説明

M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストおよびそれを使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チアゾールアニリン化合物、医薬組成物、それらの製造方法、およびM3ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢神経系および中枢神経系中でコリン作動性ニューロンから放出されるアセチルコリンは、2つの主要な部類のアセチルコリン受容体、すなわちニコチン性アセチルコリン受容体とムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用を介して多くの異なる生物学的プロセスに影響を及ぼす。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は7つの膜貫通部を有するGタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーに属する。mAChRにはM1〜M5と称される5つのサブタイプがあり、それぞれ別個の遺伝子の産物である。これら5つのサブタイプはそれぞれ特有の薬理特性を示す。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、脊椎動物の器官中に広く分布しており、これらの受容体は抑制作用と興奮作用の両方を媒介することができる。例えば、気道、膀胱および胃腸管に見られる平滑筋においては、M3 mAChRは収縮反応を媒介する。総説については、(1)を参照のこと。
【0003】
ムスカリン性アセチルコリン受容体機能障害は、様々な異なる病態生理学的状態において認められている。例えば、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)においては、炎症状態は、肺平滑筋に分布する副交感神経に対する阻害性M2ムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の損失を招き、迷走神経刺激の後にアセチルコリン放出の増大を引き起こす。このmAChR機能障害は、M mAChRの刺激の増大によって媒介された気道過敏性をもたらす。同様に、炎症性腸疾患(IBD)における胃腸管の炎症は、M mAChR媒介運動過剰をもたらす(3)。膀胱過剰収縮性に起因する失禁はまた、M mAChRの刺激の増大を通じて媒介されることが示されている。したがって、サブタイプ選択的mAChRアンタゴニストの同定は、これらのmAChR媒介疾患の治療薬として有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な病態の処置のための抗ムスカリン性受容体療法の使用を支持する証拠がたくさんあるにもかかわらず、臨床において使用されている抗ムスカリン性化合物は比較的少数である。したがって、M3 mAChRでの遮断を引き起こすことができる新規化合物が依然として必要とされている。喘息、COPD、IBDおよび尿失禁のようなM3 mAChRの刺激の増加に付随する状態は、mAChR結合の阻害剤である化合物によって利益を得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の説明)
本発明は、アセチルコリンがM3ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)と結合するmAChR媒介疾患の治療方法であって、式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0006】
本発明はまた、アセチルコリンのその受容体への結合の阻害を必要とする哺乳動物におけるアセチルコリンのその受容体への結合の阻害方法であって、該哺乳動物に式(I)で示される化合物の有効量を投与することを含む方法に関する。
【0007】
本発明はまた、式(I)で示される新規化合物、ならびに式(I)で示される化合物および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明において有用な式(I)で示される化合物は、構造:
【化1】

[式中、
R1およびR2は、独立して、以下の基:
【化2】

または3−チエニル、ピリジル、ベンジル、ピリミジル、チアゾリル、イソチアゾリルもしくはC3-7シクロアルキルから選択され(これらは全て置換されていてもよい);
R3は、水素またはヒドロキシであり;
R4およびR5は、独立して、水素および置換されていてもよいC1-4アルキルからなる群から選択され;
Rbは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNR4R5からなる群から選択され;
Rcは、独立して、C1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNR4R5からなる群から選択され;
-は、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート、ホスフェート、アセテート、トリフルオロアセテート、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、マンデレート、メタンスルホネートおよびp−トルエンスルホネートのような生理学的に許容される陰イオンであり;
Y1は、OまたはNR4であり;
Y2およびY3は、独立して、NおよびCHからなる群から選択され;
sは、1〜3のうちの一の値を有する整数である]
によって表される。
【0009】
例示的な式(I)で示される化合物としては、
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
【0010】
(3−エンド)−3−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−フェニル−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(5−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
【0011】
(3−エンド)−1,1−ジシクロヘキシル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,1−ジシクロペンチル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,3−ビス(2−フルオロフェニル)−2−[(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)メチル]−2−プロパノールブロミド;
2−[(3−エンド)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジ−2−ピリジニルエタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−1−(2,3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド;
および
(3−エンド)−1−(2,3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド
が挙げられる。
【0012】
製造方法
式(I)で示される化合物は、いくつかを下記スキームにて例示している合成手順を利用して得ることができる。これらのスキームで示した合成法は、様々な異なるR1、R2およびR3を有する式(I)で示される化合物を製造するために適用することができる。
【0013】
【化3】

【0014】
1のようなアザビシクロケトンは、適当な出発物質を使用して、Robinson−Schopf縮合(一般的な方法について、Org. Syn. 816 (1958)を参照)として当業者に知られている反応によって製造することができる。さらにまた、Horner−Wadsworth−Emmons反応(RおよびR'=アルキル)として当業者に知られている変換を使用し、次いで、メタノールのような溶媒中にてパラジウム、白金またはロジウムのような遷移金属触媒を使用して水素添加して、2のようなエステルを得ることができる。別法として、1から2への変換は、米国特許第2,800,482号の記載に従って行うことができる。化合物3は、1)テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒中で過剰の適当な有機金属試薬R1M(M=LiまたはMg)を添加して、R1=R2である化合物3を得ることによって製造することができるか、または2)反応条件を適当に制御することによって(またはエステル2をいわゆるWeinrebアミド9へ変換することによって(スキーム2を参照))、ケトン中間体10を単離し、次いで、R2M(=LiまたはMg)で処理してR1≠R2である化合物3を形成することができる。
【0015】
【化4】

【0016】
次いで、アルコール3を試薬MeX(X=ハライドまたはスルホネート)で処理して、第4アンモニウム塩6を形成することができる。別法として、3を、脱水として当業者に知られている方法で処理してアルケン4を得ることができ、次いで、上記のように対応する第4アンモニウム塩7に変換することができる。アルケン4はまた、上記したように水素添加して、アルカン5を形成することができ、同様に、MeXと反応させて、第4アンモニウム塩8を得ることができる。別法として、脱水および水素添加工程を、それぞれ、第4アンモニウム塩6および7に対しても行うことができる。
【0017】
合成例
ここで、単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない以下の実施例を参照して本発明を説明する。全ての温度は℃で示される。薄層クロマトグラフィー(t.l.c.)はシリカを用いて行い、カラムクロマトグラフィーはシリカを用いて行った(フラッシュカラムクロマトグラフィーは、特に明記しない限り、Merck 9385を使用した)。LC/MSは、以下の条件下にて行った:
【0018】
カラム:3.3cm×4.6mm ID、3um ABZ+PLUS
流速:3ml/分
注入容量:5μl
温度:室温
溶媒:A:0.1%ギ酸水溶液+10mM酢酸アンモニウム
B:95%アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0019】
【表1】

【0020】
一般的な方法:
A.グリニャール反応
標準的な方法に従って製造されたものまたは商業上入手可能なものであるグリニャール試薬(8当量)を氷浴にて0℃に冷却した。無水テトラヘドロンフラン(4ml/mmol)中のトロパンエステル(1当量)を滴下した。室温に加温し、室温で30分間撹拌した後、反応混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、水性相を酢酸エチルで抽出した。有機相を濃縮し、逆相HPLCによって精製して、生成物を得た。
【0021】
B.脱水
以下の方法のうちの1つによってアルコール化合物をアルケン化合物に変換した。
【0022】
1.アルコール1g、シュウ酸2g、および水3mlの混合物を還流温度で2時間加熱した。冷却した混合物を10%NaOHでアルカリ性にし、生成物をエーテルで3回抽出して取り出した。エーテルを蒸発させて、所望のアルケン生成物を得た。
【0023】
2.アルコール1gおよび6N HCl水溶液5mlの混合物を還流温度で1時間加熱した。冷却した混合物を10%NaOHでアルカリ性にし、生成物をエーテルで3回抽出して取り出した。エーテルを蒸発させて、所望のアルケン生成物を得た。
【0024】
3.アルコールおよびAmberlyst−15(湿)樹脂(0.5当量(重量による))の混合物をアセトニトリル:水(5:1)中にて撹拌し、40℃まで18時間加熱した。反応物を冷却し、濾過した。蒸発により、所望のアルケン生成物を得た。
【0025】
C.水素添加
アルケンを10%パラジウム−炭(0.5%mmol)と一緒にメタノールに溶解した。反応混合物を水素バルーンと一緒に室温で2時間撹拌した。LCMSは、出発物質が残っていないことを示した。反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮してアルカン生成物を得た。この工程は精製を必要としなかった。
【0026】
D.4級化
以下の方法のうちの1つを使用して、第3アミン中間体を第4アンモニウム塩に変換することができる:
【0027】
1.室温で第3アミン(1当量)およびアルキル/アリールハライド(20当量)をジクロロメタン/アセトニトリル(2:1)に溶解した。得られた混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、生成物を得た。場合によっては、残留物を逆相HPLC(TFAを用いない)により精製した。
【0028】
2.室温で第3アミン(1当量)をブロモメタン(20当量)と一緒にアセトンに溶解した。得られた溶液を室温で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、冷エーテルで洗浄して、第4級塩を白色固体として得た。
【0029】
3.第3アミン(1当量)およびアリールブロミド(1当量)をクロロホルム/アセトニトリル(3:2)に溶解した。得られた溶液を12時間還流した。溶媒を蒸発させ、残留物を逆相分取HPLCにより精製して生成物を得た。
【0030】
中間体1
(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル:
約−45℃で、ニートなトリメチルホスホンアセテート(19.6ml、0.121mol)を水素化ナトリウム(95%、3.15g、0.125mol)のTHF(150ml)中スラリーに添加した。得られた混合物を−45℃〜−35℃で1時間撹拌した。トロピノン(15g、0.108mol)のTHF(100ml)中溶液を添加し、得られた混合物を−30℃〜室温で2時間にわたって撹拌した。反応混合物を還流させながら24時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水(50ml)でクエンチし、次いで、真空濃縮して、残留物を得、2M HCl(150ml)とエーテル(400ml)との間で分配させた。水性相を分取し、エーテル(2×200ml)で洗浄し、次いで、2.5M NaOH(約150ml)でpH12まで塩基性化した。次いで、水性残留物を酢酸エチル(4×100ml)で抽出した。合わせた有機物質をMgSO4で乾燥させ、濃縮して、粗油状物(16g、76%)を得た。
NMRは、所望の生成物および約5%のSMを示した。エンドアルケン2は全く検出されなかった。LC/MS:(M+M)に対応する1.06分(100%):196。
【0031】
MeOH(400ml)で希釈した上記粗油状物に10%Pd/C(1g)を添加した。得られた反応混合物を40〜56psi下にて室温で水素添加した。約43時間後、H2摂取は観察されなかった。触媒をCeliteで濾過した後、溶媒を真空下にて蒸発させて粗油状物を得、蒸留により精製して、無色の油状物11.2gを得た(69%)。沸点122〜125℃。NMRは所望の生成物だけを示した。10%未満のエンド生成物が存在したかもしれない。
【0032】
中間体2
(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル:
シアノ3−トロパン酢酸エチル
トロピノン(13.9g、0.1mol)、シアノ酢酸エチル(11.3g、0.1mol)、酢酸アンモニウム(1.6g、0.021mol)、酢酸(7.3g、0.12mol)および10%Pd/C(0.6g)の無水エタノール(20ml)中混合物を60p.s.i.にて50℃で18時間水素添加した。触媒を濾去した後、濾液を真空蒸発させた。琥珀色の油状残留物を希塩酸(1N、200ml)に溶解し、該溶液をエーテル(200ml)で抽出した。酸性溶液をK2CO3で中和し飽和し、生成物をエーテル(6×200ml)で抽出して取り出した。該エーテル溶液を蒸留して、所望のシアノ3−トロパン酢酸エチル8.0g(34%)を黄色油状物として得た。沸点139〜140℃(2mm)。
【0033】
3−トロパン酢酸エチル
シアノ−3−トロパン酢酸エチル5.6gの37%塩酸25ml中溶液を還流させながら13時間加熱した。該溶液を真空蒸発させ、残留物を連続添加により乾燥させ、無水エタノールの蒸留により取り出した。該粗物の塩化水素で飽和した無水エタノール40ml中溶液を室温で一夜放置することによって、粗物をエステル化した。アルコールのほとんどを真空除去した。次いで、残留物に5N冷NaOH溶液(20ml)を添加し、生成物をエーテル(6×50ml)で抽出した。エーテルを除去して、所望の生成物を薄黄色油状物として得た。収量:5.0g(100%)。
【0034】
中間体3
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
3−ブロモチオフェン(1.93g、11.8mmol)のエーテル(6ml)中溶液を−70℃まで冷却し、Ar下にて−70℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中2.5M、4.8ml)に添加した。反応混合物を−70℃で30分間撹拌した(参考文献:J.C.S. Perkin Trans. I. 1984, 223)。カニューレを介してエーテル中の(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル(1.00g、4.74mmol)を添加し、溶液を−70℃で1時間撹拌し続けた。水(10ml)を添加し、反応混合物を室温まで加温した。次いで、反応混合物をエーテルで抽出し、飽和NaClで洗浄した。エーテル層をNa2SO4で乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を得、逆相HPLCにより精製して、白色固体約460mg(29%)を得た。LC/MS:(M+H):334。
【0035】
中間体4
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(420mg、1.18mmol)から標記化合物を収率88%(420mg)で製造した。LC/MS:(M+H):316。
【0036】
中間体5
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エチル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法Cに従って、(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(360mg、1.68mmol)から標記化合物を収率69%(250mg)で製造した。LC/MS:(M+H):318。
【0037】
中間体6
(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(744mg、3.78mmol)および3,4−ジフルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、48ml、24mmol)から標記化合物を収率54%(802mg)で製造した。LC/MS:(M+H):394。
【0038】
中間体7
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(430mg、1.09mmol)から標記化合物を収率92%(376mg)で製造した。LC/MS:(M+H):376。
【0039】
中間体8
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法Cに従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(82mg、0.22mmol)から標記化合物を収率91%(75mg)で製造した。LC/MS:(M+H):378。
【0040】
中間体9
(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(750mg、3.81mmol)および3,5−ジフルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、50ml、25mmol)から標記化合物を収率19%(284mg)で製造した。LC/MS:(M+H):394。
【0041】
中間体10
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(270mg、0.68mmol)から標記化合物を収率74%(189mg)で製造した。LC/MS:1.87分、(M+H):376。
【0042】
中間体11
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法Cに従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(50mg、0.133mmol)から標記化合物を収率80%(40mg)で製造した。LC/MS:(M+H):378。
【0043】
中間体12
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(750mg、3.81mmol)および2−メトキシ−5−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、50ml、25mmol)から標記化合物を収率53%(842mg)で製造した。LC/MS:(M+H):418。
【0044】
中間体13
(3−エンド)−3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(195mg、0.68mmol)から標記化合物を収率46%(124mg)で製造した。
LC/MS:(M+H):399。
【0045】
中間体14
(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(985mg、5.0mmol)および5−フルオロ−2−メチルフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、60ml、30mmol)から標記化合物を収率11%(229mg)で製造した。LC/MS:(M+H):418。
【0046】
中間体17
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−メチルフェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(985mg、5.0mmol)および5−フルオロ−2−メチルフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、60ml、30mmol)から標記化合物を収率14%(292mg)で製造した。LC/MS:(M+H):418。
【0047】
中間体18
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(140mg、0.36mmol)から標記化合物を収率98%(129mg)で製造した。LC/MS:(M+H):368。
【0048】
中間体19
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法Cに従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(80mg、0.22mmol)から標記化合物を収率78%(63mg)で製造した。LC/MS:(M+H):370。
【0049】
中間体20
(3−エンド)−1,1−ジシクロヘキシル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(400mg、2.03mmol)およびシクロヘキシルマグネシウムブロミド(エーテル中0.5M、30ml、15mmol)から標記化合物を収率15%(101mg)で製造した。LC/MS(M+H):334。
【0050】
中間体21
(3−エンド)−1,1−ジシクロペンチル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(1.0g、5.03mmol)およびシクロペンチルネマグネシウムブロミド(エーテル中2M、40ml、80mmol)から標記化合物を収率10%(153mg)で製造した。LC/MS:(M+H):306。
【0051】
中間体22
(3−エンド)−1,3−ビス(2−フルオロフェニル)−2−[(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)メチル]−2−プロパノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(1.0g、5.03mmol)およびシクロペンチルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、40ml)から標記化合物を収率25%(487mg)で製造した。LC/MS:(M+H):386。
【0052】
中間体23
2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジ−2−ピリジニルエタノール:
2−ブロモピリジン(1.86g、11.8mmol)のエーテル(6ml)中溶液を−20℃まで冷却し、Ar下にて−20℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中2.5M、4.8ml)に添加した。反応混合物を−20℃で15分間撹拌した(参考文献:JACS 1951, 1788)。カニューレを介してエーテル中の(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル(0.80g、3.77mmol)を添加し、該溶液を−20℃で30分間撹拌し続けた。水(10ml)を添加し、反応混合物を室温まで加温した。次いで、反応混合物をエーテルで抽出し、飽和NaClで洗浄した。エーテル層をNa2SO4で乾燥させ、蒸発させて、粗生成物を得、逆相HPLCにより精製して、油状の副生成物約200mg(10%)を得た。LC/MS:(M+H):334。
【0053】
中間体25
2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、(エンド−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および2−ブロモ−3−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から標記化合物を合成した。粗化合物を、1.8%NH4OH:8%MeOH:92.2%CH2Cl2を使用してフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、0.320g(34%)を得た。LC/MS(M+H):362。
【0054】
実施例1
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D1に従って、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(3−メチル−2−チエニル))−エタノール(0.320g、0.885mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M、2.2ml、4.4mmol)から標記化合物を合成して、0.248g(61%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0055】
中間体26
1,1−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−エタノール
一般的な方法Aに従って、(エンド−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および3−メトキシマグネシウムブロミド(THF中1.0M、22ml、22mmol)から製造し、溶媒系として1.8%NH4OH:8%MeOH:92.2%CH2を使用してシリカにて精製して、0.69g(71%)を得た。LC/MS(M+H):382。
【0056】
実施例2
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
一般的な方法D1に従って、1,1−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−エタノール(0.54g、1.42mmol)およびメチルヨージド(530μl、8.5mmol)から標記化合物を合成して、0.72g(97%)を得た。LC/MS(M+H):396。
【0057】
中間体27
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージドを臭化水素の酢酸中30%溶液6mlに溶解した。70℃まで9時間加熱し、次いで、室温で12時間放置した。次いで、該溶液を濃縮し、逆相HPLCで精製して、標記化合物0.90gを得た。LC/MS(M+H):350。
【0058】
実施例3
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ビニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミドを10%パラジウム−炭(触媒)と一緒にメタノール15mlに溶解し、PARR水素化装置に50psiで2日間かけた後、濾過し、濃縮して、標記化合物0.030gを得た。LC/MS(M+H):352。
【0059】
中間体28
2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および3−ブロモ−4−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から標記化合物を合成した。粗化合物を、1.8%NH4OH:8%MeOH:92.2%CH2Cl2を使用してフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、0.242gを得た。LC/MS(M+H):362。
【0060】
中間体29
2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(5−メチル−2−チエニル))−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50、2.54mmol)および2−ブロモ−5−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から標記化合物を合成した。粗化合物を、1.8%NH4OH:8%MeOH:92.2%CH2Cl2を使用してフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、0.494gを得た。LC/MS(M+H):362。
【0061】
実施例4
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D1に従って、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(4−メチル−3−チエニル))−エタノール(0.120g、0.33mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M、0.83ml、1.65mmol)から標記化合物を合成して、0.048g(31%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0062】
実施例5
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(5−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D1に従って、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1,1−ビス−(5−メチル−2−チエニル))−エタノール(0.247g、0.68mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M、1.7ml、3.4mmol)から標記化合物を合成して、0.143g(46%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0063】
中間体33
1,1−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−酢酸メチルエステル(0.338g、1.72mmol)および2−ブロモ−5−クロロチオフェン(395μl、3.6mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、1.8ml、3.6mmol)から標記化合物を合成して、0.470gを得た。さらなる精製は行わなかった。LC/MS(M+H):402。
【0064】
実施例6
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D3に従って、1,1−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−エタノール(0.220g、0.55mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M、1.3ml、2.7mmol)から標記化合物を合成した。逆相HPLCにより精製して、0.11g(40%)を得た。LC/MS(M+H):416。
【0065】
中間体35
1,1−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル]−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.242g、1.23mmol)および2−ブロモ−5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン(JOC 64, 7048, (1999)に従って製造した、0.544g、2.58mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、1.3ml、5.65mmol)から標記化合物を合成した。粗化合物を、1.8%NH4OH:8%MeOH:92.2%CH2Cl2を使用してフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、0.380gを得た。LC/MS(M+H):434。
【0066】
実施例7
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D1に従って、1,1−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル]−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール(0.150g、0.346mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M、0.86ml、1.73mmol)から標記化合物を合成した。逆相HPLCにより精製して、0.107g(61%)を得た。LC/MS(M+H):448。
【0067】
実施例8
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールヨージド
一般的な方法D1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(100mg、0.30mmol)およびヨードメタン(890mg、6mmol)から標記化合物を収率91%(117mg)で製造した。LC/MS:(M+H):348。
【0068】
実施例9
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
一般的な方法D1に従って、(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エチル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(50mg、0.16mmol)およびヨードメタン(466mg、3.2mmol)から標記化合物を収率60%(340mg)で製造した。LC/MS:(M+H):332。
【0069】
実施例10
(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(100mg、0.254mmol)およびブロモメタン(tert−ブチルエーテル中2M、2.5ml、5.0mmol)から標記化合物を収率71%(88mg)で製造した。LC/MS:(M+H):408。
【0070】
実施例11
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(42mg、0.11mmol)およびブロモメタン(1.1ml、tert−ブチルエーテル中2M、2.2mmol)から標記化合物を収率76%(139mg)で製造した。LC/MS:(M+H):392。
【0071】
実施例12
(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(36mg、0.092mmol)およびブロモメタン(0.9ml、tert−ブチルエーテル中2M、1.8mmol)から標記化合物を収率79%(35mg)で製造した。LC/MS:(M+H):408。
【0072】
実施例13
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(50mg、0.133mmol)およびブロモメタン(1.3ml、tert−ブチルエーテル中2M、52.6mmol)から標記化合物を収率34%(21mg)で製造した。LC/MS:(M+H):392。
【0073】
実施例14
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(100mg、0.240mmol)およびブロモメタン(2.4ml、tert−ブチルエーテル中2M、4.8mmol)から標記化合物を収率84%(103mg)で製造した。LC/MS:(M+H):432。
【0074】
実施例15
(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(50mg、0.13mmol)およびブロモメタン(1.3ml、tert−ブチルエーテル中2M、2.6mmol)から標記化合物を収率72%(45mg)で製造した。LC/MS:(M+H):400。
【0075】
実施例16
(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(50mg、0.13mmol)およびブロモメタン(1.3ml、tert−ブチルエーテル中2M、2.6mmol)から標記化合物を収率84%(52mg)で製造した。LC/MS:(M+H):400。
【0076】
実施例17
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
一般的な方法D1に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エチル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ(40mg、0.11mmol)およびヨードメタン(323mg、2.2mmol)から標記化合物を収率27%(14mg)で製造した。LC/MS:(M+H):384。
【0077】
実施例18
(3−エンド)−1,1−ジシクロヘキシル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ジ−ジシクロヘキシル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(65mg、0.195mmol)およびブロモメタン(414mg、3.8mmol)から標記化合物を収率55%(66mg)で製造した。LC/MS:(M+H):348。
【0078】
実施例19
(3−エンド)−1,1−ジシクロペンチル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,1−ジ−ジシクロペンチル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(120mg、0.39mmol)およびブロモメタン(850mg、7.8mmol)から標記化合物を収率78%(100mg)で製造した。LC/MS:(M+H):320。
【0079】
実施例20
(3−エンド)−1,3−ビス(2−フルオロフェニル)−2−[(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)メチル]−2−プロパノールブロミド:
一般的な方法D2に従って、(3−エンド)−1,3−ビス(2−フルオロフェニル)−2−[(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)メチル]−2−プロパノール(55mg、0.143mmol)およびブロモメタン(312mg、2.86mmol)から標記化合物を収率73%(50mg)で製造した。LC/MS:(M+H):400。
【0080】
実施例21
2−[(3−(3−エンド))−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジ−2−ピリジニルエタノールヨージド:
一般的な方法D1に従って、2−[((3−エンド))−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジ−2−ピリジニルエタノール(50mg、0.155mmol)およびヨードメタン(28mg、0.19mmol)から標記化合物を収率60%(60mg)で製造した。LC/MS:(M+H):338。
【0081】
中間体38
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル(600mg、2.85mmol)および4−クロロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、20mL、20mmol)から標記化合物を収率50%(554mg)で製造した。LC/MS:(M+H):390。
【0082】
中間体39
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル(800mg、4.06mmol)、マグネシウム(1.18g、48.7mmol)および3−クロロフェニルブロミド(7.77g、40.6mmol)から標記化合物を収率63.3%(1.00g)で製造した。LC/MS:(M+H):390。
【0083】
中間体40
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸エチルエステル(800mg、3.79mmol)および4−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、31mL、30mmol)から標記化合物を収率82%(1.10g)で製造した。LC/MS:(M+H):358
【0084】
中間体41
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(600mg、3.05mmol)、マグネシウム(888mg、36.5mmol)および3−フルオロフェニルブロミド(5.34g、30.5mmol)から標記化合物を収率64%(700mg)で製造した。LC/MS:(M+H):358
【0085】
中間体43
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3−クロロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(500mg、1.28mmol)から標記化合物(400mg)を収率84%で製造した。LC/MS:(M+H):372
【0086】
中間体44
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(4−フルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(1000mg、2.80mmol)から標記化合物(700mg)を収率74%で製造した。LC/MS:(M+H):340
【0087】
中間体45
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノール(460mg、1.28mmol)から標記化合物(400mg)を収率92%で製造した。LC/MS:(M+H):340
【0088】
実施例22
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール(100mg、0.28mmol)、およびメチルヨージド2.0ml(32.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(103mg、99%)を得た。LC/MS:(M+H):372。
【0089】
中間体47
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(400mg、1.18mmol)を10%パラジウム−炭(50mg、0.5%mmol)と一緒にメタノール(10mL)に溶解した。反応混合物を水素バルーンと一緒に室温で2時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して、標記化合物(270mg、67%)を得た。この工程は精製を必要としなかった。LC/MS:(M+H):342。
【0090】
実施例23
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール(100mg、0.256mmol)、およびメチルヨージド2.0ml(32.1mmol)を塩化メチレンおよびアセチルニトリルの混合物(10ml、2:1)中にて室温で撹拌した。LCMSは、反応物を12時間撹拌した後に出発物質が残っていないことを示した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(74mg、72%)を得た。LC/MS:1.96分、(M+H):406。
【0091】
実施例24
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(200mg、0.58mmol)、およびメチルヨージド2.0mL(32.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(200mg、99%)を得た。LC/MS:(M+H):356。
【0092】
実施例25
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール(100mg、0.28mmol)、およびメチルヨージド0.5mL(8.1mmol)をメタノール5ml中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(90mg、86%)を得た。LC/MS:(M+H):372
【0093】
中間体48
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(200mg、0.59mmol)を10%パラジウム−炭(50mg、0.5%mmol)と一緒にメタノール(10ml)に溶解した。反応混合物を水素バルーンと一緒に室温で2時間撹拌した。LCMSは、出発物質が残っていないことを示した。反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して標記化合物(200mg、99%)を得た。この工程は精製を必要としなかった。LC/MS:(M+H):342。
【0094】
実施例26
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノール(200mg、0.53mmol)、およびメチルヨージド1ml(16.1mmol)をメタノール5ml中にて室温で撹拌した。LCMSは、反応物を12時間撹拌した後に出発物質が残っていないことを示した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(160mg、79%)を得た。LC/MS:(M+H):404。
【0095】
中間体49
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンおよび(3−エンド)−3−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−フェニル−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−ビニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(230mg、0.65mmol)をメタノール(10mL)に溶解した。10%パラジウム−炭(50mg、0.5%mmol)を添加した。反応混合物を水素バルーンと一緒に室温で2時間撹拌し、セライトパッドで濾過した。濾液を濃縮し、HPLCにより精製して、標記生成物(97mg、42%および120mg、50%)を得た。LC/MS:(M+H):374。
【0096】
実施例27
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(97mg、0.26mmol)、およびメチルヨージド0.5mL(8.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(50mg、48%)を得た。LC/MS:(M+H):388。
【0097】
実施例28
(3−エンド)−3−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−フェニル−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−フェニル−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(120mg、0.35mmol)、およびメチルヨージド0.5mL(8.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で撹拌した。LCMSは、反応物を12時間撹拌した後に出発物質が残っていないことを示した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(90mg、72%)を得た。LC/MS:(M+H):354。
【0098】
実施例29
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(200mg、0.59mmol)、およびメチルヨージド0.5mL(8.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(160mg、76%)を得た。LC/MS:(M+H):356
【0099】
中間体50
(3−エンド)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノン:
−5℃での(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−酢酸メチルエステル(1.97g、10mmol)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン・塩酸塩(1.22g、12.5mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)中スラリー溶液に1Mフェニルマグネシウムブロミド(30mL、30mmol)を10分間にわたって添加した。該溶液を−5℃で20分間撹拌した後、室温に一夜加温した。反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液(40mL)でクエンチし、酢酸エチル(100ml×3)で抽出した。合わせた有機相を濃縮し、HPLCにより精製して、標記化合物(1.9g、78%)を得た。LC/MS:(M+H):244。
【0100】
中間体51
(3−エンド)−1−(2,3−ジクロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノール:
n−ブチルリチウム(2.5M、2.5mL)を−78℃でテトラヒドロフラン50mL中の1,2−ジクロロベンゼン(0.70mL、6.224mmol)に10分間にわたって滴下した。反応混合物を−78℃で2.5時間撹拌した後、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−1−フェニル−エタノン(500mg、2.06mmol)を添加した。該溶液を室温まで加温し、塩化アンモニウム飽和水溶液(15mL)でクエンチし、水性相を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機相を濃縮し、HPLCにより精製して、生成物(480mg、59.7%)を得た。LC/MS:(M+H):390。
【0101】
中間体53
(3−エンド)−1−(2,3−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノール:
n−ブチルリチウム(2.5M、5.0mL)を−78℃でテトラヒドロフラン20mL中の1,2−ジクロロベンゼン(1.2ml、12.36mmol)に10分間にわたって滴下した。反応混合物を−78℃で2.0時間撹拌した後、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル))−1−フェニル−エタノン(500mg、2.06mmol)を添加した。該溶液を室温まで加温し、塩化アンモニウム飽和水溶液(15mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合わせた有機相を濃縮し、HPLCにより精製して、生成物(150mg、20.4%)を得た。LC/MS:(M+H):358。
【0102】
実施例30
(3−エンド)−1−(2,3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1−(2,3−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノール(20mg、0.073mmol)、およびメチルヨージド1mL(16.1mmol)をメタノール5mL中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(23mg、85%)を得た。LC/MS:(M+H):372。
【0103】
実施例31
(3−エンド)−1−(2,3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド:
(3−エンド)−1−(2,3−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノール(50mg、0.128mmol)、およびメチルヨージド1mL(16.1mmol)をメタノール5ml中にて室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、標記化合物(40mg、77%)を得た。LC/MS:(M+H):404。
【0104】
生物学的実施例
以下のインビトロおよびインビボ機能アッセイにより本発明の化合物のM3 mAChRでの阻害効果を測定した:
【0105】
カルシウム動員による受容体活性化の阻害の分析
CHO細胞で発現されるmAChRの刺激を、以前に記載されているように(4)、受容体活性化カルシウム動員をモニターすることにより分析した。M mAChRを安定的に発現するCHO細胞を、96ウェル黒壁/透明底プレート中で平板培養した。18〜24時間後、培地を吸引し、ロード培地(アール塩、0.1%RIAグレードBSA(Sigma、ミズーリ州セントルイス)および4μM Fluo−3−アセトキシメチルエステル蛍光指示染料(Fluo−3AM、Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を有するEMEM)100μlで置き換え、37℃で1時間インキュベートした。次いで、染料含有培地を吸引し、新鮮な培地(Fluo−3AM不含)で置き換え、細胞を37℃で10分間インキュベートした。次いで、細胞を3回洗浄し、アッセイ緩衝液(0.1%ゼラチン(Sigma)、120mM NaCl、4.6mM KCl、1mM KH2PO4、25mM NaHCO3、1.0mM CaCl2、1.1mM MgCl2、11mMグルコース、20mM HEPES(pH7.4))100μl中にて37℃で10分間インキュベートした。化合物(アッセイで1×10-11〜1×10-5M最終)50μlを加え、プレートを37℃で10分間インキュベートした。次いで、プレートを蛍光光強度プレートリーダー(FLIPR、Molecular Probes)中に置き、そこで、染料負荷した細胞を6ワットのアルゴンレーザーによる励起光(488nm)に曝露した。0.1%BSAを含む緩衝液中で調製したアセチルコリン(0.1〜10nM最終)50μlを50μl/秒の速度で加えて細胞を活性化させた。細胞質カルシウム濃度の変化としてモニターされるカルシウム動員を566nmでの発光強度の変化として測定した。発光強度の変化は細胞質カルシウム濃度に直接関係する(5)。96ウェルすべてから発光された蛍光を、冷却したCCDカメラを使用して同時に測定する。データポイントを1秒毎に採取する。次いで、このデータを、GraphPad PRISMソフトウェアを用いてプロットし解析した。
【0106】
メタコリン誘発性気管支収縮
メタコリンに対する気道反応性を、覚醒している無拘束Balb Cマウス(各グループn=6)で測定した。気圧プレチスモグラフィーを用いて、メタコリンを用いた気管支攻撃の間に起こる気道抵抗の変化と相関することが分かっている無単位の測定値である強い休止(enhanced pause)(Penh)を測定した(2)。マウスをビヒクル(10%DMSO)50μl中の化合物50μl(0.003〜10μg/マウス)で鼻腔内、i.v.、i.p.またはp.o.で前処理し、次いで、プレチスモグラフィーチャンバー中に置いた。一旦チャンバーに入れたら、マウスを10分間平衡化させた後、5分間ベースラインPenh測定を行った。次いで、マウスをメタコリン(10mg/ml)のエアゾールで2分間攻撃した。メタコリンエアゾールの開始時から始めて7分間連続的にPenhを記録し、その後5分間続行した。各マウスについてのデータを、GraphPad PRISMソフトウェアを用いて解析しプロットした。
【0107】
本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞症、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎のような呼吸器障害;過敏性腸症候群、痙性大腸炎、胃十二指腸潰瘍、胃腸痙攣または運動機能亢進、憩室炎、胃腸平滑筋系の痛みを伴う攣縮のような胃腸管障害;神経原性頻尿、神経因性膀胱、夜尿症、心因性膀胱、膀胱攣縮もしくは慢性膀胱炎に付随する失禁、尿意逼迫または頻尿を含む尿路障害を伴う排尿障害、および乗り物酔いを包含するがこれらに限定されるものではない様々な適応症の処置に有用である。
【0108】
本発明の化合物の投与方法は、当業者に容易に明らかであろう。
【0109】
吸入による肺への局所送達用の乾燥散剤組成物は、例えば、吸入器またはインサフレーターでの使用のために、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または例えば積層アルミ箔のブリスターにて提供され得る。処方物は一般に、本発明の化合物、およびラクトースまたはデンプンのような好適な散剤基剤(担体物質)の吸入用散剤混合物を含む。ラクトースの使用が好ましい。各カプセルまたはカートリッジは一般に、所望により別の治療上有効な成分と組み合わせて、式(I)で示される化合物20μg〜10mgを含み得る。別法として、本発明の化合物は賦形剤を含まずに提供され得る。
【0110】
好適には、薬物ディスペンサーは、リザーバー乾燥散剤吸入器(RDPI)、複数回投与用乾燥散剤吸入器(MDPI)および定量型吸入器(MDI)からなる群から選択されるタイプのものである。
【0111】
リザーバー乾燥散剤吸入器(RDPI)とは、乾燥散剤形態の複数の(非定量の)薬物を含むのに適したリザーバー型パックを有しており、リザーバーから送達位置への薬物用量を計量する手段を含む吸入器を意味する。計量手段は、例えば、リザーバーからの薬物をカップに充填できる第1の位置から、患者が計量した薬物用量を吸入できるようにする第2の位置へと移動可能な計量カップを含み得る。
【0112】
複数回投与用乾燥散剤吸入器(MDPI)とは、乾燥散剤形態の薬物を分注するのに適した吸入器を意味しており、そこでは、薬物は、複数の規定(define)用量(またはその一部)の薬物を含む(あるいは担持する)複数回投与用パック内に含まれる。好ましい態様では、その担体はブリスターパック形態を有するが、例えば、カプセルをベースとしたパック形態、または印刷、塗装および真空吸蔵を含むいずれもの適当な方法で薬物を塗布した担体を含むこともできる。
【0113】
製剤は、事前に計量され得るか(例えば、Diskus(GB2242134を参照のこと)またはDiskhaler(GB2178965、2129691および2169265を参照のこと)におけるようにして)、または、使用の際に計量され得る(例えば、Turbuhaler(EP69715を参照のこと)におけるようにして)。1回投与用デバイスの例はRotahaler(GB2064336を参照のこと)である。Diskus吸入デバイスは、その長さに沿って間隔をおいた複数の凹部を有するベースシート、および複数の容器を画定するように該凹部を気密的であるが剥離可能にシールする蓋シートにより成形される細長いストリップを含んでおり、各容器は式(I)の化合物を好ましくはラクトースと一緒に含む吸入可能な製剤をその中に有している。好ましくは、ストリップは、円筒状に巻くのに十分に可撓性である。蓋シートおよびベースシートは、好ましくは、互いにシールし合わない先端部を有しており、該先端部の少なくとも1つは、巻き取り手段に取り付けられるように構成されている。また、このましくは、ベースシートと蓋シートとの間の気密シールはその幅全体に及ぶ。蓋シートは、好ましくは、ベースシートの第1の端部から長手方向にベースシートから剥がすことができる。
【0114】
一の態様では、複数回投与用パックは、乾燥散剤形態の薬物を格納するための複数のブリスターを含むブリスターパックである。該ブリスターは、典型的には、そこからの薬物の取り出しを容易にするための通常の方式で配置される。
【0115】
一の態様では、複数回投与用ブリスターパックは、ディスク型ブリスターパック上に概略円形状に配置された複数のブリスターを含む。他の態様では、複数回投与用ブリスターパックは、例えばストリップまたはテープを含む、細長い形である。
【0116】
好ましくは、複数回投与用ブリスターパックは、互いに剥離可能に固定し合った2つの部材間で画定される。米国特許第5,860,419号、同第5,873,360号および同第5,590,645号には、この一般的なタイプの薬物パックが記載されている。この態様では、デバイスは通常、各薬物用量にアクセスするために離れている部材を剥がすための剥離手段を含む開放ステーションを備えている。適当には、剥離可能な部材がその長さに沿って間隔をおいた複数の薬物容器を画定する細長いシートであるデバイスであって、各容器を順に指標付けするための指標手段を備えているデバイスが使用に適している。より好ましくは、シートの一方が複数のポケットを有するベースシートであり、シートの他方が蓋シートであり、各ポケットと蓋シートの隣接部分とが容器のそれぞれの1つを画定しているデバイスであって、開放ステーションで離れている蓋シートとベースシートとを引くための駆動手段を含むデバイスが使用に適している。
【0117】
定量型吸入器(MDI)とは、エアゾールの形態の薬物を分注するのに適した薬物ディスペンサーを意味し、そこでは、薬物は、噴射剤をベースとしたエアゾール薬物製剤を含むのに適したエアゾール容器内に含まれる。エアゾール容器は、典型的には、エアゾール状の薬物製剤を患者に放出するための計量バルブ、例えばスライドバルブを備えている。エアゾール容器は一般に、バルブにより作動毎に所定用量の薬物を送達するように設計されており、そのバルブは、容器を固定したままバルブを押すか、またはバルブを固定したまま容器を押すことによって開けることができる。
【0118】
薬物容器がエアゾール容器である場合、バルブは、典型的に、薬物エアゾール処方物がバルブ本体に入ることができる流入口、エアゾールがバルブ本体を出ることができる流出口、および該流出口を通る流れを制御可能にする開/閉機構を有するバルブ本体を含む。
【0119】
バルブは、開/閉機構がシールリングを含んでいて該シールリングによって分注通路を有するバルブ軸を受けることができるスライドバルブでもよく、該バルブ軸は、バルブ閉鎖位置から、分注通路を介してバルブ本体の内部がバルブ本体の外側と連絡しているバルブ開放位置までリング内を摺動自在に動くことができる。
【0120】
典型的には、バルブは計量バルブである。計量容量は、典型的に、10〜100μl、例えば25μl、50μlまたは63μlである。好適には、バルブ本体は、薬物処方物の量を計量するための計量チャンバー、および計量チャンバーへの流入口を通る流れを制御可能にする開/閉機構を画定する。好ましくは、バルブ本体は、薬物処方物の計量チャンバーへの流れを調節する開/閉機構によって制御可能な第2の流入口を介して計量チャンバーと連絡しているサンプリングチャンバーを有する。
【0121】
バルブはまた、チャンバー、および該チャンバー中に伸長していて分注位置と非分注位置との間でチャンバーに対して動くことができるバルブ軸を有する「フリーフローエアゾールバルブ」を含むこともできる。バルブ軸やチャンバーは、計量容量がそれらの間で画定されるような、かつ、非分注位置と分注位置との間を動く間にバルブ軸が連続して(i)エアゾール処方物のチャンバーへのフリーフローを可能にし、(ii)バルブ軸の外部表面とチャンバーの内部表面との間で、加圧エアゾール処方物の密閉した計量容量を画定し、そして(iii)計量容量が流出通路と連絡するまで密閉した計量容量の容量を減少させることなくチャンバー内を密閉した計量容量とともに移動して加圧エアゾール処方物の計量容量の分注を可能にするような、立体配置(バルブ軸について)および内部立体配置(チャンバーについて)を有する。この種のバルブは、米国特許第5,772,085号に記載されている。さらに、本発明の化合物の鼻腔内送達が有効である。
【0122】
有効な鼻腔投与用医薬組成物を処方するために、薬物は、それがその薬理学的機能を果たす鼻腔(標的組織)のあらゆる部分に容易に送達されなければならない。さらに、薬物は、比較的長時間標的組織と接触したままであるべきである。薬物が標的組織と接触したままである時間が長い程、薬物は、鼻から粒子を除去するように機能する鼻道におけるそれらの力に抵抗できなければならない。「粘液線毛クリアランス」といわれるそのような力は、迅速に、例えば粒子が鼻に入ってから10〜30分以内に、該粒子を鼻から除去するのに極めて有効であると認識される。
【0123】
鼻腔投与用組成物の他の所望される特徴は、使用者の不快を引き起こす成分を含んではならないこと、十分な安定性および有効期間特性を有すること、および環境に有害であると考えられる成分(例えば、オゾン破壊物質)を含まないことである。
【0124】
鼻に投与する場合の本発明の処方物に好適な投与用法は、患者が鼻腔をきれいにした後に深く吸入することであろう。吸入の間、片方の鼻孔を手で圧迫すると同時にもう片方に処方物を適用する。次いで、反対側の鼻孔のためにこの手順を繰り返す。
【0125】
本発明の処方物を鼻道に適用するための好ましい手段は、予圧ポンプの使用によるものである。最も好ましくは、予圧ポンプは、Valois SA製のVP7モデルであろう。かかるポンプは、十分な力が負荷されるまでは処方物が放出されないことが確実であり、また、より少量を適用することができるので、有益である。予圧ポンプの別の利点は、スプレーを有効に微粒化するための限界圧力に達するまで処方物を放出しないのでスプレーの微粒化が確保されることである。典型的には、VP7モデルは、処方物10〜50mlを保持できるボトルを用いて使用され得る。各スプレーは典型的に、そのような処方物50〜100μlを送達し、したがって、VP7モデルは少なくとも100回の計量用量を提供できる。
【0126】
鼻腔投与用処方物の実施例
実施例1:有効成分を含む鼻腔投与用処方物
120回の作動に適した全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、該処方物を作動1回につき50または100μlを分注するようにした計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表2】

デバイスを鼻腔用アクチュエータ(Valois)に装着した。
【0127】
実施例2:有効成分を含む鼻腔投与用処方物
120回の作動に適した全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を作動1回につき50または100μlを分注するようにした計量バルブを装着したボトル(プラスチックまたはガラス)に充填した:
【表3】

デバイスを鼻腔用アクチュエータ(Valois、例えば、VP3、VP7またはVP7D)に装着した。
【0128】
実施例3:有効成分を含む鼻腔投与用処方物
120回の作動に適した全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を作動1回につき50または100μlを分注するようにした計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表4】

【0129】
実施例4:有効成分を含む鼻腔投与用処方物
120回の作動に適した全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を作動1回につき50または100μlを分注するようにした計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表5】

デバイスを経鼻アクチュエータ(Valois)に装着した。
【0130】
明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、文脈がほかに必要としない限り、「含む」なる用語および「含むこと」のようなバリエーションは、記載された整数もしくは工程または整数の群の含有を意味し、いずれもの他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の除外を意味しないことが理解されよう。
【0131】
本明細書に記載の特許および特許出願を、出典明示により本明細書の一部とする。
【0132】
本明細書にて引用した特許および特許出願を包含するがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とすることが明示されているかのように出典明示により本明細書の一部とする。
【0133】
上記記載事項は好ましい実施態様を包含する本発明を十分に開示する。本明細書に具体的に開示した実施態様の変更および改良は特許請求の範囲の範囲内に含まれる。さらに詳述せずとも、当業者であれば上記記載事項を用いて本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、本明細書における実施例は単に例示的なものであって、如何なる場合も本発明の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。独占的な所有権および特権が主張される本発明の実施態様は特許請求の範囲に定義するとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、
R1およびR2は、独立して、
【化2】

3−チエニル、ピリジル、ベンジル、ピリミジル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびC3-7シクロアルキルからなる群から選択され(これらは全て置換されていてもよい);
R3は、水素またはヒドロキシであり;
R4およびR5は、独立して、水素および置換されていてもよいC1-4アルキルからなる群から選択され;
Rbは、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNR4R5からなる群から選択され;
Rcは、独立して、C1-4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNR4R5からなる群から選択され;
-は、生理学的に許容される陰イオンであり、
Y2およびY3は、独立して、NおよびCHからなる群から選択され、
sは、1〜3のうちの一の値を有する整数である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
陰イオンがクロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシド、スルフェート、ニトレート、ホスフェート、アセテート、トリフルオロアセテート、フマレート、シトレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、マンデレート、メタンスルホネートおよびp−トルエンスルホネートからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
以下の化合物からなる群から選択される請求項1記載の化合物:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2−(3−クロロ−フェニル)−2−フェニル−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(5−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−チエニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−1,1−ジシクロヘキシル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,1−ジシクロペンチル−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)エタノールブロミド;
(3−エンド)−1,3−ビス(2−フルオロフェニル)−2−[(8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)メチル]−2−プロパノールブロミド;
2−[(3−(3−エンド))−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1,1−ジ−2−ピリジニルエタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−エタノールヨージド;
(3−エンド)−1−(2,3−フルオロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド;および
(3−エンド)−1−(2,3−クロロ−フェニル)−2−(8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−1−フェニル−エタノールヨージド。
【請求項4】
請求項1記載の化合物および医薬上許容される担体を含む、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項5】
請求項1記載の化合物の安全かつ有効な量を投与することを含む、アセチルコリンのその受容体への結合の阻害を必要とする哺乳動物におけるアセチルコリンのその受容体への結合の阻害方法。
【請求項6】
請求項1記載の化合物の安全かつ有効な量を投与することを含む、アセチルコリンがムスカリン性アセチルコリン受容体に結合するムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の治療方法。
【請求項7】
疾患が慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞症、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
投与が口または鼻を経由する吸入によるものである、請求項7の方法。
【請求項9】
投与がリザーバー乾燥散剤吸入器、複数回投与用乾燥散剤吸入器または定量型吸入器から選択される薬物ディスペンサーによるものである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
化合物がヒトに投与され、1mgの用量に対して12時間またはそれ以上の作用時間を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物が24時間またはそれ以上の作用時間を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
化合物が36時間またはそれ以上の作用時間を有する、請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2009−503099(P2009−503099A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525166(P2008−525166)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030153
【国際公開番号】WO2007/016639
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】