LED照明器具
【課題】複数のLED素子が配置されるLED照明器具において、LED素子ごとの光反射特性の組み合わせに柔軟に対応したLED照明器具を提供すること。
【解決手段】LED素子16が複数実装されてなるLED実装基板15と、LED素子16ごとに所望の光反射特性を有してLED素子16から発生する光を反射する光反射器18と、LED実装基板15に載置される光反射器支持基板19とを備えている。光反射器支持基板19は、LED素子16の実装位置に対応する位置に開口部19aを有しており、この開口部19aに光反射器18が装着される。
【解決手段】LED素子16が複数実装されてなるLED実装基板15と、LED素子16ごとに所望の光反射特性を有してLED素子16から発生する光を反射する光反射器18と、LED実装基板15に載置される光反射器支持基板19とを備えている。光反射器支持基板19は、LED素子16の実装位置に対応する位置に開口部19aを有しており、この開口部19aに光反射器18が装着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED素子を使用した照明器具であるLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED素子を光源とする照明器具が提案されている。例えば、基板に複数のLED素子が取り付けられる構成において、個々のLED素子は、反射体層内に形成された複数の開口部を有するカップなどの反射カップの各々の中に配置される。ここで、反射体層は高い反射材料でコーティングされた内面を有している(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−211174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に例示したように、近年提案されているLED照明器具は、基板に取り付けられた個々のLED素子を取り囲む反射カップを有するところ、この反射カップは、基板に積層される反射体層に一体に成形される。
したがって、LED照明器具において、LED素子ごとに光の反射方向や反射強度などの光反射特性が異なる場合、LED照明器具ごとに反射体層を備える必要がある。LED照明器具の照明特性に係る仕様ごとに個々のLED素子に要求される光反射特性の組み合わせは多岐に渡ることが予想され、その組み合わせごとに反射体層を準備する必要がある。LED照明器具の製造上、あらかじめ準備しておくべき反射体層の種類が多数に上り、製造上の管理が煩雑になるおそれがあり問題である。
【0005】
また、複数のLED素子に対する反射カップを一体に成形するため、加工物のサイズが大きく加工形状が複雑になる場合があり、加工精度等に限界があった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、複数のLED素子が配置されるLED照明器具において、LED素子ごとに異なる光反射特性の組み合わせにも柔軟に対応することができ、製造上の負担が軽減されたLED照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)LED照明器具であって、LED素子と、LED素子が複数実装されてなるLED実装基板と、所望の光反射特性を有し、LED素子から発生する光を反射する光反射器と、LED実装基板に載置されLED素子の実装位置に対応する位置に光反射器が装着される開口部を有する光反射器支持基板と、を備えることを特徴とする。
【0008】
LED素子から出射される光を反射する光反射器と光反射器を装着する光反射器支持基板とを別個に備える構成を有している。これにより、LED実装基板に実装されてなるLED素子ごとに光反射特性の異なる光反射器を容易に配置することができる。LED照明器具の照明仕様ごとに個々のLED素子に要求される光反射特性の組み合わせが多岐に渡る場合にも多種類の部品を備える必要はなく、要求仕様に対して柔軟に対応することができる。様々な仕様に対して容易に対応することができる。LED照明器具を製造する際の在庫部材点数を削減して製造上の管理の簡略化を図ることができ、製造コストや製造に要する時間の短縮を図ることができる。
【0009】
更に、複数のLED素子に対応する光反射器をまとめて成形することに代えて1つのLED素子に対応する光反射器を個別に成形するため、成形加工が容易になり、高い精度の光反射特性を有する光反射器の成形が可能となる。また、光反射器支持基板の開口部へ装着される光反射器の種類を所望の光反射特性に応じて変更することで、LED照明器具の光反射特性を容易に変更することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明に係るLED照明器具は、光反射器と、光反射器支持基板と、LED実装基板と、を透明な樹脂により封止してもよい。これにより、光反射器と、光反射器支持基板と、LED実装基板と、を固着する。また、LED実装基板について、防湿加工及び防滴加工を行うことが可能となる。
【0011】
(3)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は光反射特性に応じた形状とすることができる。例えば、光反射壁面を平面とし、平面をLED実装基板の光照射面の法線に対して所定の角度を有して形成することで、形成角度に応じて所定の方向へ光を反射させることが可能となる。
【0012】
(4)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、円錐面でもよい。光反射壁面を円錐面とし、円錐面とLED実装基板の光照射面の法線とがなす角度を調整することで、光反射壁面により反射される光を任意の光分布とすることが可能となる。また、円錐面を形成する円錐の軸を所定の方向に設定することで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0013】
(5)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は楕円面でもよい。光反射壁面を楕円面とし、楕円面の第1焦点へ光源であるLED素子を配置することで、楕円面の第2焦点へ光を集中して反射することが可能となる。また、楕円面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0014】
(6)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、放物面でもよい。光反射壁面を放物面とし、放物面の焦点へ光源であるLED素子を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。また、放物面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0015】
(7)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、双曲面でもよい。光反射壁面を双曲面とし、双曲面の焦点へ光源であるLED素子を配置することで、光反射器が無い場合に比べて光を広い範囲に拡散させることが可能となる。また、双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のLED素子が配置されるLED照明器具において、LED素子ごとに所望の光反射特性が異なる場合にも、またLED素子ごとの光反射特性を個別に変更する場合にも、個々に異なる光反射特性の光反射器をLED素子ごとに個別に装着することができるLED照明器具を製造上の負担を軽減して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係るLED照明器具10の斜視図
【図2】実施例に係るLED照明器具10の平面図
【図3】実施例に係るLED照明器具10の断面図
【図4】実装基板11の断面図
【図5】LED実装基板15の断面図
【図6】光反射基板14の断面図
【図7】光反射器18の断面図
【図8】光反射器支持基板19の断面図
【図9】集光型の光反射器18aの断面図
【図10】狭角型の光反射器18bの断面図
【図11】広角型の光反射器18cの断面図
【図12】横照射型の光反射器18dの断面図
【図13】LED照明器具24による光照射の様子を示す図
【図14】LED照明器具25による光照射の様子を示す図
【図15】LED照明器具26による光照射の様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るLED照明器具10の斜視図、図2は図1に斜視図として示したLED照明器具10の平面図、図3は図1に斜視図として示したLED照明器具10の断面図である。
【0019】
図1乃至図3に示すように、実施例に係るLED照明器具10は、発光基板11と筐体12と、透明樹脂などで作成されたカバー13と、を備える。発光基板11には、LED素子16が、5×5のマトリクス状に実装されている。筐体12は、発光基板11から発生する熱を逃すための放熱フィン(不図示)及び発光基板11へ電力を供給するための電源回路(不図示)などが内蔵されている。
【0020】
実装基板11は、図4にその断面図により示す様に、LED実装基板15と光反射基板14とを備える。LED実装基板15には、図5において後述するように、LED素子16が5×5のマトリクス状に配線基板17に実装されており、電気的に通電制御が可能な回路を構成して結線がなされている。また、光反射基板14は、図6において後述するように、LED素子16が実装されている位置に開口部19aを備えて、この開口部19aにLED素子16が配置されるように、LED実装基板15上に積層されて取り付けられている。LED実装基板15と光反射基板14とは、ネジなどを用いて固定され、あるいはカバー13などの樹脂部材などにより封止して固定される。また、LED照明器具10を構成する個々の部品について、防湿、防滴の効果を奏することができる。
【0021】
図5にLED実装基板15の断面図を示す。LED実装基板15には、LED素子16が5×5のマトリクス状に実装され、総計25個のLED素子16と配線基板17とを備える。なお、ここでは、LED実装基板15には、5×5のマトリクス状に実装された25個のLED素子16を備えるとして説明したが、LED照明器具10の仕様に応じて、実装されるLED素子16の数、マトリクス状に配置されるLED素子16の縦横の数の比は自由に選択できることはいうもでもない。また、LED実装基板15にマトリクス状に実装されている各々のLED素子16間の配置間隔は、略等間隔であるとしているが、照明器具の仕様に応じて、適宜、異なる配置間隔とできることはいうまでもない。また、LED素子16は、同心円等他の実装パターンで実装されていてもよい。各LED素子16は、筐体12から配線基板17を通じて給電され、発光する。
【0022】
図6に光反射基板14の断面図を示す。光反射基板14は、光反射器18と光反射器支持基板19とを備える。光反射器18は、中空のドーナツ状の形状を有する部材である。ドーナツ状形状の内側面は所定の角度を有しており、その表面は光反射率が良好に加工されている。内側面の角度は、LED素子16からの光を所望の方向に反射させるために設けられる。これにより、LED素子16からLED照明器具10として照明特性に寄与しない方向に出射される光を所望の方向に反射することができ、LED照明器具10の光照射特性を所望の特性にすることができる。有する方向への反射させる機能を有する。
【0023】
光反射器支持基板19は、LED実装基板15に実装されるLED素子16の実装位置に応じた位置に開口部19aを備える。開口部19aには、光反射器18が嵌め込まれて嵌合され、あるいはネジきりがしてある場合にはねじ込みにより螺合されて、装着される。なお、開口部19aは、光反射器18の形状に応じて、円形や矩形などの多角形状などの形状でもよい。この場合、光反射器18は、ドーナツ状の形状を有して内側面の角度と光反射率が所望の状態であれば、円環状のほか、矩形状やその他の多角形状の環状などとすることも可能である。光反射器支持基板19の開口部19aに光反射器18が装着され、光反射基板14を構成する。
【0024】
図7に光反射器18の一例を示す。光反射器18は樹脂や金属などで構成される。そして、光反射器18の内側面は、光の反射率を向上させるために光反射率の良好な部材でコーティングなどがなされ、LED素子16から発せられる光の反射効率を良好なものとする。光反射器18の外側面は円筒状の外側面や多角形状の外側面と同様の形状をしており、光反射器支持基板19の開口部19aの形状に合わせて作成される。また、外側面を円筒形状としながら、光反射機能を奏する内側面を円環状や矩形状などの多角形状の環状などとすることも可能である。これにより、光反射器支持基板19の開口部19aに嵌合や螺合により装着することもできる。図7では、光反射器18の内側面として一例を例示するにとどまるが、光反射器18の内側面の形状や光反射効率などの光反射特性が異なる光反射器18を複数種類も備えておくことができる。光反射器18が光反射器支持基板19の開口部19aに個々に固定されることから、LED照明器具10における光反射器支持基板19の開口部19aの位置に応じて異なる光反射特性を有する光反射器18を装着してLED照明器具10として様々な照明特性を有するLED照明器具10を構成することができる。ここで、光反射特性として、例えば、光の反射方向や反射率を、光の照射方向において、指向性・異方性・局在性を有する特性とすることが考えられる。具体的には、図9乃至図12を例にして後述する。
【0025】
図8に光反射器支持基板19を示す。光反射器支持基板19は樹脂や金属などで構成される。光反射器支持基板19は、LED実装基板15上に載置された場合に、LED素子16が位置する場所に応じて開口部19aを備える。開口部19aの形状は円形状や四角形などの多角形状である。
【0026】
ここで、光反射器18の光反射特性に異方性が要求される場合は、光反射器18の内側面である光反射壁面は形状や光反射率などが中心軸に対して非対称に形成される場合がある。例えば、図12において後述する横出射型の光反射器18dの場合である。光反射器18dは、光反射器支持基板19の開口部19aに嵌合されて装着される場合、開口部19aおよび光反射器18dの外側面が円形であると、嵌合された位置から円周方向に位置ズレが生じてしまうおそれがある。これを防止するためには、嵌合ではなく螺合にて装着すること、開口部19aおよび光反射器18dの外側面の形状を多角形状や楕円形状など中心軸に対して回転が生じない形状とすることで対応することが考えられる。更に、開口部19aと光反射器18dとの一方側に切欠部を備え他方側に切欠部と嵌合する突出部を備える構成とし円周方向の回転ズレを防止することで対応することができる。これにより、嵌合する際の位置決めを確実にし、その後の位置ズレを防止することができる。
【0027】
図9乃至図12に光反射器の例として光反射器18a乃至18dを示す。LED素子16から発せられる光は放射状に出射される。一般的に、LED実装基板15の実装面に対してLED素子16から法線方向の光の強度が最大であり、光の出射方向の法線とのなす角度が大きくなるに伴って強度が減衰するという特性を有している。本実施例において、LED素子16から出射される光のうち、出射方向と法線とがなす角度が一定以上の光は、光反射器18a乃至18dで反射される。そして、光反射器18a乃至18dの内側面の形状に応じて、光の反射方向を制御することが可能となる。
【0028】
図9に示す光反射器18aは集光型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は放物面状または楕円面状である。楕円面状である場合、楕円面の第1焦点にLED素子16を置くことで、楕円面の第2焦点へと光を集光することが可能である。
【0029】
また、図示はしないが内側面で構成される光反射壁面の形状を放物面状とした場合、放物面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器18aから平行光を反射することが可能となる。
【0030】
ここで、放物面状または楕円面状の内側面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0031】
図10に示す光反射器18bは狭角型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は多角錘の側面を構成する平面形状又は円錐の側面を構成する曲面形状であり、LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度が狭角である。LED素子16から出射される光および光反射器18bにより反射される光は、後述する光反射器18cに比べて狭い光分布とすることが可能である。LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度として、例えば、5度程度が考えられる。広角型である光反射器18cと比べて光照射の指向性が向上し、光をより遠くへ届けることが可能となる。
【0032】
図11に示す光反射器18cは広角型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は、狭角型(図10)の場合と同様に、多角錘の側面を構成する平面形状又は円錐の側面を構成する曲面形状である。広角型では、LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度が広角である。LED素子16から出射される光および光反射器18cにより反射される光は、光反射器18bに比べて広い光分布とすることが可能である。LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度として、例えば、20度程度が考えられる。狭角型である光反射器18bと比べて指向性が緩く広角に光が照射されるので、LED照明器具10の周辺を均等に照明することが可能となる。
【0033】
ここで、多角錘または円錐の軸を所定の方向に設定することで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0034】
図12に示す光反射器18dは横照射型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は、左右に非対称である。すなわち、光を照射したい方向には壁面の高さを低くして光の出射および反射を遮断しない構成とする。照射したい方向とは反対の方向には壁面を高くする。LED実装基板15に対する法線と高い壁面を有する光反射壁面とがなす角度は、光反射器18b、18cとは逆方向である。すなわち、光反射壁面が法線の方向に向かって延伸され、光反射壁面あるいはその延長された面がLED素子16を覆うように形成されている。これにより、LED素子16から出射された光は、有効に光を照射したい横方向に向けて反射される。LED素子16から出射される光および光反射器18cにより反射される光を、所望の横方向に集中させることが可能である。LED照明器具10の端部に実装されるLED素子16から出射される光をLED照明器具10による照射の中心方向あるいはその反対側である外方、またその他の方向に反射することができ、LED照明器具10として光の照射特性に多彩にすることが可能となる。
【0035】
また、図示はしないが、内側面で構成される光反射壁面の形状を双曲面状とした場合、双曲面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。また、双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0036】
図13乃至15には、一例としてLED照明器具24乃至26を例示する。
【0037】
図13のLED照明器具24は、装着される光反射器は全て同じ形状のものとする。例えば、広角型の光反射器18c(図11)を装着する。これにより、個々のLED素子16から出射される光は、各々の光反射器により同じ光反射特性を有して反射される。これにより、LED照明器具24は均等な照射特性を有することとなり、実装されるLED素子16の配置位置に応じて均等な照明とすることができる。街路灯などに使用すれば地表を均等に照らす照明とすることができる。
【0038】
図14のLED照明器具25は、LED照明器具24(図13)に装着される光反射器のうち、LED照明器具25の一部に横出射型の光反射器18dを装着する。これにより、LED照明器具24と同様に均等な照明とすることができると共に照明範囲を更に横方向に広げることができる。ガソリンスタンドやその他の店舗などに使用すれば遠方からでも照明を視認することができ、店舗としていち早く認知してもらえるという効果を奏することができる。
【0039】
図15のLED照明器具26は、順次指向性の異なる光反射器18bを装着する。大きな面積を有するなどLED照明器具26からの距離が照射場所によって異なる照明対象物を照明するために構成されるものである。狭角型の光反射器18bを使用して、LED照明器具26と照明対象物との距離に応じて、距離が長いほど光反射器18bの指向性を強くする。近距離を照射する光反射器18b、中距離を照射する光反射器18b、遠距離を照射する光反射器18b、の順に光反射器18bの指向性を順次強くすることで大面積の照明対象物を均等に照明することができる。この場合、近距離を照射する光反射器として、狭角型の光反射器18bに代えて広角型の光反射器18cを使用することもできる。広告塔や看板などの大面積の照明対象物を照明する場合、全体を均等に照明することができる。
【0040】
以上、詳細に説明したように、本実施例よれば、LED照明器具10は、LED素子16から出射される光を反射する光反射器18または18a乃至18dと、光反射器18または18a乃至18dを装着する光反射器支持基板19とを別個に備える構成を有している。これにより、LED実装基板10に実装されてなるLED素子16ごとに光反射特性の異なる光反射器18または18a乃至18dを容易に配置することができる。LED照明器具10の照明仕様ごとに個々のLED素子16に要求される光反射特性の組み合わせが多岐に渡る場合にも、光反射特性に応じた光反射器18または18a乃至18dを備えればよい。LED照明器具が備える全てのLED素子に係る光反射器が一体に成形される部材であれば光反射器の組み合わせの数の部材を備えなければならないところ、在庫として準備すべき部品を低減して要求仕様に対して柔軟に対応することができる。LED照明器具10を製造する際の在庫部材点数を削減して製造上の管理の簡略化を図ることができ、製造コストや製造に要する時間の短縮を図ることができる。
【0041】
更に、個々のLED素子16に対応する光反射器18または18a乃至18dであるので、成形加工が容易になり、高い精度の光反射特性を有する光反射器の成形が可能となる。
【0042】
また、光反射器支持基板19の開口部19aへ装着される光反射器18または18a乃至18dの種類を所望の光反射特性に応じて変更することで、LED照明器具10の光反射特性を容易に変更することが可能となる。
【0043】
また、光反射器18または18a乃至18dと光反射器支持基板19とLED実装基板15とを透明な樹脂により封止すれば、各部財を固着することができると共に、防湿および防滴の加工とすることができる。
【0044】
また、光反射器18a乃至18dに例示したように、光反射器18a乃至18dの内側面である光反射壁面を光反射特性に応じた形状とすることができる。
【0045】
例えば、光反射壁面を平面とし、平面をLED実装基板15の光照射面の法線に対して所定の角度を有して形成することで、形成角度に応じて所定の方向へ光を反射させることが可能となる。
【0046】
また、光反射壁面を円錐面とし、円錐面とLED実装基板15の光照射面の法線とがなす角度を調整することで、光反射壁面により反射される光を任意の光分布とすることが可能となる。
【0047】
また、光反射壁面を楕円面とし、楕円面の第1焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、楕円面の第2焦点へ光を集中して反射することが可能となる。
【0048】
また、図示はされていないが、光反射壁面を放物面とし、放物面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。
【0049】
また、図示はされていないが、光反射壁面を双曲面とし、双曲面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器が無い場合に比べて光を広い範囲に拡散させることが可能となる。
【0050】
また、平面、円錐面、楕円面、放物面、または双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0051】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
【0052】
例えば、本実施例において例示したLED照明器具10では、LED素子16を5×5のマトリクス状に配置する場合を例示して説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。マトリクス状に配置される場合の縦・横それぞれのLED素子16の数は、5つに限らないことはいうまでもない。また、縦・横それぞれの配置数は必ずしも同数である必要ななく、縦・横の配置数が異なる長方形形状であっても良い。その他、LED素子16の配置形状は自在に変更することができる。円形状、楕円形状ほか、任意の形状であってもよい。
【0053】
また、光反射器の光反射壁面の形状についても自在に設定することは可能である。また、光反射壁面の形状のみでなく、光反射率を調整するコーティング剤の部分的な塗りわけなども自在に調整できることは言うまでもない。
【0054】
また、本実施例では、光源としてLED素子を例にとり説明したが、本発明において、光源はLED素子に限定されるものではない。各種ランプ、EL素子等の発光部品等を配置することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 LED照明器具
11 発光基板
12 筐体
13 カバー
15 LED実装基板
14 光反射基板
16 LED素子
17 配線基板
18、18a乃至18d 光反射器
19 光反射器支持基板
19a 開口部
24乃至26 LED照明器具
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLED素子を使用した照明器具であるLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED素子を光源とする照明器具が提案されている。例えば、基板に複数のLED素子が取り付けられる構成において、個々のLED素子は、反射体層内に形成された複数の開口部を有するカップなどの反射カップの各々の中に配置される。ここで、反射体層は高い反射材料でコーティングされた内面を有している(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−211174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術に例示したように、近年提案されているLED照明器具は、基板に取り付けられた個々のLED素子を取り囲む反射カップを有するところ、この反射カップは、基板に積層される反射体層に一体に成形される。
したがって、LED照明器具において、LED素子ごとに光の反射方向や反射強度などの光反射特性が異なる場合、LED照明器具ごとに反射体層を備える必要がある。LED照明器具の照明特性に係る仕様ごとに個々のLED素子に要求される光反射特性の組み合わせは多岐に渡ることが予想され、その組み合わせごとに反射体層を準備する必要がある。LED照明器具の製造上、あらかじめ準備しておくべき反射体層の種類が多数に上り、製造上の管理が煩雑になるおそれがあり問題である。
【0005】
また、複数のLED素子に対する反射カップを一体に成形するため、加工物のサイズが大きく加工形状が複雑になる場合があり、加工精度等に限界があった。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、複数のLED素子が配置されるLED照明器具において、LED素子ごとに異なる光反射特性の組み合わせにも柔軟に対応することができ、製造上の負担が軽減されたLED照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)LED照明器具であって、LED素子と、LED素子が複数実装されてなるLED実装基板と、所望の光反射特性を有し、LED素子から発生する光を反射する光反射器と、LED実装基板に載置されLED素子の実装位置に対応する位置に光反射器が装着される開口部を有する光反射器支持基板と、を備えることを特徴とする。
【0008】
LED素子から出射される光を反射する光反射器と光反射器を装着する光反射器支持基板とを別個に備える構成を有している。これにより、LED実装基板に実装されてなるLED素子ごとに光反射特性の異なる光反射器を容易に配置することができる。LED照明器具の照明仕様ごとに個々のLED素子に要求される光反射特性の組み合わせが多岐に渡る場合にも多種類の部品を備える必要はなく、要求仕様に対して柔軟に対応することができる。様々な仕様に対して容易に対応することができる。LED照明器具を製造する際の在庫部材点数を削減して製造上の管理の簡略化を図ることができ、製造コストや製造に要する時間の短縮を図ることができる。
【0009】
更に、複数のLED素子に対応する光反射器をまとめて成形することに代えて1つのLED素子に対応する光反射器を個別に成形するため、成形加工が容易になり、高い精度の光反射特性を有する光反射器の成形が可能となる。また、光反射器支持基板の開口部へ装着される光反射器の種類を所望の光反射特性に応じて変更することで、LED照明器具の光反射特性を容易に変更することが可能となる。
【0010】
(2)また、本発明に係るLED照明器具は、光反射器と、光反射器支持基板と、LED実装基板と、を透明な樹脂により封止してもよい。これにより、光反射器と、光反射器支持基板と、LED実装基板と、を固着する。また、LED実装基板について、防湿加工及び防滴加工を行うことが可能となる。
【0011】
(3)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は光反射特性に応じた形状とすることができる。例えば、光反射壁面を平面とし、平面をLED実装基板の光照射面の法線に対して所定の角度を有して形成することで、形成角度に応じて所定の方向へ光を反射させることが可能となる。
【0012】
(4)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、円錐面でもよい。光反射壁面を円錐面とし、円錐面とLED実装基板の光照射面の法線とがなす角度を調整することで、光反射壁面により反射される光を任意の光分布とすることが可能となる。また、円錐面を形成する円錐の軸を所定の方向に設定することで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0013】
(5)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は楕円面でもよい。光反射壁面を楕円面とし、楕円面の第1焦点へ光源であるLED素子を配置することで、楕円面の第2焦点へ光を集中して反射することが可能となる。また、楕円面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0014】
(6)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、放物面でもよい。光反射壁面を放物面とし、放物面の焦点へ光源であるLED素子を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。また、放物面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0015】
(7)また、本発明に係る光反射器の備える光反射壁面は、双曲面でもよい。光反射壁面を双曲面とし、双曲面の焦点へ光源であるLED素子を配置することで、光反射器が無い場合に比べて光を広い範囲に拡散させることが可能となる。また、双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複数のLED素子が配置されるLED照明器具において、LED素子ごとに所望の光反射特性が異なる場合にも、またLED素子ごとの光反射特性を個別に変更する場合にも、個々に異なる光反射特性の光反射器をLED素子ごとに個別に装着することができるLED照明器具を製造上の負担を軽減して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に係るLED照明器具10の斜視図
【図2】実施例に係るLED照明器具10の平面図
【図3】実施例に係るLED照明器具10の断面図
【図4】実装基板11の断面図
【図5】LED実装基板15の断面図
【図6】光反射基板14の断面図
【図7】光反射器18の断面図
【図8】光反射器支持基板19の断面図
【図9】集光型の光反射器18aの断面図
【図10】狭角型の光反射器18bの断面図
【図11】広角型の光反射器18cの断面図
【図12】横照射型の光反射器18dの断面図
【図13】LED照明器具24による光照射の様子を示す図
【図14】LED照明器具25による光照射の様子を示す図
【図15】LED照明器具26による光照射の様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の実施例に係るLED照明器具10の斜視図、図2は図1に斜視図として示したLED照明器具10の平面図、図3は図1に斜視図として示したLED照明器具10の断面図である。
【0019】
図1乃至図3に示すように、実施例に係るLED照明器具10は、発光基板11と筐体12と、透明樹脂などで作成されたカバー13と、を備える。発光基板11には、LED素子16が、5×5のマトリクス状に実装されている。筐体12は、発光基板11から発生する熱を逃すための放熱フィン(不図示)及び発光基板11へ電力を供給するための電源回路(不図示)などが内蔵されている。
【0020】
実装基板11は、図4にその断面図により示す様に、LED実装基板15と光反射基板14とを備える。LED実装基板15には、図5において後述するように、LED素子16が5×5のマトリクス状に配線基板17に実装されており、電気的に通電制御が可能な回路を構成して結線がなされている。また、光反射基板14は、図6において後述するように、LED素子16が実装されている位置に開口部19aを備えて、この開口部19aにLED素子16が配置されるように、LED実装基板15上に積層されて取り付けられている。LED実装基板15と光反射基板14とは、ネジなどを用いて固定され、あるいはカバー13などの樹脂部材などにより封止して固定される。また、LED照明器具10を構成する個々の部品について、防湿、防滴の効果を奏することができる。
【0021】
図5にLED実装基板15の断面図を示す。LED実装基板15には、LED素子16が5×5のマトリクス状に実装され、総計25個のLED素子16と配線基板17とを備える。なお、ここでは、LED実装基板15には、5×5のマトリクス状に実装された25個のLED素子16を備えるとして説明したが、LED照明器具10の仕様に応じて、実装されるLED素子16の数、マトリクス状に配置されるLED素子16の縦横の数の比は自由に選択できることはいうもでもない。また、LED実装基板15にマトリクス状に実装されている各々のLED素子16間の配置間隔は、略等間隔であるとしているが、照明器具の仕様に応じて、適宜、異なる配置間隔とできることはいうまでもない。また、LED素子16は、同心円等他の実装パターンで実装されていてもよい。各LED素子16は、筐体12から配線基板17を通じて給電され、発光する。
【0022】
図6に光反射基板14の断面図を示す。光反射基板14は、光反射器18と光反射器支持基板19とを備える。光反射器18は、中空のドーナツ状の形状を有する部材である。ドーナツ状形状の内側面は所定の角度を有しており、その表面は光反射率が良好に加工されている。内側面の角度は、LED素子16からの光を所望の方向に反射させるために設けられる。これにより、LED素子16からLED照明器具10として照明特性に寄与しない方向に出射される光を所望の方向に反射することができ、LED照明器具10の光照射特性を所望の特性にすることができる。有する方向への反射させる機能を有する。
【0023】
光反射器支持基板19は、LED実装基板15に実装されるLED素子16の実装位置に応じた位置に開口部19aを備える。開口部19aには、光反射器18が嵌め込まれて嵌合され、あるいはネジきりがしてある場合にはねじ込みにより螺合されて、装着される。なお、開口部19aは、光反射器18の形状に応じて、円形や矩形などの多角形状などの形状でもよい。この場合、光反射器18は、ドーナツ状の形状を有して内側面の角度と光反射率が所望の状態であれば、円環状のほか、矩形状やその他の多角形状の環状などとすることも可能である。光反射器支持基板19の開口部19aに光反射器18が装着され、光反射基板14を構成する。
【0024】
図7に光反射器18の一例を示す。光反射器18は樹脂や金属などで構成される。そして、光反射器18の内側面は、光の反射率を向上させるために光反射率の良好な部材でコーティングなどがなされ、LED素子16から発せられる光の反射効率を良好なものとする。光反射器18の外側面は円筒状の外側面や多角形状の外側面と同様の形状をしており、光反射器支持基板19の開口部19aの形状に合わせて作成される。また、外側面を円筒形状としながら、光反射機能を奏する内側面を円環状や矩形状などの多角形状の環状などとすることも可能である。これにより、光反射器支持基板19の開口部19aに嵌合や螺合により装着することもできる。図7では、光反射器18の内側面として一例を例示するにとどまるが、光反射器18の内側面の形状や光反射効率などの光反射特性が異なる光反射器18を複数種類も備えておくことができる。光反射器18が光反射器支持基板19の開口部19aに個々に固定されることから、LED照明器具10における光反射器支持基板19の開口部19aの位置に応じて異なる光反射特性を有する光反射器18を装着してLED照明器具10として様々な照明特性を有するLED照明器具10を構成することができる。ここで、光反射特性として、例えば、光の反射方向や反射率を、光の照射方向において、指向性・異方性・局在性を有する特性とすることが考えられる。具体的には、図9乃至図12を例にして後述する。
【0025】
図8に光反射器支持基板19を示す。光反射器支持基板19は樹脂や金属などで構成される。光反射器支持基板19は、LED実装基板15上に載置された場合に、LED素子16が位置する場所に応じて開口部19aを備える。開口部19aの形状は円形状や四角形などの多角形状である。
【0026】
ここで、光反射器18の光反射特性に異方性が要求される場合は、光反射器18の内側面である光反射壁面は形状や光反射率などが中心軸に対して非対称に形成される場合がある。例えば、図12において後述する横出射型の光反射器18dの場合である。光反射器18dは、光反射器支持基板19の開口部19aに嵌合されて装着される場合、開口部19aおよび光反射器18dの外側面が円形であると、嵌合された位置から円周方向に位置ズレが生じてしまうおそれがある。これを防止するためには、嵌合ではなく螺合にて装着すること、開口部19aおよび光反射器18dの外側面の形状を多角形状や楕円形状など中心軸に対して回転が生じない形状とすることで対応することが考えられる。更に、開口部19aと光反射器18dとの一方側に切欠部を備え他方側に切欠部と嵌合する突出部を備える構成とし円周方向の回転ズレを防止することで対応することができる。これにより、嵌合する際の位置決めを確実にし、その後の位置ズレを防止することができる。
【0027】
図9乃至図12に光反射器の例として光反射器18a乃至18dを示す。LED素子16から発せられる光は放射状に出射される。一般的に、LED実装基板15の実装面に対してLED素子16から法線方向の光の強度が最大であり、光の出射方向の法線とのなす角度が大きくなるに伴って強度が減衰するという特性を有している。本実施例において、LED素子16から出射される光のうち、出射方向と法線とがなす角度が一定以上の光は、光反射器18a乃至18dで反射される。そして、光反射器18a乃至18dの内側面の形状に応じて、光の反射方向を制御することが可能となる。
【0028】
図9に示す光反射器18aは集光型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は放物面状または楕円面状である。楕円面状である場合、楕円面の第1焦点にLED素子16を置くことで、楕円面の第2焦点へと光を集光することが可能である。
【0029】
また、図示はしないが内側面で構成される光反射壁面の形状を放物面状とした場合、放物面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器18aから平行光を反射することが可能となる。
【0030】
ここで、放物面状または楕円面状の内側面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向へ傾けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0031】
図10に示す光反射器18bは狭角型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は多角錘の側面を構成する平面形状又は円錐の側面を構成する曲面形状であり、LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度が狭角である。LED素子16から出射される光および光反射器18bにより反射される光は、後述する光反射器18cに比べて狭い光分布とすることが可能である。LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度として、例えば、5度程度が考えられる。広角型である光反射器18cと比べて光照射の指向性が向上し、光をより遠くへ届けることが可能となる。
【0032】
図11に示す光反射器18cは広角型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は、狭角型(図10)の場合と同様に、多角錘の側面を構成する平面形状又は円錐の側面を構成する曲面形状である。広角型では、LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度が広角である。LED素子16から出射される光および光反射器18cにより反射される光は、光反射器18bに比べて広い光分布とすることが可能である。LED実装基板15に対する法線と光反射壁面とがなす角度として、例えば、20度程度が考えられる。狭角型である光反射器18bと比べて指向性が緩く広角に光が照射されるので、LED照明器具10の周辺を均等に照明することが可能となる。
【0033】
ここで、多角錘または円錐の軸を所定の方向に設定することで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0034】
図12に示す光反射器18dは横照射型の構成である。内側面で構成される光反射壁面の形状は、左右に非対称である。すなわち、光を照射したい方向には壁面の高さを低くして光の出射および反射を遮断しない構成とする。照射したい方向とは反対の方向には壁面を高くする。LED実装基板15に対する法線と高い壁面を有する光反射壁面とがなす角度は、光反射器18b、18cとは逆方向である。すなわち、光反射壁面が法線の方向に向かって延伸され、光反射壁面あるいはその延長された面がLED素子16を覆うように形成されている。これにより、LED素子16から出射された光は、有効に光を照射したい横方向に向けて反射される。LED素子16から出射される光および光反射器18cにより反射される光を、所望の横方向に集中させることが可能である。LED照明器具10の端部に実装されるLED素子16から出射される光をLED照明器具10による照射の中心方向あるいはその反対側である外方、またその他の方向に反射することができ、LED照明器具10として光の照射特性に多彩にすることが可能となる。
【0035】
また、図示はしないが、内側面で構成される光反射壁面の形状を双曲面状とした場合、双曲面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。また、双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0036】
図13乃至15には、一例としてLED照明器具24乃至26を例示する。
【0037】
図13のLED照明器具24は、装着される光反射器は全て同じ形状のものとする。例えば、広角型の光反射器18c(図11)を装着する。これにより、個々のLED素子16から出射される光は、各々の光反射器により同じ光反射特性を有して反射される。これにより、LED照明器具24は均等な照射特性を有することとなり、実装されるLED素子16の配置位置に応じて均等な照明とすることができる。街路灯などに使用すれば地表を均等に照らす照明とすることができる。
【0038】
図14のLED照明器具25は、LED照明器具24(図13)に装着される光反射器のうち、LED照明器具25の一部に横出射型の光反射器18dを装着する。これにより、LED照明器具24と同様に均等な照明とすることができると共に照明範囲を更に横方向に広げることができる。ガソリンスタンドやその他の店舗などに使用すれば遠方からでも照明を視認することができ、店舗としていち早く認知してもらえるという効果を奏することができる。
【0039】
図15のLED照明器具26は、順次指向性の異なる光反射器18bを装着する。大きな面積を有するなどLED照明器具26からの距離が照射場所によって異なる照明対象物を照明するために構成されるものである。狭角型の光反射器18bを使用して、LED照明器具26と照明対象物との距離に応じて、距離が長いほど光反射器18bの指向性を強くする。近距離を照射する光反射器18b、中距離を照射する光反射器18b、遠距離を照射する光反射器18b、の順に光反射器18bの指向性を順次強くすることで大面積の照明対象物を均等に照明することができる。この場合、近距離を照射する光反射器として、狭角型の光反射器18bに代えて広角型の光反射器18cを使用することもできる。広告塔や看板などの大面積の照明対象物を照明する場合、全体を均等に照明することができる。
【0040】
以上、詳細に説明したように、本実施例よれば、LED照明器具10は、LED素子16から出射される光を反射する光反射器18または18a乃至18dと、光反射器18または18a乃至18dを装着する光反射器支持基板19とを別個に備える構成を有している。これにより、LED実装基板10に実装されてなるLED素子16ごとに光反射特性の異なる光反射器18または18a乃至18dを容易に配置することができる。LED照明器具10の照明仕様ごとに個々のLED素子16に要求される光反射特性の組み合わせが多岐に渡る場合にも、光反射特性に応じた光反射器18または18a乃至18dを備えればよい。LED照明器具が備える全てのLED素子に係る光反射器が一体に成形される部材であれば光反射器の組み合わせの数の部材を備えなければならないところ、在庫として準備すべき部品を低減して要求仕様に対して柔軟に対応することができる。LED照明器具10を製造する際の在庫部材点数を削減して製造上の管理の簡略化を図ることができ、製造コストや製造に要する時間の短縮を図ることができる。
【0041】
更に、個々のLED素子16に対応する光反射器18または18a乃至18dであるので、成形加工が容易になり、高い精度の光反射特性を有する光反射器の成形が可能となる。
【0042】
また、光反射器支持基板19の開口部19aへ装着される光反射器18または18a乃至18dの種類を所望の光反射特性に応じて変更することで、LED照明器具10の光反射特性を容易に変更することが可能となる。
【0043】
また、光反射器18または18a乃至18dと光反射器支持基板19とLED実装基板15とを透明な樹脂により封止すれば、各部財を固着することができると共に、防湿および防滴の加工とすることができる。
【0044】
また、光反射器18a乃至18dに例示したように、光反射器18a乃至18dの内側面である光反射壁面を光反射特性に応じた形状とすることができる。
【0045】
例えば、光反射壁面を平面とし、平面をLED実装基板15の光照射面の法線に対して所定の角度を有して形成することで、形成角度に応じて所定の方向へ光を反射させることが可能となる。
【0046】
また、光反射壁面を円錐面とし、円錐面とLED実装基板15の光照射面の法線とがなす角度を調整することで、光反射壁面により反射される光を任意の光分布とすることが可能となる。
【0047】
また、光反射壁面を楕円面とし、楕円面の第1焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、楕円面の第2焦点へ光を集中して反射することが可能となる。
【0048】
また、図示はされていないが、光反射壁面を放物面とし、放物面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器から平行光を反射することが可能となる。
【0049】
また、図示はされていないが、光反射壁面を双曲面とし、双曲面の焦点へ光源であるLED素子16を配置することで、光反射器が無い場合に比べて光を広い範囲に拡散させることが可能となる。
【0050】
また、平面、円錐面、楕円面、放物面、または双曲面により区画される立体空間の対称軸を所定の方向に向けることで、所定の方向へ光を照射することが可能となる。
【0051】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
【0052】
例えば、本実施例において例示したLED照明器具10では、LED素子16を5×5のマトリクス状に配置する場合を例示して説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。マトリクス状に配置される場合の縦・横それぞれのLED素子16の数は、5つに限らないことはいうまでもない。また、縦・横それぞれの配置数は必ずしも同数である必要ななく、縦・横の配置数が異なる長方形形状であっても良い。その他、LED素子16の配置形状は自在に変更することができる。円形状、楕円形状ほか、任意の形状であってもよい。
【0053】
また、光反射器の光反射壁面の形状についても自在に設定することは可能である。また、光反射壁面の形状のみでなく、光反射率を調整するコーティング剤の部分的な塗りわけなども自在に調整できることは言うまでもない。
【0054】
また、本実施例では、光源としてLED素子を例にとり説明したが、本発明において、光源はLED素子に限定されるものではない。各種ランプ、EL素子等の発光部品等を配置することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 LED照明器具
11 発光基板
12 筐体
13 カバー
15 LED実装基板
14 光反射基板
16 LED素子
17 配線基板
18、18a乃至18d 光反射器
19 光反射器支持基板
19a 開口部
24乃至26 LED照明器具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子と、
前記LED素子が複数実装されてなるLED実装基板と、
所望の光反射特性を有し、前記LED素子から発生する光を反射する光反射器と、
前記LED実装基板に載置され前記LED素子の実装位置に対応する位置に前記光反射器が装着される開口部を有する光反射器支持基板と、
を備えることを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記光反射器と、前記光反射器支持基板と、前記LED実装基板と、を透明な樹脂により封止することを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記光反射器は、光反射特性に応じた形状の光反射壁面を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
前記光反射器の備える光反射壁面は、平面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項5】
前記光反射器の備える光反射壁面は、円錐面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項6】
前記光反射器の備える光反射壁面は、楕円面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項7】
前記光反射器の備える光反射壁面は、放物面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項8】
前記光反射器の備える光反射壁面は、双曲面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項1】
LED素子と、
前記LED素子が複数実装されてなるLED実装基板と、
所望の光反射特性を有し、前記LED素子から発生する光を反射する光反射器と、
前記LED実装基板に載置され前記LED素子の実装位置に対応する位置に前記光反射器が装着される開口部を有する光反射器支持基板と、
を備えることを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記光反射器と、前記光反射器支持基板と、前記LED実装基板と、を透明な樹脂により封止することを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記光反射器は、光反射特性に応じた形状の光反射壁面を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明器具。
【請求項4】
前記光反射器の備える光反射壁面は、平面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項5】
前記光反射器の備える光反射壁面は、円錐面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項6】
前記光反射器の備える光反射壁面は、楕円面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項7】
前記光反射器の備える光反射壁面は、放物面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【請求項8】
前記光反射器の備える光反射壁面は、双曲面であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のLED照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−89395(P2012−89395A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236225(P2010−236225)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(303050827)株式会社ユーシンテクノ (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(303050827)株式会社ユーシンテクノ (2)
【Fターム(参考)】
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