説明

O−デスメチルベンラファキシン(ODV)またはその塩を含む局所用処方物

本発明は、選択的なセロトニンおよびノルエピネフリン再取込み阻害剤である、O−デスメチルベンラファキシン(ODV)またはその医薬上許容される塩を含む局所用組成物を提供する。特定の実施態様において、本発明の局所用処方物は、1つまたはより多くの経皮/経粘膜吸収増強剤を含む。血管運動徴候および疼痛などの種々の疾患または症状の処置のためのこれらの組成物の調製および使用方法もまた、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2005年9月7日に提出され、「O−デスメチルベンラファキシン(ODV)またはその塩を含む局所用処方物」という表題のついた仮特許出願第60/715,400号からの優先権を主張する。仮特許出願は、その全体において出典明示によって本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ベンラファキシン(または(±)−1−[2−(ジメチルアミノ)−1−(4−メトキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノール)は、抗うつ剤の比較的新しいクラスに属する(米国特許第4,761,501号; J.T. Pento, Drugs of the future, 1988, 13: 839−840)。その塩酸塩は、米国においてEffexor(登録商標)という商標名で市販されており、うつ病および不安障害の処置用であることが現在示されている。
【0003】
インビボにおいて、ベンラファキシンは、飽和性代謝経路によって2つの微量代謝産物、N−デスメチルベンラファキシンおよびN,O−ジデスメチルベンラファキシン、ならびに1つの主要で、生物学的に活性な代謝産物、O−デスメチルベンラファキシンへと広範に変換される(K.J. Klamerus et al., J. Clin. Pharmacol., 1992, 32: 716−724)。ベンラファキシンおよびO−デスメチルベンラファキシン(ODV)は、三環系抗うつ剤(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)およびモノアミンオキシダーゼ可逆的阻害剤(RIMA)を含む他の抗うつ剤に構造的に非関連である。ヒトにおけるベンラファキシンおよびODVの抗うつ作用の機構は、中枢神経系における神経伝達物質活性の増強に付随する。ベンラファキシンおよびODVは、神経細胞セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みの強力な阻害剤、ならびにドパミン再取り込みの弱い阻害剤であることが示されている。選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤、または「SSNRI」(すなわち、ベンラファキシンと同じ機構を通じてその抗うつ効果を発揮する化合物)は一般に、治療作用の迅速な開始を有し、通常他の抗うつ剤より有効である(J.S. Olver et al., CNS Drugs, 2001, 15: 941−954; M.E. Thase, J. Clin. Psychiatry, 64: 3−7; D.E. Stewart, J. Clin. Psychiatry, 2003, 64: 12−16)。さらに、ベンラファキシンおよびODVには、ムスカリン、H1−ヒスタミンまたはα1−アドレナリン受容体に対して有意な親和性を示さず、それらには他の抗うつ薬物では見られる種々の抗コリン、鎮静および心血管効果が付随しない。
【0004】
ベンラファキシンと比較して、ODVはいくつかの有利な特性を有する。ベンラファキシンより可溶性であることに加えて、ODVは約10時間の半減期(それは親化合物の半減期より約2.5倍長い)を有することが報告されている(K.J. Klamerus et al., J. Clin. Pharmacol., 1992, 32: 716−724)。ODVはまたベンラファキシンより強力なノルエピネフリンおよびセロトニン再取り込み阻害剤であることが、インビトロでの研究によって示唆されている(E.A. Muth et al., Drug Develop. Res., 1991, 23: 191−199)。ベンラファキシンのように、ODVに主要な抑うつ症状以外の他の症状の処置への適用が見出され得るのであれば、これらの利点はいっそう重要である。
【0005】
例えば、ベンラファキシンは強迫性症状、外傷後ストレス障害、パニック障害、および他の不安障害を処置するのに有効であることが知られている(T.T. Pleak and L.J. Gormly, Am. J. Psychiatry, 1995, 152: 1099; T.D. Geracioti, J. Clin. Psychiatry, 1995, 56: 408−410; J.A. Yaryura−Tobias and F.A. Neziroglu, Arch. Gen. Psychiatry, 1996, 53: 653−654; D. Denys et al., J. Clin. Psychopharmacol., 2003, 23: 568−575; R.H. Bradley et al., Am. J. Ther., 2003, 10: 318−323; M. Katzman, Expert Rev. Neurother., 2004, 4: 371−381)。セロトニンおよびノルエピネフリン両方の再取り込みをブロックするベンラファキシンなどの抗うつ剤はまた、限定するものではないが、主要な抑うつ症状または不安障害に付随する疼痛(R.H. Bradley et al., Am. J. Ther., 2003, 10: 318−323); 末梢神経障害性疼痛(J.E. Sumpton and D.E. Moulin, Ann. Pharmacother., 2001, 35: 557−559; T. Tasmuth et al., Eur. J. Pain, 2002, 6: 17−24; S. Guldiken et al., Diabetes Nutr. Metab., 2004, 17: 247−249);慢性疼痛(K. Taylor and M. Rowbowtham, West. J. Med., 1996, 165: 147−148; D.A. Songer and H. Schulte, Am. J. Psychiatry, 1996, 153: 737; P.T. Ninan, Depress. Anxiety, 2000, 12: 90−94);ガン関連疼痛(J.P. Durand and F. Goldwasser, Anticancer Drugs, 2002, 13: 777−780; J.P. Durand et al., Anticancer Drugs, 2003, 14: 423−425; S.S. Reuben et al., J. Pain Symptom Manag., 2004, 27: 133−139)および線維筋痛(M.M. Dwight et al., Psychosomatics, 1998, 39: 14−17; K. Sayar et al., Ann. Pharmacother., 2003, 37: 1561−1565)を含む疼痛症候群を処置するために使用されている。ベンラファキシンはまた、のぼせを含む血管運動徴候(VMS)の軽減のための有望な非ホルモン代替物として考えられており(C.L. Loprinzi et al., J. Clin. Oncol., 1998, 16: 2377−2381; S.K. Quella et al., J. Urol., 1999, 162L 98−102; D.H. Barlow, Lancet, 2000, 356: 2025−2026; C.L. Loprinzi et al., Lancet, 2000, 356: 2059−2063; D. Barton et al., Oncol. Nurs. Forum, 2002, 29: 33−40; A.N. Wymenga and D.T. Sleijfer, Acta Oncol., 2002, 41: 269−275; C.E. Schober and N.T. Ansani, Ann. Pharmacother., 2003, 37: 1703−1707)、そしてコハク酸ODVは現在、VMSについてフェーズIII臨床試験中である。
【0006】
しかし、ベンラファキシンの経口投与には、持続性高血圧、頭痛、無力症、発汗、傾眠、口渇、眩暈、不眠症、神経過敏、不安、かすみ目、性機能障害を含む有害な副作用(Physician’s Desk Reference, 1999, 53rd Ed, pp. 3293−3302; J. Sinclair et al., Rev. Contemp. Pharmacother., 1998, 9: 333−344)、および最も一般的には、嘔気および嘔吐などの胃腸副作用(R. Entsuah and R. Chitra, Psychopharmacol. Bull., 1997, 33: 671−676)が付随する。これらの有害な効果は用量レベル、しばしば処置の持続時間を有意に限定し、そのような薬物の可能性が完全に実現されることすら妨げ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ODVなどの選択的セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤の投与のための新規の戦略が明確に必要とされている。経口投与に一般に付随する望ましくない副作用の発生率、重症度、または持続時間を回避または減少させる一方で、SSNRIの治療有効量の投与を可能にする送達システムが特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の概要
本発明は、種々の疾患または症状の処置用のODVまたはその塩の、単純で簡便であり、非浸潤性である投与システムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、胃腸管および肝臓初回通過生体内変換および代謝を回避する利点を与えるODV局所用組成物を提供する。特に、本発明の組成物は、高濃度の薬物の迅速な送達を可能にし、それは経口投与より少ない有害な副作用または薬物−薬物相互作用をもたらす。本発明の局所用ODV組成物は、血管運動徴候および疼痛の予防、処置または管理に特に有用である。
【0009】
1つの態様において、本発明は、治療有効量のODVまたはその医薬上許容される塩、および少なくとも1つの生理学上許容される担体または賦形剤を含む局所用組成物を提供する。局所用組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたは油として処方され得る。特定の実施態様において、局所用組成物は、クリームまたはゲルとして処方される。
【0010】
特定の実施態様において、少なくとも1つの生理学上許容される担体または賦形剤が、トロメタンエタノール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、アクリル酸、Carbopol、精製水、ベンジルアルコール、セチルアルコール、クエン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、オレイルアルコール、セトステアリル硫酸ナトリウム、硫酸化ナトリウム、ステアリルアルコール、白色ワセリン、鉱油、炭酸プロピレン,白色ワックス、パラフィンおよびその任意の組合せからなる群より選択される。
【0011】
いくつかの実施態様において、局所用組成物は、ペンタデカラクタン、1,3−ジオキサラン、1,3−ジオキサンなどの吸収増強剤の少なくとも1つ、またはその任意の組合せをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、局所用組成物は、治療有効量の少なくとも1つの薬理学上有効な薬剤をさらに含む。薬理学上有効な薬剤は、鎮痛剤、麻酔剤、筋弛緩剤、神経伝達物質調調節剤、ノシセプティック剤、月経前医薬品、抗閉経剤、抗加齢剤、抗不安剤、気分障害剤、抗うつ剤、抗双極剤、抗統合失調症剤、精神安定剤、催眠剤、抗片頭痛剤、皮膚温度低下製品、抗ガン剤、アルカロイド、抗転移剤、血圧制御剤、ホルモン、ステロイド、抗炎症剤、抗虚血剤、抗不整脈剤、ビタミン、鉱物、抗血管新生剤、創傷治癒剤、サイトカイン、増殖因子、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、相殺的食欲抑制剤、皮膚再生剤などの皮膚科学的薬剤、日焼け止めおよび皮膚軟化剤、性欲変化剤、下剤、止瀉剤、鎮痒剤、解熱剤、免疫賦活剤、疼痛および炎症に付随するか、またはそれに伴う疾患および症状の予防処置に適切な薬剤、およびその組合せからなる群より選択され得る。
【0013】
本発明の局所用組成物中に存在するODVまたはその医薬上許容される塩の治療有効量は、好ましくは約5mg〜約500mgの間、または約25mg〜約250mgの間、または約50mgと約200mgの間であり、ここで、量はODV遊離塩基の量に基づいて計算される。例えば、特定の実施態様において、ODVまたはその医薬上許容される塩の治療有効量は、約100mgである。
【0014】
別の態様において、本発明は、対象において血管運動徴候を処置する方法であって、本明細書に記載の局所用組成物の治療有効量を対象に投与する工程を包含する方法を提供する。
【0015】
特定の実施態様において、血管運動徴候に罹患している対象はのぼせを経験し、局所用組成物を対象に投与する工程は、のぼせを経験している対象の身体の1つまたはより多くの領域に治療有効量の組成物を適用することを含む。
【0016】
本発明の方法は、自然閉経、化学誘導閉経または外科誘導閉経に付随する血管運動徴候を経験している女性患者を処置するために使用され得る。あるいはまたはさらに、本発明の方法は、例えばタモキシフェンの投与を含む処置などの、乳ガンの処置を受けているか、または受けたことがある女性患者を処置するために使用され得る。本発明の方法はまた、自然、化学的、外科的男性休止である男性患者を処置するために使用され得る。あるいはまたはさらに、方法は、前立腺ガンについて処置されているか、または処置されたことがある男性患者を処置するために使用され得る。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、対象において疼痛を処置する方法であって、本発明の局所用組成物の治療有効量を対象に投与する工程を包含する方法を提供する。特定の実施態様において、局所用組成物を対象に投与する工程は、治療有効量の組成物を、疼痛を経験している対象の身体の1つまたはより多くの領域に適用することを含む。疼痛は、侵害受容性疼痛または神経障害性疼痛であり得る。
【0018】
これらおよび他の、本発明の目的、利点および特色は、以下の好適な実施態様の詳細な説明を読んだ当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
定義
本明細書において、以下の段落において定義するいくつかの用語を用いる。
【0020】
本明細書において、用語「個体」、「対象」および「患者」は互換的に使用される。それらは、高等脊椎動物、好ましくはヒトまたは別の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)をいう。
【0021】
本明細書において、用語「局所用処方物」および「局所用組成物」は互換的に使用される。それらは、組成物の有効成分が皮膚表面への直接適用のために入れられ得るように処方され、そこから有効量の有効成分が放出される組成物をいう。局所用処方物の例としては、限定するものではないが、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、スプレー、ペーストなどが挙げられる。本発明の特定の実施態様において、組成物はクリームまたはゲルとして処方される。
【0022】
本明細書において、用語「皮膚」および「皮膚表面」は互換的に使用される。それらは、本発明の組成物が適用され得る、表皮および粘膜表面を含む対象の皮膚表面を含む。粘膜表面の例としては、呼吸器、口、膣、イントロイタル(introital)、口唇および直腸表面の粘膜が挙げられる。
【0023】
本明細書において、用語「経皮」は、皮膚または粘膜表面を通る血流への組成物の有効成分の移動を容易にする投与の経路をいう。
【0024】
本明細書において、用語「透過増強剤」、「浸透増強剤」および「吸収増強剤」は互換的に使用される。それらは、薬剤が皮膚または粘膜を通して浸透し、血流に入る速度を増加させるように、薬理学上有効な薬剤に対する皮膚または粘膜の浸透性を増加させる化合物または物質をいう。吸収増強剤および局所用処方物におけるそれらの使用は、当該分野において周知である。
【0025】
本明細書において、用語「医薬組成物」は、少なくとも1つの薬理学上許容される担体または賦形剤、およびODVまたはその医薬上許容される塩の有効量を含むものとして定義される。
【0026】
用語「ODV」は、O−デスメチルベンラファキシン(または1−[2−(ジメチル−アミノ)−1−(4−フェニル)エチル]−シクロヘキサノール)、ベンラファキシンの主要な代謝物をいう。
【0027】
本明細書で使用される用語「ODVの医薬上許容される塩」は、例えば酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸または無機酸に由来し、それが投与される濃度でホストに有毒でないODVの任意の塩をいう。好ましくは、ODVの医薬上許容される塩は、ODVおよび/またはベンラファキシンと類似、またはより優れた生物学的活性を有する。あるいはまたはさらに、ODVの医薬上許容される塩は、局所投与にとって望ましい特性(例えば、改善された経皮/経粘膜透過)を示す。用語「医薬上許容されるODVの塩」はまた、ODVの医薬上許容される塩水和物(すなわち、水分子と会合したODVの塩)を含む。
【0028】
本明細書で使用される用語「薬理学上許容される担体または賦形剤」は、組成物の有効成分生物学的活性の有効性を妨げず、それが投与される濃度でホストに過度に有毒でない担体媒体または賦形剤をいう。本発明の関連において、生理学上許容される担体または賦形剤は、局所用処方物に好適に適切である。用語は、限定するものではないが、溶媒、分散溶媒、等張剤、経皮/経粘膜吸収増強剤などを含む。医薬上有効な物質の処方物のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該分野において周知である(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”, E.W. Martin, 18th Ed., 1990, Mack Publishing Co.: Easton, PAを参照のこと、その全体を出典明示によって本明細書の一部とする)。
【0029】
本明細書において、用語「処置」は、以下のことを目的とする方法を特徴づけるために使用される:(1)医学的症状、疾患または障害の発症を遅延させるか、または予防すること;(2)症状の徴候の進行、増悪または悪化を減速させるか、または停止させること;(3)症状の徴候の寛解をもたらすこと;および/または(4)症状を治癒させること。処置は、予防または予防作用のために症状の発症の前に投与されてもよく、または、それは治療作用のために症状の開始後に投与されてもよい。
【0030】
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、組織、系または対象における意図した生物学的もしくは医学的応答または治療上の利益を達成するのに十分な量(原則として、種、体型、大きさ、疾患もしくは症状の程度、徴候の程度もしくは型、応答性の経過および/または健康全体などの匹敵する特徴の対象について)をいう。例えば、望ましい応答は、以下の1つまたはより多くを含み得る:医学的症状、疾患または障害の発症を遅延させるか、または予防すること;症状の徴候の進行、増悪または悪化を減速させるか、または停止させること;症状の徴候の寛解をもたらすこと;および/または症状を治癒させること。当業者に理解されるように、ODVまたはその医薬上許容される塩の治療有効量は、所望される応答に依存して異なり得る。例えば、疼痛を処置するのに有効なODV量は、血管運動徴候を処置するのに有効なODV量と異なり得る。同様に、血管運動徴候を予防するのに有効なODV量は、血管運動徴候を処置するのに有効なODV量と異なってもよく、どちらも疼痛を予防または処置するための量と異なってもよい。局所の症状(例えば、疼痛)を処置するのに有効なODV量は、全身性の薬物分布が望ましい症状(例えば、血管運動徴候)を処置するのに有効なODV量と異なってもよい。
【0031】
さらに、本発明の配合物がODVおよび他の治療剤を含む場合、配合物において必要とされる各々の薬剤の量は、その治療効果を単独で達成するために必要とされる薬剤の量と異なってもよい。いくつかの場合、混合物中で使用される治療剤間の相乗作用は、必要とされる量を減少させ得;他の場合、阻害性相互作用は、必要とされる量を増加させ得る。従って、一般に、薬剤の混合物の治療有効量は、薬剤の治療有効量をそれぞれ構成するものと異なる薬剤の絶対量を利用し得る。
【0032】
本明細書で使用される用語「同時投与」は、複数の生物学的に活性な物質の1つの対象への同時または連続のいずれかでの投与をいう。用語はまた、異なる投与経路(例えば、経口および局所)を使用する、1つの生物学的に活性な物質の1対象への同時または連続投与をいう。
【0033】
本明細書において、用語「約」は、10%以内、好ましくは5%以内、好ましくは1%以内の所定の値または範囲を意味するために使用される。あるいは、当業者に考慮される場合、用語「約」は平均の許容される標準偏差内であることを意味する。
【0034】
本明細書において、用語「のぼせ」は、当該分野で理解される意味であり、典型的には、通常発汗をともなう突発性の皮膚潮紅からなる体温の突発性障害をいう。
【0035】
本明細書において、用語「血管運動徴候」、「血管運動不安定性徴候」および「血管運動障害」は互換的に使用され、限定するものではないが、のぼせ、不眠症、睡眠障害、気分障害、易刺激性、過剰発汗、寝汗、疲労などを含み、温度調節機能障害によって引き起こされる。
【0036】
本明細書で使用される用語「疼痛」は、中枢性であろうと局所性であろうと、侵害受容性疼痛または神経障害性疼痛のいずれの型もいう。
【実施例】
【0037】
特定の好適な実施態様の詳細な説明
上記のように、本発明は、血管運動徴候および/または疼痛の予防、処置または管理に有用であり得る、ODVまたはその医薬上許容される塩を含む局所用組成物を提供する。
【0038】
I−ODVおよび医薬上許容される塩
特定の実施態様において、本発明の局所用組成物は、有効成分としてODVを含む。ODV遊離塩基は、無色の個体であり;その調製および物理化学的特徴は、国際特許出願WO 00/32555およびWO 00/59851に記載されている(それぞれのその全体を出典明示によって本明細書の一部とする)。
【0039】
ODVは、不斉炭素原子を含む。従って、本発明の局所用組成物において、ODVはラセミ混合物、ODVの(+)および(−)鏡像異性形態の非等モル混合物、立体異性的に純粋な(+)鏡像異性体、または立体異性的に純粋な(−)鏡像異性体として存在し得る。本明細書において使用される用語「立体異性的に純粋な」は、ラセミ混合物より多くの割合の所望の異性体が含まれる化合物をいう。立体異性的に純粋な化合物は、好ましくは少なくとも約90%の所望の異性体、より好ましくは少なくとも95%の所望の異性体、さらに好ましくは97%以上の所望の異性体から構成される。
【0040】
本発明の特定の局所用組成物において、有効成分はODVの医薬上許容される塩である。本発明による局所用組成物の調製における使用に好適な塩は、ODVの医薬上許容される酸付加塩である。これらの塩は、ODVの遊離塩基を、無毒性の塩の形成を誘導する任意の酸の当量と反応させるなどの、当該分野において周知である従来方法によって調製する。適切な酸としては、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸または無機酸が挙げられる。
【0041】
本発明の局所用組成物の調製で使用するODV塩は、結晶、または多形もしくは非結晶形態である。水和物および塩の無水形態もまた、本発明に含まれる。
【0042】
フマル酸(米国特許第4,535,186号)およびコハク酸(米国特許第6,673,838号)を含むいくつかのODV塩(これらはODV遊離塩基とは異なる物理化学的(例えば、可溶性、安定性およびハイグロスコピ(hygroscopy))および生物学的特徴を有する)を調製した。例えば、コハク酸ODVは、改善された可溶性、透過性および生物学的利用率を示すことが示され、その経口投与は、ベンラファキシン、ODVまたは他のODV塩の経口投与より低い嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、血管迷走神経性倦怠および/または開口障害の発生頻度をもたらすことが見出されている。
【0043】
本発明の局所用組成物の調製のためにODVの医薬上許容される塩を選択することは、当業者によって容易に実施し得る。
【0044】
II−ODV局所用組成物の処方
本発明によるODV局所用組成物は、液体または半流動性投与調製物の形態であり得る。例えば、本発明のODV組成物は、溶液、分散液、懸濁液、乳濁液、混合物、ローション、リニメント、ゼリー、軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、ハイドロゲル、エアロゾル、スプレー、プラスター、絆創膏、シート、発泡剤、フィルム、スポンジ、ドレッシング、水薬、バイオアドソーバブル(bioadsorbable)パッチおよびスティックとして処方してもよい。本発明の特定の好適な実施態様において、ODV組成物は、クリームまたはゲルとして処方される。
【0045】
本発明の局所用組成物は、一般の薬務に従って調製され得る(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”, E.W. Martin, 18th Ed., 1990, Mack Publishing Co.: Easton, PA and “Encyclopedia of Pharmaceutical Technology”, 1988, J. Swarbrick, and J.C. Boylan (Eds.), Marcel Dekker, Inc: New Yorkを参照のこと、各々をその全体において出典明示によって本明細書の一部とする)。
【0046】
本発明のODV局所用組成物は好ましくは、治療有効量のODVまたはその医薬上許容される塩、および少なくとも1つの薬理学上許容される担体、ビヒクルまたは賦形剤を含む。本発明の局所用組成物に含有させるのに適切で薬理学上許容される担体、ビヒクルおよび/または賦形剤は、特定の使用のために当業者によって日常的に選択され得る。そのような担体、ビヒクルおよび賦形剤としては、限定するものではないが、溶剤、緩衝剤、不活性希釈剤または充填剤、懸濁剤、分散剤または湿潤剤、保存料、安定化剤、キレート剤、乳化剤、消泡剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、透過増強剤、保湿剤、皮膚軟化剤および皮膚保護剤が挙げられる。
【0047】
溶媒の例としては、水または精製水、アルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール)、植物油、魚油および鉱油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、および液体ポリアルキルシロキサンが挙げられる。不活性希釈剤または充填剤は、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微細結晶性セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムである。緩衝剤の例としては、クエン酸、酢酸、乳酸、ヒドロゲンオリン酸、ジエチルアミン、水酸化ナトリウム、およびトロメタン(すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンヒドロクロライド)が挙げられる。適切な懸濁剤としては、例えば、天然ゴム(例えば、アカシア、アラビア、キサンタンおよびトラガカンゴム)、セルロース(例えば、カルボキシメチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−およびヒドロキシプロピルメチル−セルロース)、アルギン酸、およびキトサンが挙げられる。分散剤または湿潤剤の例としては、天然ホスファチド(例えば、レシチンまたはダイズレシチン)、脂肪酸または長鎖脂肪族アルコールを含むエチレンオキシドの縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)が挙げられる。
【0048】
保存料を本発明の局所用組成物に添加して、処方物の安定性に影響を及ぼし、および/または患者にて感染を引き起こし得る微生物混入を予防してもよい。保存料の適切な例としては、パラベン(例えば、メチル、エチル、プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸、ブチル、イソブチルおよびイソプロピルパラベン)、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、塩化ベンザルコニウム、セトリミド、およびベンジルアルコールが挙げられる。キレート剤の例としては、EDTAナトリウムおよびクエン酸が挙げられる。
【0049】
乳化剤の例としては、天然ゴム、天然ホスファチド(例えば、ダイズレシチン、ソルビタンモノオレート誘導体)、ソルビタンエステル、モノグリセリド、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール)および脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸のトリグリセルド、硫酸セトステアリルナトリウム)が挙げられる。消泡剤は通常、医薬組成物の製造を容易にし、それは気体−液体界面を不安定化させることによって泡を散逸させ、液体を空洞部分から排出するのを可能にする。消泡剤の例としては、シメチコン、ジメチコン、エタノールおよびエーテルが挙げられる。
【0050】
ゲル基剤または増粘剤の例としては、流動パラフィン、ポリエチレン、油脂、コロイド性シリカまたはアルミニウム、グリセロール、プロピレングリコール、炭酸プロピレン、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸マグネシウム−アルミニウム、親水性ポリマー(例えば、デンプンまたはセルロース誘導体)、水膨潤性親水コロイド、カラゲナン、ヒアルロン酸、アルギン酸およびアクリル酸が挙げられる。本発明の組成物における使用に適切な軟膏基剤は疎水性または親水性であってもよく、パラフィン、ラノリン、液体ポリアルキルシロキサン、セタノール、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル、ポリエチレングリコール、および脂肪酸のソルビタンエステル、酸化エチレンとの間の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、ポリソルビン酸、白色ワセリン、白ろうを含む。
【0051】
保湿剤の例としては、エタノール、イソプロパノールグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、乳酸および尿素が挙げられる。適切な皮膚軟化剤としては、コレステロールおよびグリセロールが挙げられる。皮膚保護剤の例としては、ビタミンE、アラトイン、グリセリン、酸化亜鉛、ビタミンおよび日焼け止めが挙げられる。
【0052】
あるいはまたはさらに、本発明のODV局所用組成物は、増粘剤、生体接着ポリマーおよび浸透増強剤を含む他の型の賦形剤をさらに含んでもよい。
【0053】
増粘剤は一般に、粘性を増加させ、医薬または化粧品組成物の生体接着特性を改善するために使用される。増粘剤の例としては、限定するものではないが、セルロース、ポリエチレングリコール、酸化ポリエチレン、天然ゴム、ゼラチン、カラヤ、ペクチン、アルギン酸、ポビドンおよびCarbopol(登録商標)ポリマーが挙げられる。チキソトロピック特性を有する増粘剤(すなわち、振盪するか、または撹拌することによってその増粘性が減少する薬剤)が特に興味深い。組成物中でのそのような薬剤の存在は、組成物の粘性を投与時に減少させることを可能にして、皮膚への組成物の適用を容易にし、組成物が投与部位に留まるように適用後に増加させる。
【0054】
生体接着ポリマーは、皮膚を水和させ、その浸透性を増強させるのに有用である。生体接着ポリマーはまた、増粘剤として機能し得る。生体接着ポリマーの例としては、限定するものではないが、ペクチン、アルギン酸、キトサン、ポリソルビン酸、ポリ(エチレングリコール)、オリゴ糖および多糖、セルロースエステルおよびセルロースエーテル、ならびに修飾セルロースポリマーが挙げられる。
【0055】
浸透増強剤は、皮膚を通る活性成分の送達に影響を及ぼす特定の薬剤を含むビヒクルである。浸透増強剤は一般に、2つのクラス:溶媒および表面活性化合物(両親媒性化合物)に分けられる。溶媒浸透増強剤の例としては、アルコール(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−ドデシルアゾシロヘプタン−2−オン、N−デシル−メチルスルホキシド、乳酸、N,N−ジメチル−m−トルアミド、N−メチルピロリジノン、ノナン、オレイン酸、ワセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、サリチル酸、尿素、テルペンおよびトリクロロエタノールが挙げられる。界面活性剤浸透増強剤は、非イオン性、両性、陽イオン性または双性イオン性であり得る。適切な非イオン性界面活性剤としては、商品名ポロキサマーとして知られるポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー;エトキシレート化水素化ヒマシ油;Tween20またはTween80などのポリソルベートが挙げられる。両性界面活性剤としては四級化イミダゾール誘導体が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては塩化セチピリジウムが挙げられ、双性イオン性界面活性剤としてはベタインおよびスルホベタインが挙げられる。適切な浸透増強剤の他の例としてはとりわけ、ペンタデカラクトン、2−ピロリジノン、1−ドデカル−アザシクロヘプタン−2−オン、チオグリコール酸カルシウム、ヘキサノール、1,3−ジオキサン誘導体(すなわち、1,3−ジオキサシクロヘキサン)および1,3−ジオキサラン誘導体(すなわち、1,3−ジオキサシクロペンタン)、1−N−ドデシル−2−ピロリジノン−5−カルボン酸、2−ペンチル−2−オキソ−ピロリジン酢酸、2−ドデシル−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸および1−アザシクロヘプタン−2−オン−2−ドデシル酢酸が挙げられる。
【0056】
本発明の特定の実施態様において、ODV局所用組成物を、組成物の1つまたはより多くの成分の局所徐放を提供するために処方する。局所投与に適切で、医薬上許容される担体ビヒクルまたは処方物のいずれも用いてもよい。徐放処方物の例としては、被覆化ペレット、ポリマー処方物(例えば、小胞またはリポソーム)、微細粒子(例えば、微粒子または微小莢膜)が挙げられる。
【0057】
広範な生分解性材料を、本発明の組成物の1つまたはより多くの成分の徐放を提供するために使用してもよい。徐放材料は生体適合性であり、材料が天然組織プロセスによって適切な時間(例えば、1年未満、好ましくは半年未満、最も好適には1月未満)内で投与部位から除去されるような、安全で医薬上許容されるやり方で、インサイチュで分解、溶解または吸収されるべきである。徐放担体は、いずれの望まない局所組織反応を引き起こすべきでないか、または全身もしくは局所毒性を誘発するべきでない。
【0058】
本発明の局所用組成物の処方における使用に適切な徐放生分解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクタン、多糖、ポリホスファゼン、タンパク質性ポリマーおよびそれらの可溶性誘導体(例えば、ゲル化生分解性合成ポリペプチド、アルキル化コラーゲンおよびアルキル化エラスチン)、多糖の可溶性誘導体、ポリペプチド、ポリエステル、およびポリオルトエステルが挙げられてもよい。
【0059】
これらの処方物の薬物動態学的な放出プロフィールは、所望の期間にわたって所望の治療効果(例えば、疼痛軽減)を提供するために、1次、0次、2相性または多相性であり得る。所望の放出プロフィールを、ODVまたはその医薬上許容される塩の異なる放出速度および/または異なる負荷パーセントを有するポリマーの混合物を使用することによって達成してもよい。被覆化ペレット、リポソーム、微粒子および微小莢膜の製造方法は、当該分野において周知である。
【0060】
III−さらなる生物学的に活性または治療上の薬剤
上記のように、本発明のODV局所用組成物を、血管運動徴候および/または疼痛を処置するために使用してもよい。特定の実施態様において、ODVを1つまたはより多くのさらなる医薬上有効な薬剤と組合せる。より詳細には、本明細書において、ODVまたはその医薬上許容される塩、少なくとも1つの薬理学上許容される担体または賦形剤、および治療有効量の少なくとも1つの薬理学上有効な薬剤を含む局所用組成物を提供する。処置されるべき皮膚または粘膜表面に適用する場合、局所用組成物は、組成物が含むさらなる薬剤の送達系として作用する。
【0061】
本発明の特定の実施態様において、さらなる薬理学上有効な薬剤は、疼痛軽減活性を有する。あるいはまたはさらに、薬理学上有効な薬剤は、組成物中に含まれる疼痛軽減薬剤に付随する1つもしくはより多くの副作用を軽減し得るか、または疼痛もしくは疼痛に罹患しているか疼痛に敏感な対象のほかの懸念に付随する1つもしくはより多くの徴候または症状を軽減し得る。本発明の他の実施態様において、さらなる薬理学上有効な薬剤を、血管運動徴候を直接的または間接的に予防、軽減または減少させるその能力について選択する。
【0062】
本発明のODV局所用組成物は、単独でさらなる薬理学上有効な薬剤を含むか、あるいは2つ以上のさらなる有効な薬剤を含み得る。薬理学上有効な薬剤は、単独で望ましい特性または2つ以上の望ましい特性を示し得る。当業者によって理解されるように、広範なODV局所用組成物が、本発明によって製造され得る。そのような組成物の設計は主に、それらの意図した目的、および組成物の所望の付加または増強される治療効果(例えば、抗炎症または麻酔活性)に依存し得る。
【0063】
本発明のODV局所用組成物に含有させるのに適切な薬理学上有効な薬剤としては、限定するものではないが、鎮痛剤、麻酔剤、筋弛緩剤、神経伝達物質調節剤、ノシセプティック剤、月経前医薬品、抗閉経剤、抗加齢剤、抗不安剤、気分障害剤、抗うつ剤、抗双極剤、抗統合失調症剤、精神安定剤、催眠剤、抗片頭痛剤、皮膚温度低下製品、抗ガン剤、アルカロイド、抗転移剤、血圧制御剤、ホルモン、ステロイド、抗炎症剤、抗虚血剤、抗不整脈剤、ビタミン、鉱物、抗血管新生剤、創傷治癒剤、サイトカイン、増殖因子、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、相殺的食欲抑制剤、皮膚再生剤などの皮膚科学的薬剤、日焼け止めおよび皮膚軟化剤、性欲変化剤、下剤、止瀉剤、鎮痒剤、解熱剤、免疫賦活剤、疼痛および炎症に付随するか、またはそれに伴う疾患および症状の予防処置に適切な他の薬剤が挙げられる、適切な薬理学上有効な薬剤の特定の例を以下に提供し、考察する。
【0064】
疼痛軽減剤
本発明のODV局所用組成物を疼痛の予防、処置または管理のために使用するそれらの実施態様において、組成物は治療有効量の少なくとも1つの疼痛軽減剤をさらに含み得る。
【0065】
2つの型の疼痛:侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛が存在する。侵害受容性疼痛は、有痛性の刺激に対する適切な生理的応答として定義されている。侵害受容性疼痛は末梢神経終末(すなわち、侵害受容器)の侵害性刺激によって引き起こされ、それは次いでインタクトな神経経路上で脊髄神経、次いで脳へと活動電位を伝達する。侵害受容性疼痛は、炎症、傷害、疾患または筋痙縮の結果として生じ得る。神経障害性疼痛は、神経系における最初の傷害または機能障害によって引き起こされた不適切な応答として定義されている。神経障害性疼痛は一般に、神経構造、主に侵害受容器への損傷によって引き起こされ、極端に敏感になり、そして刺激なしで活動電位を発生させ得る。侵害受容性疼痛は、例えば、外傷、感染、代謝障害またはガンに起因し得る。神経障害性疼痛は、慢性疼痛の発展における主要な因子であり、疼痛閾値の低下(すなわち、異痛症)、侵害性刺激への漸増する応答(痛覚過敏)、または漸増する応答持続時間(持続性疼痛)がある病理学的状態に付随し得る。
【0066】
本発明は、治療有効量の少なくとも1つの疼痛軽減剤をさらに含む本明細書に記載のODV局所用組成物を提供する。ODV局所用組成物に含有させるのに適切な疼痛軽減剤としては、限定するものではないが、局所に適用する場合、一時的な鎮痛、麻酔、麻痺、麻痺、弛緩および/または鎮静効果を有する物質、分子、薬剤または薬物が挙げられる。本発明での使用に適切な鎮痛剤としては、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)が挙げられる。NSAIDは、鎮痛、解熱および抗炎症活性を有する。それらは末梢に作用して、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害を通してプロスタグランジンの合成を妨げることによって、それらの鎮痛効果を提供する。アスピリンおよび他のサリチル酸を含む、多くの異なる型のNSAIDが存在する。例としては、限定するものではないが、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、ジクロフェナク、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ナブメトン、エトドラク、オキサプロジンおよびインドメタシンが挙げられる。アスピリンは、単にアセトアミノフェンのような痛み止めであるほかに、高い用量で投与される場合抗炎症剤として作用する。アセトアミノフェンは、NSAIDと類似の鎮痛および解熱効果を有するが、抗炎症作用は提供しない。いくつかのより強力なNSAIDが、身体の有痛の領域への局所適用のための局所用製品へと開発されている。
【0067】
本発明での使用に適切な鎮痛剤としては、オピオイドも挙げられる。本明細書で使用する用語「オピオイド」は、μ−、κ−およびδ−オピオイド受容体および異なるサブタイプなどのオピオイド受容体のアゴニストまたはアンタゴニストのいずれをもいう。いくつかのオピオイドは、オピオイド受容体の1つに高い親和性を示し、一方他は2つ以上の受容体と相互作用する。
【0068】
オピオイド鎮痛剤は、それらが結合する特定の受容体およびその受容体でのそれらの固有活性に依存して、完全アゴニスト、部分アゴニストまたはアゴニスト−アンタゴニスト混合に分類される。一般に使用される完全アゴニストとしては、モルヒネ、ヒドロモルホン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、メサドン、レバルファノールおよびフェンタニルが挙げられる。これらのオピオイドは、それらの鎮痛有効性に対して天井効果を有さず、同時に与えられた場合、このクラスの他のオピオイドの効果を逆行させないか、または拮抗しないので、完全アゴニストに分類される。ブプレノルフィンは部分アゴニストであり;それは、完全アゴニストと比較して、オピオイド受容体で比較的低い固有有効性を有し、鎮痛に対して天井効果を示す。臨床で使用されるアゴニスト−アンタゴニスト混合としては、ペンタゾシン、酒石酸ブトロファノール、デゾシンおよび塩酸ナルブフィンが挙げられる。完全アゴニストとは対照的に、これらの薬物は鎮痛上限を有し、1つの型のオピオイド受容体(μ)でオピオイド鎮痛をブロックするか、または異なるオピオイド受容体(κ)を同時に活性化する一方で、オピオイド受容体(μ)において中立である。
【0069】
本発明の実施において使用してもよいオピオイドとしては、モルヒネ様活性を有する全てのアゴニストおよびアンタゴニスト;天然の内在性および合成オピオイドペプチド;およびオピエート(すなわち、モルヒネ、コデイン、およびこれらの化合物に由来する広範な半合成オピオイド同類物などのアヘン、ならびにアヘンの別の成分であるテバインに由来する薬物)が挙げられる。
【0070】
適切なオピオイドの例としては、限定するものではないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アミフェナゾール、アニレリジン、ベンゼンアセトアミン、ベンゾイルヒドラゾン、ベンジルモルフィン、ベンジトラミド、ノル-ビナルトルフィミン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインエノールアセテート、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチル-チアンブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、ジプレノルフィン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルケトシクラゾシン、エチルメチルチアンブテン、エトニタゼン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール, ロフェンタニル, ロペルアミド, メペリジン, メプタジノール, メタゾカイン、メタドン、メトポン、モルヒネ、モルフィセプチン、ミロフィン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナルトリンドール、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オピウム、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレツム、パパベリン、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピペリジン、ピルトルアミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スピラドリン、スフェンタニル、チリジン、トリフルアドム、および活性な誘導体、プロドラッグ、アナログ、医薬上許容される塩、またはその混合物が挙げられる。
【0071】
適切なペプチドオピオイドの例としては、限定するものではないが、[Leu]エンケファリン、[Met]エンケファリン、Dynorphin A、Dynorphin B、α−Neoendorphin、β−Neoendorphin、β−Endorphin、Deltorphin II、Morphiceptin、および活性な誘導体、アナログ、医薬上許容される塩、またはその混合物が挙げられる。
【0072】
相乗作用が他のクラスのオピオイド間で生じること(J.U. Adams et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1993, 266: 1261−1267; L. He and N.M. Lee, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1998, 285: 1181−1186; G.C. Rossi et al., Brain Res., 1994, 665: 85−93)が知られているので、特定の実施態様において、本発明の局所用組成物は、上記のODVまたはその塩、および医薬上有効量の2つまたはより多いオピオイド鎮痛剤を含む。
【0073】
オピオイドはまた、異なるクラスの薬物との組合せでも機能することが知られている(例えば、米国特許第5,840,731号および第5,869,498号;ならびにWO 97/10815を参照のこと)。オピオイドの鎮痛有効性を増強するか、疼痛を増悪する同時発生の徴候を処置するか、および特定の型の疼痛のための独立した鎮痛剤を提供するために、アジュバント薬物を使用してもよい。アジュバント薬物として使用してもよい薬剤としては、限定するものではないが、局所用麻酔剤、抗うつ剤、抗痙攣剤および副腎皮質ステロイド剤が挙げられる。
【0074】
キシロカイン、リドカインまたはベンゾカイン(あるいは、下記のような他の薬物)などの麻酔剤を本発明の局所用組成物に添加して、組成物中に存在するODVおよび/または別の鎮痛剤が完全に有効になるまで、速効性だが短期の疼痛軽減を提供してもよい。
【0075】
本発明の実施における使用に適切な麻酔剤としては、ナトリウムチャネル遮断剤が挙げられる。ナトリウムチャネル遮断剤は、ナトリウムイオン、Naに対する興奮性膜の透過性の一過性増加を減少または阻害することによって、神経活動電位の発生および伝導を阻害する。ナトリウムチャネル遮断剤の例としては、限定するものではないが、アンブカイン、アモラノン、アミルカイン、ベノキシナート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェンアミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコゴニジン、エコゴニン、エチドカイン、オイプロシン、フェナルコミン、ホルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテテラカイン、イソブチルp−アミノベンゾアート、ロイシノカイン、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセサゼイン、パレントキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカインプロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾールアミン、および活性な誘導体、プロドラッグ、アナログ、医薬上許容される塩、またはその混合物が挙げられる。
【0076】
本発明のODV局所用組成物の有効性および許容性を改善するために、異なる薬力学および薬物動態学を有する局所用麻酔剤を組成物中にて組み合わせてもよい。従って、特定の実施態様において、組成物は、上記のODVまたはその塩、および治療有効量の2つまたはより多くの麻酔剤を含む。例えば、麻酔剤の好適な組合せは、リドカインとプリロカインの共融混合物である。別の好適な組合せは、リドカインとテトラカインの混合物である。
【0077】
本発明の他の実施態様において、ODV局所用組成物は、局所麻酔効果を延長する、および/または組成物に含まれる局所用麻酔剤の有効性を増強し得る薬剤の治療有効量をさらに含む。
【0078】
糖質コルチコイドの同時投与が局所用麻酔剤の効果を延長するか、ほかに、増強し得ることが報告されている(例えば、米国特許第5,922,340号および第6,046,187号を参照のこと)。本発明の組成物において使用してもよい糖質コルチコイドとしては、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、アセトニド、フルオシノニド、トリアムシノロンなどが挙げられる。
【0079】
局所作用血管収縮剤はまた、特に徐放を通じて投与された場合、局所麻酔の有効な増強を提供することが知られている。血管収縮剤としては、限定するものではないが、カテコールアミン(例えば、エピネフリン、ノルエピネフリンおよびドパミン);メタラミノール、フェニレフリン、スマトリプタンおよびアナログ、例えば、クロニジン、グアンファシン、グアナベンズおよびdopa(すなわち、ジヒドロキシフェニルアラニン)などのα−1およびα−2アドレナリンアゴニスト、メチルドパ、エフェドリン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、エチルノルエピネフリンリタリン、ペモリン、ならびに他の交感神経刺激剤が挙げられる。
【0080】
本発明において使用してもよい他のアジュバント薬物としては、局所麻酔特性を有することが知られているN−メチル−D−アスパラギン酸(「NMDA」)受容体アンタゴニスト(例えば、ケタミン)が挙げられる。ケタミンに加えて、NMDA受容体アンタゴニストとしては、デキストロ−メトロファン、デキストロファン、ピロロキノリンキノン、cis−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、MK801およびメマンチンが挙げられる。
【0081】
抗炎症剤
炎症は、成人組織の傷害の自然な結果であり、身体が自身を治癒する最初の試みである。炎症応答が治癒に重要である一方、重篤で長期の炎症は、疼痛を永続化させ得る。本発明は、治療有効量の少なくとも1つの抗炎症剤をさらに含む本明細書に記載のODV局所用組成物を提供する。本発明における使用に適切な抗炎症剤は、局所に適用した場合、抗炎症活性を有する物質、分子または薬物である(すなわち、それらは、炎症の持続時間および/または重篤度を予防または減少させ;炎症によって引き起こされる細胞への傷害、または組織への損傷を予防または減少させ;ならびに/あるいは紅斑、膨張、組織虚血、痒み、発熱などの炎症の徴候の少なくとも1つの軽減を提供し得る)。
【0082】
本発明における使用に適切な抗炎症剤は、広範なステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤から選択してもよい。
【0083】
NSAIDの例は、上記に見出され得る。ステロイド性抗炎症剤の例としては、限定するものではないが、アクロメタゾンジプロピオネート、フルニソリド、フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、トリアムシノリンアセトニド、ベクロメタゾン ジプロプリオネート、ベタメタゾンバレレート、ベタメタゾンジプロプリオネート、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、モメタゾンフロネート、プレドニゾン、メチルプレドニゾロンアセポネートおよびプレドニゾロンが挙げられる。ステロイドは、副腎によって産生された天然のホルモンの合成形態である。それらは、プロスタグランジンの産生を停止させることによって疼痛および炎症の迅速で強力な減少を提供し得る。ステロイドの局所投与は、血糖上昇、高血圧、骨粗鬆症および体重増加を含む、一般に全身投与に付随する副作用を回避する。
【0084】
あるいはまたはさらに、抗炎症剤は抗酸化活性を示す広範な物質、分子および薬物から選択してもよい。抗酸化剤は、活性酸素種(ROS)の産生に関与する炎症プロセスによって組織に引き起こされる酸化損傷を予防または減少させ得る薬剤である。本発明のODV局所用組成物に含有させるのに適切な抗酸化剤は、活性酸素種に付随する生物学的損傷を予防、抑制または抑止し得る物質、分子または薬物である。これらは、ROSを除去し得る薬剤;活性化好中球またはマクロファージによって、例えば、呼吸性バーストを抑制することによって、ROSの産生を制限し得る薬剤;炎症部位に引きつけられる好中球またはマクロファージの数を減少させ得る薬剤;およびこれら作用機構の任意の組合せによってそれらの抗酸化活性をもたらす薬剤を含む。
【0085】
適切な抗酸化剤の例としては、限定するものではないが、ビタミンA(レチナール)、ビタミンB(3,4−ジデヒドロレチノール)、ビタミンC(D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸)、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、ビタミンE(α−トコフェロール)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコキノン、トコトリエノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、システイン、および活性な誘導体、アナログ、前駆物質、プロドラッグ、医薬上許容される塩、またはその混合物が挙げられる。
【0086】
本発明の抗炎症ODV局所用組成物は、メタノールなどの局所用鎮痒剤、および/またはユーカリ油などの鬱血除去剤をさらに含み得る。
【0087】
抗ガン剤
上記のように、ガンにはしばしば疼痛が付随する。従って、本発明は治療有効量の少なくとも1つの化学療法抗ガン剤をさらに含む、ODV局所用組成物を提供する。本発明のこれらの組成物は、例えば、腫瘍が切除された外科的部位に適用されて、疼痛を軽減し、そして外科的創傷の閉鎖の後にいずれの残留腫瘍細胞からの再増殖をも予防し得る。
【0088】
抗ガン剤の局所送達は、新たな概念ではない。細胞傷害性アルキル化薬物が進行型の卵巣ガンを有する個体において腫瘍の縮みを引き起こし得るという1950年代の認識に従って、これらの薬剤は、悪性腫瘍を処置するために腹膜腔に直接注入されていた(A.S. Weisberger et al., JAMA, 1955, 159: 1701−1707)。それ以後、髄膜白血病の処置および予防においてメトトレキサートのくも膜下腔内投与(W.A. Bleyer, Natl. Cancer Inst. Monogr., 1977, 46: 171−178)、表在型膀胱ガンの膀胱内処置(H.C. Jones et al., Lancet, 1961, 2: 615−618)、および局在型ガン腫瘍につながっている血管への薬物の直接投与(D.B. Calvo et al., Cancer, 1980, 45: 1278−1283)を含む異なる治療戦略が評価されている。抗悪性腫瘍剤の局所送達の1つの利点は、全身性の毒性を制限する一方で、腫瘍にて薬物の濃度を増加させる可能性である。
【0089】
本発明のODV局所用組成物に含有させるのに適切な化学療法抗ガン剤は、局所に適用した場合、ガン細胞の増殖を予防または減少させ、ガン細部を破壊し、および/または転移を予防または減少させ得る物質、分子または薬剤である。
【0090】
化学療法抗ガン剤の例としては、限定するものではないが、アリトレチノイン、アルトレタミン、ベキサロテン、カペシタビン、Polifeprosan 20 Implant(Gliadel Wafer)を有するカルムスチン、シスプラチン、シタラビンリポソーマル(cytarabine liposomal)(DepoCyt)、シクロホスファミド、ダウノルビシンリポソーマル(daunorubicin liposomal)、ドセタキシル、ドキソルビシンリポソーマル(doxorubicin liposomal)、エピルビン、リン酸エトポシド、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ゲムツズマブ-オゾガマイシン、メシル酸イマチニブ(Gleevec)、イリノテカン、オキサリプラチン、レバミソール、ナベルビン、ミトグアゾン、マイトマイシン、ミトキサントロン、パクリタキセル、テモゾルアミド(temozolamide)、テポテカン、トリアピン、トリメトキサート、ソマツリン、バルルビシンおよびビンブラスチンが挙げられる。
【0091】
他の薬理学上有効な薬剤
上記のように、本発明のODV局所用組成物を、血管運動徴候の予防、処置または管理のために使用してもよい。
【0092】
のぼせおよび寝汗を含む血管運動徴候(VMS)は、閉経に付随する最も一般的な徴候であり、自然、または化学もしくは外科誘導閉経に続いて全ての女性のうち60%〜80%で生じる(H.L. Judd et al., Obstet. Gynecol., 1981, 58: 267−275)。のぼせは、顔、首および胸の発汗の突然の発生、ならびに末梢離脱血管拡張らなる熱放散応答によって特徴づけられる(R.R. Freedman, Am. J. Human Biol., 2001, 13: 453−464)。のぼせは30分まで持続し、それらの頻度は1週間あたり数回から1日あたり複数回の発生までで変動し得る。しばしば、眩暈、動悸および発汗が発症にともなって起こり、それは不眠を誘導し、生活の質を妨げる。血管運動徴候はしばしば、乳ガンを治療した女性、特に抗エストロゲン薬物タモキシフェンを与えられたそれら患者でより重篤である。男性もまた、加齢にともなうアンドロゲン減少の場合および前立腺ガンの治療にともなうホルモン欠乏の極端な場合に、ステロイドホルモン(アンドロゲン)離脱に続き、のぼせを経験する(H.H. Berendsen et al., Eur. J. Pharmacol., 2001, 419: 47−54)。これらの前立腺ガン患者の3分の1が、重大な不快および不便を引き起こすのに十分に重篤であって、持続性で頻繁な徴候を経験する。
【0093】
本発明のODV局所用組成物が血管運動徴候または血管運動不安定性の予防、処置または管理のために使用されるそれらの実施態様において、組成物は、1つまたはより多くの血管運動徴候を予防、減少または緩和する能力について選択した少なくとも1つの薬理学上有効な薬剤の治療有効量をさらに含み得る。あるいはまたはさらに、薬理学上有効な薬剤を、VMSに付随する1つまたはより多くの他の徴候もしくは症状、またはVMSに罹患している対象のほかの不安1つまたはより多くを軽減する能力について選択してもよい。
【0094】
最も一般的に使用されるのぼせの処置は、ホルモン補充療法(HRT;エストロゲンおよびプロゲステロン)およびエストロゲン補充療法(ERT)である。従って、特定の実施態様において、本発明のODV局所用組成物は、血管運動徴候の管理に有用であることが知られている少なくとも1つのホルモンの治療有効量をさらに含む。適切なホルモンとしては、エストロゲン、プロゲスチンおよびアンドロゲンが挙げられる。
【0095】
本明細書で使用される用語「エストロゲン」は、主にエストロゲン受容体に結合することによって生物学的または薬理学的作用を発揮する、天然または合成の任意の物質をいう。適切なエストロゲンの例としては、限定するものではないが、17−β−エストラジオール、17−α−エストラジオール、エストリオール、エストロンおよびフィトエストロゲンが挙げられる。これらの物質を誘導体化するか、または修飾して、例えば、接合型エストロゲン、エステル化エストロゲン、エチニルエストラジオールなどを形成してもよい。ラロキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体修飾因子もまた適切である。本発明のODV局所用組成物に含有されるエストロゲン様ホルモンは、塩(例えば、エストロゲン硫酸ナトリウム)、異性体またはプロドラッグとして存在してもよい。フィトエストロゲン(すなわち、植物由来エストロゲン)の例としては、ゲニステインなどのイソフラボン、ジアスゼイン(diaszein)およびエクオール(equol)が挙げられる。
【0096】
本明細書で使用される用語「プロゲスチン」は、主にプロゲスチン受容体に結合することによって生物学的または薬理学的作用を発揮する、天然または合成の任意の物質をいう。本発明のODV局所用組成物における使用に適切なプロゲスチンの例としては、限定するものではないが、プロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、および酢酸ノルエチンドロン、そのエステル、誘導体、プロドラッグおよび異性体が挙げられる。
【0097】
本明細書で使用される用語「アンドロゲン」は、主にアンドロゲン受容体に結合することによって生物学的または薬理学的作用を発揮する、天然または合成のステロイドをいう。本発明の組成物に含有させるのに適切なアンドロゲンの例としては、限定するものではないが、テストステロン、メチルテストステロン、アンドロステンジオン、アドレノステロン、デヒドロエピアンドロステロン、オキシメトロン、フルオキシメステロン、メタンドロステノロン、テストラクトン、プレグネノロン、17α−メチルノルテストステロン、ノルエタンドロロン、ジヒドロテストステロン、ダナゾール、アンドロステロン、ナンドロロン、スタノゾロール、エチルエストレノール、オキサンドロロン、ボラステロン、メステロロン、プロピオン酸テストステロン、シピオン酸テストステロン、フェニル酢酸テストステロン、およびエナント酸テストステロン、酢酸テストステロン、ブシクル酸テストステロン、ヘプタン酸テストステロン、デカン酸テストステロン、カプリン酸テストステロン、イソカプリン酸テストステロン、ならびにそのエステル、誘導体、プロドラッグおよび異性体が挙げられる。
【0098】
ホルモン処置はVMSを緩和するのに非常に有効であるが、それらは全ての患者に適切ではない。特に、ホルモン療法は通常、ホルモン感受性ガン(例えば、乳ガンまたは前立腺ガン)を有するか、またはこの危険性を有する患者には推奨されるない。さらに、他のエストロゲン媒介副作用(例えば、子宮ガン、膣出血および静脈血栓)が生じ得るので、クロッティング(clotting)または重篤な片頭痛の病歴を有する患者はホルモン療法を受けることを嫌う。従って、本発明の特定の実施態様において、血管運動徴候の処置に使用されるべきODV局所用組成物は、1つまたはより多くの非ホルモン性で薬理学的に有効な薬剤をさらに含む。適切な非ホルモン剤の例としては、限定するものではないが、ステロイド、α-アドレナリンアゴニストおよびβ−ブロッカーが挙げられる。詳細な例としては、ベラルガル(bellargal)(すなわち、フェノバルビタール、エルゴタミンおよびベラドンナの組合せ;T.B. Lebherz, Obstet. Gynecol., 1969, 33: 795−799)、クロニジン(R.M. Goldberg et al., J. Clin. Onc., 1994, 12: 155−158;C.L. Loprinzin et al., J. Urol., 1994, 151: 634−636)、ミルタザピン(M.D. Waldinger et al., Maturitas, 2000, 36: 165−168)、トランザドン(F. Pansini et al., Clin. Exp. Obstet. Gynecol., 1995, 22: 341−344)、ガバペンチン(T.J. Guttuso, Neurology, 2000, 54: 2161−2163)、ベラリプリド(A. David, Am. J Obstet. Gynecol., 1988, 158:1107−1115: P. Vercellini et al., Gynecol. Obstet. Invest., 1992, 34: 102−104)、メチルドパ(M.G. Hammond, J. Clin. Endocrinol. Metab., 1984, 58: 1158−1160; O. Andersen, Acta Obstet. Gynecol. Scand., 1986, 65: 405−409; B.I. Nesheim, Eur. J. Clin. Pharmacol., 1981, 20: 413−416.)、ブロモクリプチン(B. Scoccia et al., J. Clin. Endocrinol. Metab, 1988, 66: 868−871)およびドンペリドン(L. Zichella et al., Maturitas, 1986, 8: 229−237)が挙げられる。
【0099】
本発明のODV局所用組成物に含有させるのに適切な他の薬理学的に有効な化合物および物質は、“Physicians’ Desk Reference”, 55th Ed., 2001 Medical Economics Co., Inc.: Montvale, NJ(その全体を出典明示によって本明細書の一部とする)にて見出され得る。これらの薬剤の大部分または全てについて、推奨有効投与量および用法は、当該分野において公知である。
【0100】
IV−ODV局所用組成物の使用
本発明によれば、ODV局所用組成物は、広範な疾患、障害または症状を処置するのに有用である。特に、本発明の組成物を、血管運動徴候(VMS)および/または疼痛の予防、処置または管理のために使用してもよい。
【0101】
特定の実施態様において、本発明のODV局所用組成物を、加齢に関連して減少する卵巣機能によって生じる自然閉経、あるいは卵巣摘出、乳ガン処置、X線照射などの二次的で、早発または人為的に誘導された閉経のいずれかに付随する血管運動不安定性を経験している女性患者を処置するために使用してもよい。他の実施態様において、本発明のODV局所用組成物を、年齢に関連するアンドロゲン減少または前立腺ガンの処置によって生じるホルモン欠乏のいずれかに付随する血管運動徴候を経験している男性患者を処置するために使用する。さらに別の実施態様において、本発明のODV局所用組成物を、閉経またはアンドロゲン減少に付随しないVMSを経験している男性または女性の個体のいずれをも処置するために使用する。
【0102】
あるいはまたはさらに、本発明のODV局所用組成物を、ヒトを含む哺乳動物が経験する、広範で異なる任意の型の疼痛を処置するために使用してもよい。例えば、本発明の組成物を、中枢性であろうと末梢性であろうと、急性疼痛(短い持続時間)または慢性疼痛(定期的に再発するか、または持続性)を処置するために使用してもよい。
【0103】
本発明の方法に従って処置し得る急性または慢性疼痛の例としては、炎症性疼痛、筋骨格痛、骨性疼痛、腰仙痛、首または上部背痛、内臓痛、体性痛、神経因性疼痛、ガン疼痛、熱傷痛などの創傷もしくは外科手術によって引き起こされる疼痛、または片頭痛もしくは緊張性頭痛などの頭痛、またはこれらの疼痛の組合せが挙げられる。当業者は、これらの異なる型の疼痛が互いに重複し得ることを認識するだろう。例えば、炎症によって引き起こされる疼痛はまた実際に、内臓性または筋骨格性であり得る。
【0104】
特定の実施態様において、本発明のODV局所用組成物を、以下の疾患、外傷または症状のいずれか1つに関連するか、または誘発される疼痛を処置または予防するために使用される:末梢神経障害、幻肢痛、反射性交感神経性、ジストロフィー、灼熱痛、脊髄空洞症および有痛性瘢痕などの全身性神経障害性症状;身体部位のいずれかでの特定の神経痛、背痛、糖尿病性神経障害、アルコール性神経障害、代謝性神経障害;炎症性神経障害;化学療法誘導性神経障害、疱疹性神経痛、外傷性オンドタルギア(ondotalgia);歯内歯痛;胸郭出口症候群;神経圧迫を有する頸部、胸部または腰部神経根症;神経浸潤を有するガン;外傷性裂離傷害;乳房切除、開胸術痛;脊髄傷害;脳卒中;腹腔−皮膚神経絞扼;神経組織の腫瘍;くも膜炎;断端痛;線維筋痛症;局所捻挫または筋挫傷;筋筋膜痛;乾癬性関節症;結節性多発動脈炎;骨髄炎;熱傷が関与する神経損傷;AIDS関連疼痛症候群;全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、多発性筋炎および皮膚筋炎などの結合組織障害;ならびに、急性炎症(例えば、外傷、外科手術および感染症)または慢性炎症(例えば、関節炎および痛風)などの炎症の症状。
【0105】
当業者によって理解されるように、本発明の組成物を単独で投与してもよく、あるいはそれらは連続的または血管運動徴候または疼痛の処置で使用される従来の治療法または治療用法と組み合わせて投与してもよい。
【0106】
V−投与量、投与および包装
本発明の組成物は、ODV組成物の局所送達および組成物の有効成分の対象血流への最小吸収のために、処置されるべき身体領域(例えば、疼痛を経験している領域)に隣接する皮膚または粘膜表面に適用してもよい(例えば、全身性効果を回避または減少するために)。あるいは、本発明の組成物の局所投与は、全身薬物分布のために、ODV組成物の少なくとも1つの有効成分の患者の血流への吸収をもたらす。
【0107】
投与量
本発明の局所用ODV組成物の投与は、送達されるODV(またはその医薬上許容される塩)の量がその意図した目的(例えば、疼痛を予防、減少または緩和するか、または血管運動徴候を軽減する)にとって有効であるような投与量であろう。当業者によって理解されるように、投与量は、患者の処置されるべき症状(例えば、血管運動徴候または疼痛)の性質、症状の重篤度、年齢、体重および健康症状全体、ならびに使用する本発明の局所用組成物の成分の作用強度、生物利用能およびインビボでの半減期に依存するだろう。これらの因子は、治療過程において主治医によって容易に決定可能である。あるいはまたはさらに、投与するべき投与量は、処置される特定の型の症状の動物モデルを使用する研究、および/または類似の薬理学的有効を示すことが知られている薬剤から得られた動物もしくはヒトのデータから決定してもよい。各処置に必要とされる総用量を、複数の投与または単一の投与によって投与してもよい。これらまたは他の方法に基づいて最大の有効性を達成するために用量を調節することは、当該分野において周知であり、訓練を受けた医師には可能である。研究を実施する場合、血管運動徴候の処置の適切な投与量レベルおよび持続時間、異なる型の疼痛および本発明の局所用組成物の投与で利益を得る他の症状について、さらなる情報が明らかになるだろう。
【0108】
特定の実施態様において、組成物は、単位用量がODVまたはその医薬上許容される塩約5mg〜約500mgを含むように処方され、ここで、用量はODV遊離塩基量に基づいて計算される。例えば、ODV遊離塩基量に基づいて計算した場合、単位用量はODVまたはその塩約25mg〜約250mg、または約50mg〜約200mg、または約100mgの範囲であり得る。
【0109】
本発明の局所用ODV組成物中に存在するさらなる薬理学的に有効な薬剤(例えば、鎮痛または抗炎症剤)の量は、特定の薬剤について推奨または許容される投与量、ならびに処置する症状の型、組成物中の他の有効成分の存在および性質に依存して変動し得る。一般に、本発明の組成物または本発明の組成物の単位用量中に存在する薬理学的に有効な薬剤の量は、局所投与を通じて所望される結果を得るのに必要とされる通常の投与量である。そのような投与量は、医薬または医学分野の当業者に公知であるか、または容易に決定されるかのいずれかである。
【0110】
投与
本発明の局所用ODV組成物の投与様式は、選択する調製形態に主に依存するだろう。例えば、ゲル、ローション、クリームおよび軟膏を処置されるべき表面領域に手作業で適用するか、スプレー(手動で作動するポンプまたは適切な医薬上許容される噴射剤を用いて)してもよい。あるいは、ブラシ、シリンジ、スパーテルまたは詳細に設計した容器(細い先端を有するチューブなど)を使用して、本発明の組成物を適用してもよい(例えば、創傷によってもたらされた疼痛の処置の場合)。医学専門家または患者によって、組成物の適用が実施され得る。特定の実施態様において、最大有効性および吸収増加のために、例えば標準的な市販の消毒薬またはアルコールなどの収斂剤を使用して、組成物が投与されるべき領域をまず洗浄する。次いで、領域を数分間乾燥させ、次いで本発明の組成物を標的領域全体に擦り込み、例えば全ての組成物が吸収されるまで揉む。
【0111】
特定の実施態様において、本発明の局所用ODV組成物の皮膚または粘膜表面領域への投与に続いて、領域を覆い、保護するため(例えば、外科的創傷もしくは他の型の創傷)、または組成物の透過を増加させるために包帯材または絆創膏を適用する。本明細書で使用される用語「包帯材」は、皮膚領域を保護するように設計された任意の覆いをいう。用語は、多孔性もしくは非多孔性の覆い、織り込みもしくは不織の覆い、吸収性の覆いおよび閉塞性の覆いを含む。いくつかの実施態様において、ODV局所用組成物の開いた創傷への投与に続いて、創傷を閉じて、治癒プロセスの間組織を緊密に保持するために、縫合、止め金、粘着性の条片または組織接着剤を使用する。あるいは、ODV局所用組成物を、創傷の閉鎖後に適用してもよい。
【0112】
さらに他の実施態様において、皮膚表面への適用前に、別々の容器中に含まれる組成物の成分を混合する。さらに他の実施態様において、別々の容器中に含まれる組成物の成分を処置されるべき皮膚または粘膜表面に連続して適用する。
【0113】
包装
特定の実施態様において、本発明の局所用組成物を、キットとして包装する。本発明によるキットは、組成物ならびに血管運動徴候および/または疼痛の処置用の組成物を使用するための説明書を含む容器(例えば、ビン、チューブ、他の型の容器)を含み得る。あるいは、キットは、本発明の組成物を含む容器、少なくとも1つの包帯材を含む容器、包帯材(ここで、包帯材は組成物の局所投与に続いて領域を覆うように適用されるべきである)を含む。特定の実施態様において、薬理学的に有効な薬剤を、包帯材に含有させるか、またはコーティングしてもよい。薬理学的に有効な薬剤の包帯材への含有、または包帯材の薬理学的に有効な薬剤でのコーティングを、任意の適切な方法によって(例えば、薬剤の溶液または分散液中に包帯材を浸漬するか、薬剤の溶液または分散液を包帯材にスプレーするか、散剤形態の薬剤を包帯材に適用することによって)実施してもよい。あるいは、本発明によるキットは、本発明の組成物または1つもしくはより多くの生理学上許容される担体もしくは賦形剤と混合した本発明の組成物のいくつかの成分を含む第1の容器、ならびに使用準備済みの組成物を得るために使用前に第1の容器に添加されることを意図した組成物の他の成分および/または適切な溶媒を含む第2の容器を有する、2つの別々の容器を含み得る。
【0114】
他の実施態様
本発明の他の実施態様は、本明細書において開示する発明の明細書または実施を考慮することにより、当業者に明らかである。本明細書および実施例が例示としてのみ考慮されることが意図され、上の特許請求の範囲によって本発明の本当の範囲が示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のODVまたはその医薬上許容される塩、および少なくとも1つの生理学上許容される担体または賦形剤を含む局所用組成物。
【請求項2】
組成物が、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルおよび油からなる群より選択される処方物である、請求項1記載の局所用組成物。
【請求項3】
組成物がクリームまたはゲルである、請求項1記載の局所用組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの生理学上許容される担体または賦形剤が、トロメタンエタノール、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、アクリル酸、Carbopol、精製水、ベンジルアルコール、セチルアルコール、クエン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、オレイルアルコール、セトステアリル硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ステアリルアルコール、白色ワセリン、鉱油、炭酸プロピレン、白色ワックス、パラフィンおよびその任意の組合せからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の局所用組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの吸収増強剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の局所用組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの吸収増強剤が、ペンタデカラクトン、1,3−ジオキサラン、1,3−ジオキサンおよびその任意の組合せからなる群より選択される、請求項5記載の局所用組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの薬理学上有効な薬剤の治療有効量をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の局所用組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの薬理学上有効な薬剤が、鎮痛剤、麻酔剤、筋弛緩剤、神経伝達物質調節剤、ノシセプティック(nociceptic)剤、月経前医薬品、抗閉経剤、抗加齢剤、抗不安剤、気分障害剤、抗うつ剤、抗双極剤、抗統合失調症剤、精神安定剤、催眠剤、抗片頭痛剤、皮膚温度低下製品、抗ガン剤、アルカロイド、抗転移剤、血圧制御剤、ホルモン、ステロイド、抗炎症剤、抗虚血剤、抗不整脈剤、ビタミン、鉱物、抗血管新生剤、創傷治癒剤、サイトカイン、増殖因子、抗ヒスタミン剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、相殺的食欲抑制剤、皮膚再生剤などの皮膚科学的薬剤、日焼け止めおよび皮膚軟化剤、性欲変化剤、下剤、止瀉剤、鎮痒剤、解熱剤、免疫賦活剤、疼痛および炎症に付随するか、またはそれに伴う疾患および症状の予防処置に適切な薬剤、およびその組合せからなる群より選択される、請求項7記載の局所用組成物。
【請求項9】
ODVまたはその医薬上許容される塩の治療有効量が、約5mg〜約500mgの間、約25mg〜約250mgの間、または約50mg〜約200mgの間であり、ここで、量はODV遊離塩基の量に基づいて計算される、請求項1〜8のいずれか1項記載の局所用組成物。
【請求項10】
ODVまたはその医薬上許容される塩の治療有効量が約100mgであり、ここで、量はODV遊離塩基の量に基づいて計算される、請求項1〜8のいずれか1項記載の局所用組成物。
【請求項11】
対象において血管運動徴候を処置する方法であって、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物を対象に投与する工程を包含する方法。
【請求項12】
血管運動徴候がのぼせを含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
組成物を対象に投与する工程が、のぼせを経験している対象の身体の1つまたはより多くの皮膚表面領域に組成物を適用することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
対象がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
対象が女性患者であって、血管運動徴候が自然閉経、化学誘導閉経または外科誘導閉経に付随する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
対象が、乳ガンの処置を受けているか、または受けたことがある女性患者である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
乳ガンの処置がタモキシフェンの投与を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
対象が、自然、化学的または外科的男性休止(andropausal)である男性患者である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
男性患者が前立腺ガンについて処置されているか、または処置されたことがある、請求項18記載の方法。
【請求項20】
対象において疼痛を処置する方法であって、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を対象に投与する工程を包含する方法。
【請求項21】
組成物を対象に投与する工程が、疼痛を経験している対象の身体の1つまたはより多くの領域に治療有効量の組成物を適用することを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
対象が経験する疼痛が侵害受容性疼痛である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
対象が経験する疼痛が神経障害性疼痛である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
対象がヒトである、請求項21〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
対象において血管運動徴候または疼痛を処置するための局所用組成物の調製における、ODVまたはその医薬上許容される塩、および少なくとも1つの生理学上許容される担体または賦形剤の使用。

【公表番号】特表2009−507078(P2009−507078A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530169(P2008−530169)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034712
【国際公開番号】WO2007/030537
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】