説明

OFDM受信装置

【課題】周波数方向の補間のみを行う場合でも、等化可能なマルチパス遅延時間の範囲を拡大することができるOFDM受信装置を提供する。
【解決手段】OFDM受信装置1は、分散パイロット信号が挿入されたOFDM信号を高速フーリエ変換するFFT回路16と、FFT回路16の出力信号に含まれる分散パイロット信号を中心周波数の異なる複数の補間フィルタを用い周波数軸方向にのみ補間処理を行う12キャリア補間回路17〜19と、12キャリア補間回路17〜19の複数の出力に基づいて、FFT回路16の出力信号をそれぞれ等化する等化回路20〜22と、等化回路20〜22の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を判定する判定回路24と、判定回路24の判定結果に基づいて、等化回路20〜22の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を選択する選択回路25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OFDM受信装置に関し、特に、等化技術を有するOFDM受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル信号を伝送する方式として、直交周波数分割多重(以下、OFDMという)方式が提案されている。OFDMを用いたデジタル伝送方式は、特に、地上デジタル放送の分野で実用化が進められている。地上デジタル放送では、マルチパスと呼ばれる反射波の妨害が避けられないため、受信機におけるマルチパス歪の等化技術は重要な課題である。一般に、OFDM方式では、等化基準用のパイロット信号が多重されている。日本のデジタルテレビの伝送方式では、伝送信号中に分散パイロット信号(以下、SP信号という)が多重されており、このSP信号を時間方向及び周波数方向に補間して、伝送路特性を推定し、マルチパス歪の等化を行う。
【0003】
SP信号は、時間方向に4シンボル周期で伝送されているため、高速の移動受信条件では時間変動により時間方向の補間の推定精度が悪くなる。これを解決するために、1シンボル単位で周波数方向の補間のみを行うOFDM受信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この提案のOFDM受信装置は、高速フーリエ変換回路(以下、FFT回路という)の出力からSP信号を補間する第1及び第2の周波数特性推定部を有している。第1の周波数特性推定部は、SP信号を時間方向に補間し、更に、周波数方向に補間する。即ち、周波数方向には、3キャリア間隔のSP信号を用いて各キャリア位置を補間する(以下、3キャリア補間という)。また、第2の周波数特性推定部は、SP信号を時間方向に補間せずに、周波数方向に12キャリア間隔のSP信号を用いて各キャリア位置を補間する(以下、12キャリア補間という)。
【0005】
また、この提案のOFDM受信装置は、FFT回路の出力から時間方向の振幅変動を検出し、この振動変動から変動速度を検出する。OFDM受信装置は、この変動速度に基づいて、時間補間あり(周波数方向は3キャリア補間)と時間補間なし(周波数方向は12キャリア補間)とを切り換えている。これにより、移動受信時は、時間補間なし、即ち、SP信号を周波数方向に12キャリア間隔の補間のみを行い、伝送路推定の精度を高めている。
【0006】
しかし、時間補間なしの場合、周波数方向の補間が12キャリア間隔のSP信号を用いるため、等化できる遅延時間の範囲が小さいという問題がある。この等化できる遅延時間の範囲は、原理的にシンボル期間の1/12の遅延時間までとなる。従来のOFDM受信装置は、移動速度が小さい場合は、3キャリア補間に切り換えることにより、等化できる遅延時間の範囲を原理的にシンボル期間の1/3の遅延時間までとしている。しかしながら、この提案のOFDM受信装置では、振幅変動から移動速度を検出しているため、雑音などの妨害で振幅変動が生じた場合に、正確な移動速度の検出が困難という問題がある。
【0007】
そこで、マルチパス波の遅延時間の範囲を拡大することができるOFDM受信装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この提案のOFDM受信装置は、複数のフィルタ係数を用いて伝送路推定を行い、得られた伝送路推定を用いて伝送信号を等化する。OFDM受信装置は、等化後の伝送信号の信号品質を検出し、検出結果に応じて複数のフィルタ係数のうちから最適なフィルタ係数を決定している。
【0008】
しかし、この提案のOFDM受信装置は、必ず時間方向の補間を行うため、高速の移動受信条件では時間変動により時間方向の補間の推定精度が悪くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−140987号公報
【特許文献2】特開2006−311385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、周波数方向の補間のみを行う場合でも、等化可能なマルチパス遅延時間の範囲を拡大することができるOFDM受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、分散パイロット信号が挿入されたOFDM信号を高速フーリエ変換する高速フーリエ変換部と、前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を中心周波数の異なる複数の補間フィルタを用い周波数軸方向にのみ補間処理を行う第1の補間部と、前記第1の補間部の複数の出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号をそれぞれ等化する第1の等化部と、前記第1の等化部の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1の等化部の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を選択する選択部と、を有することを特徴とするOFDM受信装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のOFDM受信装置によれば、周波数方向の補間のみを行う場合でも、等化可能なマルチパス遅延時間の範囲を拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、図1に基づき、本発明の第1の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、OFDM受信装置1は、アンテナ11と、チューナ12と、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器という)13と、直交復調回路(以下、IQ復調回路という)14と、FFT窓制御回路15と、FFT回路16と、複数の12キャリア補間回路17〜19と、複数の等化回路20〜22と、S/N検出回路23と、判定回路24と、選択回路25と、誤り訂正回路26とを有して構成されている。
【0014】
アンテナ11は、OFDM信号を受信してチューナ12に供給する。チューナ12は、アンテナ11により受信されたOFDM信号から所定のチャンネル信号を取り出して中間周波数帯に変換し、変換した中間周波数帯をA/D変換器13に出力する。
【0015】
A/D変換器13は、入力された中間周波数帯をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をIQ復調回路14に出力する。IQ復調回路14は、入力されたデジタル信号を複素ベースバンド信号に復調し、復調した複素ベースバンド信号をFFT窓制御回路15及びFFT回路16に出力する。
【0016】
FFT窓制御回路15は、OFDM信号に含まれるガード期間の相関を利用してFFT復調タイミングを検出し、検出したFFT復調タイミングをFFT回路16に出力する。
【0017】
FFT回路16は、FFT窓制御回路15からのFFT復調タイミングに基づいて、FFT演算により時間軸上のOFDM信号を周波数軸上のデータに変換する。即ち、FFT回路16から出力されるOFDM信号は、例えば、後述する図2に示す信号配置になっている。FFT回路16は、変換した周波数軸上のデータを12キャリア補間回路17〜19及び等化回路20〜22に出力する。
【0018】
12キャリア補間回路17〜19のそれぞれは、SP信号を1シンボル単位で周波数軸方向に12キャリア間隔の補間のみを行う。12キャリア補間回路17〜19のそれぞれは、補間特性の異なるフィルタを有しており、入力された周波数軸上のデータを補間特性の異なるフィルタにより、伝送路特性を周波数軸方向に補間する。12キャリア補間回路17〜19は、周波数軸方向に補間した伝送路特性をそれぞれ等化回路20〜22に出力する。
【0019】
等化回路20〜22のそれぞれは、入力された伝送路特性、即ち、補間されたSP信号を基準としてOFDM信号を等化する。即ち、等化回路20〜22は、12キャリア補間回路17〜19のそれぞれにより補間されたSP信号を用いて、伝送路特性に起因する歪み成分を除去する。等化回路20〜22のそれぞれは、等化したOFDM信号をS/N検出回路23及び選択回路25に出力する。
【0020】
S/N検出回路23は、等化回路20〜22のそれぞれから入力された等化後のOFDM信号から受信S/Nを検出し、検出したS/Nを判定回路24に出力する。
【0021】
判定回路24は、入力された受信S/Nの内、最もS/Nが高いOFDM信号を判定し、判定結果を選択回路に出力する。
【0022】
選択回路25は、判定回路24からの判定結果に基づいて、最もS/Nが高いOFDM信号を選択し、誤り訂正回路26に出力する。
【0023】
誤り訂正回路26は、誤り訂正の復号処理を行い、受信データを復号し、出力する。
【0024】
ここで、FFT回路16から出力されるOFDM信号の信号フォーマットについて説明する。図2は、OFDM信号の信号フォーマットの例を説明するための説明図である。
【0025】
図2に示すように、OFDM信号の信号フォーマットは、情報シンボルS1と、OFDM信号の伝送方式等を示すTMCC/ACシンボルS2と、OFDM信号の終端を示すCPシンボルS3と、SP信号のシンボルであるSPシンボルS4とを有して構成されている。SPシンボルS4は、周波数軸方向においては、12キャリア毎に挿入され、時間軸方向においては、4シンボル毎に挿入されている。本実施の形態では、このように12キャリア毎に挿入されているSPシンボルS4を1シンボル単位で周波数軸方向に12キャリア間隔の補間のみを行い、OFDM信号の等化を行っている。
【0026】
次に、このように構成される実施の形態の動作について説明する。
まず、アンテナ11及びチューナ12によって所定のチャンネルのOFDM信号が中間周波数帯に変換され、A/D変換器13によってデジタル信号に変換される。A/D変換器13からのデジタル信号は、IQ復調回路14により複素ベースバンド信号に変換され、FFT窓制御回路15及びFFT回路16に供給される。FFT回路16では、FFT窓制御回路15からのFFTタイミングに基づいて、複素ベースバンド信号にFFT演算が施され、12キャリア補間回路17〜19及び等化回路20〜22に出力される。
【0027】
ここで、12キャリア補間回路17〜19の動作について説明する。図3は、希望波に対して遅延したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。図3において、矢印Aは、希望波を示しており、矢印Bは、矢印Aの希望波に遅延するマルチパス波を示している。また、図3において、フィルタ区間a〜cは、中心周波数の異なる3種類のフィルタを示している。図3の例では、フィルタ区間aは、12キャリア補間回路17のフィルタを示し、フィルタ区間bは、12キャリア補間回路18のフィルタを示し、フィルタ区間cは、12キャリア補間回路19のフィルタを示しているものとする。
【0028】
図3に示す受信条件において、図1のFFT窓制御回路15は、FFTタイミングとして希望波を検出している。また、希望波に遅延するマルチパス波が検出されている。
【0029】
このような受信条件において、遅延広がり、即ち、希望波とマルチパス波がフィルタ帯域内に収まっているのはフィルタ区間aのフィルタのみとなっている。このため、フィルタ区間aのフィルタ、即ち、12キャリア補間回路17により補間され、この補間結果に基づいて等化回路20により等化された等化出力のS/Nが最も良くなる。即ち、フィルタ区間b及びフィルタ区間cのフィルタは、マルチパス波を補間できないため、フィルタ区間aのフィルタよりも等化結果が劣化する。この結果、S/N検出回路23及び判定回路24において、等化回路20により等化された等化出力のS/Nが最も高いと判定され、選択回路25より等化回路20の等化出力が選択される。
【0030】
図4は、希望波に対して先行したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。図4において、矢印Cは、矢印Aの希望波に先行するマルチパス波を示している。
【0031】
図4に示す受信条件において、希望波とマルチパス波がフィルタ帯域内に収まっているのはフィルタ区間cのフィルタのみとなっている。このため、フィルタ区間cのフィルタ、即ち、12キャリア補間回路19により補間され、この補間結果に基づいて等化回路22により等化された等化出力のS/Nが最も良くなる。この結果、S/N検出回路23及び判定回路24において、等化回路22により等化された等化出力のS/Nが最も高いと判定され、選択回路25より等化回路22の等化出力が選択される。
【0032】
図5は、希望波に対して先行及び遅延したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。
【0033】
図5に示す受信条件において、希望波とマルチパス波がフィルタ帯域内に収まっているのはフィルタ区間bのフィルタのみとなっている。このため、フィルタ区間bのフィルタ、即ち、12キャリア補間回路18により補間され、この補間結果に基づいて等化回路21により等化された等化出力のS/Nが最も良くなる。この結果、S/N検出回路23及び判定回路24において、等化回路21により等化された等化出力のS/Nが最も高いと判定され、選択回路25より等化回路21の等化出力が選択される。
【0034】
以上のように、OFDM受信装置1は、中心周波数の異なる3種類のフィルタを用いて等化を行い、S/Nの最も高い等化出力を選択するようにした。この結果、希望波に対して先行又は遅延したマルチパス波に対応することが可能となり、1種類の係数を用いた場合に比べて等化可能な遅延時間の範囲を拡大することができる。
【0035】
よって、本実施の形態のOFDM受信装置によれば、周波数方向の補間のみを行う場合でも、等化可能なマルチパス遅延時間の範囲を拡大することができる。
【0036】
なお、図3から図5の説明において、フィルタ特性が、後シフト最大、前後対称、前シフト最大の3種類について説明したが、さらに中間的なシフト量を加えてもよい。また、受信S/Nが最も良くなる係数を選択したが、受信S/Nが所定値よりも良くなるように選択してもよい。また、等化出力のS/Nではなく、ビット誤り率(BER)を利用して等化出力の品質を判定してもよい。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。図6は、第2の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図6において図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、本実施の形態のOFDM受信装置1aは、図1のOFDM受信装置1に対し、時間補間回路31と、3キャリア補間回路32及び33と、等化回路34及び35とが追加されている。更に、本実施の形態のOFDM受信装置1aは、図1のS/N検出回路23、判定回路24及び選択回路25に代わり、それぞれS/N検出回路23a、判定回路24a及び選択回路25aを用いて構成されている。
【0039】
時間補間回路31、等化回路34及び35には、FFT回路16から周波数軸上のデータが供給される。時間補間回路31は、このFFT回路16の出力から時間軸方向に伝送路特性を補間し、3キャリア補間回路32及び33に出力する。
【0040】
3キャリア補間回路32は、時間補間回路31からの補間結果を利用して、伝送路特性を周波数軸方向に補間し、補間した伝送路特性を等化回路34に出力する。
【0041】
3キャリア補間回路33は、3キャリア補間回路32より帯域を狭くした3キャリア補間フィルタにより、時間補間回路31からの補間結果を利用して、伝送路特性を周波数軸方向に補間し、補間した伝送路特性を等化回路35に出力する。
【0042】
3キャリア補間は、原理的にシンボル期間の1/3の遅延時間まで補間できるが、マルチパス波の遅延時間が小さい場合には、帯域を狭くして雑音を除去する方が望ましい。本実施の形態では、3キャリア補間回路32を用いて12キャリア補間では等化できない遅延時間まで対応すると共に、帯域を狭くした3キャリア補間回路33を用いて、遅延時間が小さい場合には雑音除去による受信性能改善を行っている。
【0043】
等化回路34は、3キャリア補間回路32からの伝送路特性に基づいて等化を行い、等化出力をS/N検出回路23aに出力する。また、等化回路35は、3キャリア補間回路33からの伝送路特性に基づいて等化を行い、等化出力をS/N検出回路23aに出力する。
【0044】
S/N検出回路23aには、等化回路34及び35の等化出力が供給されると共に、等化回路20〜22の等化出力も供給される。S/N検出回路23aは、等化回路20、21、22、34及び35のそれぞれから供給された等化出力のS/Nを検出し、検出したS/Nを判定回路24aに出力する。
【0045】
判定回路24aは、入力されたS/Nの内、最もS/Nが高い等化出力を判定し、判定結果を選択回路25aに出力する。選択回路25aは、判定回路24aの判定結果に基づいて、最もS/Nが高い等化出力を選択し、選択した等化出力を誤り訂正回路26に出力する。
【0046】
以上のように、12キャリア補間の等化可能な遅延時間範囲を拡大すると共に、遅延時間が12キャリア補間の範囲を超える場合は、3キャリア補間に切り換えることが可能になる。また、遅延時間が12キャリア補間の範囲内であっても時間補間が可能な移動速度までは、3キャリア補間により雑音を除去して受信性能を改善することができる。切り換えは、等化後のS/Nにより比較するため、移動速度を判定することなく最適な切り換えが可能である。
【0047】
よって、本実施の形態のOFDM受信装置によれば、受信条件に応じて、時間補間ありと時間補間なしを正確に切り換えることが可能となる。
【0048】
なお、本実施の形態では、2種類の3キャリア補間回路を用いる例について説明したが、1種類の3キャリア補間回路又は3種類以上の3キャリア補間回路を用いてもよい。また、時間補間回路の時間補間フィルタの特性を複数用意してもよい。
【0049】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。図7は、第3の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図7において図6と同様な構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図7に示すように、本実施の形態のOFDM受信装置1bは、選択回路41〜43と、周波数補間回路44〜46と、係数制御回路47とを用いて等化を行っている。また、OFDM受信装置1bは、図6のS/N検出回路23aに代わり、S/N検出回路23bを用いて構成されている。
【0051】
選択回路41〜43のそれぞれには、FFT回路16の出力と時間補間回路31の出力とが供給される。選択回路41〜43は、後述する係数制御回路47からの選択信号に基づいて、FFT回路16の出力又は時間補間回路31の出力のいずれか一方を選択し、それぞれ周波数補間回路44〜46に出力する。
【0052】
周波数補間回路44〜46のそれぞれは、係数の異なる5種類の周波数補間フィルタを有している。周波数補間回路44〜46は、後述する係数制御回路47からの制御信号に基づいて、係数の異なる5種類の周波数補間フィルタのいずれかを設定する。周波数補間回路44〜46は、設定された周波数補間フィルタにより伝送路特性の補間を行い、補間した伝送路特性をそれぞれ等化回路20〜22に出力する。
【0053】
ここで、係数の異なる5種類の周波数補間フィルタは、例えば、図1の12キャリア補間回路17〜19のそれぞれが有する3種類の係数の異なるフィルタと、図6の3キャリア補間回路32及び33のそれぞれが有する2種類の係数の異なるフィルタである。
【0054】
S/N検出回路23bには、等化回路21及び22からの等化出力が供給される。S/N検出回路23bは、これらの等化出力からそれぞれS/Nを検出し、検出したS/Nを係数制御回路47に出力する。
【0055】
係数制御回路47は、周波数補間回路44〜46に対し、係数の異なる5種類の周波数補間フィルタのいずれかを設定するための制御信号を出力する。係数制御回路47は、周波数補間回路44〜46に対し、12キャリア補間のフィルタを設定する場合には、選択回路41〜43がFFT回路16の出力を選択するための選択信号を出力し、3キャリア補間のフィルタを設定する場合には、選択回路41〜43が時間補間回路31の出力を選択するための選択信号を出力する。
【0056】
また、係数制御回路47は、S/N検出回路23bから入力されたそれぞれのS/Nを比較し、S/Nの高い等化出力を検出する。係数制御回路47は、検出結果に基づいて、次の係数の周波数補間フィルタを選択するように制御信号を周波数補間回路45及び46に出力する。係数制御回路47は、同様にして、S/Nを順次比較し、5種類のフィルタのうち最もS/Nが高いフィルタを検出する。
【0057】
係数制御回路47は、5種類のフィルタのうち最もS/Nが高いフィルタを検出すると、その検出結果を選択回路41及び周波数補間回路44に出力する。この結果、選択回路41及び周波数補間回路44により最もS/Nの高いフィルタにより伝送路特性の補間が行われ、等化回路20により等化が行われる。
【0058】
以上のように、本実施の形態のOFDM受信装置1bによれば、第2の実施の形態のOFDM受信装置1aに比べて周波数補間回路及び等化回路の回路規模を削減することができる。
【0059】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。なお、図8において図7と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図8に示すように、本実施の形態のOFDM受信装置1cは、図7のOFDM受信装置1bに対し、メモリ51と、時間補間回路52とが追加され、選択回路43と、周波数補間回路46と、等化回路22とが省かれて構成されている。また、OFDM受信装置1cは、図7のOFDM受信装置1bに対し、S/N検出回路23b及び係数制御回路47に代わり、それぞれS/N検出回路23c及び係数制御回路47aを用いて構成されている。
【0061】
メモリ51には、FFT回路16からの出力が供給される。メモリ51は、このデータをS/N比較用のデータとしてメモリに保持する。メモリ51は、保持したデータを等化回路21、選択回路42及び時間補間回路52に供給する。
【0062】
時間補間回路52は、供給されたデータから時間軸方向に伝送路特性を補間し、補間した伝送路特性を選択回路42に出力する。
【0063】
周波数補間回路45は、係数制御回路47aからの制御信号に基づいて、5種類のフィルタ係数を切り換えて、順次補間を行い、補間結果を等化回路21に出力する。等化回路21は、順次入力される補間結果に基づいて、等化を行い、等化結果をS/N検出回路23cに出力する。
【0064】
S/N検出回路23cは、等化回路21の等化出力からS/Nを検出し、検出したS/Nを係数制御回路47aに出力する。
【0065】
係数制御回路47aは、5種類のフィルタ係数を切り換えて得られたS/Nから、最もS/Nが高いフィルタ係数を判定する。係数制御回路47aは、この判定結果に基づいて、周波数補間回路44にS/Nが最も良くなるフィルタ係数を設定する。
【0066】
以上のように、本実施の形態のOFDM受信装置1cによれば、メモリの読み出しを高速化することにより、図7のOFDM受信装置1bよりもフィルタ判定時間を短くすることができる。
【0067】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】OFDM信号の信号フォーマットの例を説明するための説明図である。
【図3】希望波に対して遅延したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。
【図4】希望波に対して先行したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。
【図5】希望波に対して先行及び遅延したマルチパス波が存在する場合を説明するための説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第3の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第4の実施の形態に係るOFDM受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1,1a,1b,1c…OFDM受信装置、11…アンテナ、12…チューナ、13…A/D変換器、14…IQ復調回路、15…FFT窓制御回路、16…FFT回路、17〜19…12キャリア補間回路、20〜22等化回路、23,23a,23b,23c…S/N検出回路、24,24a…判定回路、25,25a…選択回路、26…誤り訂正回路、31…時間補間回路、32,33…3キャリア補間回路、34,35…等化回路、41〜43…選択回路、44〜46…周波数補間回路、47,47a…係数制御回路、51…メモリ、52…時間補間回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散パイロット信号が挿入されたOFDM信号を高速フーリエ変換する高速フーリエ変換部と、
前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を中心周波数の異なる複数の補間フィルタを用い周波数軸方向にのみ補間処理を行う第1の補間部と、
前記第1の補間部の複数の出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号をそれぞれ等化する第1の等化部と、
前記第1の等化部の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1の等化部の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を選択する選択部と、
を有することを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項2】
前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を時間軸方向に補間処理した後に中心周波数の異なる複数の補間フィルタを用い周波数軸方向に補間処理を行う第2の補間部と、
前記第2の補間部の複数の出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号をそれぞれ等化する第2の等化部とをさらに有し、
前記判定部は、前記第1及び前記第2の等化部のそれぞれ出力のうち最も受信品質が高い出力を判定し、
前記選択部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記第1及び前記第2の等化部の複数の出力のうち最も受信品質が高い出力を選択することを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信装置。
【請求項3】
分散パイロット信号が挿入されたOFDM信号を高速フーリエ変換する高速フーリエ変換部と、
前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号、又は、前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を時間軸方向に補間処理した信号のいずれか一方をフィルタ係数可変の補間フィルタを用い周波数軸方向に補間処理を行う第3及び第4の補間部と、
前記第3及び前記第4の補間部のそれぞれの出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号を等化する第3及び第4の等化部と、
前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号、又は、前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を時間軸方向に補間処理した信号のいずれか一方をフィルタ係数可変の補間フィルタを用い周波数軸方向に補間処理を行う第5の補間部と、
前記第3及び前記第4の補間部の補間フィルタに中心周波数が相互に異なるフィルタ特性を与えるためのフィルタ係数を順次設定しながら、前記第3及び前記第4の等化部の出力の相互の比較を繰り返すことで、最も受信品質が高い出力が得られるフィルタ係数を求めて、前記第5の補間部の補間フィルタのフィルタ係数とする係数制御部と、
前記第5の補間部の出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号を等化する第5の等化部と、
を有することを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項4】
分散パイロット信号が挿入されたOFDM信号を高速フーリエ変換する高速フーリエ変換部と、
前記高速フーリエ変換部の出力信号を保持するメモリと、
前記メモリに保持された前記出力信号に含まれる前記分散パイロット信号、又は、前記メモリに保持された前記出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を時間軸方向に補間処理した信号のいずれか一方をフィルタ係数可変の補間フィルタを用い周波数軸方向に補間処理を行う第6の補間部と、
前記第6の補間部の出力に基づいて、前記メモリに保持された出力信号を等化する第6の等化部と、
前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号、又は、前記高速フーリエ変換部の出力信号に含まれる前記分散パイロット信号を時間軸方向に補間処理した信号のいずれか一方をフィルタ係数可変の補間フィルタを用い周波数軸方向に補間処理を行う第7の補間部と、
前記第6の補間部の補間フィルタに中心周波数が相互に異なるフィルタ特性を与えるためのフィルタ係数を順次設定し、設定したフィルタ係数のうち前記第6の等化部の出力から最も受信品質が高い出力が得られたときのフィルタ係数を前記第7の補間部の補間フィルタのフィルタ係数とする係数制御部と、
前記第7の補間部の出力に基づいて、前記高速フーリエ変換部の出力信号を等化する第7の等化部と、
を有することを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項5】
前記判定部又は前記係数制御部は、信号対雑音比に基づいて、前記受信品質を判定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のOFDM受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−290579(P2009−290579A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141255(P2008−141255)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】