説明

N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(LK−423)を含む胃耐性の医薬品投薬形態物

本発明は、ヒトまたは動物の胃腸管の選択された領域への活性物質の制御された送達および/または標的化された送達を可能にする医薬品投薬形態物に関連する。本発明の医薬品投薬形態物は、好ましくは、活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(これはLK423と呼ばれる)を含む。本発明の医薬品投薬形態物を使用することによるヒトおよび/または動物の胃腸管の慢性的炎症性疾患の処置方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の胃腸管の選択された領域への活性物質の制御された送達および/または標的化された送達のために使用することができる医薬品投薬形態物に関連する。本発明の医薬品投薬形態物は主に、活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(これはLK423と呼ばれる)を参照することによって記載される。だが、本発明の医薬品投薬形態物は他の活性物質について適用することができる。
【0002】
本発明のさらなる側面は、前記医薬品投薬形態物を得るための方法およびプロセス、ならびに、本発明の医薬品投薬形態物を使用することによるヒトおよび/または動物の慢性的炎症性疾患の処置方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(これはLK423と呼ばれる)が欧州特許第477912号(米国特許第5,514,654号)に記載された。サイトカイン産生の調節、抗炎症性サイトカイン産生の阻害、およびサイトカイン産生の刺激(特に、IL−10の刺激)に対するその作用が国際特許出願公開WO0135982に記載され、また、科学文献に記載されている(Ochi C.ら、Arzneimittel−Forschung(1999)、49(1):72から79;Moriguchi M.ら、Arzneimittel−Forschung(1999)、49(2):184から192)。様々な炎症性疾患の処置におけるLK423の作用、特に、潰瘍性大腸炎および/またはクローン病を処置するための作用が国際特許出願公開WO0135982に記載された。活性物質LK423の経口投与および非経口投与のための医薬組成物を調製することができることが国際特許出願公開WO0135982では述べられた。しかしながら、LK423を含む医薬品投薬形態物の詳細な記載はこの特許またはこれらの科学文献のいずれにも提供されていない。
【0004】
活性物質が放出される胃腸管の選択された領域(例えば、結腸)に活性物質を効果的に送達する医薬品投薬形態物の使用が、胃腸管の上部区域で容易に分解する活性物質(タンパク質およびペプチドの活性物質)による局所的疾患(すなわち、潰瘍性大腸炎およびクローン病)の処置については、また、胃腸管の上部区域で容易に分解する活性物質(タンパク質およびペプチドの活性物質)による全身的処置については、最も合理的である。胃腸管の遠位区域への到達はかなり複雑および困難であるので、活性物質をこのような区域に送達するための投薬形態物は複雑である。
【0005】
結腸への到達が困難であるにもかかわらず、結腸特異的な薬物送達におけるいくつかの可能な方法が開発されている(Rubinstein A.、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst、12(2&3)(1995)、101から149)。Friend D.R.、Adv Drug Deliv Rev、7(1991)、149から199では、結腸標的化のための医薬品投薬形態物を設計する際の2つの目標が、
・胃および小腸を経由して結腸への変化していない活性物質の送達;
・満足できる予測性および再現性を伴う結腸における活性物質の特異的な放出
である。
【0006】
これらの目標は、ヒトおよび動物の胃腸管の他の遠位部分への薬物の送達のために適用することができる。
【0007】
胃腸管内への薬物の制御された送達および/または選択的な送達および/または標的化された送達のための種々の方法が、特許文献に、例えば、欧州特許第527942号(国際特許出願公開WO9116881、米国特許第5525634号および米国特許第586661号);国際特許出願公開WO9200732;欧州特許第366621(米国特許第5171580号および国際特許出願公開WO9004386);欧州特許第553392号;欧州特許第636366号(米国特許第5286493および米国特許第5580578);欧州特許第463877号;欧州特許第453001号;国際特許出願公開WO9116042;米国特許第5840332号;ドイツ国特許第1219026号;国際特許出願公開WO8300435;欧州特許第40590号;欧州特許第225189号;米国特許出願公開第2002/0051818号(米国特許出願公開第2001/0005716号、米国特許出願公開第2001/0024660号);欧州特許第810857号(米国特許第6228396号;国際特許出願公開WO9535100)および米国特許第5350741号に記載され、また、下記の科学文献に記載されている:Gruber Pら、Ad Drug Del Rev(1987)、1:1から18;Rao SおよびRitschel WA、S.T.P.Pharma Sci、1995:5:19から29;Evans DFら、Gut(1988)、29:1035から1041;Lee VHLら、Peptide and protein drug derlivery(Lee VHL編、Marcel Dekker、New York)(1990)、712から720;Rubinstein A.、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst、12(2&3)、(1995)101から149;Wilding IRら、Pharmac Ther(1994)、62:97−124;Peeters RおよびKinget R、Int J Pharm(1993)、94:125から134;Evans DFら、Gut(1988)、29:1035から1041;Ashford Mら、Int J Pharm(1993)、91:241から245;Ashford Mら、Int J Pharm(1993)、95:193から199;Follonier NおよびDoelker E、S.T.P.Pharma Sci(1992)、2:141から158;Hwang SJら、Crit Rev Ther Drug Carrier Syst(1998)、15:243から284;Coupe AJら、Pharm Res(1991)、8:360から364;Mooter van den GおよびKinget R、Drug Del(1995)、2:81から93;Wilding IRら、Pharmac Ther(1994)、62:97から124;Wilding IRら、Int J Pharm(1994)、111:99から102;Fukui Eら、Int J Pharm(2000)、204:7から15;Gazzaniga Aら、Pharma Sci、5(1)(1995)、83から88;Ishibashi T.ら、Int J Pharm、168(1998)、31から40;Isbibashi T.ら、J Control Release、57(1999)、45から53;Kraeling M.E.K.およびRitschel W.A.、Methods Find Exp Clin Pharmacol、14(3)(1992)、199から209;Ashford M.ら、J Controlled Release(1993)、26:213から220;Ashford M.ら、J Controlled Release(1994)、30:225から232;Rubinstein Aら、Pharm Res(1993)、10:258から263;Sriamornsak,P.、Int.J.Pharm.(1998)、169:213から220;Sriamornsak,P.およびNunthanid、J.Int.J.Pharm.(1998)、160:207から212;Sriamornsak,P.、Puttipipatkhachorn,S.、Prakongpan,S.、Int.J.Pharm.(1997)、156:189から194;Sriamornsak,P.ら、J.Controlled Release(1997)、47:221から232;Sriamornsak,P.、Int.J.Pharm.(1998)、169:213から220;Wakerly,Z.ら、Pharm.Res.(1996)、13:1210から1212;Macleod,G.S.ら、J.Controlled Release(1999)、58:303から310;Macleod,G.S.ら、Int.J.Pharm.(1999)、187:251から257;Munjeri,O.ら、J.Controlled Release(1997)、46:273から278。
【0008】
胃腸管の遠位部分(例えば、結腸)への送達に特異的な薬物送達システムを開発するために、pH値(pH制御されたシステムの開発をもたらす)、胃腸通過時間(時間制御されたシステムの開発をもたらす)、および、結腸において特異的に分解可能なポリマー(例えば、分解性多糖)のようなパラメーターは重要である。
【0009】
胃腸管の選択された区域への活性物質の特異的な送達によって、罹患区域における高濃度の活性物質、およびより少ない副作用をもたらす低い全身的負荷量を達成することが可能である。活性物質の全身的送達との比較では、特異的な送達は、活性物質のより小さい分解、より大きな程度の吸収、より良好な吸収プロフィル、およびより少ない局所的副作用を可能にする。
【0010】
炎症性腸疾患の処置の分野では、活性物質の疾患領域への制御され、標的化され、および効果的な投与および/または送達を可能にし、また、簡便であり、および適用のために医療従事者の助けを必要とせず、同時に、経済的で、効果的で、最小限の副作用により安全であり、およびヒトまたは動物にやさしい医薬品投薬形態物が絶えず求められている。
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、ヒトおよび動物の胃腸管(好ましくは、胃腸管の選択された領域)への活性物質の制御された送達および/または標的化された送達のために使用することができる新規な医薬品投薬形態物である。本発明の医薬品投薬形態物は、胃腸管の選択された領域(特に、ヒトまたは動物の胃腸管の遠位部分)への所定濃度での活性物質の制御された放出を可能にする。本発明の医薬品投薬形態物は活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(これはLK423と呼ばれる)のために開発されているが、本発明の概念および本発明の医薬品投薬形態物は、胃腸管の選択された領域への制御された送達および/または標的化された送達を必要とする他の活性物質について適用することができる。
【0012】
本発明の医薬品投薬形態物は、ヒトおよび動物における慢性的炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患など)の処置のために使用することができる。
【0013】
本発明は、請求項1、請求項21および請求項22に記載される、活性物質を含む新規な医薬品投薬形態物を提供する。好ましい実施態様がそれらの従属請求項に示される。本発明はまた、請求項32に記載される方法、および請求項33から35に記載される使用を提供する。
【0014】
活性物質を含む本発明の医薬品投薬形態物が、胃腸管の選択された領域(特に、ヒトおよび動物の胃腸管の遠位部分、すなわち、回腸、盲腸および結腸)への活性物質の制御された送達および/または標的化された送達のために使用できることが見出された。
【0015】
好ましくは、本発明の医薬品投薬形態物は活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸(LK423)を含む。
【0016】
本発明の医薬品投薬形態物は、コアと、内側コートと、場合により、外側コートとを含む。
【0017】
本明細書中で使用される用語「コア」は、活性物質自体を含有するか、または、多糖マトリックスに組み込まれた活性物質を含有する医薬品投薬形態物の中心部を示す。前記コアは、ミクロスフェア、ミクロ粒子、ペレット、顆粒、または、他の類似する形態および/または同様な形態からなる群より選択される球状粒子の形態であり得る。
【0018】
本明細書中で使用される用語「コート」は、コアを取り囲む層を示す。
【0019】
コアは本発明の医薬品投薬形態物の内部に存在する。医薬品投薬形態物は複数のコートを有することができ、その結果、コアが、1つの内側コートと、場合により、1つの外側コートとにより取り囲まれて内部に存在する。
【0020】
本明細書中で使用される用語「内側コート」は、コアに対して直接に適用されるコートであり、遅延コート、遅延型コート、遅延ポリマーに由来するコート、および持続放出用コートの用語と交換可能である。
【0021】
本明細書中で使用される用語「サブコート」は、コアを内側コートから分離し、および/または、内側コートを外側コートから分離するために、内側コートの下側または外側コートの下側に加えられる層を示す。サブコートは、不適合性が、コアの成分と内側コートの成分との間、および/または、内側コートの成分と外側コートの成分との間で現れ得るときに使用することができる。
【0022】
本明細書中で使用される用語「外側コート」は、内側コートに適用されるコートを示し、胃耐性コート、腸溶性コート、耐酸性コート、胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するコートと交換可能である。
【0023】
本発明の医薬品投薬形態物において、コアは、活性物質と、多糖のマトリックスを形成する多糖とを含み、それにより、活性物質対多糖の比率が約4:1から約1:4(w/w)である。好ましくは、活性物質はLK423であり、LK423対多糖の比率は約1:1(w/w)である。多糖は、ペクチンまたはアルギナート(酸の形態または金属塩の形態のいずれかで)、ガラクトマンナン、共有結合架橋デキストラン、アミロース、キサンタン、カラギーナンおよびデンプン、または、前記多糖または同じ特異的分解性を有するそれらの塩の組合せからなる群より選択される。好ましくは、選択された多糖はペクチンであり、より好ましくは、カルシウム塩の形態(ペクチン酸カルシウム)である。
【0024】
好ましくは、コアは、ペクチン酸カルシウムのマトリックスを形成するペクチン酸カルシウムにおける活性物質LK423の固体分散物である。ペクチン酸カルシウムマトリックスは胃腸管の遠位部分における細菌叢によって特異的に分解され得る。水性媒体と接触したとき、マトリックスは膨潤し、ヒドロゲルを形成し、活性物質がヒドロゲルを介して放出される。マトリックス中の活性物質は溶解し得るか、または懸濁され得るか、または、一部が溶解し、および一部が懸濁され得る。固体分散物は球状ビーズの形態である。
【0025】
さらに、コアは、好ましくは、流動促進剤をさらに含む。流動促進剤は、コアを調製するプロセスにおいて懸濁物の均質性を増大させることができる。流動促進剤が存在するとき、流動促進剤の割合はコアの重量に対して約15%から約60%(w/w)である。コアにおける流動促進剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはエアロシルからなる群より選択される。好ましくは、流動促進剤はステアリン酸マグネシウムまたはエアロシルである。
【0026】
本発明の医薬品投薬形態物のコアは直径が約100μmから約2800μmである。
【0027】
本発明の医薬品投薬形態物のコアは、コアからの活性物質の持続した放出を可能にする内側コートによって取り囲まれている。内側コートは、小腸の近位部分における活性物質の放出を防止し、および回腸、盲腸および結腸におけるその放出を可能にする。
【0028】
内側コートは、水に不溶性であり、水および水性溶液について部分的に透過性であるポリマーを含む。そのようなポリマーは、メタクリラートエステルコポリマー、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)の混合物、ならびに/または、これらの組合せからなる群より選択される。内側コートは2つ以上のポリマーの組合せを含むことができる。内側コートが2つのポリマーの組合せを含むとき、両者はpH依存的であり、および水性媒体において不溶性である。2つのポリマーの組合せは、メタクリラートエステルコポリマー(第四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのコポリマーの組合せ)(例えば、Eudragit RS、Eudragit RL)からなる群より選択される。好ましくは、内側コートは、アンモニウム基対残存中性エステルのモル比が第1のポリマーにおいて1:20であり、第2のポリマーにおいて1:40である、第四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルコポリマーおよびメタクリル酸エステルコポリマーであるメタクリル酸エステル誘導体およびアクリル酸エステル誘導体の組合せを含む。より好ましくは、第1のポリマーはUSP/NF(米国薬局方/国民医薬品集)によるアンモニオメタクリラートコポリマーA型(例えば、Eudragit(登録商標)RL)であり、第2のポリマーはUSP/NFによるアンモニオメタクリラートコポリマーB型(例えば、Eudragit(登録商標)RS)である。好ましくは、コポリマーは分散物の形態でコア上に適用され、より好ましくは、30%の水性分散物の形態でコア上に適用される。
【0029】
内側コートは、好ましくは、他の医薬適合性の賦形剤をさらに含む。好適な医薬適合性の賦形剤は、流動促進剤、可塑剤、消泡剤および顔料からなる群より選択される。内側コートの流動促進剤は、水和ケイ酸マグネシウム(タルク)、カオリンおよびグリセロールモノステアラートからなる群より選択される。好ましくは、内側コートの選択された流動促進剤はタルクである。
【0030】
内側コートの好適な可塑剤は、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、グリセリルトリアセタート、トリアセチン、ポリエチレングリコール6000およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートからなる群より選択される。好ましくは、内側コートの可塑剤はクエン酸トリエチルである。
【0031】
1つのコアと、1つの(内側)コートとを有する本発明の医薬品投薬形態物において、コアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約50%から約98%(w/w)であり、コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約2%から約50%(w/w)である。好ましくは、前記投薬形態物におけるコアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約70重量%から約97重量%であり、コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約2重量%から約30重量%である。
【0032】
本発明の医薬品投薬形態物において、外側コートが内側コートに適用される場合がある。外側コートは、pHが5よりも低い酸性環境で不溶性であり、胃の酸性媒体における活性物質の放出を防止する。外側コートは、好ましくは、5.5を超えるpH(すなわち、小腸液のpH)で可溶性であるポリマーを含む。
【0033】
外側コートは、メタクリル酸コポリマーの誘導体(例えば、Eudragit(登録商標)L、Eudragit(登録商標)L−55、Eudragit(登録商標)S、Eudragit(登録商標)FS)、HPMCP、ヒドロキシエチルセルロースフタラート(HECP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、ポリビニルアセチルフタラート(PAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMC AS)、または、これらの組合せからなる群より選択される耐酸性ポリマーのいずれかを含むことができる。好ましくは、外側コートは、メタクリル酸およびアクリル酸エチルに基づくアニオン性コポリマーを含む。USP/FNによれば、好適なポリマーは分散物の形態(より好ましくは、30%水性分散物の形態)でのメタクリル酸コポリマーC型(例えば、Eudragit(登録商標)L−55)である。
【0034】
本発明の外側コートは、好ましくは、流動促進剤、可塑剤、消泡剤および顔料からなる群より選択される他の医薬適合性の賦形剤をさらに含むことができる。好ましくは、流動促進剤および可塑剤が使用される。
【0035】
外側コートの流動促進剤は、タルク、カオリンおよびグリセロールモノステアラートからなる群より選択される。好ましくは、外側コートの流動促進剤はタルクである。
【0036】
外側コートの可塑剤は、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、グリセリルトリアセタート、トリアセチン、ポリエチレングリコール6000およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートからなる群より選択される。好ましくは、外側コートの可塑剤はクエン酸トリエチルである。
【0037】
コアと、内側コートと、外側コートとを有する本発明の医薬品投薬形態物において、コアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約30%から約90%(w/w)であり、内側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約2%から約50%(w/w)であり、外側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約6%から約50%(w/w)である。好ましくは、前記投薬形態物におけるコアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約55%から約90%(w/w)であり、内側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約2%から約30%(w/w)であり、外側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約6%から約32%(w/w)である。
【0038】
本発明の医薬品投薬形態物からの活性物質の放出の部位および速度論は、コアサイズ、活性物質の含有量、ならびに内側コートの厚さおよび組成、ならびに外側コートの厚さおよび組成によって調節することができる。これに関して、異なる直径のコアと、異なる厚さおよび組成の内側コートおよび外側コートとの組合せが可能である。内側コートおよび/または外側コートの厚さがより大きい場合、活性物質の放出が遅れる。
【0039】
本発明の最も好ましい側面において、胃腸管の遠位部分への活性物質の制御された送達および/または標的化された送達のために好適な医薬品投薬形態物は下記を含む:
・ステアリン酸マグネシウムを流動促進剤として含み、LK423が分散されているコア−ペクチン酸カルシウムマトリックス;および
・ポリマーEudragit RSおよびEudragit RL、流動促進剤としてのタルクおよび可塑剤としてのクエン酸トリエチルとを含む内側コート;および
・ポリマーEudragit L−55、流動促進剤としてのタルクおよび可塑剤としてのクエン酸トリエチルを含む外側コート。
【0040】
本発明の医薬品投薬形態物は、マイクロカプセル、被覆マイクロカプセル、被覆ミクロスフェア、被覆顆粒、被覆ペレット、錠剤またはカプセルなどの形態であり得る。好ましくは、本発明の医薬品投薬形態物は、その適用を可能にし、および正確な服用を確実にするために、不活性な錠剤マトリックスまたは不活性なカプセルに組み込まれ得るマイクロカプセルの形態である。不活性な錠剤マトリックスまたは不活性なカプセルは薬物放出に影響を及ぼしてはならない。
【0041】
本明細書中で使用される用語「マイクロカプセル」は、コアと、少なくとも1つのコートとを含む、サイズが1μmから3000μmの範囲にある球状粒子を示す。マイクロカプセルは種々の投薬形態物(例えば、懸濁物、カプセルまたは錠剤)に組み込まれ、マイクロカプセルはまた粉末剤として使用することができる。
【0042】
本明細書中で使用される用語「ミクロスフェア」は、活性物質と多糖(多糖マトリックスを形成する)とおよび1つまたは複数の賦形剤とを含む、サイズが1μmから3000μmの範囲にある球状粒子を示す。
【0043】
本発明のさらなる実施態様は、外側コートが加えられていない医薬品投薬形態物に関連する。好ましくは、そのような医薬品投薬形態物は、コアおよび内側コートを含むマイクロカプセルの形態である。外側コートを加える代わりに、複数のマイクロカプセルが、
・錠剤を形成する胃耐性の錠剤マトリックス、または
・錠剤を形成する胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するコートにより後で被覆される不活性な錠剤マトリックス、または
・胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するカプセル、または
・胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するコートにより後で被覆される不活性なカプセル
のいずれかに埋め込まれる。
【0044】
前記医薬品投薬形態物の胃耐性および/または耐酸性のポリマーは、5.5を超えるpH(腸液のpH)で可溶性であり、メタクリル酸コポリマーの誘導体(例えば、Eudragit(登録商標)L、Eudragit(登録商標)L−55、Eudragit(登録商標)S、Eudragit(登録商標)FS)、HPMCP、ヒドロキシエチルセルロースフタラート(HECP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、ポリビニルアセチルフタラート(PAP)、HPMC AS、または、これらの組合せからなる群より選択される耐酸性ポリマーのいずれかからなる群より選択される。
【0045】
他の物質を、薬物放出を改変するために、および/または、錠剤もしくはカプセルの調製を容易にするために添加することができる。例えば、HPMCPが胃耐性ポリマーとして使用されるとき、PVAcおよびPVPの混合物(例えば、Kollidon(登録商標)SR)を、薬物放出を改変するために添加することができる。
【0046】
最も好ましくは、本発明のこの実施態様の医薬品投薬形態物は、好ましくは、PVAcおよびPVPの混合物とHPMCPとの組合せである錠剤マトリックスに埋め込まれたマイクロカプセル(コアおよび内側コートを有する)を含む錠剤である。
【0047】
この実施態様の医薬品投薬形態物において、コアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約10%から約90%(w/w)である。内側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して重量比で約2%から約50%であり、錠剤マトリックスの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約6%から約90%である。好ましくは、前記投薬形態物におけるコアの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約10%から約80%(w/w)である。内側コートの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約2%から約30%(w/w)であり、錠剤マトリックスの割合は医薬品投薬形態物の総重量に対して約6%から約90%である。
【0048】
本発明の医薬品投薬形態物は、単回服用量または多分割服用量での、LK423の約10mgから約1000mgの量でヒトまたは動物に投与される。
【0049】
本発明の目的はさらに、活性物質(例えば、LK423)の制御された送達および/または標的化された送達のための医薬品投薬形態物を調製するための方法に関連する。
【0050】
本発明のマイクロカプセルは種々の方法によって調製することができる。コア調製のために、多糖のマトリックスを形成する多糖における活性物質の固体分散物をビーズの形態で調製することを可能にするいずれの方法も適しており、特に、多糖が不溶性の塩を形成する、イオンの溶液における多糖の液滴の急速固化に基づくイオノトロピックゲル化法が適している。好適な方法にはまた、噴霧乾燥、溶媒抽出および溶媒蒸発、ならびに流動床法がある。これらの方法のあるものは、さらなる賦形剤が必要となる場合がある。
【0051】
コアおよびマイクロカプセルの被覆を、流動床技術またはフィルムコーティングに好適な他のいずれかの技術を用いることによって行うことができる。代替法の1つにはまた、溶媒抽出法または溶媒蒸発法がある。
【0052】
本発明の目的はさらに、本発明の任意の医薬品投薬形態物の使用または投与を用いた、活性物質(例えば、LK423)の制御された放出および/または標的化された送達のための方法に関連する。さらに、本発明の目的は、胃腸管のすべての遠位部分への活性物質の制御された放出および/または標的化された送達のための方法に関連する。
【0053】
本発明の目的はさらに、本発明の医薬品投薬形態物のいずれかを送達することによってヒトまたは動物における慢性的炎症性疾患を処置するための方法に関連する。慢性的炎症性疾患は、ヒトまたは動物における炎症性腸疾患、主に大腸炎、非特異性潰瘍性大腸炎および/またはクローン病からなる群より選択される。
【0054】
慢性的炎症性疾患を処置するためのこの方法を使用することによって、活性物質が単回服用量または多分割服用量での1日あたり約10mgから約1000mgの量でヒトまたは動物に投与される。
【0055】
このような処置方法に加えて、本発明の目的はまた、ヒトまたは動物における慢性的炎症性疾患の処置のために前記発明の医薬品投薬形態物のいずれかを調製するための活性物質の使用である。慢性的炎症性疾患は、ヒトまたは動物における炎症性腸疾患、主に大腸炎、非特異性潰瘍性大腸炎および/またはクローン病からなる群より選択される。
【0056】
慢性的炎症性疾患を処置するために本発明の医薬品投薬形態物のいずれかを調製するために活性物質を使用することによって、活性物質が単回服用量または多分割服用量での1日あたり約10mgから約1000mgの量でヒトまたは動物に投与される。
【実施例1】
【0057】
LK423をラットの結腸に送達するためのマイクロカプセルの調製
コアの調製
コアを、多糖が不溶性の塩を形成するイオンの溶液における多糖の液滴の急速固化に基づくイオノトロピックゲル化法によって調製した。
【0058】
LMAペプチン溶液(GenuペクチンタイプLM−104 AS−Z、Hercules、オランダ)を調製するために、ペクチンを室温で少なくとも12時間にわたって脱塩水に溶解し続けた。LK423およびステアリン酸マグネシウムをこのペクチン溶液に懸濁し、得られた分散物を磁石撹拌装置で3時間撹拌した。次に、分散物を手作業でCaClの0.25M溶液への滴下によって注いだ。得られたコアをCaClにおいて30分間固化させ、ろ過し、脱塩水により洗浄し、室温および大気圧で24時間乾燥した。加えて、コアを被覆化プロセスの直前にWursterチャンバーで乾燥した。
【0059】
コアを調製するための分散物の組成を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
乾燥したコアをさらなる手順においてふるい分けし、粒子サイズが1250μmから1600μmの画分のみをマイクロカプセルの調製のために使用した。
【0062】
被覆化プロセス
被覆化プロセスを、Apparatus Niro−Aeromatic STREA−1において流動床技術によって行った。
【0063】
コア被覆化のための分散物の組成を表2に記載する。
【0064】
【表2】


【0065】
100gの分散物を調製するための個々の成分の重量が示される。
【0066】
内側の被覆化のために、下記の条件を使用した:
・入口の加熱空気流量:レベル5
・入口の空気温度:40℃
・噴霧圧:2bar
・被覆用懸濁物の流量:1.3g/分。
【0067】
内側コートにおけるポリマーは非被覆コアの重量の10%であった。内側コートにより被覆されたコアを40℃で24時間硬化させ、次いで、外側コートを下記の条件のもとで加えた:
・入口の加熱空気流量:レベル5
・入口の空気温度:40℃
・噴霧圧:1.5bar
・被覆用懸濁物の流量:1.9g/分。
【0068】
外側コートにおけるポリマーは非被覆コアの重量の30%であった。
【0069】
すべての試験を、外側コートを加えた後の少なくとも24時間で行った。その間、マイクロカプセルを室温でトレー上に広げて貯蔵した。
【0070】
少量のサンプルが利用可能であったので、被覆化プロセスを、1gから2gのコア、または、内側コートを有するコアと、色によって明瞭に識別可能であり、40gまで添加された適量の着色されたプラシボペレットとを用いて行った。このようにして調製されたマイクロカプセルはサイズが1600μmから2000μmであった。マイクロカプセルにおけるLK423の含有量は14.5%(w/w)であった。
【0071】
インビトロ放出試験
LK423のインビトロ放出試験を、米国薬局方XXVIに従って装置2において上記のマイクロカプセルを使用することによって、下記の順序での異なる媒体において12時間行った:pH3.3のHCl溶液において最初の3時間、pH7.1のリン酸塩塩緩衝液において3時間、pH7.6のリン酸塩緩衝液において1時間、およびpH7.1のリン酸塩緩衝液において5時間。これらの条件はラットの胃腸管における条件を模擬するはずである。LK423の放出プロフィルが図2に示される。LK423の放出プロフィルは、最初の7時間で、配合されている薬物の20%未満が放出され、次いで、少なくともさらなる50%の薬物がその次の4時間で放出されたことを示している。
【実施例2】
【0072】
LK423をヒトの結腸に送達するためのマイクロカプセルの調製
コアを実施例1に記載される方法に従って調製した:1000μmから1600μmのサイズのコアを選択し、次いで、被覆した。内側コート(表2)におけるポリマーは非被覆コアの重量の3%であった。外側コートにおけるポリマーは非被覆コアの重量の30%であった。被覆化条件が実施例1に記載される。
【0073】
マイクロカプセルはサイズが1250μmから2000μmであった。活性物質の含有量は10.8%(w/w)であった。
【0074】
インビトロ放出試験
インビトロ放出試験を、米国薬局方XXVIに従って装置2において上記のマイクロカプセルを使用することによって、pH1.2のHCl溶液において2時間、続いて、pH6.8のリン酸塩緩衝液における2時間の放出、この後、マイクロカプセルをpH7.5のリン酸塩緩衝液に1時間置き、最後に、pH6.0のリン酸塩緩衝液に4時間置くことによって行った。これらの条件はヒトの胃腸管における条件を模擬するはずである。LK423の放出プロフィルが図3に示される。LK423の放出プロフィルは、15%未満の薬物が試験の最初の3時間で放出され、少なくともさらなる60%がその次の4時間で放出されたことを示している。
【実施例3】
【0075】
LK423を送達するためのマイクロカプセルの調製
コアを実施例1に記載される方法に従って調製した。
【0076】
LMAペプチン溶液(GenuペクチンタイプLM−104 AS−Z、Hercules、オランダ)を調製するために、ペクチンを室温で少なくとも12時間にわたって脱塩水に溶解し続けた。LK423およびAerosil200(Degussa)をこのペクチン溶液に懸濁し、得られた分散物を磁石撹拌装置で1時間から2時間撹拌した。次いで、分散物を、CaClの氷冷された0.272M溶液に注入ポンプの助けにより滴下することによって注いだ。約2.4gの分散物の量について、100mLのCaClを使用した。得られたコアをCaClにおいて5分間固化させ、ろ過し、脱塩水により洗浄し、室温および大気圧で24時間乾燥した。加えて、コアを被覆化プロセスの直前にWursterチャンバーで乾燥した。使用された物質の量が表1に示される。
【0077】
【表3】

【0078】
乾燥したコアをさらなる手順においてふるい分けし、粒子サイズが1600μmから2000μmの画分のみをマイクロカプセルの調製のために使用した。
【0079】
被覆化条件が、内側コートにおけるポリマー(Eudragit RS:Eudragit RL)の比率が7:3であったことを除いて、実施例1に記載される。内側コートにおけるポリマーは非被覆コアの重量の15%であった。外側コートにおけるポリマーは非被覆コアの重量の30%であった。
【0080】
マイクロカプセルはサイズが1600μmから2000μmであった。活性物質の含有量は14.11%(w/w)であった。
【0081】
インビトロ放出試験
LK423のインビトロ放出試験を、米国薬局方XXVIに従って装置2において上記のマイクロカプセルを使用することによって、下記の順序での異なる媒体において行った:2g/LのNaClを含有するpH1.2のHCl溶液において最初の2時間、およびpH6.8のリン酸塩緩衝液において最後まで。LK423の放出プロフィルは、最初の5時間で、配合されている薬物の25%未満が放出され、続いて、少なくともさらなる55%の薬物がその次の5時間で放出されたことを示している。
【実施例4】
【0082】
LK423をヒトの結腸に送達するための錠剤の調製
コアは、Eudragit(登録商標)RSポリマーにより被覆された、ペクチン酸カルシウム(これはペクチン酸カルシウムマトリックスを形成する)におけるLK423の固体分散物を含んだ。得られたマイクロカプセルを、HPMCPおよびKollidon(登録商標)SRの組合せである錠剤マトリックスに埋め込んだ。マイクロカプセルを前記2つのポリマーの組合せにより全体的に被覆した。
【0083】
コアの調製
コアをイオノトロピックゲル化法によって調製した。このプロセスを、ステアリン酸マグネシウムが使用されなかったことを除いて、実施例1に記載されるように行った。最初の分散物におけるペクチンLMA(GENUペクチンLMA、Hercules)対LK423の比率は1:3(w/w)であった。最初の分散物におけるペクチン1gあたりの水分量は25gから30gの間であった。
【0084】
被覆化プロセス
内側コートを、アセトン/流動パラフィンが6mL/80mLのおおよその比率である系における溶媒蒸発法によって加えた。0.5gのコアを、Eudragit(登録商標)RS(3.0g)が溶解され、ステアリン酸マグネシウム(0.2g)が懸濁されたアセトンに懸濁した。アセトンを40℃での撹拌の期間中に蒸発させ、得られたマイクロカプセルを室温および減圧下で一晩乾燥した。外側コートは加えられなかった。1250μmから1600μmの画分を錠剤化プロセスにおいて使用した。マイクロカプセルにおけるLK423の含有量は62%(w/w)であった。
【0085】
錠剤化プロセス
錠剤を錠剤成形機で圧縮成形した。マイクロカプセルをHPMCP(HP−55、Shin−Etsu)およびKollidon(登録商標)SR(BASF)の物理的混合物の層の上に置き、それらの上に再びHPMCPおよびKollidon(登録商標)SRの混合物の層を置いた。ポリマーの混合物もまた、マイクロカプセルの環境との直接的な接触を防止するために、錠剤の両側面に加えた。1錠について、150mg(2x75mg)のHPMCP、20mg(2x10mg)のKollidon(登録商標)SR、および32mgのマイクロカプセルが使用された。LK423の含有量は1錠あたり20mg(すなわち、9.9%(w/w))であった。
【0086】
インビトロ放出試験
LK423のインビトロ放出試験を、米国薬局方XXVIに従って装置2において上記の錠剤を使用することによって、下記の順序での異なる媒体において行った:2g/LのNaClを含有するpH1.2のHCl溶液において最初の2時間、pH6.8のリン酸塩緩衝液において3時間、およびペクチナーゼ(Pectinec Ultra SP−L、Novo Nordisk)が添加されたpH6.0のSorensenリン酸塩緩衝液において最後まで。これらの条件はヒトの胃腸管における条件を模擬するはずである。LK423の放出プロフィルが図4に示される。LK423の放出プロフィルは、最初の3時間で、配合されている薬物の15%未満が放出され、続いて、少なくともさらなる60%の薬物がその次の4時間で放出されたことを示している。
【実施例5】
【0087】
LK423を伴うマイクロカプセルのインビボでの抗潰瘍作用の実証
回腸、盲腸および結腸の潰瘍性変化を、2%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を含有する水を飲ませることによって5日で発症させた。
【0088】
DSSは、水溶液での経口投与後、動物において回腸、盲腸および結腸の粘膜における炎症性および潰瘍性の変化を誘導する化合物である。
【0089】
2つのコントロール群および2つの実験群(AおよびB)のラットを組織した。この場合、各群は同じ数のオスラットおよびメスラットを有した。動物を無作為に個々の群にふり分けた。5日目の午後7時から、動物は自由に餌を取ることができ、この後は、餌の摂取は午前12時から午後6時の間でのみ許され、その間、動物は餌を自由に取ることができなかった。
【0090】
実験6日目以降、動物は、1%DSSを含む水を飲み続けた。群Aの動物には、純化合物LK423が75mg/kgの用量で与えられた。純化合物LK423は1%ゼラチン(Gelatin GE0020、Scharlau)における懸濁物として調製され、1mlの体積でチューブを介して経口により与えられた。
【0091】
群Bでは、動物は、LK423を75mg/kgの用量で含む(実施例1で調製されるような)マイクロカプセルを受け取った。LK423を含むマイクロカプセルが1.5mlから2mlの1%ゼラチンに分散されてチューブを介して経口により与えられた。
【0092】
実験前において、ラットは体重が220gから250gであった。実験期間中、生存した動物は、群のいずれにおいても体重を著しく変化させていなかった。実験前ならびに6日目および12日目に、体重が記録された。血液学パラメーターの測定のために、1.5mlの血液サンプルを実験前および実験の5日目に眼窩周囲洞から採取し、12日目に腹大動脈から採取した。赤血球数ならびにヘモグロビン値およびヘマトクリット値を、the Institute for Health Protection of Ruminants(Factory of Veterinary Science)の臨床研究室で行った。実験1日目において、個々の群で、赤血球についての値が6.93から7.87x10xE12/lの範囲であり、ヘモグロビンについては139g/lから149.7g/lの範囲であり、ヘマトクリットについては41.81%から42.5%の範囲であった。実験期間中を通して、動物の生存、下痢、および便における血液の存在、または、出血の激しさもまた観察された。12日目に、動物は深いエーテル麻酔のもとで屠殺され、死後検査が行われた。回腸、盲腸および結腸における肉眼的変化、ならびに出血の激しさが観察された。
【0093】
死体解剖では腸の様々な部分を動物から採取し、10%ホルムアルデヒドにおいて固定した。パラフィン組織切片を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシンにより染色した。次に、病理組織学的診断を行った。
【0094】
DSS誘導の変化には、腸粘膜の凝固壊死が含まれていた。すべての群(両方のコントロール群、群Aおよび群B)(表3)において、組織損傷、および損傷に対する周囲組織の反応(再生のレベル)、ならびに粘膜における出血範囲、腺過形成を伴う粘膜の肥厚、および損傷表面の上皮化の程度の付随するパラメーターを評価した。判断基準は下記の通りであった:
急性出血の範囲、組織および40倍の倍率での視野の直径(4mm)に関して:
・出血なし−0
・粘膜固有層および粘膜下組織における小さい出血(直径が視野の1/2未満)−1
・粘膜固有層および粘膜下組織における中程度の出血(直径が視野の1/2)−2
・粘膜固有層および粘膜下組織における非常に広範囲の出血(直径が視野の1/2を超える)−3
・粘膜固有層および粘膜下組織での、筋層および漿膜における血管の周りでの、および支持組織での非常に広範囲の出血−4
復帰プロセス−組織の防御反応による損傷:
・細胞応答なし(反応なし)、または、復帰プロセスがもはや活発でなかった−0
・粘膜および粘膜下組織における核融解および核萎縮を伴う中程度の細胞浸潤(単球、顆粒球、マクロファージ、組織球)−1
・粘膜および粘膜下組織における核融解および核萎縮を伴う重度の広汎性の細胞浸潤(単球、顆粒球、マクロファージ、組織球)−2
・傷害部の周りの境界線における細胞浸潤(単球、顆粒球、マクロファージ、組織球)−3
復帰プロセス/組織の組織化:
・組織応答なし−0
・初期段階(フィブリン、食細胞、単球、細網間葉系細胞、内皮細胞を伴う組織浸潤)−1
・顆粒化組織(繊維芽細胞、組織球、リンパ球、単球)−2
・腺上皮の新しく形成された基底細胞、リンパ球、コラーゲン繊維を伴う成熟した顆粒化組織−3
・損傷が回復している−4
粘膜の肥厚ならびに腺および杯細胞の過形成:
・なし−0
・損傷部の周りで中程度−1
・再生的−2
・過度−3
損傷部の上皮化:
・なし−0
・初期−1
・再生的−2
・過度−3
【0095】
粘膜における損傷および回復のレベルならびに出血範囲の評価が表3にコントロール群について示されている。両方のコントロール群において、誘導された組織壊死には、炎症性の細胞浸潤が付随していた。生じたばかりの損傷では、細胞浸潤は散らばっていた;細胞自身において、核融解が認められた。時間を経た損傷では、細胞浸潤が、新たに形成された顆粒化組織から組織の損傷部分を区切る境界線に組織化されていた。粘膜の肥厚が損傷部の辺縁部で認められた;損傷の表面での上皮化はまだ開始されていなかった(図5)。コントロール群では、組織の壊死および損傷の限定化が最も現れていた。再生プロセスは認められなかった。
【0096】
群Aでは、DSSにより誘導された組織壊死には、細胞浸潤、顆粒化結合組織の成長、および同時に、同様に、顕著な再生プロセスが付随していた。損傷を限定するプロセスは依然として活発であった。粘膜の機能的な回復のプロセスが腺上皮および表面の上皮の過度な成長で現れていた。周囲の組織の強い過形成にもかかわらず、成熟した結合組織のみにより再生された部位が観測された(表3、図6)。再生プロセス/損傷レベル比はこの群では1.35:1であった。群Bでは、DSS誘導された組織壊死には、中程度の細胞浸潤が付随していた。処置後、損傷組織は、腸粘膜のすべての組織成分(表面の上皮および腺上皮、リンパろ胞、ならびに血管)を有する新たに形成された未成熟な結合組織によって置き換えられていた。再生プロセスが組織レベルで現れていた(表3、図7)。再生プロセス/損傷レベル比は3.22:1であった。
【0097】
便における血液の存在、出血を個々の腸セグメントに有する動物の割合、ならびに粘膜および粘膜下組織における出血のレベルもまた表3に示されている。ペースラインから実験終了までの血液学パラメーターにおける減少、および個々の群における死亡率が示される。
【0098】
【表4】

【0099】
表3および図5から図7から、LK423をマイクロカプセルに配合することにより、LK423の経口での治療的作用が本質的に改善されると結論することができる。改善が、腸の異なる部分における低下した出血によって、動物の生存がより大きいことにおいて、また、腸粘膜のより迅速およびより生理学的な再生において現れる。群B(LK423を伴うマイクロカプセル)でのより迅速な組織再生は、コントロール群または群A(純化合物LK423による)と比較して、血液学的パラメーターにおける小さい変化に寄与している。
【0100】
純化合物LK423、または、LK423を含むマイクロカプセルが与えられた動物では、両方のコントロール群での場合よりも迅速な、腸粘膜の損傷部の再生が観測された。純化合物LK423が与えられた動物では、再生がすべての組織セグメントにおいて一様に生じていなかった。炎症性プロセスが依然として活発であった粘膜固有層を覆っている腸の上皮層が迅速に回復した(再生された)。損傷組織を取り囲む腺上皮および損傷とは無関係な腺上皮は、本発明のLK423を含むマイクロカプセルが与えられた群(群B)で得られたレベルを超えた過形成の徴候を現した。純化合物LK423が与えられた群(群A)では、粘膜における、また、より深くは粘膜下組織におけるリンパろ胞の強い反応(過形成)が観測された。本発明のLK423を含むマイクロカプセルが与えられた動物では、粘膜損傷部の再生がより一様であり、協調しており、これにより、腸粘膜の生理学的な再生をもたらし、粘膜における炎症性プロセスが限定され、除かれていた。顆粒化組織の領域が腸の上皮層によって覆われることが損傷部の辺縁部から始まっていた。損傷部の辺縁部に沿った上皮の過形成は生理学的範囲の範囲内であった。本発明のマイクロカプセルが与えられた動物における腸粘膜の誘導された損傷部の再生は、純化合物LK423が与えられた群での場合よりも生理学的であり、粘膜のすべての組織成分を一様に、および過度な成長を有することなく伴っていた。
【0101】
これらの結果は、本発明のマイクロカプセル、すなわち、活性物質LK423が、2つのコートにより被覆されたペクチン酸カルシウムのコアに配合されるマイクロカプセルが、外側コートのために胃におけるLK423の放出を防止したことを示している。しかしながら、内側コートは、LK423の持続し、遅延し、および制御された放出を小腸に沿ってもたらし、小腸の遠位部分において、好ましくは、大腸においてLK423の放出を開始させた。大腸に進入したとき、大腸において、腸内細菌が多糖コアを分解するので、LK423の放出が促進され、次いで、LK423が迅速に放出された。
【0102】
本発明の制御放出型医薬品投薬形態物の構造は、好都合な速度論を伴って疾患部位への活性物質LK423の好適な濃度の送達をもたらした。これらの特徴は本発明の医薬品投薬形態物の最適な作用を提供していた。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明によるある医薬品投薬形態物の概略的構造を示す。
【図2】実施例1に従って、10%の1:1の比率のEudragit(登録商標)RS/Eudragit(登録商標)RL混合物および30%のEudragit(登録商標)L−55により被覆された、サイズが1600μmから2000μmであるマイクロカプセルからの活性物質の放出プロフィルを示す。
【図3】実施例2に従って、3%の1:1の比率のEudragit(登録商標)RS/Eudragit(登録商標)RL混合物および30%のEudragit(登録商標)L−55により被覆された、サイズが1250μmから2000μmであるマイクロカプセルからの活性物質の放出プロフィルを示す。
【図4】単層被覆マイクロカプセルからなり、実施例3に従ってヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)/Kollidon(登録商標)SR混合物とともに錠剤に圧縮形成された錠剤からの活性物質の放出プロフィルを示す。
【図5】LK423により処置されなかったDSS誘導の凝固壊死を有する腸粘膜を示す。表面の上皮および腺上皮が壊死領域において失われている。粘膜の粘膜固有層には炎症性細胞が浸潤している。大きな出血が、浮腫性が強い粘膜下組織において炎症性細胞により囲まれている。 器官:結腸。染色−HE(ヘマトキシリン−エオシン)。倍率:40x。
【図6】DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)誘導の、次いで純化合物LK423により直接に処置された、凝固壊死を伴う粘膜の壊死した粘膜固有層を示す。粘膜の粘膜固有層には、多くの繊維芽細胞を含む炎症性細胞が浸潤している(活発な炎症性プロセス)。粘膜の粘膜固有層の表面が、厚さが不揃いで、および基層から剥離している上皮により覆われる。粘膜固有層における腺上皮の更新が認められない。炎症性細胞および繊維芽細胞が粘膜筋板の下側において浮腫性の粘膜下組織に蓄積している。 器官:結腸。染色−HE(ヘマトキシリン−エオシン)。倍率:40x。
【図7】DSS誘導の、次いで本発明の医薬品投薬形態物の形態であるLK423を含むマイクロカプセルにより処置された、凝固壊死を伴う粘膜の壊死した粘膜固有層を示す。顆粒化組織が粘膜および粘膜下組織における壊死領域に存在する。粘膜内の顆粒化組織が損傷部の辺縁部からの表面上皮によって覆われている。正しく構造化された腺およびリンパろ胞が新たに形成されている。急性の出血および急性の炎症した浸潤が認められない。 器官:結腸。染色−HE(ヘマトキシリン−エオシン)。倍率:40x。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸を含む医薬品投薬形態物。
【請求項2】
ヒトおよび動物の胃腸管の遠位部分への前記活性物質の制御された送達および/または標的化された送達のために好適である、請求項1に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項3】
胃腸管の遠位部分が、回腸、盲腸および結腸である、請求項2に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項4】
投薬形態物が、単回服用量または多分割服用量での、請求項1に記載される活性物質の約10mgから約1000mgの量でヒトまたは動物に投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項5】
コアおよび内側コートを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項6】
コアが活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸および多糖を含む、請求項5に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項7】
多糖が、ペクチンまたはアルギナート(酸の形態または金属塩の形態のいずれかで)、ガラクトマンナン、共有結合架橋デキストラン、アミロース、キサンタン、カラギーナンおよびデンプン、または、前記多糖または同じ特異的分解性を有するそれらの塩の組合せからなる群より選択される、請求項6に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項8】
多糖が、ペプチンおよびペクチン酸カルシウムからなる群より選択される、請求項7に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項9】
コアが、ペクチン酸カルシウムのマトリックスを形成するペプチン酸カルシウムにおける前記活性物質の固体分散物である、請求項6に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項10】
コアがさらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびエアロシルからなる群より選択される流動促進剤を含む、請求項6に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項11】
内側コートが小腸の近位部分における前記活性物質の放出を防止する、請求項5に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項12】
内側コートが、メタクリラートエステルコポリマー、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの混合物、ならびに/または、その組合せからなる群より選択されるポリマーを含む、請求項11に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項13】
ポリマーの選択された組合せが、第四級アンモニウム基の含有量が低いアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのコポリマーの組合せである、請求項12に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項14】
5よりも低いpHでの酸性環境で不溶性であり、および、胃の酸性媒体における前記活性物質の放出を防止する外側コートをさら含む、請求項5に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項15】
外側コートが、メタクリル酸コポリマーの誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシエチルセルロースフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアセチルフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、または、これらの組合せからなる群より選択される耐酸性ポリマーを含む、請求項14に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項16】
耐酸性ポリマーが、メタクリル酸およびアクリル酸エチルに基づくアニオン性コポリマーである、請求項15に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項17】
コートがさらに、タルク、カオリンおよびグリセロールモノステアラートからなる群より選択される流動促進剤を含む、請求項12および15に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項18】
流動促進剤がタルクである、請求項17に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項19】
コートがさらに、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、グリセリルトリアセタート、トリアセチン、ポリエチレングリコール6000およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアートからなる群より選択される可塑剤を含む、請求項12および15に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項20】
可塑剤がクエン酸トリエチルである、請求項19に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項21】
下記を含む医薬品投薬形態物:
・ステアリン酸マグネシウムを含み、活性物質N−(2−(2−フタルイミドエトキシ)−アセチル)−L−アラニル−D−グルタミン酸が分散されているコア−ペクチン酸カルシウムマトリックス;および
・ポリマーEudragit RSおよびEudragit RLタルクおよびクエン酸トリエチルを含む内側コート;および
・ポリマーEudragit L−55タルクおよびクエン酸トリエチルを含む外側コート。
【請求項22】
下記を含む医薬品投薬形態物:
・ステアリン酸マグネシウムを含み、活性物質が分散されているコア−ペクチン酸カルシウムマトリックス;および
・ポリマーEudragit RSおよびEudragit RLタルクおよびクエン酸トリエチルとを含む内側コート;および
・ポリマーEudragit L−55タルクおよびクエン酸トリエチルを含む外側コート。
【請求項23】
活性物質が、ヒトまたは動物の胃腸管の遠位部分への制御された送達および/または標的化された送達を必要とするいずれかの活性物質からなる群より選択される、請求項22に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項24】
胃腸管の遠位部分が、回腸、盲腸および結腸である、請求項23に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項25】
マイクロカプセル、被覆マイクロカプセル、被覆ミクロスフェア、被覆顆粒、被覆ペレット、錠剤またはカプセルの形態であり得る、請求項1から24のいずれかに記載の医薬品投薬形態物。
【請求項26】
マイクロカプセルの形態である、請求項25に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項27】
マイクロカプセルがさらに、不活性な錠剤マトリックスまたは不活性なカプセルに組み込まれている、請求項26に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項28】
・錠剤を形成する胃耐性の錠剤マトリックス、または
・錠剤を形成する胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するコートにより後で被覆される不活性な錠剤マトリックス、または
・胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するカプセル、または
・胃耐性および/または耐酸性のポリマーに由来するコートにより後で被覆される不活性なカプセル
のいずれかに埋め込まれているマイクロカプセルの形態である、請求項5に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項29】
胃耐性の錠剤マトリックスに埋め込まれているマイクロカプセルを含む錠剤である、請求項28に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項30】
錠剤マトリックスが、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの混合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートとの組合せである、請求項29に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項31】
胃耐性および/または耐酸性のポリマーが、メタクリル酸コポリマーの誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシエチルセルロースフタラート、セルロースアセタートフタラート、ポリビニルアセチルフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、または、これらの組合せからなる群より選択される、請求項28に記載の医薬品投薬形態物。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか一項に記載の投薬形態物が調製される、医薬品投薬形態物を調製するための方法。
【請求項33】
ヒトまたは動物における慢性的炎症性疾患を処置するための医薬品を調製するための、請求項1から31のいずれか一項に記載の医薬品投薬形態物の使用。
【請求項34】
慢性的炎症性疾患が、大腸炎、非特異性潰瘍性大腸炎およびクローン病からなる群より選択される、請求項33に記載の医薬品投薬形態物の使用。
【請求項35】
ヒトまたは動物における慢性的炎症性疾患を処置するための、請求項1から31のいずれか一項に記載される医薬品投薬形態物の使用。
【請求項36】
慢性的炎症性疾患が、大腸炎、非特異性潰瘍性大腸炎およびクローン病からなる群より選択される、請求項35に記載の医薬品投薬形態物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−530492(P2007−530492A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504366(P2007−504366)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003175
【国際公開番号】WO2005/092295
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】