説明

Jab1を含むウィルス感染疾患治療組成物

本発明は、Jab1蛋白質、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、またはJab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、Jab1を含むウィルス感染疾患治療組成物に係り、より具体的には、Jab1蛋白質、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、またはJab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
フラビウィルス(Flavivirus)とペスティウィルス(Pestivirus)は、フラビウィルス科(Flaviviridae)に属するウィルスであって、単鎖RNAをゲノムとして有し、脊椎動物を宿主細胞として様々な疾病を誘発するウィルスである。西ナイルウィルス(West Nile Virus:WNV)(Burt et al., Emerg Infect Dis., 8(8):820-826, 2002; Asnis et al., Clin Infect Dis30(30): 413-418, 2000)は、フラビウィルスの代表的なウィルスであって、感染時に発熱、発疹、関節痛、筋肉痛などの疾患を誘発する。野生型(wild type)西ナイルウィルスに感染した脳細胞では、細胞死滅がBax依存的に誘導され(Parquet et al., FEBS Lett., 500(1-2):17-24. 2001)、ウィルスのカプシド蛋白質がミトコンドリア/カスパーゼ−9(mitochondrial/caspase-9)経路を介して細胞死滅を起こすという研究報告があったが(Yang et al, Emerg Infect Dis., 8(12):1379-1384, 2002)、西ナイルウィルス感染による細胞内病理機序は解明されていない。
【0003】
西ナイルウィルス感染の予防と治療のために、既存の免疫グロブリン、インターフェロンalfa2bとリバビリン(ribavirin)などのウィルス製剤などを使用したが(Agrawal and Petersen., J Infect Dis, 188(1):1-4, 2003; Morrey et al., Antiviral Res., 55(1):107-116, 2002 ; Anderson et al., Emerg Infect Dis., 8(1):107-108, 2002)、治療効果が低い。未だ西ナイルウィルスの感染を効果的に治療または予防する薬物が不在なので、このような薬物を開発するための研究が要求されている。
【0004】
Jab1(Jun-activation binding protein 1)は、AP−1蛋白質(Jun/Fos proto-oncogene)の補助活性化因子(coactivator)として最初知られたが、その他後述の様々な機能を行うものとしても知られている。Jab1はCOP9 signalosome複合体(CSN)の5番目の構成要素であり(Wei et al., Annu Rev Cell Dev Biol., 19:261-286, 2003)、酵母から植物および動物までJab1/CSN5をもっている。Jab1の過発現はサイクリン依存性キナーゼ抑制剤(cyclin dependent kinase inhibitor)p27/Kip1を核から細胞質へ移動させ、Ub−26Sプロテアソーム依存的な分解作用を促進させ、p27/kip1のG1−S転位(transition)にも関与する(Tomoda et al., Nature, 398(6723):160-165, 1999)。また、Jab1は、初期肺癌細胞(primary lung cancer cell)で過発現されるPGP9.5の核転移(nuclear translocation)にも関与する(Caballero et al., Oncogene, 21(19):3003-3010, 2002)。Jab1はp53、Smad4、ルトロピン/コリオゴナドトロピン(Lutropin/Choriogonadotropin)受容体と相互作用してこれら蛋白質の分解を促進させる(Bech-Otschir et al., EMBO J., 20(6):1630-1639, 2001; Li et al. J Biol Chem., 275(18):13386-13393, 2000; Wan et al., EMBO J., 3(2):171-176, 2002)。Jab1は細胞内蛋白質と作用して核から細胞質へ蛋白質を移動させ、プロテアソーム依存的な方式で蛋白質分解を促進する機能を行うことが分かる。
ところが、フラビウィルス科に属するウィルスに感染するとき、Jab1とウィルス蛋白質との相互作用については全く解明されていない。
【0005】
このような背景の下で、本発明者は、フラビウィルスのカプシド蛋白質と相互作用する蛋白質中の一つとして、カプシド蛋白質の分解を促進して細胞死滅を抑制するJab1を同定し、これをウィルス感染疾患の治療または予防に使用できることを確認することにより、本発明を完成した。
【0006】
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、Jab1(Jun-activation binding protein 1)蛋白質を含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、Jab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、薬理学的有効量のJab1蛋白質をウィルス感染疾患の治療または予防が必要な対象に投与し、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防する方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の別の目的は、薬理学的有効量のJab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸をウィルス感染疾患の治療または予防が必要な対象に投与し、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防する方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の別の目的は、薬理学的有効量のJab1蛋白質発現組み換えウィルスをウィルス感染疾患の治療または予防が必要な対象に投与し、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防する方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、Jab1蛋白質の発現を促進させる物質を検定する方法を提供することにある。
【0012】
〔発明を実施するための最良の様態〕
一つの様態として、本発明は、Jab1蛋白質を含むフラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供する。
【0013】
本発明によって治療または予防しようとするウィルス感染は、フラビウィルス及びペスティウィルス感染疾患であって、フラビウィルスとペスティウィルスは、ウィルス学名に関する国際委員会(International Committee on Taxonomy of virus)の分類によれば、フラビウィルス科に属するウィルスである。陽性極性の単鎖RNA(positive stranded single strand RNA)をゲノムとして有し、脊椎動物と節足動物が自然宿主(natural host range)である。フラビウィルスとペスティウィルスは膜とヌクレオカプシドを有する構造であり、フラビウィルスは直径40〜50nmの円形のウィルスであり、ペスティウィルスは直径40〜60nmの円形または不定形のウィルスである。フラビウィルスとペスティウィルスは、非常に類似の構造と感染機序を有するウィルスに感染するとき、細胞の細胞死滅を誘導する。
【0014】
フラビウィルスは、哺乳類ダニ媒介性ウィルス(mammalian tick-borne virus)群、海鳥ダニ媒介性ウィルス(seabird tick-borne virus)群、アロアウィルス(Aroa virus)群、デングウィルス(Dengue virus)群、日本脳炎ウィルス(Japanese Encephalitis virus)群、タヤウィルス(Ntaya virus)群、ココベラウィルス(Kokobera virus)群、スポンドウェニウィルス(Spondweni virus)群、黄熱ウィルス(Yellow fever virus)群、エンテベウィルス(Entebbe virus)群、モダクウィルス(Modac virus)群、リオブラボウィルス(Rio Bravo virus)群などを含む。本発明の組成物は、日本脳炎ウィルス群の感染に好ましく使用できる。このような日本脳炎ウィルス群には、カシパコレウィルス(Caipacore virus)、コウタンゴウィルス(Koutango virus)、日本脳炎ウィルス(Japanese encephalitis virus)、ムレイバレー脳炎ウィルス(Murray Valley encephalitis virus)、セントルイス脳炎ウィルス(St. Louis encephalitis virus)、ウスツウィルス(Usutu virus)、西ナイルウィルス(West Nile virus)、ヤウンデウィルス(Yaounde virus)などがある。
【0015】
ペスティウィルスは、ボーダー病ウィルス(Border disease virus)、牛ウィルス性下痢ウィルス1(Bobine viral diarrhea virus 1)、牛ウィルス性下痢ウィルス2(Bovine viral diarrhea virus 2)、豚コレラウィルス(classical swine fever virus)などを含む。
【0016】
本発明者は、イーストツーハイブリッドアセイを介して、西ナイルウィルスに感染した細胞で細胞死滅を誘導するウィルスのカプシド(Cp)蛋白質と直接作用する蛋白質のうちJab1を発掘し、Jab1がカプシド蛋白質に及ぼす影響を調査した。その結果、Jab1がカプシド蛋白質と直接相互作用してカプシド蛋白質を核から細胞質へ移動させ、カプシド蛋白質の分解を促進することにより、ウィルスのカプシド蛋白質による細胞死滅が著しく阻害されるということを糾明した。
【0017】
カプシドは、ウィルスの核酸を取り囲んだ蛋白質シェル(protein shell)を意味し、構造的サブユニット(structural subunit)蛋白質の結合によって形成される。カプシドを形成する構造的サブユニット蛋白質をカプシド蛋白質という。本発明の目的上、カプシド蛋白質は、Jab1蛋白質が結合するフラビウィルスとペスティウィルスのカプシド蛋白質である。フラビウィルスに属する西ナイルウィルスのカプシド蛋白質の核酸配列を始めとした全体配列は、Genbankから分かる(accession number AF206518, AF196835, AF202541, M12294)。その他異なる種類のフラビウィルスとペスティウィルスのカプシド蛋白質の核酸配列もGenBankから探し出すことができる:例えば、JEV(accession number M18370、D90194、及びD90195)、SLEV(accession number M16614)、YFV(accession numbers AF094612、U17067、U17066、U54798、U21055、U21056、及びX03700)、DENV(accession numbers M23027、U88535、U88536、及び U88537)、及びBVDN(accession number M31182)である。Jab1蛋白質に結合することが可能なカプシド蛋白質をもっているフラビウィルスとペスティウィルス間のカプシド蛋白質は、相同性が約90%に達する。
【0018】
本発明の組成物に用いられるJab1蛋白質は、酵母、植物または動物由来の全てのJab1蛋白質を含む。野生型のJab1蛋白質を含んで、フラビウィルスまたはペスティウィルスのカプシド蛋白質との結合によってカプシド蛋白質の分解を促進する機能を行う限り、欠失、挿入、非保全的または保全的置換またはこれらの組み合わせによるJab1蛋白質の変異体を含む。一つの具体的例示として、配列番号2のアミノ酸配列を有するJab1蛋白質を挙げることができ、このような配列の置換、挿入、欠失変異体も本発明の組成物に使用することができる。
【0019】
Jab1蛋白質の変異体とは、野生型のアミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基の相違した配列を有する蛋白質を意味する。Jab1蛋白質の変異体は、挿入は通常約1〜20個のアミノ酸の連続配列で行われるが、より大きい挿入も可能であり、欠失は、通常約1〜30個の残基で行われるが、一部の場合にはドメイン中の一つが欠失できるのと同様に、より大きい欠失も可能である。このような変異体は、当該分野に公知になっている化学的ペプチド合成方法またはDNA配列を基本とする組み換え方法によって製造できる(Sambrook et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbour Laboratory Press, New York, USA, 2d Ed., 1989)。分子の活性を全体的に変更させない蛋白質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野に公知になっている(H.Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。最も通常的に発生する交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。
【0020】
また、Jab1蛋白質は、場合によってはリン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)などでも修飾(modification)できる。
【0021】
前記変異体または修飾体は、天然蛋白質と同一の生物学的活性を示す機能的等価物であるが、必要に応じてはこの蛋白質の特性を変形させた変異体または修飾体である。好ましくは、アミノ酸配列上の変異と修飾によって蛋白質の熱、pHなどに対する構造的安定性が増加し或いは蛋白質活性が増加した蛋白質である。
【0022】
Jab1蛋白質は、当該分野に公知になっている方法により天然から抽出及び精製して得ることができ、あるいは、Jab1蛋白質の配列が明らかになっているので、化学的合成(Merrifleld, J. Amer. chem. Soc.. 85:2149-2156, 1963)或いは遺伝子組み換え技術を用いて得ることができる。
【0023】
化学的に合成して製造する場合、当該分野に公知になっているポリペプチド合成法を用いて得ることができる。
【0024】
遺伝子組み換え技術を用いる場合、Jab1をコードする核酸を適切な発現ベクターに挿入し、ベクターを宿主細胞に形質転換して、Jab1が発現されるように宿主細胞を培養した後、宿主細胞からJab1を回収する過程によって得ることができる。
【0025】
Jab1蛋白質を発現させるための発現ベクターは、通常の全ての発現ベクターを使用することができる。宿主細胞によって蛋白質の発現量や修飾などが異なるので、目的に最も適した宿主細胞を選択して使用すればよい。使用できる宿主細胞としては、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)またはスタヒロコッカス(Staphylococcus)などの原核宿主細胞があるが、これに制限されない。この中でもE.coliが最も一般に用いられる。また、真菌(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)、酵母(例えば、ピキア酵母(Pichia pastoris)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces)、アカバンカビ(Neurospora crassa))などの下等真核細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物などを含む高等真核生物由来の細胞を宿主細胞として用いることができる。
【0026】
蛋白質は、選択された宿主細胞で発現させた後、分離及び精製のために通常生化学分離技術、たとえば蛋白質沈澱劑による処理(塩析法)、遠心分離、超音波破砕、限外濾過、透析法、分子篩クロマトグラフィ(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、親和度クロマトグラフィなどの各種クロマトグラフィなどを用いることができ、通常、高純度の蛋白質を分離するためにこれらを組み合わせて用いる(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990))。
【0027】
他の様態として、本発明は、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供する。
【0028】
本発明の組成物でJab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列は、野生型または前記のような変異体型のJab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列であって、一つ以上の塩基が置換、欠失、挿入またはこれらの組み合わせによって変異でき、天然から分離し或いは化学的合成法で製造することができる。
【0029】
Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を化学的に合成して製造する場合、当業界に公知になっている合成法、例えば文献(Engels and Uhlmann, Angew Chem IntEd Engl., 37:73-127, 1988)に開示された方法を用いることができ、トリエステル、ホスファイト(phosphite)、ホスホルアミデート(phosphoramidate)及びH−ホスフェート法(H-phosphate method)、PCR及びその他のオートプライマー方法、固体支持体上のオリゴヌクレオチド合成法などを挙げることができる。
【0030】
Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列に対する一つの具体的例示として、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を挙げることができ、配列番号1の配列を、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列として例示することができる。
【0031】
前記ヌクレオチド配列を有する核酸は、単鎖または二重鎖であり、DNA分子(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子である。
【0032】
好ましい様態において、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列は、これを発現するベクターに作動的に連結された組み換え発現ベクターに提供される。
【0033】
本発明において、「ベクター」とは、目的の遺伝子をコードする核酸配列(例:DNA、RNAなど)を宿主細胞に導入するための手段を意味する。本発明において、「発現ベクター」とは、適当な宿主細胞で目的の蛋白質または目的のRNAを発現することが可能なベクターであって、遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された必須的な調節要素を含む遺伝子作製物をいう。
【0034】
本発明において、「作動可能に連結された(operably linked)」とは、一般的機能を行うように、核酸発現調節配列と、目的の蛋白質またはRNAをコードする核酸配列とが機能的に連結(functional linkage)されていることをいう。例えば、プロモーターと蛋白質またはRNAをコードする核酸配列と作動可能に連結され、コーディング配列の発現に影響を及ぼす可能性がある。組み換えベクターとの作動的連結は、当該技術分野でよく知られている遺伝子組み換え技術を用いて実現することができ、部位−特異的DNA切断及び連結には、当該技術分野で一般に知られている酵素などを用いる。
【0035】
本発明のベクターは、プラスミドベクター、コスミドベクター、ウィルスベクターなどを含む。適した発現ベクターは、プロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル、エンハンサーなどの発現調節要素の他にも、膜標的化または分泌のための信号配列またはリーダー配列を含み、目的に応じて様々に製造できる。開始コドン及び終結コドンは、一般に、免疫原性標的蛋白質をコードするヌクレオチド配列の一部と見なされるもので、遺伝子作製物が投入されたとき、個体で必ず作用を示さなければならず、コーディング配列とインフレーム(in frame)に存在しなければならない。ベクターのプロモーターは構成性または誘導性を有する。また、発現ベクターは、ベクターを含有する宿主細胞を選択するための選択性マーカーを含み、複製可能な発現ベクターの場合に複製起源を含む。ベクターは自己複製しあるいは宿主DNAに統合できる。
【0036】
より好ましい様態において、本発明は、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する組み換えウィルスベクター組成物を提供する。
【0037】
本発明において、「組み換えウィルスベクター」は、一つまたはそれ以上の異種性遺伝子を含んでいるウィルスベクターをいい、本発明ではJab1遺伝子を有するウィルスベクターである。前記ウィルスベクターは、好ましくはレプリコンの欠乏したベクターである。
【0038】
組み換えウィルスベクターは、レトロウィルス(Retrovirus)、例えばHIV(Human immunodeficiency virus)、MLV(Murine leukemia virus)、ASLV(Avian sarcoma/leukosis)、SNV(Spleen necrosis virus)、RSV(Rous sarcoma cirus)、MMTV(Mouse mammary tumor virus)など;アデノウィルス(Adenovirus)、アデノ関連ウィルス(Adeno-associated virus)、ヘルペスシンプレックスウィルス(Herpes simplex virus)などから由来する組み換えウィルスベクターであるが、これに制限されない。
【0039】
Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸は、当該分野の公知方法、例えばベクター型のネイキッドDNAに直接注射し(Wolff et al., Science, 247:1465-8, 1990: Wolff et al., J Cell Sci. 103:1249-59, 1992)、リポソーム(Liposome)、陽イオン性高分子(Cationic polymer)などを用いてウィルス感染疾患を治療または予防の目的で患者の細胞内に伝達できる。リポソームは、遺伝子伝達のためにDOTMAまたはDOTAPなどの陽イオン性リン脂質を混合して製造したリン脂質膜であって、陽イオン性のリポソームと陰イオン性の核酸を一定の割合で混合すると、核酸−リポソーム複合体が形成される。この複合体は、細胞内へエンドサイトシスされてエンドソーム内に滞留する(Schaefer-Ridder M et al., Sceience. 215(4529):166-168, 1982; Hodgson et al., Nat Biotechnol., 14(3):339-342, 1996)。エンドソームから流入した遺伝子が細胞質を経て核へ移動する度合いが遺伝子転移と治療効率を決定する。このような遺伝子転移方法は、免疫原性が低くて繰返し投与が可能であり、安定性が高いという利点があるが、遺伝子発現効率が低いという欠点がある。遺伝子輸送に用いられる陽イオン性高分子としては、ポリ−L−リジン(poly-L-lysine)、スペルミン(spermine)、ポリエチレンイミン(PEI:polyethylenimine)、キトサン(chitosan)などがある(Hashida, Br J Cancer., 90(6):1252-1258, 2004; Wiseman, Gene Ther., 10(19):1654-1662, 2003; Koping-Hoggard, Gene Ther.,8(14):1108-1121, 2001)。遺伝子を陽イオン性高分子と複合体の形で体内投与する場合、遺伝子の体内滞留時間及び発現持続時間がネイキッドDNA(naked DNA)に比べて著しく増加するものと明らかになった。
【0040】
別の様態として、本発明は、Jab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む、プラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物を提供する。
【0041】
感染した細胞でJab1を発現するように操作された感染性ウィルス粒子を患者細胞へ感染させる場合、その発現効率を増大させることができるため、治療効果が優れる。
【0042】
本発明の組み換えウィルス含有組成物に使用できる組み換えウィルスは、レトロウィルス、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス、ヘルペスシンプレックスウィルスなどを含み、これに制限されない。好ましくは、レトロウィルスまたはアデノウィルス、より好ましくはアデノウィルスが使用できる。
【0043】
レトロウィルスの場合、宿主細胞の染色体内に非可逆的に融合されるため、遺伝子発現が長期間持続されるという利点がある。アデノウィルスの場合、一般的な遺伝子治療の研究で最も多く用いられてきたシステムで様々な種類の哺乳類細胞に使用可能である。アデノ関連ウィルスの場合、遺伝子を伝達する宿主細胞の範囲が広く、繰返し投与の際に免疫副作用が少なく、遺伝子発現期間が長いという利点がある。ヘルペスシンプレックスウィルスの場合、神経組織に親和性が大きいウィルスであって、神経細胞の正常機能に影響を及ぼさず、核中で染色体の外部に安定な染色体副体(episomal element)として存在する。複製−欠乏ヘルペスシンプレックスウィルスを遺伝子転移に使用してレポーター遺伝子の発現期間を研究した結果、神経系で1年以上発現が持続されると報告された。
【0044】
別の様態として、本発明は、薬理学的有効量のJab1蛋白質、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、またはJab1蛋白質発現組み換えウィルスをウィルス感染疾患の治療または予防が必要な対象に投与し、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防する方法を提供する。
【0045】
本発明の治療方法に用いられるJab1蛋白質、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、またはJab1蛋白質発現組み換えウィルスは上述した通りである。
【0046】
本発明の治療方法は脊椎動物のウィルス感染疾患の予防または治療のためのもので、脊椎動物には人や家畜などの哺乳動物を含む。
【0047】
上述したようなJab1蛋白質、Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸、またはJab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む本発明の薬学組成物は、フラビウィルス科に属するウィルス、好ましくはフラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患の治療または予防に使用される。特に、フラビウィルス感染疾患の治療または予防に好ましく使用できる。前記ウィルスは発熱、発疹、出血、黄疸、関節痛、筋肉痛、脳炎、髄膜炎などを発病させるということが公知になっており(Watt et al., Am J Trop Med Hyg., 68(6):704-706, 2003; Anninger et al., Clin Infect Dis., 38(7):55-56, 2004)、本発明の薬学組成物は前記疾病の発病の抑制または治療に使用することができる。
【0048】
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な担体を含むことができる。薬剤学的に許容される担体としては、経口投与の場合には結合剤、滑沢剤、崩解剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを使用することができ、注射剤の場合には緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張剤、安定化剤などを混合して使用することができ、局所投与用の場合には基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを使用することができる。本発明の薬剤学的組成物の剤形は、上述したような薬剤学的に許容される担体と混合して様々に製造できる。例えば、経口投与の場合には錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、サスペンション、シロップ、ウェーハなどの形に製造することができ、注射剤の場合には単位投薬アンプルまたは多数回投薬の形に製造することができる。
【0049】
本発明の薬学組成物は、目的の組織に到達することができる限り、いずれの一般的な経路によっても投与できる。したがって、本発明の組成物は、局部、経口、非経口、鼻内、静脈内、筋肉内、皮下、眼内、経皮などで投与でき、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、徐放型製剤などに剤形できる。好ましい剤形は注射剤である。注射は皮下注射、筋肉内注射及び静脈注射などが可能である。
【0050】
本発明の組成物は、治療学的または予防学的有効量で投与できる。投与量は、患者の疾病種類及び重症度、年齢、性別、投与方法、標的細胞、発現度合いなど様々な要因によって異なり、当該分野の玄人によって容易に決定できる。
【0051】
別の様態において、本発明は、(a)Jab1蛋白質発現細胞を培養する段階、(b)段階(a)の細胞を、Jab1蛋白質の発現を促進させる候補化合物と接触させる段階と、(c)段階(b)段階におけるJab1蛋白質の発現量を、候補化合物と接触させていない対照群の発現量と比較する段階と、(d)Jab1蛋白質発現量の増加を示す化合物を確認する段階とを含み、Jab1蛋白質の発現を促進させる物質を検定する方法に関するものである。
【0052】
別の様態として、本発明は、(a)Jab1蛋白質発現組み換えベクター及びフラビウィルスまたはペスティウィルスのCp蛋白質発現組み換えベクターで形質転換された細胞を培養する段階と、(b)段階(a)の細胞を、Jab1の蛋白質とCp蛋白質の相互作用を促進させる候補化合物と接触させる段階と、(c)段階(b)におけるCp蛋白質の発現量を、候補化合物と接触させていない対照群の発現量と比較する段階と、(d)Cp蛋白質発現量の減少を示す化合物を確認する段階とを含み、Jab1蛋白質とCp蛋白質の相互作用を促進させる物質を検定する方法に関する。
【0053】
前記検定方法において、フラビウィルスまたはペスティウィルスのCp蛋白質は、好ましくは西ナイルウィルスのCp蛋白質を使用することができる。
【0054】
Jab1蛋白質及びCp蛋白質の発現量の差は蛋白質水準またはmRNA水準で確認することができる。
【0055】
蛋白質発現量の水準は、それぞれの蛋白質をゲルにローディングした後、電気永動によって確認することができるが、好ましくはJab1蛋白質またはCp蛋白質に対する抗体を用いた抗原−抗体複合体の形成量から免疫検定法で確認することができる。このような分析方法としては、ウェスタンブロット、RIA、免疫沈澱分析法などがある。
【0056】
前記検出方法において、抗原−抗体複合体の形成量は、検出ラベル(detection label)のシグナルの大きさから定量的に測定可能である。このような検出ラベルは、酵素、蛍光物、リガンド、発光物、微小粒子(microparticle)、レドックス分子及び放射線同位元素からなる群の中から選択することができ、必ずしもこれに制限されるのではない。
【0057】
抗原−抗体複合体の形成を検出するために、比色法(colorimetric method)、電気化学法(electrochemical method)、蛍光法(fluorimetric method)、発光法(luminometry)、粒子計数法(particle counting method)、肉眼測定法(visual assessment)及び閃光計数法(scintillation counting method)からなる群の中から選択される方法を用いることができ、必ずしもこれらに制限されるのではない。
【0058】
mRNA発現量の水準は、Jab1蛋白質またはCp蛋白質に特異的なプライマーを用いて確認することができる。具体的な分析方法は、RT−PCRまたはノーザンブロットなどがあるが、バンドのパターンと強度を確認することにより、Jab1またはCpのmRNAへの転写を定量的に測定することが可能な、簡便な分析方法であるRT−PCRが好ましい。
【0059】
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するためのものであって、発明の範囲はこれらの実施例によって制限されない。
【0060】
実施例1:ヒト細胞における西ナイルウィルスカプシド(WNV−Cp)蛋白質の発現
様々なヒト細胞株におけるWNV−Cp蛋白質の発現様相を調べるために、リポフェクタミン試薬を用いるトランスフェクション方法によって、ヒト腎臓293T細胞(Human kidney 293T cell;ATCC)、骨肉腫U20S細胞(osteosarcoma U20S cell;ATCC)、HeLa(ATCC)、ヒト神経母細胞腫SK−N−SH細胞(human neuroblastma SK-N-SH cell;ATCC)にWNV−Cpをトランスフェクションさせ、免疫蛍光染色を行った。
【0061】
293T、U20S、HeLa細胞及びSK−N−SH細胞にpcDNA3−HA/WNV−Cp(pcDNA3.1WNV−Cpをテンプレートとし、配列番号3と配列番号4のプライマーを用いてWNV−Cpを増幅させ、WNV−Cp DNAをEcoRI/XhoIで切ってpcDNA3HAプラスミドに挿入することによりpcDNA3HA/WNV−Cpを製作)をトランスフェクションして24時間後に固定した後、1次HA−マウス単一クローン抗体(1:100)(Santa Cruz)と2次FITCコンジュゲートされた抗体(secondary fluorescein isothiocyanate(FITC)-conjugated antibody)(1:100)(Sigma)を用いて免疫蛍光染色し、UV共進点顕微鏡でWNV−Cp蛋白質(緑色)の発現を観察した。核はDAPI(青色)で染色した。WNV−Cp蛋白質は、293T、U20S、HeLa細胞株では核小体に存在し(図1)、SK−N−SH細胞株では細胞質に存在することを確認した(図2)。
【0062】
主に核小体に存在するWNV−CpがSK−N−SHで細胞質に存在することから、WNV−Cpとの相互作用を行う蛋白質の存在を類推可能である。
【0063】
実施例2:ヒト細胞における西ナイルウィルスカプシド蛋白質の細胞死滅の誘導及び観察
HeLa細胞でWNV−Cp蛋白質によって細胞死滅が起こる細胞の典型的な特徴である核凝縮が誘導されるという報告から、WNV−Cp蛋白質が細胞死滅を誘導するという事実と、このような細胞死滅がカスパーゼ−9経路を介して起こるという事実は明らかになっている。これを確認するために、アネキシン−V(Annexin-V)染色、PI染色で観察した。
【0064】
293T、U20S細胞に、対照区ベクターとしてGFP発現ベクターのpEGFP−C2(対照区ベクター;CLONTECH)とpEGFP−WNV−Cp(pcDNA3.1WNV−Cpをテンプレートとし、配列番号3と配列番号7のプライマーを用いてWNV−Cpを増幅させ、WNV−Cp DNAをEcoRI/BamHIで切ってpEGFP−C2プラスミドに挿入することによりpEGFP/WNV−Cpを製作)をそれぞれトランスフェクションした。24時間後、細胞死滅を確認することが可能なホスファチジルセリン(phosphatidylserine)をアネキシン−Vで染色し(赤色)、カールツァイスビジョン顕微鏡(Carl Zeiss vision microscopy)で観察した結果、pEGFP−WNV−Cpをトランスフェクションした細胞で細胞死滅が起こったことを確認した(図3)。
【0065】
293T細胞にGFP発現ベクターのpEGFP−C2(対照区ベクター)とpEGFP−WNV−Cpをそれぞれトランスフェクションした。48時間後、細胞溶解物(lysate)を集めて細胞死滅を測定することが可能なPI(Propidium iodide)で染色してFACS分析した結果、対照区ベクターのpEGFPをトランスフェクションした場合は、15.97%の細胞死滅を示すが、pEGFP−WNV−Cpをトランスフェクションした場合は、27.03%の細胞死滅を示した(図4)。
【0066】
実施例3:西ナイルウィルスカプシド蛋白質との相互作用を行う蛋白質のスクリーニング
WNV−Cpの細胞死滅誘導は、カプシド蛋白質の細胞死滅を起こしうる調節因子との直間接的な相互作用を起こして誘導される可能性がある。したがって、カプシド蛋白質による細胞死滅が誘導される過程をより具体的に理解するために、WNV−Cp蛋白質との相互作用を行う調節因子を発掘する必要がある。調節因子の発掘のために、西ナイルウィルスの主要感染組織であるヒト脳のcDNAライブラリーを用いてイーストツーハイブリッドアセイを行った。
【0067】
まず、配列番号3及び配列番号4のプライマーを用いてpcDNA3.1WNV−CpからWNV−Cp(450bp)をPCR法によって増幅させた。これをTRP1マーカーとGal4−DNA結合ドメイン(binding domain)を含んだpGBK−T7ベクターのEcoRIとSalI部位にクローニングしてpGBK−T7 WNV−Cp構造物を生成した。
【0068】
配列番号3(Forward primer)
5′−CCG GAA TTC TCT AAA AAA CCA GGT GGC CCC GG−3′
配列番号4(reverse primer)
3′−CCG CTC GAG CTA CGC GCC CAC GCT GGC GAT CAG−5′
pGBK−T7 WNV−Cpプラスミドをベイト(bait)として用い、LEU2マーカーを含んだGal4活性ドメインの下位融合産物であるヒト脳のcDNAライブラリー(Clontech)をプレイ(prey)として用いてイーストツーハイブリッドアセイを行った。イーストストレインAH109にバイトプラスミドpGBK−T7 WNV−Cpをリチウムアセテート(lithium acetate)方法でトランスフェクションさせ(Gietz et al. 1995)、Y187菌株に予め形質転換されたヒト脳のcDNAライブラリー1mLを混ぜて交配させた後、選択マーカーとして用いられたアデニン、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファンのないSD培地を有する150mmプレート50個に塗抹して945個のコロニーを得(図5a)、同一のプレートにカプシド蛋白質との相互作用が可能な候補群を選択した(図5b)。2回目のスクリーニングでx−galを有するSD(−Ade−Leu−His−Trp)選択性培地でレプリカプレーティング(replica plating)して、青色を帯びるクローンを得た(図5c)。このクローンを再び確認して80個のクローンを獲得した(図5d)。このクローンのプラスミドをリティケース(lyticase)を用いた方法で分離し、配列番号5及び配列番号6のプライマーを用いてシーケンシングし、ブラストサーチ(Blast search)して蛋白質を糾明した。
【0069】
配列番号5(Forward primer)
5′−CTA TTC GAT GAA GAT ACC CCA CCA AAC CC−3′
配列番号6(reverse primer)
3′−AGT GAA CTT GCG GGG TTT TTC AGT ATC TAC GAT−5′
Jab1、TPR1、RanBPM(RanBP9)、PAP−1BP、Snapin(Synaptosomal-associated protein)、Bassoon protein、likely ortholog of mouse rabphilin3A、CG13214−PAの8個の蛋白質を獲得した。
【0070】
実施例4:Jab1による西ナイルウィルスカプシド蛋白質の転位 (translocation)
実施例3でWNV−Cp蛋白質と相互作用するものと明らかになったJab1発現が細胞に及ぼす影響を確認するために、WNV−Cp蛋白質とJab1を293T、U20S、HeLa細胞株に共に同時に発現させた。293T、U20S、HeLa細胞に、HAタグを有するpcDNA−HA/WNV−CpとFlagタグを有するpCMV Tag2B−Jab1を同時にトランスフェクションさせ、24時間後に抗−HA(緑色)抗体と抗−Flag抗体(赤色)を用いて染色し、共進点顕微鏡で観察した。WNV−Cpの免疫蛍光シグナルは、Jab1と共に細胞質に現われることを図6から分かる。MergeはWNV−CpとJab1の発現を重ねて同位置に発現されるかを示し、PCは位相差(Phase contrast)であって、細胞全体模様を示した。
【0071】
WNV−Cp蛋白質とJab1の相互作用を確認するための免疫沈澱(IP)分析を行った。Flag−Jab1とHA−WNV−Cpプラスミドを293T細胞に同時にトランスフェクションして全体細胞溶解物を抗−HAマウス抗体で免疫沈澱した。対照区として抗−Myc抗体を共に免疫沈澱した。12%のSDS−PAGEに電気永動してニトロセルロース膜にトランスファーした後、抗−Flagマウス抗体でJab1の発現を観察した(図7)。
【0072】
WNV−Cp蛋白質を免疫沈澱したとき、Jab1の発現が観察されるので、Jab1は293T細胞株でWNV−Cp蛋白質と相互作用し、これによりWNV−Cp蛋白質が核小体から細胞質へ転位誘導された。
【0073】
実施例5:Jab1による西ナイルウィルスの細胞死滅阻害
病原性蛋白質(Pathogenic protein)のWNP−Cpは、ミトコンドリア/カスパーゼ−9(mitochondria/caspase-9)経路によって細胞死滅を起こすものと知られている。したがって、Jab1が、WVP−Cpによって誘導される細胞死滅に及ぼす影響をカスパーゼ活性から調べた。
【0074】
60mmのプレートに293T細胞を3×10で培養してpcDNA3−HA、pcDNA3−HA/Cp、pCMV−tag2B−Jab1、pcDNA3−HA/CpとpCMV−tag2B−Jab1、pcDNA3−Baxをそれぞれトランスフェクションした。24時間後、細胞を1×PBSで2回洗浄し、1.5mLのチューブに細胞を集めてバッファC(25%のグリセロール、0.42M NaCl、1.5M MgCl、0.2mM EDTA、20mM HEPES、1mM DTT、0.5mM PMSF、pH7.9)20μLを入れて溶解させた。氷で10分間培養した後、遠心分離して上澄液のみを集め、蛋白質の濃度を測定して96ウェルプレートに100〜300μgの蛋白質を入れた。ここにカスパーゼ発色基質セットIIプラスキット(caspase colorimetric substrate set II plus kit;Biovision)の2×反応バッファ50μLと4mMのDNAコンジュゲートされた基質5μLを仕込み、37℃で1時間培養した後、マイクロタイタープレートリーダー(microtiter plate reader)によって410nmでカスパーゼ活性を測定した。カスパーゼ3とカスパーゼ9に対する各蛋白質のカスパーゼ活性を測定した結果を示すものが図8Aである。WNV−Cpのカスパーゼ3とカスパーゼ9に対する活性は、pro−apoptotic Bcl−2ファミリ蛋白質Baxと類似の活性を示し、Jab1を共に発現させた場合、JabによるWNV−Cpのカスパーゼ活性が著しく減少した。カスパーゼ活性の分析に使用した蛋白質の発現をウェスタンブロットで示したものが図8Bである。
【0075】
Jab1が細胞内に発現されると、ミトコンドリアカスパーゼ−3及び−9(Mitochondria/caspase-3, -9)経路によって細胞死滅を起こすWNV−Cpを核小体から細胞質へ移動させるので、WNV−Cpによる細胞死滅が阻害されるものと判断される。
【0076】
実施例6:Jab1による西ナイルウィルスカプシド蛋白質の分解
Jab1がWNV−Cpの分解を促進させるかどうかを調べるために、26Sプロテアソーム抑制剤のLLnL(Sigma)を処理してWNV−Cpの発現量を比較してみた。
【0077】
60mmのプレートに293T細胞を3×10となるようプレートしてpcDAN3−HA/WNV−Cp単独、pcDAN3−HA/WNV−CpとpCMV−tag2B−Jab1を同時にエフェクテントランスフェクション製剤(Effectene transfection reagent;Qiagen)を用いてトランスフェクションした。同時トランスフェクションの場合、発現されるDNAの量を同一にするため、トランスフェクション12時間後、ピペッティング(pipetting)によって2つのプレートに分けた。トランスフェクション20時間後、プロテアソーム抑制剤LLnL(N-acetyl-L-luecinyl-norleucinalm、Sigma)を20μM/mlの濃度で4時間処理した。処理後、1×PBSで洗浄して細胞を集めた後、50μgの蛋白質をローディングし、抗−HA抗体(Santa Cruz)を用いてウェスタンブロットし、WNV−Cpの発現量を確認した。Jab1の発現を抗−FlagM2抗体(Sigma)を用いて調査し、アクチンはローディング対照区として用いた。
【0078】
その結果、WNV−Cp単独発現に比べてJab1を同時に発現させる場合、WNV−Cpの分解が誘導されて蛋白質量が著しく減少するが(図9のレイン1、2)、LLnLを処理する場合、検出されるWNV−Cpの量が増加することからみて、Jab1によるWNV−Cpの分解が抑制されることを確認した(図9のレイン3)。
【0079】
これより、Jab1はユビキチンプロテアソーム経路を介してWNV−Cpの分解を誘導することによりWNV−Cpの機能を抑制させることが分かった。
【0080】
実施例7:信号伝達体系調節物質による細胞死滅抑制
SH−SY5Yに西ナイルウィルスカプシド遺伝子を注入した後、カプシド蛋白質が発現される細胞における細胞死滅率を、アネキシンV−PEで染色してFACS(BioRAD、Win BRYTE)で分析した。FACS結果はA、B、CとD区域に分けられる。A区域は西ナイルウィルスカプシド遺伝子が注入されておらず、アネキシンV−PEで染色された細胞群を、B区域は西ナイルウィルスカプシド遺伝子が注入されており、アネキシンV−PEにも染色された細胞群を、C区域は西ナイルウィルスカプシド遺伝子が注入されておらず、アネキシンV−PEにも染色されていない細胞群を、D区域は西ナイルウィルスカプシド遺伝子が注入されているが、アネキシンV−PEには染色されていない細胞群を示す。
【0081】
C2−Cp遺伝子を流入していない正常細胞における細胞死滅率は14.0%であったが(図10)、西ナイルウィルスのカプシド蛋白質を発現する細胞の細胞死滅率は69.6%であった(図11)。西ナイルウィルスのカプシド蛋白質が発現されると、細胞は高い細胞死滅率を示すことが確認できた。陰性対照群として、pEGFP−N1を注入した細胞の細胞死滅率は23.8%を示したが(図12)。これはEGEPの信号が非常に強くてFL2の信号と交差して発生したもので、実際的には、細胞死滅率はこれより低い可能性がある。
【0082】
SH−SY5Yに西ナイルウィルスカプシド遺伝子をトランスフェクションし、6時間経過後、PI3K抑制剤のワートマニン(wortmanin;Sigma)200nMを処理し、Akt抑制剤のカルビオケム(calbiochem;CN Biosciences)5μMと50μMを処理した。24時間経過後、細胞死滅過程の一つの段階を検出することが可能なアネキシンV−PEで染色し、細胞死滅比率をFACS(BioRAD、WinBryte)で分析した。SH−SYS5Yで遺伝子がトランスフェクションされた細胞比率は約10〜30%であった。トランスフェクションされた細胞は緑色蛍光領域のFL3領域で調査し、アネキシンv−PE結合有無はFL2領域で調査した。カプシド蛋白質が発現される細胞における細胞死滅比率は数式1で計算した。pEGFP−N1プラスミドをトランスフェクションした細胞を陰性対照群として、抑制剤を処理せずC2−Cpプラスミドをトランスフェクションした細胞を陽性対照群として用いた。
【0083】
【数1】

西ナイルウィルスのカプシド蛋白質が発現された細胞では、69.6%の細胞死滅が観察されたが、50μMのAkt抑制剤のカルビオケムと200nMのPI3K抑制剤のワートマニンを処理した場合、それぞれ15.9%と22.8%の細胞死滅率を示し、これら抑制剤を処理した場合、西ナイルウィルスのカプシド蛋白質による細胞死滅が抑制されることが分かった(図13〜図15)。すなわち、西ナイルウィルスのカプシド蛋白質発現による細胞死滅が、PI3K抑制剤とAkt抑制剤を処理した場合に抑制されることを確認した。
【0084】
実施例8:Jab1発現による内因性(endogenous)p53発現の減少
COPシグナロソーム複合体は、腫瘍抑制剤遺伝子p53をリン酸化させてUb−26Sプロテアソーム−依存的経路を介して分解させる(Bech-Otschir et al., EMBO J., 20(7):1630-1639, 2001)。Jab1はCOPシグナロソーム複合体の構成要素中の一つなので、p53とJab1が相互作用するものと見なし、Jab1がp53の発現に及ぼす影響を調査した。
【0085】
U20S細胞にFlag/mdm2(対照区)とFlag/Jab1をそれぞれ1、3、5μgの濃度でリポフェクタミン/プラス試薬(lipofectamin/plus reagent;Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。48時間後、細胞溶解物を集め、BSA(PIERCE)定量法で濃度を測定した。全て100μg/mLの蛋白質を10%のSDSゲルを用いて分離し、ニトロセルロース膜にトランスファーした。このブロットを5%のスキムミルク(skim milk)で30分間ブロッキングしてHA抗−ウサギ抗体(Santa Cruz)とFlag抗−マウス抗体(Sigma)を用いてmdm2とJab1の発現増加に伴うp53の発現量を調べた。p53は対照区のmdm2蛋白質によって殆ど影響されないが、細胞内で発現されるJab1蛋白質の濃度が増加するほど、p53の濃度は著しく減少した(図16)。
【0086】
実施例9:Jab1アデノウィルス安定細胞株(stable cell line)の構築
Jab1の過発現を誘導するアデノウィルス安定細胞株を構築するために、AdEasy XL adenoviral vector system(Stratagene)を使用した。Jab1をpShuttle−IRES−hrGFPベクターのBglII/pvuI酵素部位にクローニングした(図17A及びB)。製造されたpShuttle−IRES−hrGFP/Jab1をマキシプレプ(maxi prep)で精製した後、PmeIで切って連結し、その後AD1を含んでいるBJ5183細胞(Stratagene)にバクテリア形質転換して相同的組み換えアデノウィルスプラスミド(homologous recombinant adenovirus plasmid)を生産した。成長したコロニーを分離して液体培地で培養した後、DNAを抽出した。これをさらにPacI酵素で切ってクローニングを確認した(図17C)。確認されると、哺乳類AD293細胞(Stratagene)にリポフェクタミン/プラス試薬(lipofectamin/plus reagent;Invitrogen)を用いて形質転換して増幅した。生産されたアデノウィルスをさらにAD293細胞にトランスフェクションしてJab1アデノウィルス安定細胞株を作った。
【0087】
アデノウィルス安定細胞株の生産に使用されたAd1−Jab1プラスミドは、2004年8月31日付けで国際寄託機関の韓国ソウル市西大門区弘済1洞361−221ユリムビル2階所在の韓国微生物保存センター(KCCM:Korean Culture Center of Microorganisms)に受託番号KCCM10593で寄託した。
【0088】
実施例10:NIH3T3 Jab1レトロウィルス安定細胞株の生産
pcDNA3−HA/Jab1プラスミドからHA/Jab1を得た後、レトロウィルスを生産することが可能なpLPCXベクター(BD Bioscience)にEcoRI酵素部位にクローニングしてpLPC/HA−Jab1を作った。ピューロマイシン(puromycin;Sigma)抵抗性遺伝子をもっているpLPC/HA−Jab1とウィルスをパッケージングすることが可能なpCLプラスミド(BD Bioscience)を共に293T細胞にリポフェクタミン(Invitrogen)を用いて同時にトランスフェクションして2日後にウィルスが生産されると、0.45μmのフィルタを用いてウィルスのみを精製した。生産されたウィルス1mLと培地2mLを入れ、感染を助けるポリブレン(Sigma)4μg/mLをNIH3T3細胞に共に入れて感染を行った。24時間後、ピューロマイシン(2μg/mL)含有培地に交換した後選別を行って、Jab1レトロウィルス安定細胞株を作った。前記細胞株で生産されたウィルスRetro−Jab1を2004年8月31日付けで国際寄託機関の韓国ソウル市西大門区弘済1洞361−221ユリムビル2階所在の韓国微生物保存センター(KCCM:Korean Culture Center of Microorganisms)に受託番号KCCM10592で寄託した。Jab1のない対照細胞株とJab1高発現細胞株でJab1とp53の発現度合いを検査した。レトロウィルス安定細胞株においてJab1は高発現し、これによりp53の発現は減少した(図18)。
【0089】
図18に示したp53の発現減少は、実施例8の実験結果と一致するもので、Jab1を過発現する組み換えレトロウィルスを用いた安定的な遺伝子転移(gene transfer)によって、ウィルスによるカプシド蛋白質を分解することができることを示す。
【0090】
〔産業上の利用可能性〕
上述したように、本発明のJab1を含むウィルス感染疾患治療組成物は、フラビウィルスまたはペスティウィルスの感染によって誘発される発現、発疹、出血、黄疸、関節痛、筋肉痛、脳炎または髄膜炎などの疾患を効果的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は様々な腫瘍細胞における西ナイルウィルスカプシド(Cp)蛋白質発現様相を示す免疫蛍光分析結果である。
【図2】図2はSK−N−SH細胞における西ナイルウィルスカプシド蛋白質の発現様相を示す免疫蛍光分析結果である。
【図3】図3は様々な細胞で西ナイルウィルスカプシド蛋白質が細胞死滅を誘導することを示すアネキシンアセイ結果である。
【図4】図4は293T細胞で西ナイルウィルスカプシド蛋白質が細胞死滅を誘導することを示すFACS結果である。
【図5】図5は西ナイルウィルスカプシド蛋白質と相互作用する蛋白質を有するクローンを得るイーストツーハイブリッドアセイ過程を示す。
【図6】図6は西ナイルウィルスカプシド蛋白質がJab1によって核小体から細胞質へ移動したことを示す免疫蛍光結果である。
【図7】図7は西ナイルウィルスカプシド蛋白質がJab1と相互作用することを示す免疫沈澱結果である。
【図8】図8はJab1が西ナイルウィルスカプシド蛋白質と同時発現される場合にカスパーゼ活性が低下することを示す結果である。
【図9】図9は26Sプロテアソーム抑制剤LLnLを処理する場合にJab1による西ナイルウィルスカプシド蛋白質の分解が著しく抑制されることを示すウェスタンブロット結果である。
【図10】図10はC2−Cp遺伝子の挿入されていない正常細胞群における細胞死滅を示すFACS結果である。
【図11】図11はpEGFP−C2−Cpプラスミドに遺伝子が注入された細胞群における細胞死滅率を示すFACS結果である。
【図12】図12はpEGFP−N1プラスミドに遺伝子が注入された細胞群における細胞死滅率を示すFACS結果である。
【図13】図13はpEGFP−C2−Cpプラスミドに遺伝子が注入された細胞に200nMのPI3K抑制剤を処理した細胞群における細胞死滅率を示すFACS結果である。
【図14】図14はpEGFP−C2−Cpプラスミドに遺伝子が取り込まれた細胞に5μMのAkt抑制剤を処理した細胞群における細胞死滅率を示すFACS結果である。
【図15】図15はpEGFP−C2−Cpプラスミドに遺伝子が取り込まれた細胞に50μMのAkt抑制剤を処理した細胞群における細胞死滅率を示すFACS結果である。
【図16】図16はJabl濃度の増加に伴うp53発現の減少を示すウェスタンブロット結果である。
【図17】図17はJablアデノウィルス安定細胞株の構築過程のためのベクターシステム製作過程を示す。
【図18】図18はNIH3T3 Jab1レトロウィルス安定細胞株の構築を示すウェスタンブロット結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Jab1(Jun-activation binding protein 1)蛋白質を含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物。
【請求項2】
Jab1蛋白質が配列番号2のアミノ酸配列を有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
Jab1蛋白質が配列番号1のヌクレオチド配列にコードされる請求項1記載の組成物。
【請求項4】
Jab蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物。
【請求項5】
Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸が、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する組み換えベクターである請求項4記載の組成物。
【請求項6】
Jab1蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸が、配列番号1のヌクレオチド配列を有する組み換えベクターである請求項4記載の組成物。
【請求項7】
組み換えベクターが組み換えウィルスベクターである請求項5または6記載の組成物。
【請求項8】
組み換えウィルスベクターが組み換えレトロウィルス、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス及びヘルペスシンプレックスウィルス由来のベクターの中から選択される請求項7記載の組成物。
【請求項9】
Jab1蛋白質発現組み換えウィルスを含む、フラビウィルスまたはペスティウィルス感染疾患を治療または予防するための組成物。
【請求項10】
Jab1蛋白質発現組み換えウィルスが、配列番号2のアミノ酸配列を有するJab1蛋白質発現組み換えウィルスである請求項9記載の組成物。
【請求項11】
Jab1蛋白質発現組み換えウィルスが、配列番号1のヌクレオチド配列にコードされるJab1蛋白質発現組み換えウィルスである請求項9記載の組成物。
【請求項12】
組み換えウィルスがアデノウィルス、アデノ関連ウィルス、ヘルペス及びシンプレックスウィルスの中から選択される請求項9記載の組成物。
【請求項13】
組み換えウィルスがレトロウィルス及びアデノウィルスの中から選択される請求項12記載の組成物。
【請求項14】
感染疾患がフラビウィルス感染疾患である請求項1、4及び9のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
フラビウィルスが西ナイルウィルスである請求項14記載の組成物。
【請求項16】
発熱、発疹、出血、黄疸、関節痛、筋肉痛、脳炎または髄膜炎を治療または予防するための請求項1、4及び9のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
(a)Jab1蛋白質発現細胞を培養する段階と、
(b)段階(a)の細胞をJab1蛋白質の発現を促進させる候補化合物と接触させる段階と、
(c)段階(b)におけるJab1蛋白質の発現量を、候補化合物に接触させていない対照群の発現量と比較する段階と、
(d)Jab1蛋白質発現量の増加を示す化合物を確認する段階とを含み、Jab1蛋白質の発現を促進させる物質を検定する方法。
【請求項18】
(a)Jab1蛋白質発現組み換えベクター及びフラビウィルスまたはペスティウィルスのカプシド(Cp)蛋白質発現組み換えベクターで形質転換された細胞を培養する段階と、
(b)段階(a)の細胞を、Jab1蛋白質とCp蛋白質の相互作用を促進させる候補化合物と接触させる段階と、
(c)段階(b)におけるCp蛋白質の発現量を、候補化合物に接触させていない対照群の発現量と比較する段階と、
(d)Cp蛋白質の発現量の減少を示す化合物を確認する段階とを含み、Jab1蛋白質とCp蛋白質の相互作用を促進させる物質を検定する方法。
【請求項19】
段階(c)での発現量の差を蛋白質水準またはmRNA水準で確認する請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
免疫検定法で蛋白質発現量の差を確認する請求項19記載の方法。
【請求項21】
RT−PCR(Reverse Transcription-Polymerization Chain Reaction)でmRNA発現量の差を確認する請求項19記載の方法。

【公表番号】特表2007−528345(P2007−528345A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517344(P2005−517344)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002190
【国際公開番号】WO2006/025623
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(505116437)サンギュングァン ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】