時間帯に入っている否かをエリア判定手段45が判定し(図5のステップS54)、特定の時間帯であると判定された場合に表示切替手段17が表示用情報記憶部11から個人情報を読み出して表示部12に対して個人情報の表示を指示し、表示部12が表示切替手段17からの指示に従って個人情報を表示する(図5のステップS55)。
【0056】
一方、現在時刻が特定の時間帯ではないと判定された場合、表示切替手段17が、表示部12に対して個人情報の非表示を指示し、表示部12が、表示切替手段17からの指示に従って、個人情報を非表示にする(図5のステップS56)。この個人情報を非表示にする際には、個人情報とは別の情報を表示するようにしてもよい。
【0057】
このように本第2実施形態のIDカード4は、現在の時刻が特定エリア内にいる予定の時間帯に入ったときに所持者の個人情報を表示し、特定の時間帯ではないときには、個人情報を非表示にする。
【0058】
従って、本第2実施形態のIDカード4によれば、上述した第1実施形態と同様に、通信ゲートなどの大掛かりな外部機器を必要とせずに、内部処理のみで表示を切り替えることができるので、かかるコストや労力を抑えながら、所持者による操作を受け無くても不要な場所で個人情報を非表示に切り替えることができる。よって、所持者に意識させることなく、個人情報が想定外の第三者へ漏洩することを防止することができる。
【0059】
上記各実施形態における新規な技術的内容の要点を、以下の付記に示す。尚、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下に記載した内容にまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0060】
[付記1]所持者の氏名を含む個人情報を記憶した表示用情報記憶部と、この個人情報を表示する表示部とを備えたIDカードであって、前記個人情報の提示が必要な場所として予め設定された特定エリアの位置情報を記憶した表示条件記憶部と、測位衛星から発信される信号を順次受信する衛星信号受信機と、この受信機に受信された信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算手段と、この現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定するエリア判定手段と、この判定結果に基づいて前記表示部の表示を切替制御する表示切替手段とを備え、前記表示切替手段は、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を前記表示部に表示すると共に前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にする機能を備えたことを特徴とするIDカード。
[付記2]付記1に記載のIDカードにおいて、前記表示用情報記憶部が、前記特定エリア以外の場所で前記表示部に表示する情報として、前記個人情報と関係の無い他の情報を予め記憶しており、前記表示切替手段は、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合に前記個人情報を非表示にして、前記個人情報と関係の無い他の情報を表示部に表示することを特徴とするIDカード。
[付記3]付記2に記載のIDカードにおいて、前記表示条件記憶部に記憶された前記特定エリアの位置情報をオペレータからの入力に基づいて更新する更新制御手段を備えたことを特徴とするIDカード。
[付記4]付記3に記載のIDカードにおいて、前記衛星信号受信機及び現在位置演算手段に代えて、現在の時刻を示す時計部を備え、前記条件記憶は、前記所持者が前記特定エリア内に居る予定の時間帯として予め設定された特定の時間帯を示す情報を記憶し、前記エリア判定手段は、前記現在時刻が前記特定の時間帯になったか否かを判断し、その判断結果から現在位置が前記特定エリア内であるか否かを判定することを特徴とするIDカード。
[付記5]所持者の氏名を含む個人情報を表示するIDカードにあって、測位衛星から発信される信号を順次受信しこの受信信号に基づいて現在位置を演算し、この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にすることを特徴とする表示切替方法。
[付記6]付記5に記載の表示切替方法において、前記個人情報を非表示にする際に、当該前記個人情報と関係の無い他の情報を表示することを特徴とする表示切替方法。
[付記7]付記6に記載の表示切替方法において、前記予め設定された特定エリアの位置情報をオペレータからの入力に基づいて更新することを特徴とする表示切替方法。
[付記8]付記7に記載の表示切替方法において、測位衛星からの信号を受信し現在位置を演算する代わりに、現在の時刻を検出し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定する代わりに、前記特定エリア内に前記所持者が居る予定の時間帯として設定された特定の時間帯になったか否かを判断しその判断結果から現在位置が前記特定エリア内であるか否かを判定することを特徴とする表示切替方法。
[付記9]所持者の氏名を含む個人情報を画面に表示するIDカードの表示切替動作を制御するコンピュータに、前記IDカードに内蔵された受信機が測位衛星から受信した信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算機能と、この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定する判定機能と、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示し、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合に前記個人情報を非表示にする表示切替機能とを実行させることを特徴とする表示切替用プログラム。
[付記10]付記9に記載の表示切替用プログラムにおいて、前記表示切替機能が、前記個人情報を非表示にする際に、当該前記個人情報と関係の無い他の情報を表示する機能であることを特徴とする表示切替用プログラム。
[付記11]付記10に記載の表示切替用プログラムにおいて、前記予め設定された特定エリアの位置情報をオペレータからの入力に基づいて更新する更新機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする表示切替用プログラム。
[付記12]付記11に記載の表示切替用プログラムにおいて、前記現在位置演算機能及び判定機能に代えて、現在の時刻を示す時計機能と、前記特定エリア内に前記所持者が居る予定の時間帯として設定された特定の時間帯になったか否かを判断しこの判断結果から現在位置が特定エリア内であるか否かを判定する判定機能とを、前記コンピュータに実行させることを特徴とする表示切替用プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、入館証,身分証,社員証,学生証,園児や小学生等が衣類にとめる名札として利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,4 IDカード
11 表示用情報記憶部
12 表示部
13 衛星信号受信機
14 現在位置演算手段
15,45 エリア判定手段
16,46 表示条件記憶部
17 表示切替手段
41 時計部
200 表示画面
201 所持者の所属会社名
202 保持者の社員番号
203 所持者の氏名
204 所持者の顔写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所持者の氏名を含む個人情報を記憶した表示用情報記憶部と、この個人情報を表示する表示部とを備えたIDカードであって、
前記個人情報の提示が必要な場所として予め設定された特定エリアの位置情報を記憶した表示条件記憶部と、
測位衛星から発信される信号を順次受信する衛星信号受信機と、
この受信機に受信された信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算手段と、
この現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定するエリア判定手段と、
この判定結果に基づいて前記表示部の表示を切替制御する表示切替手段とを備え、
前記表示切替手段は、前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を前記表示部に表示すると共に前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にする機能を備えたことを特徴とするIDカード。
【請求項2】
前記請求項1に記載のIDカードにおいて、
前記表示用情報記憶部は、前記特定エリア以外の場所で前記表示部に表示する情報として前記個人情報と関係の無い他の情報を予め記憶する機能を備え、
前記表示切替手段は、前記個人情報を非表示にする際に、前記個人情報と関係の無い他の情報を表示部に表示する機能を備えたことを特徴とするIDカード。
【請求項3】
前記請求項2に記載のIDカードにおいて、
前記表示条件記憶部に記憶された前記特定エリアの位置情報をオペレータからの入力に基づいて更新する更新制御手段を備えたことを特徴とするIDカード。
【請求項4】
前記請求項3に記載のIDカードにおいて、
前記衛星信号受信機及び現在位置演算手段に代えて、現在の時刻を示す時計部を備え、
前記表示条件記憶は、前記特定エリアの位置情報に代えて、前記所持者が前記特定エリア内に居る予定の時間帯として予め設定された特定の時間帯を示す情報を記憶する機能を備え、
前記エリア判定手段は、前記現在時刻が前記特定の時間帯になったか否かを判断する機能と、その判断結果から現在位置が前記特定エリア内であるか否かを判定する機能を備えたことを特徴とするIDカード。
【請求項5】
所持者の氏名を含む個人情報を表示するIDカードにあって、
測位衛星から発信される信号を順次受信しこの受信信号に基づいて現在位置を演算し、
この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定し、
前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示し、
前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合には前記個人情報を非表示にすることを特徴とする表示切替方法。
【請求項6】
前記請求項5に記載の表示切替方法において、
前記個人情報を非表示にする際に、当該前記個人情報と関係の無い他の情報を表示することを特徴とする表示切替方法。
【請求項7】
前記請求項6に記載の表示切替方法において、
測位衛星からの信号を受信して現在位置を演算しこの現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定する代わりに、前記所持者が前記特定エリア内に居る予定の時間帯として設定された特定の時間帯になったか否かを判断しその判断結果から現在位置が前記特定エリア内であるか否かを判定することを特徴とする表示切替方法。
【請求項8】
所持者の氏名を含む個人情報を画面に表示するIDカードの表示切替動作を制御するコンピュータに、
前記IDカードに内蔵された受信機が測位衛星から受信した信号に基づいて当該受信機の現在位置を演算する現在位置演算機能と、
この現在位置が予め設定された特定エリアの位置情報と一致するか否かを判定する判定機能と、
前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致した場合に前記個人情報を表示すると共に前記現在位置が前記特定エリアの位置情報と一致しなかった場合に前記個人情報を非表示にする表示切替機能とを実行させることを特徴とする表示切替用プログラム。
【請求項9】
前記請求項8に記載の表示切替用プログラムにおいて、
前記表示切替機能は、前記個人情報を非表示にする際に、当該前記個人情報と関係の無い他の情報を表示する機能であることを特徴とする表示切替用プログラム。
【請求項10】
前記請求項9に記載の表示切替用プログラムにおいて、
前記現在位置演算機能及び判定機能に代えて、
現在の時刻を示す時計機能と、前記所持者が前記特定エリア内に居る予定の時間帯として設定された特定の時間帯になったか否かを判断しこの判断結果から現在位置が特定エリア内であるか否かを判定する判定機能とを、前記コンピュータに実行させることを特徴とする表示切替用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175388(P2011−175388A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37992(P2010−37992)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】