説明

N−((((ピリジニルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリニル)アリル)アセトアミド誘導体を製造する方法ならびにこのような方法の関連化合物および中間体ならびにこのような中間体を製造する方法

本発明は、R1、R3、R4、R6、R11、R13、R14、R15、R16、R17、k、lおよびmが、本記載で規定したとおりである式(1)の化合物を製造する方法に関し、またこの化合物の医薬品として許容できる塩、プロドラグおよび溶媒和物に関する。本発明は、R4およびR5が、水素およびC1−C6のアルキルから独立に選択され;各々のR13、R14、R15およびR16が水素、C1−C6のアルキルおよびCH2OHから独立に選択され、またR17およびR18が独立にC1−C6のアルキルであり、またkおよびlが独立に1〜3の整数である式(3a)によって表される中間体、そしてこの中間体を製造する方法にも関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換された二環誘導体を製造するために有用な新規な方法および中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の置換された二環誘導体は、哺乳動物における癌のような細胞の異常な増殖の治療に有用でありまた、参照によってその内容全体が本記載に加入されている2001年12月27日に公にされた国際特許公開WO01/98277中に記載されている化合物へと転化することができる。
【0003】
置換された二環誘導体の製造方法もまた、米国特許予備出願60/33467(2001年11月30日出願)および米国出願10/307603(2002年12月2日出願)中に開示されており、これらはともに参照によって全体が本記載に加入されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は式1:
【化1】

[式中、
kは1〜3の整数であり、
mは0〜3の整数であり、
pは0〜4の整数であり、
1、R2、R4、およびR5はそれぞれ独立にHおよびC1−C6アルキルから選択され;
3は、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)で あって、この複素環基は場合によってはベンゼン環またはC5−C8シクロアルキル基へと縮合され、このR3基の−(CR12t部分は、tが2〜5の整数であるときは、炭素−炭素二重結合または三重結合を場合によっては含み、またこのR3基は場合によって縮合されたものでありうる上記縮合環を含めて、1〜5個のR10基によって場合によっては置換されており;
各R6は、ハロ、ヒドロキシ、−NR12、C1−C6アルキル、トリフルオロメチル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NR7C(O)R1、−C(O)NR79、−SO2NR79、−NR7C(O)NR91、および−NR7C(O)OR9から独立に選択され;
各R7、R8およびR9はH、C1−C6アルキル、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、複素環基の1または2個の環炭素原子はオキソ(=O)基によって場合によっては置換されており、上記のR7、R8およびR9基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ヒドロキシ、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているか;
または各R7およびR9、もしくはR8およびR9は、窒素原子に結合しているときには、一緒になって4〜10員環の複素環を構成し、この複素環は、上記のR7、R8、およびR9基が結合している窒素に加えて、N、N(R1)、OおよびSから選択される1〜3個の追加的な複素部分を含んでよいが、ただし2つのO原子、2つのS原子または1つのO原子と1つのS原子は互いに直接結合しないものとし;
各R10は、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環の複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、上記のR10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)基によって置換されており、また上記のR10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtが0〜5の整数であるものとする)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R11は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環の複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、上記のR10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)部分によって置換されており、また上記のR10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7
−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R13およびR14は、H、C1−C6アルキル、および−CH2OHから独立に選択され;
19およびR20は、−(CR1516lOR17およびOR18からなる群から独立に選択され、ここでR15およびR16は各々、H、C1−C6アルキル、および−CH2OHから独立に選択され、lは1〜3の整数であり、R17はC1−C6アルキルであり、R18は独立にC1−C6アルキルであるが、ただしR19およびR20が同時に−(CR1516lOR17であることはなく;
ここで、NまたはO原子に結合していない炭素、またはS(O)j(ここでjは0〜2の整数であるものとする)に結合していない炭素は各々、R12によって場合によっては置換されており、ここでR12はR7、−OR7、−OC(O)R7、−OC(O)NR79、−OCO27、−S(O)j7、−S(O)jNR79(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−NR79、−NR7C(O)R9、−NR7SO29、−NR7C(O)NR89、−NR7SO2NR89、−NR7CO29、CN、−C(O)R7、またはハロであり、;またCH3(メチル)、CH2(メチレン)、またはCH(メチン)基を含み、ハロゲン、SOもしくはSO2基に、またはN、OもしくはS原子に結合していない上記に述べた任意の置換基は、ヒドロキシ、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシおよび−NR12からなる群から選択される基によって場合によっては置換されている]の化合物、その許容しうる塩、および溶媒和物を製造する方法に関し、この方法は、式2:
【化2】

(式中、Xはハライドであり、またR1、R3、R6、R11、mおよびpは上記の式1について規定したとおりである)
の化合物を、式3:
【化3】

(式中、R4、R5、R13、R14、R19、R20、およびkは上記の式1について規定したとおりである)
の化合物と触媒、塩基、および場合によって配位子の存在下で反応させることからなる。
【0005】
本発明は上記した式1の化合物、その医薬として許容しうる塩、溶媒和物およびプロド
ラグを製造する方法にも関し、この方法は式7:
【化4】

(式中、AはClまたはFであり、またR4、R5、R6、R13、R14、R19、R20、kおよびmは式1について規定したとおりである)
の化合物を、式8:
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R11およびpは式1について規定したとおりである)
の化合物と反応させることからなる。
【0006】
本発明の好ましい一態様で、上記の式2中のXは塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選択されるハロゲン化物である。
【0007】
本発明の好ましい一態様で、触媒は炭素上のパラジウム(Pd/C)、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、PdCl2、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、PdCl2(PPh32、Pd(PPh34、BnPdCl(PPh32、Pd(Otfa)2、Pd(PPh32(Otfa)2、PdCl2(dppf)、Pd(acac)2、Pd2(dba)3−CHCl3、Ni(PPh34、Pd(dppb)、トランス−ジ(μ−アセタト)−ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2H−イミダゾール−2−イリデン)ジヨード−パラジウム、ジヨード[メチレンビス[3−(2−メチル)−1H−イミダゾール−1−イル−2(3H)−イリデン]]−パラジウムからなる群から選択されるパラジウムまたはニッケル触媒である。
【0008】
式1の化合物を製造するための本発明の一層好ましい態様では、パラジウム触媒は炭素上のパラジウム(Pd/C)、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、およびPd(PPh34からなる群から選択される。
【0009】
式1の化合物を製造するための本発明の一層好ましい他の態様では、パラジウム触媒は炭素上のパラジウム(Pd/C)、Pd(OAc)2およびPd(PPh34からなる群
から選択される。
【0010】
本発明の最も好ましい態様では、触媒は炭素上のパラジウム(Pd/C)触媒である。本発明にとっていくつかの種類のPd/Cが有用であることが見いだされている。様々な
Pd/C装填率(例えば5%Pd/C〜10%Pd/C)を用いることができ、乾燥したまたは湿潤した触媒が使用できる。さらにまた、本発明ではPd0.25%の触媒水準を、またはそれより低くさえある触媒水準を用いることができる。さらに、これらの(Pd/C)触媒は、ここに挙げた他の触媒に較べてより安価で、より容易に入手でき、また反応に続いてよりたやすくパージされることができる。
【0011】
本方法の好ましい態様で、場合による配位子はポリマーに結合したホスフィン、BINAP、dppf、2−メチル−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、およびP(R223からなる群から選択され、ここで各々のR22は2−メチル−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、フェニル、o−トルイル、OMe、およびフリルからなる群から独立に選択される。
【0012】
本発明のこの方法の一層好ましい態様で、配位子はPPh3、P(o−tol)3、P(o−OMePh)3、P(2−フリル)3、BINAP、およびdppfからなる群から選択される。
【0013】
本発明の方法の最も好ましい態様で、配位子は、PPh3、P(o−tol)3、およびP(2−フリル)3からなる群から選択される。
【0014】
式1の化合物を製造するための方法の好ましい態様で、塩基は(R)3N、(R)2NH、RNH2、QX、Q2CO3、Q3PO4、QO2CRからなる群から選択され、ここでQは(R)4N、Na、K、Cs、Cu、Cd、およびCaからなる群から選択され、また各々のRはH、C1−C6アルキル、tが0〜5の整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択され、複素環基の1環または2環の炭素原子はオキソ(=O)基によって場合によっては置換されており、上記のR基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており、またR1およびR2は式1に関して規定したとおりである。
【0015】
式1の化合物を製造するための方法の好ましい他の態様で、塩基はR4NF、R4NCl、R4NBr、Et3N、Me2NEt、iPr2NEt、CuBr、CuI、CdCl、CsF、K2CO3、Na3PO4、Na2HPO4、NaOAc、DABCO、および1,8−(ジメチルアミノ)ナフタレンからなる群から選択され、ここで各々のRはH、C1−C6アルキル、tが0〜5の整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択され、複素環基の1環または2環の炭素原子はオキソ(=O)基によって場合によっては置換されており、上記のR基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており、またR1およびR2は式1に関して規定したとおりである。
【0016】
式1の化合物を製造するための方法のさらに好ましい態様で、塩基はEt3N、Me2NEt、iPr2NEt、CuBr、CuI、CdCl、CsF、R4NF、R4NCl、R4NBr、K2CO3、Na3PO4、Na2HPO4、NaOAc、DABCO、および1,8−(ジメチルアミノ)ナフタレンからなる群から選択され、ここで各々のRはH、C1
6アルキル、tが0〜5の整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択され、複素環基の1環または2環の炭素原子はオキソ(=O)基によって場合によっては置換されており、上記のR基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており、またR1およびR2は式1に関して規定したとおりである。
【0017】
式1の化合物を製造するための方法のさらに一層好ましい態様で、塩基はEt3N、Me2NEt、K2CO3、Na3PO4およびNaOAcからなる群から選択される。
【0018】
式1の化合物を製造するための方法の好ましい態様で、化合物2および3の反応は、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、CH2Cl2、CHCl3、ClCH2CH2Cl、N(C1−C6アルキル)3、N(ベンジル)3、HO(C1−C6アルキル)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される。
【0019】
式1の化合物を製造するための方法の一層好ましい態様で、溶媒は、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、ジメトキシエタン、ClCH2CH2Cl、N(C1−C6アルキル)3、N(ベンジル)3、HO(C1−C6アルキル)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0020】
式1の化合物を製造するための方法のさらに一層好ましい態様で、溶媒はテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N(C1−C6アルキル)3、N(ベンジル)3、HO(C1−C6アルキル)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
式1の化合物を製造するための方法の最も好ましい態様で、溶媒は2−ブタノール(第2級ブタノール)、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トリエチルアミン、またはこれらの混合物である。
【0022】
式1の化合物を製造するための方法の好ましい態様で、式2および3の化合物の反応は約25〜約175℃の範囲の温度で実施される。
【0023】
Xが塩素である式1の化合物を製造するためのここに特許請求する方法の一態様で、式2および3の化合物の反応は、以下の1つからなる触媒、配位子、塩基、および溶媒の混合物の存在下で実施される:
(i)上記の触媒はPd2(dba)3またはPd(OAc)2であり、上記の配位子は
2−メチル−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、およびR22がC1−C6アルキル、2−メチル−2’−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニルおよび2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニルからなる群から選択されるP(R223であり、上記の塩基はM2CO3、M3PO4、およびMXからなる群から選択され、ここでMはNa、K、Cs、および(R)4Nから選択され、ここで各々のRはH、C1−C6アルキル、tが0〜5である整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)
、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択され、複素環基の1環または2環の炭素原子はオキソ(=O)基によって場合によっては置換されており、上記のR基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており、またR1およびR2は式4に規定したとおりであり、また上記の溶媒はトルエン、ベンゼン、キシレン、DME、アセトン、ジオキサン、DMF、DMAC、NMPおよびACNからなる群から選択され;
【0024】
(ii)上記の触媒はPd(OAc)2、PdCl2、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、およびPdCl2(PPh32からなる群から選択され、上記の配位子はXがCl、Br、およびIからなる群から選択されるとしたPh4PXであり、上記の塩基はNaOAcまたはN,N−ジメチルグリシンであり、また上記の溶媒はDMF、DMAC、水、ジオキサン、THF、ACN、およびNMPからなる群から選択され;
【0025】
(iii)上記の触媒はトランス−ジ(μ−アセタト)−ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2H−イミダゾール−2−イリデン)ジヨード−パラジウム、およびジヨード[メチレンビス[3−(2−メチル)−1H−イミダゾール−1−イル−2(3H)−イリデン]]−パラジウムからなる群から選択され、上記の塩基はNaOAc、Bu4NBr、ヒドラジン、またはNaOCHOであり、また上記の溶媒はトルエン、ベンゼン、キシレン、DME、アセトン、ジオキサン、DMF、DMAC、およびNMPからなる群から選択され;または
【0026】
(iv)上記の触媒はPd2(dba)3であり、上記の配位子は1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライドまたは
【化6】

であり、上記の塩基はNaOAc、Bu4NBr、ヒドラジン、およびNaOCHOからなる群から選択され、また上記の溶媒はトルエン、ベンゼン、キシレン、DME、アセトン、ジオキサン、DMF、DMAC、およびNMPからなる群から選択される。
【0027】
式4および1の化合物を製造するためにここに特許請求する方法の1つの態様で、R3は−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるもの
とする)であり、また上記のR3基は1〜3個のR10基によって場合によっては置換されており、上記の複素環基はベンゼン環またはC5−C8シクロアルキル基へと場合によっては縮合されており、また上記のR3基は、上記に言及した場合によるなんらかの縮合環を含めて、1〜3個のR10基によって場合によっては置換されている。
【0028】
本発明の他の態様は、R3
【化7】

(式中、上記のR3基は1〜3個のR10基で場合によっては置換されている)
から選択される方法に関連する。
【0029】
本発明の他の態様はR3が1〜3個のR10基によって場合によっては置換されているピリジン−3−イルである方法に関連する。
【0030】
本発明の他の態様はR4およびR5がともに水素である方法に関連し;他の態様ではR13およびR14はともに水素であり;他の態様ではR15およびR16はともに水素であり;他の態様ではR4、R5、R13、R14、R15およびR16はすべて水素である。
【0031】
本発明の他の態様は、kが1であるである方法に関連し;好ましい他の態様でlは1である。他の好ましい態様でkおよびlはともに1である。
【0032】
本発明の他の態様は、R17がt−ブチル基である方法に関連する。他の好ましい態様でR19およびR20はともにOR18であり、ここで各々のR18は独立にC1−C6アルキル基であり;他の好ましい態様でR18はt−ブチル基である。他の好ましい態様でR19は−(CR1516lOR17でありまたR20はOR18であり、ここでR15、R16、R17、およびR18は式1に規定したとおりである。
【0033】
本発明は式5の化合物
【化8】

を製造するために式1の化合物を1つまたはそれ以上の段階で転化することからなる式5の化合物を製造する方法にも関する。
【0034】
式1の化合物から式5の化合物に到達するための本方法の1態様において、これらの段階は
(a)式1の化合物を酸と反応させて式4の化合物
【化9】

またはその塩を生成し、
そして
(b)式4の化合物またはその塩を、ClC(O)(CR1516lOR17(ここでR15、R16、R17およびlは式1に規定したとおりのものとする)、またはその反応上の同等物と、塩基の存在下で反応させて式5の化合物を生成物させることからなる。酸塩化物の反応上の同等物には、カルボン酸、酸無水物および酸イミダゾールがあるが、これらに限定されない。好ましい1態様では、酸塩化物ClC(O)(CR1516lOR17の反応上の同等物は式
【化10】

(式中、R15、R16、R17およびlは式1に規定したとおりである)で表される酸イミダゾールである。1つの態様で、酸塩化物ClC(O)(CR1516lOR17の反応上の同等物は式[R17O(CR1516lC(O)]2Oで表される酸無水物である。
【0035】
段階(a)で式1の化合物と反応させて化合物4を生成するのに使用する酸は、鉱酸、カルボン酸および有機スルホン酸を含めた任意の酸であってよい。
【0036】
段階(b)で使用される塩基はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水性の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸塩または水素燐酸塩、第3級アミンおよびDABCOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物であってよい。塩基は、NaOH、KOH、Et3N、Me2NEt、iPr2NEt、K2CO3、Na3PO4、Na2HPO4、DABCO、および1,8−(ジメチルアミノ)ナフタレンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
【0037】
式1の化合物から式5の化合物に到達する本方法の別な態様における段階は、式1の化合物を酸と1段階で反応させて式5の化合物を生成することからなる。酸は鉱酸、カルボン酸および有機スルホン酸を含めた任意の酸であってよい。
【0038】
上記の方法で開示したように式1の化合物から製造されうる式5の化合物の例には以下の化合物がある:
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−2−メトキシ−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−2−エトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−メタスルホンアミド;
および上記の化合物の医薬品として許容しうる塩、プロドラグおよび溶媒和物。
【0039】
本発明は式3a:
【化11】

(式中、R4およびR5は水素およびC1−C6アルキルから独立に選択され;各々のR13、R14、R15およびR16は水素、C1−C6アルキルおよびCH2OHから独立に選択され、R17およびR18は独立にC1−C6アルキルであり、またkおよびlは独立に1〜3の整数である)
によって表される化合物を製造する方法にも関し、この方法は、
(a)R4、R513、R14およびkは式3aに規定したとおりであるとした式H2N−(CR1314kCR4=CHR5によって表されるアミンを、Xがハロゲン化物であるとした式R17O(CR1615lC(O)Xによって表される化合物、または式R17O(CR1615lC(O)Xの反応上の同等物と反応させて式6:
【化12】

(式中、R4、R5、R13、R14、R15、R16、R17、kおよびlは上記の式3aに規定したとおりである)
によって表される化合物を生成し、
そして(b)式6によって表される化合物を式(R18OC(O))2Oの化合物またはその反応上の同等物と場合によっては塩基性触媒の存在で反応させて式3aによって表される化合物を生成する
段階からなる。
【0040】
酸塩化物の反応上の同等物にはカルボン酸、酸無水物および酸イミダゾールがあるが、これらに限定されない。
【0041】
ハロゲン化物Xは臭化物またはヨウ化物であるのが好ましい。式3aの化合物を製造するための方法の特に好ましい態様において、塩基性触媒はジメチルアミノピリジン(DMAP)である。式3aの化合物を製造するための方法の好ましい態様において、R4およびR5はともに水素であり;他の好ましい態様でR13、R14、R15およびR16はすべて水素であり;また他の好ましい態様でR4、R5、R13、R14、R15、およびR16はすべて水素である。他の好ましい態様でkおよびlはともに1であり;また他の好ましい態様でR17はメチルでありまたR18はt−ブチルである。
【0042】
本発明は上記した式3aによって表される化合物にも関する。
【0043】
式3aの化合物の好ましい1態様でR4およびR5はともに水素である。式3aの化合物の好ましい別な態様でR13、R14、R15およびR16はすべて水素である。式3aの化合物の好ましい別な態様でkおよびlはともに1である。式3aの化合物の好ましい別な態様でR17はメチルでありまたR18はt−ブチルである。
【0044】
式3aの化合物は式1および5の化合物を製造するための出発物質として有用である。
【0045】
式5の化合物は、哺乳動物での癌のような細胞の異常増殖を阻害することができまた選択的な受容体チロシンキナーゼの選択的阻害剤である。
【0046】
本記載で用いるとき、「ハロ」という用語には特記しない限り、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードが含まれる。好ましいハロ基はフルオロおよびクロロである。
【0047】
本記載で用いるとき、「アルキル」という用語には特記しない限り、直鎖の、環状の(単環のまたは多環の部分を含む)または分枝鎖の部分を有する1価の炭化水素基が含まれる。このアルキル基が環状部分を含むには少なくとも3つの炭素原子を含むべきであると理解される。
【0048】
本記載で用いるとき、「シクロアルキル」という用語には特記しない限り、環状の(単環または多環を含めて)部分を有する1価の飽和炭化水素基が含まれる。
【0049】
本記載で用いるとき、「アルケニル」という用語には特記しない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する上記に規定したアルキル基が含まれる。
【0050】
本記載で用いるとき、「アルキニル」という用語には特記しない限り、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する上記に規定したアルキル基が含まれる。
【0051】
本記載で用いるとき、「アリール」または「Ar」という用語には特記しない限り、1つの水素を除去することにより芳香族炭化水素から誘導される有機基、例えばフェニルまたはナフチルが含まれる。「アリール」または「Ar」は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、tが0〜5の整数であり、t、R1、R2、R6、およびR7が式1について規定したとおりであるとした−OR6、−C(O)R6、−C(O)OR6、−OC(O)R6、−NR6C(O)R7、−C(O)NR67、−NR67、−NR6OR7、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複
素環)から独立に選択される1〜4つの置換基で場合によっては置換されている。
【0052】
本記載で用いるとき、「アルコキシ」という用語には特記しない限り、アルキル基が上記に規定したとおりであるとした−O−アルキル基が含まれる。
【0053】
本記載で用いるとき、「4〜10員環の複素環」という用語には特記しない限り、O、SおよびNからそれぞれ選択される1つまたはそれ以上の異種原子を含む芳香族のおよび非芳香族の複素環基が含まれ、この場合、各々の複素環基はその環システム内に4〜10個の原子を有する。非芳香族の複素環基にはその環システムにただの4個の原子を有する基が含まれるが、芳香族の複素環基はその環システム内に少なくとも5個の原子をもたねばならない。複素環基にはベンゾ縮合環システムが含まれまた環システムおよび1つまたはそれ以上のオキソ部分で置換された環システムが含まれる。4員環の複素環基の例はアゼチジニル(アゼチジンから誘導される)である。5員環の複素環基の例はチアゾイルでありまた10員環の複素環基の例はキノリニルである。非芳香族の複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピレリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリルおよびキノリジニルである。芳香族の複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドイル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。上記に列挙した化合物から誘導されるとき上記の基は、それが可能ならCに結合しているか、Nに結合していてよい。例えば、ピロールから誘導される基はピロール−1−イル(N−結合した)またはピロール−3−イル(C−結合した)であってよい。
【0054】
「Me」という用語はメチルを意味し、「Et」はエチルを意味し、また「Ac」はアセチルを意味する。
【0055】
本記載で用いるとき、「DME」という用語は、特記しない限りジメトキシエタンを意味する。
【0056】
本記載で用いるとき、「DMF」という用語は、特記しない限りジメチルホルムアミドを意味する。
【0057】
本記載で用いるとき、「DMAC」という用語は、特記しない限りジメチルアセトアミドを意味する。
【0058】
本記載で用いるとき、「ACN」という用語は、特記しない限りアセトニトリルを意味する。
【0059】
本記載で用いるとき、「NMP」という用語は、特記しない限りN−メチルピロリドンを意味する。
【0060】
本記載で用いるとき、「DMSO」という用語は、特記しない限りジメチルスルホキシドを意味する。
【0061】
本記載で用いるとき、「BINAP」(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルに対する略号)という用語は、特記しない限り以下の式:
【化13】

によって表される。
【0062】
本記載で用いるとき、「DABCO」という用語は、特記しない限り1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを意味する。
【0063】
本記載で用いるとき、「DBA」という用語は、特記しない限りジベンゾアントラセンを意味する。
【0064】
本記載で用いるとき、「dppe」という用語は、特記しない限りPh2P(CH22PPh2を意味する。
【0065】
本記載で用いるとき、「dppp」という用語は、特記しない限りPh2P(CH23PPh2を意味する。
【0066】
本記載で用いるとき、「dppb」という用語は、特記しない限りPh2P(CH24PPh2を意味する。
【0067】
本記載で用いるとき、「dippb」という用語は、特記しない限りiPr2P(CH24PiPr2を意味する。
【0068】
本記載で用いるとき、「dppf」という用語は、特記しない限り以下の式:
【化14】

によって表される。
【0069】
本記載で用いるとき、「Otfa」という用語は、特記しない限りO2CCF3を意味する。
【0070】
本記載で用いるとき、「R」という用語は、特記しない限りH、C1−C6アルキル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択されることを意味するが、ただし、tは0〜5の整数であり、複素環基の1または2個の環炭素原子は場合によってオキソ(=O)基によって置換され、上記のR基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3つの置換基で場合によっては置換されている。ここでR1およびR2は式1に定義した通りである。
【0071】
化合物トランス−ジ(μ−アセタト)−ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)は式
【化15】

によって表される。
【0072】
化合物ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2H−イミダゾール−2−イリデン)ジヨード−パラジウムは式
【化16】

によって表される。
【0073】
化合物ジヨード[メチレンビス[3−(2−メチル)−1H−イミダゾール−1−イル−2(3H)−イリデン]]−パラジウムは式
【化17】

によって表される。
【0074】
化合物1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライドは式
【化18】

によって表される。
【0075】
ある物質の「反応上の同等物」という用語は、反応条件下で反応しまたはその物質そのものと同様に挙動する、その物質そのものとは異なる任意の化合物または化学的組成物を意味する。従って、カルボン酸の反応上の同等物には、特記しない限り、酸無水物、アシルハロゲン化物、およびこれらの混合物のような酸を生成する誘導体がある。当業者なら誰でも「合成用同等物」または「シントン(synthon)」という語は「反応上の同等物」に対する同義語であることを認めるであろう(例えばWarren,Stuart,“Designing Organic Synthesis,A Programmed Introduction to the Synthon Approach”John Wiley & Sons,New York,1978,p.8参照)。
【0076】
本発明には、1つまたはそれ以上の原子が、通常天然に見いだされる原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、式1、3aまたは5で示したものと同一である同位元素でラベルされている化合物もまた含まれる。本発明の化合物中に含められうる同位元素の例には、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位元素がある。本発明の化合物、そのプロドラグ、およびこの化合物のまたはこのプロドラグの医薬品として許容できる塩であって、上記した同位元素および/または他の原子の別な同位元素は、本発明の範囲に入る。本発明の同位元素でラベルされているいくつかの化合物、例えば3Hおよび14Cのような放射性同位元素が含められている化合物は、薬物および/または基質組織分布のアッセイで有用である。三重水素化された同位元素つまり3H、および炭素−14同位元素つまり14Cは、それらを製造しまた検出するのが容易であるため特に好ましい。さらに、重水素つまり2Hのようなより重質の同位元素での置換は、新陳代謝安定性がより大きい結果、治療上いくつかの利点、例えば生体内半減期の延長または必要投与量の減少を与え、従って、いくつかの状況において好ましいであろう。同位元素でラベルされた本発明の式Iの化合物およびそのプロドラグは、同位元素によってラベルされていない反応体を、容易に入手できる同位元素でラベルされた反応体で置き換えることて、以下のスキームおよび/または実施例ならびに製造に開示されている手順を実施することにより一般に製造されることができる。
【0077】
遊離のアミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基を有する本発明の化合物はプロドラグに転化されることができる。プロドラグには、アミノ酸残基が、または2つまたはそれ以上の(例えば2、3または4つの)アミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド結合またはエステル結合を通じて本発明の化合物の遊離のアミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に共有結合的に結合している化合物が含まれる。アミノ酸残基には、普通3文字の記号で表示される天然に存在する20のアミノ酸があるが、これらに限定されず、また4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリンホモシステイン
、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンもまた含まれる。追加の種類のプロドラグもまた包含される。例えば遊離カルボン酸基はアミドまたはアルキルエステルとして誘導されることができる。遊離ヒドロキシ基はAdvancd Drug Delivery Reviews,1996,19,115中に概説されているように、ヘミスクシネート、ホスフェートエステル、ジメチルアミノアセテート、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含むがこれらに限定されない基を用いて誘導されることができる。ヒドロキシ基およびアミノ基のカルバメートプロドラグもまた、ヒドロキシ基のカルバメートプロドラグ、スルホネートエステルおよびサルフェートエステルと同じく包含される。アシル基が、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基によって場合によっては置換されているアルキルエステルであってよい、またはアシル基が上記のようなアミノ酸エステルである(アシルオキシ)メチルエーテルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルのようなヒドロキシ基の誘導体化もまた包含される。この種類のプロドラグはJ. Med.Chem.1996,39,10中に記載されている。遊離アミンは、アミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導されることもできる。これらのプロドラグ部分はすべて、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含むがこれらに限定されない基を含んでよい。
【0078】
本特許出願において言及される文献は各々、その全体が参照によって本記載に加入されている。
【0079】
式1および5の化合物は以下の反応スキームおよび考察に従って製造することができる。以下の反応スキームおよび考察において、R1、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14、R15、R16、R17、R19、R20、k、l、mおよびpならびに構造式1、4および5は特記しない限り上記に規定したとおりである。
【化19】

【化20】

【化21】

【0080】
上記のスキーム1を参照するとし、式1の化合物は式Dの化合物を、無水の溶媒、特にDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DME(エチレングリコールジメチルエーテル)、DCE(ジクロロエタン)およびt−ブタノールから選択される溶媒中で、ならびにフェノール、または上記の溶媒の混合物中で、約50〜150℃の範囲の温度で1〜48時間の範囲の期間にわたって式Eのアミンとカップリングさせることにより製造することができる。式Eの複素アリールオキシアニリンは、当業者に知られた方法、例えば対応するニトロ中間体への還元によって製造することができる。芳香族ニトロ基の還元は、Brown,R.K.,Nelson,N. A. J. Org. Chem. 1954, p.5149;Yuste, R., Saldana, M, Walls, F., Tet. Lett. 1982, 23, 2, p.147または上記したWO 96/09294中で概説されている方法によって実施することができる。適切なヘテロアリールオキシニトロベンゼン誘導体は、ハロニトロベンゼン前駆体のハライドをDinsmore, C.J. et.al., Bioorg.
Med. Chem. Lett., 7, 10, 1997, 1345;Loupy,A. et.al., Synth. Commun., 20, 18, 1990, 2855;またはBrunelle, D. J., Tet. Lett., 25, 32, 1984, 3383中で説明されている適切なアルコールを用いる求核的置換反応によって製造することができる。R1がC1−C6アルキル基である式Eの化合物は母体アニリンをR1CH(O)で還元的アミノ化す
ることにより製造することができる。式Dの化合物は、Z1が、ブロモ、ヨード、−N2、または−OTf(−OSO2CF3のことである)のような活性化基である、またはNO2、NH2またはOHのような活性化基の前駆体である式Cの化合物を、末端アルキン、末端アルケン、ビニルハロゲン化物、ビニルスタンナン、ビニルボラン、アルキルボラン、またはアルキル亜鉛もしくはアルケニル亜鉛反応剤のようなカップリングの相手方によって処理することにより製造されることができる。式Cの化合物は式Bの化合物をPOCl3、SOCl2、またはClC(O)C(O)Cl/DMFのような塩素化反応剤によってハロゲン化された溶媒中で約60〜150℃の範囲の温度で約2〜24時間に期間にわたって処理することにより製造されることができる。式Bの化合物はZ1が上記したとおりでありまたZ2がNH2、C1−C6アルコキシまたはOHである式Aの化合物から上記したWO95/19774中に記載されている1つまたはそれ以上の方法に従って製造することができる。
【0081】
スキーム2における化合物および反応は、反応スキームに1つの変更を行いつつ、スキーム1について述べた方法を用いて製造することができる。式Cの化合物は、スキーム1で上述したZ1活性化基のカップリングの相手方との反応に先立って、式Eの複素アリールオキシアニリンによって処理されて式Fの化合物が生成される。
【0082】
スキーム3は、式1の化合物が上記に開示されたように式5の化合物に直接にまたは式4の中間体化合物を経由して転化することができることを示す。
【0083】
式1の化合物を製造するための方法には標準的な技術が含まれるであろう。この技術は当業者に知られており、またこれにはa)T. W. Greene and P.G.M. Wuts, “Protective
Groups in Organic Synthesis”,Second Edition, John Wiley and Sons, New York, 1991に概説されている方法により保護基を除去すること;b)脱離基(ハロゲン化物、メシレート、トシレートなど)を第1級または第2級アミン、チオールまたはアルコールによって置換して第2級または第3級アミン、チオエーテルまたはエーテルをそれぞれ生成すること;c)Thavonekham, B et.al. Synthesis (1997), 10, p1189おけるように、フェニル(または置換フェニル)カルバメートを第1級または第2級アミンで処理して対応する尿素を生成すること;d)Denmark, S. E.;Jones, T. K. J. Org. Chem. (1982) 47, 4595-4597またはvan Benthem, R.A.T.M.;Michels, J.J.;Speckamp, W. N. Synlett (1994), 368-370におけるように、プロパギルアルコールもしくはホモプロパギルアルコールまたはN−BOCで保護された第1級アミンを、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)での処理によって対応するE−アリル誘導体またはE−ホモアリル誘導体へと還元すること;e)Tomassy, B. et. al. Synth. Commun.(1998), 28, p1201におけるように、水素ガスおよびPd触媒での処理によってアルキンを対応するZ−アルケン誘導体に還元すること;f)イソシアネート、酸塩化物(または活性化された他のカルボン酸誘導体)アルキル/アリールクロロホーメートまたはスルホニルクロライドで第1級および第2級アミンを処理して対応する尿素、アミド、カルバメートまたはスルホンアミドを得ること;g)R1CH(O)を使用して第1級または第2級アミンを還元的にアミノ化すること;およびh)イソシアネート、酸塩化物(または活性化された他のカルボン酸誘導体)、アルキル/アリールクロロホーメートまたはスルホニルクロライドでアルコールを処理して対応するカルバメート、エステル、カーボネートまたはスルホン酸エステルを得ることが含まれる。
【0084】
ここに特許請求する、式2の化合物を上記に記載したように式3の化合物と反応させることによる式1の化合物を製造する方法は、Heck反応である。参照によって本記載に加入されている以下の概観的文献には、本発明の化合物を製造するためにHeck反応で使用することができる反応剤が示されている:(a) Heck, R.F. in Comprehesive Organic
Synthesis;Trost, B.M.;Ed.;Pergamon:New York, 1991;Vol.4, Chapter 4.3;(b)B
rase, S.;deMeijere, A. in Metal-catalyzed Cross-coupling Reactions;Deierich, F.;Stang, P.J., Eds.;Wiley:New York, 1998, Chapter 3;(c) Cabri, W.;Candiani,
I. Acc. Chem. Res. 1995, 28, 2-7;及び (d) deMeijere, A.;Meyer, F. E. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1994, 33, 2379-2411。
【0085】
本発明の好ましい1つの態様では、Heck反応においてアリールクロライドが使用される。参照によって本記載に加入されている以下の文献には、Heck反応におけるアリールクロライドの使用が開示されている:(a) Riermeier, T.H.;Zapf, A.;Beller, M. Top. Catal. 1997, 4, 301-309;(b) Littke, A.F.;Fu, G.C. J. Org. Chem. 1999, 64,10-11;(c) Reetz, M.T.;Lohmer, G.;Schwickardi, R. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37,481-483;(d) Beller, M.;Zapf, A. Synlett 1998, 792-793;(e) Ben-David, Y.;Portny, M.;Gozin, M. Milstein, D. Organumetallics, 1992m 11, 1995-1996;(f) Portnoy, M.; Ben-David, Y.; Milstein, D. Organometallics 1993, 12, 4734-4735; (g) Portny, M.; Ben-David Y.; Rousso, I.; Milstein, D. Organometallics 1994, 13, 3465-3479; (h) Herrmann, W.A.; Brossmer, C.; Ofele, K.; Reisinger, C-P.; Priermeier, T.; Beller, M.; Fischer H. Anger. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 1844-1848 (i) Herrmann, W.A.; Elison, M.; Fischer J.; Kocher, C.; Artus, G. R. J. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 2371-2374;及び (j) Herrmann, W.A.; Brossmer, C.; Reisinger, C-P.; Riermeier, T.H; Ofele, K.; Beller, M. Chem. Eur. J. 1997, 3, 1357-1364。
【0086】
以下の表にBrase, S.; deMeijere, A. in metal-catalyzed Cross-coupling Reactions; Deiderich, F.; Stamg. P.J., Eds,; Wiley: New York, 1998; Chapter 3, pages 108-109 for use in the Heck reactionからとった好ましいPd触媒、配位子、塩基、および溶媒を掲げる。
【表1】

【0087】
XがClである好ましい一態様において、Heck反応を用いて式1の化合物を製造するために使用できるPd触媒、配位子、塩基、および溶媒を以下の表に掲げる。
【表2】

【0088】
本発明で用いられるパラジウム触媒は、パラジウム(0)触媒であるのが好ましく、パラジウム(0)触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはPd2(dba)3であるのが一層好ましい。これは、反応混合物に直接添加されまたは、トリフェニルホスフィンおよび反応条件下でパラジウム(0)化学種に転化されるパラジウムアセテートを添加することによりその場で生成されてよい。
【0089】
本発明の化合物を製造するために挙げることのできる一般的な合成方法は、米国特許第5,747,498号(1998年5月5日発行)、米国特許出願08/953078(1997年10月17日出願)、WO98/02434(1998年1月22日公告)、WO98/02438(1998年1月22日公告)、WO96/40142(1996年12月19日公告)、WO96/09294(1996年3月6日公告)、WO97/03069(1997年1月20日公告)、WO97/03069(1997年1月30日公告)、WO95/19774(1995年7月27日公告)およびWO97/13771(1997年4月17日公告)中に示されている。追加的な方法は国際特許出願WO 00/44728(2000年8月3日公告)およびヨーロッパ特許公告EP1029853(2000年8月23日公告)を参照すべきである。上記の特許および特許出願は全体が参照によって本記載に加入されている。いくつかの出発物質は当業者になじみある方法に従って製造することができ、またいくつかの合成上の変更は当業者になじみある方法に従って行うことができる。6−ヨードキナゾリノンを製造するための標準的な方法はStevenson, T. M., Kazmierczak, F., Leonard, N. J., J. Org. Chem. 1986, 51, 5, p.616中に示されている。パラジウムで触媒されるホウ素酸カップリングはMiyaura, N., Yanagi, T., Suzuki, A. Syn. Comm. 1981, 11, 7, P.513.中に示されている。パラジウムで触媒されるHeckカップリングはHeck et. al. Organic Reactions, 1982, 27,345またはCabri et.al. in Acc. Chem. Res. 1995, 28, 2.に示されている。アリールハロゲン化
物への末端アルキンのパラジウムで触媒されるカップリングの例についてはCastro et. al. J. Org. Chem. 1963, 28, 3136またはSonogashira et. al. Synthesis, 1977, 777を参照されたい。末端アルキンの合成はColvin, E. W. J. et. al. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 1977, 869; Gilbert, J. C. et. al. J. Org. Chem., 47, 10, 1982; Hauske, J.
R. et.al. Tet. Lett., 33, 26, 1992, 3715; Ohira, S. et. al. J. Chem. Soc. Chem.
Commun., 9, 1992, 721; Trost, B. M. J. Amer. Chem. Soc., 119, 4, 1997, 698;またはMarshall, J. A. et. al. J. Org. Chem., 62, 13, 1997, 4313に記載されている適当に置換/保護されたアルデヒドを使用して実施することができる。
【0090】
あるいは別に、末端アルキンは2段階手法によって製造することができる。第1にNakatani, K. et. al. Tetrahedron, 49, 9, 1993, 1901におけるような適切に置換/保護されたアルデヒドへのTMS(トリメチルシリル)アセチレンのリチウム陰イオンの付加であり、引き続いてMalacria, M.; Tetrahedron, 33, 1977, 2813;またはWhite, J. D. et.
al. Tet. Lett., 31, 1, 1990, 59におけるような、中間的な末端アルキンを単離するための塩基による脱保護を用いることができる。
【0091】
上記にその合成が特定的に記載されていない出発物質は市販で入手できるかまたは当業者に周知の方法を用いて製造することができる。
【0092】
スキームで考察したまたは説明した反応の各々で、別記しない限り圧力は限定的ではない。一般に約0.5〜約5気圧の圧力が許容でき、また周囲圧力つまり約1気圧が便宜上好ましい。
【0093】
以下に示す実施例および製造は本発明の化合物、これを製造する方法、および本発明の方法をさらに説明しまた例示する。本発明の範囲は以下の実施例および製法の範囲によってなんら限定されるものでないことは理解されるべきである。以下の実施例において単一のキラル中心を有する分子は別記しない限りラセミ混合物として存在する。2つまたはそれ以上のキラル中心を有するこれらの分子は別に示されない限りジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。当業者に知られた方法によって単一の鏡像異性体/ジアステレオマーが得られるであろう。
【0094】
以下の製造および実施例でHPLCクロマトグラフィーが言及されるとき、用いられる一般的な条件は別記しない限り以下のとおりである。使用するカラムは長さ150mmおよび内径4.6mmのZORBAX RXC18カラム(Hewlett Packard製)である。試料はHewlett Packard−1100装置上で操作される。100%酢酸アンモニウム/酢酸緩衝剤(0.2M)から100%アセトニトリルに向けて10分間にわたり操作する勾配溶媒法が用いられる。次に装置を100%アセトニトリルによる1.5分の、次いで100%緩衝剤による3分の洗浄サイクルに進める。この期間にわたる流量は3mL/分と一定である。
【0095】
本発明は以下の実施例によって説明される。しかしながら、本発明は以下の実施例の特定の詳細によって限定されないことが理解されよう。
【実施例】
【0096】
実施例1
ジ−第3級−ブチルアリルイミノジカルボキシレートの製造
【化22】

2−メチルテトラヒドロフラン(「2−メチルTHF」)150mLが入った適当な丸底フラスコに、ジ−第3級−ブチルイミノ−ジカルボキシレート(25.0g、115ミリモル)、アリルブロマイド(16.7g、12.0mL、138ミリモル)、およびテトラブチルアンモニウムブロマイド(0.520g、1.61ミリモル)を添加した。第2のフラスコ内で、0〜5℃のプロセス水100.0mLに水酸化ナトリウムペレット(23.0g、576ミリモル)を添加することにより水酸化ナトリウム溶液を製造した。水酸化ナトリウム溶液を室温で反応物に添加した。反応物を40〜50℃に加熱した。1時間後、HPLC(GTP 6354.01 Armor C−18 5μM 150×4.6cm、20mM K2HPO4- pH 7)によってジ−第3級−ブチルイミノ−ジカルボキシレートが全部消費されていることが示された。相を分離しそして2−メチルTHF相をプロセス水で洗浄した。KFが0.1〜0.2%であるまで有機相をイソプロパノールで置き換えそして次の段階でイソプロパノール中の溶液として使用した。GTP 6354.01を使用するHP1100上でのHPLC法によって、96.0面積%を有する主生成物のバンドが26.4分に示された。収率は95〜98%であった。
1H NMR(400MHz; CDCl3): δ5.78-5.86(m, 1H), 5.08-5.17(m,2H), 4.16(d, J=5.6Hz, 2H), 1.48(s, 18H)。
【0097】
実施例2
アリル−メトキシアセチル−カルバミン酸第3級−ブチルエステルの製造
【化23】

N−アリル−2−メトキシアセトアミド(6.95g、54ミリモル)を乾燥CH2Cl2(100ml)中に溶解した。4−(ジメチルアミン)ピリジン(54ミリモル、6.6g)およびEt3N(5.5g、54ミリモル)を溶液に添加した。溶液を0℃に冷却しそしてBOC2O(108ミリモル、23.6g)を滴状に添加した。溶液を放置して室温まで温めそして一晩撹拌した。反応混合物を100mLの水で希釈し、そしてCH2Cl2(3×50mL)によって抽出した。一緒になった有機溶媒を真空下で除去して油状物を得た。次いでこの物質を10〜20%EtOAc/ヘキサンで溶出することによりシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ無色の油状物として題記の化合物6.6gを得た。
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ5.60-5.65(m, 1H), 4.96-5.02(m, 2H), 4.38(s, 2H), 4.15(d, J=4.5Hz, 2H), 3.30(s, 3H), 1.37(s, 9H)。
【0098】
実施例3
[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンのビスハイドロクロライド塩の製造(方式A)
【化24】

100mLのRBフラスコに(6−ヨード−キナゾリン−4−イル)−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンハイドロクロライド(5g、10ミリモル、1当量)、ジ−第3級−ブチルアリルイミノ−ジカルボキシレート(6g、23ミリモル、2.3当量)、PPh3(265mg)、Pd(OAc)2(115mg、0.05当量)、NaOAc(3.28g、40ミリモル、4当量)およびDMF75mLを装入した。得られる均一な混合物をN2下100℃で6時間加熱し、室温まで冷却し、水100mLで希釈しそしてEtOAc50mLによって抽出した。有機溶媒を真空下で除去して粗製の暗褐色の残留物を得た。次にこの物質をTHF50mL中に溶解した。水浴によって冷却したTHF溶液に濃HCl40mlをゆっくり添加した。得られる混合物を室温で4時間撹拌した(題記の化合物が約15分後にゆっくり沈殿した)。明黄色の塩としての題記の化合物を濾過しそして多量の水で洗浄しそして真空乾燥した。得られる生成物の重量は3.5gであった(収率80%)。
1H NMR(300MHz, D2O):δ8.53(s, 1H), 8.35(d, J=1.8Hz, 1H), 8.22(d, J=2.4Hz, 1H),
8.12(dd, J=9Hz, 1.5Hz, 1H), 7.99(dd, J=9Hz, 2.7Hz, 1H), 7.69-7.74(m, 2H), 7.48(d, J=2.7Hz, 1H), 7.38(dd, J=8.7Hz, 2.4Hz, 1H), 7.16(d, J=8.7Hz, 1H), 6.9(d, J=16.2Hz, 1H), 6.5(dt, J=16.2Hz, 6.6Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 2.14(s, 3H)。
【0099】
題記の化合物を単離しそして以下のようにHPLC/MSによって特性を把握した。
HPLC/MS状態
計量: Hewlett-Packad 1100シリーズ HPLC/MS
カラム: Armor C-18, 5μM, 150×4.6
移動相: 20mM K2HPO4, pH7.0, ACN, MeOH+勾配
流量: 1mL/分
検出: UV 210nm
【0100】
題記の化合物は上記の条件下で5.54分の保持時間およびMS中のM+1ピーク398を有した。
【0101】
実施例4
[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミン
のビスハイドロクロライド塩の製造(方式B)
25mLのRBフラスコに(6−ヨード−キナゾリン−4−イル)−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンハイドロクロライド(0.25g、0.5ミリモル、1当量)、ジ−第3級−ブチルアリルイミノ−ジカルボキシレート(0.257g、1ミリモル、2当量)、Pd2(dba)3(23mg)、Et3N(0.505mg、5ミリモル、10当量)および2−プロパノール9mLを装入した。得られる均一な混合物をN2下80℃で4時間加熱し、室温まで冷却しそして濾過した。有機溶媒を真空下で除去して粗製の暗褐色の残留物を得た。次にこの物質をTHF5mL中に溶解した。水浴によって冷却したTHF溶液に濃HCl2mlをゆっくり添加した。得られる混合物を室温で4時間撹拌した(題記の化合物が約15分後にゆっくり沈殿した)。明黄色の塩としての題記の化合物を濾過しそして多量の水で洗浄しそして真空乾燥
した。
【0102】
収率、純度および分析データは上記の方式A(実施例3)によって得られるものに匹敵する。
【0103】
実施例5
[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンのビスハイドロクロライド塩の製造(方式C)
RBフラスコに(6−ヨード−キナゾリン−4−イル)−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンハイドロクロライド(50g、100ミリモル、1当量)、ジ−第3級−ブチルアリルイミノ−ジカルボキシレート(28g、109ミリモル、1.1当量)、5%Pd/C(2.1g、CP−87型、50%湿潤)、トリエチルアミン35ml、および2−ブタノール400mLを装入した。得られる均一な混合物をN2下で48時間還流加熱し、室温まで冷却しそしてセライト上で濾過した。濾液に濃HCl40.1ml(495ミリモル、5当量)をゆっくり添加した。得られる混合物を45℃で24時間撹拌した(題記の化合物が約15分後にゆっくり沈殿した)。明黄色の塩としての題記の化合物を濾過しそして多量のs−ブタノールで洗浄しそして真空乾燥した。得られる生成物の重量は50gであった(収率107%、水およびHClの含有量は大きい)。
1H NMR(300MHz, D2O): δ8.53(s, 1H), 8.35(d, J=1.8Hz, 1H), 8.22(d, J=2.4Hz, 1H), 8.12(dd, J=9Hz, 1.5Hz, 1H), 7.99(dd, J=9Hz, 2.7Hz, 1H), 7.69-7.74(m, 2H), 7.48(d, J=2.7Hz, 1H), 7.38(dd, J=8.7Hz, 2.4Hz, 1H), 7.16(d, J=8.7Hz, 1H), 6.9(d, J=16.2Hz, 1H), 6.5(dt, J=16.2Hz, 6.6Hz, 1H), 2.61(s, 3H), 2.14(s, 3H)。
【0104】
題記の化合物を単離しそして以下のようにHPLC/MSによって特性を把握した。
HPLC/MS状態
計量: Hewlett-Packad 1100シリーズ HPLC/MS
カラム: Armor C-18, 5μM, 150×4.6
移動相: 20mM K2HPO4, pH7.0, ACN, MeOH+勾配
流量: 1mL/分
検出: UV 210nm
【0105】
題記の化合物は上記の条件下で5.54分の保持時間およびMS中のM+1ピーク398を有した。
【0106】
実施例6
2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミドの製造
【化25】

[6−(3−アミノ−プロペニル)−キナゾリン−4−イル]−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−アミンビスハイドロクロライド
(1.0g、2.12ミリモル)の2−メチルテトラヒドロフラン10.0ml中の撹拌された溶液に水酸化ナトリウムの1N溶液10.0mlを添加した。その後、メトキシアセチルクロライド(0.254g、2.34ミリモル)を添加した。1時間後、HPLCによると反応が完結したようにみえた。反応物をプロセス水によって洗浄した。2−メチルテトラヒドロフランをエチルアセテートで置き換えた。灰色を帯びた白い固形物を濾過除去して、収率90〜94%を得た。
1H NMR(300NHz, D2O): δ8.46(s, 1H), 8.34(s, 1H), 8.11(s, 1H), 7.97(d, J=7.2Hz,
1H), 7.70(d, J=9.2Hz, 1H)m, 7.68(s, 1H), 7.60(d, J=6.4Hz, 1H), 7.27(dd, 2H), 6.98(d, J=8.0Hz, 1H), 6.73(d, J=16Hz, 1H), 6.49(dt, J=16Hz, 1H), 4.09(d, J=4.8Hz, 2H), 3.95(s, 2H), 3.45(s, 3H), 2.49(s, 3H), 2.25(s, 3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

[式中、
kは1〜3の整数であり、
mは0〜3の整数であり、
pは0〜4の整数であり、
1、R2、R4、およびR5はそれぞれ独立にHおよびC1−C6アルキルから選択され;
3は、−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)であり、この複素環基は場合によってはベンゼン環またはC5−C8シクロアルキル基に縮合され、このR3基の−(CR12t−部分は、tが2〜5の整数である時、炭素−炭素二重結合または三重結合を場合によっては含み、またこのR3基は、上記した場合によって縮合された環のいずれかを含めて1〜5個のR10基によって場合によっては置換されており;
各R6は、ハロ、ヒドロキシ、−NR12、C1−C6アルキル、トリフルオロメチル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NR7C(O)R1、−C(O)NR79、−SO2NR79、−NR7C(O)NR91、および−NR7C(O)OR9から独立に選択され;
各R7、R8およびR9はH、C1−C6アルキル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、複素環基の1または2個の環炭素原子はオキソ(=O)部分によって場合によっては置換されており、該R7、R8およびR9基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ヒドロキシ、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されているか;
または各R7およびR9、もしくはR8およびR9は、窒素原子に結合しているとき、一緒になって4〜10員環の複素環を構成し、この複素環は、該R7、R8、およびR9基が結合している窒素に加えて、N、N(R1)、OおよびSから選択される1〜3個の追加的な複素部分を含んでよいが、ただし2つのO原子、2つのS原子または1つのO原子と1つのS原子は互いに直接結合しないとし;
各R10は、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12
qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環の複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、該R10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)基によって置換されており、また該R10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R11は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環の複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、該R10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)部分によって置換されており、また該R10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R13およびR14は、H、C1−C6アルキル、および−CH2OHから独立に選択され;
19およびR20は、−(CR1516lOR17およびOR18からなる群から独立に選択され、ここで各R15およびR16は、H、C1−C6アルキル、および−CH2OHから独立に選択され、lは1〜3の整数であり、R17はC1−C6アルキルであり、R18は独立にC1−C6アルキルであるが、ただしR19およびR20が同時に−(CR1516lOR17であることはなく;
ここで、NまたはO原子またはS(O)j(ここでjは0〜2の整数であるものとする)に結合していない各炭素は、R12によって場合によっては置換されており、ここでR12はR7、−OR7、−OC(O)R7、−OC(O)NR79、−OCO27、−S(O)j7、−S(O)jNR79(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−NR79、−NR7C(O)R9、−NR7SO29、−NR7C(O)NR89、−NR7SO2NR8
9、−NR7CO29、CN、−C(O)R7、またはハロであり、;そしてCH3(メチル)、CH2(メチレン)、またはCH(メチン)基を含み、ハロゲン、SOもしくはSO2基に、またはN、OもしくはS原子に結合していない上記に述べた任意の置換基は、ヒドロキシ、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシおよび−NR12からなる群から選択される基によって場合によっては置換されている]
の化合物、その許容しうる塩、および溶媒和物を製造する方法であって、
式2:
【化2】

(式中、Xはハロゲンであり、また、R1、R3、R6、R11、mおよびpは式1について規定したとおりである)の化合物を、
式3:
【化3】

(式中、R4、R5、R13、R14、R19、R20、およびkは式1について規定したとおりである)の化合物と触媒、塩基、および場合によって配位子の存在下で反応させることからなる上記の製造方法。
【請求項2】
式1:
【化4】

[式中、
mは0〜3の整数であり、
pは0〜4の整数であり、
各R1、R2、R4、およびR5は独立にHおよびC1−C6アルキルから選択され;
3は−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)であり、この複素環基は場合によってはベンゼン環またはC5−C8シクロアルキル基に縮合され、このR3基の−(CR12t部分は、tが2〜5の整数である時、炭素−炭素二重結合または三重結合を場合によっては含み、また、このR3基は、上記した場合によって縮合された環のいずれかを含めて1〜5個のR10基によって場合によっては置換されており;
各kおよびlは独立に1〜3の整数であり;
各R6は、ハロ、ヒドロキシ、−NR12、C1−C6アルキル、トリフルオロメチル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメトキシ、−NR7C(O)R1、−C(O)NR79、−SO2NR79、−NR7C(O)NR91、および−NR7C(O)OR9から独立に選択され;
各R7、R8およびR9はH、C1−C6アルキル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、複素環基の1または2個の環炭素原子はオキソ(=O)部分によって場合により置換されており、該R7、R8およびR9基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ヒドロキシ、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で場合によっては置換されているか;
またはR7およびR9、もしくはR8およびR9は、窒素原子に結合しているとき、一緒になって4〜10員環の複素環を構成し、この複素環は、該R7、R8、およびR9基が結合している窒素に加えて、N、N(R1)、OおよびSから選択される1〜3個の追加的な複素部分を含んでよいが、ただし2つのO原子、2つのS原子または1つのO原子と1つのS原子は互いに直接結合しないものとし;
各R10は、オキソ(=O)、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjが0〜2の整数であるものとする)、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環の複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、該R10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)部分によって置換されており、また、該R10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでtは0〜5の整数であるものとする)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R11は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アジド、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C10アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−NR7SO2NR91、−NR7C(O)NR19、−NR7C(O)OR9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、−SO2NR79、−S(O)j(C1−C6アルキル)(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12t(4〜10員環の複素環)、−(CR12qC(O)(CR12t(C6−C10アリール)、−(CR12qC(O)(CR12t(4〜10員環
の複素環)、−(CR12tO(CR12q(C6−C10アリール)、−(CR12tO(CR12q(4〜10員環複素環)、−(CR12qS(O)j(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12qS(O)j(CR12t(4〜10員環の複素環)(ここでjは0〜2の整数であり、qおよびtはそれぞれ独立に0〜5の整数であるものとする)から独立に選択され、該R10基の複素環部分の1または2個の環炭素原子は場合によってはオキソ(=O)部分によって置換されており、また該R10基のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR7、−C(O)R7、−C(O)OR7、−OC(O)R7、−NR7C(O)R9、−C(O)NR79、−NR79、−NR7OR9、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、tが0〜5の整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており;
各R13、R14、R15およびR16は、H、C1−C6アルキル、および−CH2OHから独立に選択され;
17はC1−C6アルキルであり;
ここで、NまたはO原子に結合していない炭素、またはS(O)j(ここでjは0〜2の整数であるものとする)に結合していない各炭素は、場合によってR12で置換されており、ここでR12はR7、−OR7、−OC(O)R7、−OC(O)NR79、−OCO27、−S(O)j7、−S(O)jNR79(ここでjは0〜2の整数であるものとする)、−NR79、−NR7C(O)R9、−NR7SO29、−NR7C(O)NR89、−NR7SO2NR89、−NR7CO29、CN、−C(O)R7、またはハロであり、;そしてCH3(メチル)、CH2(メチレン)、またはCH(メチン)基を含み、ハロゲン、SOもしくはSO2基に、またはN、OもしくはS原子に結合していない上記に述べた任意の置換基は、ヒドロキシ、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシおよび−NR12からなる群から選択される基によって場合によっては置換されている]の化合物、その許容しうる塩、溶媒和物およびプロドラッグを製造する方法であって、
式7:
【化5】

(式中、AはClまたはFでありまたR4、R5、R6、R13、R14、R19、R20、kおよびmは式1について規定したとおりである)の化合物を、
式8:
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R11およびpは式1について規定したとおりである)の化合物と反応させることからなる上記の製造方法。
【請求項3】
3
【化7】

(式中、R3基は場合によって1〜3個のR10基で置換されている)
から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
触媒が、炭素上のパラジウム(Pd/C)、Pd(OAc)2、Pd2(dba)3、PdCl2、Pd(MeCN)2Cl2、Pd(PhCN)2Cl2、PdCl2(PPh32、Pd(PPh34、BnPdCl(PPh32、Pd(Otfa)2、Pd(PPh32(Otfa)2、PdCl2(dppf)、Pd(acac)2、Pd2(dba)3−CHCl3、Ni(PPh34、Pd(dppb)、トランス−ジ(μ−アセタト)−ビス[o−(ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)、ビス(1,3−ジヒドロ−1,3−ジメチル−2H−イミダゾール−2−イリデン)ジヨード−パラジウム、およびジヨード[メチレンビス[3−(2−メチル)−1H−イミダゾール−1−イル−2(3H)−イリデン]]−パラジウムからなる群から選択されるパラジウムまたはニッケル触媒である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
配位子が、ポリマーに結合したホスフィン、BINAP、dppf、2−メチル−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、およびP(R223からなる群から選択され、ここで各々のR22は2−メチル−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジメチルアミノ−2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、フェニル、o−トルイル、OMe、およびフリルからなる群から独立に選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
塩基が、(R)3N、(R)2NH、RNH2、QX、Q2CO、Q3PO4、QO2CRか
らなる群から選択され、ここでQは(R)4N、Na、K、Cs、Cu、Cd、およびCaからなる群から選択され、また各々のRはH、C1−C6アルキル、tが0〜5の整数であるとした−(CR12t(C6−C10アリール)、および−(CR12t(4〜10員環の複素環)から独立に選択され、複素環基の1環または2環の炭素原子はオキソ(=O)部分によって場合によっては置換されており、該R基のアルキル、アリールおよび複素環部分は、ハロ、シアノ、ニトロ、−NR12、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、およびC1−C6アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基によって場合によっては置換されており、またR1およびR2はHおよびC1−C6アルキル基から独立に選択される請求項1に記
載の方法。
【請求項7】
反応が、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、CH2Cl2、CHCl3、ClCH2CH2Cl、N(C1−C6アルキル)3、N(ベンジル)3、HO(C1−C6アルキル)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンおよびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式2:
【化8】

の化合物が、式2A:
【化9】

(式中、Yはハロゲン化物であり、またX、R6およびmは式1に関して規定したとおりである)の化合物を、式E:
【化10】

(式中、R1、R3、R11、およびpは式1に関して規定したとおりである)の化合物と反応させることによって製造される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
1つまたはそれ以上の段階で式1の化合物を転化して式5:
【化11】

(式中、R1、R3、R4、R5、R6、R11、R13、R14、R15、R16、R17、k、l、m、およびpは式1に関して規定したとおりである)の化合物を生成することをさらに包含する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式5の化合物が、
E−2−メトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−2−メトキシ−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−クロロ−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−2−エトキシ−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−アセトアミド;
E−N−(3−{4−[3−メチル−4−(6−メチル−ピリジン−3−イルオキシ)−フェニルアミノ]−キナゾリン−6−イル}−アリル)−メタンスルホンアミド;
およびその医薬品として許容できる塩、プロドラグもしくは溶媒和物からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式1の化合物の式5への転化が、
(a)式1の化合物を酸と反応させて式4:
【化12】

の化合物またはその塩を生成し、そして
(b)式4の化合物またはその塩をClC(O)(CR1516lOR17またはその反応上の同等物と塩基の存在下で反応させて式5の化合物を生成させる
段階を包含する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
段階(b)において、ClC(O)(CR1516lOR17の反応上の同等物が式:
【化13】

によって表される酸イミダゾールまたは[R17O(CR1516lC(O)]2Oによって表される酸無水物である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階(b)において塩基が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水性の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩、燐酸塩または水素燐酸塩、第3級アミンおよびDABCOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
式3a:
【化14】

(式中、R4およびR5は水素およびC1−C6アルキルから独立に選択され;各々のR13、R14、R15およびR16は水素、C1−C6アルキルおよびCH2OHから独立に選択され、またR17およびR18はC1−C6アルキルであり、またkおよびlは独立に1〜3である)によって表される化合物を製造する方法であって、
(a)R13、R14およびkは式3aに規定したとおりである式H2N−(CR1314kCR4=CHR5によって表されるアミンを、Xがハロゲン化物であるR17O(CR1615lC(O)Xによって表される化合物、またはその反応上の同等物と反応させて式6:
【化15】

によって表される化合物を生成し、そして
(b)式6によって表される化合物を式(R18OC(O))2Oの化合物またはその反応上の同等物と場合によって塩基性触媒の存在下で反応させて式3aによって表される化合物を生成する
段階を包含する製造方法。
【請求項15】
式3a:
【化16】

(式中、R4およびR5は水素およびC1−C6アルキルから独立に選択され;各々のR13、R14、R15およびR16は水素、C1−C6アルキルおよびCH2OHから独立に選択され、またR17およびR18は独立にC1−C6アルキルであり、またkおよびlは独立に1〜3である)によって表される化合物。

【公表番号】特表2006−525305(P2006−525305A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506453(P2006−506453)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001069
【国際公開番号】WO2004/089934
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】