説明

OA機器用材料及びOA機器用定着部材

【課題】優れた柔軟性およびトナー離型性を示し、耐熱性と耐クラック性のバランスに優れ、溶融押出し成形性に優れたOA機器用材料を提供する。
【解決手段】テトラフルオロエチレン〔TFE〕系共重合体を構成成分とするOA機器用材料であって、TFE系共重合体は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕に由来するTFE単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕に由来するPAVE単位とを有し、上記PAVE単位が全単量体単位の4.5〜6.6質量%であり、不安定末端基が炭素数1×10個あたり20個以下であるOA機器用材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OA機器用材料、及び、OA機器用の定着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
OA機器の分野における電子写真装置では、一般に、像担持体の表面にトナーを付着させて現像し、そのトナー像を記録紙に転写して定着用ロールを通過させることにより加熱加圧して定着させて印刷が行われる。従って、定着用ロールおよびベルト成形体には、柔軟性、耐熱性、耐クラック性およびトナー離型性等の性能が要求される。
【0003】
近年、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」と表す。)/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」と表す。)共重合体を用いたOA機器用定着用ロール及びベルトが開示されている(特許文献1〜3参照)。これらの特許文献では、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位(以下、「PAVE単位」と表す)、弾性率、容量速度及び不安定末端基数等が検討されている。
【0004】
しかし、PAVE単位及び不安定末端基数の数値範囲について十分に検討されておらず、柔軟性、耐クラック性、トナー離型性及び耐熱性の全てにおいて十分な性能を示すものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2005−121793号公報
【特許文献2】特開2004−161921号公報
【特許文献3】特開2005−163837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、柔軟性、耐クラック性、トナー離型性及び耐熱性の全てにおいて優れた性能を示し、溶融押出し成形性に優れたOA機器用材料、及び、OA機器用の定着部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕系共重合体を構成成分とするOA機器用材料であって、TFE系共重合体は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕に由来するTFE単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕に由来するPAVE単位とを有し、上記PAVE単位が全単量体単位の4.5〜6.6質量%であり、不安定末端基が炭素数1×10個あたり20個以下であることを特徴とするOA機器用材料である。
【0008】
本発明はまた、上記OA機器用材料を表面層に有するOA機器用の定着部材でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明のOA機器用材料は、優れた柔軟性、耐クラック性、耐熱性、及び、トナー離型性を示し、また、優れた溶融押出し成形性を示すものである。上記OA機器用材料は、特定の範囲のPAVE単位を有するTFE系共重合体を構成成分とするため柔軟性及び耐クラック性に優れ、特定の範囲の不安定末端基数を有するため、優れた耐熱性及びトナー離型性を示す。
【0010】
本発明のOA機器用材料は、テトラフルオロエチレン単位と、下記一般式(I)
Rf−O−CF=CF (I)
で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有するテトラフルオロエチレン系共重合体を構成成分とするものである。上記Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基である。上記TFE系共重合体のPAVE単位は、TFEとの共重合性及び耐熱性の点でパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕に由来するものであることが好ましい。
【0011】
上記テトラフルオロエチレン共重合体は、上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に由来するPAVE単位を1種有するものであってもよいし、2種以上有するものであってもよい。
本明細書において、上記PAVE単位等の「単量体単位」は、TFE共重合体の分子構造上の一部分であって、対応する単量体に由来する部分を意味する。例えば、PAVE単位は、−[CF−CF(O−Rf)]−で表される。
【0012】
本発明のTFE系共重合体は、上記PAVEに由来するPAVE単位を、全単量体単位の4.5〜6.6質量%含有するものである。上記PAVE単位は、耐クラック性向上の点で、4.5質量%以上であることが好ましく、耐熱性の点で、5.5質量%以下であることが好ましい。
本明細書において、PAVE単位等の単量体単位は、19F−NMRを測定して得られた積分値から算出して求めることができる。また、耐クラック性は、例えば、MIT曲げ寿命等、種々の測定を行うことにより評価することができる。
【0013】
本発明のTFE系共重合体は、不安定末端基数が炭素数10個あたり20個以下であるものである。上記「不安定末端基」とは、ポリマー主鎖末端及び/又はポリマー側鎖末端における熱的に不安定な基を意味する。上記不安定末端基としては、例えば、−COOH、−CHOH、−COF、−CONH、−COOCH等が挙げられる。
【0014】
上記不安定末端基は、炭素数10個あたり5個以下であることが好ましい。本発明のOA機器用材料は、不安定末端基数が上記範囲内にあるために、優れたトナー離型性を示す。上記不安定末端基数は、赤外線吸収スペクトル測定から得られた値を換算して測定することができる。
【0015】
本発明のTFE系共重合体は、成形性に優れる点から、372℃におけるメルトフローレート[MFR]が0.1〜100(g/10分)であるものが好ましい。
本明細書において、上記MFRは、ASTM D−1238に準拠して、温度372℃、荷重5.0kgの条件下で測定して得られる値である。
【0016】
上記TFE系共重合体は、上記TFEと上記PAVEに基づく重合単位に加えて、その他の単量体に基づく重合単位を含有するものであってもよい。その他の単量体としては、TFEと共重合することができるものであれば特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン等の炭化水素系オレフィン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン等の不飽和結合を有するフルオロオレフィン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
【0017】
上記、その他の単量体に基づく重合単位の含有量は、全単量体単位の10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。その他の単量体に基づく重合単位の含有量は19F−NMR測定により測定することができる。
【0018】
本発明のTFE系共重合体の製造方法としては特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、未フッ素化TFE系共重合体をフッ素化処理することにより製造する方法を挙げることができる。
【0019】
上記未フッ素化TFE系共重合体は、TFEと上記一般式(I)で表されるPAVEを構成成分とするものである。
上記未フッ素化TFE系共重合体は、目的とする本発明のTFE系共重合体と同じ種類及び割合でPAVE単位を有することとなるように重合する。
上記未フッ素化TFE系共重合体は、粉末、造粒物、フレーク、ミニキューブ等のペレット、RC(ローラコンパクタ)使用後の状態等、何れの形態であってもよい。
【0020】
上記未フッ素化TFE系共重合体は、懸濁重合、乳化重合等、公知の方法にて重合することができるが、懸濁重合にて重合することが好ましく、例えば、特開平06−211933号公報に記載の方法に従い調製することができる。
【0021】
上記フッ素化処理の方法としては、特に限定されないが、上記未フッ素化TFE系共重合体をフッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源にさらす方法を挙げることができる。
フッ素ラジカル源としてはフッ素ガスの他に、CoF、AgF、UF、OF、N、CFOF、及び、フッ化ハロゲン、例えば、IF、ClF等が挙げられる。
【0022】
上記フッ素化処理として、フッ素ガスを接触させる方法を用いる場合、安全性の点で、不活性ガスと混合し、5〜50質量%、好ましくは15〜35質量%に希釈して使用することが好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
上記フッ素化処理として、フッ素ガスを接触させる方法を用いる場合、100〜250℃においてフッ素ガスと上記未フッ素化テトラフルオロエチレン共重合体とを接触させて行うことが好ましい。
上記接触は、0.1〜1.0MPa(1〜10atm)の圧力下にて行うことが好ましい。上記接触は、1〜30時間行うことが好ましい。
【0023】
上記TFE系共重合体の製造方法において、重合の際に、適当な条件下で末端−CF基を与える開始剤を使用してもよい。上記開始剤としては、例えば、(CF(CF−O)のようなパーフルオロアルキルパーオキシド、(CF(CF−COO)(式中、nは1〜9の数を表す)、(C−O−CF(CF)−COO)のようなパーフルオロジアシルパーオキシド、((CFCF)(CFCF)C・のような安定なパーフルオロアルキルラジカル、C−C(CF)NFのようなジフルオロアミン、N、((CFCFN)のようなパーフルオロアゾ化合物、CFSOのようなパーフルオロスルホニルアジド、CCOClのようなパーフルオロ酸クロライド、CFOFのようなパーフルオロアルキルハイポフルオライド等が挙げられる。
【0024】
本発明のOA機器用材料は、上述したTFE系共重合体を構成成分とするものである。上記OA機器用材料は、上記TFE系共重合体の他に、その他の公知の添加剤を含有するものであってもよい。上記、公知の添加剤としては、例えば炭素微粉末、一酸化チタン、酸化スズ等が挙げられる。
【0025】
上記OA機器用材料は、OA機器用定着部材の表面層として好適に用いることができる。このような、上記OA機器用材料を表面層に有するOA機器用の定着部材も本発明の1つである。上記表面機器用定着部材としては、特に限定されるものではないが、例えば、OA機器用の定着ロール、又は、ベルトであることが好ましい。
【0026】
本発明のOA機器用の定着ロールの製造方法は特に限定されるものではないが、種々の方法で製造することができる。例えば、押出成形機を用いて上記テトラフルオロエチレン共重合体、及び、適宜上記公知の添加剤を溶融混練した後チューブ状に成形し、このチューブ状成形体の内部に芯金を通し、ついで100〜250℃で加熱してロール表面として芯金の表面に密着させて表面層を形成する方法を挙げることができる。また、テトラフルオロエチレン共重合体のディスパージョン又はオルガノゾルをスプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スクリーンコーティング等の方法で芯金に塗布し、空気中で250〜350℃の温度で焼成する方法も挙げることができる。上記ロール表面は、厚みが5〜100μmであることが好ましい。
【0027】
上記芯金は、例えば鉄、アルミニウム、ステンレスなどのいずれの材質のものでもよい。また、プライマー処理をした金属芯金を使用することもできる。
【0028】
本発明のOA機器用ロールは、芯金とTFE系共重合体の表面層との間に、中間層を有してもよい。中間層としては、例えばシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素ゴム/フッ素樹脂組成物等からなる層を挙げることができる。上記フッ素ゴムとしては、パーフルオロゴム、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合ゴム、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合ゴム等が挙げられる。上記フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。中間層は1層であってもよく、2層以上であってもよい。中間層を有する場合には、芯金上に中間層を形成した後、含フッ素共重合体の表面層を形成する方法、芯金と表面層との間に中間層を挿入する方法等を挙げることができる。
【0029】
本発明のOA機器用の定着ベルトは、金属製又は耐熱性樹脂製のエンドレスベルト担体に、静電塗装によりテトラフルオロエチレン共重合体の粉末を付着させた後、加熱して溶融させ、エンドレスベルト担体を被覆する方法、エンドレスベルト担体に含フッ素共重合体の分散液(ディスパージョン)を塗布した後、加熱し含フッ素共重合体を溶融焼成する方法等で製造することができる。エンドレスベルト担体に用いられる金属としては、ステンレス鋼、ニッケル合金等が挙げられる。耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテル等が挙げられる。
【0030】
含フッ素共重合体とエンドレスベルト担体との接着性を向上するために、エンドレスベルト担体表面の有機溶剤等による脱脂処理、サンドブラスト等による粗面化処理等を実施した後、プライマーを塗布することが好ましい。本発明の定着用ベルトは、エンドレスベルト担体と含フッ素共重合体の表面層との間にシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体の中間層を有するものであってもよい。中間層を有する場合には、エンドレスベルト担体を表面処理した後、弾性体の層を形成し、弾性体の層表面にプライマーを塗布した後、含フッ素共重合体の表面層を上記方法で形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上述した構成よりなるので、耐熱性、耐クラック性のバランスに優れ、トナー離型性に優れたOA機器用材料、及び、OA機器用定着部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
各実施例及び比較例についての物性測定方法を以下に示す。
(1)共重合組成比
核磁気共鳴装置AC300(Bruker−Biospin社製)を用い、(ポリマーの融点+20)℃の測定温度にて19F−NMR測定を行い、各ピークの積分値により求めた。
【0034】
(2)融点
示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments製)を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、得られた吸熱曲線のピークから融点を求めた。
【0035】
(3)不安定末端基数
PFAペレットを油圧プレスにて圧延し、厚さ0.35mm程度のフィルムを作製し、FI−IR Spectrometer1760X(Perkin−Elmer社製)を用いて分析を行った。
標準サンプル(もはやスペクトルに実質的差異がみられなくなるまで充分にフッ素化したサンプル)との差スペクトルを取得し、各ピークの吸光度を読み取り、次式に従って炭素数10個あたりの不安定末端基の個数を算出した。
末端基の個数(炭素数10個あたり)=(l×K)/t
l:吸光度
K:補正係数
t:フィルム厚さ(mm)
対象となる末端基の補正係数を次に示す。
COF (1884cm−1)・・・405
COOH (1813cm−1、1775cm−1)・・・455
COOCH (1795cm−1)・・・355
CONH (3438cm−1)・・・480
CHOH (3648cm−1)・・・2325
【0036】
(4)MFR
DYNISCOメルトフローインデックステスター(安田精機製作所製)を用い、ASTM D−1238に準拠して測定を行った。
測定条件は、温度372℃、荷重5kgfとし、内径2mm、長さ8mmのオリフィスに通して押し出し、10分間あたりに流出する樹脂の質量として求めた。
【0037】
(5)MIT測定
圧縮成形により、0.2mm厚のプレスシートを作製し、ASTM D−2176に準拠した条件下で折り曲げを繰り返し、破断するまでの回数を測定した。
No.307 MIT形屈曲試験機(安田精機製作所製)を用い、測定条件は、試験温度23℃、回転角度は左右各135度、屈曲速度175cpmとした。
【0038】
(6)耐熱性
360℃で1時間焼成したアルミ容器を精秤し、容器内に試料を約10g入れて総質量を精秤する。試料の入ったアルミ容器を360℃で1時間オーブンで加熱した。その後、質量を精秤し、加熱前後の質量変化を求め、加熱質量減量を算出した。
【0039】
(7)トナー離型性
圧縮成形により、0.05mm厚のプレスフィルムを作製し、加熱したホットプレート(表面温度160℃)上に置く。その上に3gのトナー粉(Canon NPG−14 Toner“GENUINE”Black)を、直径30mmの円形状にまき、10分間加熱した。数分するとトナー粉は溶融し粘性のある液体となった。10分経過後に、フィルムと溶融したトナーをホットプレート上から取り除き室温まで冷却した。冷却によって溶融液状化したトナーはアスファルト状固体となっていた。その後、トナーの塊とサンプルフィルムとを剥離し、トナー離型性の比較を行った。結果は、以下のように評価した。
○:まったくトナーの付着がない場合
△:ごく少量のトナーの付着がある場合
×:少量のトナーの付着がある場合
【0040】
(比較例1)
撹拌機を備え、ガラスライニングしたオートクレーブ(容積100L)に純水29.6kgを仕込んだ。オートクレーブ内部を充分N置換した後、真空にし、パーフルオロシクロブタン[C−318]を23.4kg、メタノールを0.7kg、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕を1.8kg仕込んだ。次いで撹拌しながら、オートクレーブ内を35℃に保ち、テトラフルオロエチレン〔TFE〕を圧入し、内圧を0.79MPaGとした。重合開始剤としてジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート〔NPP〕の50%メタノール溶液を0.014kg添加して重合を開始した。重合の進行に伴い圧力が低下するので、目的のポリマー組成となる比率でTFEとPPVEを連続追加した。重合開始から16時間後、撹拌を停止すると同時に未反応モノマー及びC−318を排出して重合を停止した。オートクレーブ内の白色粉末を水洗し、150℃×12時間乾燥して、重合体生成物を得た。得られた重合体生成物を、スクリュー押出機により395℃にて溶融押出してペレットを製造した。
ペレットの共重合組成、融点、MFR及び、C10個あたりの不安定末端基数は、次のとおりであった。
共重合組成;TFE/PPVE=94.6/5.4(質量%)
Tm;303℃
MFR;2.0g/10分
不安定末端基数;−COF;37個、−COOH(非会合);24個、COOCH;7個、−COOH(会合);2個
【0041】
(実施例1)
比較例1で得られたペレットを真空振動式反応装置VVD−30(大川原製作所製)に入れ、200℃に昇温した。真空引き後、Nガスで20質量%に希釈したFガスを大気圧まで導入した。3時間反応後、いったん真空引きし、再度Fガスを導入した。Fガスの導入は計5回行った。反応終了後、N置換を行い、さらにペレットの脱気を行った(180℃×7時間)。反応後のペレットの共重合組成、融点、MFR及び、C10個あたりの不安定末端基数は、次のとおりであった。
共重合組成;TFE/PPVE=94.6/5.4(質量%)
Tm;303℃
MFR;2.3g/10分
不安定末端基数;検出限界以下
【0042】
(実施例2)
共重合組成;TFE/PPVE=93.6/6.4(質量%)
Tm;302℃
MFR;1.95g/10分
であるペレットを用いて、実施例1と同様に、フッ素化反応を行った。反応後のペレットのMFRは2.2g/10分、C10個あたりの不安定末端基数は検出限界以下であった。
【0043】
(比較例2)
ガスの導入を3時間×3回とした以外は、実施例1と同様に、反応を行った。反応後のペレットのMFRは2.2g/10分、C10個あたりの不安定末端基数は−COF;45個であった。
【0044】
(比較例3)
共重合組成;TFE/PPVE=93.6/3.9(質量%)
Tm;302℃
MFR;1.9g/10分
であるペレットを用いて、実施例1と同様に、フッ素化反応を行った。反応後のペレットのMFRは2.1g/10分、C10個あたりの不安定末端基数は検出限界以下であった。
【0045】
(比較例4)
共重合組成;TFE/PPVE=95.6/4.4(質量%)
Tm;302℃
MFR;1.95g/10分
であるペレットを用いて、実施例1と同様に、フッ素化反応を行った。反応後のペレットのMFRは2.2g/10分、C10個あたりの不安定末端基数は検出限界以下であった。
【0046】
各実施例及び比較例の上記物性の測定結果を表1に示した。
【0047】
【表1】

【0048】
表1より、実施例1及び2は、耐熱性と耐クラック性のバランスに優れ、また、優れたトナー離型性を示すことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のOA機器用材料は、OA機器用定着ロールおよびベルトとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラフルオロエチレン系共重合体を構成成分とするOA機器用材料であって、
前記テトラフルオロエチレン系共重合体は、テトラフルオロエチレンに由来するテトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に由来するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とを有し、
前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位が全単量体単位の4.5〜6.6質量%であり、
不安定末端基が炭素数1×10個あたり20個以下である
ことを特徴とするOA機器用材料。
【請求項2】
テトラフルオロエチレン系共重合体は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位が全単量体単位の4.5〜5.5質量%である請求項1記載のOA機器用材料。
【請求項3】
テトラフルオロエチレン系共重合体は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位がパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)に由来するものである請求項1又は2記載のOA機器用材料。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載のOA機器用材料を表面層に有するOA機器用の定着部材。
【請求項5】
OA機器用の定着ロール又はベルトである請求項4記載の定着部材。

【公開番号】特開2009−42478(P2009−42478A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207085(P2007−207085)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】