説明

LED駆動回路

【課題】突入電流を防止することによって、インダクタ及びキャパシタに発生する騒音を抑制するLEDバックライト駆動回路を提供する。
【解決手段】LED駆動回路は、電源部、上記電源部の信号が入力されるLEDアレイ、上記LEDアレイと連結されるIC、及び上記ICで認識される出力電流を徐々に増加させる突入電流制限部を含み、上記突入電流制限部は、周波数調節部及び電流調節部のうち、少なくとも1つを含む。突入電流を防止するとともに、周波数を上げることによってフリッカー現象を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTFT−LCDなどの液晶パネルに使われるLEDバックライト駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TFT−LCDパネルなどの液晶パネルにおいて、LEDバックライト(back light)を点灯させ、バックライトの点灯を安定させるために、LEDバックライトを駆動させるLEDバックライト駆動回路が使われるが、上記LEDバックライト駆動回路では所定のスイッチングを通じて電圧変換を遂行するコンバータ(例えば、昇圧コンバータ(boost converter))が使われる。
【0003】
上記LEDバックライト駆動回路は、図1に示すように、PWM_Dオン/オフ信号によってオン/オフされ、LEDバックライトの出力電流レベルによってパルス幅を増減する高周波パルス型ゲート信号を発生させるPWM IC 10と、PWM IC 10から出力されるゲート信号によって駆動電圧をスイッチングするFETスイッチング素子13と、電流リップル(ripple)を減らすためのインダクタL、出力電圧を一定に維持するためのキャパシタC、LEDバックライトからの逆方向電流を制限するダイオードD、スイッチングされる出力電圧によって発光動作するLEDバックライト12と、上記PWM ICにLEDバックライトの出力電流レベルを提供するフィードバックブロック11と、上記フィードバックブロックに直列連結されて出力電流レベルを電圧レベルに変換させる変換抵抗R1、R2、R3を備える。
【0004】
上記の構造を有するLEDバックライト駆動回路では、電源(V0)側からLEDバックライト12側にエネルギーが供給される能動区間ではFETスイッチング素子13が開放されてダイオードDを通じてLEDバックライト12側に電圧が供給され、反対に、電源側からLED側にエネルギーが伝達されない受動区間ではFETスイッチング素子13が導通されてダイオードDを通じてLEDバックライト12側に電圧が供給されない。したがって、出力電圧の制御方法は一定のスイッチング周波数で能動区間と受動区間との割合(duty rate)を変化させればよい。
【0005】
上記LEDバックライト駆動回路の場合、初めて駆動スターティング(starting)される時、PWM IC 10の出力電流レベル認識電圧端子に出力電流レベルの認識電圧が図2のように矩形波形式により印加されるため、PWM_D端子にPWMディミング(PWM dimming)信号オン(ON)印加時にPWM ICのゲート信号が一定のデューティ(duty)で発生される。ところが、上記のようにPWM ICのゲート信号が一定のデューティで発生される時、上記ゲート信号によってFETスイッチング素子が同時に駆動されるため、コンバータの内の漏洩成分により瞬間的に突入電流(Inrush Current)が発生する。上記のようにコンバータの漏洩成分により交流が遮断される部分で突入電流が発生する場合、このような突入電流によってインダクタ及びキャパシタに騷音が発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンバータの漏洩成分により発生する突入電流を防止することによって、インダクタ及びキャパシタに発生する騷音を抑制するLEDバックライト駆動回路を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に従うLED駆動回路は、電源部、上記電源部の信号が入力されるLEDアレイ、上記LEDアレイと連結されるIC、及び上記ICで認識される出力電流を徐々に増加させる突入電流制限部を含み、上記突入電流制限部は、周波数調節部及び電流調節部のうち、少なくとも1つを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、コンバータの漏洩成分による突入電流が発生しないようにする効果がある。
【0009】
また、突入電流を防止するために周波数を上げることによって、フリッカー(Flicker)現象を防止することができ、最小輝度でLEDを安定的に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来のLEDバックライト駆動回路図である。
【図2】従来のLEDバックライト駆動回路の下で出力電流レベル認識電圧とゲート信号波形を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に従うLEDバックライト駆動回路図である。
【図4】図3のC地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフである。
【図5】図3のB地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフである。
【図6】図3のD地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフである。
【図7】図3のE地点に入力される電流を従来の回路及び本発明の実施形態を比較して示す図である。
【図8】図3のE地点に入力される電流を従来の回路及び本発明の実施形態を比較して示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に従うLEDバックライト駆動回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態に対して添付図面を参照しつつ詳細に説明する。その他の実施形態の具体的な事項は詳細な説明及び図面に含まれている。本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明確になる。明細書の全体に亘って同一参照符号は同一構成要素を指し示す。
【0012】
図3は、本発明の実施形態に従うLEDバックライト駆動回路図である。本発明の実施形態に従うLEDバックライト駆動回路は、電源部20、電流リップル(ripple)を減らすためのインダクタL1、出力電圧を一定に維持するためのキャパシタC1、LEDアレイ60からの逆方向電流を制限するダイオードD1を備えて安定した駆動電力を供給する。スイッチング素子Q1は、LEDアレイ60に流れる電流が大きければ出力電流を減らし、反対に、LEDバックライトに流れる電流が小さければ出力電流を大きくする。
【0013】
また、LEDアレイ60、IC50、及び突入電流制限部100を含み、上記突入電流制限部100は、周波数調節部110及び電流調節部120を含むことができる。
【0014】
上記周波数調節部110及び電流調節部120は、相互並列に連結される。
【0015】
上記電圧分配抵抗R2、R3により分圧された電圧は、直列に連結された第4抵抗R4を通じて電流調節部に入力され、直列に連結された第1キャパシタC1を通じて周波数調節部に入力される。
【0016】
上記IC50は一般的によく使われている方式であって、LEDアレイ60のカソード端に連結された出力がIC50の内部FET51とERR AMP52に接続されてRs及びRaとRisen1によりLEDアレイ60に印加される電流を制限し、ERR AMP52の出力がOSCと比較されて出力が一定であるようにゲートドライバ55を制御する役割をする。
【0017】
LED駆動回路は、初めて駆動される時に突入電流が発生しないソフトスタート(soft start)のために低い電流が入力されなければならないが、この際、低い輝度でもLEDアレイ60が消灯されず、正常に動作するためには、周波数を増加させる必要がある。例えば、初期駆動電流時の周波数は500kHzでありうる。
【0018】
しかしながら、初期駆動が完了し、LEDアレイ60が正常に動作する場合にも周波数が続けて高い値として入力されれば、インダクタL1及びスイッチング素子Q1に発熱が問題となることがあり、これによって、駆動回路が損傷されるという問題点がある。これを解消するためには、初期駆動電流が入力された時点から一定時間、例えば1秒乃至1.5秒の時間が経過した後には自動で周波数を低めて(例えば、200kHz)電流を増加させる必要があるが、このために周波数調節部110及び電流調節部120が存在する。
【0019】
上記周波数調節部110及び電流調節部120の動作原理については図4乃至図6を参考にして後述する。図4は図3のC地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフであり、図5は図3のB地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフであり、図6は図3のD地点に入力される電圧を時間の経過に従って示すグラフである。
【0020】
まず、電流調節部120の駆動原理について説明する。初期駆動を通じてC地点にt1の時点で5Vのハイ信号が印加されれば、A地点には電圧分配抵抗R2、R3により電圧が入力される。例えば、R2が5kΩであり、R3が10kΩであれば、A地点には3.33Vの電圧が入力される。
【0021】
図4に示すように、C地点に5Vのハイ信号が引続き入力されるので、上記A地点に3.33Vの電圧が引続き入力され、これによってB地点はR4とC2により時間の経過に従ってC2に電圧が充電される。この際、Q3のゲートにターンオン電圧が確保されてQ3がターンオンされる前まではRisen2抵抗はフローティング状態で存在するようになる。したがって、Risen1抵抗のみ存在するようになって突入電流を防止することができる。
【0022】
上記C2の容量が大きいほどQ3がターンオンされる時間は長くなり、これは必要によって適切に調節できることは勿論である。
【0023】
しかしながら、時間が経過するにつれて、図5に示すように、B地点の電圧はC2により増加するようになり、t2時点でQ3のターンオン電圧以上の電圧がQ3のゲートに入力されてQ3はターンオンされる。上記Q3はNチャンネル型FETでありうる。
【0024】
上記Q3がターンオンされればRisen1及びRisen2は並列連結され、これによって、合成抵抗値が減少するようになって、IC50に入力される電流値が増加する。これによって、駆動に必要な安定した電流をLEDアレイ60に供給できるようになる。
【0025】
即ち、C2充電がなされる間、初期駆動時に突入電流が流入することを防止し、C2充電が完全になされた後には合成抵抗値が減少するようになって、IC50に入力される電流値が増加する。
【0026】
次に、周波数調節部110の駆動原理を説明すると、A地点の3.33V電圧が周波数調節部110に入力され、C1及びR1により時間の経過に従う電圧の変化は図6のように表れるようになる。即ち、t1の時点で周波数調節部110に含まれるQ2がターンオンされて動作するようになり、これによってRfreq1及びRfreq2が並列連結される構成で動作するようになる。これによって、合成抵抗値が減少するようになるので、出力周波数が増加する。
【0027】
しかしながら、時間が経過するにつれて、Q2のゲート端に入力される電圧が減少するようになり、Q2のターンオン電圧以下に減少するようになれば、Q2はターンオフされる。Q2がターンオフされれば、Rfreq2はフローティング状態となり、結局Rfreq1のみ作用するようになる。これによって、出力周波数が減少する。上記周波数調節部110の出力周波数の減少により素子の発熱問題を減少させることができる。上記Q2はNチャンネル型FETでありうる。
【0028】
図7及び図8は、図3のE地点に入力される電流を従来の回路及び本発明の実施形態を比較して示す図である。各々、図7は従来の回路であり、図8は発明の実施形態に従う電流値を表す。
【0029】
図7に示すように、初期ターンオン電圧印加時、インダクタL1を通過する電流は3.2Aまでピーク電流が上昇する一方、本発明の実施形態によれば1.57Aまでピーク電流が減少したことが分かる。
【0030】
本発明の実施形態において、上記周波数調節部110及び電流調節部120は選択的に含まれることができる。即ち、突入電流制限部100はユーザの必要によって周波数調節部110のみ含んだり電流調節部120のみ含むことができ、周波数調節部110及び電流調節部120を同時に含むことができる。
【0031】
図9は、本発明の他の実施形態に従うLEDバックライト駆動回路図である。図3の回路と比較して周波数調節部210に含まれるQ2がN型でないP型として適用することによって、図3のR1及びC1が削除されて費用低減及び回路簡素化の面で有利な効果がある。この際、Q2のゲートに入力される電圧の波形はQ3のゲートに入力されるそれと同一である。
【0032】
以上、実施形態に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ず1つの実施形態のみに限定されるものではない。延いては、各実施形態で例示された特徴、構造、効果などは、実施形態が属する分野の通常の知識を有する者により他の実施形態に対しても組合または変形されて実施可能である。したがって、このような組合と変形に関連した内容は本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。
【0033】
以上、本発明を好ましい実施形態をもとに説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するのでない。本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、多様な変形及び応用が可能であることが同業者にとって明らかである。例えば、実施形態に具体的に表れた各構成要素は変形して実施することができ、このような変形及び応用にかかわる差異点も、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
前記電源部の信号が入力されるLEDアレイと、
前記LEDアレイと連結されるICと、
前記ICで認識される出力電流を徐々に増加させる突入電流制限部と、を含み、
前記突入電流制限部は、周波数調節部及び電流調節部のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、LED駆動回路。
【請求項2】
前記周波数調節部は、FET、キャパシタ、及び抵抗を含み、前記抵抗は一端が接地と連結され、他端が前記FETのゲートと連結されることを特徴とする、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記FETは、N型FETであることを特徴とする、請求項2に記載のLED駆動回路。
【請求項4】
前記N型FETのドレインに連結された抵抗を含むことを特徴とする、請求項3に記載のLED駆動回路。
【請求項5】
前記電流調節部は、FET、キャパシタ、及び抵抗を含み、前記キャパシタは一端が接地と連結され、他端が前記FETのゲートと連結されることを特徴とする、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項6】
前記FETはN型FETであることを特徴とする、請求項5に記載のLED駆動回路。
【請求項7】
前記N型FETのドレインに連結された抵抗を含むことを特徴とする、請求項6に記載のLED駆動回路。
【請求項8】
前記周波数調節部及び電流調節部は同時に備えられ、前記周波数調節部及び電流調節部は並列に連結されることを特徴とする、請求項1に記載のLED駆動回路。
【請求項9】
前記周波数調節部及び電流調節部は、電圧分配抵抗により分圧された電圧が入力されることを特徴とする、請求項8に記載のLED駆動回路。
【請求項10】
前記電圧分配抵抗により分圧された電圧は直列に連結された第4抵抗を通じて電流調節部に入力され、直列に連結された第1キャパシタを通じて周波数調節部に入力されることを特徴とする、請求項9に記載のLED駆動回路。
【請求項11】
電源部と、
前記電源部の信号が入力されるLEDアレイと、
前記LEDアレイと連結されるICと、
前記ICで認識される出力電流を徐々に増加させる突入電流制限部と、を含み、
前記突入電流制限部は、周波数調節部及び電流調節部を含み、前記周波数調節部はP型FETを含み、前記電流調節部はN型FETを含み、前記P型FET及びN型FETのゲート端には同一な電圧が入力されることを特徴とする、LED駆動回路。
【請求項12】
前記電流調節部は、FET、キャパシタ、及び抵抗を含み、前記キャパシタは一端が接地と連結され、他端が前記FETのゲートと連結されることを特徴とする、請求項11に記載のLED駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89591(P2013−89591A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174908(P2012−174908)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】