説明

LCD配向膜のためのマレイミド−N−ビニルラクタム系側基ポリマー

表面ダイレクタ配向膜に使用されるためのポリマーが提供され、
該ポリマーはマレイミド及び/又はその誘導体及びN−ビニルラクタム及び/又はその誘導体を含むコポリマーでなり、
該繰返し単位の少なくとも一部はペンダント側鎖で官能基化されるところのポリマー。本発明のポリマーは液晶デバイスの配向膜材料に、又は−として使用されるのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面ダイレクタ配向膜のためのポリマー、該ポリマーを含む表面ダイレクタ配向膜材料及び該ポリマーを含む配向膜を含む液晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶デバイスは、基板上に配置された又は一組の基板の間に挟まれて配置された液晶材料膜を一般に含む。
【0003】
液晶分子は、ある好ましい方向におけるそれらの長軸に沿って整列する能力を有する、顕著な形状異方性を有する比較的剛体分子である。分子の平均方向は、ベクトル量によって特定付けられ及びダイレクタと呼ばれる。
【0004】
液晶ディスプレイにおいて、外部場、例として電場がない場合は液晶膜の望まれる初期配向は閉じ込め固体基板表面の適した表面処理によって、例として前記液晶バルクに面した閉じ込め基板表面上にいわゆる配向膜(alignment layer)(配向膜(orientation layer))を塗布することによって、一般に行われる。初期の液晶配向は液晶膜と配向膜との間の界面における固体表面/液晶相互作用によって決められる。
【0005】
閉じ込め表面に隣接した液晶分子の配向は弾性力によってバルク中の液晶分子に伝達され、従って全ての液晶バルク分子に対して原則的に同じ配列を与える。
【0006】
液晶膜と配向膜の間の界面に近い液晶分子のダイレクタ(以下、表面ダイレクタと言う)はある方向、例えば、ホメオトロピック配向若しくは垂直配向(VA)とも呼ばれ閉じ込め基板表面と直角に交わる、またはホモジニアス配向若しくは平面配向(PA)とも呼ばれる閉じ込め基板と平行、または基板表面に対して傾斜配向(TA)と呼ばれるある傾斜角、を指し示すことを制限する。
配列の種類は、デバイスの所望のアプリケーションに基いて液晶ディスプレイに使用される。
【0007】
配向膜を定着させるための知られている方法は、例えば、無機膜蒸着法及び有機膜ラビング法がある。無機膜蒸着法において、液晶分子が無機材料及び蒸発条件に応じてある方向に無機膜によって配向されるように、無機膜は閉じ込め基板に対して斜めに無機物質、例として酸化ケイ素、を蒸着することによって基板表面上に形成される。製造費が高いので、それ故に、この方法は大規模生産には向いてなく、この方法は実際には使用されていない。
【0008】
有機膜ラビング法によれば、例えばポリイミドの有機膜は基板表面に形成される。有機被膜はその後、布、例えば綿、ナイロン又はポリエステル、を使用して所定の方向に擦られ、これにより層と接触した液晶分子はラビングによって方向づけられる。
【0009】
ポリイミドは比較的有利な特性、例として化学的安定性、熱安定性などのおかげで、有機表面被膜として大抵の場合、使用される。ポリイミド層の適用は下記のように200−300℃でベイク工程を一般的に含む。
【0010】
ポリイミドは、例えば下記のスキームI又はスキームIIによって製造できる。
【化1】

【化2】

【0011】
第1工程において、テトラカルボン酸無水物及びジアミンの等モル量はアミド溶媒、例としてN−メチルピロリドン(NMP)中で混合される。自然反応が起き、そしてポリイミドのプレポリマーであるポリアミド酸が形成される。この状態において、プレポリマーはその使用者、例としてLCD製造業者に流通される。然しながら、プレポリマー溶液は室温で不安定なので、この溶液はプレポリマーの分解、又は何か他の望まない化学反応を避けるために輸送及び保管まで冷却される。
【0012】
一般に、ポリアミド酸は液晶デバイス製造業者によって、しばしばNMP及びブチルセロソルブ4:1(質量/質量)の混合物を用いて約5%に希釈される。
【化3】

【0013】
ポリアミド酸は例えば、透明な、パターン化されたインジウムスズオキシド(ITO)電極層で被覆されたガラス基板上でスピンコーティング又は一種のプリント技術を使用して、一般的に塗布される。ポリアミド酸の層は、続いておよそ100℃でオーブン中で乾燥され、そしてその後、約200℃で1乃至2時間の間加熱される。加熱サイクルの間、ポリアミド酸はポリイミドに変性する。この工程はまた、ポリイミドのキュア又はベーキングと言われる。得られたポリイミドは熱的に非常に安定であり、及び全ての溶媒に溶解しない。このポリマーは、それを分解すること、例えばアルカリ媒体を使用することによってのみ除去できる。
【0014】
この有機膜塗布プロセスの欠点は、長い製造時間及び高い製造費をもたらベーキング工程である。
【0015】
更にその上、高温は収率の減少及び続く薄膜の欠陥をもたらしえるので、高温、例として200℃は、例えばシリコン上の液晶(LCOS)及び薄膜トランジスタ(TFT)の製造において望ましくない。所要のベーキング温度はまたプラスチック基板上に使用するには高すぎる。前記有機膜塗布プロセスを使用して塗布された有機膜と液晶バルク層との間のアンカーした強度を制御することは難しい、。
【0016】
さらに、ポリイミドの手法の1つの欠点は、ポリアミド酸は非常に不安定であり、及び低温、例として冷凍庫中で保管する必要ある。
【0017】
もし一部又は全部の上記不利益が避けられるなら、それは非常に有益である。
【発明の概要】
【0018】
本発明の1つの目的は、先行技術の問題の少なくとも一部を克服すること、及び例として液晶デバイスのための配向膜材料に又は配向膜材料として有利に利用できる材料を提供することである。
【0019】
本願特許請求の範囲に従うマレイミド及びN−ビニルラクタムの繰返し単位に基づくポリマーを提供することによって、少なくとも一部の上記目的が満たせることを本発明者は見出した。
【0020】
従って、第1の態様において、本発明は表面ダイレクタ配向膜に使用されるポリマー、該ポリマーがマレイミド及び/又はその誘導体の繰返し単位並びにN−ビニルラクタム及び/又はその誘導体の繰返し単位を含むコポリマー、該繰返し単位の少なくとも一部はペンダント側基Sxで官能基化されているところのポリマーに関する。
【0021】
本発明のポリマーは高い光及び熱安定性を有している。ビニルピロリドンとエチルマレイミドとのコポリマーは、市販のこれらと比較して、熱安定性及び高品質の配向膜を促進することを示した。側鎖はそれ自身が不安定になることによって安定特性が減少しないよう
に適切に選択されている限り、コポリマーは非常に安定である。
【0022】
幅広い種類の異なる側鎖を備えたコポリマーの溶解度は、標準的な溶媒、例としてNMP及びPGMEAに非常に良好である。
【0023】
従来のポリイミドと比較して、本発明のポリマーは溶液中で更にいっそう安定であり、そして低温で保管することを要求されない。さらに、高められた温度でベーキングすることなしに、キュアを要求することなしに、ガラス又はプラスチック基板上にポリマー膜を形成するので、本発明のポリマーはポリイミドより簡単でそして速いプロセスである。
【0024】
側基Sxはスペーサー基Lを経て前記繰返し単位に結合される。
【0025】
マレイミド繰返し単位及びN−ビニルラクタム繰返し単位はポリマー骨格の繰返し単位の、少なくとも50%、例として少なくとも75%、例えば少なくとも90%になりえる。更にその上、ポリマー骨格中のマレイミド単位及びN−ビニルラクタム単位は1:10乃至10:1、例として1:2乃至2:1の範囲、例えば約1:1であり得る。
【0026】
本発明のポリマーのN−ビニロラクタムはN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン及びN−ビニルカプロラクタムからなる群から選択されえる。
さらに、ポリマーは:
アンカー側基S4で官能基化された繰返し単位;
所望により置換された、ハロゲン化された、枝分かれした又は直鎖の脂肪族の及び芳香族の基、例としてアルキル基、アリール基、又はアルキルアリール基、ポリエーテル基、シロキサン基又はアルコール基、から選択されるペンダント側基S5で官能基化された繰返
し単位;
イオン移動抑制側基S6で官能基化された繰返し単位;
反応性の、好ましくは光反応性の、側基S7で官能基化された繰返し単位;及び
光応答性側基S8で官能基化された繰返し単位
の中から選択される繰返し単位を含みえる。ポリマーは所望により架橋性基を含む。
【0027】
本発明の態様において、ポリマーは顕著な形状異方性を有するペンダント側基S1によ
って官能基化された繰返し単位を含む。顕著な形状異方性を有する前記側基S1は液晶材
料の平面配向を含む側基S1a及び液晶材料の垂直配向を含む側基S1bの中から選択されえる。
【0028】
上記側基の少なくとも一部はマレイミド−窒素原子を経て前記繰返し単位に結合されえる。
【0029】
他の態様において、本発明は固体基板上に堆積した本発明に従う少なくとも一種のポリマーを含む、表面ダイレクタ配向膜に関する。
【0030】
さらに他の態様において、本発明は、前記液晶バルクの表面に接触した、前記少なくとも一種の閉じ込め基板、前記液晶バルク、及び前記少なくとも一種の閉じ込め基板及び前記液晶バルクの間に配列された前記表面ダイレクタ配向膜を含む、液晶デバイスに関し、ここで前記表面ダイレクタ配向膜は本発明に従うポリマーを含む。
例えば、液晶デバイスは:
前記液晶バルクを挟んでいる第1及び第2閉じ込め基板;
前記液晶バルクの表面に接触した、前記第1閉じ込め基板及び前記液晶バルクの間に挟まれた第1表面ダイレクタ配向膜;並びに
前記液晶バルクの表面に接触した、前記第1閉じ込め基板及び前記液晶バルクの間に配
列された第2表面ダイレクタ配向膜;
を含み、
ここで、前記第1及び前記第2表面ダイレクタ配向膜の少なくとも1種、好ましくは両方は、本発明に従うポリマーを含む。
【0031】
更なる態様において、本発明は:
本発明に従う配向膜材料を提供すること;及び
200乃至300nmの範囲の波長を有する直線偏光の電磁放射線で前記配向膜材料を照射すること、
を含む表面ダイレクタ配向膜材料の光配向のための方法に関する。特に、直線偏光の電磁放射線は230乃至270nmの範囲、例えば約250nmの波長を有しえる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の配向膜材料の光配向性のための方法のブロック図である。
【図2】図2は本発明の配向膜を使用した液晶デバイスを図解する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は液晶デバイスのための配向膜材料に又は配向膜材料として使用するのに適したポリマーに関する。
【0034】
本発明のポリマーはマレイミド、N−ビニルラクタム、例としてビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン及びN−ビニルカプロラクタム、並びにその誘導体、の繰返し単位を含むコポリマーであり、ここで前記繰返し単位の少なくとも一部はペンダント側基で官能基化されている。
【0035】
本明細書において、“マレイミド繰返し単位及びN−ビニルラクタムの繰返し単位を含むコポリマー”及び類似の表現は、マレイミドモノマー及びN−ビニルラクタムモノマーの混合物からの重合によって得られるコポリマーに言及する。
【0036】
N−ビニルラクタムは下記化学式I
【化4】

(式中、(CH2)x中のxは2及び10の間、概して3乃至5の整数に言及する。)で表される化合物である。
【0037】
本明細書において、マレイミドは下記化学式:
【化5】

(式中、Sxは水素原子、メチル基、エチル基の中からか、又はここに記載される側基S1、S4、S5、S6、S7及びS8の基から選択されれ、及び
Lはマレイミド環の窒素原子に側基Sxを連結する所望により存在するスペーサー基で
ある。)で表される化合物である。Lが存在しない場合には、側基Sxは直接マレイミド
環の窒素原子に結合されている。
【0038】
N−ビニルラクタム及びマレイミドの混合物は、当技術分野で周知の方法、典型的にはマレイミド及びN−ビニルラクタムのコポリマーを形成するラジカル付加共重合によって重合できる。
【0039】
このようなN−ビニルラクタム及びマレイミドの混合物において、異なるマレイミドのブレンド、例えば異なる側基Sx及び/又はスペーサーLが付いた少なくとも2つの異な
るマレイミドのブレンド、を使用することが可能である。このことはポリマー骨格に結合されている側基及び/又はリンカーの1種より多くが付いたコポリマーを導ける。
【0040】
このような異なるマレイミドのブレンドは得られるポリマーの性質を調整するのに利用されえる。
このようなマレイミドのブレンドの非制限例は以下の本願明細書にさらに記載される。
【0041】
適した重合反応の例は下記実施例に記載される。
【0042】
重合の結果は、下記一般式:
【化6】

を有するマレイミド及びN−ビニルラクタムの繰返し単位を含む。
【0043】
得られたコポリマーにおいて、マレイミド及びN−ビニルラクタム単位は規則的に分散されず、それ故に、ポリマーの正確な構造式は、形状を暗示するものとして、ポリマーが完全に交互コポリマーにならずに、製造することは不可能である。
【0044】
然しながら、反応混合物中のマレイミド及びN−ビニルラクタムモノマーの1:1のモル比で、得られるポリマーの配列はマレイミド−N−ビニルラクタム−マレイミド−N−ビニルラクタム構造と原則的に交互に並ぶ傾向がある。
【0045】
当業者に明らかなように、本発明のポリマーはマレイミド及びN−ビニルラクタム繰返し単位以外の更なる繰返し単位を含みえる。このような繰返し構造の例は、ラジカル付加重合によるポリマー鎖を含むことができるモノマー又はプレポリマー、典型的には当業者に知られている任意の重合可能なエチレン性不飽和化合物を含む。このような重合可能な例として、エチレン性不飽和化合物はスチレン及び(メタ)アクリレートを含むが、これらに制限されない。
【0046】
本発明の態様において、マレイミド及びN−ビニルラクタム繰返し単位は一緒になって、ポリマー中に繰返し単位はポリマー中の繰返し単位の重要な部分になる。典型的には、それらはポリマー鎖の繰返し単位の数に基づいて、少なくとも約50%、例として少なくとも約75%、例えば少なくとも約90%を構成する。100%のマレイミド及びN−ビニルラクタムもまた考慮される。
【0047】
本発明のポリマーにおいて、マレイミド繰返し単位及びN−ビニルラクタム繰返し単位の間の数比は、例えば1:10乃至10:1の間の範囲、好ましくは1:2乃至2:1の間の範囲、例えば約1:1の範囲であり得る。
【0048】
1:1の比に近くなることは、この共重合が交互に行われることに近くなるように、重合の間により安定したポリマー組成を結果的に生じ、及び重合時間の間に同じポリマー組成を維持するための供給組成物の厳密な制御の必要がない。
【0049】
高い割合(マレイミドの過剰)は、結果的にやや短いポリマーを生じえる。低い割合(N−ビニルラクタムの過剰)は、結果的に低密度の側基(Sx)を備えたポリマーを生じ
、通常、側基Sxを支持するマレイミドである。
【0050】
本発明のコポリマーは標準的な溶媒、例としてNMP及びPGMEA、に溶解し、及びそれ故にポリマーの溶液は従来の堆積法の手段、例として限定されるものではないがスピンコート法、スプレーコート法、ドクターブレードコート法、ロールコート法、フレックス印刷法、インクジェット印刷法、浸漬法など、によって基板に堆積されえる。
【0051】
ポリマーはその重合状態で調製され及び溶解されるので、配向膜は基板上に堆積された後に単に溶媒をエバポレートすることによって容易に得られえる。このことは、配向膜を得るために過剰な加熱を必要としないので、温度に影響を受ける基質の使用を可能にする。
【0052】
さらに、このポリマーは堆積後にキュア(curing)する必要がなく、それはただ堆積し、次いで非常に薄い溶媒膜フィルムのエバポレートを含むだけなので、基板上に配向膜を形成するための合計時間は速い。
【0053】
典型的にはマレイミド環の窒素原子を経てマレイミドモノマーに結合されているペンダント側基Sxは、例えば所望により置換された、例としてフルオロ化、直鎖又は枝分かれ
鎖アルキル基、アリール基及びアルキルアリール基、アンカーされた側基、架橋された側基、イオン移動抑制側基、反応性、好ましくは光反応性側基、光応答性側基及び顕著な形状異方性を有する側基のなかから選択された側基を含みえる。然しながら、他の側基は本発明に使用されるため考慮される。
【0054】
側基Sxは、もし必用であれば、互いにスペーサー基L、典型的には0乃至30の連結
原子、例として0又は5乃至15を含む、によってポリマー骨格にそれぞれ結合され、0連結原子は側基が直接結合を経てポリマー骨格に直接結合されている場合を表す。しかしながら、30結合原子より長いスペーサーも本発明における使用を考慮される。
【0055】
スペーサー基Lは例えば、マレイミド環の窒素原子に側基Sxの結合を促進するために
利用されえ、及び結合されている側基の可動性を増加させるためにも使用されえる。
【0056】
スペーサー基Lは典型的には随意に置換された飽和の基又は不飽和の炭化水素鎖、例として、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アルコキシ気又はポリエーテル、アリールオキシ基シロキサン鎖である。典型的な例は炭素原子数5乃至15のアルキル又はアルキルオキシ鎖を含む。
【0057】
本発明の態様によると、顕著な形状異方性を有する側基S1は本発明のポリマーに結合
されえる。
【0058】
例えば、液晶材料(メソゲン)の分子は顕著な形状異方性を示す典型的な分子である。
【0059】
ここで使用される用語“顕著な形状異方性を有する側基”とは、その実環境において顕著な形状異方性を有する分子を参照する。顕著な形状異方性を有する側基はその短軸及びその長軸の間に明白な差異を示し、及びその構造において比較的硬い。
【0060】
本発明の態様において、顕著な形状異方性を有する側基はメソゲン側基である。
【0061】
液晶ハンドブック、第1巻、ファンダメンタルズ出版、ジョン ウィリー アンド ソンス インコーポレーテッド、1998年における定義では、用語“メソゲン性”は中間層を備えた一般的に相溶性のある構造に関する。この定義は本明細書の間中使用される。
【0062】
従って、メソゲン側基はメソゲン構造を有する側基である。“液晶ハンドブック、(上記参照)”において、“メソゲンはメソモルフィック化合物”と等しく、即ち、温度、圧力及び濃度の適した条件下では中間層、即ち、液晶層として存在する化合物である。
【0063】
メソゲンは顕著な形状異方性を有する分子の典型的な例である。従って、メソゲンを含む側基はこの定義下に収まる。一方、側基はメソゲン側基となるためにメソゲンになる必要はなく、そしてメソゲン側基は本発明に使用するために考慮されるメソゲンではない。
【0064】
顕著な形状異方性を有する本発明に従う側基S1は、顕著な形状異方性を示す、直鎖、
カラミティック、例として、棒−又は木摺様、円盤状、サニディック、ピラミッド形、曲がった(バナナともいわれる)形状、シェブロンの形状、又は他の形状を有し得る。
【0065】
基質の表面特性は、少なくとも基板表面と液晶層との間の界面に、前記基板表面に接触した液晶層のメソゲンの配向性に影響を与える。
【0066】
典型的には、界面状態は液晶層をとおって伝搬し、これにより全液晶層の配向性は界面での配向性によって影響をうける。
【0067】
二つの主となる手順が液晶層の配向性に影響を与えるために用いられる。一つ目の手順(表面エネルギー手段)は、下記実施例10のように垂直配向(低い表面エネルギー)を促進させる液晶材料の後尾部との互換性を増加させるか、又は下記実施例12のように平面配向(高い表面エネルギー)を促進させるメソゲン中心部との互換性を増加させるため
に、一般的な表面特性を使用する。他の手段は液晶を一列に並べる立体相互作用を使用する。このような立体相互作用は液晶層が、例として直線様の、木摺様の及び円盤様の顕著な形状異方性を備えた基を示す基板表面に接触している時にとりわけ顕著であり、そして液晶層と基板表面との間の接触面の得られたメソゲンは基板表面上に存在する明確な形状異方性を備えた基の配向性に配列する傾向がある。
【0068】
例として、直線−、木摺−及び円盤−様の形状異方性を備えた基が存在する基板表面に原則配列した形状異方性を備えた基が存在している基板表面、基板表面に面した界面におけるメソゲンも基板表面に平面状に配列する傾向がある。
【0069】
一方で、基板表面に原則垂直に配列された形状異方性を備えた基が存在している基板表面を利用して、基板表面に面した界面におけるメソゲンもまた基板表面に垂直に配列する傾向がある。
【0070】
その代わりに、顕著な形状異方性を備えた側基は、外界面で液晶のメソゲンの配向性に配列する。
【0071】
本発明のポリマーにおける定義された形状異方性を有する側基を利用することによって、液晶材料、例として液晶デバイスのLC−層は、ポリマー骨格に結合されている側基の配向性に配列する傾向にある。
【0072】
顕著な形状異方性を備えた側基を有する本発明のポリマーは斯様に液晶デバイスにおける配向膜として又は配向膜に有利に使用され得、その理由はそれは配向膜と接触して、配向膜と液晶層との間の少なくとも界面におけるメソゲンの配向性に影響を与えるからである。
【0073】
一態様において、界面におけるメソゲンの平面配向、即ち基板表面に原則的に平行、を誘導する、顕著な形状異方性を備えた側基S1a、例として直線−、木摺−及び円盤−様
、は本発明のポリマーに結合されえる。このポリマーに基づく配向膜は液晶層の平面配向を促進するのに使用することができる。実例となる、このようなポリマーの非制限例は下記実施例6に記載される。
【0074】
他の態様において、界面におけるメソゲンの垂直配向、即ち基板表面に原則的に垂直、を誘導する、顕著な形状異方性を備えた側基S1b、例として、直鎖−、木摺−及び円盤−様、は本発明のポリマーに結合されえる。このポリマーに基いて配向膜は液晶分子の垂直配向を促進するのに使用することができる。実例となる、このようなポリマーの非制限例は下記実施例1−3に記載される。
【0075】
例えば、顕著な形状異方性を有する直線的な側基にとって、側基の側面の結合はポリマー表面に沿って長軸と平行(平面)配列を促進しえる。一方、直線的な側基の末端の結合はポリマー表面にその長軸垂直面を備えて垂直の(垂直)配向を促進しえる。然しながら、湾曲した形状(所謂バナナ形状)を有した側基の場合、ポリマー骨格の側面の側基は液晶分子の傾いた配列を促進し、及び末端の結合は液晶分子の平面配向を促進しえる。
【0076】
顕著な形状異方性を有する“直線”側基は、異なる用語、例として、カラミティック(Calamitic)、木摺−様及び棒形状の名前でも知られている。直線の側基は分子の主要部の延長に沿って延長する長軸、及び長軸に対して短軸を垂直面としてはっきりと定義される。
【0077】
本明細書では、用語“末端の結合”は側基分子の長軸の末端又は近くで側基に結合され
ているスペーサー基よってポリマー骨格に結合されている顕著な形状異方性を有する直線の側基に言及する。例えば棒様側基、例としてカラミティックメソゲン基、において、結合点は側基の端末側末端のひとつか又は近くである。
【0078】
本明細書では、用語“側基の結合”は側基分子の長軸に原則的に垂直面であるスペーサー基となるように、側基に結合されているスペーサー基よりポリマー骨格に結合される、顕著な形状異方性を有する直線の側基に言及する。
【0079】
液晶及び関連する用語に関しての用語の更なる定義に対して、言及は“低モル質量及びポリマー液晶に関する基本用語の定義”(IUPAC Recommendations
2001、Pure Appl Chem、第73巻、第5号、845−895頁、2001年)に作成され、ここではこの総てを参照することによって包含される。
【0080】
本発明の態様において、アンカー側基S4は下層の基板にポリマーをアンカーするため
に好ましく使用されえる。アンカー側基S4はポリマー骨格から最終末端の中に又はにお
いて官能性基を備えた、所望により置換された炭素原子数2乃至20の、例えは炭素原子数2乃至8の、炭化水素鎖であって、該官能基は基板表面の化学基、例えば制限されるるものでないが、ガラス基板上の遊離ヒドロキシ基、又は例えば基板表面の予備活性によって導入されたエポキシ基、アミノ基、チオール基又はイソシアノ基、に結合、例として供給結合、イオン結合又は水素結合、を形成できる。
【0081】
アンカー側基に適したこのような官能基の非制限例は、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアノ基、及びグリシジル基を含む。当業者は基板材料によって決まるアンカー側基の適した官能基化を選択することができる。
【0082】
アンカー側基S4の非制限例は、下記構造式(III)乃至(VI):
【化7】

(式中、Zは上記の通りポリマー骨格の部位を表し、及びLはスペーサー基、好ましくは1乃至10のの長さ、例として1乃至5のスペーサー原子、例えばアルキルスペーサーを有する、スペーサー基である。)で記載される。
【0083】
本発明のポリマーの物理化学的特性、例として、ガラス転移温度Tg、弾性係数、蒸着
膜の干渉性、膜平滑、濡れ特性、表面エネルギー、などは、所望により置換された、例としてヘテロ原子で置換された、ハロゲン化された、例としてフッ素化された、枝分かれの又は直鎖の脂肪族の及び芳香族の基、例としてアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基、ポリエーテル基、シロキサン基又はアルコール基から選択される側基S5を含む
ポリマー骨格繰返し単位中に、含まれることによって所望の値に調整されえる。これら特性、特に表面エネルギーは、液晶の配向性方向及びアンカー強度に強い影響を与えることが知られている。
【0084】
所望によりフッ素化を含むS5側基の典型的な例は、例としてパーフルオロ化された、
炭素原子数1乃至18のアルキル基、例として炭素原子数4乃至12のアルキル基又はアルコール基、及びスペーサー基Lとして上記で定義されたこれら基である。
【0085】
例えば、S5側鎖がアルキル鎖である場合、ポリマーのTgはアルキル鎖の長さに比例して一般的に減少する。一方で、S5側鎖がアリール基の場合、ポリマーのTgは一般的に増加する。
【0086】
繰返し単位の一部が顕著な形状異方性を有する側基S1を備えた官能基化されたところ
の本発明のポリマーにおいて、上記に記載したとおり、ポリマーはまた側基S5で官能基
化された繰返し単位も含むことが好ましい。このようなポリマーにおいて、S1乃至S5の比は1:100乃至100:1、典型的には約1:1乃至1:20の範囲である。然しながら、S1又はS5側基のみしか有していない本発明のポリマーはまたある適用においても良好に作用する。
【0087】
本発明の態様において、イオン移動阻害S6基はLCバルク材料中の移動性イオンの濃
度を減少するために、そしてそれ故にLCバルク材料の伝導率を減少するために、配向膜中に利用されえる。イオン移動阻害基は、典型的にはイオンを引き付ける非イオン性の強い極性である。イオン移動阻害性基の例はヒドロキシ基及び、イオントラップ、例としてコロナンド(coronands)、として従来知られている材料を含む、他のものである。
【0088】
本発明の態様において、本発明の組成におけるポリマーは、二つの分離した繰返し単位の連結、例として内部架橋によって、同じポリマー骨格又は外部架橋結合内の二つの繰返し単位の連結している、本発明の2つに分離したポリマーのすくなくとも1種であるところの2つの分離したポリマー骨格の連結している、架橋性基によって架橋されえる。他のポリマーと本発明のポリマーとを連結するための架橋性基を使用することも可能である。
【0089】
本発明において、架橋することは、例として下記に記載される光反応性基と好ましくなされるが、ポリマーに結合されている何れの反応基を使用して熱的に誘導される反応を用いて同様に行われえる。
【0090】
本発明のコポリマーは反応性の、好ましくは光反応性の側基S7を含む。反応性側基は
、温度で引き起こされる変化に影響を受けにくくするために、配向膜の得られた配列を固定するために使用できる。
【0091】
形状異方性を備えた光反応性側基は光照射、例えば直線偏光、によって所望の配向性に配列でき、即ち光は、この偏光と比較してある配向性を有するこれら基の二量化/重合化に使用でき、従ってこのポリマーによりこれら基の好ましい配向性が得られる。
【0092】
このことは、配向性の配列が同時に高い熱安定性を得るような、光配向性はしばしば材料の配列ができ及びその架橋もできる1工程プロセスであり得るので、利点を有している。光配向性はまた、現在使用されるラビング法として、汚れ、擦れ又は静電放電を誘導しないので利益がある。このことはまた、高収率をもたらす、正確な制御を容易にもする。
【0093】
反応性側基の二量化/重合は、それに付いた二つの反応性側基と同じポリマー骨格との間に、又は分離したポリマー骨格に結合されている2つの反応性側基の間に、達成されえる。
【0094】
形状異方性を備えた可能な光反応性基は、制限されるものではないが、カルコン基、クマリン基、シンナミック基を含む。
【0095】
本発明のコポリマーは、光応答性側基S8を含みえる。
【0096】
形状異方性を備えた光応答性側基は例えば直線偏光を用いた照明によって所望の配向性に配列できる。例えば、反応基との組合せにおいて、光は側基を配列するために使用でき、そしてその後、上記に記載されている二量化/重合は、得られた液晶配列上の光反応性基として同じ利点を備えた配列された配向性を付加逆的に固定するために使用できる。この場合、光反応性基は、形状異方性を備えた光反応性基によって行うことができる配向性なので形状異方性を有する必要はない。
【0097】
その代わり、光応答性基は、昇温しながら光によって配列でき、そしてその温度を下げ、それによって配向性の可逆的固定を達成する。本発明に使用するのに適した光応答性基は、制限されるものではないが、アゾ−含有基、スチルベン、等である。
【0098】
そのうえ、本発明に従うポリマーの光配向性は何れの光応答性及び/又は光反応性側基S7の存在から独立して、UV光を使用したポリマー骨格の光配向性によって達成されえ
る。このようなポリマー骨格の光配向性は図1に概略が説明されている。第1に、本発明に従う少なくとも一種のポリマーを含む配向膜材料が提供される。配向膜材料は後述のように基板の上に被覆されえる。第2に、ポリマー骨格の光配向性を達成するために、配向膜材料は200乃至300nmの範囲の波長を有する直線偏光されたUV光を用いて照射される。例えば、UV光は230乃至270nm、例として約250nmの範囲の波長を有し得る。
【0099】
本発明の文脈で定義されるリンカー基及び/又は側基を用いて官能基化されたマレイミドモノマーは当業者に良く知られる方法に従って合成されえる。
【0100】
典型的な合成プロセスは本願明細書の下記実施例欄に記載されている。
【0101】
例えば、無水マレイン酸は官能基化マレイミドモノマーを形成するためにアミンと反応し得る。代わりに、(マレイミド環窒素原子と水素結合を備えた)マレイミドは官能基マレイミドを形成するためにアルコールと共に反応できる。
【0102】
両面液晶デバイス100は図2に記載され、及び相互に隙間をを介してなる第1閉じ込め基板101及び第2閉じ込め基板102を含む。基板101、102の間の隙間に、液晶材料103は配列され、基板101及び102の間に挟まれる。
【0103】
第1基板101上に、液晶材料103と接触した本発明の表面ダイレクタ配向膜104が配置されている。本発明のポリマー上のアンカー側基の存在によって、表面ダイレクタ配向膜104は基板101に化学的に結合される。
【0104】
表面ダイレクタ配向膜104は上記に記載された本発明の少なくとも一種のポリマーを含み、そしてそれ故に、この表面ダイレクタ配向膜104は、表面ダイレクタ104に面した少なくとも界面で又は近くで液晶材料103の垂直配向を促進する。
【0105】
当業者は、本発明の液晶デバイス100が液晶材料103における電場を得る手段を含みえることは認識する。電場における変化は液晶材料103の切り替えを典型的にもたらす。例えばこの様な手段は1対の電極によって表されえる。図1に記載の態様において、第1電極105は配向膜104と基板101の間に配置され、そして第2電極107は第2基板102上に配置される。
【0106】
表面ダイレクタ配向膜104は液晶材料103の表面ダイレクタの垂直配向を誘導する。
【0107】
第2配向膜106は第2基板102と液晶材料103の間に配置される。第2配向膜は本発明のポリマーを含みえ、また代わりに配向膜材料の別の種類のになりえる。
【実施例】
【0108】
本発明は、本発明を更に説明する下記例を参照することによって、これから記載される。実施例は本発明の説明を提供するものであるが、本発明の範囲を制限することを目的とするものではないことに注意していただきたい。
【0109】
市販の化合物は下記の例外:
i)N−ビニル−ピロリドン(NVP)及びn―ビニル―カプロラクタムは添加された安定剤を取り除くために、使用する前に酸化アルミニウムに通され、
ii)乾燥THFが望まれる場合、普通のTHFは使用する前に酸化アルミニウムに通される
を受けいれて使用される。活性、中性、ブロックマン1.58Åの酸化アルミニウム(CAS−1344−28−1)はTHFの乾燥及びNVPの精製に使用される。
【0110】
下記全ての実施例において、当業者によく知られている標準的な反応はポリマーの合成に使用された。重合の配置構造材料は、例えば官能基化されたマレイミド及びN−ビニルピロリドンの共重合によって製造できる。これら材料及び使用される側基の調製は下記に与えられる。
【化8】

【0111】
N−ドデシルマレイミド(VIII):ドデシルアミンをクロロホルムに溶解し、そして当量の無水マレイン酸を添加した。二時間室温で攪拌した後、溶液を取り除いた。形成されたアミド酸は精製せずに使用し、そして無水酢酸に溶解し、そして当量の酢酸ナトリウムを添加した。この混合物を6乃至8時間還流し、そして続いてその溶媒を真空下で取り除いた。残渣は溶離液としてペトロール酢酸エーテル/エチル2/1又は4/1を使用して短いシリカゲルカラムを通過させた。次いでマレイミドはエタノール又はメタノールから再結晶した。この手順はオクチル乃至少なくともヘキサデシルのアミンによく役に立つ。ヘキシル及び短いイミドは液体であり、及び上記とおなじ条件を使用してより注意深くクロマトグラフしなければならない。収率:41%。NMR(CDCI3):δ,パタ
ーン,プロトン数;0.85,t,3;1.25,m;2.6,m,2;3.5,t,2;6.7,s,2.
【0112】
マレイミドXI:II 4.2g(9.55mmol)、マレイミド0.93g(9.55mmol)、及びトリフェニルホスフィン2.5g(9.55mmol)を乾燥テヒドロフラン40mLに溶解させた。アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)9.55mmol(4.4mL 40%トルエン溶液)を反応混合物に滴状添加した。この混合物を室温で3時間攪拌し、そして乾燥するまでエバポレートした。この残渣はペトロール酢酸エーテル/エチル2/1に溶かし、シリカゲルのクロマトグラフによって精製した。収率:2.8g 56%。NMR(CDCI3):δ,パターン,プロトン数;1.0,t,3
;1.1−1.6、3つのm,およそ20;1.8,m,4;3.5,t,2;4,t,2;4.4,t,2;6.7,s,2;7.0,d,2;7.6,2d,4;8.1,d,2.
【0113】
マレイミドXIII:IX6.5g(13mmol)、マレイミド1.26g(13mmol)、及びトリフェニルホスフィン3.4g(13mmol)を乾燥テトラヒドロフラン100mLに溶解した。アゾジカルボン酸ジエチル(5.9mL トルエン40%溶液)13mmolを反応混合物に滴状で添加した。この混合物を室温で3時間攪拌し、及び次いで乾燥するまで乾燥させた。残渣をトルエン/酢酸エチル4/1に溶かし、そしてシリカゲルのクロマトグラフによって精製した。収率:4.0g53%。NMR (CDCI3):δ,パターン,プロトン数;0.9,t,3;1.1−1.6,3m;1.8
,m,4;3.5,t,2;3.9,t,2;4.1,t,2;6.7,s,2;6.9,2d,4;7.1,d,2;8.1,d,2.
【0114】
マレイミドXV:XIV1.5g(4mmol)、マレイミド0.40g(4.1mmol)及びトリフェニルホスフィン1.13g(4.1mmol)を乾燥THF20mLに溶解し、そしてアゾジカルボン酸ジエチル(diethylaxodicarboxylate)0.72g(4.1mmol)を2.19M溶液として添加した。この反応混合物を室温で5時間攪拌した。この溶媒を除去し、そして残渣をぺトロール酢酸エーテル/エチル 2/1中で還流し、そして熱ろ過した。この溶液を真空下で除去し、そして残渣を不純生成物を生じているメタノールから再結晶した。溶離剤としてペトロール酢酸エーテル/エチル2/1を使用したクロマトグラフは再結晶実験の間に損なったせいで純粋な生成物の低い収率を得た。収率;0.3g,0.6mmol,17%.NMR(CDCI3):δ,パターン,プロトン数;。0.9,t,3;1.3,−1.7,3m,12
;1.8,m,4;3.6,t,2;4,t,4;6.7,s,2;6.93,m,4;7.45,m,4.
【化9】

【0115】
一般的に、モノマーに対して、スキームIVに記載された2種の方法の1つが使用される。従来知られているマレイミドを製造するための他の方法もまた使用される。
【化10】

【0116】
マレイミドを製造するための第3の方法は、上記スキームVIに示されている。全ての材料は供給業者からのを使用できる。全工程は窒素雰囲気化で実施された。
【0117】
無水マレイン酸(10mmol、980mg)の30mLトルエン溶液を攪拌し、エチルアニリン(10mmol、1220mg)を滴状で添加した。溶液は沈殿物が生じている間1時間攪拌した。ZnBr2(10mmol、2250mg)を添加し溶液を80℃
まで昇温した。高温のヘキサメチレンジシラザン(HMDS)(14mmol、2250mg)を15分の間シリンジを用いて滴下する、添加が早すぎると焦げを生じる。1時間の加熱後、この反応混合物を0.5%HCl 180mLに注ぎいれ、そして水相をEtAc150mLで2回抽出した。続いて、有機層は飽和NaHCO3及び塩水150mL
で連続して洗浄した。この溶液は乾燥させ、そして溶離剤としてトルエン/EtAc19/1を使用するクロマトグラフを用いて精製した。収率は66%であった。
【0118】
ポリマー合成
実施例1:垂直配向(VA)を促進するコポリマー
【化11】

スキームVII:VAコポリマーの調製
酸化アルミニウムに通すことによって精製したマレイミドXIII0.4mmol(225mg)、N−ドデシルマレイミドVIII1.6mmol(424gm)、NVP2.0mmol(222mg)と、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.12mmol(19mg)とを丸底フラスコ中でベンゼン10mLに溶解させた。そしてフラスコをゴム隔膜で密閉した。この隔膜を通したシリンジ針を用いて真空にし、続いて窒素の注入を行った。10回繰返した真空−窒素注入サイクルはフラスコ中の酸素を取り除くのに使用した。フラスコは、サーモスタット油浴中で60度に加熱した。15時間後、溶液をメタノールに注ぎ、そしてポリマー沈殿を形成した。ポリマーはクロロホルムからメタノールに2回、そしてクロロホルムからアセトン/メタノール1/3混合物に最後の1回再沈殿させた。この溶液をデカントテーションし、そして純メタノールを加えた。最後に、ポリマーを小瓶に移し、そして残りの溶媒を取り除くためにホットプレート上で取り除いた。溶媒の最後の微量を真空オーブンで60℃2時間、ポリマーを加熱することによって取り除いた。収率0.7g、80%。NMR(CDCI3):δ,パターン;
0.9,t;ブロードの主鎖のシグナルの上に1−5の側基のシグナル;6.9,2d;7.1,d;8.1,d.メソゲン/アルキル比に関するこのポリマーの組成は、1
NMRのメチル基及び芳香族のシグナルを用いて決定され、そして1/4.2と分かった。このことは、ピロリンドンを無視して、側基の19.2%は、メソゲンであることを意
味する。
【0119】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは負の誘電異方性(Δε<0)を備えたネマチック液晶MLC6608を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向は垂直、即ち基板垂線に沿う、であった。その後、基板垂線からの液晶配向の好ましい方向のプレ偏向角度はミューラー マトリクス スペクトロメーター(Muller matrix
spectrometer)によって測定された。配向膜が機械的に擦られた場合、1度より小さい、僅かなプレ−偏向が観察される。
【0120】
配向膜はまた良好な熱安定性も示した。
【0121】
実施例2:コポリマーXXVI
【化12】

VAコポリマー:酸化アルミニウムに通して精製した、メソゲンマレイミドXIII0.5mmol(331mg)、パーフルオロヘキシルプロピルマレイミドXXV0.5mmol(228mg)、ドデシルマレイミド1.5mmol(400mg)NVP2.5mmol(277mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.15mmolをベンゼン25mLに溶解した。重合を油浴中60℃で40時間行った。最終ポリマーXXVIを得るために、数mlのクロロホルムからメタノール中に3回及びメタノール/アセトン2/1に1回、再沈殿させることによって精製した。
【0122】
この材料は、類似した収率及び特性を備えた実施物の例として、同様の方法で試験された。この材料はフッ素化基を有している低い表面エネルギーのおかげで遅い充填速度で垂直配向を与えた。
【0123】
実施例3:高Tg VAコポリマー
【化13】

マレイミドXIII0.40mmol(180mg)、N−フェニルマレイミド1.6mmol(277mg)、N−ビニルピロリドン2.0mmol(222mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)をベンゼン10mLに溶解させた。この混合物を実施例1の記載に従って重合及び試験した。収率:0.26g 38%。NMR(CDCI3):δ,pattern;0.
9,bs;1.1−5にブロードの主鎖のシグナルの上の側鎖のシグナル、;6.9,bs;7.0−7.6,bs.
【0124】
固い側基及びメソゲンによって、ガラス温度は柔らかいアルカン鎖を備えた場合と比較して上昇できる。この材料は約200℃のTgを示す。この材料は記載され手順に従って
調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは負の誘電異方性(Δε<0)を備えたネマチック液晶MLC6608を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するために偏光電子顕微鏡下で初めに観察された。このセルの観察された配列は垂直、即ち基板垂線に沿っていた。次いで、基板垂線から液晶配列の好ましい方向のプレ偏向角度はミューラー マトリクス スペクトロメーターによって測定された。配向膜が機械的に擦られた場合、プレ−偏向が得られた。
【0125】
この配向膜はまた良好な熱安定性も示した。
【0126】
実施例4
【化14】

N−ビニル ε−カプロラクタムXXXを備えたVAコポリマー:マレイミドXIII0.4mmol(225mg)、N−ドデシルマレイミド1.6mmol(424mg)、N−ビニル ε−カプロラクタム2.0mmol(278mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)を丸底フラスコ中でベンゼン10mLに溶解し、そしてこのフラスコをゴム隔膜で密閉した。シリンジ針を用いてこの隔膜を通し、真空、続いて窒素供給を適用した。10回繰返した真空−窒素供給サイクルは、フラスコ内の酸素を取り去るために使用された。このフラスコはサーモスタット油浴で60℃まに加熱した。15時間後、溶液はメタノールに注がれ、そしてポリマー沈殿を形成した。このポリマーをクロロホルムからメタノールに2回、クロロホルムからアセトン/メタノール1/3混合液に少なくとも1回再沈殿させた。この上澄溶液を静かに注ぎ、そして純メタノールを添加した。最後に、ポリマーを小瓶に移し、そして残りの溶媒を取り去るためにホットプレートで加熱した。最後の僅かの溶媒は真空オーブン中、70℃4時間ポリマーを加熱して除去した。収率:0.75g、81%。
【0127】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは負の誘電異方性(Δε<0)を備えたネマチック液晶MLC6608を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向は垂直、即ち基板垂線に沿っていた。その後、基板垂線からの液晶配向の好ましい方向のプレ偏向角度はミューラー マトリクス スペクトロメーター(Muller matrix spectrometer)の手段によって測定された。配向膜が機械的に擦られた場合、1度より小さい、僅かなプレ−偏向が観察される。
【0128】
実施例5:平面配向(PA)を促進されたコポリマー
【化15】

酸化アルミニウムに通して精製したしたマレイミドXVI0.4mmol(265mg)、N−オクチルマレイミド1.6mmol(334mg)、NVP2.0mmol(222mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)をベンゼン10mLに溶解させた。重合及び試験は実施例1の製造に従って実施された。収率:0.66g、80%。NMR(CDCI3):δ,パター
ン;0.9,t;1−5にブロードの主鎖のシグナルの上に側鎖のシグナル;6.5,d;6.9,d;7.1,d;8.0,d.メソゲン/アルキル比に関するポリマー組成は1H NMRにおけるメチル基及び芳香族のシグナルを利用して決定され、そして1/1
.8であることが見出された。このことは、ピロリドン基を無視して、側基の36%がメソゲンであることを意味する。
【0129】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はホモジニアス、即ち基板に原則的に平行であった。そして、この配向膜はまた良好な熱安定性も示した。
【0130】
実施例6
【化16】

酸化アルミニウムに通して精製したマレイミドXVII0.1mmol(67mg)、N−ヘキシルマレイミド0.4mmol(106mg)NVP0.5mmol(54mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.03mmol(5mg)を丸底フラスコ中のベンゼン20MLに溶解させ、そしてゴム隔膜で密閉した。シリンジ針を用いてこの隔膜を通し、真空、続いて窒素供給を適用した。10回繰返した真空−窒素供給サイクルはフラスコ内の酸素を取り除くのに使用した。このフラスコはサーモスタット油浴で60℃に加熱した。17時間後、ベンゼンの殆どはローターベイパー(rotavapor)においてエバポレートし、そしてこの溶液をメタノールに注ぎ、そして沈殿したポリマーを形成した。このポリマーはクロロホルムからメタノールへ2回再沈殿させた。最後に、ポリマーXXXIVを小瓶に移し、残りの溶媒を室温で取り除いた。収率:0.10g、44%。
【0131】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。然しながら、サンプルをラビングするかわり、試料を配列させるために、15分間5mW/cm2で15分の間、直線偏光した光の下に置いた。この
セルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はホモジニアス、即ち基板に原則的に平行であった。
【0132】
実施例7:モノマーとしてXVIIIを使用した上記実施例6の方法に従って行ったVAコポリマー
【化17】

酸化アルミニウムに通して精製したマレイミドXVIII0.2mmol(118mg)、N−オクチルマレイミド1.8mmol(477mg)、NVP2.0mmol(222mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)とをベンゼン10mLに溶解させた。重合及び試験は実施例1の調製に従って実施した。
【0133】
収率:0.66g、81%、けい皮酸エステル5%、ドデシル基95%。NMR(CDCI3):δ,pattern;0.9,t;1−5のブロードシグナル,6.5,d;
6.9,d;7.08,d;7.5,d;7.8,d.
【0134】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは負の誘電異方性(Δε<0)を備えたネマチック液晶MLC6608を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向は垂直、即ち基板垂線に沿うであった。この配向膜はまた良好な熱安定性も示した。
【0135】
実施例8:アルキル鎖
【化18】

酸化アルミニウムに通して精製したN−オクチルマレイミド209mg(1.0mmol)、NVP111mg(1.0mmol)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピ
オニトリル)(AIBN)9.8mg(0.12mmol)をベンゼン5mLに溶解した。この重合及び試験は上記VAコポリマーの調整に従って実施された。収率:0.23g、72%、NMR(CDCI3)パターン;0.85,s;1.2,s;1.5,s;1
.6−4.5ブロードシグナル.
【0136】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はラビング及び熱条件によって変化した。アルキル鎖のみのせいで、この材料は低いアンカー強度及び鋭敏な配列を有する。
【0137】
実施例9
【化19】

メソゲンなしでは、材料は低いアンカー強度及びより鋭敏な配列を有する。
【0138】
活性化酸化アルミニウムに通すことによって精製したフッ素化鎖200mg(0.44mmol)アルキル鎖184mg(0.88mg)、N−ビニルピロリドン146mg(1.32mmol)、AIBN13mgとをベンゼン13mLに溶解した。重合及び試験は実施例1に従って実施した。収率180mg.34%。
【0139】
この材料は実施例8を例として同じ方法でセルを調製するのに使用した。これはフルオロ化鎖のせいでとても低い表面エネルギーを有するおかげで、ポリマーXXXVIと比較して非常に低い濡れ性を与えた。
【0140】
実施例10
【化20】

様々なアルカン鎖の長さを備えたコポリマー。8+12アルカン鎖。酸化アルミニウムに通して精製したn−オクチルマレイミド1mmol(209mg)、N−ドデシルマレイミド1mmol(265mg)NVP2mmol(222mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)をベンゼン10mLに溶解した。この重合及び試験は実施例1の調製に従って実施された。収率:0.55g、79%。
【0141】
この材料は実施例1などと同じ方法でセルを製造するのに使用した。これは垂直配向を与えた。実施例8と比較して余分な長さのアルカンを含むことによって、実施例8に記載の方法を使用して試験した場合、この材料のVA安定性は増加し、そしてこの材料は垂直配向を示した。メソゲンが実施例1などを使用した場合よりも、この配向はラビング及び温度により依存する。
【0142】
実施例11
【化21】

酸化アルミニウムに通して精製したN−ブチルマレイミド1mmol(153mg)、NVP1mmol(111mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.06mmol(9.7mg)をベンゼン5mLに溶解した。重合及び試験は実施例1の調製に従って実施した。収率0.1g、38%。
【0143】
前の実施例と比較した場合、短いアルキル鎖はPA促進性の増加に使用され、そしてブ
チルマレイミド系のコポリマーはPA配向及び高いガラス温度を与える。この材料は実施例8などと同じ方法でセルの製造に使用できる。これはラビング誘起プレ−偏向を備えた平面配向を与える。
【0144】
下記一般的な方法c2に記載されたUV光によって方向付けられた場合、良好な、均一の平面配向を与える。
【0145】
実施例12
【化22】

酸化アルミニウムに通して精製したPAコポリマー:エチルフェニルマレイミドXXII 1mmol(201mg)、NVP1mmol(111mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.06mmol(10mg)とをベンゼン10mLに溶解した。重合は60度の油浴中で一晩実施した。数mLのクロロホルムからメタノールへの3回の再沈殿によって精製した。収率:0.180g、NMR(CDCI3)δ,パターン、プロトン数;1.1−1.2末端エチル基炭素原子由来のブロー
ドなトリプレット;3.1−5ブロードな主鎖のシグナルに加えて側基のシグナル;6.9−7.35;芳香族プロトン由来のブロードピーク(ポリマー骨格近くのためにブロード),4.
【0146】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はホモジニアス、即ち基板に原則的に平行、であった。その後、この配向膜はまた良好な熱安定性も示した。
【0147】
この材料はPGMEA及びNMPに溶解性である。高いガラス温度及び平面配向を備えた一般的に“延長された”主鎖としては、アルカン鎖に代わる手段として、他の基を付加するための良い選択にみえる。
【0148】
下記一般的な手段c2に記載されたUV光によって方向付けられた場合、それは良好で均一な平面配向もまた与えられる。
【0149】
実施例13
【化23】

酸化アルミニウムに通して精製したPAコポリマー:エチルフェニルマレイミド1mmol(201mg)、2−ヘキシルオキシビフェニルマレイミド0.5mmol(175mg)、NVP1.5mmol(166mg)と、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.09mmol(15mg)とをベンゼン15mLに溶解した。重合は60度の油浴で22時間実施した。数mLのクロロホルムからメタノール中へ、3回再沈殿することによって精製した。これはNMP及びPGMEAに溶解性である。
【0150】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はホモジニアス、即ち基板垂線に原則的に平行であったが、傾きを持ちラビング条件に高い感応性を備えていた。下記一般的な方法c2に記載されているUV光におって方向付けたとき、それらは良好で均一な平面配向を与えた。
【0151】
実施例14
【化24】

マレイミドコポリマー:ヒドロキシ基を用いた官能基化.6−ヒドロキシヘキシルマレイミド1.0mmol(197mg)、N−オクチルマレイミド1.0mmol(207mg)N−ビニルピロリドン2.0mmol(222mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.12mmol(19mg)をベンゼン5mL及びエタノール5mLの混合物に溶解した。この混合物は60度で15時間の間重合した。ポリマーはジエチルエーテル中に沈殿させ、そしてベンゼン/エタノールからエーテルに一回再沈殿させた。収率:0.29g。NMR(CDCI3),δパターン,プロト
ン数;0.75,bs;1.35−1.75,2ブロードシングレット及びショルダー;3.4及び3.6にそれぞれ現れるイミド窒素原子に隣接したメチレンプロトン及びアルコール由来の非分離のシグナルを含む1.8−4.5のブロードシグナル。
【0152】
得られたコポリマーXLIIIの−OH基 約0.16mmolに相当する100mgの官能基化由来のフォトコポリマー、4−ヘキシルオキシけい皮酸(XLIV)50mg(0.20mmol)、塩化メチレン10mL、及び4−メチルアミノピリジンの触媒量を全ての物質が溶けるまで攪拌した。この混合物を氷浴上で冷却し、そして少量の塩化メチレンに溶解させたDCC(ジシクロヘキシルカルバミド)50mg(0.24mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。形成された尿素沈殿物をろ別し、溶媒を殆どを真空下で除去した。メタノール中にポリマーを沈殿させる試みは失敗した。この溶媒は真空下で除去し、そしてメタノールは残留物に添加され、還流させるさために加熱した。溶媒を熱い間にデカントし、そしてこの手段を二回繰返した。この試験方法は精製に必要であるが、ポリマーXLVのの低い収率40mgを得た。NMR (CDCI3
:δ,パターン;0.85,t;ブローロの主鎖のシグナルの上に1.1−5の側基のシグナル、N−CH2の肩として示される残っている残っている−CH2−OH;6.25,d;6.85,d;7.45,d;7.6,d.けい皮酸エステル/アルキル基の割合は、1/1.5と分かり、ヒドロキシ基のエステルへの添加率は約66%である。
【0153】
この材料は、記載した手順に従って調製したサンドイッチセルのガラス基板の内側表面上に配向膜として堆積した。このセルは正の誘電異方性(Δε>0)を備えたネマチック液晶MLC6873−100を用いて充填され、及び配向膜によって促進された液晶の配列の種類を定義するための偏光顕微鏡下で初めに観察した。このセル中に観察された配向はホモジニアス、即ち基板に沿ったものであった。この配向膜はまた良好な熱安定性も示
し、UV光に対して光指向性である。実施例は官能基化によって側基マレイミド/ビニルカプロラクタム(vincaprolactame)コポリマーを製造するための多くの選択肢のただ1つを示したものである。
【0154】
液晶セルの一般的な製造方法
a.ポリマー溶液の調製
本発明のコポリマーからできている配向膜は溶媒、例としてNMP及びPGMEA、中のコポリマーの0.2%乃至5%の溶液から堆積される。このコポリマー溶液は0.2μmフィルターを通して初めにろ過される。
【0155】
b.コポリマーの沈殿
コポリマー溶液は例えばスピナー(3000rpsの速度)を用いて、ITOからできた事前作製した薄膜導電性電極を有する、クリーンなガラス基板の表面上に拡散される。ついで、この基板は溶媒を取り除くために室温で数時間保持する。基板が上昇した温度(80−120℃)に保たれた場合、このプロセスは短くできる。
【0156】
c1.機械的処理
本発明のコポリマーを含む、例えば平面配向を促進する、配向膜で被覆された基板は、ある方向にそって機械的に擦られえる。擦ることは、垂直配向を促進するコポリマーから形成される配向膜の場合には必要ない。
【0157】
c2.コポリマーの光配向性
感光性コポリマーで被覆された実験用の基板のUV照射は、UVフィルターなしの高圧水銀UVランプからの5mW/cm2の直線偏向を与える、標準的なウシオ(USHIO
)装置で実施される。この感光性ポリマーはPGMA中のポリマーの1質量%溶液からスピンコート法によってガラス基板上に堆積される。次いで、基板は法線入射でUV照射にに露光される。この照射時間は15分が選ばれる。
【0158】
d.セルの調製
二つの基板からなる実験用のセルはお互いに並行に及び数μmの距離で分離されて組み立てた。この基板間の距離はガラス又はポリマースペーサーによって通常固定される。この基板は配向膜で被覆されたそれら表面でお互いに向かいあっている。それが形成するセル間隙は、毛細管力によって液晶で充填される。
【0159】
e.コポリマーの配向性の評価
本発明のコポリマーから形成された配向膜によって促進された、実験用のセル中の液晶の配列の評価は、
・光学的偏光顕微鏡法
・ミューラー マトリクス スペクトロメーター(アイ.ダール、Meas.Sci.Technol.第12巻、1938頁、2001年)
によって実施される。
【0160】
要約すると、本発明のポリマーは液晶デバイスのための配向膜に、又は−として使用するために適している。
【0161】
本発明は上記に記載された実施態様に決して限定されるものでははいことが、当業者は認識する。それどころか、多くの変更及び変化が添付した特許請求の範囲内で可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面ダイレクタ配向膜に使用されるポリマーであって、
前記ポリマーはマレイミド及び/又はその誘導体の繰返し単位並びにN−ビニルラクタム及び/又はその誘導体の繰返し単位を含むコポリマーからなるポリマーであって、
前記繰返し単位の少なくともいくつかはペンダント側基Sxで官能基化されている、
ところのポリマー。
【請求項2】
前記マレイミド繰返し単位及びN−ビニルラクタム繰返し単位は、前記ポリマー骨格の繰返し単位の少なくとも50%、例として少なくとも75%、例えば少なくとも90%になる、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマー骨格中のマレイミド単位及びN−ビニルラクタム単位の間の比率が1:10乃至10:1、例として1:2乃至2:1の範囲、例えば約1:1である、前記いずれかの請求項に記載のポリマー。
【請求項4】
前記N−ビニルラクタムは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリジン及びN−ビニルカプロラクタム(N−vinylcaprolactame)からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載のポリマー。
【請求項5】
前記ポリマーが:
アンカー側基S4で官能基化された繰返し単位;
所望により置換された、ハロゲン化された、枝分かれの又は直鎖の脂肪族の及び芳香族の基、例としてアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ポリエーテル基、シロキサン基又はアルコール基、から選択されたペンダント側基S5で官能基化された繰返し単
位;
イオン移動抑制側基S6で官能基化された繰返し単位;
反応性、好ましくは光反応性、側基S7で官能基化された繰返し単位;並びに
光応答性側基S8で官能基化された繰返し単位
の中から選択される繰返し単位を含む、
前記いずれかの請求項に記載のポリマー。
【請求項6】
架橋性基を含む、前記いずれかの請求項に記載のポリマー
【請求項7】
顕著な形状異方性を有するペンダント側基S1によって官能基化された繰返し単位を含
む、前記いずれかの請求項に記載のポリマー。
【請求項8】
前記側基の少なくとも一部はマレイミドの窒素原子を経て前記繰返し単位に結合されている、前記いずれかの請求項に記載のポリマー。
【請求項9】
前記側基Sxはスペーサー基Lを経て前記繰返し単位に結合される、前記いずれかの請
求項に記載のポリマー。
【請求項10】
顕著な形状異方性を有する前記側基S1は液晶材料の平面配向を誘導する側基S1a、及び液晶材料の垂直配向を誘導する側基S1bの中から選択される、請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
固体基板の上に堆積した、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の少なくとも1種のポリマーを含む、表面ダイレクタ配向膜。
【請求項12】
少なくとも1種の閉じ込め基板と、液晶バルクと、該液晶バルクの表面と接触して、該少なくとも1種の閉じ込め基板と該液晶バルクとの間に配置された表面ダイレクタ配向膜とを含む液晶デバイスであって、該表面ダイレクタ配向膜が請求項1乃至10にいずれか1項に記載のポリマーを含むところの、液晶デバイス。
【請求項13】
前記液晶バルク膜を挟んでいる第1及び第2閉じ込め基板;
該液晶バルクの表面と接触して、該第1閉じ込め基板と該液晶バルクの間に配置された第1表面ダイレクタ配向膜;
該液晶バルクの表面と接触して該第1閉じ込め基板と該液晶バルクとの間に配置された第2表面ダイレクタ配向膜;
を含む請求項12記載の液晶デバイスであって、
該第1及び該第2表面ダイレクタ配向膜の少なくとも1種、好ましくは両方が請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリマーを含む
ところの液晶デバイス。
【請求項14】
請求項11記載の表面ダイレクタ配向膜材料を供給すること、及び
200nm乃至300nmの範囲の波長を有する直線偏光の電磁放射線を用いて前記表面ダイレクタ配向膜材料を照射すること、
を含む、表面ダイレクタ配向膜材料の光配向のための方法。
【請求項15】
前記直線偏光の電磁放射線は230nm乃至270nmの範囲の、例えば約250nmの、波長を有している、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−523486(P2012−523486A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505051(P2012−505051)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002724
【国際公開番号】WO2010/118755
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511247297)
【氏名又は名称原語表記】KOMITOV,Lachezar
【Fターム(参考)】