説明

LED集合体ランプおよびこれを用いたヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯

【課題】非常時に出動するヘリコプターを安全裡に離発着させる上で必要な「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に用いることができるLED集合体ランプとヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯との提供。
【解決手段】照射光の光軸が水平方向に放射状となって向かうように配列させた多数個のLED14を有する1層以上の発光ユニット13を備えてなるランプ本体12と、該ランプ本体12の外周側を覆ってLED14からの各照射光を主に水平方向から上向き方向に至る領域へと屈折させての透過を自在に形成された屈折レンズ体23と、該屈折レンズ体23を経た屈折後の照射光の透過を自在に覆う透明カバー体33とを少なくとも具備させてLED集合体ランプ11を形成した。また、該LED集合体ランプ11を可搬ケーシング42上に設置してヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯41を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を組み込むことにより、非常時に出動するヘリコプターを夜間においても緊急離発着場にて安全裡に離発着させる際に必要となる「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に使用することができるようにしたLED集合体ランプおよびこれを用いたヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプターは、機動性に富み、かつ、比較的狭隘な離発着場にて離着陸できる簡便な飛行手段であることから、緊急・災害時、とりわけ地震や高層ビル火災などにおける災害救助活動に大きな威力を発揮している。
【0003】
一方、航空法及びこれに準拠した消防庁指針(以下、「航空法等」という。」は、ヘリコプターの安全な航行を確保する観点から、ヘリコプターが離着陸し得る場所(以下、「ヘリコプター離発着場」という。)につき種々の規制と取り決めを設けている。
【0004】
すなわち、航空法等においては、ヘリコプター離発着場が「ヘリポート(公共用・非公共用)」と「飛行場外離発着場」と「緊急離発着場」と「緊急救助用スペース」との4つに分類されており、特に本発明の適用分野としては、「飛行場外離発着場」と「緊急離発着場」と「緊急救助用スペース」との関係が問題となる。なお、上記ヘリコプター離発着場は、ヘリポートが常設で、他は臨時である。
【0005】
このうち、「飛行場外離発着場」とは、使用の都度、国土交通大臣の離着陸許可が必要な飛行場外離着陸場所をいい、臨時に離着陸できることになっている。また、「緊急離発着場」とは、災害活動等のために緊急用ヘリコプターを離発着させる場合にのみ適用される場所(陸上・屋上)をいい、特別の機関のみが緊急時の特別期間に限り離発着できることになっている。さらに、「緊急救助用スペース」とは、災害活動等のために緊急用ヘリコプターをホバリングする場合にのみ適用される場所をいい、特別の機関のみが緊急時の特別時間帯に限りホバリングさせることができることになっている。上記「緊急離発着場」と「緊急救助用スペース」とは、使用の都度、「飛行場外離発着場」として申請し、着陸許可を得る必要がある。
【0006】
しかも、「飛行場外離発着場」と「緊急離発着場」と「緊急救助用スペース」とについては、各種の安全施設・設備が整っている常設の「ヘリポート(公共用・非公共用)」とは異なるものの、特に夜間航行時における安全性確保のために必要となる各種の標識灯の設置が義務付けられている。
【0007】
このうち、「緊急離発着場」と「緊急救助用スペース」とについては、少なくとも「ヘリポート灯台」と「風向灯」と「着陸区域照明灯」と「境界誘導灯」と「境界灯」とを設置する必要があるとされている。なお、「飛行場外離発着場」については、使用の都度、その使用目的に応じて「緊急離発着場」もしくは「緊急救助用スペース」記載に準じた各種の標識灯が設置されることになる。
【0008】
しかも、上記した各種の標識灯は、必要な配線をしながら事前に所定位置に設置しておき、照明制御盤を手動操作したり、防災センター等から遠隔操作することにより点灯と消灯との制御ができるようになっている。
【0009】
ところで、上記した各種の標識灯は、配線したうえで照明制御盤により点灯・消灯制御されるものであることから、配線を伴いつつ行われる設置作業が煩雑になり、緊急時における即応性に欠けるという問題があった。
【0010】
一方、かかる問題点に鑑み、本発明者らは、下記特許文献1に開示されているように、緊急・災害時における救援活動など、非常時に出動するヘリコプターを夜間においても安全裡に離発着させる上で必要な「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に用いることができる発光ダイオード集合体ランプおよびこれを用いたヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯を既に提案している。
【特許文献1】特開2001−23405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1の発光ダイオード集合体ランプおよびこれを用いたヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯、特に「境界灯」については、法が要求する10カンデラ以上の光度を得るのが必ずしも容易ではなく、実使用時における視認性の確保に難点があった。
【0012】
本発明は、従来技術にみられた上記課題に鑑み、緊急・災害時における救援活動など、非常時に出動するヘリコプターを夜間においても安全裡に離発着させる上で必要な「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に用いることができるLED集合体ランプおよびこれを用いたヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成すべくなされたものであり、このうち、第1の発明(LED集合体ランプ)は、照射光の光軸が水平方向に放射状となって向かうように配列させた多数個のLEDを有する1層以上の発光ユニットを備えてなるランプ本体と、該ランプ本体の外周側を覆って前記LEDからの各照射光を主に水平方向から上向き方向に至る領域へと屈折させての透過を自在に形成された筒状の屈折レンズ体と、該屈折レンズ体を経た屈折後の照射光の透過を自在に覆う透明カバー体とを少なくとも具備させたことを最も主要な特徴とする。
【0014】
この場合、前記屈折レンズ体には、前記LEDからの各照射光を主に水平方向から上方30度方向に至る領域へと向ける屈折機能を付与するのが好ましい。また、前記ランプ本体は、前記発光ユニットが2層以上となるように積層させて形成することもできる。さらに、上層側に位置する前記発光ユニットと下層側に位置する前記発光ユニットとは、上下方向での前記LED相互が非対面の交互位置となる配置関係のもとで積層させるのが好ましい。さらにまた、前記ランプ本体は、台座部を介してその座高を高くしたり、その下方に水平反射面を設けておくこともできる。
【0015】
さらに、本発明における第2の発明(ヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯)は、請求項1ないし6のいずれかに記載のLED集合体ランプと、該LED集合体ランプ側に給電する電気二重層コンデンサを充電自在に内蔵させた液密性に富む可搬ケーシングとで構成され、該可搬ケーシング上には、前記LED集合体ランプを水密性を付与して配設したことを最も主要な特徴とする。
【0016】
この場合、前記可搬ケーシングには、水液の侵入を阻止しての通気を自在とした通気部を具備させておくのが好ましい。また、前記電気二重層コンデンサは、太陽電池電源と家庭用交流電源と蓄電池電源との少なくともいずれかによる外部からの充電を自在に配設するのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、ランプ本体の外周側を屈折レンズ体で覆い、さらにこれらを透明カバー体で覆ってあるので、照射光を主に水平方向から上向き方向に至る領域へと屈折させて照明することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、屈折レンズ体には、LEDからの各照射光を主に水平方向から上方30度方向に至る領域へと向ける屈折機能が付与されているので、「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に用いることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、発光ユニットを2層以上に積層してランプ本体が形成されているので、所望に応じた光度を確実に確保することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、上層側に位置する発光ユニットの個々のLEDを下層側に位置する発光ユニットの隣り合うLED相互間の上方に位置させることができるので、全体の積層高さをそれだけ低くすることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、照射光が障害物となる他部材により遮光される可能性をそれだけ低くすることができるので、設計上の自由度をそれだけ高めてやることができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、ランプ本体は、その下方に水平反射面を備えているので、該水平反射面を介して反射光を生成することで視認可能範囲をそれだけ高めてやることができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、LED集合体ランプと、該LED集合体ランプ側に給電する電気二重層コンデンサを充電自在に内蔵させた液密性に富む可搬ケーシングとを備え、該可搬ケーシング上には、LED集合体ランプを液密性を付与して配設してあるので、全天候型のヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯、とりわけ「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に使用することができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、可搬ケーシングは、水液の侵入を阻止しての通気を自在とした通気部を備えているので、該通気部を介して昇温した内部空気の排出と、膵液を含まない外部空気の取り込みとを円滑に行わせることができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、電気二重層コンデンサは、太陽電池電源と家庭用交流電源と蓄電池電源とのいずれかによる外部からの充電を自在にして配設されているので、状況との関係で最適と思われる電源を用いて充電することができ、突発的な使用にもよく対応させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明に係るLED集合体ランプ(第1の発明)の一例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図であり、図2は、LEDの照射光の光軸方向と屈折レンズ体との関係を模式的に示す説明図である。
【0027】
これらの図によれば、LED集合体ランプ11は、照射光の光軸が水平方向に放射状となって向かうように基材15に配列させた多数個のLED14を有する2層に積層された各発光ユニット13を備えてなるランプ本体12と、該ランプ本体12の外周側を覆って個々のLED14からの各照射光lを主に水平方向から上方30度方向に至る領域へと屈折させの透過を自在に形成された筒状の屈折レンズ体23と、該屈折レンズ体23を経た屈折後の照射光lの透過を自在に覆う透明カバー体33とで少なくとも構成されている。なお、ランプ本体12と屈折レンズ体23とは、基台部16上に一体的に取り付けられている。また、基台部16の表面には、アルミ箔などの反射材からなる水平反射面17が形成されている。
【0028】
このうち、ランプ本体12を構成している上層側に位置する発光ユニット13と下層側に位置する発光ユニット13とは、直近上下方向に位置することになるLED14,14相互が非対面の交互の位置関係となるように配置して一体的に積層されている。つまり、上層側に位置する発光ユニット13の個々のLED14は、下層側に位置する発光ユニット13にあって隣り合っているLED14,14相互の間の上方に位置する配置関係をとることになる。
【0029】
この場合におけるランプ本体12からの発光色は、その用途に応じて黄の単一色としたり、緑の単一色とするなど、適宜の色の単一色とすることができるほか、所望に応じ発光色を異にするLED14を混在させて複数の発光色が得られるようにすることもできる。
【0030】
また、ポリカーボネート材やガラス材などを基材とするフレネルレンズとして形成される屈折レンズ体23は、その外表面に鋸歯状の凹凸部24を備えて形成されている。該凹凸部24は、光軸(照射光l)方向と平行に形成された上方の水平部25の先端25aと、その下方の水平部25の奥端25bとの間にそれぞれの内角が鋭角となるように介在させて傾斜部26との連続として形成されている。この場合、照射光lを主に上向きに屈折させる角度(θ)は、水平部25と傾斜部26との間に形成される内角αを適宜定めることで設定することができる。
【0031】
さらに、透明合成樹脂材や透明強化ガラス材などの透明部材からなる透明カバー体33は、屈折レンズ体23を含むランプ本体12の全体を覆うドーム部33と、該ドーム部33の開放縁側から水平方向に延設されたフランジ部34とで一体に形成されており、該フランジ部35の裏面側には、相手部材(例えば図4に示す可搬ケーシング42)に止着するための螺孔36と、その外周側に形成されてシーリング用のシリコーンゴム38を収容する凹部37とが形成されている。
【0032】
図3は、第1の発明の他例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図であり、この例におけるランプ本体12は、台座部18を介してその座高を高くして設置されており、これに対応して透明カバー体33におけるドーム部34の高さも高く形成されている点で図1に示す例と相違するのみで、他の構成は図1の例と同様にして形成されているので、同一部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
一方、図4は、本発明に係るヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯(第2の発明)の一例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図であり、図5は、図4の例につき、その上蓋部を取り外して内部構造を示す斜視図である。
【0034】
これらの図によれば、可搬標識灯41は、図1に示すLED集合体ランプ11と、該LED集合体ランプ11側に給電する電気二重層コンデンサ57を充電自在に内蔵させた可搬ケーシング42とで構成されている。なお、電気二重層コンデンサ57は、例えば定格電圧が2.5vで100Fの円筒状のものを3本(縦列)×4本(横列)に配列させた12本を2層に積層させた合計24本を直立状に配置するなど、適宜の本数と配置パターンとのもとで可搬ケーシング42内に配設されている。
【0035】
主にアルミニウムなどを用いて形成される液密性に富む可搬ケーシング42は、適宜の面サイズの角筒状となったケーシング本体43と、該ケーシング本体43の下側開口部43aを覆う下蓋部46と、上側開口部43bを覆う上蓋部47とで構成されている。また、これら下蓋部46と上蓋部47とは、ケーシング本体43の下側フランジ部44と上側フランジ部45とを介してねじ48による止着が自在となって形成されている。なお、ケーシング本体43の下側フランジ部44と下蓋部46との間、およびケーシング本体43の上側フランジ部45と上蓋部47との間には、それぞれシリコーンゴムなどの封止材49を介在させることで液密性が付与されている。
【0036】
しかも、その用途に応じて要求される適宜の色彩が付される可搬ケーシング42は、ケーシング本体43側に回動自在に取り付けた一対の把手50,50を備えており、これらの把手50を把持することで容易に持ち運ぶことができる。
【0037】
このようにして形成されている可搬ケーシング42内には、所望する複数本の電気二重層コンデンサ57が収納されているほか、例えば太陽電池電源、家庭用交流電源、蓄電池電源(車両電源を含む)および自家発電機のいずれかによる外部からの電気二重層コンデンサ57への充電に必要となる所定の配線58等のほか、LED集合体ランプ11側を点滅させる上で必要になる例えば図8に示すような回路が形成されている。
【0038】
すなわち、図8に示す一例としての回路説明図によれば、外部電源と接続される充電用電源入力端子59と、電気二重層コンデンサ57を備えるキャパシタブロック60との間には、充電・放電切り替え用としての4直−2並列切替回路61が形成されており、この切替回路61により電気二重層コンデンサ57を満充電することができるようになっている。また、電気二重層コンデンサ57とランプ本体12としての標識灯LED群62との間は、LED駆動用インバーター電源63を介在させて接続されている。
【0039】
また、可搬ケーシング42におけるケーシング本体43側には、着脱自在な蓋体51aを備えた外部電源用のコンセント51と、ランプ本体12の点灯と消灯のほか、充電モードへの切り替えもできるトグルスイッチなどからなるスイッチ52とのほか、水液の侵入阻と通気の自在な通気部53が複数箇所に配設されている。この場合、通気部53は、フッ素樹脂系の樹脂に極微小孔を開けた膜状材(例えば商標名「ゴアテックス」)で通気口54を覆うことで形成することができる。なお、図中の符号55は、通気部53自体の通気性を確保しつつ、保護の溜めに施蓋される嵌着蓋を示す。
【0040】
一方、図6は、本発明に係るヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯(第2の発明)の他例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図であり、図7は、図6の例につき、その上蓋部を取り外して内部構造を示す斜視図である。
【0041】
これらの図によれば、可搬標識灯41は、図3に示すLED集合体ランプ11と、該LED集合体ランプ11側に給電する1本以上の電気二重層コンデンサ57を充電自在に内蔵させた可搬ケーシング42とで構成されている。
【0042】
この場合、LED集合体ランプ11は、ランプ本体12側が台座部18を介してその座高を高くし配設されている関係上、これに対応して透明カバー体33におけるドーム部34の高さも高くして形成されている。
【0043】
このため、可搬ケーシング42における上蓋部47側には、ランプ本体12からの照射光を遮光せずにコンセント51とスイッチ52とを余裕をもって設置して優れた操作性を付与することができることになる。なお、他の構成は、図4に示す例と同じなので、同一部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
次に、本発明のうち、まず、第1の発明に係るLED集合体ランプの作用・効果を図示例に基づいて説明すれば、2層で構成されるランプ本体12と、該ランプ本体12の外周側を覆って個々のLED14からの各照射光lを主に水平方向から上向き30度方向までの領域に屈折させての透過を自在に形成された筒状の屈折レンズ体23と、該屈折レンズ体23を経た屈折後の照射光lの透過を自在に覆う透明カバー体33とでLED集合体ランプ11が形成されているので、ランプ本体12側からの照射光lは、図2に示すように主に水平方向から上向きに30度方向にわたる領域に屈折させることにより、水平面から上方30度に至る範囲を照明することができる。
【0045】
この場合、発光ユニット13を2層以上に積層させてある場合には、より多くの光量を得ることができる。また、上層側に位置する発光ユニット13と下層側に位置する発光ユニット13とが、上下方向でのLED14,14相互が非対面の交互位置となる配置関係のもとで積層されている場合には、その積層高さをより低くして積層させることができる。
【0046】
ランプ本体12が台座部18を介してその座高を高くして形成されている場合には、照射光が他部材により遮光される可能性をそれだけ低くすることができる。また、ランプ本体12がその下方に水平反射面17を備えている場合には、該水平反射面17を介して反射光を生成することで視認可能範囲をそれだけ高めてやることができる。
【0047】
一方、第2の発明に係る可搬標識灯の作用・効果につき、図示例に基づいて説明すれば、ランプ本体12(LED集合体ランプ11)に対し電圧を印加するための電気二重層コンデンサ57を内蔵させた可搬ケーシング42上に、水密性が付与されたLED集合体ランプ11を配設することで、例えば図4に示す可搬標識灯41が形成されているので、外部からLED集合体ランプ11内へと水液が侵入するの確実に阻止することができる。
【0048】
また、可搬ケーシング42が水液の侵入を阻止しての通気を自在とした通気部53を備えている場合には、可搬ケーシング42内の空気が昇温した際の通気部53を介して排気と、外部からの水液を伴わない吸気とを円滑に行わせることができる。
【0049】
さらに、電気二重層コンデンサ57が太陽電池電源と家庭用交流電源と蓄電池電源とのいずれかの充電用電源による外部からの充電が自在となっている場合には、設置環境の如何に拘わらず昼間等の不使用時に容易に満充電しておくことができる。また、電気二重層コンデンサ57は、大きなエネルギーを短時間で蓄えることができるほか、長時間にわたっての実用レベルでの使用にも耐え得るので、可搬標識灯41に対しより優れた安定性を付与することができる。
【0050】
しかも、可搬標識灯41が図2に示すようにLED集合体ランプ11側からの各照射光lを主に水平方向から上方30度方向に至る領域方向(例えば図9においてθ として示す領域方向)へと屈折して照射させることができる場合には、図9に示すようにヘリコプターHの緊急離発着場Sにおいて、灯光色が「航空黄」の不動光である可搬標識灯41(境界灯71)や、灯光色が「航空緑」の不動光である可搬標識灯(境界誘導灯)41として好適に用いることができることになる。
【0051】
さらにまた、電気二重層コンデンサ57が太陽電池電源、家庭用交流電源、蓄電池電源(車両電源を含む)および自家発電機のいずれかによる外部からの充電が自在となっている場合には、コンセント51にいずれかの充電用電源を接続することで、突発的に可搬標識灯41を使用せざるを得なくなった際にも短時間で急速に満充電して直ちに使用することができる。この場合、電気二重層コンデンサ57は、二次電池と比較して次のような特徴がある。繰り返し充放電に強い(そのときだけ充電しなくてもよいという無制限さがある。)。充電し続けてもメモリ効果がない。電圧降下が少ないので容量が小さくてもよい。急速充放電が可能。数時間の点灯が可能。
【0052】
しかも、可搬標識灯41は、図9に示すように非常時に出動するヘリコプターHが離着陸する際に必要な境界灯71や図示しない境界誘導灯として使用する際、電気関係の配線を一掃して所定位置への設置作業を迅速に遂行することができるほか、ヘリコプターHの飛来を前にした充電等の事前の準備作業を要せずに、スイッチ52を閉成してLED集合体ランプ11を点灯状態とするのみで直ちに受入れ態勢を整えることができる。また、その使用を終えた後は、把手56を把持しながら運び去るのみで極く簡単に撤収することができる。
【0053】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な内容は、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形を加えることができる。例えば、ランプ本体12は、発光ユニット13を3層以上に積層させて形成することもできる。また、屈折レンズ体23は、主に水平方向から上向き方向に至る領域へと屈折させることができるものでさえあれよく、その屈折角度はその部位部位に応じて適宜定めるたり、所望に応じて任意に定めたりすることができる。さらに、可搬ケーシング42は、角筒状のほか、円筒状に形成することもできる。また、可搬標識灯41は、その内部に重りを入れたり、ペグを介して地面側に強固に位置固定することができるようにして、ヘリコプターH飛来時の風圧より確実に耐えるようにしておくこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
非常時に出動するヘリコプターを夜間においても緊急離発着場にて安全裡に離発着させる際に必要となる「境界灯」や「境界誘導灯」として好適に使用することができるが、屈折レンズ体を主に水平方向から上向き方向に至る領域へと所望に応じた適宜角度方向への屈折を自在に形成することで、他の汎用な用途にも供し得るLED集合体ランプや可搬灯として提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るLED集合体ランプ(第1の発明)の一例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図。
【図2】LEDの照射光の光軸方向と屈折レンズ体との関係を模式的に示す説明図。
【図3】第1の発明の他例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図。
【図4】本発明に係るヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯(第2の発明)の一例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図。
【図5】図4の例につき上蓋部を取り外して内部構造を示す斜視図。
【図6】第2の発明の他例につき、その一部を切り欠いて示す斜視図。
【図7】図6の例につき上蓋部を取り外して内部構造を示す斜視図。
【図8】第2の発明についての一例としての回路説明図。
【図9】本発明に係る可搬標識灯と離着陸時におけるヘリコプターとの位置関係を示す説明図。
【符号の説明】
【0056】
11 LED集合体ランプ
12 ランプ本体
13 発光ユニット
14 LED
15 基材
16 基台部
17 水平反射面
18 台座部
23 屈折レンズ体
24 凹凸部
25 水平部
25a 先端
25b 奥端
26 傾斜部
33 透明カバー体
34 ドーム部
35 フランジ部
36 螺孔
37 凹部
38シリコーンゴム
41 可搬標識灯
42 可搬ケーシング
43 ケーシング本体
43a 下側開口部
43b 上側開口部
44 下側フランジ部
45 上側フランジ部
46 下蓋部
47 上蓋部
48 ねじ
49 封止材
50 把手
51 コンセント
51a 蓋体
52 スイッチ
53 通気部
54 通気口
55 嵌着蓋
57 電気二重層コンデンサ
58 配線
59 充電用電源入力端子
60 キャパシタブロック
61 4直−2並列切替回路
62 標識灯LED群
63 LED駆動用インバータ電源
71 境界灯
H ヘリコプター
S 緊急発着場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射光の光軸が水平方向に放射状となって向かうように配列させた多数個のLEDを有する1層以上の発光ユニットを備えてなるランプ本体と、
該ランプ本体の外周側を覆って前記LEDからの各照射光を主に水平方向から上向き方向に至る領域へと屈折させての透過を自在に形成された筒状の屈折レンズ体と、
該屈折レンズ体を経た屈折後の照射光の透過を自在に覆う透明カバー体とを少なくとも具備させたことを特徴とするLED集合体ランプ。
【請求項2】
前記屈折レンズ体には、前記LEDからの各照射光を主に水平方向から上方30度方向に至る領域へと向ける屈折機能を付与した請求項1に記載のLED集合体ランプ。
【請求項3】
前記ランプ本体は、前記発光ユニットが2層以上となるように積層させてなる請求項1または2に記載のLED集合体ランプ。
【請求項4】
上層側に位置する前記発光ユニットと下層側に位置する前記発光ユニットとは、上下方向での前記LED相互が非対面の交互位置となる配置関係のもとで積層させた請求項3に記載のLED集合体ランプ。
【請求項5】
前記ランプ本体は、台座部を介してその座高を高くした請求項1ないし4のいずれかに記載のLED集合体ランプ。
【請求項6】
前記ランプ本体は、その下方に水平反射面を備える請求項1ないし5のいずれかに記載のLED集合体ランプ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のLED集合体ランプと、
該LED集合体ランプ側に給電する電気二重層コンデンサを充電自在に内蔵させた液密性に富む可搬ケーシングとで構成され、
該可搬ケーシング上には、前記LED集合体ランプを液密性を付与して配設したことを特徴とするヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯。
【請求項8】
前記可搬ケーシングは、水液の侵入を阻止しての通気を自在とした通気部を備える請求項7に記載のヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯。
【請求項9】
前記電気二重層コンデンサは、太陽電池電源と家庭用交流電源と蓄電池電源とのいずれかによる外部からの充電を自在とした請求項7または8に記載のヘリコプター緊急離発着場用の可搬標識灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−59809(P2008−59809A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232728(P2006−232728)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)
【出願人】(598035336)エルナーコンポーネンツ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】