説明

N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの固体形態

本発明は、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの固体状態の形態、例えば、結晶形態、その薬学的組成物、およびそれを用いる方法に関する。1つの態様においては、化合物1は、実質的に結晶状の、純粋な遊離の形態の形態Aである。本明細書中に記載されるプロセスは、形態Aを含む本発明の組成物を調製するために使用できる。これらのプロセスで使用される成分の量と特徴は以下に記載されるとおりである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2008年10月23日に出願された、米国仮特許出願第61/107,813号(発明の名称「SOLID FORMS OF N−(4−(7−AZABICYCLO[2.2.1]HEPTAN−7−YL)−2−(TRIFLUOROMETHYL)PHENYL)−4−OXO−5−(TRIFLUOROMETHYL)−1,4−DIHYDROQUINOLINE−3−CARBOXAMIDE」)の利益を主張し、この仮特許出願の全内容は、本明細書において参照として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、嚢胞性線維症経膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)の調節因子である、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの固体状態の形態、例えば、結晶形態に関する。本発明はまた、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶形態を含有する薬学的組成物とそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ATPカセットトランスポーターは、多種多様な薬理学的因子、潜在的に毒性の薬物、および生体異物、ならびに陰イオンの輸送を制御する膜トランスポータータンパク質の1つのファミリーである。これらは、それらの特定の活性のために、細胞のアデノシン三リン酸(ATP)を結合し、これを使用する相同な膜タンパク質である。これらのトランスポーターのうちのいくつかは、多剤耐性タンパク質(MDR1−P糖タンパク質、もしくは多剤耐性タンパク質MRP1のようなもの)として発見され、化学療法剤から悪性ガン細胞を防御する。現在までのところ、48個のそのようなトランスポーターが同定されており、それらの配列同一性および機能に基づいて、7つのファミリーに分類されている。
【0004】
疾患と一般的に関係があるATPカセットトランスポーターファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATP媒介性陰イオンチャネル、CFTRである。CFTRは、様々な細胞型(吸収性および分泌性上皮細胞を含む)の中で発現される。ここでは、CFTRは、上記膜を横切る陰イオンの流れ、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を制御する。上皮細胞においては、CFTRの正常な機能は、呼吸組織および消化組織を含む全身の電解質輸送の維持に重要である。CFTRは、膜貫通ドメインの縦列反復から形成されるタンパク質をコードするおよそ1480個のアミノ酸から構成され、各々の膜貫通ドメインは、6つの膜貫通ヘリックスと1つのヌクレオチド結合ドメインを含む。2つの膜貫通ドメインは、大きな、極性の、制御性(R)ドメインによって、チャネル活性および細胞の輸送を制御する複数のリン酸化部位と連結される。
【0005】
CFTRをコードする遺伝子は同定され、配列決定されている(非特許文献1;非特許文献2)、非特許文献3を参照のこと)。この遺伝子の欠損は、嚢胞性線維症(「CF」)(ヒトにおける最も一般的な致死的遺伝的疾患)を生じるCFTR中の突然変異を引き起こす。米国では、2,500人の乳児のうちのおよそ1人が嚢胞性線維症を発症する。一般的な米国の集団内では、最大1000万人の人々が、明らかな病的影響を伴わずに上記欠損遺伝子を1コピー持つ。対照的に、上記CF関連遺伝子を2コピー持つ個体は、慢性肺疾患を含む、CFの衰弱および致死的影響に見舞われる。
【0006】
嚢胞性線維症の患者では、呼吸器上皮内で内因的に発現されるCFTRの突然変異が、イオンおよび流体の輸送において不均衡を引き起こす頂端(apical)の陰イオン分泌の減少をもたらす。陰イオン輸送において生じたこの減少は、肺における粘液蓄積の増大およびそれに付随する微生物感染の一因となり、これらはCF患者において最終的に死を招くことになる。呼吸器疾患に加えて、CF患者は、消化器の問題および膵不全を患うことが典型的であり、処置しないまま放置した場合は、死に至ることになる。さらに、嚢胞性線維症の男性の大多数は生殖能力がなく、嚢胞性線維症の女性は生殖能力が低下している。2コピーのCF関連遺伝子の深刻な影響とは対照的に、1コピーのCF関連遺伝子を持つ個体は、コレラおよび下痢による脱水症に対して高い耐性を示し、このことは、この集団における比較的高頻度のCF遺伝子を説明していると考えられる。
【0007】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析により、病因となる様々な突然変異が明らかにされた(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。今日までに、CF遺伝子について1000を超える病因となる突然変異が同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も優勢な突然変異は、CFTRアミノ酸配列の508位のフェニルアラニンの欠失であり、これは、一般的にはΔF508−CFTRと呼ばれている。この突然変異は、嚢胞性線維症の症例のおよそ70%に存在しており、これは重篤な疾患と関連がある。
【0008】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、形成されつつあるタンパク質の正確な折りたたみを妨げる。この結果、突然変異体タンパク質はERを出られなくなり、原形質膜へ輸送されなくなる。結果として、膜中に存在するチャネルの数は、野生型CFTRを発現する細胞中で観察される数よりはるかに少ない。損なわれた輸送機構に加えて、この突然変異はチャネルの開閉にも欠陥を生じる。まとめて考えると、膜中のチャネル数の減少と開閉の欠陥が、上皮を横断する陰イオンの輸送の減少を導き、これは、イオンおよび流体の輸送の欠陥を導く。(非特許文献8)。しかしながら、複数の研究により、野生型CFTRより少ないが、膜中のこの少ない数のΔF508−CFTRが機能的であることが示された(非特許文献9;Denningら、前出;非特許文献10)。ΔF508−CFTR、R117H−CFTR、およびG551D−CFTRに加えて、輸送、合成、および/またはチャネル開閉の欠陥を生じる、CFTR中の他の病因となる突然変異は、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされて、陰イオンの分泌を変化させ得、疾患の進行および/または重症度を変え得る。
【0009】
CFTRは陰イオンに加えて様々な分子を輸送するが、この役割(陰イオン、塩化物、および重炭酸塩の輸送)が、上皮を横断してイオンおよび水を輸送する重要な機構における1つの要素を表すことは明らかである。他の要素としては、上皮Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共トランスポーター、Na−K−ATPaseポンプ、および基底側膜Kチャネルが挙げられ、これらは細胞への塩化物の取り込みを担う。
【0010】
これらの要素が一緒に作用して、細胞内でのそれらの選択的発現および局在により上皮を横断する方向性をもつ輸送を達成する。塩化物の吸収は、頂端膜上に存在するENaCとCFTR、および細胞の基底膜側表面で発現されるNa−K−ATPaseポンプおよびClチャネルの協調活性により起こる。管腔側からの塩化物の二次的な能動輸送は細胞内塩化物の蓄積を導き、これが次いで、Clイオンチャネルを介して受動的に細胞から離れることにより、ベクトル輸送が生じ得る。基底膜側表面上のNa/2Cl/K共トランスポーター、Na−K−ATPaseポンプおよび基底膜Kチャネル、そして管腔側上のCFTRの配置が、管腔側でのCFTRを介した塩化物の分泌を調和する。水はそれ自体は決して能動的には輸送されないと思われるので、上皮を横切るその流れは、ナトリウムおよび塩化物の大きな流れにより生じた小さな経上皮浸透圧勾配に左右される。
【0011】
CFTR中の突然変異が原因である重炭酸塩の輸送の機能不全は、特定の分泌機能に障害を引き起こすと仮説が立てられている。例えば、非特許文献11を参照のこと。
【0012】
中等度のCFTR機能不全と関連があるCFTR中の突然変異はまた、CFと共通する特定の疾患の兆候を有する症状があるが、CFについての診断基準を満たさない患者においても明らかである。これらには、先天性両側精管欠損症、特発性慢性膵炎、慢性気管支炎、および慢性副鼻腔炎が含まれる。突然変異体CFTRが修飾因子遺伝子または環境因子と並んでリスクファクターであると考えられる他の疾患としては、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、および喘息が挙げられる。
【0013】
タバコの喫煙、低酸素症状態、および環境因子(低酸素シグナル伝達を誘導する)もまた、CFTR機能を低下させることが実証されており、慢性気管支炎のような特定の形態の呼吸器疾患の一因となり得る。CFTR機能障害が原因であり得るが、CFについての診断基準を満たさない疾患は、CFTR関連疾患として特性決定される。
【0014】
嚢胞性線維症に加えて、CFTR活性の調節は、CFTR中の突然変異により直接引き起こされるのではない他の疾患(例えば、分泌性疾患)およびCFTRにより媒介される他のタンパク質ミスフォールディング病(protein folding disease)に有効であり得る。CFTRは、多くの細胞の上皮を横断する塩化物および重炭酸塩の流れを制御して、流体の移動、タンパク質の可溶化、粘膜の粘性、および酵素活性をコントロールする。CFTRの機能不全は、気道、あるいは肝臓および膵臓を含む多くの臓器中の管の遮断を引き起こす可能性がある。増強剤(potentiator)は、細胞膜中に存在するCFTRの開閉活性を増強する化合物である。粘膜の肥厚、流体の調節の障害、粘膜クリアランスの障害、または炎症および組織破壊をもたらす管の遮断を伴う任意の疾患が、増強剤についての候補であり得る。
【0015】
これらには、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、喫煙が原因であるCOPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、ドライアイ疾患、およびシェーグレン症候群、胃食道逆流疾患、胆石、直腸脱、および炎症性腸疾患が含まれるが、これらに限定はされない。COPDは、進行性であり、完全には可逆性でない空気流制限を特徴とする。上記空気流制限は、粘液過剰分泌、気腫、および細気管支炎が原因である。突然変異体CFTRまたは野生型CFTRの活性化因子は、COPDにおいて一般的である粘液過剰分泌および粘膜絨毛クリアランスの障害を処置できる可能性を示す。具体的には、CFTRを横断する陰イオン分泌の増大が、気道表面液体への流体の輸送を促進して粘液を水和し、繊毛周囲の流体の粘性を最適化し得る。このことは、粘液線毛クリアランスの増強およびCOPDと関連がある症状の軽減をもたらすであろう。加えて、気道クリアランスの改善の結果として進行中の感染および炎症を防ぐことにより、CFTR調節因子は、気腫の特徴である気道の肺実質破壊を防ぐかもしくは遅らせ、そして気道疾患における粘液過剰分泌の根底にある粘液分泌細胞(mucus secreting cell)の数および大きさの増大を小さくするかまたは反転させ得る。ドライアイ疾患は、涙液の房水産生の低下と、異常な涙膜脂質、タンパク質、およびムチンプロフィールを特徴とする。ドライアイの原因は数多く存在し、そのうちのいくつかとしては、年齢、眼のレーシック手術、関節炎、薬物療法、化学熱傷/熱傷(chemical/thermal burns)、アレルギー、および疾患(例えば、嚢胞性線維症およびシェーグレン症候群)が挙げられる。CFTRを介する陰イオン分泌の増大は、角膜内皮細胞および眼を取り囲む分泌腺からの流体輸送を促進して、角膜水和を増大させるであろう。このことは、ドライアイ疾患と関連がある症状を緩和するために役立つであろう。シェーグレン症候群は、免疫系が全身(眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣、および腸を含む)の水分を産生する腺を攻撃する自己免疫疾患である。症状としては、眼、口、および膣の乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。この疾患はまた、関節リウマチ、全身性紅斑、全身性硬化症、および多発性筋炎/皮膚筋炎とも関連がある。タンパク質輸送の機能障害がこの疾患を引き起こすと考えられ、その処置の選択肢は限られている。CFTR活性の調節因子は、上記疾患に罹患した様々な臓器を水和し得、関連する症状の緩和に役立ち得る。嚢胞性線維症を有する個体は、腸閉塞の再発エピソードと、直腸脱、胆石、胃食道逆流疾患、GI悪性腫瘍、および炎症性腸疾患の高発症率とを有し、これは、CFTR機能がそのような疾患の予防において重要な役割を果たし得ることを示している。
【0016】
上記で議論されるように、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、形成されつつあるタンパク質の正確な折りたたみを妨げ、その結果、突然変異体タンパク質は、ERを出られなくなり、原形質膜へ輸送されなくなると考えられている。結果として、成熟タンパク質は不十分な量しか、原形質膜に存在せず、上皮組織内の塩化物の輸送は、顕著に低下させられる。実際に、ER機構によるCFTRのERプロセシングの機能不全というこの細胞性の表現形は、CF疾患についてのみならず、他の広範囲の孤立性疾患および遺伝性疾患についても、基調であることが示されている。ER機構が正常に機能できない2つの事項は、上記タンパク質のER輸出のためのカップリングが行われず、これにより分解が生じること、またはこれらの不完全な/誤って折り畳まれたタンパク質のER蓄積のいずれかによる(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)。第1のクラスのER機能不全と関連がある疾患は以下である:嚢胞性線維症(上記で議論されるような誤って折り畳まれたΔF508−CFTRが原因である)、遺伝性気腫(a1−抗トリプシン;非Piz変異体が原因である)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(coagulation−fibrinolysis deficiencies)(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症(リソソームプロセシング酵素が原因である)、サンドホッフ病/テイ−サックス病(Sandhof/Tay−Sachs)(β−ヘキソサミニダーゼが原因である)、クリグラー−ナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアリック−トランスフェラーゼが原因である)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリン受容体が原因である)、ラロン型小人症(成長ホルモン受容体が原因である)、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性上皮小体機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンが原因である)、黒色腫(チロシナーゼが原因である)。後者のクラスのER機能不全と関連がある疾患は以下である:グリカノーシスCDG1型(glycanosis CDG type 1)、遺伝性気腫(α1−抗トリプシン(PiZ変異体)が原因である)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型プロコラーゲンが原因である)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンが原因である)、ACT欠損症(α1−抗キモトリプシンが原因である)、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI(neurophyseal DI)(バソプレッシン(vasopvessin)ホルモン/V2受容体が原因である)、腎性(neprogenic)DI(アクアポリンIIが原因である)、シャルコー・マリー・トゥース症候群(末梢ミエリンタンパク質22が原因である)、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンが原因である)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺(plasy)、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症(spinal and bulbar muscular atrophy)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubal pallidoluysian)、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質のプロセシングの機能不全が原因である)、ファブリー病(リソソームα−ガラクトシダーゼAが原因である)、シュトロイスラー・シャインカー症候群(Prpのプロセシングの機能不全が原因である))、不妊症、膵炎、膵不全、骨粗鬆症、骨減少症、ゴーハム症候群、塩素イオン症(chloride channelopathies)、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型(Thomson and Becker form))、バーター症候群III型、デント病(Dent’s disease)、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD(ciliary aplasia)、ならびに肝臓病。
【0017】
CFTR中の突然変異が関係している他の疾患としては、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、軽度の肺疾患、特発性膵炎、およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)が挙げられる。非特許文献17(引用により本明細書中に組み入れられる)を参照のこと。
【0018】
CFTR活性のアップレギュレーションに加えて、CFTR調節因子による陰イオンの分泌の減少は、上皮の水輸送が、分泌促進剤により活性化された塩化物輸送の結果として劇的に増大する分泌性下痢の処置に有効であり得る。上記機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を伴う。
【0019】
下痢には多くの原因が存在するが、下痢症の主要な結果は、過剰な塩化物輸送から生じることが全てに共通しており、脱水、アシドーシス、発達障害、および死亡が含まれる。急性下痢および慢性下痢は、世界の多くの地域で主要な医療的課題になっている。下痢は、5歳未満の小児における低栄養状態の重大な原因であり、死亡の主原因でもある(5,000,000人が死亡/年)。
【0020】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者においては危険な症状である。先進工業国から新興国への毎年1600万人の旅行者が下痢を発症し、下痢の重篤度および症例数は、旅行先の国および地域により様々である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Gregory,R.J.ら(1990)Nature 347:382−386
【非特許文献2】Rich,D.P.ら(1990)Nature 347:358−362
【非特許文献3】Riordan,J.R.ら(1989)Science 245:1066−1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.ら(1990)Nature 346:366−369
【非特許文献5】Dean,M.ら(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B−S.ら(1989)Science 245:1073−1080
【非特許文献7】Kerem,B−Sら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447−8451
【非特許文献8】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709−2727
【非特許文献9】Dolemansら(1991),Nature Lond.354:526−528
【非特許文献10】Pasyk and Foskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347−50
【非特許文献11】「Cystic fibrosis:impaired bicarbonate secretion and mucoviscidosis」,Paul M.Quinton,Lancet 2008;372:415−417
【非特許文献12】Aridor M,ら、Nature Med.,5(7),pp.745−751(1999)
【非特許文献13】Shastry,B.S.,ら、Neurochem.International,43,pp.1−7(2003)
【非特許文献14】Rutishauser,J.ら、Swiss Med Wkly,132,pp.211−222(2002)
【非特許文献15】Morello,JPら、TIPS,21,pp.466−469(2000)
【非特許文献16】Bross P.ら、Human Mut.,14,pp.186−198(1999)
【非特許文献17】「CFTR−opathies:disease phenotypes associated with cystic fibrosis transmembrane regulator gene mutations」,Peader G.Noone and Michael R.Knowles,Respir.Res.2001,2:328−332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、ヒトCFTRの野生型形態および突然変異形態の強力な選択的CFTR増強剤が必要である。これらの突然変異CFTR形態としては、ΔF508del、G551D、R117H、2789+5G−>Aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
哺乳動物の細胞膜中のCFTRの活性を調節するために使用できるCFTR活性の調節因子およびその組成物も必要である。
【0024】
そのようなCFTR活性の調節因子を使用して、CFTR中の突然変異により引き起こされる疾患を処置する方法が必要である。
【0025】
エクスビボで哺乳動物の細胞膜中のCFTR活性を調節する方法が必要である。
【0026】
加えて、治療薬としての使用に適している薬学的組成物中で容易に使用できる上記化合物の安定な固体形態が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
(発明の要旨)
本発明は、以下の構造を有するN−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(本明細書中以後、「化合物1」)の固体形態に関する:
【0028】
【化1】

化合物1およびその薬学的に許容される組成物は、以下を含むがこれらに限定されない様々な疾患、障害、もしくは症状を処置するかまたはその重篤度を低下させるために有用である:嚢胞性線維症、膵炎、副鼻腔炎、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症、サンドホッフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性上皮小体機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病、ファブリー病、シュトロイスラー・シャインカー症候群))、COPD、ドライアイ疾患、膵不全、骨粗鬆症、骨減少症、ゴーハム症候群、塩素イオン症、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD、ならびにシェーグレン症候群。
【0029】
1つの態様においては、化合物1は、実質的に結晶状の、純粋な遊離の形態の形態Aである。
【0030】
本明細書中に記載されるプロセスは、形態Aを含む本発明の組成物を調製するために使用できる。これらのプロセスで使用される成分の量と特徴は以下に記載されるとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、形態AのX線粉末回折パターンである。
【図2】図2は、1回のX線結晶分析に基づく形態Aの立体構造の図である。
【図3】図3は、形態AのFTIRスペクトルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で使用される場合、別段の明記がない限りは、以下の定義を適用するものとする。
【0033】
用語「ABC−トランスポーター」は、本明細書中で使用される場合、ABC−トランスポータータンパク質もしくは少なくとも1つの結合ドメインを含むその断片を意味する。ここでは、上記タンパク質もしくはその断片は、インビボまたはインビトロで存在するものを意味する。用語「結合ドメイン」は、本明細書中で使用される場合、調節因子に結合できる上記ABC−トランスポーター上の1つのドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.ら、J.Gen.Physiol.(1998):111(3),477−90を参照のこと。
【0034】
用語「CFTR」は、本明細書中で使用される場合、嚢胞性線維症経膜コンダクタンス制御因子もしくは制御因子活性の能力があるその突然変異体(ΔF508 CFTR、R117H CFTR、およびG551D CFTRを含むがこれらに限定されない)を意味する(CFTR突然変異体については、例えば、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0035】
用語「調節する」は、本明細書中で使用される場合、測定可能な量の増大または減少を意味する。
【0036】
用語「正常なCFTR」または「正常なCFTR機能」は、本明細書中で使用される場合、環境因子(例えば、喫煙、汚染、または肺の炎症を生じるあらゆるもの)が原因である障害を全く有さない、野生型様のCFTRを意味する。
【0037】
用語「低下したCFTR」または「低下したCFTR機能」は、本明細書中で使用される場合、正常なCFTRより低いか、または正常なCFTR機能よりも低いことを意味する。
【0038】
本明細書中で使用される場合、「結晶」は、構造単位が一定の幾何学的パターンまたは格子状に配置され、結果として結晶状の固体が厳格な長距離秩序を有する化合物あるいは組成物をいう。結晶構造を構成する上記構造単位は、原子、分子、またはイオンであり得る。結晶状固体は、明確な融点を示す。
【0039】
本明細書中で使用される場合、表現「実質的に結晶状」は、厳格な長距離秩序を有する一定の幾何学的パターンまたは格子状に配置される固体物質を意味する。例えば、実質的に結晶状の物質は、約85%を上回る結晶化度(例えば、約90%を上回る結晶化度または約95%を上回る結晶化度)を有する。用語「実質的に結晶状」が、先の段落で定義された記述子「結晶」を含むことにも留意されたい。
【0040】
1つの態様においては、本発明は、形態Aとして特性決定された、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの1つの形態を特徴とする。
【0041】
いくつかの実施形態においては、形態Aは、Cu Kα線を使用して得られたX線粉末回折における、約7.7〜約8.1度(例えば、約7.9度);約11.7〜約12.1度(例えば、約11.9度);約14.2〜約14.6度(例えば、約14.4度);および約15.6〜約16.0度(例えば、約15.8度)での1つまたは複数のピークを特徴とする。
【0042】
いくつかの実施形態においては、形態Aは、Cu Kα線を使用して得られたX線粉末回折における、約7.8〜約8.0度(例えば、約7.9度);約11.8〜約12.0度(例えば、約11.9度);約14.3〜約14.5度(例えば、約14.4度);および約15.7〜約15.9度(例えば、約15.8度)での1つまたは複数のピークを特徴とする。
【0043】
他の実施形態においては、形態Aは、Cu Kα線を使用して得られたX線粉末回折における、約7.7〜約8.1度(例えば、約7.9度);約21.6〜約22.0度(例えば、約21.8度);および約23.6〜約24.0度(例えば、約23.8度)での1つまたは複数のピークを特徴とする。
【0044】
なお他の実施形態においては、形態Aは、Cu Kα線を使用して得られたX線粉末回折における、約7.8〜約8.0度(例えば、約7.9度);約21.7〜約21.9度(例えば、約21.8度);および約23.7〜約23.9度(例えば、約23.8度)での1つまたは複数のピークを特徴とする。
【0045】
いくつかの実施形態においては、形態Aは、X線粉末回折パターンにおいて度として測定される以下のピークの1つまたは複数を特徴とする:約7.7〜約8.1度(例えば、約7.9度)での1つのピーク;約9.1〜約9.5度(例えば、約9.3度)での1つのピーク;約11.7〜約12.1度(例えば、約11.9度)での1つのピーク;約14.2〜約14.6度(例えば、約14.4度)での1つのピーク;約14.9〜約15.3度(例えば、約15.1度)での1つのピーク;約15.6〜約16.0度(例えば、約15.8度)での1つのピーク;約16.8〜約17.2度(例えば、約17.0度)での1つのピーク;約17.5〜約17.9度(例えば、約17.7度)での1つのピーク;約19.1〜約19.5度(例えば、約19.3度)での1つのピーク;約19.9〜約20.3度(例えば、約20.1度)での1つのピーク;約21.2〜約21.6度(例えば、約21.4度)での1つのピーク;約21.6〜約22.0度(例えば、約21.8度)での1つのピーク;約23.2〜約23.6度(例えば、約23.4度)での1つのピーク;約23.6〜約24.0度(例えば、約23.8度)での1つのピーク;約25.4〜約25.8度(例えば、約25.6度)での1つのピーク;約26.6〜約27.0度(例えば、約26.8度)での1つのピーク;約29.2〜約29.6度(例えば、約29.4度)での1つのピーク;約29.5〜約29.9度(例えば、約29.7度)での1つのピーク;約29.9〜約30.3度(例えば、約30.1度)での1つのピーク;および約31.0〜約31.4度(例えば、約31.2度)での1つのピーク。
【0046】
いくつかの実施形態においては、形態Aは、X線粉末回折パターンにおいて度として測定される以下のピークの1つまたは複数を特徴とする:約7.8〜約8.0度(例えば、約7.9度)での1つのピーク;約9.2〜約9.4度(例えば、約9.3度)での1つのピーク;約11.8〜約12.0度(例えば、約11.9度)での1つのピーク;約14.3〜約14.5度(例えば、約14.4度)での1つのピーク;約15.0〜約15.2度(例えば、約15.1度)での1つのピーク;約15.7〜約15.9度(例えば、約15.8度)での1つのピーク;約16.9〜約17.1度(例えば、約17.0度)での1つのピーク;約17.6〜約17.8度(例えば、約17.7度)での1つのピーク;約19.2〜約19.4度(例えば、約19.3度)での1つのピーク;約20.0〜約20.2度(例えば、約20.1度)での1つのピーク;約21.3〜約21.5度(例えば、約21.4度)での1つのピーク;約21.7〜約21.9度(例えば、約21.8度)での1つのピーク;約23.3〜約23.5度(例えば、約23.4度)での1つのピーク;約23.7〜約23.9度(例えば、約23.8度)での1つのピーク;約25.5〜約25.7度(例えば、約25.6度)での1つのピーク;約26.7〜約26.9度(例えば、約26.8度)での1つのピーク;約29.3〜約29.5度(例えば、約29.4度)での1つのピーク;約29.6〜約29.8度(例えば、約29.7度)での1つのピーク;約30.0〜約30.2度(例えば、約30.1度)での1つのピーク;および約31.1〜約31.3度(例えば、約31.2度)での1つのピーク。
【0047】
いくつかの実施形態においては、形態Aは、図1に提供されるような回折パターンを特徴とする。
【0048】
1つの態様においては、本発明は、形態Aと薬学的に許容されるアジュバントまたは担体を含む薬学的組成物を特徴とする。
【0049】
1つの態様においては、本発明は、形態Aの有効量をヒトに投与する工程を含む、ヒトにおいてCFTR媒介性疾患を処置する方法を特徴とする。
【0050】
いくつかの実施形態においては、上記方法は、さらなる治療薬を投与する工程を含む。
【0051】
いくつかの実施形態においては、疾患は、以下から選択される:嚢胞性線維症、膵炎、副鼻腔炎、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症、サンドホッフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性上皮小体機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病、ファブリー病、シュトロイスラー・シャインカー症候群))、COPD、ドライアイ疾患、膵不全、骨粗鬆症、骨減少症、ゴーハム症候群、塩素イオン症、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD、ならびにシェーグレン症候群。
【0052】
1つの実施形態において、本発明は、ヒトにおいて嚢胞性線維症を処置する方法を提供する。この方法は、形態Aの有効量を上記ヒトに投与する工程を含む。
【0053】
1つの態様において、本発明は、形態Aと薬学的に許容される担体を含む医薬パック(pharmaceutical pack)またはキットを特徴とする。
【0054】
1つの態様において、本発明は、三方晶系、R−3空間群、および以下の単位格子サイズを有している、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶形態を特徴とする:a=19.1670(4)Å、b=19.1670(4)Å、c=33.6572(12)Å、α=90°、β=90°、およびγ=120°。
【0055】
1つの実施形態において、本発明は、以下の単位格子サイズを有している、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶形態を提供する:a=19.1670(4)Å、b=19.1670(4)Å、c=33.6572(12)Å。
【0056】
(使用、処方物、および投与)
(薬学的に許容される組成物)
本発明の1つの態様において、薬学的に許容される組成物が提供される。ここでは、これらの組成物は、本明細書中に記載されるような形態Aを含み、状況に応じて、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む。特定の実施形態においては、これらの組成物は、状況に応じてさらに1種類以上のさらなる治療薬を含む。
【0057】
上記のように、本発明の薬学的に許容される組成物はさらに、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む。本明細書中で使用される場合、薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルには、所望される特定の投薬形態に適している限りは、任意の、および全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤もしくは懸濁補助剤、表面活性剤、等張化剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤沢剤などが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)には、薬学的に許容される組成物の処方に使用される様々な担体と、その調製のための公知の技術が開示されている。任意の従来の担体媒体が本発明の化合物と不適合である(例えば、何らかの望ましくない生物学的作用を生じるか、または別の方法で薬学的に許容される組成物の任意の他の成分(単数または複数)と有害な方法で相互作用することによる)場合を除き、その使用は本発明の範囲に含まれるものとする。薬学的に許容される担体とすることができる物質のいくつかの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩類または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、蜜蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース)、澱粉(例えば、コーンスターチおよびジャガイモ澱粉)、セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース)、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐薬ワックス)、油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油)、グリコール類(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)、エステル類(例えば、エチルオレエートおよびエチルラウレート)、寒天、緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム)、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張性生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、およびリン酸緩衝液。さらに、他の適合し得る非毒性潤沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存剤および酸化防止剤も、調剤者の判断にしたがって、組成物中に存在させることができる。
【0058】
(化合物および薬学的に許容される組成物の使用)
なお別の態様において、本発明は、CFTRの突然変異が関係している症状、疾患、もしくは障害を処置するか、またはその重篤度を低下させる方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、CFTR活性の機能不全が関係している症状、疾患、もしくは障害を処置する方法を提供する。この方法は、化合物1形態Aを含む組成物を、その必要がある被験体(好ましくは、哺乳動物)に投与する工程を含む。
【0059】
特定の実施形態において、本発明は、CFTRまたは環境因子(例えば、喫煙)をコードする遺伝子の突然変異が原因で低下したCFTR機能と関係がある疾患を処置する方法を提供する。これらの疾患としては、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、先天的な子宮と膣の欠損(CAUV)が原因で起こる女性不妊、特発性慢性膵炎(ICP)、特発性再発性膵炎、特発性急性膵炎、慢性副鼻腔炎、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、糖尿病、ドライアイ、便秘、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、骨疾患(例えば、骨粗鬆症)、および喘息が挙げられる。
【0060】
特定の実施形態において、本発明は、正常なCFTR機能と関係がある疾患を処置するための方法を提供する。これらの疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎(慢性膵炎、再発性膵炎、および急性膵炎を含む)、膵不全、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、軽度の肺疾患、特発性膵炎、肝臓病、遺伝性気腫、胆石、胃食道逆流症、消化管悪性腫瘍、炎症性腸疾患、便秘、糖尿病、関節炎、骨粗鬆症、ならびに骨減少症が挙げられる。
【0061】
特定の実施形態では、本発明は、以下を含む正常なCFTR機能と関連がある疾患を処置するための方法を提供する:遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症、サンドホッフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性上皮小体機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質のプロセシングの機能不全が原因である)、ファブリー病、シュトロイスラー・シャインカー症候群))、ゴーハム症候群、塩素イオン症、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD、またはシェーグレン症候群。この方法は、本明細書中に記載される形態Aを含む組成物の有効量を上記哺乳動物に投与する工程を含む。
【0062】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、嚢胞性線維症を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載される形態Aを含む組成物の有効量を上記哺乳動物に投与する工程を含む、上記哺乳動物に組成物を投与する工程を含む。
【0063】
本発明によれば、形態Aまたはその薬学的に許容される組成物の「有効量」は、上記に列挙された疾患、障害、もしくは症状の1つ以上を処置するか、またはその重篤度を低下させるために有効な量である。
【0064】
形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、上記に列挙された疾患、障害、もしくは症状の1つ以上を処置するか、またはその重篤度を低下させるために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。
【0065】
特定の実施形態において、形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、呼吸器上皮および非呼吸器上皮の頂端膜において残留CFTR活性を示す患者において、嚢胞性線維症を処置するか、またはその重篤度を低下させるために有用である。上皮表面における残留CFTR活性の存在は、当該分野で公知の方法(例えば、標準的な電気生理学的技術、生化学的技術、または組織化学的技術)を使用して容易に検出され得る。このような方法は、インビボもしくはエクスビボでの電気生理学的技術、汗もしくは唾液のCl濃度の測定、または細胞表面密度をモニターするためのエクスビボでの生化学的もしくは組織化学的技術を使用して、CFTR活性を同定する。このような方法を使用して、残留CFTR活性が、様々な異なる突然変異についてヘテロ接合性であるかもしくはホモ接合性である患者(最も一般的な突然変異であるΔF508についてホモ接合性であるかもしくはヘテロ接合性である患者を含む)において容易に検出され得る。
【0066】
別の実施形態において、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、薬理学的方法または遺伝子治療を使用して、誘導されたかもしくは増大させられた残留CFTR活性を有する患者において嚢胞性線維症を処置するか、あるいはその重篤度を低下させるために有用である。このような方法は、細胞表面に存在するCFTRの量を増加させ、それにより、患者に通常は存在しないCFTR活性を誘導するか、または患者の既存の残留CFTR活性レベルを増強する。
【0067】
1つの実施形態においては、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、残留CFTR活性を示す特定の遺伝子型(例えば、クラスIII突然変異(調節または開閉が損なわれている)、クラスIV突然変異(伝導性が変化している)、またはクラスV突然変異(合成が低下している))の患者において嚢胞性線維症を処置するか、またはその重篤度を低下させるために有用である(Lee R.Choo−Kang,Pamela L.,Zeitlin,Type I,II,III,IV,and V cystic fibrosis Tansmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy;Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521−529,2000)。残留CFTR活性を示す他の患者の遺伝子型には、これらのクラスのうちの1つについてホモ接合性であるか、あるいは、クラスI突然変異、クラスII突然変異、または分類されない突然変異を含む任意の他のクラスの突然変異を持つヘテロ接合性である患者が含まれる。
【0068】
1つの実施形態においては、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、特定の臨床的表現型(例えば、代表的には、上皮の頂端膜中の残留CFTR活性の量と典型的に相関関係がある中等度から軽度の臨床的表現型)の患者において嚢胞性線維症を処置するか、またはその重篤度を低下させるために有用である。このような表現型には、膵不全を示している患者、または特発性膵炎および先天性両側精管欠損症と診断された、もしくは軽度の肺疾患と診断された患者が含まれる。
【0069】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および全身状態、感染症の重篤度、特定の薬剤、その投与様式などに応じて、被験体一人ひとりについて変化するであろう。本発明の化合物は、好ましくは、投与し易さ、投薬量の均一性が保たれる単位投薬形態に処方される。表現「単位投薬形態」は、本明細書中で使用される場合、処置される患者に適している薬剤の物理的に別個の単位をいう。しかし、本発明の化合物および組成物の1日の総投薬量が、信頼できる医学的判断の範囲内で、担当医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者または生物についての特定の有効用量レベルは、処置される障害およびその障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康状態、性別、および食事療法;投与時間、投与経路、および使用される特定の化合物の排泄速度;処置の継続時間;使用される特定の化合物と併用または同時使用される薬物、ならびに、医学の分野で周知の同様の要因を含む様々な要因により変わるであろう。用語「患者」は、本明細書中で使用される場合、動物、好ましくは、哺乳動物、そして最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0070】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置される感染の重篤度に応じて、ヒトおよび他の動物に、経口投与、直腸投与、非経口投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局所投与(散剤、軟膏剤、点滴剤、もしくはパッチによるなど)、口内投与(経口スプレーもしくは鼻スプレーなどによる)することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望される治療効果を得るために、1日あたり被験体の体重で、1日に1回以上、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは、約0.5mg/kg〜約25mg/kgの投薬量レベルで経口投与または非経口投与され得る。
【0071】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態には、当該分野で一般的に使用される不活性な希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤、および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド)、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、小麦胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含めることができる。不活性希釈剤に加えて、経口用組成物にはまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、調味料ならびに香料)も含めることができる。
【0072】
注射用調製物(例えば、滅菌の注射用の水性懸濁物または油性懸濁物)は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術にしたがって処方され得る。上記滅菌の注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の滅菌の注射用溶液、懸濁物、またはエマルジョン(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)でもあり得る。使用され得る上記許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液(米国薬局方)および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌の不揮発性油が、通常、溶媒もしくは懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む無刺激性の任意の不揮発性油が使用され得る。加えて、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射用物質の調製に使用される。
【0073】
上記注射用処方物は、例えば、細菌保持フィルター(bacterial−retaining filter)を通す濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌の注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌の固体組成物の形態で、滅菌薬剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0074】
本発明の化合物の効果を持続させるためには、皮下注射もしくは筋肉内注射による化合物の吸収を遅らせることが、頻繁に望まれる。これは、水溶性が低い結晶性または不定形の物質の液体懸濁物の使用によって達成され得る。これにより、上記化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の吸収の遅延は、油性ビヒクル中に上記化合物を溶解または懸濁することによって達成される。注射用のデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に上記化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより作製される。ポリマーに対する化合物の比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用処方物はまた、上記化合物を、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョン中に捕捉することによっても調製される。
【0075】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸内腔もしくは膣内腔で溶解して活性化合物を放出する適切な非刺激性賦形剤または担体(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックス)と混合することにより調製され得る坐剤である。
【0076】
経口投与のための固体の投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。そのような固体の投薬形態においては、上記活性化合物は、少なくとも1種類の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/またはa)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびシアル酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア)、c)湿潤剤(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、e)溶液遅延剤(solution retarding agent)(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイトクレイ)、ならびにi)滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物)と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合には、上記投薬形態にはまた、緩衝化剤も含めることができる。
【0077】
類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、ソフト充填ゼラチンカプセル剤およびハード充填ゼラチンカプセル剤中で充填剤として使用され得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、薬学処方の分野で周知のコーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティングおよび他のコーティング)を持たせて調製され得る。これらには、状況に応じて、不透明化剤を含めることができ、そしてまた、それらが上記活性成分(単数または複数)のみを、または上記活性成分(単数または複数)を優先的に、腸管の特定の部分で、状況に応じて、遅延させられた様式で放出する組成物でもあり得る。使用できる埋め込み型組成物(embedding composition)の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、ソフト充填ゼラチンカプセル剤およびハード充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤としても使用され得る。
【0078】
上記活性化合物はまた、上記のような1種類以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化された形態でも存在し得る。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の上記固体投薬形態は、薬学処方の分野で周知のコーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティング、徐放コーティング、および他のコーティング)を持たせて調製され得る。そのような固体投薬形態において、上記活性化合物は、少なくとも1種類の不活性な希釈剤(例えば、スクロース、ラクトース、もしくはデンプン)と混合され得る。このような投薬形態にはまた、通常行われるように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤化滑沢剤および他の錠剤化補助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース))を含めることができる。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合は、上記投薬形態には緩衝化剤も含めることができる。これらは、状況に応じて不透明化剤を含み得、それらが上記活性成分(単数または複数)のみを、または上記活性成分(単数または複数)を優先的に、腸管の特定の部分で、状況に応じて、遅延させられた様式で放出する組成物でもあり得る。使用できる埋め込み型組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0079】
本発明の化合物の局所投与もしくは経皮投与のための投薬形態としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル、散剤、液剤、スプレー、吸入剤、またはパッチが挙げられる。上記活性成分は、薬学的に許容される担体と任意の必要な保存剤、または必要とされ得る場合には緩衝化剤と、滅菌条件下で混合される。眼用の処方物、点耳薬、および点眼薬もまた本発明の範囲内に入ると考えられる。さらに、本発明は、身体への化合物の制御された送達を提供するという追加の利点を有する経皮的パッチの使用を企図する。このような投薬形態は、適切な媒体中に上記化合物を溶解または分散させることにより調製される。吸収促進剤がまた、皮膚を横断する上記化合物の流れを増大させるために使用され得る。この速度は、速度制御膜を提供するか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に上記化合物を分散させるかのいずれかにより制御され得る。
【0080】
本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物が、併用療法において使用され得る。すなわち、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物が、1種類以上の他の望ましい治療薬もしくは医療的手順と同時に、またはその前に、またはその後に投与され得ることもまた理解されるであろう。併用レジメンにおいて使用するための治療(治療薬または手順)の特定の組み合わせは、所望される治療薬および/または手順と、達成されるべき所望される治療効果の適合性が考慮されるであろう。使用される治療は、同じ障害について望ましい効果をもたらし得る(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)場合があり、また、それらが異なる効果(例えば、任意の有害な効果の制御)をもたらし得る場合もあることも理解されるであろう。本明細書中で使用される場合、特定の疾患もしくは症状を処置または予防するために通常投与されるさらなる治療薬は、「処置される疾患もしくは症状に適している」として公知である。
【0081】
1つの実施形態においては、上記さらなる薬剤は、粘液溶解薬、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染症薬、抗炎症薬、本発明の化合物以外のCFTR調節因子、または栄養剤から選択される。
【0082】
1つの実施形態においては、上記さらなる薬剤は抗生物質である。本明細書において有用な例示的な抗生物質としては、トブラマイシン(トブラマイシン吸入用粉末(tobramycin inhaled powder)(TIP)を含む)、アジスロマイシン、アズトレオナム(アズトレオナムのエアゾール化形態を含む)、アミカシン(そのリポソーム処方物を含む)、シプロフロキサシン(吸入による投与に適しているその処方物を含む)、レボフロキサシン(そのエアゾール化処方物を含む)、および2種類の抗生物質(例えば、ホスホマイシンとトブラマイシン)の組み合わせが挙げられる。
【0083】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は粘液溶解薬である。本明細書において有用な例示的な粘液溶解薬としては、Pulmozyme(登録商標)が挙げられる。
【0084】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は気管支拡張薬である。例示的な気管支拡張薬としては、アルブテロール、硫酸メタプロテレノール、酢酸ピルブテロール、サルメテロール、または硫酸テトラブリン(tetrabuline sulfate)が挙げられる。
【0085】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は、肺気道表面の液体の回復に効果的である。そのような薬剤は、細胞内外での塩の移動を改善して、肺気道中の粘膜がより水和されるようにし、したがってより容易に除去されるようにする。例示的なそのような薬剤としては、高張食塩水、デヌホゾールテトラナトリウム(denufosol tetrasodium)([[(3S,5R)−5−(4−アミノ−2−オキソピリミジン−1−イル)−3−ヒドロキシオキソラン−2−イル]メトキシ−ヒドロキシホスホリル][[[(2R,3S,4R,5R)−5−(2,4−ジオキソピリミジン−1−イル)−3,4−ジヒドロキシオキソラン−2−イル]メトキシ−ヒドロキシホスホリル]オキシ−ヒドロキシホスホリル]ハイドロゲンホスフェート)、またはブロンキトール(bronchitol)(マンニトールの吸入型処方物)が挙げられる。
【0086】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は抗炎症薬、すなわち、肺の炎症を軽減できる薬剤である。本明細書において有用な例示的なそのような薬剤としては、イブプロフェン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、シルデナフィル、吸入型グルタチオン、ピオグリタゾン、ヒドロキシクロロキン、またはシンバスタチンが挙げられる。
【0087】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は、上皮型ナトリウムチャネルブロッカー(ENaC)の活性を、このチャネルをブロックすることにより直接、またはENaC活性の増大をもたらすプロテアーゼ(例えば、セリンプロテアーゼ(seine proteases)、チャネル活性化プロテアーゼ)の調節により間接的にのいずれかにより低下させる。例示的なそのような薬剤としては、カモスタット(トリプシン様プロテアーゼ阻害剤)、QAU145、552−02、GS−9411、INO−4995、エアロリティック(Aerolytic)、およびアミロライドが挙げられる。上皮型ナトリウムチャネルブロッカー(ENaC)の活性を低下させるさらなる薬剤は、例えば、PCT公開番号WO2009/074575(そのあらゆる内容が、その全体において引用により本明細書中に組み入れられる)に見ることができる。
【0088】
本明細書中に記載される他の疾患のうち、CFTR調節因子(例えば、形態A)と、ENaCの活性を低下させる薬剤の組み合わせが、リドル症候群、嚢胞性線維症を含む炎症またはアレルギー症状、原発性線毛ジスキネジア、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気道感染、肺癌腫、口内乾燥症、および乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)、気道感染(急性および慢性;ウイルス性および細菌性)、ならびに肺癌腫の処置に使用される。
【0089】
CFTR調節因子(例えば、形態A)とENaCの活性を低下させる薬剤の組み合わせはまた、上皮型ナトリウムチャネルの遮断により媒介される疾患(これには、おそらくはその表面上の保護用の表面液体の異常な生理機能が関与している、上皮を横切る異常な流体の調節と関連がある呼吸器疾患以外の疾患(例えば、口内乾燥症(dry mouth)または乾性角結膜炎(ドライアイ))も含まれる)の処置にも有用である。さらに、腎臓での上皮型ナトリウムチャネルの遮断が利尿を促進し、それにより血圧低下作用を誘導するために使用され得る。
【0090】
喘息には、内因性(非アレルギー性)喘息と外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽症の喘息、中等度の喘息、重症の喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、および細菌感染後に誘導される喘息が含まれる。喘息の処置はまた、喘鳴症状を示しており、重大な医学的関心の確立された患者カテゴリーである「喘鳴乳幼児」と診断されたかまたはそのように診断することができ、現在は多くの場合に初期または初期段階の喘息患者として同定された被験体(例えば、4歳または5歳未満の被験体)の処置を包括すると理解される。(便宜上、この特定の喘息症状は、喘鳴幼児症候群(wheezy infant syndrome)と呼ばれる)。喘息の処置における予防効果は、症候性発作(例えば、急性喘息または気管支収縮発作)の頻度の減少または重篤度の低下、肺機能の改善または気道反応性亢進の改善により証明されるであろう。これはさらに、他の対症治療、すなわち、症候性発作が起こったときにそれを限定するか中止させるためのまたはそれを意図した治療(例えば、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド)または気管支拡張剤)の必要性の減少により証明され得る。喘息の予防的利点は、特に、「早朝悪化(morning dipping)」の傾向がある被験体において明白であり得る。「早朝悪化」は認識されている喘息症候群であり、喘息患者のかなりの割合に共通し、例えば、およそ午前4時〜6時の間の数時間の間、すなわち、通常何らかの前に投与した喘息の対症治療から相当離れた時間での喘息発作を特徴とする。
【0091】
慢性閉塞性肺疾患には、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに、他の薬物療法、特に他の吸入型の薬物療法により生じる気道過敏症の悪化が含まれる。いくつかの実施形態においては、CFTR調節因子(例えば、形態A)と、ENaCの活性を低下させる薬剤の組み合わせが、急性、アラキン酸(arachidic)、カタル性、クループ(croupus)、慢性またはフチノイド(phthinoid)の気管支炎を含むあらゆるタイプまたは原因の気管支炎の処置に有用である。
【0092】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は、化合物1形態A以外のCFTR調節因子、すなわち、CFTR活性を調節する作用を有する薬剤である。例示的なそのような薬剤としては、アタルレン(ataluren)(「PTC124(登録商標)」;安息香酸3−[5−(2−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル])、シナプルチド、ランコブチド(lancovutide)、デペレスタット(depelestat)(ヒト組み換え体好中球エラスターゼ阻害剤)、コビプロストン(cobiprostone)(7−{(2R,4aR,5R,7aR)−2−[(3S)−1,1−ジフルオロ−3−メチルペンチル]−2−ヒドロキシ−6−オキソオクタヒドロシクロペンタ[b]ピラン−5−イル}ヘプタン酸)、または安息香酸(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)が挙げられる。別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は、安息香酸(3−(6−(1−(2,2−ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)シクロプロパンカルボキサミド)−3−メチルピリジン−2−イル)である。
【0093】
別の実施形態においては、上記さらなる薬剤は栄養剤である。例示的なそのような薬剤としては、パンクレリパーゼ(膵臓酵素代用物)(Pancrease(登録商標)、Pancreacarb(登録商標)、Ultrase(登録商標)、またはCreon(登録商標)を含む)、Liprotomase(登録商標)(以前はTrizytek(登録商標))、Aquadeks(登録商標)、あるいはグルタチオン吸入薬(glutathione inhalation)が挙げられる。1つの実施形態においては、上記さらなる栄養剤はパンクレリパーゼである。
【0094】
1つの実施形態においては、上記さらなる薬剤は、本発明の化合物以外のCFTR調節因子である。
【0095】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療薬の量は、唯一の活性薬剤としてその治療薬を含む組成物において通常投与されるであろう量を上回ることはないであろう。好ましくは、本明細書で開示される組成物中のさらなる治療薬の量は、唯一の治療用の活性薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲であろう。
【0096】
本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物は、移植可能な医療用デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管グラフト、ステントおよびカテーテル)をコーティングするための組成物に組み込まれ得る。したがって、本発明は、別の態様において、上記で一般的に、そして本明細書中でクラスでおよびサブクラスで記載されるような本発明の化合物と上記移植可能なデバイスのコーティングに適している担体を含む、移植可能なデバイスをコーティングするための組成物を含む。なお別の態様において、本発明は、上記で一般的に、そして本明細書中でクラスでおよびサブクラスで記載されるような本発明の化合物と上記移植可能なデバイスのコーティングに適している担体を含む組成物でコーティングされた移植可能なデバイスを含む。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。上記コーティングは、典型的には、生体適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物)である。上記コーティングは、上記組成物において制御放出特性を付与するために、必要に応じて、フルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはこれらの組み合わせの適切なトップコートによりさらにコーティングされ得る。
【0097】
本発明の別の態様は、生物学的試料または患者において(例えば、インビトロまたはインビボで)CFTR活性を調節することに関し、上記方法は、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物を上記患者に投与する工程、あるいはこれらを生物学的試料と接触させる工程を含む。用語「生物学的試料」としては、本明細書中で使用される場合、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検物質またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の流体またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
生物学的試料中のCFTRの調節は、当業者に公知の様々な目的のために有用である。このような目的の例としては、生物学的および病理学的現象におけるCFTRの研究;ならびにCFTRの新規の調節因子の比較評価が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
なお別の実施形態において、インビトロまたはインビボで陰イオンチャネルの活性を調節する方法が提供される。上記方法は、上記チャネルを、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物と接触させる工程を含む。好ましい実施形態においては、上記陰イオンチャネルは、塩化物イオンチャネルまたは炭酸水素イオンチャネルである。他の好ましい実施形態においては、上記陰イオンチャネルは、塩化物イオンチャネルである。
【0100】
代替の実施形態にしたがって、本発明は、細胞の膜中の機能的CFTRの数を増加させる方法を提供し、上記方法は、上記細胞を、本明細書中に記載される形態Aまたはその薬学的に許容される組成物と接触させる工程を含む。
【0101】
別の好ましい実施形態によれば、CFTRの活性は、膜電位差を測定することにより測定される。生物学的試料中の膜を横断する電位差を測定するための手法は、当該分野で公知の方法のいずれか(例えば、光学的膜電位アッセイまたは他の電気生理学的方法)を使用し得る。
【0102】
上記光学的膜電位アッセイは、GonzalezおよびTsienによって記載された電圧感受性のFRETセンサー(Gonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272−80、およびGonzalez,J.E.and R.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269−77を参照のこと)を、電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)のような蛍光変化を測定するための計測器(Gonzalez,J.E.,K.Oadesら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431−439を参照のこと)と組み合わせて利用する。
【0103】
これらの電圧感受性アッセイは、膜可溶性の電圧感受性色素であるDiSBAC(3)と蛍光性リン脂質であるCC2−DMPEとの間での蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の変化に基づく。CC2−DMPEは、原形質膜の外側のリーフレット(outer leaflet)に結合され、そしてFRET供与体となる。膜電位(V)の変化は、負に荷電したDiSBAC(3)を原形質膜を横切って再分布させ、それにしたがってCC2−DMPEからのエネルギー転移の量が変化する。蛍光放射の変化は、VIPR(商標)IIを使用してモニターすることができる。VIPR(商標)IIは、96ウェルマイクロタイタープレートまたは384ウェルマイクロタイタープレートの中で細胞をベースとするスクリーニングを行うために設計された、一体型の液体ハンドラー(handler)および蛍光検出器である。
【0104】
別の態様において、本発明は、インビトロまたはインビボで生物学的試料中のCFTRまたはその断片の活性の測定に使用するためのキットを提供する。上記キットは、(i)形態Aまたは上記の実施形態のいずれかを含む組成物;ならびに(ii)a)上記組成物を、上記生物学的試料と接触させ、そしてb)上記CFTRまたはその断片の活性を測定するための説明書を含む。1つの実施形態において、上記キットは、a)さらなる組成物を、上記生物学的試料とを接触させ;b)上記CFTRまたはその断片の活性を、上記さらなる化合物の存在下で測定し、そしてc)上記さらなる化合物の存在下でのCFTRの活性を、本明細書中に記載される形態Aの存在下でのCFTRの密度と比較するための説明書をさらに含む。好ましい実施形態において、上記キットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0105】
本明細書中に記載される発明がより十分に理解され得るように、以下の実施例が記載される。これらの実施例は、例示のためのものに過ぎず、いかなる様式においても本発明を限定するとは解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0106】
(方法および材料)
XRPD(X線粉末回折)
X線粉末回折(XRPD)データを、Rigaku/MSC MiniFlex Desktop Powder X−ray Diffractometer(Rigaku,The Woodlands,TX)を使用して室温で記録した。X線は、Kβ除去フィルターを用いて、30kVおよび15mAで操作したCu管を使用して発生させた。発散スリットは動かすことができ、それぞれ、4.2度、および0.3mmの切り込みに設定した、散乱スリットと受光スリットを持つ。走査モードは一定時間(FT)であり、0.02度のステップ幅と2.0秒のカウント時間(count time)を用いた。粉末X線回折計(Powder X−ray Diffractometer)を参照標準物:75%のソーダライト(Sodalite)(NaAlSi12Cl)および25%の珪素(Silicon)(Rigaku、カタログ番号2100/ALS)を使用して較正した。6つのサンプルステージ(samples stage)をゼロバックグラウンドサンプルホルダー(zero background sample holders)(SH−LBSI511−RNDB)とともに使用した。粉末試料を意図した領域に置き、ガラススライドをぴったりと取り付けた。
【0107】
(FTIR(フーリエ変換赤外)分光法)
FTIRスペクトルを、スマートオービット試料室(smart orbit sampling compartment)、ダイヤモンドウィンドウ(diamond window)を持つThermo Scientific,Nicolet 6700 FT−IR分光光度計から、ソフトウェア:Omnic,7.4を使用して取得した。粉末試料をダイヤモンド結晶上に直接置き、試料の表面をダイヤモンド結晶の表面に合わせるために圧力をかけた。バックグラウンドスペクトルを取得し、次いで、この試料のスペクトルを取得した。取得の設定は以下のとおりとした:
検出器:DTGS KBr;
ビーム分割器:KBr;
線源:IR;
スキャン範囲:4000〜400cm−1
Gain:8.0;
光速度:0.6329cm/sec;
アパーチャー(Aperture):100;
スキャン数:32;および
分解能:4cm−1
【0108】
(実施例1)
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(7)の調製
【0109】
【化2】

2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン2(200g、1.023mol)、ジエチル2−(エトキシメチレン)マロナート3(276g、1.3mol)、およびトルエン(100mL)を、Dean−Starkコンデンサーを取り付けた三口の1Lの丸底フラスコの中で、窒素雰囲気下で混合した。この溶液を撹拌しながら140℃に加熱し、この温度を4時間維持した。反応混合物を70℃に冷却し、ヘキサン(600mL)をゆっくりと添加した。得られたスラリーを撹拌し、室温に温めた。固体を濾過によって収集し、ヘキサン中の10%の酢酸エチルで洗浄し(2回×400mL)、その後、減圧下で乾燥させて、所望される縮合産物であるジエチル2−((2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチレン)マロナート4として白色固体(350g、94%の収率)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 11.28(d,J=13.0Hz,1H),8.63(d,J=13.0Hz,1H),8.10(s,1H),7.80(d,J=8.3Hz,1H),7.50(dd,J=1.5,8.4Hz,1H),4.24(q,J=7.1Hz,2H),4.17(q,J=7.1Hz,2H),1.27(m,6H)。
【0110】
エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート(5)の調製。三口の1Lのフラスコに、ダウサム(Dowtherm(登録商標))(200mL、8mL/g)をチャージし、これを200℃で1時間脱気した。溶媒を260℃に加熱し、これに、10分間かけて少量ずつジエチル2−((2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチレン)マロナート4(25g、0.07mol)をチャージした。得られた混合物を260℃で6.5時間(h)撹拌し、得られたエタノール副産物(ethanol byproduct)を蒸留により除去した。この混合物をゆっくりと80℃に冷却した。ヘキサン(150mL)を、30分(min)かけてゆっくりと添加し、続いてさらに200mLのヘキサンを一度に添加した。スラリーを、これが室温に到達するまで撹拌した。固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し(3回×150mL)、その後、減圧下で乾燥させてエチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート5を褐色の固体(13.9g、65%の収率)として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ 11.91(s,1H),8.39(s,1H),8.06(d,J=8.3Hz,1H),7.81(d,J=8.4Hz,1H),4.24(q,J=7.1Hz,2H),1.29(t,J=7.1Hz,3H)。
【0111】
エチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシラート(6)の調製。三口の5Lのフラスコに、エチル8−クロロ−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート5(100g、0.3mol)、エタノール(1250mL、12.5mL/g)、およびトリエチルアミン(220mL、1.6mol)をチャージした。その後、この容器に、10gの10% Pd/C(50%wet)を5℃でチャージした。この反応物を、水素雰囲気下で20時間、5℃で激しく撹拌した。その後、反応混合物をおよそ150mLの容量に濃縮した。Pd/Cを含むスラリーとしての生成物であるエチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシラート6を、次の工程に直接用いた。
【0112】
4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(7)の調製。エチル4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボキシラート6(58g、0.2mol、Pd/Cを含有する粗反応物のスラリー)を、環流冷却器を持つ1Lのフラスコ中のNaOH(814mLの5M、4.1mol)中に懸濁し、80℃で18時間加熱し、続いて100℃で5時間、さらに加熱した。この反応物を、充填したCeliteを通して保温濾過(filtered warm)してPd/Cを除去し、Celiteを1NのNaOHでリンスした。濾液を約pH1に酸性化して、高粘度の白色沈殿を得た。この沈殿を濾過し、その後、水および冷アセトニトリルでリンスした。その後、固体を減圧下で乾燥させて、4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸7を白色固体(48g、92%の収率)として得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d)δ 15.26(s,1H),13.66(s,1H),8.98(s,1H),8.13(dd,J=1.6,7.8Hz,1H),8.06−7.99(m,2H)。
【0113】
(実施例2)
4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリンの調製
【0114】
【化3】

7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン(20)の調製。窒素雰囲気下から得た7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンヒドロクロリド9(4.6g、34.43mmol)を含むフラスコに、アセトニトリル(50mL)中の4−フルオロ−1−ニトロ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン8(6.0g、28.69mol)とトリエチルアミン(8.7g、12.00mL、86.07mmol)の溶液を添加した。この反応フラスコを窒素雰囲気下で16時間、80℃で加熱した。この反応混合物を冷却し、その後、水とジクロロメタンとの間に分配した。有機層を1MのHClで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン中の0〜10%の酢酸エチル)により、7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン10(7.2g、88%の収率)を黄色い固体として得た。H NMR(400.0MHz,DMSO−d)δ 8.03(d,J=9.1Hz,1H),7.31(d,J=2.4Hz,1H),7.25(dd,J=2.6,9.1Hz,1H),4.59(s,2H),1.69−1.67(m,4H),1.50(d,J=7.0Hz,4H)。
【0115】
4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン(11)の調製
7−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン10(7.07g、24.70mmol)および10%のPd/C(0.71g、6.64mmol)をチャージしたフラスコを空にし(evacuated)、その後、窒素をフラッシュした。エタノール(22mL)を添加し、反応フラスコに水素バルーン(hydrogen balloon)を取り付けた。12時間激しく撹拌した後、この反応混合物に窒素をパージし、Pd/Cを濾過により除去した。濾液を減圧下で暗色の油になるまで濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜15%の酢酸エチル)により精製して、4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン11を紫色の固体として得た(5.76g、91%の収率)。H NMR(400.0MHz,DMSO−d)δ 6.95(dd,J=2.3,8.8Hz,1H),6.79(d,J=2.6Hz,1H),6.72(d,J=8.8Hz,1H),4.89(s,2H),4.09(s,2H),1.61−1.59(m.4H)および1.35(d,J=6.8Hz,4H)。
【0116】
(実施例3)
N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1)の調製。
【0117】
【化4】

2−メチルテトラヒドロフラン(91.00mL)中の4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1H−キノリン−3−カルボン酸7(9.1g、35.39mmol)および4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)アニリン11(9.2g、35.74mmol)の溶液に、プロピルホスホン酸環状無水物(酢酸エチル中の50%溶液、52.68mL、88.48mmol)とピリジン(5.6g、5.73mL、70.78mmol)を室温で添加した。反応フラスコを、窒素雰囲気下で10時間、65℃で加熱した。次いで、室温に冷却した後、反応物を酢酸エチルで希釈し、飽和NaCO溶液(50mL)でクエンチした。層を分離させ、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。合わせて1つにした有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して褐色の固体とした。この粗固体生成物を酢酸エチル/ジエチルエーテル(2:1)中でスラリーにし、減圧濾過により収集し、酢酸エチル/ジエチルエーテル(2:1)でさらに2回洗浄して、生成物を明るい黄色の結晶状の粉末として得た。この粉末を温かい酢酸エチルに溶解させ、Celiteに吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィーによる精製(ジクロロメタン中の0〜50%の酢酸エチル)により、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(化合物1)を白色の結晶状の固体(形態A)として得た(13.5g、76%の収率)。LC/MS m/z 496.0[M+H]、保持時間1.48分(RP−C18、3分間かけた10〜99%のCHCN/0.05%のTFA)。H NMR(400.0MHz,DMSO−d)δ 13.08(s,1H),12.16(s,1H),8.88(s,1H),8.04(dd,J=2.1,7.4Hz,1H),7.95−7.88(m,3H),7.22(dd,2.5,8.9Hz,1H),7.16(d,J=2.5Hz,1H),4.33(s,2H),1.67(d,J=6.9Hz,4H),1.44(d,J=6.9Hz,4H)。
【0118】
形態Aの粉末回折図形を図1に示す。
【0119】
以下の表1は、形態Aの典型的なXRPDピークを提供する。
【0120】
【表1】

単晶X線分析に基づく形態Aの立体配置の絵を図2に示す。回折データは、シール管CuK−α線源(CuK−alpha source)およびApex II CCD検出器を備えたBruker Apex II Diffractometerで獲得した。構造を解明し、SHELXプログラム(Sheldrick,G.M.,Acta Cryst.A64,pp.112−122(2008))を使用して精緻化した。強度、統計学、および対称性に基づき、構造を解明し、三方晶系およびR−3空間群において精緻化した。形態Aは以下の単位格子サイズを有する:a=19.1670(4)Å、b=19.1670(4)Å、c=33.6572(12)Å、α=90°、β=90°、およびγ=120°。
【0121】
形態AのFTIRスペクトルが図3に提供される。
【0122】
以下の表2は、形態Aの典型的なFTIRピークを提供する。
【0123】
【表2−1】

【0124】
【表2−2】

(化合物のΔF508−CFTR増強特性を検出し、測定するためのアッセイ)
(化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための膜電位光学方法)
このアッセイは、NIH 3T3細胞中の機能性ΔF508−CFTRの増加についての読み出しとして蛍光プレートリーダー(例えば、FLIPR III、Molecular Devices,Inc.)を使用し、蛍光電圧検知色素を利用して、膜電位の変化を測定する。応答のための駆動力は、細胞を予め化合物で処理し、続いて電圧検知色素を含ませた後の、1回の液体添加工程によるチャネル活性化と組み合わせた塩素イオン勾配の作成である。
【0125】
増強剤化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強剤を同定するために、二重付加HTSアッセイ形式を開発した。このHTSアッセイは、蛍光電圧検知色素を利用して、温度修正したΔF508CFTR NIH3T3細胞中でのΔF508CFTRの開閉(コンダクタンス)の増加についての測定値として、FLIPR III上の膜電位の変化を測定する。応答のための駆動力は、細胞を予め増強剤化合物(またはDMSOビヒクル対照)で処理し、続いて再分布色素を含ませた後の、FLIPR IIIのような蛍光プレートリーダーを使用する1回の液体添加工程におけるフォルスコリンでのチャネル活性化と組み合わせたClイオン勾配である。
【0126】
(溶液)
浴溶液#1:(単位:mM)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHでpH7.4。
【0127】
塩化物を含まない浴溶液:浴溶液#1中の塩化物塩をグルコン酸塩に置き換える。
【0128】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学的測定に使用する。細胞を、175cmの培養フラスコ中の、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシン(pen/strep)、および25mMのHEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、5%のCOおよび90%の湿度で、37℃で維持する。全ての光学的アッセイについて、細胞を、384ウェルのマトリゲルをコーティングしたプレートに約20,000個/ウェルで播種し、37℃で2時間培養し、その後、増強剤アッセイについては、27℃で24時間培養した。修正アッセイ(correction assay)については、細胞を27℃または37℃で、化合物とともにおよび化合物を含めずに、16〜24時間培養する。化合物のΔF508−CFTR調節特性をアッセイするための電気生理学的アッセイ。
【0129】
(ウッシングチャンバーアッセイ)
ウッシングチャンバー実験を、光学的アッセイにおいて同定したΔF508−CFTR調節因子をさらに特性決定するために、ΔF508−CFTRを発現している分極した気管上皮細胞上で行った。非CFおよびCF気管上皮を気管支組織から単離し、先に記載したように培養し(Galietta,L.J.V.,Lantero,S.,Gazzolo,A.,Sacco,O.,Romano,L.,Rossi,G.A.,& Zegarra−Moran,O.(1998)In Vitro Cell.Dev.Biol.34,478−481)、NIH3T3馴化培地をプレコートしたCostar(登録商標)Snapwell(商標)フィルター上にプレートした。4日後、頂端膜用培地(apical media)を除去し、細胞を、使用する前に14日間以上、空気液体界面で増殖させた。これにより、繊毛のある(これは、気管上皮に典型的な特徴である)完全に分化した円筒状の細胞の単層を得た。非CF HBEは、いかなる肺疾患も明らかになっていない非喫煙者から単離した。CF−HBEは、ΔF508−CFTRについてホモ接合性の患者から単離した。
【0130】
Costar(登録商標)Snapwell(商標)細胞培養挿入物上で増殖させたHBEを、ウッシングチャンバー(Physiologic Instruments,inc.,San Diego,CA)に固定し、経上皮抵抗および短絡回路電流を、基底膜から頂端膜までのCl勾配(ISC)の存在下で、電圧−クランプシステム(Department of Bioengineering,University of Iowa,IA)を使用して測定した。簡単に説明すると、HBEを、電圧−クランプ記録条件(Vhold=0mV)下で、37℃で試験した。基底膜用溶液には、145のNaCl、0.83のKHPO、3.3のKHPO、1.2のMgCl、1.2のCaCl、10のグルコース、10のHEPES(pHはNaOHで7.35に調整した)(単位:mM)を含め、頂端膜用溶液には、145のグルコン酸Na、1.2のMgCl、1.2のCaCl、10のグルコース、10のHEPES(pHはNaOHで7.35に調整した)(単位:mM)を含めた。
【0131】
(増強剤化合物の同定)
典型的なプロトコールでは、基底膜から頂端膜へのCl濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンガー液を基底膜上で使用し、一方、頂端膜のNaClを、等モルのグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4に滴定した)に置き換えて、上皮を横切る大きなCl濃度勾配を得た。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、この細胞培養挿入物の頂端膜側に添加した。推定のΔF508−CFTR増強剤の有効性を、公知の増強剤であるゲニステインの有効性と比較した。
【0132】
(パッチ−クランプ記録)
ΔF508−NIH3T3細胞中の総Cl電流を、これまでに記載されているように穿孔パッチ記録形状を使用してモニターした(Rae,J.,Cooper,K.,Gates,P.,& Watsky,M.(1991)J.Neurosci.Methods 37,15−26)。電圧−クランプ記録を、Axopatch 200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を使用して22℃で行った。ピペット溶液には、150のN−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl、2のMgCl、2のCaCl、10のEGTA、10のHEPES(単位:mM)、および240μg/mlのアンホテリシン−B(pHをHClで7.35に調整した)を含めた。細胞外培地には、150のNMDG−Cl、2のMgCl、2のCaCl、10のHEPES(pHをHClで7.35に調整した)(単位:mM)を含めた。パルスの発生、データ取得、および分析は、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)とともに、Digidata 1320A/Dインターフェースを取り付けたPCを使用して行った。ΔF508−CFTRを活性化するために、10μMのフォルスコリンと20μMのゲニステインを浴に添加し、電流−電圧関係を30秒ごとにモニターした。
【0133】
(増強剤化合物の同定)
ΔF508−CFTRを安定的に発現する、NIH3T3細胞中の巨視的なΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大させるΔF508−CFTR増強剤の能力もまた、穿孔パッチ記録技術を使用して調べた。光学的アッセイにより同定した増強剤は、光学的アッセイにおいて観察されたものと類似の効力および有効性でIΔF508の用量依存性増加を誘起した。試験した全ての細胞において、増強剤の添加前および添加の間の逆転電位は、およそ−30mVであった。これは、計算したECl(−28mV)である。
【0134】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定的に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、ホールセル記録に使用する。これらの細胞を、175cmの培養フラスコ中の、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、および25mMのHEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、5%のCOおよび90%の湿度で、37℃で維持した。ホールセル記録については、2,500〜5,000個の細胞を、ポリ−L−リジンをコーティングしたガラスカバースリップ上に播種し、増強剤の活性を試験するための使用の前に、27℃で24〜48時間培養し、そして矯正因子の活性を測定するために、37℃で、矯正化合物とともに、または矯正化合物を含めずにインキュベーションした。
【0135】
(単一チャネル記録)
NIH3T3細胞中で発現されたwt−CFTRと温度矯正ΔF508−CFTRの開閉活性を、Axopatch 200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用して、これまでに記載されたているように(Dalemans,W.,Barbry,P.,Champigny,G.,Jallat,S.,Dott,K.,Dreyer,D.,Crystal,R.G.,Pavirani,A.,Lecocq,J−P.,Lazdunski,M.(1991)Nature354,526−528)、切り取った(excised)インサイドアウト膜パッチ記録を使用して観察した。ピペットには、150のNMDG、150のアスパラギン酸、5のCaCl、2のMgCl、および10のHEPES(pHはTris塩基で7.35に調整した)(単位:mM)を含めた。浴には、150のNMDG−Cl、2のMgCl、5のEGTA、10のTES、および14のTris塩基(pHはHClで7.35に調整した)(単位:mM)を含めた。切除後に、wt−CFTRおよびΔF508−CFTRの両方を、1mMのMg−ATP、75nMのcAMP依存性プロテインキナーゼの触媒サブユニット(PKA;Promega Corp.Madison,WI)、および電流のランダウンを妨害するプロテインホスファターゼを阻害するための10mMのNaFを添加することによって活性化させた。ピペット電位は80mVに維持した。チャネル活性を、2以下の活性チャネルを含む膜パッチから分析した。同時に開口する最大数から、実験過程の間の活性チャネルの数を決定した。単一チャネルの電流振幅を決定するために、120秒間のΔF508−CFTR活性により記録したデータを、100Hzにて「オフライン」でフィルターにかけ、次いでBio−Patch Analysisソフトウェア(Bio−Logic Comp.France)を使用して多重ガウス関数に適合した全点振幅ヒストグラムを構築するために使用した。微小電流の合計および開口確率(P)を、120秒のチャネル活性から決定した。このPを、Bio−Patchソフトウェアを使用して、またはP=I/i(N)の関係から決定した(ここでは、I=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、そしてN=パッチ中の活性チャネルの数)。
【0136】
(細胞培養)
ΔF508−CFTRを安定的に発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切り取った膜パッチ−クランプ記録に使用した。これらの細胞を、175cmの培養フラスコ中の、2mMのグルタミン、10%のウシ胎仔血清、1×NEAA、β−ME、1×ペニシリン/ストレプトマイシン、および25mMのHEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、5%のCOおよび90%の湿度で、37℃で維持した。単一チャネル記録のために、2,500〜5,000個の細胞を、ポリ−L−リジンをコーティングしたガラスカバースリップ上に播種し、そして使用前に24〜48時間、27℃で培養した。
【0137】
化合物1形態Aは、ATP結合カセットトランスポーターの調節因子として有用である。化合物1形態AのEC50(μm)は、2.0μM未満であると測定した。化合物1形態Aの有効性は、100%から25%と計算した。100%の有効性が、4−メチル−2−(5−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)フェノールを用いて得られる最大応答であることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態Aとして特性決定される、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド。
【請求項2】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約7.9度での1つのピークを特徴とする、請求項1に記載の形態A。
【請求項3】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約9.3度での1つのピークを特徴とする、請求項1または2に記載の形態A。
【請求項4】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約11.9度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項5】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約14.4度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項6】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約15.1度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項7】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約15.8度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項8】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約17.0度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項9】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約17.7度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項10】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約19.3度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項11】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約20.1度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項12】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約21.4度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項13】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約21.8度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項14】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約23.4度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項15】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約23.8度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項16】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約25.6度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項17】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約26.8度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項18】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約29.4度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項19】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約29.7度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項20】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約30.1度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項21】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約31.2度での1つのピークを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項22】
前記形態AがX線粉末回折パターンにおける約7.9度での1つのピーク、約11.9度での1つのピーク、約14.4度での1つのピーク、および約15.8度での1つのピークを特徴とする、請求項1に記載の形態A。
【請求項23】
前記形態Aが図1に示した回折パターンを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の形態A。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aと、薬学的に許容されるアジュバントまたは担体を含む、薬学的組成物。
【請求項25】
粘液溶解薬、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染症薬、抗炎症剤、形態A以外のCFTR調節因子、または栄養剤から選択されるさらなる薬剤をさらに含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記さらなる薬剤が形態A以外のCFTR調節因子である、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
患者において疾患を処置するかまたは疾患の重篤度を低下させる方法であって、前記疾患が、嚢胞性線維症、喘息、喫煙が原因であるCOPD、慢性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、膵炎、膵不全、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、軽度の肺疾患、特発性膵炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、肝臓病、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症、サンドホッフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性上皮小体機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質のプロセシングの機能不全が原因である))、ファブリー病、シュトロイスラー・シャインカー症候群(Prpプロセシングの機能不全が原因である))、不妊症、膵炎、膵不全、骨粗鬆症、骨減少症、ゴーハム症候群、塩素イオン症、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD、ならびに肝臓病から選択され、前記方法が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aの有効量を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項28】
前記疾患が嚢胞性線維症である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
患者において疾患を処置するかまたは疾患の重篤度を低下させる方法であって、前記疾患は、CFTRまたは環境因子をコードする遺伝子の突然変異が原因で低下したCFTR機能と関係があり、前記方法が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aの有効量を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項30】
前記疾患が、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、先天的な子宮と膣の欠損(CAUV)が原因で起こる女性不妊、特発性慢性膵炎(ICP)、特発性再発性膵炎、特発性急性膵炎、慢性副鼻腔炎、原発性硬化性胆管炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、糖尿病、ドライアイ、便秘、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、骨疾患、および喘息である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
患者において疾患を処置するかまたは疾患の重篤度を低下させる方法であって、前記疾患が正常なCFTR機能と関係があり、前記方法が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aの有効量を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項32】
前記疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、反復性気管支炎、急性気管支炎、副鼻腔炎、便秘、慢性膵炎、再発性膵炎、および急性膵炎、膵不全、先天性両側精管欠損症(CBAVD)が原因で起こる男性不妊、軽度の肺疾患、特発性膵炎、肝臓病、遺伝性気腫、胆石、胃食道逆流症、消化管悪性腫瘍、炎症性腸疾患、便秘、糖尿病、関節炎、骨粗鬆症、ならびに骨減少症である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患が、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固線溶機能不全(例えば、プロテインC欠乏症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシングの機能不全(例えば、家族性高コレステロール血症、1型カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症)、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー症)、ムコ多糖症、サンドホッフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性上皮小体機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG1型、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジン性DI、腎性DI、シャルコー・マリー・トゥース症候群、ペリツェウス・メルツバッハー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、いくつかのポリグルタミン神経障害(例えば、ハンチントン病、脊髄小脳失調症I型、脊髄および延髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー)、ならびに海綿状脳症(例えば、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質のプロセシングの機能不全が原因である))、ファブリー病、シュトロイスラー・シャインカー症候群))、ゴーハム症候群、塩素イオン症、先天性筋緊張症(トムソンおよびベッカー型)、バーター症候群III型、デント病、過剰驚愕症、癲癇、過剰驚愕症、リソソーム蓄積症、アンジェルマン症候群、原発性線毛ジスキネジア(PCD)、内臓逆位症を伴うPCD(カルタゲナー症候群としても知られている)、内臓逆位症と毛様体無形成を伴わないPCD、またはシェーグレン症候群である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
インビトロまたはインビボでの生物学的試料中のCFTRあるいはその断片の活性の測定に使用するためのキットであって:
(i)請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aを含む組成物;
(ii)a)前記組成物を前記生物学的試料と接触させる工程;
b)前記CFTRまたはその断片の活性を測定する工程
のための説明書
を含む、キット。
【請求項35】
a)さらなる組成物を前記生物学的試料と接触させる工程;
b)前記さらなる化合物の存在下で、前記CFTRまたはその断片の活性を測定する工程;そして
c)前記さらなる化合物の存在下でのCFTRの活性を形態Aの存在下でのCFTRの密度と比較する工程
のための説明書をさらに含む、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
CFTRを請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態Aと接触させる工程を含む、生物学的試料中のCFTR活性を調節する方法。
【請求項37】
以下の単位格子サイズを有している、請求項1〜23のいずれか1項に記載の形態A:
a=19.2Å;b=19.2Å;およびc=33.7Å。
【請求項38】
三方晶系、R−3空間群、および以下の単位格子サイズ:
a=19.2Å;b=19.2Å;c=33.7Å;α=90°;β=90°;およびγ=120°
を有している、N−(4−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−4−オキソ−5−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミドの結晶形態。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−506868(P2012−506868A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533386(P2011−533386)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/061942
【国際公開番号】WO2010/048573
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】