説明

IL−18に結合する抗体およびそれを精製する方法

本明細書において、抗IL−18抗体が開示され、これは、この抗原結合部分を包含する。試料母体から抗IL−18抗体を単離および精製するための1つ以上の方法が示される。これらの単離された抗IL−18抗体は、臨床現場および研究開発に使用することができる。単離された抗IL−18抗体を含む医薬組成物も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年10月20日に出願した米国仮出願第61/196,751号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトインターロイキン18は、193個のアミノ酸の生物学的に不活性な前駆体タンパク質として合成される、同定されたサイトカインである。例えばカスパーゼ1またはカスパーゼ4による前駆体タンパク質の切断により、T細胞増殖の同時刺激、NK細胞の細胞傷害性の増強、T細胞およびNK細胞によるIFN−γ産生の誘導ならびに1型ヘルパーT細胞(Th1)の分化の強化を含む生物活性を示す、156個のアミノ酸の成熟タンパク質が遊離される。さらに、IL−18は、IL−8、腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびプロスタグランジンE(PGE)を含むヒト単球炎症誘発性メディエーターの効果的なインデューサーである。
【0003】
IL−18は、Th1細胞におけるFasリガンドの機能活性を増大させることによって、免疫調節または炎症に潜在的な役割を果たす。IL−18はまた、副腎皮質において発現し、したがってストレスの多い経験の後に免疫系を編成するのに重要な役割を果たす神経免疫調節物質を分泌し得る。
【0004】
IFN−γ、IL−2およびTNF−βなどの炎症誘発性サイトカインを産生するTh1細胞は、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、1型すなわちインスリン依存性糖尿病(EDDM)、炎症性腸疾患(IBD)および乾癬を含む多くの自己免疫疾患の媒介に関連付けられた。したがって、IL−18などのTH1促進性サイトカインのアンタゴニストは、疾患の発症を阻害することが期待され得る。Il−18特異的mAbは、アンタゴニストとして使用でき得る。
【0005】
インビボにおいて、IL−18はプロIL−18の切断によって形成され、その内在的活性は、P.アクネス(P.acnes)およびLPS媒介性致死におけるIFN−γ産生の原因となるようである。ヒト疾患においてIL−18の生物活性をブロックすることは、多くの疾患における治療戦略である。これは、可溶性受容体、または細胞結合性IL−18受容体に対する遮断抗体を用いて遂行することができる。
【0006】
サイトカイン結合性タンパク質(可溶性サイトカイン受容体)は、それらのそれぞれの細胞表面サイトカイン受容体の細胞外リガンド結合性ドメインに相当する。それらは、その細胞表面受容体に共通のmRNA前駆体の選択的スプライシング、またはその細胞表面受容体のタンパク質分解性切断のいずれかに由来する。とりわけIL−16およびIFN−γの可溶性受容体を含む、かかる可溶性受容体が過去に記載されている。TNFR/Fasファミリーのメンバーである、オステオプロテジェリン(OPG、破骨細胞抑制因子−OCEFとしても知られる)と名付けられた、1つのサイトカイン結合性タンパク質は、分泌タンパク質としてのみ存在する可溶性受容体の最初の例のようである。
【0007】
IL−18は、エンドトキシンショック、肝炎および自己免疫性糖尿病を含む慢性炎症性疾患において病原性の進行に関わることが示唆された。肝損傷の発症におけるIL−18の可能性のある役割は、マウスモデルにおいてリポ多糖誘導性急性肝損傷でのIL−18の上昇したレベルを示す実験に基づいて仮定された。しかし、肝損傷の発症における多機能性因子IL−18のメカニズムは今のところ解明されていない。
【0008】
最近の研究では、IL−18が、関節の代謝に炎症誘発の役割を果たすことが示されている。研究者らは、IL−18が関節軟骨細胞によって産生され、炎症誘発および異化反応を誘導することを示した。IL−18mRNAは、軟骨細胞中でIL−1βによって誘導された。軟骨細胞は、IL−18前駆体を産生し、IL−1刺激に応答して、IL−18の成熟形態を分泌した。軟骨細胞へのIL−18の影響についての研究により、それがTGF−β誘導性増殖を阻害し、一酸化窒素の産生を増強することがさらに示された。IL−18は、誘導型一酸化窒素合成酵素、誘導型シクロオキシゲナーゼ、IL−6およびストロメライシンを含む、いくつかの遺伝子の発現を正常なヒト関節軟骨細胞において刺激した。遺伝子発現が、対応するタンパク質の合成に伴った。IL−18を用いる正常なヒト関節軟骨の治療により、グリコサミノグリカンの放出が増加した。これらの発見により、IL−18は、軟骨細胞の応答を制御し、軟骨の分解に寄与するサイトカインとして同定された。
【0009】
IL−18は、関節リウマチにおいて炎症誘発の役割を果たすことが示唆された。IL−18のレベルは、関節リウマチ患者の滑液中で著しく上昇することが示された。研究者らは、骨関節炎の対照より顕著に高いレベルで、関節リウマチの滑膜組織内でIL−18mRNAおよびタンパク質を検出した。IL−12またはIL−15とIL−18との組合せが、インビトロで滑膜組織によるIFN−γ産生を誘導することも示された。その上、コラーゲン/不完全フロイントアジュバンド免疫化マウスへのIL−18の投与により、びらん性炎症性関節炎の発症が促進され、このことは、IL−18がインビボにおいて炎症誘発性であり得ることを示唆する。
【0010】
他の自己免疫疾患の発症において、IL−18の役割が実際に示された。それにより、疾患発症の直前に、IL−18の発現が、非肥満糖尿病(NOD)マウスの膵臓および脾臓において顕著に増加することが実際に示された。その上、IL−18の投与により、マウス実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、すなわち多発性硬化症用のモデルであるTh1媒介性自己免疫疾患の臨床的重症度が増加することが実際に示された。さらに、中和型抗ラットIL−18抗血清により、メスのLewisラットにおいてEAEの発症が予防されることが示された。したがって、IL−18は、自己免疫のための新規治療の開発についての望ましい標的である。
【0011】
IL−18は、炎症性の増強および機能の減衰化の両方を有する多面的インターロイキンである。一方でそれは、炎症誘発性サイトカイン様TNF−αの産生を増強し、したがって炎症性を促進する。他方でそれは、NO、すなわちカスパーゼ1の阻害剤の産生を誘導し、したがってIL−1βおよびIL−18の成熟をブロックし、炎症性を減衰化させる可能性がある。このIL−18の多義的役割により、炎症性疾患の治療におけるIL−18阻害剤の有効性に対する疑問が生じた。その上、炎症性の制御における幅広い様々な異なるサイトカインおよびケモカインの相互作用のため、かかる複雑なシナリオにおいて、1つのプレーヤーのみをブロックすることによって有益な効果が得られることは期待できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記にかかわらず、中和型IL−18抗体は、自己免疫疾患および関連症状の軽減に有用であると考えられる。したがって、ヒトインターロイキン18に対する中和型モノクローナル抗体などの高親和性IL−18抗体の必要性が、当技術分野にある。その上、IL−18に対する抗体を含む治療計画が、高純度のものであることが重要である。本発明は、プロテインAカラムの使用または同等のプロテインAベースの精製ステップなしに、この必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
ある種の実施形態では、本発明は、IL−18に結合する、精製され単離された抗体および抗体フラグメント、ならびにかかる抗体およびフラグメントを含む医薬組成物を対象とする。ある種の実施形態では、本発明は、ヒトIL−18に結合する、単離された抗体またはこの抗原結合部分に関する。本発明の単離された抗IL−18抗体は、臨床現場および研究開発に使用することができる。ある種の実施形態では、本発明は、配列番号1および2で確認される重鎖および軽鎖配列を含む抗IL−18抗体を対象とする。
【0014】
本発明のある種の実施形態は、それらが宿主細胞タンパク質(「HCP」)を実質的に含まないようにするために、試料母体から抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を精製する方法を対象とする。ある種の態様では、試料母体(または単に「試料」)は、本発明の抗IL−18抗体を産生するために採用される細胞株を含む。特定の態様では、試料は、ヒト抗IL−18抗体を産生するために使用される細胞株を含む。
【0015】
本発明のある種の実施形態では、推定上の抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を含む試料母体は、pH調整に供する。ある種の態様では、pHは、約3.5に調整する。低pHは、とりわけ、試料に混入し得るpH感受性ウイルスの減少および/または不活性化を促進する。適した期間の後、pHをおよそ5.0に調整し、試料をイオン交換クロマトグラフィに供して溶出液を生成する。ある種の態様では、イオン交換の溶出液を収集し、疎水性相互作用クロマトグラフィにさらに供して、溶出液を生成する。疎水性相互作用クロマトグラフィの溶出液は、次いでさらなる処理または使用のために収集することができる。
【0016】
ある種の実施形態では、本発明は、とりわけ、細胞および細胞の残骸を除去するための一次回収ステップを含む、IL−18抗体の精製方法を提供する。上記方法のある種の実施形態では、一次回収ステップは、1つ以上の遠心分離または深層濾過のステップを含む。例えば、限定するものではないが、かかる遠心分離ステップは、およそ7000×gからおよそ11,000×gで行うことができる。さらに、上記方法のある種の実施形態は、デリピッド深層濾過ステップなどの深層濾過ステップを含む。
【0017】
上記方法のある種の実施形態では、イオン交換ステップは、陽イオンもしくは陰イオン交換クロマトグラフィのいずれかまたは両方の組合せであってよい。このステップは、陽イオン交換ステップに続いて陰イオン交換ステップまたはその逆などの複数のイオン交換ステップを含むことができる。ある種の態様では、イオン交換ステップは、2つのステップのイオン交換工程を含む。かかる2つのステップの工程は、例えば、限定するものではないが、第1陽イオン交換ステップに続いて第2の陰イオン交換ステップによって達成することができる。典型的な陽イオン交換カラムは、固定相が陰イオン基を含む、CM Hyper DF(商標)カラムなどのカラムである。このイオン交換捕獲クロマトグラフィステップは、一次回収の混合物からの抗IL−18抗体の単離を促進する。適した陰イオン交換カラムは、固定相が陽イオン基を含むカラムである。かかるカラムの例は、Q Sepharose(商標)カラムである。1つ以上のイオン交換ステップは、宿主細胞タンパク質およびDNA、適用できる場合は親和性基質タンパク質のような不純物を減少させることによって抗IL−18抗体をさらに単離する。この陰イオン交換手順は、クロマトグラフィのフロースルー様式であり、抗IL−18抗体は、陰イオン交換樹脂(または固相)と相互作用または結合しない。しかし、多くの不純物は、陰イオン交換樹脂と相互作用および結合する。
【0018】
ある種の実施形態では、第1および第2のイオン交換ステップは、一次回収に続いて行う。かかる実施形態のある種のものでは、イオン交換試料は、第1のイオン交換ステップの前、2つのイオン交換ステップの間、または両方のいずれかで、中間濾過ステップに供する。ある種の態様では、この濾過ステップは、捕獲限外濾過/透析濾過(「UF/DF」)を含む。他の活動の中で、かかる濾過は、抗IL−18抗体およびその抗原結合部分の濃縮およびバッファー交換を促進させる。
【0019】
本発明のある種の実施形態は、1つ以上の疎水性相互作用クロマトグラフィ(「HIC」)ステップを含む方法を提供する。適したHICカラムは、固定相が疎水基を含むものである。かかるカラムの非限定的な例は、Phenyl HP Sepharose(商標)カラムである。ある種の環境では、抗IL−18抗体は、単離/精製工程の間に凝集体を形成する。1つ以上のHICステップを含むことにより、かかる凝集の減少または排除が促進される。HICは、不純物の除去にも役立つ。ある種の実施形態では、HICステップは、抗IL−18抗体(またはその凝集)と疎水性カラムとの相互作用を促進するために、高塩濃度バッファーを採用する。抗IL−18抗体は、次いでより低い濃度の塩を用いて溶出することができる。
【0020】
ある種の実施形態では、HIC溶出液は、これに限定されないが、Ultipor DV50(商標)フィルター(Pall Corporation、East Hills、N.Y.)などのウイルス性除去フィルターを用いて濾過する。Viresolve(商標)フィルター(Millipore、Billerica、Mass.)、Zeta Plus VR(商標)フィルター(CUNO;Meriden、Conn.)およびPlanova(商標)フィルター(旭化成ファーマ、Planova Division、Buffalo Grove、Ill.)などの代替的なフィルターも、かかる実施形態で使用することができる。
【0021】
ある種の実施形態では、本発明は、単離された抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分および許容可能な担体を含む、1つ以上の医薬組成物を対象とする。1つの態様では、組成物は、抗IL−18抗体に加えて、1つ以上の抗体またはこの抗原結合部分をさらに含む。別の態様では、組成物は、1つ以上の医薬品をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の精製計画の非限定的な例を表す図である。
【図2】抗IL−18抗体(ABT−325)の非限定的な例の重鎖および軽鎖配列を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な記述)
本発明は、IL−18に結合する抗体を対象とする。1つの態様では、本発明は、ヒトIL−18に結合する、単離された抗体またはこの抗原結合部分に関する。本発明の単離された抗IL−18抗体は、臨床現場および研究開発に使用することができる。本発明は、抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を精製するための方法にも関する。本発明に関連して精製できる適した抗IL−18抗体は、USSN09/780,035および10/988,360に開示され、続いてABT−325と同定された抗体を含む。ABT−325の重鎖および軽鎖配列は、図2に示される。本発明は、本明細書で記載された、抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を含む医薬組成物にも関する。
【0024】
明確にするために、限定するものではないが、この詳細な記述は、次の従属部に分割される:
1.定義、
2.抗体の生成、
3.抗体の産生、
4.抗体の精製、
5.試料純度をアッセイする方法、
6.さらなる修飾、
7.医薬組成物および
8.抗体の使用
【0025】
1.定義
本発明をより容易に理解するために、ある種の用語を最初に定義する。
【0026】
用語「抗体」は、4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖から成る免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖の可変領域(本明細書でHCVRまたはVHと省略される)および重鎖の定常領域(CH)から成る。重鎖の定常領域は、3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3から成る。各軽鎖は、軽鎖の可変領域(本明細書でLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖の定常領域から成る。軽鎖の定常領域は、1つのドメイン、すなわちCLから成る。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域が散在し、相補性決定領域(CDR)と称される、超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に次の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0027】
抗体の「抗原結合部分」(または「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、hIL−18)と特異的に結合する能力を保持する抗体のフラグメントを含む。抗体の抗原結合の機能は、完全長抗体のフラグメントによって果たせることが示された。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合性フラグメントの例には、(i)Fabフラグメント、すなわちVL、VH、CLおよびCH1ドメインを含む1価のフラグメント、(ii)F(ab’)フラグメント、すなわちヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む2価のフラグメント、(iii)VHおよびCH1ドメインを含むFdフラグメント、(iv)抗体の単一の腕のVLおよびVHドメインを含むFvフラグメント、(v)VHドメインを含むdAbフラグメント(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Wardら(1989)Nature 341:544−546頁)ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、すなわちVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を用いて連結されることができ、合成リンカーによって、VLおよびVH領域対により一価の分子を形成できる単一タンパク質鎖としてそれらをつくることが可能になる(単一鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Birdら(1988)Science 242:423−426頁およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883頁を参照されたい)。かかる単一鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることを意図する。二重特異性抗体などの単一鎖抗体の他の形態も包含される。二重特異性抗体は、2価の二重特異的な抗体であり、VHおよびVLドメインが、単一ポリペプチド鎖上で発現するが、短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間で対にできないリンカーを用い、それによってドメインを別の鎖の相補性ドメインと対にさせ、2つの抗原結合部位がつくられる(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Holliger,P.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448頁;Poljak,R.J.ら(1994)Structure 2:1121−1123頁を参照されたい)。その上さらに、抗体またはこの抗原結合部分は、抗体または抗体部分と1つ以上の他のタンパク質またはペプチドと共有または非共有結合によって形成される、より大きな免疫接着分子の一部であってよい。かかる免疫接着分子の例には、ストレプトアビジンのコア領域を用いて四量体のscFv分子をつくること(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Kipriyanov,S.M.ら(1994)Human Antibodies and Hybridomas 6;93−101頁)、およびシステイン残基、マーカーペプチドおよびC末端ポリヒスチジンタグを用いて2価のビオチン化scFv分子をつくること(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Kipriyanov,S.M.ら(1994)Mol.Immunol.31:1047−1058頁)が挙げられる。FabおよびF(ab’)フラグメントなどの抗体部分は、全抗体のそれぞれに、パパインまたはペプシン消化などの従来技法を用いて、全抗体から調製することができる。さらに、抗体、抗体部分および免疫接着分子は、本明細書に記載のような標準的な組換えDNA技法を用いて得ることができる。1つの態様では、抗原結合部分は、完全ドメインまたは完全ドメインの対である。
【0028】
表現「ヒトインターロイキン18」(本明細書でhIL−18またはIL−18と省略される)は、本明細書で使用するとき、193個のアミノ酸の生物学的に不活性な前駆体タンパク質が最初に合成され、156個のアミノ酸の成熟タンパク質が、限定するものではないが、例えばカスパーゼ1またはカスパーゼ4による、例えば前駆体タンパク質の切断により産生され、T細胞増殖の同時刺激、NK細胞の細胞傷害性の増強、T細胞およびNK細胞によるIFN−γ産生の誘導ならびに1型ヘルパーT細胞(Th1)の分化の強化を含む生物活性を示すヒトサイトカインを含む。IL−18をコードする核酸は、GenBank Accession No.NM_001562として入手でき、ポリペプチド配列は、GenBank Accession No.NP_001553として入手することができる。用語ヒトIL−18は、標準的な組換え発現方法によって調製できる、組換えヒトIL−18(rhIL−18)を含むことを意図する。
【0029】
用語「Kabatの番号付け」、「Kabatの規定」および「Kabatの標識化」は、本明細書では互換的に使用される。当技術分野で認識されるこれらの用語は、抗体またはこの抗原結合部分の重鎖および軽鎖の可変領域における他のアミノ酸残基より可変的(すなわち、超可変的)であるアミノ酸残基を番号付けるシステムをいう(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Kabatら(1971)Ann.NY Acad,Sci.190:382−391頁およびKabat,E.A.ら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242)。重鎖の可変領域について、超可変領域は、CDR1についてはアミノ酸位置31から35、CDR2についてはアミノ酸位置50から65、およびCDR3についてはアミノ酸位置95から102に及ぶ。軽鎖の可変領域について、超可変領域は、CDR1についてはアミノ酸位置24から34、CDR2についてはアミノ酸位置50から65、およびCDR3についてはアミノ酸位置89から97に及ぶ。
【0030】
用語「ヒト抗体」は、Kabatらによって記載されたような、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列に対応する、可変および定常領域を有する抗体を含む(Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242を参照されたい)。本発明のヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3において、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはインビボでの体細胞変異によって導入される変異)を含むことができる。変異は、「選択的変異誘発アプローチ」を用いて導入することができる。ヒト抗体は、アミノ酸残基、例えば、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列によってコードされない活性増強型アミノ酸残基と置換された、少なくとも1つの位置を有することができる。ヒト抗体は、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列の一部ではないアミノ酸残基と置換された、最大20個の位置を有することができる。他の実施形態では、最大10、最大5、最大3または最大2つの位置が置換される。1つの実施形態では、これらの置換は、CDR領域内である。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用するとき、CDR配列が、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来し、ヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含まないことを意図する。
【0031】
表現「選択的変異誘発アプローチ」は、少なくとも1つの適した選択的変異誘発位置、高頻度変異および/または接触位置で、CDRアミノ酸を選択し、個々に変異させることによって、抗体の活性を改善する方法を含む。「選択的に変異させた」ヒト抗体は、選択的変異誘発アプローチを用いて選択された位置での変異を含む抗体である。別の態様では、選択的変異誘発アプローチは、抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2もしくはCDR3(下文ではそれぞれH1、H2およびH3)または軽鎖可変領域のCDR1、CDR2もしくはCDR3(下文ではそれぞれL1、L2およびL3という)において、選択された個々のアミノ酸残基を優先的に変異させる方法を提供することを意図する。アミノ酸残基は、選択的変異誘発位置、接触位置または高頻度変異位置から選択することができる。個々のアミノ酸は、軽鎖または重鎖の可変領域におけるそれらの位置に基づいて選択される。高頻度変異位置が、接触位置であってもよいことを理解されたい。1つの態様では、選択的変異誘発アプローチは、「標的型アプローチ」である。言葉「標的型アプローチ」は、標的法、例えば、「群に対する標的型アプローチ」または「CDRに対する標的型アプローチ」において、抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2もしくはCDR3または軽鎖可変領域のCDR1、CDR2もしくはCDR3において選択された個々のアミノ酸残基を変異させる方法を含むことを意図する。「群に対する標的型アプローチ」では、特定の群における個々のアミノ酸残基は、群I(L3およびH3を含む)、II(H2およびL1を含む)およびIII(L2およびH1を含む)を含む選択的変異について標的にされ、前記群は、標的の優先度の順番で載せる。「CDRに対する標的型アプローチ」では、特定のCDRにおける個々のアミノ酸は、次のような標的の優先度の順番:H3、L3、H2、L1、H1およびL2で、選択的変異について標的にされる。選択されたアミノ酸残基は、例えば、少なくとも2つの他のアミノ酸残基に変異させ、抗体の活性への変異の効果を決定する。活性は、抗体の結合特異性/親和性、および/または抗体の中和効力における変化として測定する。選択的変異誘発アプローチは、ファージ提示、ヒトIgG生殖系列遺伝子を有するトランスジェニック動物、ヒトB細胞から単離したヒト抗体が挙げられる任意の供給源に由来する任意の抗体の最適化に使用することができることを理解されたい。選択的変異誘発アプローチは、ファージ提示技術を用いてさらに最適化できない抗体に置いて使用することができる。ファージ提示、ヒトIgG生殖系列遺伝子を有するトランスジェニック動物、ヒトB細胞から単離したヒト抗体が挙げられる任意の供給源由来の抗体を、選択的変異誘発アプローチの前または後に逆突然変異に供することができることを理解されたい。
【0032】
表現「組換えヒト抗体」は、宿主細胞に形質移入した組換え発現ベクターを用いて発現した抗体、組換え体から単離した抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリ、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離した抗体(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Taylor,L.D.ら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287−6295頁を参照されたい)または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライスを含む任意の他の手段によって調製、発現、作成もしくは単離した抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作成または単離するヒト抗体を含む。かかる組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列の免疫グロブリンの配列に由来する可変および定常領域を有する(Kabat,E.A.ら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242を参照されたい)。しかし、ある種の実施形態では、かかる組換えヒト抗体は、インビトロでの変異誘発(または、ヒトIg配列のトランスジェニック動物を使用するときは、インビボでの体細胞変異誘発)に供し、したがって組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVHおよびVL配列に由来および関連するが、インビボにおいて生殖系列のヒト抗体レパートリー内に天然には存在し得ない配列である。しかし、ある種の実施形態では、かかる組換え抗体は、選択的変異誘発アプローチもしくは逆突然変異または両方の結果である。
【0033】
「単離した抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を含む(例えば、hIL−18と特異的に結合する単離した抗体は、hIL−18以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。hIL−18と特異的に結合する単離した抗体は、他の種由来のIL−18分子と結合することができる。さらに、単離した抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含み得ない。
【0034】
「中和抗体」(またはhIL−18活性を中和した抗体)は、hIL−18との結合により、hIL−18の生物活性の阻害をもたらす抗体を含む。hIL−18の生物活性のこの阻害は、T細胞もしくはNK細胞によるIFNγ産生の誘導またはヒトIL−18受容体結合アッセイにおけるIL−18受容体結合の阻害などの、hIL−18の生物活性の1つ以上の指標を測定することによって評価することができる。hIL−18の生物活性のこれらの指標は、当技術分野で既知のインビトロまたはインビボにおける1つ以上のいくつかの標準的なアッセイによって評価することができる。
【0035】
用語「活性」は、例えば、IL−18抗原に結合する抗hIL−18抗体などの抗体の抗原に対する結合特異性/親和性、および/または例えば、hIL−18との結合により、hIL−18の生物活性を阻害する抗hIL−18抗体などの抗体の中和効力、例えば、PHA芽細胞増殖の阻害またはヒトIL−18受容体結合アッセイにおける受容体結合の阻害などの活性を含む。
【0036】
表現「表面プラズモン共鳴」は、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,SwedenおよびPiscataway,N.J.)を用いて、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイムの生体特異的相互作用の解析を可能にする光学現象を含む。さらなる説明については、その全体の教示が本明細書に組み込まれる、Jonsson,U.ら(1993)Ann.Biol.Clin.51:19−26頁;Jonsson,U.ら(1991)Biotechniques 11:620−627頁;Johnsson,B.ら(1995)J.Mol.Recognit.8:125−131頁およびJohnnson,B.ら(1991)Anal.Biochem.198:268−277頁を参照されたい。
【0037】
用語「Koff」は、本明細書で使用するとき、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての解離速度定数をいうことを意図する。
【0038】
用語「K」は、本明細書で使用するとき、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数をいうことを意図する。
【0039】
表現「核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含む。核酸分子は、単一鎖または二重鎖でよいが、1つの態様では、二重鎖DNAである。
【0040】
hIL−18と結合する(単離した抗体を含む)抗体または抗体部分(例えば、VH、VL、CDR3)をコードする核酸に関して本明細書で使用するとき、表現「単離した核酸分子」は、抗体または抗体部分をコードするヌクレオチド配列が、hIL−18以外の抗原と結合する抗体または抗体部分をコードする他のヌクレオチド配列を含まず、他の配列が、天然ではヒトゲノムDNAにおける該核酸に隣接し得る、核酸分子を含む。したがって、例えば、抗IL−18抗体のVH領域をコードする本発明の単離した核酸は、IL−18以外の抗原と結合する他のVH領域をコードする他の配列を含まない。表現「単離した核酸分子」は、VHおよびVL領域が、二重特異性抗体の配列以外の他の配列を含まない二重特異性抗体などの、2価の二重特異的な抗体をコードする配列を含むことも意図する。
【0041】
表現「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞を含む。かかる用語は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の子孫もいうことを意図すると理解されたい。変異または環境の影響のいずれかにより、後の世代である種の改変が起こり得るため、かかる子孫は、実際には親細胞と同一ではあり得ないが、本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」の範囲内にやはり含まれる。
【0042】
用語「改変」は、本明細書で使用するとき、抗体またはこの抗原結合部分における1つ以上のアミノ酸の変更をいうこと意図する。変更は、1つ以上の位置でアミノ酸を付加、置換または欠失させることによって生じさせることができる。変更は、PCR変異誘発などの既知の技法を用いて生じさせることができる。
【0043】
用語「約」は、本明細書で使用するとき、基準値よりおよそ10−20%大きいまたは小さい範囲をいうことを意図する。ある種の環境では、当業者は、基準値の性質のため、用語「約」は、その値から10−20%より多くまたは少なく逸脱することを意味できると理解する。
【0044】
表現「ウイルスの減少/不活性化」は、本明細書で使用するとき、特定の試料中のウイルス粒子の数の低下(「減少」)および例えば、これに限定されないが、特定の試料中のウイルス粒子の感染力または複製能などの活性の低下(「不活性化」)をいうことを意図する。ウイルス粒子の数および/または活性のかかる低下は、およそ約1%から約99%、好ましくは約20%から約99%、より好ましくは約30%から約99%、より好ましくは約40%から約99%、さらにより好ましくは約50%から約99%、さらにより好ましくは約60%から約99%、さらにより好ましくは約70%から約99%、さらにより好ましくは約80%から約99%、さらにより好ましくは約90%から約99%程度であってよい。ある種の非限定的な実施形態では、ウイルスの量は、精製した抗体産物中に少しでも存在すれば、そのウイルスについてID50(標的集団の50%に感染するウイルスの量)より少なく、好ましくはそのウイルスについてID50より少なくとも10倍少ない、より好ましくはそのウイルスについてID50より少なくとも100倍少ない、さらにより好ましくはそのウイルスについてID50より少なくとも1000倍少ない。
【0045】
表現「接触位置」は、26の既知の抗体−抗原構造のうち1つにおいて、抗原と接触するアミノ酸によって占められる抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3におけるアミノ酸位置を含む。26の既知の解明された抗体−抗原複合体の構造のいずれかにおいて、CDRアミノ酸が抗原と接触すれば、そのときそのアミノ酸は接触位置を占めると考えることができる。接触位置は、抗原と接触するアミノ酸によって占められる確率が、非接触位置より高い。1つの態様では、接触位置は、26の構造の3つより多い構造において抗原と接触するアミノ酸を含むCDR位置である(>1.5%)。別の態様では、接触位置は、25の構造のうち8つより多い構造において抗原と接触するアミノ酸を含むCDR位置である(>32%)。
【0046】
2.抗体の生成
用語「抗体」は、このセクションで使用するとき、インタクトな抗体またはこの抗原結合フラグメントをいう。
【0047】
本開示の抗体は、対象とする抗原による動物の免疫化を含む様々な技法に続き、従来のモノクローナル抗体方法論、例えば、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495頁の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技法によって生成させることができる。体細胞ハイブリダイゼーション手順が原則として好ましいが、モノクローナル抗体を産生するための他の技法、例えば、Bリンパ球のウイルス性または発癌性形質転換を採用することができる。
【0048】
ハイブリドーマを調製するための1つの好ましい動物系は、マウス系である。ハイブリドーマの産生は、非常によく確立された手順である。免疫化プロトコールおよび融合のために免疫化した脾細胞を単離するための技法は、当技術分野で既知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)および融合手順も既知である。
【0049】
抗体は、好ましくは、ヒト、キメラまたはヒト化抗体であってよい。本開示のキメラまたはヒト化抗体は、上記のように調製された非ヒトモノクローナル抗体の配列に基づいて調製することができる。重鎖および軽鎖の免疫グロブリンをコードするDNAは、対象とする非ヒトハイブリドーマから得ることができ、標準的な分子生物学的技法を用いて、非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含むように操作することができる。例えば、キメラ抗体を作成するために、当技術分野で既知の方法を用いて、マウス可変領域を、ヒト定常領域に連結させることができる(例えば、Cabillyらの米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)。ヒト化抗体を作成するために、当技術分野で既知の方法を用いて、マウスCDR領域を、ヒトフレームワークに挿入することができる(例えば、Winterらの米国特許第5,225,539号明細書ならびにQueenらの米国特許第5,530,101;5,585,089;5,693,762および6,180,370号明細書を参照されたい)。
【0050】
1つの非限定的な実施形態では、本開示の抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。IL−18を対象とするかかるヒトモノクローナル抗体は、マウス系よりむしろヒト免疫系の部分を保有するトランスジェニックまたはトランスクロモソミックマウスを用いて生成させることができる。これらのトランスジェニックおよびトランスクロモソミックマウスは、HuMAb Mouse(登録商標)(Medarex,Inc.)、KM Mouse(登録商標)(Medarex,Inc.)およびXenoMouse(登録商標)(Amgen)として本明細書で称されるマウスを含む。
【0051】
さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替的なトランスクロモソミック動物系は、当技術分野で入手でき、本開示の抗IL−18抗体を産生させるために使用することができる。例えば、「TCマウス」として称される、ヒト重鎖トランスクロモソームおよびヒト軽鎖トランスクロモソームの両方を保有するマウスを使用でき、かかるマウスは、Tomizukaら(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:722−727頁に記載されている。さらに、ヒト重鎖および軽鎖トランスクロモソームを保有する雌ウシは、当技術分野で記載されており(例えば、Kuroiwaら(2002)Nature Biotechnology 20:889−894頁およびPCT出願WO2002/092812)、本開示の抗IL−18抗体を産生するために使用することができる。
【0052】
本明細書で開示される、抗IL−18抗体もしくはその抗体結合性部分または抗IL−18関連抗体を含む本発明の組換えヒト抗体は、コンビナトリアル組換え抗体ライブラリ、例えば、ヒトリンパ球に由来するmRNAから調製したヒトVLおよびVHcDNAを用いて調製したscFvファージ提示ライブラリの選別によって単離することができる。かかるライブラリを調製および選別するための方法論は、当技術分野で既知である。ファージ提示ライブラリを作成するための市販のキット(例えば、その全体の教示が本明細書に組み込まれる、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27−9400−01およびStratagene SurfZAP(商標)ファージ提示キット、カタログ番号240612)に加えて、抗体提示ライブラリの作成および選別の使用に特に適した方法および試薬の例は、例えば、Ladnerらの米国特許第5,223,409号明細書;KangらのPCT出願WO92/18619;DowerらのPCT出願WO91/17271;WinterらのPCT出願WO92/20791;MarklandらのPCT出願WO92/15679;BreitlingらのPCT出願WO93/01288;McCaffertyらのPCT出願WO92/01047;GarrardらのPCT出願WO92/09690;Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370−1372頁;Hayら(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81−85頁;Huseら(1989)Science 246:1275−1281頁;McCaffertyら、Nature(1990)348:552−554頁;Griffithsら(1993)EMBO J 12:725−734頁;Hawkinsら(1992)JMol Biol 226:889−896頁;Clacksonら(1991)Nature 352:624−628頁;Gramら(1992)PNAS 89:3576−3580頁;Garrardら(1991)Bio/Technology 9:1373−1377頁;Hoogenboomら(1991)Nuc Acid Res 19:4133−4137頁およびBarbasら(1991)PNAS 88:7978−7982頁で見出すことができ、その全体の教示が本明細書に組み込まれる。
【0053】
本開示のヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体応答が免疫化において生成できるようにヒト免疫細胞を再構築したSCIDマウスを用いて調製することもできる。かかるマウスは、例えば、Wilsonらの米国特許第5,476,996および5,698,767号明細書に記載されている。
【0054】
1つの実施形態では、本発明の方法は、抗IL−18抗体および抗体部分、抗IL−18関連抗体および抗体部分、ならびに低度の解離速度によるhIL−18との高親和性結合および高中和能などの、抗IL−18抗体と同等の特性を有するヒト抗体および抗体部分を含む。1つの態様では、本発明は、共に表面プラズモン共鳴による測定にて約1×10−8M以下のK速度定数および1×10−3−1以下のKoff速度定数でhIL−18から解離する単離されたヒト抗体またはこの抗原結合部分を用いる治療を提供する。具体的な非限定的な実施形態では、本発明に従って精製した抗IL18抗体は、生理的条件下で、ABT−325とIL18との結合を競合的に阻害する。
【0055】
本発明のさらなる別の実施形態では、抗IL−18抗体またはこのフラグメントは、変化させることができ、抗体の定常領域が、非改変の抗体と比較して、少なくとも1つの定常領域媒介性生物学的エフェクター機能を低下させるように改変される。本発明の抗体がFc受容体との低下した結合性を示すように、それを改変するために、抗体の免疫グロブリンの定常領域セグメントを、Fc受容体(FcR)相互作用に必要な特定の領域で変異させることができる(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、CanfieldおよびMorrison(1991)J.Exp.Med.173:1483−1491頁ならびにLundら(1991)J.of Immunol.147:2657−2662頁を参照されたい)。抗体のFcR結合能の低下により、オプソニン作用および食作用および抗原依存性細胞毒性などの、FcR相互作用に頼る他のエフェクター機能も低下させることができる。
【0056】
3.抗体の産生
本発明の抗体を発現させるために、遺伝子が、転写および翻訳調節配列に操作的に連結されるように、部分的または完全長軽鎖および重鎖をコードするDNAは、1つ以上の発現ベクターに挿入される(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,914,128号明細書を参照されたい)。この文脈では、用語「操作的に連結される」は、ベクター内の転写および翻訳調節配列が、それらが目的とする抗体遺伝子の転写および翻訳の制御機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター中にライゲートされることを意味すると意図する。発現ベクターおよび発現調節配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体の軽鎖遺伝子および抗体の重鎖遺伝子は、別々のベクター中に挿入でき、またはより典型的には、両遺伝子は、同じ発現ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子フラグメントおよびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位がなければ平滑末端のライゲーション)によって発現ベクターに挿入される。抗体または抗体関連軽鎖または重鎖配列の挿入の前に、発現ベクターは、抗体の定常領域配列を既に保有することができる。例えば、抗IL−18抗体または抗IL−18抗体関連VHおよびVL配列を、完全長抗体遺伝子に転換する1つのアプローチは、VHセグメントが、ベクター内のCHセグメント(複数可)に操作的に連結し、VLセグメントが、ベクター内のCLセグメントに操作的に連結するように、重鎖の定常および軽鎖の定常領域をそれぞれ既にコードする発現ベクター中にそれらを挿入することである。追加的または代替的には、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進させるシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが、抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクター中にクローニングさせることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンのシグナルペプチドまたは異種のシグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってよい。
【0057】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞において抗体鎖遺伝子の発現を調節する1つ以上の制御配列を保有することができる。用語「制御配列」は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を調節するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。かかる制御配列は、例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。制御配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどのような因子によって決められることは、当業者に理解されよう。哺乳動物宿主細胞の発現に適した制御配列は、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、主要な後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞における高いタンパク質発現レベルを指示するウイルス性エレメントを含む。ウイルス性制御エレメントおよびその配列のさらなる説明については、例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Stinskiによる米国特許第5,168,062号明細書、Bellらによる米国特許第4,510,245号明細書およびSchaffnerらによる米国特許第4,968,615号明細書を参照されたい。
【0058】
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中のベクターの複製を制御する配列(例えば、複製開始点)などの1つ以上の追加の配列および/または選択可能なマーカー遺伝子を保有することができる。選択可能なマーカー遺伝子により、ベクターが導入された宿主細胞の選択が促進される(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、全てAxelらによる米国特許第4,399,216、4,634,665および5,179,017号明細書を参照されたい)。例えば、典型的には、選択可能なマーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞において、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。適した選択可能なマーカー遺伝子には、(メトトレキサートの選択/増幅を用いるdhfr宿主細胞の使用については)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子および(G418の選択については)ネオ遺伝子が挙げられる。
【0059】
本発明の抗体または抗体部分は、宿主細胞における免疫グロブリンの軽鎖および重鎖遺伝子の組換え発現によって調製することができる。組換えで抗体を発現させるために、軽鎖および重鎖が、宿主細胞中で発現され、宿主細胞を培養する培地中に分泌され、抗体が培地から回収できるように、宿主細胞に、抗体の免疫グロブリンの軽鎖および重鎖をコードするDNAフラグメントを保有する1つ以上の組換え発現ベクターを形質移入する。抗体の重鎖および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組込み、ベクターを宿主細胞中に導入するために、標準的な組換えDNA方法論が使用され、これらは、その全体の教示が本明細書に組み込まれる、Sambrook、FritschおよびManiatis(編)、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1989)、Ausubelら(編)Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates、(1989)ならびに米国特許第4,816,397および6,914,128号明細書などに記載されている。
【0060】
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクター(複数可)は、標準的な技法によって宿主細胞中に形質移入される。用語「形質移入」の様々な形態は、原核または真核宿主細胞中への外来性DNAの導入に一般的に使用される幅広い様々な技法、例えば、電気穿孔法、カルシウム−リン酸沈殿、DEAE−デキストラン形質移入などを包含することを意図する。原核または真核宿主細胞のいずれかにおいて、本発明の抗体を発現させることは理論上可能であるが、かかる真核細胞、特に哺乳動物細胞は、原核細胞に比べて、正確にフォールドされた免疫学的な活性抗体を会合および分泌しやすいため、哺乳動物宿主細胞などの真核細胞中での抗体の発現が適している。抗体遺伝子の原核生物の発現は、活性抗体の高収率の産生に効果がないことが報告された(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、BossおよびWood(1985)Immunology Today 6:12−13頁)。
【0061】
本明細書でベクターにおけるDNAのクローニングまたは発現に適した宿主細胞は、上記の原核生物、酵母またはより高等な真核生物である。この目的に適した真核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物などの真正細菌、例として、例えばE.コリ(E.coli)などのエシュリキア属(Escherichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、例えばサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)などのサルモネラ属(Salmonella)、例えばセラチア・マルセセンス(Serratia marcescans)などのセラチア属(Serratia)およびシゲラ属(Shigella)などの腸内細菌科(Enterobacteriaceae)ならびにB.サブチリス(B.subtilis)およびB.リケニフォルミス(B.licheniformis)(例えば、1989年4月12日に出版されたDD266,710に開示されたB.リケニフォルミス41P)などのバチリ属(Bacilli)、P.アエルギノーサ(P.aeruginosa)などのシュードモナス属(Pseudomonas)ならびにストレプトミセス属(Streptomyces)が挙げられる。E.コリB、E.コリX1776(ATCC31,537)およびE.コリW3110(ATCC27,325)などの他の菌株が適しているが、宿主をクローニングする1つの適したE.コリは、E.コリ294(ATCC31,446)である。これらの例は、限定というよりむしろ実例となるものである。
【0062】
原核微生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、ベクターをコードするポリペプチドに適したクローニングまたは発現宿主である。サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または一般的なパン酵母が、より下等な真核宿主微生物の中でもっとも一般的に使用される。しかし、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe);K.ラクティス(K.lactis)、K.フラジリス(K.fragilis)(ATCC12,424)、K.ブルガリカス(K.bulgaricus)(ATCC16,045)、K.ウィケラミ(K.wickeramii)(ATCC24,178)、K.ワルティ(K.waltii)(ATCC56,500)、K.ドロソフィララム(K.drosophilarum)(ATCC36,906)、K.サーモトレランス(K.thermotolerans)およびK.マルキシアナス(K.marxianus)などのクリベロミセス属(Kluyveromyces)宿主;ヤロウィア属(yarrowia)(EP402,226);ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(EP183,070);カンジダ属(Candida);トリコデルマ・リーシア(Trichoderma reesia)(EP 244,234);ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa);スクワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)などのスクワニオミセス属(Schwanniomyces);ならびに例えば、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペニシリウム属(Penicillium)、トリポクラミジウム属(Tolypocladium)ならびにA.ニデュランス(A.nidulans)およびA.ニガー(A.niger)などのアスペルギルス属(Aspergillus)宿主などの糸状菌などの多くの他の属、種および菌株が一般的に入手でき、本明細書に有用である。
【0063】
グリコシル化された抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株および変異体ならびにスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、アエデス・アエギプティ(Aedes aegypti)(蚊)、アエデス・アルボピクタス(Aedes albopictus)(蚊)、ドロソフィラ・メラノガスタ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)およびボンビクス・モリ(Bombyx mori)などの対応する許容昆虫宿主細胞が同定された。形質移入のための様々なウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa californica)NPVのL−1変異体およびボンビクス・モリNPVのBm−5菌株が公的に利用でき、かかるウイルスは、本発明に従う本明細書でのウイルスとして、特に、スポドプテラ・フルギペルダ細胞の形質移入のために使用することができる。ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。
【0064】
本発明の組換え抗体の発現に適した哺乳動物宿主細胞には、(例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、KaufmanおよびSharp(1982)Mol.Biol.159:601−621頁に記載のようなDHFR選択可能なマーカーを用いて使用される、UrlaubおよびChasin(1980)PNAS USA 77:4216−4220頁に記載のdhfr−CHO細胞を含む)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを、哺乳動物宿主細胞中に導入する場合、宿主細胞中での抗体の発現または宿主細胞を増殖させる培養液中への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって、抗体は産生される。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40によって形質転換されるサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓株(懸濁培養物中での増殖のためにサブクローニングした293または293細胞、Grahamら、J.Gen Virol.36:59頁(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/DHFR(CHO、Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216頁(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol.Reprod.23:243−251頁(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB8065);マウス乳房腫瘍(MMT060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68頁(1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞種株(Hep G2)であり、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
宿主細胞は、抗体産生のために上記の発現またはクローニングベクターで形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に修正された従来の栄養培地で培養する。
【0066】
抗体を産生するために使用する宿主細胞は、様々な培地で培養することができる。HamのF10(商標)(Sigma)、Minimal Essential Medium(商標)((MEM)、Sigma)、RPMI−1640(Sigma)およびDulbeccoのModified EagleのMedium(商標)((DMEM)、Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞の培養に適している。さらに、Hamら、Meth.Enz.58:44頁(1979)、Barnesら、Anal.Biochem.102:255頁(1980)、米国特許第4,767,704;4,657,866;4,927,762;4,560,655または5,122,469号明細書;WO90/03430;WO87/00195;または米国特許第Re.30,985号明細書に記載の任意の培地を、宿主細胞用の培養液として使用でき、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる。任意のこれらの培地は、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリンまたは上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩など)、バッファー(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン薬など)、微量元素(通常マイクロモーラーの範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義する)およびグルコースまたは同等のエネルギー源を補充することができる。任意の他の必要な補充も、当業者に既知である適切な濃度で含むことができる。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞に以前に使用したものであり、当業者には明白である。
【0067】
宿主細胞は、FabフラグメントまたはscFv分子などの、インタクトな抗体の部分を産生するために使用することもできる。上記の手順のバリエーションが、本発明の範囲内であることは理解されよう。例えば、宿主細胞に、本発明の抗体の軽鎖または重鎖のいずれか(両方ではない)をコードするDNAを形質移入することを所望することができる。IL−18、具体的にはhIL−18との結合に必要ではない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするいくらかまたは全てのDNAを除去するために、組換えDNA技術を使用することもできる。かかる切断されたDNA分子から発現された分子も、本発明の抗体に包含される。さらに、標準的な化学的架橋法により、本発明の抗体と第2抗体を架橋することによって、一方の重鎖および一方の軽鎖が、本発明の抗体であり、他方の重鎖および軽鎖が、IL−18以外の抗原に特異的である二機能性抗体を、産生することができる。
【0068】
本発明の抗体またはこの抗原結合部分の組換え発現のための適した系では、抗体の重鎖および抗体の軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターは、リン酸カルシウム媒介型形質移入によって、dhfr−CHO細胞中に導入される。組換え発現ベクター内では、抗体の重鎖および軽鎖遺伝子は、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーターの制御エレメントにそれぞれ操作的に連結して、遺伝子の高レベルの転写を駆動する。組換え発現ベクターは、DHFR遺伝子も保有し、これにより、メトトレキサートの選択/増幅を用いて、ベクターに形質移入したCHO細胞を選択することが可能になる。選択された形質転換体宿主細胞は、抗体の重鎖および軽鎖の発現を可能にするために培養され、インタクトな抗体は、培養液から回収される。組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞に形質移入し、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養液から抗体を回収するために、標準的な分子生物学的技法が用いられる。
【0069】
組換え技法を使用するとき、抗体は、細胞膜周辺腔中で細胞内に産生され得、または培地中に直接分泌され得る。1つの態様では、抗体が細胞内に産生されれば、第1ステップとして、(例えば、遠心分離の結果として生じた)粒状の残骸、宿主細胞または溶解した細胞のいずれかを、例えば、遠心分離または限界濾過によって除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、かかる発現系からの懸濁液を、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限界濾過ユニットを用いて、まず濃縮することができる。
【0070】
本発明の工程の前に、細胞の残骸から抗体を精製するための手順を、抗体の発現部位によって最初に決める。いくつかの抗体は、細胞から増殖培地の周辺に直接分泌され得、他の抗体は、細胞内につくられる。後者の抗体について、精製工程の第1ステップは、典型的には、機械的な剪断、浸透圧ショックまたは酵素処理が挙げられる様々な方法によって起こり得る細胞の溶解を伴う。かかる破壊により、細胞の全体の内容物が破砕物中に放出され、さらに、それらの小ささのために除去するのが難しい細胞内の断片が産生される。これらは、一般的に、異なる遠心分離によって、または濾過によって除去される。抗体が分泌される場合、かかる発現系からの懸濁液は、一般的に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限界濾過ユニットを用いて、まず濃縮される。抗体が培地中に分泌される場合、組換え宿主細胞は、例えば、接線流濾過によって、細胞培養液から分離することもできる。抗体は、本発明の抗体精製方法を用いて、培養液からさらに回収することができる。
【0071】
4.抗体の精製
4.1 一般的な抗体の精製
本発明は、抗体および少なくとも1つのHCPを含む混合物から精製された(または「HCP減少型」)抗体調製物を生成するための方法を提供する。本発明の調製工程は、上記の方法および当技術分野の従来の方法を用いて抗体を生成する場合、分離のステップで始まる。当技術分野において典型的には、最初の精製ステップとして、抗体−HCP混合物をプロテインAの捕獲(例えば、プロテインAカラム)に供し、抗体はプロテインAに結合する一方、HCPは通り抜けて流れる。本発明の精製方法は、精製方法における最初のステップまたは任意のステップとして、抗体および少なくとも1つのHCPを含む混合物を、プロテインAの捕獲(例えば、プロテインAカラム)に供する必要がないという利点を有する。表1に、精製計画の1つの実施形態をまとめる。この計画のバリエーションが想定され、これは本発明の範囲内である。
【0072】
【表1】

【0073】
抗体を含む清澄化した溶液または混合物を得たらすぐに、細胞が産生したHCPなどの他のタンパク質からの抗体の分離を、イオン交換分離ステップ(複数可)および疎水性相互作用分離ステップ(複数可)を含む異なる精製技法の組合せを用いて行う。分離ステップにより、それらの電荷、疎水性の程度または大きさに基づいて、タンパク質の混合物が分離される。本発明の1つの態様では、分離は、陽イオン、陰イオンおよび疎水性相互作用が挙げられるクロマトグラフィを用いて行う。いくつかの異なるクロマトグラフィ樹脂をこれらの各技法に利用でき、関連する特定のタンパク質に対する精製計画の正確な組立てを可能にする。各分離方法の本質は、タンパク質が、異なる速度でカラムを横切り落ちることにより、カラムをさらに通って落ちるにつれて物理的分離の増加が達成されること、または分離媒体に選択的に付着することにより、次いで異なる溶媒によって別個に抽出されることのいずれかをもたらせることである。いくつかの場合では、不純物がカラムに特異的に付着し、抗体が付着しない、すなわち抗体がフロースルー中に存在するとき、抗体は不純物から分離される。
【0074】
上述のように、精製計画の正確な組立ては、精製するタンパク質の濃度に依存する。ある種の実施形態では、本発明の分離ステップは、1つ以上のHCPから抗体を分離するステップが採用される。本明細書に記載の方法を用いてうまく精製できる抗体には、これに限定されないが、ヒトIgA、IgA、IgD、IgE、IgG、IgG、IgG、IgGおよびIgM抗体が挙げられる。ある種の実施形態では、本発明の精製戦略は、プロテインAアフィニティクロマトグラフィの使用を除外する。かかる実施形態は、IgG抗体が、プロテインAに非効率に結合することが知られているため、特にIgG抗体の精製に有用である。精製計画の具体的な組立てを可能にする他の因子には、これに限定されないが、(例えば、抗体のFabフラグメントと比べて完全長抗体に関連する)Fc領域の存在または非存在、対象とする抗体の生成に採用する特定の生殖系列の配列および抗体のアミノ酸組成(例えば、抗体の一次配列および分子の全体の変化/疎水性)が挙げられる。1つ以上の特徴を共有する抗体は、その特徴を利用するように組み立てた精製戦略を用いて精製することができる。
【0075】
4.2一次回収
本発明の精製方法の最初のステップは、清澄化の第1相および試料母体からの抗IL−18抗体の一次回収に関連する。さらに、一次回収工程は、試料母体中に存在し得るウイルスを不活性化する時点であってもよい。例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,534,972号明細書のような、熱不活性化(低温殺菌)、pH不活性化、溶媒/洗剤処理、UVおよびγ線照射ならびにβ−プロピオラクトンまたは例えば銅フェナントリンなどの追加のある種の化学的不活性剤が挙げられる、任意の1つ以上の様々なウイルス不活性化方法を、精製の一次回収相の間に使用することができる。本発明のある種の実施形態では、試料母体は、一次回収相の間にpHウイルス不活性化に供する。
【0076】
pHのウイルス不活性化の方法には、これに限定されないが、低pHである期間混合物を温置するステップ、続いてpHを中和するステップ、および濾過によって粒子を除去するステップが挙げられる。ある種の実施形態では、混合物は、pH2から5、好ましくはpH3から4、より好ましくはpH3.5で温置する。試料母体のpHは、これに限定されないが、クエン酸、酢酸、カプリル酸が挙げられる任意の適した酸または他の適した酸によって低下させることができる。pHレベルの選択は、主として抗体産物の安定性プロファイルおよびバッファー成分に依存する。低pHのウイルス不活性化の間の標的抗体の質は、pHおよび低pH温置の持続時間に影響を受けることが知られている。ある種の実施形態では、低pH温置の持続時間は、0.5時間から2時間、好ましくは0.5時間から1.5時間であり、より好ましくは、持続時間は1時間である。ウイルス不活性化は、タンパク質濃度に加えて、高濃度で不活性化を低下させ得るこれらのいくつかのパラメータに依存する。したがって、タンパク質濃度、pHおよび不活性化の持続時間の適したパラメータは、ウイルス不活性化の所望のレベルを達成するように選択することができる。
【0077】
ある種の実施形態では、ウイルス不活性化は、適したフィルターの使用によって達成することができる。適したフィルターの非限定的な例は、Pall社のUltipor DV50(商標)フィルターである。本発明のある種の実施形態は、一次回収相の間にかかる濾過を採用するが、他の実施形態では、それは、精製の最後から2番目または最終ステップのいずれかが挙げられる、精製工程の他の相で採用する。ある種の実施形態では、これに限定されないが、Viresolve(商標)フィルター(Millipore、Billerica、Mass.);Zeta Plus VR(商標)フィルター(CUNO;Meriden、Conn.)およびPlanova(商標)フィルター(旭化成ファーマ、Planova Division、Buffalo Grove、I11.)などの代替的なフィルターが、ウイルス不活性化に採用される。
【0078】
それらの実施形態では、ウイルス不活性化を採用する場合、必要に応じて、さらなる精製ステップのために、試料母体を調整することができる。例えば、低pHのウイルス不活性化に続いて、試料母体のpHは、典型的には精製工程を続ける前に、より中性pH、例えば、約5.0から約8.5に調整する。さらに、混合物を注射用水(WFI)で流して、所望の伝導性を得ることができる。
【0079】
ある種の実施形態では、一次回収は、試料母体をさらに清澄化し、それによって抗IL−18抗体の精製を助ける1つ以上の遠心分離ステップを含む。試料の遠心分離は、例えば、限定するものではないが、7,000×gからおよそ12,750×gで実行することができる。大規模な精製に関して、かかる遠心分離は、例えば、限定するものではないが、結果として生じる懸濁液において150NTUの濁度レベルに達成する流速設定によりオンラインで行うことができる。かかる懸濁液は、次いでさらなる精製のために収集することができる。
【0080】
ある種の実施形態では、一次回収は、試料母体をさらに清澄化し、それによって抗IL−18抗体の精製を助ける1つ以上の深層濾過ステップの使用を含む。深層濾過は、段階的密度を有する濾過媒体を含む。かかる段階的密度により、より大きい粒子はフィルターの表面付近で捕捉する一方、より小さい粒子はフィルターの表面のより大きく開いた部分を透過し、フィルターの中央により近いより小さい開きのみで捕捉することが可能になる。ある種の実施形態では、深層濾過ステップは、デリピッド深層濾過ステップであってよい。ある種の実施形態は、一次回収相の間のみ深層濾過ステップを採用するが、他の実施形態は、1つ以上の追加の精製の相の間にデリピッド深層濾過を含む深層濾過を採用する。本発明に関して使用できる深層濾過の非限定的な例には、Cuno(商標)モデル30/60ZA深層フィルター(3M社)および0.45/0.2μmのSartopore(商標)二重層フィルターカートリッジが挙げられる。
【0081】
4.3 イオン交換クロマトグラフィ
ある種の実施形態では、本発明は、抗体を含む溶出液が得られるように、少なくとも1つのイオン交換分離ステップに混合物を供することによって、抗体および少なくとも1つのHCPを含む混合物からHCP減少型抗体調製物を生成するための方法を提供する。イオン交換分離は、2つの基質を、それらのそれぞれのイオン電荷の差に基づいて分離する任意の方法を含み、陽イオン交換物質または陰イオン交換物質のいずれかを採用することができる。
【0082】
陽イオン交換物質対陰イオン交換物質の使用は、タンパク質の全体の電荷に基づく。したがって、陽イオン交換ステップの使用の前に陰イオン交換ステップ、または陰イオン交換ステップの使用の前に陽イオン交換ステップを採用することは、本発明の範囲内である。さらに、陽イオン交換ステップのみ、陰イオン交換ステップのみまたは2つの任意の連続的な組合せを採用することも、本発明の範囲内である。
【0083】
分離の実行において、最初の抗体混合物は、任意の様々な技法を用いて、例えば、バッチ精製技法またはクロマトグラフィ技法を用いて、イオン交換物質と接触させることができる。
【0084】
例えば、バッチ精製に関して、イオン交換物質は、所望の開始バッファー中で調製する、またはそれに平衡化する。調製または平衡化において、イオン交換物質のスラリーを得る。抗体溶液をスラリーに接触させて、分離する抗体をイオン交換物質に吸着させる。イオン交換物質に結合しないHCP(複数可)を含む溶液は、例えば、スラリーの定着を可能にし、懸濁液を除去することによって、スラリーから分離する。スラリーは、1つ以上の洗浄ステップに供することができる。必要であれば、スラリーを、より高い伝導性の溶液に接触させて、イオン交換物質に結合したHCPを脱着させることができる。結合したポリペプチドを溶出するために、バッファーの塩濃度を上昇させることができる。
【0085】
イオン交換クロマトグラフィは、イオン交換分離技法として使用することもできる。イオン交換クロマトグラフィは、分子の全体の電荷の間の差に基づいて分子を分離する。抗体の精製について、抗体は、結合するために、イオン交換物質、例えば樹脂に付着される官能基の電荷と反対の電荷をもたなければならない。例えば、一般的にそのpIより低いpHのバッファー中で、全体的に正電荷を有する抗体は、負に荷電した官能基を含む陽イオン交換物質によく結合する。
【0086】
イオン交換クロマトグラフィにおいて、溶質の表面上の荷電したパッチは、クロマトグラフィのマトリックスに付着した反対の電荷によって誘引され、これにより周囲のバッファーのイオン強度は低くなる。溶出は、一般的にイオン交換マトリックスの荷電部位について溶質と競合するようにバッファーのイオン強度(すなわち、伝導性)を増加させることによって達成される。pHを変更し、それにより溶質の電荷を変化させることは、溶質の溶出を達成する別のやり方である。伝導性またはpHの変更は、漸進的(勾配溶出)または段階的(段階溶出)であってよい。
【0087】
陰イオンまたは陽イオン置換基は、クロマトグラフィのための陰イオンまたは陽イオン担体を形成するために、マトリックスに付着させることができる。陰イオン交換置換基の非限定的な例には、ジエチルアミノエチル(DEAE)、4級アミノエチル(QAE)および4級アミン(Q)基が挙げられる。陽イオン置換基には、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、リン酸(P)およびスルホン酸(S)が挙げられる。DE23(商標)、DE32(商標)、DE52(商標)、CM−23(商標)、CM−32(商標)およびCM−52(商標)などのセルロースイオン交換樹脂は、Whatman社、メイドストーン、ケント、U.K.から入手することができる。SEPHADEX(登録商標)ベースのおよびロクロスリンク型イオン交換体も既知である。例えば、DEAE−、QAE−、CM−およびSP−SEPHADEX(登録商標)ならびにDEAE−、Q−、CM−およびS−SEPHAROSE(登録商標)ならびにSEPHAROSE(登録商標)Fast Flowは、Pharmacia ABから全て入手することができる。さらに、TOYOPEARL(商標)DEAE−650SまたはMおよびTOYOPEARL(商標)CM−650SまたはMなどのDEAEおよびCM両方の誘導体化エチレングリコール−メタクリル酸コポリマーは、Toso Haas社、フィラデルフィア、Pa.から入手することができる。
【0088】
抗体および不純物、例えばHCP(複数可)を含む混合物は、陽イオン交換カラムなどのイオン交換カラム上に負荷する。例えば、限定するものではないが、混合物は、使用するカラムに依存して、約80gのタンパク質/L樹脂の負荷で負荷する。適した陽イオン交換カラムの例は、ベッドボリュームが約116Lであり、直径80cm×長さ23cmのカラムである。この陽イオンカラム上に負荷された混合物は、続いて洗浄用バッファー(平衡バッファー)で洗浄することができる。抗体は、次いでカラムから溶出し、最初の溶出液を得る。
【0089】
このイオン交換ステップにより、対象とする抗体の捕獲が促進される一方、HCPなどの不純物が減少する。ある種の態様では、イオン交換カラムは、陽イオン交換カラムである。例えば、限定するものではないが、かかる陽イオン交換カラムに適した樹脂は、CM HyperDF樹脂である。これらの樹脂は、Pall社などの商業的供給源から入手することができる。この陽イオン交換手順は、室温またはその付近で行うことができる。
【0090】
4.4 限界濾過/透析濾過
本発明のある種の実施形態は、抗IL−12抗体試料をさらに精製および濃縮するために、限界濾過および/または透析濾過ステップを採用し、限界濾過は、「Microfiltration and Ultrafiltration:Principles and Applications」、L.ZemanおよびA.Zydney(Marcel Dekker社、New York、N.Y.、1996)および「Ultrafiltration Handbook」、Munir Cheryan(Technomic Publishing、1986;ISBN No.87762−456−9)に詳細に記載されている。好ましい濾過方法は、Milliporeカタログの表題「Pharmaceutical Process Filtration Catalogue」、177−202頁(ベッドフォード、Mass.、1995/96)に記載のような接線流濾過である。限界濾過とは、一般的に0.1μmより小さい孔径を有するフィルターを用いる濾過をいう。かかる小さい孔径を有するフィルターを採用することによって、試料の体積が、フィルターを通る試料バッファーの透過により減少できる一方、抗IL−12抗体は保持される。
【0091】
透析濾過は、塩、糖、非水溶媒の除去および交換、結合した種からの遊離した種の分離、低分子量の物質の除去またはイオンおよび/もしくはpH環境の迅速な変化を引き起こすために、限界フィルターを用いる方法である。かかるマイクロ溶質は、限界濾過速度と同等の速度で限界濾過する溶液に溶媒を添加することによって、もっとも効率的に除去される。これにより、一定体積で溶液から微細種が洗浄され、保持された抗体が効率的に精製される。本発明のある種の実施形態では、透析濾過ステップは、場合によってさらなるクロマトグラフィまたは他の精製ステップの前に、および抗体調製物から不純物を除去するために、本発明に関連して使用される様々なバッファーを交換するために採用される。
【0092】
4.5 疎水性相互作用クロマトグラフィ
本発明は、疎水性相互作用分離ステップをさらに含み、抗体および少なくとも1つのHCPを含む混合物からHCP減少型抗体調製物を生成するための方法も取り上げる。例えば、減少したレベルのHCPを有する第2溶出液が得られるように、イオン交換カラムから得た最初の溶出液を、疎水性相互作用物質に供することができる。本明細書に記載されているものなどの疎水性相互作用クロマトグラフィステップは、一般的に抗体凝集体などのタンパク質凝集体および工程関連不純物を除去するために行う。
【0093】
分離の実行において、試料混合物は、例えば、バッチ精製技法を用いて、またはカラムを用いてHIC物質と接触させる。HIC精製の前に、例えば、混合物をプレカラムに通すことによって、任意のカオトロピック剤または非常に疎水的な物質を除去することを所望することができる。
【0094】
例えば、バッチ精製に関して、HIC物質は、所望の平衡バッファー中で調製する、またはそれに平衡化する。HIC物質のスラリーを得る。抗体溶液をスラリーと接触させて、分離する抗体をHIC物質に吸着させる。HIC物質に結合しないHCPを含む溶液は、例えば、スラリーの定着を可能にし、懸濁液を除去することによって、スラリーから分離する。スラリーは、1つ以上の洗浄ステップに供することができる。必要であれば、スラリーをより低い伝導性の溶液と接触させて、HIC物質に結合した抗体を脱着させることができる。結合した抗体を溶出するために、塩濃度を低下させることができる。
【0095】
イオン交換クロマトグラフィは、抗体の電荷に依存してそれらを単離する一方、疎水性相互作用クロマトグラフィは、抗体の疎水性特性を用いる。抗体上の疎水基は、カラム上の疎水基と相互作用する。より疎水的なタンパク質ほど、より強くカラムと相互作用する。したがって、HICステップにより、宿主細胞由来の不純物(例えば、DNAならびに他の高および低分子量産物関連種)が除去される。
【0096】
疎水性相互作用は、高いイオン強度でもっとも強く、したがって、この分離の形態は、塩析またはイオン交換手順に続いて便利に行われる。HICカラムへの抗体の吸着は、高い塩濃度が好ましいが、実際の濃度は、抗体の性質および選択された特定のHICリガンドに依存して、非常に広範にわたることができる。様々なイオンは、それらが疎水性相互作用を促進するか(塩析効果)、または水の構造を破壊し(カオトロピック効果)、疎水性相互作用の減退を引き起こすかどうかに依存する、いわゆる疎溶媒性系列において配置することができる。Ba++、Ca++、Mg++、Li、Cs、Na、K、Rb、NHのような陽イオンは、塩析効果の増加に関して位置づけられる一方、PO−−−、SO−−、CHCO、Cl、Br、NO、ClO、I、SCNのような陰イオンは、カオトロピック効果の増加に関して位置づけることができる。
【0097】
一般的に、Na、KまたはNHの硫酸塩は、HICにおけるリガンド−タンパク質相互作用を効果的に促進する。次の関係:(NHSO>NaSO>NaCl>NHCl>NaBr>NaSCNによって相互作用の強度に影響を与える塩を処方することができる。一般的に、約0.75から2Mの間の塩濃度の硫酸アンモニウムまたは約1から4Mの間のNaClが有用である。
【0098】
HICカラムは、通常、疎水性リガンド(例えば、アルキルまたはアリル基)が共役する基盤マトリックス(例えば、架橋結合したアガロースまたは合成コポリマー物質)を含む。適したHICカラムは、フェニル基で置換されたアガロース樹脂を含む(例えば、Phenyl Sepharose(商標)カラム)。多くのHICカラムが、商業的に入手可能である。例には、これに限定されないが、低いまたは高い置換を有するPhenyl Sepharose(商標)6 Fast Flowカラム(Pharmacia LKB Biotechnology、AB、スウェーデン);Phenyl Sepharose(商標)High Performanceカラム(Pharmacia LKB Biotechnology、AB、スウェーデン);Octyl Sepharose(商標)High Performanceカラム(Pharmacia LKB Biotechnology、AB、スウェーデン);Fractogel(商標)EMD PropylまたはFactogel(商標)EMD Phenylカラム(E.Merck、ドイツ);Macro−Prep(商標)MehylまたはMacro−Prep(商標)t−Butyl Supports(Bio−Rad、カリフォルニア);WP HI−Propyl(C3)(商標)カラム(J.T.Baker、ニュージャージー)およびToyopearl(商標)フェニルまたはブチルいずれかのカラム(TosoHaas、PA)が挙げられる。
【0099】
4.6 模範的な精製戦略
ある種の実施形態では、一次回収は、産生バイオリアクターの収集物から細胞および細胞残骸(HCPを含む)を除去するために、pHの低下、遠心分離および濾過のステップを連続的に採用することによって行うことができる。例えば、限定するものではないが、かかる一次回収は、遠心分離(12750×g)および深層濾過による最終清澄化を用いて、遠心分離(6900×g)およびpHの低下により宿主細胞を除去することによって最初に遂行することができる。ある種の実施形態では、抗体および培地を含む培養物は、約20℃でおよそ1から1.5時間、約3.5から約4.0のpHを用いて、pH不活性化に供することができる。pHの低下は、クエン酸、例えば3Mのクエン酸、リン酸、酢酸、ギ酸などの既知の酸調製を用いて促進することができる。pH感受性ウイルス混入物を完全に排除しない場合、このpHの低下により、この混入物を減少および/または不活性化させ、いくらかの培地/宿主細胞混入物を沈殿させる。この低下の後に、酸性化した収集物のpHを、水酸化ナトリウム、例えば3Mの水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて、約4.5から約5.5に調整し、約8℃で約16−24時間維持することができる。16−24時間の後、温度をおよそ20℃にさせることができる。pH調節した培養物を、およそ12,750×gで遠心分離することができる。結果として生じた試料懸濁液を、次いで、例えば約0.2から約0.8μmの範囲に及ぶ通常の孔径の3つの12インチのCuno(商標)モデル60ZA深層フィルターに装着した1つの3×12”フィルターハウジングおよび3つの30”−0.22μmの疎水性フィルターカートリッジに装着した1つの3×30”フィルターハウジングを含むフィルタートレインに通すことができる。他の適したフィルター系も市販されており、本発明の範囲内である。当業者は上述の条件を変えることができ、これも本発明の範囲内であることに注目されたい。
【0100】
ある種の実施形態では、清澄化した懸濁液は、次いで陽イオン交換カラムを用いてさらに精製する。ある種の態様では、平衡化バッファーは、約5.0のpHを有するバッファーである。適したバッファーの非限定的な例は、pH5.0の、約20mMのクエン酸ナトリウム/クエン酸、65mMのNaClである。平衡化に続いて、カラムに、上記の一次回収ステップから調製した試料を負荷する。カラムは、次いで平衡化バッファーを用いて洗浄する。カラムは、次に平衡化バッファーと比較してより大きいイオン強度を有するバッファーを用いて、溶出ステップに供する。例えば、適した溶出バッファーは、pH5.0の、約20mMのクエン酸ナトリウム/クエン酸、300mMのNaClであってよい。抗IL−18抗体を溶出し、OD280nmに設定したUV分光光度計を用いてモニターする。特定の実施例では、カラム溶出液は、吸光度が3OD280nmを超えるときに収集でき、およそ2OD280nmまで続けることができる。当業者は条件を変えることができ、これもさらに本発明の範囲内であることを理解されたい。
【0101】
ある種の実施形態では、陽イオン交換溶出液は、次に例えば30kDのMWカットオフフィルターを用いて濾過する。この濾過ステップに適したフィルターは、例えばMilliporeの30kDの分子量カットオフ(MWCO)セルロース限界フィルターメンブレンカセットである。限界濾過は、溶出液が、例えば30mg/mLの最終標的濃度に到達するまで続けることができる。この濾過物は、次いで適切なバッファーを用いて透析濾過することができる。適切なバッファーの例は、pHおよそ7.0の、20mMのリン酸ナトリウムおよび150mMの塩化ナトリウムである。
【0102】
ある種の実施形態では、上記の捕獲濾過ステップからの試料を、陰イオン交換クロマトグラフィステップなどの第2のイオン交換分離に供する。あるいは、陽イオン交換溶出液を、適切なバッファーに平衡化する場合、陽イオン交換溶出液を陰イオン交換クロマトグラフィに供することができる。この陰イオン交換ステップにより、核酸様宿主タンパク質およびDNAなどの工程関連不純物が減少する。対象とする抗体が、カラムの固相、例えば、Q Sepharose(商標)と相互作用も結合もしない場合、このイオン交換ステップは、クロマトグラフィのフロースルー様式である。しかし、多くの不純物は、実際、カラムの固相と相互作用および結合する。陰イオン交換は、約12℃で行うことができる。
【0103】
このステップに適したカラムの非限定的な例は、GE Healthcare、Piscatway、NJから得たQ Sepharose(商標)Fast Flowなどの陰イオン交換樹脂を充填したものである。カラムは、トロラミン/塩化ナトリウムなどの適切なバッファーの複数の(例えば約5−7)のカラム体積を用いて平衡化することができる。適した条件の例には、pH8.0で、約40mMの塩化ナトリウムを含む約25mMのトロラミンが挙げられる。再び当業者は条件を変えることができるが、これも本発明の範囲内である。上記に概説したUF/DFステップから収集した試料は、pH8の50mMのトロラミンの2容量で希釈し、陰イオン交換カラム上に負荷する。代替的な実施形態では、pHおよび伝導性の調整後、陽イオン交換の間に収集された溶出液からカラムに負荷する。カラムの負荷に続いて、カラムを平衡バッファーで洗浄する。抗IL−18抗体を含むフロースルーは、OD280nmでのUV分光光度計を用いてモニターすることができる。ある種の実施例では、溶出収集物は、上側0.4OD280nmから下側0.6OD280nmであってよい。
【0104】
本発明は、疎水性相互作用分離ステップをさらに含む、抗体および少なくとも1つのHCPを含む混合物から精製したHCP減少型抗体を精製するための方法であって、減少したレベルのHCPを有する第2溶出液が得られるように、前記イオン交換のフロースルーを疎水性相互作用物質に供する方法も取り上げる。
【0105】
分離の実行において、試料混合物は、例えば、バッチ精製技法またはカラムを用いて、HIC物質と接触させる。HIC精製の前に、任意のカオトロピック剤または非常に疎水的な物質を除去することを所望することができる。例として、バッチ精製について、HIC物質は、所望の平衡バッファー中で調製またはこれに平衡化する。HIC物質のスラリーを得る。抗体溶液をスラリーに接触させて、分離する抗体をHIC物質に吸着させる。HIC物質に結合しないHCPを含む溶液は、例えば、スラリーの定着を可能にし、懸濁液を除去することによって、スラリーから分離する。スラリーは、1つ以上の洗浄ステップに供することができる。必要であれば、スラリーを、より低い伝導性の溶液に接触させて、MIC物質に結合した抗体を脱着させることができる。結合した抗体を溶出するために、塩濃度を低下させることができる。
【0106】
本発明のある種の実施形態では、抗IL−18抗体を含む試料は、疎水性相互作用分離ステップを用いてさらに処理する。ある種の実施形態では、疎水性相互作用分離ステップは、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)ステップを含む。HICステップに適したカラムの非限定的な例は、GE Healthcare Pharmacia、Piscatway、NJから得るPhenyl HP Sepharose(商標)などのHIC樹脂を充填したものである。対象とする抗体を含む前のステップから得たフロースルー調製物は、pH7.0の同等量のおよそ2.2Mの硫酸アンモニウム、40mMのリン酸ナトリウムで希釈することができる。これを、次いで約0.45/0.2μmのSartopore(商標)2二重層フィルターまたはその同等物を用いて、濾過に供することができる。ある種の実施形態では、疎水性クロマトグラフィ手順は、2つ以上のサイクルを含む。
【0107】
ある種の実施形態では、HICカラムは、適したバッファーを用いて最初に平衡化する。適したバッファーの例は、pH7.0の、1.1Mの硫酸アンモニウム、20mMのリン酸ナトリウムである。当業者は、緩衝剤の濃度を変化させることによって、および/または同等のバッファーを代用することによって、平衡化バッファーを変えることができ、これも本発明の範囲内である。カラムに、希釈した陰イオン交換フロースルー試料を負荷し、複数回、例えば3回、平衡バッファーで洗浄する。
【0108】
カラムは、適切な溶出バッファーを用いて溶出する。かかる溶出バッファーの適した例は、pHおよそ7.0で、0.3Mの硫酸アンモニウム、9mMのリン酸ナトリウムである。対象とする抗体は、ピークの上側1OD280nmから下側4OD280nmまで従来の分光光度計を用いて検出および収集することができる。
【0109】
本発明のある種の実施形態では、疎水性クロマトグラフィステップから得た溶出液は、インタクトなウイルスを含むウイルス粒子の除去のために濾過に供する。適したフィルターは、Pall Filtron、ノースボロー、MAから得るUltipor DV50(商標)フィルターである。他のウイルスフィルターもこの濾過ステップに使用でき、当業者によく知られている。特定の態様では、HIC溶出液は、およそ34psigで、0.1μmのフィルターおよび10インチのUltipor DV50(商標)ナノフィルターから成る事前に湿潤したフィルタートレインに通す。場合によって、濾過工程に続いて、フィルターハウジング中に保持された任意の抗体を除去するために、例えばHIC溶出バッファーを用いてフィルターを洗浄する。濾過物は、およそ12℃で事前に滅菌した容器中に保管することができる。
【0110】
さらなる実施形態では、上記で得た濾過物は、限界濾過/透析濾過に再び供する。当業者の終点が、例えば医薬製剤における抗体の使用であれば、このステップは重要である。限界濾過により、抗体の濃縮が促進され、透析濾過により、前に使用した緩衝塩の除去およびそれと特定の処方バッファーとの取換えが促進される。処方バッファーの複数容量、例えば2容量またはそれ以上を用いる連続的透析濾過を行う。適した処方バッファーの例は、pH5.9の、5mMのメチオニン、2%のマンニトール、0.5%のショ糖のバッファーである。透析濾過が完了すると、抗体は濃縮される。当業者は、当技術分野でよく知られている方法を用いて、この時点で抗体産物をさらに濾過することを望むことができる。
【0111】
本発明のある種の実施形態は、さらなる精製ステップを含む。イオン交換クロマトグラフィ方法の前、間または後に行うことができる追加の精製手順の例は、エタノール沈殿、等電点電気泳動、逆相HPLC、シリカにおけるクロマトグラフィ、heparin Sepharose(商標)におけるクロマトグラフィ、さらなる陰イオン交換クロマトグラフィおよび/またはさらなる陽イオン交換クロマトグラフィ、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析およびアフィニティクロマトグラフィ(例えば、プロテインA、プロテインG、抗体、特異的な基質、リガンドまたは捕獲剤としての抗原を用いる)が挙げられる。
【0112】
5.試料純度のアッセイ方法
本発明は、単離/精製した抗体組成物中の宿主細胞タンパク質(HCP)の残留レベルを決定するための方法も提供する。上記のように、HCPは、望ましくは最終標的物質産物、すなわち抗IL−18抗体から排除される。典型的なHCPは、抗体産生の源から生じるタンパク質を含む。標的抗体からHCPを同定し、十分に除去できなければ、低下した有効性および/または被験者の有害な反応を引き起こし得る。
【0113】
本明細書で使用するとき、用語「HCP ELISA」は、アッセイに使用する二次抗体が、抗体、すなわち抗IL−18抗体を生成するために使用される細胞、例えばCHO細胞から産生されるHCPに特異的である場合のELISAをいう。二次抗体は、当業者に既知の従来の方法によって産生することができる。例えば、二次抗体は、見せかけの産生および精製の実行によって得られるHCPを用いて、産生することができる、すなわち、対象とする抗体を産生するために使用する同じ細胞株を使用するが、細胞株に抗体DNAを形質移入しない。典型的な実施形態では、二次抗体は、最適な細胞発現系、すなわち、標的抗体を産生するために使用する細胞発現系において発現するHCPと同様のものを用いて産生する。
【0114】
一般的に、HCP ELISAは、抗体の2つの層、すなわち一次抗体および二次抗体の間にHCPを含む液体試料をサンドイッチするステップを含む。試料中のHCPが一次抗体、例えばこれに限定されないが、アフィニティ精製したヤギ抗CHO(Cygnus)によって捕獲される時間の間、試料を温置する。抗体を生成するために使用した細胞から精製したHCPに特異的な、標識した二次抗体または抗体のブレンド、例えばビオチン化した抗CHO HCPを添加し、試料内のHCPに結合させる。ある種の実施形態では、一次および二次抗体は、ポリクローナル抗体である。ある種の態様では、一次および二次抗体は、HCPに対して産生されたポリクローナル抗体のブレンド、例えば、これに限定されないが、ビオチン化ヤギ抗宿主細胞タンパク質混合物599/626/748である。試料中に含まれるHCPの量は、二次抗体の標識に基づく適切な試験を用いて決定される。
【0115】
HCP ELISAは、上記のセクションIIIに記載した方法を用いて得た溶出液またはフロースルーなどの抗体組成物中のHCPのレベルを決定するために使用することができる。本発明は、抗体を含む組成物も提供し、HCPの酵素結合免疫吸着測定法(「ELISA」)によって決定するとき、前記組成物は、検出可能なレベルのHCPを有さない。
【0116】
6.さらなる修飾
本発明の抗IL−18抗体は、修飾することができる。いくつかの実施形態では、抗IL−18抗体またはこの抗原結合フラグメントを化学的に修飾し、所望の効果をもたらす。例えば、本発明の抗体および抗体フラグメントのペグ化は、例えば、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる次の文献:Focus on Growth Factors3:4−10頁(1992);EP0154316およびEP0401384に記載のような、当技術分野で既知の任意のペグ化反応によって行うことができる。1つの態様では、ペグ化は、ポリエチレングリコール分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応によって行う。本発明の抗体および抗体フラグメントのペグ化のための適した水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。本明細書で使用するとき、「ポリエチレングリコール」は、モノ(Cl−ClO)アルコキシまたはアリールオキシポリエチレングリコールなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されるPEGの任意の形態を包含することを意味する。
【0117】
本発明のペグ化された抗体および抗体フラグメントを調製するための方法は、一般的に(a)抗体または抗体フラグメントが、1つ以上のPEG基に付着するのに適した条件下で、抗体または抗体フラグメントと、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコールとを反応させるステップおよび(b)反応生成物を得るステップを含む。既知のパラメータおよび所望の結果に基づいて、最適な反応条件またはアシル化反応を選択することは、当業者に明らかである。
【0118】
ペグ化した抗体および抗体フラグメントは、一般的に本明細書に記載の抗IL−18抗体および抗体フラグメントを投与することによって、本発明のIL−18関連障害を治療するために使用することができる。一般的に、ペグ化した抗体および抗体フラグメントは、非ペグ化抗体および抗体フラグメントと比較して、増加した半減期を有する。ペグ化した抗体および抗体フラグメントは、単独に、一緒にまたは他の医薬組成物との組合せで、採用することができる。
【0119】
本発明の抗体または抗体部分は、別の機能性分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化または連結することができる。したがって、本発明の抗体および抗体部分は、イムノアドへシン分子を含む、本明細書に記載の誘導体化および他のやり方で修飾したヒト抗hIL−18抗体の形態を含むことを意図する。例えば、本発明の抗体または抗体部分は、別の抗体(例えば、二重特異的な抗体または二重特異性抗体)、検出可能な薬剤、細胞毒性薬、医薬品および/または抗体もしくは抗体分子と(ストレプトアビジンのコア領域またはポリヒスチジンタグなどの)他の分子との会合を媒介できるタンパク質もしくはペプチドなどの1つ以上の分子要素に、(化学的共役、遺伝子的融合、非共有結合または他のやり方によって)機能的に連結することができる。
【0120】
誘導体化した抗体の1つのタイプは、(例えば、二重特異的な抗体を作成する、同じタイプまたは異なるタイプの)2つ以上の抗体と架橋結合することによって生成する。適したクロスリンカーは、適切なスペーサーによって明瞭に分離される2つの反応基を有するヘテロ二重機能的(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)またはホモ二重機能的(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)なものが挙げられる。かかるリンカーは、Pierce Chemical Company、ロックフォード、IL.から入手することができる。
【0121】
本発明の抗体または抗体部分を誘導体化できる有用な検出可能な薬剤は、蛍光性化合物を含む。典型的な検出可能な蛍光性薬剤には、フルオレセン、フルオレセンイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルフォニルクロリド、フィコエリトリンなどが挙げられる。抗体は、アルカリンホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの検出可能な酵素で誘導体化することもできる。抗体を検出可能な酵素で誘導体化するとき、それは、酵素が検出可能な反応産物の生成に使用する追加の試薬を添加することによって検出することができる。例えば、検出可能な薬剤の西洋ワサビペルオキシダーゼが存在するとき、過酸化水素およびジアミノベンジジンの添加により、検出可能な有色の反応生成物がもたらされる。抗体は、ビオチンを用いて誘導体化することもでき、アビジンまたはスプレプトアビジン結合の直接的な測定によって検出することもできる。
【0122】
7.医薬組成物
本発明の抗体および抗体部分は、患者への投与に適した医薬組成物中に組み込むことができる。典型的に、医薬組成物は、本発明の抗体または抗体部分および薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される担体」は、生理的に適合性のある任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される担体の例には、1つ以上の水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなどおよびこれらの組合せが挙げられる。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えばマンニトール、ソルビトールなどの糖、多価アルコールまたは塩化ナトリウムを含むことが望ましい。薬学的に許容される担体は、抗体または抗体部分の有効期間または効果を増強させる、少量の湿潤剤または乳化剤などの補助物質、保存剤またはバッファーをさらに含むことができる。
【0123】
本発明の抗体および抗体部分は、非経口投与に適した医薬組成物中に組み込むことができる。抗体または抗体部分は、例えば、0.1−250mg/mLの抗体を含む注射可能な溶液として調製することができる。注射可能な溶液は、フリントまたはアンバーバイアル中の液体または凍結乾燥型投与形態、アンプルまたは事前に満たしたシリンジのいずれかから構成することができる。バッファーは、pH5.0から7.0(最適はpH6.0)のL−ヒスチジンおよそ1−50mM(最適は5−10mM)であってよい。他の適したバッファーには、これに限定されないが、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムが挙げられる。塩化ナトリウムは、0−300mMの濃度(最適は液体型投与形態について150mM)で、溶液の毒性を修正するために使用することができる。抗凍結剤は、凍結乾燥型投与形態について、主に0−10%のスクロース(最適は0.5−1.0%)を含むことができる。他の適した抗凍結剤には、トレハロースおよびラクトースが挙げられる。バルク剤は、凍結乾燥型投与形態について、主に1−10%のマンニトール(最適は24%)を含むことができる。安定化剤は、液体および凍結乾燥型投与形態の両方で使用でき、主に1−50mMのL−メチオニン(最適は5−10mM)である。他の適したバルク剤には、グリシン、アルギニンが挙げられ、0−0.05%のポリソルベート80(最適は0.005−0.01%)として含むことができる。追加の界面活性剤には、これに限定されないが、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が挙げられる。
【0124】
1つの態様では、医薬組成物は、約0.01mg/kg−10mg/kgの投薬量で抗体を含む。別の態様では、抗体の投薬量には、1週間おきの投与でおよそ1mg/kgまたは毎週の投与でおよそ0.3mg/kgが挙げられる。当業者は、患者への投与のために適切な投薬量および投与計画を突き止めることができる。
【0125】
本発明の組成物は、様々な形態であってよい。これらには、例えば、液体溶液(例えば、注射および注入可能な溶液)、分散剤または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソームおよび坐薬などの液体、半固体および固体の投与形態が挙げられる。形態は、例えば目的とする投与様式および治療の適用に依存する。典型的な組成物は、他の抗体によるヒトの受動免疫化に使用するものと同様の組成物などの、注射および注入可能な溶液の形態である。1つの投与様式は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。1つの態様では、抗体は、静脈内注射または注入によって投与する。別の態様では、抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与する。
【0126】
治療用組成物は、典型的に、製品および貯蔵の条件下で無菌および安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、分散剤、リポソームまたは高い薬物濃度に適した他の整った構造として処方することができる。無菌の注射可能な溶液は、適切な溶媒中で必要とされる量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)に、上記に列挙される成分の1つまたは組合せを組み込むことによって調製することができ、必要に応じて、続いて濾過滅菌する。一般的に、分散剤は、基本的な分散剤媒体および上記の列挙からの必要とされる他の成分を含む無菌媒介物中に、活性化合物を組み込むことによって調製する。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌の凍結乾燥した粉末の場合、調製方法は、前に滅菌濾過したその溶液から、活性成分の粉末に加えて任意の追加の所望の成分を生成する、真空乾燥および噴霧乾燥である。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散剤の場合に必要とされる粒子サイズの維持および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射可能な組成物の遷延性吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアレート塩およびゼラチンを含むことによってもたらすことができる。
【0127】
本発明の抗体および抗体部分は、当技術分野で既知の様々な方法によって投与することができ、投与の1つの経路/様式は、皮下注射、静脈内注射または注入である。当業者に理解されるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に依存して変わる。ある種の実施形態では、活性化合物は、移植、経皮パッチおよびマイクロカプセル化した送達系が挙げられる放出調節した製剤などの、迅速な放出に対して化合物を保護する担体とともに調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤を調製するための多くの方法は、特許を取られている、または一般的に当業者に既知である。例えば、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson、編、Marcel Dekker社、New York、1978を参照されたい。
【0128】
ある種の態様では、本発明の抗体または抗体部分は、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体を用いて、経口的に投与することができる。化合物(および所望されれば他の成分)は、錠剤中に圧縮したまたは患者の食事の中に直接組み込んだ硬いまたは柔らかいゼラチンシェル中に封入することもできる。経口の治療用投与のために、組成物は、賦形剤とともに組み込むことができ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハーなどの形態で使用することができる。非経口投与以外によって本発明の化合物を投与するために、その不活性化を防ぐ物質で化合物をコートするまたはそれと化合物とを共投与することが必要になり得る。
【0129】
補充的な活性化合物も、組成物中に組み込むことができる。ある種の態様では、本発明の抗体または抗体部分は、IL−18活性が有害である障害を治療するのに有用である1つ以上の追加の治療剤と共処方および/または共投与する。例えば、本発明の抗hIL−18抗体または抗体部分は、他の標的と結合する1つ以上の追加の抗体(例えば、他のサイトカインと結合するまたは細胞表面分子と結合する抗体)と共処方および/または共投与することができる。さらに、本発明の1つ以上の抗体は、2つ以上の前述の治療剤と組み合わせて使用することができる。かかる組合せ治療は、より低い投薬量の投与される治療剤を好都合に利用することができ、したがって可能性のある毒性または様々な単独治療に関連する合併症を回避することができる。本発明の抗体を、組合せ治療の一部として使用するとき、抗体を単独で患者に投与するときより、低い投薬量の抗体を所望することができることは当業者に理解される(例えば、相乗的な治療効果が、組合せ治療の使用によって達成でき、順により低い用量の抗体の使用により、所望の治療効果の達成が可能になる)。
【0130】
本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、かかる疾患を治療するために、単独でまたは組み合わせて使用することができる。本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、単独でまたは追加の薬剤、例えば治療剤と組み合わせて使用でき、前記追加の薬剤が、その意図する目的のために当業者によって選択されることを理解されたい。例えば、追加の薬剤は、本発明の抗体によって治療する疾患または状態を治療するのに有用であると当技術分野で認識されている治療剤であってよい。追加の薬剤は、治療用組成物に有益な貢献をもたらす薬剤、例えば、組成物の粘性に影響する薬剤であってもよい。
【0131】
本発明内に含まれ得る組合せが、それらの意図する目的に有用なそれらの組合せであることもさらに理解されたい。以下に示される薬剤は例示であり、限定することを意図していない。本発明の一部である組合せは、本発明の抗体および以下のリストから選択される少なくとも1つの追加の薬剤であってよい。組合せは、1つ以上の追加の薬剤、例えば、形成される組成物がその意図される機能を果たせるような組合せであれば、2または3つの追加の薬剤を含むこともできる。
【0132】
いくつかの組合せは、イブプロフェン様薬物を含むNSAIDSともいわれる非ステロイド性抗炎症薬(複数可)である。他の組合せは、プレドニゾロンを含む副腎皮質ステロイドであり、よく知られているステロイド使用の副作用は、本発明の抗IL−18抗体と組み合わせて患者を治療するときに必要とされるステロイド用量を減らすことによって、低下または排除することさえできる。本発明の抗体または抗体部分と組み合わせることができる、関節リウマチ用の治療剤の非限定的な例には、次のもの:サイトカイン抑制性抗炎症薬(複数可)(CSAID);他のヒトサイトカインまたは増殖因子、例えば、TNF、LT、IL−I、IL−2、IL−6、IL−7、IL−8、IL−15、IL−16、IL−18、EMAP−II、GM−CSF、FGFおよびPDGFに対する抗体またはこのアンタゴニストが挙げられる。本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、CD2、CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD90またはCD154を含むそれらのリガンド(gp39またはCD40L)などの細胞表面分子に対する抗体と組み合わせることができる。
【0133】
治療剤のいくつかの組合せは、自己免疫および続く炎症カスケードにおける異なる時点で干渉でき、例にはTNFアンタゴニスト様キメラ、ヒト化またはヒトTNF抗体、D2E7、(その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる、1996年2月9日に出願された米国出願第08/599,226号明細書)、cA2(Remicade(商標))、CDP571、抗TNF抗体フラグメント(例えばCDP870)および可溶性p55またはp75TNF受容体、その誘導体、すなわちp75TNFRIgG(Enbrel(商標))またはp55TNFR1gG(Lenercept)、可溶性IL−13受容体(sIL−13)およびTNFα変換酵素(TACE)阻害剤も挙げられ、同様にIL−1阻害剤(例えば、Vx740またはIL−1RAなどのインターロイキン1変換酵素阻害剤)は、同じ理由から効果的であり得る。他の組合せは、インターロイキン11、抗P7およびpセレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)を含む。さらなる他の組合せは、IL−12の機能に平行、依存または協調して働き得る自己免疫応答の他のキープレーヤーを含む。IL−12およびIL−18は、オーバーラップを有するが、両方に対するアンタゴニストの異なる機能および組合せは、もっとも効果的であり得ることが示された。さらなる別の組合せは、非枯渇性抗CD4阻害剤を含む。さらなる他の組合せは、抗体、可溶性受容体またはアンタゴニストのリガンドを含む、同時刺激経路CD80(B7.1)またはCD86(B7.2)のアンタゴニストを含む。
【0134】
本発明の抗体またはこの抗原結合部分は、メトトレキサート、6−MP、アザチオプリンスルファサラジン、メサラジン、オルサラジンクロロキニン/ヒドロキシクロロキン、ペンシルアミン、金チオリンゴ酸(筋肉内および経口)、アザチオプリン、コチシン、副腎皮質ステロイド(経口、吸入および局所注射)、β−2アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、テルブタリン、サルメテラル)、キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン)、クロモグリク酸、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトロピウムおよびオキシトロピウム、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノレートモフェチル、レフルノミド、NSAIDs、例えば、イブプロフェン、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、アデンソシンアゴニスト、抗血栓薬、補体阻害薬、アドレナリン系薬剤、TNFαまたはIL−1などの炎症誘発性サイトカインによってシグナル伝達に干渉する薬剤(例えばIRAK、NIK、IKK、p38またはMAPキナーゼ阻害剤)、IL−1β変換酵素阻害剤(例えばVx740)、抗P7、pセレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤、キナーゼ阻害剤などのT細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体およびその誘導体(例えば、可溶性p55またはp75TNF受容体および誘導体p75TNFRIgG(Enbrel.TM.)およびp55TNFRIgG(Lenercept)、sIL−1RI、sIL−1RII、sIL−6R、可溶性IL−13受容体(sIL−13))および抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13およびTGFβ)などの薬剤と組み合わせることができる。いくつかの組合せは、メトトレキサートまたはレフルノミドを含み、中等度または重度の関節リウマチの場合、シクロスプリンを含む。IL−18抗体と組み合わせて使用できる他の薬剤は、COX−2阻害剤である。COX−2阻害剤は当技術分野で既知である。特異的COX−2阻害剤は、WO01/00229に開示されており、その全体の教示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
本発明の医薬組成物は、本発明の抗体または抗体部分の「治療的有効量」または「予防的有効量」を含むことができる。「治療的有効量」とは、所望の治療結果を達成するために必要な投薬量および期間での効果的な量をいう。抗体または抗体部分の治療的有効量は、病態、年齢、性別および個人の体重などの因子ならびに個人において所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力によって変えることができる。治療的有効量は、抗体または抗体部分の任意の毒性または有害な効果より、治療的に有益な効果が勝るものでもある。「予防的有効量」とは、所望の予防効果を達成するために必要な投薬量および期間での効果的な量をいう。典型的に、予防的用量は、疾患の初期段階より前またはそのときに患者において使用し、予防的有効量は、治療的有効量より少なくなる。
【0136】
活性タンパク質(複数可)の治療的有効量は、抗IL−18抗体のタイプ、IL−18に対する抗体の親和性、抗体により示される任意の残留毒性活性、投与経路、患者の臨床状態(内在性IL−18活性の非毒性レベルの維持の望ましさを含む)を含む、多くの変数の関数である。
【0137】
「治療的有効量」は、投与したときに、IL−18阻害剤が、IL−18の生物活性の阻害をもたらすほどの量である。単一以上用量として、個人に投与する投薬量は、IL−18阻害剤の薬物動態的特性、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康、大きさ)、症状の程度、併用治療、治療の頻度ならびに所望の効果を含む様々な因子に依存して変わる。確立された投薬量の範囲の調整および操作は、十分に当業者の能力内であり、個人においてIL−18の阻害を決定するインビトロおよびインビボの方法も同様である。
【0138】
投薬計画は、最適な所望の応答(例えば、治療または予防の応答)をもたらすように調整することができる。例えば、単回ボーラスを投与でき、いくつかの分割した用量を経時的に投与でき、または治療状況の緊急性が示されるとき、用量を比例的に減少または増加させることができる。各投与についての投薬単位形態および投与の均一性において、非経口組成物を処方することは特に好都合である。本明細書で使用するとき、投薬単位形態とは、治療する哺乳動物の患者に対する単一の投薬量として適した、物理的に別々の単位をいい、各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果をもたらすために計算された、活性化合物の所定の量を含む。本発明の投薬単位形態に関する規格は、(a)活性化合物の独特の特徴および達成すべき特定の治療または予防効果ならびに(b)個人における感受性の治療のための、かかる活性化合物の配合の当技術分野における固有の制限によって決定され、およびこれに直接依存する。
【0139】
本発明の抗体または抗体部分の治療的または予防的有効量に関する典型的な非限定的範囲は、0.01−20mg/kgまたは1−10mg/kgまたは0.3−1mg/kgである。投薬量の値が、緩和すべき状態のタイプおよび重症度とともに変わり得ることに注目されたい。任意の特定の患者に関する具体的な投与計画は、個人の必要性および投与するまたは組成物の投与を監督する人の専門的な判断に従って、経時的に調整されるべきであり、本明細書に示される投薬量の範囲は、単に模範例であり、特許請求される組成物の範囲または実行を制限することを意図しないことをさらに理解されたい。
【0140】
8.抗IL−18抗体の使用
8.1 一般的な使用
IL−18に結合するそれらの能力を所与とし、本発明の抗IL−18抗体またはこの部分は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または組織の免疫組織化学などの従来のイムノアッセイを用いて、(例えば、試料母体、1つの態様では血清または血漿などの生物試料中の)IL−18、1つの態様ではhIL−18を検出するために使用することができる。本発明は、本発明の抗体または抗体部分と試料を接触させるステップおよびIL−18に結合した抗体(もしくはは抗体部分)または結合していない抗体(もしくは抗体部分)のいずれかを検出し、それによって試料中のIL−18を検出するステップを含む、生物試料中のIL−18を検出するための方法を提供する。抗体は、検出可能な物質で直接または間接的に標識し、結合したまたは結合していない抗体の検出を促進する。適した検出可能な物質には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質および放射性物質が挙げられる。適した酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリンホスファターゼ、βガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、適した補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ、適した蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセン、フルオレセンイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ、発光物質の例には、ルミノールが挙げられ、適した放射性物質の例には、125I、131I、35SまたはHが挙げられる。試料中のIL−18の検出は、診断状況、例えば、増加したIL−18に関連する状態の診断に有用であり得、および/または抗IL−18抗体での治療から恩恵を受け得る患者を同定するのに有用であり得る。
【0141】
抗体の標識の代替として、例えば、検出可能な物質で標識したrhIL−18基準物質および標識していない抗hIL−18抗体などの抗IL−18抗体を利用して、競合的イムノアッセイによって試料中でIL−18をアッセイすることができる。このアッセイにおいて、試料、標識rhIL−18標準物質および抗hIL−18抗体を組合せ、非標識抗体に結合した標識rhIL−18標準物質の量を決定する。試料中のhIL−18の量は、抗hIL−18抗体に結合した標識rhIL−18標準物質の量に反比例する。
【0142】
本発明の抗体および抗体部分は、インビトロおよびインビボでのIL−18活性、1つの態様ではhIL−18活性を中和することができる。したがって、本発明の抗体および抗体部分は、例えば、IL−18を含む細胞培養物中、ヒト患者中または本発明の抗体が架橋反応するIL−18を有する他の哺乳動物患者(例えば、ヒヒ、カニクイザルおよびアカゲザルなどの霊長類)中で、IL−18活性を阻害するために使用することができる。1つの態様では、本発明は、ヒトIL−18ならびにヒヒIL−18、マーモセットIL−18、チンパンジーIL−18、カニクイザルIL−18およびアカゲザルIL−18から成る群から選択される少なくとも1つの追加の霊長類IL−18の活性を中和するが、マウスIL−18の活性は中和しない、単離されたヒト抗体またはこの抗体結合部分を提供する。1つの態様では、IL−18は、ヒトIL−18である。例えば、hIL−18を含むまたは含む疑いのある細胞培養物中で、本発明の抗体または抗体部分を培養液に添加し、培養物中のhIL−18活性を阻害することができる。
【0143】
別の態様では、本発明は、IL−18活性が有害である障害に苦しむ患者において、IL−18活性を阻害するための方法を提供する。インターロイキン18は、免疫および炎症の要素に関わる様々な疾患に関連する病理において、重要な役割を果たす。
【0144】
本明細書で使用するとき、表現「IL−18活性が有害である障害」は、障害に苦しむ患者においてIL−18の存在が、障害または障害の悪化に寄与する因子のいずれかの病態生理の原因であることが示された、またはその疑いがある疾患および他の障害を含むことを意図する。したがって、IL−18活性が有害である障害は、IL−18活性の阻害により、障害の症状および/または進行が緩和することが期待される障害である。かかる障害は、例えば、障害に苦しむ患者の体液中のIL−18濃度の増加(例えば、患者の血清、血漿、滑液などにおけるIL−18濃度の増加)によって証明でき、例えば、上記のような抗IL−18抗体を用いて検出することができる。IL−18活性が有害である障害の例は多数ある。1つの態様では、抗体またはこの抗原結合部分は、本明細書に記載の疾患または障害を扱う治療に使用することができる。別の態様では、抗体またはこの抗原結合部分は、本明細書に記載の疾患または障害を治療するための医薬品の製造に使用することができる。数種の非限定的で具体的な疾患の治療における本発明の抗体および抗体部分の使用は、以下にさらに議論する。
【0145】
本発明は、IL−18活性の調節を必要とする疾患または状態の治療のための医薬組成物を提供する。これらの疾患または状態には、自己免疫疾患、I型糖尿病、関節リウマチ、移植片拒絶、炎症性腸疾患、敗血症、多発性硬化症、虚血性心疾患(心臓発作を含む)、虚血性脳障害、慢性肝炎、乾癬、慢性膵炎、急性膵炎などが挙げられる。
【0146】
したがって、抗IL−18抗体もしくはその抗原結合部分またはインビボでそれを発現するベクターは、過剰なIL−18を引き起こすIL−18の異常な発現があるまたは外因的に投与されたIL−18による合併症の場合の自己免疫疾患、I型糖尿病、関節リウマチ、移植片拒絶、炎症性腸疾患、敗血症、多発性硬化症、心臓発作を含む虚血性心疾患、虚血性脳障害、慢性肝炎、乾癬、慢性膵炎および急性膵炎ならびに同様の疾患の治療のために必要である。
【0147】
8.2 肝損傷における使用
本発明の1つの態様は、肝損傷の治療および/または予防のための新規の手段を提供する。IL−18阻害剤は、肝傷害の予防および治療に効果的であることが見出された。本発明は、したがって肝損傷の治療および/または予防用薬剤を製造するためのIL−18阻害剤の使用にも関する。より具体的には、本発明は、アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎、免疫性肝炎、劇症肝炎、肝硬変および原発性胆汁性肝硬変により引き起こされる肝損傷の治療および/または予防に関する。
【0148】
8.3 関節炎における治療
IL−18の阻害剤は関節炎の治療に効果的であることも、本発明にしたがって見出された。治療効果には、疾患の重症度の低下および疾患の拡張の予防が挙げられる。本発明は、したがって関節炎の治療および/または予防のためのIL−18の阻害剤の使用に関する。上記に概説した当技術分野の状況から、関節炎に関与する1つの具体的な因子、すなわちインターロイキンIL−18の遮断が、関節炎の緩和または罹患した関節部の治癒さえ引き起こし得ると結論付けられなかったため、この発見は予想外である。
【0149】
用語「関節炎」は、例えばDepartment of Orthopaedics of the University of Washington on Arthritisのホームページに規定されるような、関節炎の異なる全タイプおよび関節炎の状態、急性および慢性両方の関節炎を含む。関節炎の状態についての例は、強直性脊椎炎、背部痛、手根沈着症候群(carpal deposition syndrome)、エーラーダンロス症候群、痛風、若年性関節炎、エリテマトーデス、筋炎、骨形成不全症、骨粗鬆症、多発性関節炎(polyartheritis)、多発性筋炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、強皮症、腸疾患を伴う関節炎、ベーチェット病、子供の関節炎、変性関節疾患、線維筋痛症、感染性関節炎、ライム病、マルファン症候群、骨関節炎、骨壊死、パジェット病、リウマチ性多発筋痛症、偽痛風、反射性交感神経性ジストロフィー、関節リウマチ、リウマチ、シェーグレン症候群、家族性大腸腺腫症などである。
【0150】
関節リウマチ(RA)は、関節部の裏打ち(滑膜、1層の細胞層上皮)および/または内臓に炎症を引き起こす。この疾患は長年持続する傾向があり、典型的には身体中の多くの異なる関節部に影響を及ぼし、最終的に、軟骨、骨、腱および靭帯に傷害をもたらし得る。RAによる影響を受け得る関節部は、例えば、首、肩、肘、臀部、手首、手、膝、足首および足に位置する関節部である。多くの場合、関節部は、RAにおいて対照的なパターンの炎症性である。
【0151】
RAは、合衆国の人口の約1%に蔓延し、全民族および年齢内に分布する。それは全世界中で起こり、RAを有するヒトのうち女性の数が男性を3対1で上回る。
【0152】
IL−18阻害剤の投与により、関節炎のマウスモデルにおいて軟骨びらんが顕著に減少することが見出された。本発明は、したがって軟骨破壊の治療および/または予防のための薬剤の製造におけるIL−18阻害剤の使用にも関する。
【実施例】
【0153】
IL−18抗体の単離および精製
この実施例は、宿主細胞タンパク質(HCP)および他の不純物から抗IL−18抗体を精製する1つの計画を提供する。本精製工程を概説するフロー図を図1に示す。
【0154】
1.1 酸性化による清澄化を用いる一次回収
遠心分離による一次回収を、3000Lの産生バイオリアクター収集物から細胞および細胞残骸を除去するために使用した。遠心分離機は、30L/分の供給速度で6900×gで実行し、清澄化した上澄みを、事前に滅菌した3000Lの収集タンク中に収集した。低pH酸性化ステップの目的は、外来性ウイルスの不活性化および続く陽イオン捕獲クロマトグラフィステップのための培養上清の調製である。遠心分離して清澄化した収集物を、3Mのクエン酸を用いてpH3.5±0.1に調整し、20℃で1時間そのpHで維持した。次いで、清澄化した収集物を、3MのNaOHを用いてpH4.9±0.1に調整し、8℃で16−24時間維持した。pH調整した収集物を20℃に戻し、次いで30L/分の供給速度で12,750×gで遠心分離することによって清澄化し、上清を2000Lのタンク中に収集した。陽イオン交換クロマトグラフィの前に、清澄化した収集物を、通常の孔径0.2−0.8μmの深層フィルターおよび0.22μmの親水性フィルターカートリッジを含むフィルタートレインに通した。遠心分離、低pH処理および再遠心分離についての結果を表2に示す。ステップの収率は、69±6%(n=7)であった。
【0155】
【表2】

【0156】
1.2 陽イオン交換クロマトグラフィ
IL−18抗体を、陽イオン交換クロマトグラフィによって、清澄化した収集物から捕獲した。さらに、工程関連不純物(例えば、宿主細胞タンパク質、DNAおよび他の工程関連不純物)をプロセスストリームから除去した。直径80cm×長さ20cmのカラム(ベッドボリューム101L)をこの操作に使用した。カラムにFtactogel(商標)S樹脂(EMD Industries、ギブスタウン、NJ)で充填し、非対称および理論段相当高さ(HETP)を、充填の質を決定するために測定した。このカラムの操作は外気温であった。
【0157】
カラムを、pH5の、20mMのクエン酸Na/クエン酸バッファー、65mMのNaClを用いて平衡化した。深層濾過物を、9±0.5mS/cmに伝導率を低下させるために水で希釈し、180cm/時の線速度で負荷した。このクロマトグラフィステップの最大負荷を、樹脂1リットルにつきタンパク質27gで設定した。カラムを、次いで200cm/時の線速度で平衡バッファーを用いて洗浄してベースラインにした。125cm/時の線速度で、pH5の、20mMのクエン酸Na/クエン酸バッファー、300mMのNaClで、産物を溶出した。吸光度がOD3.0(A280)以上に上昇したときにカラム溶出液を収集し、ピークが終わるにつれて吸光度がOD2.0に減少するまで続けた。プールした物質を、0.8μmのフィルターに続いて0.2μmのフィルターに通して濾過した。陽イオン交換クロマトグラフィについての結果を表3に示す。ステップの収率は88±6%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は98.29±0.52%の単量体(n=7)であった。
【0158】
【表3】

【0159】
1.3 限界濾過/透析濾過
Fractogel(商標)S溶出液の濃縮を、30kDの分子量カットオフ(MWCO)再生酢酸セルロース限界濾過メンブレンカートリッジを用いて行った(総面積7平方メートル)。溶出液の限界濾過を、30g/Lの最終標的濃度まで濃縮した。濃縮物を、次いでpH7の、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、150mMのNaClの6容量を用いて透析濾過した。
【0160】
UF系は、次いで産物を排出し、透析濾過バッファーでリンスして系に維持された産物を回収した。濃縮および洗浄を組み合わせて、透析濾過したIL−18抗体を生成した。濃縮したFractogel(商標)SO溶出液を、貯蔵タンク中に0.2μmですぐに濾過し、処理を再開する準備ができるまで8℃で維持した。Fractogel(商標)S溶出液の濃縮についての結果は表4に示す。ステップは88±7%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は97.67±0.59%の単量体(n=7)であった。
【0161】
【表4】

【0162】
1.4 陰イオン交換クロマトグラフィ
陰イオン交換クロマトグラフィにより、DNA、ウイルスおよびエンドトキシンなどの工程関連不純物が減少する。直径45cm×長さ30cmのカラム(ベッドボリューム48L)をこの操作に使用した。カラムにQ Sepharose(商標)FF樹脂(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を充填し、非対称およびHETPを、充填の質を決定するために測定した。希釈した物質を、近くの可動性ステンレススチールタンク中に収集し、12℃で操作したClass 10,000精製スーツに移した。
【0163】
この操作は12℃で行った。樹脂の平衡化は、pH8の、25mMのトロラミン、40mMのNaClを用いて遂行した。このクロマトグラフィステップについての最大タンパク質負荷は、樹脂1リットルにつきタンパク質60グラムで設定した。希釈し、濾過し、ウイルス不活性化した物質を、Q Sepharose(商標)FFカラム負荷と名付けた。工程関連不純物を樹脂に吸着させ、抗体をカラムに通して流す。Fractogel(商標)S溶出液の濃縮物を、2容量のQ Sepharose(商標)カラム負荷平衡液(pH8の50mMのトロラミン)で希釈し、カラム上に負荷した。カラムの負荷は150cm/時で行い、A280が0.4OD以上に上昇したときに、カラムのフロースルーを収集した。次いでカラムを平衡バッファーで洗浄し、A280が0.6のODに戻るまで洗浄物を収集した。フロースルーおよび洗浄を組み合わせて、溶出液産物プールを形成した。陰イオン交換クロマトグラフィについての結果は表5に示す。ステップの収率は92±4%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は99.04±0.51%の単量体(n=7)であった。
【0164】
【表5】

【0165】
1.5 疎水性相互作用クロマトグラフィ
疎水性相互作用クロマトグラフィにより、抗体凝集体および工程関連不純物が除去される。直径45cm×長さ15cmのカラム(ベッドボリューム24L)をこの操作に使用した。カラムにPhenyl Sepharose(商標)HP樹脂(GE Healthcare、Piscatway、NJ)を充填し、非対称およびHETPを、充填の質を決定するために測定した。このユニットの操作も、class 10,000精製スーツにおいて12℃で行った。
【0166】
この操作を12℃で行った。樹脂の平衡化は、pH7の、20mMのリン酸ナトリウム、1.1Mの硫酸アンモニウムで遂行した。このステップについての最大タンパク質負荷は、樹脂1リットルにつきタンパク質40グラムで設定した。カラムの負荷は、75cm/時で行った。Q Sepharose(商標)FTWを、pH7の同等量の40mMのリン酸ナトリウム、2.2Mの硫酸アンモニウムで希釈し、混合して0.2μmで濾過した。負荷に続いて、カラムをpH7の20mMのリン酸ナトリウム、1.1Mの(NHSOで洗浄した。38cm/時の線速度で、pH7の9mMのリン酸ナトリウム、0.3Mの硫酸アンモニウムを用いてステップ塩勾配を行うことにより、産物を溶出した。吸光度がA280で1.0OD以上に上昇したときに産物を収集し、ピークが終わるにつれて吸光度が4.0ODに減少するまで続けた。1または2サイクルが、Q Sepharose(商標)FTWの完全なバッチを処理するために必要であった。疎水性相互作用クロマトグラフィについての結果は表6に示す。ステップの収率は97±4%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は99.30±0.55%の単量体(n=7)であった。
【0167】
【表6】

【0168】
1.6 ウイルス濾過
Ultipor DV50(商標)ナノ濾過ステップにより、Phenyl Sepharose(商標)HPカラム溶出液中に存在し得る直径≧50nmの外来性ウイルスが除去される。この操作は12℃で行った。Phenyl Sepharose(商標)HPカラム溶出液を0.1μmで濾過し、事前に湿潤した10”Ultipor DV50(商標)フィルター(Pall Filtron、ノースボロー、MA)に35psigで通した。フィルターを、次いでPhenyl Sepharose(商標)HPカラム溶出バッファーで流し、フィルターハウジング中に保持された任意の抗IL−18抗体を除去した。Ultipor DV50(商標)濾過物を、近くの可動性ステンレススチールタンク中に10−14℃で貯蔵した。DV50(商標)ナノ濾過についての結果は表7に示す。ステップの収率は96±4%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は99.51±0.26%の単量体(n=7)であった。
【0169】
【表7】

【0170】
1.7 最終限界濾過/透析濾過
UF/DFステップは、IL−18抗体の濃縮であり、硫酸アンモニウムの除去および処方バッファー中への抗体のダイアフィルターである。Milliporeの30kDの分子量カットオフ(MWCO)再生セルロース限界濾過メンブレンカートリッジ(7平方メートル)をこのステップに使用した。このステップは12℃で行う。Ultipor DV50(商標)ナノ濾過物を、およそ65g/Lタンパク質に濃縮した。次いで、最小8容量の処方バッファーを用いる連続的透析濾過を行った。UF/DF系は、次いで産物を排出し、透析濾過バッファーでリンスして系に維持された産物を回収した。濃縮および洗浄を組み合わせて、透析濾過した抗体を生成した。次いで抗体試料を、Millipak Opticap(商標)10”フィルター(0.7平方メートル)に0.2μmで通した。限界濾過/透析濾過操作の結果は表8に示す。ステップの収率は96±4%(n=7)であり、SEC HPLCによる純度は99.51±0.26%の単量体(n=7)であった。
【0171】
【表8】

【0172】
1.8 最終濾過、瓶詰めおよび凍結
処方した抗体を、2LのPETG容器中に0.2μmで濾過し、−80℃(名目上)で凍結した。限界濾過/透析濾過操作の結果は表9に示す。ステップの収率は96±4%(n=7)であった。
【0173】
【表9】

【0174】
2.抗IL−18抗体組成物における宿主細胞タンパク質濃度の決定
この手順では、抗IL−18抗体試料中の残留宿主細胞タンパク質濃度を決定するための試験方法論を記載する。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用して、特異抗体の2つの層の間に宿主細胞タンパク質(抗原)をサンドイッチする。これに続いて、カゼインを用いて非特異的部位をブロックする。宿主細胞タンパク質を、次いで抗原分子が一次抗体に捕獲される間、温置する(抗原のコーティング)。抗原(宿主細胞タンパク質)に固定する二次抗体(ビオチン化した抗宿主細胞タンパク質)を次いで添加する。ビオチン化抗宿主細胞タンパク質に結合するHRPコンジュゲート型ニュートラアビジンを添加する。これに続いてKブルーサブストレートを添加する。青色を生成する発色性基質を、結合した酵素コンジュゲート型抗体によって加水分解する。色を黄色に変える2MのHPOで反応を止める。色の強度は、ウェル中の結合した抗原の量に直接的に比例する。
【0175】
pH9.4の50mMの重炭酸ナトリウム(コーティングバッファー)の調製。1Lのビーカーに、900mLのMilli−Qウォーター;4.20g±0.01gの重炭酸ナトリウムを添加する。完全に溶解するまで撹拌する。1NのNaOHでpH9.4まで調整する。1Lのメスフラスコに移行し、Milli−Qウォーターで体積を増やす。均一になるまで逆回転により混合する。0.22μmの無菌フィルターユニットに通して濾過する。調製の日から最大7日間、名目上4℃で貯蔵する。
【0176】
0.104MのNaHPO7HO、1.37MのNaCl、0.027MのKCl、0.0176MのKHPO、pH=6.8−6.9(10×PBS)の調製。およそ400mLのMilli−Qウォーターをガラスビーカーに添加する。13.94g±0.01gのNaHPO×7HOを添加する。40.0g±0.1gのNaClを添加する。1.00g±0.01gのKClを添加する。1.20g±0.01gのKHPOを添加する。均一になるまで撹拌する。500mLのメスフラスコに移行する。Milli−QウォーターでQSを500mLの体積にする。逆回転により混合する。0.2μmの無菌フィルターユニットに通して濾過する。室温で最大7日間貯蔵する。
【0177】
1×PBS+0.1%のトリトンX−100、pH7.40(プレート洗浄バッファー)の調製。4Lのメスシリンダー中で、400mLの10×PBS(ステップ5.2)と3500mLのMilli−Qウォーターを混合する。pHを確認し、必要に応じて1NのHClまたは1NのNaOHで7.40±0.05に調整する。Milli−Qウォーターで体積を増やす。シリンダーをパラフィルムできつく覆い、均一になるまで逆回転により混合する。4Lのボトルに移行する。4mLの1×PBSを除去し、捨てる。4mLのトリトンX−100を3996mLの1×PBSに添加する。撹拌プレート上に置き、完全に溶解するように撹拌する。希釈バッファーの調製に必要な量のプレート洗浄バッファーを、0.22μmの無菌フィルターユニットに通して濾過する。最大7日間、室温で貯蔵する。
【0178】
コーティング抗体混合物:アフィニティ精製したヤギ抗CHO599/626/748(ロット#G11201@1.534mg/mL)の調製。注意:バイアル中で名目上−80℃で貯蔵した貯蔵物である。アリコートを調製する。使用時に1プレートにつき1アリコート取り出す。使用する前にすぐに、次のように冷たい50mMの重炭酸ナトリウム中で最終濃度4μg/mLになるように抗体混合物を希釈する。例えば、31μLのコーティング抗体混合物を11969μLの冷たいコーティングバッファーに添加する。逆回転により穏やかに混合する。
【0179】
ビオチン化ヤギ抗宿主細胞タンパク質混合物、599/626/748(ロット#G11202@0.822mg/mL)の調製。注意:バイアル中で名目上−80℃で貯蔵した貯蔵物である。アリコートを調製する。使用時に1プレートにつき1アリコート取り出す。使用する前にすぐに、次のように37℃±2℃のカゼイン中で最終濃度1μg/mLになるようにビオチン化抗体混合物を希釈する。例えば、14.6μLのビオチン化抗体混合物を11985μLの37℃±2℃のカゼインに添加する。逆回転により穏やかに混合する。
【0180】
ニュートラアビジン−HRPの調製。次のように新しいロット(2mg/バイアル)を1mg/mLに再構築する。400μLのMilli−Qウォーターをバイアルに添加し、次いで1600μLの1×PBSを添加し、全体で2mLにする。混合するために穏やかにボルテックスする。名目上−20℃で貯蔵する。1プレートにつき1アリコートを使用できるように、所望の体積のアリコートを調製する。ポリプロピレンチューブ中で調製する。新しいロットを限定して作業用濃度を決定する。調製の日から6カ月の終了を指定する。例えば、作業用濃度が0.2μg/mLと決定されれば、次のように調製する。使用する前にすぐに、室温でニュートラアビジン−HRPのアリコートを解凍する。1mg/mLのニュートラアビジン溶液を37℃±2℃のカゼインで0.1mg/mL(100μg/mL)に希釈する。例えば、×10希釈し、50μLのニュートラアビジンを450μLのカゼインに添加する。混合するために穏やかにボルテックスルする。100μg/mL溶液を37℃±2℃のカゼインで0.2μg/mLにさらに希釈する。例えば、×500希釈し、24μLのニュートラアビジン(100μg/mL)を11976μLのカゼインに添加する。混合するために穏やかにボルテックスする。
【0181】
5.72Mのリン酸(停止液)の調製。次のように濃縮したリン酸から2Mのリン酸溶液を調製する。ラベル上に提示された%リン酸、密度(1.685g/mL)および式量(98g/モル)から、2Mのリン酸500mLを調製するのに必要な濃縮したリン酸の体積を計算する。上記で計算した濃縮したリン酸の体積をフラスコに添加する。Milli−Qウォーターで体積を増やし、均一になるまで逆回転により混合する。調製の日から最大6カ月間、外気温で貯蔵する。
【0182】
希釈溶液(pH7.4の1×PBS+0.1%トリトンX100中で×100希釈したカゼイン)の調製。(上記から得た)pH7.4の0.22μmの滅菌濾過した1×PBS+0.1%トリトンX100中で37℃±2℃のカゼインX100を希釈する。例えば、1mLの37℃±2℃のカゼインを99mLの0.22μmの滅菌濾過した1×PBS+0.1%トリトンX100、pH7.4に添加する。ウェルを混合する。各使用について新鮮に調製する。
【0183】
標準物質の調製。宿主細胞タンパク質標準物質(抗原標準物質)(ロット#G11203@1.218mg/mL)。注意:70μLアリコート中で名目上−80℃で貯蔵した貯蔵物である。室温でアリコートを解凍する。希釈バッファーを用いて、ポリプロピレンチューブ中で連続希釈を行う。
【0184】
試料の調製。ポリプロピレンチューブにおいて、希釈バッファー中で最終バルク試料を24mg/mLに希釈する。濃度を記録する。注意:スパイクした試料の調製および以下に参照の12mg/mLの溶液の調製のために以下の溶液を使用する。ポリプロピレンマイクロチューブにおいて、希釈バッファー中で24mg/mLの溶液を12mg/mLにさらに希釈する。全部で6ウェルについて、プレート上に12mg/mLの各溶液をトリプリケートでウェルに負荷する。
【0185】
スパイクの調製。ポリプロピレンマイクロチューブにおいて、希釈バッファーで2X希釈することによって、上記で調製した20ng/mLの標準物質から10ng/mLの宿主細胞タンパク質スパイクを調製する。10ng/mLのスパイク溶液をプレート上の3ウェルに負荷する。スパイク試料について、ステップ6.1から得た20ng/mLの標準溶液を使用する。
【0186】
スパイクした試料の調製。ポリプロピレンマイクロチューブにおいて、24mg/mLの各最終バルク溶液300μLを、300μLの20ng/mLのスパイク溶液(6.1)でスパイクする。全部で6ウェルについて、スパイクした各試料溶液をトリプリケートでウェルに負荷する。
【0187】
対照の調製。対照の範囲は、通例の試験で使用する前に、新しい対照貯蔵溶液ごとに設定しなければならない。対照貯蔵物は、150μLのアリコートのバッチのABT−874薬物濃度を調製し、最大3年間、名目上−80℃で凍結貯蔵する。
【0188】
作業用対照の調製。対照のアリコートを室温で解凍する。ポリプロピレンチューブ中で、希釈バッファーで対照を24mg/mLに希釈する。ポリプロピレンマイクロチューブ中で、24mg/mLの対照溶液を希釈バッファーで12mg/mLにさらに希釈する。単一の希釈液を調製し、プレートの3ウェル中に対照を負荷する。
【0189】
ELISAの手順。プレート洗浄ボトルをプレート洗浄バッファーで満たす(ステップ5.3を参照されたい。1×PBS+0.1%トリトンX−100)。プレートウォッシャーを用意する。次のパラメータを確認する。パラメータは、プレートタイプ:各サイクルについて1(全部で5サイクル)、体積:400μl、浸漬時間:10秒、Asp.時間:4秒に設定すべきである。
【0190】
アッセイの手順。冷たい50mMの重炭酸ナトリウム中の4μg/mLのヤギコーティング抗体混合物を100μL/ウェルでプレートにコートする。コーティング溶液が、ウェルの底を均一に覆うまで、プレートの側面をたたき、密封テープで覆い、プレートシェーカー(または同等物)上で、18時間±1時間、スピード3で振動させながら、名目上4℃で温置する。一晩中温置した後、冷蔵庫からプレートを取り出し、室温に平衡化することができる。コーティングを振り落とす。ペーパータオル上でプレートをブロットする。300μL/ウェルの37℃±2℃のカゼインでブロックし、密封テープで覆い、Lab−line Environプレートシェーカー(または同等物)上で80rpm±5rpmで1時間、振動させながら、37℃±2℃で温置する。ブロッキング温置の間、標準物質、試料、対照、スパイクおよびスパイクした試料を調製する。洗浄バッファーで5回プレートを洗浄する。ペーパータオル上でプレートをブロットする。8チャンネルピペットを用いて、100μL/ウェルの標準物質、試料、スパイク、スパイクした試料およびコントロールを、プレートのトリプリケートのウェル中にピペットで入れる。100μL/ウェルの希釈バッファーを、プレートの全て空のウェル中にピペットで入れ、ブランクとして役立てる。密封テープで覆い、Lab−line Environプレートシェーカー(または同等物)上で80rpm±5rpmで1時間、振動させながら、37℃±2℃で温置する。鋳型を記入し、プレートに負荷するときにガイドとして使用する。
【0191】
プレートリーダーの設定。標準物質についての濃度を入力してテンプレートを設定する。試料、対照、スパイクまたはスパイクした試料についての希釈因子は入力しない。全ウェルから差し引く、ブランクとしての希釈液を含むウェルを指定する。プレートを洗浄バッファーで5回洗浄する。ペーパータオル上でプレートをブロットする。100μL/ウェルのビオチン化ヤギ抗体を添加する。密封テープで覆い、Lab−line Environプレートシェーカー(または同等物)上で80rpm±5rpmで1時間、振動させながら、37℃±2℃で温置する。プレートを洗浄バッファーで5回洗浄する。ペータータオル上でプレートをブロットする。100μL/ウェルのニュートラアビジン−HRPコンジュゲート溶液を添加する。密封テープで覆い、Lab−line Environプレートシェーカー(または同等物)上で80rpm±5rpmで1時間、振動させながら、37℃±2℃で温置する。プレートを洗浄バッファーで5回洗浄する。ペーパータオル上でプレートをブロットする。100μL/ウェルの冷たいKブルーサブストレートを添加し、密封テープで覆い、Lab−lineタイタープレートシェーカー(または同等物)上でスピード3で振動させながら、室温で10分間温置する(基質を最初の列に添加したらすぐにタイマーを開始する)。100μL/ウェルの2Mのリン酸を添加することによって反応を停止させる(ステップ5.7)。スピード3で3−5分間プレートシェーカー上にプレートを置く。450nmでプレートを読み込む。
【0192】
データ解析および計算。注意:光学密度が標準曲線の実際的な定量化の限界内に入り、後述の%CVまたは%差の基準を満たす、試料、スパイク、スパイクした試料および対照のみが許容可能である。試料のODが、2.5ng/mLの標準物質より下に入れば、結果は2.5ng/mL以下として報告すべきである。この値を次いで希釈した試料濃度(12mg/mL)で割って、ng/mgでの値を報告すべきである。上記の標準曲線となる非スパイクおよび/またはスパイクした試料を引き起こす宿主細胞濃度において試料が高ければ、>100ng/mLとして値を報告する。この値を次いで希釈した試料濃度(12mg/mL)で割って、ng/mgでの値を報告すべきである。試料が、2.5ng/mLの標準物質より下であるとき、スパイクリカバリー計算について試料の値をゼロと考える。
【0193】
標準曲線。標準物質の濃度は、プロトコールのテンプレート中に入力すべきである。二次曲線適合を用いる。決定係数は=0.99でなければならず、トリプリケートのウェル間の%CVは=20%でなければならない。この基準が満たされなければ、1つの標準物質(1つの濃度、3ウェル)を滴下することができる。1.25ng/mLを滴下すれば、光学密度が2.5ng/mL内に入る、および100ng/mL(維持標準曲線の点)の光学密度である試料およびスパイクした試料のみが許容可能である。さらに、各標準物質の濃度のトリプリケートについて、単一のウェルが明らかに汚染されているまたは低い結合性を示す場合、それを滴下することができる。標準物質の濃度でウェルに滴下すれば、維持複写は%差=20%をもたなければならない。プレートのバックグラウンド(ブランク)に近いOD値を示すもっとも低い標準物質についての%CVは、=30%であるべきである。1つのウェルに滴下すれば、維持複写の%差は=35%であるはずである。もっとも低い標準物質を滴下すれば、光学密度が維持標準曲線レベル光学密度内に入る試料およびスパイクした試料のみが許容可能である。
【0194】
試料。%CVは、トリプリケートのウェル間で=20%であるべきである。トリプリケートのウェル間の%CVを報告する。各試料希釈からの1つのウェルを滴下することができる。維持複写は=20%の%差をもたなければならない。注意:非スパイクの試料のODが、2.5ng/mLの標準物質のODより下であれば、%差の基準は、非スパイクの結果に適用しない。上記の計算を参照する。ng/mgにおける実際の宿主細胞濃度を、次のように平均(ng/mL)値から計算する:CHO宿主細胞タンパク質(ng/mg)=平均の「非スパイクの試料の結果(ng/mL)」_希釈した試料濃度(12mg/mL)。
【0195】
スパイク。%CVは、トリプリケートのウェル間で=20%であるべきである。%CVを報告する。スパイクからの1つのウェルを滴下することができる。維持点は%差=20%でなければならない。上記の計算を参照する。ng/mLにおける宿主細胞濃度を報告する。この結果は、スパイクリカバリー計算に使用する。スパイクについての結果の濃度(ng/mL)は、理論上のスパイクの濃度の±20%でなければならない。結果を報告し合否を示す。スパイクの結果が、理論上の20%以内でなければ、アッセイは繰り返さなければならない。平均のスパイク濃度(ng/mL)×100は、=100%±20% 10ng/mLでなければならない。
【0196】
スパイクした試料。%CVは、トリプリケートのウェル間で=20%であるべきである。トリプリケートのウェル間の%CVを報告する。スパイクした各試料希釈からの1つのウェルを滴下することができる。維持複写は、%差=20%をもたなければならない。上記の計算を参照する。各希釈についてng/mLで「スパイクした試料の結果」を報告する。デュプリケートの希釈物間での%差を報告する。希釈物間の%差は=25%でなければならない。これらの結果はスパイクリカバリー計算に使用する。以下の式を用いて、各希釈物セットについて%スパイクリカバリーを計算する:%スパイクリカバリー=スパイクした試料の値−非スパイクの試料の値×100スパイクの値。(1)非スパイク試料の値のODが、2.5ng/mLの標準物質より下に入れば、%スパイクリカバリー計算においてゼロと値を考えることに注目する。%スパイクリカバリーは、各試料の各希釈について、100%±50%(50%−150%)でなければならない。結果および合否を報告する。
【0197】
対照。%CVは、トリプリケートのウェル間で=20%であるべきである。%CV結果を報告する。対照からの1つのウェルを滴下することができる。維持複写は%差=20%をもたなければならない。上記の計算を参照する。ng/mLにおける対照での宿主細胞濃度を報告する。次のようにng/mgでの宿主細胞濃度を計算する:宿主細胞タンパク質(ng/mg)=ng/mLでの対照の宿主細胞タンパク質の結果。
【0198】
様々な文献が本明細書に引用され、その内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体および少なくとも1つの宿主細胞タンパク質(HCP)を含む試料混合物からHCP減少型IL−18抗体調製物を生成するための方法であって、
(a)試料母体をpHの低下に供して一次回収試料を形成するステップであり、前記pHの低下が約3.0から約4.0の間であるステップ、
(b)前記一次回収試料を約4.5から約5.5の間のpHに調整し、続いて前記一次回収試料をイオン交換樹脂に通し、イオン交換試料を収集するステップ、ならびに
(c)前記イオン交換試料を疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)樹脂に通し、HIC試料を収集するステップであり、前記HIC試料が前記HCP減少型抗体調製物を含むステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記pHの低下が、適した酸と前記試料混合物とを混合することによって達成され、ならびに前記適した酸が、クエン酸、酢酸、カプリル酸などから成る群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記イオン交換樹脂が、陰イオン交換樹脂または陽イオン交換樹脂のいずれかである、請求項1の方法。
【請求項4】
前記イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である、請求項3の方法。
【請求項5】
前記陽イオン交換樹脂が、Fractogel、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、リン酸(P)およびスルホン酸(S)から成る群から選択される、請求項4の方法。
【請求項6】
前記陽イオン交換樹脂がFractogelである、請求項5の方法。
【請求項7】
前記イオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂である、請求項3の方法。
【請求項8】
前記陰イオン交換樹脂が、Q Sepharose、ジエチルアミノエチル(DEAE)、4級アミノエチル(QAE)および4級アミン(Q)基から成る群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
前記陰イオン交換樹脂がQ Sepharoseである、請求項8の方法。
【請求項10】
前記イオン交換ステップが、第1のイオン交換ステップおよび第2のイオン交換ステップを含む、請求項1の方法。
【請求項11】
前記第1のイオン交換ステップが陽イオン交換ステップであり、第2の陰イオン交換ステップが続く、請求項10の方法。
【請求項12】
前記第1および前記第2のイオン交換ステップの間に起こる濾過ステップである中間ステップをさらに含む、請求項10の方法。
【請求項13】
前記濾過ステップが、捕獲限界濾過/透析濾過によって達成される、請求項12の方法。
【請求項14】
前記HICが、1つ以上の疎水基を含むカラムを用いて達成される、請求項1の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の疎水基が、アルキル基、アリル基およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項14の方法。
【請求項16】
前記カラムが、Phenyl Sepharose(Phenyl Sepharose(商標)6 Fast Flowカラム、Phenyl Sepharose(商標)High Performanceカラムなど)、Octyl Sepharose(商標)High Performanceカラム、Fractogel(商標)EMD Propyl、Fractogel(商標)EMD Phenylカラム、Macro−Prep(商標)Methyl、Macro−Prep(商標)t−Butyl Supports、WP HI−Propyl(C)(商標)カラムおよびToyopearl(商標)エーテル、フェニルまたはブチルカラムから成る群から選択される、請求項14の方法。
【請求項17】
前記カラムがPhenyl Sepharoseを含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記HIC試料を濾過に供してウイルス粒子を除去し、バッファー交換を促進させる、濾過ステップをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項19】
前記HCP減少型抗体調製物が、抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を含む、請求項1の方法。
【請求項20】
前記抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分が、ヒト化抗体、キメラ抗体または多価抗体である、請求項19の方法。
【請求項21】
前記抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分がヒト化抗体である、請求項20の方法。
【請求項22】
前記抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分が、共に表面プラズモン共鳴による測定にて約1.34×10−4M以下のK速度定数および約0.1s−1以下のKoff速度定数でヒトIL−18から解離する単離されたヒト抗体である、請求項20の方法。
【請求項23】
前記抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分が、インビボおよびインビトロの両方でIL−18を中和する、請求項19の方法。
【請求項24】
前記調製物がHCPを実質的に含まない、請求項1の方法。
【請求項25】
抗体および少なくとも1つの宿主細胞タンパク質(HCP)を含む試料混合物からHCP減少型抗体調製物を生成するための方法であって、
(a)試料母体をpHの低下に供して一次回収試料を形成するステップであり、前記pHの低下が約3.0から約4.0の間であるステップ、
(b)前記一次回収試料を約4.5から約5.5の間のpHに調整し、続いて前記一次回収試料を陽イオン交換樹脂に通し、陽イオン交換試料を収集するステップ、
(c)前記陽イオン交換試料を陰イオン交換樹脂に通し、陰イオン交換試料を収集するステップ、ならびに
(d)前記陰イオン交換試料を疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)樹脂に通し、HIC試料を収集するステップであり、前記HIC試料が、前記HCP減少型抗体調製物を含むステップ
を含む、方法。
【請求項26】
抗体および少なくとも1つの宿主細胞タンパク質(HCP)を含む試料混合物からHCP減少型抗体調製物を生成するための方法であって、
(a)試料母体をpHの低下に供して一次回収試料を形成するステップであり、前記pHの低下が約3.0から約4.0の間であるステップ、
(b)前記一次回収試料を約4.5から約5.5の間のpHに調整し、続いて前記一次回収試料を陽イオン交換樹脂に通し、陽イオン交換試料を収集するステップ、
(c)前記陽イオン交換試料を濾過に供し、濾過物を収集するステップ、
(d)(c)からの前記濾過物を陰イオン交換樹脂に通し、陰イオン交換試料を収集するステップ、ならびに
(e)前記陰イオン交換試料を疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)樹脂に通し、HIC試料を収集するステップであり、前記HIC試料が、前記HCP減少型抗体調製物を含むステップ
を含む、方法。
【請求項27】
請求項1の方法によって生成されるHCP減少型抗体調製物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項28】
前記抗体が、抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分である、請求項27の医薬組成物。
【請求項29】
HCPを実質的に含まない、請求項27の医薬組成物。
【請求項30】
IL−18によって促進される障害を中和するために使用される、請求項27の医薬組成物。
【請求項31】
前記障害が、自己免疫疾患、I型糖尿病、関節炎、関節リウマチ、移植片拒絶、炎症性腸疾患、敗血症、多発性硬化症、虚血性心疾患(心臓発作を含む)、虚血性脳障害、慢性肝炎、乾癬、慢性膵炎、急性膵炎、アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎、免疫性肝炎、劇症肝炎、肝硬変および原発性胆汁性肝硬変から成る群から選択される、請求項30の医薬組成物。
【請求項32】
前記関節炎が、強直性脊椎炎、背部痛、手根沈着症候群、エーラーダンロス症候群、痛風、若年性関節炎、エリテマトーデス、筋炎、骨形成不全症、骨粗鬆症、多発性関節炎(polyartheritis)、多発性筋炎、乾癬性関節炎、ライター症候群、強皮症、腸疾患を伴う関節炎、ベーチェット病、子供の関節炎、変性関節疾患、線維筋痛症、感染性関節炎、ライム病、マルファン症候群、骨関節炎、骨壊死、パジェット病、リウマチ性多発筋痛症、偽痛風、反射性交感神経性ジストロフィー、関節リウマチ、リウマチ、シェーグレン症候群、家族性大腸腺腫症などから成る群から選択される、請求項31の医薬組成物。
【請求項33】
非ステロイド性またはステロイド性抗炎症薬をさらに含む、請求項27の医薬組成物。
【請求項34】
非ステロイド性抗炎症薬を含む、請求項33の医薬組成物。
【請求項35】
前記非ステロイド性抗炎症薬が、イブプロフェン、副腎皮質ステロイド、プレドニゾロンなどから成る群から選択される、請求項34の医薬組成物。
【請求項36】
ステロイド性抗炎症薬を含む、請求項33の医薬組成物。
【請求項37】
1つ以上の他の抗体またはこの抗原結合部分をさらに含む、請求項27の医薬組成物。
【請求項38】
医薬品をさらに含む、請求項27の医薬組成物。
【請求項39】
前記医薬品が、メトトレキサート、6−MP、アザチオプリンスルファサラジン、メサラジン、オルサラジンクロロキニン/ヒドロキシクロロキン、ペンシルアミン、金チオリンゴ酸、アザチオプリン、コチシン、副腎皮質ステロイド、β−2アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、テルブタリン、サルメテラル)、キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン)、クロモグリク酸、ネドクロミル、ケトチフェン、イプラトロピウムおよびオキシトロピウム、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノレートモフェチル、レフルノミド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、アデンソシンアゴニスト、抗血栓薬、補体阻害薬、アドレナリン系薬剤、TNFαまたはIL−1などの炎症誘発性サイトカインによってシグナル伝達に干渉する薬剤(例えばIRAK、NIK、IKK、p38またはMAPキナーゼ阻害剤)、IL−1β変換酵素阻害剤(例えばVx740)、抗P7、pセレクチン糖タンパク質リガンド(PSGL)、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤、キナーゼ阻害剤などのT細胞シグナル伝達阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、スルファサラジン、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体およびその誘導体(例えば、可溶性p55またはp75TNF受容体および誘導体p75TNFRIgG(Enbrel(商標))およびp55TNFRIgG(Lenercept)、sIL−1RI、sIL−1RII、sIL−6R、可溶性IL−13受容体(sIL−13))および抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13およびTGFβ)から成る群から選択される、請求項38の医薬組成物。
【請求項40】
前記HCP減少型抗体調製物が、1つ以上の抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を含み、ならびに標識される、請求項1、25および26の方法。
【請求項41】
前記標識が放射性である、請求項40の方法。
【請求項42】
前記放射性標識が、125I、131I、35SおよびHから成る群から選択される、請求項41の方法。
【請求項43】
前記標識が非放射性である、請求項40の方法。
【請求項44】
前記HCP減少型抗体調製物が、1つ以上の抗IL−18抗体またはこの抗原結合部分を含み、ならびにペグ化される、請求項1、25および26の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−506239(P2012−506239A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532330(P2011−532330)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/061326
【国際公開番号】WO2010/048183
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】