説明

LEDドライバ、撮像装置、電子機器及びLEDの発光方法

【課題】暗い環境下での3D画像撮影において、3D画像効果を高めることができるLEDドライバを提供する。
【解決手段】左側カメラを含む左側撮像部と右側カメラを含む右側撮像部の各々に対して撮像補助光源となる左側LED及び右側LEDを発光させるLEDドライバであって、前記左側撮像部及び前記右側撮像部から出力される撮影開始タイミング信号をそれぞれ入力される入力端と、前記左側LED及び前記右側LEDにそれぞれ電流を出力する出力端と、を備え、前記左側撮像部及び前記右側撮像部それぞれからの前記撮影開始タイミング信号に同期して、前記左側LED及び前記右側LEDそれぞれに異なる大きさの電流を供給するLEDドライバとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3D撮像装置に用いられるLEDドライバ、撮像装置、電子機器及びLEDの発光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機等に搭載されるデジタル撮像装置においては、室内などの暗い環境下ではLED(Light Emitting Diode)等の補助照明装置を使用して撮影を行う。
【0003】
例えば、特許文献1には、図5に示すような構成のデジタル撮像装置10が開示されている。従来のデジタル撮像装置10は、鏡筒部12と、画像センサ部13と、画像処理及び制御装置20と、記憶部23を備えている。また、光学レンズ部14、第1LED15、第1LEDドライバ17、第2LED25及び第2LEDドライバ27から成る撮影用補助光源装置をデジタル撮像装置10は備えている。画像処理及び制御装置20は、画像信号処理部21と、LEDドライバ制御部22から構成され、デジタル撮像装置10を備えた上位機器の上位制御監視装置30の下で作動する。
【0004】
デジタル撮像装置10においては、暗い環境下での撮影の際、ホワイトバランスデータの値に対応する発光制御値データを記憶装置23からLEDドライバ制御部22に読み出し、LEDドライバ制御部22は、各々の発光制御値データを第1LEDドライバ17と第2LEDドライバ27に出力する。第1LEDドライバ17及び第2LEDドライバ27は、発光制御値データに基づき各々の駆動電流値データを設定し、第1LED15及び第2LED25は各々の駆動電流値に応じた光量で点灯する。第1LED15及び第2LED25の発光は、光学レンズ部14を介して異なる色温度光源の混合及び照射角制御が行われ、被写体を照射する。
【0005】
このように、二つのLEDから発光された異なる色温度の光が混合されて被写体を照射するので、撮影環境下にある光源の色温度と同等の色温度で補助光発光を行える。これにより、被写体の色調が撮影用補助光に影響を受けず、ホワイトバランスの整った撮影結果が得られる。
【0006】
なお、LEDの駆動電流の電流値を制御する制御装置の従来例が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−102208号公報(第1図等)
【特許文献2】特開2007−256715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、上記特許文献1のデジタル撮像装置10において、鏡筒部と画像センサ部から成るカメラ部を一つ追加して所謂2眼タイプの撮像装置とし、左目用画像と右目用画像を撮影する3D画像撮影を行うことが考えられる。
【0009】
しかしながら、デジタル撮像装置10では、第1LED15と第2LED25が近接して設置され、かつ、単一の光学レンズ部14を通して照明光が被写体に照射されるため、被写体の画像の陰影が一方向からのみとなり、左右の視差が小さくなり、3D画像効果が薄れてしまう。
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明は、暗い環境下での3D画像撮影において、3D画像効果を高めることができるLEDドライバ及び発光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るLEDドライバは、
左側カメラを含む左側撮像部と右側カメラを含む右側撮像部の各々に対して撮像補助光源となる左側LED及び右側LEDを発光させるLEDドライバであって、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部から出力される撮影開始タイミング信号をそれぞれ入力される入力端と、
前記左側LED及び前記右側LEDにそれぞれ電流を出力する出力端と、を備え、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部それぞれからの前記撮影開始タイミング信号に同期して、前記左側LED及び前記右側LEDそれぞれに異なる大きさの電流を供給する構成としている。
【0012】
このような構成によれば、暗い環境下での3D画像撮影において、左目用画像と右目用画像の陰影の左右非対称性が向上し、左右の視差を強調した画像を撮像できる。従って、立体感の損なわれない3D撮影が可能となる。
【0013】
また、上記構成において、前記左側撮像部による撮影の際には前記左側LEDの供給電流を前記右側LEDの供給電流より大きくし、前記右側撮像部による撮影の際には前記右側LEDの供給電流を前記左側LEDの供給電流より大きくするようにしてもよい。
【0014】
また、上記いずれかの構成において、交互に発光する前記左側LED及び前記右側LEDの発光タイミングが1/120秒毎であるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る撮像装置は、
上記いずれかの構成のLEDドライバと、
左側カメラを含む左側撮像部と、右側カメラを含む右側撮像部と、
左側LEDと、右側LEDと、を備える構成としている。
【0016】
また、本発明に係る電子機器は、上記構成の撮像装置を備えている。
【0017】
また、本発明に係る発光方法は、
左側カメラを含む左側撮像部と右側カメラを含む右側撮像部の各々に対して撮像補助光源となる左側LED及び右側LEDを発光させる発光方法であって、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部それぞれからの撮影開始タイミング信号に同期して、前記左側LED及び前記右側LEDそれぞれに異なる大きさの電流を供給して前記左側LED及び前記右側LEDを発光させる構成としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、暗い環境下での3D画像撮影において、3D画像効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る上位機器のブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る3Dデジタル撮像装置のブロック構成図である。
【図3】左側カメラによる撮影時の照明の概念図である。
【図4】右側カメラによる撮影時の照明の概念図である。
【図5】デジタル撮像装置の従来例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る3Dデジタル撮像装置100を備えた上位機器200のブロック構成を図1に示す。上位機器200は、種々の電子機器とすることが可能であり、例えば、携帯電話機やデジタルカメラなどとすることができる。なお、例えば上位機器200が携帯電話機である場合は、図1に示す構成の他に、通話機能、メール機能及びインターネット機能に関する構成などを当然に有している。
【0022】
上位機器200は、3Dデジタル撮像装置100と、圧縮処理部110と、メモリ部120と、伸長処理部130と、画像出力部140と、表示部150と、同期信号出力部160と、CPU170と、操作部180を備えている。
【0023】
3Dデジタル撮像装置100は、撮像した左目用画像信号及び右目用画像信号から成る3D画像信号を圧縮処理部110に出力する。3Dデジタル撮像装置100の詳細構成については後述する。
【0024】
圧縮処理部110は、3Dデジタル撮像装置100から出力される3D画像信号に対して例えばMPEG圧縮方式などの動画用の圧縮符号化処理を行う。メモリ部120は、圧縮処理部110により圧縮符号化された圧縮符号化信号を記憶される記憶装置であり、例えばSDカードのような半導体メモリを採用することができる。
【0025】
伸長処理部130は、メモリ部120から読み出された圧縮符号化信号を伸長して復号する。画像出力部140は、伸長処理部130で伸長復号された後の画像信号を表示部150で表示可能な形式の信号に変換する。表示部150は、画像出力部140により変換された後の画像信号に基づき画像を表示し、例えば液晶表示装置で構成される。
【0026】
同期信号出力部160は、左目用画像及び右目用画像の表示部150への交互の表示に不図示の3Dメガネの左右シャッター動作を同期させるための同期信号を3Dメガネに送る。同期信号としては、例えば赤外線信号を用いることができる。交互に表示部150へ表示される左目用画像及び右目用画像を3Dメガネを通して見ることで、左右の視差によって立体感覚を認識することができる。
【0027】
CPU170は、上位機器200全体の動作を制御する制御装置である。操作部180は、撮像を開始するためのキーなどから構成され、ユーザからの指示が入力される。なお、操作部180として、表示部150の前面に配置されたタッチパネルを採用し、撮像の開始をタッチパネルへのタッチにより行ってもよい。
【0028】
3Dデジタル撮像装置100のブロック構成を図2に示す。3Dデジタル撮像装置100は、補助光源として二つのLEDを使用した2眼タイプの撮像装置である。3Dデジタル撮像装置100は、左側カメラ101と、右側カメラ102と、左側LED103と、右側LED104と、LEDドライバ105と、3D画像処理制御装置108を備えている。
【0029】
左側カメラ101は、レンズ部101Aと、画像センサ101Bを有している。右側カメラ102は、レンズ部102Aと、画像センサ102Bを有している。レンズ部101A及び102Aは、被写体の光学像を画像センサ101B及び102Bに結像させると共に光量などの調整を行う。画像センサ101B及び102Bは、入射される光学像を電気信号に変換する固体撮像素子であり、CCDまたはCMOSセンサなどで構成される。
【0030】
3D画像処理制御装置108は、左側カメラ画像処理制御装置106と、右側カメラ画像処理制御装置107を有している。左側カメラ101と左側カメラ画像処理制御装置106から左側撮像部Lが構成され、右側カメラ102と右側カメラ画像処理制御装置107から右側撮像部Rが構成される。
【0031】
左側カメラ画像処理制御装置106は、画像センサ101Bから出力されるアナログ信号の画像信号をデジタル信号の画像信号に変換し、デジタル信号の画像信号に対して各種画像処理を行う。右側カメラ画像処理制御装置107は、画像センサ102Bから出力されるアナログ信号の画像信号をデジタル信号の画像信号に変換し、デジタル信号の画像信号に対して各種画像処理を行う。左側画像処理制御装置106で画像処理された画像信号は、左目用画像信号として、右側画像処理制御装置107で画像処理された画像信号は、右目用画像信号として圧縮処理部110(図1)に出力される。
【0032】
LEDドライバ105は、左側カメラ画像処理制御装置106及び右側カメラ画像処理制御装置107が出力するそれぞれの撮影開始タイミング信号を入力される入力端を有している。また、LEDドライバ105は、発光させるための駆動電流を左側LED103及び右側LED104のそれぞれに出力する出力端を有している。
【0033】
左側LED103は、左側カメラ101の左側に配され、右側LED104は、右側カメラ102の右側に配される。即ち、左側LED103及び右側LED104は、左側カメラ101及び右側カメラ102の外側に配される。左側LED103及び右側LED104は、屋内などの暗い環境下での撮影を補助する光源となる。
【0034】
次に、3Dデジタル撮像装置100における撮像時のLED発光制御について説明する。
【0035】
左側撮像部Lによる撮像の際には、左側カメラ画像処理制御装置106より出力された撮影開始タイミング信号をLEDドライバ105が受け、LEDドライバ105は左側LED103及び右側LED104それぞれに電流を供給する。このとき、左側LED103には、右側LED104よりも大きな電流を供給する。これにより、左側LED103は右側LED104より明るく発光する。
【0036】
左側カメラ101による撮影時の照明の概念図を図3に示す。なお、図3において、左側LED電流供給線1030は、LEDドライバ105から左側LED103に電流を供給するためのラインである。また、右側LED電流供給線1040は、LEDドライバ105から右側LED104に電流を供給するためのラインである。左側LED103が右側LED104より明るく発光することで、被写体109が左右非対称に照明され、左側カメラ101により撮像される。
【0037】
同様に、右側撮像部Rによる撮像の際には、右側カメラ画像処理制御装置107より出力された撮影開始タイミング信号をLEDドライバ105が受け、LEDドライバ105は左側LED103及び右側LED104それぞれに電流を供給する。このとき、右側LED104には、左側LED103よりも大きな電流を供給する。これにより、右側LED104は左側LED103より明るく発光する。
【0038】
右側カメラ102による撮影時の照明の概念図を図4に示す。右側LED104が左側LED103より明るく発光することで、被写体109が左右非対称に照明され、右側カメラ102により撮像される。
【0039】
このように、カメラと同様に照明用のLEDを左右に2つ設置し、2つあるカメラのうち1つのカメラでの画像取得のタイミングに同期させて、2つある照明用LEDの電流値を片側を大きく、他方を小さくする。これにより、取得する左目用画像と右目用画像の陰影の左右非対称性が向上し、即ち、左右の視差を強調した画像を取得できる。従って、屋内などの暗い環境下でも立体感の損なわれない3D撮像が可能となる。
【0040】
なお、左側撮像部Lによる撮像と右側撮像部Rによる撮像は交互に繰り返し行われる。カメラが一つである単眼タイプの撮像装置における動画撮影では、カメラ画像処理制御装置より出力される撮影開始タイミング信号は通常1/60秒毎であり、この周期でのLED発光が必要となる。しかしながら、2眼タイプである本実施形態に係る撮像装置では、左右のカメラ撮影毎にLED発光が必要となるため、1/120秒毎のLED発光が必要となる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変形することが可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、左右のいずれのカメラで撮像する場合も左右両方のLEDに電流を流していたが、左側カメラでの撮像の場合は左側LEDにのみ電流を流し、右側カメラでの撮像の場合は右側LEDにのみ電流を流してもよい。つまり、片側のLEDには電流を流さないことを電流値ゼロの電流を流すと捉えてよい。
【0043】
また、左側カメラでの撮像時には右側LEDを左側LEDより電流を大きくし、右側カメラでの撮像時には左側LEDを右側LEDより電流を大きくしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、左右のLEDを左右のカメラの外側に配置したが、左右のLEDの間隔が十分であれば、左右のLEDを左右のカメラの内側に配置しても同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、あらゆる電子機器に本発明に係るLEDドライバを搭載することにより、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
100 3Dデジタル撮像装置
101 左側カメラ
101A レンズ部
101B 画像センサ
102 右側カメラ
102A レンズ部
102B 画像センサ
103 左側LED
1030 左側LED電流供給線
104 右側LED
1040 右側LED電流供給線
105 LEDドライバ
106 左側カメラ画像処理制御装置
107 右側カメラ画像処理制御装置
108 3D画像処理制御装置
109 被写体
L 左側撮像部
R 右側撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左側カメラを含む左側撮像部と右側カメラを含む右側撮像部の各々に対して撮像補助光源となる左側LED及び右側LEDを発光させるLEDドライバであって、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部から出力される撮影開始タイミング信号をそれぞれ入力される入力端と、
前記左側LED及び前記右側LEDにそれぞれ電流を出力する出力端と、を備え、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部それぞれからの前記撮影開始タイミング信号に同期して、前記左側LED及び前記右側LEDそれぞれに異なる大きさの電流を供給することを特徴とするLEDドライバ。
【請求項2】
前記左側撮像部による撮影の際には前記左側LEDの供給電流を前記右側LEDの供給電流より大きくし、前記右側撮像部による撮影の際には前記右側LEDの供給電流を前記左側LEDの供給電流より大きくすることを特徴とする請求項1に記載のLEDドライバ。
【請求項3】
交互に発光する前記左側LED及び前記右側LEDの発光タイミングが1/120秒毎であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLEDドライバ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のLEDドライバと、
左側カメラを含む左側撮像部と、右側カメラを含む右側撮像部と、
左側LEDと、右側LEDと、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
左側カメラを含む左側撮像部と右側カメラを含む右側撮像部の各々に対して撮像補助光源となる左側LED及び右側LEDを発光させる発光方法であって、
前記左側撮像部及び前記右側撮像部それぞれからの撮影開始タイミング信号に同期して、前記左側LED及び前記右側LEDそれぞれに異なる大きさの電流を供給して前記左側LED及び前記右側LEDを発光させることを特徴とする発光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−101247(P2013−101247A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245342(P2011−245342)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】