説明

LED照明装置

【課題】省スペース化やコストの低減を図りつつ放熱効率を向上させるとともに、光学的な検出装置に適した発光制御を簡易に実現可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED発光部40aを筒状金属ケース40bで封止し且つLED発光部40aのアノードAnが筒状金属ケース40bに導通したキャンタイプのLED40と、絶縁性板状部41a及び前記絶縁性板状部41aの一部を被覆する導電性部材41bを含みLED40を複数設置するための基板41とを備え、導電性部材41bは、LED40を構成する筒状金属ケース40bに接触する位置に設けられると共に、LED40を二つ以上電気的に直列接続して列Liを形成する場合に、導電性部材41bを複数の領域Ar1,Ar2に区分して、一つの列Liにおける複数のLED40を構成する筒状金属ケース40bに電気的に接続される領域Ar1,Ar2同士を電気的に絶縁させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを複数搭載したLED照明装置に係り、特にLEDの放熱を適正化したLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通電により発光するLED(発光ダイオード)を用いたLED照明装置が、電光掲示板といった発光ディスプレイ装置など、種々の用途に対して適用されている。このようなLED照明装置を、白熱電球や蛍光灯等の光源に代わる照明器具として用いる場合には、LED発光部で生じる熱が過大となるため、放熱設計を考慮する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1,2には、LEDのリード部(リードピン)を基板上の配線パターン(電路)に接続し、リード部及び配線パターン(電路)をLEDの熱を放熱するための放熱経路として利用したLED照明装置が開示されている。
【0004】
その他の放熱手段として例えば特許文献3には、LEDを実装した基板を、高熱伝導率の筒状体の底部にシリコン樹脂を介して取り付け、放熱手段として筒状体をLED毎に設置したLED照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−284652号公報
【特許文献2】特開2001−284659号公報
【特許文献3】特開2006−244726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、真空環境下に光源部及び光センサを設け、光源部から計測対象物に向けて投光し、その反射光を光センサで検出する光学的な検出装置を構成するにあたり、上記LED照明装置を真空環境下に設置する光源部として用いる場合には、高い信頼性がLEDに要求されるため、LED発光部を樹脂で封止したモールドタイプのLEDではなく、LED発光部を筒状金属ケースで封止したキャンタイプのLEDを用いる必要がある。キャンタイプのLEDは、LED発光部のアノード又はカソードのいずれか一方が筒状金属ケースに導通しているので、不意な短絡を招来しないように回路設計を考慮する必要がある。
【0007】
さらに、真空環境では空気の対流が大気圧環境に比べて極端に少ない又は無いため、より一層放熱効率を向上させることが要求される。例えば、上記特許文献1,2のようにLEDのリード線を放熱経路としても、リード線では点接触又は線接触しかできず、放熱に限度があるので、特許文献3のようにリード部とは別の放熱経路として金属板等の放熱手段を基板とは別体に設けることが一つの有効な手段として考えられる。しかし、この場合には、装置の大形化やコストアップを招来してしまう。
【0008】
さらにまた、LED照明装置で光学的な検出装置の一部を構成する場合には、複数のLEDを均一に発光させなければならないという特有の要求がある。LEDの接続態様は、蛍光灯等の照明器具としての用途においては、複数のLEDを電気的に並列接続するのが通例である(特許文献1参照)。しかし、電流に応じて発光量が決まるため、光学的な検出装置としての用途においては、並列接続では各LEDの光量を均一に揃えるために、並列回路毎に電流制御回路を設ける必要があり、コストアップを招来するうえ、制御回路によって消費電力も増大してしまう。よって、可能な限りLEDを電気的に直列接続することが好ましい。しかし、上述した放熱手段は同時に導電性を有することが多いので、直列接続を妨げないように放熱手段の配置を考慮する必要がある。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、省スペース化やコストの低減を図りつつ放熱効率を向上させるとともに、光学的な検出装置に適した発光制御を簡易に実現可能なLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明に係るLED照明装置は、LED発光部を筒状金属ケースで封止し且つ前記LED発光部のアノード又はカソードのいずれか一方が前記筒状金属ケースに導通したキャンタイプのLEDと、絶縁性板状部及び前記絶縁性板状部の一部を被覆する導電性部材を含み複数の前記LEDを設置するための基板とを備え、前記導電性部材は、前記LEDを構成する前記筒状金属ケースに接触する位置に設けられると共に、前記LEDを二つ以上電気的に直列接続して列を形成する場合に、前記導電性部材を複数の領域に区分して、一つの列における複数のLEDを構成する筒状金属ケースに電気的に接続される領域同士を電気的に絶縁させていることを特徴とする。
【0012】
このように、LED発光部のアノード又はカソードのいずれか一方が筒状金属ケースに導通したキャンタイプのLEDを用いる場合において、LEDを設置するための基板を構成する導電性部材がLEDを構成する筒状金属ケースに接触する位置に設けられているので、LED発光部で生じた熱を放熱するにあたり、リードピンといった従来の放熱経路だけでなく、筒状金属ケースを新たな放熱経路として利用でき、放熱効率を向上させることが可能となる。特に、LEDに蓄熱しやすい真空環境又は低圧力環境下において効果的である。しかも、基板を構成する絶縁性板状部の一部を被覆する導電性部材を放熱手段として利用するので、別途に金属板等の放熱手段を設置する場合に比べて省スペース化やコストの低減を図ることも可能となる。
【0013】
さらに、LEDを二つ以上電気的に直列接続して列を形成する場合に、各LEDの筒状金属ケースを共通の導電性部材に接続すると、直列接続回路の一部が短絡して使用不能となるものの、本発明では、導電性部材を複数の領域に区分して、一つの列における複数のLEDを構成する筒状金属ケースに電気的に接続される領域同士を電気的に絶縁させているので、筒状金属ケースに導電性部材を接触させても複数のLEDの直列接続を阻害せず、均一な光量を得る発光制御を簡易な電流制御を通じて実現することが可能となる。
【0014】
放熱効率を向上させると共に、製造コストを低減するためには、前記絶縁性板状部には、前記筒状金属ケースに対応する形状の貫通孔が形成されていると共に、前記導電性部材が前記絶縁性板状部の表面から前記貫通孔の内周面に亘り配置されており、前記貫通孔に挿入された前記筒状金属ケースの外周面と前記導電性部材とが前記貫通孔内において直接的又は間接的に面接触していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上説明したように、キャンタイプのLEDにおけるアノード又はカソードのいずれか一方と導通した筒状金属ケースと、基板を構成する導電性部材とを接触させているので、筒状金属ケースを新たな放熱経路として利用でき、放熱効率を向上させることが可能となる。この際、基板を構成する導電性部材を放熱手段として利用するので、基板とは別体の放熱手段を設置する場合に比して省スペース化やコストの低減を図ることも可能となる。
【0016】
さらに、LEDを二つ以上電気的に直列接続して列を形成するにあたり、導電性部材を複数の領域に区分し、一つの列における複数のLEDの筒状金属ケースにそれぞれ電気的に接続される領域同士を電気的に絶縁させることにより、直列接続を妨げないように導電性部材を配置しているので、均一な光量を得る発光制御を簡易な電流制御を通じて実現可能となる。
【0017】
したがって、光学的な検出装置に適し且つ製品品質を向上させたLED照明装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED照明装置及びこれが適用される粉体供給装置を模試的に示す構成図。
【図2】トラフの構造を模式的に示す図。
【図3】LED照明装置を模式的に示す構成図。
【図4】基板及び基板に実装されたLEDを模式的に示す構成図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るLED照明装置における基板及び基板に実装されたLEDを模式的に示す構成図。
【図6】本発明の上記以外の実施形態に係るLED照明装置における基板及び基板に実装されたLEDを模式的に示す構成図。
【図7】本発明の上記以外の実施形態に係るLED照明装置における基板及び基板に実装されたLEDを模式的に示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るLED照明装置4を、図面を参照して説明する。
【0020】
LED照明装置4は、図1に示すように、LED(発光ダイオード)40を有し、LED40に通電することによりLED40を発光させて、所定(所望)の方向に投光する装置である。
【0021】
本実施形態のLED照明装置4は、図1に示すように、粉体供給装置DDに適用されている。この粉体供給装置DDは、図1及び図2に示すように、供給対象物としての粉体pwを貯蔵するためのホッパ1と、ホッパ1から重力により粉体pwの供給を受けて粉体pwを搬送するためのトラフ2と、トラフ2に振動を加振する加振手段としての電磁駆動部3とを備え、加振手段たる電磁駆動部3でトラフ2を振動させることにより、トラフ2の搬送面20上にある粉体pwを所定の搬送方向Xに沿って移動させ、トラフ2の下流端2aから落下させて供給先に供給する。
【0022】
また、粉体供給装置DDは、単位時間あたりに所望量の粉体pwを供給すべく、トラフ2の下流端2aから落下する粉体pwに対して投光するLED照明装置4と、LED照明装置4から照射され粉体pwで反射した光を受光するフォトダイオード等を用いた光センサ50と、光センサ50の受光量に基づき下流端2aから落下した粉体pwの量を検出する流量検出部51と、流量検出部51で検出した流量に応じた粉体pwの供給速度が得られるように電磁駆動部3(加振手段)で加振する振動を制御する振動制御部52とを有する。
【0023】
さらに、粉体供給装置DDは、例えば粉体pwが空気中の酸素によって酸化してしまう場合において、その粉体pwの酸化を防止するために、少なくともホッパ1、トラフ2及びLED照明装置4を収容する収容容器6が設けられている。この収容容器6は、図1に示すように、収容容器6内の収納空間SPを真空環境又は減圧環境にするための真空ポンプ62と、収容容器6内を窒素などの不活性ガスでパージするためのパージユニット63とを接続可能に構成されている。本実施形態では、収容容器6内は、窒素パージを行い且つ減圧して、窒素などの不活性ガスを充填した減圧環境に設定されている。その真空度としての圧力は、8〜10torr(トール)に設定されている。
【0024】
流量検出部51は、図1に示すように、収容容器6外に設けられた、図示しないCPU、メモリ及びインターフェイスを具備するマイクロコンピュータユニットにより構成される制御部Co(コントローラともいう)で実現されるもので、粉体pwの供給量と受光量との関係がほぼリニアな関係であることを利用して、光センサ50で検出された単位時間あたりの受光量に基づき下流端2aから落下した粉体pwの量を検出する。なお、粉体pwの供給量と受光量との関係はほぼリニアな関係であるが、圧力に応じてその勾配が変化する。振動制御部52も同様に制御部Coで実現される。
【0025】
トラフ2は、図2に示すように、平面視ほぼ矩形状をなすと共に、その長手方向に直交する横断面が上向きコの字状をなしており、その長手方向の一方向を所定の搬送方向Xとして、所定の搬送方向Xに沿って粉体pwを搬送するための搬送面20が設定されている。トラフ2は、図1に示すように、支持手段8によってベース80に対して可動に支持されており、トラフ2、電磁駆動部3及び支持手段8によって粉体pwを振動で供給するリニアフィーダLFが構成されている。なお、図1に示すように、トラフ2の下流端2aの下方には、落下した粉体pwを受けて供給先に案内するための漏斗状をなす回収部7が設けられている。図1及び図2に示すように、搬送面20のうちホッパ1から粉体pwが供給される部位の下流側X1には、所定の搬送方向Xに直交する方向に沿って搬送面20から起立する突状をなし、ホッパ1から供給されトラフ2の振動によって下流端2aに向かおうとする粉体pwの一部を塞き止める堰部9が設けられている。
【0026】
LED照明装置4及び光センサ50は、図1に示すように、トラフ2の下方に位置するようにブラケット81等を介してベース80に取り付けられている。LED照明装置4による光の投光方向は、斜め上を向くように設定されており、投光先には、光の反射を防止するための反射防止板71が鉛直方向に延びて上記回収部7を足場として設けられている。なお、反射防止板71は、回収部7の役割も担っている。
【0027】
LED照明装置4は、図3(a)及び図3(b)に示すように、通電により発光するLED40と、このLED40を実装した基板41と、基板41を取り付けるための固定支持部42と、LED40を駆動するための図示しない駆動回路とを有する。LED照明装置4は、図3に示すように、粉体pwが、搬送面20の下流端2aのいずれの部位から落下しても、光の照射を可能とするために、LED40をトラフ2の幅方向Z(搬送方向Xに直交する方向)に沿って複数配置している。これに合わせて光センサ50もトラフ2の幅方向Zに沿って複数配置してある。これら複数の光センサ50・50は、受光漏れを無くすべく、各々の受光面の一部を鉛直方向Yに重合させて、トラフ2の幅方向Zに沿って千鳥状に配置している。
【0028】
具体的には、LED40は、図3(c)に模式的に示すように、LED発光部40aを筒状金属ケース40b及びレンズ40cで封止した所謂キャンタイプLEDと呼ばれるもので、内部のLED発光部40aから対をなす金属線のリードピン40d・40dが延びており、リード部とも呼ばれるリードピン40d・40dがLED発光部40aのアノードAn及びカソードCaにそれぞれ接続されている一般的なものである。本実施形態では、LED40を設置する環境が真空環境であるため信頼性の高いキャンタイプLEDを用いているが、過酷な環境でなければ、用途に応じて、LED発光部を樹脂で封止した所謂モールドタイプLEDを選択してもよい。なお、本実施形態では、アノードAnと筒状金属ケース40bが導通して、両者は電気的に接続され且つ熱伝導可能に接続されている。
【0029】
基板41は、図3(b)、図4(a)及び図4(b)に示すように、ガラスエポキシ基板等を用いた絶縁性板状部41aと、この絶縁性板状部41aの一部を被覆する導電性部材41bで形成された配線部41b(配線パターンや電極パターンとも呼ばれる)とを含む所謂プリント基板である。配線部41bはエッチングにより形成される。本実施形態の基板41は、図3(a)及び図3(b)に示すように、複数のLED40をトラフ2の幅方向Zに沿って配置すべく、トラフ2の幅方向Zに沿って長尺な略矩形状をなしている。基板41は、短手方向のいずれか一方側の一端41c側に、基板41を取り付けるための取付孔41hが二箇所形成されている共に、短手方向の他方側である他端41d側に配線部41bが形成され、この他端41d側に複数のLED40が長手方向(トラフ2の幅方向Z)に沿った一列を形成するように配置されている。
【0030】
図4(a)及び図4(b)に具体的に示すように、平面視略矩形状の絶縁性板状部41aには、LED40の筒状金属ケースに対応する形状をなすスルーホールとも呼ばれる貫通孔41gが形成されている。導電性部材41bは、絶縁性板状部41aの板厚方向両側にある基板表面から貫通孔41gの内周面41g1に亘って配置されている。LED40は、筒状金属ケース40bが貫通孔41gに挿入され、熱伝導性を有する図示しない接着剤によって基板41に接着されている。すなわち、貫通孔41gに挿入された筒状金属ケース40bの外周面40b1と導電性部材41bとが貫通孔41g内において間接的に面接触している。勿論、貫通孔41gに筒状金属ケース40bをただ単に嵌め込むことにより、筒状金属ケース40bの外周面40b1と導電性部材41bとが貫通孔41g内において直接的に面接触するようにしてもよい。また、これらを半田付けしてもよい。
【0031】
本実施形態では、図4(c)に回路図を示すように、二以上のLEDを電気的に直列接続して列Liを形成するため、図4(a)に想像線で示すように、各々のLED40を配線する配線手段Pを設けている。この配線手段Pは、例えば導線PPによる空中配線や配線用基板PLによる配線が挙げられる。そして、この直列接続回路の一部が短絡しないように、図4(b)に示すように、導電性部材41bを複数の領域Ar1,Ar2に区分し、一つの列Liにおいて複数のLED40・40を構成する筒状金属ケース40bに電気的に接続される領域Ar1,Ar2同士を電気的に絶縁させている。具体的には、これら領域Ar1,Ar2が離間した状態となるように絶縁性板状部41aに導電性部材41bを形成している。
【0032】
固定支持部42は、図3(b)に示すように、基板41を取り付けるための土台となるもので、板状の第一の金属部材43及び第二の金属部材44を少なくとも有する。固定支持部42は、広義には上記ブラケット81を含むとも言える。第一の金属部材43は、アルミ製で、その板面が水平方向に沿う姿勢で基端側(搬送方向X上流側)が図示しないブラケットに取り付けられており、その先端部に基板41を傾斜させた姿勢で取り付けるためのテーパ面たる基板取付面43aが形成されている。この基板取付面43aには、基板41の取付孔41hに対応する位置にネジ穴43hが形成されており、基板41と第一の金属部材43とは、取付孔41h及びネジ穴43hを介してネジ等の止着具voで固定される。そして、基板41は、LED40の投光方向が斜め上を向く姿勢で且つ配線部41bが固定支持部42たる第一の金属部材43から離間するように基板41の一端41c側を片持ち状態で第一の金属部材43に取り付けられている。基板41が第一の金属部材43に取り付けられた状態では、LED40の本体部分が第一の金属部材43(固定支持部42)から離間した状態となる。
【0033】
一方、第二の金属部材44は、上記光センサ50を実装した受光センサ用基板53等を取り付けるための土台となるアルミ製で、その板面が鉛直方向Yに沿う姿勢で第一の金属部材43に固定される。具体的には、第二の金属部材44は、その底部44aを第一の金属部材43の上面43bに突き合わせた状態で、底部44aと第一の金属部材43とをネジ等の止着具voを用いて固定されている。
【0034】
なお、図3(a)及び図3(b)に示すように、LED40の上方には、周囲の光量を検出するための周囲光センサ54が設けられていると共に、LED40から照射された光を斜め上方に導くための光路40Xが、第三の金属部材46の光路形成面46aと第四の金属部材47の光路形成面47aとが対向することにより形成されている。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るLED照明装置は、LED発光部40aを筒状金属ケース40bで封止し且つLED発光部40aのアノードAnが筒状金属ケース40bに導通したキャンタイプのLED40と、絶縁性板状部41a及び絶縁性板状部41aの一部を被覆する導電性部材41bを含み複数のLED40を設置するための基板41とを備え、導電性部材41bは、LED40を構成する筒状金属ケース40bに接触する位置に設けられると共に、LED40を二つ以上電気的に直列接続して列Liを形成する場合に、導電性部材41bを複数の領域Ar1,Ar2に区分して、一つの列Liにおける複数のLED40を構成する筒状金属ケース40bに電気的に接続される領域Ar1,Ar2同士を電気的に絶縁させている。
【0036】
このように、LED発光部40aのアノードAnが筒状金属ケース40bに導通したキャンタイプのLED40を用いる場合において、LED40を設置するための基板41を構成する導電性部材41bが、LED40を構成する筒状金属ケース40bに接触する位置に設けられているので、LED発光部40aで生じた熱を放熱するにあたり、リードピン40dといった従来の放熱経路だけでなく、筒状金属ケース40bを新たな放熱経路として利用でき、放熱効率を向上させることが可能となる。特に、LED40に蓄熱しやすい真空環境又は低圧力環境下において効果的である。しかも、基板41を構成する絶縁性板状部41aの一部を被覆する導電性部材41bを放熱手段として利用するので、別途に金属板等の放熱手段を設置する場合に比べて省スペース化やコストの低減を図ることも可能となる。
【0037】
さらに、LED40を二つ以上電気的に直列接続して列Liを形成する場合に、各LED40の筒状金属ケース40bを共通の導電性部材に接続すると、直列接続回路の一部が短絡して使用不能となるものの、本実施形態では、導電性部材41bを複数の領域Ar1,Ar2に区分して、一つの列Liにおける複数のLED40を構成する筒状金属ケース40bに電気的に接続される領域Ar1,Ar2同士を電気的に絶縁させているので、筒状金属ケース40bに導電性部材41bを接触させても複数のLED40の直列接続を阻害せず、均一な光量を得る発光制御を簡易な電流制御を通じて実現することが可能となる。
【0038】
さらにまた、本実施形態では、絶縁性板状部41aには、筒状金属ケース40bに対応する形状の貫通孔41gが形成されていると共に、導電性部材41bが絶縁性板状部41aの表面から貫通孔41gの内周面41g1に亘り配置されており、貫通孔41gに挿入された筒状金属ケース40bの外周面40b1と導電性部材41bとが貫通孔41g内において直接的又は間接的に面接触しているので、筒状金属ケース40bと導電性部材41bとの直接的又は間接的な接触面積を増加させて熱伝導しやすくし、放熱効率を向上させることができる。しかも、LED40を保持する機能を基板41に持たせることも可能となり、LED40を保持するための手段を省略して製造コストを低減させることも可能となる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
例えば、本実施形態では、LED発光部40aのアノードAnが筒状金属ケース40bに導通したキャンタイプのLED40を用いているが、LED発光部のカソードが筒状金属ケースに導通したLEDを用いても同様のことが言える。
【0041】
また、基板141へのLED40の実装は、図5に示すようにしてもよい。すなわち、基板141を構成する絶縁性板状部141aに、LED40のリードピン40dが挿入可能な程度の大きさの貫通孔141g(スルーホール)を形成し、絶縁性板状部141aのうち筒状金属ケース40bの底部に面接触する位置に導電性部材141bを配置すると共に、貫通孔141g内においてリードピン40dと導電性部材141bとを接触させている。
【0042】
さらに、図6(a),図6(b)及び図6(c)に示すように基板241を構成する絶縁性板状部241aの表面に形成する導電性部材241bを配線として用いてもよい。すなわち、アノードAnと筒状金属ケース240bとが導通したLED240(t1)を二つ以上直列接続して第一の列Li1を形成する。カソードCaと筒状金属ケース240bとが導通したLED240(t2)を二つ以上直列接続して第二の列Li2を形成する。第一の列Li1を形成する複数のLED240(t1)の筒状金属ケース240bを共通の導電性部材241bで接続すると共に、第二の列Li2を形成するLED240(t2)の筒状金属ケース240bを共通の導電性部材241bで接続し、第一の列Li1及び第二の列Li2を導線PP等の配線手段で配線する。このように構成すると、導電性部材241bを配線の一部として利用できるので、導線PPを結ぶ箇所を低減することが可能となる。
【0043】
さらに、図7(a)及び図7(b)に示すように、絶縁性板状部341aと共に基板341を構成する導電性部材341bに、板厚方向に沿って貫通する孔Hoを複数設けてもよい。このように構成すると、孔Hoによって放熱面積を増大させることができる。勿論、孔Hoの形状は図示するような円形に限らず、例えば楕円を含む円形状や多角形、またはこれらを組み合わせたものであってもよい。また、本実施形態では、複数のLED40を一直線上に配置しているが、一直線上に限らず、例えば円周上や自由曲線上に配置されていてもよい。
【0044】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
40…LED
40a…LED発光部
40b…筒状金属ケース
40b1…筒状金属ケースの外周面
41…基板
41a…絶縁性板状部
41b…導電性部材
41g…貫通孔
41g1…貫通孔の内周面
An…アノード
Ca…カソード
Li…列
Ar1,Ar2…領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED発光部を筒状金属ケースで封止し且つ前記LED発光部のアノード又はカソードのいずれか一方が前記筒状金属ケースに導通したキャンタイプのLEDと、
絶縁性板状部及び前記絶縁性板状部の一部を被覆する導電性部材を含み複数の前記LEDを設置するための基板とを備え、
前記導電性部材は、前記LEDを構成する前記筒状金属ケースに接触する位置に設けられると共に、前記LEDを二つ以上電気的に直列接続して列を形成する場合に、前記導電性部材を複数の領域に区分して、一つの列における複数のLEDを構成する筒状金属ケースに電気的に接続される領域同士を電気的に絶縁させていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記絶縁性板状部には、前記筒状金属ケースに対応する形状の貫通孔が形成されていると共に、前記導電性部材が前記絶縁性板状部の表面から前記貫通孔の内周面に亘り配置されており、前記貫通孔に挿入された前記筒状金属ケースの外周面と前記導電性部材とが前記貫通孔内において直接的又は間接的に面接触している請求項1に記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−253284(P2012−253284A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126646(P2011−126646)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】