説明

IR受信装置及びこれを備えた液晶シャッター型立体眼鏡

【課題】ハロゲン照明のような周辺環境から発生される赤外線によって液晶シャッター式立体眼鏡が誤作動を起こす問題を解決する液晶シャッター式立体眼鏡を提供する。
【解決手段】ディスプレイ装置から送出されるIR信号を受信するためのIRセンサー230を有するIR受信部200と、液晶シャッターで成された左眼部及び右眼部を有する両眼部と、前記両眼部の液晶シャッターをオンオフするための液晶シャッター駆動部を有する液晶シャッター方式の立体眼鏡が提供され、前記IR受信部は、前記IRセンサーに向けて凸のIRレンズ部212と、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以上のIRを吸収するIR吸収部211a,211bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IR受信装置及びこれを備えた液晶シャッター式立体眼鏡に関するものであって、詳細にはハロゲン照明のような周辺環境から発生される赤外線によって液晶シャッター式立体眼鏡が誤作動を起こす問題を解決できるIR受信装置と、これを備えた液晶シャッター式立体眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビの映像をユーザに3Dで提供する3Dテレビの開発が活発に行われている。立体映像を具現する方式としては、眼鏡を着用する方式と眼鏡を着用しない方式とに大別されるが、特に眼鏡を着用する方式の場合、現在製造されるテレビ用パネルを別途変更せずに具現できるため、多くの利点がある。
【0003】
眼鏡を着用する方式は両眼にそれぞれ青色と赤色の色眼鏡を使用するアナグリフ方式と、偏光方向がそれぞれ異なる偏光眼鏡を使用する偏光方式、また液晶シャッターが設けられた眼鏡を使用する液晶シャッター方式(または時分割シャッター方式)が知られている。
【0004】
以下、液晶シャッター方式の立体映像具現方法について説明する。
液晶シャッター方式を使用する立体映像の場合、ディスプレイ装置では一画面に対して左眼用映像と右眼用映像とを迅速且つ交代にディスプレイするが、これを立体的に具現するためにはディスプレイ装置から出力される左眼用映像に対しては液晶シャッター眼鏡の左眼部のみを開放し、右眼用映像に対しては液晶シャッター眼鏡の右眼部のみを開放することによって、両眼時差を利用して立体映像を具現する。
【0005】
即ち、液晶シャッター方式を使用する立体ディスプレイ装置は、左眼用画像及び右眼用画像が迅速にディスプレイし、この左眼用画像と右眼用画像の交代タイミングに合わせて液晶シャッター眼鏡の左眼部と右眼部の開閉を同時化させることが必須である。このような同期化方式として、例えばディスプレイ装置から送出される。IR赤外線信号に液晶シャッターを同期化させる方式が費用的な側面で現在主流を成している。
【0006】
図1a及び図1bは、従来の液晶シャッター方式の眼鏡1000の一例を示した図である。
【0007】
図1aに示したように、従来の液晶シャッター方式の眼鏡は、右眼部1110及び左眼部1120で成された両眼部1100と、IR受信部1300と、電源部1500とで成される。両眼部1100の左眼部1120及び右眼部1110はそれぞれ液晶シャッターを含んで形成される。
【0008】
このような液晶シャッター方式を使用する立体映像の場合、ディスプレイ装置では一画面に対して左眼用映像と右眼用映像とを迅速且つ交代にディスプレイするが、液晶シャッター眼鏡ではディスプレイ装置から出力される左眼用映像に対しては液晶シャッター眼鏡の左眼部のみを開放し、右眼用映像に対しては液晶シャッター眼鏡の右眼部のみを開放する。
【0009】
このようなディスプレイ画面と液晶シャッター眼鏡との同期化のために、液晶シャッター眼鏡はディスプレイから出力されるIR赤外線信号に液晶シャッターを同期化する。
【0010】
このような赤外線IR同期化のために、液晶シャッター眼鏡の場合、IR受信部1300が別途備えられている。このIR受信部1300は、ディスプレイ装置(図示せず)から送出されたIRタイプの同期信号を受信する機能を担当し、シャッター信号駆動部(図示せず)では前記受信された同期信号に一致して右眼部1110及び左眼部1120の液晶にそれぞれ電源をオン/オフ印加することによって、右眼部1110及び左眼部1120の液晶の開閉を行い、それによって両眼時差に基盤した立体映像が具現される。
【0011】
図1bは、従来の液晶シャッター方式眼鏡1000においてIR受信部1300をより具体的に示した図である。
【0012】
図1bに示したように、従来のIR受信部1300は、IRセンサー1320及びIRセンサー1310を保護するためのIRセンサーカバー1310を主にして形成される。実際、このような構造のIR受信部1300は、ユーザの前方に位置したディスプレイ装置(図示せず)から送出されるIR1同期信号を受信して動作するように構成される。従って、ディスプレイ装置が設けられた場所の室内環境照明からのIR信号の干渉がない場合、このような構造は価格に対比して割と正確なIR同期化が行なわれるという利点がある。
【0013】
しかし、万一、室内照明としてハロゲン照明などを利用する場合、ハロゲンの発熱により上側方向から多量の赤外線(IR2)が放出されるが、このように照明などとしてハロゲンを使用する場合には、ハロゲン照明から放出された赤外線(IR2)がIRセンサー1320に引き込まれてディスプレイ画面から送出されるIR1信号と液晶シャッター眼鏡の液晶開閉との同期化に悪影響を与え、液晶シャッターの正常的な動作を妨害するという問題点がある。
【0014】
従って、ハロゲン照明のような外部環境のIR放射体によりIR受信が妨害されるのを防止できるIR受信器の必要性が求められており、特に液晶シャッター方式眼鏡のような高い同期化精度が必要なアプリケーションの場合、前述した問題点をさらに解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述したように、室内のハロゲン照明から放出される赤外線によって発生される問題点を解決できるIR受信器の構造及びこれを備えた液晶シャッター方式の眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記した課題を解決するために、本発明の第1の様態による液晶シャッター方式の立体眼鏡は、ディスプレイ装置から送出されるIR信号を受信するためのIRセンサーを有するIR受信部と、液晶シャッターで成された左眼部及び右眼部を有する両眼部及び前記両眼部の液晶シャッターをオンオフするための液晶シャッター駆動部と、を有し、
前記IR受信部は、前記IRセンサーに向けて凸のIRレンズ部と、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以上のIRを吸収するIR吸収部を有する。
【0017】
また、本発明の第2の様態によると、本発明はIR信号を受信するためにIRセンサーを有するIR受信装置を提供し、前記IR受信装置は、前記IRセンサーに向けて凸のIRレンズ部と、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以上のIRを吸収するIR吸収部を有する。
【0018】
また、本発明による液晶シャッター方式の立体眼鏡において、集光レンズ部はIRセンサーに向けて凸レンズで形成され、液晶シャッター眼鏡を着用したユーザがディスプレイ画面の中央部分から外れていてもIR信号と液晶シャッター眼鏡とのIR同期をより精度良く行うことができる。
【0019】
また、集光レンズ部は、IRセンサーでIRを集光するためのフレネルレンズ(Fresnel lens)で形成されることもできるが、集光レンズとしてフレネルレンズを利用した場合、IR受信部の大きさ、特に厚さを薄くすることによって液晶シャッター眼鏡の外観をより向上させることができる。
【0020】
また、IR受信部は、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以下から入射されるIRを吸収するように前記集光レンズ部の下側に結合された第2のIR吸収部を有することもでき、それによって床の乱反射などを通して照明からのIRがIR受信部に入射されることを防止することができる。
【0021】
IR吸収部は、集光レンズの内側周に沿って形成されることもでき、集光レンズの外側周に沿って形成されることもできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、室内のハロゲン照明から放出される赤外線が液晶シャッター眼鏡のIR受信部の上側に形成されたIR吸収部によってIRセンサー内部へ流入されることが防止され、従って本発明のIR受信器構造を液晶シャッター方式の眼鏡に採用する場合、ハロゲン照明下においても安定的にディスプレイ装置と液晶シャッター方式の立体眼鏡の赤外線同期化が具現される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】従来技術による液晶シャッター方式の立体眼鏡構造を概略的に示した図である。
【図1b】図1aに示された立体眼鏡のうちIR受信部の構成をより具体的に示した図である。
【図2a】本発明の第1実施の形態による液晶シャッター方式の立体眼鏡構造を概略的に示した図である。
【図2b】図2aに示された立体眼鏡のうちIR受信部の構成をより具体的に示した図である。
【図3】レンズ部を採用していない場合とレンズ部を採用した場合とのIR受信範囲または角度を概略的に示した図である。
【図4】本発明の変形例を示した図である。
【図5】本発明のまた他の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明について詳細に説明する。
図2aは、本発明による液晶シャッター方式の眼鏡100を概略的に示した図である。
【0025】
図2aに示したように、本発明による液晶シャッター方式の眼鏡は、右眼部111及び左眼部112で成された両眼部110と、IR受信部200と、電源部500とから成される。両眼部111の左眼部112及び右眼部110はそれぞれ液晶シャッターを含んで形成される。
【0026】
図2bは、本発明による液晶シャッター方式眼鏡100のIR受信部200の具体的に示した図である。図2bに示したように、本発明によるIR受信部200はディスプレイ装置(図示せず)から送出されてきたIR信号を受信するIRセンサー230及び前記IRセンサー230を囲むように形成されるレンズカバー部210を有する。
【0027】
レンズカバー部210は、レンズ部212及びIR吸収部211を含んで二重射出方式により形成される。前記実施の形態において、IR吸収部211はレンズカバー部210のレンズ部212の内側に形成されるが、具体的に第1のIR吸収部211aはセンサー230の中心軸線X線上で上側を基準にして予め決められた角度以上から伝達される赤外線を吸収するようにPC(BK)などを使用して形成される。また、第2のIR吸収部211bはセンサー230の中心軸線(X)線上で下側を基準にして予め決められた角度以下から伝達される赤外線を吸収するようPC(BK)などを使用して形成される。
【0028】
前記実施の形態においては、IR吸収部211はレンズ部211の内周面の上側及び下側にそれぞれ形成されたものと示されたが、IR吸収部211は、ハロゲン照明が上方に設けられることを考慮して上側に形成された第1のIR吸収部211aのみを有することもできる。
【0029】
また、前記実施の形態によるレンズカバー部210の構造は、従来のカバー部1310とは異なるようにIRセンサーと対面したカバー部210の位置、即ちレンズカバー部210の前面中央部がIRセンサー230に向けて凸形状のIR樹脂で製造されたレンズ部232を含んで形成される。
【0030】
IR樹脂は、可視光線を遮断すると共に赤外線のみを通過するようにして可視光線による雑音の生成を未然に防止することができる。また、レンズ部232がIRセンサー230に向けて下に凸形状の光収斂特性を持つことに伴って、図3に示したように、従来のディスプレイ装置から送出されたIR信号の受信角度θ1がθ2へさらに広くなり、ディスプレイ装置の垂直方向から外された地点でのIRセンサーの受信特性がさらに向上される。
【0031】
図4は、本発明によるレンズカバー部の変形例を示した図である。
【0032】
図4に示した実施の形態は、IR吸収部211’a、211’bがIRレンズ部212の内側ではない外側の上部と下部とに形成されたことを除いては図2bに示したレンズカバー部200と類似する。この変形例においてもIR吸収部は上側に形成された第1のIR吸収部211’aのみを有することもできる。
【0033】
図5は、本発明によるレンズカバー部のまた他の変形例を示した図である。
【0034】
図5に示した実施の形態は、IRレンズ部212’がフレネルレンズで形成された点を除いては図4に示したレンズカバー部と類似する。この変形例においてもIR吸収部は上側に形成された第1のIR吸収部211’aのみを有することもできる。この構造では、前述した実施の形態のレンズ部に代わってフレネルレンズを採用することによって、既存のIRセンサーに向けて凸の収斂レンズより厚さを薄く製作できるという利点が得られる。
【0035】
以上の説明において本発明によるIR受信器の構造を液晶シャッタータイプの立体眼鏡に採用したものについて説明したが、本発明のIR受信器の構造はこれに限定されておらず、赤外線通信を行う全ての電子機器、例えば、無線リモコンなどのような分野にも適用可能である。
【0036】
また、前記実施の形態において前記レンズ部またはレンズカバー部は非球面レンズで形成されるのが好ましいが、本発明はこれに限定されず、レンズ部の下側に位置されたIRセンサーに光を集光できる構造であれば、いずれも採用可能であることは当業者にとって自明なことである。
【0037】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野において通常の知識を持つ者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能である。従って、本発明に開示された実施の形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するものであって、このような実施の形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈しなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0038】
1110:右眼部
1120:左眼部
1100:両眼部
1300:IR受信部
1310、1320:IRセンサー
1500:電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IR信号を受信するためにIRセンサーを有するIR受信装置において、
前記IR受信装置は、前記IRセンサーに外部からのIRを集光するための集光レンズ部と、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた角度で進入するIRを吸収するよう前記集光レンズ部の少なくとも一部に結合されたIR吸収部を有することを特徴とするIR受信装置。
【請求項2】
ディスプレイ装置から送出されるIR信号を受信するためのIRセンサーを有するIR受信部と、
液晶シャッターで成された左眼部及び右眼部を有する両眼部と、
前記両眼部の液晶シャッターをオンオフするための液晶シャッター駆動部を有するシャッター方式の立体眼鏡において、
前記IR受信部は、
前記IRセンサーにIRを集光させるための集光レンズ部と、
IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以上のIRを吸収するよう前記集光レンズ部の上側に結合されたIR吸収部を有することを特徴とする液晶シャッター方式の立体眼鏡。
【請求項3】
前記集光レンズ部は、IRセンサーに向けて凸レンズで形成されたことを特徴とする請求項2に記載の液晶シャッター方式の立体眼鏡。
【請求項4】
前記集光レンズ部は、IRセンサーでIRを集光するためのフレネルレンズで形成されたことを特徴とする請求項2に記載の液晶シャッター方式の立体眼鏡。
【請求項5】
前記IR受信部は、IRセンサーに向けて入射されるIRのうち予め決められた高さ角度以下から入射されるIRを吸収するよう前記集光レンズ部の下側に結合された第2のIR吸収部を有することを特徴とする請求項2に記載の液晶シャッター方式の立体眼鏡。
【請求項6】
前記IR吸収部は前記集光レンズの外側周に沿って形成されたことを特徴とする請求項2に記載の液晶シャッター方式の立体眼鏡。
【請求項7】
前記IR吸収部は前記集光レンズの内側周に沿って形成されたことを特徴とする請求項2に記載の液晶シャッター方式の立体眼鏡。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−244413(P2011−244413A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163961(P2010−163961)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(506377101)セコニックス カンパニー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】