説明

IP電話装置およびIP電話装置を用いた通信方法

【課題】IP電話装置において、発着信操作なしで使うことができ、かつ通信コストを抑制しつつも、必要なときに所望の通信品質で通信可能とする。
【解決手段】IP電話装置1A、1Bは、IP電話網2の通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIP電話サービスを利用して、常時接続により互いに通信する。また、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果を相手装置1B、1Aに送信するとともに、相手装置1B、1Aから相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果を受信し、自IP電話装置1A、1B近傍および相手装置1B、1A近傍の少なくとも一方に人がいる場合にのみ、通信モードをギャランティ型通信モードとし、それ以外は、通信モードを、ギャランティ型通信モードに比べて通信料金の安いベストエフォート型通信モードとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信モードを用いたIP電話技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ISDNを使ったテレビ会議通信装置が開示されている。このテレビ会議通信装置は、ユーザの操作に従い、2つのBチャネルを用いた通信モードおよび1つのBチャネルを用いた通信モードのいずれかに通信モードを切り替えて、映像および音声を相手装置と送受する。ユーザがモニタ画面に注視していない状況等では、2つのBチャネルを用いた場合に比べて画質が劣る1つのBチャネルを用いた通信モードに切り替えることより、通信コストの低減を図ることができる。
【0003】
また、特許文献2には、ベストエフォート型通信モードを使ったテレビ電話システムが開示されている。このテレビ電話システムにおいて、テレビ電話端末は、相手端末から受信した映像・音声データの出力方法を、相手端末との通信の通信品質(通信レート)に応じて変更する。例えば、通信品質が低い場合には、映像ノイズが目立たないようにするために画像表示サイズを小さくするとともに、音声劣化が目立たないようにするために音声出力をステレオ音声からモノラル音声に変更する。
【0004】
また、特許文献3には、プラント毎に、予測される異常の特性に応じて異常発生前後の映像を柔軟かつ効率的に記録する映像監視システムが開示されている。この映像監視システムは、プラントを撮影しているカメラからの映像等を解析処理して異常発生を自動検出し、モニタへの表示映像を異常発生場所のカメラ映像に切り替えるとともに、記録装置に記録するカメラ映像のフレームレートおよび解像度を異常発生前後で変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−289274号公報
【特許文献2】特開2006−222838号公報
【特許文献3】特開平10−294933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、高齢化社会が進み、一人暮らしのお年寄りが増加している。このようなお年寄りの一人暮らしをサポートする対策の一つとして、お年寄りの住まいをテレビ電話で家族、親族等の支援者の住まいに接続して、支援者がお年寄りの様子をモニタし、必要なときに声をかけたり、話し相手になったりするなど、あたかもお年寄りが支援者と同居しているような雰囲気を作り出すという取り組みが行われている。
【0007】
しかし、テレビ電話装置は、お年寄りにとってこれまで触れたことのない新しい装置であることが多い。一般に、お年寄りは、新しい装置の操作にとまどうことが多く、このため、お年寄りの住まいにテレビ電話装置を設置しても、使ってもらえない可能性がある。また、テレビ電話サービスを提供する通信事業者が従量制の通信料金体系を採用している場合、高い通信品質で長時間接続すると、膨大な通信コストがかかり、利用者の経済的な負担が大きい。上述の特許文献1乃至3に記載の技術は、これらの点を考慮していない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、IP電話装置において、発着信操作なしで使うことができ、かつ通信コストを抑制しつつも、必要なときに所望の通信品質で通信可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIP電話サービスを利用して、所定の相手装置と通信するIP電話装置において、相手装置との常時接続により、発着信操作なしで使えるようにした。また、IP電話装置に、自IP電話装置近傍の人検知結果を相手装置に送信するとともに、相手装置から相手装置近傍の人検知結果を受信する手段を設け、IP電話装置が、自IP電話装置近傍および相手装置近傍の人検知結果に基づいて、相手装置との通信モードをベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのいずれかに切り替えるようにした。
【0010】
例えば、本発明は、通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIP電話サービスを利用するIP電話装置であって、
前記IP電話サービスを利用して、所定の相手装置との間に、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのうち、予め定められた通信モードでセッションを確立して、当該相手装置と常時接続する常時接続手段と、
自IP電話装置近傍の人の有無を検知する人検知手段と、
前記相手装置に前記人検知手段の検知結果を送信するとともに、前記相手装置から当該相手装置近傍の人の有無の検知結果を受信する検知結果通信手段と、
前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果に基づいて、前記セッションの通信モードを決定する通信モード決定手段と、
前記通信モード決定手段により決定された通信モードが前記セッションの現行の通信モードと異なる場合に、当該セッションの通信モードを、前記通信モード決定手段により決定された通信モードへ変更する通信モード変更手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、IP電話装置が相手装置と常時接続するので、利用者は、相手装置の指定を伴う発信操作あるいは相手装置からの着信に対する応答操作を強いられることなくIP電話装置を使うことができる。また、IP電話装置近傍および相手装置近傍の人の有無で相手装置との通信モードを切替え、IP電話装置近傍および相手装置近傍の双方に人がいる場合にのみギャランティ型通信モードとし、それ以外はギャランティ型通信モードに比べて通信料金の安いベストエフォート型通信モードとすることにより、あるいは、少なくとも一方に人がいる場合にのみギャランティ型通信モードとし、それ以外はベストエフォート型通信モードとすることにより、通信コストを抑制しつつも、必要なときに、保証された通信品質で相手装置と通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るIPテレビ電話システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態に係るIPテレビ電話システムにおいて、IP電話装置1A、1Bがともにギャランティ優先モードに設定されている場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態に係るIPテレビ電話システムにおいて、IP電話装置1A、1Bがともにベストエフォート優先モードに設定されている場合の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図4】図4は、IP電話装置1A、1Bの概略機能構成図である。
【図5】図5は、IP電話装置1A、1Bの動作を説明するためのフロー図である。
【図6】図6は、IP電話装置1A、1Bの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係るIPテレビ電話システムの概略図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係るIPテレビ電話システムは、IP電話網2に接続された一対のIP電話装置1A、1Bを備えて構成される。ここで、一対のIP電話装置1A、1Bのうち、例えば、一方は、一人暮らしのお年寄り、障害者等の被支援者の住まいに設定され、他方は、家族、親族等の支援者の住まいに設置される。
【0016】
IP電話網2は、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型(品質保証型)通信モードによるIPテレビ電話サービスを提供する通信事業者の通信網(例えばNGN:Next Generation Network)であり、IP電話装置1A、1Bは、このIPテレビ電話サービスを利用して、相手装置である他のIP電話装置1B、1Aと通信を行う。すなわち、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1Bに接続されているカメラ4、マイク6の映像データ、音声データを、相手装置1B、1Aにベストエフォート型通信モードあるいはギャランティ型通信モードにより送信する。また、IP電話装置1A、1Bは、相手装置1B、1Aからベストエフォート型通信モードあるいはギャランティ型通信モードにより受信した映像データ、音声データを、自IP電話装置1A、1Bに接続されているモニタ3、スピーカ5に出力する。
【0017】
図2は、IP電話装置1A、1Bがともにギャランティ優先モードに設定されている場合におけるIPテレビ電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図であり、図3は、IP電話装置1A、1Bがともにベストエフォート優先モードに設定されている場合におけるIPテレビ電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0018】
ここで、ギャランティ優先モードは、IP電話装置1A、1Bの双方の近傍に人が存在しない場合にのみ、IPテレビ電話サービスの通信モードをベストエフォート型通信モードとし、それ以外の場合は、IPテレビ電話サービスの通信モードをギャランティ型通信モードとする通信動作モードである。また、ベストエフォート優先モードは、IP電話装置1A、1Bの双方の近傍に人が存在する場合にのみ、IPテレビ電話サービスの通信モードをギャランティ型通信モードとし、それ以外の場合は、IPテレビ電話サービスの通信モードをベストエフォート型通信モードとする通信動作モードである。
【0019】
なお、IP電話装置1A、1Bは、同じ通信動作モード(ベストエフォート優先モードおよびギャランティ優先モードのいずれか)に予め設定されているものとする。
【0020】
まず、IP電話装置1A、1Bがともにギャランティ優先モードに設定されている場合の動作例を、図2を参照して説明する。ここで、IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードは、それぞれ、自動発信、自動着信応答に予め設定されているものとする。
【0021】
IP電話装置1Bは、電源投入により起動されると(S101)、IP電話装置1AからのINVITEメッセージの着信待ち状態となる(S102)。
【0022】
一方、IP電話装置1Aは、電源投入により起動されると(S103)、送信先としてIP電話装置1Bが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたINVITEメッセージを生成し、これをIP電話網2に送出する(S104)。このINVITEメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Bに送信される。
【0023】
IP電話装置1Bは、IP電話網2からIP電話装置1Aを発信元とするINVITEメッセージを受信すると、これに自動応答して、送信先としてIP電話装置1Aが指定された200OKメッセージをIP電話網2に送出する(S105)。この200OKメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Aに送信される。
【0024】
これにより、IP電話網2を介して、IP電話装置1AとIP電話装置1Bとの間に、ベストエフォート型通信モードでセッションが確立され(S106)、IP電話装置1A、1Bは、このセッションを介して互いに映像データ、音声データを送受信する。
【0025】
IP電話装置1A、1Bは、相手装置1B、1Aとの間にセッションが確立されたならば、自IP電話装置1A、1Bに接続されている赤外線センサ等のセンサ7、および自IP電話装置1A、1Bに接続されているカメラ4、マイク6の映像データ、音声データを用いて、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知を開始する。ここで、IP電話装置1A、1Bのユーザが電源投入後にIP電話装置1A、1Bの近傍から離れ、IP電話装置1A、1Bの近傍には誰もいないものとする。IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果として「人非検知」を相手装置1B、1Aに送信する(S107、S108)。
【0026】
これを受けて、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1B、1Aから受信した相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。ここでは、両方ともに「人非検知」なので、ベストエフォート型通信モードに決定する。そして、セッションの現行の通信モードがベストエフォート型通信モードなので、通信モードの変更不要と判断する(S109、S110)。
【0027】
その後、IP電話装置1Bのユーザが、相手装置1A側の状態を確認するために、IP電話装置1Bに近づいたとする。IP電話装置1Bは、自IP電話装置1B近傍にいる人の有無の検知結果として「人検知」をIP電話装置1Aに送信する(S111)。
【0028】
これを受けて、IP電話装置1Aは、自IP電話装置1A近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Bから受信した相手装置1B近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Bとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。同様に、IP電話装置1Bは、自IP電話装置1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Aから受信した相手装置1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。ここでは、IP電話装置1B近傍における人の有無の検知結果が「人検知」なので、IP電話装置1A、1Bは、ギャランティ型通信モードに決定する。そして、セッションの現行の通信モードがベストエフォート型通信モードなので、通信モードの変更要と判断する(S112、S113)。
【0029】
そして、IP電話装置1Bは、IP電話装置1Aからのre−INVITEメッセージの着信待ち状態となる(S114)。
【0030】
一方、IP電話装置1Aは、送信先としてIP電話装置1Bが指定され、かつ通信モードとしてギャランティ型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージを生成して、これをIP電話網2に送出する(S115)。このre−INVITEメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Bに送信される。
【0031】
IP電話装置1Bは、IP電話装置1Aを発信元とするre−INVITEメッセージをIP電話網2から受信すると、これに自動応答して、送信先としてIP電話装置1Aが指定された200OKメッセージをIP電話網2に送出する(S116)。この200OKメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Aに送信される。
【0032】
これにより、IP電話装置1AとIP電話装置1Bとの間のセッションが、ベストエフォート型通信モードのセッションからギャランティ型通信モードのセッションに変更され(S117)、IP電話装置1A、1Bは、この変更後のセッションを介して互いに映像データ、音声データを送受信する。
【0033】
つぎに、IP電話装置1A、1Bがともにベストエフォート優先モードに設定されている場合の動作例を、図3を参照して説明する。ここで、IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードは、それぞれ自動発信、自動着信応答に予め設定されているものとする。
【0034】
IP電話装置1Bは、電源投入により起動されると(S121)、IP電話装置1AからのINVITEメッセージの着信待ち状態となる(S122)。
【0035】
一方、IP電話装置1Aは、電源投入により起動されると(S123)、送信先としてIP電話装置1Bが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたINVITEメッセージを生成し、これをIP電話網2に送出する(S124)。このINVITEメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Bに送信される。
【0036】
IP電話装置1Bは、IP電話装置1Aを発信元とするINVITEメッセージをIP電話網2から受信すると、これに自動応答して、送信先としてIP電話装置1Aが指定された200OKメッセージをIP電話網2に送出する(S125)。この200OKメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Aに送信される。
【0037】
これにより、IP電話網2を介して、IP電話装置1AとIP電話装置1Bとの間に、ベストエフォート型通信モードでセッションが確立され(S126)、IP電話装置1A、1Bは、このセッションを介して互いに映像データ、音声データを送受信する。
【0038】
IP電話装置1A、1Bは、相手装置1B、1Aとの間にセッションが確立されたならば、自IP電話装置1A、1Bに接続されている赤外線センサ等のセンサ7、および自IP電話装置1A、1Bに接続されているカメラ4、マイク6の映像データ、音声データを用いて、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知を開始する。ここで、IP電話装置1A、1Bのユーザが電源投入後にIP電話装置1A、1Bの近傍から離れ、IP電話装置1A、1Bの近傍には誰もいないものとする。IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果として「人非検知」を相手装置に送信する(S127、S128)。
【0039】
これを受けて、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1B、1Aから受信した相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。ここでは、両方の検知結果が「人非検知」なので、ベストエフォート型通信モードに決定する。そして、セッションの現行の通信モードがベストエフォート型通信モードなので、通信モードの変更不要と判断する(S129、S130)。
【0040】
その後、IP電話装置1Bのユーザが、相手装置1A側の状態を確認するために、IP電話装置1Bに近づいたとする。IP電話装置1Bは、自IP電話装置1B近傍にいる人の有無の検知結果として「人検知」をIP電話装置1Aに送信する(S131)。
【0041】
これを受けて、IP電話装置1Aは、自IP電話装置1A近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Bから受信した相手装置1B近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Bとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。同様に、IP電話装置1Bは、自IP電話装置1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Aから受信した相手装置1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。ここでは、一方の検知結果が「人非検知」なので、IP電話装置1A、1Bは、ベストエフォート型通信モードに決定する。そして、セッションの現行の通信モードがベストエフォート型通信モードなので、通信モードの変更不要と判断する(S132、S133)。
【0042】
その後、IP電話装置1Aのユーザが、相手装置1B側の呼びかけに応答するために、IP電話装置1Aに近づいたとする。IP電話装置1Aは、自IP電話装置1A近傍にいる人の有無の検知結果として「人検知」をIP電話装置1Bに送信する(S134)。
【0043】
これを受けて、IP電話装置1Bは、自IP電話装置1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Aから受信した相手装置1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。同様に、IP電話装置1Aは、自IP電話装置1A近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1Bから受信した相手装置1B近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、相手装置1Bとの間に確立されているセッションの通信モードを決定し、現行の通信モードを変更する必要性を判断する。ここでは、両方の検知結果が「人検知」なので、IP電話装置1A、1Bは、ギャランティ型通信モードに決定する。そして、セッションの現行の通信モードがベストエフォート型通信モードなので、通信モードの変更要と判断する(S135、S136)。
【0044】
そして、IP電話装置1Bは、IP電話装置1Aからのre−INVITEメッセージの着信待ち状態となる(S137)。
【0045】
一方、IP電話装置1Aは、送信先としてIP電話装置1Bが指定され、かつ通信モードとしてギャランティ型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージを生成し、これをIP電話網2に送出する(S138)。このre−INVITEメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Bに送信される。
【0046】
IP電話装置1Bは、IP電話装置1Aを発信元とするre−INVITEメッセージをIP電話網2から受信すると、これに自動応答して、送信先としてIP電話装置1Aが指定された200OKメッセージをIP電話網2に送出する(S139)。この200OKメッセージは、IP電話網2を介してIP電話装置1Aに送信される。
【0047】
これにより、IP電話装置1AとIP電話装置1Bとの間のセッションが、ベストエフォート型通信モードのセッションからギャランティ型通信モードのセッションに変更され(S140)、IP電話装置1A、1Bは、この変更後のセッションを介して互いに映像データ、音声データを送受信する。
【0048】
つぎに、本実施の形態に係るIPテレビ電話システムを構成するIP電話装置1A、1Bの詳細を説明する。
【0049】
図4は、IP電話装置1A、1Bの概略機能構成図である。
【0050】
図示するように、IP電話装置1A、1Bは、IP電話網IF部101と、映像IF部102と、音声IF部103と、センサIF部104と、呼制御部105と、通話処理部106と、画像認識部107と、音声認識部108と、人検知部109と、検知結果通信部110と、通信モード決定部111と、通信モード変更部112と、を有する。
【0051】
IP電話網IF部101は、IP電話網2に接続するためのインターフェースである。
【0052】
映像IF部102は、映像データを入出力するためのインターフェースであり、モニタ3およびカメラ4に接続される。
【0053】
音声IF部103は、音声データを入出力するためのインターフェースであり、スピーカ5およびマイク6に接続される。
【0054】
センサIF部104は、赤外線センサ等のセンサ7に接続するためのインターフェースである。
【0055】
呼制御部105は、SIP(Session Initiation Protocol)に従い、予め設定されている発着信動作モード(自動発信および自動着信応答のいずれか)に応じた呼制御手順を実行して、予め登録されている相手装置(自身がIP電話装置1AならばIP電話装置1B、IP電話装置1BならばIP電話装置1A)との間に、IP電話網2のIPテレビ電話サービスを利用したセッションを確立し、この相手装置1B、1Aと常時接続する。また、呼制御部105は、通信モード変更部112からの指示に従い発着信動作モードに応じた呼制御手順を実行して、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードを、ベストエフォート型通信モードあるいはギャランティ型通信モードに切り替える。
【0056】
通話処理部106は、RTP(Real−time Transport Protocol)に従い通話処理を実行して、呼制御部105により確立されているセッション経由で相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。具体的には、映像IF部102を介してカメラ4から入力された映像データ、および音声IF部103を介してマイク6から入力された音声データを、セッション経由で相手装置1B、1Aに送信する。また、セッション経由で相手装置1B、1Aから受信した映像データを、映像IF部102を介してモニタ3に出力するとともに、セッション経由で相手装置1B、1Aから受信した音声データを、音声IF部103を介してスピーカ5から出力する。
【0057】
画像認識部107は、映像IF部102を介してカメラ4から入力される映像データに画像認識処理を施して、カメラ4の前方に人がいるか否かを判断し、その判断結果を人検知部109に出力する。
【0058】
音声認識部108は、音声IF部103を介してマイク6から入力される音声データに音声認識処理を施して、マイク6の近くに人がいるか否かを判断し、その判断結果を人検知部109に出力する。
【0059】
人検知部109は、画像認識部107、音声認識部108各々の判断結果、およびセンサIF部104を介してセンサ7から送られてくるセンサ情報に基づいて、自IP電話装置1A、1B近傍の人の有無を検知する。例えば、カメラ4の前方に人がいると画像認識部107が判断している場合、マイク6の近くに人がいると音声認識部108が判断している場合、およびセンサ7が人を検知している場合の少なくともいずれか一つに該当するならば人検知と判断し、いずれにも該当しないならば人非検知と判断する。
【0060】
検知結果通信部110は、IP電話網IF部101を介して、予め登録されている相手装置1B、1Aに、人検知部109の検知結果を送信する。また、IP電話網IF部101を介して、予め登録されている相手装置1B、1Aから、相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果を受信する。
【0061】
通信モード決定部111は、予め設定されている通信動作モードに従い、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、呼制御部105により確立されているセッションの通信モードを決定する。具体的には、通信動作モードがギャランティ優先モードならば、IP電話装置1A、1Bの双方の近傍に人が存在しない場合にのみベストエフォート型通信モードに決定し、それ以外の場合はギャランティ型通信モードに決定する。また、ベストエフォート優先モードならば、IP電話装置1A、1Bの双方の近傍に人が存在する場合にのみギャランティ型通信モードに決定し、それ以外の場合はベストエフォート型通信モードに決定する。
【0062】
通信モード変更部112は、通信モード決定部111により決定された通信モードが、呼制御部105により確立されているセッションの現行の通信モードと異なる場合に、呼制御部105に対して、このセッションの通信モードの変更を指示する。
【0063】
図5および図6は、IP電話装置1A、1Bの動作を説明するためのフロー図である。このフローは、IP電話装置1A、1Bの電源投入あるいは再起動により開始される。
【0064】
まず、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードを確認する(S201)。そして、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動発信に設定されているならば(S201で「自動発信」)、送信先として、予め登録されている相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたINVITEメッセージを生成し、IP電話網IF部101を介してIP電話網2に、このINVITEメッセージを送信する。そして、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aから200OKメッセージを受信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に、ベストエフォート型通信モードでセッションが確立され(S202)、通話処理部106は、このセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。
【0065】
ここで、相手装置1B、1Aの電源が投入されておらず、このためIP電話網2からエラー応答が返信された場合には、所定回数リトライを行うようにしてもよい。そして、所定回数のリトライでも相手装置1B、1Aとの間にセッションを確立できなかった場合には、その旨のエラーメッセージをモニタ3、スピーカ5に出力するなどして、このフローを終了してもよい。
【0066】
また、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動着信応答に設定されているならば(S201で「自動着信応答」)、IP電話網IF部101を介してIP電話網2から、発信元として、予め登録されている相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたINVITEメッセージの着信を待つ。そして、このINVITEメッセージに対する応答として、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aに200OKメッセージを送信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に、ベストエフォート型通信モードでセッションが確立され(S203)、通話処理部106は、このセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。
【0067】
人検知部109は、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間にセッションが確立されたならば、画像認識部107、音声認識部108各々の判断結果、およびセンサIF部104を介してセンサ7から送られてくるセンサ情報に基づいて、自IP電話装置1A、1B近傍の人の有無の検知を開始する(S204)。そして、検知結果を検知結果通信部110に渡す。
【0068】
これを受けて、検知結果通信部110は、IP電話網IF部101を介して相手装置1B、1Aに、この検知結果を送信するとともに(S205)、相手装置1B、1A近傍の人の有無の検知結果が相手装置1B、1Aから送られてくるのを待つ。
【0069】
検知結果通信部110は、相手装置1B、1Aから検知結果を受信したならば(S206)、この検知結果および相手装置1B、1Aに送信した検知結果を通信モード決定部111に通知する。これを受けて、通信モード決定部111は、予め設定されている通信動作モードに従い、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果と、相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果とに基づいて、セッションの通信モードを決定する(S207)。
【0070】
具体的には、通信動作モードがギャランティ優先モードならば、IP電話装置1A、1Bの双方の近傍に人が存在しない場合にのみベストエフォート型通信モードに決定し、それ以外の場合はギャランティ型通信モードに決定する。また、ベストエフォート優先モードならば、IP電話装置1A、1Bの双方に人が存在する場合にのみギャランティ型通信モードに決定し、それ以外の場合はベストエフォート型通信モードに決定する。
【0071】
つぎに、通信モード決定部111は、決定した通信モードを通信モード変更部112に通知する。これを受けて、通信モード変更部112は、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モード変更の要否を判断する(S208)。具体的には、通信モード決定部111から通知された通信モードがセッションの現行の通信モードと異なる場合に、通信モード変更の必要ありと判断し、同じ場合は変更不要と判断する。そして、通信モード変更の必要ありと判断した場合は(S208でYES)、図5のS221に進み、通信モードの変更不要と判断した場合は(S208でNO)、S209に進む。
【0072】
S209において、人検知部109は、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果に変化が生じたか否かを判断する。自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果に変化が生じたならば(S209でYES)、この検知結果を検知結果通信部110に渡す。これを受けて、検知結果通信部110は、IP電話網IF部101を介して相手装置1B、1Aに、この検知結果を送信して(S210)、S208に戻る。
【0073】
一方、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果に変化が生じていない場合(S209でNO)、検知結果通信部110は、IP電話網IF部101を介して相手装置1B、1Aから、相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果を新たに受信したか否かを判断する(S211)。そして、新たに検知結果を受信したならば(S211でYES)、S208に戻り、新たに検知結果を受信していないならば(S211でNO)、S209に戻る。
【0074】
また、S221において、通信モード変更部112は、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードの変更を呼制御部105に指示する。これを受けて、呼制御部105は、このセッションの現行の通信モードを確認する(S221)。そして、現行の通信モードがベストエフォート型通信モードならば(S221で「ベストエフォート型通信モード」)、S222に進み、ギャランティ型通信モードならば(S221で「ギャランティ型通信モード」)、S225に進む。
【0075】
S222において、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードを確認する。そして、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動発信に設定されているならば(S222で「自動発信」)、送信先としてセッション接続先の相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてギャランティ型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージを生成し、IP電話網IF部101を介してIP電話網2に、このre−INVITEメッセージを送信する。そして、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aから200OKメッセージを受信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードが、ベストエフォート型通信モードからギャランティ型通信モードに変更され(S223)、通話処理部106は、この通信モード変更後のセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。その後、S209に戻る。
【0076】
また、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動着信応答に設定されているならば(S222で「自動着信応答」)、IP電話網IF部101を介してIP電話網2から、発信元としてセッション接続先の相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてギャランティ型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージの着信を待つ。そして、このre−INVITEメッセージに対する応答として、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aに200OKメッセージを送信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードが、ベストエフォート型通信モードからギャランティ型通信モードに変更され(S224)、通話処理部106は、この通信モード変更後のセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。その後、S209に戻る。
【0077】
また、S225において、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードを確認する。そして、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動発信に設定されているならば(S225で「自動発信」)、送信先としてセッション接続先の相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージを生成し、IP電話網IF部101を介してIP電話網2に、このre−INVITEメッセージを送信する。そして、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aから200OKメッセージを受信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードが、ギャランティ型通信モードからベストエフォート型通信モードに変更され(S226)、通話処理部106は、この通信モード変更後のセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。その後、S209に戻る。
【0078】
また、呼制御部105は、自IP電話装置1A、1Bの発着信動作モードが自動着信応答に設定されているならば(S225で「自動着信応答」)、IP電話網IF部101を介してIP電話網2から、発信元としてセッション接続先の相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたre−INVITEメッセージの着信を待つ。そして、このre−INVITEメッセージに対する応答として、IP電話網2を介して相手装置1B、1Aに200OKメッセージを送信する。これにより、自IP電話装置1A、1Bと相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードが、ギャランティ型通信モードからベストエフォート型通信モードに変更され(S227)、通話処理部106は、この通信モード変更後のセッションを介して相手装置1B、1Aと映像データ、音声データを送受信する。その後、S209に戻る。
【0079】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0080】
本実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、IP電話網2の通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIPテレビ電話サービスを利用して、常時接続により、予め登録されている相手装置1B、1Aと通信する。このため、利用者は、相手装置1B、1Aの指定を伴う発信操作あるいは相手装置からの着信に対する応答操作を強いられることなくIP電話装置1A、1Bを使うことができる。
【0081】
また、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果を相手装置1B、1Aに送信するとともに、相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果を相手装置1B、1Aから受信し、自IP電話装置1A、1B近傍および相手装置1B、1A近傍の両方に人がいるときのみギャランティ型通信モードとし、それ以外はギャランティ型通信モードに比べて通信料金の安いベストエフォート型通信モードとすることができる(ベストエフォート優先モード)。あるいは、少なくとも一方に人がいるときのみギャランティ型通信モードとし、それ以外はベストエフォート型通信モードとすることができる(ギャランティ優先モード)。このため、通信コストを抑制しつつも、相手と会話をする場合、相手の住まいの様子を確認する場合等の必要なときに、保証された通信品質で相手装置1B、1Aと通信することができる。
【0082】
また、本実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1Bの通信動作モードがベストエフォート優先モードに設定されている場合、相手装置1B、1Aとのセッションの通信モードを、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果および相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果の双方がともに人検知ならば、ギャランティ型通信モードに決定し、少なくとも一方が人非検知ならば、ベストエフォート型通信モードに決定している。また、自IP電話装置1A、1Bの通信動作モードがギャランティ優先モードに設定されている場合、相手装置1B、1Aとのセッションの通信モードを、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無の検知結果および相手装置1B、1A近傍における人の有無の検知結果の双方がともに人非検知ならば、ベストエフォート型通信モードに決定し、少なくとも一方が人検知ならば、ギャランティ型通信モードに決定している。
【0083】
このように、本実施の形態によれば、通信動作モードによってベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードの切替条件を変更できるので、使い勝手が向上する。
【0084】
また、本実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのIPテレビ電話サービスを提供する通信事業者のIP電話網2に対して、送信先として相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとしてベストエフォート型通信モードが指定されたINVITEメッセージを送信することにより、ベストエフォート型通信モードで相手装置1B、1Aとの間にセッションを確立する。そして、IP電話網2に対して、送信先として相手装置1B、1Aが指定され、かつ通信モードとして所望の通信モード(ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのいずれか)が指定されたre−INVITEメッセージを送信することにより、セッションの通信モードを所望の通信モードへ変更する。
【0085】
このように、本実施の形態によれば、INVITEメッセージ、re−INVITEメッセージに通信モードの指定を含めているので、通信モード指定のための特別なメッセージをIP電話網2および相手装置1B、1Aと別途やり取りする必要がなく、IP電話網2の通信トラヒックの増大、IP電話装置1A、1Bの処理負荷の軽減等を図ることができる。
【0086】
また、本実施の形態において、ギャランティ型通信モードを利用すると、IP電話装置1A、1Bのいずれかの機器に通信料金が発生する。通信料金は、通信事業者によって、データ量、距離、時間、重要性などから料金体型が決められて課金される。このように、通信事業者では、料金体系に合わせて通信料金が課金される。そこで、ギャランティ型通信モードで通信したときは、つぎに通信料金が課金される直前まではギャランティ型通信モードを継続し、課金される直前でIP電話装置1A、1Bの人検知を判断して、ベストエフォート型通信モードまたはギャランティ型通信モードを設定させる。
【0087】
このようにすると、人検知の在、不在が頻繁に代わることがあっても、ギャランティ型通信モードを効果的に使いながら、過度な課金を防止することができる。
【0088】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0089】
例えば、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、発着信動作モードが自動発信に設定されている場合、INVITEメッセージの送信タイミングを電源投入あるいは再起動としているが、本発明はこれに限定されない。自IP電話装置1A、1Bに設けられた所定のボタンの押下、予め定めた時刻の到来等をトリガとして、INVITEメッセージを送信するようにしてもよい。
【0090】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、両者間に確立するセッションの通信モードをデフォルトでベストエフォート型通信モードとしているが、ギャランティ型通信モードをデフォルトで用いてもよい。
【0091】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、両者間に確立されているセッションの通信モードを切り替える場合、発着信動作モードが自動発信に設定されているIP電話装置1A、1Bが、新たな通信モードの指定を伴うre−INVITEメッセージを送信することにより通信モードを切り替えているが、本発明はこれに限定されない。最新の検知結果を送信(あるいは受信)したIP電話装置1A、1Bが、このre−INVITEメッセージを送信するようにしてもよい。
【0092】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、両者間に確立されているセッションの通信モードを切り替える場合、re−INVITEメッセージを送信しているが、本願はこれに限定されない。他にも、UPDATEメッセージを利用してもよいし、あるいは、SUBSCRIBEおよびNOTIFYの各SIPメッセージを利用するようにしてもよい。
【0093】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、人非検知または人検知を検出すると、相手装置1B、1Aに検知結果を通知し、互いに人検知した場合にのみギャランティ型通信モードに切り替えているが、本願はこれに限定しない。IP電話装置1A、1Bのいずれか一方が人検知を検出した時点で、この人検知を検出したIP電話装置1A、1Bが相手装置1B、1Aにre−INVITEメッセージを送信して、ギャランティ型通信モードに切り替えるようにしてもよい。
【0094】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、自IP電話装置1A、1Bに接続されているカメラ4の映像データに対する画像認識処理、自IP電話装置1A、1Bに接続されているマイク6の音声データに対する音声認識処理、および自IP電話装置1A、1Bに接続されている赤外線センサ等のセンサ7を用いて、自IP電話装置1A、1B近傍における人の有無を検知しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、IP電話装置1A、1Bの前に置かれた椅子に取り付けられた着座検出センサ、IP電話装置1A、1Bがおかれた部屋内の電化製品またはガス機器等の操作の有無を検出するセンサにより、人の有無を検知するようにしてもよい。
【0095】
また、上記の実施の形態において、図4に示すIP電話装置1A、1Bの機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。もしくは、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【0096】
また、上記の実施の形態において、IP電話装置1A、1Bは、通信モードの指定を伴うINVITEメッセージ、およびre−INVITEメッセージを送信することにより、相手装置1B、1Aとの間に確立するセッションの通信モードの設定、および相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードの変更を行っているが、本発明はこれに限定されない。
【0097】
相手装置1B、1Aとの間に確立するセッションの通信モードの設定、および相手装置1B、1Aとの間に確立しているセッションの通信モードの変更は、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIPテレビ電話サービスを提供する通信事業者のIP電話網2に依存する。例えば、IP電話網2が、Updateメッセージでの通信モードの指定を認めている場合には、IP電話装置1A、1Bが、通信モードの指定を伴うUpdateメッセージを送信することにより、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードの変更を行うようにしてもよい。あるいは、IP電話網2が、映像データおよび音声データを伝送する通話パケット(RTPパケット)での通信モードの指定を認めている場合には、通信モードの指定を伴う通話パケットを送信することにより、相手装置1B、1Aとの間に確立されているセッションの通信モードの変更を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1A、1B:IP電話装置、2:IP電話網、3:モニタ、4:カメラ、5:スピーカ、6:マイク、7:センサ、101:IP電話網IF部、102:映像IF部、103:音声IF部、104:センサIF部、105:呼制御部、106:通話処理部、107:画像認識部、108:音声認識部、109:人検知部、110:検知結果通信部、111:通信モード決定部、112:通信モード変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIP電話サービスを利用するIP電話装置であって、
前記IP電話サービスを利用して、所定の相手装置との間に、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのうち、予め定められた通信モードでセッションを確立して、当該相手装置と常時接続する常時接続手段と、
自IP電話装置近傍の人の有無を検知する人検知手段と、
前記相手装置に前記人検知手段の検知結果を送信するとともに、前記相手装置から当該相手装置近傍の人の有無の検知結果を受信する検知結果通信手段と、
前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果に基づいて、前記セッションの通信モードを決定する通信モード決定手段と、
前記通信モード決定手段により決定された通信モードが前記セッションの現行の通信モードと異なる場合に、当該セッションの通信モードを、前記通信モード決定手段により決定された通信モードへ変更する通信モード変更手段と、を有する
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載のIP電話装置であって、
前記通信モード決定手段は、
自IP電話装置がベストエフォート優先に設定されている場合、前記セッションの通信モードを、前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果の双方がともに人検知ならば、ギャランティ型通信モードに決定し、前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果の少なくとも一方が人非検知ならば、ベストエフォート型通信モードに決定し、
自IP電話装置がギャランティ優先に設定されている場合、前記セッションの通信モードを、前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果の双方がともに人非検知ならば、ベストエフォート型通信モードに決定し、前記人検知手段の検知結果および前記検知結果通信手段により前記相手装置から受信した検知結果の少なくとも一方が人検知ならば、ギャランティ型通信モードに決定する
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のIP電話装置であって、
前記常時接続手段は、
前記通信事業者のIP電話網に対して、送信先として前記相手装置が指定され、かつ通信モードとして、前記予め定められた通信モードが指定された接続要求を送信することにより、前記予め定められた通信モードで前記相手装置との間に前記セッションを確立し、
前記通信モード変更手段は、
前記IP電話網に対して、送信先として前記相手装置が指定され、かつ通信モードとして、前記通信モード決定手段により決定された通信モードが指定された再設定要求を送信することにより、前記セッションの通信モードを、前記通信モード決定手段により決定された通信モードへ変更する
ことを特徴とするIP電話装置。
【請求項4】
通信事業者が提供するベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードによるIP電話サービスを利用するIP電話装置を用いた通信方法であって、
前記IP電話装置は、前記IP電話サービスを利用して、所定の相手装置との間に、ベストエフォート型通信モードおよびギャランティ型通信モードのうち予め定められた通信モードでセッションを確立して、当該相手装置と常時接続し、
自IP電話装置近傍の人の有無を検知して、前記相手装置に当該検知結果を送信するとともに、前記相手装置から当該相手装置近傍の人の有無の検知結果を受信し、
自IP電話装置近傍の人の有無の検知結果および前記相手装置から受信した当該相手装置近傍の人の有無の検知結果に基づいて、前記セッションの通信モードを決定し、
前記決定された通信モードが前記セッションの現行の通信モードと異なる場合に、当該セッションの通信モードを、前記決定された通信モードへ変更する
ことを特徴とするIP電話装置を用いた通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−5253(P2013−5253A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134910(P2011−134910)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】