説明

N−セチルグルコサミンを含有するオリゴマー

医学およびバイオテクノロジーにおいて使用するための機能性多価オリゴマーが開示さる。これらのオリゴマーは式 (1) を有する: 式中RはH、CH3、C2H5であり、R1はH、NH2、OH、COOHであり、XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり、YはH、COOH、OHまたはNH2であり、そしてnは3〜50である。オリゴマー化の本発明の合成法は、他のリガンド、例えば、シアル酸、マンノースおよびガラクトースに適用することができ、そして感染の防止に使用できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、N-セチルグルコサミン (NAG) を含有するオリゴマーおよびそれらを製造する方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、下記の式 (1):
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、RはH、CH3、C2H5またはC6H5であり;R1はH、NH2、OH、COOHであり;XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり;YはH、COOH、OHまたはNH2であり;そしてnは3〜50である)
を有する機能性多価オリゴマーに関する。
【0004】
これらのオリゴマーは、特定の末端官能基を有する適当な分子量のホモポリマーまたは機能化ホモポリマーである。これらのオリゴマーは、ウイルス感染の抑制するブロックコポリマーの製造および生体分子の回収のために使用できる。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
リガンドのレセプターの認識および結合は、多数の相互作用が身体において制御されている顕著な事象である。特に、炭水化物は生物学的現象、例えば、タンパク質炭水化物の相互作用において中枢的役割を有する。生物学における炭水化物の既知の役割にかかわらず、これらの相互作用を増強する方法について比較的わずかの研究が報告されている。療法において多数の用途を有することができる炭水化物に対する新しいターゲット、例えば、酵素、タンパク質およびウイルスが同定されている。炭水化物は、種々の生物学的プロセス、例えば、細胞認識、細胞付着、細胞分化、炎症、ウイルスおよび細菌の感染、腫瘍発生および転移において重要な役割を演ずる (Rouhi A. M.、Chem. Engg. News、Sept. 23、62-66、1996)。
【0006】
Sharon 他 (Science 246: 227-234、1989) は、グルコ-複合化分子の炭水化物部分が炭水化物の生物学において重要な実在物であることを報告している。炭水化物の修飾の利点は、炭水化物が物理的特性、例えば、溶解度、安定性、活性、抗体認識および酵素に対する感受性の変化を付与できることにある。
【0007】
炭水化物は、モノマーの中に組込むことによってレセプターに対する結合性実在物として利用することができる。これにより、リガンドを含有する重合性モノマーをオリゴマー化または重合させて多価複合体を形成することができる。多価リガンドは、ポリマーに特異的性質を付与できるペンダント官能基を有する、より短いオリゴマーを包含することができる。
【0008】
Krepinsky 他 に許可された最近の特許 (米国特許第6,184,368号、2001) において、感染予防のための炭水化物の応用が示唆されている。Mandeville 他 (米国特許第5,891,862号、1999および米国特許第6,187,762号、2001) に) には、ロタウイルス感染の治療における多価ポリマー含有炭水化物の使用が報告されている。1価のリガンドは、レセプター結合部位に対して弱いアフィニティーおよび劣った特異性を表示する。対照的に、多価形態のサッカリドは、より大きいアフィニティーおよび特異性で同一基質に結合することができる。多価の炭水化物分子に対する細胞表面レセプターの結合は広範な種類の生物学的応答を示し、そして1価の相互作用を超えた独特のへりを有する (Mammen 他 Angew. Chem. Int. Ed.、37、2754-2794、1998)。
【0009】
変化する長さおよび密度を有する多価リガンドは、生物学的系におけるレセプターリガンドの相互作用のために有効である。多くの化学的および化学酵素的方法が2価および3価のリガンド、デンドリマー (dendrimer) および高分子量ポリマーの製造について報告されているが、これらの方法は複雑な合成法を含む。こうして、多分子性が変化する多価リガンドを得る簡単な方法を案出することが必要である。
【0010】
病原体上に存在する多価リガンドは宿主細胞上の多数のレセプターに結合する。多数のリガンドを含んでなるオリゴマーまたはポリマーは、病原体に対してより高いアフィニティーを有するために、宿主細胞のレセプターに対していっそう有効なインヒビターであることができるであろう。さらに、より高い分子量を有するポリマーのリガンドもまた立体的排除により感染を防止する (Spaltenstein A. およびWhitesides G. M.、J. Am. Chem. Soc. 113、686、687、1991)。
【0011】
インフルエンザウイルスにより引き起こされる赤血球の凝集は、多価シアル酸インヒビターの使用により防止することができる。この新規なアプローチは病原体宿主の相互作用のモデルであり、Mammen M. およびWhitesides G. M. により報告された (J. Med. Chem. 38 (21)、4179-90、1995)。これらの著者らは、インフルエンザウイルスの有効なインヒビターとしてシアル酸を含有するポリマーを報告した。その上、彼らはウイルス表面および赤血球表面間の2つの好適な阻害機構を示唆した: 1) 多価性による高いアフィニティー、および2) 立体的安定化。
【0012】
Sigel 他 (J. Am. Chem. Soc. 118 (16)、3789-3800、1996) は、赤血球に対するインフルエンザウイルスの付着の阻害におけるシアルシド基含有ポリマーの効能を報告した。彼らは、阻害の効能に対する基質リガンド結合の増強および立体的考察の寄与を描写した。これらの研究者らは、インフルエンザウイルスの阻害に利用できるシアル酸リガンドを報告した。モノマーのインヒビターは、ウイルス上のシアル酸結合部位の少なくとも半分を占有するために必要とされるので、阻害のためにより高い濃度を必要とするが、高分子量インヒビターは同一効果を達成するためにほんのわずかの結合を必要とするだけである。Dimick 他 (J. Am. Chem. Soc. 121: 44、10286、1999) は、分子のクラスターグルコシド、および植物レシチンコンカナバリンAのための多価リガンドの合成を報告した。
【0013】
Krepinsky 他 (米国特許第6,184,368号、2001) は、リゾチームに対するキトサンの生産的結合における制限、および単一のグリコシル化剤またはグリコシル化剤の混合物を有する部分的に保護された多糖類のグリコシル化により、多価炭水化物分子を合成する方法を報告した。
【0014】
Roseman D. S. 他 (J. Biol. Chem. 18; 276 (20): 17052-7、2001) は、1価のリガンドよりも多価リガンドに対するマンノース/N-アセチルガラクトサミンレセプターのより大きい特異性を報告した。多価リガンドを合成する種々の方法、例えば、開環置換重合 (ROMP) が過去において報告された。ROMPは、Gibson 他 (Chern. Comm. 1095-1096、1997) およびBiagini 他 (Polymer 39、1007-1014、1998) により、十分に規定された生物学的に活性なポリマーの発生に使用された。
【0015】
Damschroder 他 (米国特許第2,548,520号、1951) は、不飽和モノマーと複合化したタンパク質または前生成したポリマーと複合化したタンパク質を共重合することによって製造された高分子量物質を開示した。一般に、これらの高分子量物質は100℃までの温度を必要とする。タンパク質の大部分はこのような高温度に十分に耐えない。こうして、記載された方法は生物学的に活性な分子のポリマーの製造に不適当である。
【0016】
Jaworek 他 (米国特許第3,969,287号、1976) は、少なくとも1つの共重合可能な二重結合を含有するモノマーとタンパク質を反応させることによって、担体結合タンパク質を製造する方法を報告している。担体は水不溶性固体として提供されるか、あるいはタンパク質モノマー複合体の存在下に水溶性モノマーを重合することによって、その場で製造される。この発明の方法において利用されるタンパク質は、典型的には酵素である。
【0017】
NAGのような炭水化物は、レシチンおよびリゾチームのリガンドとして働く。Roy 他 (J. Chem. Soc. Chem. Comm. 1611-1613、1992) は、ターポリマー化による特注設計グルコポリマーの合成を報告した。N-アクリロイル前駆体およびアクリルアミドをエフェクター分子として使用して、特定の性質、例えば、疎水性およびタンパク質の模倣性チロシン残基を提供した。
【0018】
Mochalova 他 (Antiviral Research 23、179-190、1994) は、ポリマーまたはリポソームの担体に定着したシアル酸のような炭水化物インヒビターを報告した。彼らはグリシルアミドベンジルシアロシドをポリ(アクリル酸-共-アクリルアミド) およびデキストランと複合化した。これらのポリマーのリガンドは、細胞培養においてインフルエンザAおよびBウイルス系統に結合する能力について評価された。
【0019】
Hansen 他 (J. Am. Chem. Soc. 119、6974、1997) は、尿路の上皮細胞上のGal a (1,4) Galに対する細菌スタフィロコッカス・スイス (Staphylococcus suis) の結合を阻害する能力を報告した。そして、その結果、細菌による赤血球の架橋を阻害するために必要な多価化合物の最小濃度が表示された。
【0020】
Nishimura (Macromolecules 27、4876-4880、1994) は、コムギ胚芽 (Triticum vulgaris) 凝集素により誘導される赤血球凝集に対するグリコシル化シクロデキストリンの阻害作用が、そのモノマー対応物よりも240倍低い濃度で観測されることを証明した。
【0021】
別のアプローチにおいて、Kanai 他 (J. Am. Chem. Soc. 119、9931-9932、1997) は、合成のための開環置換重合 (ROMP) 法を報告した。しかしながら、これらの方法は複雑であり、そしてグルコポリマーの「リビング」特質をコントロールできない。
【0022】
Dimick 他 (J. Am. Chem. Soc. 121、44、10286、1999) は、相互作用を増強するより新しい方法を探求した。彼らは多価リガンドの合成を報告し、そして植物レシチンコンカナバリンAとの結合を増強するときのグルコシドクラスターの役割を証明した。
【0023】
Yamada 他 (Macromolecules 32、3553-3558、1999) は、リビングカチオン重合によるペンダントN-アセチルグルコサミン (NAG) をもつ両親媒性ブロックコポリマーの制御された合成を報告した。コポリマーの構造は、コムギ胚芽凝集素 (WGA) とNAGとの間の結合を増強させた。
【0024】
Krepinsky 他 (米国特許第6,184,368号) は、単一のグリコシル化剤またはグリコシル化剤の混合物を有する部分的に保護された多糖類のグリコシル化により、多価炭水化物分子を合成する方法を報告した。この特許において、リゾチームに対するキトサンの非生産的結合が説明されている。
【0025】
キトサンは、式 (4):
【化2】

【0026】
を有し、線状二成分ヘテロ多糖であり、そしてアセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコース (GlcNAc; A-単位) および2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコース (GlcNAc; D-単位) から成る。リゾチームの活性部位はA-Fと表示するサブサイトを含んでなる。リゾチームに対するキトサン配列の特異的結合は、サブサイトCにおけるNAG単位の結合で開始する。その上、グルコースに由来する天然リガンドは微生物の増殖に対して感受性である。リゾチームにより加水分解されない、キトサンの反復単位に類似するリガンドを合成することが必要である。これらのポリマーはキチンおよびキトサンよりも安定であることが期待される。リガンドの型を別として、ポリマー鎖に沿ったリガンドの分布は、阻害効能に対する影響において重要な役割を演ずる。
【0027】
天然のオリゴ糖類は通常それらの宿主分子に弱く結合し、そして治療を有効とするためには大量に使用しなくてはならない。この問題は多価炭水化物複合体を合成することによって克服することができる (Zopf D.、Roth S.、Lancet 347、1017、1996)。なぜなら、このような多価炭水化物は多数の接触を通してターゲットに結合し、強い結合を生じ、また、それらの高分子の特質から発生する立体的寄与から利益を得るからである。
【0028】
多価分子は炭水化物結合部位を競合的に占有し、こうして感染プロセスが妨害される。多価オリゴ糖分子はそれ以上の利点を有し、特定の微生物の正確な結合要件を前もって知らなくても前記分子を特定の病原体細菌に結合させることができる。
【0029】
最近、Whitesides 他 (Angew. Chem. Int. Edn. 37、2754-2794、1998) は、ロタウイルスおよびインフルエンザウイルスによるような感染症を治療するためのシアル酸含有多価リガンドの設計を報告している。この概念は、宿主細胞に対するウイルス付着の阻害に基づいて正当化される。このアプローチは、抗生物質および薬剤に対する病原体の耐性が増加するので、療法的に重要である。
【0030】
オリゴ糖分子は高い特異性で細胞のタンパク質に結合し、大きいコンフォメーションの柔軟性を有する。過去において、相互作用を増強するために種々の方法が示唆されてきている。
【0031】
Nishimura 他 (Tetrahedron 56、9909、2000) は、N-アセチル-D-グルコサミンのアクリルアミドアルキルグルコシドからクラスターする糖ホモポリマーを合成した。クラスター型ポリマーを添加すると、コムギ胚芽凝集素に対する結合が増強された。リビングカチオン重合法および生ずるジブロックコポリマーとレクチンとの相互作用による、ペンダントN-アセチル-D-グルコサミン残基を有する両親媒性ブロックコポリマーのコントロールされた合成は、Yamada 他 (Macromolecules 32、3553-3558、1999) により報告された。ホモポリマーおよびN-アセチル-D-グルコサミン残基とのブロックコポリマーを合成するこの方法は、レクチンに対する結合アフィニティーを有意に増加させることが証明された。
【発明の開示】
【0032】
発明の目的
したがって、本発明の重要な目的は、N-アセチルグルコサミン (NAG) を含有するオリゴマーを製造することである。
本発明の他の目的は、医学およびバイオテクノロジーにおいて使用するオリゴマーを提供することである。
【0033】
本発明の他の目的は、種々の分子量のリガンド、例えば、NAG、マンノース、ガラクトース、シアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースの機能性オリゴマーの便利な製造方法を提供することである。本発明のなお他の目的は、オリゴマーがホモポリマーまたは末端の官能基を有する機能性オリゴマーであることができる、広い範囲のオリゴマーを提供することである。
【0034】
本発明のなお他の目的は、オリゴマーがポリアクリロイルNAGまたはポリメタクリロイルNAGであることができる、広い範囲のオリゴマーを提供することである。
本発明のなお他の目的は、ポリマーがヒドロキシ、アミノ、アルコール、カルボキシル、スルホン酸基を連鎖の1端または両端に有するポリアクリロイルNAGであることができる、機能性多価オリゴマーを提供することである。
【0035】
本発明のなお他の目的は、遊離基重合法により機能性多価オリゴマーを製造する方法を提供することである。
なお他の目的は、NAGに関して基質といっそう強く結合するNAGリガンド含有多価オリゴマーを製造する便利な方法を提供することである。
本発明のなお他の目的は、生体分子との相互作用が天然のポリマー、例えば、NAGを含有するキチンおよびキトサンよりも安定であるオリゴマーを提供することである。
【0036】
本発明のなお他の目的は、酵素により加水分解されない多価オリゴマーを提供することである。
本発明のなお他の目的は、水溶性生体分子に結合する多価リガンドを提供することである。
本発明のなお他の目的は、非常に低い濃度において効果的に基質を阻害する機能性オリゴマーを提供することである。考慮するリガンド、例えば、シアル酸が高価であるとき、これは有意な利点を有する。
【0037】
発明の要約
本発明は、下記式 (1):
【化3】

【0038】
(式中、RはH、CH3、C2H5またはC6H5であり;R1はH、NH2、OH、COOHであり;XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり;YはH、COOH、OHまたはNH2であり;そしてnは3〜50である)
を有する機能性多価オリゴマーに関する。
【0039】
さらに詳しくは、本発明は、炭水化物のリガンドを含有する前記オリゴマーおよびそれらを製造する方法に関する。なおさらに詳しくは、本発明は、NAGそれ自体よりもいっそう強くリゾチームに結合するオリゴマーに関する。提供されるオリゴマーは、式 (2)
【0040】
【化4】

【0041】
のアクリロイルN-アセチルグルコサミンおよび連鎖移動剤、例えば、式3
HSCH2CH2OH 式3
のメルカプトエタノール (ME) を使用する遊離基重合技術により製造される。
【0042】
本発明は、ターゲット酵素/タンパク質に選択的に結合する、生体分子のターゲットに対するオリゴマーおよびその合成法を提供する。また、本発明は、溶液からの生体分子の単離に有効であるアフィニティーリガンドを得る方法を提供する。さらに、これらのオリゴマーを適当なコモノマーと共重合させて、過去において実現されたよりも広い範囲のポリマー構造を提供することができる。
【0043】
その上、ここにおいて報告するN-アセチルグルコサミンを含有するオリゴマーのリガンドは製造が容易であり、そして分解に対して抵抗性であり、再使用可能であり、安定でありかつ微生物の汚染物質を含まない。
本発明は、炭水化物を含有するオリゴマーおよびそれらの製造方法に関する。オリゴマーはホモポリマーであるか、あるいは末端の官能基を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
詳細な説明
また、炭水化物を含有するオリゴマーは、細菌またはウイルスの感染の治療においてさらに使用することができ、そして薬剤耐性を引き起こさないことが期待される。NAGを含有するオリゴマーは、NAGを含有する天然のポリマー、例えば、キトサンおよびキチンよりも増強された加水分解安定性および水溶性を有する。また、それらは障害の予防および治療の両方のための抗感染症剤として、天然に存在する生体分子および遺伝子操作された生体分子を回収するために使用することができる。
【0045】
本明細書に記載するアプローチは包括的なものであり、そしてその上他の系に拡張することができる。例えば、シアル酸のリガンドはインフルエンザウイルスおよびロタウイルスに結合することが知られている。それゆえ、シアル酸を含んでなるオリゴマーは、対応するモノマーよりもいっそう強く、これらのウイルスおよび同様なレセプター部位を含有する他のものに結合することを期待することができる。
【0046】
本発明は、N-アセチルグルコサミン (NAG) および必要に応じて末端の官能基を含有するオリゴマーを製造する方法を提供する。これらのオリゴマーは生体分子の改良された結合および阻害を提供する。その上、これらのオリゴマーは、生体分子の回収に使用できる感受性ポリマーを刺激するように連結することができる。オリゴマーを製造する方法は、他のリガンド、例えば、シアル酸ガラクトースおよびマンノースに適用することができる。
【0047】
炭水化物部分に対して特異的結合アフィニティーを有する適当なリガンドを通して、病原体が宿主に付着することによって、感染は開始される。宿主細胞に対する結合は感染プロセスの最初の事象であるので、グリコリピドまたは糖タンパク質のオリゴ糖部分を模倣するオリゴ糖による競合的結合は感染を防止しまたは減少させることができる (Zopf 他、Lancet 347、1017、1996)。また、炭水化物が病原体上に位置するとき、このような結合は起こり、したがって炭水化物は宿主のタンパク質に対する結合を仲介する。オリゴ糖の結合性質は生物学的に重要であり、これらの性質によりオリゴ糖はヒトの治療において使用するために適当な実在物である。特に、オリゴ糖はヒトの感染において予防剤として重要な役割を演ずる。
【0048】
炭水化物は、感染に対する保護に加えて、抗生物質および薬剤に対する病原体の耐性が増加するために治療がいっそう困難である感染症の治療に利用することができる。
【0049】
炭水化物-タンパク質の相互作用におけるアフィニティーおよび結合定数は弱く、そして解離定数は10-1 mmol程度である。これらの制限を克服するために、炭水化物と対応するマルチマーのタンパク質との間の結合を増強させる必要がある。多価相互作用のための結合の増強は、生物学的レセプターとの結合を可能とする多価リガンドのコンフォメーションの柔軟性から生ずる。
【0050】
用語「オリゴマー」は、本明細書において使用するとき、適当な条件下にNAGと複合化しかつ50より小さい重合度を有する重合性モノマーから製造された分子を表す。重合性モノマーのN-アセチルグルコサミンは、例えば、アクリロイルNAG、メタクリロイルNAG、グリシジルアクリロイルNAGまたはグリセロールアクリレートNAGである。
【0051】
本明細書において使用する代表的オリゴマーは、式 (5):
【化5】

のポリアクリロイルN-アセチルグルコサミン (P.Ac.NAG) である。
【0052】
ここで官能基をもつ非限定的代表的オリゴマーは、式6:
【化6】

のポリアクリロイルN-アセチルグルコサミンメルカプトエタノール (P.Ac.NAG.ME) である。
【0053】
NAGは線状二成分ヘテロポル: “aGcharideから誘導され、そして2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコース (GlcNAc; A-単位) および2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコース (GlcNAc; D-単位) から成る。キトサンは強力な天然のリガンドであり、NAG残基を通してリゾチームに結合する。しかしキトサンは3つの主要な制限に悩まされる: 1) キトサンは中性pHにおいて不溶性であり、これは多数の用途を制限する、2) キトサンはグルコシド交換反応および変旋光を行い、それらはキトサンの活性および効能を実質的に減少させる、および3) キトサンはリゾチームにより加水分解される。
【0054】
本発明は、多価相互作用に使用できるNAG含有オリゴマーの簡単な製造方法を提供する。
【0055】
したがって、本発明は、下記式 (1):
【化7】

【0056】
(式中、RはH、CH3、C2H5、C6H5であり;R1はH、NH2、OH、COOHであり;XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり;YはH、COOH、OHまたはNH2であり;そしてnは3〜50である)
を有する機能性多価オリゴマーに関する。
【0057】
また、本発明は、重合性モノマーのNAGを溶媒中に溶解し、連鎖停止剤および開始剤を添加し、溶液中に促進剤を溶解させ、反応を24〜48時間進行させ、溶液の温度を50〜60℃にし、非溶媒を使用して沈殿させ、前述のオリゴマーを得ることを含んでなる、前記オリゴマーを製造する方法を提供する。
【0058】
本発明の1つの態様において、オリゴマーはアクリロイルNAGまたはメタアクリロイルを含有することができる。
本発明の他の態様において、モノマーのリガンドを溶解するために使用する溶媒は水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドであることができる。
【0059】
本発明のなお他の態様において、連鎖移動剤はメルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、メルカプトアミン、メルカプトプロパノールから選択することができる。
本発明のなお他の態様において、使用する開始剤は過硫酸アンモニウム (APS)、過硫酸カリウム (KPS)、またはアゾビスイソブチロニチリル (AlliN)、4,4-アゾビス(4-シアノペンタノール)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、または3,3-アゾビス(3-シアノバレリアン酸) から選択することができる。
【0060】
本発明のなお他の態様において、使用する促進剤はN,N,N’,N”-テトラメチルエチレンジアミン (TEMED) であることができる。
本発明のなお他の態様において、使用する炭水化物は、NAG、シアル酸、マンノース、ガラクトース、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであることができる。
【0061】
本発明のなお他の態様において、オリゴマーを沈殿させるために使用する非溶媒はアセトン、ジエチルエーテルまたはヘキサンであることができる。
本発明のなお他の態様において、オリゴマーの分子量は400ダルトン〜4000ダルトンの範囲であることができる。
本発明のなお他の態様において、リガンドを含有するオリゴマーはこの分野においてよく知られている遊離基重合法により合成することができる。
【0062】
本発明のなお他の態様において、リガンドを含有するオリゴマーは医学およびバイオテクノロジーにおいて応用することができる。
なお他の態様において、本発明は、天然のポリマー、例えば、N-アセチルグルコサミンを含有するキチンおよびキトサンよりもいっそう安定なオリゴマーを生体分子との相互作用のために提供する。
【0063】
なお他の態様において、ポリマーを製造するための連鎖停止剤/重合性モノマーのNAGのモル比は1: 5〜1: 50、好ましくは0.5〜25である。
本発明のなお他の特徴において、ここにおいて報告するリガンド含有オリゴマーは酵素/障害を引き起こすウイルスの多数の部位上に同時に結合し、これにより阻害作用を増強することができる。
【0064】
本発明のなお他の特徴において、ここにおいて報告するリガンド含有オリゴマーは非常に低い濃度において有効であり、これは考慮するリガンド、例えば、シアル酸が高価であるとき有利である。
本発明のなお他の特徴において、NAG含有リガンドを含有する多価オリゴマーは安定、水溶性、耐分解性であり、そして微生物汚染物質を含まないので、キチンおよびキトサンのような天然のポリマーを超えた利点を有する。
【0065】
また、ポリマー主鎖中に多数のリガンドが存在するので、ウイルスおよび生体分子、例えば、インフルエンザウイルス、ロタウイルス、コムギ胚芽凝集素に対する結合が増強されることが期待される。多数のリガンドを含有するオリゴマーは潜在的に多数のレセプターと同時に相互作用し、これによりリゾチームに対する結合を増強させる。
なお他の特徴において、相対的阻害はI50 mMおよびImax mM値により表すことができる。
【0066】
なお他の特徴において、リゾチームとNAGを含有する多価オリゴマーとの間の結合 (Kb) は蛍光法を使用して推定される。
オリゴマーおよびポリマーの従来の合成法は複雑であり、そしてより高い阻害濃度を必要とする。ポリマーのフコシドは、インフルエンザウイルスの表面上に存在するノイラミニダーゼ酵素に対して抵抗性であることが報告されている。また、ウイルスはその表面に結合する分子からシアル酸基を切放し、これにより結合能力を破壊する。
【0067】
我々が報告するオリゴマーは非常に低い濃度において有効であり、これは考慮するリガンド、例えば、シアル酸が高価であるとき、有意な利点を有する。さらに、これらのオリゴマーは他のポリマーと結合してブロックコポリマーを生成することができる。その上、ここにおいて報告するプロセスは、リガンドをオリゴマー中に組込むために使用され、比較的簡単であり、より少ない工程を含む。
【0068】
ウイルスおよび生体分子に結合するオリゴマーの能力は、新しい治療剤を開発する手段を提供する。これらのオリゴマーは、種々の用途、例えば、アフィニティー分離およびイムノアッセイにおいて使用することができる。
本発明のオリゴマーは、ターゲット部位に効率よく結合できる適当な分子量を有する。
【0069】
オリゴマー上のリガンドは種々の分子に同時に結合する能力を有する。主鎖中の多数のリガンドの存在は、ウイルスおよび生体分子に対する結合を増強させることが期待される。こうして、多数のリガンドを含有するオリゴマーは低濃度で利用され、そして潜在的に多数のレセプターと相互作用し、これにより阻害を増強させることができる。
NAGを含有するオリゴマーを製造する方法を実施例により例示する。これらの実施例は例示のみを目的とし、本発明の範囲をいかなる方法においても限定すると考慮すべきではない。
【実施例】
【0070】
実施例1
この実施例において、アクリロイルN-アセチルグルコサミンのホモポリマー (P.Ac.NAG) の製造方法を説明する。
0.00727 MのアクリロイルN-アセチルグルコサミン (Ac.NAG) を丸底フラスコ中の25 mlの蒸留水中に溶解し、連続的に攪拌して透明な溶液を得た。開始剤として4 mgの過硫酸アンモニウムおよび促進剤としてTEMED (1 %) を反応混合物に添加した。反応を60℃において24時間連続的窒素パージ下に実施した。溶液を濃縮し、アセトン中で沈殿させ、アセトン中で再沈殿させて未反応モノマーを除去し、真空下に乾燥させた。次いで種々の分子量のオリゴマーを合成した。
蒸気圧浸透圧計を使用して測定した分子量は、600〜25,000ダルトンの範囲であった。
【0071】
実施例2
この実施例において、メルカプトエタノールを有するアクリロイルN-アセチルグルコサミンの機能性オリゴマー (P.Ac.NAG.ME) の製造方法を説明する。
0.00727 MのアクリロイルN-アセチルグルコサミン (Ac.NAG) を丸底フラスコ中の25 mlの蒸留水中に溶解し、連続的に攪拌して透明な溶液を得た。0.0002908 Mのメルカプトエタノールを連鎖移動剤として添加した。開始剤として過硫酸アンモニウムおよび促進剤としてTEMEDを反応混合物に添加した。反応を60℃において24時間連続的窒素パージ下に実施した。溶液をアセトン中で沈殿させ、アセトン中で再沈殿させて未反応モノマーを除去し、真空下に乾燥させた。次いで開始剤および連鎖移動剤を変化する比で使用して、種々の分子量のポリマーを合成した。
表1中のデータは、合成されたP.Ac.NAG.MEのヒドロキシル末端のオリゴマーが蒸気圧浸透圧計 (VPO) を使用して測定して400〜2808ダルトンの範囲の分子量を有することを示す。
【0072】
実施例3
この実施例において、メタクリロイルN-アセチルグルコサミンのオリゴマー (P.M.Ac.NAG) の製造方法を説明する。
0.007 MのメタクリロイルN-アセチルグルコサミンを丸底フラスコ中の25 mlの蒸留水中に溶解し、連続的に攪拌して透明な溶液を得た。0.0002 Mのメルカプトエタノールを連鎖移動剤として添加した。開始剤として過硫酸アンモニウムおよび促進剤としてTEMEDを反応混合物に添加した。反応を60℃において24時間連続的窒素パージ下に実施した。溶液を濃縮し、アセトン中で沈殿させ、アセトン中で再沈殿させて未反応モノマーを除去し、真空下に乾燥させた。次いで開始剤および連鎖移動剤を変化する比で使用して、種々の分子量のメタクリロイルNAGのポリマーを合成した。
OH末端のメタクリロイルN-アセチルグルコサミンを含有するオリゴマーの分子量は、1125〜3900である (表2)。
【0073】
実施例4
この実施例において、変化する分子量のアクリロイルN-アセチルグルコサミン (Ac.NAG) の2官能価のポリマーの製造方法を説明する。
0.007 MのアクリロイルN-アセチルグルコサミン (Ac.NAG) を丸底フラスコ中の25 mlの蒸留水中に溶解し、連続的に攪拌して透明な溶液を得た。開始剤として4 mgの3,3-アゾビス(3-シアノバレリアン酸) を添加した。反応を60℃において24時間連続的窒素パージ下に実施した。溶液を濃縮し、アセトン中で沈殿させ、アセトン中で再沈殿させて未反応モノマーを除去し、真空下に乾燥させた。
【0074】
実施例5
この実施例において、NAGを含有する機能性ポリマーの結合定数 (Kb) を蛍光分光学的方法 (Chipman 他、J. Biol. Chem. 242-19、4388-4394、1967) による推定を説明する。
リゾチームの蛍光スペクトルをパーキン・エルマー (Perkin Elmer) LS-50 Bルミネセンス分光計上に記録し、励起周波数は285 nmであった。0.0154 Mの塩化ナトリウムおよび0.008 Mのアジ化ナトリウムを含有する0.066 Mのリン酸塩緩衝液pH 6.2中で、リゾチームおよびN-アセチルグルコサミンの溶液を調製した。18℃に維持した容量2 mlの10 mmの石英セル中において異なるリガンド濃度を含有する溶液と、0.1 mlのリゾチーム80μg/mlを混合した。
【0075】
リン酸塩緩衝液を添加して、体積を2 mlにした。また、酵素のみを含有する参照溶液および緩衝液に関する溶液の蛍光強度を測定した。1/[S] に対して1/(Fo-F) をプロットすることによって、異なるリガンド濃度を含有する溶液で飽和させたリゾチームの相対蛍光強度Foeを実験値から外挿した。ここでFは所定の基質濃度 [S] を有する酵素を含有する溶液の測定した蛍光であり、そしてFoは酵素単独を含有する溶液の蛍光である。酵素が85 % より高く飽和されているとき、最高濃度のオリゴマー基質を使用した。
【0076】
【表1】

【0077】
アクリロイルNAGを含有するヒドロキシル多価オリゴマーの分子量は400〜2808の範囲である (表1)。
【0078】
分子量638のアクリロイルNAGを含有するヒドロキシル末端多価オリゴマーの結合定数は5.3×105であり、これはNAG (5.24×102) のほとんど1000倍の増強を示す。また、表1の他のポリマーについての結合定数は匹敵する。メタクリロイルNAGを含有する多価オリゴマーの分子量は1125〜3900の範囲である (表2)。再び、メタクリロイルNAGの結合定数は表1に報告されている結合定数に匹敵する。
【0079】
【表2】

【0080】
実施例6
この実施例において、NAGを含有する多価オリゴマーによるリゾチームの相対的阻害の推定を説明する。
0.0154 Mの塩化ナトリウムおよび0.008 Mのアジ化ナトリウムを含有する0.0066 Mのリン酸塩緩衝液pH 6.2中で、NAGを含有するオリゴマーの1.5 % w/v貯蔵溶液を調製した。1 mlの異なる濃度のリガンドを含有する貯蔵溶液を、容量3 mlのガラスクベット中で1.6 mlの78 μg/mlのミクロコッカス・リゾデイルクチカス (Micrococcus lysodeikticus) と混合した。この混合物を20℃において5分間インキュベートした。この混合物に、0.1 mlのリゾチーム (27 μg/ml) を添加し、十分に混合した。450 nmにおける吸収 (△450) を30秒間記録した。ポリマーのリガンドを含有しないブランクの読みを記録し、吸収の変化/秒を計算した。
【0081】
【表3】

【0082】
分子量638を有するオリゴマーは0.0026 mMのI50値を有し、これはNAGの74.00よりも28,000倍以上低く、阻害効能の増強を示し (表3) そしてしかもImaxは55.29から89.30に増加した。
【0083】
【表4】

【0084】
分子量2857を有するオリゴマーは0.0013 mMのI50値を有し、これはNAGの74.00よりも56,000倍以上低く、阻害効能の増強を示し (表4) そしてしかもImaxは55.29から83.23に増加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式 (1):
【化1】

(式中、RはH、CH3、C2H5であり;R1はH、NH2、OH、COOHであり;XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり;YはH、COOH、OHまたはNH2であり;そしてnは3〜50である)
を有する機能性多価オリゴマー。
【請求項2】
下記式 (1):
【化2】

(式中、RはH、CH3、C2H5であり;R1はH、NH2、OH、COOHであり;XはN-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびシアル酸、フルクトース、リブロース、エリトロロース、キシルロース、プシコース、ソルボース、タガトース、グルコピラノース、フルクトフラノース、デオキシリボース、ガラクトサミン、スクロース、ラクトース、イソマルトース、マルトース、セロビオース、セルロースおよびアミロースであり;YはH、COOH、OHまたはNH2であり;そしてnは3〜50である)
を有する機能性多価オリゴマーを製造する方法において、
モノマーのNAGを溶媒中に溶解し、連鎖停止剤を添加して異なる分子量を発生させ、この溶液に開始剤および促進剤を添加し、24〜48時間反応させ、反応混合物の温度を50〜60℃にし、非溶媒を使用して生成物を沈殿させ、生成物を48時間乾燥させて、前記機能性多価オリゴマーを得る、ことを含んで成る方法。
【請求項3】
使用する前記モノマーがNAG、アクリロイルNAGまたはメタアクリロイルNAGである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマーが下記式 (2):
【化3】

を有するアクリロイルNAGである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連鎖移動剤が下記式3:
HSCH2CH2OH 式3
を有するメルカプトエタノールである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
モノマーのリガンドを溶解するために使用する前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシドから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記連鎖移動剤が、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、メルカプトアミン、メルカプトプロパノールから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記開始剤が過硫酸アンモニウム (APS)、過硫酸カリウム (KPS)、またはアゾビスイソブチロニチリル (AffiN)、4,4-アゾビス(4-シアノペンタノール)、4,4-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、または3,3-アゾビス(3-シアノバレリアン酸) から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記促進剤が、N,N’,N”-テトラメチルエチレンジアミン (TEMED) から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記炭水化物リガンドが、NAG、シアル酸、マンノースまたはガラクトースから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記非溶媒がアセトン、ジエチルエーテルまたはヘキサンから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴマーの分子量が400ダルトン〜4000ダルトンの範囲である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
機能性ポリマーの合成のための連鎖停止剤/モノマーのNAGのモル比が0.5: 25〜1: 0.5、好ましくは1: 25〜1: 20である、請求項2に記載の方法。

【公表番号】特表2007−518830(P2007−518830A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512746(P2005−512746)
【出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000447
【国際公開番号】WO2005/063833
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(595059872)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (81)
【Fターム(参考)】