説明

MIMO通信装置の送信方式切り替え方法、及び無線通信装置

【課題】複数のMIMO通信方式に対応する無線通信装置において、MIMO通信方式と符号化、変調方式の全てを高いスループットが得られるよう適切に切り替える。
【解決手段】送信側無線通信機1のMIMO方式決定部14は、分離器18で分離したCQI値と実測レートテーブル13を参照してMIMO方式を決定し、AMCテーブル制御部15は、決定されたMIMO方式とCQI値に基づき使用するMCS値を選定する。AMCテーブル制御部15は、送信回数と通信の成否に応じて、MCS値に徐々に変更を加える。また、受信成功時、或いは送信回数が最大値になったとき、実測レートテーブルの平均レートを更新する。このとき、使用されているMIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせの通信結果からの推定値をもって、使用されないMIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせに対して、切り替える基準を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信方式を切り替えて使用する無線通信装置、および、その送信方法の切り替え技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信など、無線伝搬路が変動する環境における無線通信方式として、複数のMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信方式、符号化方式、変調方式などを適応的に切り替えて通信を行う技術が知られている。更に、切り替えを行う際の選択基準を実際の通信状況にあわせて変更する技術として、たとえば、特許文献1があげられる。特許文献1では、受信信号対干渉電力比(Signal to Interference power Ratio:SIR)を用いて、変調符号化(Modulation and Coding Scheme:MCS)レベルを切り替える方法、および、MCSレベルを切り替えるための受信SIRの基準値を、通信状況にあわせて制御する方法の記載がある。なお、本件発明者等はこの技術分野における関連発明としてMIMO通信方式の改良に関する特許文献2を出願している。
【0003】
また、非特許文献1には、SM, STCに対応するモードとして、“spatial multiplexing”、および、“transmit diversity”が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003-143654号公報
【特許文献2】特開2004-266586号公報
【非特許文献1】3GPP TS36.211 v8.3.0 “Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA); Physical Channels and Modulation”、「6.3.3 Layer mapping」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の特許文献1の技術においては、MCSレベルを切り替える際に、個々の移動機の受信性能に合わせて基準値を変更しているが、基準値の変更については高い通信スループットを保つように基準値を変更することが望ましい。また、無線通信機が複数のMIMO通信方式に対応する場合において、MIMO通信方式と符号化、変調方式のすべてを適切に切り替える方法が必要となる。
【0006】
本発明では、複数のMIMO通信方式を利用する無線通信装置において、複数のMIMO通信方式、および、符号化、変調方式を高いスループットが得られるように適切に切り替える方法、及びそれを利用した無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記目的を達成するために、複数のMIMO方式を切り替えて使用する場合において、現時点で使用されていないMIMO方式、符号化方式、変調方式の組み合わせに対して、推定値を使用することで、伝搬路の統計的性質が変化した場合においても、適切なMIMO方式、符号化方式、変調方式が選択できるようにする。
【0008】
すなわち、本発明においては、複数のMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替えて通信を行うMIMO通信装置の送信方法切り替え方法であって、MIMO通信装置は、現時点の切り替え基準では使用されないMIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせに対して、使用されているMIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせの通信結果からの推定値をもって、使用されていないMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替える基準を変更する送信方法切り替え方法を提供する。
【0009】
また、本発明においては、複数のMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替えて通信を行う無線通信装置であって、無線周波数回路部と、この無線周波数回路部が受信した受信信号を復調・復号する復調・復号部と、送信データを符号化・変調する符号化変調部と、復調・復号部が受信信号から抽出したCQI(Channel Quality Information)値に基づき、複数のMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を選択する処理部とを有し、この処理部は、CQI値に対応する、複数のMIMO通信方式各々の平均レートと、MIMO通信方式各々における符号化方式、変調方式を示すMCS値とを記憶し、CQI値に基づき決定したMIMO通信方式に従い、送信データの送信のための符号化方式、変調方式を選択し、選択した符号化方式、変調方式に基づき、送信データを送信するよう制御し、且つ、処理部は、送信回数と通信の成否に応じて、選択したMIMO通信方式のMCS値を変更すると共に、選択されなかったMIMO通信方式のMCS値を推定値により更新する無線通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のMIMO通信方式、および、符号化、変調方式を高いスループットが得られるように適切に切り替える方法、及びその方法を利用した無線通信装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明が適用される無線通信装置について説明する。無線通信装置は、図1に示すように、送信側無線通信機1が複数のアンテナ2-1,2-2から信号を送信し、無線伝搬路を介して受信側無線通信機4が複数のアンテナ3-1,3-2を用いて送信された信号を受信する構成を有する。
【0012】
図1では、送信アンテナ、受信アンテナがそれぞれ2本の場合について図示しているが、それ以外の本数の組み合わせであってもよく、また、送信アンテナの数と受信アンテナの数が異なっていても良い。図1の伝搬路においては、送信アンテナ2-1から送信された信号は、それぞれ、受信アンテナ3-1,3-2に複素利得h11,h12で到達し、送信アンテナ2-2から送信された信号は、それぞれ、受信アンテナ3-1,3-2に複素利得h21,h22で到達するものとする。このような伝搬路を、h11〜h22を要素とする複素利得行列Hを用いて表現する。
【0013】
なお、以下の説明において、通信方式として、MIMO通信方式を例示して説明するが、これに限定されるものでないことは言うまでもない。また、伝搬路の「実効レート(スループット)」を「実測レート」や「平均レート」と呼ぶ場合がある点に留意されたい。
【実施例1】
【0014】
第1の実施例の無線通信装置においては、複数の符号化方式、変調方式を切り替えて通信を行うため、送信回数および通信成否に応じて符号化方式、変調方式を切り替える基準を変更する構成を有する。
【0015】
図2に、第1の実施例である無線通信装置の送信側無線通信機1の機能構成を示すブロック図を示す。送信側無線通信機1は、前述のように複数のアンテナ2-1,2-2,2-3等を用いて信号を送信するが、本実施例においては、複数の通信モードとしてMIMO通信方式の複数の信号の乗せ方(MIMOモード)が選択できるものとする。例えば、並列伝送により高速通信が可能なSM (Spatial Multiplexing)モードと、安定通信が可能なSTC (Space-Time Coding)モードを選択して伝送する場合を考える。なお、これ以外にも信号を伝搬路行列Hの特異ベクトルにしたがって信号をマッピングする固有モード伝送や、4本またはそれ以上のアンテナ本数で安定通信を実現するSTBC(Space-Time Block Code)モード等の他のMIMOモードを用いても良いことは言うまでない。
【0016】
まず、送信側無線通信機1が受信側無線通信機4にデータを送信する場合、前もって受信側無線通信機4から通知されている通信路品質情報(Channel Quality Information:CQI)を参照する。CQIは、アンテナ2-1,2-2,2-3等で受信された信号を無線周波数回路16、復調器17-1を介して分離器(De-MUX)18に供給し分離することで得られる。送信側無線通信機1は、CQIを用いて、CQIが良い通信路品質を示している時は高速の通信、悪い通信路品質を示している時は低速の通信を行うように動作する。このために、MIMO方式決定部14は、現在通知されているCQIに対して、SMモードとSTCモードのどのMIMOモードが最も高いレートで通信できるかを、実測レートテーブル13を用いて判定し、選択する。
【0017】
次にMIMO方式決定部14の判定結果に従い、適応変調符号化 (Adaptive Modulation and Coding:AMC)テーブル制御部15が、選択したMIMOモードについて現在のCQIに適した符号化方法、および、変調方法を決定する。
【0018】
送信データはバッファ/スケジューラ10に一度保持され、適当なタイミングで符号化器11に供給される。符号化器11は、AMCテーブル制御部15で決定された符号化方法で符号化を行い、符号化結果を変調器12に供給する。変調器12は、同様に決定された変調方式、及び、MIMOモードに従って変調処理を行い、無線周波数回路16を介して複数のアンテナ2-1,2-2,2-3等から信号を送信する。
【0019】
実測レートテーブル13は、例えば、図4に示すようなテーブルを保持している。図4の例ではCQIが0〜31の32通りの値をもっており、それぞれのCQIについて、STCモードで送信した場合に期待できる平均(通信)レートR_STC(n)と、SMモードで送信した場合に期待できる平均(通信)レートR_SM(n)を格納している。これらは、下式1で表される。
【0020】
【数1】

【0021】
すなわち、CQIが与えられれば、STCモードとSMモードのどちらを用いるとより高い通信レートが得られるかが判断できる。これにより、実測レートテーブル13が保持する平均レートが、例えば図6のようになっていた場合、本実施例のMIMO方式決定部14において、横軸上の閾値ThよりもCQIが大きな場合にはSMモードが、ThよりもCQIが小さな場合にはSTCモードが選ばれることになる。
【0022】
また、前述のAMCテーブル制御部15は、例えば、図5に示すようなAMCテーブル(STC/SM)を保持している。図5の例では、0〜31の32通りのCQIに対して、どのような符号化方式・変調方式を使うのが適切であるかを示すMCS(Modulation and Coding Scheme)値を保持しており、AMCテーブル制御部15は、CQIとMIMO方式、本実施例ではSTCモードまたはSMモードが与えられると、適切な符号化方式・変調方式を選択できるようになっている。
【0023】
なお、図2の送信側無線通信機1の機能ブロック図において、実測レートテーブル13、MIMO方式決定部14、AMCテーブル制御部15は、送信側無線通信機1内の図示が省略された、通常の中央処理部(Central Processing Unit:CPU)と記憶部(メモリ)で構成される。AMCテーブル(STC/SM)などの各種テーブルは記憶部(メモリ)中に記憶され、これらのテーブルの内容に基づく判定、選択、決定は、処理部であるCPUにおけるプログラム処理によって実行可能であることは言うまでもない。
【0024】
次に、図14に図2に示した符号化器11の一構成例を示す。図14は、ターボ符号を用いた符号化器の一例である。送信データはまず誤り検出符号付加部37にて、誤り検出符号を付加する。次にターボ符号器38にて2つの再帰的畳み込み符号器54,56とインタリーバ55によって符号化され符号語U,Y1,Y2を出力する。更にパラレル・シリアル(P/S)変換器39にて一連の符号語として出力する。更に、パンクチャ部40は、AMCテーブル制御部15で内部のテーブルを参照して決定された符号化方式に従って、符号語の一部を削除して符号化結果として出力する。例えば、畳み込み符号器54,56が符号化率1/2の符号化器であった場合、符号語は、1ビットの情報ビットUに対して2ビットの冗長ビットY1、及び、2ビットの冗長ビットY2の割合で構成される。このまま、まったくパンクチャを行わなければ符号化率は1/5、Y1,Y2それぞれの半数を削除すれば符号化率は1/3、Y1,Y2のそれぞれ3/4を削除すれば符号化率は1/2となる。このようにして符号化率を制御された符号語を符号化結果として出力する際、出力するビット列の順番を入れ替えるインタリーブ処理を同時に施すことが望ましい。
【0025】
図7に図2に示した変調器12の一構成例を示す。符号化器11から出力されたビット列(b0,b1,b2,…)は、シンボルマッパ31にて決定された変調方法に従って変調され、I(実数)成分、Q(虚数)成分からなる複素信号(s0,s1,s2,…)に変換される。シンボルマッパ31の動作例を図8に示す。上から64QAM, 16QAM, QPSKの3種類の変調方式の動作を示している。64QAMでは(b0,b1,…,b5)の6bitを一まとめとして64通りのビットの組み合わせをI,Q複素平面上の64点にマッピングして出力信号I+jQ(変調シンボル)を得る。同様に16QAMでは(b0,b1,b2,b3)の4bitを16点に、QPSKでは(b0,b1)の2bitを4点にマッピングする。引き続き供給されるビット列に対しても、変調単位(上記、6bit, 4bit, 2bit等)毎に繰り返し変調処理を行う。
【0026】
図7(A)において、シンボルマッパ31から出力された変調シンボルは、MIMOマッパ32によって複数のアンテナにマッピングされる。MIMOマッパ32は、決定されたMIMOモードに従って、対応する信号マッピングを行う。図7(A)は、送信アンテナが2本の場合で、かつ、SMモードの場合の例を示している。図7(A)の例では、各変調シンボルは交互に2つのアンテナに振り分けられ、一つ目のアンテナに対しては、偶数番目の変調シンボル、二つ目のアンテナに対しては奇数番目の変調シンボルが割り振られ、並列化により2倍の伝送速度が得られるようになる。
【0027】
図7(B)は、STCモードの場合の例(Alamoutiの方法)を示している。STCモードでは、各変調シンボルは両方のアンテナに割り振られ、それぞれ異なる乗せ方で送信される。即ち、一つ目のアンテナからはs0,-s1*,s2,-s3*,…、二つ目のアンテナからはs1,s0*,s3,s2*,…が送出されるようになる。ここで、記号*は複素共役を表すものとする。STCモードでは、同じ信号が両方のアンテナから送信されるため、安定度の高い通信が得られる。
【0028】
各アンテナにマッピングされた変調シンボル列であるデータ変調信号は、基準信号挿入部33において、受信側無線通信機4で参照される基準信号を挿入する。図9に図7中の基準信号挿入部33の動作を示す。MIMOマッパ32にて出力された送信アンテナ本数分(図9ではM本)のデータ変調信号D-1〜D-Mは、定期的に基準信号P-1〜P-Mが挿入される。データ変調信号D-1〜D-Mは、送信データによって作られる信号で、送信データによって変化するため受信側では未知であるが、基準信号P-1〜P-Mは、システムで決められた既知の信号であり、次に説明する受信側のチャネル推定部にてチャネル推定を行う際の参照信号として用いられる。
【0029】
図3に本実施例の無線通信装置の受信側無線通信機4の機能構成を示すブロック図を示す。複数のアンテナ3-1,3-2,3-3で受信された受信信号は、無線周波数回路16を介して基準信号抽出部20および復調器17に供給される。基準信号抽出部20は、前述の送信側無線通信機1で挿入された基準信号(P-1,P-2,…,P-M)を分離・抽出する。分離抽出された基準信号(P-1,P-2,…,P-M)は、チャネル(伝搬路)推定部21に供給され、伝搬路の特性が測定される。測定される伝搬路の特性は、送信側無線通信機1のアンテナ2-1,2-2,2-3等と受信側無線通信機のアンテナ3-1,3-2,3-3等間の前述した複素利得行列Hや、雑音レベル等である。
【0030】
測定された伝搬路特性を用いて、CQI算出部22は伝搬路の品質(Channel Quality)をあらわす制御信号であるCQI (Channel Quality Information)を算出する。これは単に受信された基準信号(P-1,P-2,…,P-M)の平均的な信号対雑音電力比(Signal to Noise Ratio:SNR)に基づく制御情報であってもよいし、どの程度の通信速度で通信できそうであるかを示したチャネル容量(伝搬路容量)の推定値に基づく制御情報であってもよい。
【0031】
ここで、基準信号抽出部20、チャネル推定部21、CQI算出部22は、受信側無線通信機4内の、先の送信側無線通信機1内と同様に図示を省略した、処理部であるCPUと、記憶部としてデータ・プログラムを記憶するメモリで実現可能であることは言うまでもない。
【0032】
さて、本実施例の構成において、算出されたCQIは通信に先立ち、もしくは、定期的に多重化器23、変調器12-1、無線周波数回路16、アンテナ3-1,3-2,3-3等を介して送信側無線通信機1に伝達される。前述のとおり、送信側無線通信機1においては、このCQIを用いて決定されたMIMOモード、符号化方式、変調方式を用いて、受信側無線通信機4あての信号が送信される。
【0033】
送信側無線通信機1から送信された受信側無線通信機4あての信号は、複数のアンテナ3-1,3-2,3-3、無線周波数回路16を介して基準信号抽出部20および復調器17に供給される。再び、基準信号抽出部20において抽出された基準信号(P-1,P-2,…,P-M)を用いてチャネル推定部21は最新の伝搬路の特性を測定し、復調器17に供給する。復調器17は、測定された最新の伝搬路の特性に基づき、受信信号を復調し復号器19に供給する。復号器19は誤り訂正復号を行い、復調信号に含まれる誤りを訂正する。復号器19で復号された受信信号は、誤り判定部24にて復号結果に誤りが含まれるかどうかを判定して、送信側無線通信機1に受信成功を示すACK、もしくは受信失敗を示すNACKを、多重化器23、変調器12-1、無線周波数回路16、アンテナ3-1,3-2,3-3等を介して制御情報として返送する。
【0034】
前述のように、送信側無線通信機1は、返送された受信結果(ACK/NACK)を用いて、受信が成功(ACK)していれば、現在のデータの送信を完了し、次のデータの送信を行う。受信が失敗(NACK)していれば、現在のデータの再送信を行う。再送信方法としては、まったく同じデータを再度送信する方法であってもよいし、送信側無線通信機1の図14に示した符号化器11のパンクチャ部40で削除された冗長ビットを追加送信する方法であってもよい。
【0035】
図10に、本実施例の受信側無線通信機4の復調器17の一構成例を示す。図10は、アンテナが2本の場合について記載している。2本のアンテナからの受信信号(x0,x1,x2,…)および(y0,y1,y2,…)はMIMO復調部34に供給される。MIMO復調部34は、チャネル推定部21で測定された複素利得行列Hを用いてMIMOモードに応じて図11に示すMIMO復調処理を行う。
【0036】
たとえば、MIMOモードが前述のSTCモードであった場合、図11(A)に示す演算により復調を行うことが出来る。また、MIMOモードがSMモードであった場合、図11(B)に示す演算により復調を行うことが出来る。図11(B)において、αは受信信号の信号対雑音電力比SNRによって定まる定数である。図11(B)は、最小平均2乗誤差(Minimum Mean Square Error:MMSE)規範に基づくMIMO復調を示しているが、SMモードに対応した他の復調方式、たとえばZero Forcingなどであってもよい。また、後述のシンボルデマッパ36と一括した処理による最尤検出法(Maximum Likelihood Detection:MLD)とすることも出来る。
【0037】
図10(A)は、再送時にまったく同じデータを送信した場合に対応した復調処理を示している。図10(A)では、MIMO復調の結果(r0,r1,r2,…)は、H-ARQ (Hybrid ARQ)合成部35に供給される。H-ARQ合成部35は、前記再送信が行われるたびに前回までのMIMO復調結果と今回の復調結果を合成し、合成結果(r0’,r1’,r2’,…)を出力する。同じ受信データが受信されているはずであるから、受信信号を加算することでより品質のよい受信結果を得ることが出来る。H-AQR合成結果(r0’,r1’,r2’,…)は、シンボルデマッパ36に供給され、変調方式に応じてビット復調結果に分離する処理を行い、ビット尤度情報を出力する。
【0038】
図12にシンボルデマッパ36の動作を模式的に示す。図12では16QAMの場合の動作を示しているが、他の変調方式においても同様である。(b0,b1,b2,b3)の4bitの復調結果を得るにあたり、図中、四角の点で示す受信信号点(受信シンボル)から、b0=0に対応する変調信号点、b0=1に対応する変調信号点のうちもっとも近い物をそれぞれ選択し、受信信号点(受信シンボル)からの距離をそれぞれ測定し、L00, L01とする。この結果より、b0の受信信号尤度としてL00^2-L01^2を出力する。b1〜b3についても同様である。
【0039】
また、復調器17は図10(B)のように構成することも出来る。図10(B)の構成は、再送信時にまったく同じデータを送る場合以外に、前述した追加の冗長ビットを送信する方式の場合に用いることが出来る。図10(B)の構成では、MIMO復調結果(r0,r1,r2,…)は、シンボルデマッパ36に供給され、ビット尤度に変換される。ビット尤度情報は、H-ARQ合成部35’に供給され、再送信号の合成処理が行われる。同じデータが送信されている場合は、各ビットの尤度に対して図10(A)で説明したのと同様にそれぞれ再送信されるたびに尤度情報を加算により合成する。また、追加の冗長ビットが行われた場合は、前回の復調結果であるビット尤度に、追加で送られた冗長ビットの尤度を組み合わせてより信頼性の高い復調結果を得る。
【0040】
また、図10(A)に示す復調処理においてMMSE復調を行う場合は、図13に示すようにMIMO復調処理34とH-ARQ合成部35の処理を一括して行うことで、それぞれを独立して行う場合よりも更に特性のよい復調処理を行うことが出来る。図13の例では、MIMO復調を行う前に、伝搬路行列の段階でH-ARQの合成処理を行っている。すなわち、累算器51、52でそれぞれ再送信時の受信信号と伝搬路行列の合成を行い、処理部53においてMMSE処理を行っている。この構成は、再送信時に伝搬路行列Hが変化している場合に特によい特性を示す。
【0041】
図15に本実施例の受信側無線通信機4に用いられる復号器19の一構成例を示す。復調器17で復調された受信した一連の信号は、デパンクチャ部41において、符号語のうち送信側で削除された部分を追加して出力する。この際、これらのビットは実際には送信されていないため、ビット尤度を0とする。デパンクチャ処理後、シリアル・パラレル(S/P)変換器42にてU’,Y1’,Y2’に分離され、ターボ復号器43にて復号処理を受け、復号結果U’’を出力する。この際、CC (Convolutional Code)復号器57, 59とインタリーバ58,61、デインタリーバ60を繰り返し用いた繰り返し復号により受信誤りが訂正される。なお、送信側のパンクチャ部40でインタリーブ処理が施されている場合は、前述のデパンクチャ部41にてビット列の順番を元に戻すデインタリーブ処理を同時に施すものとする。
【0042】
次に、図16A、図16Bを用いて、本実施例の送信側無線通信機1で実行される、MIMOなどの通信方式、符号化方式、変調方式の決定法、および、平均レートテーブルとAMCテーブルの更新方法について詳述する。これらは、図2に示した送信側無線通信機1の実測レートテーブル13、MIMO方式決定部14、AMCテーブル制御部15を用いて行われる。図16A、Bに示された処理フローは、先に説明した送信側無線通信機1内の処理部である図示されないCPUにおけるプログラム処理として実効可能であることは言うまでもない。
【0043】
図16Aにおいて、処理部は、送信要求が発生した場合、手順101にて最新のCQIを抽出する。抽出されたCQI値をqとすると、手順103にて実測レートテーブル13が保持する平均レートを参照し、どのMIMOモードを用いることでより高いスループット(平均レート、実効レート)が得られるかを判定する。判定結果に基づき手順104-1、104-2にて、MIMO方式決定部14がMIMOモードを決定する。AMCテーブル制御部15は、決定されたMIMOモードに従い、図5にその一例を示したAMCテーブルを参照し、手順105-1、105-2にてMCS値を決定する。本実施例では、前述のとおりMIMOモードとして、STCモードおよびSMモードが選択可能なものとしているが、これに限定されず、他の通信モードであっても良いことは言うまでもない。
【0044】
なお、図5に示したAMCテーブルは連続的な値を保持するので、図示されない処理部は、図16Aの手順107にて送信側無線通信機1および受信側無線通信機2が実際に使用する離散的なMCS値に変換する。手順107は、たとえば図17に示すような階段状の関数を用いて、AMCテーブル15が保持するMCS値を超えない最大の離散MCS値に変換することで実現される。図17において、横軸はAMCテーブル値、縦軸はMCS値(設定レート)である。
【0045】
離散化されたMCS値をmとすると、手順108にて図18に示すようなMCSテーブルを参照して、符号化方式(CODE(m))、変調方式(MOD(m))が選択される。なお、このMCSテーブルには、図示されない記憶部(メモリ)に記憶されており、AMCテーブル制御部15として機能する処理部が、記憶部からMCS値に対応する符号化・変調方式を読み出し、符号化器11、変調器12に制御信号として入力する。
【0046】
さて、手順108に続いて、図16Bの手順109にて、送信(再送)回数をカウントするカウンタnが1に初期化される。手順110にて、決定されたMIMOモード、符号化方式、変調方式に従って、図2の無線周波数回路16から送信が行われる。手順111にて、先に説明した受信側無線通信機4からの受信成功・失敗を通知する制御信号(ACK/NACK)を待つ。
【0047】
そして、受信側無線通信機4からの通知が受信失敗(NACK)を示す場合は、手順113-1、113-2にて、使用したMCS値を現在の送信回数に応じて受信失敗時の更新(変更)量D_F(n)だけ変更する。送信回数が、予定した最大回数(max)に満たない場合は、更にカウンタnに1を加算して手順110に戻り、n回目の再送信を実施する。また、受信が成功(ACK)した場合は、手順116-1、116-2により、やはり、送信回数nに応じて、使用したMCS値を受信成功時の更新量D_S(n)だけ変更する。
【0048】
このMCS値の変更は、AMCテーブル制御部15として機能する処理部であるCPUのプログラム処理で実行する。本実施例において、この受信失敗時の更新量D_F(n)、受信成功時の更新量D_S(n)は、図19にその一例を示すように、送信回数nによってそれぞれ異なる値をとる。図19では、最大4回(max=4)まで送信を行う場合についての前記の更新量D_F(n)、D_S(n)を例示する。これらの更新量のテーブルについても、図示されない記憶部であるメモリに記憶されており、AMCテーブル制御部15として機能するCPUが、受信の成功・失敗、及び送信回数に対応する更新量を読み出すこととなる。
【0049】
本実施例において、AMCテーブル制御部15が手順113-1、113-2、116-1、116-2に従い、AMCテーブルが保持するMCS値を更新するのは、伝搬路の統計的性質が異なる場合には、同じCQIに対しても選択すべきMCSが異なるからである。たとえば、CQIが非常に正確で、CQI通知によって最適な通信レートすなわちMCSが一通りに決まる場合は、1回目の送信でほぼ確実に受信が成功するようにすることが出来る。しかしながら、伝搬路のばらつきが大きくCQIの誤差が大きい場合は、通知されたCQIから判定される通信レートよりも低い通信レートでしか通信できない場合もあれば、より高い通信レートで通信できる可能性もある。この場合、一回目の送信で確実に受信できるようなMCS値を選択すると、平均的に得られる通信レートよりも低い通信レートでしか通信できなくなってしまう。
【0050】
そこで、CQIが誤差を含むような場合や、CQIのみでは正確に通信レートが判定できないような場合は、まず、ある程度高めの通信レートとなるMCSで送信を行ってみて、結果として成功すれば、選択した高めの通信レートが得られるし、失敗した場合は、再送信により救済するようにすることが望ましい。すなわち、CQIが正確、かつ、CQIのみで正しく通信レートが判定できる場合は、1回目の送信の成功確率を非常に高く設定することが適切であり、反対に、CQIが不正確もしくはCQIのみでは正しく通信レートが判定できないような場合には、1回目は失敗する確率がある程度高いことを覚悟しても受信が成功する可能性のある範囲で高めの通信レートを選択することが適切である。
【0051】
しかしながら、一般的に通信レートを高く設定しすぎると、再送によっても救済が出来ない程度に再送の連鎖が発生してしまう。このため、MCSの選択に当たっては、再送の連鎖が起きない程度に高い通信レートを選択することが望ましい。すなわち、AMCテーブルが保持するMCS値を適切に変更するためのMCS値の変更は、送信(再送)回数によってどのように失敗、成功の確率が変化するかを鑑みてなされるべきである。このような観点から、本実施例では、失敗時、成功時共に、送信回数nに応じてMCS値の更新量D_F(n)、D_S(n)は異なる値としている。
【0052】
図19に示す更新量は、たとえば図20の(A)、(B)、(C)のように設定することが好ましい。図20(A)に示す更新量のテーブルでは、1回目の送信時には、送信に成功しても失敗してもMCSを高めに変更するように、更新量は正の値に設定されている。一方2回目の送信が失敗した場合にはMCSを低下させるように負の値が設定されている。それ以外の場合には、MCS値を変更しないように更新量を0としている。この結果、図20(A)の場合においては、一回目の受信失敗の頻度と、二回目の受信失敗頻度が約100:1になった場合に、MCS値の増加量の期待値と減少量の期待値がほぼ等しくなり、MCS値が収束した状態となる。すなわち、図20(A)の場合、一回目の失敗は許容する代わりに、再送の連鎖が起きないように、再送を行った場合の失敗頻度を抑えるように動作する。
【0053】
図20(B)についてもほぼ同様の効果を期待できる。すなわち、一回目の送信時はMCSの微小増加のみが発生するが、二回目の成功と失敗の確率を約100:1になるようにMCS値が制御される。図20(C)の例では、二回目の送信で成功する確率と三回目の送信で成功する確率をやはり約100:1になるように制御される。また、図20(C)では、最大回数(4回)の送信を行っても成功しなかった場合には、MCS値を低下させるようになっている。以上のように、送信・再送信を繰り返した場合の成功、失敗の発生頻度をバランスさせることにより、再送の連鎖が起きない範囲でMCS値を高めに設定するようにMCS値の更新量テーブルを設定することが望ましい。
【0054】
さて、本実施例において、受信成功時、または、送信回数が最大回数に達した場合、図16Bの手順118-1、118-2にてこれまでに実際に通信できた平均レート(スループット)を保持する図4の実測レートテーブルの該当する平均レート値R_STC(q)またはR_SM(q)を更新する。
【0055】
また、上述してきた処理において、後述のテーブル更新時に参照するための参照頻度情報として、図21のようなCQIとMIMOモードの組み合わせについての使用頻度情報WTを図16Aの手順102、手順106-1、106-2で更新する。手順102、手順106-1、106-2は、忘却係数(1-k)を用いた使用頻度測定を行い、近い過去に使用頻度が高かった場合に使用頻度情報WTが大きな値を持つように計算される。
【0056】
続いて、本実施例の図16Bの手順117-1、117-2、119-1、119-2においても、AMCテーブルの更新、および、実測レートテーブルの平均レートの更新が行われる。これらの更新は上述した使用頻度情報WTを参照して行われる。この手順117-1、117-2、119-1、119-2のテーブル更新の目的は、現在は使用されていないが、伝搬路の統計的性質の変化によって将来使用されるかもしれないテーブル値を適切に設定することにある。現在使用されているMIMOモードのMCS値は、上述したように、手順113-1、113-2、116-1、116-2によって更新され、また、平均レートは手順118-1、118-2によって更新されるため、適切な値を保持している。
【0057】
しかしながら、図16Aの手順103の比較の結果使用されなかったMIMOモードのMCS値、および、平均レート値は更新されていない。これらが、今後も使用されないのであれば正しい値を保持する必要はないことになるが、伝搬路の統計的性質が変化することによって、AMCテーブルの最適値や平均レートが変化する場合を考えると、使用していなかったMIMOモードに対するMCS値、平均レート値も正しく保守されていることが必要となる。このため、本実施例においては、手順117-1、117-2、119-1、119-2では、現在使用したCQIの近傍(q±L)に使用頻度の低いCQIがあった場合には、そのCQIに対応したMCS値、および、平均レート値を、推定値を用いて更新する。この推定方法としては、線形近似による外挿や、より高次の近時による外挿などの公知の手法を用いることが出来る。このために、例えば、現在使用したCQIの近傍(q±L)の内、図21の使用頻度情報が一定以上の値をもつCQIについての平均レートテーブル(図4)値、AMCテーブル(図5)値を用いて、平均レート値、及び、MCS値のCQIに対する回帰曲線(または回帰直線)をそれぞれ算出し、現在使用したCQIの近傍(q±L)の内、図21の使用頻度情報が一定以下の値を持つCQIについての平均レートテーブル(図4)値、AMCテーブル(図5)値を前記、回帰曲線(または回帰直線)を用いて推定することができる。また、回帰曲線(または回帰直線)の算出において、使用頻度情報WTに応じた重みで回帰計算することや、推定値を使用頻度情報WTの逆の重みに応じて更新を行うことも望ましい。
【0058】
この結果、実測レートテーブルの平均レートについては図22、AMCテーブルについては図23(A)、(B)に示すように、MIMOモードの切り替えポイントThの近傍(±L)にわたって推定値による値が保持されるようになる。±L以上離れたCQIに対しては、推定値による更新を行わないので、値は不定となるが、伝搬路の統計的性質の変動は徐々に発生すると考えられるので、変動した場合もまずは切り替えポイントThの近傍のCQIが使用されるようになり、その値が正しく更新されるようになり、切り替えポイントThが移動し、更に、その近傍が推定されてゆくので、推定値による更新は切り替えポイントThの近傍のみで十分である。
【0059】
なお、手順117-1、117-2、119-1、119-2では、使用頻度情報WTに基づき推定値による更新を行うかどうかを判定しているが、図24(A)、(B)に示す例の場合のように、現在のMIMOモード選択の基準である実測レートテーブル13を参照して、近傍CQI(q±L)について使用されていないテーブル値であるかどうかを判定(手順120-1、120-2)し、使用されていない場合には、外挿による推定値をもってAMCテーブル、平均レートテーブルのMCS値、平均レート値等を更新(手順121-1、121-2、122-1、122-2)するようにしてもよい。この場合は、図21に示した使用頻度テーブル、ならびに、手順102、106-1、106-2の使用頻度テーブルの更新手順は不要となる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態として、2つのMIMOモード(SM、 STC)についての動作を記載したが、これ以外にも信号を伝搬路行列Hの特異ベクトルにしたがって信号をマッピングする固有モード伝送や、4本またはそれ以上のアンテナ本数で安定通信を実現するSTBC (Space-Time Block Code)伝送等の他のMIMO伝送方法であっても良い。例えば、上記の非特許文献1には、前記、SM, STCに対応するモードとして、“spatial multiplexing”、および、“transmit diversity”が記載されているが、それぞれが更に同時送信信号数(Number of Layers)と符号語数(Number of code word)の複数の組み合わせによるMIMO方式が定義されており、“spatial multiplexing”で5通り、“transmit diversity”で2通りの計7通りのMIMO方式が存在する。これら7通りのMIMO方式の内、どれを選択して伝送を行うかを決定する際にも本願発明を適用することが効果的である。この場合、図4、図5、図21などSM, STCの2モードについて値を保持しているテーブルを7モードについてそれぞれ値を保持するように構成し、図16Aの手順103にて2つの平均レートを比較する代わりに7つの平均レートを比較して最も大きな平均レートが得られる方式を選択して手順104以降を実行するようにすれば良い。
【0061】
更に、複数の受信側無線通信機に対して同時に空間多重伝送を行うMIMO伝送モードを持つようなシステムにおいても同様である。例えば、送信側無線通信機が2本の送信アンテナを持ち、受信側無線通信機が2本の受信アンテナを持つ場合、1つの信号をSTCにて1台の受信側無線通信機に対して送信する第一のモード、2つの信号をSMにて1台の受信側無線通信機に対して送信する第二のモード、2つの信号を空間分割多重にて2台の受信側無線通信機に対して送信する第三のモードが選択可能となる。この場合も、やはり、3つのMIMOモードそれぞれについて平均レートテーブル(図4)、AMCテーブル(図5)、使用頻度テーブル(図21)を作成し、最も高い合計平均レート(複数の受信側無線通信機の合計)が得られるモードを図16Aの手順103にて選択するようにすれば良い。なお、受信側無線通信機ごとに保証すべき最低レートを考慮する必要がある場合には、その制約内で合計平均レートが最大となるMIMOモードを図16Aの手順103にて選択する。
【0062】
以上、本発明によれば、複数のMIMO通信方式を利用する無線通信装置において、複数のMIMO通信方式、および、符号化、変調方式を、伝搬路の統計的性質が変化した場合においても高いスループットが得られるように適切に切り替える方法、及びそれを利用した無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】無線通信装置における、送信側無線通信機、受信側無線通信機、アンテナ、および、無線伝搬路の関係を示す図である。
【図2】第1の実施例の送信側無線通信機の構成を説明する図である。
【図3】第1の実施例の受信側無線通信機の構成を説明する図である。
【図4】第1の実施例に係わる、実測レートテーブルの例を示す図である。
【図5】第1の実施例に係わる、AMCテーブルの例を示す図である。
【図6】第1の実施例に係わる、実測レートテーブルの例をグラフで示した図である。
【図7】第1の実施例に係わる、変調器の構成、および、動作を示す図である。
【図8】第1の実施例に係わる、シンボルマッパの動作を説明する図である。
【図9】第1の実施例に係わる、基準信号挿入部の動作を説明する図である。
【図10】第1の実施例に係わる、復調器の構成、および、動作を示す図である。
【図11】第1の実施例に係わる、MIMO復調部の処理を説明する図である。
【図12】第1の実施例に係わる、シンボルデマッパの動作を示す図である。
【図13】第1の実施例に係わる、MIMO復調部の他の構成、および、処理の例を説明する図である。
【図14】第1の実施例に係わる、符号化器の構成例を示す図である。
【図15】第1の実施例に係わる、復号器の構成例を示す図である。
【図16A】第1の実施例に係わる、MCS値の離散化の処理の例を示す図である。
【図16B】第1の実施例に係わる、送信側無線通信機の処理を説明する図である。
【図17】第1の実施例に係わる、MCS値の離散化の処理の例を示す図である。
【図18】第1の実施例に係わる、MCSテーブルの例を示す図である。
【図19】第1の実施例に係わる、MCS値更新量テーブルの構成例を示す図である。
【図20】第1の実施例に係わる、MCS値更新量テーブルの好ましい設定例を示す図である。
【図21】第1の実施例に係わる、CQI参照頻度情報の構成例を示す図である。
【図22】第1の実施例に係わる、推定値を用いた平均レートテーブルの更新処理の結果を示す図である。
【図23】第1の実施例に係わる、推定値を用いたAMCテーブルの更新処理の結果を示す図である。
【図24】第1の実施例に係わる、周辺CQIの平均レートテーブル、MCSテーブルの他の更新方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1…送信側無線通信機、
2-1〜2-3、3-1〜3-3…アンテナ、
4…受信側無線通信機、
10…バッファ/スケジューラ、
11、11-1…符号化器、
12、12-1…変調器、
13…実測レートテーブル、
14…MIMO方式決定部、
15…AMCテーブル、
16…無線周波数(RF)回路、
17、17-1…復調器、
18…分離器(De-MUX)、
19、19-1…復号器、
20…基準信号抽出部、
21…チャネル推定部、
22…CQI算出部、
23…多重化器(MUX)、
24…誤り判定部、
31…シンボルマッパ、
32…MIMOマッパ、
33…基準信号挿入部、
34、34-1…MIMO復調部、
35、35’ …H-ARQ合成部、
36…シンボルデマッパ、
37…誤り検出符号付加部、
38…ターボ復号器、
39…パラレル・シリアル(P/S)変換器、
40…パンクチャ部、
41…デパンクチャ部、
42…シリアル・パラレル(S/P)変換器、
43…ターボ復号器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信方式、符号化方式、変調方式を切り替えて通信を行うMIMO通信装置の送信方式切り替え方法であって、
前記MIMO通信装置は、現時点の切り替え基準では使用されない前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせに対して、使用されている前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式の組み合わせの通信結果からの推定値を用いて、使用されていない前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替える基準を変更する
ことを特徴とするMIMO通信装置の送信方式切り替え方法。
【請求項2】
請求項1記載のMIMO通信装置の送信方式切り替え方法であって、
前記MIMO通信装置は、同一データの送信回数および通信の成否に応じて、使用されている前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替える基準を変更する
ことを特徴とするMIMO通信装置の送信方式切り替え方法。
【請求項3】
請求項2記載のMIMO通信装置の送信方式切り替え方法であって、
前記MIMO通信装置は、前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替える基準として、CQI(Channel Quality Information)値に対応する、複数の前記MIMO通信方式各々の平均レート及びMCS(Modulation and Coding Scheme)値を用いる
ことを特徴とするMIMO通信装置の送信方式切り替え方法。
【請求項4】
請求項3記載のMIMO通信装置の送信方式切り替え方法であって、
前記MIMO通信装置は、前記送信回数および前記通信の成否に応じて、使用されている前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式に対応する前記MCS値を変更し、変更された前記MCS値に基づき、使用されていない前記MIMO通信方式、符号化方式、変調方式に対応する前記MCS値を変更する
ことを特徴とするMIMO通信装置の送信方式切り替え方法。
【請求項5】
請求項4記載のMIMO通信装置の送信方式切り替え方法であって、
前記MIMO通信装置は、受信成功時、又は送信回数が予め設定した値に達したとき、使用されている前記MIMO通信方式に対応する、前記平均レートを更新し、更新した前記平均レートに基づき、使用されていない前記MIMO通信方式に対応する、前記平均レートを推定して変更する
ことを特徴とするMIMO通信装置の送信方式切り替え方法。
【請求項6】
複数のMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を切り替えて通信を行う無線通信装置であって、
無線周波数回路部と、
前記無線周波数回路部が受信した受信信号を復調・復号する復調・復号部と、
送信データを符号化・変調する符号化変調部と、
前記復調・復号部が前記受信信号から抽出したCQI値に基づき、前記複数のMIMO通信方式、符号化方式、変調方式を選択する処理部と
を有し、
前記処理部は、前記CQI値に対応する、複数の前記MIMO通信方式各々の平均レートと、複数の前記MIMO通信方式各々における前記符号化方式、変調方式を示すMCS値とを記憶し、
前記CQI値に基づき決定した前記MIMO通信方式に従い、前記送信データの送信のための前記符号化方式、変調方式を選択して前記送信データを送信するよう制御し、
前記処理部は、送信回数と前記通信の成否に応じて、使用した前記MIMO通信モードの前記MCS値を変更すると共に、使用されていない前記MIMO通信方式の前記MCS値を推定値を用いて更新する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
請求項6記載の無線通信装置であって、
前記処理部は、
前記CQI値に対応する、複数のMIMO通信方式各々における平均レートを記憶する実測レートテーブルと、
前記実測レートテーブルを用いて、前記送信データの送信を行うための前記MIMO通信方式を決定する通信モード決定部と、
前記CQI値に対応し、複数の前記MIMO通信方式各々における前記符号化方式、変調方式を示す前記MCS値を記憶するAMCテーブルを参照し、前記通信モード決定部が決定した前記MIMO通信方式に従い、前記送信データの送信のための前記符号化方式、変調方式を選択するAMCテーブル制御部と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
請求項7記載の無線通信装置であって、
前記処理部は、前記復調・復号部が前記受信信号から抽出した、前記送信データの送信の成功・失敗を示す信号と送信回数とに応じて、前記符号化方式、変調方式を切り替える基準を変更する更新量を記憶するMCS値更新量テーブルを更に備える
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
請求項8記載の無線通信装置であって、
前記処理部は、前記MCS値更新量テーブルの記憶内容に従い、使用した前記MIMO通信方式の前記MCS値を変更すると共に、使用されていない前記MIMO通信方式の前記MCS値を、変更された前記MCS値からの推定値を用いて更新する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項10】
請求項9記載の無線通信装置であって、
前記処理部は、受信成功時、又は送信回数が予め設定した値に達したとき、使用した前記MIMO通信方式に対応する、前記実測レートテーブルの前記平均レートを更新し、更新した前記平均レートに基づき、使用されていない前記MIMO通信方式に対応する前記平均レートを推定して更新する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項11】
請求項10記載の無線通信装置であって、
前記処理部は、使用した前記CQI値の近傍に使用頻度の低い前記CQI値があった場合、使用頻度の低い前記CQI値に対応した前記MCS値、および前記平均レートを推定値により更新する
ことを特徴とする無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−87727(P2010−87727A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253015(P2008−253015)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】