N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドのジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物
本発明は、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものである。
より詳細には、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド及び特定のジカルボン酸を反応させて製造された結晶性酸付加塩に関するものであって、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質がより改善されるだけでなく、毒性が低く、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療に必要なN,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものである。
より詳細には、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド及び特定のジカルボン酸を反応させて製造された結晶性酸付加塩に関するものであって、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質がより改善されるだけでなく、毒性が低く、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療に必要なN,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものであって、より詳細には、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド及び特定のジカルボン酸を反応させて製造された結晶性酸付加塩であって、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質が優れていて、毒性が低いため、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療に非常に効果的な薬剤学的組成物として有効な、N,N−ジメチルイミドカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド(N,N−dimethyl imidodicarbonimidic diamide)は、一般名がメトホルミン(Metformin)であるビグアナイド(Biguanide)系薬品であり、2型糖尿病患者や糖不耐性である人がこの薬品を服用すると、肝臓での糖の生成を調節して、筋肉での糖の利用率を増加させ、血糖降下作用を発揮して、脂質代謝を改善させ、糖尿病合併症の発生及び悪化を予防及び治療することができる薬品である。
【0003】
全ての経口用糖尿病治療剤のうちのメトホルミンだけが1次選択薬としての特徴を有しているという事実は、多数の論文で提示されている。特に、メトホルミンの薬効がAMPKを活性化するという事実が立証されて、その臨床効果の正当性を立証することとなった。AMPKは、炭水化物代謝及び脂質代謝を生理的に調節する核心酵素であり、メトホルミンは、この酵素を活性化することによって、高血糖を正常化させ、脂質の状態を改善させて、月経不順、排卵、及び妊娠を正常化させ、脂肪肝を治療して、p53遺伝子が欠如した癌の予防及び治療に効果的であると報告された。
【0004】
ペンシルバニア医大癌研究所(Abramson Cancer Center)が癌専門誌を通してp53遺伝子が欠如した癌の予防及び治療にAMPK酵素活性化剤であるメトホルミンが効果があると報告した[Monica Buzzai,et al.Syntemic Treatment with the Antidiabetic Drug Metformin Selectively Impairs p53−Deficient Tumor Cellgrowth,Cancer Res 2007;67:(14);July 15,2007]。
【0005】
メトホルミンは、薬学的に遊離塩基形態であるものが有用であるが、安定性が低下する短所があるため、薬剤学的に許容可能な酸付加塩形態で投与されている。
大韓民国特許登録第90,479号には、薬剤学的に許容可能な塩形態に製造する際には、(1)優れた溶解度;(2)優れた安定性;(3)非吸湿性;(4)錠剤剤形への加工性などの四種類の物理化学的基準を充足しなければならないと記述している。薬剤学的に許容される酸付加塩で四種類の基準を全て充足するのはかなり難しい。
【0006】
メトホルミン塩酸塩ではないそれ以外の付加塩に対する研究は、以前から行われてきた。CN1962661Aでは、臨床的に抗悪性貧血因子として使用される塩酸を利用したメトホルミン塩酸塩に対する特許を出願し、WO2005/033067では、高脂血症、高血糖症の治療に使用されるメトホルミン1、2、6、7、8、8a−ヘキサヒドロ−ベータ、ガンマ、6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−[2s]−2−メチル−1−ヨウ素ブトキシ]−、(ベータR、ガンマR、1S、2S、6S、8S、8aS)−1−ナフタレンヘプタ酸塩に対する特許を出願した。US3,957,853では、メトホルミンアセチルサリチル酸塩に対する特許を出願し、US4,028,402では、ビグアナイド系化合物の新規の付加塩に対する特許を出願した。US4,080,472では、メトホルミンクロフィブリン酸塩の糖尿病関連疾患に対する特許を出願し、US6,031,004では、メトホルミンのフマル酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩による医薬組成物及びその用途に対する内容を開示しており、US4,835,184では、p−クロロ−フェノキシ酢酸塩、US3,903,141では、アダマンタン塩に対する内容を開示している。
【0007】
このように、メトホルミン付加塩に対する研究は着実に行われてきたが、現在のところ、メトホルミンは塩酸塩形態の薬品だけが許可されて、インシュリン非依存性糖尿病(non−insulin dependent diabetes mellitus)治療剤として幅広く処方されており、メトホルミン塩酸塩の通常の投与量は、1日最大2550mgで、食事と共に500mg、750mg錠剤を一日に2〜3回にわたって投与する。しかし、このようなメトホルミン塩酸塩及びその他の付加塩は、薬理学的効果のために、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質の改善及び毒性の低下が要求されている。
【0008】
一方、最近では、リンゴ酸の多様な薬理的効果に対する研究が活発に行われている。リンゴ酸は、白色の結晶または結晶性粉末を含み、多少特異な臭いを有するか、無臭である。そして、一般に、エーテルには溶解しないが、水及びアルコールによく溶解し、人体内の代謝過程であるクレプス回路に関与して、動脈硬化や高血圧への効果が優れている。
このように、リンゴ酸そのものに対する研究は活発に行われ、食品としてのリンゴ酸に対する研究の結果で相当な効果を示しているが、本発明で示すようなメトホルミンリンゴ酸塩としての効果は示されておらず、メトホルミンとの相互作用に対する効果に対しても全く言及されていない。
【0009】
一方、既存の特許(米国特許4,080,472)では、メトホルミン遊離塩基を合成する時に、メトホルミン塩酸塩から塩酸を除去するために、イオン交換樹脂コラムを使用して複雑に生産し、溶媒を加熱還流して熱い状態でろ過する苛酷な生産条件を要求する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、非吸湿性、安定性、付着防止特性などの物理化学的性質が優れていて、毒性が低いメトホルミンの新規のジカルボン酸塩を提供することにある。
また、本発明の目的は、イオン交換樹脂コラムの使用、溶媒を加熱還流して熱い状態でろ過する苛酷な生産条件が不要なメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、メトホルミンの新規のジカルボン酸塩を活性成分として含み、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防及び治療に非常に効果的な薬剤学的組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の(1)−(12)の要素で構成されている。
(1)下記の化学式1で示されることを特徴とする、メトホルミンジカルボン酸塩。
【0013】
【化1】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
(2)前記(1)で、無水和物または水和物状態のメトホルミンジカルボン酸塩。
(3)下記の化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び無機アルカリ2ないし4当量を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で反応させて、下記の化学式3のメトホルミン遊離塩基を生成した後、化学式4のジカルボン酸1当量と反応させることを特徴とする、化学式1で示されるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
(4)化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量、有機アルカリ2ないし4当量、及びリンゴ酸1当量を有機溶媒で同時に反応させることを特徴とする、化学式1aのメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【0017】
【化5】
(5)化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び下記の化学式5の有機アルカリ1当量を水で反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【0018】
【化6】
【0019】
(6)前記(3)で、化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩がメトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、またはメトホルミン(2:1)リンゴ酸塩である製造方法。
(7)前記(3)で、無機アルカリが水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである製造方法。
(8)前記(4)で、有機アルカリが炭酸カリウムである製造方法。
(9)前記(3)または(4)で、有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される方法。
【0020】
(10)前記(1)の化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含む糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群が複合的に発現する代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解から選択される1種以上の疾患の予防または治療用薬剤学的組成物。
(11)前記(10)で、錠剤またはカプセル剤に剤形化された薬剤学的組成物。
(12)前記(10)または(11)で、メトホルミン遊離塩基として1日1回ないし3回にわたって50mgないし3,000mgが経口投与されることを特徴とする組成物。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、既存の糖尿病治療剤として使用されたメトホルミン塩酸塩より血糖降下効果が優れていて、特に、空腹時だけでなく食後の血糖降下効果が非常に優れていて、インシュリン感受性を増加させる効果を示す。
また、本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩の製造方法は、単純で特別な設備なく行うことができるように工程を確立した。本発明によるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法は、特別な設備なく一般的な生産設備で合成することができるように単純に工程を改善して、産業利用可能性を高めて、より低い単価でメトホルミンの新規塩を合成することができる。
【0022】
前記のように、本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、薬剤学的剤形の製造に適した結晶性酸付加塩として塩酸を使用して製造される既存のメトホルミン塩酸塩に比べて、毒性が比較的低いジカルボン酸を使用して、安定性、非吸湿性、及び付着防止特性などの物理化学的性質を向上させるだけでなく、毒性が低くて、メトホルミン塩酸塩と同様に糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防及び治療に非常に効果的な薬剤学的組成物を製造することができて、薬理的にも優れた効果を期待することができる。
【0023】
下記の表1はメトホルミン塩酸塩の結晶性酸付加塩を形成する塩酸と、メトホルミンジカルボン酸塩の結晶性酸付加塩を形成するマロン酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸との経口毒性を比較した表である。
【0024】
【表1】
【0025】
前記表1に示されているように、メトホルミンの結晶性酸付加塩の製造に使用された塩酸は、化合物そのものでも毒性があるが、本発明で使用するジカルボン酸は、塩酸に比べて毒性が比較的低いことが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】メトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図2】メトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した13C−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図3】メトホルミングルタル酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図4】メトホルミンアジピン酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図5】メトホルミングルタル酸塩による実施例2に対するpKa値に対する資料である。
【図6】メトホルミンアジピン酸塩による実施例14に対するpKa値に対する資料である。
【図7】メトホルミンリンゴ酸塩による実施例22に対するpKa値に対する資料である。
【図8】メトホルミングルタル酸塩による実験例8に対する濃度依存を示した資料である。
【図9】メトホルミンアジピン酸塩による実験例8に対する濃度依存を示した資料である。
【図10】メトホルミンリンゴ酸塩に対して赤外部スペクトル(TRAVEL−IR、SENSIR、TECHNOLOGIES/US)で測定して得られた主要吸収帯の位置及び吸収ピークを示したものである。
【図11】メトホルミンリンゴ酸塩の示差走査熱量を分析(TA instruments DSC 2910 MDSCV4.4E/US)した結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、溶解度、安定性、非吸湿性、及び付着防止特性など物理化学的性質が優れていて、毒性が低く、糖尿病及びその合併症の予防及び治療に特に有効な、下記の化学式1のメトホルミンの新規のジカルボン酸塩に関するものである。
【0028】
【化7】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【0029】
本発明による化学式1のメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、化学式1のうちのXが−(CH2)−である場合にはメトホルミンマロン酸塩、Xが−(CH2)3−である場合にはメトホルミングルタル酸塩、Xが−(CH2)4−である場合にはメトホルミンアジピン酸塩、Xが−CH2−CH(OH)−である場合にはメトホルミンリンゴ酸塩である。
また、本発明では、前記化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法を含み、その製造方法のうちの一つの態様は、下記の反応式1に示したように、水、有機溶媒、またはこれらの混合物中で化学式2のメトホルミン塩酸塩に無機アルカリを添加して、化学式3で示されるメトホルミン遊離塩基を製造した後、化学式4で示されるジカルボン酸を反応させて製造することによって構成される。
【0030】
前記反応式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【0031】
前記反応式1で示される本発明の製造方法を各段階別に細分化すれば、
1)化学式2のメトホルミン塩酸塩を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で無機アルカリと反応させて付加塩を除去する段階;
2)化学式4のジカルボン酸を有機溶媒に溶解した後、前記化学式3のメトホルミン遊離塩基を含む反応液に添加して混合物を製造する段階;
3)前記混合物を攪拌して得られた固体をろ過、洗浄、及び乾燥して、化学式1の新規の結晶性酸付加塩を形成する段階;から構成される。
【0032】
本発明による化学式1のメトホルミン結晶性酸付加塩は、前記化学式3で示されるメトホルミン遊離塩基を含む反応液内にジカルボン酸を添加して製造するが、これを各製造段階別に詳細に説明する。
【0033】
製造段階の第1段階では、無機アルカリとして水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができ、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましく、前記無機アルカリは、メトホルミン塩酸塩2ないし4当量に対して2ないし4当量で使用するのが好ましい。
第2段階は、メトホルミン遊離塩基が含まれている反応液にジカルボン酸を添加する段階で、ジカルボン酸は、メトホルミン遊離塩基2ないし4当量に対して1当量で使用するのが好ましい。
【0034】
前記第1段階及び第2段階で使用される有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから選択された1種以上を使用するのが好ましい。
第3段階は、結晶性酸付加塩を形成する段階で、反応は、−10ないし100℃の温度範囲で行うのが好ましい。
【0035】
より単純化された工程として、前記第1段階及び第2段階の2段階を経ずにメトホルミンジカルボン酸を得る方法として、メトホルミン塩酸塩を有機溶媒条件下で炭酸カリウムなどの有機アルカリまたは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ及びジカルボン酸と同時に反応させて製造することもでき、ここで、メトホルミンリンゴ酸塩2ないし4当量に対して有機アルカリまたは無機アルカリ2ないし4当量及びジカルボン酸1当量を使用するのが好ましく、また、メトホルミン塩酸塩を水でリンゴ酸ナトリウム、その半水和物、その酸水和物、またはこれらの混合物から選択される有機アルカリと反応させてメトホルミンリンゴ酸塩を製造することもでき、ここで、メトホルミン塩酸塩2ないし4当量に対して有機アルカリ1当量を使用するのが好ましい。
【0036】
本発明で使用する用語であるメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩は、特別な言及がない限り、メトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、メトホルミン(2:1)リンゴ酸塩を意味する。
本発明のメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩は、これらの無水物及び水和物を全て含み、水和物は、1/4水和物乃至3水和物であるのが好ましい。
【0037】
本発明では、メトホルミン遊離塩基の製造工程を単純で特別な設備なく行うことができるように工程を確立した。メトホルミン塩酸塩の塩酸を除去するために、米国特許第4,080,472号では、イオン交換樹脂コラムを使用することを開示しており、米国特許第4,028,402号では、溶媒を加熱還流しながら熱い溶液をろ過する苛酷な生産条件の合成方法に対して開示している。しかし、本発明では、特別な設備なく、一般的な生産設備で合成することができるように工程を単純化して、より低い単価でメトホルミン有機酸塩を合成することによって、産業利用可能性を高めた。このような遊離塩基の合成方法は、薬剤学的に許容可能な塩を製造するのに使用される多様な酸との反応にも利用することができる。
【0038】
また、本発明は、前記化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含んで、多様な剤形の糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療用薬剤学的組成物に関するものである。
【0039】
前記方法によって製造された本発明のメトホルミンジカルボン酸塩は、薬剤学的に許容される担体を含んで、錠剤、軟質カプセル剤、硬質カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、注射剤、または液剤などの形態に、糖尿病などに関連する同伴疾患病的状態の予防または治療用薬剤学的製剤を製造することができる。
【0040】
この時、薬剤学的に許容される担体は、デンプン、微細結晶性セルロース、乳糖、ブドウ糖、マンニトル、硬質無水硅酸、アルカリ土類金属塩、ポリエチレングリコール、及びジカルシウムホスフェートなどを使用することができる。結合剤としては、デンプン、微細結晶性セルロース、高分散性シリカ、マンニトル、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム、合成ゴム、コポビドン、及びゼラチンなどを使用することができる。崩壊剤としては、デンプングリコン酸ナトリウム、とうもろこしデンプン、ジャガイモデンプン、または予備ゼラチン化デンプンなどのデンプンまたは変性デンプンと、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム(veegum)などのクレーと、微細結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類と、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸などのアルギン類と、クロスカメロス(croscarmellose)ナトリウムなどの架橋セルロース類と、クロスポビドン(crospovidone)などの架橋重合体と、重炭酸ナトリウム、クエン酸などの沸騰性製剤などとを混合使用することができる。潤滑剤としては、タルク、硬質無水硅酸、ステアリン酸マグネシウム、及びアルカリ土金属ステアレート型カルシウム、亜鉛など、ラウリルスルフェート、水素化植物性オイル、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムステアリルフマレート、グリセリルモノステアレート、及びポリエチレングリコール4000などを使用することができ、その他にも着色剤、香料から選択された多様な添加剤として薬学的に許容可能な添加剤を選択使用することができる。
【0041】
前述のように、メトホルミンジカルボン酸塩は、多様な形態の経口投与用製剤として活用が可能で、本発明による薬剤学的組成物の人体に対する投与容量は、患者の年齢、性別、体重、人種、健康状態、及び疾患の程度によって異なることもあり、処方医の判断によって分割投与も可能である。
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲はこれら実施例によって制限されない。
【実施例】
【0042】
実施例1:メトホルミンマロン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩200.0g(4当量)及び水酸化ナトリウム48.3g(4当量)をアセトン1.8L及び水0.8Lの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にマロン酸31.4g(1当量)をアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンマロン酸塩105.2g(収率:96.2%)を得た。
【0043】
実施例2:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.00g及び水酸化ナトリウム4.83gをクロロホルム−メチルアルコール(15:1)180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸3.98gをクロロホルム−メチルアルコール(15:1)に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.39g(収率:96.9%)を得た。
【0044】
実施例3:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩40.0g及び水酸化カリウム9.67gをアセトン360mL及び水16mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸7.98gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩16.7g(収率:70.8%)を得た。
【0045】
実施例4:メトホルミングルタル酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩10.0g及び水酸化ナトリウム2.40gをエチルアルコール100mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して生成された無機塩をろ過し、酢酸エチルを添加して、メトホルミン遊離塩基を製造する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミン遊離塩基6.50g(収率:83.4%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基10.0g及びグルタル酸3.98gをメチルアルコール100mLで加温(40℃)攪拌した後に、酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩5.15g(収率:43.8%)を得た。
【0046】
実施例5:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩10.0g、水酸化ナトリウム2.40g、そしてグルタル酸3.98gをエチルアルコール150mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液に酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩6.79g(収率:57.7%)を得た。
【0047】
実施例6:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩6.24g(収率:52.9%)を得た。
【0048】
実施例7:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩5.8g(収率:49.1%)を得た。
【0049】
実施例8:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.12g(収率:94.3%)を得た。
【0050】
実施例9:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩10.88g(収率:92.2%)を得た。
【0051】
実施例10:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン56.25mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩10.47g(収率:88.8%)を得た。
【0052】
実施例11:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をテトラヒドロフラン(THF)112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にテトラヒドロフラン(THF)水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.41g(収率:96.7%)を得た。
【0053】
実施例12:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)及び水酸化カリウム3.38g(2当量)をエタノール180mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸3.98g(1当量)をエタノールに溶解して滴下して、10℃で攪拌した後、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩7.27g(収率:61.6%)を得た。
【0054】
実施例13:メトホルミングルタル酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩500g(1当量)及び水酸化ナトリウム120.76g(1当量)をメタノール3750mL溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン5000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン4000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮して、メトホルミン遊離塩基233.3g(収率:59.84%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、アセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.24g(収率:95.3%)を得た。
【0055】
実施例14:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をエタノール100mLで室温で攪拌した後に、エタノールに溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩7.41g(収率:62.8%)を得た。
【0056】
実施例15:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.0g及び水酸化ナトリウム4.83gをアセトン180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアジピン酸4.41gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩11.26g(収率:92.3%)を得た。
【0057】
実施例16:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩40.0g及び水酸化カリウム9.66gをアセトン360mL及び水16mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアジピン酸8.82gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩22.01g(収率:90.2%)を得た。
【0058】
実施例17:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩10.00g及び水酸化ナトリウム2.40gをエチルアルコール100mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、酢酸エチルを添加して、メトホルミン遊離塩基を製造する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミン遊離塩基6.50g(収率:83.4%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基10.00g及びアジピン酸4.411gをメチルアルコール150mLで加温(40℃)攪拌した後に、酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩12.06g(収率:98.9%)を得た。
【0059】
実施例18:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩10.00g、水酸化ナトリウム2.40g、そしてアジピン酸2.20gをエチルアルコール150mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、再び酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩4.90g(収率:80.5%)を得た。
【0060】
実施例19:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩12.63g(収率:103.43%)を得た。
(2)メトホルミンアジピン酸塩10g(1当量)をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩5.92g(収率:59.2%)を得た。
【0061】
実施例20:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩10.95g(収率:89.6%)を得た。
【0062】
実施例21:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をテトラヒドロフラン(THF)112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にテトラヒドロフラン(THF)水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩11.94g(収率:97.7%)を得た。
(2)メトホルミンアジピン酸塩8.12g(1当量)をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩6.7g(収率:82.5%)を得た。
【0063】
実施例22:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩500g(1当量)及び水酸化ナトリウム120.76g(1当量)をメタノール3750mL溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン5000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン4000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮して、メトホルミン遊離塩基233.3g(収率:59.84%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、アセトン水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.47g(収率:93.9%)を得た。
【0064】
実施例23:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にリンゴ酸4.05g(1当量)をアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.83g(収率:99.8%)を得た。
【0065】
実施例24:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.0g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をテトラヒドロフラン(THF)180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.85g(収率:100%)を得た。
【0066】
実施例25:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)、水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)、リンゴ酸4.05g(1当量)をメタノール−エタノール(1:1)混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後、結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩8.94g(収率:75.4%)を得た。
【0067】
実施例26:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)及び水酸化カリウム3.38g(2当量)をエタノール180mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にリンゴ酸4.05g(1当量)をエタノールに溶解して滴下して、室温で攪拌した後、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後、熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩9.92g(収率:83.7%)を得た。
【0068】
実施例27:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)、炭酸カリウム8.34g(2当量)、リンゴ酸4.05g(1当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液で加温(100℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトンを滴下して、室温で攪拌した後、生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩1.49g(収率:12.6%)を得た。
【0069】
実施例28:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.85g(収率:100%)を得た。
【0070】
実施例29:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をメタノール180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にメタノール水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩9.27g(収率:78.2%)を得た。
【0071】
実施例30:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン56.25mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.64g(収率:98.2%)を得た。
【0072】
実施例31:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(2当量)及びリンゴ酸ナトリウム半水和物11.3g(1当量)を水70mL溶液で高温(100℃)攪拌した後に、10℃以下でアセトンを滴下した後、生成された結晶を1時間攪拌した後、ろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩14.29g(収率:60.4%)を得た。
【0073】
実施例32:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(2当量)、水酸化ナトリウム4.83g(2当量)、リンゴ酸8.09g(1当量)を水90mL溶液で高温(100℃)攪拌した後に、室温でアセトンを滴下した後、生成された結晶を室温で1時間攪拌した後、ろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩10.69g(収率:45.1%)を得る。
【0074】
実施例33:メトホルミンマロン酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミンマロン酸塩547.1g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)97.9gを各々20号網でふるった後、ドラムミキサーで60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、ercules、USA)15g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンマロン酸塩547.1mgを含む錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンマロン酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0075】
実施例34:メトホルミンマロン酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミンマロン酸塩547.1g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100M CR、Dow Chemical、USA)407.9gを各々20号網でふるった後、ミキサーで60分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン(Povidone、BASF、Germany)25g及びコロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンマロン酸塩547.1mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンマロン酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0076】
実施例35:メトホルミングルタル酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミングルタル酸塩589.4g及びジカルシウムホスフェート50.6gを各々20号網でふるった後、高速混合器で3分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン(Povidone、BASF、Germany)20gをイソプロパノール120gに添加して溶解して結合液を製造し、この結合液を高速混合器に投与した後、3分間練り合わせた。練り合わせた混練物をスチーム乾燥機で乾燥した後、20号網で整粒した。そして、コロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、V型混合器で60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム6gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミングルタル酸塩589.4mgを含む錠剤を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミングルタル酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0077】
実施例36:メトホルミングルタル酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミングルタル酸塩589.4g及びポリエチレンオキサイド(Polyox Coagulant、Dow Chemical、USA)370.6gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、Hercules、USA)25g及びコロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミングルタル酸塩589.4mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミングルタル酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0078】
実施例37:メトホルミンアジピン酸塩含有カプセル剤の剤形化
メトホルミンアジピン酸塩305.27g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)1134.73gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。コロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉をカプセルに充填(SF−40N、世宗ファーマテック、韓国)して、1カプセル中にメトホルミンアジピン酸塩305.27mgを含むカプセルを製造した。
【0079】
実施例38:メトホルミンアジピン酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミンアジピン酸塩610.54g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100MCR、Dow chemical、USA)374.46gを各々20号網でふるって、ダブルコーン混合器で60分間混合した。この混合粉を15〜25Mpaの圧力条件でローラーコンパクティング(VPS−1920、POONG−SUNG EIM、韓国)してスラッグを製造し、20号網で整粒した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース15g(Klucel、Hercules、USA)及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil200VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記整粒物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンアジピン酸塩610.54mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンアジピン酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0080】
実施例39:メトホルミンリンゴ酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミンリンゴ酸塩610.54g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)28.46gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセテート(Kollidon VA64、BASF、Germany)13g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)4gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸4gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンリンゴ酸塩610.54mgを含む錠剤を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンリンゴ酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0081】
実施例40:メトホルミンリンゴ酸塩含有フィルムコーティング錠剤の剤形化
メトホルミンリンゴ酸塩610.54g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100MCR、Dow Chemical、USA)300.46gを各々20号網でふるった後、ダブルコーン混合器で60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、Hercules、USA)12g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸7gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンリンゴ酸塩610.54mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗機械、韓国)を利用してオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材として裸錠重量の3%をフィルムコーティングしてコーティング層を形成して、メトホルミンリンゴ酸塩が含まれているフィルムコーティング錠剤を製造した。
【0082】
実験例1:粉末X線回折分析スペクトル
結晶構造の回折パターン、結晶の面間隔、回折線の強度を確認するために、粉末X線回折測定を行った。
前記各実施例1、2、15、23で合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩の粉末X線回折分析測定時にスペクトルに現われた特徴的なピーク(peak)を下記の表2、3、4、5に示し、ここで「2θ」は回折角、「d」は結晶面間の距離、「I/Iο」はピークの相対強度を意味する。下記の分析は、Rigaku社D/MAX−2200V X−ray Diffractometer(XRD)で分析した。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
実験例2:融点の測定
前記各実施例1、2、15、23によって合成した化学式1のメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩を融点測定器(IA9100 MK1、Barnstead、UK)で測定して、メトホルミン塩酸塩の融点である222.8〜224.0℃と異なる融点を表6に示した。
【0088】
【表6】
【0089】
実験例3:核磁気共鳴分析(1H−NMR、1C−NMR)
前記各実施例1、2、15、23によって合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H、13C−核磁気共鳴スペクトルを図1、2、3、4に示し、各々のシグナルの帰属データを表7に示した。核磁気共鳴スペクトルの溶媒は、重水素に置換された水(D2O)を使用した。
【0090】
【表7】
【0091】
実験例4:溶解度実験
前記各実施例1、2、15、23によって合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩の溶解度を確認するために、メトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩の飽和溶解度及び飽和時のpHを測定して、表8、図5、6、7で比較した。
メトホルミンマロン酸塩の溶解度実験は、大韓薬典に紹介された方法によって各々の化合物を蒸溜水に飽和されるように溶解した後、前記溶液を液体クロマトグラフィーで分析して、メトホルミン塩基(free base)を基準に溶解した量を測定し、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩の溶解度実験は、DMSOを含まない状態で純粋な水に対してNEPHEL Ostar装備を利用して測定した。
【0092】
【表8】
【0093】
実験例5:質量分析器による定性分析
前記各実施例2、15、23によって合成した化学式1のメトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩を質量分析器(Applied Biosystems,Inc.API 3000)で分析したデータは下記の通りであった。
メトホルミンリンゴ酸塩は、m/z=130.11[MH+]で、メトホルミン遊離塩基の質量に相当する分子量と一致し、60.05、71.05、85.04、88.08、113.08、130.1のフラグメントイオンも同一な化学構造で推定されるという開裂様式と一致した。
【0094】
実験例6:メトホルミンマロン酸塩の定性的確認
前記実施例1で製造された化学式1のメトホルミンマロン酸塩及び公知のメトホルミン塩酸塩を40℃の温度及び75%の相対湿度条件で各々1日、2日、及び5日間持続的に露出させた後、各々の水分含有量をカール−フィッシャー(Karl−Fisher)水分測定器で測定し、その結果を下記の表12に示した。表9で、測定数値は活性成分に含まれている水分の含有量を含水率(重量%)で示したものである。また、水分が殆どない60℃の温度及び15%の湿度条件で実験して、水和物が含んでいる結晶水の解離程度を測定することによって、結晶水が放出されない安定した水和物であるか否かも確認した。
【0095】
【表9】
【0096】
前記表9に示したように、化学式1のメトホルミンマロン酸塩水和物は、多湿条件でも公知の塩酸塩と同様に水分を吸収しない非吸湿性塩であることを確認し、また、低湿度条件でも元来の結晶水を放出しない安定した水和物であることを確認した。
【0097】
実験例7:メトホルミンマロン酸塩の効力実験
本発明の実施例1に記述された方式で合成されたメトホルミンマロン酸塩を高脂血症を誘発させたラットに1週間経口投与して、脂質改善効果を観察した。簡略な実験方法は下記の表10の通りである。
【0098】
【表10】
【0099】
本実験によって得られた血液生化学的検査の結果は、下記の表11の通りである。
【0100】
【表11】
【0101】
1.メトホルミンマロン酸塩及びメトホルミン塩酸塩投与群のAST、ALT数値は、統計学的に有意的差がなかった。BUN、CRE数値も、類似した数値を示した。
2.メトホルミンマロン酸塩を投与した時の血中コレステロールは、無処置群に比べて平均35.86%減少し、これは、メトホルミン塩酸塩を投与した群に比べて14.04%低い数値である。この実験の結果から、メトホルミンマロン酸塩は、既存のメトホルミン塩酸塩よりコレステロール減少効果が優れていることが分かる。
3.メトホルミンマロン酸塩を投与した群で、Triglyceride数値が無処置群、メトホルミン塩酸塩投与群より若干高かったが、統計学的に有意的差はなかった。
4.血中LDL数値は、メトホルミンマロン酸塩投与群で有意的に低い数値を示した。これは、無処置群に比べて38.64%、メトホルミン塩酸塩に比べて15.13%低い数値である。
5.血中HDL数値は、各群で有意的差がなかった。
【0102】
結論的に、メトホルミンマロン酸塩は、肝数値や尿数値の変化を与えない安全な物質であり、既存のメトホルミン塩酸塩に比べて血中コレステロール及びLDL数値を低くする効果はむしろ優れた化合物である。
【0103】
実験例8:組成確認実験
メトホルミングルタル酸塩及びメトホルミンアジピン酸塩の構造上の組成比率を確認して分析するために、下記のような実験を行った。
表12、13は、化学式1で示した組成分子量値を適用して、同一なモル濃度でメトホルミングルタル酸塩及びメトホルミン塩酸塩の遊離塩基をHPLCの面積値で比較分析して、一致することを確認した。
図8、9では、表12、13の(2:1)の組成からなる結果の実施例2(メトホルミングルタル酸塩)、実施例15(メトホルミンアジピン酸塩)が濃度依存的であることを確認した。
【0104】
【表12】
【0105】
【表13】
【0106】
イオン化されるメトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩は、pHにより酸、塩基、または両性化合物として作用するので、各適正点でpH変化が起こるようになり、計算されたpH値及び実際に測定されたpH値の差からpKa値は下記の通りである。
【0107】
【表14】
【0108】
【表15】
【0109】
実験例10:元素の分析(EA)
前記各実施例15、23、31で合成したメトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩に対して元素を分析(前記分析のうち、C、H、NはFISONS EA−1108 Elemental Analyzerにより、OはThermo Finnigan FLASH EA−1112 Elemental Analyzerによる)した結果を表16、17、18に示した。
【0110】
【表16】
【0111】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンアジピン酸塩は、分子式C14H32N10O4の無水和物理論値と一致することを示した。
【0112】
【表17】
【0113】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンリンゴ酸塩は、分子式C12H28N10O5の4分子当たりのH2Oが1分子の理論値と一致することを示した。
【0114】
【表18】
【0115】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンリンゴ酸塩は、分子式C12H28N10O5の無水和物理論値と一致することを示した。
【0116】
実験例11:赤外部スペクトル(IR)
前記実施例23で合成したメトホルミンリンゴ酸塩に対して赤外部スペクトル(TRAVEL−IR、SENSIR、TECHNOLOGIES/US)で測定して得られた主要吸収帯の位置及び吸収ピークの帰属結果を表19及び図10に示した。
【0117】
【表19】
【0118】
実験例12:示差走査熱量の分析
実施例23で合成したメトホルミンリンゴ酸塩の示差走査熱量を分析(TA instruments DSC 2910 MDSC V4.4E/US)し、その結果を図11に示した。この薬は、約226.4℃付近で分解に伴う吸熱ピークが観察された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものであって、より詳細には、N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド及び特定のジカルボン酸を反応させて製造された結晶性酸付加塩であって、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質が優れていて、毒性が低いため、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療に非常に効果的な薬剤学的組成物として有効な、N,N−ジメチルイミドカルボンイミド酸ジアミドの新規のジカルボン酸塩、その製造方法、及びその薬剤学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド(N,N−dimethyl imidodicarbonimidic diamide)は、一般名がメトホルミン(Metformin)であるビグアナイド(Biguanide)系薬品であり、2型糖尿病患者や糖不耐性である人がこの薬品を服用すると、肝臓での糖の生成を調節して、筋肉での糖の利用率を増加させ、血糖降下作用を発揮して、脂質代謝を改善させ、糖尿病合併症の発生及び悪化を予防及び治療することができる薬品である。
【0003】
全ての経口用糖尿病治療剤のうちのメトホルミンだけが1次選択薬としての特徴を有しているという事実は、多数の論文で提示されている。特に、メトホルミンの薬効がAMPKを活性化するという事実が立証されて、その臨床効果の正当性を立証することとなった。AMPKは、炭水化物代謝及び脂質代謝を生理的に調節する核心酵素であり、メトホルミンは、この酵素を活性化することによって、高血糖を正常化させ、脂質の状態を改善させて、月経不順、排卵、及び妊娠を正常化させ、脂肪肝を治療して、p53遺伝子が欠如した癌の予防及び治療に効果的であると報告された。
【0004】
ペンシルバニア医大癌研究所(Abramson Cancer Center)が癌専門誌を通してp53遺伝子が欠如した癌の予防及び治療にAMPK酵素活性化剤であるメトホルミンが効果があると報告した[Monica Buzzai,et al.Syntemic Treatment with the Antidiabetic Drug Metformin Selectively Impairs p53−Deficient Tumor Cellgrowth,Cancer Res 2007;67:(14);July 15,2007]。
【0005】
メトホルミンは、薬学的に遊離塩基形態であるものが有用であるが、安定性が低下する短所があるため、薬剤学的に許容可能な酸付加塩形態で投与されている。
大韓民国特許登録第90,479号には、薬剤学的に許容可能な塩形態に製造する際には、(1)優れた溶解度;(2)優れた安定性;(3)非吸湿性;(4)錠剤剤形への加工性などの四種類の物理化学的基準を充足しなければならないと記述している。薬剤学的に許容される酸付加塩で四種類の基準を全て充足するのはかなり難しい。
【0006】
メトホルミン塩酸塩ではないそれ以外の付加塩に対する研究は、以前から行われてきた。CN1962661Aでは、臨床的に抗悪性貧血因子として使用される塩酸を利用したメトホルミン塩酸塩に対する特許を出願し、WO2005/033067では、高脂血症、高血糖症の治療に使用されるメトホルミン1、2、6、7、8、8a−ヘキサヒドロ−ベータ、ガンマ、6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−[2s]−2−メチル−1−ヨウ素ブトキシ]−、(ベータR、ガンマR、1S、2S、6S、8S、8aS)−1−ナフタレンヘプタ酸塩に対する特許を出願した。US3,957,853では、メトホルミンアセチルサリチル酸塩に対する特許を出願し、US4,028,402では、ビグアナイド系化合物の新規の付加塩に対する特許を出願した。US4,080,472では、メトホルミンクロフィブリン酸塩の糖尿病関連疾患に対する特許を出願し、US6,031,004では、メトホルミンのフマル酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩による医薬組成物及びその用途に対する内容を開示しており、US4,835,184では、p−クロロ−フェノキシ酢酸塩、US3,903,141では、アダマンタン塩に対する内容を開示している。
【0007】
このように、メトホルミン付加塩に対する研究は着実に行われてきたが、現在のところ、メトホルミンは塩酸塩形態の薬品だけが許可されて、インシュリン非依存性糖尿病(non−insulin dependent diabetes mellitus)治療剤として幅広く処方されており、メトホルミン塩酸塩の通常の投与量は、1日最大2550mgで、食事と共に500mg、750mg錠剤を一日に2〜3回にわたって投与する。しかし、このようなメトホルミン塩酸塩及びその他の付加塩は、薬理学的効果のために、溶解度、安定性、非吸湿性、付着防止特性などの物理化学的性質の改善及び毒性の低下が要求されている。
【0008】
一方、最近では、リンゴ酸の多様な薬理的効果に対する研究が活発に行われている。リンゴ酸は、白色の結晶または結晶性粉末を含み、多少特異な臭いを有するか、無臭である。そして、一般に、エーテルには溶解しないが、水及びアルコールによく溶解し、人体内の代謝過程であるクレプス回路に関与して、動脈硬化や高血圧への効果が優れている。
このように、リンゴ酸そのものに対する研究は活発に行われ、食品としてのリンゴ酸に対する研究の結果で相当な効果を示しているが、本発明で示すようなメトホルミンリンゴ酸塩としての効果は示されておらず、メトホルミンとの相互作用に対する効果に対しても全く言及されていない。
【0009】
一方、既存の特許(米国特許4,080,472)では、メトホルミン遊離塩基を合成する時に、メトホルミン塩酸塩から塩酸を除去するために、イオン交換樹脂コラムを使用して複雑に生産し、溶媒を加熱還流して熱い状態でろ過する苛酷な生産条件を要求する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、非吸湿性、安定性、付着防止特性などの物理化学的性質が優れていて、毒性が低いメトホルミンの新規のジカルボン酸塩を提供することにある。
また、本発明の目的は、イオン交換樹脂コラムの使用、溶媒を加熱還流して熱い状態でろ過する苛酷な生産条件が不要なメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、メトホルミンの新規のジカルボン酸塩を活性成分として含み、糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防及び治療に非常に効果的な薬剤学的組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の(1)−(12)の要素で構成されている。
(1)下記の化学式1で示されることを特徴とする、メトホルミンジカルボン酸塩。
【0013】
【化1】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
(2)前記(1)で、無水和物または水和物状態のメトホルミンジカルボン酸塩。
(3)下記の化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び無機アルカリ2ないし4当量を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で反応させて、下記の化学式3のメトホルミン遊離塩基を生成した後、化学式4のジカルボン酸1当量と反応させることを特徴とする、化学式1で示されるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法。
【0014】
【化2】
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
(4)化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量、有機アルカリ2ないし4当量、及びリンゴ酸1当量を有機溶媒で同時に反応させることを特徴とする、化学式1aのメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【0017】
【化5】
(5)化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び下記の化学式5の有機アルカリ1当量を水で反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【0018】
【化6】
【0019】
(6)前記(3)で、化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩がメトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、またはメトホルミン(2:1)リンゴ酸塩である製造方法。
(7)前記(3)で、無機アルカリが水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである製造方法。
(8)前記(4)で、有機アルカリが炭酸カリウムである製造方法。
(9)前記(3)または(4)で、有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される方法。
【0020】
(10)前記(1)の化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含む糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群が複合的に発現する代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解から選択される1種以上の疾患の予防または治療用薬剤学的組成物。
(11)前記(10)で、錠剤またはカプセル剤に剤形化された薬剤学的組成物。
(12)前記(10)または(11)で、メトホルミン遊離塩基として1日1回ないし3回にわたって50mgないし3,000mgが経口投与されることを特徴とする組成物。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、既存の糖尿病治療剤として使用されたメトホルミン塩酸塩より血糖降下効果が優れていて、特に、空腹時だけでなく食後の血糖降下効果が非常に優れていて、インシュリン感受性を増加させる効果を示す。
また、本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩の製造方法は、単純で特別な設備なく行うことができるように工程を確立した。本発明によるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法は、特別な設備なく一般的な生産設備で合成することができるように単純に工程を改善して、産業利用可能性を高めて、より低い単価でメトホルミンの新規塩を合成することができる。
【0022】
前記のように、本発明によるメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、薬剤学的剤形の製造に適した結晶性酸付加塩として塩酸を使用して製造される既存のメトホルミン塩酸塩に比べて、毒性が比較的低いジカルボン酸を使用して、安定性、非吸湿性、及び付着防止特性などの物理化学的性質を向上させるだけでなく、毒性が低くて、メトホルミン塩酸塩と同様に糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防及び治療に非常に効果的な薬剤学的組成物を製造することができて、薬理的にも優れた効果を期待することができる。
【0023】
下記の表1はメトホルミン塩酸塩の結晶性酸付加塩を形成する塩酸と、メトホルミンジカルボン酸塩の結晶性酸付加塩を形成するマロン酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸との経口毒性を比較した表である。
【0024】
【表1】
【0025】
前記表1に示されているように、メトホルミンの結晶性酸付加塩の製造に使用された塩酸は、化合物そのものでも毒性があるが、本発明で使用するジカルボン酸は、塩酸に比べて毒性が比較的低いことが確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】メトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図2】メトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した13C−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図3】メトホルミングルタル酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図4】メトホルミンアジピン酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H−核磁気共鳴スペクトルを示したものである。
【図5】メトホルミングルタル酸塩による実施例2に対するpKa値に対する資料である。
【図6】メトホルミンアジピン酸塩による実施例14に対するpKa値に対する資料である。
【図7】メトホルミンリンゴ酸塩による実施例22に対するpKa値に対する資料である。
【図8】メトホルミングルタル酸塩による実験例8に対する濃度依存を示した資料である。
【図9】メトホルミンアジピン酸塩による実験例8に対する濃度依存を示した資料である。
【図10】メトホルミンリンゴ酸塩に対して赤外部スペクトル(TRAVEL−IR、SENSIR、TECHNOLOGIES/US)で測定して得られた主要吸収帯の位置及び吸収ピークを示したものである。
【図11】メトホルミンリンゴ酸塩の示差走査熱量を分析(TA instruments DSC 2910 MDSCV4.4E/US)した結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、溶解度、安定性、非吸湿性、及び付着防止特性など物理化学的性質が優れていて、毒性が低く、糖尿病及びその合併症の予防及び治療に特に有効な、下記の化学式1のメトホルミンの新規のジカルボン酸塩に関するものである。
【0028】
【化7】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【0029】
本発明による化学式1のメトホルミンの新規のジカルボン酸塩は、化学式1のうちのXが−(CH2)−である場合にはメトホルミンマロン酸塩、Xが−(CH2)3−である場合にはメトホルミングルタル酸塩、Xが−(CH2)4−である場合にはメトホルミンアジピン酸塩、Xが−CH2−CH(OH)−である場合にはメトホルミンリンゴ酸塩である。
また、本発明では、前記化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法を含み、その製造方法のうちの一つの態様は、下記の反応式1に示したように、水、有機溶媒、またはこれらの混合物中で化学式2のメトホルミン塩酸塩に無機アルカリを添加して、化学式3で示されるメトホルミン遊離塩基を製造した後、化学式4で示されるジカルボン酸を反応させて製造することによって構成される。
【0030】
前記反応式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【0031】
前記反応式1で示される本発明の製造方法を各段階別に細分化すれば、
1)化学式2のメトホルミン塩酸塩を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で無機アルカリと反応させて付加塩を除去する段階;
2)化学式4のジカルボン酸を有機溶媒に溶解した後、前記化学式3のメトホルミン遊離塩基を含む反応液に添加して混合物を製造する段階;
3)前記混合物を攪拌して得られた固体をろ過、洗浄、及び乾燥して、化学式1の新規の結晶性酸付加塩を形成する段階;から構成される。
【0032】
本発明による化学式1のメトホルミン結晶性酸付加塩は、前記化学式3で示されるメトホルミン遊離塩基を含む反応液内にジカルボン酸を添加して製造するが、これを各製造段階別に詳細に説明する。
【0033】
製造段階の第1段階では、無機アルカリとして水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができ、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましく、前記無機アルカリは、メトホルミン塩酸塩2ないし4当量に対して2ないし4当量で使用するのが好ましい。
第2段階は、メトホルミン遊離塩基が含まれている反応液にジカルボン酸を添加する段階で、ジカルボン酸は、メトホルミン遊離塩基2ないし4当量に対して1当量で使用するのが好ましい。
【0034】
前記第1段階及び第2段階で使用される有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから選択された1種以上を使用するのが好ましい。
第3段階は、結晶性酸付加塩を形成する段階で、反応は、−10ないし100℃の温度範囲で行うのが好ましい。
【0035】
より単純化された工程として、前記第1段階及び第2段階の2段階を経ずにメトホルミンジカルボン酸を得る方法として、メトホルミン塩酸塩を有機溶媒条件下で炭酸カリウムなどの有機アルカリまたは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ及びジカルボン酸と同時に反応させて製造することもでき、ここで、メトホルミンリンゴ酸塩2ないし4当量に対して有機アルカリまたは無機アルカリ2ないし4当量及びジカルボン酸1当量を使用するのが好ましく、また、メトホルミン塩酸塩を水でリンゴ酸ナトリウム、その半水和物、その酸水和物、またはこれらの混合物から選択される有機アルカリと反応させてメトホルミンリンゴ酸塩を製造することもでき、ここで、メトホルミン塩酸塩2ないし4当量に対して有機アルカリ1当量を使用するのが好ましい。
【0036】
本発明で使用する用語であるメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩は、特別な言及がない限り、メトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、メトホルミン(2:1)リンゴ酸塩を意味する。
本発明のメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩は、これらの無水物及び水和物を全て含み、水和物は、1/4水和物乃至3水和物であるのが好ましい。
【0037】
本発明では、メトホルミン遊離塩基の製造工程を単純で特別な設備なく行うことができるように工程を確立した。メトホルミン塩酸塩の塩酸を除去するために、米国特許第4,080,472号では、イオン交換樹脂コラムを使用することを開示しており、米国特許第4,028,402号では、溶媒を加熱還流しながら熱い溶液をろ過する苛酷な生産条件の合成方法に対して開示している。しかし、本発明では、特別な設備なく、一般的な生産設備で合成することができるように工程を単純化して、より低い単価でメトホルミン有機酸塩を合成することによって、産業利用可能性を高めた。このような遊離塩基の合成方法は、薬剤学的に許容可能な塩を製造するのに使用される多様な酸との反応にも利用することができる。
【0038】
また、本発明は、前記化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含んで、多様な剤形の糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群などが複合的に発現するいわゆる代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解などの予防または治療用薬剤学的組成物に関するものである。
【0039】
前記方法によって製造された本発明のメトホルミンジカルボン酸塩は、薬剤学的に許容される担体を含んで、錠剤、軟質カプセル剤、硬質カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤、注射剤、または液剤などの形態に、糖尿病などに関連する同伴疾患病的状態の予防または治療用薬剤学的製剤を製造することができる。
【0040】
この時、薬剤学的に許容される担体は、デンプン、微細結晶性セルロース、乳糖、ブドウ糖、マンニトル、硬質無水硅酸、アルカリ土類金属塩、ポリエチレングリコール、及びジカルシウムホスフェートなどを使用することができる。結合剤としては、デンプン、微細結晶性セルロース、高分散性シリカ、マンニトル、ラクトース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然ゴム、合成ゴム、コポビドン、及びゼラチンなどを使用することができる。崩壊剤としては、デンプングリコン酸ナトリウム、とうもろこしデンプン、ジャガイモデンプン、または予備ゼラチン化デンプンなどのデンプンまたは変性デンプンと、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム(veegum)などのクレーと、微細結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類と、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸などのアルギン類と、クロスカメロス(croscarmellose)ナトリウムなどの架橋セルロース類と、クロスポビドン(crospovidone)などの架橋重合体と、重炭酸ナトリウム、クエン酸などの沸騰性製剤などとを混合使用することができる。潤滑剤としては、タルク、硬質無水硅酸、ステアリン酸マグネシウム、及びアルカリ土金属ステアレート型カルシウム、亜鉛など、ラウリルスルフェート、水素化植物性オイル、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムステアリルフマレート、グリセリルモノステアレート、及びポリエチレングリコール4000などを使用することができ、その他にも着色剤、香料から選択された多様な添加剤として薬学的に許容可能な添加剤を選択使用することができる。
【0041】
前述のように、メトホルミンジカルボン酸塩は、多様な形態の経口投与用製剤として活用が可能で、本発明による薬剤学的組成物の人体に対する投与容量は、患者の年齢、性別、体重、人種、健康状態、及び疾患の程度によって異なることもあり、処方医の判断によって分割投与も可能である。
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲はこれら実施例によって制限されない。
【実施例】
【0042】
実施例1:メトホルミンマロン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩200.0g(4当量)及び水酸化ナトリウム48.3g(4当量)をアセトン1.8L及び水0.8Lの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にマロン酸31.4g(1当量)をアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンマロン酸塩105.2g(収率:96.2%)を得た。
【0043】
実施例2:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.00g及び水酸化ナトリウム4.83gをクロロホルム−メチルアルコール(15:1)180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸3.98gをクロロホルム−メチルアルコール(15:1)に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.39g(収率:96.9%)を得た。
【0044】
実施例3:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩40.0g及び水酸化カリウム9.67gをアセトン360mL及び水16mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸7.98gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩16.7g(収率:70.8%)を得た。
【0045】
実施例4:メトホルミングルタル酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩10.0g及び水酸化ナトリウム2.40gをエチルアルコール100mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して生成された無機塩をろ過し、酢酸エチルを添加して、メトホルミン遊離塩基を製造する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミン遊離塩基6.50g(収率:83.4%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基10.0g及びグルタル酸3.98gをメチルアルコール100mLで加温(40℃)攪拌した後に、酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩5.15g(収率:43.8%)を得た。
【0046】
実施例5:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩10.0g、水酸化ナトリウム2.40g、そしてグルタル酸3.98gをエチルアルコール150mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液に酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩6.79g(収率:57.7%)を得た。
【0047】
実施例6:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩6.24g(収率:52.9%)を得た。
【0048】
実施例7:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩5.8g(収率:49.1%)を得た。
【0049】
実施例8:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.12g(収率:94.3%)を得た。
【0050】
実施例9:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩10.88g(収率:92.2%)を得た。
【0051】
実施例10:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン56.25mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩10.47g(収率:88.8%)を得た。
【0052】
実施例11:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をテトラヒドロフラン(THF)112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にテトラヒドロフラン(THF)水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.41g(収率:96.7%)を得た。
【0053】
実施例12:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)及び水酸化カリウム3.38g(2当量)をエタノール180mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にグルタル酸3.98g(1当量)をエタノールに溶解して滴下して、10℃で攪拌した後、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩7.27g(収率:61.6%)を得た。
【0054】
実施例13:メトホルミングルタル酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩500g(1当量)及び水酸化ナトリウム120.76g(1当量)をメタノール3750mL溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン5000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン4000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮して、メトホルミン遊離塩基233.3g(収率:59.84%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、アセトン水溶液に溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.24g(収率:95.3%)を得た。
【0055】
実施例14:メトホルミングルタル酸塩の製造
メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をエタノール100mLで室温で攪拌した後に、エタノールに溶解したグルタル酸3.98g(1当量)を滴下して、10℃で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩7.41g(収率:62.8%)を得た。
【0056】
実施例15:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.0g及び水酸化ナトリウム4.83gをアセトン180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアジピン酸4.41gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩11.26g(収率:92.3%)を得た。
【0057】
実施例16:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩40.0g及び水酸化カリウム9.66gをアセトン360mL及び水16mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアジピン酸8.82gをアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩22.01g(収率:90.2%)を得た。
【0058】
実施例17:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩10.00g及び水酸化ナトリウム2.40gをエチルアルコール100mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、酢酸エチルを添加して、メトホルミン遊離塩基を製造する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミン遊離塩基6.50g(収率:83.4%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基10.00g及びアジピン酸4.411gをメチルアルコール150mLで加温(40℃)攪拌した後に、酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩12.06g(収率:98.9%)を得た。
【0059】
実施例18:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩10.00g、水酸化ナトリウム2.40g、そしてアジピン酸2.20gをエチルアルコール150mLで加温(70℃)攪拌した後に、塩化メチレンを添加して、生成された無機塩をろ過し、再び酢酸エチルを添加する。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩4.90g(収率:80.5%)を得た。
【0060】
実施例19:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩12.63g(収率:103.43%)を得た。
(2)メトホルミンアジピン酸塩10g(1当量)をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩5.92g(収率:59.2%)を得た。
【0061】
実施例20:メトホルミンアジピン酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩10.95g(収率:89.6%)を得た。
【0062】
実施例21:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をテトラヒドロフラン(THF)112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にテトラヒドロフラン(THF)水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩11.94g(収率:97.7%)を得た。
(2)メトホルミンアジピン酸塩8.12g(1当量)をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後で熱風乾燥して、メトホルミンアジピン酸塩6.7g(収率:82.5%)を得た。
【0063】
実施例22:メトホルミンアジピン酸塩の製造
(1)メトホルミン塩酸塩500g(1当量)及び水酸化ナトリウム120.76g(1当量)をメタノール3750mL溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン5000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮する。生成された結晶をアセトン4000mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過液を濃縮して、メトホルミン遊離塩基233.3g(収率:59.84%)を得た。
(2)メトホルミン遊離塩基9.75g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、アセトン水溶液に溶解したアジピン酸4.41g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミングルタル酸塩11.47g(収率:93.9%)を得た。
【0064】
実施例23:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン112.5mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にリンゴ酸4.05g(1当量)をアセトン水溶液に溶解して滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.83g(収率:99.8%)を得た。
【0065】
実施例24:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20.0g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をテトラヒドロフラン(THF)180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.85g(収率:100%)を得た。
【0066】
実施例25:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)、水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)、リンゴ酸4.05g(1当量)をメタノール−エタノール(1:1)混合溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後、結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩8.94g(収率:75.4%)を得た。
【0067】
実施例26:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)及び水酸化カリウム3.38g(2当量)をエタノール180mL溶液で加温(40℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にリンゴ酸4.05g(1当量)をエタノールに溶解して滴下して、室温で攪拌した後、生成された結晶をろ過する。生成された結晶をエタノールで加温(50℃)攪拌した後に、10℃で5時間攪拌した後、熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩9.92g(収率:83.7%)を得た。
【0068】
実施例27:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩9.97g(2当量)、炭酸カリウム8.34g(2当量)、リンゴ酸4.05g(1当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液で加温(100℃)攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトンを滴下して、室温で攪拌した後、生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩1.49g(収率:12.6%)を得た。
【0069】
実施例28:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(4当量)及び水酸化ナトリウム4.83g(4当量)をアセトニトリル180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトニトリル水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.85g(収率:100%)を得た。
【0070】
実施例29:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をメタノール180mL及び水8mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にメタノール水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩9.27g(収率:78.2%)を得た。
【0071】
実施例30:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩12.5g(2.5当量)及び水酸化ナトリウム3.02g(2.5当量)をアセトン56.25mL及び水5mLの混合溶液で室温で攪拌した後に、生成された無機塩をろ過し、ろ過された溶液にアセトン水溶液に溶解したリンゴ酸4.05g(1当量)を滴下して、室温で攪拌した。生成された結晶をろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩11.64g(収率:98.2%)を得た。
【0072】
実施例31:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(2当量)及びリンゴ酸ナトリウム半水和物11.3g(1当量)を水70mL溶液で高温(100℃)攪拌した後に、10℃以下でアセトンを滴下した後、生成された結晶を1時間攪拌した後、ろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩14.29g(収率:60.4%)を得た。
【0073】
実施例32:メトホルミンリンゴ酸塩の製造
メトホルミン塩酸塩20g(2当量)、水酸化ナトリウム4.83g(2当量)、リンゴ酸8.09g(1当量)を水90mL溶液で高温(100℃)攪拌した後に、室温でアセトンを滴下した後、生成された結晶を室温で1時間攪拌した後、ろ過して熱風乾燥して、メトホルミンリンゴ酸塩10.69g(収率:45.1%)を得る。
【0074】
実施例33:メトホルミンマロン酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミンマロン酸塩547.1g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)97.9gを各々20号網でふるった後、ドラムミキサーで60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、ercules、USA)15g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンマロン酸塩547.1mgを含む錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンマロン酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0075】
実施例34:メトホルミンマロン酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミンマロン酸塩547.1g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100M CR、Dow Chemical、USA)407.9gを各々20号網でふるった後、ミキサーで60分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン(Povidone、BASF、Germany)25g及びコロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンマロン酸塩547.1mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンマロン酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0076】
実施例35:メトホルミングルタル酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミングルタル酸塩589.4g及びジカルシウムホスフェート50.6gを各々20号網でふるった後、高速混合器で3分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン(Povidone、BASF、Germany)20gをイソプロパノール120gに添加して溶解して結合液を製造し、この結合液を高速混合器に投与した後、3分間練り合わせた。練り合わせた混練物をスチーム乾燥機で乾燥した後、20号網で整粒した。そして、コロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、V型混合器で60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム6gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミングルタル酸塩589.4mgを含む錠剤を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミングルタル酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0077】
実施例36:メトホルミングルタル酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミングルタル酸塩589.4g及びポリエチレンオキサイド(Polyox Coagulant、Dow Chemical、USA)370.6gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、Hercules、USA)25g及びコロイド性二酸化ケイ素10g(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)を35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミングルタル酸塩589.4mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミングルタル酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0078】
実施例37:メトホルミンアジピン酸塩含有カプセル剤の剤形化
メトホルミンアジピン酸塩305.27g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)1134.73gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。コロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸5gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉をカプセルに充填(SF−40N、世宗ファーマテック、韓国)して、1カプセル中にメトホルミンアジピン酸塩305.27mgを含むカプセルを製造した。
【0079】
実施例38:メトホルミンアジピン酸塩含有徐放錠剤の剤形化
メトホルミンアジピン酸塩610.54g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100MCR、Dow chemical、USA)374.46gを各々20号網でふるって、ダブルコーン混合器で60分間混合した。この混合粉を15〜25Mpaの圧力条件でローラーコンパクティング(VPS−1920、POONG−SUNG EIM、韓国)してスラッグを製造し、20号網で整粒した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース15g(Klucel、Hercules、USA)及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil200VV、Degussa、Germany)5gを35号網でふるって前記整粒物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウム10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンアジピン酸塩610.54mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンアジピン酸塩が含まれているメトホルミン徐放錠を製造した。
【0080】
実施例39:メトホルミンリンゴ酸塩含有錠剤の剤形化
メトホルミンリンゴ酸塩610.54g及び未結晶セルロース(Avicel PH102、FMC Biopolymer、USA)28.46gを各々20号網でふるった後、V型混合器で60分間混合した。別途に、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセテート(Kollidon VA64、BASF、Germany)13g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)4gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸4gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンリンゴ酸塩610.54mgを含む錠剤を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗ファーマテック、韓国)でオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材としてフィルムコーティング層を形成して、メトホルミンリンゴ酸塩が含まれている錠剤を製造した。
【0081】
実施例40:メトホルミンリンゴ酸塩含有フィルムコーティング錠剤の剤形化
メトホルミンリンゴ酸塩610.54g及びヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(Methocel K100MCR、Dow Chemical、USA)300.46gを各々20号網でふるった後、ダブルコーン混合器で60分間混合した。別途に、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel、Hercules、USA)12g及びコロイド性二酸化ケイ素(Aerosil 200 VV、Degussa、Germany)10gを35号網でふるって前記混合物に添加して、60分間混合した。最終的に、ステアリン酸7gを35号網でふるって前記混合物に添加して、3分間混合した。
次に、前記最終混合粉を打錠(GRC−15S、世宗ファーマテック、韓国)して、1錠中にメトホルミンリンゴ酸塩610.54mgを含む徐放錠剤層を製造し、ハイコーター(SFC−30N、世宗機械、韓国)を利用してオパドライOY−C−7000Aをコーティング基材として裸錠重量の3%をフィルムコーティングしてコーティング層を形成して、メトホルミンリンゴ酸塩が含まれているフィルムコーティング錠剤を製造した。
【0082】
実験例1:粉末X線回折分析スペクトル
結晶構造の回折パターン、結晶の面間隔、回折線の強度を確認するために、粉末X線回折測定を行った。
前記各実施例1、2、15、23で合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩の粉末X線回折分析測定時にスペクトルに現われた特徴的なピーク(peak)を下記の表2、3、4、5に示し、ここで「2θ」は回折角、「d」は結晶面間の距離、「I/Iο」はピークの相対強度を意味する。下記の分析は、Rigaku社D/MAX−2200V X−ray Diffractometer(XRD)で分析した。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
実験例2:融点の測定
前記各実施例1、2、15、23によって合成した化学式1のメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩を融点測定器(IA9100 MK1、Barnstead、UK)で測定して、メトホルミン塩酸塩の融点である222.8〜224.0℃と異なる融点を表6に示した。
【0088】
【表6】
【0089】
実験例3:核磁気共鳴分析(1H−NMR、1C−NMR)
前記各実施例1、2、15、23によって合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩に対して600MHz(Varian−Inova 600)で測定した1H、13C−核磁気共鳴スペクトルを図1、2、3、4に示し、各々のシグナルの帰属データを表7に示した。核磁気共鳴スペクトルの溶媒は、重水素に置換された水(D2O)を使用した。
【0090】
【表7】
【0091】
実験例4:溶解度実験
前記各実施例1、2、15、23によって合成したメトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩の溶解度を確認するために、メトホルミンマロン酸塩、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、及びメトホルミンリンゴ酸塩の飽和溶解度及び飽和時のpHを測定して、表8、図5、6、7で比較した。
メトホルミンマロン酸塩の溶解度実験は、大韓薬典に紹介された方法によって各々の化合物を蒸溜水に飽和されるように溶解した後、前記溶液を液体クロマトグラフィーで分析して、メトホルミン塩基(free base)を基準に溶解した量を測定し、メトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩の溶解度実験は、DMSOを含まない状態で純粋な水に対してNEPHEL Ostar装備を利用して測定した。
【0092】
【表8】
【0093】
実験例5:質量分析器による定性分析
前記各実施例2、15、23によって合成した化学式1のメトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩を質量分析器(Applied Biosystems,Inc.API 3000)で分析したデータは下記の通りであった。
メトホルミンリンゴ酸塩は、m/z=130.11[MH+]で、メトホルミン遊離塩基の質量に相当する分子量と一致し、60.05、71.05、85.04、88.08、113.08、130.1のフラグメントイオンも同一な化学構造で推定されるという開裂様式と一致した。
【0094】
実験例6:メトホルミンマロン酸塩の定性的確認
前記実施例1で製造された化学式1のメトホルミンマロン酸塩及び公知のメトホルミン塩酸塩を40℃の温度及び75%の相対湿度条件で各々1日、2日、及び5日間持続的に露出させた後、各々の水分含有量をカール−フィッシャー(Karl−Fisher)水分測定器で測定し、その結果を下記の表12に示した。表9で、測定数値は活性成分に含まれている水分の含有量を含水率(重量%)で示したものである。また、水分が殆どない60℃の温度及び15%の湿度条件で実験して、水和物が含んでいる結晶水の解離程度を測定することによって、結晶水が放出されない安定した水和物であるか否かも確認した。
【0095】
【表9】
【0096】
前記表9に示したように、化学式1のメトホルミンマロン酸塩水和物は、多湿条件でも公知の塩酸塩と同様に水分を吸収しない非吸湿性塩であることを確認し、また、低湿度条件でも元来の結晶水を放出しない安定した水和物であることを確認した。
【0097】
実験例7:メトホルミンマロン酸塩の効力実験
本発明の実施例1に記述された方式で合成されたメトホルミンマロン酸塩を高脂血症を誘発させたラットに1週間経口投与して、脂質改善効果を観察した。簡略な実験方法は下記の表10の通りである。
【0098】
【表10】
【0099】
本実験によって得られた血液生化学的検査の結果は、下記の表11の通りである。
【0100】
【表11】
【0101】
1.メトホルミンマロン酸塩及びメトホルミン塩酸塩投与群のAST、ALT数値は、統計学的に有意的差がなかった。BUN、CRE数値も、類似した数値を示した。
2.メトホルミンマロン酸塩を投与した時の血中コレステロールは、無処置群に比べて平均35.86%減少し、これは、メトホルミン塩酸塩を投与した群に比べて14.04%低い数値である。この実験の結果から、メトホルミンマロン酸塩は、既存のメトホルミン塩酸塩よりコレステロール減少効果が優れていることが分かる。
3.メトホルミンマロン酸塩を投与した群で、Triglyceride数値が無処置群、メトホルミン塩酸塩投与群より若干高かったが、統計学的に有意的差はなかった。
4.血中LDL数値は、メトホルミンマロン酸塩投与群で有意的に低い数値を示した。これは、無処置群に比べて38.64%、メトホルミン塩酸塩に比べて15.13%低い数値である。
5.血中HDL数値は、各群で有意的差がなかった。
【0102】
結論的に、メトホルミンマロン酸塩は、肝数値や尿数値の変化を与えない安全な物質であり、既存のメトホルミン塩酸塩に比べて血中コレステロール及びLDL数値を低くする効果はむしろ優れた化合物である。
【0103】
実験例8:組成確認実験
メトホルミングルタル酸塩及びメトホルミンアジピン酸塩の構造上の組成比率を確認して分析するために、下記のような実験を行った。
表12、13は、化学式1で示した組成分子量値を適用して、同一なモル濃度でメトホルミングルタル酸塩及びメトホルミン塩酸塩の遊離塩基をHPLCの面積値で比較分析して、一致することを確認した。
図8、9では、表12、13の(2:1)の組成からなる結果の実施例2(メトホルミングルタル酸塩)、実施例15(メトホルミンアジピン酸塩)が濃度依存的であることを確認した。
【0104】
【表12】
【0105】
【表13】
【0106】
イオン化されるメトホルミングルタル酸塩、メトホルミンアジピン酸塩は、pHにより酸、塩基、または両性化合物として作用するので、各適正点でpH変化が起こるようになり、計算されたpH値及び実際に測定されたpH値の差からpKa値は下記の通りである。
【0107】
【表14】
【0108】
【表15】
【0109】
実験例10:元素の分析(EA)
前記各実施例15、23、31で合成したメトホルミンアジピン酸塩、メトホルミンリンゴ酸塩に対して元素を分析(前記分析のうち、C、H、NはFISONS EA−1108 Elemental Analyzerにより、OはThermo Finnigan FLASH EA−1112 Elemental Analyzerによる)した結果を表16、17、18に示した。
【0110】
【表16】
【0111】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンアジピン酸塩は、分子式C14H32N10O4の無水和物理論値と一致することを示した。
【0112】
【表17】
【0113】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンリンゴ酸塩は、分子式C12H28N10O5の4分子当たりのH2Oが1分子の理論値と一致することを示した。
【0114】
【表18】
【0115】
元素の分析の結果、本発明のメトホルミンリンゴ酸塩は、分子式C12H28N10O5の無水和物理論値と一致することを示した。
【0116】
実験例11:赤外部スペクトル(IR)
前記実施例23で合成したメトホルミンリンゴ酸塩に対して赤外部スペクトル(TRAVEL−IR、SENSIR、TECHNOLOGIES/US)で測定して得られた主要吸収帯の位置及び吸収ピークの帰属結果を表19及び図10に示した。
【0117】
【表19】
【0118】
実験例12:示差走査熱量の分析
実施例23で合成したメトホルミンリンゴ酸塩の示差走査熱量を分析(TA instruments DSC 2910 MDSC V4.4E/US)し、その結果を図11に示した。この薬は、約226.4℃付近で分解に伴う吸熱ピークが観察された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で示されることを特徴とする、メトホルミンジカルボン酸塩。
【化1】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【請求項2】
無水和物乃至水和物状態である、請求項1に記載のメトホルミンジカルボン酸塩。
【請求項3】
下記の化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び無機アルカリ2ないし4当量を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で反応させて、下記の化学式3のメトホルミン遊離塩基を生成した後、化学式4のジカルボン酸1当量と反応させることを特徴とする、請求項1の化学式1で示されるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法。
【化2】
【化3】
【化4】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【請求項4】
化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量、有機アルカリ2ないし4当量、及びリンゴ酸1当量を有機溶媒で同時に反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【化5】
【化6】
【請求項5】
化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び化学式5の有機アルカリ1当量を水で反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【化7】
【化8】
【化9】
【請求項6】
化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩がメトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、またはメトホルミン(2:1)リンゴ酸塩である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
無機アルカリが水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
有機アルカリが炭酸カリウムである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される、請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1の化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含む糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群が複合的に発現する代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解から選択される1種以上の疾患の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項12】
錠剤またはカプセル剤に剤形化された、請求項11に記載の薬剤学的組成物。
【請求項13】
メトホルミン遊離塩基として1日1回ないし3回にわたって50mgないし3,000mgが経口投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の薬剤学的組成物。
【請求項1】
下記の化学式1で示されることを特徴とする、メトホルミンジカルボン酸塩。
【化1】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【請求項2】
無水和物乃至水和物状態である、請求項1に記載のメトホルミンジカルボン酸塩。
【請求項3】
下記の化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び無機アルカリ2ないし4当量を水、有機溶媒、またはこれらの混合物上で反応させて、下記の化学式3のメトホルミン遊離塩基を生成した後、化学式4のジカルボン酸1当量と反応させることを特徴とする、請求項1の化学式1で示されるメトホルミンジカルボン酸塩の製造方法。
【化2】
【化3】
【化4】
前記化学式で、Xは−(CH2)n−(ここで、n=1、3、または4である)または−CH2−CH(OH)−である。
【請求項4】
化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量、有機アルカリ2ないし4当量、及びリンゴ酸1当量を有機溶媒で同時に反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【化5】
【化6】
【請求項5】
化学式2のメトホルミン塩酸塩2ないし4当量及び化学式5の有機アルカリ1当量を水で反応させることを特徴とする、化学式1aで示されるメトホルミンリンゴ酸塩の製造方法。
【化7】
【化8】
【化9】
【請求項6】
化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩がメトホルミン(2:1)マロン酸塩、メトホルミン(2:1)グルタル酸塩、メトホルミン(2:1)アジピン酸塩、またはメトホルミン(2:1)リンゴ酸塩である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
無機アルカリが水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである、請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
有機アルカリが炭酸カリウムである、請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される、請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
有機溶媒がテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルから構成された群から選択される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項1の化学式1のメトホルミンジカルボン酸塩を有効成分として含む糖尿及び糖尿病、肥満症、高脂血症、脂肪肝、管状動脈疾患、骨粗しょう症、多嚢胞性卵巣症候群が複合的に発現する代謝性症候群を患う人の糖尿病及びその合併症、p53遺伝子が欠如した癌、筋肉痛、筋肉細胞毒性、及び横紋筋融解から選択される1種以上の疾患の予防または治療用薬剤学的組成物。
【請求項12】
錠剤またはカプセル剤に剤形化された、請求項11に記載の薬剤学的組成物。
【請求項13】
メトホルミン遊離塩基として1日1回ないし3回にわたって50mgないし3,000mgが経口投与されることを特徴とする、請求項11または12に記載の薬剤学的組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−539229(P2010−539229A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525765(P2010−525765)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005574
【国際公開番号】WO2009/038396
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(508149825)ハンオル バイオファーマ カンパニー,リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】HANALL BIOPHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】400−1 Sangseo−dong, Daedeok−gu, Daejeon 306−120 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005574
【国際公開番号】WO2009/038396
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(508149825)ハンオル バイオファーマ カンパニー,リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】HANALL BIOPHARMA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】400−1 Sangseo−dong, Daedeok−gu, Daejeon 306−120 Republic of Korea
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]