説明

IPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握方法、装置及びそのプログラム

【課題】IPネットワークのダイナミック・ルーティングにおいて、一時的に通信不能となったり、完全に通信が途絶えたりした場合であっても、End−to−Endの通信経路を容易かつ即座に把握する。
【解決手段】ダイナミック・ルーティングを採用しているネットワーク上で、各ノードが持つ情報を収集して解析することにより、End−to−Endの通信経路を論理的なパスとして管理し、各パスの始端ノードおよび終端ノードから最新のルーティング情報を取得することにより、そのパス上の通信状況を正確かつ容易に把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握方法、装置及びそのプログラムに関し、特に、障害の発生したノードを検出するIPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握方法、その装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイナミック・ルーティングを採用しているIPネットワークのなかでも、特にダイナミック・ルーティングを採用しているネットワークにつき、以下図3を参照して説明する。
【0003】
従来、IPネットワークでは、様々な冗長構成をとることにより信頼性を高めており、その上でEnd−to−Endの通信を実現している。
【0004】
この点、IPネットワークのなかでも、ダイナミック・ルーティングを採用しているネットワーク上では、基本的に冗長構成による複数の迂回経路を用意しておくことが前提である。そして、当該ネットワーク上で構成ノードの障害発生などが起きた場合は、End−to−Endの通信経路が自動的に当該障害発生の起きた構成ノードを迂回するようになっている。
【0005】
また、ダイナミック・ルーティングを採用しているネットワーク上での通信経路は、通常はノードのコンフィギュレーションにて設定されたインタフェースのコスト値に基づいて一意に決まることが原則である。しかし時として、ノード、リンクの障害やネットワークの構成変更に伴って当該ネットワーク上での通信経路が変更されることがある(例えば特許文献1)。
【0006】
そして、上記のネットワーク上での通信経路が切り替わる際にはルーティング情報の交換処理(アドバタイジング)が落ち着くまでは一時的に通信不能となる。又、複数箇所の障害や計画停止が重なって生じた場合には、例え様々な冗長構成をとっていたとしても完全に通信経路が途絶えたりする可能性もある(例えば特許文献2)。
【0007】
このようなノード、リンクの障害やネットワークの構成変更に伴ってネットワーク上での通信経路が変更される場合に、特に大規模なネットワークでは正確な経路を把握することが困難である。なぜならば、その状況を把握するためには各ノードのコンフィギュレーションを解析し、時間をかけてアドバタイジング動作のシミュレーションを実施することが必要だが、この際にネットワークの規模が大きければ大きいほど、ノードの絶対数も増えることとなる。そしてそれに伴い各ノードのコンフィギュレーションを解析するために必要な時間も増大することとなるからである。
【特許文献1】特開2006−074310号公報
【特許文献2】特開平10−285207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように従来のダイナミック・ルーティングを採用しているネットワーク上におけるEnd−to−Endの通信経路を把握する方法は、構成ノードのコンフィギュレーションを解析して得られた各方路のコスト値から論理的に求める方法である。
【0009】
この点、当該方法で求めることができるのは、あくまで理論上の値なので、実際のネットワークの状況とは同期ずれが発生する可能性がある。
【0010】
また、上述のように、障害発生時による通信経路の変化を把握するためには、構成ノードのコンフィギュレーションから障害箇所を想定したアドバタイジング動作のシミュレーションを実施することになるため、大規模なネットワークでは非常に時間がかかってしまう。
【0011】
他方、近年は、コスト削減に向けて自営網内の通信に比較的低コストなIPネットワークを導入するケースが増加している。当該IPネットワークは、高信頼性が要求されるより重要な情報についての、ネットワークの手段の対象としても検討されている。
【0012】
しかし、上述のようにダイナミック・ルーティングでは信頼性が低いため、重要な通信についてはせめてEnd−to−Endの通信経路を把握して、一時的に通信不能となったり、完全に通信が途絶えたりしたことを、容易かつ即座に把握する方法が望まれている。
【0013】
そこで、本発明は、一時的に通信不能となったり、完全に通信が途絶えたりした場合であっても、End−to−Endの通信経路を容易かつ即座に把握する方法、そのシステム及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、IPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握方法であって、パス情報に基づいて始端ノード及び終端ノードを特定するステップと、当該始端ノード又は終端ノードからルーティングテーブル情報を取得するステップと、当該取得したルーティングテーブル情報に基づき、前記始端ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側のノードに隣接するノードを特定するネクストホップ特定ステップと、当該特定されたネクストホップのノード情報を格納する経路情報格納ステップと、前記ネクストホップ特定ステップ及び経路情報格納ステップを、前記ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側ではないノードに到達するまで反復するステップとを備えることを特徴とする経路把握方法、その装置及びそのプログラムが提供される。
【0015】
上記の経路把握方法であって、ネットワーク上で経路情報に変更があった際には、該変更に基づく情報を取得するステップと、当該取得した変更に基づく情報と、前記取得した経路情報に基づき影響を受けたパスを抽出するステップとを更に備えることを特徴とするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、IPネットワーク上のルーティングにおける始端から終端までの通信経路を迅速に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の最良の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
なお、以下でL2とは、Datalink・layerのことを指す。ここで、Datalink・layerとはOSI参照モデルにおける第2層に位置するデータ通信モデルのことを言う。
【0019】
また、以下でL3とは、Network・layerのことを指す。ここで、Network・layerとはOSI参照モデルにおける第3層に位置するデータ通信モデルのことを言う。
[実施形態1]
(実施形態1−1)実施形態の構成
本発明の実施形態の構成について図1、図4、図5及び図6を参照して詳細に説明する。なお、図2は、本発明の概念図である。本発明の実施形態は、パス情報管理部10と、Telnet取得処理部20と、ルーティングテーブル解析処理部30と、経路情報記憶部40と、ネットワークアドレス/管理用IPアドレス情報管理部50と、リンク接続情報管理部60と、ノード判別情報管理部70と、マップ表示処理部80と、故障情報管理部90と、ネットワーク構成変更情報管理部100と、影響パス抽出処理部110と、タイマー処理部120と、パス一覧表示処理部130とを備える。
【0020】
パス情報管理部10とは、管理する全てのパスを対象として、当該管理対象パスを構成する始端L3ノードと終端L3ノードのIPアドレス情報とサブネットマスク情報を管理する部分である。
【0021】
Telnet取得処理部20とは、L3ノードに対してTelnetログインを実施して、ルーティング情報を取得する機能を有する部分である。
【0022】
ルーティングテーブル解析処理部30は、前記の取得したルーティング情報からDestination(到達先)アドレスの抽出を行う機能及びネクストホップの情報を解析する機能を有する部分である。
【0023】
経路情報記憶部40は、任意にあるいは定期的に、管理対象となる全てのパスの始端から終端までの通信経路(L2ノード、L3ノード及びそのインタフェース)情報を格納し、保持する。
【0024】
ネットワークアドレス/管理用IPアドレス情報管理部50とは、ノードがコンフィグ情報として保持する管理用IPアドレス、インタフェースのアドレスについて、ノードを単位とし、ノードごとに管理しているものである。
【0025】
リンク接続情報管理部60とは、L2ノード、L3ノードといった物理インタフェース単位のノード間の接続情報を保持するものである。ノード判別情報管理部70とは、あるノードがL2ノードかL3ノードかを識別する情報である。マップ表示処理部80とは、経路情報をマップ画面に表示する部分である。
【0026】
故障情報管理部90とは、ネットワーク上の各ノードから直接受信すること、または外部SNMPマネージャから転送されることにより、発生したノードあるいはインタフェースの最新の障害情報を管理する部分である。
【0027】
ネットワーク構成変更情報管理部100とは、外部SNMPマネージャなどで新たにノードやインタフェースを検出したなどの通知を受けそれを管理する部分である。すなわちネットワーク構成の最新の変更情報を把握、管理する部分である。
【0028】
影響パス抽出処理部110は障害が発生もしくは障害が復旧したノードやインタフェースを含む経路情報を検索する。そして、当該検索情報に基づき、切り替わりもしくは途絶が発生した可能性のあるパスを抽出する部分である。
【0029】
タイマー処理部120はネットワーク上で、通信障害が発生した場合にルーティングテーブルの収束完了までに要すると想定される時間を計測する部分である。パス一覧表示処理部130は、抽出された全てのパスについての通信状態を、パス一覧にて表示する部分である。
【0030】
以上、本発明は、上記10〜130の各情報部、管理部の組み合わせを備える。
(実施形態1−2)実施形態の動作
実施形態の動作について、図4、図5及び図6を用いて説明する。まず、指定されたパスについて、パス情報管理部10から始端となるL3ノードと終端となるL3ノードのIPアドレス、サブネットマスクを取得する(S10)。
【0031】
次に、上りの経路を調べるため、Telnet取得処理部20が始端ノードに対してTelnetログインし、当該Telnet取得処理部20にてコマンドを発行してルーティングテーブル情報を取得する(S20)。
【0032】
そして、ルーティングテーブル解析処理部30にて、前記取得したルーティングテーブル情報に記載の到達先(Destination)のネットワークアドレス中に、終端ノードの、IPアドレスとサブネットマスクから導いたネットワークアドレスが存在しているかを確認する。存在していなかった場合はパスが途絶していると判定し、マップ画面には何も表示しない。(S30)。
【0033】
一方、前記終端ノードのIPアドレスとサブネットマスクから導いたネットワークアドレスが存在していた場合は、経路情報記憶部40に始端ノードのIPアドレス(またはホスト名)を記録する(S40)。
【0034】
次にルーティングテーブル解析処理部30は、ルーティングテーブルから始端ノードの1番目のネクストホップとなるL3ノードのインタフェースアドレスを取得する(S50)。ここで、ネクストホップとは、終端ノードに到達するために次に中継すべきL3ノード(例えばルーター)のインタフェースアドレスのことを指す。
【0035】
更に、ルーティングテーブル解析処理部30にて、ネットワークアドレス/管理用IP情報管理部50から前記始端ノードの1番目のネクストホップとなるL3ノードのインタフェースアドレスを持つL3ノードに対応する管理用IPアドレスを取得する(S60)。加えて、ルーティングテーブル解析処理部30は、リンク接続情報管理部60を参照して、前記始端ノードの1番目のネクストホップとなるL3ノードのインタフェースアドレスが始端ノードの物理リンク情報の中に存在するか確認する(S70)。
【0036】
そして、存在しなかった場合は、始端ノードと前記1番目のネクストホップのL3ノードとの間にL2ノードがあると判定し、ノード判別情報管理部70を使って始端ノードの物理リンク情報の中にあるL2ノードだけを抽出する(S80)。
【0037】
さらに、ルーティングテーブル解析処理部30は、リンク接続情報管理部60を参照して、前記抽出したL2ノードの物理リンク情報の中に、前記1番目のネクストホップとなるL3ノードの管理用IPアドレスが存在するか確認する(S90)。
【0038】
存在しなかった場合は、1番目のネクストホップのL3ノードとの間にさらにL2ノードがあると判定し、ノード判別情報管理部70を使ってそのL2ノードの物理リンク情報の中にあるL2ノードだけを抽出し、1番目のネクストホップとなるL3ノードの管理用IPアドレスが見つかるまで同様の処理(上記S60、S70、S80及びS90)を繰り返し行う(S100)。
【0039】
前記の繰り返し処理を行った結果、L3ノードの管理用IPアドレスが見つかった場合は、始端ノード側のインタフェース名、それまでに経由した全ての隣接のL2ノードのIPアドレス(またはホスト名)、L2ノード側のインタフェース名と、L3ノードのIPアドレス(またはホスト名)、L3ノード側のインタフェース名を、経路情報記憶部40に記録する(S110)。
【0040】
以下の動作は、図6を参照して説明する。
【0041】
そして、L3ノードの管理用IPアドレスが、終端ノードの管理用IPアドレスと同一であるか確認する。ここで同一であった場合には経路探索は完了となる。一方、同一でなかった場合は、次にTelnet取得処理部20が、1番目のネクストホップのL3ノードに対してTelnetログインし、Telnet取得処理部20にてコマンドを発行してルーティングテーブル情報を取得する(S120)。
【0042】
次に、ルーティングテーブル解析処理部30にて、ルーティング情報の中の到達先(Destination)の中に、終端ノードのIPアドレスとサブネットマスクから導いたネットワークアドレスが存在しているかを確認し、当該1番目のネクストホップのネクストホップとなるL3ノード(すなわち、始端ノードからは2番目のネクストホップとなる。)のインタフェースアドレスを取得する(S130)。
【0043】
そして、当該取得したインタフェースアドレスに基づいて、ネットワークアドレス/管理用IP情報管理部50から当該取得したインタフェースアドレスを持つL3ノードの管理用IPアドレスを取得する(S140)。
【0044】
そのアドレスが終端ノードのアドレスではない場合は、リンク接続情報管理部60を参照して、1番目のL3ノードの物理リンク情報の中に2番目のL3ノードの物理リンクが存在するか確認する(S150)。存在しなかった場合は、前記S80と同様に、ネクストホップのL3ノードとの間にL2ノードがあると判定し、前記S80,S90,S100の手順を1番目のネクストホップのL3ノードに対して実施する。
【0045】
ネクストホップとなるL3ノード(始端ノードからは2番目のネクストホップとなるノード)の管理用IPアドレスが見つかるまで同様の処理を繰り返し行う点も同様である(S160)。
【0046】
上記手順を行った結果、前記1番目のネクストホップのネクストホップ(前記のように、始端ノードからは2番目のネクストホップ)のL3ノードの管理用IPアドレスが見つかった場合には、当該ネクストホップのL3ノード側のインタフェース名、それまでに経由した全ての隣接のL2ノードのIPアドレス(またはホスト名)、L2ノード側のインタフェース名と、L3ノードのIPアドレス(またはホスト名)、L3ノード側のインタフェース名を経路情報記憶部40に記録する(S170)。
【0047】
更に、前記1番目のネクストホップのネクストホップであるL3ノードの管理用IPアドレスが、終端ノードの管理用IPアドレスと同一であるか確認する(ここで同一となった場合には経路探索は完了となる)。一方、同一でない場合は、当該1番目のネクストホップのネクストホップであるL3ノードに対して、上記S130、S140、S150,S160、S170及びS180の手順を繰り返し実行する(S180)。
【0048】
次に、下りの経路を調べるため、Telnet取得処理部20が終端ノードに対してTelnetログインし、コマンドを発行してルーティングテーブル情報を取得し、ネクストホップのL3ノードの管理用IPアドレスが、始端ノードの管理用IPアドレスと同一になるまで、上記S130、S140、S150、S160、S170及びS180の手順を上り経路の探索と同様に実行する(S190)。
【0049】
上記の手段により、上りの経路及び下りの経路の経路探索が完了したら、マップ表示処理部80にてマップ画面上にパスの経路を表示する。
(実施形態1−3)実施形態1の第二の動作
実施形態1の第2の動作では、障害の影響を受けたパスを高速に抽出するための動作について説明する。説明にあたっては図7及び図8を参照する。
【0050】
まず、故障情報管理部90が、ネットワーク上で障害が発生したという情報をネットワーク上のノードまたはSNMPマネージャからTrapで受信する。また、ネットワーク構成変更情報管理部100は、ネットワーク構成変更情報を、手入力またはSNMPマネージャから入手する(S210)。
【0051】
次に、影響パス抽出処理部110が、障害の発生または、障害の復旧前に、経路情報記憶部40に記録しておいた経路情報に基づいて、障害が発生または復旧したノードやインタフェースを経路に含むパスを自動で検索する。そして、それら障害が発生または復旧したノードやインタフェースを経路に含むパスを、切り替わりまたは途絶が発生した可能性のあるパスとして抽出する(S220)。
【0052】
当該抽出されたパスは、切り替わりの可否に関わらず、ワーストケースでは数十秒間停止する。そこで、タイマー処理部120にてルーティングテーブルの収束完了までに要すると想定される時間(1分間程度)だけ待ち処理を行う(S230)。
【0053】
そして、Telnet取得処理部20が、前記抽出された各パスの始端ノードに対してTelnetログインし、Telnet取得処理部20にてコマンドを発行してルーティングテーブル情報を取得する(S240)。
【0054】
次に、ルーティングテーブル解析処理部30にて、ルーティング情報の中の到達先(Destination)の中に、終端ノードのIPアドレスとサブネットマスクから導いたネットワークアドレスが存在しているかを確認する。ここで、当該導いたネットワークアドレスが存在していた場合はパスが正常に切り替わったと判定する。一方、存在していなかった場合はパスが途絶したものと判定する(S250)。他のパスについても、順に上記S240及びS250を繰り返し、抽出された全てのパスの上りの経路についての通信状態を判定する(S260)。
【0055】
さらに、抽出されたパスのうち正常に切り替わったと判定されたものを対象として、再度、Telnet取得処理部20が当該対象となったパスの終端ノードに対してTelnetログインし、Telnet取得処理部20にてコマンドを発行してルーティングテーブル情報を取得する(S270)。
【0056】
また、ルーティングテーブル解析処理部30にて、ルーティング情報の中の到達先(Destination)の中に、始端ノードのIPアドレスとサブネットマスクから導いたネットワークアドレスが存在しているかを確認する。ここで、存在していた場合はパスが正常に切り替わったと判定し、存在していなかった場合はパスが途絶したと判定する(S280)。
【0057】
他のパスについても、順に上記S240及びS250を繰り返し、抽出された全てのパスの下りの経路についての通信状態を判定する(S290)。上記S250、S260、S280及びS290の結果に基づき、上りと下りの両方で正常に通信できているパスを正常と判定する。一方、上りと下りのどちらか片方でも途絶していたパスについては異常と判定する。そして、当該判定により抽出された全てのパスについての通信状態を、パス一覧表示処理部130にてパス一覧として表示する。
[実施形態2]
経路を探索している途中に、L2ノードによる冗長構成が存在していた場合の実施形態は以下となる。ここで、冗長構成の例としては、スパニングツリーやリング形式が挙げられる。なお、スパニングツリーやリング形式はあくまで例示であるので、構成としてこれに限定されるものではない。
【0058】
まず、冗長を構成するノードグループ内のマスターノードと冗長構成の種類を予めL2冗長構成情報として記録しておく。経路探索の途中にL2ノードを検出した場合、L2冗長構成情報からそのノードがどのような冗長構成に属しているかを確認し、当該冗長構成のマスターノードを取得する。
【0059】
更に、当該取得したマスターノードに対してTelnet取得処理部20が、Telnetログインし、冗長構成の種類に応じたコマンドを実行し、冗長構成の状態を取得する。そして、当該冗長構成の状態が正常であれば通常のリンクを使用していると判定し、異常であれば迂回側のリンクを使用していると判定する。
【0060】
更に、前記判定の結果使用していると判定されたリンクに対して、リンク接続情報から接続先のL2ノードを取得し、経路情報に蓄積する。
【0061】
上記手段を用いることにより蓄積された、当該経路情報を利用することにより、経路を探索している途中に、L2ノードによる冗長構成が存在していた場合であっても、現在使用している経路が通常のリンクか、迂回側のリンクかを判別し、把握することができる。これにより、上りと下りの両方での経路状態を確認するという目的を達成することができる。
【0062】
以上より、本発明によれば、ダイナミック・ルーティングを採用しているネットワーク上で、各ノードが持つ情報を収集して解析することにより、End−to−Endの通信経路を論理的なパスとして管理し、各パスの始端ノードおよび終端ノードから最新のルーティング情報を取得することにより、そのパス上の通信状況を正確かつ容易に把握することが可能となる。
【0063】
また、更に当該経路情報を定期的に収集、蓄積しておくことで、障害が発生したノードにより影響を受けたパスを高速に抽出することを可能とする。
【0064】
加えて、経路を探索している途中に、L2ノードによる冗長構成が存在していた場合であっても、L2冗長構成情報から当該冗長構成のマスターノードを取得し、更に当該冗長構成の状態を判定することにより、通常のリンク又は迂回側のリンクのいずれが現在利用されているのかが判断できる。よって、冗長構成が存在していない場合と同様に、そのパス上の通信状況を正確かつ容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の基本的構成を表す図である。
【図2】本発明の基本的構成を表す概念図である。
【図3】従来技術の経路把握方法を表す図である。
【図4】本発明の実施形態を説明するための動作図である。
【図5】本発明の実施形態を説明するための動作図である。
【図6】本発明の実施形態を説明するための動作図である。
【図7】本発明の実施形態を説明するための動作図である。
【図8】本発明の実施形態を説明するための動作図である。
【符号の説明】
【0066】
10 パス情報管理部
20 Telnet取得処理部
30 ルーティングテーブル解析処理部
40 経路情報記憶部
50 ネットワークアドレス/管理用IPアドレス情報管理部
60 リンク接続情報管理部
70 ノード判別情報管理部
80 マップ表示処理部
90 故障情報管理部
100 ネットワーク構成変更情報管理部
110 影響パス抽出処理部
120 タイマー処理部
130 パス一覧表示処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握方法であって、
パス情報に基づいて始端ノード及び終端ノードを特定するステップと、
当該始端ノード又は終端ノードからルーティングテーブル情報を取得するステップと、
当該取得したルーティングテーブル情報に基づき、前記始端ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側のノードに隣接するノードを特定するネクストホップ特定ステップと、
当該特定されたネクストホップのノード情報を格納する経路情報格納ステップと、
前記ネクストホップ特定ステップ及び経路情報格納ステップを、前記始端ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側ではないノードに到達するまで反復するステップと、
を備えることを特徴とする経路把握方法。
【請求項2】
請求項1に記載の経路把握方法であって、
前記経路情報格納ステップにおいて格納する経路情報は、経由するノード名、インタフェース名及び、IPアドレス又はホスト名であることを特徴とする経路把握方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の経路把握方法であって、
ネットワーク上で経路情報に変更があった際には、当該変更の生じた事実を知得するステップと、
当該知得した変更に基づく情報と、前記取得した経路情報とに基づき、当該変更のあったパスを抽出するステップとを更に備えることを特徴とする経路把握方法。
【請求項4】
請求項3に記載の経路把握方法であって、前記経路情報の変更は、ネットワーク上で障害の発生した場合又は障害が復旧した場合であることを特徴とする経路把握方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の経路把握方法であって、前記抽出された全てのパスの上り経路及び下り経路について通信状態を判定するステップと、
当該判定された通信状態を一覧として表示するステップとを更に備えることを特徴とする経路把握方法。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか1項に記載の経路把握方法であって、
当該経路把握方法実施時に、ネットワークに冗長構成が存在していた際は、予め当該冗長構成の種類及びマスターノードの情報を格納しておくステップと、
当該マスターノードにログインし、現時点での冗長構成の状態を確認する冗長構成状態把握ステップと、
を更に備えることを特徴とする経路把握方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の経路把握方法であって、前記ルーティングテーブル情報を取得するステップは、Telnet接続により前記始端ノード又は終端ノードにログインすることにより行われることを特徴とする経路把握方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の経路把握方法をIPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握装置に、実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
IPネットワーク上のダイナミック・ルーティングにおける経路把握装置であって、
パス情報に基づいて始端ノード及び終端ノードを特定する手段と、
当該始端ノード又は終端ノードからルーティングテーブル情報を取得する手段と、
当該取得したルーティングテーブル情報に基づき、前記始端ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側のノードに隣接するノードを特定するネクストホップ特定手段と、
当該特定されたネクストホップのノード情報を格納する経路情報格納手段と、
前記ネクストホップ特定手段及び経路情報格納手段を、前記始端ノード又は終端ノードのうち、ルーティングテーブル情報を取得した側ではないノードに到達するまで反復する手段と、
を備えることを特徴とする経路把握装置。
【請求項10】
請求項9に記載の経路把握装置であって、
前記経路情報格納手段において格納する経路情報は、経由するノード名、インタフェース名及び、IPアドレス又はホスト名であることを特徴とする経路把握装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の経路把握装置であって、
ネットワーク上で経路情報に変更があった際には、当該変更の生じた事実を知得する手段と、
当該知得した変更に基づく情報と、前記取得した経路情報とに基づき、当該変更を受けたパスを抽出する手段とを更に備えることを特徴とする経路把握装置。
【請求項12】
請求項11に記載の経路把握装置であって、前記経路情報の変更とは、ネットワーク上で障害の発生した場合又は障害が復旧した場合であることを特徴とする経路把握装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の経路把握装置であって、前記抽出された全てのパスの上り経路及び下り経路について通信状態を判定する手段と、
当該判定された通信状態を一覧として表示する手段とを更に備えることを特徴とする経路把握装置。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れか1項に記載の経路把握装置であって、
当該経路把握装置実施時に、ネットワークに冗長構成が存在していた際は、予め当該冗長構成の種類及びマスターノードの情報を格納しておく手段と、
当該マスターノードにログインし、現時点での冗長構成の状態を確認する冗長構成状態把握手段と、
を更に備えることを特徴とする経路把握装置。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れか1項に記載の経路把握装置であって、前記ルーティングテーブル情報を取得する手段は、Telnet接続により前記始端ノード又は終端ノードにログインすることにより行われることを特徴とする経路把握装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−187445(P2008−187445A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19200(P2007−19200)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】