説明

NCプログラム作成装置

【課題】NCプログラムの作成において高いスキルの習得を必要とすることなくNC工作機械に最適化されたNCプログラムを容易に作成することが可能なNCプログラム作成装置を提供する。
【解決手段】CAD装置により作成される形状データからNC工作機械に出力するNCプログラムを作成するNCプログラム作成装置であって、形状データに対応する加工手順、加工方法、使用工具、工具形状、加工条件を含む加工情報を記憶する加工情報記憶手段と、NC工作機械の加工機軸数に対応して形状データから工具の加工経路を作成する動作及び被加工物に対する工具のアプローチ動作以外のNCプログラムの書式を形式化した形式ファイルを記憶する形式ファイル記憶手段と、形状データと加工情報とに基づいて加工経路を作成する加工経路作成手段と、加工経路の所定の形式ファイルを読み出してNCプログラムを作成する形式ファイル読込手段とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NCプログラム作成装置に関し、特に、NC工作機械に出力されるNCプログラムを容易に作成可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC工作機械は、機種毎に最適化されたNCプログラムにより制御される。一般にNCプログラムは、CAD装置のソフトウェアを利用して作図された加工部品等の形状モデルを形状データに変換してCAM装置に出力し、CAM装置により形状データが加工データに変換され、加工データがポスト処理装置により機種毎に最適化される。
CAD装置により作成される形状データは、機械設計における部品としてCAD装置内に登録され、新たな加工設計を行うときの基準として再び読み出され、形状モデルに変更を加えることで、新たな部品の形状データが作成される。また、CAD装置に部品として登録された形状データは、当該形状データに対応する加工データがCAM装置に登録されることにより、形状モデルに変更が加えられた形状データに対応した加工データを作成することを容易にしている。そして、加工データは、ポスト処理装置により部品の加工に使用するNC工作機械に最適化されたNCプログラムに変換される。
上記のような一連のCAM−ポスト処理は、CAM装置により例えばAPT形式と呼ばれる言語によって一般座標で工具経路が記述された加工データをポスト処理装置により機械座標に座標変換し、ポスト処理装置により加工条件に応じた工具の移動動作や回転動作等をNCコードと呼ばれるGコードやMコード、あるいは、工具を制御するSやTやFなどに変換し、NCコードの出力順序を制御することにより加工データをNCプログラムに変換している。
しかしながら、NCコードは、一般にはJISにより規格化がなされているが、NC工作機械毎に持ち合わせる機能が異なるために機種毎に依存してしまう。このため、加工データを機種毎に最適化するポスト処理においては、NC工作機械の機種に応じた言語やコードを習得する必要があり、高度なスキルが要求される。また、多軸のNC工作機械、例えば、5軸のマシニングセンタやターニングセンタ等の普及により、複雑な加工形状の部品であっても1つの工作機械により加工が可能となるため、一連の加工工程の中に被加工物に対する工具の加工姿勢が複雑化している。このため、ポスト処理において、工具の交換動作や被加工物に対する工具のアプローチ動作を最適化する場合に、処理工程が複雑化してしまい、簡単なポスト処理を変更しただけでも変更箇所以外の部分に影響を及ぼす虞がある。また、そのポスト処理の変更がNCプログラムのどこに影響を及ぼすかの予測も難しく、ポスト処理後のNCプログラムの検証作業やNCプログラムに不具合が生じたときのポスト処理のデバッグ作業に多くの時間と費用を要しているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−3111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、NCプログラムの作成において高いスキルの習得を必要とすることなくNC工作機械に最適化されたNCプログラムを容易に作成することが可能なNCプログラム作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する構成として、CAD装置により作成される形状データからNC工作機械に出力するNCプログラムを作成するNCプログラム作成装置であって、形状データに対応する加工手順、加工方法、使用工具、工具形状、加工条件を含む加工情報を記憶する加工情報記憶手段と、NC工作機械の加工機軸数に対応して形状データから工具の加工経路を作成する動作及び被加工物に対する工具のアプローチ動作以外のNCプログラムの書式を形式化した形式ファイルを記憶する形式ファイル記憶手段と、形状データと加工情報とに基づいて加工経路を作成する加工経路作成手段と、加工経路の所定の前記形式ファイルを読み出してNCプログラムを作成する形式ファイル読込手段とを備える構成とした。
本構成によれば、NCプログラムの書式を形式化した形式ファイルを形式ファイル記憶手段に記憶させておき、形式ファイル読込手段が加工経路作成手段により作成された加工経路とともに形式ファイルを読み込み、加工経路の前後に形式ファイルを配置するだけでNCプログラムを作成することができるので、複雑な工程を経ることなくNCプログラムを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】NCプログラム作成装置の構成を示すブロック図。
【図2】CAM処理手段により作成される加工データの例示図。
【図3】形式ファイル記憶手段に記憶される形式ファイル群の例示図。
【図4】加工工程に対して読み出される工具交換形式ファイルの例示図。
【図5】加工データの作成からNCプログラムの作成までの工程図。
【図6】ポスト処理手段の処理工程図。
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、NCプログラム作成装置1の構成を示すブロック図である。
NCプログラム作成装置1は、CAD装置2から出力される形状データに基づいて加工経路及び加工情報を含む加工データを作成するCAM処理手段3と、CAM処理手段3によって作成された加工データを加工に使用されるNC工作機械10毎に最適なNCプログラムに変換するポスト処理手段4と、NCプログラムを形式化した後述の複数種類の形式ファイルを記憶する形式ファイル記憶手段5とにより構成される。
NCプログラム作成装置1は、CAM処理及びポスト処理を実行するコンピュータであり、演算処理手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM及びHDD、通信手段としてのインターフェイスを含み、記憶手段に格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0009】
CAD装置2は、例えば、CADソフトウェアを実行するコンピュータであり、演算処理手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM及びHDD、通信手段としてのインターフェイスを含み、記憶手段に格納されたプログラムに基づいて動作する。
CAD装置2は、当該CAD装置2を用いて作図された加工部品の例えば、3次元の形状モデルを数値的な形状データに変換し、NCプログラム作成装置1に出力する。形状データは、形状モデルの外郭形状や、外郭形状によって囲まれる面形状を数値的に表したものである。形状データは、形状モデルとともにCAD装置2に基本データとして記憶される。なお、形状データは、パラメトリックデータであっても、非パラメトリックデータであっても良い。パラメトリックデータとは、距離や長さ、角度などが数値ではなく変数で定義された図形データであって、変数を入れ替えることで図形を容易に変更することができる図形データ様式である。
【0010】
CAM処理手段3は、CAD装置2によって作成された形状データに基づき加工データを作成する。CAM処理手段3は、形状データに対応する加工手順、加工方法、使用工具、工具形状、加工条件を含む加工情報を記憶する加工情報記憶手段31と、形状データと加工情報とに基づいて加工データを作成する加工経路作成手段32と、後述の形式ファイル記憶手段5が記憶する形式ファイルを読み込む形式ファイル読込手段33を備える。
【0011】
図2は、CAM処理手段3により作成される加工データの一例を示す。
加工データは、加工情報記憶手段31に記憶される加工情報の加工手順に基づいて、加工経路作成手段32により例えば、複数の加工工程(1)乃至(4)を含むように作成される。加工経路作成手段32は、加工における加工素材に対する工具のアプローチ動作等の加工動作を自動的に設定し、例えば、金型を切削加工するときの素材である被加工物に対して工具が通過する加工経路を算出する。加工経路は、加工工程毎に設定され、加工方法に適した工具形状の工具が使用工具として選択される。なお、加工における加工素材に対する工具のアプローチ動作等とは、工具が被加工物に対して接触しないようにアプローチする動作や、被加工物に対する工具の姿勢を制御する動作等を示す。
また、加工経路には、使用工具による加工が加工条件を満たすように最適な工具回転速度や送り速度が自動で設定される。例えば、加工工程には、荒削り、仕上げ、外形削り等の工程が挙げられる。
【0012】
形式ファイル読込手段33は、加工経路作成手段32により作成された加工経路に対応する後述の形式ファイル群を読み出して加工データを作成する。具体的には、形式ファイル読込手段33は、加工経路を構成する各加工工程に適した形式ファイルを読み込み、各加工工程の前後の所定の位置に形式ファイルを出力することにより加工データが作成される。
【0013】
ポスト処理手段4は、変数変換手段41と、NCコード変換手段42とを備え、CAM処理手段3から出力される加工データと加工情報とに基づいてNCプログラムを作成する。変数変換手段41は、加工データの形式ファイルにおいて変数で表記された部分の数値変換を行う。例えば、図4に示すように、工具交換形式ファイルの場合、CAM処理手段3により読み出された工具交換形式ファイルの変数[A1]、[A2]が、加工情報に含まれる工具変数[A1]、[A2]、・・・に対応する工具番号に置き換えられる。即ち、変数変換手段41は、CAM処理手段3から出力される加工データの変数部分に加工情報に基づいた数値、換言すれば、工具番号を代入する。よって、ポスト処理手段4では、NCプログラムの形式ファイルに相当する部分を作成する必要がないので、ポスト処理にかかる負担を減少させることができる。
NCコード変換手段42は、各加工工程において一般座標や被加工物を基準とした座標を基準として記述される工具経路をNCコードに変換するとともにNC工作機械の機械座標に変換する。つまり、CAM処理手段3で生成された工具経路をNCプログラムにおける加工プログラム文に変換する。
【0014】
図3は、形式ファイル記憶手段5に記憶される形式ファイル群の一例を示す。
形式ファイル記憶手段5は、NCプログラムの作成対象たるNC工作機械の加工機軸数に対応して前記形状データから工具の加工経路を作成する動作、被加工物に対する工具のアプローチ動作等以外のNCプログラムの書式を部分的に分割してプログラム文を形式化した複数の形式ファイルを記憶する。
形式ファイルには、例えば、NCプログラム全体に対するヘッダー形式を記述した総合ヘッダー形式ファイル、工具の交換を指示する工具交換指令形式を記述した工具交換形式ファイル、加工工程の前に記述される工程ヘッダー形式を記述した工程ヘッダー形式ファイル、工程ヘッダー形式に対応し、加工工程の後に記述される工程フッター形式を記述した工程フッター形式ファイル、総合ヘッダー形式ファイルに対応する総合フッター形式ファイルが含まれる。上記形式ファイルは、形状データ毎に形式ファイル群としてNCプログラム作成装置1に記憶される。なお、形式ファイルの種類は上記に限らず、適宜形式化することができる。
【0015】
総合ヘッダー形式ファイルは、加工データの全般に対するヘッダーを所定の書式で形式化したものであって、テキストデータとして記述される。例えば、加工プログラムのファイル名や、機械座標における加工原点の設定、加工原点に対する工具の移動の指示等の設定が記述される。
工具交換形式ファイルは、加工に使用する工具の交換を指示するための形式を所定の書式で形式化したものであって、テキストデータとして記述される。具体的には、JISに規定されるGコードにより表わされるワークの使用座標系、例えば、G54、G55、G56、G57等に対応して工具交換形式ファイルが選択されて読み出される。本例では、使用座標系がG54及びG55のときには、工具交換形式ファイルα1が選択され、G56のときには工具交換形式ファイルα2が選択され、G57のときには工具交換形式ファイルα3が選択される。なお、特殊な工具を使用する場合には、工具交換形式ファイルα4が選択される。各工具交換形式ファイルα1乃至α4において、工具交換形式ファイルによって交換指令が出力される工具は、工具番号が変数[A1],[A2]、・・・、[Ak]等として例えば、通し符号となるように表記される。
図4は、加工工程(1)に対して読み出される工具交換形式ファイルα1の一例を示す。例えば、工具交換形式ファイルα1では、2回の工具の交換の記述がある。そこで、CAM処理手段3では、工具交換形式ファイルα1の工具番号記述欄に、工具変数[A1],[A2]のように記述する。
【0016】
工程ヘッダー形式ファイルは、各工程の工具経路の前に記述されるヘッダーを所定の書式で形式化したものであって、テキストデータとして記述される。工程ヘッダー形式ファイルは、加工工程の工程名や、加工工程における工具の移動指示や座標系の設定などが記述される。工程ヘッダー形式ファイルの書式内容は、加工方法と使用座標系によって異なる。本例の加工方法では、ミーリングと旋削とのいずれかから選択される。そして、選択された加工方法の使用座標系によってそれぞれ異なる工程ヘッダー形式ファイルが選択され、読み出される。具体的には、加工方法がミーリングで使用座標系がG54のときには工程ヘッダー形式ファイルβ1が選択され、G55のときには工程ヘッダー形式ファイルβ2、G56のときには工程ヘッダー形式ファイルβ3、G57のときには工程ヘッダー形式ファイルβ4が選択される。また、加工方法が旋削で使用座標系がG54のときには工程ヘッダー形式ファイルβ5、G55のときには工程ヘッダー形式ファイルβ6、G56のときには工程ヘッダー形式ファイルβ7、G57のときには工程ヘッダー形式ファイルβ8が選択される。
工程フッター形式ファイルは、各工程の工具経路の後に記述されるフッターを所定の書式で形式化し、テキストデータとして記述したものである。工程フッター形式の書式内容は、加工方法によって異なり、例えば、加工方法がミーリングのときには工程フッター形式ファイルγ1が選択され、加工方法が旋削のときには工程フッター形式ファイルγ2が選択され、読み出される。
総合フッター形式ファイルは、NCプログラムの全般に対するフッター形式を所定の書式で形式化し、テキストデータとして記述したものである。総合フッター形式ファイルは、総合ヘッダー形式ファイルに記述される内容を解除したり、NCプログラムの終了を指示する内容が記述される。
なお、テキストデータとは、NCプログラムの作成者が直接的に理解しうる言語、または、NCコードにより記述されることを示す。NCプログラムを作成するNC工作機械のコンピュータに理解可能なコンピュータ言語によりプログラムを作成し、形式化したものであっても良い。
【0017】
即ち、NCプログラムは、所定の書式が規定されているため、1つのNCプログラムに対して複数回同様の書式が要求される。そこで、複数回使用される書式を形式ファイルとして予め作成しておき、CAM処理手段3において、加工データ作成手段32が作成する加工経路に対応する形式ファイルを順次読み込ませることにより加工データを作成し、ポスト処理に係る負担を軽減させることが可能となる。また、各形式ファイルにおいて、異なる部分のみを変数で記述することにより、同一形式の形式ファイルを繰り返し使用することを可能とする。また、各形式ファイルは、異なる形状データのNCプログラム作成時にも使用できるため、新たな加工モデルに対するNCプログラムを作成する工程を高速化することができる。
【0018】
図5は、CAM処理手段3による加工データの作成工程からポスト処理手段4を経てNCプログラムが作成されるまでの工程図である。図6は、ポスト処理手段4の処理工程を示す。
以下、NCプログラム作成装置1によるNCプログラムの作成手順について説明する。
まず、CAM処理手段3が、CAD装置2から出力された加工部品の形状データに対応する加工情報を読み出し、形状データと加工情報とに基づいて加工工程(1)〜(4)毎の工具経路(1)〜(4)を作成する。工具経路(1)〜(4)には、加工方法、使用座標系、使用工具、加工条件がNCコードにより記述される。
次に、形式ファイル読込手段33は、加工工程(1)〜(4)毎の工具経路(1)〜(4)の前後に形式ファイルの読み込みを行う。具体的には、工具経路(1)に記述される加工方法、使用座標系、使用工具に基づいて、工具経路(1)よりも前に、総合ヘッダー形式ファイル、工具交換形式ファイルα1、工程ヘッダー形式ファイルβ1の順に読み込みを行い、工具経路(1)の後に工程フッター形式ファイルγ1を読み込む。
また、工具経路(2)に記述される加工方法、使用座標系、使用工具に基づいて、工具経路(2)の前に、工程ヘッダー形式ファイルβ2の読み込みを行い、工具経路(2)の後に工程フッター形式ファイルγ1を読み込む。なお、工具経路(1)及び工具経路(2)では、使用工具が共に同一の工具“A”が指定されているため、工具経路(2)の加工に関しては、工具交換形式ファイルの読み出しを行わない。
また、工具経路(3)に記述される加工方法、使用座標系、使用工具に基づいて、工具経路(3)の前に、工具交換形式ファイルα2、工程ヘッダー形式ファイルβ2の読み込みを行い、工具経路(3)の後に工程フッター形式ファイルγ1を読み込む。
また、工具経路(4)に記述される加工方法、使用座標系、使用工具に基づいて、工具経路(4)の前に、工具交換形式ファイルα3、工程ヘッダー形式ファイルβ8の読み込みを行い、工具経路(4)の後に工程フッター形式ファイルγ2を読み込む。
そして、工程フッター形式ファイルγ2の後に、総合フッター形式ファイルを読み込むことで加工データが作成される。
【0019】
次に、CAM処理手段3によって作成された加工データと加工情報とが、ポスト処理手段4に出力される。
ポスト処理手段4では、加工データの変数で表わされた部分に、番号付けされた使用工具の工具番号を代入する。また、各加工工程(1)〜(4)に記述される使用座標系をNC工作機械の機械座標系に変換し、NCプログラムを作成する。そして、NCプログラムは、ネットワークや記憶媒体を介してポスト処理手段4からNC工作機械10に出力される。
【0020】
以上説明したように、CAM処理手段3とポスト処理手段4とは別に、NCプログラム作成装置1に複数の形式ファイルを記憶させておき、CAM処理手段3による加工データの作成時に形式ファイルをCAM処理手段3に読み込ませて加工データを作成することにより、ポスト処理手段4によりNCプログラムを作成するときの負担を軽減することができる。
即ち、従来のNCプログラム作成装置では、CAM処理手段により加工経路のみが作成された加工データをポスト処理手段が加工データにおける加工経路以外のプログラム部分を作成するとともに、加工経路をNC工作機械に最適なNCプログラムとなるように処理していたため、ポスト処理手段に係る負担が大きかった。そこで、本発明のように、NC工作機械の加工機軸の構成に合わせた加工経路の変換作業及びアプローチ動作以外のNCプログラムの書式を形式化した形式ファイルをCAM処理手段3やポスト処理手段4とは別に構成し、CAM処理手段3による加工データの作成時に形式ファイルを読み込んで、形式的にNCプログラムに必要な構成を整え、ポスト処理手段4によって加工データにおける変数部分を加工情報に基づいて数値を代入することで、NCプログラムを作成することができる。
よって、ポスト処理手段4にかかる負担を軽減させることができる。また、形式ファイルをNCプログラムでも直接利用可能なGコード、Mコード等のNCコードにより記述しておくことで、CAM処理手段3やポスト処理手段4で言語変換を行う必要がないため、形状データに変更が加えられたときでも、形式ファイルに変更を加えることで、容易に対応することができる。つまり、従来は、ポスト処理手段4で実行されるCAMソフトウェアと例えば対話形式によりオペレータが処理することによりNCプログラムを作成していたため、ポスト処理の変更による影響を可視化することができなかったが、本発明の方法によれば、NCプログラムを作成する書式が形式化され、テキストデータにより記述した形式で予め用意されているので、形状データ、加工方法に変更があったときでも、形式データに容易に変更を加えることを可能とするとともにNCプログラムの作成を容易に行うことが可能となる。
【0021】
なお、上記形態において、CAD装置2は、NCプログラム作成装置1とは、異なるコンピュータにより構成するとして説明したが、CAD装置2とNCプログラム作成装置1とを1つのコンピュータで構成しても良い。また、NCプログラム作成装置1が、CAM処理手段3とポスト処理手段4と形式ファイル記憶手段5とを備えるように構成したが、CAM処理手段3と、ポスト処理手段4と、形式ファイル記憶手段5とを別々のコンピュータで構成し、互いに情報の送受信が可能なネットワークを構成しても良い。
【0022】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0023】
1 NCプログラム作成装置、2 CAD装置、3 CAM処理手段、
4 ポスト処理手段、5 形式ファイル記憶手段、31 加工情報記憶手段、
32 加工経路作成手段、33 形式ファイル読込手段、41 変数変換手段、
42 NCコード変換手段。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
CAD装置により作成される形状データからNC工作機械に出力するNCプログラムを作成するNCプログラム作成装置であって、
形状データに対応する加工手順、加工方法、使用工具、工具形状、加工条件を含む加工情報を記憶する加工情報記憶手段と、
NC工作機械の加工機軸数に対応して前記形状データから工具の加工経路を作成する動作及び被加工物に対する工具のアプローチ動作以外のNCプログラムの書式を形式化した形式ファイルを記憶する形式ファイル記憶手段と、
前記形状データと加工情報とに基づいて加工経路を作成する加工経路作成手段と、
前記加工経路の所定の前記形式ファイルを読み出してNCプログラムを作成する形式ファイル読込手段とを備えることを特徴とするNCプログラム作成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−150728(P2012−150728A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10186(P2011−10186)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】